JP2007237029A - 自動車用バンパーの塗装方法及び自動車用バンパー塗装工程における塗料ミストの回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車バンパーの塗装工程において受け治具とキャリアーへの塗料ミストの付着を防ぎ、また塗料ミストを効率的に回収する。
【解決手段】自動車用バンパーの塗装工程において、被塗装バンパーの受け治具及び(又は)キャリアーを、マルチフィラメント合成繊維からなる巻縮糸を用いてループを形成することにより編む方式の編材により形成される縦方向と横方向に伸縮可能なフレキシブルな編物地を適宜裁断・縫製したカバーにより包み込むようにして覆い、被塗装バンパーをそのカバーの上に設置して塗装を行い、被塗装バンパー周辺空間の塗料ミストを積極的に前記カバーに吸着させ、所定回数連続使用後に塗料ミストを吸着させたカバーを受け治具及び(又は)キャリアーから取り外して塗料ミストを回収し、固形燃料として再利用又は廃棄処分する。
【選択図】 図3
【解決手段】自動車用バンパーの塗装工程において、被塗装バンパーの受け治具及び(又は)キャリアーを、マルチフィラメント合成繊維からなる巻縮糸を用いてループを形成することにより編む方式の編材により形成される縦方向と横方向に伸縮可能なフレキシブルな編物地を適宜裁断・縫製したカバーにより包み込むようにして覆い、被塗装バンパーをそのカバーの上に設置して塗装を行い、被塗装バンパー周辺空間の塗料ミストを積極的に前記カバーに吸着させ、所定回数連続使用後に塗料ミストを吸着させたカバーを受け治具及び(又は)キャリアーから取り外して塗料ミストを回収し、固形燃料として再利用又は廃棄処分する。
【選択図】 図3
Description
この発明は、塗装ブースにおいて受け治具上に設置した自動車用バンパーをキャリアーで移動させながら連続して吹き付け塗装作業を行う自動車用バンパーの塗装方法に関するものである。
また、前記塗装工程において噴霧された塗料の吹き残し塗料(いわゆる塗料ミスト)を効率的に回収し、且つ処理作業を容易なものとした自動車用バンパー塗装工程における塗料ミストの回収方法に関するものであり、特にこの回収した塗料ミストを固形燃料として簡単に再利用することができるようにしたものである。
自動車用バンパーを塗装する際は塗装ブース内において図1に示すように、車種により異なるバンパーの形状に合わせて作成されたバンパー受け治具1と、これに一体的に組み合わされた工程間搬送用の共用のキャリアー2により構成されたバンパー塗装装置により、受け治具上に被塗装バンパーを上乗せセットし、被塗装バンパーを移動させながら連続して吹き付け塗装を行うようにしている。
塗装の標準的な工程としては、バンパー受け治具1とキャリアー2がドッキングされた後、バンパー受け治具1に塗装される被塗装バンパーが上乗せセットされると、まずプライマーの吹き付け処理によりバンパーと塗料の密着性を向上せしめる前処理塗装が行われる。次に所望の塗料によるカラー塗装が同様に吹き付けて行われる。さらにその上に、クリアー吹き付け塗装が行われ、引き続き乾燥工程を経て、さらにキュアリング(焼付け)処理が行われる。
そして、この各吹き付け工程にあっては、プライマー,塗料,クリアーともに、上記したバンパー塗装装置上にセットされた被塗装バンパーに対して、各部位が均一に塗装処理されることが必須であり、かつバンパーには2次元,3次元の凹凸面や曲面が存在するほか、複雑な取付用突起物,大小ホール,付属物セット用貫通孔等が存在するから、これらを均等にムラなく吹き付け塗装することは、最も必要かつ技術の必要とするところである。よって、このことを達成させるためには、噴霧状に且つある程度被塗装バンパーから距離を離して吹き付け塗装せざるを得ないから、結果として塗装ブース空間や、塗装治具類へのムダ吹き付けは避け難く、むしろこれらムダ吹きを犠牲にすることにより均一で良好な塗装製品が製造されていると行っても過言でない。
したがって、以上の状況からバンパー塗装ブースはもとよりバンパー受け治具及びキャリアーは、塗料を多量に直接吹き付けられることとなり、かつその都度キュアリング(焼付け)を受けることになるから、その表面は塗料カスが積層することとなる。一部は脱落しつつ雪だるま式に積層された塗料は、限界を超えると被塗装バンパーのセットに支障を来たすほか、塗装ブース内の空間に脱落することとなり、それらは一部粉塵化して浮遊ダストとなって被塗装バンパー表面に付着することとなりバンパー塗装ムラの最大要因となる。さらに、吹き残し塗料(いわゆる塗料ミスト)は空間にいつまでも浮遊したり、落下して作業床面を汚し粉塵化するので、これもまた塗装ムラの原因となる。
以上から、バンパー受け治具,キャリアー,作業空間,床面をいかに塗料カス(粉塵化した浮遊ダストや塗料ミスト)から守るかが大きな課題である。そしてこれら塗装ムラ要因を防止するために、従来はバンパー受け治具やキャリアーをクリーンに保つために、物理的にも経済的にもおのずと限界があるので、これら治具やキャリアーを1か月に一回程度内外(塗装回数にして100〜200回塗装後)で、洗浄交換していた。
また、従来においてもこの対策として、受け治具やキャリアーを吹き付けられる塗料より保護する目的で、その一部を例えば各種の粘着テープで巻き付けたり、一般的な布地や塩化ビニル製等のフィルムや新聞紙等の紙類で覆ったり包み込む等の方法も試みられてはいる。
しかし、上記した布地やフィルム等でカバーする方法は、いずれも被覆作業に多大な要員や時間を要するほか、特に形状的に凹凸や突起部分が多い受け治具においては完全にカバーすることは困難であった。また、これらの方法によるカバーでは床や空間を浮遊・落下する塗料ミストを積極的に捕捉する能力は有していなかった。
したがって、受け治具やキャリアーを定期的に洗浄せざるをえず、甚大な費用と多数の要員を必要としているのが現状である。さらに、洗浄方式ではその間の代替えが必要なため、受け治具やキャリアーは必要数の2倍を最低限装備しておく必要がある。
また、従来の塗装方法では塗装ブース内の塗料カスの収集も、粉塵状態や床面への固着状態も様々であり、これらの回収にも非常な時間と労力を要している。さらに、受け治具やキャリアーの洗浄により発生する多量の塗料カスの処理には、洗浄液より塗料カスを分離し乾燥して粉体状にして収集せざるを得ず、これも多大な経費が必要であり、塗料カスの効率的な収集も重要な技術的課題である。
そこで、この発明にかかる自動車用バンパーの塗装方法は上記課題を解決するために、自動車用バンパーの塗装工程において、被塗装バンパーの受け治具及び(又は)キャリアーを、マルチフィラメント合成繊維からなる巻縮糸を用いてループを形成することにより編む方式の編材により形成される縦方向と横方向に伸縮可能なフレキシブルな編物地を適宜裁断・縫製したカバーにより包み込むようにして覆い、被塗装バンパーをそのカバー上に設置して塗装を行うようにした(請求項1)ものである。
また、この発明に係る自動車用バンパー塗装工程における塗料ミストの回収方法は上記課題を解決するために、自動車用バンパーの塗装工程において、被塗装バンパーの受け治具及び(又は)キャリアーを、マルチフィラメント合成繊維からなる巻縮糸を用いてループを形成することにより編む方式の編材により形成される縦方向と横方向に伸縮可能なフレキシブルな編物地を適宜裁断・縫製したカバーにより包み込むようにして覆い、被塗装バンパーをそのカバー上に設置して塗装を行い、被塗装バンパー周辺空間の塗料ミストを積極的に前記カバーに吸着させ、所定回数連続使用後に塗料ミストを吸着させたカバーを受け治具及び(又は)キャリアーから取り外して塗料ミストを回収し、固形燃料として再利用するか又は廃棄処分するようにした(請求項2)ものである。
本発明にかかる塗装方法によれば、受け治具やキャリアーを取り外していちいち洗浄作業などをする必要がなくなる。また、カバーは伸縮性に富むので(基本的には縦横にそれぞれ1.3倍程度以上の伸び率)受け治具やキャリアーへの着脱も極めて容易であるとともに、受け治具等の複雑な形状にも正確になじみ、バンパー塗装の障害となることがない。
さらに、カバーは伸縮性のみならず塗料ミストの吸着力にも優れており(基本的には自重の10倍程度内外の塗料ミストが吸着可能)、したがって一旦セットすると200回程度は連続使用が可能であり、通常はほぼ1か月に1回取り替えればよいこととなる。また、塗料ミストがカバーにより効果的に吸着されることにより、塗料ミストが塗装ブース内でいつまでも浮遊したり、落下して作業床面を汚したり、粉塵化して塗料ムラを引き起こすことを防止できる。その上、塗料ミストを大量に吸着しているカバーはそのまま固形燃料として活用することが可能であり、よって回収した塗料ミストを吸着しているカバーに新たな商品価値を持たせることができる。
被塗装バンパーの受け治具及びキャリアーを、マルチフィラメント合成繊維からなる巻縮糸を用いてループを形成することにより編む方式の編材により形成される縦方向と横方向に伸縮可能なフレキシブルな編物地を適宜裁断・縫製したカバーにより包み込むようにして覆う。そして、前記カバーで覆った受け治具の上に被塗装バンパーを設置して通常の方法により塗装を行い、被塗装バンパー周辺空間の余分な塗料ミストはカバーに積極的に吸着させて回収するようにする。
次に、本発明にかかる自動車用バンパーの塗装方法と自動車用バンパーの塗装工程における塗料ミストの回収方法の一実施例を図面に基づいて説明する。
まず、本発明でカバー材料として使用する縦方向と横方向に伸縮可能なフレキシブルな編物地の一例について以下説明する。本発明は塗料が付着し易く、かつ多量に抱き込むことが可能な編物でもってカバーを製作することに特徴がある。但し、以下に説明する編物編物地は一例であり、要はマルチフィラメント合成繊維からなる巻縮糸を用いてループを形成することにより編む方式の編材により形成される縦方向と横方向に伸縮可能なフレキシブルな編物地であればよい。
(イ)編み機
組成:天ジク編
カマ径:22インチ
針本数:28ゲージ,総計針本数1872本
組成:天ジク編
カマ径:22インチ
針本数:28ゲージ,総計針本数1872本
(ロ)仕様
原糸:ナイロンマルチ巻縮糸75デニール仕様で、S・Z撚交互編み
編み込み長:100ウエル/238mm
原糸:ナイロンマルチ巻縮糸75デニール仕様で、S・Z撚交互編み
編み込み長:100ウエル/238mm
(ハ)でき上がり製品目付
55cm(エンドレス)φ(110cm幅)で146g/m目付
55cm(エンドレス)φ(110cm幅)で146g/m目付
上記した編物地は具体的には、ナイロン巻縮糸をS・Z撚交互に使用して、編み機として「天ジク」編機の28ゲージに編み込み長100ウエル/238mmに設定した編物地の目付重量が55cmφで150g/m内外としたものである。
そして、このような編物編物地を適宜裁断してバンパー受け治具1用のカバー3やキャリアー2用のカバー4を縫製する。図4と図5にバンパー受け治具用のカバー3の一例を示す。カバー3はバンパー受け治具1を被覆した時にほぼ伸び縮みなく原寸となるような大きさとし、図示した例では幅1760mmで高さ560mmのバンパーを被覆するのに使用するものである。なお、キャリアー2用のカバー4の具体例は図示しないが、キャリアー2の形状に合わして適宜裁断・縫製する。
そして、図2に示すようにバンパー受け治具用カバー3をバンパー受け治具1に被せて包み込むように覆い、またキャリアー用カバー4をキャリアー2に被せて包み込むように覆う。
このようにバンパー受け治具1をカバー3で、キャリアー2をカバー4で被覆した状態で、図3に示すようにバンパー受け治具1の上に被塗装バンパー5を設置して通常の方法により塗装を行う。余分な塗料ミストはカバー3,4に吸着されるので塗装ブース内を浮遊する塗料ミストを減少させることができる。またバンパー受け治具1やキャリアー2に塗料が付着することも防がれるので、これらをいちいち洗浄する作業も不要となる。
そして、カバー3,4は所定回数連続使用したならバンパー受け治具1やキャリアー2から取り外し、新しいカバー3,4にそれぞれ交換する。取り外したカバー3,4は相当量の塗料ミストを吸着しているが、そのまま焼却処分することが可能であるので結果として塗料ミストの回収が極めて容易に行うことができることになる。また、塗料ミストを吸着しているカバー3,4は単に焼却処分するだけでなく、固形燃料として有効利用すると、塗料ミストのみを回収して固めたものを燃やした場合に比べ、極めて燃え易くしかも取扱も容易な固形燃料とすることができる。
なお、上記した編物地を使用してカバー3,4を作成した場合、カバーの自重の約10倍の重量の塗料ミストを吸着することができる。使用回数にして約200回程度は連続使用することが可能となるので、ひと月に1回程度交換すればよいこととなる。
また、カバー3,4は塗料ミストをより多く多量且つ強固に吸着させるために、場合によってはカバー3,4にワックス類(例えばパラフィン系のロウ物質)を予め含浸・乾燥せしめておいてもよい。このように処理しておくと、塗料の吸着がスムーズとなり且つ多量に包含することができるため、直接的に吹き付けられる塗料の吸着量が多くなり、したがってカバーの取り替え頻度をさらに減らすことが可能となる。その上、塗料ミストを大量に吸着したカバーを固形燃料として利用した場合には、カバー1個当たりの発熱量を一層高めることができる。
伸縮量と吸着量の大きな編物地でカバーを作成するので、受け治具やキャリアーに簡単に装着することができ、また塗料ミストの吸着量も極めて大きいものとなる。したがって、自動車バンパーの塗装に限らず各種の塗装作業においても利用可能である。また、塗料ミストを大量に吸着しているカバーは、そのまま固形燃料として利用可能であるので、各種工場等においてもこれを簡単に有効活用することができる。
1 バンパー受け治具
2 キャリアー
3 カバー
4 カバー
5 被塗装バンパー
2 キャリアー
3 カバー
4 カバー
5 被塗装バンパー
Claims (2)
- 自動車用バンパーの塗装工程において、被塗装バンパーの受け治具及び(又は)キャリアーを、マルチフィラメント合成繊維からなる巻縮糸を用いてループを形成することにより編む方式の編材により形成される縦方向と横方向に伸縮可能なフレキシブルな編物地を適宜裁断・縫製したカバーにより包み込むようにして覆い、被塗装バンパーをそのカバーの上に設置して塗装を行うようにしたことを特徴とする自動車用バンパーの塗装方法。
- 自動車用バンパーの塗装工程において、被塗装バンパーの受け治具及び(又は)キャリアーを、マルチフィラメント合成繊維からなる巻縮糸を用いてループを形成することにより編む方式の編材により形成される縦方向と横方向に伸縮可能なフレキシブルな編物地を適宜裁断・縫製したカバーにより包み込むようにして覆い、被塗装バンパーをそのカバーの上に設置して塗装を行い、被塗装バンパー周辺空間の塗料ミストを積極的に前記カバーに吸着させ、所定回数連続使用後に塗料ミストを吸着させたカバーを受け治具及び(又は)キャリアーから取り外して塗料ミストを回収し、固形燃料として再利用するか又は廃棄処分するようにしたことを特徴とする自動車用バンパー塗装工程における塗料ミストの回収方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006060420A JP2007237029A (ja) | 2006-03-07 | 2006-03-07 | 自動車用バンパーの塗装方法及び自動車用バンパー塗装工程における塗料ミストの回収方法 |
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JP2006060420A Pending JP2007237029A (ja) | 2006-03-07 | 2006-03-07 | 自動車用バンパーの塗装方法及び自動車用バンパー塗装工程における塗料ミストの回収方法 |
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2006
- 2006-03-07 JP JP2006060420A patent/JP2007237029A/ja active Pending
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