JPH0665587B2 - エレベータの非常時脱出装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は停電等の非常時に移動停止したかご内より乗客
を脱出させるエレベータの非常時脱出装置に関する。

〈従来の技術〉 従来、この種のエレベータの非常時脱出装置として例え
ばエレベータの昇降装置に連絡する駆動電源設備と別に
予備電源設備を設け、停電時にこの予備電源設備で昇降
装置を作動させることにより、かごを最寄りの階の出入
口まで移動するものや、かごに非常脱出口を開設して停
電等の非常時にこの非常脱出口からかごの外に出てから
昇降路に沿って設けられるはしご等を使用して脱出する
ものがある。

〈発明が解決しようとする課題〉 しかし乍ら、このような従来のエレベータの非常時脱出
装置では、前者のものの場合予備電源設備が必要になる
ため、設備全体が大きくなって特に小型のエレベータに
不向きであるという問題があり、又後者のものの場合に
は乗客がかご外に出て昇降路を移動するため、非常に危
険であるという問題がある。

本発明は斯る従来事情に鑑み、かごの中から手動により
かごを最寄りの階の出入口まで移動させることを目的と
する。

〈課題を解決するための手段〉 上記課題を解決するために本発明が講ずる技術的手段
は、昇降路に沿って上下方向へ直線係合部を設け、この
直線係合部と係合して昇降動する回転係合部をかごに設
けると共に、該回転係合部を変速機構の減速端に連係し
て増速端をかご内に設けた回転ハンドルに連係させ、上
記変速機構の減速端と回転係合部との間に手動レバーの
操作により接離作動するクラッチを設け、上記手動レバ
ーをかご内に配置したことを特徴とするものである。

〈作用〉 本発明は上記技術的手段によれば、非常時に回転ハンド
ルを手動操作することにより変速歯車機構で回転速度が
遅くなると共にトルクが増大して回転係合部を回転さ
せ、直線係合部に沿ってかごが上下移動するものであ
る。

また、変速機構の減速端と回転係合部との間に設けたク
ラッチは、かご内に配設したレバーを操作することによ
り接離作動し、変速機構と回転係合部との間の動力伝達
を選択的に遮断したり接続したりする。

〈実施例〉 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。

この実施例は第１図に示す如く昇降路１の全長に亙り直
線係合部２としてラックを、駆動電源設備に連絡する図
示しないロープ式又は油圧式等の昇降装置と別に設け、
この直線係合部２と係合する回転係合部３としてピニオ
ンをかご４の外上面4aに設けたものである。

上記ラック２はかご４を上下方向へ案内誘導するガイド
レール1aと平行に配設され、その歯面2aをピニオン３の
歯面3aと対向させて上下方向へ噛合せしめる。

ピニオン３はその中央に回転軸3bの一端を挿通して軸着
し、この回転軸3bの中途部が軸受3cを介してかご４の外
上面4aに水平方向へ軸支されると共に、該回転軸3bの他
端にはクラッチ機構５を設け、このクラッチ機構５を介
して後述する変速機構６の減速端6aと連係させる。

クラッチ機構５は上記回転軸3bの軸線方向へ接離動する
一対の部材5a,5bからなり、これら両部材5a,5bの接触時
に駆動側から被動側へ動力を伝達して離隔時に遮断する
従来周知構造のもので、本実施例の場合には所謂噛み合
いクラッチであり、変速機構６側の一方部材5aを、かご
４の内上面4bに配設したレバー5cの手動操作によりピニ
オン３側の他方部材5bに対して接離動させるようになっ
ている。

変速機構６は大小数組の歯車を噛合配備して回転速度及
びトルクを変える従来周知構造のもので、その増速端6b
をチェーン等の伝動部材７を介して回転ハンドル８と連
係させる。

回転ハンドル８はかご４内の乗客が手動操作することに
よって上記変速機構６の増速端6bを回転させるもので、
本実施例の場合にはクランク状に屈曲し、その基端をか
ご４の内側面4cに軸支して上記伝動部材７と連係させて
いる。

また、好ましくは回転ハンドル８を伝動部材７に対して
着脱自在に取り付けて非常時のみ装着するようにする。

次に、斯るエレベータの非常脱出装置の作動について説
明する。

通常状態では第１図に示す如くクラッチ機構５の両部材
5a,5bを離隔させ、昇降装置によりかご４が昇降動して
ピニオン３が回転してもこの回転は変速機構６に伝達さ
れず、回転ハンドル８も作動しない。

そして、停電等の非常時において階と階の中にかご４が
停止し、その中に乗客が残された場合には先ずこの乗客
がかご４の内上面4bのレバー5cを第４図に示す如く手動
操作してクラッチ機構５の両部材5a,5bをつなぐ。

その後、回転ハンドル８を手動操作して回転することに
より伝動部材７を介して変速機構６の増速端6bが回転
し、該機構６で回転速度が遅くなると共にトルクが増大
してピニオン３を回転させ、これに伴いかご４が上方又
は下方へ移動して最寄りの階の出入口に近づける。

尚、前示実施例においては昇降路１に設けた直線係合部
２がラックで、かご４に設けた回転係合部３がピニオン
である場合を示したが、これに限定されず、これら両係
合部2,3は回転運動を直線運動に変えるものであれば他
の部材で構成しても良い。

また、回転係合部３と変速機構６との間にクラッチ機構
５を設けたが、これに限定されず、回転係合部３と変速
機構６を直接連係させても良い。

〈発明の効果〉 本発明は上記の構成であるから、以下の利点を有する。

非常時に回転ハンドルを手動操作することにより変速機
構で回転速度が遅くなると共にトルクが増大して回転係
合部を回転させ、直線係合部に沿ってかごが上下移動す
るので、かごの中から手動によりかごを最寄りの階の出
入口まで移動させることができる。

従って、駆動電源設備と別に予備電源設備を設ける従来
のものに比べ、予備電源設備を設ける必要がなくなりそ
の分コンパクトになって特に小型のエレベータにおいて
有効であると共に、かごに非常脱出口を開設する従来の
ものに比べ、乗客がかごの外へ出る必要がなくて安全で
ある。

また、変速機構と回転係合部との間に設けたクラッチの
接離作動を、かご内に設けた手動レバーを操作すること
で行なうように構成したので、通常時における運転で
は、回転係合部から変速機構への動力伝達を遮断して、
運転時に生じる機械的ロスや歯車騒音を低減することが
でき、また、非常時においては信頼性の高い手動操作に
より上記クラッチをかごの内部から確実に接続すること
ができる。さらに、クラッチの作動を手動レバーにより
行なうことによれば、構造の簡素化と作動の確実生を高
めることができ、非常時において、二次的に生じる故障
によりクラッチの接続ができなくなるような可能性を低
減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すエレベータの非常時脱
出装置の一部切欠縦断正面図でクラッチ機構を切った状
態を示し、第２図は同横断平面図、第３図は同縦断右側
面図、第４図は部分拡大縦断正面図でクラッチ機構をつ
ないだ状態を実線で示している。 １……昇降路、２……直線係合部 ３……回転係合部、４……かご ６……変速機構、6a……減速端 6b……増速端、８……回転ハンドル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】昇降路に沿って上下方向へ直線係合部を設
   け、この直線係合部と係合して昇降動する回転係合部を
   かごに設けると共に、該回転係合部を変速機構の減速端
   に連係して増速端をかご内に設けた回転ハンドルに連係
   させ、上記変速機構の減速端と回転係合部との間に手動
   レバーの操作により接離作動するクラッチを設け、上記
   手動レバーをかご内に配置したことを特徴とするエレベ
   ータの非常時脱出装置。