JP2015128052A - 蓄電素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電極体2と、電極体に少なくとも一部が含浸された電解液8とを備え、電極体は、互いに対向する正極及び負極を構成材として少なくとも有し、且つ、炭酸リチウムを含み、電解液は、少なくともヘキサフルオロリン酸リチウムを含み、正極及び負極の少なくとも一方は、金属化合物を含有する活物質層を有し、活物質層は、周縁領域と、該周縁領域よりも内側の内側領域とを有し、電極体は、内側領域の炭酸リチウム含有率よりも炭酸リチウム含有率が高い高含有部6を含み、高含有部は、活物質層の周縁領域の少なくとも一部、又は、活物質層の周縁領域と層厚み方向に向き合った電極体の構成材の少なくとも一部に形成されている蓄電素子1。高含有部6の炭酸リチウムの含有率は、0.02〜0.2mg/cm2である蓄電素子。
【選択図】図9
Description
電極体は、互いに対向する正極及び負極を構成材として少なくとも有し、且つ、炭酸リチウムを含み、
電解液は、少なくともヘキサフルオロリン酸リチウムを含み、
正極及び負極の少なくとも一方は、金属化合物を含有する活物質層を有し、
活物質層は、周縁領域と、該周縁領域よりも内側の内側領域とを有し、
電極体は、内側領域の炭酸リチウム含有率よりも炭酸リチウム含有率が高い高含有部を含み、
高含有部は、活物質層の周縁領域の少なくとも一部、又は、活物質層の周縁領域と層厚み方向に向き合った電極体の構成材の少なくとも一部に形成されている。
しかも、上記構成からなる蓄電素子においては、高温保存後の蓄電素子の抵抗の増加が抑制されている。これは、つぎのメカニズムによるものと推測される。即ち、活物質層の周縁領域の少なくとも一部、又は、活物質層の周縁領域と層厚み方向に向き合った電極体の構成材の少なくとも一部において、炭酸リチウムの含有率が高い高含有部が存在する。従って、高含有部においては、炭酸リチウムと酸性物質との反応によりガスが生成されやすい。ところが、高含有部付近にて生成されるガスは、活物質層の周縁領域付近で生成することから、電極体の内部にて生成されるガスよりも、電極体の外へ放出されやすい。これにより、活物質層の周縁領域付近にガスが留まることが抑制されると考えられる。ガスが留まることが抑制されることにより、蓄電素子を高温で保存した後の抵抗の増加が、抑制されると推測される。
さらに、電極体を内部に収容したケースを備え、
電解液の一部としての余剰電解液がケース内に貯留されており、
高含有部の少なくとも一部が、余剰電解液と接触している態様が採用される。
余剰電解液とは、ケース内に注がれた電解液のうち、電極体に含浸されずにケース内に液として貯留されて液面を形成する電解液のことを意味する。
また、斯かる態様の蓄電素子においては、余剰電解液と接触した高含有部において、LiPF6由来の酸性物質と炭酸リチウムとが反応しても、発生したガスが余剰電解液へ移動するため、ガスが電極体内部に貯まりにくい。従って、高含有部の炭酸リチウム含有率がより高くても、発生したガスが電極体内部に貯まることが抑制されている。電極体内部にガスが貯まることが抑制されていることにより、蓄電素子を高温で保存した後の抵抗の増加が、抑制されると推測される。
正極が、活物質層としての正極活物質層を有し、
高含有部が、正極活物質層の周縁領域の少なくとも一部に形成されている態様が採用される。
電極体が、片面側から見たときに矩形状であり、一対の高含有部を有し、
一対の高含有部が、電極体の向かい合う辺に沿ってそれぞれ配されている態様が採用される。
「片面側から見る」とは、正極や負極などの電極体構成材の法線方向に沿って電極体を見ることを意味する。
活物質層の周縁領域が、周縁から内側に、0を超え10mm以下の幅の領域である態様が採用される。
電極体2は、互いに対向する正極3及び負極4を構成材として少なくとも有し、且つ、炭酸リチウムを含み、
電解液は、少なくともヘキサフルオロリン酸リチウムを含み、
正極3及び負極4の少なくとも一方は、金属化合物を含有する活物質層を有し、
活物質層は、周縁領域Aと、該周縁領域よりも内側の内側領域Bとを有し、
電極体2は、内側領域Bの炭酸リチウム含有率よりも炭酸リチウム含有率が高い高含有部6を含み、
高含有部6は、活物質層の周縁領域Aの少なくとも一部、又は、活物質層の周縁領域Aと層厚み方向に向き合った電極体の構成材の少なくとも一部に形成されている。
また、本実施形態の蓄電素子1は、電極体2を内部に収容するケース7を備える。本実施形態の蓄電素子1は、ケース7内に貯留された余剰電解液8と、電極体2に含浸された含浸電解液とを電解液として含む。そして、高含有部6の少なくとも一部が、余剰電解液8と接触している。
正極3の厚みは、通常、35〜250μmである。また、正極集電基材3aの厚みは、通常、5〜50μmであり、正極活物質層3bの厚みは、通常、30〜200μmである。
負極4の厚みは、通常、35〜250μmである。また、負極集電基材4aの厚みは、通常、5〜50μmであり、負極活物質層4bの厚みは、通常、30〜200μmである。
斯かる構成により、充電時に正極活物質層3bから負極4側へ移動してきたLiイオンを負極活物質層4bに確実に吸蔵できる。
即ち、帯状の電極体2においては、幅方向の一方側において、正極集電基材3aが正極活物質層3bの端縁よりも外側に突き出ており、幅方向の他方側において、負極集電基材4aが負極活物質層4bの端縁よりも外側に突き出ている。
電極体2は、巻回されたものに限らず、正極とセパレータと負極とセパレータとをこの順序でそれぞれ複数積み重ねた状態でケース7内に収容されたものであってもよい。
正極活物質は、通常、粒子状に形成されている。
また、斯かる金属化合物としては、リン酸鉄リチウムなどのオリビン型リン酸金属リチウム等が挙げられる。
導電剤としては、例えば、上記の1種単独物、又は2種以上の混合物が採用される。
結着剤としては、例えば、上記の1種単独物、又は2種以上の混合物が採用される。
増粘剤としては、例えば、上記の1種単独物、又は2種以上の混合物が採用される。
正極集電基材3aの材質としては、金属以外にも、例えば、焼成炭素、導電性高分子等が挙げられる。
正極集電基材3aは、通常、シート状の形状を有する。
正極集電基材3aとしては、例えば、金属箔が挙げられる。
負極活物質としては、例えば、炭素質材料、リチウム金属、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な合金(リチウム合金等)、一般式MOz(Mは、W、Mo、Si、Cu、及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、zは、0<z≦2の範囲を数値を示す)で表される金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li4Ti5O12等)、及び、ポリリン酸化合物のうちの少なくとも1種が挙げられる。
非晶質炭素としては、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)や易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)などが挙げられる。
負極集電基材4aの材質としては、金属以外にも、焼成炭素、導電性高分子等が挙げられる。
負極集電基材4aとしては、例えば、上記金属の金属箔が挙げられる。
また、好ましいセパレータ5としては、ポリオレフィン系基材の表面に、アルミナ等の無機粒子をコートしてなるセパレータ5が挙げられる。
シート状の電極体2が巻回されてケース内に収容される場合、周縁領域Aは、図3に示す活物質層の左右の辺、巻回された活物質層のうち最も内周に位置する辺、及び、最も外周に位置する辺に沿って位置する。
正極3、セパレータ5、負極4をこの順序で複数積み重ねた電極体2がケース内に収容される場合、周縁領域Aは、活物質層の左右の辺と上下の辺とに沿って位置する。
活物質層が炭酸リチウムを含むことにより、LiPF6由来の酸性物質が活物質に含まれる金属化合物の金属を溶出させることを、より効果的に抑制できるという利点がある。
具体的には、正極活物質層3bが炭酸リチウムを含むことにより、LiPF6由来の酸性物質が正極活物質に含まれる金属化合物の金属を溶出させることを、より効果的に抑制できるという利点がある。そして、金属の溶出をより効果的に抑制することにより、蓄電素子を高温で保存した後の容量の低下が、より効果的に抑制されると推測される。
また、高含有部6は、例えば、正極活物質層3bの周縁領域と層厚み方向に向き合う電極体の構成材の少なくとも一部(正極活物質層3bの周縁領域と層厚み方向に向き合う正極集電基材3a、負極集電基材4a、負極活物質層4b、及びセパレータ5それぞれの少なくとも一部)に形成されていてもよい。
即ち、高含有部6の炭酸リチウム含有率は、正極集電基材3a、正極活物質層3b、負極活物質層4b、負極集電基材4a、及びセパレータ5のうちの少なくとも1つの一部分に、高含有部6が形成されることによって、活物質層(通常は、正極活物質層3b)の内側領域Bにおける炭酸リチウム含有率よりも高くなっている。
まず、正極活物質層3bのうち、その端縁から10mm以上内側に位置する領域から、層厚み方向視の面積が1cm2となるように、正極3を切り出す。つぎに、切り出した正極3を、炭酸リチウムを容易に溶解させない溶媒で洗浄した後、真空乾燥させる。真空乾燥させた後、正極活物質層3bに含まれる炭酸リチウムの質量(mg)を測定することによって、正極活物質層3bの内側領域Bの炭酸リチウム含有率(mg/cm2)が決定される。
まず、正極活物質層3bの端部(正極活物質層3bの端縁と、端縁から10mm内側の地点との間の領域)から、層厚み方向視の面積が1cm2となるように、正極3を切り出す。つぎに、切り出した正極3を、炭酸リチウムを容易に溶解させない溶媒で洗浄した後、真空乾燥させる。真空乾燥させた後、正極活物質層3bに含まれる炭酸リチウムの質量(mg)を測定することによって、正極活物質層3bの端部の炭酸リチウム含有率(mg/cm2)が決定される。
まず、正極集電基材3a、負極集電基材4a、負極活物質層4b、及びセパレータ5のうち、正極活物質層3bの端部と層厚み方向に向き合う箇所に配置される部分から、層厚み方向視の面積が1cm2となるように、正極集電基材3a、負極集電基材4a、負極活物質層4b、及びセパレータ5を、それぞれ切り出す。つぎに、切り出した構成材のそれぞれを、炭酸リチウムを容易に溶解させない溶媒で洗浄した後、真空乾燥させる。真空乾燥させた構成材に含まれる炭酸リチウムの質量(mg)を、切り出した構成材ごとに測定することによって、正極活物質層3bの端部と層厚み方向に向き合う電極体の構成材の炭酸リチウム含有率(mg/cm2)が、それぞれ決定される。
電解液は、通常、LiPF6を0.5〜2.0mol/Lの濃度で含む。
具体的には、非水溶媒としては、例えば、環状炭酸エステル類、ラクトン類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、エーテル類、ニトリル類などが挙げられる。
環状炭酸エステル類としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート等が挙げられる。
ラクトン類としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
鎖状カーボネート類としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等が挙げられる。
鎖状エステル類としては、例えば、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等が挙げられる。
エーテル類としては、例えば、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等が挙げられる。
ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
さらに、非水溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン若しくはその誘導体、ジオキソラン若しくはその誘導体、エチレンスルフィド、スルホラン、スルトン若しくはその誘導体等が挙げられる。
非水溶媒としては、上記の単独物、又は、上記の2種以上の混合物等が採用されるが、
これらに限定されるものではない。
他の電解質塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、LiSCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li2B10Cl10等のリチウム塩が挙げられる。
電解質塩としては、上記の単独物、又は2種以上の混合物等が採用されるが、これらに限定されるものではない。
また、蓋体7bには、2つの開口が形成されている。
外部端子10は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料で形成されている。
正極用の外部ガスケット11、集電部9、及び外部端子10は、蓋部の長手方向における一端側にそれぞれ配されている。一方、負極用の外部ガスケット11、集電部9、及び外部端子10は、蓋部の長手方向における他端側にそれぞれ配されている。
ケース7内には、1つの電極体2が収容されていてもよく、複数の電極体が収容されていてもよい。後者の場合には、複数の電極体は、電気的に並列に接続されている。
斯かる状態の非水電解質二次電池1においては、帯状の電極体2における対向する辺に沿って配された高含有部6の少なくとも一部が、余剰電解液8と接している。
余剰電解液8と接触した高含有部6は、余剰電解液8と接触していない電極体2におけるよりも、含浸された電解液の量が多くなっている。従って、余剰電解液8と接触した高含有部6において、活物質を構成する金属化合物と、余剰電解液8中のLiPF6由来の酸性物質とが反応しやすい状態となっている。ところが、高含有部6における炭酸リチウム含有率が、内側領域Bの炭酸リチウム含有率よりも高いため、炭酸リチウム含有率が高い分、LiPF6由来の酸性物質がより確実に中和される。これにより、高含有部6が余剰電解液8と接触していても、LiPF6由来の酸性物質によって活物質の金属が溶出することを抑制することができる。
また、斯かる状態の非水電解質二次電池1においては、余剰電解液8と接触した高含有部6において、LiPF6由来の酸性物質と炭酸リチウムとが反応しても、発生したガスが余剰電解液8へ移動しやすい。即ち、ガスが電極体2内部へ移動しにくい。従って、高含有部6の炭酸リチウム含有率が比較的高くても、発生したガスが電極体2内部に貯まることを抑制できる。
斯かる状態の非水電解質二次電池1においても、帯状の電極体2における対向する辺に沿って配された高含有部6の少なくとも一部が、余剰電解液8と接している。
従って、上述した理由と同様の理由により、正極活物質の金属が溶出することを抑制でき、しかも、発生したガスが電極体2内部に貯まることを抑制できる。
蓄電素子1の製造方法においては、例えば、帯状の電極体2であって、長手方向に沿って互いに対向するように配された2つの高含有部6を含む電極体2が作製される。そして、作製された電極体2と、電解液とが、ケース7内に収容される。電極体2は、例えば、以下に示すようにして作製される。
即ち、正極3の作製においては、例えば、粒子状の正極活物質、導電剤、結着剤、及び増粘剤を、アルコールやトルエン等の有機溶媒と混合し、正極合剤を調製する。次いで、正極合剤をシート状の正極集電基材3aの少なくとも片面側に塗布する。そして、乾燥によって正極合剤から有機溶媒を揮発させることによって、正極集電基材3aの少なくとも片面側に正極活物質層3bが配されてなる正極3を作製する。
正極3の作製において正極活物質、導電剤、結着剤、増粘剤等を混合する方法としては、例えば、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルなどの粉体混合機を用いて混合する方法が採用される。
正極3の作製において集電基材に正極合剤を塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、ダイコーティング等が採用される。
なお、正極活物質としては、例えば、市販されている一般的なものが採用される。
即ち、負極4の作製においては、例えば、粒子状の負極活物質、結着剤、及び増粘剤を有機溶媒と混合して負極合剤を調製した後、負極合剤をシート状の負極集電基材4aの少なくとも片面側に塗布する。そして、乾燥によって、負極合剤から有機溶媒を揮発させることによって、負極集電基材4aの少なくとも片面側に負極活物質層4bが配されてなる負極4を作製する。
2種の正極合剤は、正極集電基材3aに同時に塗布してもよく、別々に塗布してもよい。
帯状のセパレータ5の幅方向の両端部に、炭酸リチウムの粒子を付着させることによって、炭酸リチウムを含むセパレータ5を作製する。次に、斯かるセパレータ5を上記と同様にして正極3及び負極4とともに積層する。このようにして、セパレータ5に含まれた高含有部6を形成することができる。
なお、帯状の負極集電基材4aの幅方向の両端部に、炭酸リチウムの粒子の付着させることによっても、上記と同様にして、負極集電基材4aに含まれた高含有部6を形成することができる。
以上のようにして、蓄電素子としての非水電解質二次電池1を製造することができる。
即ち、一般的な蓄電素子において用いられる種々の形態が、本発明の効果を損ねない範囲において、採用され得る。
本発明の一実施形態の蓄電素子モジュール20は、例えば、上記例示の蓄電素子を複数備える。また、蓄電素子同士を電気的に接続するバスバ部材13を複数備える。
本実施形態の蓄電素子モジュール20においては、例えば、上面視長方形状に形成された複数の蓄電素子1(非水電解質二次電池1)が、上方側から見て、蓄電素子1の短手方向に並ぶように配されている。
また、隣り合う蓄電素子1同士が、互いに接している。
蓄電素子モジュール20においては、互いに隣り合う蓄電素子1同士が、1つのバスバ部材13によって、電気的に接続されている。そして、蓄電素子モジュール20は、モジュールを構成する全ての各蓄電素子1によって、充放電されるように構成されている。
以下に示すようにして、図6に示す蓄電素子(リチウムイオン二次電池)を製造した。
[正極の作製]
LiCoO2:ポリフッ化ビニリデン:アセチレンブラックを、それぞれ90質量%:5質量%:5質量%の割合でN−メチルピロリドン中に混合することにより、正極合剤を調製した。また、炭酸リチウム(Li2CO3):ポリフッ化ビニリデンを、それぞれ50質量%:50質量%の割合でN−メチルピロリドン中に混合することにより、Li2CO3塗布剤を調製した。
そして、正極合剤をアルミニウム合金製の集電箔(短辺90mmの帯状の正極集電基材 厚み15μm)の両面側に、それぞれ10mg/cm2の塗布量となるように矩形シート状に塗布することによって、正極集電基材と正極活物質層とを備えた正極を作製した。
なお、塗布後のそれぞれの正極合剤の端部(正極集電基材の対向する長辺に沿った両端部 正極合剤の端縁から各10mm幅)の表面に、上記のLi2CO3塗布剤をさらに塗布することによって、高含有部(それぞれの正極活物質層においてLi2CO3含有率=0.1mg/cm2)を形成した。
[負極の作製]
グラファイト:ポリフッ化ビニリデンを、それぞれ90質量%:10質量%の割合でN−メチルピロリドン中に混合することにより負極合剤を調製した。負極合剤を銅合金製集電箔(短辺92mmの帯状の負極集電基材 厚み10μm)の両面側に、それぞれ5mg/cm2の塗布量となるよう塗布することによって、負極集電基材と負極活物質層とを備えた負極を作製した。
[電解液の調製]
エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:メチルエチルカーボネートを、それぞれ30質量%:20質量%:50質量%の割合で混合した溶媒に対して、1mol/L濃度となるようにLiPF6を溶解させることで電解液を調製した。
[電池の組み立て]
正極と負極との間にポリエチレン製セパレータを挟んだ状態のものを、巻回することによって電極体を作製した。次に、作製した電極体及び調製した電解液を、アルミニウム合金製のケース(幅120mm、奥行き12.5mm、高さ85mm)に収容し、ケースを
密閉することによって、初期容量5Ahの電池を製造した。
正極の作製において、上記のLi2CO3塗布剤を塗布せず、代わりに、負極の作製において、塗布した負極合剤の一部に、上記のLi2CO3塗布剤を塗布して、負極に高含有部を形成した点以外は、実施例1と同様にして電池を製造した。
Li2CO3の塗布においては、正極活物質層の端部(正極集電基材の対向する長辺に沿った両端部 正極活物質層の端縁から各10mm幅)と対向する部分(負極合剤の一部)にのみ、上記のLi2CO3塗布剤を塗布した。高含有部のLi2CO3含有率は、0.1mg/cm2であった。
正極の作製において、上記のLi2CO3塗布剤を塗布せず、代わりに、セパレータの一部に、上記のLi2CO3塗布剤を塗布して、セパレータに高含有部を形成した点以外は、実施例1と同様にして電池を製造した。
Li2CO3の塗布においては、正極活物質層の端部(正極集電基材の対向する長辺に沿った両端部 正極活物質層の端縁から各10mm幅)と対向する部分(セパレータの一部)にのみ、上記のLi2CO3塗布剤を塗布した。高含有部のLi2CO3含有率は、0.1mg/cm2であった。
正極の作製において、高含有部のLi2CO3含有率が0.02mg/cm2となるように、上記のLi2CO3塗布剤を塗布した点以外は、実施例1と同様にして電池を製造した。
正極の作製において、高含有部のLi2CO3含有率が0.01mg/cm2となるように、上記のLi2CO3塗布剤を塗布した点以外は、実施例1と同様にして電池を製造した。
正極の作製において、高含有部のLi2CO3含有率が0.2mg/cm2となるように、上記のLi2CO3塗布剤を塗布した点以外は、実施例1と同様にして電池を製造した。
正極の作製において、高含有部のLi2CO3含有率が0.3mg/cm2となるように、上記のLi2CO3塗布剤を塗布した点以外は、実施例1と同様にして電池を製造した。
正極の作製において、塗布した正極合剤の全体に、Li2CO3含有率が0.1mg/cm2となるように、均等に上記のLi2CO3塗布剤を塗布した点以外は、実施例1と同様にして、電池を製造した。
正極の作製において、上記のLi2CO3塗布剤を塗布せず、高含有部を形成しなかった点以外は、実施例1と同様にして、電池を製造した。
電池電圧が4.2Vになるように、各実施例、各比較例で製造した電池を充電した後、高温保存条件下(60℃環境下)で1ケ月間放置し、電池容量と交流抵抗とを測定した。[電池容量]
高温保存前の初期電池容量を100%として、高温保存後の電池容量を相対値として算出した。結果を表1に示す。
[交流抵抗」
1kHzの交流抵抗を測定し、高温保存前の初期交流抵抗を100%として、高温保存後の交流抵抗を相対値として算出した。結果を表1に示す。
2:電極体、
3:正極、 3a:正極集電基材、 3b:正極活物質層、
4:負極、 4a:負極集電基材、 4b:負極活物質層、
5:セパレータ、
6:高含有部、
7:ケース、 7a:ケース本体、 7b:蓋体、
8:余剰電解液、
9:集電部、
10:外部端子、
11:外部ガスケット、
13:バスバ部材、
20:蓄電素子モジュール。
Claims (7)
- 電極体と、該電極体に少なくとも一部が含浸された電解液とを備え、
前記電極体は、互いに対向する正極及び負極を構成材として少なくとも有し、且つ、炭酸リチウムを含み、
前記電解液は、少なくともヘキサフルオロリン酸リチウムを含み、
前記正極及び前記負極の少なくとも一方は、金属化合物を含有する活物質層を有し、
前記活物質層は、周縁領域と、該周縁領域よりも内側の内側領域とを有し、
前記電極体は、前記内側領域の炭酸リチウム含有率よりも炭酸リチウム含有率が高い高含有部を含み、
前記高含有部は、前記活物質層の周縁領域の少なくとも一部、又は、前記活物質層の周縁領域と層厚み方向に向き合った前記電極体の構成材の少なくとも一部に形成されている蓄電素子。 - さらに、前記電極体を内部に収容したケースを備え、
前記電解液の一部としての余剰電解液が、前記ケース内に貯留されており、
前記高含有部の少なくとも一部が、前記余剰電解液と接触している請求項1に記載の蓄電素子。 - 前記正極は、前記活物質層としての正極活物質層を有し、
前記高含有部は、前記正極活物質層の周縁領域の少なくとも一部に形成されている請求項1又は2に記載の蓄電素子。 - 前記高含有部の炭酸リチウム含有率は、0.02mg/cm2以上0.2mg/cm2以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
- 前記電極体は、片面側から見たときに矩形状であり、一対の前記高含有部を有し、
前記一対の高含有部は、前記電極体の向かい合う辺に沿ってそれぞれ配されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄電素子。 - 前記活物質層の周縁領域は、周縁から内側に、0を超え10mm以下の幅の領域である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蓄電素子。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の蓄電素子と、
前記蓄電素子に電気的に接続されるバスバ部材と、を備える蓄電素子モジュール。
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