JP2015127140A - 炭素繊維複合積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低線膨張性と良好な表面外観とプレス成形性のバランスに優れる炭素繊維複合積層体を提供する。
【解決手段】少なくとも5層構造を有する炭素繊維複合積層体であって、熱可塑性樹脂100質量部に対し無機フィラーを30質量部以上、200質量部以下含有する熱可塑性樹脂層(A層)と、炭素繊維層(B層)と、熱可塑性樹脂を主成分とし、前記無機フィラーを含有しない熱可塑性樹脂層(C層)を、A層/B層/C層/B層/A層の順に有し、前記B層中の炭素繊維束の最大径が10μm以上、1000μm以下であり、かつ該炭素繊維の平均繊維長が0.1mm以上、5mm未満である、炭素繊維複合積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂と炭素繊維を複合した積層体に関する。
近年、大型の電化製品の筐体や、自動車や鉄道の内装材、外装材など、軽量かつ高強度で、耐熱性にも優れる成形品のニーズが高まっている。特に、こうした成形品は熱に対しての寸法変化の応答性が小さいこと、すなわち低線膨張性の材料であることが求められている。そのような背景を踏まえて、熱可塑性樹脂と無機繊維を複合した低線膨張性の材料が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2010−254276号公報)には、炭素繊維を含有する炭素繊維強化層と、熱可塑性樹脂層とを有し、特定の線膨張係数を有する自動車外装用の積層体が開示されており、熱可塑性樹脂層がポリオレフィン系樹脂であることや、添加剤として充填剤である各種無機フィラーを含んでも良いこと等が記載されている。
また、特許文献2(特開2008−45040号公報)には、メイン層が熱可塑性樹脂(A)と、ガラス繊維とガラス繊維以外の少なくとも1種の充填剤とからなる充填剤(B)からなり、該メイン層が充填剤(B)を特定の割合で含有し、特定の線膨張係数とシャルピー衝撃強さを有する、単層又は複層の低線膨張押出シートが開示されている。
また、特許文献3(特開2007−169561号公報)には、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)エラストマー、(C)タルク、及び(D)繊維径が100nm以下の微細炭素繊維を所定の割合で含み、成形体中の(D)成分の平均繊維長が2.5μm以上であることを特徴とする成形体が開示されている。
特開2010−254276号公報 特開2008−45040号公報 特開2007−169561号公報
特許文献1に開示されている積層体では、1層の炭素繊維強化層で低線膨張性を発現しようと試みるとともに、全体の反りを改良するためにさらに、公知のフィラーや強化繊維を含有する熱可塑性樹脂層を設けても良いとしている。しかしこの構成では、積層体を熱成形や真空成形などにより二次加工する際の成形性(プレス成形性)が十分ではないうえ、積層体自体の軽量化の観点からも十分ではない。また、使用する炭素繊維によっては積層体の表面の凹凸による外観不良が生じるおそれがあることについて何ら考慮されておらず、積層体の外観についても改良の余地がある。
特許文献2に開示されているシートは、メイン層に相当多量のガラス繊維や充填剤を含有しているため、低線膨張性は有するものの、二次加工する際のプレス成形性、特に絞り型への追従性が十分ではなく、成形性と低線膨張性の両立ができていない。
特許文献3に開示されている成形体は、二次加工する際のプレス成形性には優れる一方で、炭素繊維が微細過ぎることから低線膨張性は十分ではなく、成形性と低線膨張性の両立ができていない。
すなわち、従来の技術においては、低線膨張性と良好な表面外観とプレス成形時の絞り型等への追従性のバランスが取れた積層体を得ることはできていなかった。
本発明は上記従来の問題点を解決し、低線膨張性と良好な表面外観とプレス成形性のバランスに優れた炭素繊維複合積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題に鑑みて鋭意検討した結果、特定の炭素繊維複合積層体が、低線膨張性と良好な表面外観とプレス成形性のバランスに優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1] 少なくとも5層構造を有する炭素繊維複合積層体であって、熱可塑性樹脂100質量部に対し無機フィラーを30質量部以上、200質量部以下含有する熱可塑性樹脂層(A層)と、炭素繊維層(B層)と、熱可塑性樹脂を主成分とし、前記無機フィラーを含有しない熱可塑性樹脂層(C層)を、A層/B層/C層/B層/A層の順に有し、
前記B層中の炭素繊維束の最大径が10μm以上、1000μm以下であり、かつ該炭素繊維の平均繊維長が0.1mm以上、5mm未満である、炭素繊維複合積層体。
[2] 前記A層及び前記C層に用いる熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、[1]に記載の炭素繊維複合積層体。
[3] 前記A層に用いる無機フィラーが、アスペクト比が20以上、500以下の板状粒子である、[1]又は[2]に記載の炭素繊維複合積層体。
[4] 前記B層が、炭素繊維材料として炭素繊維マット、又は、炭素繊維ペーパーを用いてなる層である、[1]〜[3]のいずれかに記載の炭素繊維複合積層体。
[5] 同一温度かつ同一荷重における、前記A層の熱可塑性樹脂のメルトマスフローレートR(g/10min)と、前記C層の熱可塑性樹脂のメルトマスフローレートR(g/10min)が、R≧Rの関係を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の炭素繊維複合積層体。
[6] 前記A層表面の最大断面高さ(Rt)が3μm以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の炭素繊維複合積層体。
本発明によれば、低線膨張性と良好な表面外観とプレス成形性のバランスに優れ、大型の電化製品の筐体や、自動車や鉄道の内装材、外装材などに好適な、炭素繊維複合積層体を提供することができる。
〔熱可塑性樹脂層(A層)〕
本発明の炭素繊維複合積層体(以下「本積層体」という)を構成する熱可塑性樹脂層(A層)は、熱可塑性樹脂100質量部に対し無機フィラーを30質量部以上、200質量部以下含有する層であり、かつ、本積層体の実質的な表裏層として存在する。
[熱可塑性樹脂]
A層に用いることができる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。これらの樹脂は1種単独で使用しても良く、2種以上を混合して用いても構わない。
例えば、ポリオレフィン系樹脂を用いることで、本積層体が成形性に優れると共に、耐衝撃性にも特に優れる。また、ポリカーボネート系樹脂やポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂を使用することで、本積層体が成形性に優れると共に、耐熱性にも特に優れる。
<ポリオレフィン系樹脂>
A層に用いることができるポリオレフィン系樹脂としては特に限定されるものではなく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンを重合した単独重合体または共重合体が挙げられる。また、これらの単独重合体または共重合体を2種以上混合することもできる。この中でもポリプロピレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂を用いることが好ましく、特に、軽量性の観点から、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
(ポリプロピレン系樹脂)
A層に用いるポリプロピレン系樹脂とは、構成するモノマーのうちプロピレンが50モル%を超え、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上の樹脂であり、具体的には、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンの1種又は2種以上とのランダム共重合体やブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、剛性・耐熱性の観点から、ホモポリプロピレンがより好適に用いられる。
また、前記ポリプロピレン系樹脂は、その分子構造の一部が酸やアルカリで変性されたものを用いても構わない。具体的には、マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂や、アミン変性ポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。
また、ポリプロピレン系樹脂としては、立体規則性を示すアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が80〜99%であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂のアイソタクチックペンタッド分率は、より好ましくは83〜98%、さらに好ましくは85〜97%である。アイソタクチックペンタッド分率が係る範囲にあれば、本積層体の強度が低下するおそれが小さい。なお、アイソタクチックペンタッド分率の上限については現時点において工業的に得られる上限値で規定しているが、将来的に工業レベルでさらに規則性の高い樹脂が開発された場合についてはこの限りではない。
アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al(Macromolecules8,687,(1975))に準拠する。
A層に用いるポリプロピレン系樹脂のメルトマスフローレートRは、JIS K7210(1999年)に従い、温度230℃、荷重2.16kgfの条件で測定され、0.1g/10min以上、60g/10min以下であることが好ましく、0.1g/10min以上、30g/10min以下であることがさらに好ましく、0.1g/10min以上、20g/10min以下であることが特に好ましい。Rが0.1g/10分以上であることで、本積層体のプレス成形時の型への追従性が容易となる。一方、60g/10min以下であることで、本積層体のプレス成形時に、加圧によって成形型より流れ出るおそれがなく、炭素繊維やフィラー間への樹脂含浸が容易となる。
A層に用いるポリプロピレン系樹脂の分子量分布を示すパラメータであるMw/Mnは、JIS K7252−1(2008年)に準じてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定され、1.5以上、10以下であることが好ましく、1.5以上、8以下であることがさらに好ましく、1.5以上、6以下であることが特に好ましい。Mw/Mnが小さいほど分子量分布が狭いことを意味し、Mw/Mnが1.5以上であることで、本積層体のプレス成形時の型への追従性が容易となる。一方、Mw/Mnが10以下であることで、本積層体の各種機械物性を満足させることができる。
A層に用いるポリプロピレン系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶融重合法、塊状重合法、気相重合法、またラジカル開始剤を用いた塊状重合法などが挙げられる。
(ポリエチレン系樹脂)
A層に用いるポリエチレン系樹脂とは、構成するモノマーのうちエチレンが50モル%を超え、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上の樹脂であり、具体的には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及びエチレンを主成分とする共重合体、すなわち、エチレンと、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などのα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル、共役ジエンや非共役ジエンのような不飽和化合物の中から選ばれる1種または2種以上のコモノマーとの共重合体または多元共重合体あるいはその混合組成物が挙げられる。
これらのポリエチレン系樹脂の中でも、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンの中から選ばれる少なくとも1種のポリエチレン系樹脂が好ましく、本積層体の強度や耐熱性が向上する観点から高密度ポリエチレンがさらに好ましい。
A層に用いるポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレートRは、JIS K7210(1999年)に従い、温度190℃、荷重2.16kgfの条件で測定され、0.05g/10min以上、30g/10min以下であることが好ましく、0.1g/10min以上、20g/10min以下であることがさらに好ましく、1g/10min以上、20g/10min以下であることが特に好ましい。Rが0.05g/10分以上であることで、本積層体のプレス成形時の型への追従性が容易となる。一方、30g/10min以下であることで、本積層体のプレス成形時に、加圧によって成形型より流れ出るおそれがなく、炭素繊維やフィラー間への樹脂含浸が容易となる。
A層に用いるポリエチレン系樹脂の密度は、JIS K7112(1999年)に準じて密度勾配管法を用いて測定することができ、0.910〜0.970g/cmであることが好ましく、0.930〜0.970g/cmであることがより好ましく、0.940〜0.970g/cmであることがさらに好ましい。密度が0.910g/cm以上であれば、本積層体が各種機械物性を満足する。一方、0.970g/cm以下であれば、本積層体が軽量性を維持できる。
A層に用いるポリエチレン系樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた重合方法が挙げられる。ポリエチレン系樹脂の重合方法として、一段重合、二段重合、もしくはそれ以上の多段重合等があり、いずれの方法も使用可能である。
<ポリカーボネート系樹脂>
A層に用いるポリカーボネート系樹脂は、ホモポリマー及びコポリマーのいずれであってもよい。また、ポリカーボネート系樹脂は、分岐構造であっても、直鎖構造であってもよいし、さらに分岐構造と直鎖構造との混合物であってもよい。また、複数のポリカーボネート系樹脂を混合して用いても良い。
なお、いわゆるポリエステルカーボネート樹脂(分子鎖中にエステル結合とカーボネート結合を両方有する樹脂)も、ポリカーボネート系樹脂に含む。
A層に用いるポリカーボネート系樹脂を構成する2価アルコール(ジオール)の代表例としてはビスフェノール類が挙げられ、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAが好ましく用いられる。
なお、ビスフェノールA以外のジオールを単独で使用したり、複数のジオールを併用したポリカーボネート系樹脂でも良く、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、脂環式ジオールのいずれでも構わない。
A層に用いるポリカーボネート系樹脂のメルトマスフローレートRは、JIS K7210(1999年)に従い、温度300℃、荷重1.2kgfの条件で測定され、1g/10min以上、40g/10min以下であることが好ましく、2g/10min以上、35g/10min以下であることがさらに好ましく、3g/10min以上、30g/10min以下であることが特に好ましい。Rが1g/10分以上であることで、本積層体のプレス成形時の型への追従性が容易となる。一方、40g/10min以下であることで、本積層体のプレス成形時に、加圧によって成形型より流れ出るおそれがなく、炭素繊維やフィラー間への樹脂含浸が容易となる。
A層に用いるポリカーボネート系樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の重合方法、例えば、ホスゲン法、エステル交換法、ピリジン法等が挙げられる。
<ポリアミド系樹脂>
A層に用いるポリアミド系樹脂としては、脂肪族ポリアミドが好ましく、ωアミノ酸の開環単独重合で得られるもの、異なるωアミノ酸の開環共重合で得られるもの、及びジアミンとジカルボン酸の共重合で得られるもののいずれでも良い。なお、芳香族ポリアミドや、芳香族−脂肪族ポリアミドを用いることもできる。
A層に用いるポリアミド系樹脂のメルトマスフローレートRは、脂肪族ポリアミドの場合、JIS K7210(1999年)に従い、温度230℃、荷重 2.16kgfの条件で測定され、0.1g/10min以上、60g/10min以下であることが好ましく、0.5g/10min以上、30g/10min以下であることがさらに好ましく、1g/10min以上、20g/10min以下であることが特に好ましい。Rが0.1g/10分以上であることで、本積層体のプレス成形時の型への追従性が容易となる。一方、60g/10min以下であることで、本積層体のプレス成形時に、加圧によって成形型より流れ出るおそれがなく、炭素繊維やフィラー間への樹脂含浸が容易となる。
A層に用いるポリアミド系樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の重合方法を採用することができる。
<ポリエステル系樹脂>
A層に用いることができるポリエステル系樹脂としては、耐熱性や成形性の観点から芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどが挙げられる。
A層に用いるポリエステル系樹脂のメルトマスフローレートRは、JIS K7210(1999年)に従い、温度230℃、荷重 2.16kgfの条件で測定され、0.1g/10min以上、60g/10min以下であることが好ましく、0.5g/10min以上、30g/10min以下であることがさらに好ましく、1g/10min以上、20g/10min以下であることが特に好ましい。Rが0.1g/10分以上であることで、本積層体のプレス成形時の型への追従性が容易となる。一方、60g/10min以下であることで、本積層体のプレス成形時に、加圧によって成形型より流れ出るおそれがなく、炭素繊維やフィラー間への樹脂含浸が容易となる。
A層に用いるポリエステル系樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の重合方法を採用することができる。
[無機フィラー]
本積層体のA層は、熱可塑性樹脂100質量部に対し無機フィラーを30質量部以上、200質量部以下含有する。
無機フィラーの含有割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し30質量部以上、160質量部以下であることが好ましく、30質量部以上、120質量部以下であることが特に好ましい。
無機フィラーを熱可塑性樹脂100質量部に対し30質量部以上含有することにより、本積層体について低線膨張性の向上に資する。また、無機フィラーを熱可塑性樹脂100質量部に対し200質量部以下含有することにより、本積層体の成形性の向上に資する。
A層に用いる無機フィラーの種類としては、具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウムなどの金属硫酸塩、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、酸化チタンなどの金属酸化物、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化銀、塩化カルシウムなどの金属塩化物、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイトなどの粘土鉱物が挙げられる。
これらの中でも、低線膨張性とコストの観点から、タルク又はマイカを用いることが好ましく、マイカが特に好ましい。
A層に用いる無機フィラーの平均粒径は、1μm以上、500μm以下であることが好ましく、5μm以上、300μm以下であることがさらに好ましく、5μm以上、100μm以下であることが特に好ましい。
無機フィラーの平均粒径が1μm以上であれば、本積層体について低線膨張性の向上に資する。また、平均粒径が500μm以下であれば、本積層体の表面外観の向上に資する。
なお、本発明において「無機フィラーの平均粒径」とは、例えば、画像解析装置を用いて、当該フィラーをある方向から投影した場合の二次元的な投影像の短径と長径を平均した値を異なる10方向からの投影像について算出した後に、その最大値と最小値をさらに平均した値として算出することができる。
A層に用いる無機フィラーは、アスペクト比(長径/短径の値)が比較的大きい、いわゆる板状粒子であることが好ましい。具体的には、アスペクト比が20以上、500以下であることが好ましく、20以上、300以下であることがさらに好ましく、20以上、100以下であることが特に好ましい。
無機フィラーのアスペクト比が20以上であれば、本積層体が低線膨張性に優れる。一方、無機フィラーのアスペクト比が500以下であれば、本積層体が表面外観に優れる。
無機フィラーのアスペクト比は、例えば、画像解析装置を用いて、当該フィラーをある方向から投影した場合の二次元的な投影像の短径と長径の比(長径/短径)を、異なる10方向からの投影像について算出し、平均した値として算出することができる。
A層に用いる無機フィラーは、表面処理されたものであっても構わない。表面処理方法としては特に限定されることなく、例えば一般的なシランカップリング剤等の表面処理剤を用いる方法が挙げられる。無機フィラーを表面処理することによって、前記熱可塑性樹脂中における無機フィラーの分散性の向上や、A層からの無機フィラーの脱落防止といった効果が得られる。
これらの無機フィラーは、1種のみを用いてもよく、材質、粒径やアスペクト比、表面処理の有無、表面処理剤の種類等の異なるものを2種以上組み合わせて用いてもよい。
[他の成分]
本積層体が難燃性を要求されるものである場合、A層にはさらに難燃剤を含有することができる。A層に用いる難燃剤としては特に限定されず、各種縮合リン酸エステルなどのリン系難燃剤、メラミンなどの窒素系難燃剤、ホスファゼンなどのリン・窒素系難燃剤、臭素化芳香族化合物などの臭素系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン系難燃剤といった、公知の難燃剤の1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
A層に難燃剤を含有する場合の含有割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、20質量部以上、60質量部以下であることが好ましく、25質量部以上、60質量部以下であることがさらに好ましく、30質量部以上、60質量部以下であることが特に好ましい。
難燃剤を熱可塑性樹脂100質量部に対し20質量部以上含有することにより、本積層体が優れた難燃性を発現することができ。一方、難燃剤を熱可塑性樹脂100質量部に対し60質量部以下含有することにより、本積層体が各種機械物性を満足する。
A層には前述した成分のほか、本発明の特徴や効果を阻害しない範囲内で、他の熱可塑性樹脂や一般に樹脂組成物に配合される添加剤を適宜含有してもよい。添加剤の具体例としては、カーボンブラック等の顔料、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤または着色剤などが挙げられる。
[A層の作製方法]
本積層体は後述する通り、A層を構成する熱可塑性樹脂シートと、B層を構成する炭素繊維材料と、C層を構成する熱可塑性樹脂シートを各々作製し、これを積層することで得られる。
A層を構成する熱可塑性樹脂シートの作製方法としては特に限定されず、Tダイキャスト法、カレンダー法、プレス法など、公知の溶融製膜方法を採用することができる。
より具体的には、前記熱可塑性樹脂と、前記無機フィラーと、必要に応じて難燃剤を含めた他の成分を、直接混合して溶融製膜する方法や、前記熱可塑性樹脂と、前記無機フィラーと、必要に応じて難燃剤を含めた他の成分を、あらかじめ溶融混練して混合物のペレットを作製し、これを用いて熱可塑性樹脂シートを溶融製膜する方法を挙げることができる。
[A層の厚み]
本積層体を製造する前における、A層を構成する熱可塑性樹脂シートの厚みは特に限定されないが、0.5mm以上、2mm以下であることが好ましく、0.5mm以上、1.5mm以下であることがさらに好ましく、0.5mm以上、1mm以下であることが特に好ましい。A層を構成する熱可塑性樹脂シートの厚みが0.5mm以上であれば、プレス成形後の製品表面にB層の炭素繊維層が露出するなどの表面外観の悪化を抑制できる。また、A層を構成する熱可塑性樹脂シートの厚みが2mm以下であれば、軽量性を維持できる。
また、本積層体におけるA層の厚みは特に限定されないが、0.5mm以上、2mm以下であることが好ましく、0.5mm以上、1.5mm以下であることがさらに好ましく、0.5mm以上、1mm以下であることが特に好ましい。
A層の厚みが0.5mm以上であれば、プレス成形後の製品表面にB層の炭素繊維層が露出するなどの表面外観の悪化を抑制できる。また、A層の厚みが2mm以下であれば、軽量性を維持できる。
〔炭素繊維層(B層)〕
本積層体を構成する炭素繊維層(B層)は、炭素繊維材料を主とする層である。炭素繊維層を有することによって、本積層体について優れた低線膨張性を実現できる。
B層に用いる炭素繊維の種類としては、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維のいずれでも良く、これらを組み合わせて用いても良いが、低線膨張性の観点からピッチ系炭素繊維が好ましい。また、ピッチ系炭素繊維としては、メソフェーズピッチ系炭素繊維と、等方性ピッチ系炭素繊維のいずれでも良いが、本積層体の強度や低線膨張性を向上する観点から、メソフェーズピッチ系炭素繊維がさらに好ましい。
B層に用いる炭素繊維材料としては、炭素繊維マット、又は、炭素繊維ペーパーが好ましい。「炭素繊維マット」と「炭素繊維ペーパー」はいずれも炭素繊維束を開繊・分散し、湿式法や乾式法で成形・抄紙して平膜状とした材料である。
前記のいずれの炭素繊維材料についても、炭素繊維同士が容易に解離しないようにバインダー樹脂を含有することが好ましく、炭素繊維にバインダー樹脂を含浸させた所謂プリプレグなどであっても構わない。一般に「炭素繊維マット」は、バインダー樹脂の含有量や厚みの点において「炭素繊維ペーパー」と区別される。通常、炭素繊維マットは炭素繊維ペーパーに比べ、バインダー樹脂の含有量が多く、厚みが厚い。
前記バインダー樹脂としては特に限定されることなく、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、結晶性ポリアミド樹脂等の結晶性熱可塑性樹脂;芳香族ビニル化合物系樹脂(ポリスチレン系エラストマー)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、非晶性ポリアミド樹脂等非晶性熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等のポリエステル樹脂;エポキシ樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。また、これらの共重合体及び変性体等であってもよく、これらを2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記炭素繊維材料にバインダー樹脂を含有する場合の含有量は、炭素繊維100質量部に対して、1質量部以上、90質量部以下であることが好ましく、5質量部以上、80質量部以下であることがさらに好ましく、10質量部以上、70質量部以下であることが特に好ましい。
係る範囲でバインダー樹脂を含有することにより、前記炭素繊維を安定して炭素繊維マットや、炭素繊維ペーパーなどの炭素繊維材料に成形することができる。
中でも、本積層体に用いる炭素繊維材料としては、樹脂含浸性や低線膨張性、コストの観点より、抄紙する時に繊維の開繊を進めることができ、炭素繊維量を高く維持できる炭素繊維ペーパーが特に好ましい。
炭素繊維ペーパーは、通常乾式抄紙法と湿式抄紙法のいずれかで製造されるが、繊維の開繊がより良好となる観点から湿式抄紙法で製造されたものを用いることが好ましい。
また、炭素繊維ペーパーは低線膨張性の観点より、坪量(炭素繊維量)の多いものが好ましいが、ペーパー自体の生産性とコストとのバランスを考慮して、好ましくは20〜100g/m、さらに好ましくは30〜100g/m、特に好ましくは40〜100g/mの坪量のものを用いることができる。
本積層体においては、B層中の炭素繊維束の最大径は10μm以上、1000μm以下である。B層中の炭素繊維束の最大径は、10μm以上、950μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上、900μm以下であることが特に好ましい。
通常、炭素繊維1本の平均繊維径は7〜10μmであるが、これらは静電密着や収束剤等で凝集して炭素繊維束となっている。このような炭素繊維束について、本積層体においては最大径を10μm以上、1000μm以下に制御することにより、本積層体の低線膨張性と良好な表面外観とプレス成形性のバランスを維持することができる。
なお、炭素繊維束の最大径は後述する実施例に記載の方法で測定・評価できる。
また、本積層体においては、B層中の炭素繊維の平均繊維長が0.1mm以上、5mm未満である。B層中の炭素繊維の平均繊維長は、0.1mm以上、4.5mm以下であることがさらに好ましく、0.1mm以上、4.0mm以下であることが特に好ましい。
炭素繊維の平均繊維長を0.1mm以上、5mm未満に制御することにより、本積層体の低線膨張性と良好な表面外観とプレス成形性のバランスを維持することができる。
なお、炭素繊維の平均繊維長は後述する実施例に記載の方法で測定・評価できる。
本積層体においてB層中の炭素繊維束の最大径や炭素繊維の平均繊維長を上記範囲とするための好ましい方法としては、例えば前記炭素繊維材料を作製する際に十分に開繊を行う方法が挙げられる。具体的には、炭素繊維ペーパーを湿式抄紙法により作製する場合に、開繊に使用する離解機の回転数を制御する等の方法が挙げられる。乾式抄紙法で作製する場合や、炭素繊維ペーパー以外の炭素繊維材料についても、それぞれ開繊条件などを制御して開繊を行えば良い。
炭素繊維束の最大径と炭素繊維の平均繊維長は背反特性であり、開繊を過剰に施すと、炭素繊維束の最大径は小さくなるが平均繊維長が短くなり過ぎて低線膨張性が十分に発現しない。一方、開繊が不十分だと炭素繊維束の最大径が大きくなり、積層体が外観不良となったり、プレス成形性が十分でなかったりするおそれがある。本積層体は炭素繊維束の最大径と炭素繊維の平均繊維長を上記範囲に制御することで、低線膨張性と良好な表面外観とプレス成形性のバランスを維持することができる。
B層に用いる炭素繊維材料における炭素繊維束の最大径や炭素繊維の平均繊維長の好ましい範囲については、前記のB層中における炭素繊維束の最大径や炭素繊維の平均繊維長の範囲と同様である。
本積層体におけるB層の厚みは特に限定されないが、0.1mm以上、0.3mm以下であることが好ましく、0.1mm以上、0.25mm以下であることがさらに好ましく、0.1mm以上、0.2mm以下であることが特に好ましい。
B層の厚みが0.1mm以上であれば、本積層体が優れた低線膨張性を発揮できる。また、B層の厚みが0.3mm以下であれば、本積層体の表面凹凸が少なく、表面外観に優れる。
なお、B層に用いる炭素繊維材料は種類によって空隙率が異なるためその厚みは多様であり、従って本積層体に設けた時の好適な厚みが上記範囲になるような厚みのものが好ましい。
〔熱可塑性樹脂層(C層)〕
本積層体を構成する熱可塑性樹脂層(C層)は、熱可塑性樹脂を主成分とし、前記無機フィラーを含有しない層であり、実質的に本積層体の中心層となる。
ここで「主成分」とは、C層において熱可塑性樹脂が50質量%を超え、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上(100質量%を含む)を占める趣旨である。
また、「無機フィラーを含有しない」とは前記無機フィラーを積極的には配合添加しないが、本積層体の特徴や効果に影響のない程度のごくわずかな量を含有することを許容する趣旨である。
C層が熱可塑性樹脂を主成分とし、前記無機フィラーを含有しないことにより、本積層体について良好な低線膨張性やプレス成形性を維持しながら、軽量化かつ低コスト化を実現できる。
[熱可塑性樹脂]
C層に用いる熱可塑性樹脂の好ましい種類については、A層で用いるものと同様である。中でもA層と同一種類の材料(例えばA層がポリプロピレン系樹脂であればC層もポリプロピレン系樹脂)であることが、本積層体の層間接着性を向上する観点から好ましい。
本積層体においては、同一温度かつ同一荷重における、前記A層の熱可塑性樹脂のメルトマスフローレートR(g/10min)と、C層の熱可塑性樹脂のメルトマスフローレートR(g/10min)が、R≧Rの関係を有することが好ましい。
本積層体を作製する際にはA層とC層の流動特性が近い方が好ましいが、A層は無機フィラーを含有することから、その流動特性は熱可塑性樹脂のみの場合と比較してメルトマスフローレートが小さくなる傾向にある。従って、A層の熱可塑性樹脂自体のRはR以上であることが好ましい。
ただし、RがRに対して過度に大きいと、A層の熱可塑性樹脂が無機フィラーを含有していても、A層とC層の流動特性のバランスが悪くなるため、10×R≧R≧Rであることが好ましい。
C層に用いる熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合や、ポリエチレン系樹脂、その他の熱可塑性樹脂である場合のメルトマスフローレートR(g/10min)についての好ましい範囲も、前記A層に用いる熱可塑性樹脂のメルトマスフローレートR(g/10min)の好ましい範囲と同様であり、なおかつ、同一温度・同一荷重において上記のR≧Rの関係を有することが好ましい。
[その他の成分]
C層には、本発明の特徴や効果を阻害しない範囲内で、他の熱可塑性樹脂や一般に樹脂組成物に配合される添加剤を適宜含有してもよい。但し、前記無機フィラーに該当するものについては含有しない。
添加剤の具体例としては、難燃剤、カーボンブラック等の顔料、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤または着色剤などが挙げられる。
[C層の作製方法]
C層を構成する熱可塑性樹脂シートの作製方法としては、A層を構成する熱可塑性樹脂シートと同様、特に限定されず、Tダイキャスト法、カレンダー法、プレス法など、公知の溶融製膜方法を採用することができる。
[C層の厚み]
本積層体を製造する前における、C層を構成する熱可塑性樹脂シートの厚みは特に限定されないが、0.5mm以上、2mm以下であることが好ましく、1mm以上、2mm以下であることがさらに好ましく、1mm以上、1.5mm以下であることが特に好ましい。C層を構成する熱可塑性樹脂シートの厚みが0.5mm以上であれば、本積層体がプレス成形性に優れる。また、C層を構成する熱可塑性樹脂シートの厚みが2mm以下であれば、本積層体が低線膨張性に優れる。
また、本積層体におけるC層の厚みは特に限定されないが、0.5mm以上、2mm以下であることが好ましく、1mm以上、2mm以下であることがさらに好ましく、1mm以上、1.5mm以下であることが特に好ましい。
C層の厚みが0.5mm以上であれば、本積層体がプレス成形性に優れる。また、C層の厚みが2mm以下であれば、本積層体が低線膨張性に優れる。
〔その他の層〕
本積層体は、前記A〜C層以外に、本発明の特徴や効果を阻害しない範囲内で、他の層を設けても良い。
具体的には、本積層体はA層/B層/C層/B層/A層の構成であれば良いが、例えばA層のさらに外側に、印刷層などの意匠性を有する層や、防汚層などの表面保護層を設けることもできる。また、A層とB層の層間やB層とC層の層間に、必要に応じて接着層などを設けることもできる。
〔本積層体の製造方法〕
本積層体は、前記の通り、A層を構成する熱可塑性樹脂シートと、B層を構成する炭素繊維材料と、C層を構成する熱可塑性樹脂シートを各々作製し、これを積層することで得られる。
より具体的には例えば、前記A層及び前記C層に用いる熱可塑性樹脂シートを作製する工程と、炭素繊維束を開繊して前記B層に用いる炭素繊維材料を作製する工程と、該熱可塑性樹脂シート及び該炭素繊維材料を、A層/B層/C層/B層/A層の構成となるように積層し、A層及びC層に用いた熱可塑性樹脂に応じて、適当な温度及び圧力条件でプレス成形する工程を含む製造方法によって、本積層体を得ることができる。
上記の製造方法は、いわゆるバッチ法でも良く、前記A層及び前記C層に用いる熱可塑性樹脂シートを作製しつつ、前記B層に用いる炭素繊維材料を供給して、これらを連続的に積層しながらプレス成形する、連続プレス法でも良い。
例えば、A層及びC層に用いた熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合、プレス成形温度としては、180〜230℃が好ましく、180〜220℃の範囲がさらに好ましく、190〜210℃の範囲が特に好ましい。また、プレス圧力としては0.5〜4.0MPaが好ましく、0.5〜3.0MPaの範囲がさらに好ましく、1〜3MPaの範囲が特に好ましい。
また、A層及びC層に用いた熱可塑性樹脂がポリカーボネート系樹脂である場合、プレス成形温度としては、230〜280℃が好ましく、240〜280℃の範囲がさらに好ましく、250〜280℃の範囲が特に好ましい。また、プレス圧力としては0.5〜4.0MPaが好ましく、0.5〜3.0MPaの範囲がさらに好ましく、1〜3MPaの範囲が特に好ましい。
係る範囲においてプレス成形することにより、低線膨張性と良好な表面外観のバランスに優れた積層体を作製することができる。
〔本積層体の物性等〕
本積層体において、前記A層表面の最大断面高さ(Rt)はJIS B0601(2013年)に準じて測定され、3μm以下であることが好ましく、2.5μm以下であることがさらに好ましく、2μm以下であることが特に好ましい。
前記A層表面の最大断面高さ(Rt)が3μm以下であれば、本積層体が特に良好な表面外観を有するものとなる。A層表面の最大断面高さ(Rt)は小さい程好ましく、その下限は特に規定されない。
前記A層表面の最大断面高さ(Rt)を係る範囲とする方法としては、例えば前記A層中の無機フィラーの含有割合や、前記B層中の炭素繊維束の最大径を本発明において特定する範囲で調整する方法が挙げられる。
また、本積層体の厚みは特に限定されないが、1.7mm以上、5mm以下であることが好ましく、1.7mm以上、4mm以下であることがさらに好ましく、1.7mm以上、3mm以下であることが特に好ましい。
本積層体の厚みが1.7mm以上であれば、本積層体や、本積層体をプレス成形した製品が表面外観に優れる。また、本積層体の厚みが5mm以下であれば、本積層体が低線膨張性に優れる。
また、本積層体は低線膨張性に優れるものであり、JIS K7197(2012年)に準じて測定した線膨張係数は、5×10−5/℃以下であることが好ましく、1×10−5/℃以下であることがさらに好ましい。
なお、本積層体に含まれる2つのA層、即ち、一方の表面側のA層と、他方の表面側のA層とは、必ずしも同一の熱可塑性樹脂及び無機フィラーを同配合で用いた同一厚みのものである必要はなく、熱可塑性樹脂及び無機フィラーの種類や、無機フィラーの含有割合、その他の成分の含有割合等が異なるものであってよく、また、厚みが異なるものであってもよい。同様に、本積層体に含まれる2つのB層についても、炭素繊維材料の種類や炭素繊維束の最大径、炭素繊維の平均繊維長、坪量、厚みなどが異なっていてもよい。ただし、本積層体の厚み方向の物性の均一性や、反りの問題、製造の容易さ等において、本積層体中の2つのA層、2つのB層は、それぞれ同一材料で構成された同一物性ないし厚みのものであることが好ましい。
以下、本発明をより具体的に説明するための実施例を示すが、本発明は実施例に示される具体的態様に限定されるものではない。
[測定・評価]
実施例及び比較例における測定・評価は以下の方法・基準で行った。
(1)メルトマスフローレート
JIS K7210(1999年)に従い、熱可塑性樹脂のメルトマスフローレートを測定した。
(2)Mw/Mn
JIS K7252−1(2008年)に準じてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって、熱可塑性樹脂のMw/Mnを測定した。
(3)B層中の炭素繊維束の最大径
作製した積層体の厚み方向の断面を、光学顕微鏡を用いて観察した。B層について高さ500μm×幅2mmの視野を任意に50箇所観察し、全視野中に存在する炭素繊維束の最大径をB層中の炭素繊維束の最大径とした。
(4)B層中の炭素繊維の平均繊維長
作製した積層体の厚み方向の断面を、光学顕微鏡を用いて観察した。B層について高さ500μm×幅2mmの視野を任意に50箇所観察し、全視野中に存在する炭素繊維の長さを1本ずつ測り、この総和の平均をB層中の炭素繊維の平均繊維長とした。
(5)低線膨張性
日立ハイテクサイエンス社製TMA測定装置7100を用い、JIS K7197(2012年)に準じて、作製した積層体について20℃から150℃までの線膨張率を測定し、線膨張係数を算出し、以下の基準で評価した。
◎:線膨張係数が1×10−5/℃以下
○:線膨張係数が1×10−5/℃より大きく5×10−5/℃以下
×:線膨張係数が5×10−5/℃より大きい
(6)表面外観(A層の最大断面高さ(Rt))
(株)小坂研究所製三次元粗さ計を用い、JIS B0601(2013年)に準じて、作製した積層体のA層表面の最大断面高さ(Rt)を測定し、以下の基準で評価した。
○:最大断面高さが3μm以下
×:最大断面高さが3μmより大きい。
(7)プレス成形性
作製した積層体について、凹凸形状高さが10mmの段差のある賦形型を用いて、A層及びC層に用いた熱可塑性樹脂がPP樹脂の場合は、温度=200℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件で、A層及びC層に用いた熱可塑性樹脂がPC樹脂の場合は、温度=260℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件で、それぞれ、プレス成形を行い、A層表面を目視で観察して、以下の基準で評価した。
○:A層表面に炭素繊維が露出せず、かつ、割れが生じていない状態
×:A層表面に炭素繊維が露出している状態、又は、賦形型の絞りに積層体が追従できず割れが生じている状態。
[使用材料]
実施例及び比較例で用いた材料は以下の通りである。
ポリプロピレン(PP)樹脂:ノバテックPP EA9(日本ポリプロ(株)製 ホモポリプロピレン、メルトマスフローレート(温度=230℃、荷重=2.16kgf)=0.5g/10min、Mw/Mn=5)
ポリカーボネート(PC)樹脂:カリバー301−30(住化スタイロン(株)製 ビスフェノール−A系ホモポリカーボネート、メルトマスフローレート(温度=300℃、荷重=1.2kgf)=30g/10min)
無機フィラー(マイカ):白雲母W400((株)キララ製、平均粒径=18μm、アスペクト比=35の板状粒子)
難燃剤:ファイアカットP−1590((株)鈴裕化学製 アンチモン系難燃剤+臭素系難燃剤)
滑剤:MS−6(日東化成工業(株)製 12−ヒドロキシステアリン酸)
酸化防止剤:IRGANOX B225(BASF(株)製 リン系熱安定剤+ヒンダードフェノール系酸化防止剤)
炭素繊維:ダイアリードK6371T(三菱樹脂(株)製 メソフェーズピッチ系炭素繊維)
[実施例1]
(A層に用いるシートの作製)
PP樹脂100質量部に対し、マイカ、難燃剤、滑剤、酸化防止剤を表1に記載の割合で混合して、東洋精機(株)製のプラストグラフミキサーに供給し、温度=190℃、回転数=50rpm、混練時間=5分の条件で溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を2枚の金属板間に挟み込み、温度=200℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚さ0.5mmの無機フィラー含有ポリプロピレン樹脂シートを作製した。
(C層に用いるシートの作製)
PP樹脂を2枚の金属板間に挟み込み、温度=200℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚さ1mmのポリプロピレン樹脂シートを作製した。
(B層に用いる炭素繊維材料の作製)
炭素繊維を、JIS P8220−1(2012年)に準じて、湿式抄紙法により離解機を用いて開繊・分散し、抄紙して秤量100g/mの炭素繊維ペーパーを作製した。この時、離解機は、プロペラの回転数=3000rpm、回転時間=10秒の条件で運転した。得られた炭素繊維ペーパーを「高開繊ペーパー」と称する。
(積層体の作製)
作製したA層及びC層に用いるシートとB層に用いる炭素繊維材料を、A層/B層/C層/B層/A層の構成となるように重ねて2枚の金属板間に挟み込み、温度=200℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚さ2mmの積層体を作製した。この時、A層の厚み=500μm、B層の厚み=150μm、C層の厚み=700μmであった。
得られた積層体について評価を実施し、結果を表1に示した。
[実施例2]
実施例1において、A層に用いるシートにおけるマイカの含有割合を表1に記載した通りに変更した以外は、同様にして積層体を作製した。この時、A層の厚み=500μm、B層の厚み=150μm、C層の厚み=700μmであった。
得られた積層体について評価を実施し、結果を表1に示した。
[実施例3]
(A層に用いるシートの作製)
PC樹脂100質量部に対し、マイカを表1に記載の割合で混合して、東洋精機(株)製のプラストグラフミキサーに供給し、温度=260℃、回転数=50rpm、混練時間=5分の条件で溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を2枚の金属板間に挟み込み、温度=260℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚さ0.5mmの無機フィラー含有ポリカーボネート樹脂シートを作製した。
(C層に用いるシートの作製)
PC樹脂を2枚の金属板間に挟み込み、温度=260℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚さ1.0mmのポリカーボネート樹脂シートを作製した。
(積層体の作製)
作製したA層及びC層に用いるシートと、実施例1で作製したB層に用いる高開繊ペーパーを、A層/B層/C層/B層/A層の構成となるように重ねて2枚の金属板間に挟み込み、温度=260℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚さ2.0mmの積層体を作製した。この時、A層の厚み=500μm、B層の厚み=150μm、C層の厚み=700μmであった。
得られた積層体について評価を実施し、結果を表1に示した。
[比較例1]
PP樹脂を2枚の金属板間に挟み込み、温度=200℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚さ2mmの単層のポリプロピレン樹脂シートを作製した。
得られたシートについて評価を実施し、結果を表1に示した。
[比較例2]
A層に用いるシートとして、PP樹脂を2枚の金属板間に挟み込み、温度=200℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚さ0.5mmのポリプロピレン樹脂シートを作製した。
実施例1と同様にB層に用いる高開繊ペーパー、及びC層に用いるシートを作製し、A層/B層/C層/B層/A層の構成となるように重ねて2枚の金属板間に挟み込み、温度=200℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚さ2mmの積層体を作製した。この時、A層の厚み=425μm、B層の厚み=150μm、C層の厚み=850μmであった。
得られた積層体について評価を実施し、結果を表1に示した。
[比較例3]
PP樹脂100質量部に対し、マイカ、難燃剤、滑剤、酸化防止剤を表1に記載の割合で混合して、実施例1と同様にA層に用いるシートを作製した。
次に、B層に用いる炭素繊維材料の作製において、離解機をプロペラの回転数=500rpm、回転時間=10秒の条件で運転した以外は実施例1と同様にして、炭素繊維ペーパーを作製した。この炭素繊維ペーパーを「低開繊ペーパー」と称する。
実施例1と同様にC層に用いるシートを作製し、A層/B層/C層/B層/A層の構成となるように重ねて2枚の金属板間に挟み込み、温度=200℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚さ2mmの積層体を作製した。この時、A層の厚み=500μm、B層の厚み=150μm、C層の厚み=700μmであった。
得られた積層体について評価を実施し、結果を表1に示した。
[比較例4]
PP樹脂100質量部に対し、マイカ、難燃剤、滑剤、酸化防止剤を表1に記載の割合で混合して、実施例1と同様にA層に用いるシートを作製した。
次に、B層に用いる炭素繊維材料の作製において、離解機をプロペラの回転数=1000rpm、回転時間=10秒の条件で運転した以外は実施例1と同様にして、炭素繊維ペーパーを作製した。この炭素繊維ペーパーを「標準開繊ペーパー」と称する。
実施例1と同様にC層に用いるシートを作製し、A層/B層/C層/B層/A層の構成となるように重ねて2枚の金属板間に挟み込み、温度=200℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚さ2mmの積層体を作製した。この時、A層の厚み=500μm、B層の厚み=150μm、C層の厚み=700μmであった。
得られた積層体について評価を実施し、結果を表1に示した。
[比較例5]
PP樹脂100質量部に対し、マイカ、難燃剤、滑剤、酸化防止剤を表1に記載の割合で混合して、実施例1と同様にA層に用いるシートを作製した。
実施例1と同様にC層に用いるシートを作製し、A層/C層/A層の構成となるように重ねて2枚の金属板間に挟み込み、温度=200℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚さ2mmの積層体を作製した。この時、A層の厚み=500μm、C層の厚み=1000μmであった。
得られた積層体について評価を実施し、結果を表1に示した。
[比較例6]
PP樹脂100質量部に対し、マイカ、難燃剤、滑剤、酸化防止剤を表1に記載の割合で混合して、実施例1と同様にA層に用いるシートを作製しようとしたが、マイカの含有割合が多すぎてシートを得ることができなかった。
Figure 2015127140
表1に示したように、実施例において作製した本発明の炭素繊維複合積層体は、低線膨張性と良好な表面外観とプレス成形性のバランスに優れたものとなっている。
一方、比較例において作製したものは、いずれも本発明において特定する組成や炭素繊維束の最大径、炭素繊維の平均繊維長の範囲を満たさず、低線膨張性、表面外観、及びプレス成形性のうち少なくとも一つが不十分であった。
本積層体は、低線膨張性と良好な表面外観とプレス成形性のバランスに優れ、しかも軽量性や低コスト化の要求に応えることが可能な炭素繊維複合積層体であるから、大型の電化製品の筐体や、自動車や鉄道の内装材、外装材などの各種成形品に好適に利用することができる。

Claims (6)

  1. 少なくとも5層構造を有する炭素繊維複合積層体であって、熱可塑性樹脂100質量部に対し無機フィラーを30質量部以上、200質量部以下含有する熱可塑性樹脂層(A層)と、炭素繊維層(B層)と、熱可塑性樹脂を主成分とし、前記無機フィラーを含有しない熱可塑性樹脂層(C層)を、A層/B層/C層/B層/A層の順に有し、
    前記B層中の炭素繊維束の最大径が10μm以上、1000μm以下であり、かつ該炭素繊維の平均繊維長が0.1mm以上、5mm未満である、炭素繊維複合積層体。
  2. 前記A層及び前記C層に用いる熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項1に記載の炭素繊維複合積層体。
  3. 前記A層に用いる無機フィラーが、アスペクト比が20以上、500以下の板状粒子である、請求項1又は2に記載の炭素繊維複合積層体。
  4. 前記B層が、炭素繊維材料として炭素繊維マット、又は、炭素繊維ペーパーを用いてなる層である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素繊維複合積層体。
  5. 同一温度かつ同一荷重における、前記A層の熱可塑性樹脂のメルトマスフローレートR(g/10min)と、前記C層の熱可塑性樹脂のメルトマスフローレートR(g/10min)が、R≧Rの関係を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭素繊維複合積層体。
  6. 前記A層表面の最大断面高さ(Rt)が3μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭素繊維複合積層体。
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