JPWO2013069414A1 - 難燃性樹脂積層体フィルム、該樹脂積層体フィルムの製造方法、及び、太陽電池モジュール用シート - Google Patents

難燃性樹脂積層体フィルム、該樹脂積層体フィルムの製造方法、及び、太陽電池モジュール用シート Download PDF

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Abstract

(A)メタクリレート樹脂0.1〜90質量%、(B)ポリカーボネート樹脂5〜90質量%、(C)コア・シェル型ゴム粒子1〜30質量%、及び(D)リン系難燃剤1〜20質量%、好ましくは更に(E)フッ素系添加剤0.01〜8質量%を含有する樹脂組成物から形成される第1層(I)、及び、フッ素樹脂、特に、フッ化ビニリデン樹脂を含有する樹脂組成物から形成される第2層(II)を備える、ポリカーボネート樹脂を含有する難燃性樹脂積層体フィルム;該樹脂積層体フィルムを備える太陽電池モジュール用シート、特に、太陽電池モジュール用バックシート;並びに、該樹脂積層体フィルムの製造方法。

Description

本発明は、メタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂及びコア・シェル型ゴム粒子を含有する樹脂組成物からなる第1層(I)と、フッ素樹脂を含有する第2層(II)とを備える難燃性樹脂積層体フィルム、該樹脂積層体フィルムの製造方法、及び、太陽電池モジュール用シート、特に太陽電池モジュール用バックシートに関する。
ポリメタクリル酸メチル(以下、「ポリメチルメタクリレート」または「PMMA」ということがある。)樹脂等のメタクリレート樹脂は、透明性に加えて、耐候性や成形品の表面硬度に優れた特性を有している。
また、メタクリレート樹脂を含有するフィルムまたはシートは、フッ素樹脂またはポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂から形成されるフィルムまたはシートと積層して、樹脂積層体フィルムまたはシートとして、広範な用途に適用されており、例えば、壁紙やエレベーター、車両等の内装材、壁材、ガレージの屋根、サンルーム等の外装材、農業用資材、看板、標識、ラベル、窓ガラスなどの保護用フィルムや太陽電池モジュール用シート(特許文献1及び2)として使用されている。これらの樹脂積層体のフィルムまたはシートにおいても、十分な耐衝撃性や伸度特性が求められていた。
特に、太陽電池モジュールは、一般に屋外に設置され、その後、長期間にわたって稼動状態が維持されるので、太陽電池モジュールが屋外で長期間にわたって満足に稼動するには、苛酷な環境下で優れた耐久性を有する必要がある。このため、太陽電池モジュールの表面保護材、封止材、及び裏面保護材(バックシート)には、該太陽電池モジュールを取り巻く苛酷な自然環境下で長期間にわたって太陽電池セルを保護する機能を有することが求められている。
太陽電池モジュールの表面保護材は、太陽電池セルを保護するとともに、太陽光を透過させるものであるので、機械的強度や耐光性、耐候性が求められるのはいうまでもない。封止材も、同様に、機械的強度や耐光性、耐候性が求められる。
また、太陽電池モジュールの裏面保護材(バックシート)は、太陽電池セルと反対側の表面(最外面)が屋外に直接暴露され、屋根材と近接して配置される一方、太陽電池セル側の表面(封止材との隣接面)が各太陽電池セルの間隙や各太陽電池モジュールの間隙で太陽光に曝される。このため、太陽電池モジュール用バックシートには、耐光性、耐候性、耐熱性、耐湿性、水蒸気バリア性、気体バリア性、電気絶縁性、耐電圧性、機械的特性、耐薬品性、耐塩性、防汚性、封止材との接着性などの諸特性に優れることが求められており、それらの特性に対する要求が一層高度化している。
太陽電池モジュール用シート、特に、太陽電池モジュール用バックシートの用途には、耐候性に優れるフッ素樹脂を含有する層とメタクリレート樹脂を含有する層とを備える樹脂積層体フィルムが期待されている。しかし、メタクリレート樹脂は、機械的特性、特に耐衝撃性や伸度特性が十分ではなく、耐熱性が低い、吸水率が高い等の問題点もあり、改善が求められていた。
上記の問題点を解決するために、メタクリル酸メチル(以下、「メチルメタクリレート」または「MMA」ということがある。)等のメタクリル酸アルキルエステルを他の単量体と共重合したり、他の重合体をブレンドしたりすることによりメタクリレート樹脂を改良することが行われている。
例えば、MMAにシクロヘキシルメタクリレートまたはフェニルメタクリレート等を共重合すると、得られるメタクリル酸アルキルエステルの共重合体は、吸水率が低下するものの、PMMA樹脂よりも脆くなり、衝撃強度が低下するといった問題がある。また別の方法としては、ガラス転移温度を低下させる他の単量体をMMAと共重合することにより耐衝撃性を改良する方法もあるが、この方法では耐熱性が低下するという問題がある。
PMMA樹脂等のメタクリレート樹脂の耐衝撃性を改善する方法として、エマルジョン重合により合成されるゴム層とメタクリレート樹脂層とからなるコア・シエル型ゴム粒子をメタクリレート樹脂にブレンドする方法がある。しかし、この方法は、十分な衝撃強度を得るためには多量の上記コア・シエル型粒子をブレンドすることを必要とし、このためブレンド物の耐熱性、表面硬度、耐候性などが、メタクリレート樹脂より低下したり、吸水性が十分改善されないなどの問題点があった。
他の重合体をブレンドする方法として、例えばスチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキシド、フッ化ビニリデン樹脂等をブレンドしても、ある程度改善効果を有するが、PMMA樹脂等のメタクリレート樹脂の耐衝撃性、伸度特性、耐熱性、吸水率をバランスよく改良することは難しかった。
他の重合体として、光学特性や機械的特性に優れていることが知られているポリカーボネート樹脂、特にビスフェノールAから製造されるポリカーボネート樹脂をブレンドすることにより、機械的特性、耐熱性及び低吸湿性をバランスよく改良できることが見いだされている(特許文献3及び4)。メタクリレート樹脂の機械的特性や耐熱性を改善するためには、ポリカーボネート樹脂を5質量%以上含有するブレンド物とする必要があるが、メタクリレート樹脂とポリカーボネート樹脂は、相溶性が良好でないために、ポリカーボネート樹脂を5質量%以上含有するブレンド物からフィルムやシートを製造する場合、成形加工における溶融混練が十分行われにくいために、良好な分散状態が得られず、そのため、例えば、機械的特性、特に伸度特性が十分ではなく、しかも、両樹脂本来の屈折率の差が大きいことの影響もあって、フィルムやシートは不透明であるという問題点を有することが分かった。
屋根の上に載置されることがある太陽電池モジュール用シートを始めとする多くの用途においては、軽量化や薄肉化の傾向が進んでいる。特に、長期間にわたって太陽光に直接曝され続ける太陽電池モジュール用シートにおいては、耐候性、耐熱性に加えて、難燃性向上の要求が高まっている。薄肉でかつ難燃性に優れたフィルムやシートとしては、例えば、難燃性に関する規格として国際的に知られているUL規格をクリアする難燃性が要求されている。
従来、ポリカーボネート樹脂等の難燃化には、主に臭素等のハロゲン系化合物等が使用されている。ハロゲン系化合物は、難燃化には効果があるが、成形加工時の熱安定性が悪く、成形加工時の熱履歴で、色相変化、成形品外観の悪化等の不具合を起こしやすいうえ、発生する臭素ガスに起因して金型、成型機の金属部が腐食するといった問題、毒性面や、燃焼時に腐食性ガスを発生するという問題があった。また、ポリカーボネート樹脂の難燃性向上のためには、シリコーン系難燃剤が知られている(特許文献5)。しかし、優れた難燃性を得るためには多量の難燃剤の添加が必要であり、ポリカーボネート樹脂本来の優れた機械的性質や熱的性質が損なわれる等の欠点があった。また、メタクリレート樹脂とポリカーボネート樹脂とのブレンド物に対しては、優れた難燃性がみられず、更にコア・シェル型ゴム粒子を含有させると一層難燃性が低下することも分かった。
したがって、ポリカーボネート樹脂を5質量%以上含有する、メタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂及びコア・シェル型ゴム粒子を含有する薄肉のフィルムまたはシートにおいて、光学的性質、機械的性質、熱的性質等を保持しつつ、耐候性や難燃性に優れたフィルムまたはシートが求められていた。
特開平10−190023号公報 特開2007−266382号公報 特開2009−196196号公報 特開平5−311027号公報 特開2005−263909号公報
本発明の課題は、ポリカーボネート樹脂を5質量%以上含有する樹脂組成物から形成される樹脂層を備え、かつ、UL94HBグレードである難燃性樹脂積層体フィルムを提供することにある。また、本発明は、該樹脂積層体フィルムの優れた透明性、機械的特性、耐候性及び難燃性等を活かした用途として、太陽電池モジュール用シート、中でも太陽電池モジュール用バックシートを提供することにある。
さらに、本発明の課題は、接着剤で接着するドライラミネート法、溶融押出ラミネート法、共押出法またはコーティング法等によって、ポリカーボネート樹脂を含有する難燃性樹脂積層体フィルムを容易に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決することについて、鋭意研究した結果、メタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、コア・シェル型ゴム粒子及びリン系難燃剤を所定割合で含有する樹脂組成物からなる層と、フッ素樹脂を含有する樹脂組成物からなる層とを備える樹脂積層体フィルムとすることによって、課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、(A)メタクリレート樹脂0.1〜90質量%、(B)ポリカーボネート樹脂5〜90質量%、(C)コア・シェル型ゴム粒子1〜30質量%、及び(D)リン系難燃剤1〜20質量%を含有する樹脂組成物から形成される第1層(I)、及び、フッ素樹脂を含有する樹脂組成物から形成される第2層(II)を備える難燃性樹脂積層体フィルムが提供される。
また、本発明によれば、実施の態様として、以下(1)〜(5)の樹脂積層体フィルムが提供される。
(1)前記第1層(I)を形成する樹脂組成物が、更に(E)フッ素系添加剤0.01〜8質量%を含有する前記の樹脂積層体フィルム。
(2)前記フッ素樹脂が、フッ化ビニリデン樹脂である前記の樹脂積層体フィルム。
(3)前記第2層(II)を形成する樹脂組成物が、前記(A)メタクリレート樹脂を含有する前記の樹脂積層体フィルム。
(4)前記第1層(I)の厚みと第2層(II)の厚みとの比率が、99/1〜1/99である前記の樹脂積層体フィルム。
(5)金属または無機酸化物の蒸着層、金属箔、金属または無機酸化物の蒸着層を備える樹脂フィルム層、及びバリア性樹脂フィルム層からなる群より選ばれる少なくとも1種のバリア層を、更に備える前記の樹脂積層体フィルム。
さらに、本発明によれば、i)第1層(I)を形成する樹脂組成物から得られるシート状物と、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物から得られるシート状物とを接着剤で接着する方法;ii)第1層(I)を形成する樹脂組成物、または、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物から得られるシート状物の上に、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物、または、第1層(I)を形成する樹脂組成物を溶融押出して積層する方法;iii)第1層(I)を形成する樹脂組成物と第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物とを共押出する方法;またはiv)第1層(I)を形成する樹脂組成物から得られるシート状物の上に、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物を塗工して積層する方法(コーティング法);のいずれかの方法によって、第1層(I)及び第2層(II)の積層を行う前記の樹脂積層体フィルムの製造方法が提供される。
さらにまた、本発明によれば、前記の樹脂積層体フィルムを備える太陽電池モジュール用シート、または特に、太陽電池モジュール用バックシートが提供される。
本発明において、「フィルム」とは、厚みが小さいフィルム及び厚みが相対的に大きいシートの双方を意味するものとして使用する。フィルム、すなわち、フィルムまたはシートの厚みの上限は5mm程度であり、通常3mm以下、多くの場合は2mm以下の厚みである。
本発明は、(A)メタクリレート樹脂0.1〜90質量%、(B)ポリカーボネート樹脂5〜90質量%、(C)コア・シェル型ゴム粒子1〜30質量%、及び(D)リン系難燃剤1〜20質量%、好ましくは更に(E)フッ素系添加剤0.01〜8質量%を含有する樹脂組成物から形成される第1層(I)、及び、フッ素樹脂を含有する樹脂組成物から形成される第2層(II)を備える難燃性樹脂積層体フィルムであることによって、ポリカーボネート樹脂を5質量%以上含有する樹脂組成物から形成される樹脂層を備え、かつ、UL94HBグレードである難燃性の樹脂積層体フィルムを提供することができるという効果を奏する。
また、本発明の樹脂積層体フィルムは、接着剤で接着するドライラミネート法、溶融押出ラミネート法、共押出法またはコーティング法等によって、容易に製造することができるという効果を奏する。さらに、本発明は、前記の樹脂積層体フィルムを備える太陽電池モジュール用シート、中でも太陽電池モジュール用バックシートとして好適に使用することができるという効果を奏する。
I.第1層(I)
本発明の樹脂積層体フィルムにおける第1層(I)は、(A)メタクリレート樹脂0.1〜90質量%、(B)ポリカーボネート樹脂5〜90質量%、(C)コア・シェル型ゴム粒子1〜30質量%、及び(D)リン系難燃剤1〜20質量%を含有する樹脂組成物から形成されることを特徴とする。
1.メタクリレート樹脂
本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物の(A)成分であるメタクリレート樹脂は、MMA等のメタクリル酸アルキルエステルの単独重合体、MMA等のメタクリル酸アルキルエステル単量体を構成単位として50モル%以上含有する共重合体、及び、これらの2種以上の混合物である。メタクリル酸アルキルエステルとして、好ましいのはMMAである。したがって、メタクリレート樹脂としては、MMAの単独重合体、MMA50モル%以上と、アクリル酸アルキルエステルまたはMMA以外のメタクリル酸アルキルエステル50モル%以下とを含有する共重合体、及び、これら重合体の2種以上の混合物などが、好ましく例示できる。ここで、アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル(以下、「BA」ということがある。)等が、MMA以外のメタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が例示できる。
さらに、前記共重合体は、メタクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能なビニル系単量体を共重合成分として含有したものでもよい。該ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン等のスチレン系化合物;アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル系化合物;無水マレイン酸などの酸無水物;などが挙げられる。上記の共重合体としては、ランダム共重合体やグラフト共重合体なども用いることができる。
本発明における(A)メタクリレート樹脂としては、透明性、耐候性及び機械的特性の点から、PMMA樹脂が最も好ましく用いられる。
(A)メタクリレート樹脂は、ラジカル重合、例えば、塊状重合、懸濁重合、溶液重合または乳化重合など公知の製法により得ることができる。メタクリレート樹脂の重合は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(γ−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;またはベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のパーオキシ化合物をラジカル重合開始剤として使用し、また、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を使用して分子量を制御することができる。
本発明における(A)メタクリレート樹脂は、その分子量に特に制限はないが、機械的特性及び溶融性の点から、好ましくは10,000〜5,000,000、より好ましくは30,000〜1,000,000、特に好ましくは50,000〜500,000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することができる。また、本発明における(A)メタクリレート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、耐衝撃性、耐候性などの点から、50℃以上であることが好ましく、より好ましくは60℃以上、特に好ましくは65℃以上である。
本発明の第1層(I)を形成する樹脂組成物において、(A)メタクリレート樹脂の含有量は、0.1〜90質量%、好ましくは0.5〜80質量%、より好ましくは1〜70質量%、特に好ましくは3〜60質量%である。(A)メタクリレート樹脂の含有量が少なすぎると耐候性や表面硬度などが不足することがあり、含有量が多すぎると耐熱性や耐衝撃性などが不足することがある。
2.ポリカーボネート樹脂
本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物の(B)成分であるポリカーボネート樹脂は、公知の方法によって製造される芳香族ポリカーボネート樹脂であり、重合反応に不活性な有機溶媒、アルカリ水溶液の存在下、二価フェノール系化合物及びホスゲンを反応させた後、第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの重合触媒を添加して重合させる界面重合法や、二価フェノール系化合物をピリジンまたはピリジンと不活性溶媒との混合溶液に溶解し、ホスゲンを導入し直接ポリカーボネート樹脂を製造するピリジン法等、従来の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法により得られるものが使用される。上記の反応に際し、必要に応じて、分子量調節剤、分岐化剤などが使用される。
前記の二価フェノール系化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;などを単独または2種以上混合して使用できる。
本発明におけるポリカーボネート樹脂としては、二価フェノール系化合物がビスフェノールAであるものが最も好ましく用いられる。本発明におけるポリカーボネート樹脂は、その分子量に特に制限はないが、機械的特性及び溶融性の点から、好ましくは10,000〜500,000、より好ましくは20,000〜200,000、特に好ましくは30,000〜100,000の範囲の数平均分子量を有するものを使用することができる。
本発明の第1層(I)を形成する樹脂組成物において、(B)ポリカーボネート樹脂の含有量は、5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは15〜70質量%、特に好ましくは20〜60質量%である。(B)ポリカーボネート樹脂の含有量が少なすぎると耐衝撃性、耐吸水性や伸度などが不足することがあり、含有量が多すぎると耐候性や表面硬度などが不足することがある。
3.コア・シェル型ゴム粒子
本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物の(C)成分であるコア・シェル型ゴム粒子は、好ましくはアクリルゴム等のゴム成分相をコア層として含有し、このコア層の周囲を好ましくはメタクリレート系樹脂等からなる硬質成分相で被覆してシェル層としたコア・シェル構造を有する粒子である。
コア層のゴム成分相として好ましく含有されるアクリルゴムは、Tgが−30℃以下、好ましくは−35℃以下であればよく、アクリル酸n−ブチル(BA)、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどの単量体を、必要により、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル;MMA、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の架橋性単量体;を用いて重合したものである。アクリルゴムとしては、ポリオルガノシロキサンゴム成分と、上記のようなアクリルゴム成分とにより構成されるシリコーン・アクリル複合ゴムも使用できる。アクリルゴムとして最も好ましくは、BAを重合したアクリルゴムである。なお、ブタジエンなど共役ジエン系単量体を併用すると、耐薬品性や耐久性が劣ったり、成形時に変色を生じたりすることがあるので好ましくないが、機能上問題がない微量の使用は許容される。
シェル層の硬質成分相として好ましく使用されるメタクリレート系樹脂は、Tgが60℃以上、好ましくは65℃以上であって、MMAを単独または主成分とし、その他の単量体として、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のMMA以外のメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系単量体;酢酸ビニル等のビニル単量体;を併用して、重合することにより得ることができる。
このようなコア・シェル型ゴム粒子は、乳化重合や懸濁重合により得ることができ、好適には、アクリルゴムを重合し、該アクリルゴムの存在下で、硬質成分相であるメタクリレート系樹脂を形成する単量体を重合することにより得ることができる。アクリルゴムが前記のシリコーン・アクリル複合ゴムである場合は、あらかじめ形成したポリオルガノシロキサンゴムのラテックスにアクリルゴム成分形成用の単量体を加えて重合することにより得ることができる。コア層及びシェル層の重合は、1段階で重合を行ってもよいが、多段階で重合を行ってもよい。硬質成分相であるメタクリレート系樹脂を、MMAを主成分として、上記のその他の単量体との併用により形成する場合は、シェル層を2段階以上の多段階で重合を行い、最外層はMMAから形成される樹脂層とすることが好ましい。
コア層(ゴム成分相)/シェル層(硬質成分相)の割合は、30〜92質量%/70〜8質量%、好ましくは35〜90質量%/65〜10質量%、より好ましくは40〜85質量%/60〜15質量%である。
コア・シェル型ゴム粒子のコア層であるゴム成分相の平均粒径は、レーザー回折法で測定して、1μm以下、好ましくは0.05〜0.8μm、より好ましくは0.1〜0.6μmの範囲内である。平均粒径が1μmを超えると、得られるコア・シェル型ゴム粒子の機械的特性が不十分となることがある。
本発明におけるコア・シェル型ゴム粒子としては、塩化ビニル樹脂の耐衝撃強度改良剤として市販されている、株式会社カネカ製のカネエース(登録商標)FMシリーズ、三菱レイヨン株式会社製のメタブレン(登録商標)SシリーズまたはWシリーズ、ローム・アンド・ハース社製のパラロイド(登録商標)EXLシリーズなどの中から選択することもできる。
本発明の第1層(I)を形成する樹脂組成物において、(C)コア・シェル型ゴム粒子の含有量は、1〜30質量%、好ましくは3〜27質量%、より好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは10〜22質量%である。(C)コア・シェル型ゴム粒子の含有量が少なすぎると、目的とする耐衝撃性などが得られにくい。また、(A)メタクリレート樹脂と(B)ポリカーボネート樹脂との相溶性が欠けるものとなり、十分な分散が得られないので、伸度や光学特性などの所望の改善が得られないおそれがある。他方、その含有量が多すぎると、十分な耐熱性が得られないことがある。
4.リン系難燃剤
本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物の(D)成分であるリン系難燃剤は、リン原子を分子中に有する化合物であり、赤リン、被覆された赤リン、ポリリン酸塩系化合物、リン酸エステル系化合物、亜リン酸エステル系化合物、フォスファゼン系化合物等が挙げられる。好ましくはリン酸エステル系化合物である。
リン酸エステル系化合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート等の脂肪族リン酸エステル化合物;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジエチルフェニルホスフェート、メチルジフェニルホスフェート、エチルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート等の芳香族リン酸エステル化合物;トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート及びビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート等のハロゲン含有リン酸エステル化合物;フェニルレゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル−p−t−ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート、クレジル・キシリル・レゾルシン・ポリホスフェートフェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート等の芳香族縮合リン酸エステル(リン酸エステルとジヒドロキシ芳香族化合物との縮合物);またはその混合物などが挙げられる。
本発明の第1層(I)を形成する樹脂組成物において、(D)リン系難燃剤の含有量は、1〜20質量%、好ましくは2〜12質量%、より好ましくは3〜10質量%、特に好ましくは4〜8質量%である。(D)リン系難燃剤の含有量が少なすぎると、難燃性が不足するおそれがある。他方、その含有量が多すぎると、耐熱性が低下することがある。
5.フッ素系添加剤
本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物は、好ましくは更に(E)成分であるフッ素系添加剤を含有することができる。フッ素系添加剤は、燃焼物の滴下を防止することによって、より高い難燃性を達成するための目的で使用される。フッ素系添加剤としては、フィブリル形成能力を有するフッ素樹脂が好ましく、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・プロピレン共重合体等のテトラフルオロエチレンポリマーを好ましく使用することができ、特に好ましくはポリテトラフルオロエチレンである。フッ素樹脂は、ファインパウダー状のフルオロポリマー、フルオロポリマーの水性ディスパージョン、アクリロニトリル・スチレン共重合体やPMMA等の第2の樹脂との粉体状混合物等、様々な形態のフルオロポリマーを使用することができる。好ましくは粒子径10μm以下、より好ましくは粒子径0.05〜5μm、更に好ましくは粒子径0.1〜3μmの焼成されたポリテトラフルオロエチレン微粉末である。また、フッ素系界面活性剤や表面改質剤として知られるフッ素系添加剤も使用することができ、パーフルオロブタンスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物等が使用でき、常温で粉末等固体形状のものが使いやすい。
本発明の第1層(I)を形成する樹脂組成物において、(E)フッ素系添加剤の含有量は、0.01〜8質量%、好ましくは0.05〜6質量%、より好ましくは0.08〜5質量%、更に好ましくは0.1〜4質量%、特に好ましくは0.15〜2質量%である。(E)フッ素系添加剤の含有量が少なすぎると、優れた難燃性を得ることができないことがある。他方、その含有量が多すぎると、樹脂組成物の溶融安定性が低下し、樹脂積層体フィルムの外観が悪くなることがある。
6.その他の樹脂
本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲内において、更に他の熱可塑性樹脂またはエラストマーを配合することができる。
例えば、本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、フッ化ビニリデン樹脂やフッ化ビニル樹脂等のフッ素樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂を配合することができる。
これらの中でも、第2層(II)との親和性や接着性の観点から、第2層(II)を形成する樹脂組成物に含有されるフッ素樹脂、特にフッ化ビニリデン樹脂が好ましく用いられる。また、例えば、第2層(II)を形成する際に発生する成形物の屑等の不要部分を使用すると、リサイクル性が向上する。
また、より高度の耐衝撃性が要求される場合は、本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物には、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン・スチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリイソプレン、水添イソプレン、アクリル系エラストマー、ポリエステル・ポリエーテルコエラストマー、ポリアミド系エラストマー、エチレン・ブテン−1共重合体、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボネン共重合体、熱可塑性ポリエステルエラストマー、水添スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、エチレン・α−オレフィンコポリマー、プロピレン・α−オレフィンコポリマー、エチレン・メタクリル酸系エラストマー、コア・シェルタイプのエラストマー、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体などのエラストマーを配合することができる。
これら他の熱可塑性樹脂またはエラストマー(その他の樹脂)の含有量は、本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物中、25質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。好ましく用いられるフッ素樹脂は、特に好ましくは1〜12質量%、最も好ましくは2〜10質量%含有することが、機械的特性、光学的特性及び経済性のバランスがよい。
7.その他の添加剤
本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物には、必要に応じて、無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、顔料や染料等の着色剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防湿剤、防水剤、撥水剤、滑剤、離型剤、カップリング剤、酸素吸収剤などの通常配合される各種添加剤を含有させることができる。また、本発明の樹脂組成物には、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、イタコン酸など公知の相溶化剤を含有させることができる。
これらの添加剤の含有量は、第1層(I)を形成する樹脂組成物中、通常40質量%以下であるが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下であり、添加剤の種類によって最適範囲は異なる。例えば、無機充填剤、有機充填剤、可塑剤または顔料は、5質量%以上、多くの場合は10質量%以上含有することが好ましいことがある。ステアリン酸カルシウム等の滑剤を始めとするその他の添加剤の含有量は、更に好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下、最も好ましくは2質量%以下であり、0.02質量%以上、多くの場合は0.05質量%以上含有すれば効果を奏することがある。
8.無機顔料
用途によって求められる遮光性または隠蔽性を付与するために、第1層(I)を形成する樹脂組成物は、前記のその他の添加剤として、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、カーボンブラック、ベンガラ等の無機顔料を使用することが好ましいことがある。これら無機顔料は、2種類以上を使用してもよい。
本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物の特性を活かして、鮮明な白色を呈することができる点で、無機顔料としては、白色顔料である酸化チタンまたは酸化亜鉛が好ましく使用される。
該酸化チタンとしては、市販の酸化チタンが使用できるが、本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物の耐候性や高温での樹脂への分散性などの点から、ルチル型の結晶構造を有するものが好ましく、顔料用グレードのものを用いることができる。透過型電子顕微鏡撮影画像の画像解析による酸化チタンの平均粒子径(平均一次粒子径)は、通常150〜1000nm、好ましくは200〜700nm、より好ましくは200〜400nmの範囲内である。酸化チタンの平均粒子径が小さすぎると、隠蔽力が低下する。酸化チタンは、その平均粒子径が前記範囲内にあることによって、屈折率が大きく光散乱性が強いため、白色顔料としての隠蔽力が高くなる。酸化チタンは、一般に、一次粒子が凝集した二次粒子の形態で存在している。酸化チタンのBET法による比表面積は、通常1〜15m/g、多くの場合5〜15m/gの範囲内である。酸化チタンは、表面処理剤で表面処理することにより、分散性、隠蔽性、耐候性などの特性を向上させることができる。表面処理剤としては、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、錫、セリウム、ビスマスなどの金属酸化物;酸化亜鉛などの水和金属酸化物;有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物などの有機金属化合物;シランカップリング剤やポリシロキサンなどの有機ケイ素化合物;リン酸アルミニウム、有機リン酸エステルなどのリン化合物;アミン化合物;などが挙げられる。酸化チタンを表面処理剤で被覆することにより、酸化チタン表面と樹脂組成物中の他の成分との反応を制御することができる。表面処理した酸化チタンは、樹脂への分散性に優れている。表面処理した酸化チタンは、高濃度で樹脂中に分散させることができる。
また、例えば、太陽電池モジュール用バックシートにおいて、外観の観点から、黒色等の暗色系の色に着色されることが求められる場合は、本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物には、無機顔料としてカーボンブラックが好ましく使用され、その際、カーボンブラックとともに、酸化チタンを併せて使用することもできる。
該カーボンブラックとしては、通常、太陽電池モジュール用バックシート等に使用されるカーボンブラックであれば、特に限定されず、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどを使用することができ、カルボキシル基等によって表面が変性されたカーボンブラックも使用することもできる。透過型電子顕微鏡撮影画像の画像解析によるカーボンブラックの平均粒子径(平均一次粒子径)は、通常10〜150nm、好ましくは13〜100nm、より好ましくは15〜40nmの範囲内である。カーボンブラックの平均粒子径が小さすぎると、凝集しやすく取扱いが困難となることがある。平均粒子径が大きすぎると、分散不良や外観不良を招くおそれがある。カーボンブラックのBET法による比表面積は、通常20〜250m/g、好ましくは50〜200m/g、より好ましくは80〜200m/gの範囲内である。
本発明の第1層(I)を形成する樹脂組成物は、必ずしも無機顔料を含有する必要はないが、該無機顔料を含有する場合の含有量は、樹脂組成物において、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは7〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%、特に好ましくは12〜17質量%である。
II.第2層(II)
本発明の樹脂積層体フィルムにおける第2層(II)は、フッ素樹脂を含有する樹脂組成物から形成されるものである。
1.フッ素樹脂
本発明における第2層(II)を形成する樹脂組成物に含有されるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、プロピレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂等を挙げることができる。中でも好ましくは、フッ化ビニル樹脂またはフッ化ビニリデン樹脂であり、特に好ましくは、フッ化ビニリデン樹脂(以下、「PVDF樹脂」ということがある。)である。PVDF樹脂としては、フッ化ビニリデン単独重合体のほか、フッ化ビニリデンを構成単位として70モル%以上、好ましくは85モル%以上を含有する共重合体、更にはこれら重合体の混合物が挙げられる。フッ化ビニリデンと共重合される単量体としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニルなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができ、フッ化ビニリデン単位との共重合比率が30モル%以下、好ましくは15モル%以下である。これらのフッ素樹脂は、その融点が通常146℃から178℃の範囲にある。例えば、第2層(II)に好ましく含有されるPVDF樹脂は、フィルムの状態で第1層(I)に熱ロールなどの手段でラミネートされる場合に、ラミネートロールへの粘着など製品外観を損なう現象を避けるため、融点が165℃以上、好ましくは170℃以上、更に好ましくは172℃以上のものを用いることが望ましい。
本発明の第2層(II)を形成する樹脂組成物において、フッ素樹脂の含有量は、通常60質量%以上であり、70質量%以上であることが好ましく、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上であり、第2層(II)を形成する樹脂組成物は、実質的にフッ素樹脂100質量%からなるものでもよい。
2.その他の樹脂
本発明におけるフッ素樹脂を含有する樹脂組成物から形成される第2層(II)には、本発明の目的を阻害しない範囲内において、先に「I.第1層(I)」の「6.その他の樹脂」に詳述した他の熱可塑性樹脂またはエラストマーを配合することができる。
中でも、他の熱可塑性樹脂として、本発明における第1層(I)を形成する樹脂組成物に含有される(A)メタクリレート樹脂は、これを配合することにより、第1層(I)と第2層(II)との接着性を改善することができるので好ましい。該(A)メタクリレート樹脂としては、PMMA樹脂が特に好ましい。また、該(A)メタクリレート樹脂には、第1層(I)を形成する樹脂組成物に含有される(C)コア・シェル型ゴム粒子を、更に含有させてもよい。
これら他の熱可塑性樹脂の含有量は、第2層(II)を形成する樹脂組成物において、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。
3.その他の添加剤
本発明におけるフッ素樹脂を含有する樹脂組成物から形成される第2層(II)には、必要に応じて、無機充填剤、樹脂粒子やゴム粒子等の有機充填剤、可塑剤、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防湿剤、防水剤、撥水剤、滑剤、離型剤、カップリング剤、酸素吸収剤など通常配合される各種添加剤を含有させることができる。好ましい着色剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、カーボンブラック、ベンガラ等の無機顔料が挙げられる。特に好ましくは、酸化チタンまたは酸化亜鉛が使用される。これら各種添加剤は、2種類以上を使用してもよい。例えば、着色剤として、酸化チタンとカーボンブラックとを併用したり、酸化チタンと炭酸カルシウムとを併用したりすることができる。
これら添加剤の含有量は、本発明における第2層(II)を形成する樹脂組成物において、通常40質量%以下であり、好ましくは37質量%以下、より好ましくは35質量%以下であるが、添加剤の種類によっては、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下で十分なものがある。
III.樹脂積層体フィルム
本発明の樹脂積層体フィルムは、上記した第1層(I)及び第2層(II)を備える難燃性樹脂積層体フィルムである。すなわち、本発明の樹脂積層体フィルムは、フッ素樹脂を含有する樹脂組成物から形成される第2層(II)を備えることにより、UL94HBをクリアするものとすることができる。また、(A)メタクリレート樹脂0.1〜90質量%、(B)ポリカーボネート樹脂5〜90質量%、(C)コア・シェル型ゴム粒子1〜30質量%、及び(D)リン系難燃剤1〜20質量%を含有する樹脂組成物から形成される第1層(I)を備えることにより、耐衝撃性や伸度等の機械的特性を有するものとすることができる。
1.樹脂積層体フィルムの層構成
本発明の樹脂積層体フィルムは、第1層(I)/第2層(II)の2層からなる樹脂積層体フィルムのほか、第2層(II)/第1層(I)/第2層(II)の3層を、この順に備える樹脂積層体フィルムや、第1層(I)/第2層(II)/第1層(I)の3層を、この順に備える樹脂積層体フィルムなどの層構成とすることによって、樹脂積層体フィルムの柔軟性、耐候性、バリア性、全光線透過率等の光学特性、伸度等の機械的特性などの諸特性と、難燃性をバランスよく調整することができる。更に第1層(I)と第2層(II)とを、4層以上組み合わせた層構成の樹脂積層体フィルムも、本発明の範囲に含まれる。
2.バリア層
本発明の樹脂積層体フィルムは、該樹脂積層体フィルムを太陽電池モジュール用バックシートとして用いる場合のように、水蒸気に対するバリア性、酸素に対するバリア性、炭酸ガスに対するバリア性などが求められるときは、必要に応じて、前記第1層(I)と前記第2層(II)との間、前記第1層(I)の前記第2層(II)の反対側、または、前記第2層(II)の前記第1層(I)の反対側の少なくとも1つの位置に、バリア層を備えることができる。バリア層としては、特に制限はないが、好ましくは、金属または無機酸化物の蒸着層、金属箔、金属または無機酸化物の蒸着層を備える樹脂フィルム層、及びバリア性樹脂フィルム層からなる群より選ばれる少なくとも1種のバリア層が挙げられる。なお、金属または無機酸化物の蒸着層、或いは金属箔が、樹脂積層体フィルムの最表面、すなわち、最外面または最内面に位置することがないよう配置することが好ましい。
(1)蒸着層
金属または無機酸化物からなる蒸着層に用いられる金属または無機酸化物は、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化窒化珪素、酸化セリウム、酸化カルシウム、ダイアモンド状炭素膜、またはそれらの混合物などを挙げることができ、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素が、ガスバリア性、生産性の観点より好ましく用いることができる。アルミニウムを用いた蒸着層は、経済性、ガスバリア性能に優れていることから好ましく、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を用いた蒸着層が、透明性に優れ、かつ、経済性の点からも好ましい。
金属または無機酸化物の蒸着層の形成方法としては、第1層(I)または第2層(II)の片面または両面に、真空プロセスによって、蒸着層を形成する。あらかじめ第1層(I)及び第2層(II)との積層体を形成し、少なくとも1つの表面に、真空プロセスによって、金属または無機酸化物の蒸着層を形成してもよい。
真空プロセスは、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法などが適宜用いられ、いずれも限定されない。例えば、無機酸化物の蒸着層を設けるには反応性蒸着法が生産性、コストの点でより好ましく用いることができる。
真空プロセスでは、蒸着層を設ける樹脂層の表面をプラズマ処理やコロナ処理することが、ガスバリア性の一層の向上のために好ましい。コロナ処理を施す際の処理強度は5〜50W・分/mが好ましく、より好ましくは10〜45W・分/mである。また、金属または無機酸化物からなる蒸着層を設ける前に、プラズマ放電下において核付金属蒸着層を設けることは、蒸着層の密着性向上の観点から好ましい。この場合、プラズマ放電を酸素及び/または窒素ガス雰囲気で行う際には、核付金属として銅を用いることが最も好ましい。
反応性蒸着法によって酸化アルミニウムを蒸着させるには、アルミニウム金属やアルミナを抵抗加熱のボート方式やルツボの高周波誘導加熱、電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下でフィルム上に酸化アルミニウムを堆積させる方式が採用される。酸化雰囲気を形成するための反応性ガスとしては酸素が用いられるが、酸素を主体に水蒸気や希ガスを加えたガスでもよい。さらに、オゾンを加えてもよいし、イオンアシストなどの反応を促進する手法を併用してよい。酸化珪素の蒸着層を反応性蒸着法によって形成させるには、Si金属、SiOやSiOを電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下で、フィルム上に酸化珪素を堆積させる方式が採用される。
蒸着層の厚みは特に限定されないが、生産性、ハンドリング性、外観から10〜500nmが好ましく、より好ましくは15〜200nm、更に好ましくは20〜100nmである。蒸着層の厚みが10nm未満となると、蒸着層欠陥が発生しやすくガスバリア性が悪化する。蒸着層の厚みが500nmより厚くなると、蒸着時のコストが高くなったり、蒸着層の着色が顕著になり外観的に劣ったりするため好ましくない。
蒸着層を設ける樹脂層の表面上に、あらかじめアンカーコート剤をインラインまたは、オフラインで塗布してアンカーコート層を形成しておくと、該アンカーコート層上に形成する蒸着層が密着性の高い層となるので、特に、太陽電池モジュール用バックシートのガスバリア性向上に有効である。なお、この場合、第2層(II)は、少なくとも、樹脂層/アンカーコート層/蒸着層をこの順に有する。アンカーコート剤としては、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、及びポリエステル・ポリウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましく用いられ、中でもエチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、及びポリウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む塗剤は、ガスバリア性を補完できる点からも好ましい。
(2)金属箔
金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔等を用いることができるが、好ましくはアルミニウム箔を用いる。アルミニウム箔の材質としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金が挙げられ、アルミニウム−鉄系合金(軟質材)が好ましい。アルミニウム−鉄系合金における鉄含有量(質量基準)としては、0.3%以上9.0%以下が好ましく、0.7%以上2.0%以下が特に好ましい。この鉄含有量が上記下限未満の場合は、ピンホールの発生防止の効果が不十分になるおそれがあり、逆に、鉄含有量が上記上限を超える場合は、柔軟性が阻害され、加工性が低下するおそれがある。また、アルミニウム箔の材料としては、しわやピンホールを防止する観点から焼きなまし処理を行った柔軟性アルミニウムが好ましい。金属箔は、バリア層を設ける樹脂層の片面または両面のいずれに設けてもよい。
アルミニウム箔等の金属箔の厚み(平均厚み)の下限としては、1μmが好ましく、2μmが特に好ましい。一方、アルミニウム箔等の金属箔の厚みの上限としては、10μmが好ましく、8μmが特に好ましい。アルミニウム箔等の金属箔の厚みが上記下限より小さいと、加工の際にアルミニウム箔等の金属箔の破断が起きやすくなり、またピンホール等に起因してガスバリア性が低下するおそれがある。一方、アルミニウム箔等の金属箔の厚みが上記上限を超えると、加工の際にクラックや樹脂層との剥離等が発生するおそれがある。また、本発明の樹脂積層体フィルムを太陽電池モジュール用バックシートに用いる場合は、厚みや重量が増大して薄型軽量化の社会的要請に反することとなる。アルミニウム箔等の金属箔の表面には、溶解、腐食を防止する観点から例えばクロメート処理、リン酸塩処理、潤滑性樹脂被覆処理等の表面処理が施されてもよく、接着性を促進する観点からカップリング処理等が施されてもよい。
(3)金属または無機酸化物の蒸着層を備える樹脂フィルム層
本発明の樹脂積層体フィルムは、バリア層として、金属または無機酸化物の蒸着層を備える樹脂フィルム層を用いることができる。金属または無機酸化物の蒸着層を備える樹脂フィルム層は、ナイロン等のポリアミド樹脂やポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂などから形成される樹脂フィルムの片面または両面に、前記(1)で述べた金属または無機酸化物の蒸着層を形成したものである。蒸着層の形成方法は、先に(1)で述べた方法によることができる。該バリア層における樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートが好ましく、したがって、金属または無機酸化物の蒸着層を形成した蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。樹脂フィルムの厚みは、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜40μm、更に好ましくは8〜30μmである。
(4)バリア性樹脂フィルム層
本発明の樹脂積層体フィルムは、バリア層として、バリア性樹脂から形成されるフィルム層であるバリア性樹脂フィルム層を用いることもできる。バリア性樹脂としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体またはエチレン・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物、ポリグリコール酸、メタキシリレンジアミンとアジピン酸から形成される芳香族ポリアミド(MXD6)、及び塩化ビニリデン系共重合体などが挙げられる。バリア性樹脂フィルム層の厚みは、好ましくは3〜50μm、より好ましくは5〜40μmである。
3.樹脂積層体フィルムの厚み
本発明の樹脂積層体フィルムの厚みは、通常2μm〜3mm、好ましくは3μm〜1mm、より好ましくは5〜500μm、特に好ましくは8〜100μm、最も好ましくは10〜50μmである。第1層(I)の厚みと第2層(II)との厚みの比率は、特に限定されないが、通常99/1〜1/99であり、好ましくは95/5〜10/90、より好ましくは90/10〜30/70、特に好ましくは85/15〜40/60、最も好ましくは80/20〜45/55である。なお、第1層(I)または第2層(II)の一方または両方の層を複数備える樹脂積層体フィルムにおいては、第1層(I)または第2層(II)の厚みは、各々の複数の層の合計厚みを意味する。その際、該複数存在する第1層(I)または第2層(II)は、同一組成でも、異なる組成からなるものでもよいし、また、厚みは、同一でも、異なってもよい。
4.樹脂積層体フィルムの難燃性
本発明の樹脂積層体フィルムは、十分な難燃性を有する樹脂積層体フィルムである。本発明の樹脂積層体フィルムは、先に述べたように、厚みが3mm以下の薄手のフィルムであり、また、太陽電池モジュール用シート等平面上に延展して使用する用途に用いられるものであることから、該樹脂積層体フィルムの難燃性は、水平燃焼試験による米国規格のUL94HBグレードであることが求められる。UL94HBは、以下の試験方法及び判定基準によって判定される。
<試験片>
長さ5”(127mm)、幅0.5”(12.7mm)の試験片〔厚み0.125”(3.18mm)未満〕を3個用いる。各試験片の片方の端から1”(25.4mm)及び4”(101.6mm)の位置に幅方向に標線を付ける。
<試験方法>
試験片を片端で固定して水平に保持し、その自由端に、ガスバーナーの炎を30秒間接炎させた後、炎を取り去り、標線間〔3”(76.2mm)〕の燃焼速度を求める。
<判定基準>
以下の3つの条件a〜cのいずれかを満たすこと。
a 試験片の厚みが0.12〜0.125”(3.05〜3.18mm)のとき、燃焼速度が1.5”(38.1mm)/分以下であること。
b 試験片の厚みが0.12”(3.05mm)未満のとき、燃焼速度が3”(76.2mm)/分以下であること。
c 試験片の端から4”(101.6mm)の位置に付けた標線に炎が到達するまでに消火すること。
IV.樹脂積層体フィルムの製造方法
本発明の樹脂積層体フィルムを製造するためには、それ自体公知の樹脂積層体フィルムの製造方法を採用することができる。また、本発明の樹脂積層体フィルムにおける第1層(I)及び第2層(II)は、それぞれ独立して、延伸(配向)されたフィルム層でもよいし、未延伸(未配向)のフィルム層でもよいが、第1層(I)は、未延伸(未配向)のフィルム層とすることが好ましい。本発明の樹脂積層体フィルムは、例えば、
i)第1層(I)を形成する樹脂組成物から得られるシート状物と、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物から得られるシート状物とを接着剤で接着する方法;
ii)第1層(I)を形成する樹脂組成物、または、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物から得られるシート状物の上に、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物、または、第1層(I)を形成する樹脂組成物を溶融押出して積層する方法;
iii)第1層(I)を形成する樹脂組成物と第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物とを共押出する方法;または、
iv)第1層(I)を形成する樹脂組成物から得られるシート状物の上に、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物を塗工して積層する方法;
のいずれかの方法によって積層を行う方法で製造することができる。
具体的には、第1層(I)を形成するポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物と、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物とを、それぞれ別々に押出機に投入し溶融混練した後、ダイから吐出させ、それぞれシート状に溶融押出した後、それぞれのシート状物を冷却することなく融着接合させて積層を行ってもよいし、それぞれのシート状物を冷却後、接着剤で接着するドライラミネート法で積層してもよい。なお、第1層(I)または第2層(II)が、延伸フィルムから形成されるときは、接着剤で接着する方法が好ましい。また、第1層(I)を形成する樹脂組成物、または、第2層(II)を形成する樹脂組成物のいずれかをシート状に溶融押出してフィルムを作成した後、該フィルムを、冷却して、または加熱軟化状態のまま、該フィルムの表面に、第2層(II)を形成する樹脂組成物、または、第1層(I)を形成する樹脂組成物のいずれかを溶融押出して積層する、いわゆる押出ラミネーション法によってもよい。さらに、溶融混練状態にある第1層(I)を形成する樹脂組成物と第2層(II)を形成する樹脂組成物とを、ダイからの吐出前にマルチマニホールドダイで合流させた後、積層状態でTダイまたはサーキュラーダイから吐出させる共押出法によってもよい。さらにまた、第1層(I)を形成する樹脂組成物から得られるシート状物の上に、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物の溶液または分散液を、ローラ、ロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、リップコーター等の塗布装置または塗布具によって塗工するコーティングによる積層方法によってもよい。
第1層(I)を形成する樹脂組成物をシート状に溶融押出する方法は、例えば、スリット状のダイを備える押出成形機を使用し、樹脂組成物を200〜300℃、好ましくは210〜280℃、より好ましくは220〜270℃で溶融混練して、シート状に押し出し、80〜150℃、好ましくは110〜135℃の表面温度に保持した冷却ドラムで急冷固化させて未延伸シートを形成する。第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物をシート状に溶融押出する方法も、第1層(I)の形成に準じて実施すればよい。
通常は必要ないが、所望により、延伸された樹脂積層体フィルムを製造する場合は、それぞれ溶融押出して製膜した未延伸のシートを、所望によりそれぞれ一軸または二軸延伸し、所望により更に熱処理した後、接着剤または熱ラミネートで接着積層してもよいし、また、共押出法により積層状態でダイから吐出された未延伸の積層シートを、所望によりそれぞれ一軸または二軸延伸し、所望により更に熱処理してもよい。延伸温度、延伸倍率等の延伸条件は、樹脂の組成に応じて最適の範囲を選定すればよい。
また、第2層(II)として、厚みが3μm以下のフッ素樹脂を含有する樹脂組成物から形成される延伸シートを製造する場合は、ナイロン、ポリプロピレンまたはポリブチレンテレフタレートなどの異種樹脂との未延伸積層シートを形成して、延伸加工を行った後、延伸されたフッ素樹脂の薄膜を剥離する方法によってもよい。
樹脂積層体フィルムが、バリア層を備える場合は、該バリア層の金属箔または樹脂フィルム層と、前記第1層(I)または前記第2層(II)との積層方法は特に限定されず、金属箔または樹脂フィルム層の上に、第1層(I)を形成する樹脂組成物または第2層(II)を形成する樹脂組成物を、溶融状態で積層した後、冷却して樹脂層を形成する、いわゆる押出ラミネーション法や、第1層(I)及び第2層(II)を備える積層シート状物を接着剤により接着する方法などを採用することができる。
V.太陽電池モジュール用シート
本発明の樹脂積層体フィルムは、太陽電池モジュール用シート、または特に、太陽電池モジュール用バックシートに好適に使用することができる。
太陽電池は、太陽光を直接電気エネルギーに変換する発電装置である。太陽電池は、シリコン半導体を材料にするものと、化合物半導体を材料にするものとに大別され、シリコン半導体太陽電池には、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、及びアモルファスシリコン太陽電池がある。本発明の樹脂積層体フィルムは、いずれの太陽電池にも適用することができる。
太陽電池モジュールとは、複数の太陽電池セルを配列して接続し、表面保護材、封止材、及び裏面保護材(バックシート)を用いてパッケージにしたものをいい、太陽電池モジュールの主要な構成要素は、表面保護材、封止材、太陽電池セル、及び裏面保護材(バックシート)であり、複数の太陽電池セルを配線により直列に接続し、太陽電池モジュールを構成する。
表面保護材としては、従来、強化ガラス板、透明プラスチック板、透明プラスチックフィルムが用いられ、いずれも通常シート状のものである。
封止材としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体が汎用されており、注型成形や射出成形による封止成形で形成することもできるが、太陽電池セルの表面側及び裏面側にシート状の封止材を適用することもできる。
裏面保護材(バックシート)としては、従来、単層または多層のプラスチックフィルム、プラスチック板、強化ガラス板、金属板(アルミニウム板、塗装鋼板など)が用いられており、いずれも通常シート状のものである。
太陽電池モジュールの表面保護材は、太陽電池セルを保護するとともに、太陽光を透過させるものであるので、機械的強度や耐光性、耐候性が求められる。封止材も、同様に、機械的強度や耐光性、耐候性が求められる。本発明の樹脂積層体フィルムは、所望により改善された光学特性を有することができるので、太陽電池モジュールの表面保護材用のシートまたは封止材用のシートとして使用することができる。
太陽電池モジュール用バックシートは、太陽電池セルと反対側の表面(最外面)が屋外に直接暴露され、屋根材と近接して配置される一方、太陽電池セル側の表面(封止材との隣接面)が各太陽電池セルの間隙や各太陽電池モジュールの間隙で太陽光に曝される。このため、太陽電池モジュール用バックシートには、耐光性、耐候性、耐熱性、耐湿性、水蒸気バリア性、気体バリア性、電気絶縁性、耐電圧性、機械的特性、耐薬品性、耐塩性、防汚性、封止材との接着性などの諸特性に優れることが求められており、それらの特性に対する要求が一層高度化している。本発明の樹脂積層体フィルムは、太陽電池モジュール用バックシートとして好適に使用することができる。
また、太陽電池モジュールにおいて、内部に水蒸気、酸素ガス等が侵入すると、充填剤層の剥離及び変色、配線の腐食、太陽電池セルの機能低下等を招来するおそれがある。そこで、太陽電池モジュール用バックシートには、強度、耐候性、耐熱性等の基本性能に加えて、水蒸気、酸素ガス等に対するガスバリア性が要求される。ガスバリア性を確保するためにアルミニウム箔を使用する場合は、太陽電池モジュール製造時に、太陽電池セル電極部の突起物が貫通してバックシート中のアルミニウム箔に接触したりすると、太陽電池セルとアルミニウム箔が短絡して電池性能に悪影響を及ぼすという欠点があった。本発明の樹脂積層体フィルム、特に、第1層(I)と第2層(II)との間に、金属または無機酸化物の蒸着層、金属箔、金属または無機酸化物の蒸着層を備える樹脂フィルム層、及びバリア性樹脂フィルム層からなる群より選ばれる少なくとも1種のバリア層を備える樹脂積層体フィルムは、アルミニウム箔が露出することがないので、太陽電池モジュール用バックシートとして好適に使用することができる。
太陽電池モジュール用バックシートには、上記諸特性に優れることに加えて、その太陽電池セル側の表面の外観が美麗であること、更には、太陽電池セルの間隙を透過した入射光をバックシートにより効率的に反射することにより、反射光により太陽電池セルの電力変換効率を向上させる機能が求められる。このため、着色剤を配合することにより隠蔽性を有する太陽電池モジュール用バックシートが求められている。本発明の樹脂積層体フィルムが、酸化チタンまたはカーボンブラックの一方または両方などの着色剤を第1層(I)を形成する樹脂組成物に含有すると、太陽電池モジュール用バックシートとして好適に使用することができる。
以下に実施例を示して本発明を更に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における樹脂積層体フィルムの特性の測定法は、以下のとおりである。
〔難燃性〕
UL94HBに基づき、以下の試験方法及び判定基準によって判定した。
<試験片>
長さ5”(127mm)、幅0.5”(12.7mm)の試験片〔厚み0.12”(3.05mm)未満〕を3個用いた。各試験片の片方の端から1”(25.4mm)及び4”(101.6mm)の位置に幅方向に標線を付けた。
<試験方法>
試験片を片端で固定して水平に保持し、その自由端に、ガスバーナーの炎を30秒間接炎させた後、炎を取り去り、標線間〔3”(76.2mm)〕の燃焼速度を求めた。
<判定基準>
試験片の端から4”(101.6mm)の位置に付けた標線に炎が到達するまでに消火した場合、または、燃焼速度が3”(76.2mm)/分以下であった場合は、UL94HBグレードと判定し、「UL94HB評価」を「A」とする。いずれにも当たらない場合は、UL94HBグレード不合格と判定し、「UL94HB評価」を「D」とした。
〔樹脂フィルムの厚み〕
樹脂フィルムまたは樹脂積層体フィルムの厚みは、株式会社小野測器製のダイヤルゲージ厚み計、DG−911を使用して測定した。
[実施例1]
(1)第1層(I)及び第2層(II)からなる積層体の製造
第1層(I)を形成するための樹脂組成物として、(A)メタクリレート樹脂〔住友化学株式会社製のPMMA樹脂、スミペックス(登録商標)LG21〕13.1質量%、(B)ポリカーボネート樹脂〔出光興産株式会社製のタフロン(登録商標)IR1900〕48.3質量%、(C)コア・シェル型ゴム粒子〔三菱レイヨン株式会社製のメタブレン(登録商標)S2006〕19.0質量%、(D)リン系難燃剤として(D−1)芳香族縮合リン酸エステル(大八化学工業株式会社製のPX−200)5.0質量%、及び(E)フッ素系添加剤として(E−1)ポリテトラフルオロエチレンパウダー(株式会社喜多村製のKTL−610)0.5質量%、並びに、無機顔料として、酸化チタン〔デュポン社製のタイピュア(登録商標)R−101〕14.0質量%、及び、滑剤としてステアリン酸カルシウム(日東化成工業株式会社製)0.1質量%からなる組成物を、第一の押出機に供給し、シリンダー温度を245〜250℃として溶融混練した。一方、第二の押出機に、第2層(II)を形成するための樹脂組成物として、PVDF樹脂(株式会社クレハ製、KF#850)を供給し、シリンダー温度230〜240℃で溶融混練した。第一の押出機及び第二の押出機に接続したマルチマニホルードTダイから溶融樹脂を共押出して、表面を120℃に保った金属ドラム上に第1層(I)側を接触させて冷却し、厚み10μmの第1層(I)及び厚み5μmの第2層(II)を備える樹脂積層体フィルムを得た。この樹脂積層体フィルムについて、難燃性試験を行った。判定結果を表1に示す。なお、難燃性試験中に樹脂積層体フィルムの滴下はみられなかった。
[実施例2]
第一の押出機及び第二の押出機への樹脂組成物の供給量を変更して、厚み15μmの第1層(I)及び厚み5μmの第2層(II)からなる樹脂積層体フィルムを得た。この樹脂積層体フィルムについて、難燃性試験を行った。判定結果を表1に示す。なお、難燃性試験中に樹脂積層体フィルムの滴下はみられなかった。
[実施例3]
第1層(I)を形成するための樹脂組成物について、前記の(A)メタクリレート樹脂を13.2質量%に、及び(B)ポリカーボネート樹脂を48.5質量%にそれぞれ変更し、また、(E)フッ素系添加剤を(E−2)パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩〔DIC株式会社製のメガファック(登録商標)F114〕0.2質量%に変更したことを除いて、実施例1と同様にして、厚み10μmの第1層(I)及び厚み5μmの第2層(II)を備える樹脂積層体フィルムを得た。この樹脂積層体フィルムについて、難燃性試験を行った。判定結果を表1に示す。なお、難燃性試験中に樹脂積層体フィルムの滴下はみられなかった。
[実施例4]
第1層(I)を形成するための樹脂組成物について、前記の(A)メタクリレート樹脂を12.4質量%に、(B)ポリカーボネート樹脂を45.7質量%に、(C)コア・シェル型ゴム粒子を17.8質量%にそれぞれ変更し、また、(D)リン系難燃剤を(D−2)トリフェニルホスフェート(大八化学工業株式会社製のTPP)に変更し、更に(E)フッ素系添加剤を含有せず、その他の樹脂として、PVDF樹脂〔株式会社クレハ製、KF#850〕5.0質量%を含有させたことを除いて、実施例1と同様にして、厚み10μmの第1層(I)及び厚み5μmの第2層(II)を備える樹脂積層体フィルムを得た。この樹脂積層体フィルムについて、難燃性試験を行った。判定結果を表1に示す。
[実施例5]
第2層(II)を形成するための樹脂組成物として、酸化チタン〔デュポン社製のタイピュア(登録商標)R−101〕30質量%と、炭酸カルシウム(竹原化学工業株式会社製のSL−1500)1.5質量%とを含有するPVDF樹脂(株式会社クレハ製、KF#850)の樹脂組成物を用いたことを除いて、実施例1と同様にして、厚み10μmの第1層(I)及び厚み5μmの第2層(II)を備える樹脂積層体フィルムを得た。この樹脂積層体フィルムについて、難燃性試験を行った。判定結果を表1に示す。なお、難燃性試験中に樹脂積層体フィルムの滴下はみられなかった。
[実施例6]
第一の押出機及び第二の押出機への樹脂組成物の供給量を変更して、厚み7.5μmの第1層(I)及び厚み7.5μmの第2層(II)からなる樹脂積層体フィルムを得たことを除いて、実施例5と同様にして、樹脂積層体フィルムを得た。この樹脂積層体フィルムについて、難燃性試験を行った。判定結果を表1に示す。なお、難燃性試験中に樹脂積層体フィルムの滴下はみられなかった。
[実施例7]
第一の押出機及び第二の押出機への樹脂組成物の供給量を変更して、厚み13μmの第1層(I)及び厚み7μmの第2層(II)からなる樹脂積層体フィルムを得たことを除いて、実施例5と同様にして、樹脂積層体フィルムを得た。この樹脂積層体フィルムについて、難燃性試験を行った。判定結果を表1に示す。なお、難燃性試験中に樹脂積層体フィルムの滴下はみられなかった。
[比較例1]
第1層(I)を形成するための樹脂組成物について、前記の(A)メタクリレート樹脂14.9質量%、(B)ポリカーボネート樹脂50.1質量%、及び(C)コア・シェル型ゴム粒子20.9質量%、並びに、無機顔料として、酸化チタン(デュポン社製のタイピュア(登録商標)R−101)14.0質量%、及び、滑剤としてステアリン酸カルシウム(日東化成工業株式会社製)0.1質量%からなる組成物(すなわち、(D)リン系難燃剤及び(E)フッ素系添加剤は含有しない。)に変更したことを除いて、実施例1と同様にして、厚み10μmの第1層(I)及び厚み5μmの第2層(II)を備える樹脂積層体フィルムを得た。この樹脂積層体フィルムについて、難燃性試験を行った。判定結果を表1に示す。なお、難燃性試験中に樹脂積層体フィルムの滴下がみられた。
[比較例2]
実施例4で使用した第1層(I)を形成するための樹脂組成物を用いて、厚み15μmの樹脂単層フィルムを得た(第2層(II)を備えない。)。この樹脂単層フィルムについて、難燃性試験を行った。判定結果を表1に示す。なお、難燃性試験中に樹脂単層フィルムの滴下がみられた。
[比較例3]
第1層(I)を形成するための樹脂組成物について、前記の(C)コア・シェル型ゴム粒子を19.2質量%に変更し、(D)リン系難燃剤に代えて、シリコーン系難燃剤〔株式会社カネカ製のカネエース(登録商標)MR−01〕5.0質量%を含有し、(E)フッ素系添加剤を含有しなかったことを除いて、実施例3と同様にして、厚み10μmの第1層(I)及び厚み5μmの第2層(II)を備える樹脂積層体フィルムを得た。この樹脂積層体フィルムについて、難燃性試験を行った。判定結果を表1に示す。なお、難燃性試験中に樹脂積層体フィルムの滴下がみられた。
Figure 2013069414
表1の結果から、(A)メタクリレート樹脂0.1〜90質量%、(B)ポリカーボネート樹脂5〜90質量%、(C)コア・シェル型ゴム粒子1〜30質量%、及び(D)リン系難燃剤1〜20質量%を含有する樹脂組成物から形成される第1層(I)、及び、フッ素樹脂を含有する樹脂組成物から形成される第2層(II)を備える実施例1〜7のポリカーボネート樹脂を含有する樹脂積層体フィルムは、UL94HBを満たすので、例えば、太陽電池モジュール用シート等の用途に使用するときに求められる、優れた機械的強度と耐久性とともに、十分な難燃性を有することが分かった。特に、第1層が、(E)フッ素系添加剤を含有する実施例1〜3及び5〜7の樹脂積層体フィルムは、難燃性の測定試験中に樹脂積層体フィルムの滴下はみられず、一層優れた難燃性を有することが分かった。
これに対して、(D)リン系難燃剤1〜20質量%を含有しない樹脂組成物から形成される第1層(I)を備える比較例1のポリカーボネート樹脂を含有する樹脂積層体フィルムは、UL94HBを満たさず、難燃性試験中に、該樹脂積層体フィルムの滴下がみられた。また、(D)リン系難燃剤1〜20質量%を含有する樹脂組成物から形成される第1層(I)を備えるが、フッ素樹脂を含有する樹脂組成物から形成される第2層(II)を備えない比較例2のポリカーボネート樹脂を含有する樹脂単層フィルムは、UL94HBを満たさず、難燃性試験中に、該フィルムの滴下がみられた。さらに、(D)リン系難燃剤1〜20質量%を含有せず、シリコーン系難燃剤を含有する樹脂組成物から形成される第1層(I)を備える比較例3のポリカーボネート樹脂を含有する樹脂積層体フィルムは、UL94HBを満たさなかった。
本発明は、(A)メタクリレート樹脂0.1〜90質量%、(B)ポリカーボネート樹脂5〜90質量%、(C)コア・シェル型ゴム粒子1〜30質量%、及び(D)リン系難燃剤1〜20質量%、好ましくは更に(E)フッ素系添加剤0.01〜8質量%を含有する樹脂組成物から形成される第1層(I)、及び、フッ素樹脂、特にPVDF樹脂を含有する樹脂組成物から形成される第2層(II)を備えるポリカーボネート樹脂を含有する難燃性の樹脂積層体フィルムであることによって、5質量%以上のポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物から形成される樹脂層を備え、かつ、UL94HBグレードの難燃性樹脂積層体フィルムを提供することができるので、優れた光学特性、機械的特性、耐候性及び難燃性等を活かした多くの分野に利用することができるため、産業上の利用可能性が高い。
また、本発明の樹脂積層体フィルムは、接着剤で接着するドライラミネート法、溶融押出ラミネート法、共押出法またはコーティング法等によって、容易に製造することができるので、産業上の利用可能性が高い。さらに、本発明は、前記の樹脂積層体フィルムを備える太陽電池モジュール用シート、中でも太陽電池モジュール用バックシートとして好適に使用することができるので、産業上の利用可能性が高い。

Claims (9)

  1. (A)メタクリレート樹脂0.1〜90質量%、(B)ポリカーボネート樹脂5〜90質量%、(C)コア・シェル型ゴム粒子1〜30質量%、及び(D)リン系難燃剤1〜20質量%を含有する樹脂組成物から形成される第1層(I)、及び、
    フッ素樹脂を含有する樹脂組成物から形成される第2層(II)
    を備える難燃性樹脂積層体フィルム。
  2. 前記第1層(I)を形成する樹脂組成物が、更に(E)フッ素系添加剤0.01〜8質量%を含有する請求項1記載の樹脂積層体フィルム。
  3. 前記フッ素樹脂が、フッ化ビニリデン樹脂である請求項1または2記載の樹脂積層体フィルム。
  4. 前記第2層(II)を形成する樹脂組成物が、前記(A)メタクリレート樹脂を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂積層体フィルム。
  5. 前記第1層(I)の厚みと第2層(II)の厚みとの比率が、99/1〜1/99である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂積層体フィルム。
  6. 金属または無機酸化物の蒸着層、金属箔、金属または無機酸化物の蒸着層を備える樹脂フィルム層、及びバリア性樹脂フィルム層からなる群より選ばれる少なくとも1種のバリア層を、更に備える請求項1乃至5のいずれか1項に記載の樹脂積層体フィルム。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂積層体フィルムの製造方法であって、以下のi)〜iv):
    i)第1層(I)を形成する樹脂組成物から得られるシート状物と、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物から得られるシート状物とを接着剤で接着する方法;
    ii)第1層(I)を形成する樹脂組成物、または、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物から得られるシート状物の上に、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物、または、第1層(I)を形成する樹脂組成物を溶融押出して積層する方法;
    iii)第1層(I)を形成する樹脂組成物と第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物とを共押出する方法;または
    iv)第1層(I)を形成する樹脂組成物から得られるシート状物の上に、第2層(II)を形成するフッ素樹脂を含有する樹脂組成物を塗工して積層する方法;
    のいずれかの方法によって、第1層(I)及び第2層(II)の積層を行う前記樹脂積層体フィルムの製造方法。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂積層体フィルムを備える太陽電池モジュール用シート。
  9. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂積層体フィルムを備える太陽電池モジュール用バックシート。
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