JP7188911B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂とリン含有化合物と無機フィラーとを含む積層体に関する。
熱可塑性樹脂は、耐久性、軽量性、及び成形加工性等に優れる。このため、熱可塑性樹脂は、建築分野、家電分野、及び輸送分野等の様々な分野で用いられている。
例えば、熱可塑性樹脂は、鉄道車両、航空機、船舶、及び自動車等の輸送機の内装材として用いられる。上記内装材としては、天井、窓枠、肘掛け、背もたれ、及びテーブル等が挙げられる。
下記の特許文献1には、金属作用表面を有し、透明であり、難燃性ポリカーボネート(PC)又はポリフェニレンスルホン(PPSU)により形成されており、顔料としてイリオジン顔料を含む難燃性プラスチック成形体が開示されている。
下記の特許文献2には、(i)1種以上のポリカーボネート、(ii)任意成分としてポリカーボネートとは異なる1種以上の追加の熱可塑性樹脂、及び(iii)硬質熱可塑性樹脂相中に分散した不連続エラストマー相を含む組成物が開示されている。この組成物は、硬質熱可塑性樹脂相の少なくとも一部がエラストマー相にグラフトした1種以上のゴム改質熱可塑性樹脂を含む。また、この組成物は、硬質熱可塑性樹脂相が1種以上のビニル芳香族モノマーと、1種以上のモノエチレン性不飽和ニトリルモノマーと、(C~C12)アルキル(メタ)アクリレートモノマー及びアリール(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択される1種以上のモノマーとから誘導される構造単位を含む。
WO2006/024331A1 WO2005/080503A1
特許文献1に記載されている成形体や、特許文献2に記載されている組成物の成形体では、ポリカーボネート樹脂が用いられているため、ポリカーボネート樹脂が用いられていない成形体と比べて難燃性をある程度高めることができる。しかしながら、特許文献1,2に記載の成形体でも難燃性の向上効果は十分ではないことがある。
また、従来の成形体では、耐溶剤性が低いことがある。このため、成形体の表面に付着した汚れや、マジック等による落書きを除去するために、溶剤等を用いて成形体の表面を拭いた場合に、該表面が白化等して変色することがある。
また、成形体の耐溶剤性を向上させるために、樹脂基材の表面にアルミニウムシート等の金属シートが配置された成形体が用いられることがある。しかしながら、金属シートが配置された成形体では、プレス成形時の深絞り性が低いため、成形性に劣り、得られる成形体の形状が限定される。例えば、表面に曲面を有する形状や、表面に凹凸を有する形状を有する上記金属シートが配置された成形体を作製することは、困難である。また、金属シートが配置された成形体では、該成形体に付与できる色彩が限定される。
従来の成形体では、成形性、耐溶剤性及び難燃性の全てを良好にすることは困難である。
本発明の目的は、成形性、耐溶剤性及び難燃性に優れる積層体を提供することである。
本発明の広い局面によれば、基材と、前記基材の一方の表面上に配置された接着層と、前記接着層の前記基材側とは反対の表面上に積層された樹脂フィルムとを備え、前記基材が、ポリカーボネート樹脂と、リン含有化合物と、無機フィラーと、耐衝撃性改良剤とを含み、前記樹脂フィルムが、ハロゲン原子を有する樹脂を含み、前記接着層の厚みが、5μm以上40μm以下である、積層体が提供される。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記樹脂フィルムの厚みが、5μm以上50μm以下である。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記樹脂フィルムの厚みと前記接着層の厚みとの合計が、15μm以上60μm以下である。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記樹脂フィルムと前記接着層とが積層された接着層付き樹脂フィルムの酸素指数が、23以上である。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記樹脂フィルムと前記接着層とが積層された接着層付き樹脂フィルムの150℃での引張破断のびが、200%以上である。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記基材が、ポリフェニルスルホン樹脂を含む。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、前記ポリフェニルスルホン樹脂の含有量が30重量%以下である。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記ポリカーボネート樹脂が、下記式(1)で表される構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂である。
Figure 0007188911000001
前記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルキル基に置換基が結合した基、又はアリール基を表し、R3及びR4はそれぞれ、水素原子、又はアルキル基を表す。
本発明に係る積層体は、基材と、上記基材の一方の表面上に配置された接着層と、上記接着層の上記基材側とは反対の表面上に積層された樹脂フィルムとを備える。本発明に係る積層体では、上記基材が、ポリカーボネート樹脂と、リン含有化合物と、無機フィラーと、耐衝撃性改良剤とを含み、上記樹脂フィルムが、ハロゲン原子を有する樹脂を含む。本発明に係る積層体では、上記接着層の厚みが、5μm以上40μm以下である。本発明に係る積層体では、上記の構成が備えられているので、成形性、耐溶剤性及び難燃性に優れる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る積層体は、基材と、上記基材の一方の表面上に配置された接着層と、上記接着層の上記基材側とは反対の表面上に積層された樹脂フィルムとを備える。本発明に係る積層体では、基材と接着層と樹脂フィルムとがこの順で並んで配置されている。本発明に係る積層体では、上記基材が、ポリカーボネート樹脂と、リン含有化合物と、無機フィラーと、耐衝撃性改良剤とを含み、上記樹脂フィルムが、ハロゲン原子を有する樹脂を含む。本発明に係る積層体では、上記接着層の厚みが、5μm以上40μm以下である。
本発明に係る積層体では、上記の構成が備えられているので、成形性、耐溶剤性及び難燃性に優れる。
本発明に係る積層体は、成形性に優れるので、様々な形状を有することができる。例えば、本発明に係る積層体は、矩形状であってもよく、曲面を有する形状であってもよく、凹凸を有する形状であってもよい。上記接着層及び樹脂フィルムが積層されている基材の表面は、平面状であってもよく、曲面を有する形状であってもよく、凹凸を有する形状であってもよい。
また、本発明に係る積層体では、上記の構成が備えられているので、耐衝撃性を高めることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。
図1に示す積層体1は、基材2と、接着層3と、樹脂フィルム4とを備える。接着層3と樹脂フィルム4とで、接着層付き樹脂フィルム5が構成されている。
基材2は、第1の表面2aと第2の表面2bとを有する。第1の表面2aと第2の表面2bとは、互いに対向している。
接着層3は、基材2の第1の表面2a上に配置されている。樹脂フィルム4は、接着層3の基材2側とは反対の表面上に積層されている。接着層3を介して、基材2と樹脂フィルム4とが接着している。基材2と接着層3と樹脂フィルム4とがこの順で並んで配置されている。基材2の第1の表面2a上に、接着層付き樹脂フィルム5が配置されている。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。
図2に示す積層体11は、基材21と、接着層31と、樹脂フィルム41とを備える。接着層31と樹脂フィルム41とで、接着層付き樹脂フィルム51が構成されている。積層体11は円錐台の形状を有する。
基材21は、第1の表面21aと第2の表面21bとを有する。第1の表面21aと第2の表面21bとは、互いに対向している。
接着層31は、円錐台の形状を有する基材21の第1の表面21a上及び側面上に配置されている。樹脂フィルム41は、接着層31の基材21側とは反対の表面上に積層されている。接着層31を介して、基材21と樹脂フィルム41とが接着している。基材21と接着層31と樹脂フィルム41とがこの順で並んで配置されている。基材21の第1の表面21a上及び側面上に、接着層付き樹脂フィルム51が配置されている。
本発明に係る積層体では、上記接着層及び上記樹脂フィルムが、基材の側面上に配置されていてもよく、配置されていなくてもよい。本発明に係る積層体では、基材の上記一方の表面(第1の表面)とは反対の他方の表面(第2の表面)上に上記接着層及び上記樹脂フィルムが、配置されていてもよく、配置されていなくてもよい。
以下、本発明に係る積層体に含まれる成分の詳細などを説明する。
(基材)
上記基材は、ポリカーボネート樹脂と、リン含有化合物と、無機フィラーと、耐衝撃性改良剤とを含む。上記基材は、1層の構造を有していてもよく、2層以上の多層の構造を有していてもよい。上記基材が多層の構造を有する場合には、各層に含まれる成分の種類は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
[ポリカーボネート樹脂]
上記基材は、ポリカーボネート樹脂を含む。上記ポリカーボネート樹脂は、熱可塑性樹脂である。上記ポリカーボネート樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
積層体の難燃性を良好にする観点からは、上記ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネートであることが好ましい。
積層体の難燃性をより一層良好にする観点からは、上記芳香族ポリカーボネート樹脂は、下記式(1)で表される構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
Figure 0007188911000002
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルキル基に置換基が結合した基、又はアリール基を表す。上記式(1)中、R3及びR4はそれぞれ、水素原子、又はアルキル基を表す。上記アリール基は、フェニル基であってもよく、フェニル基が置換基を有する基であってもよい。
上記式(1)中のR3又はR4がアルキル基である場合に、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1以上、好ましくは6以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下である。好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、及びヘプチル基等が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂を得る際に、上記式(1)で表される構造単位を導入するための化合物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-(1-メチルエチル)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-(1-メチルプロピル)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-(1-メチルエチル)フェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-(1-メチルプロピル)フェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3、5-ジメチルフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-(1-メチルエチル)フェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-(1-メチルプロピル)フェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、4,4’-(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-5-トリメチルシクロヘキサン、及び1,1-ビス(4-ヒドロキシ-6-メチル-3-tert-ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
積層体の難燃性を良好にする観点からは、上記芳香族ポリカーボネート樹脂を得る際に、上記式(1)で表される構造単位を導入するための化合物は、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、又は1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)であることが好ましく、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、又は2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)であることがより好ましい。上記芳香族ポリカーボネート樹脂は、このような好ましい化合物に由来する構造単位を有することが好ましい。
ビスフェノールA型化合物に由来する構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂の市販品としては、三菱ガス化学社製「ユーピロンEシリーズ」等が挙げられる。
ビスフェノールZ型化合物に由来する構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂の市販品としては、帝人化成社製「パンライトシリーズ」、及び三菱ガス化学社製「ユーピロンZシリーズ」等が挙げられる。
上記芳香族ポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していてもよく、分岐構造を有していなくてもよい。
上記芳香族ポリカーボネート樹脂は、従来公知の方法で作製することができる。上記芳香族ポリカーボネート樹脂の作製方法としては、溶融重合法、及び相界面法等が挙げられる。
上記溶融重合法により、芳香族ポリカーボネート樹脂を作製する方法としては、ジフェノール化合物とジフェニルカーボネート化合物とを、溶融状態下でエステル交換反応を利用して反応させる方法が挙げられる。この方法では、例えば、ジフェノール化合物とジフェニルカーボネート化合物とを、撹拌機及び留出濃縮装置付きの反応器に入れ、該反応器を窒素ガス雰囲気下で所定の温度まで昇温することで、溶融状態とすることができる。なお、上記溶融重合法により、芳香族ポリカーボネート樹脂を作製する方法において、分岐剤、及び連鎖停止剤等を用いてもよい。
上記相界面法により、芳香族ポリカーボネート樹脂を作製する方法としては、ジフェノール化合物と、炭酸ハロゲン化物又は芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物と、必要に応じて分岐剤と、必要に応じて連鎖停止剤とを反応させる方法が挙げられる。この方法では、炭酸ハロゲン化物を用いてもよく、芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物を用いてもよく、炭酸ハロゲン化物と芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物とを用いてもよい。
上記ジフェノール化合物は、特に限定されない。上記ジフェノール化合物として、従来公知のジフェノール化合物を用いることができる。上記ジフェノール化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記ジフェニルカーボネート化合物は、特に限定されない。上記ジフェニルカーボネート化合物として、従来公知のジフェニルカーボネート化合物を用いることができる。上記ジフェニルカーボネート化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記炭酸ハロゲン化物は、特に限定されない。上記炭酸ハロゲン化物として、従来公知の炭酸ハロゲン化物を用いることができる。上記炭酸ハロゲン化物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記炭酸ハロゲン化物は、ホスゲンであることが好ましい。
上記芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物は、特に限定されない。上記芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物として、従来公知の芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物を用いることができる。上記芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物は、ベンゼンジカルボン酸二ハロゲン化物あることが好ましい。
上記分岐剤は、特に限定されない。上記分岐剤として、従来公知の分岐剤を用いることができる。上記分岐剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記分岐剤は、三官能性フェノール化合物、又は四官能性フェノール化合物であることが好ましく、トリフェノール、テトラフェノール、又は反応性が小さい少なくとも3個の官能基を有するフェノール化合物であることがより好ましく、1,1,1-トリス-(p-ヒドロキシフェニル)エタンであることが更に好ましい。これらの好ましい分岐剤を用いることにより、分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を良好に得ることができる。
上記分岐剤は、アミン官能基を有するフェノール化合物であってもよい。上記分岐剤がアミン官能基を有するフェノール化合物である場合、該アミン官能基が活性官能基として作用し、アミド結合を通じて、芳香族ポリカーボネート樹脂の分岐が生じる。
上記連鎖停止剤は、特に限定されない。上記連鎖停止剤として、従来公知の連鎖停止剤を用いることができる。上記連鎖停止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂を良好に得る観点からは、上記連鎖停止剤は、フェノール;p-クロロフェノール;p-tert-ブチルフェノール;2,4,6-トリブロモフェノール;DE-A 2 842 005に記載の4-(1,3-テトラメチルブチル)-フェノール、及びアルキル置換基中に8以上20以下の炭素原子を有するモノアルキルフェノール等の長鎖アルキルフェノール;及び3,5-ジ-tert-ブチルフェノール、p-イソオクチルフェノール、p-tert-オクチルフェノール、p-ドデシルフェノール、2-(3,5-ジメチルヘプチル)-フェノール、及び4-(3,5-ジメチルヘプチル)-フェノール等のアルキルフェノール等であることが好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂を良好に得る観点からは、上記ジフェノール化合物100molに対して、上記連鎖停止剤の含有量は、好ましくは0.5mol以上、好ましくは10mol以下である。
積層体の難燃性をより一層良好にする観点からは、上記基材100重量%中、上記ポリカーボネート樹脂の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
積層体の難燃性をより一層良好にする観点からは、上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、上記ポリカーボネート樹脂の含有量は、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中の上記ポリカーボネート樹脂の含有量は100重量%(全量)であってもよい。
上記ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、好ましくは10000以上、より好ましくは15000以上、好ましくは50000以下、より好ましくは40000以下である。上記粘度平均分子量が上記下限以上及び上記上限以下であると、積層体の難燃性をより一層良好にすることができる。
上記粘度平均分子量(Mv)は、下記式により算出することができる。
η=KMv
上記式中のηは、毛細管粘度計を用いて、ポリカーボネート樹脂の希釈溶液の流下時間を測定して求められる粘度ηを表す。上記式中のK、aは、ポリカーボネート樹脂の希釈溶液を調製する際に用いた溶媒の種類、及び温度によって定まる定数を表す。
上記基材は、ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。上記ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、及びポリアリレート樹脂等が挙げられる。
積層体の難燃性をより一層良好にする観点からは、上記基材は、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、又はポリアリレート樹脂を含むことが好ましい。上記基材は、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、及びポリアリレート樹脂のうちの1種のみを含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
上記ポリエーテルイミド樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記ポリエーテルイミド樹脂は、下記式(2)で表される構造単位を有するポリエーテルイミド樹脂であることが好ましい。
ポリエーテルイミド樹脂に含まれる下記式(2)で表される構造単位の数は、好ましくは2以上、より好ましくは10以上、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下である。
Figure 0007188911000003
上記式(2)中、R1は、酸素原子、又は2つの芳香族環の3,3’、3,4’、4,3’又は4,4’の位置にて両端が結合している-O-R3-O-基を表す。上記式(2)中、R2は、置換基を有してもよい基を表す。
上記式(2)中、R2としては、炭素原子数が6以上20以下の芳香族炭化水素基、又は該芳香族炭化水素化合物のハロゲン化誘導体構造を有する基;炭素原子数が2以上20以下の直鎖構造又は分岐構造を有するアルキレン基;炭素原子数が3以上20以下の環状構造を有するアルキレン基等が挙げられる。
上記式(2)中、R1が、2つの芳香族環の3,3’、3,4’、4,3’又は4,4’の位置にて両端が結合している-O-R3-O-基を表す場合に、上記R3は、下記式(31)~(39)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 0007188911000004
Figure 0007188911000005
Figure 0007188911000006
Figure 0007188911000007
Figure 0007188911000008
上記式(35)中、Xは、酸素原子、エステル基、カルボニル基、又は炭素数1~8のアルキレン基を表す。上記炭素数1~8のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、及びオクチレン基等が挙げられる。
Figure 0007188911000009
Figure 0007188911000010
Figure 0007188911000011
Figure 0007188911000012
上記ポリエーテルイミド樹脂の市販品としては、SABIC イノベーティブプラスチックスジャパン社製「Ultem 1000-1000」(ガラス転移温度(Tg)211℃)、「Ultem 1010-1000」(ガラス転移温度(Tg)223℃)、及び「Ultem CRS5001-1000」(ガラス転移温度(Tg)235℃)等が挙げられる。
積層体の難燃性をより一層良好にする観点からは、上記基材100重量%中、上記ポリエーテルイミド樹脂の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
なお、上記ポリエーテルイミド樹脂は、用いられなくてもよい。
上記ポリサルホン樹脂としては、ポリフェニルスルホン樹脂、及びポリエーテルスルホン樹脂等が挙げられる。
上記ポリサルホン樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
積層体の難燃性をより一層高める観点からは、上記ポリサルホン樹脂は、ポリフェニルスルホン樹脂であることが好ましい。積層体の難燃性をより一層高め、かつ高い難燃性を維持する観点からは、上記基材は、ポリフェニルスルホン樹脂を含むことが好ましい。
上記ポリフェニルスルホン樹脂の市販品としては、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製「レーデルRポリフェニレンサルホン」、及びBASF社製「ウルトラゾーンP」等が挙げられる。
積層体の難燃性をより一層良好にする観点からは、上記基材100重量%中、上記ポリフェニルスルホン樹脂の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは7重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。
積層体の難燃性をより一層高める観点からは、上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、上記ポリフェニルスルホン樹脂の含有量は、好ましくは7重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは35重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、上記ポリフェニルスルホン樹脂の含有量が35重量%を超えると、上記ポリフェニルスルホン樹脂の含有量が35重量%以下である場合と比べて、真空成形機を用いて低い温度で成形する場合に、成形性が低下し、真空成形機内で積層体の破れが生じることがある。また、上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、上記ポリフェニルスルホン樹脂の含有量が35重量%を超えると、上記ポリフェニルスルホン樹脂の含有量が35重量%以下である場合と比べて、高い温度で成形する場合に、成形性を高めることはできるものの、得られる基材及び積層体が変色することがある。
なお、上記ポリサルホン樹脂は、用いられなくてもよい。
上記ポリアリレート樹脂としては、ビスフェノールA/テレフタル酸型ポリアリレート、ビスフェノールS/テレフタル酸型ポリアリレート、ビフェニル/テレフタル酸型ポリアリレート、ビスフェノールA/ナフタレンジカルボン酸型ポリアリレート、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
上記ポリアリレート樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記ポリアリレート樹脂の市販品としては、ユニチカ社製「Uポリマー」、UCC社製「アーデル」、ソルベー社製「アリレフ」、バイエル社製「APE」、フッカー社製「デュレル」、鐘淵化学社製「NAP樹脂」、デュポン社製「アリロン」、及び住友化学社製「エコノール」等が挙げられる。
積層体の難燃性をより一層良好にする観点からは、上記基材100重量%中、上記ポリアリレート樹脂の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは35重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
なお、ポリアリレート樹脂は、用いられなくてもよい。
上記ポリエーテルイミド樹脂及び上記ポリサルホン樹脂は、該樹脂を含む樹脂層に難燃性を良好に付与することができる樹脂である。上記ポリエーテルイミド樹脂又は上記ポリサルホン樹脂を含む樹脂基材では、該樹脂基材が燃えた場合でも、該樹脂基材の表面に良好にチャーが形成され、酸素の供給量を抑えることができる。しかしながら、上記ポリエーテルイミド樹脂又は上記ポリサルホン樹脂を含む樹脂基材は、耐衝撃性が劣ることがある。本発明に係る積層体では、上記の構成が備えられているので、上記ポリエーテルイミド樹脂及び上記ポリサルホン樹脂が含まれていても、積層体の難燃性及び耐衝撃性を良好にすることができる。
[リン含有化合物]
上記基材は、リン含有化合物を含む。上記リン含有化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
本発明に係る積層体では、上記基材がリン含有化合物を含むので、積層体の難燃性を良好にすることができる。上記基材がリン含有化合物を含まない場合、得られる積層体の難燃性が劣ることがある。
上記リン含有化合物は、ハロゲン原子を有するリン含有化合物であってもよく、ハロゲン原子を有さないリン含有化合物であってもよく、ハロゲン原子を有さないリン含有化合物とハロゲン原子を有するリン含有化合物との混合物であってもよい。
上記リン含有化合物は、リン原子を含む化合物であればよく、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、及びジフェニルフェノール等から誘導される化合物でもよい。
上記リン含有化合物としては、リン酸モノマー、リン酸オリゴマー、ホスホン酸エステル、ホスホネートアミン、ホスファゼン、及びリン酸エステル等が挙げられる。
上記リン酸エステルとしては、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、ジフェニルクレシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、ジフェニル-2-エチルクレシルホスフェート、トリ-(イソプロピルフェニル)ホスフェート、レソルシノール架橋ジホスフェート、及びビスフェノールA架橋ジホスフェート等が挙げられる。上記リン酸エステルは、ビスフェノールAから誘導されるオリゴマーリン酸エステルであることが好ましい。
積層体の難燃性をより一層良好にする観点からは、上記基材100重量%中、上記リン含有化合物の含有量は、好ましくは2重量%以上、より好ましくは4重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記リン含有化合物の含有量は、好ましくは6重量部以上、より好ましくは7重量部以上、好ましくは25重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対する上記リン含有化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、積層体の難燃性をより一層良好にすることができる。
[無機フィラー]
上記基材は、無機フィラーを含む。上記無機フィラーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
本発明に係る積層体では、上記基材が無機フィラーを含むので、積層体の難燃性を良好にすることができる。上記基材が無機フィラーを含まない場合、得られる積層体の難燃性が劣ることがある。
上記無機フィラーとしては、タルク、マイカ、モンモリロナイト、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、粘度鉱物、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、無機系リン化合物、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、及びジルコニア繊維等が挙げられる。
積層体の難燃性をより一層良好にする観点からは、上記無機フィラーは、タルク、マイカ、又はモンモリロナイトであることが好ましい。
上記タルクは圧縮タルクであってもよい。上記タルクが圧縮タルクであると、樹脂組成物の加工が容易である。
上記無機フィラーは、シラン化等の表面処理がされていてもよい。上記無機フィラーがシラン化等の表面処理された無機フィラーである場合、上記ポリカーボネート樹脂との相溶性がより一層良好になる。
積層体の難燃性及び耐衝撃性をより一層良好にする観点からは、上記無機フィラーの体積平均粒子径(D50)は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは6μm以下である。上記無機フィラーの体積平均粒子径(D50)が、上記上限以下であると、隣接する無機フィラー間の重心距離が小さく、無機フィラーの粒子数が多い基材及び積層体を得ることができる。隣接する無機フィラー間の重心距離が小さく、無機フィラーの粒子数が多い基材及び積層体は、難燃性及びガスバリア性により一層優れる。隣接する無機フィラー間の重心距離が小さく、無機フィラーの粒子数が多いと、基材が燃えたとしても、無機フィラーの間隙に流入する酸素量を抑えることができ、また、燃焼時に発生する可燃性ガスの放出を抑えることができる。また、隣接する無機フィラー間の重心距離が小さく、無機フィラーの粒子数が多い基材及び積層体は、優れた耐衝撃性を有しやすい。
上記無機フィラーの体積平均粒子径は、体積基準で測定される平均径であり、50%となるメディアン径(D50)の値である。上記体積平均粒子径(D50)は、レーザー回折・散乱法、画像解析法、コールター法、及び遠心沈降法等により測定可能である。上記無機フィラーの体積平均粒子径(D50)は、レーザー回折・散乱法による測定により求めることが好ましい。
上記基材100重量%中、上記無機フィラーの含有量は、好ましくは8重量%以上、より好ましくは12重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記無機フィラーの含有量が上記下限以上であると、積層体の難燃性をより一層良好にすることができる。上記無機フィラーの含有量が上記上限以下であると、積層体の耐衝撃性をより一層良好にすることができる。
上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記無機フィラーの含有量は、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、好ましくは30重量部以下、より好ましくは25重量部以下である。上記無機フィラーの含有量が上記下限以上であると、積層体の難燃性をより一層良好にすることができる。上記無機フィラーの含有量が上記上限以下であると、積層体の耐衝撃性をより一層良好にすることができる。
[耐衝撃性改良剤]
上記基材は、耐衝撃性改良剤を含む。上記耐衝撃性改良剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
本発明に係る積層体では、上記基材が耐衝撃性改良剤を含むので、積層体の耐衝撃性を良好にすることができる。上記基材が耐衝撃性改良剤を含まない場合、得られる積層体の耐衝撃性が劣ることがある。
上記耐衝撃性改良剤としては、天然ゴム、フッ素エラストマー、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレン-ブテンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM)、アクリレートゴム、水素化ニトリルゴム(HNBR)、シリコーンエラストマー、シリコーン油、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、SAN、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン(AES)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)、及び高ゴムグラフト(HRG)ABS等が挙げられる。
上記耐衝撃性改良剤の種類によっては、積層体の難燃性が劣ったり、積層体が燃焼した場合に、煙濃度及び煙毒性が高くなったりすることがある。積層体の難燃性及び耐衝撃性を良好にし、かつ積層体が燃焼した場合でも、煙濃度及び煙毒性を低く抑える観点からは、上記耐衝撃性改良剤は、シリコーンエラストマーであることが好ましい。
上記基材100重量%中、上記耐衝撃性改良剤の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、好ましくは15重量%以下、より好ましくは12重量%以下である。上記耐衝撃性改良剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、積層体の耐衝撃性をより一層良好にすることができる。
[他の成分]
上記基材は、本発明の目的を阻害しない範囲で、他の成分を含んでいてもよい。
上記他の成分としてはドリップ防止剤、抗酸化剤、熱安定化剤、光安定化剤、UV吸収剤、着色剤、可塑剤、潤滑剤、離型剤、及び補強剤等が挙げられる。上記他の成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記基材が上記他の成分を含む場合、該他の成分の含有量は特に限定されないが、例えば、上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記他の成分の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは0.5重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
上記ドリップ防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記ドリップ防止剤としては、フッ素化ポリマー等が挙げられる。
上記フッ素化ポリマーとしては、フッ素化アルファ-オレフィンモノマーを構造単位とするホモポリマー、及びフッ素化アルファ-オレフィンモノマーを構造単位に含むコポリマー等が挙げられる。上記フッ素化ポリマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フッ素化アルファ-オレフィンモノマーとは、少なくとも1つのフッ素原子を有する置換基を含むアルファ-オレフィンモノマーである。
上記フッ素化アルファ-オレフィンモノマーとしては、テトラフルオロエチレン(CF=CF)、CHF=CF、フッ化ビニリデン(CH=CF)、CH=CHF、クロロトリフルオロエチレン(CClF=CF)、CCl=CF、CClF=CClF、CHF=CCl、CH=CClF、CCl=CClF、ヘキサフルオロプロピレン(CF=CFCF)、CFCF=CHF、CFCH=CF、CFCH=CH、CFCF=CHF、CHFCH=CHF、及びCFCH=CH等が挙げられる。
上記フッ素化ポリマーとしては、ポリ(テトラフルオロエチレン)ホモポリマー(PTFE)、ポリ(ヘキサフルオロエチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロエチレン)、及びポリ(テトラフルオロエチレン-エチレン-プロピレン)等が挙げられる。上記ポリ(テトラフルオロエチレン)ホモポリマー(PTFE)は、繊維形成性であってもよく、非繊維形成性であってもよい。
上記抗酸化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記抗酸化剤としては、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト等のオルガノホスファイト;アルキル化モノフェノール;アルキル化ポリフェノール;テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン等のポリフェノールとジエンのアルキル化反応生成物;パラ-クレゾール又はジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物;アルキル化ヒドロキノン;ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;アルキリデン-ビスフェノール;ベンジル化合物;ベータ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールのエステル;ベータ-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル;ジステアリルチオプロピオネート、ジラウリルチオプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリトリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のチオアルキル化合物又はチオアリール化合物のエステル;及びベータ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド化合物等が挙げられる。
上記基材が上記抗酸化剤を含む場合、上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記抗酸化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以下である。
上記熱安定化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱安定化剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス-(2,6-ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス-(モノ-ノニルフェニル)ホスファイトとトリス-(ジ-ノニルフェニル)ホスファイトとの混合物等のオルガノホスファイト;ジメチルベンゼンホスホネート等のホスホネート;及びトリメチルホスフェート等のホスフェート等が挙げられる。
上記基材が上記熱安定化剤を含む場合、上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記熱安定化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以下である。
上記光安定化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光安定化剤としては、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール;及び2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
上記基材が上記光安定化剤を含む場合、上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記光安定化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、好ましくは5重量部以下である。
上記UV吸収剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記UV吸収剤としては、ヒドロキシベンゾフェノン;ヒドロキシベンゾトリアゾール;ヒドロキシベンゾトリアジン;シアノアクリレート;オキサニリド;ベンゾオキサジノン;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール;2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン;2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)-フェノール;2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン);1,3-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン;2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン);1,3-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン;及び平均粒子径が100nm以下の無機物質等が挙げられる。
上記無機物質としては、酸化チタン、酸化セリウム、及び酸化亜鉛等が挙げられる。
上記基材が上記UV吸収剤を含む場合、上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記UV吸収剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、好ましくは5重量部以下である。
上記着色剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記着色剤としては、二酸化チタン、カーボンブラック、及び有機染料等が挙げられる。
上記可塑剤、上記潤滑剤、又は上記離型剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。可塑剤として用いられる化合物には、潤滑剤や雛形剤の性質をも有する化合物が多く、潤滑剤として用いられる化合物には、雛形剤や可塑剤の性質をも有する化合物が多く、雛形剤として用いられる化合物には、可塑剤や潤滑剤の性質をも有する化合物が多い。
上記可塑剤、潤滑剤、又は離型剤としては、ジオクチル-4,5-エポキシ-ヘキサヒドロフタレート等のフタル酸エステル;トリス-(オクトキシカルボニルエチル)イソシアヌレート;トリステアリン;ポリ-アルファ-オレフィン;エポキシ化大豆油;エステル;アルキルステアリルエステル等の脂肪酸エステル;メチルステアレート、ステアリルステアレート、ペンタエリトリトールテトラステアレート等のステアレート;ポリエチレングリコールポリマー、ポリプロピレングリコールポリマー、ポリ(エチレングリコール-co-プロピレングリコール)コポリマー等の親水性および疎水性の非イオン性界面活性剤とメチルステアレートとの混合物;メチルステアレートとポリエチレン-ポリプロピレングリコールコポリマーとの混合物;及び蜜ろう、モンタンワックス、パラフィンワックス等のワックス等が挙げられる。
上記基材が上記可塑剤、潤滑剤、又は離型剤を含む場合、上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記可塑剤、潤滑剤、及び離型剤の各含有量は、好ましくは0.1重量部以上、好ましくは1重量部以下である。
上記補強剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記補強剤としては、ガラスファイバー等の繊維状の補強剤等が挙げられる。
上記基材が上記補強剤を含む場合、上記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記補強剤の含有量は、好ましくは1重量部以上、より好ましくは10重量部以上、好ましくは25重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。
ドリップ防止剤、抗酸化剤、熱安定化剤、光安定化剤、UV吸収剤、着色剤、可塑剤、潤滑剤、離型剤、及び補強剤等の各成分の相対量は、積層体の低煙濃度性、低煙毒性、及び延性等の機械的特性等に重要な影響を与える。積層体のある特性を向上させるために、ある成分を多く配合しても、他の特性が低下する可能性がある。
本発明に係る積層体では、成形性に優れるので、上記基材の形状は特に限定されない。
上記基材の厚みは、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.5mm以上、好ましくは8mm以下、より好ましくは6.5mm以下である。上記基材の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、耐溶剤性及び難燃性をより一層高めることができる。なお、基材の厚みは、目的とする積層体の形状等により、適宜変更できる。
(接着層)
上記接着層は、上記基材と上記樹脂フィルムとを接着させる層である。上記接着層を介して、上記基材と上記樹脂フィルムとが接着している。
上記接着層の材料は、特に限定されない。上記接着層の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記接着層の材料としては、アクリル接着剤、ウレタン接着剤、シリコーン接着剤、及びゴム系粘着剤等が挙げられる。
上記基材と上記接着層との接着性を高める観点、及び上記樹脂フィルムと上記接着層との接着性を高める観点からは、上記接着層の材料は、アクリル接着剤、又はシリコーン接着剤であることが好ましい。
上記基材と上記樹脂フィルムとを良好に接着させ、上記基材への張り合わせ時にしわ及び破れが発生することを抑制し、成形性を高める観点から、上記接着層の厚みは、5μm以上40μm以下である。上記接着層の厚みが5μm未満又は40μmを超えると、成形性に劣ることがある。また、上記接着層の厚みが40μmを超えると、難燃性が低下することがある。
上記基材と上記樹脂フィルムとをより一層良好に接着させ、上記基材への張り合わせ時にしわ及び破れが発生することをより一層効果的に抑制し、積層体の成形性をより一層高める観点、難燃性をより一層良好にする観点からは、上記接着剤の厚みは、好ましくは15μm以上、好ましくは20μm以下である。
(樹脂フィルム)
本発明に係る積層体では、樹脂フィルムが備えられているので、成形性及び耐溶剤性を良好にすることができる。
上記樹脂フィルムは、ハロゲン原子を有する樹脂を含む。上記樹脂フィルムの材料は、ハロゲン原子を有する樹脂を含む。上記ハロゲン原子を有する樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
成形性を良好にする観点からは、上記ハロゲン原子を有する樹脂は、ハロゲン原子を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。
上記ハロゲン原子を有する樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、及びエチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素樹脂等が挙げられる。
成形性、耐溶剤性及び難燃性をより一層良好にする観点からは、上記ハロゲン原子を有する樹脂は、フッ素樹脂であることが好ましい。成形性及び耐溶剤性をより一層良好にする観点からは、上記樹脂フィルムが、フッ素樹脂を含むことが好ましい。
上記樹脂フィルム100重量%中、上記ハロゲン原子を有する樹脂の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、好ましくは100重量%以下である。上記ハロゲン原子を有する樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、成形性及び耐溶剤性をより一層良好にすることができる。
上記樹脂フィルムは、上記ハロゲン原子を有する樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。上記ハロゲン原子を有する樹脂以外の樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。上記ハロゲン原子を有する樹脂以外の樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記ハロゲン原子を有する樹脂以外の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、及びポリフェニレンスルファイド樹脂(PPS)等が挙げられる。
上記樹脂フィルムの厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは15μm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは25μm以下である。上記樹脂フィルムの厚みが上記下限以上であると、上記基材への張り合わせ時にしわ及び破れが発生することを抑制することができ、積層体の成形性及び耐溶剤性をより一層良好にすることができる。上記樹脂フィルムの厚みが上記上限以下であると、難燃性を良好にすることができる。
上記樹脂フィルムの厚みと上記接着層の厚みとの合計は、好ましくは15μm以上、より好ましくは30μm以上、好ましくは60μm以下、より好ましくは50μm以下である。上記樹脂フィルムの厚みと上記接着層の厚みとの合計が上記下限以上であると、上記基材への張り合わせ時にしわ及び破れが発生することを抑制することができ、積層体の成形性及び耐溶剤性をより一層良好にすることができる。上記樹脂フィルムの厚みと上記接着層の厚みとの合計が上記上限以下であると、難燃性を良好にすることができる。
(積層体の他の詳細)
本発明に係る積層体において、上記樹脂フィルムの厚みをXμm、上記接着層の厚みをYμmとする。厚みXμmの樹脂フィルムと、厚みYμmの接着層とが積層された、厚み(X+Y)μmの積層フィルムを、「接着層付き樹脂フィルム」と称する。
上記接着層付き樹脂フィルムは、上記樹脂フィルムと上記接着層とが積層された積層フィルムである。上記接着層付き樹脂フィルムは、上記基材、上記接着層及び上記樹脂フィルムのみを備える積層体において、該基材を除く部分である。
上記接着層付き樹脂フィルムは、上記積層体の表面を切削等して、樹脂フィルムと接着層とを切り出すことにより得ることができる。また、上記接着層付き樹脂フィルムは、樹脂フィルムの材料を成形して樹脂フィルムを得た後、該樹脂フィルムの表面に接着層の材料を塗布することにより得ることができる。
上記樹脂フィルムと上記接着層とが積層された上記接着層付き樹脂フィルムの酸素指数は、好ましくは23以上、より好ましくは27以上である。上記酸素指数が上記下限以上であると、難燃性をより一層良好にすることができる。
上記酸素指数は、キャンドル燃焼試験装置を用いて、JIS K7201-2に準拠して測定される。なお、酸素指数を測定するために用いる接着層付き樹脂フィルムの形状(試験片の形状)は、JIS K7201-2に準拠した試験片VI形であることが好ましい。また、上記酸素指数は、15個の試験片の測定値の平均値であることが好ましい。
上記樹脂フィルムと上記接着層とが積層された上記接着層付き樹脂フィルムの150℃での引張破断伸びは、好ましくは200%以上、より好ましくは300%以上である。上記接着層付き樹脂フィルムの150℃での引張破断伸びが上記下限以上であると、上記基材への張り合わせ時にしわ及び破れが発生することを抑制し、成形性を高めることができる。
上記引張破断伸びは、万能材料試験装置を用いて、150℃において、JIS K7127に準拠して測定される。上記引張破断伸びは、破断時ののびである。なお、150℃での引張破断伸びを測定するために用いる接着層付き樹脂フィルムの形状(試験片の形状)は、JIS K7127に準拠した試験片1B形であることが好ましい。150℃での引張破断伸びの測定は、引張速度50mm/分の条件で行うことが好ましい。また、150での引張破断伸びを測定する前に、上記試験片は、恒温槽等を用いて、温度150℃で2時間以上放置されることが好ましい。また、上記150℃での引張破断伸びは、5個の試験片の測定値の平均値であることが好ましい。
本発明に係る積層体は、耐溶剤性及び難燃性に優れるので、輸送機の内装材であることが好ましい。上記輸送機としては、鉄道車両、航空機、船舶、及び自動車等が挙げられる。上記内装材としては、天井、窓枠、肘掛け、背もたれ、及びテーブル等が挙げられる。耐溶剤性及び難燃性が特に要求されることから、本発明に係る積層体は、鉄道車両の内装材であることが好ましい。
本発明に係る積層体は、例えば、以下の(1)、(2)の方法により製造することができる。
(1)樹脂フィルムの材料を成形し、樹脂フィルムを作製する。得られた樹脂フィルムの表面に接着層の材料を塗布して、樹脂フィルムと接着層とが積層された接着層付き樹脂フィルム(積層フィルム)を得る。基材の材料を成形し、基材を作製する。基材の表面と、接着層付き樹脂フィルムの接着層側の表面とが接するように、基材の表面上に接着層付き樹脂フィルムを配置する。なお、接着層付き樹脂フィルムを配置する際の基材は、完全に固化していなくてもよい。接着層付き樹脂フィルムを配置後に冷却等して基材を固化させてもよい。
(2)樹脂フィルムの材料を成形し、樹脂フィルムを作製する。基材の材料を成形し、基材を作製する。基材の表面上に接着剤の材料を塗布して接着層を形成した後、該接着層の表面上に樹脂フィルムを積層する。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
以下の基材の材料を用意した。
(熱可塑性樹脂)
芳香族ポリカーボネート樹脂1(ビスフェノールA型化合物に由来する構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂、三菱ガス化学社製「ユーピロンEシリーズ」、粘度平均分子量20000)
芳香族ポリカーボネート樹脂2(ビスフェノールC型化合物に由来する構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量33000)
ポリフェニルサルホン樹脂(ソルベイスペシャルティポリマーズ社製「Radel」)
上記芳香族ポリカーボネート樹脂2は、下記の合成例1に従い合成した。
(合成例1)
2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン26.14モル(6.75kg)と、ジフェニルカーボネート26.79モル(5.74kg)とを、撹拌機及び留出凝縮装置付きのSUS製反応器(内容積10リットル)内に入れた。次いで、SUS製反応器内を窒素ガスに置換後、窒素ガス雰囲気下で220℃まで30分間かけて昇温した。次いで、SUS製反応器内の溶液を撹拌し、溶融状態下の溶液にエステル交換反応触媒として炭酸セシウム(CsCO)を、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対して1.5×10-6モルとなるように加え、窒素ガス雰囲気下で、220℃で30分間、溶液を撹拌した。次いで、220℃に維持したままでSUS製反応器内の圧力を40分かけて100Torrに減圧した。次いで、溶液を100分間反応させ、フェノールを留出させた。次いで、SUS製反応器内を284℃まで60分間かけて昇温し、かつ3Torrまで減圧した。このようにして、留出理論量のほぼ全量に相当するフェノールを留出させた。次いで、同温度下でSUS製反応器内の圧力を1Torr未満に保ちつつ、さらに60分間反応させて重縮合反応を行った。次いで、溶融状態の反応液を2軸押出機に送入した後、炭酸セシウムに対して4倍モル量のp-トルエンスルホン酸ブチルを2軸押出機の第1供給口から供給した。反応液とp-トルエンスルホン酸ブチルとを混練した後、反応液を2軸押出機のダイを通してストランド状に押し出し、カッターで切断して芳香族ポリカーボネート樹脂のペレットを得た。
(無機フィラー)
タルク(イメリススペシャリティーズ社製「Jet Fine 3CA」、体積平均粒子径4.8μm)
(リン含有化合物)
リン酸オリゴマー(ICLジャパン社製「Fyrol Flex Sol DP」)
(耐衝撃性改良剤)
シリコーン・アクリルコアシェルゴム(三菱レイヨン社製「メタブレン SX-005」)
以下の接着層の材料を用意した。
アクリル接着剤(ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、綜研化学社製「SKダイン#1100」)
シリコーン接着剤(シリコーン、信越シリコーン社製「KR-105」)
以下の樹脂フィルムの材料を用意した。
フッ素樹脂(ハロゲン原子を有する樹脂):
ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)
エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)
ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)
ハロゲン原子を有さない熱可塑性樹脂:
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)
ポリフェニレンスルファイド樹脂(PPS)
(実施例1)
樹脂フィルムの作製:
下記の表1に示す樹脂をTダイによるチルロール法を用いて成形し、厚み5μmの樹脂フィルムを得た。
接着層付き樹脂フィルムの作製:
下記の表1に示す接着剤を、得られた樹脂フィルムの一方の表面上に、塗工ロールを用いて塗布することで、樹脂フィルムの一方の表面上に接着層を形成した。このようにして、厚み5μmの樹脂フィルムと厚み15μmの接着層とが積層された、厚み20μmの接着層付き樹脂フィルムを得た。
積層体(成形体)の作製:
下記の表1に示す基材の配合成分を、下記の表1に示す配合量(重量%)で、ストランド金型を備える混練二軸押出機へ投入し、溶融温度270℃、圧力0.7バール(真空)、回転速度150rpmの条件下で、ストランド状に溶融押出しを行った。溶融押出しによって得られたサンプルを水冷式で冷却し、ペレタイザーを用いてペレット状にした。
シート金型を備える単軸押出機を用いて、得られたペレット状のサンプルをシート状に押出しながら、シート状のサンプルの一方の表面上に、得られた接着層付き樹脂フィルムの接着層側の表面が接するように、接着層付き樹脂フィルムを積層しながら、冷却ロールを通過させて、圧着及び冷却した。このようにして、基材と接着層と樹脂フィルムとが積層された積層体(成形体)を得た。なお、得られた積層体の厚みは3mmであった。
(実施例2~5、比較例2~5)
基材、接着層及び樹脂フィルムの組成、接着層及び樹脂フィルムの厚みを下記の表1,2に示すように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、積層体(成形体)を作製した。
(比較例1)
成形体(基材)の作製:
下記の表2に示す基材の配合成分を、下記の表2に示す配合量(重量%)で、ストランド金型を備える混練二軸押出機へ投入し、溶融温度270℃、圧力0.7バール(真空)、回転速度150rpmの条件下で、ストランド状に溶融押出しを行った。溶融押出しによって得られたサンプルを水冷式で冷却し、ペレタイザーを用いてペレット状にした。
シート金型を備える単軸押出機を用いて、得られたペレット状のサンプルをシート状に押出した。押出し後、冷却した。このようにして、接着層と樹脂フィルムとを備えない成形体(基材)を得た。なお、得られた成形体の厚みは3mmであった。
(評価)
(1)接着層付き樹脂フィルムの酸素指数
得られた接着層付き樹脂フィルムを打ち抜きして、JIS K7201-2に準拠した試験片VI形(長さ150mm×幅20mm)を得た。なお、試験片VI形の厚みは、得られた接着層付き樹脂フィルムの厚みと同一である。この試験片VI形について、東洋精機製作所社製「キャンドル燃焼試験器AC2型」を用いて、JIS K7201-2に準拠して、酸素指数を測定した。15個の試験片VI形について測定を行い、その平均値を接着層付き樹脂フィルムの酸素指数とした。
(2)接着層付き樹脂フィルムの150℃での引張破断伸び
得られた接着層付き樹脂フィルムを打ち抜きして、JIS K7127に準拠した試験片1B形(長さ150mm×両端の幅20mm)を得た。なお、試験片1B形の厚みは、得られた接着層付き樹脂フィルムの厚みと同一である。得られた試験片1B形を、恒温槽を用いて、温度150℃で2時間以上放置した。島津製作所社製「オートグラフ AG-10TB」を用いて、JIS K7127に準拠して、引張速度50mm/分、温度150℃で接着層付き樹脂フィルムの引張破断伸びを測定した。5個の試験片1B形について測定を行い、その平均値を、接着層付き樹脂フィルムの150℃での引張破断伸びとした。
(3)耐溶剤性
実施例1~5及び比較例2~4で得られた積層体の樹脂フィルム側の表面、及び比較例1で得られた成形体の表面に、アセトン3mLを添加し、10cm×10cmに広げた後、1分間放置した。放置後、アセトンを乾いた布で拭き取り、積層体の表面を目視にて観察した。
[耐溶剤性の判定基準]
○:アセトンの添加前後で、積層体(成形体)の表面に変化が生じない
×:アセトンの添加後に、積層体(成形体)の表面が白化する等の変化が生じる
(4)難燃性
実施例1~5及び比較例2~4で得られた積層体、及び比較例1で得られた成形体から、縦100mm×横100mm×厚み3mmの試験片を切り出し、ISO5660-1に準拠して、輻射熱50kW/m、測定時間20分の条件で測定を行い、発熱速度を測定した。測定した発熱速度から、EN45545-2に準拠して平均最大発熱速度を求めた。
[難燃性の判定基準]
○:最大平均発熱速度が90kW/m以下
×:最大平均発熱速度が90kW/mを超える
(5)成形性(熱賦形性)
基材の材料を成形し、第1の表面の直径1インチ、第2の表面の直径1.3インチ、高さ3インチ、テーパー角度3%の円錐台の形状を有する基材を得た。真空成形機(Formech社製「3000XQ」)を用いて、基材の第1の表面上及び側面上に、得られた接着層付き樹脂フィルムの接着層側から該接着層付き樹脂フィルムを圧着し、図2に示す形状を有する積層体(成形体)を得た。なお、圧着時の条件は、加熱温度約200℃、加熱時間約200秒とした。得られた積層体(成形体)の表面を目視にて観察した。なお、実施例5では、圧着時の加熱温度を約240℃とした。また、比較例1では、評価を行わなかった。
[成形性の判定基準]
○:積層体に破れが生じない
×:積層体に破れが生じる
成形体の構成、並びに結果を下記の表1,2に示す。なお、(5)成形性(熱賦形性)において、実施例5で得られた積層体は、実用上問題とならない程度の変色が生じていた。
Figure 0007188911000013
Figure 0007188911000014
1…積層体
2…基材
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3…接着層
4…樹脂フィルム
5…接着層付き樹脂フィルム
11…積層体
21…基材
21a…第1の表面
21b…第2の表面
31…接着層
41…樹脂フィルム
51…接着層付き樹脂フィルム

Claims (9)

  1. 基材と、
    前記基材の一方の表面上に配置された接着層と、
    前記接着層の前記基材側とは反対の表面上に積層された樹脂フィルムとを備え、
    前記基材が、ポリカーボネート樹脂と、リン含有化合物と、無機フィラーと、耐衝撃性改良剤とを含み、
    前記樹脂フィルムが、フッ素樹脂を含み、
    前記接着層の厚みが、5μm以上40μm以下である、積層体。
  2. 前記基材が、基材(但し、前記ポリカーボネート樹脂、前記リン含有化合物、前記無機フィラー及び前記耐衝撃性改良剤と共にメタクリレート樹脂を含む基材を除く)である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記樹脂フィルムの厚みが、5μm以上50μm以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記樹脂フィルムの厚みと前記接着層の厚みとの合計が、15μm以上60μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記樹脂フィルムと前記接着層とが積層された接着層付き樹脂フィルムの酸素指数が、23以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記樹脂フィルムと前記接着層とが積層された接着層付き樹脂フィルムの150℃での引張破断のびが、200%以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記基材が、ポリフェニルスルホン樹脂を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記基材に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、前記ポリフェニルスルホン樹脂の含有量が30重量%以下である、請求項7に記載の積層体。
  9. 前記ポリカーボネート樹脂が、下記式(1)で表される構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂である、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体。
    Figure 0007188911000015

    前記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数1以上20以下のアルキル基に置換基が結合した基、又はアリール基を表し、R3及びR4はそれぞれ、水素原子、又はアルキル基を表す。
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