JP5285220B2 - 芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物および光拡散性成形品 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物および光拡散性成形品 Download PDF

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Description

本発明は、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物および光拡散性成形品に関する。
芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、自己消火性(難燃性)等に優れていることから、電気・電子・OA機器、光学部品、精密機械、自動車、保安・医療、建材、雑貨等の幅広い分野に使用されている。また、芳香族ポリカーボネート系樹脂に無機微粒子、高分子微粒子等の光拡散剤を配合した樹脂組成物からなる光拡散性成形品は、アクリル樹脂からなる光拡散性成形品に比べ、耐熱性および寸法安定性に優れることから、電灯カバー、メーター、看板(特に内照式)、樹脂窓ガラス、画像読取装置または画像表示装置用の光拡散板(例えば、液晶表示装置等のバックライトモジュールに使用される光拡散板、プロジェクターテレビ等の投影型表示スクリーンに使用される光拡散板等)、光拡散フィルム(例えば、液晶表示装置の輝度向上等に利用される高透過光拡散フィルム等)等、幅広い分野で使用されている。
光拡散性成形品の材料となる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物としては、芳香族ポリカーボネート系樹脂に炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化ケイ素、酸化チタン等の光拡散剤を添加した樹脂組成物(特許文献1)、部分的に架橋したポリマー微粒子を芳香族ポリカーボネート系樹脂に添加した樹脂組成物(特許文献2)、不融性アクリル系重合体微粒子、酸化チタンおよび珪素化合物を芳香族ポリカーボネート系樹脂に添加した樹脂組成物(特許文献3、4)が提案されている。
近年の画像表示装置の大型化、薄肉化(軽量化)、形状複雑化、高性能化等に伴って、光拡散性成形品、特に画像表示装置に用いられる光拡散板および光拡散フィルムにも、大型化、薄肉化(軽量化)、形状複雑化、高性能化等の要望が高まっており、成形性(溶融流動性)に優れた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が求められている。また、光拡散性成形品には、印刷等によるつや消し性付与等の表面処理が施されることがあり、耐薬品性の向上等が求められている。
しかしながら、通常、芳香族ポリカーボネート樹脂は非晶性であるため、成形加工温度が高く、溶融流動性に劣り、さらには耐薬品性に劣るという問題点を有している。
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性を向上させる方法としては、(1)マトリクス樹脂である芳香族ポリカーボネート系樹脂自体を低分子量化する方法がよく知られている。また、(2)芳香族ポリカーボネート系樹脂と特定のスチレン系樹脂とをポリマーアロイ化することによって、溶融流動性を向上させる方法(例えば特許文献5、6)、(3)芳香族ポリカーボネート系樹脂と特定のメタクリレート系樹脂とをポリマーアロイ化することによって、溶融流動性を向上させる方法(例えば特許文献7)が提案されている。また、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物のさらなる溶融流動性の向上を目的として、(4)ポリエステルオリゴマーを添加する方法(例えば特許文献8)、(5)ポリカーボネートのオリゴマーを添加する方法(特許文献9)、(6)低分子量のスチレン系共重合体を添加する方法(例えば特許文献10〜12)が提案されている。
しかしながら、これら従来の方法においては、溶融流動性がある程度向上するものの次のような問題点がある。
(1)の方法は、溶融流動性が大きく向上するものの、必要以上の分子量低下は芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品の耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性を損なう。よって、成形品の優れた特性を保持したまま、芳香族ポリカーボネート系樹脂の低分子量化によって芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性を向上させるには限界がある。
(2)、(3)の方法においては、成形品の耐剥離性と、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性とのバランスが、いまだ不充分である。具体的には、(2)の方法は、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性に優れるものの、相溶性がいまだ不充分のため、成形品に表層剥離が生じやすく、外観および機械物性が大きく低下する。(3)の方法は、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の相溶性に優れ、成形品の透明性が良好であるが、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性の向上効果が小さい。そのため、溶融流動性を向上させるためには、メタクリレート系樹脂の配合量を多くする必要があり、成形品の耐熱性、耐衝撃性等を保持したまま、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性を向上させるには限界がある。
(4)、(5)の方法は、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性の向上には有効であるものの、成形品の耐熱性および耐衝撃性が著しく低下するという問題がある。
(6)の方法では、低分子量のスチレン系共重合体の少量添加によって、成形品の耐熱性をある程度保持したまま、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性の向上が可能であるものの、いまだ相溶性が不充分である。そのため、成形品に表層剥離が生じやすく、それに伴って、衝撃強度、実用上重要なウエルド外観、面衝撃が充分でないという問題点を残している。
以上のように、従来の方法のいずれも、芳香族ポリカーボネート樹脂系組成物からなる成形品の優れた特性を損なうことなく、芳香族ポリカーボネート樹脂系組成物の溶融流動性および耐薬品性を向上させるという点ではいまだ不充分である。
特公昭57−24186号公報 特開平3−143950号公報 特開平10−17761号公報 特開2005−298710号公報 特公昭59−42024号公報 特開昭62−138514号公報 特許第2622152号公報 特公昭54−37977号公報 特開平3−24501号公報 特公昭52−784号公報 特開平11−181197号公報 特開2000−239477号公報
本発明の目的は、得られる光拡散性成形品の優れた特性(光拡散性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性等)を損なうことなく、溶融流動性(成形性)および耐薬品性が向上した芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物、および光拡散性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、耐薬品性等に優れ、大型化、薄肉化(軽量化)、形状複雑化、高性能化が可能である光拡散性成形品を提供することにある。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と、流動性向上剤(B)と、光拡散剤(C)とを配合した芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物であって、前記流動性向上剤(B)が、芳香族ビニル単量体(b1)50〜99.5質量%、下記式(I)で表される単量体(b2)0.5〜50質量%、および他の単量体(b3)0〜40質量%からなる単量体混合物[ただし、単量体(b1)〜(b3)の合計は100質量%である。]を重合して得られる重合体であることを特徴とするものである。
Figure 0005285220
(式(I)中、R1 は水素原子またはメチル基であり、R2 はフェニル基または4−t−ブチルフェニル基である。)
また、本発明の光拡散性成形品は、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなるものである。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、得られる光拡散性成形品の優れた特性(光拡散性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性等)を損なうことなく、従来のものに比べ溶融流動性(成形性)および耐薬品性に優れる。
また、本発明の光拡散性成形品は、光拡散性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、耐薬品性等に優れ、かつ大型化、薄肉化(軽量化)、形状複雑化、高性能化が可能である
〔芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)〕
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)は、芳香族ヒドロキシ化合物と、ジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステルまたはホスゲンとを反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネート重合体または共重合体である。芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)は、分岐状のものであってもよい。分岐状の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の場合、芳香族ヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ポリヒドロキシ化合物等とが併用される。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。これらのうち、ビスフェノールAが好ましい。さらに、難燃性を高める目的で、これら芳香族ジヒドロキシ化合物は、スルホン酸テトラアルキルホスホニウム、臭素原子、またはシロキサン構造を有する基で置換された構造を有していてもよい。
芳香族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。分岐状の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)を得る場合の芳香族ポリヒドロキシ化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物(100モル%)に対して、好ましくは0.01〜10モル%であり、さらに好ましくは0.1〜2モル%である。
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の分子量の調節、末端基の調節等の目的で、一価芳香族ヒドロキシ化合物、またはそのクロロホルメート体等の一価芳香族ヒドロキシ化合物誘導体を用いてもよい。一価芳香族ヒドロキシ化合物およびその誘導体としては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキルフェノール、これらの誘導体等が挙げられる。これら一価芳香族ヒドロキシ化合物および/またはその誘導体の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物(100モル%)に対して、通常0.1〜10モル%であり、好ましくは1〜8モル%である。
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)には、難燃性を高める目的で、シロキサン構造を有するポリマーまたはオリゴマーを共重合させたり、成形時の溶融流動性を向上させる目的で、ジカルボン酸またはジカルボン酸クロライド等の誘導体を共重合させてもよい。
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の分子量は、高い流動性を有する樹脂組成物を得る観点から、溶媒として塩化メチレンを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、12000〜40000のものを使用することが好ましく、12000〜25000がより好ましく、12000〜18000が特に好ましい。また、2種以上の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)を混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)を含む樹脂材料として、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と後述の他の樹脂またはエラストマーとを組み合わせた芳香族ポリカーボネート系ポリマーアロイを用いてもよい。
〔他の樹脂またはエラストマー〕
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物には、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)が本来有する優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、自己消火性(難燃性)等を損なわない範囲、具体的には芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対して50質量部以下の範囲で、他の樹脂またはエラストマーを配合してもよい。
他の樹脂としては、ポリスチレン(PSt)、スチレン系ランダム共重合体(アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)等)、スチレンと無水マレイン酸との交互共重合体、グラフト共重合体(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル−アクリレート−スチレン樹脂(AAS樹脂)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)等)等のスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、これらの共重合体等のポリエステル;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチル単位を有する共重合体等のアクリル系樹脂;ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリウレタン;シリコーン樹脂;シンジオタクチックPS;6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド;ポリアリレート;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホンポリアミドイミド;ポリアセタール等、各種汎用樹脂またはエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
エラストマーとしては、イソブチレン−イソプレンゴム;ポリエステル系エラストマー;スチレン−ブタジエンゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン(SEPS)等のスチレン系エラストマー;エチレン−プロピレンゴム等のポリオレフィン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;アクリル系エラストマー;ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム等を含有する、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン樹脂(MAS樹脂)に代表されるコアシェル型の耐衝撃性改良剤等が挙げられる。
〔流動性向上剤(B)〕
流動性向上剤(B)は、芳香族ビニル単量体(b1)50〜99.5質量%、下記式(I)で表される単量体(b2)0.5〜50質量%、および他の単量体(b3)0〜40質量%からなる単量体混合物[ただし、単量体(b1)〜(b3)の合計は100質量%である。]を重合して得られる重合体である。
Figure 0005285220
(式(I)中、R1 は水素原子またはメチル基であり、R2 はフェニル基または4−t−ブチルフェニル基である。)
流動性向上剤(B)は、溶融成形時には、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と相分離挙動を示し、かつ光拡散性成形品の使用温度領域では、耐剥離性が良好なレベルとなるような、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性(親和性)を示すため、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の特性(耐熱性、耐衝撃性等)を損なうことなく、従来にない著しい溶融流動性(成形性)および耐薬品性の向上効果を発現する。
流動性向上剤(B)は、重合前の単量体混合物中の各単量体の混合比(質量%)と、重合後の重合体中の各単量体構成単位の含有量(質量%)とが一致していることが好ましい。このような重合体を得るためには、単量体混合物の重合率を90質量%以上とすることが好ましく、95質量%以上とすることがより好ましく、97質量%以上とすることがさらに好ましい。重合率が90質量%以上であれば、重合前の単量体混合物中の各単量体の混合比(質量%)と重合後の重合体中における各単量体構成単位の含有量(質量%)とはほぼ一致する。重合率が90質量%未満である場合には、単量体混合物中の各単量体の混合比(質量%)と重合後の重合体中に含まれる単量体構成単位の含有量(質量%)が異なる可能性がある。
芳香族ビニル単量体(b1)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンが好ましい。
芳香族ビニル単量体(b1)の含有量は、単量体混合物(100質量%)中、50〜99.5質量%である。芳香族ビニル単量体(b1)の含有量がこの範囲にあれば、流動性向上剤(B)は、優れた溶融流動性および耐薬品性の向上効果を発現する。
芳香族ビニル単量体(b1)の含有量が99.5質量%を超えると、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性が不充分となり、結果、光拡散性成形品が層状剥離を引き起こし、外観および機械特性を損なう場合がある。芳香族ビニル単量体(b1)の含有量が50質量%未満であると、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性が良くなりすぎるため、溶融時に相分離挙動を十分に発揮することができず、溶融流動性の向上効果が低下するとともに、耐薬品性の向上効果が低下する傾向にある。
外観および機械特性と、溶融流動性および耐薬品性とのバランスを考えると、芳香族ビニル単量体(b1)の含有量は、98質量%以下が好ましく、96質量%以下がより好ましく、93質量%以下がさらに好ましく、90質量%以下が特に好ましい。また、芳香族ビニル単量体(b1)の含有量は、70質量%以上が特に好ましい。
式(I)で表される単量体(b2)としては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルフェニルが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、(メタ)アクリル酸フェニルが特に好ましい。本発明において「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
単量体(b2)の含有量は、単量体混合物(100質量%)中、0.5〜50質量%である。単量体(b2)の含有量がこの範囲にあれば、流動性向上剤(B)は、優れた相溶性(耐剥離性)の向上効果を発現する。
単量体(b2)の含有量が0.5質量%未満であると、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性が不充分となり、結果、光拡散成形品が層状剥離を引き起こし、外観および機械特性を損なう場合がある。単量体(b2)の含有量が50質量%を超えると、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性が良くなりすぎるため、溶融時に相分離挙動を十分に発揮することができず、溶融流動性の向上効果が低下するとともに、耐薬品性の向上効果が低下する傾向にある。
外観および機械特性と、溶融流動性および耐薬品性とのバランスを考えると、単量体(b2)の含有量は、30質量%以下が特に好ましい。また、単量体(b2)の含有量は、2質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましい。
流動性向上剤(B)を構成する重合体は、上述の特性を損なわない範囲において、必要に応じて、芳香族ビニル単量体(b1)および単量体(b2)と共重合可能な他の単量体(b3)を0〜40質量%含んでもよい。
他の単量体(b3)は、α,β−不飽和単量体である。このような単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、フタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、(メタ)アクリル酸アリル、1,3−ブチレンジメタクリレート等の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル;安息香酸ビニル、酢酸ビニル、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の単量体(b3)の含有量は、単量体混合物(100質量%)中、0〜40質量%である。単量体(b3)の含有量が40質量%を超えると、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性および耐薬品性の向上効果が低下する傾向にある。他の単量体(b3)の含有量は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
流動性向上剤(B)は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性に優れることから、これを含む芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなる光拡散性成形品の全光線透過率は高くなる。流動性向上剤(B)を構成する重合体を、芳香族ビニル単量体(b1)と式(I)で表される単量体(b2)の二成分系とし、さらにこれらの含有量を、特定範囲内とすることで、全光線透過率をさらに高くすることが可能となる。
成形品の全光線透過率をさらに高くする重合体としては、芳香族ビニル単量体(b1)0.5〜40質量%と、単量体(b2)60〜99.5質量%とからなる単量体混合物[ただし、(b1)と(b2)の合計は100質量%である。]を重合して得られる重合体(B1)、芳香族ビニル単量体(b1)60〜99.5質量%と単量体(b2)が0.5〜40質量%とからなる単量体混合物[ただし、(b1)と(b2)の合計は100質量%である。]を重合して得られる重合体(B2)の2つが挙げられる。
流動性向上剤(B)を構成する重合体の質量平均分子量は、5000〜200000が好ましい。質量平均分子量が5000未満であると、相対的に低分子量物が多くなるため、耐熱性、剛性等の種々の特性を低下させる可能性がある。また、溶融成形時の発煙、ミスト、機械汚れ、フィッシュアイ、シルバー等の成形品の外観不良といった問題が発生する可能性が高くなるおそれがある。高温時の全光線透過率が良好な光拡散性成形品(ヘイズの温度依存性が小さい光拡散性成形品)が必要な場合は、重合体の質量平均分子量は高い方がよい。したがって、重合体の質量平均分子量は10000以上が好ましく、15000以上がより好ましく、30000以上がさらに好ましく、40000以上が特に好ましい。
また、重合体の質量平均分子量が200000を超えると、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融粘度も高くなり、充分な溶融流動性の向上効果が得られない可能性がある。なお、耐薬品性のみを向上させたい場合においては、重合体の質量平均分子量が200000を超えても特に問題はない。著しい溶融流動性の向上効果が必要な場合は、重合体の質量平均分子量は低い方がよい。したがって、重合体の質量平均分子量は170000以下が好ましく、150000以下がより好ましく、120000以下がさらに好ましく、100000以下が特に好ましい。
流動性向上剤(B)を構成する重合体の分子量分布、すなわち質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は、小さい方が好ましい。分子量分布は、4.0以下が好ましく、3.0以下がさらに好ましく、2.0以下が特に好ましい。分子量分布が4.0を超えると、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融粘度も高くなり、充分な溶融流動性の向上効果が得られない可能性がある。
流動性向上剤(B)を構成する重合体の製造方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等が挙げられる。これらのうち、回収方法が容易である点で懸濁重合法、乳化重合法が好ましい。なお、乳化重合法の場合は、重合体中の残存塩が芳香族ポリカーボネート系樹脂の熱分解を引き起こすおそれがある。そのため、乳化重合の際には、カルボン酸塩乳化剤等を用い、重合体を酸析凝固等により回収をする、またはリン酸エステル等のノニオンアニオン系乳化剤等を用い、重合体を酢酸カルシウム塩等を用いた塩析凝固により回収することが好ましい。
流動性向上剤(B)の配合量は、所望の物性等に応じて適宜決定すればよい。光拡散性成形品の特性(光拡散性、耐熱性、耐衝撃性等)を低下させることなく有効な溶融流動性および耐薬品性の向上効果を得るためには、流動性向上剤(B)の配合量は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と他の樹脂および/またはエラストマーとの合計100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。流動性向上剤(B)の配合量が0.1質量部未満であると、充分な溶融流動性および耐薬品性の向上効果が得られないおそれがある。流動性向上剤(B)の配合量が30質量部を超えると、光拡散性成形品の優れた特性を損なうおそれがある。流動性向上剤(B)配合量は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と他の樹脂および/またはエラストマーとの合計100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上が特に好ましい。また、流動性向上剤(B)配合量は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と他の樹脂および/またはエラストマーとの合計100質量部に対して、25質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
〔光拡散剤(C)〕
光拡散剤(C)は、光拡散能を有する微粒子である。このような微粒子としては、無機微粒子および高分子微粒子が挙げられる。
無機微粒子としては、ガラス充填材、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、ワラストナイト、酸化チタン等が挙げられる。これらのうち、炭酸カルシウムが好ましい。
無機微粒子の形状は、繊維状よりは粒状(不定形を含む)または板状が好ましい。例えば、ガラス充填材の場合、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、極薄ガラスフレーク(ゾル−ゲル法により製造される)、不定形ガラス等が挙げられる。他の無機微粒子においても同様に、様々な形状のものを採用できる。
無機微粒子は、シランカップリング剤、ポリオルガノ水素シロキサン化合物等の各種シリコーン化合物、脂肪酸エステル化合物、オレフィン化合物等で表面処理されていてもよい。表面処理された無機微粒子は熱安定性および耐加水分解性の向上において効果的である。
無機微粒子の屈折率は、1.4〜1.8が好ましい。無機微粒子の屈折率がこの範囲にあれば、光拡散性および全光線透過率の両方が良好となる。無機微粒子の屈折率は、各種の文献によって公知であり、液浸法等により簡便に測定できる。
高分子微粒子は、光拡散性の観点から球状であるものが好ましく、真球状に近い形態であるほどより好ましい。
高分子微粒子としては、非架橋性モノマーと架橋性モノマーとを重合して得られる有機架橋粒子;シリコーン系架橋粒子;ポリエーテルサルホン粒子等の非晶性耐熱ポリマー粒子;エポキシ樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、フェノール樹脂粒子等が挙げられる。非晶性耐熱ポリマー粒子の場合、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と加熱しながら混練した際に粒子の形態が損なわれることがないため、必ずしも架橋性モノマーを必要としない。これら高分子微粒子のうち、有機架橋粒子が特に好ましい。
有機架橋粒子に用いられる非架橋性モノマーとしては、アクリル系モノマー、スチレン系モノマー、アクリロニトリル系モノマー等の非架橋性ビニル系モノマー;オレフィン系モノマー等が挙げられる。
アクリル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニル等が挙げられる。これらのうち、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン(ビニルトルエン)、エチルスチレン等のアルキルスチレン;ブロモ化スチレン等のハロゲン化スチレン等が挙げられる。これらのうち、スチレンが特に好ましい。
アクリロニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。
オレフィン系モノマーとしては、エチレン、各種ノルボルネン型化合物等が挙げられる。
共重合可能な他のモノマーとしては、メタクリル酸グリシジル、N−メチルマレイミド、無水マレイン酸等が挙げられ、結果として、有機架橋粒子は、N−メチルグルタルイミド等の単位を有することもできる。
これらモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機架橋粒子に用いられる架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、メタクリル酸アリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
有機架橋粒子の製造方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、過硫酸カリウム等の開始剤を用いるソープフリー重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等が挙げられる。また、懸濁重合法として、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法;同様に連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数〜数十μmの細径オリフィスまたは多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方法等も採用できる。
シリコーン系架橋粒子は、シロキサン結合を主骨格としてケイ素原子に有機置換基を有するものであり、ポリメチルシルセスキオキサンに代表される架橋度の高いものと、メチルシリコーンゴム粒子に代表される架橋度の低いものがある。本発明においては、ポリメチルシルセスキオキサンに代表される架橋度の高いものが好ましい。
シリコーン系架橋粒子のケイ素原子に結合する有機置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、エーテル基等が挙げられる。
シリコーン系架橋粒子の製造方法としては、水中における3官能性のアルコキシシラン等の加水分解および縮合反応によって、シロキサン結合を成長させながら3次元架橋した粒子を形成させる方法が挙げられる。
シリコーン系架橋粒子の粒子径は、触媒であるアルカリの量、攪拌条件等により制御できる。
他の高分子微粒子の製造方法としては、スプレードライ法、液中硬化法(凝固法)、相分離法(コアセルベーション法)、溶媒蒸発法、再沈殿法が挙げられる。また、これら方法にノズル振動法等を組み合わせてもよい。
高分子微粒子の構造としては、単相構造、コア−シェル構造、2種以上の成分が相互に絡み合ったIPN構造等が挙げられる。また、無機微粒子をコアとし、有機架橋粒子の成分をシェルとする複合型粒子、有機架橋粒子をコアとし、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等をシェルとする複合型粒子等であってもよい。
高分子微粒子の屈折率は、通常、1.33〜1.7程度である。高分子微粒子の屈折率がこの範囲であれば、樹脂組成物に配合した状態において充分な光拡散機能を発揮する。
光拡散剤(C)としては、無機微粒子よりも高分子微粒子の方が好ましい。高分子微粒子を用いることにより、光拡散性と全光線透過率との両立がより高いレベルにおいて実現可能である。高分子微粒子は、通常、無機微粒子に比べ、成形品の剛性および寸法安定性を向上させる効果は小さいが、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物においては、他の成分との組み合わせによって、成形品の剛性および寸法安定性が向上するため、高分子微粒子は問題なく使用できる。
光拡散剤(C)の平均粒子径は、0.01〜50μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましく、0.1〜8μmがさらに好ましい。平均粒子径は、レーザー光散乱法で求められる粒度の積算分布の50%(D50)で表される。
光拡散剤(C)は、粒径の分布が狭いものが好ましく、平均粒子径±2μmの範囲にある微粒子が全体の70質量%以上となるような分布を有するものがより好ましい。
光拡散剤(C)の屈折率と、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の屈折率との差の絶対値は、0.02〜0.2であることが好ましい。屈折率の差がこの範囲にあることにより、光拡散性と全光線透過率とを高いレベルで両立させることが可能となる。光拡散剤(C)の屈折率は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の屈折率よりも低いことがより好ましい。
光拡散剤(C)の配合量は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と他の樹脂および/またはエラストマーと流動性向上剤(B)との合計100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.3〜20質量部がより好ましく、0.4〜15質量部がさらに好ましく、0.5〜10質量部が特に好ましい。光拡散剤(C)の配合量がこの範囲にあれば、高い光拡散機能を発揮する。
〔他の添加剤〕
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲で、必要に応じて、難燃剤(例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物、有機スルホン酸アルカリ金属塩、有機スルホン酸アルカリ土類金属塩、シリコーン系難燃剤等)、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)、滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系化合物、イオウ系酸化防止剤等)、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、滑剤、染料、帯電防止剤、無機または有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等)、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤、蛍光増白剤等を配合してもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、リン含有熱安定剤を含むことが好ましい。リン含有熱安定剤としては、トリメチルホスフェート等のリン酸エステル;トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の亜リン酸エステル;テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等の亜ホスホン酸エステル等が挙げられる。リン含有熱安定剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物(100質量%)中、0.001〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%がさらに好ましい。リン含有熱安定剤の配合により、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の熱安定性がさらに向上し、良好な成形加工特性を得ることができる。
〔芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の調製〕
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の調製方法としては、例えば、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)、流動性向上剤(B)、および光拡散剤(C)、必要に応じて他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法が挙げられる。
予備混合に用いられる装置としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機等が挙げられる。予備混合においては、場合により押出造粒器、ブリケッティングマシーン等による造粒を行ってもよい。
溶融混練に用いられる装置としては、ベント式二軸押出機、バンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器等の溶融混練機が挙げられる。これらのうち、ベント式二軸押出機等の多軸押出機が好ましい。
ペレット化に用いられる装置としては、ペレタイザー等が挙げられる。
溶融混練の方法としては、(i)芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)、流動性向上剤(B)および光拡散剤(C)を同時に溶融混練する方法;(ii)芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の一部に光拡散剤(C)を添加したマスターバッチをあらかじめ調製し、これを残りの芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)および流動性向上剤(B)とともに押出機に供給して溶融混練する方法が挙げられる。(ii)の方法は、光拡散剤(C)が少量であるため、その計量精度を確保する目的で行われる。これらのうち、(i)の方法が好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法等による成形に供することができる。これにより、成形時の流動性を向上させることができるとともに、高い耐熱性、耐薬品性、透明性、光拡散性を有する成形品を得ることができる。
これらの成形分野のうち、特に射出成形分野においては、樹脂組成物を成形する際の流動性の向上が強く求められていることから、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物を適用することによる有用性が大きい。
また、本発明の光拡散性芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、高度な光学特性を要求される成形品に用いられることが多いため、光学特性を阻害する異物の存在を少なくすることが好ましい。このためには、異物量の少ない原料を用いるとともに、押出機、ペレタイザー等の製造装置を清浄な空気の雰囲気下に設置し、冷却バス用の冷却水についても異物の少ないものを用い、さらに原料の供給ホッパー、供給流路、ペレットの貯蔵タンク等についても清浄な空気等で満たすことが好ましい。例えば、特開平11−21357号公報に提案されている方法と同様な方法を採用することが適当である。
〔光拡散性成形品〕
本発明の光拡散性成形品は、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を、公知の溶融成形法で溶融成形することにより得られる。
溶融成形法としては、射出成形法が好ましい。射出成形法としては、通常の射出成形法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、超高速射出成形等が挙げられる。これら成形法の利点は、既に広く知られるところである。成形は、コールドランナー方式またはホットランナー方式のいずれでもよい。
溶融成形法として押出成形法を採用することにより、光拡散機能を有する各種異形押出成形品、シート、フィルム等を製造できる。シート、フィルムの製造には、インフレーション法、カレンダー法、キャスティング法等も採用できる。さらに、シート、フィルムに特定の延伸処理を施すことにより、熱収縮チューブを製造できる。また、回転成形、ブロー成形等により、中空成形品を製造できる。
本発明の光拡散性成形品としては、光拡散板、光拡散フィルム、電子・電気機器、OA機器の部品、車両部品、機械部品、農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、雑貨等が挙げられる。具体的には、画像表示装置用光拡散板(液晶表示装置等のバックライトモジュールに用いられる光拡散板、プロジェクターテレビ等の投影型表示装置のスクリーンに用いられる光拡散板等)、画像読取装置用光拡散板、電灯カバー、メーター、看板(特に内照式)、樹脂窓ガラス、車輌用屋根材、船舶用屋根材、住宅用屋根材、太陽電池カバー等が挙げられる。液晶表示装置等のバックライトモジュールとしては、各種の光源(冷陰極管、LED等)を用いることができる。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、とりわけ大型かつ薄肉の光拡散板(特に画像表示装置用光拡散板)の製造に適している。本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物によれば、表面積が500〜50000cm2 である光拡散板が得られる。光拡散板の表面積は1000〜25000cm2 が好ましく、厚さは0.3〜3mmが好ましい。このように、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物によれば、大型であり、寸法安定性が高く、かつ薄肉(軽量)である光拡散板を製造できる。
光拡散板は、フレネルレンズ形状、シリンドリカルレンズ形状等の表面形状を有する単層板であってもよく、フレネルレンズ形状、シリンドリカルレンズ形状等の表面形状を有する他の材料を光拡散板に積層した積層板であってもよい。
フレネルレンズ形状、シリンドリカルレンズ形状等の表面形状を有する単層板は、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法等により所望の形状に成形することで製造できる。表面にフレネルレンズ形状(凹凸形状)を形成する方法としては、(i)金型キャビティ表面または転写ロール表面にフレネルレンズ形状に対応する凹凸を設け、凹凸を成形品表面に転写する方法;(ii)フレネルレンズ形状に対応する凹凸が設けられた別材料を、金型キャビティ内にインサートする、または押出成形時に積層することにより、該別材料と成形品とを一体化した後、別材料を除去して成形品表面に凹凸を転写する方法、等が挙げられる。
また、光拡散板に光輝性顔料を含む層を積層することにより、フレネルレンズ形状等の凹凸形状を省略してもよい。さらに、画像表示装置用光拡散板は、その光源側の面(観察者とは反対側の面)に光源からの光の反射を防止するため各種の光反射防止膜を形成したものであってもよい。
本発明の光拡散性成形品は、耐薬品性に優れることから、表面改質を施すことができ、結果、他の機能を付与することができる。「表面改質」とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着等)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等)、塗装、コーティング、印刷等によって光拡散性成形品の表面に新たな層を設けることをいう。
表面改質法としては、通常の樹脂成形品において採用されている公知の表面改質法が挙げられる。
光拡散性成形品の表面に金属層または金属酸化物層を設ける表面改質法としては、例えば、蒸着法(物理蒸着法および化学蒸着法)、溶射法、メッキ法等が挙げられる。物理蒸着法としては、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング等が挙げられる。化学蒸着(CVD)法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等が挙げられる。溶射法としては、大気圧プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法等が挙げられる。メッキ法としては、無電解メッキ(化学メッキ)法、溶融メッキ法、電気メッキ法等が挙げられる。電気メッキ法としては、レーザーメッキ法が挙げられる。
これら表面改質法のうち、光拡散性成形品の表面に金属層を設ける場合は、蒸着法またはメッキ法が好ましく、光拡散性成形品の表面に金属酸化物層を設ける場合は、蒸着法が好ましい。蒸着法およびメッキ法は、これらを組み合わせて用いてもよい。例えば、蒸着法で形成された金属層を利用して電気メッキを行う方法等を採用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の記載において、「部」および「%」は特に断らない限り「質量部」および「質量%」を意味する。
(製造例1)
流動性向上剤(B−1)の製造:
冷却管および攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、アニオン系乳化剤(「ラテムルASK」、花王(株)製)(固形分28%)1.0部(固形分)、蒸留水295部を仕込み、窒素雰囲気下に水浴中で80℃まで加熱した。ついで、セパラブルフラスコ内に、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部、ロンガリット0.3部を蒸留水5部に溶かしたものを加え、その後、スチレン87.5部、メタクリル酸フェニル12.5部、t−ブチルヒドロパーオキサイド0.2部、n−オクチルメルカプタン0.5部の混合物を180分かけて滴下した。その後、80℃で60分間攪拌し、重合体エマルションを得た(重合率は98%)。
0.7%の割合で硫酸を溶解した水溶液300部を撹拌しながら70℃に加温し、この中に得られた重合体エマルションを徐々に滴下して、重合体を凝固させた。析出物を分離、洗浄した後、75℃で24時間乾燥し、重合体(流動性向上剤(B−1))を得た。質量平均分子量(Mw)は49000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。
(製造例2)
流動性向上剤(B−2)の製造:
n−オクチルメルカプタンの量を0.5部から0.2部に変更した以外は、製造例1と同様の方法により重合体(流動性向上剤(B−2))を得た(重合率は98%)。質量均分子量(Mw)は97000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
(製造例3)
流動性向上剤(B−3)の製造:
スチレンを20部、メタクリル酸フェニル80部、n−オクチルメルカプタンの量を0.5部から2部に変更した以外は、製造例1と同様の方法により重合体(流動性向上剤(B−3))を得た(重合率は99%)。質量平均分子量(Mw)は27000、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
(製造例4)
流動性向上剤(B’−4)の製造:
冷却管および攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、リン酸カルシウム0.4部、蒸留水150部を仕込み、ついでスチレン96部、メタクリル酸n−ブチル4部、過酸化ベンゾイル1.2部を溶解した混合物を加え、しばらく攪拌した後、窒素バブリングを30分実施した。窒素雰囲気下、80℃で4時間攪拌し、さらに90℃で1時間攪拌を行った。沈殿物を分離、洗浄した後、75℃で24時間乾燥し、重合体(流動性向上剤(B’−4))を得た(重合率は97%)。質量平均分子量(Mw)は150000、分子量分布(Mw/Mn)は3.3であった。
製造例1〜4における各成分の仕込み量(部)、重合様式、重合率、得られた重合体の質量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を表1に示した。なお、表中、Stはスチレン、PhMAはメタクリル酸フェニル、BAはアクリル酸n−ブチル、BPOは過酸化ベンゾイルである。また、重合率は、得られた重合体の固形物の質量換算により算出した。また、質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、GPC法(溶離液:クロロホルム)により測定した。
Figure 0005285220
(実施例1〜、比較例1〜3、8
芳香族ポリカーボネート系樹脂として以下のものを用意した。
PC1:芳香族ポリカーボネート系樹脂、「パンライトL1225WS」、帝人化成(株)製、粘度平均分子量2.1万。
PC2:芳香族ポリカーボネート系樹脂、「パンライトL1225ZL」、帝人化成(株)製、粘度平均分子量1.8万。
流動性向上剤、および芳香族ポリカーボネート系樹脂を、表2に示す配合(合計100部)で混合し、さらに光拡散剤(ビーズ状架橋シリコーン粒子「トスパール120」、平均粒子径:2μm、ジーイー東芝シリコーン(株)製)0.7部、紫外線吸収剤(「チヌビン329」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.3部、酸化防止剤(「イルガノックス1076」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.1部、熱安定剤(「アデカスタブ2112」、旭電化工業(株)製)0.1部を加え、二軸押出機(機種名「TEM−35」、東芝機械(株)製)に供給し、280℃で溶融混練し、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を得た。
得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物について、後述の(1)〜(6)の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0005285220
(評価方法)
(1)溶融流動性:
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物のスパイラルフロー長さ(SFL)を、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)を用いて評価した。成形温度は280℃、金型温度は80℃、射出圧力は98MPaとした。また、成形品の厚さは2mm、幅は15mmとした。
(2)耐薬品性:
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を用い、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、厚さ2mm、15cm角の平板を作製し、これを切断して厚さ2mm、15cm×2.5cmの光拡散性成形品を得た。試験片を120℃で2時間アニール処理した後、カンチレバー試験を行い、薬品塗布による試験片の破断時間を測定した。測定は、試験温度:23℃、荷重:20MPa、溶媒:トルエン/イソオクタン=1/1vol比で実施した。
(3)表層剥離性(耐剥離性):
(2)で得られた光拡散性成形品の突き出しピン跡にカッターで切り込みを入れ、剥離状態を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
○:剥離なく良好。
×:表層剥離が見られる。
(4)荷重たわみ温度(耐熱性):
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を用い、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、厚さ1/4インチの光拡散性成形品を成形した。光拡散性成形品の荷重たわみ温度をASTM D648に準拠して測定した。アニール処理は120℃で1時間実施し、荷重は1.82MPaとした。
(5)全光線透過率:
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を用い、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、厚さ2mm、15cm角の光拡散性成形品を成形した。光拡散性成形品の全光線透過率をASTM D1003に準拠して23℃で測定した。
(6)光拡散性:
(5)で得られた光拡散性成形品の下側に冷陰極管から構成されたバックライトユニットを置き、上側から光拡散性成形品を観察し、光の均一性について評価した。均一性が良好であるものを○、均一性が悪いものを×とした。
表2の結果から明らかなように、実施例1〜で得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、流動性が著しく向上し、その光拡散性成形品は、光拡散性、耐熱性、耐剥離性を損なうことなく、耐薬品性の著しい向上が見られ、物性バランスに非常に優れていた。
一方、比較例1で得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、相溶性が不十分なため、その光拡散性成形品は、良好な耐剥離性が得られず、光拡散性も不充分であった。
また、比較例2、3で得られた光拡散性芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、流動性向上剤を含んでおらず、充分な流動性と耐薬品性バランスが得られなかった。
(実施例5〜12、比較例4〜7)
芳香族ポリカーボネート系樹脂として以下のものを用意した。
PC3:芳香族ポリカーボネート系樹脂、「パンライトL1225LL」、帝人化成(株)製、粘度平均分子量1.5万。
光拡散剤として以下のものを用意した。
C−1:ビーズ状架橋シリコーン粒子「トスパール120」、平均粒子径:2μm、ジーイー東芝シリコーン(株)製
C−2:ビーズ状架橋アクリル粒子「MB30X−5」、平均粒子径:5μm、積水化成品工業(株)製
C−3:ビーズ状架橋アクリル粒子「EXL−5136」、平均粒子径:8μm、ロームアンドハース(株)製
芳香族ポリカーボネート系樹脂、流動性向上剤、光拡散剤を表3に示す配合(芳香族ポリカーボネート系樹脂と流動性向上剤の合計100部)で混合し、さらに、紫外線吸収剤(「チヌビン329」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.3部、酸化防止剤(「イルガノックス1076」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.1部、熱安定剤(「アデカスタブ2112」、旭電化工業(株)製)0.1部を加え、二軸押出機(機種名「TEM−35」、東芝機械(株)製)に供給し、280℃で溶融混練し、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を得た。
得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物について、後述の(1)〜(3)の評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0005285220
(評価方法)
(1)溶融流動性:
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物のスパイラルフロー長さ(SFL)を、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)を用いて評価した。成形温度は280℃、金型温度は80℃、射出圧力は98MPaとした。また、成形品の厚さは2mm、幅は15mmとした。
(2)全光線透過率:
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を用い、射出成形機(「IS−100」、東芝機械(株)製)により、厚さ2mm、5cm×10cm角の光拡散性成形品を成形した。光拡散性成形品の全光線透過率をASTM D1003に準拠して23℃で測定した。
(3)拡散率:
(2)で得られた光拡散性成形品の拡散率をDIN 5036に準拠して23℃で測定した。
表3の結果から明らかなように、実施例5〜12で得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、流動性が著しく向上し、その光拡散性成形品は、全光線透過率と拡散率のバランスに非常に優れていた。
一方、比較例4〜7で得られた光拡散性芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、流動性向上剤を含んでおらず、充分な流動性が得られなかった。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、得られる光拡散性成形品の優れた特性(光拡散性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性等)を損なうことなく、溶融流動性(成形性)および耐薬品性が向上している。よって、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなる光拡散性成形品は、光拡散性、耐薬品性等に優れ、かつ大型化、薄肉化(軽量化)、形状複雑化、高性能化が可能であり、特に、大型でかつ薄肉であることが要求される画像表示装置用の光拡散板(例えば、液晶表示装置等のバックライトモジュールに使用される光拡散板、プロジェクションテレビ等の投影型表示装置のスクリーンに使用される光拡散板等)、印刷加工等により表面処理された高機能光拡散フィルム(例えば、液晶表示装置の輝度向上等に利用されている高透過光拡散フィルム等)として好適である。また、本発明の光拡散性成形品は、画像表示装置用の光拡散板、光拡散フィルム以外にも、例えば、電灯カバー、メーター、看板(特に内照式)、樹脂窓ガラス、画像読取装置用の光拡散板、車輌用屋根材、船舶用屋根材、住居用屋根材、太陽電池カバー、電気・電子機器部品、OA機器部品、車両部品、機械部品、農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、雑貨等として有用であり、産業的価値は極めて高い。

Claims (5)

  1. 芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と、流動性向上剤(B)と、光拡散剤(C)とを配合した芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物であって
    前記流動性向上剤(B)が、芳香族ビニル単量体(b1)50〜99.5質量%、下記式(I)で表される単量体(b2)0.5〜50質量%、および他の単量体(b3)0〜40質量%からなる単量体混合物[ただし、単量体(b1)〜(b3)の合計は100質量%である。]を重合して得られる重合体である、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
    Figure 0005285220
    (式(I)中、R1 は水素原子またはメチル基であり、R2 はフェニル基または4−t−ブチルフェニル基である。)
  2. 芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の粘度平均分子量が、12000〜40000であることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
  3. 流動性向上剤(B)の質量平均分子量が、5000〜200000であることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
  4. 射出成形用であることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物。
  5. 請求項1記載の芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる光拡散性成形品。
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