JP2006206754A - 芳香族ポリカーボネート系樹脂シート - Google Patents

芳香族ポリカーボネート系樹脂シート Download PDF

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Abstract

【課題】 透明性、耐熱性、耐衝撃性等を損なうことなく、耐薬品性に優れる芳香族ポリカーボネート系樹脂シートを提供する。
【解決手段】 芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と、芳香族ビニル単量体(b1)0.5〜99.5質量%、式(I)で表される単量体(b2)0.5〜99.5質量%、他の単量体(b3)0〜40質量%からなる単量体混合物を重合して得られる重合体である耐薬品性向上剤(B)とを含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる芳香族ポリカーボネート系樹脂シート。
【化1】
Figure 2006206754

(式中R1 は水素原子またはメチル基、R2 は置換基を有していてもよいフェニル基。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートに関する。
芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、透明性、耐熱性、耐衝撃性、難燃性等に優れていることから、自動車部品、電気・電子部品、車両部品、航空機部品、機械部品、看板、表示板、建築用資材等、多くの用途に用いられている。芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、通常、フレーク状またはペレット状の芳香族ポリカーボネート系樹脂を押出機で溶融、混練し、溶融状態の芳香族ポリカーボネート系樹脂をTダイから押し出し、押し出されたシート状半溶融体を2本以上のポリッシングロールで挟圧しながら冷却、固化して製造される。または、二価フェノールと炭酸ジエステルとを溶融重合して得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂を、溶融状態を保持しつつ押出機に供給してTダイから押し出し、押し出されたシート状半溶融体を2本以上のポリッシングロールで挟圧しながら冷却、固化して製造される。
近年、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートのさらなる高性能化、高機能化等の要望が高まっている。このため、外観不良、透視歪み、熱成形時のドローダウン性を改善した芳香族ポリカーボネート系樹脂シート(特許文献1)、エステル交換法により耐熱性が改良された芳香族ポリカーボネート系樹脂シート(特許文献2)等が提案されている。
しかしながら、芳香族ポリカーボネート系樹脂は非晶性であるため、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは耐薬品性に劣るという問題点を有している。そのため、例えば、油脂またはそれを洗い落とすための洗剤等の有機溶剤に対する耐久性に問題がある。また、高機能性の付与を目的として、ハードコート層、帯電防止層等を設けるために、印刷、塗装等の表面処理を行う際に、印刷インキ、塗料等に含まれる有機溶剤によって芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの機械物性、外観等が損なわれるという問題点がある。
芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの優れた特性を損なうことなく、耐薬品性を向上させる方法としては、(1)芳香族ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂とをアロイ化する方法(例えば特許文献3)、(2)芳香族ポリカーボネート系樹脂とスチレン系樹脂またはオレフィン系樹脂とをアロイ化する方法(例えば特許文献4)が提案されている。
しかしながら、(1)の方法は、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの耐薬品性が大きく向上するものの、耐熱性を大きく損なう。また、芳香族ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂との相溶性が不充分であることから、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの耐衝撃性等の機械特性および透明性も低下する。よって、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの優れた特性を保持したまま、ポリエステル系樹脂とのアロイ化により耐薬品性を向上させるには限界がある。
(2)の方法は、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの耐薬品性が大きく向上するものの、透明性を大きく損なう。また、芳香族ポリカーボネート系樹脂とスチレン系樹脂またはオレフィン系樹脂との相溶性が不充分であることから、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの耐衝撃性等の機械特性および耐熱性も低下する。よって、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの優れた特性を保持したまま、スチレン系樹脂またはオレフィン系樹脂とのアロイ化により耐薬品性を向上させるには限界がある。
以上のことから、従来技術においては、そのいずれもが芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの優れた特性(透明性、耐熱性、耐衝撃性等)を損なうことなく、耐薬品性を向上させるという点ではいまだ不充分である。
特開2003−89722号公報 特開2004−250550号公報 特開2004−162015号公報 特開2004−210915号公報
本発明の目的は、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの優れた特性(透明性、耐熱性、耐衝撃性等)を損なうことなく、耐薬品性に優れる芳香族ポリカーボネート系樹脂シートを提供することにある。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)および耐薬品性向上剤(B)を含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる芳香族ポリカーボネート系樹脂シートであって、前記耐薬品性向上剤(B)が、芳香族ビニル単量体(b1)0.5〜99.5質量%、下記式(I)で表される単量体(b2)0.5〜99.5質量%、および他の単量体(b3)0〜40質量%からなる単量体混合物[ただし、単量体(b1)〜(b3)の合計は100質量%である。]を重合して得られる重合体であることを特徴とするものである。
Figure 2006206754
(式(I)中、R1 は水素原子またはメチル基であり、R2 は置換基を有していてもよいフェニル基である。)
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの優れた特性(透明性、耐熱性、耐衝撃性等)を損なうことなく、耐薬品性に優れる。
〔芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)〕
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)は、芳香族ヒドロキシ化合物と、ジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステルまたはホスゲンとを反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネート重合体または共重合体である。芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)は、分岐状のものであってもよい。分岐状の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の場合、芳香族ヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ポリヒドロキシ化合物等とが併用される。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。これらのうち、ビスフェノールAが好ましい。さらに、難燃性を高める目的で、これら芳香族ジヒドロキシ化合物は、スルホン酸テトラアルキルホスホニウム、臭素原子、またはシロキサン構造を有する基で置換された構造を有していてもよい。
芳香族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。分岐状の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)を得る場合の芳香族ポリヒドロキシ化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物(100モル%)に対して、好ましくは0.01〜10モル%であり、さらに好ましくは0.1〜2モル%である。
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の分子量の調節、末端基の調節等の目的で、一価芳香族ヒドロキシ化合物、またはそのクロロホルメート体等の一価芳香族ヒドロキシ化合物誘導体を用いてもよい。一価芳香族ヒドロキシ化合物およびその誘導体としては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキルフェノール、これらの誘導体等が挙げられる。これら一価芳香族ヒドロキシ化合物および/またはその誘導体の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物(100モル%)に対して、通常0.1〜10モル%であり、好ましくは1〜8モル%である。
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)には、難燃性を高める目的で、シロキサン構造を有するポリマーまたはオリゴマーを共重合させたり、成形時の溶融流動性を向上させる目的で、ジカルボン酸またはジカルボン酸クロライド等の誘導体を共重合させてもよい。
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の分子量は、溶媒として塩化メチレンを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、14000〜40000が好ましく、16000〜30000がより好ましく、18000〜26000が特に好ましい。また、2種以上の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)を混合して用いてもよい。
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)を含む樹脂材料として、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と後述の他の樹脂および/またはエラストマーとを組み合わせた芳香族ポリカーボネート系ポリマーアロイを用いてもよい。
〔他の樹脂、エラストマー〕
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物には、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)が本来有する優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、自己消火性(難燃性)等を損なわない範囲、具体的には芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対して50質量部以下の範囲で、他の樹脂および/またはエラストマーを配合してもよい。
他の樹脂としては、ポリスチレン(PSt)、スチレン系ランダム共重合体(アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)等)、スチレンと無水マレイン酸との交互共重合体、グラフト共重合体(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル−アクリレート−スチレン樹脂(AAS樹脂)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)等)等のスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、これらの共重合体等のポリエステル;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチル単位を有する共重合体等のアクリル系樹脂;ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリウレタン;シリコーン樹脂;シンジオタクチックPS;6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド;ポリアリレート;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホンポリアミドイミド;ポリアセタール等、各種汎用樹脂またはエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
エラストマーとしては、イソブチレン−イソプレンゴム;ポリエステル系エラストマー;スチレン−ブタジエンゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン(SEPS)等のスチレン系エラストマー;エチレン−プロピレンゴム等のポリオレフィン系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;アクリル系エラストマー;ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム等を含有する、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン樹脂(MAS樹脂)に代表されるコアシェル型の耐衝撃性改良剤等が挙げられる。
〔耐薬品性向上剤(B)〕
耐薬品性向上剤(B)は、芳香族ビニル単量体(b1)0.5〜99.5質量%、下記式(I)で表される単量体(b2)0.5〜99.5質量%、および他の単量体(b3)0〜40質量%からなる単量体混合物[ただし、単量体(b1)〜(b3)の合計は100質量%である]を重合して得られる重合体である。
Figure 2006206754
(式(I)中、R1 は水素原子またはメチル基であり、R2 は置換基を有していてもよいフェニル基である。)
耐薬品性向上剤(B)は、溶融成形時には、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と相分離挙動を示し、かつシートの使用温度領域では、耐剥離性が良好なレベルとなるような、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性(親和性)を示すため、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)の特性(透明性、耐熱性、耐衝撃性等)を損なうことなく、従来にない著しい耐薬品性の向上効果を発現する。
耐薬品性向上剤(B)においては、重合前の単量体混合物中の各単量体の混合比(質量%)と重合後の重合体の単量体構成単位(質量%)が一致していることが好ましく、単量体混合物における重合率は少なくとも90%以上である好ましい。より好ましい重合体の重合率は95%以上であり、さらに好ましくは97%以上である。重合率が90%以上であれば、重合前の単量体混合物中の各単量体の混合比(質量%)と重合後の重合体の単量体構成単位(質量%)は実質ほぼ一致していると考えて問題はない。重合率が90%より小さい場合は、重合前の単量体混合物中の各単量体の混合比(質量%)と重合後の重合体の単量体構成単位(質量%)が異なる可能性があり、最適な組成範囲にずれが生じるおそれがある。また得られた重合体を回収する際に未反応の単量体を精製する必要が生じることからも好ましくない。
芳香族ビニル単量体(b1)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンが好ましい。
芳香族ビニル単量体(b1)の含有量は、単量体混合物(100質量%)中、0.5〜99.5質量%である。芳香族ビニル単量体(b1)の含有量がこの範囲にあれば、耐薬品性向上剤(B)は、優れた耐薬品性の向上効果を発現する。
芳香族ビニル単量体(b1)の含有量が99.5質量%を超えると、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性が不充分となり、結果、シートが層状剥離を引き起こし、外観および機械特性を損なう場合がある。芳香族ビニル単量体(b1)の含有量が0.5質量%未満であると、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性が良くなりすぎるため、耐薬品性の向上効果が得られにくい傾向にある。
外観および機械特性と、耐薬品性とのバランスを考えると、芳香族ビニル単量体(b1)の含有量は、98質量%以下が好ましく、96質量%以下がより好ましく、93質量%以下がさらに好ましく、90質量%以下が特に好ましい。また、芳香族ビニル単量体(b1)の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
式(I)で表される単量体(b2)としては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸ジブロモフェニル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸モノクロルフェニル、(メタ)アクリル酸ジクロルフェニル、(メタ)アクリル酸トリクロルフェニル等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、(メタ)アクリル酸フェニルが特に好ましい。本発明において「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
単量体(b2)の含有量は、単量体混合物(100質量%)中、0.5〜99.5質量%である。単量体(b2)の含有量がこの範囲にあれば、耐薬品性向上剤(B)は、優れた相溶性(耐剥離性)の向上効果を発現する。
単量体(b2)の含有量が0.5質量%未満であると、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性が不充分となり、結果、シートが層状剥離を引き起こし、外観および機械特性を損なう場合がある。単量体(b2)の含有量が99.5質量%を超えると、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性が良くなりすぎるため、耐薬品性の向上効果が得られにくい傾向にある。
外観および機械特性と、耐薬品性とのバランスを考えると、単量体(b2)の含有量は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下が特に好ましい。また、単量体(b2)の含有量は、2質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましい。
耐薬品性向上剤(B)を構成する重合体は、上述の特性を損なわない範囲において、必要に応じて、芳香族ビニル単量体(b1)および単量体(b2)と共重合可能な他の単量体(b3)からなる単位を含んでもよい。
他の単量体(b3)は、α,β−不飽和単量体である。このような単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、フタル酸2−メタクリロイルオキシエチル、(メタ)アクリル酸アリル、1,3−ブチレンジメタクリレート等の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル;安息香酸ビニル、酢酸ビニル、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の単量体(b3)の含有量は、単量体混合物(100質量%)中、0〜40質量%である。他の単量体(b3)の含有量が40質量%を超えると、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの透明性および耐薬品性の向上効果が低下する傾向にある。他の単量体(b3)の含有量は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
耐薬品性向上剤(B)は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)との相溶性に優れることから、これを含む芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの透明性が良好となる。耐薬品性向上剤(B)を構成する重合体を、芳香族ビニル単量体(b1)と式(I)で表される単量体(b2)の二成分系とし、さらにこれらの含有量を、特定範囲内とすることで、極めて高度な透明性を発現させることが可能となる。
極めて高度な透明性を発現する重合体としては、重合体中の芳香族ビニル単量体(b1)0.5〜40質量%と、単量体(b2)60〜99.5質量%とからなる重合体(B1)(両者の合計量は100質量%である)、重合体中の芳香族ビニル単量体(b1)60〜99.5質量%と、単量体(b2)0.5〜40質量%とからなる重合体(B2)(両者の合計量は100質量%である)の2つが挙げられる。
耐薬品性向上剤(B)を構成する重合体の質量平均分子量は、5000〜200000が好ましい。質量平均分子量が5000未満であると、相対的に低分子量物が多くなるため、耐熱性、剛性等の種々の特性を低下させる可能性がある。また、溶融成形時の発煙、ミスト、機械汚れ、フィッシュアイ、シルバー等のシートの外観不良といった問題が発生する可能性が高くなるおそれがある。高温時の透明性が良好なシート(ヘイズの温度依存性が小さいシート)が必要な場合は、重合体の質量平均分子量は高い方がよい。したがって、重合体の質量平均分子量は10000以上が好ましく、15000以上がより好ましく、30000以上がさらに好ましく、40000以上が特に好ましい。
また、重合体の質量平均分子量が200000を超えると、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融粘度も高くなり、熱成形時における良好な溶融挙動を損なう可能性がある。熱成形時における良好な溶融挙動を損なわないためには、重合体の質量平均分子量は低い方がよい。したがって、重合体の質量平均分子量は170000以下が好ましく、150000以下がより好ましく、120000以下がさらに好ましく、100000以下が特に好ましい。なお、耐ドローダウン性を向上させたい場合においては、重合体の質量平均分子量が200000を超えても特に問題はない。
耐薬品性向上剤(B)を構成する重合体の分子量分布、すなわち質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は、小さい方が好ましい。分子量分布は、4.0以下が好ましく、3.0以下がさらに好ましく、2.0以下が特に好ましい。分子量分布が4.0を超えると、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、熱成形時における良好な溶融挙動を損なう可能性がある。
耐薬品性向上剤(B)を構成する重合体の製造方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等が挙げられる。これらのうち、回収方法が容易である点で懸濁重合法、乳化重合法が好ましい。なお、乳化重合法の場合は、重合体中の残存塩が芳香族ポリカーボネート系樹脂の熱分解を引き起こすおそれがある。そのため、乳化重合の際には、カルボン酸塩乳化剤等を用い、重合体を酸析凝固等により回収をする、またはリン酸エステル等のノニオンアニオン系乳化剤等を用い、重合体を酢酸カルシウム塩等を用いた塩析凝固により回収することが好ましい。
耐薬品性向上剤(B)の配合量は、所望の物性等に応じて適宜決定すればよい。芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの特性(透明性、耐熱性、耐衝撃性等)を低下させることなく有効な耐薬品性の向上効果を得るためには、耐薬品性向上剤(B)の配合量は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と他の樹脂および/またはエラストマーとの合計100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。耐薬品性向上剤(B)の配合量が0.1質量部未満であると、充分な耐薬品性の向上効果が得られないおそれがある。耐薬品性向上剤(B)の配合量が30質量部を超えると、芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの優れた機械特性等を損なうおそれがある。耐薬品性向上剤(B)配合量は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と他の樹脂および/またはエラストマーとの合計100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上が特に好ましい。また、耐薬品性向上剤(B)配合量は、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)と他の樹脂および/またはエラストマーとの合計100質量部に対して、25質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
〔他の添加剤〕
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲で、必要に応じて、難燃剤(例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物、有機スルホン酸アルカリ金属塩、有機スルホン酸アルカリ土類金属塩、シリコーン系難燃剤等)、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)、滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系化合物、イオウ系酸化防止剤等)、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、滑剤、染料、帯電防止剤、無機または有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等)、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤、蛍光増白剤等を配合してもよい。
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物は、リン含有熱安定剤を含むことが好ましい。リン含有熱安定剤としては、トリメチルホスフェート等のリン酸エステル;トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の亜リン酸エステル;テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等の亜ホスホン酸エステル等が挙げられる。リン含有熱安定剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物(100質量%)中、0.001〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%がさらに好ましい。リン含有熱安定剤の配合により、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の熱安定性がさらに向上し、良好な成形加工特性を得ることができる。
〔芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の調製〕
芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の調製方法としては、例えば、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)および耐薬品性向上剤(B)、必要に応じて他の添加剤を公知の方法で混合する方法が挙げられる。混合は、通常、予備混合工程および溶融混合工程の2つの工程で行われる。
予備混合工程においては、各成分をドライ混合する。予備混合工程においては、通常、タンブラーミキサーまたはリボンブレンダーが用いられる。また、ヘンシェルミキサーまたは同様の強力混合装置のような高剪断ミキサーを用いてもよい。
通常、予備混合工程の後に溶融混合工程が行われる。溶融混合工程においては、予備混合物を溶融して再度混合する。
また、予備混合工程を行うことなく、単に各成分を個々の供給系から溶融混合装置(押出機等)の供給部に直接供給してもよい。溶融混合工程においては、通常、各成分を一軸スクリューまたは二軸スクリュー押出機で溶融混練し、これを押し出してペレット化する。ペレットをつぎの押出機に供給し、再度溶融して押し出し、シートとする。
〔芳香族ポリカーボネート系樹脂シート〕
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、公知の方法(押出成形法等)により製造することができる。通常は、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物のペレット、フレーク、粉末等を押出機で溶融、混練後、Tダイ等から押し出し、得られる半溶融状のシートをポリッシングロールで挟圧しながら、冷却、固化することにより製造される。押出機は、一軸のもの、二軸のもののいずれでもよく、また、ベント付き、ノンベントのいずれでもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの形態、厚さ等は、特に限定されない。例えば、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、単層シートであってもよく、積層シートであってもよい。また、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、複数の平行シートを、隣接壁を繋ぐ内部部材で接合してなる「多重壁」シートでもよい。このような「多重壁」シートは、内側壁と外側壁との間に空間を有している。また、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、彎曲したもの、波形のもの、屈曲したもの、鋸歯形のもの、他の特殊な形状等であってもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの好ましい形態は、厚さが1〜12mm、好ましくは1〜6mmの充実シートである。また、別の好ましい形態では、厚さが1〜40mm、好ましくは1〜20mmの積層シートである。積層シートにおいては、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物からなる層の間に、ガラス布のような他の材料の層を設けてもよい。このような積層シートも、本発明の技術的範囲に属する。
また、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの両面または片面に、耐候性および/または耐擦傷性を改善するフィルムを熱ラミネートしてもよい。また、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの接着性、塗装性、印刷性等を改善するために、各種加工処理を施してもよい。また、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートの表面に、しぼ加工、半透明または不透明加工等の加工を施してもよい。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、特に透明性および耐薬品性に優れている。透明性に関しては、厚さ2mmのシートのヘイズを0.1〜5%の範囲にすることが可能である。また、耐薬品性向上剤(B)として上述の重合体(B1)または重合体(B2)を用いた場合には、厚さ3mmのシートのヘイズを0.1〜2%の範囲にすることが可能である。
また、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、実試用温度領域内(室温〜高温)において透明性が保たれた成形品を提供することが可能である。ここでいう高温とは、60〜100℃の範囲である。
以上説明した本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、透明性、耐熱性、耐衝撃性等を損なうことなく、耐薬品性が著しく優れている。このような芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、透明性、耐熱性、耐衝撃性、および耐薬品性を必要とする自動車部品、電気・電子部品、車両部品、航空機部品、機械部品、看板、表示板、建築用資材等、幅広い用途に利用可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の記載において、「部」および「%」は特に断らない限り「質量部」および「質量%」を意味する。
(製造例1)
耐薬品性向上剤(B−1)の製造:
冷却管および攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、アニオン系乳化剤(「ラテムルASK」、花王(株)製)(固形分28%)1.0部(固形分)、蒸留水295部を仕込み、窒素雰囲気下に水浴中で80℃まで加熱した。ついで、セパラブルフラスコ内に、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部、ロンガリット0.3部を蒸留水5部に溶かしたものを加え、その後、スチレン87.5部、メタクリル酸フェニル12.5部、t−ブチルヒドロパーオキサイド0.2部、n−オクチルメルカプタン0.2部の混合物を180分かけて滴下した。その後、80℃で60分間攪拌し、重合体エマルションを得た(重合率は98%)。
0.7%の割合で硫酸を溶解した水溶液300部を撹拌しながら70℃に加温し、この中に得られた重合体エマルションを徐々に滴下して、重合体を凝固させた。析出物を分離、洗浄した後、75℃で24時間乾燥し、重合体(耐薬品性向上剤(B−1))を得た。質量平均分子量(Mw)は97000、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
(製造例2)
耐薬品性向上剤(B−2)の製造:
スチレンを20部、メタクリル酸フェニル80部、n−オクチルメルカプタンの量を0.2部から2部に変更した以外は、製造例1と同様の方法により重合体(耐薬品性向上剤(B−2))を得た(重合率は99%)。質量平均分子量(Mw)は27000、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
(製造例3)
耐薬品性向上剤(B’−3)の製造:
冷却管および攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、リン酸カルシウム0.4部、蒸留水150部を仕込み、ついでスチレン96部、メタクリル酸n−ブチル4部、過酸化ベンゾイル1.2部を溶解した混合物を加え、しばらく攪拌した後、窒素バブリングを30分実施した。窒素雰囲気下、80℃で4時間攪拌し、さらに90℃で1時間攪拌を行った。沈殿物を分離、洗浄した後、75℃で24時間乾燥し、重合体(耐薬品性向上剤(B’−3))を得た(重合率は97%)。質量平均分子量(Mw)は150000、分子量分布(Mw/Mn)は3.3であった。
製造例1〜3における各成分の仕込み量(部)、重合様式、重合率、得られた重合体の質量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を表1に示した。なお、表中、Stはスチレン、PhMAはメタクリル酸フェニル、BAはアクリル酸n−ブチル、BPOは過酸化ベンゾイルである。また、重合率は得られた重合体の固形物の質量換算により算出した。また、質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、GPC法(溶離液:クロロホルム)により測定した。
Figure 2006206754
(実施例1〜3、比較例1〜2)
芳香族ポリカーボネート系樹脂として以下のものを用意した。
PC:芳香族ポリカーボネート系樹脂、「パンライトL1225WP」、帝人化成(株)製、粘度平均分子量2.4万。
耐薬品性向上剤、および芳香族ポリカーボネート系樹脂を、表2に示す配合(合計100部)で混合し、さらに紫外線吸収剤(「チヌビン329」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.3部、酸化防止剤(「イルガノックス1076」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.1部、熱安定剤(「アデカスタブ2112」、旭電化工業(株)製)0.1部を加え、二軸押出機(機種名「TEM−35」、東芝機械(株)製)に供給し、285℃で溶融混練し、270℃に設定した幅600mmのTダイから押し出した。Tダイから押し出された半溶融状態のシートを、表面温度が130℃に設定された2本のポリッシングロールで挟圧しながら冷却し、厚さ3mmの芳香族ポリカーボネート系樹脂シートを得た。
得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂シートについて、後述の(1)〜(5)の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2006206754
(評価方法)
(1)耐薬品性:
芳香族ポリカーボネート系樹脂シートを切断して、厚さ3mm、15cm×2.5cmの試験片を得た。試験片を120℃で2時間アニール処理した後、カンチレバー試験を行い、薬品塗布による試験片の破断時間を測定した。測定は、試験温度:23℃、荷重:20MPa、溶媒:トルエン/イソオクタン=1/1vol比で実施した。
(2)表層剥離性(耐剥離性):
芳香族ポリカーボネート系樹脂シートにカッターで切り込みを入れ、剥離状態を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
○:剥離なく良好。
×:表層剥離が見られる。
(3)荷重たわみ温度(耐熱性):
芳香族ポリカーボネート系樹脂シートを切断して、厚さ3mm、12.7cm×1.27cmの試験片を得た。試験片の荷重たわみ温度をASTM D648に準拠して測定した。アニール処理は120℃で1時間実施し、荷重は1.82MPaとした。
(4)全光線透過率、ヘイズ:
芳香族ポリカーボネート系樹脂シートを切断して、厚さ3mm、5cm×5cmの試験片を得た。試験片の全光線透過率をASTM D1003に準拠して23℃と100℃で測定した。
(5)破壊形態:
芳香族ポリカーボネート系樹脂シートを切断して、厚さ3mm、10cm×10cmの試験片を得た。グラフィックインパクトテスター(東洋精機工業(株)製)を使用し、試験片の面衝撃試験を実施した。測定条件は、撃芯径:1/2インチ、受け台の径:3インチ、落下高さ:60cm、ウエイト質量:14.5kgとした。試験後の試験片の破壊形態を目視により評価した。評価基準は以下の通りである。
○:延性およびそれに類する破壊。
×:脆性およびそれに類する破壊。
表2の結果から明らかなように、実施例1〜3で得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、透明性、耐熱性、耐衝撃性等を損なうことなく、耐薬品性の著しい向上が見られ、物性バランスに非常に優れていた。
一方、比較例1で得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、相溶性が不充分なため、良好な透明性が得られず、耐剥離性、耐衝撃性も著しく低下した。
また、比較例2で得られた芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、耐薬品性向上剤を含んでおらず、充分な耐薬品性が得られなかった。
本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂シートは、透明性、耐熱性、耐衝撃性等を損なうことなく、耐薬品性に優れており、透明性、耐熱性、耐薬品性を必要とする自動車部品、電気・電子部品、車両部品、航空機部品、機械部品、看板、表示板、建築用資材等、幅広い用途において有用であり、その産業的価値は極めて高い。

Claims (1)

  1. 芳香族ポリカーボネート系樹脂(A)および耐薬品性向上剤(B)を含有する芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなる芳香族ポリカーボネート系樹脂シートであって、
    前記耐薬品性向上剤(B)が、芳香族ビニル単量体(b1)0.5〜99.5質量%、下記式(I)で表される単量体(b2)0.5〜99.5質量%、および他の単量体(b3)0〜40質量%からなる単量体混合物[ただし、単量体(b1)〜(b3)の合計は100質量%である。]を重合して得られる重合体であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート系樹脂シート。
    Figure 2006206754
    (式(I)中、R1 は水素原子またはメチル基であり、R2 は置換基を有していてもよいフェニル基である。)
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