JP5626555B2 - フッ素系樹脂積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

フッ素系樹脂積層フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明はフッ素系樹脂積層フィルム及びその製造方法に関する。
フッ素系樹脂フィルムは耐候性、耐薬品性、更には耐汚染性に優れているため、プラスチック、ガラス、スレート、ゴム、金属板、木板等の各種基材表面にラミネートされる保護フィルムとして広く使用されている。また、フッ素系樹脂フィルムで表面が保護された基材は建築物の内装材や外装材、家具等の多くの用途で使用されている。
また、単層のフィルムだけでなく、メタクリル系樹脂組成物と共押出成形されたフッ素系樹脂多層フィルムが、基材の劣化防止、美観の維持等を目的として、例えば、プラスチック、金属、木材等の種々の材料にラミネートするための保護フィルム及び自動車内外装部品にラミネートする塗装又はメッキ代替フィルムとして市場で強い関心が持たれている。
フッ素系樹脂多層フィルムとしては、例えば特許文献1では、特定組成のフッ化ビニリデン系樹脂からなる表面層と特定組成のメタクリル酸エステル系樹脂からなる裏面層を有する積層フィルムとグリコール変性ポリエステル系樹脂層を有する樹脂積層体が提案されている。この技術により、設備面や生産性等の点で環境負荷が少ない製造方法でグリコール変性ポリエステル系樹脂層の表面にフッ化ビニリデン系樹脂層を積層させて得られる積層体の耐候性の改善を可能としている。
また、特許文献2では、抗菌剤を含有する特定組成のフッ化ビニリデン系樹脂からなる表面層と紫外線吸収剤を含有する特定組成のメタクリル酸エステル系樹脂からなる裏面層を積層した積層フィルムが提案されている。この技術により、この積層フィルムを各種基材に積層させた場合に、得られる積層体にフッ素樹脂の特徴である優れた耐候性、耐汚染性、耐薬品性等の特性と抗菌性能を付与すると共に、フッ化ビニリデン系樹脂と各種基材や裏面印刷層との剥離の抑制を可能としている。
しかしながら、上記のいずれの技術においても、表面層と裏面層との間に高い密着性が要求される場合には、フッ化ビニリデン系樹脂とメタクリル酸エステル系樹脂をブレンドした樹脂組成物を使用することが必要であり、本来フッ化ビニリデン系樹脂が有する耐候性や耐薬品性等を低下させてしまうという問題があった。
特開2004−223,919号公報 特開2006−213,885号公報
本発明の目的はフッ素系樹脂が有する耐候性を維持することができ、屋外で長時間曝露してもフッ素系樹脂層が剥離することのない良好な外観を有するフッ素系樹脂積層フィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明の要旨とするところは、アクリル樹脂層にフッ素系樹脂層が積層されたフッ素系樹脂積層フィルムであって、フッ素系樹脂層を形成するフッ素系樹脂がヘキサフルオロプロピレン単位5〜20質量%を含有するものであるフッ素系樹脂積層フィルム(以下、「本フッ素系樹脂積層フィルム」という)を第1の発明とする。
また、本発明の要旨とするところは、アクリル系樹脂層とフッ素系樹脂層とが共押出法で積層された本フッ素系樹脂積層フィルムの製造方法を第2の発明とする。
本フッ素系樹脂積層フィルムは、屋外等で曝露してもフッ素系樹脂層の剥離が生じにくく、フッ素系樹脂が本来有する耐候性、耐汚染性、耐薬品性等を備えていることから、各種保護フィルム、自動車内外装部品ラミネート用フィルム、メッキ代替フィルム等の各種フィルムとして好適に使用することができる。

アクリル樹脂層

本発明において、アクリル樹脂層を形成するアクリル樹脂としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート及びブチルメタクリレートから成る群より選ばれる少なくとも一種のアルキルメタクリレートから得られる構成単位を主構成単位とし、必要に応じて炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステル、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の他のビニル単量体から得られる構成単位を有する単一重合体又は共重合体及びアルキル(メタ)アクリレート単位を主構成単位とするアクリルゴム含有重合体が挙げられる。
上記アクリル樹脂の具体例としては、特開昭52−56,150号公報、特開昭57−140,161号公報、特開昭58−215,444号公報、特開昭63−77,963号公報、特開平9−263,614号公報、特開平11−228,710号公報、特開2003−128,735号公報、特開2003−211,446号公報、特開2004−2,665号公報及び特開2005−163,003号公報に記載されているような多層構造重合体や、特開2006−110,744号公報、特開2006−91,847号公報、特開2007−91,784号公報及び特開2007−178,514号公報に記載されているようなアクリル樹脂が挙げられる。
本発明においては、本フッ素系樹脂積層フィルムを基材にラミネートして使用する際の基材の耐候性を向上させるために、アクリル樹脂中に紫外線吸収剤を配合することができる。また、紫外線吸収剤を配合する際には、必要に応じて光安定剤を併用することができる。
上記の紫外線吸収剤としては、例えば、分子量300以上のものが好ましく、分子量400以上のものがより好ましい。
分子量400以上の紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系及びトリアジン系のものが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のチヌビン234及び(株)ADEKA製のアデカスタブLA−31(いずれも商品名)が挙げられる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のチヌビン1577(商品名)が挙げられる。
紫外線吸収剤の配合量としては、アクリル樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。
前記の光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系のラジカル捕捉剤が挙げられる。
光安定剤の具体例としては、(株)ADEKA製のアデカスタブLA−57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−63及びアデカスタブLA−68;並びに三共ライフテック(株)製のサノールLS−770、サノールLS−765、サノールLS−292、サノールLS−2626、サノールLS−1114及びサノールLS−744(いずれも商品名)が挙げられる。
光安定剤の配合量としては、アクリル樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。
紫外線吸収剤及び光安定剤は単独で、又は二種以上を併用して使用することができる。
本発明においては、本フッ素系樹脂積層フィルムを製膜する際のアクリル樹脂層を形成するアクリル樹脂フィルムの製膜性を改善するために、アクリル樹脂層中に還元粘度が0.15L/g以上の加工助剤を配合することができる。
尚、本発明においては、還元粘度は重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解したものを25℃で測定して得られた値をいう。
上記の加工助剤としては、例えば、メタクリル酸メチル50〜100質量%と、これと共重合可能な他のビニル単量体0〜50質量%とを重合又は共重合して得られる重合体が挙げられる。メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体は単独で、又は二種以上を併用して使用することができる。
加工助剤の配合量としては、フィルム製膜性の点で、アクリル樹脂100質量部に対して20質量部以下が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
本発明においては、必要に応じてアクリル樹脂中に熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、艶消し剤、可塑剤、耐衝撃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の各種配合剤を配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤が挙げられる。
熱安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系熱安定剤、硫黄系熱安定剤及びヒドラジン系熱安定剤が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、オキシ安息香酸エステル、エポキシ化合物及びポリエステルが挙げられる。
滑剤としては、例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、高級アルコール及びパラフィンが挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、ノニオン系帯電防止剤及び両イオン系帯電防止剤が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、塩素系難燃剤、窒素系難燃剤、アルミニウム系難燃剤、アンチモン系難燃剤、マグネシウム系難燃剤、ホウ素系難燃剤及びジルコニウム系難燃剤が挙げられる。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、滑石、蝋石及びカオリンが挙げられる。
艶消し剤としては、例えば、有機系艶消し剤及び無機系艶消し剤が挙げられる。
艶消し剤の具体例としては、本フッ素系樹脂積層フィルムの透明性の点で、質量平均粒子径が2〜15μmの、メチルメタクリレート単位を主構成単位とする架橋樹脂の球状微粒子が挙げられる。また、艶消し剤として、本フッ素系樹脂積層フィルムの透明性、艶消し性、製膜性及び成形性の点で、特開2005−139,416号公報に記載されている水酸基を含有する重合体(V)及び重合体(VI)から選ばれる少なくとも1種の重合体が挙げられる。
上記の重合体を用いることにより、本フッ素系樹脂積層フィルムの、伸度等の物性の低下を抑制することができる。従って、艶消し剤として上記の重合体が配合されたフッ素系樹脂積層フィルムは、例えば二次加工時等にフィルム切れ等が起こらず、好ましい。
上記配合剤は単独で、又は二種以上を併用して使用することができる。
アクリル樹脂中への上記配合剤の配合方法としては、例えば、アクリル系樹脂層を形成するためのアクリル樹脂フィルムを製膜する際の押出機に供給する方法や、予めアクリル系樹脂に配合剤を配合した混合物を混練機にて混練混合する方法が挙げられる。後者の方法に使用する混練機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリミキサー及びロール混練機が挙げられる。

フッ素系樹脂層

本発明において、フッ素系樹脂層を形成するフッ素系樹脂はヘキサフルオロプロピレン単位5〜20質量%を含有するものである。
フッ素系樹脂中のヘキサフルオロプロピレン単位が5〜20質量%であると、本発明のフッ素系樹脂積層フィルムが屋外等で曝露された時にフッ素系樹脂層の剥離が起こりにくく、耐候性及び外観を良好とすることができる。
ヘキサフルオロプロピレン単位5〜20質量%を含有するフッ素系樹脂(以下、「本フッ素系樹脂」という)としては、例えば、アルケマ(株)製のカイナースーパーフレックス2500−20及びカイナーフレックス2800−20が挙げられる。
また本発明においては、本フッ素系樹脂中に、必要に応じてフッ化ビニリデンと共重合可能な単量体単位を含有させることができる。
フッ化ビニリデンと共重合可能な単量体単位を構成するための原料であるフッ化ビニリデンと共重合可能な単量体としては、例えば、4フツ化エチレン、3フツ化塩化エチレン及びフツ化ビニルが挙げられる。
本発明においては、ヘキサフルオロプロピレン単位を多く含有するフッ素系樹脂に、フッ素系樹脂中に含まれるヘキサフルオロプロピレン単位が5〜20質量%となるように、ポリフッ化ビニリデンを配合することができる。
ポリフッ化ビニリデンとしては、例えば、アルケマ(株)製のカイナー720及びカイナー740が挙げられる。
本発明においては、必要に応じて本フッ素系樹脂中に各種配合剤を配合することができる。
配合剤としては、アクリル樹脂中に配合されるものと同様のものが挙げられる。
本フッ素系樹脂中への上記配合剤の配合方法としては、アクリル樹脂中に配合する場合と同様の方法が挙げられる。

本フッ素系樹脂積層フィルム

本フッ素系樹脂積層フィルムはアクリル樹脂層にフッ素系樹脂層が積層されたものである。
本発明において、本フッ素系樹脂積層フィルムはシート状物を含むものであり、その厚みとしては50〜500μmが好ましい。
本フッ素系樹脂積層フィルム中のフッ素樹脂層とアクリル樹脂層の厚みとしては、フッ素樹脂層とアクリル樹脂層の厚みの比(フッ素樹脂層の厚み/アクリル樹脂層の厚み)は1/25〜1/3が好ましく、1/20〜1/4がより好ましく、1/15〜1/9が特に好ましい。フッ素樹脂層とアクリル樹脂層の厚みの比が1/25以上で、本フッ素系樹脂積層フィルムの表面の外観が良好となる傾向にある。また、フッ素樹脂層とアクリル樹脂層の厚みの比が1/3以下で、本フッ素系樹脂積層フィルムの透明性が良好となる傾向にある。
本発明においては、本フッ素系樹脂積層フィルムの曝露後のフッ素系樹脂層の耐剥離性の点で、本フッ素系樹脂積層フィルム中のアクリル樹脂層とフッ素系樹脂層との間には、本フッ素系樹脂積層フィルムの断面構造を透過型電子顕微鏡で観察したときにアクリル樹脂層及びフッ素系樹脂層とは異なる層として認識できる界面を有していることが好ましい。また、この界面の厚みとしては300nm以上が好ましく、400nm以上がより好ましく、500nm以上が特に好ましい。
界面の厚みの上限は、アクリル樹脂層とフッ素系樹脂層の耐候性、耐汚染性、耐薬品性等の特性を失活させない範囲であれば、特に限定されるものではない。
本フッ素系樹脂積層フィルムは樹脂成形品、木工製品、金属成形品等の各種基材の表面に積層されることにより、フッ素系樹脂層を表面に有する積層成形体を製造することができる。
また、積層成形体に意匠性を付与するために、本フッ素系樹脂積層フィルムに適当な印刷法により印刷を施すことができる。
この場合、本フッ素系樹脂積層フィルムに片側印刷したものが好ましい。また、本フッ素系樹脂積層フィルムの印刷面としては、印刷面の保護や高級感の付与の点で、基材と接触する面が好ましい。
尚、基材の色調を生かし、低光沢な塗装の代替として用いる場合には、本フッ素系樹脂積層フィルムをそのまま使用することができる。特に、このように基材の色調を生かす用途に本フッ素系樹脂積層フィルムを使用する場合は、ポリ塩化ビニルフィルムやポリエステルフイルムを使用する場合に比べ、得られる積層成形体は透明性、深み感及び高級感の点で優れている。
本フッ素系樹脂積層フィルムの製造方法としては、例えば、本フッ素系樹脂積層フィルムの製造工程を少なくすることができるという点で、アクリル樹脂とフッ素系樹脂とを溶融押出と同時に積層する共押出法が好ましい方法として挙げられる。
アクリル樹脂とフッ素系樹脂とを溶融押出と同時に積層する共押出法の具体例としては、フィードブロック法等のダイ通過前で積層する方法、マルチマニホールド法等のダイ内で積層する方法及びマルチスロット法等のダイ通過後に積層する方法が挙げられる。
尚、アクリル系樹脂とフッ素系樹脂とを溶融しながら同時に積層する場合、アクリル樹脂層が冷却ロールに接するように溶融押出しても良いし、フッ素系樹脂層を冷却ロールに接するように溶融押出しても良い。
以下、実施例及び比較例により本発明を説明する。尚、以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。また、実施例中の略号は以下の化合物を示す。
MMA:メチルメタクリレート
n−BA:n−ブチルアクリレート
1,3BD:1,3−ブチレングリコールジメタクリレート
AMA:アリルメタクリレート
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
乳化剤(イ):東邦化学工業(株)製フォスファノールRS−610NA(商品名)
SFS:ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート
EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
n−OM:n−オクチルメルカプタン
tBH:t−ブチルハイドロパーオキサイド
乳化剤(ロ):花王(株)製ラテムルASK(商品名)
実施例及び比較例において、重合体ラテックス中の重合体粒子の質量平均粒子径、重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」という)、フッ素系樹脂積層フィルム中の界面の厚み及び耐候性を下記の方法で評価した。
(1)質量平均粒子径
重合体ラテックス中の重合体粒子の質量平均粒子径は吸光度法により求めた。
(2)Tg
重合体のTgはPolymer HandBook(J.Brandrup, Interscience, 1989)に記載されている値を用いてFOXの式から算出した。
(3)界面の厚み
フッ素系樹脂積層フィルムの断面をLEICA社製ウルトラミクロトーム(EM-ULTRACUTUCT、商品名)で切り出し、日本電子(株)製の透過型電子顕微鏡(型式:JEM−1011)を用いて界面の厚みを計測した。
(4)耐候性
ポリカーボネート板にラミネートしたフッ素系樹脂積層フィルムをダイプラ・ウィンテス(株)製ダイプラ・メタルウェザーKU−R4CI−A(商品名)を使用し、以下の試験条件での促進曝露実施後のフッ素系樹脂積層フィルムのクロスカット試験を行い、表層のフッ素系樹脂が表層剥離するまでの暴露時間を測定し、以下の基準で耐候性を評価した。
○:100時間以上曝露しても表層剥離しない。
×:100時間未満の曝露で表層剥離する。
<試験条件>
L(ライト):53℃、50%RH、20時間
D(結露):30℃、98%RH、4時間
R(休止):30℃、98%RH、0.01時間
シャワー(スプレー):Dの前後30秒
照度:65mW/cm(ウシオ電機(株)製照度計使用)
フィルター:ダイプラ・ウィンテス(株)製KF-1(商品名、目開き295−780nm)
[調製例1]アクリル樹脂(1)の製造
攪拌機を備えた容器にイオン交換水8.5部を仕込んだ後、MMA0.3部、n−BA4.5部、1,3−BD0.2部、AMA0.05部及びCHP0.025部を含有する混合物を投入し、室温で攪拌混合した。この後、攪拌しながら、乳化剤(イ)1.1部を上記容器内に投入し、攪拌を20分間継続して乳化液を調製した。
次いで、冷却器付き重合容器内にイオン交換水186.5部を投入し、70℃に昇温した。更に、イオン交換水5部にSFS0.20部、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.0003部を加えて調製した混合物を重合容器内に一度に投入した。更に、窒素下で攪拌しながら、調製した上記の乳化液を8分間にわたって重合容器内に滴下した後、15分間反応を継続させ、第一弾性重合体(A−1)の重合を完結した。
続いて、MMA1.5部、n−BA22.5部、1,3−BD1.0部及びAMA0.25部を含有する混合物をCHP0.016部と共に90分間にわたって重合容器内に滴下した後、60分間反応を継続させ、第二弾性重合体(A−2)を含む弾性重合体(A)を得た。尚、第一弾性重合体(A−1)単独のTgは−48℃、第二弾性重合体(A−2)単独のTgは−48℃であった。
更に、弾性重合体(A)を有する重合容器内に、MMA6部、n−BA4部及びAMA0.075部を含有する混合物をCHP0.0125部と共に45分間にわたって滴下した後、60分間反応を継続させ、中間重合体(B)を形成させた。尚、中間重合体(B)単独のTgは20℃であった。
続いて、MMA55.2部、n−BA4.8部、n−OM0.19部及びt−BH0.08部を含有する混合物を140分間にわたって重合容器内に滴下した後、60分間反応を継続させ、硬質重合体(C)を形成して、アクリル樹脂(1)のラテックスを得た。尚、硬質重合体(C)単独のTgは84℃であった。また、アクリル樹脂(1)の質量平均粒子径は0.12μmであった。
得られたアクリル樹脂(1)のラテックスを、濾材としてSUS製の平均目開き62μmのメッシュを取り付けた振動型濾過装置を用いて濾過した後、酢酸カルシウム3部を含む水溶液中で塩析させ、水洗して回収した後に乾燥し、粉体状のアクリル樹脂(1)を得た。
[調整例2]加工助剤(あ)の製造
反応容器内に窒素置換したイオン交換水200部を仕込み、更に乳化剤(ロ)1部及び過硫酸カリウム0.15部を仕込んだ。
次いで、反応容器内にMMA40部、n−BA2部及びn−OM0.004部を仕込み、窒素雰囲気下、65℃で3時間攪拌して重合を完結させた。
続いて、MMA44部及びn−BA14部を含有する混合物を2時間にわたって滴下した後、2時間保持して重合を完結し、加工助剤(あ)のラテックスを得た。
得られた加工助剤(あ)のラテックスを0.25%硫酸水溶液中に投入して酸析させた後に脱水、水洗、乾燥して粉体状の加工助剤(あ)を得た。加工助剤(あ)の還元粘度は0.38L/gであった。
[製造例1]
アクリル樹脂(1)100部、配合剤として(株)ADEKA製LA−31RG(商品名)2.1部、(株)ADEKA製LA−57(商品名)0.45部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1076(商品名)0.1部及び加工助剤(あ)2部をヘンシェルミキサーで混合し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を脱気式押出機(池貝工業(株)製、商品名:PCM−30)を用いてシリンダー温度200〜240℃及びダイ温度240℃で溶融混練してペレット(α)を得た。
(実施例1〜4及び比較例1〜3)
製造例1で得られたペレット(α)をシリンダー温度230〜240℃の40φの単軸押出機に供給すると共に、表1に示すフッ素系樹脂をシリンダー温度200〜230℃の30φの単軸押出機に供給して、それぞれ個別に溶融可塑化したものを、250℃に加熱したマルチマニホールドダイを用いて賦型することによりフッ素系樹脂層の厚みが5μmでアクリル樹脂層の厚みが45μmの2層構造を有するフッ素樹脂系積層フィルムを得た。尚、フッ素系樹脂としてはアルケマ(株)のカイナー720及びカイナースーパーフレックス2500−20を表1に示す比でブレンドしたものを使用した。また、アクリル樹脂(1)の層が85℃の冷却ロールに接するようにしてフィルムを冷却してフッ素樹脂系積層フィルムを得た。得られたフッ素樹脂系積層フィルムの界面の厚み及び耐候性の評価結果を表2に示す。
評価結果より明らかなように、実施例1〜4のフッ素系樹脂積層フィルムにおいては、長時間曝露しても良好な耐候性を示している。しかしながら、比較例1〜3のフッ素系樹脂積層フィルムの場合には、短時間の曝露でも耐候性が不良である。

Claims (4)

  1. アクリル樹脂層にフッ素系樹脂層が積層されたフッ素系樹脂積層フィルムであって、フッ素系樹脂層を形成するフッ素系樹脂がヘキサフルオロプロピレン単位5〜20質量%を含有するものであるフッ素系樹脂積層フィルムであって、前記アクリル樹脂層が、アクリルゴム含有重合体から形成される、フッ素系樹脂積層フィルム。
  2. 請求項1において、アクリル樹脂層が紫外線吸収剤及び光安定剤を含有するものであるフッ素系樹脂積層フィルム。
  3. 請求項1又は2において、アクリル樹脂層とフッ素系樹脂層との間に形成される界面の厚みが300nm以上であるフッ素系樹脂積層フィルム。
  4. アクリル樹脂層とフッ素系樹脂層とが共押出法で積層された請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素系樹脂積層フィルムの製造方法。
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