JP2015120870A - 印刷インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は黒色顔料としてカーボンブラックを含有する印刷インキであって、薄膜印刷を可能とする印刷インキ組成物を提供することを課題とする。
また浸透乾燥方式の新聞印刷に用いる場合、セットオフや裏抜けの少ない特徴を生かし、従来に比べ軽量な新聞用紙の利用を可能とし、新聞用紙コストの削減や森林資源の保全による環境負荷の低減に寄与することができる印刷インキ組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 黒色顔料としてファーネスカーボンブラックを20〜40質量%含有し、ビヒクル成分としてアルキッド樹脂を含有する印刷インキ組成物。前記の印刷インキ組成物はギルソナイト樹脂を含有することがより好ましい。また前記の印刷インキ組成物が含有するアルキッド樹脂の油長が50〜90であることがより好ましい。また前記の印刷インキ組成物は前記のアルキッド樹脂を2〜30質量%含有することがより好ましい。
【選択図】なし
また浸透乾燥方式の新聞印刷に用いる場合、セットオフや裏抜けの少ない特徴を生かし、従来に比べ軽量な新聞用紙の利用を可能とし、新聞用紙コストの削減や森林資源の保全による環境負荷の低減に寄与することができる印刷インキ組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 黒色顔料としてファーネスカーボンブラックを20〜40質量%含有し、ビヒクル成分としてアルキッド樹脂を含有する印刷インキ組成物。前記の印刷インキ組成物はギルソナイト樹脂を含有することがより好ましい。また前記の印刷インキ組成物が含有するアルキッド樹脂の油長が50〜90であることがより好ましい。また前記の印刷インキ組成物は前記のアルキッド樹脂を2〜30質量%含有することがより好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、黒色顔料としてカーボンブラックを含有し、ビヒクル成分としてアルキッド樹脂を含有する印刷インキ組成物に関する。
枚葉、オフ輪、新聞印刷に代表される平版オフセット印刷では、コスト削減や生産性向上の観点から薄膜印刷を可能とするインキへの期待が高まっている。
薄膜印刷とは、紙等の基材に印刷されたインキの膜厚を通常よりも薄くして印刷することを言い、薄膜印刷により、ブロッキングや裏移りの低減による損紙削減、高精細印刷対応といった品質面での改善、ミスチング低減による作業環境の改善等が実現できる。さらに納期の短縮、インキ使用量の削減といったメリットも享受できる。
薄膜印刷とは、紙等の基材に印刷されたインキの膜厚を通常よりも薄くして印刷することを言い、薄膜印刷により、ブロッキングや裏移りの低減による損紙削減、高精細印刷対応といった品質面での改善、ミスチング低減による作業環境の改善等が実現できる。さらに納期の短縮、インキ使用量の削減といったメリットも享受できる。
しかしながら、従来インキを用いて薄膜印刷を行った場合、紙面上のインキ膜厚が薄くなるため、文字や絵柄の濃度が薄くなり、即ち印刷物の印刷濃度が低下して紙面品質の低下を招く。
従って薄膜印刷を行うためには、紙面上のインキ膜厚が薄くても従来と同等の文字や絵柄の濃度が得られるように、インキ中の顔料濃度を高めたもの、即ち高濃度インキが必要となる。
従って薄膜印刷を行うためには、紙面上のインキ膜厚が薄くても従来と同等の文字や絵柄の濃度が得られるように、インキ中の顔料濃度を高めたもの、即ち高濃度インキが必要となる。
平版オフセット印刷の中で、インキが紙面上に印刷された直後からインキ中の溶剤、植物油などの低粘度液状成分が紙などの繊維部分に浸透し、顔料を含んだ樹脂が表面に定着して、見かけ上乾燥するものを浸透乾燥と呼ぶ。新聞インキのほとんどがこの浸透乾燥方式に分類される。
新聞の製作においては、新聞用紙に関わるコストの削減や森林資源の保全による環境負荷低減のため、従来に比べて軽量な新聞用紙の利用が拡大している。
新聞の製作においては、新聞用紙に関わるコストの削減や森林資源の保全による環境負荷低減のため、従来に比べて軽量な新聞用紙の利用が拡大している。
しかしながら従来インキを用いて軽量新聞紙に印刷を行った場合、用紙中の繊維分が従来の用紙に比べて少ないために、紙面に浸透したインキが用紙の反対側から透けて見える、いわゆる裏抜けを起こしやすい。
軽量新聞紙への印刷において高濃度インキを用いれば、紙面上のインキ膜厚そのものが減少するのでインキの裏抜けを低減でき、紙面品質の向上につながる。
軽量新聞紙への印刷において高濃度インキを用いれば、紙面上のインキ膜厚そのものが減少するのでインキの裏抜けを低減でき、紙面品質の向上につながる。
印刷インキの高濃度化への動きは黄・紅・藍といったカラーインキが主たるものであった。カーボンブラック等の黒色顔料を含有する墨インキでは、高濃度化によりインキ製造時に練肉が難しくなる、インキの流動性が低下する、及び印刷時にインキの転移性・着肉性が低下する等の理由により製品化されていないのが現状であった。
特に墨インキの使用量の多い新聞印刷では、高濃度化によりインキの使用量を削減できるだけでなく、墨インキの裏抜けを低減することができて紙面品質の向上につながるため、高濃度墨インキの開発が強く望まれていた。
従来の技術では、印刷インキ中の顔料の高濃度化により流動性が低下するため、着肉性の低下やドットゲイン不足となる。これを改善するためには、アルキッド樹脂の添加が考えられる。アルキッド樹脂を含む印刷インキに係る公知技術及び特許出願は多いが、アルキッド樹脂の使用と顔料の高濃度化とを関連付ける技術思想は知られていない。
特許文献1の実施例1〜3にはアルキッド樹脂と一価のカルボン酸無水物を反応させた樹脂組成物からなる印刷インキ組成物が記載されているが、いずれもカラーインキに関するもので、墨インキの高濃度化に関する記載や示唆は無い。
特許文献2には、水酸基含有のアルキッド樹脂もしくはエポキシエステル樹脂に一価カルボン酸無水物を反応させ、副生した一価カルボン酸を除去してなる樹脂及び該樹脂をビヒクル成分として含む印刷インキ組成物が記載されている。しかしながら、カーボンブラックを含有する墨インキの高濃度化についての記載や示唆はない。
また、一般に油長の高いアルキッド樹脂ほど顔料への濡れ性が高くなる傾向にあるが、特許文献2の実施例に記載されているアルキッド樹脂の組成から判断すると、該アルキッド樹脂の油長は50未満であるため、耐水性を改良印刷時の汚れを低減することができたとしても、顔料への濡れ性が低下するため、顔料の高濃度化には好ましくないと考えられる。
また、一般に油長の高いアルキッド樹脂ほど顔料への濡れ性が高くなる傾向にあるが、特許文献2の実施例に記載されているアルキッド樹脂の組成から判断すると、該アルキッド樹脂の油長は50未満であるため、耐水性を改良印刷時の汚れを低減することができたとしても、顔料への濡れ性が低下するため、顔料の高濃度化には好ましくないと考えられる。
特許文献3では黒色顔料濃度が22.5〜30質量%の実施例が示されており、アルキッド樹脂の使用に関しても記載されている。
しかしながら、特許文献3におけるアルキッド樹脂とギルソナイト樹脂との合計の最大添加量は、インキ中のロジン変性フェノール樹脂とロジン変性マレイン酸樹脂との合計に対し3〜10質量%であると段落25に記載されており、インキ中におけるアルキッド樹脂はごく少量に制限される。
また本文献の実施例において、イエロー,マゼンタ及びシアンの印刷インキではアルキッド樹脂(大豆油変性アルキド樹脂)は1質量%添加した例が含まれるが、ブラック印刷インキ組成物ではアルキッド樹脂は全く添加されておらず、本発明とは構成が相違している。また、アルキッド樹脂を用いて顔料濃度を高めるための手段や可能性についての記載や示唆は見られない。
しかしながら、特許文献3におけるアルキッド樹脂とギルソナイト樹脂との合計の最大添加量は、インキ中のロジン変性フェノール樹脂とロジン変性マレイン酸樹脂との合計に対し3〜10質量%であると段落25に記載されており、インキ中におけるアルキッド樹脂はごく少量に制限される。
また本文献の実施例において、イエロー,マゼンタ及びシアンの印刷インキではアルキッド樹脂(大豆油変性アルキド樹脂)は1質量%添加した例が含まれるが、ブラック印刷インキ組成物ではアルキッド樹脂は全く添加されておらず、本発明とは構成が相違している。また、アルキッド樹脂を用いて顔料濃度を高めるための手段や可能性についての記載や示唆は見られない。
特許文献3に記載の墨インキの場合、黒色顔料の増加に伴いインキの流動性が不足すると予想されるが、その実施例の表5及び表6に示されるように、印刷時のドットゲインは予想通り従来品に比べて小さくなる傾向が示されている。さらにインキの流動性不足はインキの着肉性の低下にもつながると考えられ、実施例に記載のインキでは、網点で形成される画像の濃度が低下すると考えられる。
したがって、多数の網点で画像を形成する実際の印刷において特許文献3に記載の高濃度インキを使用した場合、その小さなドットゲインや着肉不足を補うために、紙面上へのインキ供給量を増やす必要があり、本発明が課題とする顔料の高濃度化と薄膜印刷とを両立させることは難しいと考えられる。
したがって、多数の網点で画像を形成する実際の印刷において特許文献3に記載の高濃度インキを使用した場合、その小さなドットゲインや着肉不足を補うために、紙面上へのインキ供給量を増やす必要があり、本発明が課題とする顔料の高濃度化と薄膜印刷とを両立させることは難しいと考えられる。
特許文献4では、段落39に10〜25質量%の顔料分を含む印刷インキが記載されているが、ここで述べられている顔料分には黄、紅、藍、墨の着色顔料に加え、炭酸カルシウム等の体質顔料も含まれており、着色顔料そのものの高濃度化を課題した本発明とは相違している。また、実施例は紅顔料のみを使用している。従ってカーボンブラックを含有する印刷インキに関して、着色顔料を高濃度化することについての記載や示唆は無い。
特許文献5は印刷用紙へのインキの浸透を抑制することで印刷後の紙面濃度を高める方法を提供するものであり、インキ中の黒色顔料濃度を高めること及びアルキッド樹脂の使用についての記載や示唆は無い。しかし印刷した紙面上のインキの濃度、黒色度を高める点で本願発明と課題が類似する部分はあり、カーボンブラックの含有量として10〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましいと記載されている。
しかしながら、特許文献5で使用するカーボンブラックはゴム補強用等に用いられるもので、さらに詳しくは段落13にあるように、一般にはインキ用途で利用されない低着色力、大粒子径、小凝集体のものである。したがって、インキ用途に一般的に利用されるカーボンブラックを対象とした本願発明とは構成が相違している。さらに、このような低着色力のカーボンブラックでは、本発明の課題である顔料の高濃度化と薄膜印刷とを両立させることは困難である。
しかしながら、特許文献5で使用するカーボンブラックはゴム補強用等に用いられるもので、さらに詳しくは段落13にあるように、一般にはインキ用途で利用されない低着色力、大粒子径、小凝集体のものである。したがって、インキ用途に一般的に利用されるカーボンブラックを対象とした本願発明とは構成が相違している。さらに、このような低着色力のカーボンブラックでは、本発明の課題である顔料の高濃度化と薄膜印刷とを両立させることは困難である。
本発明は黒色顔料としてカーボンブラックを含有する印刷インキであって、薄膜印刷を可能とする印刷インキ組成物を提供することを課題とする。
発明者らは、カーボンブラックを黒色顔料として用いる墨インキにおいて、アルキッド樹脂を含有させることにより、インキ中の黒色顔料含有量を従来に比べて大幅に高めることがでることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明はつぎの印刷インキ組成物及び印刷物を提供する。
(1)黒色顔料としてファーネスカーボンブラックを20〜40質量%含有し、ビヒクル成分としてアルキッド樹脂を含有する印刷インキ組成物。
(2)ギルソナイト樹脂を含有する前記(1)に記載の印刷インキ組成物。
(3)前記のアルキッド樹脂の油長が50〜90である前記(1)に記載の印刷インキ組成物。
(4)前記のアルキッド樹脂を2〜30質量%含有する前記(1)に記載の印刷インキ組成物。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の印刷インキ組成物であって、その乾燥方式が浸透乾燥型である印刷インキ組成物。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の印刷インキ組成物を用いて印刷された印刷物。
すなわち、本発明はつぎの印刷インキ組成物及び印刷物を提供する。
(1)黒色顔料としてファーネスカーボンブラックを20〜40質量%含有し、ビヒクル成分としてアルキッド樹脂を含有する印刷インキ組成物。
(2)ギルソナイト樹脂を含有する前記(1)に記載の印刷インキ組成物。
(3)前記のアルキッド樹脂の油長が50〜90である前記(1)に記載の印刷インキ組成物。
(4)前記のアルキッド樹脂を2〜30質量%含有する前記(1)に記載の印刷インキ組成物。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の印刷インキ組成物であって、その乾燥方式が浸透乾燥型である印刷インキ組成物。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の印刷インキ組成物を用いて印刷された印刷物。
本発明の印刷インキ組成物は、黒色顔料としてカーボンブラックの含有量が従来のインキよりも高く、薄膜印刷を行う場合においても文字や絵柄の濃度が低下して読みにくくなる等の問題が起きにくい。さらに従来技術による高濃度化で問題となる流動性の低下、ドットゲイン不足、着肉不良といった問題を解決し、実用的な薄膜印刷が可能となる。
本発明の印刷インキ組成物を用いて薄膜印刷を行うことにより、ブロッキングや裏移りの軽減、ミスチングやフライングの低減、さらに高精細印刷対応といった品質面での向上に加え、インキ使用量の削減が可能となる。
本発明の印刷インキ組成物を用いて薄膜印刷を行うことにより、ブロッキングや裏移りの軽減、ミスチングやフライングの低減、さらに高精細印刷対応といった品質面での向上に加え、インキ使用量の削減が可能となる。
本発明の印刷インキ組成物は、出版印刷、商業印刷、包装材料印刷等の用途や、新聞印刷を含む平版オフセット印刷、及び各種凸版印刷による印刷方式で好適に用いることができる。
また、新聞印刷に代表される浸透乾燥方式の印刷では、セットオフ(紙面の未乾燥インキが対向面に再転移する現象)や裏抜けの少ない高濃度インキの特徴を生かし、従来に比べ軽量な新聞用紙の利用が可能となり、新聞用紙に関わるコストの削減や森林資源保全の観点から環境負荷を低減できる。
また、新聞印刷に代表される浸透乾燥方式の印刷では、セットオフ(紙面の未乾燥インキが対向面に再転移する現象)や裏抜けの少ない高濃度インキの特徴を生かし、従来に比べ軽量な新聞用紙の利用が可能となり、新聞用紙に関わるコストの削減や森林資源保全の観点から環境負荷を低減できる。
本発明の印刷インキ組成物は、黒色顔料としてカーボンブラックを含有し、アルキッド樹脂を含むビヒクル成分の他に、石油系溶剤、植物油、ワックス等を含有し、さらに体質顔料及びその他助剤等を配合することができる。助剤にはドライヤー、皮張り防止剤、ゲル化剤等の粘度調整剤、ポリエチレン系やフッ素系の皮膜強化剤、分散剤、汚れ防止剤、乳化調整剤等が含まれる。
本発明の印刷インキ組成物に用いるカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等が挙げられ、好ましくはファーネスブラックが用いられる。
印刷インキ中のカーボンブラックの含有量は20〜40質量%が好ましく、22〜37質量%がより好ましく、24〜35質量%が更に好ましい。
印刷インキ中のカーボンブラックの含有量は20〜40質量%が好ましく、22〜37質量%がより好ましく、24〜35質量%が更に好ましい。
カーボンブラックの具体例としては、「MA7、8、11、77、100、100R、100S、220、230、600」、「#650、#750、#40、#44B、#44、#45B、#47、#45、#33、#45L、#47、#50、#52、#2700、#2650、#2600、#200、#2350、#2300、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#900、#850、#32、#30、#25、#20、#10、#5、CF9、#95、#260(以上三菱化学株式会社製)、「Special Black6、5、4A、4、101、550、350、250、100」、「Printex U、150T、V、140V、140U」、「PrinteX P、L6、L、G、ES23、ES22、A、95、90、85、80、75、60、55、45、40、35、300、30、3、25、200」、「Color Black S170、S160、FW2V、FW200、FW2、FW18、FW1」(以上オリオンエンジニアドカーボンズ社製)、「Black Pearls 1000M、800、880、4630」、「Monarch 1300、700、880、4630」、「Regal 330R、660R、660、400R、415R、415」、「MOGUL E、L」(以上キャボット社製)、「Raven 7000、3500、5250、5750、5000ULTRAII、1255、1250、1190、1000、1020、1035、1100ULTRA、1170、1200」(以上コロンビアン・ケミカルズ社製)、「SUNBLACK SB200、210、220、230、240、250、260、270、280、300、305、320、400、410、600、700、705、710、715、720、725、805、900、910、935、960」(以上旭カーボン株式会社製)、トーカブラック#8500、#8500F、#7550SB、#7550F」(以上東海カーボン株式会社製)などを挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
印刷インキのビヒクルとは、樹脂を油等の溶剤に溶解した樹脂溶液や、それらを加熱して粘度を調整したもの等を総称したものである。例えばロジン変性フェノール樹脂を用いたビヒクルはロジン変性フェノール樹脂と呼ばれることもあり、又ロジン変性フェノール樹脂ワニスとも呼ばれ、アルキッド樹脂を用いたビヒクルの場合、アルキッド樹脂と呼ばれることもあり、又アルキッド樹脂ワニスとも呼ばれる。さらに、ギルソナイト樹脂を用いたビヒクルではギルソナイト樹脂と呼ばれることもあり、又ギルソナイト樹脂ワニスとも呼ばれる。
ビヒクルの樹脂成分としては、アルキッド樹脂を必須として含有する他に、フェノール樹脂、石油樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂変性ロジン変性フェノール樹脂、ロジンエステル、変性アルキッド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ギルソナイト樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等、任意の樹脂系が用いられる。中でもロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂及びギルソナイト樹脂が好ましく用いられる。ビヒクルはこれらの樹脂成分と植物油や再生植物油、植物油エステル等の植物由来成分、石油系溶剤からなり、必要に応じてゲル化剤や酸化防止剤等を添加することができる。
上記アルキッド樹脂はアルキド樹脂ともよばれ、多塩基酸(主として無水フタル酸)とポリオール(主としてグリセリンあるいはペンタエリスリトール)とのエステルを基体とし、これを油、脂肪酸で変性した樹脂の総称で、ロジン、各種天然樹脂、さらにフェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの合成樹脂、あるいはスチレンなどの重合性単量体によって変性したものもアルキッド樹脂に含まれる。
本発明の印刷インキ組成物に用いるアルキッド樹脂の油長は顔料の分散性や練肉性、インキの流動性に影響を及ぼす。一般に油長の低いアルキッド樹脂を用いた場合、顔料分散性とインキの流動性は低下する。したがって、アルキッド樹脂の油長としては50〜90が好ましい。
本発明で用いるアルキッド樹脂の印刷インキ中の含有量は2〜30質量%が好ましく、より好ましくは2〜25質量%であり、さらに好ましくは2〜20質量%である。ミスチング低減と適度の流動性付与の観点からは2〜10質量%がさらに好ましく、5〜10質量%がさらに好ましい。
本発明で用いるアルキッド樹脂の印刷インキ中の含有量は2〜30質量%が好ましく、より好ましくは2〜25質量%であり、さらに好ましくは2〜20質量%である。ミスチング低減と適度の流動性付与の観点からは2〜10質量%がさらに好ましく、5〜10質量%がさらに好ましい。
本発明で用いることができるロジン変性フェノール樹脂は、(a)ロジン類(ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、天然ロジン等)、(b)フェノール類とホルムアルデヒドの縮合物、及び(c)ポリオール(グリセリン、ペンタエリスリトール等)を反応し合成したものである
ロジン変性フェノール樹脂の重量平均分子量は10000〜300000のものが好ましい。300000を超えるとインキの流動性が低下し、インキ物性が損なわれる。
ロジン変性フェノール樹脂ワニスの添加量としては、印刷インキ中の含有量は5〜65質量%が好ましく、さらに20〜55質量%がより好ましい。
ロジン変性フェノール樹脂の重量平均分子量は10000〜300000のものが好ましい。300000を超えるとインキの流動性が低下し、インキ物性が損なわれる。
ロジン変性フェノール樹脂ワニスの添加量としては、印刷インキ中の含有量は5〜65質量%が好ましく、さらに20〜55質量%がより好ましい。
また、上記石油樹脂とは、石油化学の製造工程から得られる不飽和炭化水素を原料とし、これらを精製、重合して得られる芳香族および脂肪族の炭化水素樹脂である。また石油樹脂は従来からオフセット印刷、出版グラビアインキなどにおいて一般的に使用されているものである。上記石油樹脂の具体的な製品として、ネオポリマー120、ネオポリマー140、ネオポリマー170S(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)、ペトコール120、ぺトコール140(東ソー株式会社製)等の製品が挙げられる。
さらに、上記ギルソナイト樹脂とは、天然鉱脈より採掘され天然アスファルタイトから抽出された軟化点110〜180℃の脂肪族炭化水素系樹脂である。主成分としてはアスファルテン、樹脂、油分からなる。ギルソナイト樹脂は従来からオフセット印刷において一般的に使用されているもので、一例としてアメリカンギルソナイト社製のものが挙げられる。
本発明の印刷インキに用いる石油系溶剤としては、炭素数6〜20のパラフィン系炭化水素が好ましく用いられる。例示すれば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、トリメチルペンタンなどのパラフィン系溶剤、シクロヘキサン、シクロヘキシルメタン、オクタデシルシクロヘキサン、メチルイソプロピルシクロヘキサンなどのナフテン系溶剤、およびJX日鉱日石エネルギー株式会社製の「AFソルベント4号」、「AFソルベント5号」、「AFソルベント6号」、「AFソルベント7号」など、およびこれらの溶剤の相当品や混合物が挙げられる。
本発明の印刷インキに用いられる植物油としては、ヒマシ油、落花生油、オリーブ油などの不乾性油、大豆油、綿実油、菜種油、ゴマ油、コーン油などの半乾性油、およびアマニ油、エノ油、キリ油などの乾性油、再生植物油、植物油エステル等の植物由来成分などが例示される。
本発明の印刷インキに用いられる体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリンクレー、有機ベントナイト等が例示される。
上記の原料を用いて本発明の印刷インキ組成物を製造するには公知の方法を使用することができる。例えば、必要量の溶剤、植物油、ビヒクル等を充分に混合した後、黒色顔料を添加し、攪拌機で充分に混合、プレミキシングを行う。その後、必要量のビヒクル、溶剤、及び他の添加剤を添加し、ショットミル、ロールミル等で練肉を行う。練肉後、ビヒクル、石油系溶剤、植物油、アルキッド樹脂、その他ワックス、酸化防止剤、乳化調整剤等の助剤を添加し、充分に撹拌混合する。
これらの原料はインキに必要とされる粘度や流動性に合わせて使用量を調整する。またこれらの原料は練肉前に添加してもよい。
これらの原料はインキに必要とされる粘度や流動性に合わせて使用量を調整する。またこれらの原料は練肉前に添加してもよい。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明する。本明細書において配合組成や%その他の数値は特記しない限り質量基準である。
<ロジン変性フェノール樹脂ワニスの調製>
コンデンサー、温度計、攪拌機を装着した四つ口フラスコにロジン変性フェノール樹脂(重量平均分子量 10.0万、軟化点 161℃、酸価 18.0)45部、大豆油(日新オイリオ株式会社製) 25部、AFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)14.5部を仕込み180℃で1時間加熱攪拌する。その後AFソルベント6号15部、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート(ALCH−50F 川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部を加え、ロジン変性フェノール樹脂ワニスを得た。このロジン変性フェノール樹脂ワニスを実施例及び比較例で使用した。
コンデンサー、温度計、攪拌機を装着した四つ口フラスコにロジン変性フェノール樹脂(重量平均分子量 10.0万、軟化点 161℃、酸価 18.0)45部、大豆油(日新オイリオ株式会社製) 25部、AFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)14.5部を仕込み180℃で1時間加熱攪拌する。その後AFソルベント6号15部、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート(ALCH−50F 川研ファインケミカル株式会社製) 0.5部を加え、ロジン変性フェノール樹脂ワニスを得た。このロジン変性フェノール樹脂ワニスを実施例及び比較例で使用した。
<アルキッド樹脂の調製>
撹拌機、精留塔および温度計付きの反応釜に、大豆油800部、グリセリン31.9部、ペンタエリスリトール35.4部を配合し、250℃で1時間程度保持して、アルコール交換反応を行った。150℃に冷却し、イソフタル酸165.3部、さらに還流用のキシレンを加え、250℃まで徐々に加熱した後に、250℃に5時間程度保持して脱水しながら、エステル化反応を行った。次に、キシレンを脱溶剤するために、250℃を保持しながら、減圧反応を2時間行い、アルキッド樹脂を得た。本アルキッド樹脂の油長は約80である。
撹拌機、精留塔および温度計付きの反応釜に、大豆油800部、グリセリン31.9部、ペンタエリスリトール35.4部を配合し、250℃で1時間程度保持して、アルコール交換反応を行った。150℃に冷却し、イソフタル酸165.3部、さらに還流用のキシレンを加え、250℃まで徐々に加熱した後に、250℃に5時間程度保持して脱水しながら、エステル化反応を行った。次に、キシレンを脱溶剤するために、250℃を保持しながら、減圧反応を2時間行い、アルキッド樹脂を得た。本アルキッド樹脂の油長は約80である。
<ギルソナイト樹脂ワニスの調製>
コンデンサー、温度計、攪拌機を装着した四つ口フラスコに、ギルソナイト樹脂(アメリカンギルソナイト社製 ER−125)25部、大豆油75部を仕込み、150℃で1時間加熱攪拌してギルソナイト樹脂ワニスを得た。
コンデンサー、温度計、攪拌機を装着した四つ口フラスコに、ギルソナイト樹脂(アメリカンギルソナイト社製 ER−125)25部、大豆油75部を仕込み、150℃で1時間加熱攪拌してギルソナイト樹脂ワニスを得た。
<印刷インキの調製>
カーボンブラック(カーボンブラック#32 三菱化学株式会社製)と炭酸カルシウム(白艶華T−DD 白石工業株式会社製)に加え、前記の得られたロジン変性フェノール樹脂ワニス、アルキッド樹脂、ギルソナイト樹脂ワニスを用い、表1および表2に示す配合にしたがい、三本ロールミルにて、インキ中の粗大粒子の粒径が5μm以下になるように練肉分散し、石油系溶剤(AFソルベント6号)、乾燥防止剤として2,6-ジ-ターシャリーブチル-4-クレゾール(H−BHT 本州化学工業株式会社製)を混合し、実施例1〜7および比較例1の印刷インキ合計8点を得た。
カーボンブラック(カーボンブラック#32 三菱化学株式会社製)と炭酸カルシウム(白艶華T−DD 白石工業株式会社製)に加え、前記の得られたロジン変性フェノール樹脂ワニス、アルキッド樹脂、ギルソナイト樹脂ワニスを用い、表1および表2に示す配合にしたがい、三本ロールミルにて、インキ中の粗大粒子の粒径が5μm以下になるように練肉分散し、石油系溶剤(AFソルベント6号)、乾燥防止剤として2,6-ジ-ターシャリーブチル-4-クレゾール(H−BHT 本州化学工業株式会社製)を混合し、実施例1〜7および比較例1の印刷インキ合計8点を得た。
前記のインキ中の粗大粒子の粒径とは、JIS K5701−1に記載の練和度試験における練和度を指す。
JIS K5701−1(平成12年1月20日制定)の4.3練和度に規定された試験方法は次の通りである。
溝の深さ(溝の目盛)が25μmから0μmまで直線的に変化しているグラインドメータのゲージ盤上の深いところにインキ等の試料を置き、スクレーパーを用いて掻き取るようにして溝内に試料の膜を作る。ゲージ盤上には溝の深さを示す目盛が刻まれている。
試料中に粒子が存在すると、その粒子がスクレーパーで掻き取られて移動することにより、その粒子の大きさ(直径等)より浅い溝内に線が生じる。その線を観察し、10mm以上連続した線が、一つの溝について3本以上現れたところの目盛の値をAとし、10本以上現れたところの目盛の値の位置をBとする。
本実施例では前記位置Aにおける目盛の値をそのインキ中の粗大粒子の粒径とする。
JIS K5701−1(平成12年1月20日制定)の4.3練和度に規定された試験方法は次の通りである。
溝の深さ(溝の目盛)が25μmから0μmまで直線的に変化しているグラインドメータのゲージ盤上の深いところにインキ等の試料を置き、スクレーパーを用いて掻き取るようにして溝内に試料の膜を作る。ゲージ盤上には溝の深さを示す目盛が刻まれている。
試料中に粒子が存在すると、その粒子がスクレーパーで掻き取られて移動することにより、その粒子の大きさ(直径等)より浅い溝内に線が生じる。その線を観察し、10mm以上連続した線が、一つの溝について3本以上現れたところの目盛の値をAとし、10本以上現れたところの目盛の値の位置をBとする。
本実施例では前記位置Aにおける目盛の値をそのインキ中の粗大粒子の粒径とする。
実施例1〜7の配合及び評価を表1に示し、比較例1の配合及び評価を表2に示す。
尚、表2の参考例は従来一般の印刷インキ組成物の配合例である。カーボンブラックの含有量は一般的な範囲内であり、薄膜印刷を行うには適していない。
尚、表2の参考例は従来一般の印刷インキ組成物の配合例である。カーボンブラックの含有量は一般的な範囲内であり、薄膜印刷を行うには適していない。
<印刷試験評価>
実施例1〜7、比較例1および参考例の印刷インキ組成物を用いてN−600型印刷機(東浜精機株式会社製)にて印刷速度12万部/時、新聞用更紙を使用してベタ部の紙面濃度が1.25±0.04の条件で印刷を行い、得られた印刷物のベタ部から着肉性を、50%網点印刷部からドットゲインを評価した。
また9点の印刷インキ組成物について流動性を評価した。
実施例1〜7、比較例1および参考例の印刷インキ組成物を用いてN−600型印刷機(東浜精機株式会社製)にて印刷速度12万部/時、新聞用更紙を使用してベタ部の紙面濃度が1.25±0.04の条件で印刷を行い、得られた印刷物のベタ部から着肉性を、50%網点印刷部からドットゲインを評価した。
また9点の印刷インキ組成物について流動性を評価した。
<評価方法>
(1)流動性
インキの流動性は、印刷時の様々なトラブルと関係がある。例えば流動性が高すぎるインキの場合、壺ダレ、ミスチング等の懸念があり、逆に流動性が低すぎる場合には、壺上がりや転移不良といったトラブルの原因となる。
表1および表2に示す9点のインキについて、流動性を「新聞オフセット輪転インキの試験方法 団体規格:2000(新聞インキ協会発行)」の4.1.4(ガラス板流度計による流動性の試験方法)に従い、流動性を評価した。参考例と流動性が同等で実用上問題ない場合を○、参考例と流動性が異なり実用上問題となるレベルのものを×とする。
(1)流動性
インキの流動性は、印刷時の様々なトラブルと関係がある。例えば流動性が高すぎるインキの場合、壺ダレ、ミスチング等の懸念があり、逆に流動性が低すぎる場合には、壺上がりや転移不良といったトラブルの原因となる。
表1および表2に示す9点のインキについて、流動性を「新聞オフセット輪転インキの試験方法 団体規格:2000(新聞インキ協会発行)」の4.1.4(ガラス板流度計による流動性の試験方法)に従い、流動性を評価した。参考例と流動性が同等で実用上問題ない場合を○、参考例と流動性が異なり実用上問題となるレベルのものを×とする。
(2)ドットゲイン
ビデオジェット・エックスライト社製濃度計SpectroEyeを用いて50%網点印刷部のドットゲインを評価した。参考例とドットゲインが同等で実用上問題ない場合を○、実用上問題となるレベルのものを×とする。
ビデオジェット・エックスライト社製濃度計SpectroEyeを用いて50%網点印刷部のドットゲインを評価した。参考例とドットゲインが同等で実用上問題ない場合を○、実用上問題となるレベルのものを×とする。
(3)着肉性
着肉性とは紙面上へのインキの転移性等に依存し、着肉性が悪くなると、ベタ部の濃度が不均一となりガサツキが目立ってくるため、濃度感が低下する。得られた印刷物のベタ部を目視にて参考例と相対評価を行い、実用上問題ないレベルの場合を○、参考例と比べて劣り、実用上問題があるものを×とする。
着肉性とは紙面上へのインキの転移性等に依存し、着肉性が悪くなると、ベタ部の濃度が不均一となりガサツキが目立ってくるため、濃度感が低下する。得られた印刷物のベタ部を目視にて参考例と相対評価を行い、実用上問題ないレベルの場合を○、参考例と比べて劣り、実用上問題があるものを×とする。
本発明により印刷インキ中の黒色顔料含有量を従来品に比べて大幅に高めるだけでなく、従来技術で問題となる流動性の低下、ドットゲイン不足、着肉不良といった課題を解決し、薄膜印刷を可能とする高濃度墨インキを提供することができる。
薄膜印刷により、ブロッキングや裏移りの軽減、ミスチングやフライングの低減、さらに高精細印刷対応といった品質面での向上に加え、インキ使用量の削減が可能となる。
また浸透乾燥方式の新聞印刷ではセットオフや裏抜けの少ない高濃度インキの特徴を生かし、従来に比べ軽量な新聞用紙の利用が可能となり、新聞用紙コストの削減や森林資源の保全による環境負荷の低減に寄与することができる。
薄膜印刷により、ブロッキングや裏移りの軽減、ミスチングやフライングの低減、さらに高精細印刷対応といった品質面での向上に加え、インキ使用量の削減が可能となる。
また浸透乾燥方式の新聞印刷ではセットオフや裏抜けの少ない高濃度インキの特徴を生かし、従来に比べ軽量な新聞用紙の利用が可能となり、新聞用紙コストの削減や森林資源の保全による環境負荷の低減に寄与することができる。
Claims (6)
- 黒色顔料としてファーネスカーボンブラックを20〜40質量%含有し、ビヒクル成分としてアルキッド樹脂を含有する印刷インキ組成物。
- ギルソナイト樹脂を含有する請求項1に記載の印刷インキ組成物。
- 前記のアルキッド樹脂の油長が50〜90である請求項1に記載の印刷インキ組成物。
- 前記のアルキッド樹脂を2〜30質量%含有する請求項1に記載の印刷インキ組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の印刷インキ組成物であって、その乾燥方式が浸透乾燥型である印刷インキ組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の印刷インキ組成物を用いて印刷された印刷物。
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