JP2017193605A - 浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物、及びそれを用いた、浸透乾燥方式により印刷を行ったときのドライダウンを低減させる方法 - Google Patents

浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物、及びそれを用いた、浸透乾燥方式により印刷を行ったときのドライダウンを低減させる方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017193605A
JP2017193605A JP2016083254A JP2016083254A JP2017193605A JP 2017193605 A JP2017193605 A JP 2017193605A JP 2016083254 A JP2016083254 A JP 2016083254A JP 2016083254 A JP2016083254 A JP 2016083254A JP 2017193605 A JP2017193605 A JP 2017193605A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink composition
printing
resin
dry
carbon black
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016083254A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6713333B2 (ja
Inventor
峰 鈴木
Mine Suzuki
峰 鈴木
俊輔 飯塚
Shunsuke Iizuka
俊輔 飯塚
隆史 荒木
Takashi Araki
隆史 荒木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sakata Inx Corp
Original Assignee
Sakata Inx Corp
Sakata Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sakata Inx Corp, Sakata Corp filed Critical Sakata Inx Corp
Priority to JP2016083254A priority Critical patent/JP6713333B2/ja
Publication of JP2017193605A publication Critical patent/JP2017193605A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6713333B2 publication Critical patent/JP6713333B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Phenolic Resins Or Amino Resins (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】ドライダウンを生じがちな浸透乾燥方式での印刷において、ドライダウンを抑制することのできる墨インキ組成物を提供すること。【解決手段】比着色力71〜120%、平均一次粒子径20〜40nm、窒素吸着比表面積41〜90m2/g、及びDBP吸油量70〜109cm3/100gである中性カーボンブラックと、ロジン変性フェノール樹脂と、アルキド樹脂と、を含み、ギルソナイト樹脂の含有量が2質量%未満であることを特徴とする浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物、及びそれを用いた、更紙への印刷におけるドライダウンを低減させる方法に関する。
オフセット印刷は、油性であるオフセット印刷用インキ組成物(以下、「インキ組成物」又は「インキ」と適宜省略する。)が水に反発する性質を利用した印刷方式であり、凹凸を備えた印刷版を用いる凸版印刷方式とは異なり、凹凸のない印刷版を用いることを特徴とする。この印刷版は、凹凸の代わりに親油性の画像部と親水性の非画像部とを備える。そして印刷に際しては、まず、湿し水によって印刷版の非画像部が湿潤されてその表面に水膜が形成され、次いでインキ組成物が印刷版に供給される。このとき、供給されたインキ組成物は、水膜の形成された非画像部には反発して付着せず、親油性の画像部のみに付着する。こうして、印刷版の表面にインキ組成物による画像が形成され、次いでそれがブランケット及び紙に順次転移することにより印刷が行われる。
このようなオフセット印刷のうち、高速かつ大量に印刷することが必要な新聞印刷では、オフセット輪転機が用いられる。オフセット輪転機では、印刷用紙を巻き取りの状態で用紙供給部に装着し、この巻き取りを巻き解くことで印刷用紙を印刷部へ供給し印刷を行う。印刷された印刷用紙は、裁断部で裁断を受けたあと、折り加工等といった必要な加工を受けて冊子状の新聞となる。このような印刷方法によれば、数万部から数十万部程度の印刷を一度に行うことができるので効率的である。そして、その印刷速度も1時間あたり、十万部以上という高速に達することもある。このような中、オフセット印刷用のインキ組成物においても、高速印刷適性を付与した製品が数多く提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
ところで、オフセット印刷により印刷された新聞用紙は、その表面に付着しているインキ組成物が十分に乾燥した状態とならなければ、冊子状に折り加工をした際に裏移りを生じたり、指で触れた際にインキが付着したりするので、後工程に回したり、商品として流通させたりすることができない。したがって、オフセット印刷を行った後に、用紙の表面に付着したインキ組成物を乾燥させる工程が必要になる。ここで、新聞印刷におけるインキ組成物の乾燥方式としては、浸透乾燥方式が採用される。この乾燥方式では、印刷後、用紙の表面に存在するインキ組成物に含まれる油成分が用紙の内部へと浸透することで、そのインキ組成物が用紙の表面にて粘着性を失った状態(セットした状態)となって乾燥が完了する。この状態になると、指で触っても用紙の表面に存在するインキ組成物が付着しなくなるので、裁断や冊子への折り加工等の後工程を行うことができるようになる。
特開2012−102217号公報
浸透乾燥方式による乾燥は、新聞印刷で用いられる更紙のように吸油性の高い(油の浸透速度の速い)印刷用紙においてインキ組成物を素早く乾燥させることができる点、乾燥のために特別な装置やエネルギーを必要としない点、蒸発乾燥方式と違って大気中へのVOC(揮発性有機化合物)の放出を抑制できる点等において優れたものである。しかしながら、インキ組成物を浸透乾燥方式により乾燥させた場合、紙面におけるインキの着色濃度が経時により低下してしまうドライダウンという現象を生じがちである。この現象の生じる理由は必ずしも明らかでないが、本来であれば印刷用紙の表面に固定されるべき、インキ組成物に着色力を与える成分(着色顔料等の着色成分)が、インキ組成物に含まれる油成分とともに印刷用紙の内部へ移行してしまうことが要因として推測される。ドライダウンを強く生じた印刷物では、インキ組成物によって形成された画像の着色濃度が薄くなり、メリハリの失われた紙面となるので問題である。そして、こうした現象は、印刷用紙の地色である白色の対照となる墨色の画像にて目立つ傾向がある。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、ドライダウンを生じがちな浸透乾燥方式での印刷において、ドライダウンを抑制することのできる墨インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、カーボンブラックに対する一般的な分散剤であるギルソナイト樹脂の使用量を減量又は不使用とし、代わりに、特定のカーボンブラック、すなわち、比着色力71〜120%、平均一次粒子径20〜40nm、窒素吸着比表面積41〜90m/g、及びDBP吸油量70〜109cm/100gである中性カーボンブラックを着色顔料として用いるとともに、これの分散を助けるためにアルキド樹脂を用いることで浸透乾燥方式での印刷におけるドライダウンを抑制可能な墨インキ組成物が得られることを見出した。本発明は、以上の知見によりなされたものであり、以下のようなものを提供する。
本発明は、比着色力71〜120%、平均一次粒子径20〜40nm、窒素吸着比表面積41〜90m/g、及びDBP吸油量70〜109cm/100gである中性カーボンブラックと、ロジン変性フェノール樹脂と、アルキド樹脂と、を含み、ギルソナイト樹脂の含有量が2質量%未満であることを特徴とする浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物である。
上記ギルソナイト樹脂の含有量は、1質量%未満であることが好ましい。
上記浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物は、さらに、カーボンブラック用の顔料分散剤(ギルソナイト樹脂を除く。)を含むことが好ましい。
上記浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物は、上記カーボンブラック用の顔料分散剤として、芳香環、及びヒドロキシカルボン酸由来のカルボキシル基によるエポキシ基の開環構造を有する、下記変性ノボラック樹脂(A)及び/又は下記グラフト共重合体(B)を含むことが好ましい。
(A)分子内に下記一般式(1)で表す基を少なくとも1つ有する変性ノボラック樹脂。
Figure 2017193605
(上記一般式(1)において、左端の酸素原子はノボラック樹脂の芳香族性水酸基に含まれる酸素原子に由来するものであり、W及びXはそれぞれ独立に炭素数1〜19の二価の炭化水素基であり、iは1〜30の整数であり、jは0〜30の整数であり、Rは水素原子又はメチル基である。)
(B)下記一般式(2)で表す構成単位を鎖中に少なくとも10モル%含み、質量平均分子量3000〜100000である共重合体。
Figure 2017193605
(上記一般式(2)において、W及びXはそれぞれ独立に炭素数1〜19の二価の炭化水素基であり、pは1〜30の整数であり、qは0〜30の整数であり、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又はメチル基である。)
また本発明は、上記の浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物を用いることを特徴とする、浸透乾燥方式により印刷を行ったときの印刷紙面の経時におけるドライダウンを抑制する方法でもある。
本発明によれば、ドライダウンを生じがちな浸透乾燥方式での印刷において、ドライダウンを抑制することのできる墨インキ組成物が提供される。
以下、本発明の浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物(以下、単に「インキ組成物」とも呼ぶ。)の一実施形態、及び本発明の浸透乾燥方式により印刷を行ったときのドライダウンを抑制する方法(以下、単に「ドライダウンを抑制する方法」とも呼ぶ。)の一実施態様について説明するが、本発明は以下の実施形態及び実施態様に何ら限定されるものではない。以下、本発明のインキ組成物、本発明のドライダウンを抑制する方法の順に説明する。
<浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物>
本発明のインキ組成物は、吸油性の高い更紙等の印刷用紙へ浸透乾燥方式で印刷を行った際のドライダウンを抑制することができるので、特に限定されるわけではないが、新聞印刷用途として好ましく用いられる。本発明のインキ組成物は、比着色力71〜120%、平均一次粒子径20〜40nm、窒素吸着比表面積41〜90m/g、及びDBP吸油量70〜109cmである中性カーボンブラックと、ロジン変性フェノール樹脂と、アルキド樹脂と、を含み、ギルソナイト樹脂の含有量が2質量%未満であることを特徴とする。また、これらの他に、樹脂を溶解し、流動性をインキ組成物に付与するために油成分を適宜用いる。以下、各成分について説明する。
[中性カーボンブラック]
本発明のインキ組成物は墨インキであり、カーボンブラックを着色顔料として含む。本発明のインキ組成物では、カーボンブラックの中でも中性のものを用い、特に、比着色力71〜120%、平均一次粒子径20〜40nm、窒素吸着比表面積41〜90m/g、及びDBP吸油量70〜109cm/100gであるものを用いる点が特徴の一つである。
カーボンブラックは、その製法や生成後の化学的な処理の違いにより、その表面にフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性基をもつものがあり、大雑把にいえば、その量の多いものが酸性カーボンブラックであり、少ないものが中性カーボンブラックということができる。これらの酸性基はインキ組成物に含まれる樹脂や油成分へ高い親和性を示すので、一般に、酸性基を多く含む酸性カーボンブラックのほうが、酸性基に乏しい中性カーボンブラックよりも高い分散性を示し、高い発色性をもち流動性等の優れたインキ組成物をもたらすことになる。しかしながら、本発明者らの検討によれば、新聞用更紙のような吸油性の高い印刷用紙に印刷を行う場合、酸性のカーボンブラックを着色成分として含むインキ組成物を用いて印刷を行うと、印刷後、時間の経過とともに印刷物の濃度が低下していく現象であるドライダウンを生じがちとなる。ドライダウンを生じた印刷物では、特にベタ部分等で白茶けた印面となってしまい、パンチのない印刷物であるという印象を読者に与えがちとなって好ましくない。
一方、中性のカーボンブラックを用いる場合、本発明者らの検討によれば、吸油性の高い印刷用紙に印刷した場合のドライダウンは改善されるものの、インキ組成物の発色性や流動性といった点で、酸性カーボンブラックを用いた場合よりも性能が不足がちとなる。一般に、中性のカーボンブラックは分散性に乏しく、発色性の高い小粒径のカーボンブラックではその傾向が特に顕著である。したがって、高い発色性を得ようとすれば、分散性が不足してインキ組成物の流動性低下につながることになり、中性カーボンブラックを使用する場合にはこれら発色性と流動性とを両立させるのが困難だったのが実情である。
このようなことから、本発明者らは、発色性と流動性を両立することのできる中性カーボンブラックを探すべく鋭意検討を行ったところ、比着色力71〜120%、平均一次粒子径20〜40nm、窒素吸着比表面積41〜90m/g、及びDBP吸油量70〜109cm/100gである中性カーボンブラックに、後述のアルキド樹脂を組み合わせて用いることにより、発色性と流動性を両立できるインキ組成物が得られることを見出した。本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、これから説明する特定の中性カーボンブラックを用いる点を特徴の一つとして備えるものである。
本発明で用いるカーボンブラックは、中性であり、比着色力が71〜120%、平均一次粒子径が20〜40nm、窒素吸着比表面積が41〜90m/g、及びDBP吸油量が70〜109cm/100gである。カーボンブラックは、一次粒子が凝集してブドウの房のような凝集体(ストラクチャー)を形成しており、上記のように、平均一次粒子径が20〜40nm、DBP吸油量70〜109cm/100gというカーボンブラックは、小粒径、中〜大ストラクチャーに分類されるものになる。なお、カーボンブラックのDBP吸油量としては、70〜108cm/100gが好ましく、70〜102cm/100gがより好ましい。これら比着色力、窒素吸着比表面積、DBP吸油量は、いずれもJIS K 6217に準拠して定義されている。また、平均一次粒子径は、電子顕微鏡による粒子の観察により求められる粒子径の算術平均値である。これらの数値は、カーボンブラックのメーカーが提供するカタログにも記載されているので、上記の範囲となる製品を探してそれを購入して用いればよい。
上記カーボンブラックのインキ組成物中の含有量としては10〜30質量%の範囲を好ましく挙げることができる。含有量が10質量%以上であることより、良好な黒色度を得ることができるので好ましく、含有量が30質量%以下であることにより、良好な印刷適性が得られるので好ましい。上記カーボンブラックのインキ組成物中の含有量は、15〜25質量%であることがより好ましい。
[ロジン変性フェノール樹脂]
ロジン変性フェノール樹脂は、上記カーボンブラックをインキ組成物中に分散させるための成分であり、また、印刷用紙の表面で上記カーボンブラックを固定するバインダーとして機能する成分である。ロジン変性フェノール樹脂の質量平均分子量としては、1万〜20万程度を好ましく例示できる。
ロジン変性フェノール樹脂は、後述する油成分とともに加熱されることにより溶解又は分散されてワニスとされた状態で使用される。ワニスを調製する際、樹脂を溶解させて得られた溶解ワニス中に2価以上の金属アルコキシ化合物をゲル化剤として投入し、ゲル化ワニスとしてもよい。バインダー樹脂からゲル化ワニスを調製し、これをインキ組成物の調製に用いることにより、インキ組成物に適度な粘弾性を付与することができるので好ましい。
ロジン変性フェノール樹脂のインキ組成物中の含有量としては10〜45質量%程度を好ましく挙げることができる。なお、必要に応じて、ロジン変性フェノール樹脂以外の樹脂をインキ組成物へ添加してもよい。このような樹脂としては、ロジン変性マレイン酸樹脂、石油樹脂等を例示することができる。こうした樹脂をロジン変性フェノール樹脂と組み合わせて用いる場合、インキ組成物中での合計の含有量を上記の範囲とするのが好ましい。
[アルキド樹脂]
本発明のインキ組成物は、上記の中性カーボンブラックにアルキド樹脂を組み合わせて用いる点を特徴の一つとする。アルキド樹脂は、ポリエステルの一種であり、油脂と多塩基酸と、ポリアルコールとを反応させて得たものをインキ組成物用途として例示できる。このようなアルキド樹脂は市販のものを入手して用いることができる。
アルキド樹脂のインキ組成物中の含有量としては、2〜10質量%程度が好ましく挙げられ、2〜7質量%程度がより好ましく挙げられ、2.5〜5質量%程度がさらに好ましく挙げられる。含有量が2質量%以上であることにより、上記中性カーボンブラックが良好に分散して印刷適性が向上するので好ましく、含有量が10質量%以下であることにより、良好な乳化適性が得られるので好ましい。
[油成分]
油成分は、上記の樹脂を溶解させてワニスとしたり、インキ組成物の粘度を調節したりするために使用される。油成分としては、植物油及び/又は鉱物油を挙げることができ、これまでインキ組成物の調製に用いられてきたものを特に制限なく使用できる。
本発明において、植物油には、植物油の他に植物油由来の脂肪酸エステル化合物が含まれてもよい。植物油としては、大豆油、綿実油、アマニ油、サフラワー油、桐油、トール油、脱水ヒマシ油、カノーラ油等の乾性油や半乾性油等が例示される。また、植物油由来の脂肪酸エステル化合物としては、上記植物油に由来する脂肪酸のモノアルキルエステル化合物等が例示される。この脂肪酸モノアルキルエステル化合物を構成する脂肪酸としては、炭素数16〜20の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく例示され、このような飽和又は不飽和脂肪酸としては、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸等が好ましく例示される。脂肪酸モノアルキルエステル化合物を構成するアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく例示され、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が好ましく例示される。
これらの植物油は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。植物油としては、大豆油、大豆油脂肪酸エステル等が好ましく例示される。インキ組成物における植物油の含有量としては、インキ組成物全体に対して20〜60質量%程度を例示することができる。
本発明において、鉱物油としては、溶剤とも呼ばれる軽質の鉱物油や、潤滑油状である重質の鉱物油等が挙げられる。
軽質の鉱物油としては、沸点160℃以上、好ましくは沸点200℃以上の非芳香族系石油溶剤が例示される。このような非芳香族系石油溶剤としては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製の0号ソルベント、同AFソルベント5号、同AFソルベント6号、同AFソルベント7号等が例示される。
重質の鉱物油としては、スピンドル油、マシン油、ダイナモ油、シリンダー油等として分類されてきた各種の潤滑油を挙げることができる。これらの中でも、米国におけるOSHA基準やEU基準に適応させるとの観点からは、縮合多環芳香族成分の含有量が抑制されたものであることが好ましい。このような鉱物油としては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製のインクオイルH8、同インクオイルH35(いずれも商品名)、三共油化工業株式会社製のSNH8、同SNH46、同SNH220、同SNH540(いずれも商品名)等が例示される。
これらの鉱物油は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。インキ組成物における鉱物油の含有量としては、インキ組成物全体に対して0〜50質量%程度を例示することができる。
[分散剤]
本発明のインキ組成物は、ギルソナイト樹脂のインキ組成物中の含有量が2質量%未満であることもポイントの一つである。ギルソナイト樹脂は、カーボンブラックの分散剤として優れた特性を有しており、カーボンブラックを含有する墨インキの成分としてよく用いられる。しかしながら、本発明者らによるドライダウンを改善するための検討において、ギルソナイト樹脂を用いて調製された墨インキ組成物は、吸油性の高い印刷用紙に印刷された際のドライダウンが大きくなる傾向になることが判明した。本発明は、上記の知見によりなされたものであり、インキ組成物中のギルソナイト樹脂の含有量を極力削減していることを特徴とする。そして、ギルソナイト樹脂の削減による分散性の低下については、既に述べたように、特定の中性カーボンブラックとアルキド樹脂を組み合わせることにより解決することができ、必要に応じて後述の分散剤を併用すればよい。本発明のインキ組成物中におけるギルソナイト樹脂の含有量は、2質量%未満であり、1質量%未満とするのが好ましく、0.5質量%未満とするのがより好ましく、0.2質量%以下とするのがさらに好ましく、0.1質量%以下とするのがさらに好ましく、これを含まない(すなわち0質量%とする)ことが最も好ましい。
本発明でいうギルソナイト樹脂とは、ギルソナイト、及びギルソナイトからの抽出物で軟化点120〜125℃の脂肪族炭化水素系樹脂を指す。ギルソナイトは、JIS K 5500に定義されている通り、ユタ州産のアスファルタイトを指し、硬質ビチューメンの一種である。上記ギルソナイトからの抽出物は、ギルソナイト、つまり天然アスファルタイトから抽出された軟化点120〜125℃の脂肪族炭化水素系樹脂である。
上記のように分散性を補うために分散剤を用いる場合、カーボンブラック用の顔料分散剤を用いることができる。なお、本発明において、カーボンブラック用の分散剤には、ギルソナイト樹脂が含まれない。このようなカーボンブラック用の顔料分散剤は各種のものが市販されており、それを用いることもできる。
カーボンブラック用の分散剤として、より好ましくは、芳香環、及びヒドロキシカルボン酸由来のカルボキシル基によるエポキシ基の開環構造を有する、下記変性ノボラック樹脂(A)及び/又は下記グラフト共重合体(B)を挙げることができる。こうした分散剤のインキ組成物中の含有量としては、0.2質量%〜5質量%を挙げることができる。次に、これら変性ノボラック樹脂(A)及びグラフト共重合体(B)について説明する。
変性ノボラック樹脂(A)は、芳香環、及びヒドロキシカルボン酸由来のカルボキシル基によるエポキシ基の開環構造を有し、分子内に下記一般式(1)で表す基を少なくとも1つ有するノボラック樹脂である。
Figure 2017193605
上記一般式(1)において、左端の酸素原子はノボラック樹脂の芳香族性水酸基に含まれる酸素原子に由来するものであり、W及びXはそれぞれ独立に炭素数1〜19の二価の炭化水素基であり、iは1〜30の整数であり、jは0〜30の整数であり、Rは水素原子又はメチル基である。
このような変性ノボラック樹脂(A)は、エポキシ基を有するノボラック樹脂と、炭素数2〜20のモノヒドロキシ脂肪酸又はその縮重合物とを反応させて得られる。
エポキシ基を有するノボラック樹脂は、フェノール性水酸基を有するノボラック樹脂に、常法によりエピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等のエピクロルヒドリン誘導体を反応させることで合成される。なお、こうしたエポキシ基を導入されたノボラック樹脂は市販されているので、それを用いてもよい。
フェノール性水酸基を有するノボラック樹脂としては、一価又は多価フェノール類とアルデヒド類とから常法により誘導されるノボラック樹脂を用いることができる。
このうち一価フェノールとしては、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール等の無置換フェノール類やアルキルフェノール等の置換フェノール類を挙げることができる。多価フェノール類としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、トリヒドロキシベンゼン、又はこれらの置換体や、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジヒドロキシジフェニルメタン類、ジヒドロキシビフェニル類等を挙げることができる。これらのフェノール類は、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
アルデヒド類としては、ノボラック樹脂の製造のために一般に用いられているものを特に制限無く挙げることができる。具体的には、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、グリオキサール等の低級脂肪族アルデヒド類、フルフラール、フェニルアルデヒド等の芳香族アルデヒド類等を挙げることができる。これらアルデヒド類は、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
ノボラック樹脂を合成するには、常法により、パラトルエンスルホン酸、過塩素酸、塩酸、硝酸、硫酸、クロロ酢酸、シュウ酸、リン酸等の酸触媒の存在下に、上記フェノール類及びアルデヒド類を80〜130℃にて反応させればよい。この反応の進行は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等により追跡することができる。
炭素数2〜20のモノヒドロキシ脂肪酸は、分子中に不飽和結合や分岐構造を有してもよい。このようなモノヒドロキシ脂肪酸としては、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸、ヒドロキシラウリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシパルミチン酸、リシノール酸やひまし油脂肪酸、及びそれらの水添物、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。これらのモノヒドロキシ脂肪酸は、エポキシ基と反応をすることのできる可能なカルボキシル基を分子内に含み、上記エポキシ基を有するノボラック樹脂の分子内に含まれるエポキシ基と反応して反応物を生成させる。
また、炭素数2〜20のモノヒドロキシ脂肪酸の縮重合物は、上記のモノヒドロキシ脂肪酸をエステル化触媒等の存在下で縮重合させたものである。上記のモノヒドロキシ脂肪酸は、分子内に水酸基とカルボキシル基とを併せ持つので、モノヒドロキシ脂肪酸同士で脱水縮合(エステル化反応)してポリエステル化合物を生成させることができる。このようなポリエステル化合物は、エポキシ基と反応をすることの可能なカルボキシル基を分子内に含み、上記エポキシ基を有するノボラック樹脂の分子内に含まれるエポキシ基と反応して反応物を生成させる。
これらモノヒドロキシ脂肪酸又はその縮重合物の中でも、本発明においては12−ヒドロキシステアリン酸を縮重合させたポリエステルが好ましく例示される。
エポキシ基を有するノボラック樹脂と、炭素数2〜20のモノヒドロキシ脂肪酸又はその縮重合物(以下、単に「モノヒドロキシ脂肪酸等」とも呼ぶ。)とを反応させて変性ノボラック樹脂(A)を得るには、これらを混合した上で加熱すればよい。その際、必要に応じてジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、キシレン等といった適切な溶媒を添加してもよい。反応に際しての反応温度としては、100〜175℃程度を例示することができるが、特に限定されない。エポキシ基を有するノボラック樹脂とモノヒドロキシ脂肪酸等とが反応するにつれて、モノヒドロキシ脂肪酸等に含まれるカルボキシル基が消費され、反応混合物の酸価が低下するので、反応中の酸価をモニターすることにより反応の進行度合い及び終了を判断することが可能である。反応終了時点の酸価としては、0.1〜1.0mgKOH/g程度を例示できるが特に限定されない。
エポキシ基を有するノボラック樹脂とモノヒドロキシ脂肪酸等との混合割合は、エポキシ基を有するノボラック樹脂の1分子中に含まれるエポキシ基の数及びものヒドロキシ脂肪酸等の1分子中に含まれるカルボキシル基の数を考慮して適宜決定すればよい。エポキシ基を有するノボラック樹脂とモノヒドロキシ脂肪酸等との混合割合としては、エポキシ基を有するノボラック樹脂に含まれるエポキシ基1モルに対してモノヒドロキシ脂肪酸等に含まれるカルボキシル基が0.5〜0.9モルである割合を好ましく例示でき、更にはエポキシ基を有するノボラック樹脂に含まれるエポキシ基1モルに対してモノヒドロキシ脂肪酸等に含まれるカルボキシル基が0.6〜0.85モルである割合をより好ましく例示できるが、特に限定されない。
このようにして得られた変性ノボラック樹脂(A)をそのまま用いてもよいし、必要に応じて、さらに、分子内に2以上のカルボキシル基を有する化合物を添加して反応させて変性物としたものを変性ノボラック樹脂(A)として用いてもよい。この場合、変性ノボラック樹脂(A)の原料として分子内に2個以上のエポキシ基を有するノボラック樹脂を用いれば、モノヒドロキシ脂肪酸等により変性されたノボラック樹脂同士が2以上のカルボキシル基を有する化合物によって架橋され、より高分子量化された変性ノボラック樹脂(A)を得ることができる。このように高分子量化された変性ノボラック樹脂(A)を用いることにより、低分子の樹脂化合物をインキ組成物に添加した際にしばしば観察されるミスチング等の問題を抑制できるので好ましい。
2以上のカルボキシル基を有する化合物としては、分子内に2以上のカルボキシル基を有する化合物であれば特に限定されず、このような化合物の一例として、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸等を挙げることができる。
2以上のカルボキシル基を有する化合物により架橋を行う際の反応温度としては、125〜175℃程度を例示することができるが、特に限定されない。未反応のエポキシ基と2以上のカルボキシル基を有する化合物とが反応するにつれて、2以上のカルボキシル基を有する化合物に含まれるカルボキシル基が減少し、反応混合物の酸価が低下するので、反応中の酸価をモニターすることにより反応の進行度合い及び終了を判断することが可能である。例えば、反応を継続させても酸価が減少しなくなれば、それはエポキシ基が使い尽くされた状況を意味するのであり、反応が終了したと判断することができる。
2以上のカルボキシル基を有する化合物の添加量は、反応に使用するエポキシ基を有するノボラック樹脂に含まれるエポキシ基及びモノヒドロキシ脂肪酸等に含まれるカルボキシル基の量に応じて適宜決定すればよい。このような添加量の一例として、エポキシ基を有するノボラック樹脂に含まれるエポキシ基のモル数とモノヒドロキシ脂肪酸等に含まれるカルボキシル基のモル数との差1モルに対して、2以上のカルボキシル基を有する化合物に含まれるカルボキシル基のモル数が0.5〜0.9モルである割合を好ましく例示でき、更には2以上のカルボキシル基を有する化合物に含まれるカルボキシル基のモル数が0.6〜0.85モルである割合をより好ましく例示できるが、特に限定されない。
グラフト共重合体(B)は、芳香環、及びヒドロキシカルボン酸由来のカルボキシル基によるエポキシ基の開環構造を有し、分子内に一般式(2)で表す構成単位を少なくとも10モル%含み、質量平均分子量3000〜100000である、エチレン性不飽和単量体の共重合体である。なお、分子内に下記一般式(2)で表される構成単位を10モル%含むとは、エチレン性不飽和単量体の重合物であるグラフト共重合体(B)をエチレン性不飽和単量体に由来する構成単位に分割し、全構成単位中、一般式(2)で表される構成単位が少なくとも10モル%含まれるという意味である。
Figure 2017193605
上記一般式(2)において、W及びXはそれぞれ独立に炭素数1〜19の二価の炭化水素基であり、pは1〜30の整数であり、qは0〜30の整数であり、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又はメチル基である。
グラフト共重合体(B)は、下記一般式(3)で表す(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル10〜90モル%と、エポキシ基に対して反応性の高い官能基を有していないその他のエチレン性不飽和単量体10〜90モル%とを、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤を用い、常法によりエポキシ基を含有する共重合体を得た後、当該共重合体のエポキシ基に、上記変性ノボラック樹脂(A)で説明したモノヒドロキシ脂肪酸等を反応させればよい。こうして得られた反応物に対して、上記変性ノボラック樹脂(A)で説明した2以上のカルボキシル基を有する化合物を作用させて架橋してもよい。これらの反応を行うに際して、反応の条件や、モノヒドロキシ脂肪酸等及び2以上のカルボキシル基を有する化合物の量については上記変性ノボラック樹脂(A)のときと同様とすればよい。
Figure 2017193605
(上記一般式(3)において、R及びRは上記一般式(2)におけるものと同じである。)
エポキシ基に対して反応性の高い官能基を有していないその他のエチレン性不飽和単量体としては、ビニルトルエン、α―メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、t−ブチルスチレン等のアルキル置換スチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン等のハロゲン置換スチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン等のアルコキシ置換スチレン、フェノキシスチレン等のアリールオキシ置換スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ノルボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族性水酸基を有する(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類、メチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボエート等のビニエーテル類、ヒドロキシブチルビニルエーテル等の脂肪族性水酸基を有するビニエーテル類、アリルアセテート等の各種酸のアリルエステル等が例示される。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
[その他の成分]
本発明のインキ組成物には、印刷性能を向上させる等の観点から、必要に応じて上記の各成分の他に各種成分を添加することができる。このような各種成分としては、無色顔料、リン酸塩等の塩類、ポリエチレン系ワックス・オレフィン系ワックス・フィッシャートロプシュワックス等のワックス類、アルコール類、酸化防止剤等が例示される。
無色顔料は、体質顔料とも呼ばれ、インキ組成物における粘度等といった特性を調節するために好ましく使用される。無色顔料としては、クレー、タルク、カオリナイト(カオリン)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、ベントナイト、酸化チタン等が例示される。無色顔料の添加量としては、インキ組成物全体に対して0〜33質量%程度が例示されるが、特に限定されない。
[インキ組成物の調製方法]
上記の各成分を用いて本発明のインキ組成物を製造するに際しては、従来公知の方法を用いることができる。このような方法としては、上記の各成分を混合した後にビーズミルや三本ロールミル等で練肉することで着色顔料を分散させた後、必要に応じて鉱物油や添加剤(酸化防止剤、アルコール類、ワックス類等)等を加えてよく撹拌し、さらに粘度調整することを例示できる。インキ組成物の粘度は、それが適用される印刷機の構成や印刷用紙の紙質等を考慮して適宜設定すればよいが、一例として、ラレー粘度計による25℃での値が2.0〜20Pa・sであることを挙げることができるが、特に限定されない。
<浸透乾燥方式により印刷を行ったときの印刷紙面の経時におけるドライダウンを抑制する方法>
次に、本発明のドライダウンを抑制する方法について説明する。本発明のドライダウンを抑制する方法は、浸透乾燥方式により印刷を行ったときの印刷紙面の経時におけるドライダウンを抑制するものであり、上記本発明のインキ組成物を用いて印刷を行うことを特徴とする。
既に述べたように、本発明のインキ組成物は、更紙等のような吸油性の高い印刷用紙に浸透乾燥方式で印刷を行ったときのドライダウンを抑制する効果に優れるので、これを用いて浸透乾燥方式で印刷を行うことにより、印刷後における経時のドライダウンを抑制することができる。このような印刷物としては、新聞、電話帳等、更紙等の吸油性の高い印刷用紙に浸透乾燥方式で印刷を行って作製されるものを挙げることができる。また、印刷方式としては、オフセット輪転印刷方式を好ましく例示できるが、特に限定されない。
以下に実施例を挙げて本発明の印刷インキ組成物をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の記載では、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
[変性ノボラック樹脂の合成]
冷却管、水分分離管、温度計、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに12−ヒドロキシステアリン酸300部、キシレン30部、テトラ−n−ブチルチタネート0.3部の混合物を入れ、窒素気流下にて生成する水を水分分離管で分離しながら180〜200℃で3時間加熱撹拌した。次いで、キシレンを減圧留去して重量平均分子量800、酸価80の淡褐色重合物であるポリエステルAを得た。
反応容器に、エポキシ基を有するノボラック樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、YDPN−638)30部、上記ポリエステルA64部及びDMF50部の混合溶液を入れ、窒素気流下にて130〜150℃で2時間加熱撹拌した。次いで、テレフタル酸6部を加えて2時間反応させた後、無水コハク酸6部を加えてさらに3時間加熱撹拌した。その後、DMFを減圧留去し、重量平均分子量9000、酸価32の変性ノボラック樹脂を得た。
[インキ組成物用ワニスの調製]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、質量平均分子量10万のロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業株式会社製)35部、大豆油20部及びAFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)44.5部を仕込んだ後200℃に昇温し、同温度を1時間維持することにより樹脂を溶解させた後、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社製、ALCH)を0.5部仕込み、その後170℃で60分間加熱保持して、ワニスを得た。
[インキ組成物の調製]
表2に示す処方にて各種の材料を混合し三本ロールにて練肉することによりインキ組成物を調製した。表2に示す各配合量は質量部である。表2において、「ワニス」は上記手順にて調製したインキ組成物用ワニスであり、「変性ノボラック樹脂」は上記手順にて調製した変性ノボラック樹脂であり、「ギルソナイトワニス」はギルソナイト(American Gilsonite Company社製、製品名:ギルソナイト S325L)20部をAFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)80部で溶解させたものであり、アルキド樹脂は製品名SYNOLAC 7412(大豆油及び亜麻仁油変性アルキド樹脂、Cray Valley社製)であり、「ベースオイル」はナフテン系ベースオイル(三共油化工業株式会社製、製品名SNH540)であり、「ナフテン系混合物」はナフテン系ベースオイルとナフテン系減圧蒸留残渣との混合物(三共油化株式会社製、製品名A/OMIX)である。
なお、表2におけるカーボンブラックA〜Cの各物理化学特性は下記表1のA〜Cにそれぞれ示す通りである。また、表2において、各インキ組成物中のギルソナイト樹脂の含有量(単位は質量%である。)を「ギルソナイト樹脂量」欄に示した。
Figure 2017193605
[ドライダウンの評価]
各実施例及び比較例のインキ組成物のドライダウンの評価は、以下のようにして行った。まず、インキ組成物の試料0.1ccを、RI展色機(2分割ロール、株式会社明製作所製)を用いて更紙(王子製紙株式会社製、SL+)に展色し、展色直後の濃度をSpectroeye濃度計(Gretagmacbeth社製)により測定した後に、室内で24時間放置してから再度濃度を測定した。そして、展色直後の濃度値から24時間経過後の濃度値を引いたものをドライダウン量とし、ドライダウン量に応じて下記の基準にて評価を行った。その結果を表2の「ドライダウン」欄に示す。
○ ドライダウン量が0.13以下であり、良好である
△ ドライダウン量が0.14〜0.15であり、やや不良である
× ドライダウン量が0.16以上であり、不良である
[流動性評価]
インキ組成物の物性の一つである流動性は、印刷機へのインキ組成物の配管圧送に影響を与える要素であり、これが極端に悪いと配管圧送に問題を生じてインキ組成物の供給量が減少してしまい印刷物における濃度ムラを生じる要因になる。したがって、良好な印刷を実現するためには、ある程度の流動性がインキ組成物に求められることになる。そこで、各実施例及び比較例のインキ組成物のそれぞれについて流動性を評価した。各実施例及び比較例のインキ組成物の流動性の評価は、垂直ガラス板流度計を用いて、25℃において、印刷インキ組成物0.5ccが重力により10分間で流れた距離を測定することにより行った。この距離が大きいほど流動性が良好であることになり、この距離の大きさに応じて以下の基準にて各インキ組成物の評価を行った。その結果を表2の「流動性」欄に示す。
○ インキ組成物の流れた距離が40mm以上であり、良好である
△ インキ組成物の流れた距離が30mm以上40mm未満であり、やや不良である
× インキ組成物の流れた距離が30mm未満であり、不良である
Figure 2017193605
表2に示す通り、本発明のインキ組成物によれば、印刷後のドライダウン小さく、かつインキ組成物の流動性が十分に確保されることがわかる。これに対して、ギルソナイト樹脂の量が2質量%である比較例1ではインキ組成物の流動性は良好なものの、印刷後のドライダウンが著しく悪かった。また、本発明所定のカーボンブラックでないカーボンブラックBを用いた比較例2ではインキ組成物の流動性が不足する結果であり、同じく本発明所定のカーボンブラックでないカーボンブラックCを用いた比較例3ではドライダウンが著しく悪い結果となることから、本発明の要件を満たさないカーボンブラックを用いた場合では流動性とドライダウン抑制とのバランスを欠く結果となった。以上のことから、本発明によれば、印刷後のドライダウンが小さく、良好な流動性を備えたインキ組成物が提供されることがわかる。

Claims (5)

  1. 比着色力71〜120%、平均一次粒子径20〜40nm、窒素吸着比表面積41〜90m/g、及びDBP吸油量70〜109cm/100gである中性カーボンブラックと、ロジン変性フェノール樹脂と、アルキド樹脂と、を含み、
    ギルソナイト樹脂の含有量が2質量%未満であることを特徴とする浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物。
  2. 前記ギルソナイト樹脂の含有量が1質量%未満である請求項1記載の浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物。
  3. さらに、カーボンブラック用の顔料分散剤(ギルソナイト樹脂を除く。)を含む請求項1又は2記載の浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物。
  4. 前記カーボンブラック用の顔料分散剤として、芳香環、及びヒドロキシカルボン酸由来のカルボキシル基によるエポキシ基の開環構造を有する、下記変性ノボラック樹脂(A)及び/又は下記グラフト共重合体(B)を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物。
    (A)分子内に下記一般式(1)で表す基を少なくとも1つ有する変性ノボラック樹脂。
    Figure 2017193605
    (上記一般式(1)において、左端の酸素原子はノボラック樹脂の芳香族性水酸基に含まれる酸素原子に由来するものであり、W及びXはそれぞれ独立に炭素数1〜19の二価の炭化水素基であり、iは1〜30の整数であり、jは0〜30の整数であり、Rは水素原子又はメチル基である。)
    (B)下記一般式(2)で表す構成単位を鎖中に少なくとも10モル%含み、質量平均分子量3000〜100000である共重合体。
    Figure 2017193605
    (上記一般式(2)において、W及びXはそれぞれ独立に炭素数1〜19の二価の炭化水素基であり、pは1〜30の整数であり、qは0〜30の整数であり、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又はメチル基である。)
  5. 請求項1〜5のいずれか1項記載の浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物を用いることを特徴とする、浸透乾燥方式により印刷を行ったときの印刷紙面の経時におけるドライダウンを抑制する方法。
JP2016083254A 2016-04-18 2016-04-18 浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物、及びそれを用いた、浸透乾燥方式により印刷を行ったときのドライダウンを低減させる方法 Active JP6713333B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016083254A JP6713333B2 (ja) 2016-04-18 2016-04-18 浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物、及びそれを用いた、浸透乾燥方式により印刷を行ったときのドライダウンを低減させる方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016083254A JP6713333B2 (ja) 2016-04-18 2016-04-18 浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物、及びそれを用いた、浸透乾燥方式により印刷を行ったときのドライダウンを低減させる方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017193605A true JP2017193605A (ja) 2017-10-26
JP6713333B2 JP6713333B2 (ja) 2020-06-24

Family

ID=60155337

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016083254A Active JP6713333B2 (ja) 2016-04-18 2016-04-18 浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物、及びそれを用いた、浸透乾燥方式により印刷を行ったときのドライダウンを低減させる方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6713333B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7494370B1 (ja) 2023-11-28 2024-06-03 サカタインクス株式会社 金属印刷用インキ組成物

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09302259A (ja) * 1995-12-25 1997-11-25 Sakata Corp 顔料分散物及びそれを用いたオフセット印刷用インキ組成物
JP2006282774A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Toyo Ink Mfg Co Ltd 印刷用インキおよびそれを用いた印刷物
JP2008163063A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Toyo Ink Mfg Co Ltd 印刷インキ組成物
US20090030136A1 (en) * 2005-03-22 2009-01-29 Sakata Inx Corp. Process for producing ink composition for offset printing, and ink composition for offset printing produced by said production process
JP2010189539A (ja) * 2009-02-18 2010-09-02 Toyo Ink Mfg Co Ltd 印刷用インキおよびそれを用いた印刷物
JP2011094052A (ja) * 2009-10-30 2011-05-12 Sakata Corp 浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物
JP2015120870A (ja) * 2013-11-20 2015-07-02 Dicグラフィックス株式会社 印刷インキ組成物
JP2015199796A (ja) * 2014-04-04 2015-11-12 東洋インキScホールディングス株式会社 オフセットインキ組成物および印刷物

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09302259A (ja) * 1995-12-25 1997-11-25 Sakata Corp 顔料分散物及びそれを用いたオフセット印刷用インキ組成物
US20090030136A1 (en) * 2005-03-22 2009-01-29 Sakata Inx Corp. Process for producing ink composition for offset printing, and ink composition for offset printing produced by said production process
JP2006282774A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Toyo Ink Mfg Co Ltd 印刷用インキおよびそれを用いた印刷物
JP2008163063A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Toyo Ink Mfg Co Ltd 印刷インキ組成物
JP2010189539A (ja) * 2009-02-18 2010-09-02 Toyo Ink Mfg Co Ltd 印刷用インキおよびそれを用いた印刷物
JP2011094052A (ja) * 2009-10-30 2011-05-12 Sakata Corp 浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物
JP2015120870A (ja) * 2013-11-20 2015-07-02 Dicグラフィックス株式会社 印刷インキ組成物
JP2015199796A (ja) * 2014-04-04 2015-11-12 東洋インキScホールディングス株式会社 オフセットインキ組成物および印刷物

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
三菱カーボンブラック:物理化学特性表, JPN6020003028, pages 1 - 3, ISSN: 0004202672 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7494370B1 (ja) 2023-11-28 2024-06-03 サカタインクス株式会社 金属印刷用インキ組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6713333B2 (ja) 2020-06-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6243248B2 (ja) 印刷インキ組成物
JP2004352782A (ja) ロジン変性フェノール樹脂、ゲルワニス、印刷インキおよびロジン変性フェノール樹脂の製造方法
JP5108430B2 (ja) インキ組成物
CN112996866B (zh) 胶版印刷用油墨组合物及其制造方法、以及使用了该胶版印刷用油墨组合物的印刷物的制造方法
JP2014070167A (ja) ロジン多価アルコールエステル樹脂、インキ乳化適性向上剤、オフセット印刷インキ用ワニス及びオフセット印刷用インキ組成物
JP2008174678A (ja) 印刷インキ用樹脂ワニス及び印刷インキ
JP6713333B2 (ja) 浸透乾燥型オフセット印刷用墨インキ組成物、及びそれを用いた、浸透乾燥方式により印刷を行ったときのドライダウンを低減させる方法
JP5977427B1 (ja) 平版印刷インキ、印刷物
JP2011074112A (ja) オフセット印刷用墨インキ
JP5581747B2 (ja) オフセット印刷用インキおよび印刷物
JP6146904B2 (ja) オフセット印刷用インキ組成物
JP2001233947A (ja) ポリエステル樹脂、その製造法、印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ
JP5010264B2 (ja) ヒートセット型オフセット印刷インキ組成物
JP5689548B1 (ja) 印刷インキ組成物
JP2011074172A (ja) 水性平版印刷インキならびに印刷物
JP2010229300A (ja) オーバープリントニス組成物
JP5714238B2 (ja) 平版印刷インキ組成物
JP6580374B2 (ja) 浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物の製造方法
JP2006249280A (ja) 印刷インキ組成物
JP7082864B2 (ja) オフセット印刷用インキ組成物、その製造方法、及びオフセット印刷用インキ組成物調製用ワニス
JP7133495B2 (ja) オフセット印刷用インキ組成物、及び枚葉オフセット印刷物の製造方法
JP2002285060A (ja) オフセット印刷インキ組成物
JP2010229301A (ja) 印刷インキ組成物
JP5703557B2 (ja) オフセットインキ用添加剤、オフセットインキ用ワニス及びオフセット印刷用インキ組成物
JP2004204202A (ja) 印刷インキ組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190318

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200603

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6713333

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250