JP2015118910A - スパークプラグ、および、スパークプラグの製造方法 - Google Patents

スパークプラグ、および、スパークプラグの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】貴金属チップの適切な取り付けを容易に実現する。【解決手段】貴金属チップと、貴金属チップが配置される貫通孔を有する保持部と、保持部が接合される本体部と、を有する接地電極を用いる。ここで、貴金属チップから見てギャップ側を先端側とし、保持部の先端面における内径を内径Gf、保持部の後端面における内径を内径Grとし、貴金属チップの先端面の外径を外径Tf、貴金属チップの後端面の外径を外径Trとする。この場合、内径Gfが、外径Tr未満であり、内径Gfが、内径Gr未満であり、外径Tfが、外径Tr未満である。また、保持部の貫通孔を形成する内周面と、貫通孔に配置される部分における貴金属チップの外周面と、の少なくとも一方は、先端側に向かって連続的に縮径している。そして、貴金属チップの先端面は、保持部の先端面よりも、先端側に位置している。【選択図】 図1

Description

本発明は、スパークプラグに関するものである。
従来から、内燃機関に、スパークプラグが用いられている。スパークプラグは、ギャップを形成する電極を有している。電極としては、例えば、貴金属チップを有する電極が利用されている。ここで、貴金属チップをチップ保持部に溶接し、チップ保持部を接地電極に溶接する技術が提案されている。
特許第4705129号公報
貴金属チップの取り付けにチップ保持部を用いる場合、チップ保持部を用いずに貴金属チップを取り付ける場合と比べて、部品数が増えるので、貴金属チップの適切な取り付けを実現することが容易ではなかった。例えば、貴金属チップの寸法の公差とチップ保持部の寸法の公差との両方を小さい範囲内に維持するための負担が大きかった。
本発明の主な利点は、貴金属チップの適切な取り付けを容易に実現することである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
貴金属チップと、前記貴金属チップが配置される貫通孔を有する保持部と、前記保持部が接合される本体部と、を有する接地電極と、
前記貴金属チップとの間でギャップを形成する中心電極と、
を有するスパークプラグであって、
前記貴金属チップから見て前記ギャップ側を先端側とし、
前記保持部の先端面における内径を内径Gf、前記保持部の後端面における内径を内径Grとし、
前記貴金属チップの先端面の外径を外径Tf、前記貴金属チップの後端面の外径を外径Trとしたときに、
前記内径Gfが、前記外径Tr未満であり、
前記内径Gfが、前記内径Gr未満であり、
前記外径Tfが、前記外径Tr未満であり、
前記保持部の前記貫通孔を形成する内周面と、前記貫通孔に配置される部分における前記貴金属チップの外周面と、の少なくとも一方は、先端側に向かって連続的に縮径しており、
前記貴金属チップの先端面は、前記保持部の先端面よりも、先端側に位置している、スパークプラグ。
この構成によれば、貴金属チップの寸法と保持部の寸法との公差が大きい場合であっても、本体部に対する貴金属チップの適切な取り付けを容易に実現できる。
[適用例2]
適用例1に記載のスパークプラグであって、
前記保持部の前記内周面は、先端側に向かって連続的に縮径する第1テーパ面を有し、
前記貴金属チップの前記外周面は、先端側に向かって連続的に縮径する第2テーパ面を有する、スパークプラグ。
この構成によれば、貴金属チップの取り付け強度を向上できる。
[適用例3]
適用例2に記載のスパークプラグであって、
前記貴金属チップの中心軸を含む断面において、前記第1テーパ面と前記中心軸とがなす角度のうちの鋭角である第1角度Ag1を、前記第2テーパ面と前記中心軸とがなす角度のうちの鋭角である第2角度Ag2から、引いた差分dAgは、−10度以上、かつ、+10度以下である、
スパークプラグ。
この構成によれば、保持部に対する貴金属チップの位置ズレを抑制できる。
[適用例4]
適用例1から3のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記接地電極は、さらに、少なくとも前記貴金属チップと前記保持部とを接合する第1溶融部を有する、
スパークプラグ。
この構成によれば、貴金属チップから、第1溶融部と本体部とを通じて、主体金具に適切に熱を逃がすことができる。
[適用例5]
適用例4に記載のスパークプラグであって、
前記接地電極は、複数の前記第1溶融部を有し、
前記複数の第1溶融部は、前記貴金属チップの中心軸を挟んで互いに対向しない位置に配置されている、
スパークプラグ。
この構成によれば、貴金属チップと保持部との間で熱膨張係数に差がある場合であっても、温度変化によって貴金属チップまたは保持部が損傷することを、抑制できる。
[適用例6]
適用例4または5に記載のスパークプラグであって、さらに、
前記中心電極を保持する絶縁体と、
前記絶縁体の径方向の周囲に配置された主体金具と、
を有し、
前記本体部は、前記主体金具に接続された端である基端を有し、
少なくとも1つの第1溶融部は、前記貴金属チップの中心軸よりも前記基端側に位置している、
スパークプラグ。
この構成によれば、貴金属チップの昇温を抑制できる。
[適用例7]
適用例6に記載のスパークプラグであって、
前記貴金属チップの中心軸と平行な方向を向いて見た場合に、少なくとも1つの第1溶融部は、前記貴金属チップの前記中心軸よりも前記基端側において前記本体部の長手方向の軸と重なる、
スパークプラグ。
この構成によれば、貴金属チップの昇温を抑制できる。
[適用例8]
適用例4から7のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記第1溶融部は、前記本体部の表面に露出する露出面を有する、
スパークプラグ。
この構成によれば、第1溶融部を容易に形成できる。
[適用例9]
適用例1から8のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記接地電極は、前記保持部と前記本体部とを接合する第2溶融部を有し、
前記第2溶融部は、前記貴金属チップから離間している、
スパークプラグ。
この構成によれば、第2溶融部に貴金属成分が混入することを抑制できる。
[適用例10]
適用例9に記載のスパークプラグであって、
前記接地電極は、さらに、少なくとも前記貴金属チップと前記保持部とを接合する第1溶融部を有し、
前記本体部は、前記主体金具に接続された端である基端を有し、
前記第1溶融部の全体は、前記貴金属チップの中心軸よりも前記基端側に位置し、
前記第2溶融部の少なくとも一部分は、前記貴金属チップの中心軸よりも前記基端側とは反対側に位置する、
スパークプラグ。
この構成によれば、貴金属チップの熱膨張係数が本体部の熱膨張係数よりも小さい場合であっても、温度上昇によって貴金属チップが損傷することを、抑制できる。
[適用例11]
適用例9または10に記載のスパークプラグであって、
前記貴金属チップは、前記貫通孔内に配置される部分の後端側に接続され、前記保持部の前記後端面における前記貫通孔の縁よりも外周側の位置まで突出する突出部を有する、
スパークプラグ。
この構成によれば、貴金属チップの位置が先端側にずれることが、貴金属チップの突出部が保持部の後端面に接触することによって抑制されるので、貴金属チップの適切な取り付けを容易に実現できる。
[適用例12]
適用例11に記載のスパークプラグであって、
前記貴金属チップの中心軸に平行な方向の前記突出部の厚さは、0.2mm以上である、
スパークプラグ。
この構成によれば、突出部の破損が抑制されるので、貴金属チップの適切な取り付けを容易に実現できる。
[適用例13]
適用例11または12に記載のスパークプラグであって、
前記貴金属チップのうちの前記貫通孔内に配置される部分の外周面の後端から前記突出部の外周側の端までの、前記貴金属チップの中心軸を中心とする円の径方向の長さは、0.05mm以上、0.25mm以下である、
スパークプラグ。
この構成によれば、突出部の破損と貴金属チップの位置ずれを抑制できるので、貴金属チップの適切な取り付けを容易に実現できる。
[適用例14]
適用例1から13のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
前記保持部の前記貫通孔に前記貴金属チップを配置する配置工程と、
前記配置工程の後に、前記保持部に、前記保持部の径方向の荷重を加える工程と、
を有する、製造方法。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、スパークプラグ、スパークプラグを搭載する内燃機関、スパークプラグの製造方法、等の態様で実現することができる。
第1実施形態のスパークプラグの一例の断面図である。 接地電極30の先端部331の近傍を拡大して示す部分断面図である。 接地電極30の先端部331の概略図である。 スパークプラグの製造方法の一例を示すフローチャートである。 貴金属チップ38の配置の説明図である。 溶接の説明図である。 凹部335の説明図である。 溶接の説明図である。 本体部33xの曲げ加工の説明図である。 電極チップ90n、90pの構成を示す断面図である。 接地電極の別の実施形態の概略図である。 接地電極の別の実施形態の概略図である。 接地電極の別の実施形態の概略図である。 スパークプラグ100の製造方法の別の実施形態の説明図である。 ステップS113の処理の概略図である。 電極チップの別の実施形態の概略図である。 接地電極30zの概略図である。 接地電極30zの温度が上昇した状態の例を示す部分断面図である。 参考例の接地電極の温度が上昇した状態の例を示す部分断面図である。 接地電極の別の実施形態の概略図である。 接地電極の別の実施形態の概略図である。 接地電極の別の実施形態の概略図である。 接地電極の別の実施形態の概略図である。
A.第1実施形態:
A−1.スパークプラグの構成:
図1は、第1実施形態のスパークプラグの一例の断面図である。図示されたラインCLは、スパークプラグ100の中心軸を示している。図示された断面は、中心軸CLを含む断面である。以下、中心軸CLのことを「軸線CL」とも呼び、中心軸CLと平行な方向を「軸線方向」とも呼ぶ。中心軸CLと平行な方向のうち、図1における下方向を第1方向D1と呼び、上方向を第2方向D2とも呼ぶ。第1方向D1は、後述する端子金具40から電極20、30に向かう方向である。また、中心軸を中心とする円の径方向を、単に「径方向」とも呼び、中心軸を中心とする円の円周方向を「周方向」とも呼ぶ。
スパークプラグ100は、絶縁体10(以下「絶縁碍子10」とも呼ぶ)と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50と、導電性の第1シール部60と、抵抗体70と、被覆部290と、導電性の第2シール部80と、第1パッキン8と、タルク9と、第2パッキン6と、第3パッキン7と、を備えている。
絶縁体10は、中心軸CLに沿って延びて絶縁体10を貫通する貫通孔12(以下「軸孔12」とも呼ぶ)を有する略円筒状の部材である。絶縁体10は、アルミナを焼成して形成されている(他の絶縁材料も採用可能である)。絶縁体10は、第1方向D1側から第2方向D2に向かって順番に並ぶ、脚部13と、第1縮外径部15と、第1胴部17と、鍔部19と、第2縮外径部11と、第2胴部18と、を有している。第1縮外径部15の外径は、第2方向D2側から第1方向D1に向かって、徐々に小さくなる。絶縁体10の第1縮外径部15の近傍(図1の例では、第1胴部17)には、第2方向D2側から第1方向D1に向かって内径が徐々に小さくなる縮内径部16が形成されている。第2縮外径部11の外径は、第1方向D1側から第2方向D2に向かって、徐々に小さくなる。
絶縁体10の軸孔12の第1方向D1側には、中心軸CLに沿って延びる棒状の中心電極20が挿入されている。中心電極20は、第1方向D1側から第2方向D2に向かって順番に並ぶ、脚部25と、鍔部24と、頭部23と、を有している。脚部25の第1方向D1側の部分は、絶縁体10の第1方向D1側で、軸孔12の外に露出している。中心電極20の他の部分は、軸孔12内に配置されている。鍔部24の第1方向D1側の面は、絶縁体10の縮内径部16によって、支持されている。また、中心電極20は、電極母材21と、電極母材21の内部に埋設された芯材22と、を有している。電極母材21は、例えば、ニッケル(Ni)またはニッケルを主成分として含む合金(例えば、インコネル(「INCONEL」は、登録商標))を用いて形成されている。ここで、「主成分」は、含有率が最も高い成分を意味している(以下、同様)。含有率としては、重量パーセントで表される値が、採用される。芯材22は、電極母材21よりも熱伝導率が高い材料(例えば、銅を含む合金)で形成されている。
絶縁体10の軸孔12の第2方向D2側には、端子金具40が挿入されている。端子金具40は、導電材料(例えば、低炭素鋼等の金属)を用いて形成されている。端子金具40は、第2方向D2側から第1方向D1に向かって順番で並ぶ、キャップ装着部41と、鍔部42と、脚部43と、を有している。キャップ装着部41は、絶縁体10の第2方向D2側で、軸孔12の外に露出している。脚部43は、絶縁体10の軸孔12に挿入されている。
絶縁体10の軸孔12内において、端子金具40と中心電極20との間には、電気的なノイズを抑制するための、円柱状の抵抗体70が配置されている。抵抗体70と中心電極20との間は、導電性の第1シール部60が配置され、抵抗体70と端子金具40との間には、導電性の第2シール部80が配置されている。中心電極20と端子金具40とは、抵抗体70とシール部60、80とを介して、電気的に接続される。シール部60、80を用いることによって、積層される部材20、60、70、80、40間の接触抵抗が安定し、中心電極20と端子金具40との間の電気抵抗値を安定させることができる。なお、抵抗体70は、例えば、主成分であるガラス粒子(例えば、B23−SiO2系のガラス)と、セラミック粒子(例えば、TiO)と、導電性材料(例えば、Mg)と、を用いて形成されている。シール部60、80は、例えば、抵抗体70と同様のガラス粒子と、金属粒子(例えば、Cu)と、を用いて形成されている。
主体金具50は、中心軸CLに沿って延びて主体金具50を貫通する貫通孔59を有する略円筒状の部材である。主体金具50は、低炭素鋼材を用いて形成されている(他の導電材料(例えば、金属材料)も採用可能である)。主体金具50の貫通孔59には、絶縁体10が挿入されている。主体金具50は、絶縁体10の径方向の周囲に配置された状態で、絶縁体10に固定されている。主体金具50の第1方向D1側では、絶縁体10の第1方向D1側の端部(本実施形態では、脚部13の第1方向D1側の部分)が、貫通孔59の外に露出している。主体金具50の第2方向D2側では、絶縁体10の第2方向D2側の端部(本実施形態では、第2胴部18の第2方向D2側の部分)が、貫通孔59の外に露出している。
主体金具50は、第1方向D1側から第2方向D2に向かって順番に並ぶ、胴部55と、座部54と、変形部58と、工具係合部51と、加締部53と、を有している。座部54は、鍔状の部分である。胴部55の外周面には、内燃機関(例えば、ガソリンエンジン)の取付孔に螺合するためのネジ部52が形成されている。座部54とネジ部52との間には、金属板を折り曲げて形成された環状のガスケット5が嵌め込まれている。
主体金具50は、変形部58よりも第1方向D1側に配置された、縮内径部56を有している。縮内径部56の内径は、第2方向D2側から第1方向D1に向かって、徐々に小さくなる。主体金具50の縮内径部56と、絶縁体10の第1縮外径部15と、の間には、第1パッキン8が挟まれている。第1パッキン8は、鉄製のOリングである(他の材料(例えば、銅等の金属材料)も採用可能である)。
工具係合部51の形状は、スパークプラグレンチが係合する形状(例えば、六角柱)である。工具係合部51の第2方向D2側には、加締部53が設けられている。加締部53は、絶縁体10の第2縮外径部11よりも第2方向D2側に配置され、主体金具50の第2方向D2側の端を形成する。加締部53は、径方向の内側に向かって屈曲されている。
主体金具50の第2方向D2側では、主体金具50の内周面と、絶縁体10の外周面と、の間に、環状の空間SPが形成されている。本実施形態では、この空間SPは、主体金具50の加締部53および工具係合部51と、絶縁体10の第2縮外径部11および第2胴部18と、に囲まれた空間である。この空間SP内の第2方向D2側には、第2パッキン6が配置されている。この空間SP内の第1方向D1側には、第3パッキン7が配置されている。本実施形態では、これらのパッキン6、7は、鉄製のCリングである(他の材料も採用可能である)。空間SP内における2つのパッキン6、7の間には、タルク(滑石)9の粉末が充填されている。
スパークプラグ100の製造時には、加締部53が内側に折り曲がるように加締められる。そして、加締部53が第1方向D1側に押圧される。これにより、変形部58が変形し、パッキン6、7とタルク9とを介して、絶縁体10が、主体金具50内で、第1方向D1側に向けて押圧される。第1パッキン8は、第1縮外径部15と縮内径部56との間で押圧され、そして、主体金具50と絶縁体10との間をシールする。以上により、内燃機関の燃焼室内のガスが、主体金具50と絶縁体10との間を通って外に漏れることが、抑制される。また、主体金具50が、絶縁体10に、固定される。
接地電極30は、主体金具50の第1方向D1側の端に接合されている。接地電極30は、本体部33と、貴金属チップ38と、保持部39と、を有している。本実施形態では、本体部33は、棒状の部材である。本体部33の一端(以下、「基端332」と呼ぶ)は、主体金具50の第1方向D1側の端に、電気的に導通するように、接合されている(例えば、レーザ溶接)。本体部33は、主体金具50から第1方向D1に向かって延び、中心軸CLに向かって曲がって、先端部331に至る。先端部331の第2方向D2側の面上には、貴金属チップ38と、保持部39と、が固定されている。貴金属チップ38は、中心電極20の先端面20s1(第1方向D1側の表面20s1)との間でギャップgを形成する。本体部33は、本体部33の表面を形成する母材35と、母材35内に埋設された芯部36と、を有している。母材35は、例えば、Ni又はNiを主成分として含む合金(例えば、インコネル)を用いて形成されている。芯部36は、母材35よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅)を用いて形成されている。
図2は、図1の接地電極30の先端部331の近傍を拡大して示す部分断面図である。図3は、第2方向D2側から第1方向D1を向いて見た接地電極30の先端部331の近傍の概略図である。図示するように、本体部33の表面のうち、中心電極20の先端面20s1と対向する位置には、第1方向D1に向かって凹む凹部335が形成されている。この凹部335の形状は、中心軸CLを中心とする略円柱形状である。凹部335は、本体部33の母材35によって、形成されている。凹部335内には、中心電極20に向かって突出する貴金属チップ38と、貴金属チップ38を囲む保持部39と、が固定されている。
貴金属チップ38の形状は、中心軸CLを中心とする略円錐台形状である。貴金属チップ38の外径は、中心電極20に向かって、徐々に小さくなる。貴金属チップ38は、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)などの貴金属を主成分として含む合金を用いて、形成されている。なお、Irは、貴金属の中でも融点が高く、そして、耐火花消耗性に優れている。従って、Ir、または、Irを主成分として含む合金を用いて、貴金属チップ38を形成することが好ましい。なお、Irの熱伝導率は、Pt等の他の貴金属の熱伝導率よりも、低い。しかし、後述するように、貴金属チップ38の昇温は、抑制可能である。従って、貴金属チップ38がIrを含む場合であっても、貴金属チップ38の酸化を抑制できる。
保持部39の形状は、中心軸CLに沿って延びる貫通孔395を有する環状である。保持部39の外形は、凹部335の内面によって形成される形状と、おおよそ同じである。貫通孔395の形状は、貴金属チップ38のうちの本体部33から突出した部分を除いた残りの部分の形状と、おおよそ同じである。すなわち、保持部39の内径は、貴金属チップ38の外径と同様に、中心電極20に向かって、徐々に小さくなる。保持部39は、Ni又はNiを主成分として含む合金を用いて、形成されている。なお、保持部39は、本体部33の母材35と同じ材料で形成されることが好ましい。こうすれば、保持部39と母材35との接合強度を向上できる。
保持部39の貫通孔395内には、貴金属チップ38が配置されている。貴金属チップ38は、保持部39に、レーザ溶接によって接合されている。図3に示す8個の第1溶融部81は、貴金属チップ38と保持部39との溶接時に溶融した部分である。貴金属チップ38と保持部39とは、これらの第1溶融部81によって、互いに固定されている。後述するように、各第1溶融部81は、保持部39の外周面から、貴金属チップ38の内部に向かって延びるように、形成される。図3に示すように、8個の第1溶融部81は、周方向に沿っておおよそ等間隔で、配置されている。
保持部39は、本体部33に、レーザ溶接によって接合されている。図中の第2溶融部82は、保持部39と本体部33との溶接時に溶融した部分である。図3中では、第2溶融部82に、ハッチングが付されている。保持部39は、この第2溶融部82によって、本体部33に固定されている。図2に示すように、第2溶融部82は、保持部39の外周面と凹部335の内周面との境界93に沿って、第2方向D2側の表面から第1方向D1側に向かって延びるように、形成される。また、図3に示すように、第2溶融部82は、中心軸CLを中心とする全周に亘って、形成されている。
第1溶融部81は、貴金属チップ38の成分と保持部39の成分とを含んでいる。貴金属を含む溶融部は、貴金属を含まない溶融部と比べて、酸化し易い。図2、図3の第1実施形態では、保持部39の外周面の全体が、凹部335内に収容されている。従って、貴金属を含む第1溶融部81は、凹部335内に収容されており、外部には露出しない。従って、第1溶融部81の酸化を抑制できる。
また、保持部39と本体部33とを接合する第2溶融部82は、貴金属チップ38から離間している。従って、第2溶融部82に貴金属チップ38の貴金属成分が混入することが抑制される。この結果、第2溶融部82の酸化を抑制できる。
A−2.スパークプラグの製造方法:
図4は、スパークプラグの製造方法の一例を示すフローチャートである。ステップS110では、保持部39の貫通孔395内に、貴金属チップ38が配置される。図5は、貴金属チップ38の配置の説明図である。図中には、貴金属チップ38の中心軸CLxを含む断面が示されている。図5の左部には、同軸上に並べた貴金属チップ38と保持部39とが示されている。図5の右部には、貴金属チップ38が貫通孔395内に配置された状態が示されている。ここで、貴金属チップ38の中心軸CLxと平行な方向Df、Drのうち、貴金属チップ38から見てギャップg側(図1)に向かう方向Dfを、先端方向Dfと呼び、先端方向Dfの反対の方向Drを、後端方向Drと呼ぶ。先端方向Dfは、外径が大きい端面389から、外径が小さい端面381へ向かう方向である。図1に示す完成したスパークプラグ100においては、先端方向Dfは、第2方向D2である。以下、貴金属チップ38の先端方向Dfの端面381を、先端面381と呼ぶ。貴金属チップ38の後端方向Dr側の端面389を、後端面389と呼ぶ。保持部39の先端方向Df側の端面391を、先端面391と呼ぶ。保持部39の後端方向Dr側の端面399を、後端面399と呼ぶ。
図中には、外径Tf、Trと、内径Gf、Grと、が示されている。第1外径Tfは、貴金属チップ38の先端面381の外径である。第2外径Trは、貴金属チップ38の後端面389の外径である。第1内径Gfは、保持部39の先端面391の内径である。第2内径Grは、保持部39の後端面399の内径である。本実施形態では、以下の3つの関係が成立している。
1) 第1内径Gf < 第2外径Tr
2) 第1内径Gf < 第2内径Gr
3) 第1外径Tf < 第2外径Tr
なお、本実施形態では、貴金属チップ38の第2外径Trは、保持部39の第2内径Grと、おおよそ同じである。
保持部39の内周面394は、先端方向Dfに向かって連続的に縮径するテーパ面を形成する(以下「第1テーパ面394」とも呼ぶ)。本実施形態では、中心軸CLxを通る断面上では、第1テーパ面394は、略直線で表される。貴金属チップ38の外周面384は、先端方向Dfに向かって連続的に縮径するテーパ面を形成する(以下、「第2テーパ面384」とも呼ぶ)。本実施形態では、中心軸CLxを通る断面上では、第2テーパ面384は、略直線で表される。
図中には、補助線L1、L2と、角度Ag1、Ag2と、が示されている。第1補助線L1は、保持部39の第1テーパ面394と交差する、中心軸CLxと平行な直線である。第1角度Ag1は、第1テーパ面394と第1補助線L1(すなわち、中心軸CLx)とがなす角度のうちの鋭角を示している。第2補助線L2は、貴金属チップ38の第2テーパ面384と交差する、中心軸CLxと平行な直線である。第2角度Ag2は、第2テーパ面384と第2補助線L2(すなわち、中心軸CLx)とがなす角度のうちの鋭角を示している。本実施形態では、第1角度Ag1は、第2角度Ag2と、おおよそ同じである。
図5の右部に示すように、本実施形態では、保持部39の貫通孔395内に貴金属チップ38が配置された状態では、貴金属チップ38の後端面389は、保持部39の後端面399と、おおよそ同じ平面上にある。そして、貴金属チップ38の外周面384の少なくとも一部が、保持部39の内周面394と、接触する。
図4の次のステップS115では、貴金属チップ38と保持部39とが溶接される(以下、ステップS115の溶接を「第1溶接」とも呼ぶ)。図6は、溶接の説明図である。図中には、貴金属チップ38と保持部39との中心軸CLxを含む断面が示されている。図5の上部には、溶接時の状態が示され、図5の下部には、溶接後の状態が示されている。図中の矢印LZ1は、レーザ光の概略を示している。レーザ光LZ1は、保持部39の外周面393上に、照射される。レーザ光LZ1の照射方向は、外周面393から中心軸CLxに向かう方向である。このようなレーザ光LZ1の照射により、保持部39の外周面393から貴金属チップ38まで延びる第1溶融部81が形成される。なお、レーザ光LZ1の照射は、8個の第1溶融部81(図3)が形成されるように、周方向に沿っておおよそ等間隔に配置された8個の位置で、行われる。以下、貴金属チップ38と保持部39とで構成される部材90を、「電極チップ90」と呼ぶ。
次に、図4のステップS120、S125について、説明する。これらのステップS120、S125は、ステップS110、S115とは独立に、行われる。ステップS120では、組立体が形成される。組立体は、図1に示すスパークプラグ100の製造工程のうち、接地電極30の本体部33の屈曲と、本体部33上への電極チップ90の接合とを、行う前の状態のものである。図4のステップS120を示す箱の中には、組立体100xの中心電極20の近傍を示す部分断面図が示されている。組立体100xは、絶縁体10と、絶縁体10に固定された主体金具50と、絶縁体10の貫通孔12に挿入された中心電極20と、を有している。また、主体金具50には、直線状の部材33xが、曲げる前の本体部33として、接合されている(以下「本体部33x」と呼ぶ)。なお、図中では、本体部33xの母材35と芯部36との図示が省略されている。後述する他の図でも、母材35と芯部36の図示を省略する場合がある。また、組立体を形成する方法としては、公知の種々の方法を採用可能であり、詳細な説明を省略する。
次のステップS125では、接地電極30の本体部33xに、凹部335が形成される。図7は、凹部335の説明図である。図中には、組立体100xのうちの本体部33xの近傍の部分断面図が示されている。図示された断面は、組立体100xの中心軸CLを含む断面である。図示するように、曲げる前の本体部33xに、凹部335が形成される。凹部335は、例えば、ドリル等の切削工具を用いて、形成される。なお、本体部33x上の凹部335の位置は、中心電極20の先端面20s1の位置に合わせて、決定されることが好ましい。こうすれば、主体金具50に対する中心電極20の位置にズレが生じた場合であっても、適切なギャップgを実現できる。
図4の次のステップS130では、電極チップ90が、凹部335内に溶接される(以下、ステップS130の溶接を「第2溶接」とも呼ぶ)。図8は、溶接の説明図である。図中には、凹部335の近傍を示す部分断面(貴金属チップ38の中心軸CLxを含む部分断面)が示されている。図8の左部には、溶接時の状態が示され、図8の右部には、溶接後の状態が示されている。図中の矢印LZ2は、レーザ光の概略を示している。まず、電極チップ90が、凹部335内に配置される。そして、レーザ光LZ2が、凹部335の内周面と保持部39の外周面393との境界上に、先端方向Df側から後端方向Drに向かって、照射される。このようなレーザ光LZ2の照射によって、凹部335の内周面と保持部39の外周面393(すなわち、本体部33x(ここでは、母材35)と保持部39)を接合する第2溶融部82が形成される。なお、図3で説明したように、レーザ光LZ2の照射は、凹部335の内周面と保持部39の外周面393との境界の全周に亘って、行われる。
図4の次のステップS140では、本体部33xが曲げられて、ギャップgが形成される。図9は、本体部33xの曲げ加工の説明図である。図中には、本体部33xの近傍を示す部分断面(中心軸CLを含む部分断面)が示されている。図示するように、本体部33xが中心電極20に向かって曲げられる。これにより、中心電極20の先端面20s1と、貴金属チップ38の先端面381との間に、ギャップgが形成される。なお、本体部33xの曲げ加工は、ギャップgの距離が所定の距離となるように、行われる。以上により、スパークプラグ100が完成する。
以上のように、第1実施形態では、保持部39(図5)の第1内径Gfは、貴金属チップ38の第2外径Tr未満である。従って、貴金属チップ38が、保持部39の貫通孔395の先端方向Df側から外れることを、抑制できる。また、貫通孔395(図8)の後端方向Dr側は、本体部33によって塞がれている。従って、貴金属チップ38が接地電極30から外れることを、抑制できる。
また、保持部39(図5)の内周面394は、先端方向Df側に向かって連続的に縮径する第1テーパ面394を形成する。さらに、貴金属チップ38の外周面384は、先端方向Df側に向かって連続的に縮径する第2テーパ面384を形成する。従って、貴金属チップ38の外径と保持部39の内径との少なくとも一方の公差が大きい場合であっても、保持部39の貫通孔395に貴金属チップ38を容易に嵌め込むことができる。また、貴金属チップ38の外周面384を、保持部39の内周面394に、容易に接触させることができる。この結果、貴金属チップ38と保持部39との接合の強度を向上できる。そして、本体部33に対する貴金属チップ38の適切な固定を実現できる。
また、図5に示すように、貴金属チップ38の先端面381は、保持部39の先端面391よりも、先端方向Df側に位置している。従って、貴金属チップ38の先端面381以外の部分(例えば、保持部39の先端面391)で放電が生じることを抑制できる。
また、接地電極30には、貴金属チップ38と保持部39とを接合する第1溶融部81が形成されている。従って、貴金属チップ38と保持部39との接合の強度を、容易に、向上できる。
また、図3に示すように、複数の第1溶融部81は、貴金属チップ38の中心軸(図3では、中心軸CL)よりも基端332側に位置する第1溶融部81aを、含んでいる。このような第1溶融部81aは、以下に説明するように、貴金属チップ38の昇温を抑制できる。内燃機関が運転される場合、貴金属チップ38の温度が上昇する。保持部39は、第1溶融部81aを通じて、貴金属チップ38から本体部33へ、熱を逃がすことができる。本体部33は、基端332を通じて、主体金具50に熱を逃がすことができる。従って、第1溶融部81aが基端332に近い場合、すなわち、第1溶融部81aが貴金属チップ38の中心軸よりも基端332側に位置する場合には、その第1溶融部81aは、貴金属チップ38を、適切に冷却できる。この結果、貴金属チップ38の消耗を抑制できる。
また、図3に示すように、貴金属チップ38の中心軸(図3では、中心軸CL)と平行な方向を向いて見た場合に、少なくとも1つの第1溶融部81aは、貴金属チップ38の中心軸よりも基端332側において本体部33の長手方向の軸CLaと重なる位置に配置されている。すなわち、第1溶融部81aは、貴金属チップ38の外周面384と保持部39の内周面394との接触する部分のうちの、最も基端332に近い位置に、配置されている。従って、第1溶融部81aは、適切に、貴金属チップ38を冷却できる。この結果、貴金属チップ38の消耗を、適切に、抑制できる。なお、本体部33の長手方向の軸CLaは、本体部33の中心軸であり、本体部33の長手方向に沿って延びる軸である。貴金属チップ38の中心軸と平行な方向を向いて見た場合、接地電極30は、この軸CLaに対して、線対称である。
A−3.第1評価試験:
スパークプラグ100のサンプルを用いた評価試験について説明する。この評価試験では、貴金属チップ38の固定の強度が、評価された。以下の表1は、サンプルの構成と、評価結果と、を示している。
Figure 2015118910
角度差dAgは、図5で説明した第1角度Ag1を第2角度Ag2から引いた差分である。評価試験では、角度差dAgが、それぞれ、−11度、−10度、−5度、0度、+5度、+10度、+11度である7個のサンプルが、評価された。
図10は、角度差dAgが負値である電極チップ90nの構成と、角度差dAgが正値である電極チップ90pの構成と、を示す断面図である。各断面は、貴金属チップ38の中心軸CLxを含む断面である。いずれの電極チップ90n、90pにおいても、貴金属チップ38の後端面389は、保持部39の後端面399と、おおよそ同じ平面上にある。
角度差dAgが負値である電極チップ90nでは、保持部39の先端面391の内周側の端392は、貴金属チップ38の外周面384に接触している。一方、保持部39の後端面399の内周側の端398は、貴金属チップ38の後端面389の外周側の端388から外周側に離れた位置に、位置している。
角度差dAgが正値である電極チップ90pでは、保持部39の後端面399の内周側の端398は、貴金属チップ38の後端面389の外周側の端388に、接触している。一方、保持部39の先端面391の内周側の端392は、貴金属チップ38の外周面384から外周側に離れた位置に、位置している。
評価試験に用いられた7個のサンプルの間では、貴金属チップ38の構成は、共通であった。7個のサンプルの間では、保持部39の内周面394の構成(例えば、第1角度Ag1(図5))を変えることによって、互いに異なる角度差dAgを実現した。なお、7個のサンプルの間で共通な寸法は、以下の通りである。
貴金属チップ38の第1外径Tf: 2.5mm
貴金属チップ38の第2外径Tr: 2.8mm
貴金属チップ38の中心軸CLxと平行な高さTt: 1.0mm
保持部39の外径Go: 3.5mm
保持部39の中心軸CLxと平行な高さGt: 0.9mm
なお、貴金属チップ38は、イリジウムを主成分として含む合金を用いて形成されている。保持部39と本体部33の母材35とは、同じ材料(ここでは、ニッケルを主成分として含む合金)を用いて形成されている。スパークプラグの他の構成は、7個のサンプルの間で、共通である。
次に、評価試験について説明する。評価試験では、スパークプラグのサンプルの振動試験を行うことによって、貴金属チップ38の固定の強度が評価された。具体的には、スパークプラグのサンプルを、エンジンヘッドと同様のアルミ材を用いて作製したアルミブッシュに締付トルク20N・mで取り付け、ISO11565の3.4.4項に示される振動試験を実施した。具体的には、加速度30G±2G、周波数50〜500Hz、スイープ率1オクターブ/分の振動を、スパークプラグの軸線CL方向に与えた。その際、バーナを用いてスパークプラグを加熱する動作と、加熱を停止してスパークプラグを冷却する動作とを1サイクルとして、これらの動作を繰り返した。
1サイクル当たりの上記加熱の動作は、800℃にて2分間であり、1サイクル当たりの上記冷却の動作は、1分間とした。そして、貴金属チップ38が脱落するまでのサイクル数を測定した。表1では、貴金属チップ38の脱落までのサイクル数が500未満の場合を「C評価」としており、脱落までのサイクル数が500以上1000未満の場合を「B評価」としており、脱落までのサイクル数が1000以上の場合を「A評価」としている。
表1に示すように、角度差dAgがゼロに近いほど、評価結果が良好であった。この理由は、角度差dAgがゼロに近いほど、貴金属チップ38の外周面384と保持部39の内周面394との間の隙間が小さくなるので、貴金属チップ38と保持部39との溶接の強度が向上するからだと、推定される。
また、表1に示すように、角度差dAgが−5度以上、+5度以下である場合には、評価結果はA評価であった。角度差dAgが−10度、または、+10度である場合には、評価結果はB評価であった。角度差dAgが−11度、または、+11度である場合には、評価結果はC評価であった。このように、角度差dAgが、−10度以上、+10度以下である場合には、B評価以上の良好な評価結果が得られた。なお、B評価以上の良好な評価結果が得られた角度差dAgは、−10度、−5度、0度、+5度、+10度であった。これらの値のうちの任意の値を、角度差dAgの好ましい範囲(下限以上、上限以下の範囲)の下限として採用可能である。また、これらの値のうちの下限以上の任意の値を、上限として採用可能である。ただし、角度差dAgの絶対値が、11度以上であってもよい。
なお、貴金属チップ38と保持部39との間の接合強度は、主に、貴金属チップ38(図10)の外周面384と保持部39の内周面394との間の隙間の大きさ、すなわち、角度差dAgに応じて変化すると推定される。従って、角度差dAgの好ましい範囲は、角度差dAg以外の構成に拘わらずに、適用可能と推定される。例えば、貴金属チップ38の高さTt、外径Tr、Tf、保持部39の高さGt、外径Goの少なくとも1つが異なる構成が採用された場合にも、上記の角度差dAgの好ましい範囲を適用可能と推定される。また、後述する他の実施形態にも、上記の角度差dAgの好ましい範囲を適用可能と推定される。いずれの場合も、上記の好ましい範囲内の角度差dAgを採用することによって、保持部39に対する貴金属チップ38の位置ズレを抑制できる。
B.第2実施形態:
図11は、接地電極の別の実施形態の概略図である。図中には、図3と同様に第2方向D2側から第1方向D1を向いて見た、接地電極30bの貴金属チップ38の近傍の概略図である。図3に示す第1実施形態の接地電極30との差異は、第2実施形態の接地電極30bでは、複数の第1溶融部81が、貴金属チップ38の中心軸CLxを挟んで互いに対向しない位置に配置されている点である。この構成により、貴金属チップ38と保持部39との間で熱膨張係数が異なる場合に、熱膨張係数の差によって生じ得る熱応力を、貴金属チップ38のうちの中心軸CLxを挟んで第1溶融部81と対向する部分の変形によって、緩和できる。また、熱応力を、保持部39のうちの中心軸CLxを挟んで第1溶融部81と対向する部分の変形によって、緩和できる。この結果、貴金属チップ38または保持部39が熱応力によって損傷する可能性を低減できる。
仮に、複数の第1溶融部81が、貴金属チップ38の中心軸を挟んで互いに対向する位置に配置されていると仮定する。この場合、貴金属チップ38のうちの中心軸を通る直径の両端の部分が第1溶融部81によって保持部39に固定される。ここで、貴金属チップ38が、温度変化に応じて、収縮したと仮定する。この場合、貴金属チップ38の直径の両端が第1溶融部81によって固定されているので、貴金属チップ38が適切に収縮することができずに、貴金属チップ38にクラックが生じ得る。図11の実施形態では、貴金属チップ38のうちの中心軸を挟んで第1溶融部81と対向する部分が、保持部39から離れるように変形することによって、クラックを抑制できる。
なお、第2実施形態の接地電極30bの他の構成は、第1実施形態の接地電極30の構成と同じである。図11では、第2実施形態の接地電極30bの要素のうち、第1実施形態の接地電極30の要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。第2実施形態の接地電極30bは、第1実施形態の接地電極30の代わりに、スパークプラグ100に適用可能である。また、接地電極30bの製造方法としては、図4で説明した方法を採用可能である。
C.第3実施形態:
図12は、接地電極の別の実施形態の概略図である。図中には、接地電極30cのうちの貴金属チップ38の近傍の部分断面が示されている。この断面は、貴金属チップ38の中心軸CLxを含む断面である。図2、図8に示す第1実施形態の接地電極30との差異は、第3実施形態の接地電極30cでは、第2溶融部82が省略されている点と、第1溶融部81cが、本体部33の先端方向Df側の表面に露出する露出面81csから、保持部39の中を通って、貴金属チップ38に至るように、形成されている点である。接地電極30cは、図3の第1実施形態、または、図11の第2実施形態と同様に、周方向に沿っておおよそ等間隔で配置された複数の第1溶融部81cを、有している。
第3実施形態の接地電極30cの他の構成は、第1実施形態の接地電極30の構成と同じである。図12では、第3実施形態の接地電極30cの要素のうち、第1実施形態の接地電極30の要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。第3実施形態の接地電極30cは、第1実施形態の接地電極30の代わりに、スパークプラグ100に適用可能である。
第3実施形態の接地電極30cを適用する場合、図4の製造方法は、以下のように、変更される。ステップS110では、貴金属チップ38と保持部39とは、保持部39の貫通孔395内に貴金属チップ38が嵌め込まれた状態で、本体部33に形成された凹部335内に配置される。ステップS115は、省略される。ステップS130では、レーザ溶接によって、本体部33と保持部39と貴金属チップ38とが、溶接される。図12の矢印LZ3は、ステップS130の溶接で用いられるレーザ光の概略を示している。レーザ光LZ3は、凹部335の内周面と保持部39の外周面393との境界上に、先端方向Df側から照射される。レーザ光LZ3の方向は、外周側から中心軸CLxに向かう方向であり、中心軸CLxに対して傾斜している。このようなレーザ光LZ3を用いることにより、本体部33および保持部39の先端方向Df側の表面(露出面81csを含む)から、保持部39の中を通って、貴金属チップ38に至る第1溶融部81cが、形成される。図4の他のステップは、第1実施形態で説明したステップと同じである。
以上のように、第3実施形態の接地電極30cでは、貴金属チップ38と保持部39とを接合する第1溶融部81cは、本体部33の表面に露出する露出面81csを有している。すなわち、第1溶融部81cは、本体部33の表面から、保持部39を通って、貴金属チップ38に至る。このような第1溶融部81cは、1回の溶接によって、容易に形成可能である。従って、スパークプラグの製造工程を簡素化できる。また、第1溶融部81cが、貴金属チップ38と本体部33とを直接的に接合しているので、第1溶融部81cは、貴金属チップ38から本体部33へ、容易に熱を逃がすことができる。この結果、貴金属チップ38の消耗を抑制できる。
なお、第3実施形態においても、少なくとも1つの第1溶融部81cは、図3、図11の第1溶融部81aと同様に、貴金属チップ38の中心軸よりも基端332側に位置することが好ましい。そして、図3、図11の第1溶融部81aと同様に、貴金属チップ38の中心軸と平行な方向を向いて見た場合に、少なくとも1つの第1溶融部81cが、貴金属チップ38の中心軸よりも基端332側において本体部33の長手方向の軸CLaと重なる位置に配置されていることが好ましい。この構成によれば、第1溶融部81cは、貴金属チップ38を、適切に冷却できる。
D.第4実施形態:
図13は、接地電極の別の実施形態の概略図である。図中には、接地電極30dのうちの貴金属チップ38の近傍の部分断面が示されている。この断面は、貴金属チップ38の中心軸CLxを含む断面である。図2、図8に示す第1実施形態の接地電極30との差異は、第4実施形態の接地電極30dでは、第1溶融部81が省略されている点だけである。接地電極30dの他の構成は、第1実施形態の接地電極30の構成と同じである。図13では、第4実施形態の接地電極30dの要素のうち、第1実施形態の接地電極30の要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。第4実施形態の接地電極30dは、第1実施形態の接地電極30の代わりに、スパークプラグ100に適用可能である。
第4実施形態の接地電極30dでは、図2、図3に示す第1実施形態の接地電極30と同様に、保持部39と本体部33とを接合する第2溶融部82は、貴金属チップ38から離間している。従って、第2溶融部82に貴金属チップ38の貴金属成分が混入することが抑制される。この結果、第2溶融部82の酸化を抑制できる。
なお、第4実施形態の接地電極30dを適用する場合、図4の製造方法からは、ステップS115が省略される。他のステップは、第1実施形態で説明したステップと同じである。このように、溶接の回数を低減させることができるので、スパークプラグの製造工程を簡素化できる。また、貴金属チップ38と本体部33との溶接が省略されているが、図5で説明したように、保持部39の第1内径Gfは、貴金属チップ38の第2外径Tr未満である。従って、貴金属チップ38が、保持部39の貫通孔395の先端方向Df側から外れることを、抑制できる。
なお、本実施形態にも、上記の表1から特定される角度差dAgの好ましい範囲を適用可能と推定される。好ましい範囲内の角度差dAgを採用すれば、保持部39に対する貴金属チップ38の位置ズレを抑制できる。
E.第5実施形態:
図14は、スパークプラグ100の製造方法の別の実施形態の説明図である。図中には、ステップS113が示されている。このステップS113は、図4のステップS110とステップS115との間に追加される。
図15は、ステップS113の処理の概略図である。ステップS123では、貴金属チップ38の外周面384と保持部39の内周面394との間に生じ得る隙間を小さくするために、保持部39の貫通孔395内に貴金属チップ38が配置された状態で、保持部39に、中心軸CLxに対する径方向の荷重113xが加えられる。この荷重113xによって保持部39が塑性変形することによって、保持部39の内周面394と貴金属チップ38の外周面384との接触面積が増大する。この結果、保持部39に対する貴金属チップ38の位置ズレを低減できる。また、保持部39を通じて貴金属チップ38の熱を本体部33に適切に逃がすことができる。
なお、荷重113xの印加は、中心軸CLxから見て複数の方向で、行われることが好ましい。すなわち、保持部39の外周面393のうち、中心軸CLxに対する周方向に沿って配置された複数の位置に、荷重113xが印加されることが好ましい。こうすれば、保持部39の内周面394と貴金属チップ38の外周面384との接触面積を増大できる。
なお、図4のステップS115が省略される場合には、ステップS113は、ステップS110とステップS130との間に実行される。例えば、図12、図13の実施形態の接地電極30c、30dが適用される場合には、ステップS110では、本体部33の凹部335の外で、保持部39の貫通孔395内に貴金属チップ38が配置される。そして、ステップS113で、保持部39に荷重113xが印加される。ステップS113の後のステップS130で、貴金属チップ38と保持部39とが、本体部33の凹部335内に配置される。
F.第6実施形態:
F−1.接地電極30zの構成
図16は、電極チップの別の実施形態の概略図である。図17は、図16の電極チップ90zを有する接地電極30zの概略図である。第6実施形態の接地電極30zは、第1実施形態の接地電極30の代わりに、スパークプラグ100に適用可能である。接地電極30zを有するスパークプラグ100zは、図4と同様の手順に従って、製造可能である。
図16中には、図5と同様に、貴金属チップ38zの中心軸CLxを含む断面が示されている。図16の左部には、同軸上に並べた貴金属チップ38zと保持部39とが示されている。図16の右部には、貴金属チップ38zの一部が保持部39の貫通孔395内の所定位置に配置された状態が示されている。貴金属チップ38zと保持部39とで構成される部材90zを、「電極チップ90z」と呼ぶ。方向Df、Drは、図5の方向Df、Drと、それぞれ同じである。
本実施形態の貴金属チップ38zと図5の貴金属チップ38との差異は、貴金属チップ38zが、図5の貴金属チップ38と同じ形状の第1部分38p1と、第1部分38p1の後端方向Dr側に接続された第2部分38p2と、で構成されている点だけである。以下、貴金属チップ38zの要素のうち、図5の貴金属チップ38の要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。本実施形態の保持部39は、図5の保持部39と同じである。
本実施形態では、第1部分38p1と第2部分38p2とを有する貴金属チップ38zは、一体に成形されている。第2部分38p2の形状は、中心軸CLxを中心とする円板形状である。図中の第2外径Trzは、貴金属チップ38zの後端面389zの外径、すなわち、第2部分38p2の外径である。図中の第3外径Tbは、第1部分38p1の後端方向Dr側の端における外径であり、図5の第2外径Trと同じである。本実施形態では、第2外径Trzは、第3外径Tbよりも大きい。第2部分38p2のうち外周側の端387eを含む外周部分387は、第1部分38p1の外周面384の後端方向Dr側の端384eよりも外周側の位置まで突出している(突出部387と呼ぶ)。
図16の右部に示すように、保持部39の貫通孔395内に、貴金属チップ38zの第1部分38p1が配置される。保持部39に対する第1部分38p1の配置は、図5の保持部39に対する貴金属チップ38の配置と、同じである。貴金属チップ38zの第1部分38p1の第3外径Tbは、保持部39の第2内径Grと、おおよそ同じである。貴金属チップ38zの突出部387は、保持部39の後端面399における貫通孔395の縁395eよりも外周側の位置まで突出している。そして、突出部387の先端方向Df側の面386は、保持部39の後端面399に、接している。また、図16の例では、保持部39の外径Goは、貴金属チップ38zの第2外径Trzと、おおよそ同じである。ただし、保持部39の外径Goは、貴金属チップ38zの第2外径Trzよりも大きくてもよい。
図16の右部に示す電極チップ90zは、図4のステップS110で形成される。本実施形態では、図4のステップS115は、省略される。
図17は、本実施形態の接地電極30zの概略図である。図中には、図13と同様に、貴金属チップ38zの中心軸CLxを含む部分断面が示されている。接地電極30zは、図4のステップS120、S125、S130を通じて、形成される。図4のステップS120では、上記の第1実施形態と同様に組立体100xが形成される。そして、ステップS125で、本体部33xに、凹部335z(図17)が形成される。凹部335zの形状は、保持部39(図16)と、貴金属チップ38zの第2部分38p2と、の全体を収容する略円柱形状である。そして、ステップS130で、電極チップ90zが凹部335zに嵌め込まれ、保持部39が本体部33xに溶接される。図17に示すように、保持部39の先端面391は、本体部33xの先端方向Df側の表面333と、おおよそ同一面上に位置している。
図17には、ステップS130の溶接の概略が示されている。電極チップ90zは、凹部335z内に配置される。そして、レーザ光LZ4が、凹部335zの内周面と保持部39の外周面393との境界上に、先端方向Df側から後端方向Drに向かって、照射される。このようなレーザ光LZ4の照射によって、凹部335zの内周面と保持部39の外周面393を接合する、すなわち、本体部33x(ここでは、母材35)と保持部39を接合する溶融部82zが形成される。溶融部82zは、保持部39の先端面391から、貴金属チップ38zの突出部387よりも先端方向Df側の位置まで、後端方向Drに向かって延びている。すなわち、溶融部82zは、本体部33xと保持部39とのみを接合しており、貴金属チップ38zからは離間している。従って、溶融部82zに貴金属チップ38zの成分が混入することが抑制されるので、溶融部82zの酸化を抑制できる。なお、レーザ光LZ4の照射は、凹部335zの内周面と保持部39の外周面393との境界の全周に亘って、行われる。
図17に示すように、貴金属チップ38zの突出部387は、保持部39の後端面399と凹部335zの後端方向Dr側の面339zとの間に挟まれている。突出部387の先端方向Df側の面386は、保持部39の後端方向Dr側の面399に接触している。従って、貴金属チップ38zの位置が先端方向Df側にずれることが抑制される。この結果、貴金属チップ38zと中心電極20(図1)との間のギャップgの距離を維持できる。また、突出部387の後端方向Dr側の面389zは、凹部335zの後端方向Dr側の面339zに接触している。従って、貴金属チップ38zの位置が後端方向Dr側にずれることが抑制される。このように貴金属チップ38zの適切な取り付けを、容易に実現できる。
また、図16の左部には、貴金属チップ38zと保持部39とのパラメータGf、Gr、Tf、Trzが示されている。本実施形態では、以下の3つの関係が成立している。
1) 第1内径Gf < 第2外径Trz
2) 第1内径Gf < 第2内径Gr
3) 第1外径Tf < 第2外径Trz
以上により、貴金属チップ38zが接地電極30zから外れることを抑制できる。
図4のステップS140では、図9で説明した実施形態と同様に、本体部33xが曲げられて、ギャップgが形成される。以上により、接地電極30zを有するスパークプラグが完成する。
図18は、接地電極30zの温度が上昇した状態の例を示す部分断面図である。図中には、図17と同じ部分断面図が示されている。接地電極30zの温度は、燃焼室で生じた燃焼ガスによって上昇し得る(なお、図17は、常温(ここでは、20℃)での状態を示している)。接地電極30zの温度が上昇すると、接地電極30zの部材が熱膨張し得る。図18の例では、本体部33が、熱膨張によって、長手方向DLに膨張している。図18の部分断面は、中心軸CLxを含み長手方向DLに平行な断面である。
本体部33が長手方向DLに膨張することで、凹部335zは長手方向DLに拡大する。図2の接地電極30の凹部335についても、同様である。図2の接地電極30のように、貴金属チップ38と保持部39とが第1溶融部81によって固定され、保持部39と本体部33とが第2溶融部82によって固定されている場合、保持部39、ひいては、貫通孔395も、膨張する本体部33に引っ張られて、長手方向DLに拡大する。ここで、貴金属チップ38の熱膨張係数が本体部33の熱膨張係数よりも小さい場合、貴金属チップ38が本体部33または保持部39に引っ張られることに起因して、貴金属チップ38が破損する可能性がある。一方、本実施形態では、図17、図18に示すように、保持部39は本体部33に溶接されているものの、貴金属チップ38zは、保持部39と本体部33とのいずれにも溶接されていない。従って、貴金属チップ38zは、本体部33と保持部39とのいずれからも引っ張られることなく、凹部335z内に位置する。この結果、貴金属チップ38zの熱膨張係数が本体部33の熱膨張係数よりも小さい場合であっても、貴金属チップ38zが本体部33または保持部39に引っ張られることに起因して貴金属チップ38zが破損することを抑制できる。例えば、図18の例では、貴金属チップ38zの外周面384と、保持部39の内周面394との間の間隔が、常温時(図17)よりも、拡がっている。
図19は、参考例の接地電極30rの温度が上昇した状態の例を示す部分断面図である。参考例の接地電極30rの構成は、図13の接地電極30dの構成と、同様である。図中には、図13と同様の部分断面が示されている。ここで、接地電極30dの要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。貴金属チップ38(図19)は、突出部387(図17)を有さず、また、貴金属チップ38は、保持部39と本体部33とのいずれにも溶接(すなわち、固定)されていない。接地電極30rの温度は、燃焼室で生じた燃焼ガスによって、上昇する。本体部33は、熱膨張によって、本体部33の長手方向DLに膨張し得る。これにより、凹部335は長手方向DLに拡大する。参考例の保持部39は、本体部33に溶接されている。従って、保持部39、ひいては、貫通孔395も、膨張する本体部33に引っ張られて、長手方向DLに拡大する。しかし、貴金属チップ38は、保持部39と本体部33とのいずれにも溶接されていない。従って、貴金属チップ38は、本体部33と保持部39とのいずれからも引っ張られることなく、拡大した凹部335内に位置する。この結果、貴金属チップ38の位置が、先端方向Df側にずれる可能性がある。
一方、本実施形態では、図17で説明したように、貴金属チップ38zは、保持部39の後端面399における貫通孔395の縁395eよりも外周側の位置まで突出する突出部387を有している。従って、図18のように保持部39(ひいては、貫通孔395)が長手方向DLに拡大する場合であっても、突出部387の外周側の端387eは、拡大した保持部39の後端面399における貫通孔395の縁395eよりも外周側の位置に、位置し得る。このように、突出部387の先端方向Df側の面386が、拡大した保持部39の後端方向Dr側の後端面399に接触することによって、貴金属チップ38zの位置が先端方向Df側にずれることを抑制できる。この結果、接地電極30zの温度が上昇した場合であっても、貴金属チップ38zと中心電極20との間のギャップgを維持できる。
なお、本実施形態にも、上記の表1から特定される角度差dAgの好ましい範囲を適用可能と推定される。好ましい範囲内の角度差dAgを採用すれば、保持部39に対する貴金属チップ38zの位置ズレを抑制できる。また、図14のステップS113を、本実施形態のスパークプラグの製造方法に適用してもよい。こうすれば、保持部39に対する貴金属チップ38zの位置ズレを抑制できる。また、保持部39を通じて貴金属チップ38zの熱を本体部33に逃がし易くなる。
F−2.第2評価試験:
接地電極30z(図17)を有するスパークプラグのサンプルを用いた評価試験の結果について説明する。試験方法と試験結果の評価基準とは、上記の表1で説明した試験方法と試験結果の評価基準と、それぞれ同じである。すなわち、貴金属チップ38zの取り付けの強度が評価された。以下の表2は、サンプルの構成と評価結果とを示している。
Figure 2015118910
厚さT1は、貴金属チップ38z(図16)の中心軸CLxに平行な方向の突出部387の厚さである。評価試験では、厚さT1が、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5(mm)である5個のサンプルが評価された。凹部335z(図17)の深さ(中心軸CLxに平行な方向の長さ)は、厚さT1に合わせて調整された。貴金属チップ38zの第1部分38p1の大きさと保持部39の大きさとは、5個のサンプルの間で共通であった。なお、5個のサンプルの間で共通な寸法は、以下の通りである。
貴金属チップ38zの第1外径Tf: 2.5mm
貴金属チップ38zの第2外径Trz: 3.1mm
貴金属チップ38zの第3外径Tb: 2.8mm
第1部分38p1の中心軸CLxと平行な高さTt: 1.0mm
保持部39の第2内径Gr: 2.8mm
保持部39の外径Go: 3.5mm
角度差dAg(Ag2−Ag1): 0度
保持部39の中心軸CLxと平行な高さGt: 0.9mm
なお、貴金属チップ38zは、イリジウムを主成分として含む合金を用いて形成されている。保持部39と本体部33の母材35とは、同じ材料(ここでは、ニッケルを主成分として含む合金)を用いて形成されている。スパークプラグの他の構成は、5個のサンプルの間で、共通である。また、サンプルの種々の寸法と角度との値は、常温(ここでは、20℃)での値である。上記の第1評価試験のサンプルの種々の寸法と角度との値についても、同様である。
表2に示すように、厚さT1が0.1mmである場合の評価結果はC評価であった。このサンプルの評価試験では、突出部387が破断した。また、表2に示すように、厚さT1が0.2mmである場合の評価結果はB評価であり、厚さT1が0.3、0.4、0.5(mm)のいずれかである場合の評価結果はA評価であった。このように、厚さT1が大きい場合に、厚さT1が小さい場合よりも、評価結果が良好であった。この理由は、厚さT1が大きい場合には、突出部387が振動によって破損することが抑制されるので、貴金属チップ38zが脱落することが抑制されるからだと推定される。
なお、B評価以上の評価結果が得られた厚さT1は、0.2、0.3、0.4、0.5(mm)であった。これらの値のうちの任意の値を、厚さT1の好ましい範囲(下限以上、上限以下の範囲)の下限として採用可能である。例えば、厚さT1として、0.2mm以上の値を採用してもよい。また、これらの値のうちの下限以上の任意の値を、上限として採用可能である。例えば、厚さT1として、0.5mm以下の値を採用してもよい。なお、厚さT1が厚いほど、突出部387の破損の可能性を低減できる。従って、厚さT1としては、評価された最大の厚さT1である0.5mmよりも大きな値を採用してもよい。例えば、厚さT1として、1.0mm以下の値を採用してもよい。なお、厚さT1が、0.2mm未満であってもよい。
突出部387の破損のしやすさは、厚さT1から大きな影響を受けると推定される。従って、表2から特定される厚さT1の好ましい範囲は、厚さT1以外の構成に拘わらずに、適用可能と推定される。例えば、貴金属チップ38zの高さTt、外径Trz、Tf、Tb、保持部39の高さGt、外径Go、内径Gf、Gr、角度差dAgの少なくとも1つが異なる構成が採用された場合にも、上記の厚さT1の好ましい範囲を適用可能と推定される。
F−3.第3評価試験:
接地電極30z(図17)を有するスパークプラグのサンプルを用いた別の評価試験の結果について説明する。試験方法と試験結果の評価基準とは、上記の表1で説明した試験方法と試験結果の評価基準と、それぞれ同じである。すなわち、貴金属チップ38zの取り付けの強度が評価された。以下の表3は、サンプルの構成と評価結果とを示している。
Figure 2015118910
突出長T2は、貴金属チップ38z(図16)のうち保持部39の貫通孔395内に配置される部分の外周面384の後端384eから突出部387の外周側の端387eまでの中心軸CLxを中心とする円の径方向の長さである。図16の実施形態では、突出長T2は、Trz−Tbである。評価試験では、突出長T2が、0.02、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3(mm)である7個のサンプルが評価された。貴金属チップ38zの第1部分38p1の大きさと第2部分38p2の厚さT1と保持部39の大きさとは、7個のサンプルの間で共通であった。なお、7個のサンプルの間で共通な寸法は、以下の通りである。
突出部387の厚さT1: 0.2mm
貴金属チップ38zの第1外径Tf: 2.5mm
貴金属チップ38zの第3外径Tb: 2.8mm
第1部分38p1の中心軸CLxと平行な高さTt: 1.0mm
保持部39の第2内径Gr: 2.8mm
保持部39の外径Go: 3.5mm
角度差dAg(Ag2−Ag1): 0度
保持部39の中心軸CLxと平行な高さGt: 0.9mm
なお、貴金属チップ38zは、イリジウムを主成分として含む合金を用いて形成されている。保持部39と本体部33の母材35とは、同じ材料(ここでは、ニッケルを主成分として含む合金)を用いて形成されている。スパークプラグの他の構成は、7個のサンプルの間で、共通である。また、サンプルの種々の寸法と角度との値は、常温(ここでは、20℃)での値である。
表3に示すように、突出長T2が0.02mmである場合の評価結果は、C評価であった。このサンプルの評価試験では、保持部39は本体部33から脱落しなかったが、貴金属チップ38zが保持部39から脱落した。この理由は、図18のように保持部39(ひいては、貫通孔395)が長手方向DLに拡大した場合に、突出長T2が小さいので、突出部387が貴金属チップ38zの脱落を抑制できなかったからだと推定される。
突出長T2が0.3mmである場合の評価結果は、C評価であった。このサンプルの評価試験では、突出部387が破断した。この理由は、突出長T2が大きいので、突出部387の根元(外周面384(図16)の後端384eの近傍)で突出部387が折れやすいからだと推定される。
なお、0.05mmの突出長T2は、B評価を実現し、0.1、0.15、0.2(mm)の突出長T2は、A評価を実現し、0.25mmの突出長T2は、B評価を実現した。B評価以上の評価結果が得られた突出長T2は、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25(mm)であった。これらの値のうちの任意の値を、突出長T2の好ましい範囲(下限以上、上限以下の範囲)の下限として採用可能である。例えば、突出長T2として、0.05mm以上の値を採用してもよい。また、これらの値のうちの下限以上の任意の値を、上限として採用可能である。例えば、突出長T2として、0.25mm以下の値を採用してもよい。ただし、突出長T2が、0.05mm未満であってもよく、0.25mmを超えても良い。
なお、貴金属チップ38zの脱落のしやすさは、突出長T2から大きな影響を受けると推定される。従って、表3から特定される突出長T2の好ましい範囲は、突出長T2以外の構成に拘わらずに、適用可能と推定される。例えば、貴金属チップ38zの高さTt、外径Trz、Tf、Tb、厚さT1、保持部39の高さGt、外径Go、内径Gf、Gr、角度差dAgの少なくとも1つが異なる構成が採用された場合にも、上記の突出長T2の好ましい範囲を適用可能と推定される。
G.第7実施形態:
図20、図21は、接地電極の別の実施形態の概略図である。第7実施形態の接地電極30wは、第1実施形態の接地電極30の代わりに、スパークプラグ100に適用可能である。
図20は、図11と同様に第2方向D2側から第1方向D1を向いて見た(換言すれば、先端方向Df側から後端方向Drを向いて見た)、接地電極30wの貴金属チップ38zの近傍の概略図である。図21は、貴金属チップ38zの中心軸CLxに平行な断面図である。図17に示す第6実施形態の接地電極30zとの差異は、本体部33と保持部39とを接合する溶融部82wが、貴金属チップ38zの中心軸CLxを中心とする周方向に沿って配置された互いに離れた複数の部分で構成されている点である。接地電極30wの構成のうちの溶融部82w以外の構成は、図17の接地電極30zの構成と同じである。図17の接地電極30zの要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。接地電極30wを有するスパークプラグ100wは、図16、図17の実施形態のスパークプラグ100zと同様の手順に従って、製造可能である。
図20の実施形態では、複数(ここでは、5個)の溶融部82wが、保持部39と本体部33とを接合している。5個の溶融部82wは、周方向に沿っておおよそ等間隔で配置されている。
図21は、図20のD−D断面を示している。D−D断面は、中心軸CLxよりも基端方向Da側の部分と、中心軸CLxよりも先端方向Db側の部分とに区分されている。基端方向Daは、中心軸CLxに垂直に、基端332側に向かう方向であり、先端方向Dbは、基端方向Daとは反対の方向である。D−D断面のうち中心軸CLxよりも基端方向Da側の部分は、本体部33の軸CLaを含む断面(ここでは、基端332に最も近い溶融部82wbを通る断面)を示している。中心軸CLxよりも先端方向Db側の部分は、1つの溶融部82weを通る断面を示している。
図21には、ステップS130(図4)の溶接の概略が示されている。電極チップ90zは、凹部335z内に配置される。そして、レーザ光LZ5が、凹部335zの内周面と保持部39の外周面393との境界上に、先端方向Df側から後端方向Drに向かって、照射される。このようなレーザ光LZ5の照射によって、凹部335zの内周面と保持部39の外周面393を接合する、すなわち、本体部33x(ここでは、母材35)と保持部39を接合する溶融部82wが形成される。レーザ光LZ5の照射は、複数の溶融部82wのそれぞれの位置で、行われる。
図示するように、基端方向Da側の溶融部82wbは、本体部33および保持部39の先端方向Df側の表面から、貴金属チップ38zの突出部387まで、後端方向Drに向かって延びている。すなわち、溶融部82wbは、本体部33と保持部39と貴金属チップ38zとを接合している。図示を省略するが、本実施形態では、中心軸CLxよりも基端方向Da側の全ての溶融部82wa、82wb、82wc(図20)が、本体部33と保持部39と貴金属チップ38zとを接合している。これらの溶融部82wa、82wb、82wcは、少なくとも貴金属チップ38zと保持部39とを接合する第1溶融部に対応する。これらの溶融部82wa、82wb、82wcは、貴金属チップ38zから本体部33を通じて基端332へ、適切に熱を逃がすことができる。
一方、先端方向Db側の溶融部82we(図21)は、本体部33および保持部39の先端方向Df側の表面から、貴金属チップ38zの突出部387よりも先端方向Df側の位置まで、後端方向Drに向かって延びている。すなわち、溶融部82weは、本体部33と保持部39とのみを接合しており、貴金属チップ38zからは離間している。図示を省略するが、本実施形態では、中心軸CLxよりも先端方向Db側の全ての溶融部82wd、82we(図20)が、本体部33と保持部39とのみを接合している。これらの溶融部82wd、82weは、貴金属チップ38zから離間し保持部39と本体部33とを接合する第2溶融部に対応する。
先端方向Db側の溶融部82wd、82weは、基端方向Da側の溶融部82wa、82wb、82wcの形成時よりもレーザ光LZ5の強度を弱くすることによって、形成可能である。図4のステップS130以外のステップは、図17の第6実施形態の製造方法のステップと、同じである。
図18の実施形態と同様に、接地電極30wの温度が上昇することで、凹部335zは本体部33の長手方向DLに拡大する。これにより、本体部33に接合された保持部39、ひいては、貫通孔395も、長手方向DLに拡大する。しかし、本実施形態では、中心軸CLxよりも先端方向Db側の全ての溶融部82wd、82weは、貴金属チップ38zから離間している。従って、貴金属チップ38zの熱膨張係数が本体部33の熱膨張係数よりも小さい場合であっても、貴金属チップ38zは、溶融部82wa、82wb、82wcによって基端方向Daに引っ張られるものの、先端方向Dbには引っ張られない。従って、貴金属チップ38zの破損を抑制できる。
また、図18で説明したように、保持部39(ひいては、貫通孔395)が長手方向DLに拡大する場合であっても、貴金属チップ38zの突出部387の先端方向Df側の面386が、拡大した保持部39の後端方向Dr側の後端面399に接触することによって、貴金属チップ38zの位置が先端方向Df側にずれることを抑制できる。この結果、接地電極30wの温度が上昇した場合であっても、貴金属チップ38zと中心電極20との間のギャップgを維持できる。
なお、複数の溶融部82wは、貴金属チップ38zの中心軸CLxを挟んで互いに対向しない位置に配置されている。この構成により、保持部39と本体部33との間で熱膨張係数が異なる場合に、熱膨張係数の差によって生じ得る熱応力を、保持部39のうちの中心軸CLxを挟んで溶融部82wと対向する部分の変形によって、緩和できる。また、熱応力を、本体部33のうちの中心軸CLxを挟んで溶融部82wと対向する部分の変形によって、緩和できる。この結果、保持部39または本体部33が熱応力によって損傷する可能性を低減できる。
また、複数の溶融部82w(図20)のうちの少なくとも1つの溶融部82w(ここでは、3個の溶融部82wa、82wb、82wc)は、貴金属チップ38zの中心軸CLxよりも基端332側に位置している。従って、接地電極30wは、保持部39から本体部33を通じて基端332へ、適切に熱を逃がすことができる。
また、図20に示すように、貴金属チップ38zの中心軸CLxと平行な方向を向いて見た場合に、少なくとも1つの溶融部82w(ここでは、溶融部82wb)は、貴金属チップ38zの中心軸CLxよりも基端332側において本体部33の長手方向の軸CLaと重なる位置に配置されている。従って、この溶融部82wbは、保持部39から本体部33を通じて基端332へ、適切に熱を逃がすことができる。
また、複数の溶融部82w(図21)は、本体部33の表面333に露出する露出面82wsを有している。この構成により、溶接(レーザ光LZ5の照射)によって、溶融部82wを容易に形成できる。
なお、本実施形態にも、上記の表1から特定される角度差dAgの好ましい範囲を適用可能と推定される。好ましい範囲内の角度差dAgを採用すれば、保持部39に対する貴金属チップ38zの位置ズレを抑制できる。また、図14のステップS113を、本実施形態のスパークプラグの製造方法に適用してもよい。こうすれば、保持部39に対する貴金属チップ38zの位置ズレを抑制できる。また、保持部39を通じて貴金属チップ38zの熱を本体部33に逃がし易くなる。
H.第8実施形態:
図22、図23は、接地電極の別の実施形態の概略図である。第8実施形態の接地電極30vは、第1実施形態の接地電極30の代わりに、スパークプラグ100に適用可能である。
図22は、図20と同様に第2方向D2側から第1方向D1を向いて見た(換言すれば、先端方向Df側から後端方向Drを向いて見た)、接地電極30vの貴金属チップ38の近傍の概略図である。図23は、貴金属チップ38の中心軸CLxに平行な断面図である。図12に示す第3実施形態の接地電極30cとの差異は、本体部33と保持部39とを接合する溶融部81vが、貴金属チップ38の中心軸CLxを中心とする周方向に沿って配置された互いに離れた複数の部分で構成されている点である。接地電極30vの構成のうちの溶融部81v以外の構成は、図12の接地電極30cの構成と同じである。図12の接地電極30cの要素と同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。接地電極30vを有するスパークプラグ100vは、図12の実施形態の接地電極30cを有するスパークプラグと同様の手順に従って、製造可能である。なお、図中の方向Da、Dbは、図20、図21で説明した方向Da、Dbと、それぞれ同じである。
図22の実施形態では、複数(ここでは、5個)の溶融部81vが、保持部39と本体部33とを接合している。5個の溶融部81vは、周方向に沿っておおよそ等間隔で配置されている。
図23は、図22のE−E断面を示している。E−E断面は、図21のD−D断面と同様に、中心軸CLxよりも基端方向Da側の部分と、中心軸CLxよりも先端方向Db側の部分とに区分されている。中心軸CLxよりも基端方向Da側の部分は、本体部33の軸CLaを含む断面(ここでは、基端332に最も近い溶融部81vbを通る断面)を示している。中心軸CLxよりも先端方向Db側の部分は、1つの溶融部81veを通る断面を示している。
図23には、ステップS130(図4)の溶接の概略が示されている。レーザ光LZ6の照射方向は、図12のレーザ光LZ3の照射方向と、同じである。このようなレーザ光LZ3を用いることにより、本体部33と保持部39とを接合する溶融部81vが形成される。レーザ光LZ6の照射は、複数の溶融部81vのそれぞれの位置で、行われる。
図示するように、基端方向Da側の溶融部81vbは、本体部33および保持部39の先端方向Df側の表面から、保持部39の中を通って、貴金属チップ38に至る。すなわち、溶融部81vbは、本体部33と保持部39と貴金属チップ38とを接合している。図示を省略するが、本実施形態では、中心軸CLxよりも基端方向Da側の全ての溶融部81va、81vb、81vc(図22)が、本体部33と保持部39と貴金属チップ38とを接合している。これらの溶融部81va、81vb、81vcは、少なくとも貴金属チップ38と保持部39とを接合する第1溶融部に対応する。これらの溶融部81va、81vb、81vcは、貴金属チップ38から本体部33を通じて基端332へ、適切に熱を逃がすことができる。
一方、先端方向Db側の溶融部81ve(図23)は、本体部33および保持部39の先端方向Df側の表面から、保持部39の途中の位置まで延びている。すなわち、溶融部81veは、本体部33と保持部39とのみを接合しており、貴金属チップ38からは離間している。図示を省略するが、本実施形態では、中心軸CLxよりも先端方向Db側の全ての溶融部81vd、81ve(図22)が、本体部33と保持部39とのみを接合している。これらの溶融部81vd、81veは、貴金属チップ38から離間し保持部39と本体部33とを接合する第2溶融部に対応する。
先端方向Db側の溶融部81vd、81veは、基端方向Da側の溶融部81va、81vb、81vcの形成時よりもレーザ光LZ6の強度を弱くすることによって、形成可能である。図4のステップS130以外のステップは、図12の第3実施形態の製造方法のステップと、同じである。
図18の実施形態と同様に、接地電極30vの温度が上昇することで、凹部335は、本体部33の長手方向DLに拡大する。これにより、本体部33に接合された保持部39、ひいては、貫通孔395も、長手方向DLに拡大する。しかし、本実施形態では、中心軸CLxよりも先端方向Db側の全ての溶融部81vd、81veは、貴金属チップ38から離間している。従って、貴金属チップ38の熱膨張係数が本体部33の熱膨張係数よりも小さい場合であっても、貴金属チップ38は、溶融部81va、81vb、81vcによって基端方向Daに引っ張られるものの、先端方向Dbには引っ張られない。従って、貴金属チップ38の破損を抑制できる。
また、複数の溶融部81vのうち少なくとも1つの溶融部81vが、本体部33と保持部39と貴金属チップ38とを接合しているので、保持部39(ひいては、貫通孔395)が長手方向DLに拡大する場合であっても、貴金属チップ38の位置が先端方向Df側にずれることを抑制できる。この結果、接地電極30vの温度が上昇した場合であっても、貴金属チップ38と中心電極20との間のギャップgを維持できる。
なお、複数の溶融部81vは、貴金属チップ38の中心軸CLxを挟んで互いに対向しない位置に配置されている。従って、図11の実施形態と同様に、貴金属チップ38または保持部39が熱応力によって損傷する可能性を低減できる。そして、図20の実施形態と同様に、保持部39または本体部33が熱応力によって損傷する可能性を低減できる。
また、複数の溶融部81v(図22)のうちの少なくとも1つの溶融部81v(ここでは、3個の溶融部81va、81vb、81vc)は、貴金属チップ38の中心軸CLxよりも基端332側に位置している。従って、接地電極30vは、保持部39から本体部33を通じて基端332へ、適切に熱を逃がすことができる。
また、図22に示すように、貴金属チップ38の中心軸CLxと平行な方向を向いて見た場合に、少なくとも1つの溶融部81v(ここでは、溶融部81vb)は、貴金属チップ38の中心軸CLxよりも基端332側において本体部33の長手方向の軸CLaと重なる位置に配置されている。従って、この溶融部81vbは、保持部39、ひいては、貴金属チップ38を、適切に冷却できる。
また、複数の溶融部81v(図23)は、本体部33の表面333に露出する露出面81vsを有している。この構成により、溶接(レーザ光LZ6の照射)によって、溶融部81vを容易に形成できる。
なお、本実施形態にも、上記の表1から特定される角度差dAgの好ましい範囲を適用可能と推定される。好ましい範囲内の角度差dAgを採用すれば、保持部39に対する貴金属チップ38の位置ズレを抑制できる。また、図14のステップS113を、本実施形態のスパークプラグの製造方法に適用してもよい。こうすれば、保持部39に対する貴金属チップ38の位置ズレを抑制できる。また、保持部39を通じて貴金属チップ38の熱を本体部33に逃がし易くなる。
I.変形例:
(1)貴金属チップ38、38zの形状と保持部39の形状としては、図5、図16で説明した形状に限らず、他の種々の形状を採用可能である。例えば、貴金属チップ38、38zの外周面384が、先端方向Dfに向かってステップ状に変化していてもよい。また、保持部39の内周面394が、先端方向Dfに向かってステップ状に変化してもよい。いずれの場合も、貴金属チップ38、38zの外周面384と、保持部39の内周面394との少なくとも一方が、先端方向Dfに向かって連続的に縮径するテーパ面を有することが好ましい。この構成によれば、貴金属チップ38、38zの外径と保持部39の内径との少なくとも一方の公差が大きい場合であっても、保持部39の貫通孔395に貴金属チップ38、38zを容易に嵌め込むことができる。そして、貴金属チップ38、38zの外周面384を、保持部39の内周面394に、容易に接触させることができる。
また、図16、図21の実施形態では、突出部387が、中心軸CLxを中心とする環状の部分である。この代わりに、突出部387が、中心軸CLxを中心とする円の周方向の一部の範囲のみに設けられていても良い。
(2)貴金属チップ38、38zと保持部39とを接合する溶融部の構成としては、上記の各実施形態の溶融部81、81c、82w、81vの構成に限らず、他の種々の構成を採用可能である。例えば、図3、図11、図20、図22の複数の溶融部81、81c、82w、81vは、中心軸CLxよりも基端332側において、本体部33の長手方向の軸CLaと重ならない位置に配置されていてもよい。いずれの場合も、貴金属チップ38、38zの昇温を抑制するためには、少なくとも1つの溶融部が、貴金属チップ38、38zの中心軸CLxよりも基端332側に配置されていることが好ましい。また、溶融部81、81cが、貴金属チップ38を全周に亘って囲むリング状の部分であってもよい。
いずれの場合も、保持部39と貴金属チップ38、38zとを接合する溶融部は、さらに、本体部33を接合してもよい。また、外部に露出する露出面(例えば、本体部33と保持部39との少なくとも一方の表面に露出する露出面)を有する溶融部が、貴金属チップ38、38zと保持部39とを接合してもよい(例えば、図12の第1溶融部81c、図21の溶融部82w、図23の溶融部81v)。この場合、露出面における貴金属チップの成分の含有率が20wt%以下であることが好ましい。この構成によれば、溶融部の酸化を抑制できる。
(3)保持部39と本体部33とを接合する溶融部の構成としては、上記の各実施形態の第1溶融部81c、第2溶融部82、溶融部82z、82w、81vの構成に限らず、他の種々の構成を採用可能である。例えば、図3、図17の溶融部82、82zとして、図3、図11、図20、図22の溶融部81、82w、81vのように、周方向に沿って配置された、互いに離れた複数の部分を採用してもよい。この場合、図11、図20、図22の実施形態のように、貴金属チップ38、38zの昇温を抑制するためには、少なくとも1つの溶融部が、貴金属チップ38、38zの中心軸CLxよりも基端332側に配置されていることが好ましい。さらに、貴金属チップ38、38zの中心軸CLxと平行な方向を向いて見た場合に、少なくとも1つの溶融部が、中心軸CLxよりも基端332側において本体部33の長手方向の軸CLaと重なる位置に配置されていることが好ましい。また、保持部39または本体部33が熱応力によって破損する可能性を低減するためには、複数の溶融部が、貴金属チップ38、38zの中心軸CLxを挟んで互いに対向しない位置に配置されていることが好ましい。
(4)図3、図11の実施形態において、複数の第1溶融部81のうち、貴金属チップ38の中心軸(ここでは、中心軸CL)よりも基端332側に位置する第1溶融部81のみを残して、他の第1溶融部81を省略してもよい。また、図20、図22の実施形態において、貴金属チップ38z、38の中心軸CLxよりも基端方向Da側の複数の溶融部82w、81vのうちの一部の溶融部82w、81v(例えば、図20の溶融部82waと図22の溶融部81va)が、貴金属チップ38z、38から離間して本体部33と保持部39とのみを接合してもよい。
また、図20、図22の溶融部82w、81vを、中心軸CLxを中心とする周方向に連続なリング状に形成してもよい。リング状の溶融部は、中心軸CLxよりも基端332側(基端方向Da側)の少なくとも一部では、本体部33と保持部39と貴金属チップ38、38zを接合し、他の部分(中心軸CLxよりも先端方向Db側の全体を含む)において、貴金属チップ38、38zから離間して本体部33と保持部39を接合することが好ましい。このように、保持部39と貴金属チップ38、38z(さらには、本体部33)を接合する部分と、貴金属チップ38、38zから離間して本体部33と保持部39を接合する部分とが、連続して形成されてもよい。この構成によれば、貴金属チップ38、38zから本体部33を通じて基端332へ熱を逃がす効果をより高めることができる。
一般的には、少なくとも貴金属チップ38、38zと保持部39を接合する溶融部の全体が、貴金属チップ38、38zの中心軸CLxよりも基端方向Da側(基端332側)に位置し、貴金属チップ38、38zから離間し保持部39と本体部33とを接合する溶融部の少なくとも一部分が、中心軸CLxよりも先端方向Db側(基端332側とは反対側)に位置することが好ましい。この構成によれば、貴金属チップ38、38zの位置ずれを抑制でき、そして、貴金属チップ38、38zを適切に冷却できる。さらに、貴金属チップ38、38zの熱膨張係数が本体部33の熱膨張係数よりも小さい場合であっても、貴金属チップ38、38zは、溶融部によって基端方向Daに引っ張られるものの、先端方向Dbには引っ張られない。従って、貴金属チップ38、38zの破損を抑制できる。
ここで、貴金属チップ38z、38の中心軸CLxと平行な方向を向いて見た場合に、貴金属チップ38z、38の中心軸CLxよりも基端332側において本体部33の長手方向の軸CLaと重なる位置に配置される溶融部(例えば、図20の溶融部82wbと図22の溶融部81vb)が、本体部33と保持部39と貴金属チップ38z、38とを接合することが好ましい。この構成によれば、貴金属チップ38、38zを、適切に、冷却できる。
(5)完成したスパークプラグから、貴金属チップ38の外径Tf、Trを特定する際に、溶融部によって貴金属チップ38の輪郭を特定し難い場合がある。このような場合には、貴金属チップ38の中心軸CLxを含む断面上で、貴金属チップ38の輪郭のうちの溶融部に含まれていない部分を延長して得られる推定輪郭を用いることによって、外径Tf、Trを推定可能である。保持部39の内径Gf、Grについても、同様に、保持部39の推定輪郭を用いて、推定可能である。貴金属チップ38の中心軸CLxとしては、貴金属チップ38の先端面381の中心(一般には、重心)を通り先端面381と垂直な直線を採用可能である。なお、先端面381の重心は、先端面381内に質量が均等に分布していると仮定した場合の重心の位置である。貴金属チップ38zの外径Tf、Trzについても、同様である。
(6)接地電極の構成としては、上記の各実施形態の接地電極30、30b、30c、30d、30z、30w、30vの構成に限らず、他の種々の構成を採用可能である。例えば、本体部33の凹部335が省略されて、本体部33の表面上に、貴金属チップ38と保持部39とが設けられても良い。また、上記各実施形態では、本体部33の芯部36は、凹部335、335zよりも基端332側に配置されている。そして、保持部39と本体部33とを接合する溶融部(例えば図2の第2溶融部82)は、芯部36から離れている。この代わりに、芯部36が、保持部39と本体部33とを接合する溶融部に、接触してもよい。また、芯部36が省略されてもよい。
(7)スパークプラグの構成としては、図1で説明した構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、中心電極20のうちのギャップgを形成する部分に、貴金属チップを設けても良い。貴金属チップの材料としては、イリジウムや白金等の貴金属を含む合金を採用可能である。また、中心電極20の芯材22が省略されてもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
5...ガスケット、6...第2パッキン、7...第3パッキン、8...第1パッキン、9...タルク、10...絶縁体(絶縁碍子)、11...第2縮外径部、12...貫通孔(軸孔)、13...脚部、15...第1縮外径部、16...縮内径部、17...第1胴部、18...第2胴部、19...鍔部、20...電極、20...中心電極、20s1...先端面、21...電極母材、22...芯材、23...頭部、24...鍔部、25...脚部、30、30b、30c、30d、30r、30v、30w、30z...接地電極、33、33x...本体部、35...母材、36...芯部、38、38z...貴金属チップ、38p1...第1部分、38p2...第2部分、39...保持部、40...端子金具、41...キャップ装着部、42...鍔部、43...脚部、50...主体金具、51...工具係合部、52...ネジ部、53...加締部、54...座部、55...胴部、56...縮内径部、58...変形部、59...貫通孔、60...第1シール部、70...抵抗体、80...第2シール部、81、81a、81c...第1溶融部、81cs...露出面、82...第2溶融部、90、90n、90p、90z...電極チップ、93...境界、100、100v、100w、100z...スパークプラグ、100x...組立体、113x...荷重、290...被覆部、331...先端部、332...基端、334...貫通孔、335、335z...凹部、381...先端面、384...外周面(第2テーパ面)、384e...後端、387...突出部、387e...端、388...端、389、389z...後端面、391...先端面、392...端、393...外周面、394...内周面(第1テーパ面)、395...貫通孔、395e...縁、398...端、399...後端面、910...バーナ、920...棒、g...ギャップ

Claims (19)

  1. 貴金属チップと、前記貴金属チップが配置される貫通孔を有する保持部と、前記保持部が接合される本体部と、を有する接地電極と、
    前記貴金属チップとの間でギャップを形成する中心電極と、
    を有するスパークプラグであって、
    前記貴金属チップから見て前記ギャップ側を先端側とし、
    前記保持部の先端面における内径を内径Gf、前記保持部の後端面における内径を内径Grとし、
    前記貴金属チップの先端面の外径を外径Tf、前記貴金属チップの後端面の外径を外径Trとしたときに、
    前記内径Gfが、前記外径Tr未満であり、
    前記内径Gfが、前記内径Gr未満であり、
    前記外径Tfが、前記外径Tr未満であり、
    前記保持部の前記貫通孔を形成する内周面と、前記貫通孔に配置される部分における前記貴金属チップの外周面と、の少なくとも一方は、先端側に向かって連続的に縮径しており、
    前記貴金属チップの先端面は、前記保持部の先端面よりも、先端側に位置している、スパークプラグ。
  2. 請求項1に記載のスパークプラグであって、
    前記保持部の前記内周面は、先端側に向かって連続的に縮径する第1テーパ面を有し、
    前記貴金属チップの前記外周面は、先端側に向かって連続的に縮径する第2テーパ面を有する、スパークプラグ。
  3. 請求項2に記載のスパークプラグであって、
    前記貴金属チップの中心軸を含む断面において、前記第1テーパ面と前記中心軸とがなす角度のうちの鋭角である第1角度Ag1を、前記第2テーパ面と前記中心軸とがなす角度のうちの鋭角である第2角度Ag2から、引いた差分dAgは、−10度以上、かつ、+10度以下である、
    スパークプラグ。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記接地電極は、さらに、少なくとも前記貴金属チップと前記保持部とを接合する第1溶融部を有する、
    スパークプラグ。
  5. 請求項4に記載のスパークプラグであって、
    前記接地電極は、複数の前記第1溶融部を有し、
    前記複数の第1溶融部は、前記貴金属チップの中心軸を挟んで互いに対向しない位置に配置されている、
    スパークプラグ。
  6. 請求項4または5に記載のスパークプラグであって、さらに、
    前記中心電極を保持する絶縁体と、
    前記絶縁体の径方向の周囲に配置された主体金具と、
    を有し、
    前記本体部は、前記主体金具に接続された端である基端を有し、
    少なくとも1つの第1溶融部は、前記貴金属チップの中心軸よりも前記基端側に位置している、
    スパークプラグ。
  7. 請求項6に記載のスパークプラグであって、
    前記貴金属チップの中心軸と平行な方向を向いて見た場合に、少なくとも1つの第1溶融部は、前記貴金属チップの前記中心軸よりも前記基端側において前記本体部の長手方向の軸と重なる、
    スパークプラグ。
  8. 請求項4から7のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記第1溶融部は、前記本体部の表面に露出する露出面を有する、
    スパークプラグ。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記接地電極は、前記保持部と前記本体部とを接合する第2溶融部を有し、
    前記第2溶融部は、前記貴金属チップから離間している、
    スパークプラグ。
  10. 請求項9に記載のスパークプラグであって、
    前記接地電極は、さらに、少なくとも前記貴金属チップと前記保持部とを接合する第1溶融部を有し、
    前記本体部は、前記主体金具に接続された端である基端を有し、
    前記第1溶融部の全体は、前記貴金属チップの中心軸よりも前記基端側に位置し、
    前記第2溶融部の少なくとも一部分は、前記貴金属チップの中心軸よりも前記基端側とは反対側に位置する、
    スパークプラグ。
  11. 請求項9または10に記載のスパークプラグであって、
    前記貴金属チップは、前記貫通孔内に配置される部分の後端側に接続され、前記保持部の前記後端面における前記貫通孔の縁よりも外周側の位置まで突出する突出部を有する、
    スパークプラグ。
  12. 請求項11に記載のスパークプラグであって、
    前記貴金属チップの中心軸に平行な方向の前記突出部の厚さは、0.2mm以上である、
    スパークプラグ。
  13. 請求項11または12に記載のスパークプラグであって、
    前記貴金属チップのうちの前記貫通孔内に配置される部分の外周面の後端から前記突出部の外周側の端までの、前記貴金属チップの中心軸を中心とする円の径方向の長さは、0.05mm以上、0.25mm以下である、
    スパークプラグ。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記保持部の前記貫通孔に前記貴金属チップを配置する配置工程と、
    前記配置工程の後に、前記保持部に、前記保持部の径方向の荷重を加える工程と、
    を有する、製造方法。
  15. 貴金属チップと、前記貴金属チップが配置される貫通孔を有する保持部と、前記保持部が接合される本体部と、を有する接地電極と、
    前記貴金属チップとの間でギャップを形成する中心電極と、
    を有するスパークプラグの製造方法であって、
    前記保持部の前記貫通孔内に前記貴金属チップを配置する配置工程と、
    前記保持部の前記貫通孔内に前記貴金属チップが配置された状態で、前記保持部を前記本体部に接合する接合工程と、
    を備え、
    前記貴金属チップから見て前記ギャップ側を先端側とし、
    前記保持部の先端面における内径を内径Gf、前記保持部の後端面における内径を内径Grとし、
    前記貴金属チップの先端面の外径を外径Tf、前記貴金属チップの後端面の外径を外径Trとしたときに、
    前記内径Gfが、前記外径Tr未満であり、
    前記内径Gfが、前記内径Gr未満であり、
    前記外径Tfが、前記外径Tr未満であり、
    前記保持部の前記貫通孔を形成する内周面と、前記貫通孔に配置される部分における前記貴金属チップの外周面と、の少なくとも一方は、先端側に向かって連続的に縮径しており、
    前記保持部の前記貫通孔内に前記貴金属チップが配置された状態で、前記貴金属チップの先端面は、前記保持部の先端面よりも、先端側に位置している、スパークプラグの製造方法。
  16. 請求項15に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記保持部の前記内周面は、先端側に向かって連続的に縮径する第1テーパ面を有し、
    前記貴金属チップの前記外周面は、先端側に向かって連続的に縮径する第2テーパ面を有する、スパークプラグの製造方法。
  17. 請求項16に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記保持部の前記貫通孔内に前記貴金属チップが配置された状態で、前記保持部と前記貴金属チップとの前記貴金属チップの中心軸を含む断面において、前記第1テーパ面と前記中心軸とがなす角度のうちの鋭角である第1角度A1から、前記第2テーパ面と前記中心軸とがなす角度のうちの鋭角である第2角度A2を、引いた差分dAgは、−10度以上、かつ、+10度以下である、
    スパークプラグの製造方法。
  18. 請求項15から17のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法であって、さらに、
    前記貴金属チップと前記保持部とを接合する第1溶融部を形成する形成工程を有する、
    スパークプラグの製造方法。
  19. 請求項18に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記形成工程は、前記貴金属チップの中心軸を挟んで互いに対向しない位置に配置された複数の前記第1溶融部を形成する工程を含む、
    スパークプラグの製造方法。
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