JP2017111981A - 点火プラグ - Google Patents
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Abstract
【課題】固定部材を用いて接地電極チップを接地電極母材に固定する点火プラグにおいて、電極チップのがたつきを低減する。
【解決手段】点火プラグは、中心電極と、第1面と第1面の裏面である第2面とを有すると共に第1面から第2面まで貫通する貫通孔を有する接地電極母材と、中心電極との間に間隙を形成し、放電面と放電面の裏面である大径面とを有し、大径面を含む一部が貫通孔内に配置され、放電面が貫通孔から中心電極側に露出する接地電極チップと、大径面から放電面に向かう方向を第1方向とし、その反対方向を第2方向としたとき、貫通孔内における大径面より第2方向側の部分に配置される固定部材と、を備える。接地電極母材の第2面と交差する側面に露出しつつ、固定部材と接地電極母材とを跨ぐ溶融部を備え、溶融部の第2方向と垂直な方向の最大長さは、溶融部の第2方向の最大長さより長い。
【選択図】 図2
【解決手段】点火プラグは、中心電極と、第1面と第1面の裏面である第2面とを有すると共に第1面から第2面まで貫通する貫通孔を有する接地電極母材と、中心電極との間に間隙を形成し、放電面と放電面の裏面である大径面とを有し、大径面を含む一部が貫通孔内に配置され、放電面が貫通孔から中心電極側に露出する接地電極チップと、大径面から放電面に向かう方向を第1方向とし、その反対方向を第2方向としたとき、貫通孔内における大径面より第2方向側の部分に配置される固定部材と、を備える。接地電極母材の第2面と交差する側面に露出しつつ、固定部材と接地電極母材とを跨ぐ溶融部を備え、溶融部の第2方向と垂直な方向の最大長さは、溶融部の第2方向の最大長さより長い。
【選択図】 図2
Description
本明細書は、内燃機関等において燃料ガスに点火するための点火プラグに関する。
従来から、内燃機関に、点火プラグが用いられている。点火プラグは、間隙(ギャップ)を形成する接地電極を有している。接地電極には、例えば、接地電極母材と、接地電極母材に固定された貴金属製の電極チップと、を備える電極が利用されている。例えば、特許文献1には、接地電極母材の先端部に、チップ固定用の孔を設け、チップ固定用の孔内に電極チップを配置する技術が開示されている。この技術では、チップ固定用の孔において、電極チップの放電面とは反対側に固定部材を配置し、固定部材を接地電極母材に固定することによって、電極チップを接地電極母材に固定している。
しかしながら、上記の技術では、固定部材を接地電極母材に固定する手段について、十分な工夫がされているとは言えなかった。このために、固定部材を接地電極母材に精度良く固定することができず、例えば、接地電極母材に対して水平に固定されるべき固定部材が、接地電極母材に対して傾いて固定されてしまう場合があった。この結果、電極チップと固定部材との間に想定外の隙間が生じ、電極チップががたついてしまう可能性があった。
本明細書は、固定部材を用いて接地電極チップを接地電極母材に固定する点火プラグにおいて、電極チップのがたつきを低減する技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]中心電極と、
前記中心電極に面する第1面と前記第1面の裏面である第2面とを有すると共に、前記第1面から前記第2面まで貫通し、前記第2面における第2の径が前記第1面における第1の径より大きな貫通孔を有する接地電極母材と、
前記中心電極との間に間隙を形成し、前記第1の径より小さな径を有する放電面と、前記第1の径より大きく、前記第2の径より小さな径を有する前記放電面の裏面である大径面と、を有し、前記大径面を含む一部が前記貫通孔内に配置され、前記放電面が前記貫通孔から前記中心電極側に露出する接地電極チップと、
前記大径面から前記放電面に向かう方向を第1方向とし、その反対方向を第2方向とするとき、前記貫通孔内における前記大径面より前記第2方向側の部分に配置される固定部材と、
を備え、
前記貫通孔を形成する前記接地電極母材の内面と、前記固定部材の前記第1方向側の面と、によって前記電極チップが保持される点火プラグであって、
前記接地電極母材の前記第2面と交差する側面に露出しつつ、前記固定部材と前記接地電極母材とを跨ぐ溶融部を備え、
前記溶融部の前記第2方向と垂直な方向の最大長さは、前記溶融部の前記第2方向の最大長さより長いことを特徴とする、点火プラグ。
前記中心電極に面する第1面と前記第1面の裏面である第2面とを有すると共に、前記第1面から前記第2面まで貫通し、前記第2面における第2の径が前記第1面における第1の径より大きな貫通孔を有する接地電極母材と、
前記中心電極との間に間隙を形成し、前記第1の径より小さな径を有する放電面と、前記第1の径より大きく、前記第2の径より小さな径を有する前記放電面の裏面である大径面と、を有し、前記大径面を含む一部が前記貫通孔内に配置され、前記放電面が前記貫通孔から前記中心電極側に露出する接地電極チップと、
前記大径面から前記放電面に向かう方向を第1方向とし、その反対方向を第2方向とするとき、前記貫通孔内における前記大径面より前記第2方向側の部分に配置される固定部材と、
を備え、
前記貫通孔を形成する前記接地電極母材の内面と、前記固定部材の前記第1方向側の面と、によって前記電極チップが保持される点火プラグであって、
前記接地電極母材の前記第2面と交差する側面に露出しつつ、前記固定部材と前記接地電極母材とを跨ぐ溶融部を備え、
前記溶融部の前記第2方向と垂直な方向の最大長さは、前記溶融部の前記第2方向の最大長さより長いことを特徴とする、点火プラグ。
上記構成によれば、接地電極母材と固定部材とは、接地電極母材の側面に露出しつつ、固定部材と接地電極母材とを跨ぐ溶融部によって、接合されている。このような溶融部は、接地電極母材の側面から固定部材の側面に向かって第1方向と交差する方向にレーザを照射するレーザ溶接によって形成される。この結果、例えば、接地電極母材の第2面に向かって第1方向と平行にレーザを照射する場合と比較して、固定部材の意図しない傾きが発生する可能性を低減できる。したがって、接地電極母材に対して固定部材を精度良く固定することができるので、電極チップのがたつきを低減することができる。
[適用例2]適用例1に記載の点火プラグであって、
前記溶融部は、前記接地電極チップと非接触であることを特徴とする、点火プラグ。
前記溶融部は、前記接地電極チップと非接触であることを特徴とする、点火プラグ。
上記構成によれば、溶融部は、接地電極チップと非接触であるので、接地電極母材と接地電極チップとの間に発生する熱応力が、溶融部に付与されることを抑制できる。この結果、当該熱応力に起因する不具合、例えば、溶融部の割れや接地電極母材の変形を抑制できる。
[適用例3]適用例1または2に記載の点火プラグであって、
前記溶融部は、自身の前記第1方向の端の全てが、前記電極チップの前記大径面より前記第2方向に位置することを特徴とする、点火プラグ。
前記溶融部は、自身の前記第1方向の端の全てが、前記電極チップの前記大径面より前記第2方向に位置することを特徴とする、点火プラグ。
上記構成によれば、溶融部は、接地電極チップと非接触であるので、接地電極母材と接地電極チップとの間に発生する熱応力が、溶融部に付与されることを抑制できる。この結果、当該熱応力に起因する不具合、例えば、溶融部の割れや接地電極母材の変形を抑制できる。
[適用例4]適用例1〜3のいずれかに記載の点火プラグであって、
前記溶融部は、自身の前記第2方向の端の全てが、前記接地電極母材の前記第2面より前記第1方向に位置することを特徴とする、点火プラグ。
前記溶融部は、自身の前記第2方向の端の全てが、前記接地電極母材の前記第2面より前記第1方向に位置することを特徴とする、点火プラグ。
上記構成によれば、接地電極母材や固定部材より高温環境下で劣化しやすい溶融部が、高温に曝されやすい接地電極母材の第2方向の面に露出しない。この結果、溶融部の劣化を抑制することができる。
[適用例5]適用例1〜4のいずれかに記載の点火プラグであって、
前記固定部材を前記第2方向に沿って投影して得られる前記固定部材の外形を示す線のうち、前記溶融部と重なる部分の線長の合計は、前記外形を示す線の全体の線長の10%以上であることを特徴とする、点火プラグ。
前記固定部材を前記第2方向に沿って投影して得られる前記固定部材の外形を示す線のうち、前記溶融部と重なる部分の線長の合計は、前記外形を示す線の全体の線長の10%以上であることを特徴とする、点火プラグ。
上記構成によれば、固定部材を接地電極母材に対して十分な強度で固定することができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、点火プラグや点火プラグを用いた点火装置、その点火プラグを搭載する内燃機関や、その点火プラグを用いた点火装置を搭載する内燃機関等の態様で実現することができる。
A.実施形態:
A−1.点火プラグの構成:
図1は、実施形態の点火プラグの一例の断面図である。図示されたラインCLは、点火プラグ100の軸線CL(中心軸CLとも呼ぶ)を示している。図示された断面は、軸線CLを含む断面である。以下、軸線CLと平行な方向を「軸線方向」とも呼ぶ。軸線CLと平行な方向のうち、図1における下方向を先端方向LDと呼び、上方向を後端方向BDとも呼ぶ。先端方向LDは、後述する端子金具40から電極20、30に向かう方向である。また、軸線CLを中心とし、軸線CLと垂直な面上に位置する円の径方向を、単に「径方向」とも呼び、当該円の円周方向を、単に「周方向」とも呼ぶ。先端方向LDの端を、単に、先端とも呼び、後端方向BDの端を、単に、後端とも呼ぶ。
A−1.点火プラグの構成:
図1は、実施形態の点火プラグの一例の断面図である。図示されたラインCLは、点火プラグ100の軸線CL(中心軸CLとも呼ぶ)を示している。図示された断面は、軸線CLを含む断面である。以下、軸線CLと平行な方向を「軸線方向」とも呼ぶ。軸線CLと平行な方向のうち、図1における下方向を先端方向LDと呼び、上方向を後端方向BDとも呼ぶ。先端方向LDは、後述する端子金具40から電極20、30に向かう方向である。また、軸線CLを中心とし、軸線CLと垂直な面上に位置する円の径方向を、単に「径方向」とも呼び、当該円の円周方向を、単に「周方向」とも呼ぶ。先端方向LDの端を、単に、先端とも呼び、後端方向BDの端を、単に、後端とも呼ぶ。
点火プラグ100は、絶縁体10と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50と、導電性の第1シール部60と、抵抗体70と、導電性の第2シール部80と、第1パッキン8と、タルク9と、第2パッキン6と、第3パッキン7と、を備えている。
絶縁体10は、軸線CLに沿って延びて絶縁体10を貫通する貫通孔である軸孔12を有する略円筒状の部材である。絶縁体10は、アルミナを焼成して形成されている(他の絶縁材料も採用可能である)。絶縁体10は、後端方向BDに向かって順番に並ぶ、脚部13と、第1縮外径部15と、第1胴部17と、鍔部19と、第2縮外径部11と、第2胴部18と、を有している。第1縮外径部15の外径は、先端方向LDに向かって、徐々に小さくなる。絶縁体10の第1縮外径部15の近傍(図1の例では、第1胴部17)の内部には、先端方向LDに向かって内径が徐々に小さくなる縮内径部16が形成されている。第2縮外径部11の外径は、後端方向BDに向かって、徐々に小さくなる。
絶縁体10の軸孔12の先端側には、軸線CLに沿って延びる棒状の中心電極20が挿入されている。中心電極20は、後端方向BDに向かって順番に並ぶ、脚部25と、鍔部24と、頭部23と、を有している。脚部25の先端側の部分は、絶縁体10の先端側で、軸孔12の外に露出している。中心電極20の他の部分は、軸孔12内に配置されている。鍔部24の先端側の面は、絶縁体10の縮内径部16によって、支持されている。また、中心電極20は、電極母材21と、電極母材21の内部に埋設された芯材22と、を有している。電極母材21は、例えば、ニッケル(Ni)またはニッケルを主成分として含む合金(例えば、NCF600、NCF601)を用いて形成されている。ここで、「主成分」は、含有率が最も高い成分を意味している(以下、同様)。芯材22は、電極母材21よりも熱伝導率が高い材料(例えば、銅を含む合金)で形成されている。
絶縁体10の軸孔12の後端側には、端子金具40が挿入されている。端子金具40は、導電材料(例えば、低炭素鋼等の金属)を用いて形成されている。端子金具40は、先端方向LDに向かって順番で並ぶ、キャップ装着部41と、鍔部42と、脚部43と、を有している。キャップ装着部41は、絶縁体10の後端側で、軸孔12の外に露出している。脚部43は、絶縁体10の軸孔12に挿入されている。
絶縁体10の軸孔12内において、端子金具40と中心電極20との間には、電気的なノイズを抑制するための、円柱状の抵抗体70が配置されている。抵抗体70と中心電極20との間は、導電性の第1シール部60が配置され、抵抗体70と端子金具40との間には、導電性の第2シール部80が配置されている。中心電極20と端子金具40とは、抵抗体70とシール部60、80とを介して、電気的に接続される。シール部60、80を用いることによって、積層される部材20、60、70、80、40間の接触抵抗が安定し、中心電極20と端子金具40との間の電気抵抗値を安定させることができる。なお、抵抗体70は、例えば、主成分であるガラス粒子(例えば、B2O3−SiO2系のガラス)と、セラミック粒子(例えば、TiO2)と、導電性材料(例えば、Mg)と、を用いて形成されている。シール部60、80は、例えば、抵抗体70と同様のガラス粒子と、金属粒子(例えば、Cu)と、を用いて形成されている。
主体金具50は、軸線CLに沿って延びて主体金具50を貫通する挿入孔59を有する略円筒状の部材である。主体金具50は、低炭素鋼材を用いて形成されている(他の導電材料(例えば、金属材料)も採用可能である)。主体金具50の挿入孔59には、絶縁体10が挿入されている。主体金具50は、絶縁体10の径方向の周囲に配置された状態で、絶縁体10に固定されている。主体金具50の先端側では、絶縁体10の先端側の端部(本実施形態では、脚部13の先端側の部分)が、挿入孔59の外に露出している。主体金具50の後端側では、絶縁体10の後端側の端部(本実施形態では、第2胴部18の後端側の部分)が、挿入孔59の外に露出している。
主体金具50は、後端方向BDに向かって順番に並ぶ、胴部55と、座部54と、変形部58と、工具係合部51と、加締部53と、を有している。座部54は、鍔状の部分である。胴部55の外周面には、内燃機関(例えば、ガソリンエンジン)の取付孔に螺合するためのネジ部52が形成されている。座部54とネジ部52との間には、金属板を折り曲げて形成された環状のガスケット5が嵌め込まれている。
主体金具50は、変形部58よりも先端側に配置された、縮内径部56を有している。縮内径部56の内径は、後端側から先端方向LDに向かって、徐々に小さくなる。主体金具50の縮内径部56と、絶縁体10の第1縮外径部15と、の間には、第1パッキン8が挟まれている。第1パッキン8は、鉄製のOリングである(他の材料(例えば、銅等の金属材料)も採用可能である)。
工具係合部51の形状は、点火プラグレンチが係合する形状(例えば、六角柱)である。工具係合部51の後端側には、加締部53が設けられている。加締部53は、絶縁体10の第2縮外径部11よりも後端側に配置され、主体金具50の後端側の端を形成する。加締部53は、径方向の内側に向かって屈曲されている。
主体金具50の後端側では、主体金具50の内周面と、絶縁体10の外周面と、の間に、環状の空間SPが形成されている。本実施形態では、この空間SPは、主体金具50の加締部53および工具係合部51と、絶縁体10の第2縮外径部11および第2胴部18と、に囲まれた空間である。この空間SP内の後端側には、第2パッキン6が配置されている。この空間SP内の先端側には、第3パッキン7が配置されている。本実施形態では、これらのパッキン6、7は、鉄製のCリングである(他の材料も採用可能である)。空間SP内における2つのパッキン6、7の間には、タルク(滑石)9の粉末が充填されている。
点火プラグ100の製造時には、加締部53が内側に折り曲がるように加締められる。そして、加締部53が先端側に押圧される。これにより、変形部58が変形し、パッキン6、7とタルク9とを介して、絶縁体10が、主体金具50内で、先端側に向けて押圧される。第1パッキン8は、第1縮外径部15と縮内径部56との間で押圧され、そして、主体金具50と絶縁体10との間をシールする。以上により、内燃機関の燃焼室内のガスが、主体金具50と絶縁体10との間を通って外に漏れることが、抑制される。また、主体金具50が、絶縁体10に、固定される。
接地電極30は、主体金具50の先端側の端に接合されている。接地電極30は、接地電極母材33と、接地電極チップ38と、固定部材39と、を有している。本実施形態では、接地電極母材33は、棒状の部材である。接地電極母材33の一端は、主体金具50の先端側の端に、電気的に導通するように、例えば、抵抗溶接によって、接続されている接続端332である。接地電極母材33の他端は、自由端333である。接地電極母材33は、主体金具50に接続された接続端332から先端方向LDに向かって延び、軸線CLに向かって曲がっている。そして、接地電極母材33は、軸線CLと垂直な方向に延びて自由端333に至る。
接地電極母材33のうち、軸線CLと垂直な方向に延びる部分を先端部331とも呼ぶ。先端部331には、接地電極チップ38と、固定部材39と、が固定されている。接地電極チップ38は、中心電極20の放電面20s1(先端側の表面)との間で間隙(ギャップ)gを形成する。接地電極母材33は、例えば、Ni又はNiを主成分として含む合金(例えば、NCF600、NCF601)を用いて形成されている。なお、接地電極母材33は、表面を形成する表面部と、表面部に埋設された芯部と、を含む二層構造を有していても良い。この場合には、表面部は、例えば、Ni又はNiを主成分として含む合金を用いて形成され、芯部は、表面部よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅)を用いて形成される。
図2は、実施形態の接地電極30の先端部331の近傍を拡大して示す部分断面図である。図3は、接地電極30の先端部331の近傍の概略図である。図3(A)には、先端部331を先端側から見たときの外観図が示されている。図3(B)には、先端部331を側面337側から見たときの外観図が示されている。図2の断面は、図3(A)の波線VLで接地電極母材33を切断した断面である。図2の断面は、固定部材39の軸線CLを通り、かつ、軸線方向に沿う断面である、と言うことができる。図4は、実施形態のレーザ溶接前の接地電極30の先端部331の断面図である。図2に示すように、上述した先端部331は、軸線CLと垂直な方向に延びている。ここで、軸線CLと垂直な方向であって、軸線CLから自由端333に向かう方向を、自由端方向FDとも呼ぶ。また、軸線CLと垂直な方向であって、自由端方向FDとは反対方向、すなわち、軸線CLから接続端332に向かう方向を、接続端方向CDとも呼ぶ。
図2、4に示すように、接地電極母材33の先端部331は、後端側に位置する第1面33s1、すなわち、中心電極20と面する第1面33s1と、第1面33s1の裏面である第2面33s2、すなわち、先端側に位置する第2面33s2と、を有している。さらに、先端部331は、自由端333側の側面334(自由端方向FD側の側面334)と、自由端方向FDと垂直な方向側の側面336、337と、を有している。さらに、先端部331は、図3に示すように、側面334と側面336との間の曲面形状の側面338と、側面334と側面337との間の曲面形状の側面339と、を有している。これらの側面334、336、337、338、339は、第2面33s2と交差する面である。
先端部331の中心電極20の放電面20s1と対向する位置には、第1面33s1から第2面33s2まで貫通する貫通孔335が形成されている。図4に示すように、貫通孔335は、第1の径R1を有する小径部分335aと、小径部分335aより先端側に位置し、第1の径R1より大きな第2の径R2を有する大径部分335bと、を有している。そして、接地電極母材33には、貫通孔335内における小径部分335aと大径部分335bとの間に位置する段部335cが形成されている。このように、貫通孔335では、第2面33s2における第2の径R2(図4)が、第1面33s1における第1の径R1(図4)より大きい。
図2、図4に示すように、接地電極チップ38は、後端側の放電面38s1と、放電面38s1の裏面である(すなわち、先端側の面である)大径面38s2と、を有している。大径面38s2から放電面20s1に向かう方向(本実施形態では、後端方向BD)を第1方向とも呼び、その反対方向(本実施形態では、先端方向LD)を第2方向とも呼ぶ。
放電面38s1は、中心電極20の放電面20s1との間に、間隙gを形成する面である。接地電極チップ38は、放電面38s1を含むチップ本体381と、大径面38s2を含み、チップ本体381より先端側に位置する鍔部382と、を有している。チップ本体381の径は、中心電極20に向かって、すなわち、先端側から後端側に向かって、径R5から径R4まで直線的に縮径している。すなわち、チップ本体381は、いわゆるテーパ状の外側面381sを有する円錐台形状を有している。鍔部382の径は、チップ本体381の先端の径R5および後端の径R4より大きい。電極チップの軸線CLは、点火プラグ100の軸線CLと同じである。この説明から解るように、大径面38s2の径R3(図4)は、放電面38s1の径R4(チップ本体381の後端の径R4)より大きい。そして、放電面38s1の径R4は、貫通孔335の第1面33s1における第1の径R1(小径部分335aの径)より小さい。大径面38s2の径R3(鍔部382の径R3)は、貫通孔335の第1面33s1における第1の径R1より大きく、第2面33s2における第2の径R2(大径部分335bの径R2)より僅かに小さい。チップ本体381の先端の径R5は、貫通孔335の小径部分335aの径R1と、ほぼ等しい。
接地電極チップ38は、火花消耗性に優れた貴金属を主成分として含む合金を用いて、形成されている。本実施形態では、主成分となる貴金属は、イリジウム(Ir)である。なお、Irは、貴金属の中でも融点が高く、そして、耐火花消耗性に優れている。従って、Ir、または、Irを主成分とするイリジウム合金を用いて、接地電極チップ38を形成することが好ましい。
図2に示すように、接地電極チップ38のうち、大径面38s2を含む一部は、貫通孔335内に配置され、放電面20s1は、貫通孔335から中心電極20側に露出している。具体的には、接地電極チップ38の鍔部382の全体は、貫通孔335の大径部分335b内の後端側に位置し、チップ本体381の先端側の大部分は、貫通孔335の小径部分335a内に位置している。そして、チップ本体381の放電面38s1を含む後端側の一部は、貫通孔335から後端側に突出している。鍔部382の後端面382sは、貫通孔335内の段部335cに当接しており、段部335cによって後端側から支持されている。
図2、図4に示すように、固定部材39は、略円柱状の外形を有している。接地電極チップ38、貫通孔335、固定部材39の軸線CLは、点火プラグ100の軸線CLと同じである。固定部材39は、貫通孔335の大径部分335b内において、接地電極チップ38の大径面38s2より先端側の部分に配置されている。固定部材39の後端面39s1は、接地電極チップ38の大径面38s2に当接している。すなわち、固定部材39は、接地電極チップ38(鍔部382)を先端側から支持している。固定部材39の先端面39s2は、接地電極母材33の第2面33s2と、ほぼ同じ平面上に位置している。なお、レーザ溶接前の固定部材39の径R6は、貫通孔335の大径部分335bの径R2と、ほぼ同じである。
以上の説明から解るように、接地電極チップ38は、貫通孔335を形成する接地電極母材33の内面と、固定部材39の後端面39s1と、によって保持されている。
図2に示すように、固定部材39のうち、貫通孔335内に配置された部分の軸線方向に沿った長さL1は、接地電極母材33の貫通孔335が形成されている部分(すなわち、先端部331)の軸線方向に沿った長さL2の50%以上である。図2の例では、長さL1は、長さL2の約60%である。図2の例では、固定部材39のほぼ全体が、貫通孔335内に配置されているので、長さL1は、固定部材39の軸線方向に沿った長さにほぼ等しい。
図3(A)、(B)に示すように、接地電極30は、接地電極母材33と、固定部材39と、を接合するための複数個(図3(A)、(B)の例では、9個)の溶融部82を備えている。
複数個の溶融部82のそれぞれは、接地電極母材33の先端部331の側面に露出しつつ、固定部材39と接地電極母材33とを跨いでいる。具体的には、複数個の溶融部82のそれぞれは、軸線CLおよび自由端方向FDと垂直な方向(図3(A)の縦方向)に沿って延びる棒形状を有している。そして、複数個の溶融部82のそれぞれの一方の端は、側面334、336、337、338、339のうちのいずれかに露出し、他方の端は、固定部材39を軸線CLに沿って投影して得られる固定部材39の外形を示す外形線OL(図3(A))より内側に位置している。図3(A)の例では、外形線OLは、固定部材39の外側面39s3と、貫通孔335の大径部分335bを形成する接地電極母材33の内側面と、が位置する円、すなわち、固定部材39と接地電極母材33との境界BLを示す円と同じ円である。
側面337に露出する3個の溶融部82は、図3(B)に示すように、自由端方向FDに沿って、略等間隔に並んでいる。同様に、側面336に露出する3個の溶融部82は、自由端方向FDに沿って、略等間隔に並んでいる。側面334、338、339にそれぞれ露出する3個の溶融部82は、軸線CLと各側面とを結ぶ垂線に沿って延びている。
図2、図3(A)、(B)に示すように、複数個の溶融部82のそれぞれでは、軸線方向と垂直な方向の最大長さLbが、軸線方向に沿った最大長さLaより長い。これは、後述するように、複数個の溶融部82のそれぞれが、側面334、336、337、338、339に対して、第2面33s2と交差する方向に(具体的には、それぞれの側面に略垂直に)、レーザを照射することによって、形成されているためである。
複数個の溶融部82のそれぞれの後端は、接地電極チップ38の先端(すなわち、接地電極チップ38の大径面38s2)より先端側(先端方向LD)に位置している。これによって、複数個の溶融部82は、接地電極チップ38と非接触となっている。
複数個の溶融部82のそれぞれの先端は、接地電極母材33の先端部331の第2面33s2より後端側(後端方向BD)に位置している。換言すれば、複数個の溶融部82は、接地電極母材33の先端部331の第2面33s2に、露出していない。
ここで、上述した固定部材39を軸線CLに沿って投影して得られる固定部材39の外形を示す外形線OL(図3(A))の全体の線長をLtとする。そして、中心軸CLに沿って見た場合に、外形線OLのうち、複数個の溶融部82と重なる複数個の部分PL(図3(A))の線長の合計をLpとする。外形線OLの全体の線長Ltに対する線長の合計Lpの比率(Lp/Lt)は、10%以上である。図3(A)の例では、比率(Lp/Lt)は、約40%である。比率(Lp/Lt)は、30%以上であることが、より好ましく、50%以上であることが、さらに、好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
溶融部82は、互いに溶融した、接地電極母材33の成分と、固定部材39の成分と、を含む部分である。接地電極母材33と、固定部材39と、は、溶融部82を介して接合されている。したがって、溶融部82は、接地電極母材33と固定部材39とを接合する接合部とも言うこともでき、接地電極母材33と固定部材39とを接合するビードとも言うことができる。
また、溶融部82は、接地電極母材33と固定部材39とが、同じ材料(例えば、NCF600)で形成されていたとしても、高温で溶融されて形成されていることによって、溶融部82は、接地電極母材33や固定部材39とは、例えば、粒径等の微細な構造が異なっている。このために、例えば、接地電極30を切断して、図2の断面を露出させて、当該断面にエッチング処理を施した後に観察することで、接地電極母材33と固定部材39と溶融部82との境界は明確に特定することができる。
A−2.点火プラグの製造方法:
図5は、点火プラグの製造方法の一例を示すフローチャートである。図6は、接地電極30の製造方法の説明図である。ステップS120では、組立体が形成される。組立体は、図1に示す点火プラグ100の製造工程のうち、接地電極30の接地電極母材33の屈曲と、接地電極母材33上への接地電極チップ38と固定部材39との取り付けを行う前の状態のものである。図5のステップS120を示す箱の中には、組立体100xの中心電極20の近傍を示す部分断面図が示されている。組立体100xは、絶縁体10と、絶縁体10に固定された主体金具50と、絶縁体10の軸孔12に挿入された中心電極20と、を有している。また、主体金具50には、直線状の接地電極母材33xが、曲げる前の接地電極母材33として、接合されている。組立体100xを形成する方法としては、公知の種々の方法を採用可能であり、詳細な説明を省略する。
図5は、点火プラグの製造方法の一例を示すフローチャートである。図6は、接地電極30の製造方法の説明図である。ステップS120では、組立体が形成される。組立体は、図1に示す点火プラグ100の製造工程のうち、接地電極30の接地電極母材33の屈曲と、接地電極母材33上への接地電極チップ38と固定部材39との取り付けを行う前の状態のものである。図5のステップS120を示す箱の中には、組立体100xの中心電極20の近傍を示す部分断面図が示されている。組立体100xは、絶縁体10と、絶縁体10に固定された主体金具50と、絶縁体10の軸孔12に挿入された中心電極20と、を有している。また、主体金具50には、直線状の接地電極母材33xが、曲げる前の接地電極母材33として、接合されている。組立体100xを形成する方法としては、公知の種々の方法を採用可能であり、詳細な説明を省略する。
ステップS130では、接地電極30の接地電極母材33xに、貫通孔335が形成される。貫通孔335の形状は、図4を参照して説明した通りである。貫通孔335は、曲げる前の接地電極母材33xに、例えば、ドリル等の切削工具を用いて、形成される。
ステップS140では、図6(A)に示すように、形成済の貫通孔335内に、接地電極チップ38と固定部材39とが、この順序で、貫通孔335の先端側(図6(A)の上側)から、配置される。このとき、貫通孔335より後端側(図6(A)の下側)に、接地電極チップ38のチップ本体381が突出するので、接地電極母材33xは、凹部HLが形成された支持台ST上に配置された状態で、接地電極チップ38と固定部材39の配置が行われる。
S150では、ハンドプレスHPによって、固定部材39の先端面39s2が後端方向BDに向かってプレスされる。これによって、固定部材39の後端面39s1と、貫通孔335内の段部335cとによって、鍔部382が挟持される位置まで、固定部材39が後端方向BDに押し込まれる。この位置まで固定部材39が押し込まれた状態で、固定部材39の先端面39s2は、接地電極母材33の先端部331の第2面より先端側に僅か(例えば、0.1mm)だけ突出した状態になるように、固定部材39の軸線方向に沿った長さが決められている。これにより、ハンドプレスHPによって、固定部材39を所定の位置まで精度良く押し込むことができる。
ステップS160では、固定部材39と接地電極母材33とがレーザ溶接(例えば、YAGレーザ)によって接合される。図6(B)に示すように、レーザ溶接は、所定の押さえ部材PPによって、固定部材39の先端面39s2が後端方向BDに向かって押圧された状態で、実行される。図6(B)の矢印LZは、レーザ溶接のためのレーザの照射を概念的に示している。レーザLZは、側面334、336、337、338、339の所定の位置に、側面334、336、337、338、339に対して垂直に、それぞれ照射される。この結果、図2、図3の溶融部82が形成される。
ステップS170では、接地電極母材33xが曲げられて、間隙gが形成される。すなわち、図2に示すように、中心電極20の放電面20s1と、接地電極チップ38の放電面38s1とが、互いに対向するように、接地電極母材33xが中心電極20に向かって曲げられる。
以上説明した実施形態の点火プラグ100によれば、接地電極母材33の第2面33s2と交差する側面334、336、337、338、339に露出しつつ、固定部材39と接地電極母材33とを跨ぐ溶融部82を備えている。そして、溶融部82の軸線方向(先端方向LD)と垂直な方向の最大長さLbは、溶融部82の軸線方向の最大長さLaより長い。このような溶融部82は、上述したように、接地電極母材33の側面336、337から固定部材39の側面に向かって軸線方向と交差する方向にレーザを照射するレーザ溶接によって形成される。この結果、例えば、接地電極母材33の第2面33s2側から、軸線方向と平行にレーザを照射する場合と比較して、固定部材39の意図しない傾きが発生する可能性を低減できる。したがって、接地電極母材33に対して固定部材39を精度良く固定することができるので、電極チップのがたつきを低減することができる。
より詳しくは、仮に、図6(B)の接地電極母材33と固定部材39との境界BLに沿って、境界BLと平行に(すなわち、軸線方向と平行に)、レーザを照射することによって、軸線方向に延びる溶融部を形成するとする。そして、例えば、接地電極母材33の第2面33s2の位置P1に対して、位置P2より先にレーザを照射して溶融部を形成し、その後に、位置P2にレーザを照射して溶融部を形成するとする。この場合には、位置P1に対してレーザを照射して溶融部を形成したときに、固定部材39の位置P1に対して後端方向BDの力(図6(B)の下向きの力)が働く。この結果、固定部材39が傾いて、固定部材39の位置P2が、先端方向LDに(図6(B)の上向きに)浮き上がり、固定部材39と接地電極チップ38との間に想定外の隙間が生じる場合がある。本実施形態によれば、溶融部82を形成する際に、固定部材39には、後端方向BDの力が働かないので、このような不具合を低減して、接地電極母材33に対して固定部材39を精度良く固定することができる。
さらには、本実施形態では、図6(B)に示すように、押さえ部材PPによって、固定部材39の浮き上がりを防ぎながら、レーザ溶接を行うことができるので、接地電極母材33に対して固定部材39を、さらに、精度良く固定することができる。
さらには、本実施形態では、本実施形態では、溶融部82は、自身の後端(後端方向BDの端)の全てが、接地電極チップ38の大径面38s2より先端方向LDに位置している。これによって、溶融部82は、接地電極チップと非接触である。この結果、接地電極母材33と接地電極チップ38との間に発生する熱応力が、溶融部82に付与されることを抑制できる。この結果、当該熱応力に起因する不具合を抑制できる。詳細に説明すると、接地電極チップ38と接地電極母材33とは、材料が互いに異なるので、互いに線膨張係数が異なるために、高温環境下では、接合部分に高い熱応力が発生しやすい。接地電極チップ38と接地電極母材33とが溶融部82によって接合されていると、このような熱応力によって、溶融部82の割れ、あるいは、接地電極母材33の変形が生じ得る。本実施形態によれば、溶融部82は、接地電極チップと非接触である、すなわち、接地電極チップ38と接地電極母材33とが溶融部82によって接合されていないので、このような不具合を抑制できる。
さらに、本実施形態では、溶融部82は、自身の先端(先端方向LDの端)の全てが、接地電極母材33の第2面33s2より後端方向BDに位置している。溶融部82は、レーザ溶接によって一旦溶融されているので、接地電極母材33や固定部材39より高温環境下で劣化しやすい。接地電極母材33の第2面33s2は、使用時に、内燃機関の燃焼室内の高温部に最も近づくので、高温に曝されやすい。上記構成によれば、劣化しやすい溶融部82が、高温に曝されやすい接地電極母材33の第2面33s2に露出しないので、溶融部82の劣化を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、固定部材39を軸線CLに沿って投影して得られる固定部材39の外形を示す外形線OLの全体の線長Ltに対する、外形線OLのうち複数個の溶融部82と重なる複数個の部分PLの線長の合計Lpの比率(Lp/Lt)は、10%以上である。この結果、固定部材39を接地電極母材33に対して十分な強度で固定することができる。
A−3.評価試験:
点火プラグ100のサンプルを用いて評価試験が行われた。第1評価試験では、表1に示すように、5種類の点火プラグのサンプル1〜5が作製された。各サンプルに共通な寸法は、以下の通りである。
放電面20s1の径R4=2.8mm
チップ本体381の先端の径R5=2.9mm
鍔部382の径R3=3.3mm
鍔部382の軸線方向に沿った長さL4(厚さ)=0.2mm
接地電極チップ38の軸線方向に沿った長さL3=0.8mm
固定部材39の径R6=3.3mm
固定部材39の軸線方向に沿った長さL1=1.1mm
貫通孔335の小径部分335aの径R1=2.85mm
貫通孔335の大径部分335bの径R2=3.3mm
接地電極母材33の先端部331の軸線方向に沿った長さL2=1.5mm
固定部材39の材質:NCF600
接地電極母材33の材質:NCF600
点火プラグ100のサンプルを用いて評価試験が行われた。第1評価試験では、表1に示すように、5種類の点火プラグのサンプル1〜5が作製された。各サンプルに共通な寸法は、以下の通りである。
放電面20s1の径R4=2.8mm
チップ本体381の先端の径R5=2.9mm
鍔部382の径R3=3.3mm
鍔部382の軸線方向に沿った長さL4(厚さ)=0.2mm
接地電極チップ38の軸線方向に沿った長さL3=0.8mm
固定部材39の径R6=3.3mm
固定部材39の軸線方向に沿った長さL1=1.1mm
貫通孔335の小径部分335aの径R1=2.85mm
貫通孔335の大径部分335bの径R2=3.3mm
接地電極母材33の先端部331の軸線方向に沿った長さL2=1.5mm
固定部材39の材質:NCF600
接地電極母材33の材質:NCF600
5種類のサンプル1〜5では、溶融部82の個数や太さを調節することによって、上述した比率(Lp/Lt)が、それぞれ、5%、10%、25%、50%、80%に調整された。なお、YAGレーザでは、固定部材39と接地電極母材33との境界BLのうち、接続端332側の部分については、溶融部82を形成することができないために、比率(Lp/Lt)が80%より大きなサンプルを作製できなかった。
サンプル1〜5について、常温溶接強度試験と、高温溶接強度試験と、を行った。常温溶接強度試験では、室温下(約摂氏25度)、金属棒を用いて、接地電極チップ38の放電面20s1に対して、先端方向LDに向かって、荷重を負荷して、溶融部82に破断が生じる破断強度を測定した。高温溶接強度試験では、各サンプルの固定部材39の近傍が、高周波加熱装置を用いて摂氏1050度まで加熱された。そして、加熱された状態で、常温溶接強度試験と同様の方法で破断強度を測定した。
そして、破断強度が1000N(ニュートン)未満であるサンプルの評価を「C」とし、破断強度が1000N以上2000N未満であるサンプルの評価を「B」とし、破断強度が2000N以上であるサンプルの評価を「A」とした。
評価の結果は、表1に示すとおりである。比率(Lp/Lt)が10%未満であるサンプル、すなわち、比率(Lp/Lt)が5%であるサンプル1の評価は、「C」であった。比率(Lp/Lt)が10%以上であるサンプル、すなわち、比率(Lp/Lt)が、それぞれ、10%、25%、50%、80%であるサンプル1〜5の評価は、「A」であった。評価が「B」であるサンプルは、なかった。
評価試験によって、比率(Lp/Lt)が10%以上80%以下である場合には、比率(Lp/Lt)が10%未満であると比較して、固定部材39を接地電極母材33に対して十分な強度で固定することができることが解った。
I.変形例:
(1)上記各実施形態に示す溶融部82の形状および個数は、一例であり、これに限られない。図7、図8は、変形例の接地電極の説明図である。図7(A)、(B)、図8(A)、(C)は、図3(A)と同様に、接地電極母材の先端部331を、先端側から後端方向BDに向かって見た図を示している。図8(B)は、図3(B)と同様に、先端部331の側面337側から側面336に向かう方向を向いて見た図を示している。
(1)上記各実施形態に示す溶融部82の形状および個数は、一例であり、これに限られない。図7、図8は、変形例の接地電極の説明図である。図7(A)、(B)、図8(A)、(C)は、図3(A)と同様に、接地電極母材の先端部331を、先端側から後端方向BDに向かって見た図を示している。図8(B)は、図3(B)と同様に、先端部331の側面337側から側面336に向かう方向を向いて見た図を示している。
図7(A)の接地電極30bでは、接地電極母材33bは、図2の接地電極母材33と異なり、曲面状の側面338、339を有しておらず、平面状の側面334、336、337だけを有している。そして、接地電極30bは、側面334、336、337にそれぞれ露出する3個の溶融部82bを備えている。このように、側面334、336、337のそれぞれに垂直にレーザを照射して、1個ずつの溶融部が形成されても良い。
図7(B)の接地電極30cでは、接地電極母材33cの形状は、上述した接地電極母材33bと同じである。そして、接地電極30cは、側面336に露出する5個の溶融部82cと、側面337に露出する5個の溶融部82cと、を備えている。一方、側面334に露出する溶融部は形成されていない。1個の側面に露出する溶融部は、複数個であっても良く、溶融部が露出していない側面があっても良い。
図8(A)、(B)の接地電極30dでは、側面336に露出する1個の溶融部82dと、側面337に露出する1個の溶融部82dと、が形成されている。これらの溶融部82dは、側面336、337と平行で、かつ、第2面33s2と平行な方向に沿った長さが、軸線方向に沿った長さより長い。このような形状の溶融部82dは、例えば、YAGレーザと比較して形成できる溶融部の形状の自由度が高いファイバーレーザを用いて形成される。
図8(C)の接地電極30eでは、側面334に露出する1個の溶融部82eが形成されている。溶融部82eは、上述した溶融部82dと同様に、側面336、337と平行で、かつ、第2面33s2と平行な方向に沿った長さが、軸線方向に沿った長さより長い。溶融部82eは、上述した溶融部82dと同様に、ファイバーレーザを用いて形成される。
溶融部82dを軸線CLに沿って投影して得られる溶融部82dは、軸線方向に沿って見た場合に、固定部材39を軸線CLに沿って投影して得られる固定部材39の外形の外形線OLの全体と重なっている。したがって、接地電極30eでは、上述した比率(Lp/Lt)は、100%である。このように、ファイバーレーザを用いれば、比率(Lp/Lt)が100%である接地電極を作製できる。
溶融部82dを軸線CLに沿って投影して得られる溶融部82dは、軸線方向に沿って見た場合に、固定部材39を軸線CLに沿って投影して得られる固定部材39の外形の外形線OLの全体と重なっている。したがって、接地電極30eでは、上述した比率(Lp/Lt)は、100%である。このように、ファイバーレーザを用いれば、比率(Lp/Lt)が100%である接地電極を作製できる。
(2)上記実施形態では、溶融部82は、接地電極チップ38と接触していない。これに代えて、少なくとも一部の溶融部82は、接地電極チップ38と接触していても良い。例えば、複数個の溶融部82のうち、接続端方向CD側に位置する1個の溶融部82が、接地電極チップ38の鍔部382と接触し、他の溶融部82は、接地電極チップ38と接触していなくても良い。
(3)上記実施形態では、溶融部82は、接地電極母材33の側面には露出しているが、第2面33s2には露出していない。これに代えて、少なくとも一部の溶融部82は、接地電極母材33の側面に露出し、かつ、接地電極母材33の第2面33s2に露出していても良い。例えば、溶融部82のうち、側面に近い側の端部は、接地電極母材33の側面に露出し、かつ、接地電極母材33の第2面33s2に露出していても良い。
(4)上記各実施形態に示す接地電極チップ38の形状は、一例であり、これに限られない。例えば、接地電極チップ38の鍔部382は、無くても良く、接地電極チップ38は、テーパー形状(円錐台形状)を有するチップ本体381だけであっても良い。この場合には、例えば、貫通孔335の小径部分335aは、チップ本体381の外形に対応して、先端側から後端方向BDに向かって縮径していれば良い。
また、鍔部382がある場合には、チップ本体381は、テーパー形状ではなく、円柱形状であっても良い。
(5)上記各実施形態に示す固定部材39の形状は、一例であり、これに限られない。例えば、固定部材39の形状は、先端側から後端方向BDに向かって縮径するテーパー形状を有していても良い。この場合には、貫通孔335の大径部分335bの形状は、固定部材39の形状に対応して、テーパー形状を有していれば良い。また、溶融部82は、テーパー形状を有する固定部材39と大径部分335bとの境界に対応して、接地電極母材33の第2面33s2に対して斜めに延びるように、形成されていても良い。
固定部材39は、後端側から先端方向LDを向いて見た形状が、円でなくても良く、他の形状であっても良い。例えば、固定部材39は、後端側から先端方向LDを向いて見た形状が、自由端方向FDの長さが、自由端方向FDと直交する方向の長さより長い楕円であっても良い。
また、固定部材39は、NCF600やNCF601を用いて形成されているが、他の耐熱性を有する材料、例えば、NCF600やNCF601とは異なる耐熱ニッケル合金を用いて形成されてもよい。
(6)上記各実施形態では、接地電極チップ38は、イリジウム合金で形成されているが、イリジウムとは異なる貴金属、あるいは、該貴金属を主成分とする合金で形成されても良い。イリジウムとは異なる貴金属としては、たとえば、白金(Pt)、ロジウム(Rh)が採用され得る。
(7)点火プラグの構成としては、図1で説明した構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、中心電極20のうちの間隙gを形成する部分に、電極チップを設けても良い。電極チップの材料としては、イリジウムや白金等の貴金属を含む合金を採用可能である。また、中心電極20の芯材22が省略されてもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
5...ガスケット、6...第2パッキン、7...第3パッキン、8...第1パッキン、9...タルク、10...絶縁体、11...第2縮外径部、12...軸孔、13...脚部、15...第1縮外径部、16...縮内径部、17...第1胴部、18...第2胴部、19...鍔部、20...中心電極、20s1...放電面、21...電極母材、22...芯材、23...頭部、24...鍔部、25...脚部、30、30b...接地電極、33...接地電極母材、33x...接地電極母材、33s1...第1面、33s2...第2面、38...接地電極チップ、38s1...放電面、38s2...大径面、39...固定部材、39s1...後端面、39s2...先端面、39s3...外側面、40...端子金具、41...キャップ装着部、42...鍔部、43...脚部、50...主体金具、51...工具係合部、52...ネジ部、53...加締部、54...座部、55...胴部、56...縮内径部、58...変形部、59...貫通孔、60...第1シール部、70...抵抗体、80...第2シール部、82...溶融部、100...点火プラグ、331、331b...先端部、332...接続端、333...自由端、335...貫通孔、335a...小径部分、335b...大径部分、335c...段部、381...チップ本体、381s...外側面、382...鍔部、g...間隙、LD...先端方向、BD...後端方向、FD...自由端方向、CD...接続端方向、BL...境界、CL...軸線、HL...凹部、PT1...第1部分、PT2...第2部分
Claims (5)
- 中心電極と、
前記中心電極に面する第1面と前記第1面の裏面である第2面とを有すると共に、前記第1面から前記第2面まで貫通し、前記第2面における第2の径が前記第1面における第1の径より大きな貫通孔を有する接地電極母材と、
前記中心電極との間に間隙を形成し、前記第1の径より小さな径を有する放電面と、前記第1の径より大きく、前記第2の径より小さな径を有する前記放電面の裏面である大径面と、を有し、前記大径面を含む一部が前記貫通孔内に配置され、前記放電面が前記貫通孔から前記中心電極側に露出する接地電極チップと、
前記大径面から前記放電面に向かう方向を第1方向とし、その反対方向を第2方向とするとき、前記貫通孔内における前記大径面より前記第2方向側の部分に配置される固定部材と、
を備え、
前記貫通孔を形成する前記接地電極母材の内面と、前記固定部材の前記第1方向側の面と、によって前記電極チップが保持される点火プラグであって、
前記接地電極母材の前記第2面と交差する側面に露出しつつ、前記固定部材と前記接地電極母材とを跨ぐ溶融部を備え、
前記溶融部の前記第2方向と垂直な方向の最大長さは、前記溶融部の前記第2方向の最大長さより長いことを特徴とする、点火プラグ。 - 請求項1に記載の点火プラグであって、
前記溶融部は、前記接地電極チップと非接触であることを特徴とする、点火プラグ。 - 請求項1または2に記載の点火プラグであって、
前記溶融部は、自身の前記第1方向の端の全てが、前記電極チップの前記大径面より前記第2方向に位置することを特徴とする、点火プラグ。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の点火プラグであって、
前記溶融部は、自身の前記第2方向の端の全てが、前記接地電極母材の前記第2面より前記第1方向に位置することを特徴とする、点火プラグ。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の点火プラグであって、
前記固定部材を前記第2方向に沿って投影して得られる前記固定部材の外形を示す線のうち、前記溶融部と重なる部分の線長の合計は、前記外形を示す線の全体の線長の10%以上であることを特徴とする、点火プラグ。
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JP2002093547A (ja) * | 2000-07-10 | 2002-03-29 | Denso Corp | スパークプラグ |
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-
2015
- 2015-12-16 JP JP2015245618A patent/JP2017111981A/ja active Pending
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