JP6293107B2 - 点火プラグ - Google Patents

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Description

本明細書は、内燃機関等において燃料ガスに点火するための点火プラグに関する。
従来から、内燃機関に、点火プラグが用いられている。点火プラグは、間隙(ギャップ)を形成する接地電極を有している。接地電極には、例えば、貴金属で形成された電極チップを有する電極が利用されている。特許文献1では、電極チップをチップ保持部に溶接し、チップ保持部を接地電極に溶接する技術が開示されている。
特許第4705129号公報
しかしながら、上記の技術では、接地電極とチップ保持部との間の溶接や、チップ保持部と電極チップとの間の溶接について、十分に工夫がされているとは言えなかった。このために、点火プラグの使用時に、点火プラグの接地電極近傍が高温環境下に曝された場合に、これらの溶接部にクラックが発生する不具合を十分に抑制することができない可能性があった。この結果、例えば、高温環境下にて、電極チップの浮き上がりや、脱落を引き起こす可能性があった。
本明細書は、チップ保持部を用いて電極チップを接地電極に固定する点火プラグにおいて、高温環境下にて、電極チップの浮き上がりや脱落を抑制する技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]中心電極と、
前記中心電極との間に間隙を形成する放電面と、前記放電面より大きな径を有し、前記放電面とは反対側の反対面と、を有する電極チップと、
前記電極チップのうちの一部が内部に配置される貫通孔を有するチップ保持部と、
前記チップ保持部と前記電極チップのうちの前記反対面を含む少なくとも一部分とが配置される凹部を有し、一端が主体金具に接続される接続端であり、他端が自由端である接地電極本体と、
前記チップ保持部の外側面と、前記凹部の内側面と、の境界の少なくとも一部に形成された溶融部と、
を備え、
前記反対面から前記放電面に向かう方向を第1方向とするとき、前記貫通孔の前記第1方向の端の径は、前記放電面の径以上、かつ、前記反対面の径より小さく、
前記貫通孔を形成する前記チップ保持部の内面と、前記凹部の底面と、によって前記電極チップが保持される点火プラグであって、
前記接地電極本体の前記第1方向側の面において、前記電極チップの軸線から前記自由端に向かう方向に延びる仮想線を第1の線とし、前記電極チップの軸線から前記接続端に向かう方向に延びる仮想線を第2の線とするとき、
前記接地電極本体の前記第1方向側の面において、前記溶融部のうち、前記第1の線と交差する第1部分の中心から前記電極チップの中心までの距離は、前記溶融部のうち、前記第2の線と交差する第2部分の中心から前記電極チップの中心までの距離より長く、
前記第1の線と前記電極チップの軸線とを通る断面において、
前記第1部分における前記溶融部の前記第1方向の長さは、前記第1部分における前記凹部の前記第1方向の長さより長く、
前記第2部分における前記溶融部の前記第1方向の長さは、前記第2部分における前記凹部の前記第1方向の長さより長く、
前記第1部分において、前記溶融部は、前記電極チップに到達せず、
前記第2部分において、前記溶融部は、前記電極チップに到達していることを特徴とする、点火プラグ。
溶融部が接地電極の自由端側で、電極チップに到達していても、接地電極の自由端側は、高温になりやすい上に、自由端であるために、熱引きが期待できない。また、溶融部が接地電極の自由端側で、電極チップに到達していると、自由端側は高温になりやすいので、電極チップとチップ保持部との間の熱膨張係数の差に基づく熱応力によって、溶融部にクラックが発生しやすい。一方、接地電極の接続端側では、溶融部が電極チップに到達していると熱引きが向上する。また、接続端側は、自由端側と比較して高温になり難いので、接続端側では、溶融部が電極チップに到達していても、熱応力による溶融部のクラックは発生しがたい。上記構成によれば、自由端側の第1部分および接続端側の第2部分において、溶融部の第1方向の長さは、凹部の第1方向の長さより長いので、電極チップを十分な強度で保持できる。さらに、第1部分において、溶融部は、電極チップに到達せず、第2部分において、溶融部は、電極チップに到達しているので、熱引きを向上しつつ、溶融部にクラックが発生する不具合を抑制できる。したがって、高温環境下にて、電極チップの浮き上がりや脱落を抑制することができる。
[適用例2]適用例1に記載の点火プラグであって、
前記溶融部は、前記チップ保持部の外側面と、前記凹部の内側面と、の境界の全周に亘って形成されていることを特徴とする点火プラグ。
こうすれば、電極チップを保持する強度が向上するので、高温環境下にて、電極チップの浮き上がりや脱落をより効果的に抑制することができる。
[適用例3]適用例1または2に記載の点火プラグであって、
電極チップは、前記放電面を含むチップ本体と、前記チップ本体の径より大きな径を有し、前記チップ本体より前記第1方向の反対側に位置し、前記反対面を含む鍔部と、を有し、
前記第2部分において、前記溶融部は、前記電極チップの前記鍔部に到達していることを特徴とする、点火プラグ。
こうすれば、電極チップは、鍔部を有するので、電極チップを確実に接地電極本体に、保持することができる。また、第2部分において、溶融部を確実に電極チップに到達させることができる。この結果、高温環境下にて、電極チップの浮き上がりや脱落をより効果的に抑制することができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、点火プラグや点火プラグを用いた点火装置、その点火プラグを搭載する内燃機関や、その点火プラグを用いた点火装置を搭載する内燃機関等の態様で実現することができる。
第1実施形態の点火プラグの一例の断面図である。 第1実施形態の接地電極の先端部の近傍を拡大して示す部分断面図である。 後端側から先端方向を向いて見た接地電極の先端部の近傍の概略図である。 第1実施形態のレーザ溶接前の接地電極の先端部の分解図である。 点火プラグの製造方法の一例を示すフローチャートである。 凹部内に電極チップとチップ保持部とが配置された様子を示す図である。 第2実施形態の接地電極の先端部の近傍を拡大して示す部分断面図である。 第2実施形態のレーザ溶接前の接地電極の先端部の分解図である。 変形例の接地電極の説明図である。
A.第1実施形態:
A−1.点火プラグの構成:
図1は、第1実施形態の点火プラグの一例の断面図である。図示されたラインCLは、点火プラグ100の軸線CLを示している。図示された断面は、軸線CLを含む断面である。以下、軸線CLと平行な方向を「軸線方向」とも呼ぶ。軸線CLと平行な方向のうち、図1における下方向を先端方向LDと呼び、上方向を後端方向BDとも呼ぶ。先端方向LDは、後述する端子金具40から電極20、30に向かう方向である。また、中心軸を中心とする円の径方向を、単に「径方向」とも呼び、中心軸を中心とする円の円周方向を「周方向」とも呼ぶ。先端方向LDの端を、単に、先端とも呼び、後端方向BDの端を、単に、後端とも呼ぶ。
点火プラグ100は、絶縁体10と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50と、導電性の第1シール部60と、抵抗体70と、導電性の第2シール部80と、第1パッキン8と、タルク9と、第2パッキン6と、第3パッキン7と、を備えている。
絶縁体10は、軸線CLに沿って延びて絶縁体10を貫通する貫通孔である軸孔12を有する略円筒状の部材である。絶縁体10は、アルミナを焼成して形成されている(他の絶縁材料も採用可能である)。絶縁体10は、先端方向LD側(以下、単に先端側とも呼ぶ)から後端方向BDに向かって順番に並ぶ、脚部13と、第1縮外径部15と、第1胴部17と、鍔部19と、第2縮外径部11と、第2胴部18と、を有している。第1縮外径部15の外径は、後端方向BD側(以下、単に、後端側と呼ぶ)から先端方向LDに向かって、徐々に小さくなる。絶縁体10の第1縮外径部15の近傍(図1の例では、第1胴部17)には、後端側から先端方向LDに向かって内径が徐々に小さくなる縮内径部16が形成されている。第2縮外径部11の外径は、先端側から後端方向BDに向かって、徐々に小さくなる。
絶縁体10の軸孔12の先端側には、軸線CLに沿って延びる棒状の中心電極20が挿入されている。中心電極20は、先端側から後端方向BDに向かって順番に並ぶ、脚部25と、鍔部24と、頭部23と、を有している。脚部25の先端側の部分は、絶縁体10の先端側で、軸孔12の外に露出している。中心電極20の他の部分は、軸孔12内に配置されている。鍔部24の先端側の面は、絶縁体10の縮内径部16によって、支持されている。また、中心電極20は、電極母材21と、電極母材21の内部に埋設された芯材22と、を有している。電極母材21は、例えば、ニッケル(Ni)またはニッケルを主成分として含む合金(例えば、インコネル(「INCONEL」は、登録商標))を用いて形成されている。ここで、「主成分」は、含有率が最も高い成分を意味している(以下、同様)。含有率としては、重量パーセントで表される値が、採用される。芯材22は、電極母材21よりも熱伝導率が高い材料(例えば、銅を含む合金)で形成されている。
絶縁体10の軸孔12の後端側には、端子金具40が挿入されている。端子金具40は、導電材料(例えば、低炭素鋼等の金属)を用いて形成されている。端子金具40は、後端側から先端方向LDに向かって順番で並ぶ、キャップ装着部41と、鍔部42と、脚部43と、を有している。キャップ装着部41は、絶縁体10の後端側で、軸孔12の外に露出している。脚部43は、絶縁体10の軸孔12に挿入されている。
絶縁体10の軸孔12内において、端子金具40と中心電極20との間には、電気的なノイズを抑制するための、円柱状の抵抗体70が配置されている。抵抗体70と中心電極20との間は、導電性の第1シール部60が配置され、抵抗体70と端子金具40との間には、導電性の第2シール部80が配置されている。中心電極20と端子金具40とは、抵抗体70とシール部60、80とを介して、電気的に接続される。シール部60、80を用いることによって、積層される部材20、60、70、80、40間の接触抵抗が安定し、中心電極20と端子金具40との間の電気抵抗値を安定させることができる。なお、抵抗体70は、例えば、主成分であるガラス粒子(例えば、B23−SiO2系のガラス)と、セラミック粒子(例えば、TiO)と、導電性材料(例えば、Mg)と、を用いて形成されている。シール部60、80は、例えば、抵抗体70と同様のガラス粒子と、金属粒子(例えば、Cu)と、を用いて形成されている。
主体金具50は、軸線CLに沿って延びて主体金具50を貫通する貫通孔59を有する略円筒状の部材である。主体金具50は、低炭素鋼材を用いて形成されている(他の導電材料(例えば、金属材料)も採用可能である)。主体金具50の貫通孔59には、絶縁体10が挿入されている。主体金具50は、絶縁体10の径方向の周囲に配置された状態で、絶縁体10に固定されている。主体金具50の先端側では、絶縁体10の先端側の端部(本実施形態では、脚部13の先端側の部分)が、貫通孔59の外に露出している。主体金具50の後端側では、絶縁体10の後端側の端部(本実施形態では、第2胴部18の後端側の部分)が、貫通孔59の外に露出している。
主体金具50は、先端側から後端方向BDに向かって順番に並ぶ、胴部55と、座部54と、変形部58と、工具係合部51と、加締部53と、を有している。座部54は、鍔状の部分である。胴部55の外周面には、内燃機関(例えば、ガソリンエンジン)の取付孔に螺合するためのネジ部52が形成されている。座部54とネジ部52との間には、金属板を折り曲げて形成された環状のガスケット5が嵌め込まれている。
主体金具50は、変形部58よりも先端側に配置された、縮内径部56を有している。縮内径部56の内径は、後端側から先端方向LDに向かって、徐々に小さくなる。主体金具50の縮内径部56と、絶縁体10の第1縮外径部15と、の間には、第1パッキン8が挟まれている。第1パッキン8は、鉄製のOリングである(他の材料(例えば、銅等の金属材料)も採用可能である)。
工具係合部51の形状は、点火プラグレンチが係合する形状(例えば、六角柱)である。工具係合部51の後端側には、加締部53が設けられている。加締部53は、絶縁体10の第2縮外径部11よりも後端側に配置され、主体金具50の後端側の端を形成する。加締部53は、径方向の内側に向かって屈曲されている。
主体金具50の後端側では、主体金具50の内周面と、絶縁体10の外周面と、の間に、環状の空間SPが形成されている。本実施形態では、この空間SPは、主体金具50の加締部53および工具係合部51と、絶縁体10の第2縮外径部11および第2胴部18と、に囲まれた空間である。この空間SP内の後端側には、第2パッキン6が配置されている。この空間SP内の先端側には、第3パッキン7が配置されている。本実施形態では、これらのパッキン6、7は、鉄製のCリングである(他の材料も採用可能である)。空間SP内における2つのパッキン6、7の間には、タルク(滑石)9の粉末が充填されている。
点火プラグ100の製造時には、加締部53が内側に折り曲がるように加締められる。そして、加締部53が先端側に押圧される。これにより、変形部58が変形し、パッキン6、7とタルク9とを介して、絶縁体10が、主体金具50内で、先端側に向けて押圧される。第1パッキン8は、第1縮外径部15と縮内径部56との間で押圧され、そして、主体金具50と絶縁体10との間をシールする。以上により、内燃機関の燃焼室内のガスが、主体金具50と絶縁体10との間を通って外に漏れることが、抑制される。また、主体金具50が、絶縁体10に、固定される。
接地電極30は、主体金具50の先端側の端に接合されている。接地電極30は、電極本体33と、電極チップ38と、チップ保持部39と、を有している。本実施形態では、電極本体33は、棒状の部材である。電極本体33の一端は、主体金具50の先端側の端に、電気的に導通するように、例えば、抵抗溶接によって、接続されている接続端332である。電極本体33の他端は、自由端333である。電極本体33は、主体金具50に接続された接続端332から先端方向LDに向かって延び、軸線CLに向かって曲がっている。そして、電極本体33は、軸線CLと垂直な方向に延びて自由端333に至る。電極本体33のうち、軸線CLと垂直な方向に延びる部分を先端部331とも呼ぶ。先端部331の後端側の面上には、電極チップ38と、チップ保持部39と、が固定されている。電極チップ38は、中心電極20の先端面20s1(先端側の表面)との間で間隙(ギャップ)gを形成する。電極本体33は、電極本体33の表面を形成する母材35と、母材35内に埋設された芯部36と、を有している。母材35は、例えば、Ni又はNiを主成分として含む合金(例えば、インコネル)を用いて形成されている。芯部36は、母材35よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅)を用いて形成されている。
図2は、第1実施形態の接地電極30の先端部331の近傍を拡大して示す部分断面図である。図3は、後端側から先端方向LDを向いて見た接地電極30の先端部331の近傍の概略図である。図4は、第1実施形態のレーザ溶接前の接地電極30の先端部331の分解図である。図2に示すように、上述した先端部331は、軸線CLと垂直な方向に延びている。ここで、軸線CLと垂直な方向であって、軸線CLから自由端333に向かう方向を、自由端方向FDとも呼ぶ。また、軸線CLと垂直な方向であって、自由端方向FDとは反対方向、すなわち、軸線CLから接続端332に向かう方向を、接続端方向CDとも呼ぶ。
図2、図4に示すように、電極チップ38は、後端側の放電面38s1と、放電面38s1とは反対側(すなわち、先端側)の反対面38s2と、を有している。放電面38s1は、中心電極20の先端面20s1との間に、間隙gを形成する面である。電極チップ38は、放電面38s1を含むチップ本体381と、反対面38s2を含み、チップ本体381より先端側に位置する鍔部382と、を有している。チップ本体381の外径は、中心電極20に向かって、すなわち、先端側から後端側に向かって、直線的に縮径している。すなわち、チップ本体381は、いわゆるテーパ状の外側面381sを有する円錐台形状を有している。鍔部382の外径は、チップ本体381の先端および後端の径より大きい。電極チップの軸線CLは、点火プラグ100の軸線CLと同じである。この説明から解るように、反対面38s2の径R2(図4)は、放電面38s1の径R1(図4)より大きい。
電極チップ38は、火花消耗性に優れた貴金属を主成分として含む合金を用いて、形成されている。本実施形態では、主成分となる貴金属は、イリジウムである。なお、Irは、貴金属の中でも融点が高く、そして、耐火花消耗性に優れている。従って、Ir、または、Irを主成分として含む合金を用いて、電極チップ38を形成することが好ましい。
図4に示すように、チップ保持部39は、円柱状の外形を有している。チップ保持部39には、貫通孔395が、形成されている。貫通孔395の軸線CLは、点火プラグ100の軸線CLと同じである。貫通孔395の軸線CLと、チップ保持部39の円柱状の外形の軸線Coと、は、互いに平行である。チップ保持部39の円柱状の外形の軸線Coは、貫通孔395の軸線CLに対して、自由端方向FDにずれている。したがって、図4に示すように、接地電極30に溶接される前のチップ保持部39の外側面391のうち、軸線CLから見て自由端方向FDに位置する部分と、軸線CLと、の間の距離Lf(図4)は、チップ保持部39の外側面391のうち、軸線CLから見て接続端方向CDに位置する部分と、軸線CLと、の間の距離Lcより長い。
貫通孔395は、後端側の孔395aと、後端側の孔395aより先端側に位置し、後端側の孔395aの径より大きな径を有する先端側の孔395bと、を含んでいる。後端側の孔395aの形状は、電極チップ38のチップ本体381の先端側の一部分の形状に対応しており、先端側から後端側に向かって、直線的に縮径している。先端側の孔395bの形状は、電極チップ38の鍔部382の形状に対応しており、鍔部382の外形とほぼ等しい径を有している。そして、後端側の孔395aと、先端側の孔395bと、の間には、段部395cが形成される。貫通孔395の後端の径R3(図4)は、放電面38s1の径R1(図4)以上、かつ、反対面38s2の径R2より小さい。この結果、図2に示すように、電極チップ38のうち、反対面38s2を含む一部分(鍔部382の全体と、チップ本体381の後端側の一部)は、貫通孔395に嵌合する。そして、段部395cが、鍔部382の後端側の面382s(図4)に当接することによって、電極チップ38の浮き上がりや脱落が適切に抑制される。
図2、4に示すように、電極本体33の表面のうち、中心電極20の先端面20s1と対向する位置には、先端方向LDに向かって凹む凹部335が形成されている。図4に示すように、チップ保持部39が溶接される前の凹部335の形状は、略円柱形状である。凹部335の略円柱形状の軸線Coは、チップ保持部39の円柱状の外形の軸線Coと、同じである。凹部335は、電極本体33の母材35の部分に形成されている。チップ保持部39が溶接される前の凹部335は、内側面335s1と、底面335s2と、を有している。凹部335の内部には、電極チップ38のうちの反対面38s2を含む先端側の一部分と、電極チップ38を囲むチップ保持部39と、が配置される。
図3に示すように、チップ保持部39の外側面と、凹部335の内側面と、の境界には、全周に亘って、溶融部82が形成されている。図3において、ハッチングされた部分は、溶融部82のうち、電極本体33の後端側の表面33sに露出している部分である。溶融部82は、表面33sに対して垂直な方向に、レーザを照射することによって形成されている。溶融部82の軸線方向の長さ(深さ)L1(図2)は、全周において、チップ保持部39の軸線方向の長さL2より長い。また、溶融部82の軸線方向の長さL1(図2)は、全周において、凹部335の軸線方向の長さ(深さ)L3より長い。チップ保持部39の軸線方向の長さL2と、凹部335の軸線方向の長さL3とは、略同一である。
チップ保持部39が、電極本体33に対して、レーザ溶接されている結果、貫通孔395を形成するチップ保持部39の内面と、凹部335の底面335s2と、によって電極チップ38が電極本体33において保持されている。
ここで、図3に示すように、電極本体33の表面33sにおいて、電極チップ38の軸線CLから自由端方向FDに延びる仮想線を第1の線VL1とし、電極チップ38の軸線CLから接続端方向CDに上る仮想線を第2の線VL2とする。このときに、電極本体33の表面33sにおいて、図3においてハッチングで示す溶融部82のうち、第1の線VL1と交差する部分を第1部分PT1とし、溶融部82のうち、第2の線VL2と交差する部分を第2部分PT2とする。第1部分PT1の中心CP1から電極チップ38の中心(すなわち、軸線CL)までの距離Dfは、第2部分PT2の中心CP2から電極チップ38の中心までの距離Dcより長い。これは、上述したように、チップ保持部39の円柱状の外形の軸線Coは、貫通孔395の軸線CLに対して、自由端方向FDにずれているために、図4に示すように、溶接される前のチップ保持部39の外側面391のうち、軸線CLから見て自由端方向FDに位置する部分と、軸線CLと、の間の距離Lfは、溶接される前のチップ保持部39の外側面391のうち、軸線CLから見て接続端方向CDに位置する部分と、軸線CLと、の間の距離Lcより長いからである。
ここで、図2は、電極チップ38の軸線CLと、第1の線VL1と、第2の線VL2と、を含む面で、接地電極30および中心電極20を切断した断面図と言うことができる。この断面図には、溶融部82のうち、上述した第1部分PT1の断面と、第2部分PT2の断面と、が現れている。図2に示すように、第1部分PT1において、溶融部82は、電極チップ38に到達していない。すなわち、円C1で示すように、第1部分PT1において、溶融部82と、電極チップ38とは、離れている。そして、図2に示すように、第2部分PT2において、溶融部82は、電極チップ38(具体的には、電極チップ38の鍔部382)に到達している。すなわち、円C2で示すように、第2部分PT2において、電極チップ38の鍔部19の一部は、レーザ溶接によって溶解して、溶融部82の一部分となっている。このために、円C2で示すように、第2部分PT2において、電極チップ38の鍔部382と、溶融部82とは、接触している。
なお、上述したように、溶融部82の軸線方向の長さL1(図2)は、全周において、凹部335の軸線方向の長さL3より長い。したがって、第1部分PT1においても、第2部分PT2においても、溶融部82の軸線方向の長さL1は、凹部335の軸線方向の長さL3より長い。
A−2.点火プラグの製造方法:
図5は、点火プラグの製造方法の一例を示すフローチャートである。ステップS120では、組立体が形成される。組立体は、図1に示す点火プラグ100の製造工程のうち、接地電極30の電極本体33の屈曲と、電極本体33上への電極チップ38とチップ保持部39との取り付けを行う前の状態のものである。図5のステップS120を示す箱の中には、組立体100xの中心電極20の近傍を示す部分断面図が示されている。組立体100xは、絶縁体10と、絶縁体10に固定された主体金具50と、絶縁体10の軸孔12に挿入された中心電極20と、を有している。また、主体金具50には、直線状の電極本体33xが、曲げる前の電極本体33として、接合されている。なお、図中では、電極本体33xの母材35と芯部36との図示が省略されている。後述する他の図でも、母材35と芯部36の図示を省略する場合がある。また、組立体を形成する方法としては、公知の種々の方法を採用可能であり、詳細な説明を省略する。
ステップS130では、接地電極30の電極本体33xに、凹部335が形成される。凹部335の形状は、図4を参照して説明した通りである。凹部335は、曲げる前の電極本体33xに、例えば、ドリル等の切削工具を用いて、形成される。
ステップS140では、形成済の凹部335内に、電極チップ38とチップ保持部39とが配置される。図6は、凹部335内に、電極チップ38とチップ保持部39とが配置された様子を示す図である。具体的には、チップ保持部39の貫通孔395内に、電極チップ38が配置される。そして、その状態のチップ保持部39と電極チップ38とが、凹部335に嵌合される。
ステップS150では、チップ保持部39が、凹部335内にレーザ溶接される。図6の矢印LZは、レーザ溶接のためのレーザの照射を概念的に示している。レーザLZは、凹部335の内側面335s1とチップ保持部39の外側面391との境界BL上に、電極本体33の表面33sに対して垂直に照射される。なお、レーザLZの照射は、凹部335の内側面335s1とチップ保持部39の外側面391との境界BLの全周に亘って行われる。例えば、レーザLZの照射は、24カ所に、12Hzの速度で照射されることで、境界BLの全周に亘って、溶融部82が形成される。この結果、図2、図3の溶融部82が形成される。溶融部82は、互いに溶融した、電極本体33(母材35)の成分と、チップ保持部39の成分と、を含む部分である。電極本体33と、チップ保持部39と、は、溶融部82を介して接合されている。したがって、溶融部82は、電極本体33とチップ保持部39とを接合する接合部とも言うこともでき、電極本体33とチップ保持部39とを接合するビードとも言うことができる。
また、溶融部82は、電極本体33とチップ保持部39とが、互いに同じ材料(例えば、インコネル600)で形成されていたとしても、高温で溶融されて形成されていることによって、電極本体33やチップ保持部39とは、例えば、粒径等の微細な構造が異なっている。このために、例えば、接地電極30を切断して、図2の断面を露出させた上で、当該断面にエッチング処理を施した後に観察することで、電極本体33とチップ保持部39と溶融部82との境界は明確に特定することができる。
ステップS160では、電極本体33xが曲げられて、間隙gが形成される。すなわち、図2に示すように、中心電極20の先端面20s1と、電極チップ38の放電面38s1とが、互いに対向するように、電極本体33xが中心電極20に向かって曲げられる。
A−3.評価試験:
点火プラグ100のサンプルを用いて評価試験が行われた。評価試験では、表1に示すように、5種類の点火プラグ100のサンプル1〜5を作成した。各サンプルに共通な寸法は、以下の通りである。
電極チップ38の放電面38s1の外径R1(図4):2.5mm
電極チップ38の反対面38s2の外径R2(図4):2.8mm
電極チップ38の軸線方向の長さL4(図4):0.6mm
鍔部382の軸線方向の長さL5(図4):0.1mm
チップ保持部39の外径R4(図4):3.6mm
チップ保持部39の軸線方向の長さL2(図4):0.4mm
電極本体33の軸線方向の長さL6(図4):1.5mm
電極本体33の幅L7(図3):4.4mm
溶融部82の軸線方向の長さL1(図2):0.5mm
Figure 0006293107
5種類のサンプル1〜5では、電極チップ38の軸線CLに対するチップ保持部39の軸線Coの自由端方向FDへのずれ量をオフセット量OFとする(図3、図4)。5種類のサンプル1〜5では、オフセット量OFが、それぞれ異なり、0、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mmとされている。なお、サンプル1は、オフセット量OFが0であるので、実施形態の点火プラグ100のサンプルではなく、比較用のサンプルである。なお、各サンプルにおいて、電極チップ38は、イリジウム合金を用いて形成され、電極本体33およびチップ保持部39は、ニッケル合金であるインコネル600を用いて形成された。
なお、比較用のサンプル1では、上述した第1部分PT1、第2部分PT2の両方において、溶融部82は、電極チップ38の鍔部382に到達している。また、実施形態の点火プラグ100のサンプル2〜5では、上述した第1部分PT1において、溶融部82は、電極チップ38の鍔部382に到達せず、第2部分PT2において、溶融部82は、電極チップ38の鍔部382に到達している。
まず、サンプル1〜5の溶融部82の外観の評価を行った。溶融部82が、電極チップ38の側面への付着(いわゆる溶融だれの昇り)が見られないサンプルの評価を「A」とし、電極チップ38の側面への付着が僅かに見られるサンプルの評価を「B」とし、電極チップ38の側面への付着が明らかに発生しているサンプルの評価を「C」とした。
さらに、サンプル1〜5について、冷熱試験を行った。冷熱試験では、各サンプルの接地電極30の電極チップ38の近傍に対して、加熱と冷却とのサイクルを1000回繰り返した。1回のサイクルでは、高周波ヒータを用いて、2分間に亘って摂氏950〜100度に2分間に亘って加熱し、その後に1分間に亘って空気中で自然冷却を行った。
その後、チップ接合性の評価を行った。具体的には、電極チップ38の浮き上がりや脱落の発生の有無を確認した。確認は、目視と、軸線方向と垂直な方向から見た電極チップ38の外形をトレースした結果を試験の前後にて比較することによって行われた。電極チップ38の浮き上がりや脱落が見られないサンプルの評価を「A」とし、電極チップ38の浮き上がりや脱落が見られたサンプルの評価を「C」とした。
さらに、熱伝導性の評価を行った。具体的には、冷熱試験において2分間の加熱終了後から1分間の冷却による電極チップ38の温度の低下量ΔTを、熱電対を用いて測定した。そして、低下量ΔTの平均値が、100度以上であるサンプルの評価を「A」とし、低下量ΔTの平均値が、50度以上100度未満であるサンプルの評価を「B」とし、低下量ΔTの平均値が、50度未満であるサンプルの評価を「C」とした。
さらに、接地電極30の変形の評価を行った。具体的には、電極本体33の自由端333が、試験の後に、図2の矢印ARで示す方向(すなわち、電極チップ38の軸線CLに沿った先端方向LD)に変形した変形量ΔHを測定した。変形量ΔHが0であるサンプルの評価を「A」とし、変形量ΔHが1mm未満であるサンプルの評価を「B」とし、変形量ΔHが1mm以上であるサンプルの評価を「C」とした。
さらに、総合評価を行った。上記の4個の評価項目に、1個でも「C」評価があるサンプルの評価を「C」とし、上記の4個の評価項目のうち、「C」評価がなく、「A」評価が2個以上あるサンプルの評価「A」とし、それ以外のサンプルの評価を「B」とした。総合評価では、オフセット量OFが0、および、0.4mmであるサンプル1、5の評価は、「C」であり、オフセット量OFが0.1mm以上0.3mm以下であるサンプル2、3、4の評価は、「A」であった。
溶融部82の外観評価では、オフセット量OFが0および0.1mmであるサンプル1、2の評価は、「A」であり、オフセット量OFが0.2mm、0.3mmであるサンプル3、4の評価は、「B」であり、オフセット量OFが0.4mmであるサンプル5の評価は、「C」であった。オフセット量OFが大きくなるほど、接続端方向CD側で、チップ保持部39の外側面391と、電極チップ38の外側面381sと、の距離が近くなるために、溶融部82と電極チップ38とが近づく。このために、溶融部82が電極チップ38に付着しやすくなっているためであると考えられる。
チップ接合性の評価では、オフセット量OFが0であるサンプル1の評価は、「C」であり、オフセット量OFが0.1mm以上0.4mm以下であるサンプル2〜5の評価は、「A」であった。この理由は、以下の通りである。接地電極30のうち、接続端方向CD側は、熱引きによって温度が低下するが、自由端方向FD側は、熱引きがないので、温度が低下し難い。このために、接地電極30のうち、自由端方向FD側の温度は、接続端方向CD側の温度より高い。このために、電極チップ38と、チップ保持部39とは、材質が異なるので、熱膨張係数が互いに異なる。具体的には、ニッケル合金製のチップ保持部39の熱膨張係数は、貴金属製の電極チップ38の熱膨張係数より大きい。このために、高温となる自由端方向FD側の第1部分PT1で、溶融部82が電極チップ38に到達していると、この部分において、比較的大きな熱応力が発生する。この結果、熱応力に起因して溶融部82にクラックが発生しやすい。この結果、自由端方向FD側の第1部分PT1で、電極チップ38の浮き上がりや脱落が発生しやすい。このように、オフセット量OFが0であるサンプル1では、より高温の自由端方向FD側の第1部分PT1において、溶融部82が電極チップ38に到達しているために、電極チップ38の浮き上がりや脱落が発生しやすい。一方、オフセット量OFが0でないサンプル2〜5では、高温の自由端方向FD側の第1部分PT1において、溶融部82が電極チップ38に到達していないために、電極チップ38の浮き上がりや脱落が発生し難い。
接地電極30の変形の評価では、チップ接合性の評価と同様に、オフセット量OFが0であるサンプル1の評価は、「C」であり、オフセット量OFが0.1mm以上0.4mm以下であるサンプル2〜5の評価は、「A」であった。この理由は、以下の通りである。上述したように、より高温となる自由端方向FD側の第1部分PT1で、溶融部82が電極チップ38に到達していると、比較的大きな熱応力が発生する。この熱応力に起因して電極本体33が変形すると考えられる。このように、オフセット量OFが0であるサンプル1では、より高温の自由端方向FD側の第1部分PT1において、溶融部82が電極チップ38に到達しているために、電極本体33の変形が発生しやすい。一方、オフセット量OFが0でないサンプル2〜5では、高温の自由端方向FD側の第1部分PT1において、溶融部82が電極チップ38に到達していないために、電極本体33の変形が発生し難い。
熱伝導性の評価では、オフセット量OFが0であるサンプル1の評価は、「B」であり、オフセット量OFが0.1mm以上0.4mm以下であるサンプル2〜5の評価は、「A」であった。この理由は、以下のように考えられる。接続端方向CD側の第2部分PT2で、溶融部82が電極チップ38に到達していると、第2部分PT2で、電極チップ38と電極本体33とが、溶融部82を介して接合される。このために、電極チップ38と電極本体33とが単に接触しているだけである場合と比較して、電極チップ38から電極本体33への熱引きが効率的に行われる。オフセット量OFが0であるサンプル1では、接続端方向CD側の第2部分PT2の近傍において、溶融部82が電極チップ38に到達している面積が、オフセット量OFが0でないサンプル2〜5と比較して小さい。このために、オフセット量OFが0であるサンプル1は、オフセット量OFが0でないサンプル2〜5と比較して、熱引き性能(すなわち、熱伝導性)が劣ると考えられる。
以上の結果から、チップ接合性、熱伝導性、接地電極30の変形の観点からは、オフセット量OFを設けて、第1部分PT1において、溶融部82は、電極チップ38に到達せず、第2部分PT2において、溶融部82は、電極チップ38に到達していることが好ましいことが解った。そして、溶融部82の外観の観点からは、オフセット量OFが過度に大きいことは好ましくない。総合的には、オフセット量OFは、0.1mm以上0.3mm以下が好ましいことが解った。
以上の評価試験からも解るように、溶融部82が接地電極30の自由端333側で、電極チップ38に到達していても、接地電極30の自由端333側は、高温になりやすい上に、自由端であるために、熱引きが期待できない。また、溶融部82が接地電極30の自由端333側で、電極チップ38に到達していると、自由端333側は高温になりやすいので、電極チップ38とチップ保持部39との間の熱膨張係数の差に基づく熱応力によって、溶融部82にクラックが発生しやすい。一方、接地電極30の接続端332側では、溶融部82が電極チップ38に到達していると熱引きが向上する。また、接続端332側は、自由端333側と比較して高温になり難いので、接続端332側では、溶融部82が電極チップ38に到達していても、熱応力による溶融部82のクラックは発生しがたい。このことから、上記実施形態の点火プラグ100によれば、自由端333側の第1部分PT1および接続端332側の第2部分PT2において、溶融部82の軸線方向の長さL1は、凹部335の軸線方向の長さL3より長いので、電極チップ38を十分な強度で保持できる。さらに、第1部分PT1において、溶融部82は、電極チップ38に到達せず、第2部分PT2において、溶融部82は、電極チップ38に到達しているので、熱引きを向上しつつ、溶融部82にクラックが発生する不具合を抑制できる。したがって、高温環境下にて、電極チップの浮き上がりや脱落を抑制することができる。
また、上記実施形態の点火プラグ100では、溶融部82は、チップ保持部39の外側面と、凹部335の内側面と、の境界の全周に亘って形成されている。この結果、高温環境下にて、電極チップの浮き上がりや脱落をより効果的に抑制することができる。
さらに、電極チップ38は、チップ本体381と、鍔部382と、を有しており、第2部分PT2において、溶融部82は、電極チップ38の鍔部382に到達している。このように、電極チップ38は、鍔部382を有するので、電極チップ38を確実に電極本体33に、保持することができる。また、第2部分PT2において、溶融部82を確実に電極チップに到達させることができる。この結果、高温環境下にて、電極チップ38の浮き上がりや脱落をより効果的に抑制することができる。
さらに、上記実施形態の点火プラグ100では、チップ保持部39の軸線Coは、電極チップ38の軸線CLに対して、自由端方向FDにずれている。この結果、第1部分PT1において、溶融部82が、電極チップに到達せず、第2部分PT2において、溶融部82が、電極チップに到達している構成を、容易に実現することができる。
B.第2実施形態
図7は、第2実施形態の接地電極30bの先端部331bの近傍を拡大して示す部分断面図である。図8は、第2実施形態のレーザ溶接前の接地電極30bの先端部331bの分解図である。図8に示すように、第2実施形態では、チップ保持部39bの形状が、第1実施形態のチップ保持部39と異なっている。また、第2実施形態では、電極本体33bに形成された凹部335bの形状が、第1実施形態の凹部335と異なっている。第2実施形態の電極チップ38は、第1実施形態の電極チップ38と同じである。
図8に示すように、第2実施形態のチップ保持部39bは、円柱状の外形を有している。第2実施形態のチップ保持部39bは、第1実施形態のチップ保持部39(図4)の後端側の孔395aを、貫通孔として有している。そして、第2実施形態のチップ保持部39bは、第1実施形態のチップ保持部39(図4)の先端側の孔395bを有していない。このために、第2実施形態のチップ保持部39bの軸線方向の長さL2bは、第1実施形態のチップ保持部39の軸線方向の長さL2より短い。
第2実施形態の凹部335bは、電極チップ38の鍔部382が嵌合する略円柱形状の先端側部分335b1と、先端側部分335b1より後端側に位置し、先端側部分335b1より大きな径を有する後端側部分335b2と、を有している。後端側部分335b2は、チップ保持部39bが嵌合する略円柱形状を有している。先端側部分335b1の軸線CLは、電極チップ38の軸線CL、および、チップ保持部39bの貫通孔395aの軸線CLと同じである。後端側部分335b2の軸線Coは、チップ保持部39bの円柱状の外形の軸線Coと、同じである。したがって、後端側部分335b2の軸線Coは、先端側部分335b1の軸線CLに対して、自由端方向FDにずれている。後端側部分335b2の軸線方向の長さL3b2は、チップ保持部39bの軸線方向の長さL2bと等しい。また、先端側部分335b1の軸線方向の長さL3b1は、電極チップ38の鍔部382の軸線方向の長さL5と等しい。
図7に示すように、チップ保持部39bが、電極本体33bに対して、レーザ溶接されている結果、貫通孔395aを形成するチップ保持部39bの内面と、凹部335bの底面335b4(すなわち、先端側部分335b1の底面)によって電極チップ38が電極本体33bにおいて保持されている。また、チップ保持部39bは、先端側部分335b1と、後端側部分335b2と、の間に形成された段部335b3によって、支持されている。
そして、第1実施形態と同様に、溶融部82のうち、自由端方向FD側の第1部分PT1の中心CP1から電極チップ38の中心(すなわち、軸線CL)までの距離Dfは、接続端方向CD側の第2部分PT2の中心CP2から電極チップ38の中心までの距離Dcより長い。
そして、第1実施形態と同様に、溶融部82の軸線方向の長さL1(図7)は、全周において、凹部335の軸線方向の長さL3(L3b1+L3b2)より長い。
そして、第1実施形態と同様に、図7において、円C1で示すように、第1部分PT1において、溶融部82は、電極チップ38に到達していない。また、図7において、円C2で示すように、第2部分PT2において、溶融部82は、電極チップ38(具体的には、電極チップ38の鍔部382)に到達している。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1部分PT1において、溶融部82は、電極チップ38に到達せず、第2部分PT2において、溶融部82は、電極チップ38に到達しているので、熱引きを向上しつつ、溶融部82にクラックが発生する不具合を抑制できる。したがって、高温環境下にて、電極チップの浮き上がりや脱落を抑制することができる。
I.変形例:
(1)上記第1実施形態では、溶融部82は、チップ保持部39の外側面と、凹部335の内側面と、の境界の全周に亘って形成されている。これに限らず、溶融部は、凹部335の内側面と、の境界の一部に形成されていても良い。図9は、変形例の接地電極30cの説明図である。図9では、図3と同様に、後端側から先端方向LDを向いて見た接地電極30cの先端部331cの近傍の概略が示されている。
図9の接地電極30cでは、溶融部は、自由端方向FD側に位置する第1溶融部82c1と、接続端方向CD側に位置する第2溶融部82c2と、を備えている。そして、図9の接地電極30cの溶融部以外の構成は、第1実施形態と同じである。第1溶融部82c1は、上述した第1の線VL1と交差する第1部分PT1を含み、第2溶融部82c2は、上述した第2の線VL2と交差する第2部分PT2を含んでいる。図9の接地電極30cでは、電極チップ38の軸線CLから見て、上述した第1の線VL1や第2の線VL2と直交する方向には、溶融部は形成されていない。
なお、図9において、第2溶融部82c2のうちの第2部分PT2を中心とした周方向の角度θの範囲内において、第2溶融部82c2は、電極チップ38に到達している。周方向の角度θの範囲外において、第2溶融部82c2は、電極チップ38に到達していない。この電極チップ38に到達している溶融部の範囲を示す角度θは、例えば、160度未満であることが好ましく、30度以上120度未満であることが、さらに、好ましい。
(2)電極チップ38の形状とチップ保持部39、39bの形状としては、上記各実施形態で説明した形状に限らず、他の種々の形状を採用可能である。例えば、電極チップは、鍔部382を備えず、チップ本体381のみを備える構成であっても良い。また、電極チップは、先端方向LDから後端方向BDに向かって、ステップ状に外形が、小さくなっていても良い。
また、チップ保持部39は、後端側から先端方向LDを向いて見た形状が、円でなくても良く、他の形状であっても良い。例えば、チップ保持部39は、後端側から先端方向LDを向いて見た形状が、自由端方向FDの長さが、自由端方向FDと直交する方向の長さより長い楕円であっても良い。また、チップ保持部39は、インコネル600を用いて形成されているが、他の耐熱性を有する材料、例えば、インコネル600とは異なる耐熱ニッケル合金を用いて形成されてもよい。
(3)上記各実施形態では、溶融部は、電極本体33の表面33sに対して直交する方向に延びている。すなわち、上記各実施形態のレーザ溶接では、電極本体33の表面33sに対して直交する方向にレーザが照射されている。これに代えて、溶融部は、電極本体33の表面33sに対して斜めに延びていても良い。たとえば、溶融部は、電極本体33の表面33sから離れた位置ほど(すなわち、深い位置ほど)、電極チップ38の軸線CLに近づくように、斜めに傾斜していても良い。逆に、溶融部は、電極本体33の表面33sから離れた位置ほど(すなわち、深い位置ほど)、電極チップ38の軸線CLから離れるように、斜めに傾斜していても良い。
(4)上記実施例の電極チップ38は、イリジウム合金で形成されているが、イリジウムとは異なる貴金属、あるいは、該貴金属を主成分とする合金で形成されても良い。イリジウムとは異なる貴金属としては、たとえば、白金(Pt)、ロジウム(Rh)が採用され得る。
(5)点火プラグの構成としては、図1で説明した構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、中心電極20のうちの間隙gを形成する部分に、電極チップを設けても良い。電極チップの材料としては、イリジウムや白金等の貴金属を含む合金を採用可能である。また、中心電極20の芯材22が省略されてもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
5...ガスケット、6...第2パッキン、7...第3パッキン、8...第1パッキン、9...タルク、10...絶縁体、11...第2縮外径部、12...軸孔、13...脚部、15...第1縮外径部、16...縮内径部、17...第1胴部、18...第2胴部、19...鍔部、20...電極、20...中心電極、20s1...先端面、21...電極母材、22...芯材、23...頭部、24...鍔部、25...脚部、30、30b、30c...接地電極、33、33b...電極本体、35...母材、36...芯部、38...電極チップ、38s1...放電面、38s2...反対面、39、39b...チップ保持部、40...端子金具、41...キャップ装着部、42...鍔部、43...脚部、50...主体金具、51...工具係合部、52...ネジ部、53...加締部、54...座部、55...胴部、56...縮内径部、58...変形部、59...貫通孔、60...第1シール部、70...抵抗体、80...第2シール部、82...溶融部、100...点火プラグ、331、331b、331c...先端部、332...接続端、333...自由端、335、335b...凹部、381...チップ本体、382...鍔部

Claims (3)

  1. 中心電極と、
    前記中心電極との間に間隙を形成する放電面と、前記放電面より大きな径を有し、前記放電面とは反対側の反対面と、を有する電極チップと、
    前記電極チップのうちの一部が内部に配置される貫通孔を有するチップ保持部と、
    前記チップ保持部と前記電極チップのうちの前記反対面を含む少なくとも一部分とが配置される凹部を有し、一端が主体金具に接続される接続端であり、他端が自由端である接地電極本体と、
    前記チップ保持部の外側面と、前記凹部の内側面と、の境界の少なくとも一部に形成された溶融部と、
    を備え、
    前記反対面から前記放電面に向かう方向を第1方向とするとき、前記貫通孔の前記第1方向の端の径は、前記放電面の径以上、かつ、前記反対面の径より小さく、
    前記貫通孔を形成する前記チップ保持部の内面と、前記凹部の底面と、によって前記電極チップが保持される点火プラグであって、
    前記接地電極本体の前記第1方向側の面において、前記電極チップの軸線から前記自由端に向かう方向に延びる仮想線を第1の線とし、前記電極チップの軸線から前記接続端に向かう方向に延びる仮想線を第2の線とするとき、
    前記接地電極本体の前記第1方向側の面において、前記溶融部のうち、前記第1の線と交差する第1部分の中心から前記電極チップの中心までの距離は、前記溶融部のうち、前記第2の線と交差する第2部分の中心から前記電極チップの中心までの距離より長く、
    前記第1の線と前記電極チップの軸線とを通る断面において、
    前記第1部分における前記溶融部の前記第1方向の長さは、前記第1部分における前記凹部の前記第1方向の長さより長く、
    前記第2部分における前記溶融部の前記第1方向の長さは、前記第2部分における前記凹部の前記第1方向の長さより長く、
    前記第1部分において、前記溶融部は、前記電極チップに到達せず、
    前記第2部分において、前記溶融部は、前記電極チップに到達していることを特徴とする、点火プラグ。
  2. 請求項1に記載の点火プラグであって、
    前記溶融部は、前記チップ保持部の外側面と、前記凹部の内側面と、の境界の全周に亘って形成されていることを特徴とする点火プラグ。
  3. 請求項1または2に記載の点火プラグであって、
    電極チップは、前記放電面を含むチップ本体と、前記チップ本体の径より大きな径を有し、前記チップ本体より前記第1方向の反対側に位置し、前記反対面を含む鍔部と、を有し、
    前記第2部分において、前記溶融部は、前記電極チップの前記鍔部に到達していることを特徴とする、点火プラグ。
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