JP2015074575A - 高純度蛍石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、特殊な装置を用いることなく、より簡便に、低純度蛍石から高純度蛍石を製造することを目的とする。
【解決手段】本発明の高純度蛍石の製造方法は、塩酸及びフッ酸を含む水溶液に、シリカを含有しフッ化カルシウムの固形分換算濃度が85質量%以下である蛍石を溶解させる、溶解工程と、前記溶解工程で得られた溶液に、pHが2.0〜3.5となるようにカルシウム化合物を加え、フッ化カルシウム粒子を析出させる、析出工程と、前記析出工程でフッ化カルシウム粒子を析出させた反応液を固液分離して、前記フッ化カルシウム粒子の凝集物を回収する、固液分離工程と、前記凝集物に中和剤を混合し、前記凝集物を中和する、中和工程と、中和後の前記凝集物を脱水、乾燥する、脱水・乾燥工程とを備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、高純度蛍石の製造方法に関する。
半導体製造分野やその関連分野、各種金属材料、単結晶材料、光学系材料等の表面処理分野では、多量のフッ酸や無機・有機の含フッ素化合物が使用されることから、多量のフッ素含有廃水が生じる。
フッ素含有廃水中のフッ素濃度を排水基準以下にするために、廃水中のフッ素は、通常、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム等のカルシウム化合物と反応させてフッ化カルシウムとすることにより固定化され、除去される(本明細書では、フッ素含有廃水から固定化された回収フッ化カルシウムを含む泥状物を「回収蛍石マッド」とよぶ。)。
フッ素含有廃水中のフッ素濃度を低減するためのフッ化カルシウムの固定化方法として、例えば、特許文献1には、フッ素含有廃水に水酸化カルシウムを添加する工程と、生成した化合物をフッ素含有廃水から分離する工程とを複数回繰り返す方法が開示されている。
特許文献2には、フッ素とカルシウム化合物とを反応させるための直列2段の反応槽を用いる方法が開示されている。この方法において、1段目の反応槽では、フッ化物イオンに対して等量未満のカルシウム化合物でフッ化物イオンを粗く除去する。2段目の反応槽で、1段目の反応槽で残留するフッ化物イオンに対して等量以上のカルシウム化合物を添加することで、フッ化物イオン濃度が15mg/mL未満となるようにする。
特許文献3〜5には、フッ素含有廃水とカルシウム化合物とを反応させた後、凝集剤を加え、沈降分離して得られる汚泥の一部を反応槽へ返送することにより、沈降分離槽上部より排出される廃水中のフッ化物イオン濃度を低減する方法が開示されている。
蛍石からのフッ酸の製造は、一般に、下記式(1)に示すようにフッ化カルシウムと硫酸の反応により行われる。
CaF+HSO→2HF+CaSO ・・・(1)
この反応において、蛍石中にCaCOが多量に存在すると、下記式(2)に示す反応により、上記式(1)の反応に必要な硫酸が奪われてしまい、フッ酸の製造の効率性が低下する。
CaCO+HSO→CaSO+CO+HO ・・・(2)
また、蛍石中にSiOが多量に存在すると、下記式(3)に示す反応により、上記式(1)により生成したフッ酸が失われる可能性がある。
SiO+4HF→SiF+2HO ・・・(3)
これらの理由により、フッ酸製造用原料の蛍石は、特に、CaCOとSiOの含有率が低いことが求められる。
他に蛍石中に含まれる不純物としては、リン酸塩類、硫酸塩類、鉄化合物、アルミニウム化合物等が挙げられる。
蛍石中にリン酸塩類が多量に存在すると、該リン酸塩類が上記式(1)により生成したフッ酸と反応しPFを生成してしまうため、生成したフッ酸が失われる可能性がある。
蛍石中の硫酸塩類の多くは硫酸カルシウムである。フッ酸の製造工程においては、上記式(1)に示すように、副産物として硫酸カルシウムが生成し、該工程の際、この硫酸カルシウムはフッ酸と分離される。
このとき、蛍石中に存在する硫酸カルシウムも、上記式(1)の反応で生成した硫酸カルシウムと一緒に、フッ酸と分離される。また、蛍石中に硫酸カルシウムが混入していても、上記式(1)の反応の進行への影響は少ない。したがって、硫酸カルシウムを含有する蛍石をフッ酸製造用の原料に用いても、ほとんど問題は生じない。
蛍石中に鉄化合物が多量に存在すると、該鉄化合物が上記式(1)の反応に必要な硫酸と反応してしまい、該硫酸の量を減らすため、フッ酸の製造の効率性が低下する。
蛍石中にアルミニウム化合物が多量に存在すると、上記式(1)により生成したフッ酸と反応してAlFを生成してしまうため、生成したフッ酸が失われる可能性がある。
したがって、蛍石をフッ酸製造用として利用するには、蛍石は、炭酸カルシウム、シリカ、リン酸塩、硫酸塩、鉄化合物、アルミニウム化合物等の不純物が極力少なく、フッ化カルシウムの純度が固形分換算で90質量%以上の高純度であることが必要である。
しかし、上述の特許文献1〜5に開示される方法は、単に、廃水中のフッ素含有率を低減することを目的とするもので、得られた回収蛍石マッドは純度が高くない。そのため、これらの方法で得られた回収蛍石マッドは、フッ酸製造用の原料として使用しにくい。すなわち、これらの方法により得られた回収蛍石マッド中のフッ化カルシウムの純度は、固形分換算で50〜80質量%と低く、未反応の炭酸カルシウム等のカルシウム化合物を含み、さらに、シリカ、リン酸塩、硫酸塩、鉄化合物、アルミニウム化合物等の不純物を多く含むこともある。
それゆえ、特許文献1〜5に開示される方法で得られた回収蛍石マッドのほとんどは、産業廃棄物として処理されてきた。
一方、フッ素資源である天然蛍石(フッ酸製造用の天然蛍石は、フッ化カルシウム純度が固形分換算で97質量%以上である。)は、枯渇する可能性が懸念されている。そのため、従来産業廃棄物として処理されてきたフッ化カルシウムから、フッ酸製造用の原料になり得る高純度蛍石を製造する方法の開発が期待されている。
特許文献6には、フッ化タンタルカリウムやフッ化ニオブカリウムをナトリウム還元する際に副生する副生混合塩から、フッ素を高回収率でフッ化カルシウムとして回収し、フッ酸製造用原料として再利用する方法が開示されている。すなわち、一次反応として、これらのフッ素を含む副生混合塩を水に溶解した後、この水溶性フッ化物塩を含有する水溶液をカルシウム化合物と反応させてフッ化カルシウムとして回収する。次いで、二次反応として、未反応のカルシウム化合物をフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化水素酸等のフッ化物で処理を行い、フッ化カルシウムの純度を高める。
しかし、同文献の発明は、水溶性の副生混合塩からのフッ素の回収方法に関するものであり、産業廃棄物として処理される非水溶性の固形物である回収蛍石マッドの高純度化についてのものではない。また、一次反応だけでは未反応のカルシウム化合物が残存してしまうため、純度を上げるため、新たにフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化水素酸等のフッ化物で処理する二次反応がさらに必要である。
特許文献7には、フッ化カルシウムと酸化カルシウムや炭酸カルシウム等との混合物からフッ化カルシウムを回収する方法が開示されている。すなわち、該混合物に、塩酸、硝酸、酢酸等の可溶性のカルシウム塩を生成する酸を加えて、酸化カルシウムや炭酸カルシウムを溶解させ、これらの酸と反応しないフッ化カルシウムのみを分離(第1分離工程)した後、フッ化水素を加えて、溶解しているカルシウムと反応させてフッ化カルシウムを生成させ分離する(第2分離工程)ものである。
しかし、同文献の発明は、カルシウム混合物からのフッ素の回収方法であって、カルシウム化合物以外の不純物(シリカ、リン酸塩類、硫酸塩類、鉄化合物、アルミニウム化合物等)も含む回収蛍石マッドの高純度化については何ら記載されていない。特に、シリカはフッ化カルシウムと同様に、塩酸、硝酸、酢酸等の酸では溶解できないので、第1分離工程後のフッ化カルシウム中に残存してしまう。シリカを多量に含有する回収蛍石マッドをフッ酸製造用の原料として用いた場合には、上記式(3)に示す反応によりフッ酸を損失してしまう。また、2回の固液分離工程が必要なため、設備費がかかる。
フッ化カルシウムを含む固形物を高純度化する他の方法としては、蛍石の浮遊選鉱法が挙げられる。これは蛍石の鉱山から産出する原鉱石から高純度蛍石(いわゆる天然蛍石)を得る際に行われている方法である。一般的に原鉱石の表面は親水性であるのに対し、金属が疎水性であることが多いことを利用したものである。
具体的な手順としては、原鉱石を粗粉砕した後さらに微粉砕してスラリー状にし、次いで、界面活性剤や油脂等の気泡剤を添加し、次いで、撹拌しながら空気を吹き込んで泡を形成させ、次いで、泡に浮かぶ疎水性の粒子とスラリー中に懸濁した親水性の粒子に分離する。このように分離された粒子のうちフッ化カルシウム純度が高い方が、フッ酸製造用の原料として使用できる天然蛍石である。分離された粒子のどちらが高純度となるかは、原鉱石中に含まれている不純物の性状による。
しかし、浮遊選鉱法により、低純度の回収蛍石マッドを処理しても、泡に浮かんだ疎水性の粒子も、スラリー中に懸濁した親水性の粒子も、フッ化カルシウムの純度がフッ酸製造用の原料として用い得る程度まで高くならない。
特許第3378362号公報 特許第4858449号公報 特許第3196640号公報 特開2006−167633号公報 特開2008−104946号公報 特許第4174708号公報 特開2010−202433号公報
本発明は、上記事情に鑑み、特殊な装置を用いることなく、より簡便に、シリカを含有しフッ化カルシウムの固形分換算濃度が85質量%以下である蛍石(以下、「低純度蛍石」ともいう。)から、フッ化カルシウムの固形分換算濃度が90質量%以上である高純度蛍石を製造することを目的とする。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、塩酸及びフッ酸を含む水溶液に低純度蛍石を溶解させ、次いでpHが2.0〜3.5となるようにカルシウム化合物を加えることにより、高純度蛍石が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]の構成を有する、高純度蛍石の製造方法である。
[1]塩酸及びフッ酸を含む水溶液に、シリカを含有しフッ化カルシウムの固形分換算濃度が85質量%以下である蛍石を溶解させる、溶解工程と、
前記溶解工程で得られた溶液に、pHが2.0〜3.5となるようにカルシウム化合物を加え、フッ化カルシウム粒子を析出させる、析出工程と、
前記析出工程でフッ化カルシウム粒子を析出させた反応液を固液分離して、前記フッ化カルシウム粒子の凝集物を回収する、固液分離工程と、
前記凝集物に中和剤を混合し、前記凝集物を中和する、中和工程と、
中和後の前記凝集物を脱水、乾燥する、脱水・乾燥工程と
を備える、高純度蛍石の製造方法。
[2]前記塩酸及びフッ酸を含む水溶液の塩酸の濃度が0.05〜5.0質量%であり、フッ酸の濃度が0.05〜5.0質量%である、[1]に記載の高純度蛍石の製造方法。
[3]前記固液分離工程が、
高分子凝集剤を加えて前記フッ化カルシウム粒子の凝集物を得る、凝集工程と、
前記凝集物を沈降分離し回収する、沈降分離工程と
を有する、[1]又は[2]に記載の高純度蛍石の製造方法。
[4]カルシウム化合物が、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム及び塩化カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の高純度蛍石の製造方法。
本発明によれば、特殊な装置を用いることなく、より簡便に、低純度蛍石から高純度蛍石を製造することができる。
本発明の第1の実施態様に用いられる装置の概略図を示す。
<第1の実施態様>
(装置)
図1に、本発明の第1の実施態様に係る製造方法に用いられる装置の概略図を示す。
第1の実施態様に用いる装置1は、溶解槽10と、析出槽20と、凝集剤添加槽30と、沈降分離槽40とを備える。
また、溶解槽10には、反応液を撹拌するために、撹拌翼13が備えられる。また、析出槽20には、反応液を撹拌するために、撹拌翼23が備えられる。また、凝集剤添加槽30には、反応液を撹拌するために、撹拌翼33が備えられる。
また、装置1は、溶解槽10に低純度蛍石を供給するための低純度蛍石供給管11と、塩酸及びフッ酸を含む水溶液を供給するための塩酸及びフッ酸含有水溶液供給管12とを備える。また、装置1は、析出槽20の反応液にカルシウム化合物を加えるためのカルシウム化合物管22と、凝集剤添加槽30内の反応液に高分子凝集剤を加えるための高分子凝集剤管32とを備える。
また、装置1は、反応液を、溶解槽10から析出槽20へ送るための、反応液送り管21を備える。また、装置1は、反応液を、析出槽20から凝集剤添加槽30へ送るための、反応液送り管31を備える。また、装置1は、反応液を、凝集剤添加槽30から沈降分離槽40へ送るための、反応液送り管41を備える。
また、装置1は、沈降分離槽40から上澄み液52を排出するための上澄み液排出管42と、沈降凝集物51を沈降分離槽40から装置1外に抜き出すための沈降凝集物抜出管43とを備える。
以下、装置1の各槽について詳述する。
[溶解槽]
溶解槽10の材質は、常温で塩酸及びフッ酸を含む水溶液に耐え得るものであれば、特に制限されない。例えば、ポリ塩化ビニル製、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、エポキシ樹脂製、有機繊維のFRP製等が挙げられる。中でも、加工性とコスト面から、ポリ塩化ビニル製が好ましい。
溶解槽10の容量は、後の「高純度蛍石の製造方法」で説明する溶解槽10における反応液の平均滞留時間、並びに塩酸及びフッ酸を含む水溶液の供給流量により設定される。例えば、特定の平均滞留時間において、溶解槽10への塩酸及びフッ酸を含む水溶液の供給流量を少なくすれば、溶解槽10の容量を小さくすることができる。
撹拌翼13の形状としては、特に限定されず、プロペラ翼、パドル翼、タービン翼等が挙げられる。中でも、プロペラ翼は、単位動力あたりの反応液の循環力を大きくでき、反応液をより均一に混合できるので好ましい。
なお、反応液を均一に混合するために、溶解槽10の内面に邪魔板を設置してもよい。
[析出槽]
析出槽20の材質は、常温で塩酸及びフッ酸を含む水溶液に耐え得るものであれば、特に制限されない。例えば、ポリ塩化ビニル製、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、エポキシ樹脂製、有機繊維のFRP製等が挙げられる。中でも、加工性とコスト面から、ポリ塩化ビニル製が好ましい。
析出槽20の容量は、後の「高純度蛍石の製造方法」で説明する析出槽20における反応液の平均滞留時間、及び溶解槽10から送られてくる反応液の流量により設定される。例えば、特定の平均滞留時間において、溶解槽10から送られてくる反応液の流量、すなわち、溶解槽10に供給する塩酸及びフッ酸を含む水溶液の供給流量を少なくすれば、析出槽20の容量を小さくすることができる。
撹拌翼20の形状としては、特に限定されず、プロペラ翼、パドル翼、タービン翼等が挙げられる。中でも、プロペラ翼は、単位動力あたりの反応液の循環力を大きくでき、反応液をより均一に混合できるので好ましい。
なお、反応液を均一に混合するために、析出槽20の内面に邪魔板を設置してもよい。
[凝集剤添加槽]
凝集剤添加槽30の材質は、常温で塩酸及びフッ酸を含む水溶液に耐え得るものであれば、特に制限されない。例えば、ポリ塩化ビニル製、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、エポキシ樹脂製、有機繊維のFRP製等が挙げられる。中でも、加工性とコスト面から、ポリ塩化ビニル製が好ましい。
凝集剤添加槽30の容量は、後の「高純度蛍石の製造方法」で説明する凝集剤添加槽30における反応液の平均滞留時間、及び析出槽20から送られてくる反応液の流量により設定される。例えば、特定の平均滞留時間において、凝集剤添加槽30への反応液の供給流量、すなわち、溶解槽10に供給する塩酸及びフッ酸を含む水溶液の供給流量を少なくすれば、凝集剤添加槽30の容量を小さくすることができる。
凝集剤添加槽30には、反応液と高分子凝集剤とを充分に混合するために、撹拌翼33が備えられる。撹拌翼33の形状としては、特に限定されず、プロペラ翼、パドル翼等が挙げられる。タービン翼は反応液に対してせん断力が大きいので好ましくない。なお、反応液を均一に混合するために、凝集剤添加槽30の内面に邪魔板を設置してもよい。
[沈降分離槽]
沈降分離槽40の材質は、汚泥処理等の固液分離で通常用いられる沈降分離機に使用されるものであって、常温で塩酸及びフッ酸を含む水溶液に耐え得るものであれば、特に制限されない。例えば、ポリ塩化ビニル製、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、エポキシ樹脂製、有機繊維のFRP製等が挙げられる。中でも、加工性とコスト面から、ポリ塩化ビニル製の沈降分離槽が好ましい。
沈降分離槽40としては、汚泥処理等の固液分離で通常用いられる、重力、遠心力又は静電力等を利用する固液分離機であれば、特に制限されない。中でも、簡便かつ省電力で固液分離ができる、重力を利用する沈降分離機が好ましい。
例えば、固液分離機として重力を利用する沈降分離機を利用する場合、容積よりも断面積が重要となる。断面積が大きいほど、沈降分離槽40内の上澄み液の上昇速度が遅くなるため、小さな凝集物であっても上澄み液に同伴し排出されることはなく、沈降しやすくなる。
具体的には、上澄み液の上昇速度が0.5〜20m/時間になるような大きさの断面積を有する沈降分離機を使用するのが好ましい。より好ましい上澄み液の上昇速度は、2〜15m/時間である。
なお、上澄み液の上昇速度が前記下限値以上であれば、沈降分離槽40の容積を小さくできる。一方、前記上限値以下であれば、小さな凝集物であっても上澄み液に同伴し排出されることはなく、充分に沈降できる。
(高純度蛍石の製造方法)
本実施態様の高純度蛍石の製造方法は、図1の装置1を用いて、溶解工程、析出工程、固液分離工程、中和工程、脱水・乾燥工程により行われる。
以下、図1を参照しながら、本実施態様の高純度蛍石の製造方法の各工程を説明する。
[溶解工程]
溶解工程は、塩酸及びフッ酸を含む水溶液に、低純度蛍石を溶解させる工程である。
具体的には、溶解槽10に、低純度蛍石と塩酸及びフッ酸を含む水溶液とを、連続的に供給しながら撹拌混合して行う。
{低純度蛍石}
本実施態様で原料として用いる蛍石は、フッ化カルシウムの固形分換算濃度が85質量%以下である。また、前記固形分換算濃度は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
フッ化カルシウムの固形分換算濃度が85質量%以下であれば、本発明を利用する価値が高くなる。一方、前記下限値以上であれば、高純度蛍石が得られやすくなる。
ただし、フッ化カルシウムの固形分換算濃度が前記下限値以下であっても、本実施態様の製造方法を繰り返せば、フッ化カルシウム含有率が90質量%以上の高純度蛍石が得られる。
また、本実施態様で原料として用いる蛍石は、シリカを含有する。原料として用いる蛍石がシリカを含有していても、本実施態様の製造方法によれば、フッ酸によりシリカを溶解し、除去することができる。しかし、後の「析出反応」で述べるとおり、本実施態様の製造方法の析出工程では、溶解槽10から送られる反応液中のSi濃度は、0.2質量%以下となるようにするのが好ましい。したがって、溶解槽10に供給する蛍石中のシリカの含有率が低い方が、高純度蛍石の製造の効率性が高くなる。ただし、溶解槽10に供給する蛍石中のシリカの含有率が高くても、本実施態様の製造方法を繰り返せば、フッ酸の製造に用い得る程度までシリカを溶解し、除去した高純度蛍石が得られる。
また、本実施態様で原料として用いる蛍石は、炭酸カルシウム、リン酸塩類、硫酸塩類、鉄化合物、アルミニウム化合物等の不純物を含有していてもよい。本実施態様の製造方法によれば、塩酸又はフッ酸により、これらの不純物も溶解し、除去することができる。
不純物を除去する反応機構については、後の「溶解反応」及び「析出反応」で詳述する。
蛍石の種類は、低純度蛍石であれば特に制限されず、フッ素含有廃水からの回収蛍石マッド又はその乾燥物だけでなく、天然の低純度蛍石であってもよい。資源リサイクルの観点から、回収蛍石マッド又はその乾燥物が好ましい。
回収蛍石マッドの多くは、フィルタープレスによって脱水されたものであるため、その大きさが直径50〜200mm、厚さ5〜30mmの塊状である場合が多い。このような塊状のものをそのまま溶解槽10に供給してしまうと、塩酸及びフッ酸を含む水溶液と撹拌混合しても充分に不純物を除去することができない。
したがって、このような場合には、解砕機等を用いて、直径30mm、より好ましくは直径15mm以下に解砕して、溶解槽10へ供給するのが好ましい。
{低純度蛍石の供給速度}
溶解槽10への低純度蛍石の供給速度は、溶解槽10中の反応液に含まれるフッ化カルシウム粒子の固形分換算濃度が0.5〜15質量%となるようにするのが好ましく、より好ましくは、1〜10質量%である。
溶解槽10中の反応液に含まれるフッ化カルシウム粒子の固形分換算濃度が前記下限値より低いと、低純度蛍石の処理量に対して大きな溶解槽10が必要となり、設備コストが増加する。一方、前記上限値より高いと、反応液の粘度が高くなり、充分な撹拌ができなくなる可能性が生じる。
{塩酸及びフッ酸を含む水溶液}
溶解槽10に供給される塩酸及びフッ酸を含む水溶液は、塩酸の濃度が0.05〜5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜3.0質量%である。
塩酸の濃度が前記下限値よりも低いと、低純度蛍石中に存在していた、炭酸カルシウム、リン酸塩類、硫酸塩類、鉄化合物、アルミニウム化合物などの不純物を充分に除去できず、高純度蛍石を得にくくなる。一方、塩酸の濃度が前記上限値よりも高いと、溶解槽10内の反応液のpHが低くなりすぎ、後述する析出工程でフッ化カルシウムを析出する際、多量のカルシウム化合物が必要になる。
溶解槽10に供給される塩酸及びフッ酸を含む水溶液は、フッ酸の濃度が0.05〜5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜3.0質量%である。
フッ酸の濃度が前記下限値よりも低いと、低純度蛍石中に含有されるシリカを充分に除去しにくくなり、高純度蛍石を得にくくなる。一方、フッ酸の濃度が前記上限値よりも高いと、フッ化物イオン回収率が低下するおそれがある。
溶解槽10に供給される塩酸及びフッ酸を含む水溶液の種類は、塩酸及びフッ酸の濃度が上述の範囲内にあるものであれば特に限定されず、各種の含フッ素有機化合物の製造設備より排出される塩酸及びフッ酸の混合酸、フロン破壊により得られる塩酸及びフッ酸の混合酸、ガラスエッチング処理廃液として得られる塩酸、フッ酸及びケイフッ化水素酸の混合酸、各種フッ酸含有廃液に塩酸を添加した水溶液等、従来廃液として処理されていたものを用いることができる。
{塩酸及びフッ酸を含む水溶液の供給速度}
溶解槽10への塩酸及びフッ酸を含む水溶液の供給速度は、下記式(4)により算出される。
Z=X/(Y/60) ・・・(4)
Z:塩酸及びフッ酸を含む水溶液の供給速度(L/時間)
X:溶解槽10の容量(L)
Y:溶解槽10における反応液の平均滞留時間(分)
なお、溶解槽10における反応液の平均滞留時間は15〜150分が好ましく、30〜90分がより好ましい。
平均滞留時間が前記下限値以上であれば、低純度蛍石中に含まれる不純物が充分に溶解できる。一方、平均滞留時間が前記上限値以下であれば、低純度蛍石の処理量に対して小さな溶解槽10で処理ができ、設備費を抑えることができる。
{溶解反応}
溶解槽10に、低純度蛍石と、塩酸及びフッ酸を含む水溶液とを、連続的に供給しながら撹拌混合して行うことにより、低純度蛍石中の炭酸カルシウム、シリカ、リン酸塩類、硫酸塩類、鉄化合物、アルミニウム化合物等の不純物が、塩酸又はフッ酸と反応し溶解する。
各不純物と、塩酸及びフッ酸を含む水溶液との反応について以下説明する。
低純度蛍石中に含まれる炭酸カルシウムは、下記式(5)に示すように塩酸と反応して、塩化カルシウムとなり溶解する。
CaCO+2HCl→CaCl+HO+CO ・・・(5)
シリカは、下記式(6)に示すようにフッ酸と反応して、ケイフッ化水素酸となり溶解する。
SiO+6HF→HSiF+2HO ・・・(6)
リン酸塩は、低純度蛍石中にリン酸カルシウム(Ca(PO)として含有することが多く、下記式(7)に示すように塩酸と反応し、溶解度が大きいリン酸二水素カルシウム(Ca(HPO)となり溶解する。
Ca(PO+4HCl→Ca(HPO+2CaCl ・・・(7)
硫酸塩については、上述したように、蛍石に混入していても、ほとんど問題はない。
鉄化合物及びアルミニウム化合物は、下記式(8)(9)に示すように塩酸と反応して、塩化物となり溶解する。
Fe(OH)+3HCl→FeCl+3HO ・・・(8)
Al(OH)+3HCl→AlCl+3HO ・・・(9)
[析出工程]
析出工程は、上記溶解工程で得られた溶液に、pHが2.0〜3.5となるようにカルシウム化合物を加え、フッ化カルシウム粒子を析出させる工程である。
本実施態様では、溶解槽10から流れ出た反応液は、反応液送り管21を通って析出槽20に送られる。カルシウム化合物は、カルシウム化合物管22から析出槽20内の反応液に加えられる。
{反応液のpH}
本実施態様では、溶解槽10から送られる反応液の供給流量に応じてカルシウム化合物を供給して、析出槽20内の反応液のpHを2.0〜3.5に調整する。より好ましくは、pHを2.5〜3.0に調整する。
析出槽20内の反応液のpHが前記下限値より低いと、反応液に対するフッ化カルシウムの溶解度が上昇し、フッ化カルシウムが析出しにくく、未反応のフッ化物イオンが残存しやすくなり、その結果、フッ化物イオン回収率が低下する。一方、析出槽20内の反応液のpHが前記上限値より高いと、フッ化カルシウム以外の不純物も析出しやすくなり、蛍石中の不純物の含有率が上昇する。特に、析出槽20内の反応液のpHが4.0を超えると、SiOが、反応液中にコロイド状態で安定して存在できなくなり、ゲル化してしまい、製造した蛍石中に不純物として残存しやすくなる。
{カルシウム化合物}
カルシウム化合物としては、特に限定されず、炭酸カルシウム(CaCO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、塩化カルシウム(CaCl)等が挙げられ、これらの組合せでもよい。中でも、析出槽20内の反応液のpHが調整しやすい、炭酸カルシウムが好ましい。
供給するカルシウム化合物の態様としては、粉末状のものを用いてもよく、カルシウム化合物粉末を水に分散させたスラリー状、又はカルシウム化合物を溶解した水溶液を用いてもよい。中でも、カルシウム濃度の高い領域が局所的に発生してフッ化カルシウムの微細粒子が発生し、その結果として、製造した蛍石の脱水性が低下しないようにするためには、カルシウム化合物粉末を水に分散させたスラリー状、又はカルシウム化合物を溶解した水溶液が好ましい。
カルシウム化合物の種類と供給量は、反応液のpHが2.0〜3.5になるように調整する。
溶解槽10から送られてくる反応液は、塩酸及びフッ酸を含むため、pHが2.0よりも低い場合が多い。カルシウム化合物として炭酸カルシウムや水酸化カルシウムを用いれば、析出槽20内の反応液のpHを上昇させることができる。
一方、塩化カルシウムを用いれば、反応液のpHに影響を与えずに、フッ酸との反応に必要なカルシウムイオンを供給できる。
したがって、カルシウム化合物の種類とその供給量を適宜調節することにより、析出槽20内の反応液のpHが2.0〜3.5になるように調整しながら、フッ酸との反応に必要なカルシウム化合物を供給できる。
カルシウム化合物の粉末の粒子サイズは、未反応のカルシウム化合物が高純度蛍石に残存するのを防ぐため、体積平均粒子径が50μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以下である。
{析出反応}
析出工程における、反応液中のフッ酸と、カルシウム化合物、例えば、炭酸カルシウムとの反応を、下記式(10)に示す。
2HF+CaCO→CaF+HO+CO ・・・(10)
この反応で生成したフッ化カルシウムは溶解度を超えると晶析し始めるため、反応液中のフッ化物イオンがフッ化カルシウム粒子に転換される。
ここで、フッ化カルシウムを析出させる際に、不純物が共に析出し得ることに留意する必要がある。
リン酸塩は、pH3.5以下では溶解度が大きいリン酸二水素カルシウム(Ca(HPO))として存在するために、析出したとしても極僅かである。
鉄化合物は、pH3.5以下では溶解度が大きい塩化鉄(FeCl)として存在するために、析出したとしても極僅かである。
アルミニウム化合物は、pHが3.0以下では溶解度が大きい塩化アルミニウム(AlCl)として存在するために、析出したとしても極僅かである。
硫酸塩は、反応液のpHが変化しても溶解度があまり変化せず、析出槽20内の反応液に溶解度以上の量が存在していれば二水和物(CaSO・2HO)として析出し、製造した蛍石中に混入してしまう。
しかし、フッ酸の製造工程においては、上記式(1)に示すように、副産物として硫酸カルシウムが生成し、該工程の際、この硫酸カルシウムはフッ酸と分離される。
このとき、蛍石中に混入した硫酸カルシウムも、上記式(1)の反応で生成した硫酸カルシウムと一緒に、フッ酸と分離される。また、蛍石中に硫酸カルシウムが混入していても、上記式(1)の反応の進行への影響は少ない。
したがって、硫酸塩を含有する蛍石をフッ酸製造用の原料に用いてもほとんど問題はないため、溶解槽10から送られる反応液に硫酸塩が含まれていても、ほとんど問題は生じない。
なお、溶解槽から送られてくる反応液中にケイフッ化水素酸(HSiF)が含まれる場合は、下記式(11)の反応によりSiOが生成する。この時、SiOが低濃度であれば問題ないが、高濃度で存在すると、反応液中にコロイド状態で安定して存在できなくなり、ゲル化することがある。
SiF+3CaCO→3CaF+SiO+HO+3CO ・・・(11)
その結果、製造した蛍石中にSiOが不純物として残留しやすくなる。このSiOにより、上記式(3)に示す反応により、フッ酸の製造において得られたフッ酸を失う可能性が高くなる。
したがって、溶解槽10から送られる反応液中のSi濃度は、0.2質量%以下となるように、溶解槽10への塩酸及びフッ酸を含む水溶液並びに低純度蛍石の供給流量を調製するのが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下となるようにする。
{反応液中のフッ化カルシウム粒子の濃度}
析出槽20内の反応液中のフッ化カルシウム粒子の濃度は、2〜15質量%が好ましく、より好ましくは、5〜10質量%である。
析出槽20内の反応液中のフッ化カルシウム粒子の濃度が前記下限値より小さいと、フッ化カルシウムの微細粒子が発生し、その結果として、製造した蛍石の脱水性が悪くなる可能性が高まる。一方、濃度が前記上限値を超えると、析出槽20の反応液の粘度が高くなり、反応液を撹拌しにくくなる。
析出槽20内の反応液中のフッ化カルシウム粒子の濃度の測定方法としては、まず、析出槽20内の反応液の一部を採取し、洗浄し、脱水してケーキを得、これを110℃で6時間乾燥して粉末を得る。次いで、この粉末中のCaF含有率(質量%)を、実施例(「CaF」)に記載する方法と同様の方法で求める。析出槽20内の反応液中のフッ化カルシウム粒子の濃度は、下記式(12)により算出する。
S=(P×T)/R ・・・(12)
S:析出槽20内の反応液中のフッ化カルシウム粒子の濃度(質量%)
P:採取した反応液から得た乾燥粉末の質量(g)
T:CaF含有率(質量%)
R:採取した反応液の質量(g)
{撹拌動力}
本実施態様の析出槽20内の反応液の撹拌は、撹拌動力の下限値が、0.2kW/m以上となるように行う。より好ましくは、0.3kW/m以上である。前記下限値以上であれば、フッ化カルシウムの微細粒子の発生を抑制して良好な脱水性を有する高純度蛍石を生産することができる。
微細粒子の発生を抑制するためには撹拌動力は強力であればあるほどよいが、撹拌動力が強すぎると、析出槽20や撹拌翼20に大きな負荷がかかり、また、反応液が析出槽20からあふれる可能性もあるため、撹拌動力の上限値は1kW/m以下が好ましい。
{反応温度}
析出槽20内の反応液の温度としては、10〜50℃が好ましく、より好ましくは20〜40℃である。
温度が下がるとフッ化カルシウムの飽和溶解度も下がる。そのため、温度が前記下限値よりも低いと、フッ化カルシウムの微細粒子が発生しやすくなり、その結果として、製造した蛍石の脱水性が悪くなる可能性が高まる。一方、温度が前記上限値を超えると、ポリ塩化ビニル等の安価な樹脂製の反応槽が採用できなくなる。
{平均滞留時間}
析出槽20における反応液の平均滞留時間は、5〜120分が好ましく、より好ましくは10〜60分である。
析出槽20における反応液の平均滞留時間が前記下限値より短いと、フッ酸を充分にフッ化カルシウムに転換できなくなり、フッ化物イオン回収率が低下する。一方、析出槽20における反応液の平均滞留時間が前記上限値より長いと、高純度蛍石の生産効率が下がる。
なお、析出槽20における反応液の平均滞留時間は、下記式(13)により算出される。
D=C/(B/60) ・・・(13)
B:溶解槽10から送られる反応液の流量(L/時間)
C:析出槽20の容量(L)
D:析出槽20における反応液の平均滞留時間(分)
例えば、溶解槽10から送られる反応液の流量が特定されている場合において、析出槽20における反応液の平均滞留時間を長くしたいときには、析出槽20の容量を大きくすればよく、析出槽20における反応液の平均滞留時間を短くしたい場合には、析出槽20の容量を小さくすればよい。
[固液分離工程]
固液分離工程は、前記析出工程でフッ化カルシウム粒子を析出させた反応液を固液分離して、該フッ化カルシウム粒子の凝集物を回収する工程であり、以下の凝集工程と沈降分離工程を有する。
{凝集工程}
凝集工程は、析出工程で得られたフッ化カルシウム粒子を含有する反応液を析出槽20から凝集剤添加槽30に送り、該凝集剤添加槽30において高分子凝集剤と共に撹拌することにより、フッ化カルシウム粒子の凝集物を得る工程である。
凝集工程では、高分子凝集剤を添加することによって反応液中のフッ化カルシウム粒子を、後述する沈降分離槽40で沈降できる程度の大きさにまで凝集させる。
本実施態様では、析出槽20から流れ出た反応液は、反応液送り管31を通って凝集剤添加槽30に送られる。また、高分子凝集剤は、高分子凝集剤管32から凝集剤添加槽30内の反応液に加えられる。
高分子凝集剤としては、特に限定されず、アニオン系、ノニオン系等の高分子凝集剤が使用できる。
アニオン系としては、ポリアクリル酸ナトリウム、マレイン酸共重合物、ポリアクリルアミドの部分加水分解物等が挙げられる。
ノニオン系としては、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアセトアミド、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
高分子凝集剤の添加する量としては、特に限定されないが、凝集剤添加槽30内の反応液中での濃度が、0.1〜100mg/Lとなるように添加するのが好ましい。
前記下限値以上であれば、充分な凝集効果が得られる。一方、前記上限値以下であれば、沈降分離槽40の底部から抜き出されたフッ化カルシウムの凝集物の脱水性が良好となり、また、沈降分離槽40からの上澄み液52中のCOD(化学的酸素要求量)が上昇するおそれが減る。
凝集剤添加槽30における反応液の平均滞留時間は0.5〜10分が好ましく、1〜5分がより好ましい。凝集剤添加槽30における反応液の平均滞留時間が前記下限値以上であれば、反応液と凝集剤とが充分混合できる。一方、前記上限値以下であれば、一旦生成した凝集物が壊れることを防げる。
後の沈降分離槽40における分離性を向上する目的で、塩化第二鉄(FeCl)及びポリ塩化アルミニウム等の無機凝結剤を、凝集剤添加槽30内の反応液に添加してもよい。
しかし、これらの無機凝結剤は蛍石中に不純物として混入することになるため、その添加量はできるだけ少なくした方がよい。
{沈降分離工程}
沈降分離工程は、凝集工程で得たフッ化カルシウム粒子の凝集物を含む反応液を凝集剤添加槽30から沈降分離槽40に送り、該沈降分離槽40において、該凝集物を沈降させて沈降凝集物51とし回収する工程である。
本実施態様では、凝集剤添加槽30から流れ出た反応液は、反応液送り管41を通って沈降分離槽40に送られる。また、沈降分離槽40でフッ化カルシウムの凝集物が沈降した後の上澄み液52は、上澄み液排出管42から装置1外へ排出される。
なお、上澄み液排出管42から装置1外へ排出された上澄み液52は、カルシウム化合物やアルカリ金属塩等を添加して中和処理し、固液分離により固形物を除去した後、環境基準を満たしていることを確認し、廃棄する。
[中和工程]
中和工程は、沈降分離槽40の底部から回収した沈降凝集物51に、中和剤を混合し、凝集物を中和する工程である。
本実施態様では、該沈降凝集物51は、沈降凝集物抜出管43から装置1外へ抜き出すことにより回収する。
まず、回収した凝集物はpH2.0〜3.5の酸性であるため、中和剤を添加し中和する。中和剤としては、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液等のアルカリ金属塩水溶液が挙げられる。中でも、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液又はこれらの混合液が好ましい。水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液は、未反応分が不純物として残留しにくいので、蛍石の純度を低下させるおそれが少ない。
[脱水・乾燥工程]
脱水・乾燥工程は、中和工程で中和された凝集物を脱水し、乾燥する工程である。
固液分離機(例えば、フィルタープレスや遠心分離機等)で濾過又は脱水を行い、必要により、固形物を洗浄して濾過又は脱水を再度行う。濾過又は脱水後、得られたケーキ状の固形分をさらに乾燥することにより高純度蛍石が得られる。乾燥は、例えば、110℃で6時間行う。乾燥機は、通常用いられる乾燥機でよい。
(第1の実施態様による作用効果)
本発明によれば、特殊な装置を用いることなく、従来は産業廃棄物として埋め立て処理されていた回収蛍石マッドから、フッ酸製造の原料として利用できる、フッ化カルシウムの固形分換算濃度が90質量%以上の高純度蛍石を製造することができる。また、天然蛍石の中でも純度が低く、そのままではフッ酸の製造に利用できない蛍石の利用も可能となる。
また、本発明では、従来は廃液として処理されていた、各種の含フッ素有機化合物の製造設備より排出される塩酸及びフッ酸の混合酸、フロン破壊により得られる塩酸及びフッ酸の混合酸、ガラスエッチング処理廃液として得られる塩酸、フッ酸及びケイフッ化水素酸の混合酸、各種フッ酸含有廃液に塩酸を添加した水溶液等も有効利用できる。
また、装置1の各槽はいずれも特殊なものを用いる必要がなく、そのため、本発明の高純度蛍石の製造を簡便に行うことができる。また、塩酸及びフッ酸を含む水溶液の供給流量を抑えれば、各槽の容量を小さくすることができ、製造に要するスペースを抑えることができる。
<その他の実施態様>
析出槽20は、2基以上を直列につないでもよい。析出槽20を増やすことにより、上述の第1の実施態様により得られる作用効果と同様の作用効果が得られる他、個々の析出槽20を小さくすることができる。
高分子凝集剤を加えなくても、フッ化カルシウム粒子の沈降分離が充分に行える場合には、固液分離工程における凝集工程は省略できる。その場合、装置1は、析出槽20から流れ出た反応液は、沈降分離槽40に直接送られるように構成すればよい。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(評価方法)
[低純度蛍石の含水率]
本発明で原料として用いた低純度蛍石マッドの含水率は、該マッド25gを、オーブンを用いて110℃で6時間乾燥し、乾燥粉末を得、乾燥減量(25−乾燥粉末の重量(g))を該マッド中の含水量(M)(g)とし、下記式(14)により求めた。
N=(M/25)×100 ・・・(14)
N:低純度蛍石マッドの含水率(%)
M:低純度蛍石マッド中の含水量(g)
[蛍石の組成分析]
蛍石に含まれる以下の成分の含有率を、以下の方法により分析した。
「CaF
乾燥粉末2gを用いて、JIS K1468−2に記載の水蒸気蒸留法に基づいて、Fを含有する留出液を得た。この留出液中に含有されるF量を、JIS K0102に記載のランタン−アリザリンコンプレキソン吸光光度法で測定し、乾燥粉末2g中に含まれるF量(g)を求め、乾燥粉末中のCaF含有率を、下記式(15)により算出した。
CaF含有率(質量%)=[{F量(g)×(78/38)}/2]×100 ・・・(15)
「CaCO
乾燥粉末1gに、希酢酸水溶液を加え、未溶解残渣を濾別して得た濾液に対してキレート滴定を行い、この濾液中のCa量を測定し、乾燥粉末1g中に含まれるCa量(g)を求め、乾燥粉末中のCaCO含有率を、下記式(16)により算出した。
CaCO含有率(質量%)={Ca量(g)×(100/40)}×100 ・・・(16)
「SiO
乾燥粉末0.2gに、NaCO粉末とKCO粉末を加えて加熱溶融し(アルカリ溶融法)、溶融物を酸に溶解した後、この溶解液中のSi量をICP分析で測定し、乾燥粉末0.2g中に含まれるSi量(g)を求め、乾燥粉末中のSiO含有率を、下記式(17)により算出した。
SiO含有率(質量%)=[{Si量(g)×(60/28)}/0.2]×100 ・・・(17)
「P
乾燥粉末0.2gに、NaCO粉末とKCO粉末を加えて加熱溶融し(アルカリ溶融法)、溶融物を酸に溶解した後、この溶解液中のP量をICP分析で測定し、乾燥粉末0.2g中に含まれるP量(g)を求め、乾燥粉末中のP量を、下記式(18)により算出した。
量(質量%)=[{P量(g)×(142/62)}/0.2]×100 ・・・(18)
「S、Fe、Al」
乾燥粉末をプレス成型して、直径30mm×厚さ3mmの円盤状のペレットを作製し、蛍光X線分析により乾燥粉末中のS、Fe、Al含有率を求めた。
[フッ化物イオン回収率]
以下の実施例1〜8及び比較例1,2におけるフッ化物イオンの回収率は、塩酸及びフッ酸を含む水溶液並びに沈降分離槽上澄み液がいずれも密度が1g/mLであることから、下式(19)により算出される。
K=[{(L×J+U×V)−Q×W}/(L×J+U×V)]×100 ・・・(19)
K:フッ化物イオン回収率(%)
L:塩酸及びフッ酸を含む水溶液の供給流量(mL/分)
J:塩酸及びフッ酸を含む水溶液中のフッ化物イオン濃度(質量%)
U:低純度蛍石マッドの供給流量(g/分)
V:低純度蛍石マッド中のフッ化物イオン濃度(質量%)
Q:沈降分離槽上澄み液の排出流量(mL/分)
W:沈降分離槽上澄み液中のフッ化物イオン濃度(質量%)
上記式(19)における、「J」、「W」は、以下のようにして求めた。
まず、JIS K0102に記載の水蒸気蒸留法に基づいて、フッ素を含有する留出液を得た。次いで、JIS K0102に記載のイオン電極法に基づいて、該留出液中のF量を測定した。次いで、該F量から塩酸及びフッ酸を含む水溶液及び上澄み液中のフッ化物イオン濃度に換算することにより、「J」及び「W」を求めた。
また、「V」は、前記蛍石の組成分析における「CaF」で求めたF量から換算して求めた。
(処理に供した低純度蛍石の組成)
以下の実施例1〜8及び比較例1,2で処理を行った4種類の低純度蛍石マッド「M−1」〜「M−4」の組成を表1に示す。
Figure 2015074575
(塩酸及びフッ酸を含む水溶液の組成)
以下の実施例1〜8及び比較例1,2における塩酸及びフッ酸を含む水溶液は、塩酸、フッ酸、ケイフッ化水素酸を表2に示す含有率で含む水溶液「A−1」〜「A−4」のいずれかを用いた。
Figure 2015074575
(実施例1)
[溶解工程]
溶解槽として、ポリ塩化ビニル製であり、液容積8.6L(内径:204mm、底部から液出口までの高さ:264mm、邪魔板4枚付き、直径80mmのプロペラ翼)を用いた。
溶解槽に、直径約10mmの大きさに解砕した表1の「M−1」の低純度蛍石マッドを800g/時間、表2の「A−1」の塩酸及びフッ酸を含む水溶液を8L/時間の速度で連続的に供給し、撹拌した。溶解槽内の反応液の温度は25℃に維持した。
[析出工程]
溶解槽から流れ出た反応液は、析出槽(ポリ塩化ビニル製、液容積8.6L、内径:204mm、底部から液出口までの高さ:264mm、邪魔板4枚付き、直径80mmのプロペラ翼)に送った。
析出槽には、平均粒子径5μmの炭酸カルシウム粉末を水に分散した30質量%の炭酸カルシウムスラリーを連続的に加え、析出槽内のpHを2.7に維持した。また、析出槽内の反応液の温度は25℃に維持した。
[凝集工程]
析出槽から流れ出た反応液は、凝集剤添加槽(ポリ塩化ビニル製、液容積:0.3L、撹拌翼:パドル翼)に送った。
凝集剤添加槽内の反応液に、該反応液に対して7mg/Lとなるように、アニオン系高分子凝集剤(ポリアクリルアミドの部分加水分解物)を添加して、フッ化カルシウム粒子を凝集させた。また、凝集剤添加槽内の反応液の温度は25℃に維持した。
[沈降分離工程]
凝集剤添加槽から流れ出た反応液は、沈降分離槽(ポリ塩化ビニル製、液容積8.6L、内径:104mm)に送った。また、沈降分離槽内の反応液の温度は25℃に維持した。
沈降分離槽の底部には、凝集したフッ化カルシウム粒子の凝集物が沈降した。
沈降分離槽から流れ出た上澄み液の流量とフッ化物イオン濃度を測定し、フッ化物イオン回収率(%)を求めた。
[中和工程及び脱水・乾燥工程]
沈降分離槽の底部からフッ化カルシウムの濃縮スラリーを抜き出し、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH8.0とした後、フィルタープレスにより脱水し、ケーキを作製した。該ケーキを110℃で6時間乾燥して、蛍石を得た。
得られた蛍石の組成分析を行った。
(実施例2)
実施例2では、溶解工程において、低純度蛍石マッドとして表1の「M−2」を用い、表2の「A−1」の塩酸及びフッ酸を含む水溶液を16L/時間の速度で連続的に供給し、析出工程において、析出槽内の反応液のpHを2.5とした以外は、実施例1と同様にして、蛍石を得、評価を行った。
(実施例3)
実施例3では、溶解工程において、低純度蛍石マッドとして表1の「M−3」を用い、表2の「A−1」の塩酸及びフッ酸を含む水溶液を20L/時間の速度で連続的に供給し、析出工程において、析出槽内の反応液のpHを3.0とした以外は、実施例1と同様にして、蛍石を得、評価を行った。
(実施例4)
実施例4では、析出工程において、析出槽内の反応液のpHを2.1とした以外は、実施例1と同様にして、蛍石を得、評価を行った。
(実施例5)
実施例5では、析出工程において、析出槽内の反応液のpHを3.5とした以外は、実施例1と同様にして、蛍石を得、評価を行った。
(実施例6)
実施例6では、溶解工程において、塩酸及びフッ酸を含む水溶液として表2の「A−2」を用い、該「A−2」を20L/時間の速度で連続的に供給した以外は、実施例1と同様にして、蛍石を得、評価を行った。
(実施例7)
実施例7では、溶解工程において、低純度蛍石マッドとして表1の「M−2」を用い、塩酸及びフッ酸を含む水溶液として表2の「A−3」を用い、該「A−3」を4L/時間の速度で連続的に供給し、析出工程において、析出槽内の反応液のpHを2.1とした以外は、実施例1と同様にして、蛍石を得、評価を行った。
(実施例8)
実施例8では、溶解工程において、塩酸及びフッ酸を含む水溶液として表2の「A−4」を用いた以外は、実施例1と同様にして、蛍石を得、評価を行った。
(比較例1)
比較例1では、析出槽内の反応液のpHを1.7とした以外は、実施例1と同様にして、蛍石を得、評価を行った。
(比較例2)
比較例2では、溶解工程において、低純度蛍石マッドとして表1の「M−2」を用い、塩酸及びフッ酸を含む水溶液として「A−1」を用い、該「A−1」を16L/時間の速度で連続的に供給し、析出工程において、析出槽内の反応液のpHを4.0とした以外は、実施例1と同様にして、蛍石を得、評価を行った。
上記実施例1〜8及び比較例1,2の製造条件を表3に、評価結果を表4に示す。
Figure 2015074575
Figure 2015074575
表4に示すように、析出槽内の反応液のpHを1.7とした比較例1では、得られた蛍石中のフッ化カルシウム純度は92.3質量%であり充分であったが、フッ化物イオン回収率が94.9%と低かった。
また、析出槽内の反応液のpHを4.0とした比較例2では、フッ化物イオン回収率は100.0%であり充分であったが、得られた蛍石中のフッ化カルシウム純度は86.4質量%と低かった。
これらに対し、析出槽内の反応液のpHを2〜3.5の範囲として実施例1,2,4〜8では、いずれも蛍石中のフッ化カルシウム純度が90質量%以上と高く、しかも、フッ化物イオン回収率も99.3%以上と高かった。
また、原料としてフッ化カルシウム純度が50.5質量%と低い低純度蛍石マッドを用いた実施例3では、フッ化物イオン回収率は99.9%と高かったものの、得られた蛍石中のフッ化カルシウム純度は82.7質量%と低かった。
そこで、1回目の処理で得られた蛍石を、再度処理した。
2回目の処理は、表3に示すように、溶解工程で、1回目の処理で得られた蛍石マッドを980g/時間、表2の「A−1」の塩酸及びフッ酸を含む水溶液を16L/時間の速度で連続的に供給し、析出工程で、析出槽内のpHを3.0に維持した以外は、実施例1と同様にして、蛍石を得、評価を行った。
2回目の処理の結果、表4に示すように、2回目の処理で得られた蛍石中のフッ化カルシウム純度は90.9質量%と高く、しかも、フッ化物イオン回収率が100.0%と高かった。
以上のように、本発明によれば、特殊な装置を用いることなく、より簡便に、低純度蛍石から高純度蛍石を製造することができる。
したがって、本発明によれば、資源の枯渇が危ぶまれている天然蛍石を使用せず、フッ素化学産業にとって重要なフッ酸をリサイクルすることができる。
1 装置
10 溶解槽
11 低純度蛍石供給管
12 塩酸及びフッ酸含有水溶液供給管
13,23,33 撹拌翼
20 析出槽
21,31,41 反応液送り管
22 カルシウム化合物管
30 凝集剤添加槽
32 高分子凝集剤管
40 沈降分離槽
42 上澄み液排出管
43 沈降凝集物抜出管
51 沈降凝集物
52 上澄み液

Claims (4)

  1. 塩酸及びフッ酸を含む水溶液に、シリカを含有しフッ化カルシウムの固形分換算濃度が85質量%以下である蛍石を溶解させる、溶解工程と、
    前記溶解工程で得られた溶液に、pHが2.0〜3.5となるようにカルシウム化合物を加え、フッ化カルシウム粒子を析出させる、析出工程と、
    前記析出工程でフッ化カルシウム粒子を析出させた反応液を固液分離して、前記フッ化カルシウム粒子の凝集物を回収する、固液分離工程と、
    前記凝集物に中和剤を混合し、前記凝集物を中和する、中和工程と、
    中和後の前記凝集物を脱水、乾燥する、脱水・乾燥工程と
    を備える、高純度蛍石の製造方法。
  2. 前記塩酸及びフッ酸を含む水溶液の塩酸の濃度が0.05〜5.0質量%であり、フッ酸の濃度が0.05〜5.0質量%である、請求項1に記載の高純度蛍石の製造方法。
  3. 前記固液分離工程が、
    高分子凝集剤を加えて前記フッ化カルシウム粒子の凝集物を得る、凝集工程と、
    前記凝集物を沈降分離し回収する、沈降分離工程と
    を有する、請求項1又は2に記載の高純度蛍石の製造方法。
  4. カルシウム化合物が、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム及び塩化カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高純度蛍石の製造方法。
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