JP2015068859A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂、及び離型剤を含むトナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む。示差走査熱量計を用いて測定される、離型剤の融点Mprは50℃以上100℃以下である。シェル層は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位と、を含む樹脂からなる。熱硬化性樹脂のモノマーとして、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂のモノマーを用いる。透過型電子顕微鏡を用いて倍率3000倍で撮影したトナー粒子の断面の画像における、離型剤の個数平均分散径は30nm以上500nm以下である。
【選択図】なし
Description
・高温でトナー像を被記録媒体に定着させる際に、溶融したトナー粒子の加熱された定着ローラーへの溶着に起因するオフセットが生じやすいこと、及び
・トナーコアに含まれる離型剤の種類によっては、被記録媒体に対してトナーが良好に定着されにくかったり、グロス(光沢)に優れる画像を得にくかったりするような問題がある。
示差走査熱量計を用いて測定される、前記離型剤の融点Mprが50℃以上100℃以下であり、
前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
透過型電子顕微鏡を用いて倍率3000倍で撮影した前記トナー粒子の断面の画像における、前記離型剤の個数平均分散径が30nm以上500nm以下である、静電潜像現像用トナーに関する。
結着樹脂としては、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。後述するように、本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、熱硬化性樹脂のモノマーを含むシェル層の材料を硬化させて、トナーコアの表面をシェル層で被覆して調製されている。結着樹脂として、水酸基やカルボキシル基のように熱硬化性樹脂のモノマーと反応し得る官能基を有する結着樹脂を用いる場合、結着樹脂を含むトナーコアの表面にはこれらの官能基が露出している。このため、水酸基やカルボキシル基のような官能基を有する結着樹脂を用いる場合、トナーコアの表面をシェル層で被覆する際に、メチロールメラミンのような熱硬化性樹脂のモノマーと、トナーコアの表面に露出する水酸基やカルボキシル基のような官能基とが反応して、トナーコアとシェル層との間に共有結合が形成される。従って、水酸基やカルボキシル基のような官能基を有する結着樹脂が含まれるトナーコアでは、シェル層とトナーコアとが強固に結合している。
テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いる。測定する試料を、3.0mg/mLの濃度となるようにTHFに投入し、1時間静置させてTHF中に溶解させる。得られるTHF溶液を前処理用フィルター(例えば、クロマトディスク 25N(倉敷紡績株式会社製)、非水系、ポアサイズ:0.45μm)で濾過して、測定用試料溶液を得る。GPCの測定は、下記の装置及び条件で行われる。具体的には、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させた後、同温度で、1mL/分の流速でTHF溶液をカラムに流し、測定試料溶液を、50〜200μL注入して、GPCの測定が行われる。
(GPC測定条件)
装置:HLC−8220(東ソー株式会社製)
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
カラム:TSKgel GMHXL(東ソー株式会社製)
カラム本数:2本
検出器:RI
溶出液流速:1mL/分
試料溶液濃度:3.0mg/mL
カラム温度:40℃
試料溶液量:100μL
検量線:標準ポリスチレンを用いて作製
<式(1)>
バイオマス由来の炭素の比率(%)=(X/107.5)×100 (1)
示差走査熱量計(DSC)として、DSC6220(セイコーインスツル株式会社製)を用いる。アルミ皿に10〜20mgの結晶性ポリエステル樹脂の試料を入れた後、DSCの測定部にアルミ皿をセットする。リファレンスには空のアルミ皿を用いた。30℃を測定開始温度とし、10℃/分の速度で170℃まで昇温を行う。昇温の際に観測される融解熱の最大ピーク温度を、結晶性ポリエステル樹脂の融点(Mpc)とする
高架式フローテスター(例えば、CFT−500D(株式会社島津製作所製))を用いて結着樹脂の軟化点(Tm)の測定を行う。測定試料を高化式フローテスターにセットし、ダイス細孔経1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の試料を溶融流出させて軟化点(Tm)を測定する。高架式フローテスターの測定により得られる、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブから、結着樹脂の軟化点(Tm)を読み取る。
トナーコアは、定着性や耐オフセット性を向上させる目的で、離型剤を含む。示差走査熱量計を用いて測定される、離型剤の融点Mprは50℃以上100℃以下である。
示差走査熱量計(DSC)として、DSC6220(セイコーインスツル株式会社製)を用いる。アルミ皿に10mgの離型剤の試料を入れた後、DSCの測定部にアルミ皿をセットする。リファレンスには空のアルミ皿を用いる。まず、10℃/分の速度で試料を10℃から150℃まで昇温させる。次に、10℃/分の速度で試料を10℃まで冷却する。その後、再び試料を昇温速度10℃/分で150℃まで加熱する。再加熱時のDSC曲線中の融解熱の最大ピーク(吸熱ピーク)の温度を、離型剤の融点(Mpr)とする。
トナー10gを150℃の温度で溶融させ、トナー溶融物を得る。次いで、トナー溶融物を常温まで冷却して固化させ、固体試料を得る。固体試料を、メチルエチルケトン(MEK)中で、25℃で24時間静置して得られる試料をガラスフィルター(目開き規格11G‐3)でろ過する。次いで、ガラスフィルター上の残渣を50℃のトルエン30mL中に加えた後、トルエンを25℃まで冷却する。その後、残渣を含むトルエンを、25℃で4時間静置して得られる試料を、ガラスフィルター(目開き規格11G‐3)でろ過する。ろ液を12時間静置した後、上澄み液を採取する。上澄み液を60℃で真空乾燥して、乾燥後の残渣として離型剤が得られる。
トナーコアは必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
電荷制御剤は、帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。シェル層中に帯電機能を有する成分が含まれる場合、トナーコアに電荷制御剤を使用しなくてもよい。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
トナーコアには、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を配合してもよい。このようにして製造される磁性粉を含むトナーコアを用いて製造されたトナー粒子を含むトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト、及びマグネタイトのような鉄;コバルト、及びニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
シェル層を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む。なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位とは、メラミンのようなモノマーにホルムアルデヒドに由来するメチレン基(−CH2−)が導入された単位を意味する。シェル層は、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂の、モノマーに由来する単位を含む樹脂からなる。以下、シェル層を構成する樹脂を形成する際に、好適に使用できる、熱硬化性樹脂のモノマーについて説明する。
熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を樹脂に導入するために用いられるモノマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の熱硬化性樹脂の形成に使用されるモノマー及び初期縮合物である。
シェル層の厚さ=熱硬化性樹脂のモノマーの量/トナーコアの比表面積
本発明のトナーに含まれるトナー粒子は、必要に応じてその表面に外添剤を付着させてもよい。なお、本出願の明細書、及び特許請求の範囲では、外添剤により処理される前の粒子を、トナー母粒子と記載する場合がある。
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用できる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
トナーの製造方法は、トナーコアを前述の所定の材質からなるシェル層で被覆できる方法であれば特に限定されない。
トナーコアの製造方法としては、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉のような成分を良好に分散させることができれば特に限定されず、公知の方法から適宜選択できる。トナーコアの製造方法としては、粉砕法と、凝集法とが挙げられる。
粉砕法は、必須成分である結着樹脂と、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような任意成分とを混合した後、混合物を溶融混練して得られる溶融混練物を、粉砕、分級して、所望の粒子径のトナーコアを得る方法である。粉砕法は、後述の凝集法と比較して、トナーコアの調製が容易である利点を有する。一方で、粉砕法は、粉砕工程を経てトナーコアを得るがゆえに、平均円形度の高いトナーコアを得にくい点で、凝集法よりも不利である。しかし、後述するシェル層の形成工程では、シェル層の原料の加熱によりシェル層の硬化反応が進行する際に、トナーコアが表面張力によって収縮することや、やや軟化することでトナーコアが球形化される。従って、トナーコアを粉砕法で製造する場合、トナーコアの平均円形度が幾分低くても大きなデメリットとはならない。以上より、本発明のトナーの製造に用いるトナーコアの製造方法としては、粉砕法が特に好ましい。
凝集法では、結着樹脂、離型剤、及び着色剤のようなトナーに含まれる成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて凝集粒子を得た後、凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させてトナーコアを含む水性分散液を得る。水性分散液から分散剤のような成分を除去し、洗浄したトナーコアを用いて、後述の方法でトナーコアにシェル層を形成する。このような手順により、粉砕法でトナーコアを製造した場合と同様のトナー粒子(トナー母粒子)を得られる。
トナーコア0.2gと、イオン交換水80g(mL)及び1%濃度のノニオン系界面活性剤(ポリビニルピロリドン、K−85(日本触媒株式会社製)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合し、トナーコアを均一に溶媒に分散させて分散液を得る。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液を得る。pH4のトナーコアの分散液を測定試料として用い、分散液中のトナーコアのゼータ電位を、ゼータ電位・粒度分布測定装置(Delsa Nano HC(ベックマン・コールター社製))を用いて測定する。
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)と、トナーコアとを、ターブラミキサーを用いて30分間混合する。この時、トナーコアの使用量は、標準キャリアの質量に対して7質量%である。混合後、トナーコアの摩擦帯電量を、QMメーター(MODEL 210HS−2A(TREK社製))を用いて測定する。このようにして測定されるトナーコアの摩擦帯電量は、トナーコアが正負何れの極性に帯電されやすいかと、トナーコアの帯電されやすさの指標となる。
トナーコアを被覆するシェル層は、メラミン、尿素、及びグリオキザールと尿素との反応物や、これらとホルムアルデヒドとの付加反応によって生成される前駆体(メチロール化物)と、必要に応じて、熱可塑性樹脂とを用いて形成される。また、シェル層を形成する際には、シェル層の形成に用いる溶媒に対する、結着樹脂の溶解や、トナーコアに含まれる離型剤のような成分の溶出を防ぐ必要がある。このため、シェル層の形成は、水のような溶媒中で行われるのが好ましい。
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じて、水を用いて洗浄される。好適な洗浄方法としては、トナー粒子(トナー母粒子)を含む水性分散液から、固液分離によりトナー粒子(トナー母粒子)をウエットケーキとして回収し、得られるウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナー粒子(トナー母粒子)を含む分散液中のトナー粒子(トナー母粒子)を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子(トナー母粒子)を水に再分散させる方法が挙げられる。
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じて乾燥されてもよい。トナー粒子(トナー母粒子)を乾燥させる好適な方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、及び減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子(トナー母粒子)の凝集を抑制することがあることからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー母粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することによって、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
トナー粒子(トナー母粒子)は、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。上記方法により得られるトナー母粒子の表面に外添剤を付着させる好適な方法としては、外添剤がトナー母粒子表面に埋没しないように条件を調整して、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、トナー母粒子と外添剤とを混合する方法が挙げられる。
〔非結晶性ポリエステル樹脂A〜Fの調製〕
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物1575g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物163g、フマル酸377g、及び触媒(酸化ジブチル錫)4gを反応容器に仕込んだ。反応容器内を窒素雰囲気とした後、反応容器の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を220℃まで上昇させた。同温度で8時間反応を行った後、反応容器内を60mmHgに減圧してさらに1時間反応を行った。その後、反応混合物を210℃に冷却し、トリメリット酸無水物336gを反応容器に添加した。トリメリット酸無水物の添加後、反応混合物が表1に記載の物性になるまで、同温度で反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、非結晶性ポリエステル樹脂Aを得た。得られる非結晶性ポリエステル樹脂が表1の物性となるように、上記の非結晶性ポリエステル樹脂Aの調製条件を適宜変更して、非結晶性ポリエステル樹脂B〜Fを得た。
〔結晶性ポリエステル樹脂A及びBの調製〕
1,6−ヘキサンジオール132g、1,10−デカンジカルボン酸230g、触媒(酸化ジブチル錫)1g、及びハイドロキノン0.3gを反応容器に仕込んだ。反応容器内を窒素雰囲気とした後、反応容器の内容物を撹拌しながら反応容器内部の温度を200℃まで上昇させた。同温度で副生水を留去しながら、5時間重合反応を行った。次いで、反応容器内を5〜20mmHgに減圧して、重合反応を継続し、同温度で、反応混合物が表2に記載の物性になるまで反応を行った。反応終了後、反応容器の内容物を取り出して冷却し、結晶性ポリエステル樹脂A及びBを得た。なお、表2に記載のMpcは、DSCを用いて測定される、結晶性ポリエステルの融点である。
実施例、及び比較例では、表3に記載の融点Mpの合成エステルワックスである、離型剤A〜Fを用いた。離型剤A〜Fは何れも日油株式会社製であり、離型剤A及びCは、表3に記載の種類の合成エステルワックスを用い、離型剤B、及びD〜Fは試作品の合成エステルワックスを用いた。離型剤A〜Fの融点Mpは、以下の方法で測定した。
示差走査熱量計(DSC)として、DSC6220(セイコーインスツル株式会社製)を用いた。アルミ皿に10mgの離型剤の試料を入れた後、DSCの測定部にアルミ皿をセットした。リファレンスには空のアルミ皿を用いた。10℃/分の速度で10℃から150℃まで昇温を行った後、10℃/分の速度で10℃まで冷却した。その後、再び試料を昇温速度10℃/分で150℃まで加熱して、再加熱時の測定によりDSC曲線を得た。得られたDSC曲線中の融解熱の最大ピーク(吸熱ピーク)の温度を、試料の融点(Mpr)とした。
実施例では、合成エステルワックス以外の離型剤として、以下の離型剤G及びHを用いた。
離型剤G:カルナバワックス(KCW−0340(日本精蝋株式会社製)、融点Mpr85℃)
離型剤H:炭化水素ワックス(試作品(日本精蝋株式会社製)、融点Mpr70℃)
〔トナーコアの調製〕
結着樹脂として、表4〜9に記載の種類の非結晶性ポリエステル樹脂100質量部と、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン))5質量部と、表4〜9に記載の種類の離型剤5質量部とを、混合機(ヘンシェルミキサー)を用いて混合し、混合物を得た。
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)と、標準キャリアの質量に対して7質量%のトナーコアとを、ターブラミキサーを用いて30分間混合した。得られた混合物を測定試料として、標準キャリアと摩擦させた場合のトナーコアの摩擦帯電量を、QMメーター(MODEL 210HS−2A(TREK社製))を用いて測定した。このようにして測定される摩擦帯電量は、トナーコアが正負何れの極性に帯電されやすいかと、トナーコアの帯電されやすさの指標となる。
トナーコア0.2gと、イオン交換水80g(mL)及び1%濃度のノニオン系界面活性剤(ポリビニルピロリドン、K−85(日本触媒株式会社製)20gとを、マグネットスターラーを用いて混合し、トナーコアを均一に溶媒に分散させて分散液を得た。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコアの分散液を得た。pH4のトナーコアの分散液を測定試料として用い、分散液中のトナーコアのゼータ電位を、ゼータ電位・粒度分布測定装置(Delsa Nano HC(ベックマン・コールター社製))を用いて測定した。
温度計、及び撹拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水300mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いで、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内の水性媒体のpHを4に調整した。pH調整後、フラスコ内に、シェル層の原料として、表4〜8に記載の量のメチロールメラミン水溶液(ミルベン607(昭和電工株式会社製)、固形分濃度80質量%)を添加した。次いで、フラスコの内容物を撹拌し、シェル層の原料を水性媒体に溶解させ、シェル層の原料の水溶液(A)を得た。
ブフナーロートを用いて、トナー母粒子を含む分散液からトナー母粒子のウエットケーキをろ取した。トナー母粒子のウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。トナー母粒子のイオン交換水による同様の洗浄を5回繰り返した。
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))に供給することにより、スラリー中のトナー母粒子を乾燥させて、トナー母粒子を得た。コートマイザーを用いる乾燥条件は、熱風温度45℃、ブロアー風量2m3/分であった。
乾燥工程で得られたトナー母粒子100質量部と、シリカ(REA90(日本アエロジル株式会社製))0.5質量部とを、10Lヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、5分間混合して外添剤を付着させた。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いてトナーを篩別した。
シェル層の原料を、メチロールメラミン水溶液から、メチロール化尿素の水溶液((BECKAMINE J−300S(DIC株式会社製))3mLに変えることの他は、実施例1と同様にして、実施例22のトナーを得た。
結着樹脂として、表9に記載の種類の非結晶性ポリエステル樹脂85質量部と、表9に記載の種類の結晶性ポリエステル樹脂15質量部とを用いる他は、実施例1と同様にして、実施例23及び24のトナーを得た。
シェル層の形成工程を行わず、トナーコアをトナー母粒子として用いた。トナー母粒子を実施例1と同様に外添処理して、比較例5のトナーを得た。
実施例1〜24、及び比較例1〜5のトナーについて、ガラス転移点Tgtを、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し、軟化点Tmtを、高架式フローテスターを用いて測定した。実施例1〜24、及び比較例1〜5のトナーのTmtを、表4〜9に記す。
実施例1〜24、及び比較例1〜4のトナーに含まれるトナー粒子の断面のTEM写真を、以下の方法に従って撮影した。なお、トナー粒子がシェル層を備えないため、比較例5のトナーに含まれるトナー粒子についてシェル層の厚さを測定しなかった。トナー粒子の断面のTEM写真から、以下の方法に従って、シェル層の厚さを測定した。実施例1〜24、及び比較例1〜4のトナーに含まれるトナー粒子が備えるシェル層の厚さを、表4〜9に記す。
まず、トナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に分散させ、40℃の雰囲気に2日間静置し、硬化物を得た。得られた硬化物を、四酸化オスミウムを用いて染色した。その後、得られた硬化物から、ミクロトーム(EM UC6(ライカ株式会社製))を用いて、厚さ200nmのトナー粒子の断面観察用の薄片試料を切り出した。得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM、JSM−6700F(日本電子株式会社製))を用いて倍率3000倍及び10000倍で観察し、トナー粒子の断面のTEM写真を撮影した。
シェル層の厚さは、トナー粒子の断面のTEM撮影像を画像解析ソフトウェア(WinROOF(三谷商事株式会社製))を用いて解析することで計測した。具体的には、トナーの断面の略中心点で直交する2本の直線を引き、当該2本の直線上の、シェル層と交差する4箇所の長さを測定した。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子が備えるシェル層の厚さとした。このようなシェル層の厚さの測定を、10個のトナーに対して行い、測定対象の複数のトナーそれぞれが備えるシェル層の膜厚の平均値を求めた。求められた平均値を、トナーが備えるシェル層の膜厚とした。
実施例1〜24、及び比較例1〜5のトナーについて、上述するトナー粒子の断面のTEM写真の撮影方法と同様の方法を用いて、厚さ150nmのトナー粒子の断面観察用の薄片試料を切り出した。得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡(TEM、JIM−7600F(日本電子株式会社製))を用いて倍率3000倍で観察し、トナー粒子の断面のTEM写真を撮影した。トナー粒子の断面のTEM写真から、以下の方法に従って、離型剤の個数平均分散径を測定した。実施例1〜24、及び比較例1〜5のトナーに含まれるトナー粒子の断面のTEM画像における、離型剤の個数平均分散径を、表4〜9に記す。
離型剤の個数平均分散径は、トナー粒子の断面のTEM撮影像を画像解析ソフトウェア(WinROOF(三谷商事株式会社製))を用いて解析することで計測した。具体的には、TEM画像中のトナー粒子に含まれる離型剤粒子10個の粒子径をそれぞれ測定し、測定した粒子径の平均値を、当該トナー粒子に含まれる離型剤の分散径とした。このような離型剤の分散径の測定を、任意の30個のトナー粒子に対して行った。次いで、測定対象の複数のトナー粒子について求めた各トナー粒子に含まれる離型剤の分散径の値から、それらの平均値を算出した。算出された平均値を、離型剤の個数平均分散径とした。
実施例1〜24、及び比較例1〜5のトナーについて、以下の方法に従って、耐熱保存性を評価した。実施例1〜24、及び比較例1〜5のトナーの耐熱保存性の評価結果を、表4〜9に記す。
トナー2gを、容量20mLのポリ容器に秤量し、60℃に設定された恒温器内に3時間静置することで、耐熱保存性評価用のトナーを得た。その後、耐熱保存性評価用のトナーを、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。篩別後に、篩上に残留したトナーの質量を測定した。篩別前のトナーの質量と、篩別後に篩上に残留したトナーの質量とから、下式に従って凝集度(%)を求めた。算出された凝集度から、下記基準に従って耐熱保存性を評価した。○評価を合格とした。
(凝集度算出式)
凝集度(%)=篩上に残留したトナー質量/篩別前のトナーの質量×100
○:凝集度が30%以下。
×:凝集度が30%超。
実施例1〜24、及び比較例1〜5のトナーを用いて、以下の方法に従って、低温定着性、耐高温オフセット性、及び形成画像のグロスを評価した。低温定着性、耐高温オフセット性、及び形成画像のグロスの評価は、以下の方法に従って調製された2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜24、及び比較例1〜5のトナーの低温定着性、耐高温オフセット性、及び形成画像のグロスの評価結果を、表4〜9に記す。
〔2成分現像剤の調製〕
現像剤用キャリア(TASKalfa5550用キャリア)と、キャリアの質量に対して10質量%のトナーとを、ボールミルにて30分間混合して2成分現像剤を調製した。
評価機として、定着温度を調節できるように改造したプリンター(FSC−5250DN(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))を用いた。製造例3で調製した2成分現像剤を評価機の現像部に投入し、トナーを評価機のトナーコンテナに投入した。評価機について、線速を200mm/秒、及びトナー載り量を1.0mg/cm2に設定して、被記録媒体に未定着のベタ画像を形成した。100℃以上200℃以下の温度範囲で、評価機の定着装置の定着温度を100℃から1℃ずつ上昇させて、未定着のベタ画像を定着させた。ベタ画像が定着された被記録媒体を、画像を形成した面が内側となるように半分に折り曲げ、布帛で覆った1kgの分銅を用いて、折り目上を5往復摩擦した。次いで、被記録媒体を広げ、定着された画像の折り曲げ部を観察した。折り曲げ部のトナーの剥がれが1mm以下の場合を合格と判定し、1mm超の場合を不合格と判定した。トナーの剥がれが合格と判定される最低の定着温度を最低定着温度とした。低温定着性を、下記基準に従って評価した。
○:最低定着温度が160℃以下。
×:最低定着温度が160℃超。
低温定着性の評価と同様の評価機、及び被記録媒体を用い、同様の条件で、被記録媒体に未定着のベタ画像を形成した。120℃以上210℃以下の温度範囲で、評価機の定着装置の定着温度を120℃から1℃ずつ上昇させて、未定着のベタ画像を定着させた。オフセットが発生した最低温度をオフセット発生温度とした。耐高温オフセット性を、下記基準に従って評価した。
○:オフセット発生温度が200℃以上。
×:オフセット発生温度が200℃未満。
評価機として、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製のページプリンター(FS−C5300DN、線速170mm/秒)を用いた。製造例4で調製した2成分現像剤を評価機の現像部に投入し、トナーを評価機のトナーコンテナに投入した。評価機を用いて、常温常湿環境下(20℃65%RH)で、被記録媒体(C2紙(富士ゼロックス株式会社製)、70g/m2)に、30mm×30mm(トナー載り量:0.5mg/cm2)のベタ画像を形成させた。ベタ画像の光沢度(グロス値)を、グロスチェッカー(ハンディ光沢計(IG−331(株式会社堀場製作所製)、測定角度:60°)を用いて測定した。測定したグロス値から、形成画像のグロスを、下記基準に従って評価した。
○:グロス値が10以上。
×:グロス値が10未満。
・結着樹脂、及び離型剤を含むトナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を、含むトナーであって、
・示差走査熱量計を用いて測定される、離型剤の融点Mprが50℃以上100℃以下であり、
・シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
・熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
・透過型電子顕微鏡を用いて倍率3000倍で撮影したトナー粒子の断面の画像における、離型剤の個数平均分散径が30nm以上500nm以下である、
トナーは、耐熱保存性及び低温定着性に優れ、高温で定着を行う場合のオフセットの発生を抑制でき、所望するグロスを有する画像を形成できることが分かる。
Claims (7)
- 結着樹脂、及び離型剤を含むトナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とからなるトナー粒子を含む、静電潜像現像用トナーであって、
示差走査熱量計を用いて測定される、前記離型剤の融点Mprが50℃以上100℃以下であり、
前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位を含む樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びグリオキザール樹脂からなるアミノ樹脂群より選択される1種以上の樹脂であり、
透過型電子顕微鏡を用いて倍率3000倍で撮影した前記トナー粒子の断面の画像における、前記離型剤の個数平均分散径が30nm以上500nm以下である、静電潜像現像用トナー。 - 前記シェル層が、熱硬化性樹脂のモノマーに由来する単位と、熱可塑性樹脂に由来する単位と、を含む樹脂からなる、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記離型剤が合成エステルワックスからなる、請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記結着樹脂がポリエステル樹脂からなり、
前記ポリエステル樹脂の質量平均分子量(Mw)が10,000以上50,000以下であり、
前記質量平均分子量(Mw)と前記ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)との比で表される、前記ポリエステル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が8以上50以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記ポリエステル樹脂の酸価が、5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、
前記ポリエステル樹脂の水酸基価が、15mgKOH/g以上80mgKOH/g以下である、請求項4に記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記ポリエステル樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含み、
示差走査熱量計を用いて測定される、前記結晶性ポリエステル樹脂の融点Mpcが50℃以上100℃以下である、請求項5に記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記トナーのガラス転移点Tgtが35℃以上50℃以下であり、
高架式フローテスターを用いて測定される、前記トナーの軟化点Tmtが70℃以上100℃以下である、請求項1〜6の何れか1項に記載の静電潜像現像用トナー。
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