JP2015048395A - 熱硬化性樹脂組成物及びレゾール型フェノール樹脂 - Google Patents

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正幸 齋藤
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明浩 大久保
優紀 八木
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優紀 八木
憲司 倉澤
Kenji Kurasawa
憲司 倉澤
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Abstract

【課題】植物由来率の高いレゾール型フェノール樹脂を用い、加熱成形時の硬化時間が短く、かつ、ポットライフ(可使時間)の長い熱硬化性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】植物由来率が65〜97質量%であり、原料のフェノール類としてカシューナットシェル油、カルダノール、ウルシオール、オイゲノールからなる群より選ばれる1以上の植物由来フェノール類が用いられているレゾール型フェノール樹脂と、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルと、を含有する熱硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、及びこれに用いるレゾール型フェノール樹脂に関する。
レゾール型フェノール樹脂は、これを布紙に含浸させた後、加熱し硬化させて成形品を得るのに好適な材料である。
従来、レゾール型フェノール樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドとを塩基性触媒下で反応させ、この反応生成物を必要に応じて水やメタノール等で希釈することにより製造されている。このレゾール型フェノール樹脂の原料であるフェノール等には、一般的に、化石燃料に由来するものが用いられてきた。
化石燃料には、将来的に枯渇の問題がある。また、化石燃料由来の原料を用いたレゾール型フェノール樹脂、これを含有する樹脂組成物及びその成形品等には、廃棄焼却時に二酸化炭素が排出して大気中の二酸化炭素総量を増加させる等、環境に負荷を与える問題がある。
かかる問題に対し、植物由来の原料を使用したフェノール樹脂が提案されている。
例えば、植物由来のオイル類(桐油、カシューナット油など)を用いて得られたレゾール型オイル変性フェノール樹脂、が開示されている(特許文献1参照)。
特開2009−67921号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたレゾール型オイル変性フェノール樹脂を用いた場合には、加熱成形時の硬化速度が遅いため、硬化を、高温で行う、又は、処理時間を長くする必要があった。
これに対し、加熱成形時の硬化の促進を図ることを目的として、レゾール型フェノール樹脂に酸(塩酸、硫酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等)を加える方法が考えられる。ところが、この場合、レゾール型フェノール樹脂と酸とを混ぜてからその混合物が粘度増加により使用できなくなるまでの時間、いわゆるポットライフ(可使時間)が短くなり、作業性に劣るという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、植物由来率の高いレゾール型フェノール樹脂を用い、加熱成形時の硬化時間が短く、かつ、ポットライフ(可使時間)の長い熱硬化性樹脂組成物、を課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、植物由来率が65〜97質量%のレゾール型フェノール樹脂と、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルと、を含有することを特徴とする。
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、前記ヒドロキシ基を有するリン酸エステルが、下記一般式(1)〜(4)でそれぞれ表される化合物からなる群より選ばれる1以上であることが好ましい。
Figure 2015048395
[式中、R11、R21、R22、R31、R32、R41、R42及びR43は、それぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基である。R21及びR22は、互いに同一であっても異なっていてもよい。R31及びR32は、互いに同一であっても異なっていてもよい。R41、R42及びR43は、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、前記ヒドロキシ基を有するリン酸エステルの含有割合が、前記レゾール型フェノール樹脂の固形分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。
また、本発明のレゾール型フェノール樹脂は、植物由来率が65〜97質量%であり、原料のフェノール類としてカシューナットシェル油、カルダノール、ウルシオール、オイゲノールからなる群より選ばれる1以上の植物由来フェノール類が用いられていることを特徴とする。
本発明によれば、植物由来率の高いレゾール型フェノール樹脂を用い、加熱成形時の硬化時間が短く、かつ、ポットライフ(可使時間)の長い熱硬化性樹脂組成物を提供できる。
<熱硬化性樹脂組成物>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、植物由来率が65〜97質量%のレゾール型フェノール樹脂と、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルと、を含有する。
(レゾール型フェノール樹脂)
本発明で用いられるレゾール型フェノール樹脂は、植物由来率が65〜97質量%であり、好ましくは70〜95質量%である。植物由来率が65質量%以上であれば、該レゾール型フェノール樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物の植物由来率を高くできる。植物由来率が97質量%以下であれば、化石燃料由来の原料を適宜用いることができ、生産性が高まる。
本発明において、レゾール型フェノール樹脂の植物由来率とは、レゾール型フェノール樹脂の固形分に対する植物由来成分の割合をいう。
レゾール型フェノール樹脂としては、塩基性触媒の存在下で、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られるものを用いることができる。
・フェノール類
本発明において、フェノール類とは、芳香族炭化水素核の水素原子をヒドロキシ基で置換した芳香族ヒドロキシ化合物をいう。
レゾール型フェノール樹脂を製造する際に用い得るフェノール類は、植物由来フェノール類を含む。植物由来フェノール類を含むことで、レゾール型フェノール樹脂の植物由来率が高くなると同時に、そのレゾール型フェノール樹脂を用いた成形物の柔軟性及び耐衝撃性が高まる。
フェノール類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
植物由来フェノール類としては、植物より採取された前記の芳香族ヒドロキシ化合物であれば特に限定されず、なかでも、持続的生産が可能で、かつ、植物の非可食部より製造される植物由来フェノール類であることから、カシューナットシェル油、カルダノール、ウルシオール、オイゲノールからなる群より選ばれる1以上が好ましく、これらのなかでも、入手しやすいことから、カシューナットシェル油、カルダノールがより好ましい。
また、フェノール類には、植物由来フェノール類の他に、必要に応じて、化石燃料(石油、石炭、天然ガス等)由来フェノール類が含まれていてもよい。
化石燃料由来フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、ブロモフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン等が挙げられる。
なかでも、レゾール型フェノール樹脂の硬化速度が高まり、また、アルコールに対する溶解性が向上することから、フェノール、クレゾール、レゾルシンが好ましい。
・アルデヒド類
本発明において、アルデヒド類とは、ホルミル基(−CHO)を有するカルボニル化合物をいう。
レゾール型フェノール樹脂を製造する際に用い得るアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、グリオキザール、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、フルフラール等が挙げられる。
なかでも、フェノール類との反応性に優れ、かつ、入手しやすいことから、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが好ましい。
アルデヒド類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・塩基性触媒
レゾール型フェノール樹脂を製造する際に用い得る塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属酸化物;アンモニア;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類等が挙げられる。
塩基性触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[レゾール型フェノール樹脂の製造]
フェノール類とアルデヒド類とを反応させる際、フェノール類として植物由来フェノール類と化石燃料由来フェノール類とを併用する場合、レゾール型フェノール樹脂の固形分に対して植物由来フェノール類が65〜97質量%となるように、両方のフェノール類を併用すればよい。
例えば、一般的な減圧蒸留条件で留出する化石燃料由来フェノール類を用いる場合、植物由来フェノール類と化石燃料由来フェノール類との配合比率は、植物由来フェノール類/化石燃料由来フェノール類のモル比を100/0〜25/75とすることが好ましい。これにより、レゾール型フェノール樹脂の固形分に対して植物由来フェノール類が容易に65〜97質量%となる。
フェノール類(植物由来フェノール類と化石燃料由来フェノール類とを併用する場合はその総量)とアルデヒド類との配合比率は、フェノール類1モルに対してアルデヒド類が0.5〜1.5モルであることが好ましい。フェノール類に対するアルデヒド類の割合が好ましい下限値以上であると、レゾール型フェノール樹脂の硬化速度が高まり、加えて、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の機械的強度がより高くなる。フェノール類に対するアルデヒド類の割合が好ましい上限値以下であると、経時変化による樹脂分子量の成長が抑制され、レゾール型フェノール樹脂の保存安定性に優れる。
さらに、レゾール型フェノール樹脂の硬化速度とポットライフ(可使時間)と保存安定性とのバランスに優れることから、フェノール類1モルに対してアルデヒド類が0.8〜1.2モルであることがより好ましい。
フェノール類とアルデヒド類とを反応させる際、塩基性触媒の使用量は、フェノール類(植物由来フェノール類と化石燃料由来フェノール類とを併用する場合はその総量)100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。塩基性触媒の使用量が好ましい下限値以上であると、触媒作用が有効に働きやすく、塩基性触媒の使用量が好ましい上限値以下であると、反応時に発生する熱の制御が容易となる。
さらに、塩基性触媒の使用量は、フェノール類(植物由来フェノール類と化石燃料由来フェノール類とを併用する場合はその総量)100質量部に対して0.5〜5質量部であることがより好ましい。塩基性触媒の使用量がより好ましい下限値以上であると、比較的短い時間で所定の分子量まで反応を進行させることができ、塩基性触媒の使用量がより好ましい上限値以下であると、反応時に発生する熱の制御が容易であると同時に、分子量制御も容易となる。
フェノール類とアルデヒド類との反応は、有機溶剤中で行うことができる。
この有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。
なかでも、反応により生成する樹脂の溶解性に優れると同時に、樹脂溶液として使用する際に扱いやすいことから、1価アルコール、ケトン類が好ましく、そのなかでも、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンがより好ましい。
有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤の使用量は、反応後の反応液中の樹脂固形分濃度が30〜80質量%程度となる量が好ましい。有機溶剤の使用量が、樹脂固形分濃度の下限値以上となる量であると、レゾール型フェノール樹脂溶液として保管や輸送が容易になり、樹脂固形分濃度の上限値以下となる量であると、レゾール型フェノール樹脂溶液の保存安定性が高まる。
フェノール類とアルデヒド類とを反応させる際の反応温度は、50〜120℃であることが好ましい。反応温度が好ましい下限値以上であれば、両者を充分に反応させることができ、反応温度が好ましい上限値以下であれば、分解がより抑制される。
フェノール類とアルデヒド類との反応時間は、20分間以上、8時間以下であることが好ましい。反応時間が好ましい下限値以上であれば、高い収率でレゾール型フェノール樹脂が得られやすくなり、反応時間が好ましい上限値以下であれば、生産性の低下が抑制される。
レゾール型フェノール樹脂の製造においては、塩基性触媒の存在下でフェノール類とアルデヒド類とを反応させた後、減圧蒸留等により水分を除去し、アルコール等の有機溶剤を加えた後、所定の分子量となるまで、50〜120℃で反応させることが好ましい。
上記のレゾール型フェノール樹脂の製造方法においては、例えば、該有機溶剤としてメタノールを用い、樹脂固形分を50質量%とした場合、粘度が10〜800mPa・sのレゾール型フェノール樹脂溶液が容易に得られる。
本発明において、溶液の粘度は、粘度計(トキメック社製のEL型粘度計)を使用し、温度条件を25℃に設定することにより測定される値を示す。
(ヒドロキシ基を有するリン酸エステル)
本発明において、「リン酸」とは、十酸化四リン(P10)が加水分解を受けて生ずる種々のオキソ酸の総称であり、下記化学式で表されるオルトリン酸、ピロリン酸(二リン酸)、三リン酸、四リン酸、メタリン酸等を包含する。
Figure 2015048395
本発明において、「リン酸エステル」とは、上記「リン酸」中のヒドロキシ基(−OH)の水素原子が、置換基を有していてもよい炭化水素基で置換されているものをいう。
「ヒドロキシ基を有するリン酸エステル」とは、上記「リン酸」中の全部のヒドロキシ基の水素原子が、置換基を有していてもよい炭化水素基で置換されていないもの、すなわち、「リン酸」由来のヒドロキシ基が1つ以上残っているリン酸エステルをいう。
かかるヒドロキシ基を有するリン酸エステルを、レゾール型フェノール樹脂の硬化促進剤として用いることで、充分に長いポットライフ(可使時間)を有した状態で、硬化促進を図ることができる。
ヒドロキシ基を有するリン酸エステルとしては、例えば、下記の一般式(1)で表される化合物(1)、一般式(2)で表される化合物(2)、一般式(3)で表される化合物(3)、一般式(4)で表される化合物(4)が挙げられる。
Figure 2015048395
前記の式(1)〜(4)中、R11、R21、R22、R31、R32、R41、R42及びR43は、それぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基である。
「置換基を有していてもよい炭化水素基」とは、置換基を有していない炭化水素基、及び、置換基を有する炭化水素基を包含する。
ここで「置換基を有する炭化水素基」とは、炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基をいう。
置換基を有していてもよい炭化水素基における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
ここでの脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、鎖状の基、環状の基、又は、鎖と環とを有する基のいずれであってもよく、これらのなかでも、鎖状の炭化水素基であることが好ましい。また、かかる脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよく、飽和炭化水素基であることが好ましい。かかる脂肪族炭化水素基としては、鎖状の飽和炭化水素基であることが特に好ましい。
かかる脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜24が好ましく、1〜18がより好ましく、1〜12がさらに好ましく、1〜8が特に好ましい。
かかる脂肪族炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、オレイル基、ステアリル基等の直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基が挙げられる。
ここでの芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。かかる芳香族炭化水素基としては、アリール基、アリールアルキル基などが挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
炭化水素基を有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。
前記の式(1)〜(4)中、R21及びR22は、互いに同一であっても異なっていてもよい。R31及びR32は、互いに同一であっても異なっていてもよい。R41、R42及びR43は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
なかでも、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルは、上記の化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)及び化合物(4)からなる群より選ばれる1以上であることが好ましく、化合物(1)及び化合物(2)からなる群より選ばれる1以上であることがより好ましく、化合物(1)及び化合物(2)であることがさらに好ましい。
ヒドロキシ基を有するリン酸エステルとして、具体的には、オルトリン酸モノメチル、オルトリン酸モノエチル、オルトリン酸モノプロピル、オルトリン酸モノブチル、オルトリン酸モノ−2−エチルヘキシル等のオルトリン酸のモノエステル;オルトリン酸ジメチル、オルトリン酸ジエチル、オルトリン酸ジプロピル、オルトリン酸ジブチル、オルトリン酸ジ−2−エチルヘキシル等のオルトリン酸のジエステルなどが挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、リン酸エステルのうち、ヒドロキシ基を有するものを含有していれば、下記の一般式(5)で表される化合物(5)、一般式(6)で表される化合物(6)又は下記化学式(7)で表される化合物(リン酸)を含有していてもよい。
Figure 2015048395
前記の式(5)、(6)中、R51、R52、R53、R61、R62、R63及びR64は、それぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基であり、上記の式(1)中のR11における「置換基を有していてもよい炭化水素基」と同様である。
51、R52及びR53は、互いに同一であっても異なっていてもよい。R61、R62、R63及びR64は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
通常、市販品等には、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルに加えて、リン酸と、「リン酸」中の全部のヒドロキシ基の水素原子が置換されたリン酸エステルと、を含む混合物(以下この混合物を「酸性リン酸エステル」という)が用いられている。
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルの含有割合が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上の酸性リン酸エステルを用いることが好ましい。酸性リン酸エステル中、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルの含有割合は100質量%であってもよい。
酸性リン酸エステル中に化合物(1)と化合物(2)とを含む場合、酸性リン酸エステル中、化合物(1)と化合物(2)との合計の含有割合は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましい。
酸性リン酸エステルとして、具体的には、オルトリン酸のモノエステル及びジエステルの少なくとも一方を含むものが挙げられる。好ましいものとしては、オルトリン酸モノメチルとオルトリン酸ジメチルとを主成分とした酸性リン酸エステル、オルトリン酸モノエチルとオルトリン酸ジエチルとを主成分とした酸性リン酸エステル、オルトリン酸モノプロピルとオルトリン酸ジプロピルとを主成分とした酸性リン酸エステル、オルトリン酸モノブチルとオルトリン酸ジブチルとを主成分とした酸性リン酸エステル、オルトリン酸モノ−2−エチルヘキシルとオルトリン酸ジ−2−エチルヘキシルとを主成分とした酸性リン酸エステルが挙げられる。
これらのいずれかを用いることにより、長いポットライフ(可使時間)、及び、良好な硬化促進効果がいずれも得られやすく、加えて、レゾール型フェノール樹脂との相溶性や取り扱い性に優れる。
尚、例えば「オルトリン酸モノメチルとオルトリン酸ジメチルとを主成分とした酸性リン酸エステル」とは、オルトリン酸モノメチルとオルトリン酸ジメチルとが、酸性リン酸エステル中に50質量%以上含まれていること、を意味する。
熱硬化性樹脂組成物中の、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルの含有割合は、上記レゾール型フェノール樹脂の固形分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがより好ましい。
ヒドロキシ基を有するリン酸エステルの含有割合が好ましい下限値以上であると、レゾール型フェノール樹脂の硬化促進の効果がより効果的に発現する。ヒドロキシ基を有するリン酸エステルの含有割合が好ましい上限値以下であると、ポットライフ(可使時間)がより長くなり、作業性が向上する。
熱硬化性樹脂組成物は、上記のレゾール型フェノール樹脂、及びヒドロキシ基を有するリン酸エステル以外のその他成分を含有してもよい。
熱硬化性樹脂組成物の植物由来率は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。
本発明において、熱硬化性樹脂組成物の植物由来率とは、熱硬化性樹脂組成物の固形分に対する植物由来成分の割合をいう。例えば、上記のレゾール型フェノール樹脂と酸性リン酸エステルとからなる熱硬化性樹脂組成物の植物由来率は、レゾール型フェノール樹脂(固形分)と酸性リン酸エステル(不揮発分)との合計の使用量に対する、レゾール型フェノール樹脂(固形分)の使用量のうち植物に由来する量の割合をいう。
熱硬化性樹脂組成物は、レゾール型フェノール樹脂と、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルと、を混合することにより製造することができる。
例えば、固形分50質量%のレゾール型フェノール樹脂溶液(溶媒メタノール)を用いた場合、製造直後の粘度が5〜780mPa・s程度の熱硬化性樹脂組成物が容易に得られる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、植物由来率が65〜97質量%のレゾール型フェノール樹脂を含有するため、樹脂組成物としての植物由来率が高くなる。つまり、該熱硬化性樹脂組成物によれば、化石燃料由来の原料の消費を抑えることができる。植物由来率が高いほど、大気中の二酸化炭素の増量(地球温暖化)を抑制する効果が高く、該熱硬化性樹脂組成物は環境に与える負荷が低い。
また、該熱硬化性樹脂組成物においては、レゾール型フェノール樹脂と、硬化促進剤としてヒドロキシ基を有するリン酸エステルと、が併用されている。これにより、レゾール型フェノール樹脂の硬化速度が速くなる。加えて、ポットライフ(可使時間)も長くなり、作業性が向上する。
加えて、従来、レゾール型フェノール樹脂を用いた成形物は、硬くて脆く、柔軟性及び耐衝撃性に劣っていた。しかし、植物由来率が高いレゾール型フェノール樹脂を用いた本発明の熱硬化性樹脂組成物によれば、意外にも、柔軟性及び耐衝撃性に優れた成形物を提供することができる。
本発明のレゾール型フェノール樹脂、及びこれを用いた熱硬化性樹脂組成物は、例えば、熱硬化性成形材料、無機又は有機フィラーバインダー、接着剤、塗料、樹脂含浸布紙、樹脂強化布紙、エアフィルター、オイルフィルターなどに好適に使用することができる。
熱硬化性成形材料は、混練機(ヘンシェルミキサー、2軸ロール、バンバリーミキサー等)を用い、必要に応じて加温下、本発明の熱硬化性樹脂組成物と、有機フィラー、無機フィラー、消石灰等の硬化触媒、離形剤又は着色剤等の原料と、を混練し、粉状や粒状に粗砕することにより調製できる。この熱硬化性成形材料を、圧縮成形、押し出し成形、トランスファー成形、射出成形等の公知の方法で成形することにより成形品が得られる。
また、接着剤又は塗料は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、適した溶剤に溶解又は分散させ、カップリング剤、レベリング剤、染料、顔料等と混合することにより調製できる。
樹脂含浸布紙は、クラフト紙、ろ紙、綿布、化繊布、ガラス繊維布等に、本発明の熱硬化性樹脂組成物を含浸させた後、乾燥することにより得られる。
さらに、前記の方法により得られた樹脂含浸布紙を、熱風乾燥機内で加熱することにより硬化を行い、必要に応じてプリーツ加工等を施すことにより樹脂強化布紙が得られる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<評価>
本実施例において、レゾール型フェノール樹脂の植物由来率、熱硬化性樹脂組成物の植物由来率、樹脂強化紙の植物由来率は、以下のようにしてそれぞれ算出した。
また、熱硬化性樹脂組成物のゲル化時間、熱硬化性樹脂組成物の粘度、樹脂強化紙(硬化後)についての引張強度及び引張弾性率を、以下の方法によりそれぞれ測定した。
さらに、熱硬化性樹脂組成物のポットライフ(可使時間)の評価を、以下のようにして行った。
[レゾール型フェノール樹脂の植物由来率]
レゾール型フェノール樹脂の植物由来率は、下式に従って算出した。
レゾール型フェノール樹脂の植物由来率(質量%)
=[原料の植物由来フェノール類(g)]/[レゾール型フェノール樹脂の固形分(g)]×100
レゾール型フェノール樹脂の植物由来率が高いほど、レゾール型フェノール樹脂は化石燃料に対する依存が低いことを意味する。植物由来成分は、大気中の二酸化炭素を用いた光合成により得られるため、廃棄焼却時に排出される二酸化炭素は、カーボンニュートラルの考えにより、大気中の二酸化炭素量の増加に影響を与えないと考えられる。したがって、植物由来率が高いほど、大気中の二酸化炭素の増量(地球温暖化)を抑制する効果が高く、環境に対する負荷が低くなる。
[熱硬化性樹脂組成物の植物由来率]
熱硬化性樹脂組成物の植物由来率は、下式に従って算出した。
熱硬化性樹脂組成物の植物由来率(質量%)
={[レゾール型フェノール樹脂(固形分)の使用量(g)]×[レゾール型フェノール樹脂の植物由来率(質量%)×0.01]}/{[レゾール型フェノール樹脂(固形分)の使用量(g)]+[硬化促進剤(不揮発分)の使用量(g)]}×100
[樹脂強化紙の植物由来率]
樹脂強化紙の植物由来率は、下式に従って算出した。
樹脂強化紙の植物由来率(質量%)
=[ろ紙に付着した熱硬化性樹脂組成物の量(質量%)]×[熱硬化性樹脂組成物の植物由来率(質量%)×0.01]+{100−[ろ紙に付着した熱硬化性樹脂組成物の量(質量%)]}
但し、ろ紙に使用される紙成分は、100%植物由来のセルロースとして算出した。
式中、[ろ紙に付着した熱硬化性樹脂組成物の量(質量%)]は下式に従って算出される。
ろ紙に付着した熱硬化性樹脂組成物の量(質量%)
={[樹脂強化紙の質量(g)]−[乾燥状態のろ紙の質量(g)]}/[樹脂強化紙の質量(g)]×100
[熱硬化性樹脂組成物のゲル化時間]
150℃に設定した、直径20mm、深さ2mmのくぼみを持った熱板のくぼみ内に、各実験例の熱硬化性樹脂組成物0.2mLを入れ、該樹脂組成物を、針にて速やかに20mmの円形状に広げ、その針先で毎分90回の速度でかき混ぜ、糸を引かなくなるまでの時間(秒)を測定し、これを「ゲル化時間」として表1に示した。
このゲル化時間が短いほど、熱硬化性樹脂組成物が短時間で硬化し、生産性に優れる。
[熱硬化性樹脂組成物の粘度]
熱硬化性樹脂組成物の粘度(mPa・s)は、粘度計(トキメック社製のEL型粘度計)を使用し、温度条件を25℃に設定することにより測定した。
[ポットライフ(可使時間)の評価]
ゲル化時間が約30秒となるように調製した各実験例の熱硬化性樹脂組成物(実験例8を除く)を、密閉されたポリ容器内に25℃にて保管し、熱硬化性樹脂組成物を調製した直後、調製直後から1時間後、2時間後、4時間後、6時間後に、熱硬化性樹脂組成物の粘度を前記の測定方法により測定した。そして、各経過時間後と調製直後との粘度の差を求め、以下の評価基準によりポットライフについて評価した。
かかる粘度の差が小さいほど、ポットライフが長く、作業性に優れる。
評価基準
○:6時間後と調製直後との粘度の差が0〜20mPa・sの範囲内であった。経時後も問題なく使用することができる。
△:6時間後と調製直後との粘度の差が20mPa・s超、100mPa・s以下の範囲内であった。経時前後で布紙への樹脂付着量を一定にできない等の不具合を生じるおそれがある。
×:6時間後と調製直後との粘度の差が100mPa・s超であった、又は、ゲル化が認められた。このものは使用不可能である。
[引張強度及び引張弾性率の測定]
各実験例の樹脂強化紙(硬化後)の引張強度及び引張弾性率は、後述の方法によって作製された樹脂強化紙から、15mm×60mmの試験片を切り出し、東洋精機社製のストログラフV10−C(ヘッドスピード5mm/分)を用い、JIS P8110に準拠した方法によりそれぞれ測定した。
<レゾール型フェノール樹脂の製造>
(製造例1)
撹拌器、温度計及び冷却管を付けた容量1Lの4つ口フラスコに、フェノール147.2gと、カシューナットシェル油(CNSL)300.0gと、50質量%ホルマリン153.8gと、50質量%水酸化ナトリウム水溶液4.5gとを入れ、1時間還流させた。次いで、これを620mmHgにて減圧蒸留し、液温が70℃となった時点でメタノール44.7gを添加し、3時間還流させた。その後、メタノール304.1gを加えることにより、樹脂固形分50.0質量%、粘度20mPa・s、植物由来率71質量%のレゾール型フェノール樹脂(1)を含むフェノール樹脂溶液850.2gを得た。
(製造例2)
撹拌器、温度計及び冷却管を付けた容量1Lの4つ口フラスコに、フェノール94.1gと、カルダノール300.0gと、50質量%ホルマリン120.0gと、50質量%水酸化ナトリウム水溶液4.0gとを入れ、1時間還流させた。次いで、これを620mmHgにて減圧蒸留し、液温が70℃となった時点でメタノール40.0gを添加し、3時間還流させた。その後、メタノール268gを加えることにより、樹脂固形分50.0質量%、粘度25mPa・s、植物由来率80質量%のレゾール型フェノール樹脂(2)を含むフェノール樹脂溶液754.0gを得た。
(製造例3)
撹拌器、温度計及び冷却管を付けた容量1Lの4つ口フラスコに、カルダノール300.0gと、50質量%ホルマリン60.0gと、50質量%水酸化ナトリウム水溶液5.0gとを入れ、1時間還流させた。次いで、これを620mmHgにて減圧蒸留し、液温が70℃となった時点でイソプロピルアルコール30.0gを添加し、3時間還流させた。その後、アセトン204.0gを加えることにより、樹脂固形分53.0質量%、粘度25mPa・s、植物由来率96質量%のレゾール型フェノール樹脂(3)を含むフェノール樹脂溶液589.6gを得た。
(製造例4)
撹拌器、温度計及び冷却管を付けた容量1Lの4つ口フラスコに、フェノール300.0gと、50質量%ホルマリン191.3gと、50質量%水酸化ナトリウム水溶液3.0gとを入れ、1時間還流させた。次いで、これを620mmHgにて減圧蒸留し、液温が70℃となった時点でメタノール30.0gを添加し、1.5時間還流させた。その後、メタノール210gを加えることにより、樹脂固形分50.0質量%、粘度20mPa・s、植物由来率0質量%のレゾール型フェノール樹脂(4)を含むフェノール樹脂溶液380.0gを得た。
<熱硬化性樹脂組成物の製造>
表1に示す組成に従い、レゾール型フェノール樹脂と硬化促進剤とを混合して、熱硬化性樹脂組成物(1)〜(8)をそれぞれ調製した。
使用した硬化促進剤を以下に示す。
酸性リン酸エステル(AP−1):大八化学工業株式会社製のリン酸モノメチルとリン酸ジメチルとを合計で88質量%以上含む混合物;リン酸(1〜3質量%)、モノエステル(44〜49質量%)、ジエステル(44〜49質量%)、トリエステル(3〜5質量%)。
酸性リン酸エステル(DP−4):大八化学工業株式会社製のリン酸モノブチルとリン酸ジブチルとを合計で79質量%以上含む混合物。
酸性リン酸エステル(AP−8):大八化学工業株式会社製のリン酸モノオクチルとリン酸ジオクチルとを合計で91質量%以上含む混合物。
リン酸:85質量%リン酸、和光純薬工業株式会社製の商品名りん酸(試薬特級)。
PTS:50質量%パラトルエンスルホン酸水溶液、和光純薬工業株式会社製の商品名p−トルエンスルホン酸一水和物(試薬特級)を50質量%水溶液に調製したもの。
(実験例1)
製造例1で得られたフェノール樹脂溶液を用い、レゾール型フェノール樹脂(1)100gに、酸性リン酸エステル(AP−1)2.0gを25℃で加えて混合し、150℃におけるゲル化時間が30秒、樹脂組成物(固形分)の植物由来率68質量%の熱硬化性樹脂組成物(1)を得た。
(実験例2)
製造例1で得られたフェノール樹脂溶液を用い、レゾール型フェノール樹脂(1)100gに、酸性リン酸エステル(DP−4)6.0gを25℃で加えて混合し、150℃におけるゲル化時間が30秒、樹脂組成物(固形分)の植物由来率63質量%の熱硬化性樹脂組成物(2)を得た。
(実験例3)
製造例1で得られたフェノール樹脂溶液を用い、レゾール型フェノール樹脂(1)100gに、酸性リン酸エステル(AP−8)7.0gを25℃で加えて混合し、150℃におけるゲル化時間が30秒、樹脂組成物(固形分)の植物由来率62質量%の熱硬化性樹脂組成物(3)を得た。
(実験例4)
製造例2で得られたフェノール樹脂溶液を用い、レゾール型フェノール樹脂(2)100gに、酸性リン酸エステル(DP−4)7.0gを25℃で加えて混合し、150℃におけるゲル化時間が33秒、樹脂組成物(固形分)の植物由来率70質量%の熱硬化性樹脂組成物(4)を得た。
(実験例5)
製造例3で得られたフェノール樹脂溶液を用い、レゾール型フェノール樹脂(3)100gに、酸性リン酸エステル(AP−8)4.0gを25℃で加えて混合し、150℃におけるゲル化時間が33秒、樹脂組成物(固形分)の植物由来率89質量%の熱硬化性樹脂組成物(5)を得た。
(実験例6)
製造例1で得られたフェノール樹脂溶液を用い、レゾール型フェノール樹脂(1)100gに、85質量%リン酸1.0gを25℃で加えて混合し、150℃におけるゲル化時間が30秒、樹脂組成物(固形分)の植物由来率70質量%の熱硬化性樹脂組成物(6)を得た。
(実験例7)
製造例1で得られたフェノール樹脂溶液を用い、レゾール型フェノール樹脂(1)100gに、50質量%パラトルエンスルホン酸水溶液3.0gを25℃で加えて混合し、150℃におけるゲル化時間が27秒、樹脂組成物(固形分)の植物由来率69質量%の熱硬化性樹脂組成物(7)を得た。
(実験例8)
硬化促進剤を用いることなく、製造例1で得られたフェノール樹脂溶液をそのまま用いた(これを熱硬化性樹脂組成物(8)とする)。
各例で得られた熱硬化性樹脂組成物(1)〜(8)について、使用したレゾール型フェノール樹脂とその植物由来率、使用した硬化促進剤、熱硬化性樹脂組成物の植物由来率、熱硬化性樹脂組成物のゲル化時間、熱硬化性樹脂組成物の粘度、熱硬化性樹脂組成物のポットライフ(可使時間)の評価結果をそれぞれ表1に示した。
Figure 2015048395
表1に示す結果から、ゲル化時間について、実験例1〜3と実験例8との対比より、レゾール型フェノール樹脂に酸性リン酸エステルを組み合わせることにより硬化が促進していることが確認できる。
また、ポットライフ(可使時間)について、実験例1〜3と実験例6〜7との対比より、レゾール型フェノール樹脂の硬化促進剤として、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルを採用することにより、植物由来率の高いレゾール型フェノール樹脂を用いていても、ポットライフ(可使時間)の長い熱硬化性樹脂組成物を得られることが確認できる。
<樹脂強化紙の作製>
(実験例9)
予め60℃にて1時間乾燥して質量を測定したろ紙5C(ADVANTEC社製)に、レゾール型フェノール樹脂(1)を含むフェノール樹脂溶液を、その製造直後、及び、その製造から6時間経過後に含浸させ、室温にて1時間風乾した後、150℃の熱風乾燥機中で10分間硬化させることにより樹脂強化紙(1)を得た。
(実験例10)
予め60℃にて1時間乾燥して質量を測定したろ紙5C(ADVANTEC社製)に、実験例1で得た熱硬化性樹脂組成物(1)を、その製造直後、及び、その製造から6時間経過後に含浸させ、室温にて1時間風乾した後、150℃の熱風乾燥機中で5分間硬化させることにより樹脂強化紙(2)を得た。
(実験例11)
熱硬化性樹脂組成物(1)を、実験例2で得た熱硬化性樹脂組成物(2)に変更した他は、実験例10と同様にして樹脂強化紙(3)を得た。
(実験例12)
熱硬化性樹脂組成物(1)を、実験例3で得た熱硬化性樹脂組成物(3)に変更した他は、実験例10と同様にして樹脂強化紙(4)を得た。
(実験例13)
熱硬化性樹脂組成物(1)を、実験例4で得た熱硬化性樹脂組成物(4)に変更した他は、実験例10と同様にして樹脂強化紙(5)を得た。
(実験例14)
熱硬化性樹脂組成物(1)を、実験例5で得た熱硬化性樹脂組成物(5)に変更した他は、実験例10と同様にして樹脂強化紙(6)を得た。
(実験例15)
ろ紙5C(ADVANTEC社製)を、60℃にて1時間乾燥し、これに樹脂を含浸させることなくそのまま実験に供した。
(実験例16)
実験例9において、150℃の熱風乾燥機中での硬化を行う時間を10分間から5分間に変更した他は、実験例9と同様にして樹脂強化紙(7)を得た。
(実験例17)
熱硬化性樹脂組成物(1)を、実験例6で得た熱硬化性樹脂組成物(6)に変更した他は、実験例10と同様にして樹脂強化紙(8)を得た。
(実験例18)
熱硬化性樹脂組成物(1)を、実験例7で得た熱硬化性樹脂組成物(7)に変更した他は、実験例10と同様にして樹脂強化紙(9)を得た。
(実験例19)
予め60℃にて1時間乾燥して質量を測定したろ紙5C(ADVANTEC社製)に、レゾール型フェノール樹脂(4)を含むフェノール樹脂溶液を、その製造直後、及び、その製造から6時間経過後に含浸させ、室温にて1時間風乾した後、150℃の熱風乾燥機中で5分間硬化させることにより樹脂強化紙(10)を得た。
各例で得られた樹脂強化紙(1)〜(10)及び実験例15で得られたろ紙について、樹脂強化紙に付着した熱硬化性樹脂組成物の量(樹脂付着量)、樹脂強化紙の植物由来率、引張強度及び引張弾性率の測定の各結果を表2に示した。
Figure 2015048395
表2に示す結果から、樹脂強化紙の植物由来率について、実験例9及び16と、実験例19と、の対比より、実験例9及び16の樹脂強化紙は、植物由来率が高いことから、環境に与える負荷が低いと言える。
硬化促進剤を用いていない実験例16の樹脂強化紙は、柔軟性(引張弾性率)及び耐衝撃性(引張強度)が低く、充分な柔軟性及び耐衝撃性を備えるには、同様に硬化促進剤を用いていない実験例9で示されているように、約2倍の硬化時間を要すること、が確認できる。
実験例10〜12と実験例16との対比より、レゾール型フェノール樹脂に、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルを組み合わせることにより硬化促進が図れ、短時間で、樹脂強化紙に充分な柔軟性(引張弾性率)及び耐衝撃性(引張強度)を付与できること、が確認できる。
実験例10〜12と実験例17〜18との対比より、レゾール型フェノール樹脂の硬化促進剤として、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルを採用することにより、ポットライフ(可使時間)が長くなるため、樹脂強化紙を長時間に渡り安定的に作製できる、と言える。
実験例9〜14、16と実験例19との対比より、原料のフェノール類として植物由来フェノール類が用いられているレゾール型フェノール樹脂を硬化させて作製された樹脂強化紙は、充分な柔軟性(引張弾性率)及び耐衝撃性(引張強度)を有し、従来のフェノール樹脂を用いた場合に欠点であった脆さが改善されていること、が確認できる。

Claims (4)

  1. 植物由来率が65〜97質量%のレゾール型フェノール樹脂と、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルと、を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記ヒドロキシ基を有するリン酸エステルが、下記一般式(1)〜(4)でそれぞれ表される化合物からなる群より選ばれる1以上である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 2015048395
    [式中、R11、R21、R22、R31、R32、R41、R42及びR43は、それぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基である。R21及びR22は、互いに同一であっても異なっていてもよい。R31及びR32は、互いに同一であっても異なっていてもよい。R41、R42及びR43は、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
  3. 前記ヒドロキシ基を有するリン酸エステルの含有割合が、前記レゾール型フェノール樹脂の固形分100質量部に対して0.1〜10質量部である、請求項1又は請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 植物由来率が65〜97質量%であり、
    原料のフェノール類としてカシューナットシェル油、カルダノール、ウルシオール、オイゲノールからなる群より選ばれる1以上の植物由来フェノール類が用いられている、レゾール型フェノール樹脂。
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