JP2022056536A - フェノール樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】エアフィルタのろ材に含浸させ、反応後に良好な難燃性を示し、エアフィルタの強度を向上させることができ、かつエアフィルタ洗浄後も安定した難燃性を示すことのできる、フェノール樹脂組成物を提供することである。【解決手段】フェノール樹脂(A)の固形分100質量部に対し、酸性を示すリン酸エステル化合物(B)を30~70質量部、ホスホン酸エステルまたはホウ酸化合物から選ばれる難燃剤(C)を10~60質量部含むフェノール樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、エアフィルタのろ材に含浸させ、反応後に良好な難燃性を示し、エアフィルタの強度を向上させることができ、かつエアフィルタ洗浄後も安定した難燃性を示すことのできる、フェノール樹脂組成物に関する。
エアフィルタのろ材材質は、ポリエステル、ポリアミド、モダアクリル、ポリオレフィン、紙等、さまざまな材質がある。
エアフィルタのなかでも、特に、第一石油類に分類される引火性液体のガソリンを載せて走行する自動車用エアフィルタは、高い難燃性が要求される。もともと難燃性を持たないろ材に、難燃性を持たせるために、難燃剤が配されるが、難燃剤は大よそが固体で、それをろ材の周りに留め置くバインダが必要で、そのバインダにフィルタの強度向上も要求される。
エアフィルタのなかでも、特に、第一石油類に分類される引火性液体のガソリンを載せて走行する自動車用エアフィルタは、高い難燃性が要求される。もともと難燃性を持たないろ材に、難燃性を持たせるために、難燃剤が配されるが、難燃剤は大よそが固体で、それをろ材の周りに留め置くバインダが必要で、そのバインダにフィルタの強度向上も要求される。
特許文献1は、燃焼時又は焼却時にハロゲン化ガスの発生を解消したろ材及びエアフィルタに関する公報である。難燃剤としてクレジルジフェニルホスフェート、バインダとしてアクリル酸エステル系樹脂を使用してあるが、難燃剤を留め置く固着力、フィルタの強度アップには改善の余地が有った。特許文献2は、レゾール型フェノール樹脂、及びこれを用いた熱硬化性樹脂組成物に関し、例えば、熱硬化性成形材料、無機又は有機フィラーバインダー、接着剤、塗料、樹脂含浸布紙、樹脂強化布紙、エアフィルタ、オイルフィルタなどに好適に使用することができると記載があるが、難燃性に改善の余地が有った。
特許文献3は繊維強化フェノール樹脂成形品の製法およびそれに用いる繊維強化フェノール樹脂用硬化剤に関する公報である。フェノール樹脂の中で、レゾール型フェノール樹脂を硬化させる硬化剤として、リン酸エステル混合物を使用した例が示してあるが、エアフィルタ用として用いるには、難燃性に改善の余地があった。
特許文献4は、植物由来率の高いレゾール型フェノール樹脂を用い、加熱成形時の硬化時間が短く、かつ、ポットライフ(可使時間)の長い熱硬化性樹脂組成物に関する公報である。植物由来率の高いレゾール型フェノール樹脂を硬化させるのに、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルを使用する例が示してあるが、特許文献3同様、エアフィルタ用として用いるには、難燃性に改善の余地があった。
特許文献4は、植物由来率の高いレゾール型フェノール樹脂を用い、加熱成形時の硬化時間が短く、かつ、ポットライフ(可使時間)の長い熱硬化性樹脂組成物に関する公報である。植物由来率の高いレゾール型フェノール樹脂を硬化させるのに、ヒドロキシ基を有するリン酸エステルを使用する例が示してあるが、特許文献3同様、エアフィルタ用として用いるには、難燃性に改善の余地があった。
特許文献5は、液状レゾール型フェノール樹脂の、硬化必要時間を延長することなくポットライフのみを延長できた常温硬化型フェノール樹脂組成物に関する公報である。液状レゾール型フェノール樹脂と酸性硬化剤からなるフェノール樹脂組成物に、亜リン酸エステル(ホスホン酸エステル)を添加した例が示してあるが、エアフィルタ用として用いるには、酸性硬化剤に改善の余地があった。
エアフィルタのろ材に含浸させ、反応後に良好な難燃性を示し、エアフィルタの強度を向上させることができ、かつエアフィルタ洗浄後も安定した難燃性を示すことのできる、フェノール樹脂組成物を提供することである。
発明者らが鋭意検討を行った結果、フェノール樹脂(A)の固形分100質量部に対し、酸性を示すリン酸エステル化合物(B)を30~70質量部、ホスホン酸エステルまたはホウ酸化合物から選ばれる難燃剤(C)を10~60質量部含むフェノール樹脂組成物を提供するに至った。
エアフィルタのろ材に含浸させ、反応後に良好な難燃性を示し、エアフィルタの強度を向上させることができ、かつエアフィルタ洗浄後も安定した難燃性を示すことのできるフェノール樹脂組成物であるので、自動車メーカーに安全、自動車ユーザーに安心を提供できる。
エアフィルタのバインダとして使用されるフェノール樹脂組成物の一例を示す。
フェノール樹脂(A)は、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、いずれも使用することができる。レゾール型フェノール樹脂の場合、硬化させるのに酸成分にて硬化させることができる。ノボラック型フェノール樹脂の場合、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤で硬化させることができる。レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂を併用する場合は、酸成分を添加すれば、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤を添加しなくとも、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂の両方を硬化させることができる。
フェノール樹脂は一般的に、水系にて合成が行われる。難燃性フェノール樹脂組成物を得る際は、水が入ったままのフェノール樹脂、水をある程度蒸発させた後、溶剤で希釈したフェノール樹脂、水を完全に蒸発させたフェノール樹脂、何れも用いることができる。
フェノール樹脂(A)を得るためのフェノール類(P)は、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、ノニルフェノール、パラ-ターシャリー-ブチルフェノール、パラ-セカンダリー-ブチルフェノール、ナフトール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ジメチルヒドロキノン等が挙げられる。
入手容易性の観点からすれば、好適な材料としては、フェノールが挙げられる。
入手容易性の観点からすれば、好適な材料としては、フェノールが挙げられる。
アルデヒド類(F)は、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン(メタホルムアルデヒド)などを単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
また、アルデヒド類(F)は、水に溶解させたものを使う事もできる。より好適な材料としてはホルムアルデヒドで、37%-ホルムアルデヒドを使用することができる。添加量としては、フェノール類(P)100質量部に対し、40~220質量部、より好適には55~180質量部である。
また、アルデヒド類(F)は、水に溶解させたものを使う事もできる。より好適な材料としてはホルムアルデヒドで、37%-ホルムアルデヒドを使用することができる。添加量としては、フェノール類(P)100質量部に対し、40~220質量部、より好適には55~180質量部である。
フェノール類(P)とアルデヒド類(F)の仕込み比は、フェノール類のモル数をP、アルデヒド類のモル数をFとすると、F/P=5/1~1/5の範囲であればさし障りない。
レゾール型フェノール樹脂を作製するアルカリ触媒としては、例えば、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメタノールアミン等のアルカリ触媒を適宜使用することができる。25%-水酸化ナトリウム水溶液を用いると、より簡便に反応を進行させることができる。添加量としては、フェノール類(P)100質量部に対し、25%-水酸化ナトリウム水溶液で0.05~20質量部、より好適には0.1~10質量部である。
レゾール型フェノール樹脂の合成方法としては特に制限はなく、例えばフェノール類(P)、アルデヒド類(F)、アルカリ触媒を一括で仕込み反応させる方法、またはフェノール類(P)とアルカリ触媒を仕込んだ後、所定の反応温度にてアルデヒド類(F)を添加する方法が挙げられる。
反応温度は50℃~150℃、より好適には60℃~140℃である。50℃未満であると反応の進行が遅く、また150℃を超える温度ではフェノール類及びアルデヒド類の飛散や触媒活性低下の懸念があるため好ましくない。
停止反応は、酸成分を添加して行う場合と行わない場合があり、どちらでも構わない。反応終了後、水を濃縮し、溶剤を添加する場合、濃縮しないで分散剤を添加する場合等、さまざまな処理法があるが、いずれの方法も行うことができ、フェノール樹脂固形分が、30~80質量%、より好適には35~75質量%の範囲内であれば実使用上問題はない。また、難燃性フェノール樹脂組成物作製まで時間が空く場合は、レゾール型フェノール樹脂の劣化を防ぐため、水を含む溶液成分を完全に蒸発させて使用することもできる。
反応温度は50℃~150℃、より好適には60℃~140℃である。50℃未満であると反応の進行が遅く、また150℃を超える温度ではフェノール類及びアルデヒド類の飛散や触媒活性低下の懸念があるため好ましくない。
停止反応は、酸成分を添加して行う場合と行わない場合があり、どちらでも構わない。反応終了後、水を濃縮し、溶剤を添加する場合、濃縮しないで分散剤を添加する場合等、さまざまな処理法があるが、いずれの方法も行うことができ、フェノール樹脂固形分が、30~80質量%、より好適には35~75質量%の範囲内であれば実使用上問題はない。また、難燃性フェノール樹脂組成物作製まで時間が空く場合は、レゾール型フェノール樹脂の劣化を防ぐため、水を含む溶液成分を完全に蒸発させて使用することもできる。
ノボラック型フェノール樹脂を作製する酸触媒としては、例えばシュウ酸、酢酸亜鉛、ホウ酸、リン酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒を使用することができる。添加量としては、フェノール類(P)100質量部に対し、0.05~2質量部、より好適には0.1~1質量部である。
尚、これらの酸触媒は、直接添加することもできるが、少量の水に溶解させて、添加することもできる。また、多段階に分けて添加することもできる。
尚、これらの酸触媒は、直接添加することもできるが、少量の水に溶解させて、添加することもできる。また、多段階に分けて添加することもできる。
ノボラック型フェノール樹脂の合成方法としては特に制限はなく、例えばフェノール類(P)、アルデヒド類(F)、酸触媒を一括で仕込み反応させる方法、またはフェノール類(P)と酸触媒を仕込んだ後、所定の反応温度にてアルデヒド類(F)を添加する方法が挙げられる。
反応温度は50℃~150℃、より好適には60℃~140℃である。50℃未満であると反応の進行が遅く、また150℃を超える温度ではフェノール類及びアルデヒド類の飛散や触媒活性低下の懸念があるため好ましくない。
反応時間は特に制限はなく、アルデヒド類および触媒の量、反応温度により調整すればよい。停止反応は、アルカリ成分を添加して行う場合と行わない場合があり、どちらでも構わない。
反応終了後、水を濃縮する。水の濃縮条件としては、常圧にて、120~200℃、より好適には140~180℃にて濃縮を行うのが好ましい。ある濃度まで濃縮して使用しても良いし、完全に水分を蒸発させても良い。また、ある濃度まで濃縮した後、溶剤を添加して使用することもできる。
反応温度は50℃~150℃、より好適には60℃~140℃である。50℃未満であると反応の進行が遅く、また150℃を超える温度ではフェノール類及びアルデヒド類の飛散や触媒活性低下の懸念があるため好ましくない。
反応時間は特に制限はなく、アルデヒド類および触媒の量、反応温度により調整すればよい。停止反応は、アルカリ成分を添加して行う場合と行わない場合があり、どちらでも構わない。
反応終了後、水を濃縮する。水の濃縮条件としては、常圧にて、120~200℃、より好適には140~180℃にて濃縮を行うのが好ましい。ある濃度まで濃縮して使用しても良いし、完全に水分を蒸発させても良い。また、ある濃度まで濃縮した後、溶剤を添加して使用することもできる。
フェノール樹脂(A)は、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、いずれであっても、未反応のホルムアルデヒドを補足するために、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、ブチル尿素、カルボヒドラジド、1,1-ジメチル尿素、1,1-ジエチル尿素、シアノアセチル尿素、シクロヘキシル尿素、アセチル尿素、アリル尿素、1,3-ジアリル尿素、アプロナール、ベンゾイレン尿素、ベンゾイル尿素、ベンジル尿素、1,3-(ヒドロキシメチル)尿素等の尿素化合物を添加することができる。より好適な材料は、エチレン尿素である。添加のタイミングとしては、停止反応を行う前後、濃縮後、いずれも添加することができる。
添加量としては、フェノール類(P)100質量部に対し、1~20質量部、より好適には5~15質量部である。
添加量としては、フェノール類(P)100質量部に対し、1~20質量部、より好適には5~15質量部である。
酸性を示すリン酸エステル化合物(B)は、市販のものを使用することができる。具体的に製品名を挙げると城北化学社より、製品名:JP-502、製品名:JP-504、製品名:JP-506H、製品名:JP-508、製品名:JP-512、製品名:JP-513、製品名:JP-518-O、製品名:JP-524R、製品名:EGAP、製品名:JPA-514、製品名:DBP、製品名:LB-58が、アイカ工業社よりFRH-30が販売されている。より好適な材料はFRH-30、JP-504である。添加量としては、フェノール樹脂(A)の固形分100質量部に対し30~70質量部、より好適には35~65質量部である。
ホスホン酸エステルまたはホウ酸化合物から選ばれる難燃剤(C)は、市販のものを使用することができる。ホスホン酸エステルの具体的に製品名を挙げると丸菱油化社製、製品名:ノンネン73、製品名:ノンネン75が挙げられる。より好適な材料は、ノンネン73である。ホウ酸化合物としては市販のホウ酸、四ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、三酸化二ホウ素、三フッ化ホウ素を挙げることができる。より好適な材料は、メタホウ酸ナトリウムである。
ホスホン酸エステルまたはホウ酸化合物から選ばれる難燃剤(C)は、単独で使用しても良いし、併用することも可能である。添加量としては、フェノール樹脂(A)の固形分100質量部に対し10~60質量部、より好適には15~55質量部である。
ホスホン酸エステルまたはホウ酸化合物から選ばれる難燃剤(C)は、単独で使用しても良いし、併用することも可能である。添加量としては、フェノール樹脂(A)の固形分100質量部に対し10~60質量部、より好適には15~55質量部である。
フェノール樹脂(A)が、ノボラック型フェノール樹脂単体の場合は、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤を添加することで、ノボラック型フェノール樹脂を硬化させることができる。添加量としては、フェノール樹脂(A)の固形分100質量部に対し0.5~20質量部、より好適には5~15質量部である。レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂を併用する場合は、段落0011に示した通りである。
本願の難燃性フェノール樹脂組成物は、作業性を向上させるため、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン等の水と相溶する溶剤で希釈することができる。好適な溶剤はメタノールで、添加量としてはフェノール樹脂固形分100質量部に対し、900~1900質量部、より好適には1000~1800質量部である。
エアフィルタは、エアフィルタのろ材にフェノール樹脂組成物を含浸させ、130~170℃にて、5~25分間反応することによって得ることができる。より好適な反応条件としては、140~160℃にて、10~20分間である。
以下に、本発明について実施例、比較例および試験例等を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。
<レゾール型フェノール樹脂1の合成>
フェノールを100g、37%-ホルムアルデヒドを82g、25%-アンモニア水を5gフラスコに仕込み、100℃にて2.5時間反応させた後、固形分が95%に成るまで濃縮した。その後、メタノールを61gを添加してフラスコから取り出した。この液をレゾール型フェノール樹脂1とした。尚、固形分は、58%である。
フェノールを100g、37%-ホルムアルデヒドを82g、25%-アンモニア水を5gフラスコに仕込み、100℃にて2.5時間反応させた後、固形分が95%に成るまで濃縮した。その後、メタノールを61gを添加してフラスコから取り出した。この液をレゾール型フェノール樹脂1とした。尚、固形分は、58%である。
<レゾール型フェノール樹脂2の合成>
フェノールを100g、37%-ホルムアルデヒドを172g、25%-水酸化ナトリウムを13.6g、フラスコに仕込み、70℃にて1.5時間反応させた。その後、未反応のホルムアルデヒドをトラップできるエチレン尿素を10.6g添加し溶解するまで撹拌、中和剤である35%-塩酸を6.9g添加し反応を停止させた。固形分が75%まで水を濃縮した。その後、メタノールを添加し27.8g添加してフラスコから取り出した。この液をレゾール型フェノール樹脂2とした。尚、固形分は、65%である。
フェノールを100g、37%-ホルムアルデヒドを172g、25%-水酸化ナトリウムを13.6g、フラスコに仕込み、70℃にて1.5時間反応させた。その後、未反応のホルムアルデヒドをトラップできるエチレン尿素を10.6g添加し溶解するまで撹拌、中和剤である35%-塩酸を6.9g添加し反応を停止させた。固形分が75%まで水を濃縮した。その後、メタノールを添加し27.8g添加してフラスコから取り出した。この液をレゾール型フェノール樹脂2とした。尚、固形分は、65%である。
<ノボラック型フェノール樹脂1の合成>
フェノールを100g、37%-ホルムアルデヒドを74g、シュウ酸0.2gをフラスコに仕込み、100℃にて1時間反応させた。シュウ酸0.2gを追加し、100℃にて3時間反応させた。この後、完全に水を蒸発させてフラスコから取り出した。これをノボラック型フェノール樹脂1とした。尚、固形分は、完全に水を蒸発させているので、100%である。
フェノールを100g、37%-ホルムアルデヒドを74g、シュウ酸0.2gをフラスコに仕込み、100℃にて1時間反応させた。シュウ酸0.2gを追加し、100℃にて3時間反応させた。この後、完全に水を蒸発させてフラスコから取り出した。これをノボラック型フェノール樹脂1とした。尚、固形分は、完全に水を蒸発させているので、100%である。
<実施例1の組成物作製>
レゾール型フェノール樹脂1を172.41g(固形分100g)、FRH-30を49.07g、メタホウ酸ナトリウムを40.90g、メタノールを1392.07g秤取り、均一に成るまで撹拌を行い、実施例1の組成物を得た。
レゾール型フェノール樹脂1を172.41g(固形分100g)、FRH-30を49.07g、メタホウ酸ナトリウムを40.90g、メタノールを1392.07g秤取り、均一に成るまで撹拌を行い、実施例1の組成物を得た。
<実施例2~16、比較例1~26の組成物作製>
表1~4に示す割合で各種材料を秤取り、均一に成るまで撹拌を行い、実施例2~16、比較例1~26の組成物を得た。尚、表1~4にその他成分として示しているCDPは、第八化工業学社より、正リン酸系難燃剤として販売されているクレジルジフェニルホスフェート、TPPは、第八化工業学社より、正リン酸系難燃剤として販売されているトリフェニルホスフェートである。パラトルエンスルホン酸は、レゾール型フェノール樹脂を硬化させるために用いている。
尚、希釈してあるフェノール樹脂を使用した場合は、()書きで固形分を示している。
表1~4に示す割合で各種材料を秤取り、均一に成るまで撹拌を行い、実施例2~16、比較例1~26の組成物を得た。尚、表1~4にその他成分として示しているCDPは、第八化工業学社より、正リン酸系難燃剤として販売されているクレジルジフェニルホスフェート、TPPは、第八化工業学社より、正リン酸系難燃剤として販売されているトリフェニルホスフェートである。パラトルエンスルホン酸は、レゾール型フェノール樹脂を硬化させるために用いている。
尚、希釈してあるフェノール樹脂を使用した場合は、()書きで固形分を示している。
<燃焼試験、破裂強度試験片作製>
ろ材は、ADVANTEC社製、クロマトグラフィー用ろ紙 No.526を用いた。
上記ろ紙を90mm×230mmに切り出して、各組成物作製に含浸し、1時間風乾させたあと、150℃のオーブンに15分間投入し、取り出して燃焼試験片とした。
ろ材は、ADVANTEC社製、クロマトグラフィー用ろ紙 No.526を用いた。
上記ろ紙を90mm×230mmに切り出して、各組成物作製に含浸し、1時間風乾させたあと、150℃のオーブンに15分間投入し、取り出して燃焼試験片とした。
<常態燃焼試験>
ドイツ工業規格、DIN 53 438に準拠して試験を行った。
5つの試験片について試験を行い、全てクラスF1の場合を合格、1つでもF1に達さない試験片があると不合格とした。結果を表5~8に示す。
尚、比較例7、比較例8は、ろ紙が、パラトルエンスルホン酸による酸化劣化と考えられる劣化のため、燃焼試験片を得ることができなかった。従って、「常態燃焼試験」は行っていない。後述する「水浸漬後燃焼試験」、「破裂強度」についても同様に試験を行っていない。
ドイツ工業規格、DIN 53 438に準拠して試験を行った。
5つの試験片について試験を行い、全てクラスF1の場合を合格、1つでもF1に達さない試験片があると不合格とした。結果を表5~8に示す。
尚、比較例7、比較例8は、ろ紙が、パラトルエンスルホン酸による酸化劣化と考えられる劣化のため、燃焼試験片を得ることができなかった。従って、「常態燃焼試験」は行っていない。後述する「水浸漬後燃焼試験」、「破裂強度」についても同様に試験を行っていない。
<水浸漬後燃焼試験>
燃焼試験片が完全に水に浸る様にして、23±2℃環境下、24時間浸漬した。60℃のオーブンにて3時間乾燥させ、室温冷却後燃焼試験を行った。判定基準は、「常態燃焼試験」に同じである。結果を表5~8に示す。
尚、比較例9、比較例10、比較例15、比較例16、比較例21、比較例22以外の比較例は、「常態燃焼試験」にて不合格であったので、「水浸漬後燃焼試験」は行っていない。
燃焼試験片が完全に水に浸る様にして、23±2℃環境下、24時間浸漬した。60℃のオーブンにて3時間乾燥させ、室温冷却後燃焼試験を行った。判定基準は、「常態燃焼試験」に同じである。結果を表5~8に示す。
尚、比較例9、比較例10、比較例15、比較例16、比較例21、比較例22以外の比較例は、「常態燃焼試験」にて不合格であったので、「水浸漬後燃焼試験」は行っていない。
<破裂強度>
燃焼試験にて作製した試験片を用い、JIS P 8112に準拠して破裂強度を測定した。
結果を表5~8に示す。判定基準は、100kPa以上は合格である。
尚、比較例9、比較例10、比較例15、比較例16、比較例21、比較例22以外の比較例は、「常態燃焼試験」にて不合格であったので、「破裂強度」は行っていない。
燃焼試験にて作製した試験片を用い、JIS P 8112に準拠して破裂強度を測定した。
結果を表5~8に示す。判定基準は、100kPa以上は合格である。
尚、比較例9、比較例10、比較例15、比較例16、比較例21、比較例22以外の比較例は、「常態燃焼試験」にて不合格であったので、「破裂強度」は行っていない。
フェノール樹脂(A)の固形分100質量部に対し、酸性を示すリン酸エステル化合物(B)を30~70質量部、ホスホン酸エステルまたはホウ酸化合物から選ばれる難燃剤(C)を10~60質量部含む難燃性フェノール樹脂組成物である実施例1~16は、「常態燃焼試験」、「水浸漬後燃焼試験」、「破裂強度」と、全て合格となった。
酸性を示すリン酸エステル化合物(B)を添加していない比較例1、比較例2、比較例9、比較例10、比較例14、比較例15、比較例21、比較例22は、「常態燃焼試験」、「破裂強度」は合格であったが、「水浸漬後燃焼試験」は不合格と成った。
酸性を示すリン酸エステル化合物(B)の代わりに、パラトルエンスルホン酸を用いた比較例7、比較例8は、ろ紙が、パラトルエンスルホン酸による酸化劣化と考えられる劣化のため、燃焼試験片を得ることができなかった。
酸性を示すリン酸エステル化合物(B)の代わりに、パラトルエンスルホン酸を用いた比較例7、比較例8は、ろ紙が、パラトルエンスルホン酸による酸化劣化と考えられる劣化のため、燃焼試験片を得ることができなかった。
ホスホン酸エステルまたはホウ酸化合物から選ばれる難燃剤(C)を添加していない比較例5、比較例6、比較例13、比較例14、比較例19、比較例20、比較例25、比較例26は、「常態燃焼試験」が不合格と成り、その他試験は行っていない。
酸性を示すリン酸エステル化合物(B)を添加せず、ホスホン酸エステルまたはホウ酸化合物から選ばれる難燃剤(C)でない難燃剤を用いた比較例3、比較例4、比較例11、比較例12、比較例17、比較例18、比較例23、比較例24も同様であった。
酸性を示すリン酸エステル化合物(B)を添加せず、ホスホン酸エステルまたはホウ酸化合物から選ばれる難燃剤(C)でない難燃剤を用いた比較例3、比較例4、比較例11、比較例12、比較例17、比較例18、比較例23、比較例24も同様であった。
実施例9~12のフェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂のみからなり、フェノール樹脂を硬化させるのに、テトラメチレンヘキサミンを使用し、酸性を示すリン酸エステル化合物(B)は、硬化に寄与しない。それでも、「常態燃焼試験」、「水浸漬後燃焼試験」、「破裂強度」と、全て合格と成っており、フェノール樹脂(A)、酸性を示すリン酸エステル化合物(B)、ホスホン酸エステルまたはホウ酸化合物から選ばれる難燃剤(C)が揃わないと、各種試験に合格しないことが証明された。
Claims (2)
- フェノール樹脂(A)の固形分100質量部に対し、酸性を示すリン酸エステル化合物(B)を30~70質量部、ホスホン酸エステルまたはホウ酸化合物から選ばれる難燃剤(C)を10~60質量部含むフェノール樹脂組成物。
- エアフィルタ作製用に用いられる請求項1に記載のフェノール樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020164338A JP2022056536A (ja) | 2020-09-30 | 2020-09-30 | フェノール樹脂組成物 |
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- 2020-09-30 JP JP2020164338A patent/JP2022056536A/ja active Pending
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