JP2017110198A - 液状多価ヒドロキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂組成物、その硬化物およびエポキシ樹脂 - Google Patents

液状多価ヒドロキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂組成物、その硬化物およびエポキシ樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】アリル基が導入されていなくても、低粘度の液状を呈し、エポキシ樹脂用硬化剤として用いたときに低弾性率の硬化物が得られる多価ヒドロキシ樹脂の提供。【解決手段】下記式(u1)で表される構成単位と、下記式(u2)で表される構成単位とを有し、前記式(u2)で表される構成単位および下記式(m2)で表される化合物の合計の含有量が、液状多価ヒドロキシ樹脂全体に対して70〜90質量%であり、質量平均分子量が800〜1600である液状多価ヒドロキシ樹脂。式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基であり、Xは水素原子または水酸基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0または1であり、Yは水素原子またはメチル基である。[化1]【選択図】なし

Description

本発明は、液状多価ヒドロキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂組成物、その硬化物およびエポキシ樹脂に関する。
エポキシ樹脂及び硬化剤等を含有するエポキシ樹脂組成物は、その熱硬化性を利用して、種々の用途に使用されている。たとえば電子材料の分野においては、半導体チップや接続部材を、種々の外部環境(温度、湿度、応力など)から保護するため、熱硬化性の封止材料で封止することが行われており、封止材料としてエポキシ樹脂組成物が広く使用されている。エポキシ樹脂の硬化剤としては、フェノール系硬化剤が広く使用されている。
近年、半導体素子の処理能力の高速化に伴い、半導体の高集積化、高性能化等が進み、それに用いる樹脂材料に対する信頼性の要求は年々厳しいものとなってきている。
フェノール系硬化剤は、フェノール性水酸基の水素結合のため、固形または半固形を示すことが多いが、液状のものも知られている。近年、アンダーフィル材等の液状封止材の用途が拡大しており、それに伴い、液状フェノール系硬化剤のニーズが高まっている。また、液状フェノール系硬化剤に要求される特性がより厳しいものとなっている。
たとえばアンダーフィル材は、BGA(Ball Grid Array)等の表面実装型のパッケージと配線基板上の電極を接続した後、パッケージと配線基板との間の隙間に注入され、硬化される。その硬化物が半導体チップと配線基板との間の熱膨張係数の差や弾性率を緩和することで接続信頼性を高めるが、近年の半導体の高集積化等に伴いこの隙間が狭くなっている。そのため、アンダーフィル材やその原料のさらなる低粘度化が求められる。また、熱膨張係数の差や弾性率を充分に緩和できないと、実装後に温度サイクルや衝撃等の応力が加わったときに、反りやクラック、接合部の破断が発生し、半導体に不具合を生じさせる。そのため、硬化物のさらなる低弾性率化が求められる。
しかし、フェノール系硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物は3次元的に硬化するため、硬化物の弾性率が高い傾向がある。
液状フェノール系硬化剤としては、フェノール性水酸基のオルソ位にアリル基が導入されたフェノール樹脂(アリルフェノール樹脂)が一般的である(たとえば特許文献1)。アリルフェノール樹脂は、アリル基によりフェノール性水酸基の水素結合が阻害され、常温で液状を呈しやすい。
しかし、硬化物の弾性率を充分に低くすることはできない。また、アリル基を導入しても、常温で充分な流動性(低粘度)を得ることは難しい。低粘度化のためにアリル基の導入割合を高くすると、低分子量化、それに伴う歩留まりの低下が懸念される。また、アリル基を導入していない場合に比べて、エポキシ樹脂組成物の硬化速度が遅くなる傾向がある。
低粘度化および硬化物の低弾性率化のため、アリルフェノールと、長鎖炭化水素基が置換したフェノール類と、ホルムアルデヒドとを反応させて得られる多価ヒドロキシ樹脂が提案されている(特許文献2)。
しかし、この多価ヒドロキシ樹脂はアリル基および長鎖炭化水素基を有するため、前記のアリルフェノール樹脂よりもさらにエポキシ樹脂組成物の硬化速度が遅く、半導体装置等の生産性を低下させるおそれがある。
硬化物を低弾性率化する一般的な手法として、ゴム成分を配合する方法がある(たとえば特許文献3)。
しかし、ゴム成分は一般的に極性が低いため、エポキシ樹脂組成物における相溶性が低い。また、ゴム成分を配合することでエポキシ樹脂組成物の粘度増加が懸念される。
特開2010−241877号公報 特開2015−89940号公報 特開2007−2032号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、アリル基が導入されていなくても、低粘度の液状を呈し、エポキシ樹脂用硬化剤として用いたときに低弾性率の硬化物が得られる多価ヒドロキシ樹脂およびその製造方法、ならびに前記多価ヒドロキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂組成物、硬化物およびエポキシ樹脂を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
(1)下記式(u1)で表される構成単位と、下記式(u2)で表される構成単位とを有し、
前記式(u2)で表される構成単位および下記式(m2)で表される化合物の合計の含有量が、液状多価ヒドロキシ樹脂全体に対して70〜90質量%であり、
質量平均分子量が800〜1600である液状多価ヒドロキシ樹脂。
Figure 2017110198
[式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基であり、Xは水素原子または水酸基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0または1であり、Yは水素原子またはメチル基である。]
(2)下記式(u31)で表される構成単位を有さない、(1)に記載の液状多価ヒドロキシ樹脂。
Figure 2017110198
[式中、Rはアリル基である。]
(3)25℃における粘度が100Pa・s以下である、(1)または(2)に記載の液状多価ヒドロキシ樹脂。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の液状多価ヒドロキシ樹脂の製造方法であって、
下記式(m2)で表される化合物とホルムアルデヒドとを、または下記式(m1)で表される化合物と前記式(m2)で表される化合物とホルムアルデヒドとを、塩基性触媒の存在下で反応させ、その反応生成物と前記式(m1)で表される化合物とを酸性触媒の存在下で反応させて液状多価ヒドロキシ樹脂を得る、液状多価ヒドロキシ樹脂の製造方法。
Figure 2017110198
[式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基であり、Xは水素原子または水酸基であり、Yは水素原子またはメチル基である。]
(5)前記ホルムアルデヒドの塩基性触媒の存在下で反応させる量が、前記式(m2)で表される化合物に対して10〜80質量%であり、
前記式(m1)で表される化合物の塩基性触媒の存在下で反応させる量および酸性触媒の存在下で反応させる量の合計量が、前記式(m2)で表される化合物に対して72〜361質量%である、(4)に記載の液状多価ヒドロキシ樹脂の製造方法。
(6)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の液状多価ヒドロキシ樹脂からなるエポキシ樹脂用硬化剤。
(7)エポキシ樹脂と、前記(6)に記載のエポキシ樹脂用硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物。
(8)前記(7)に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化した硬化物。
(9)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の液状多価ヒドロキシ樹脂の水酸基の少なくとも一部がエポキシ化されたエポキシ樹脂。
本発明によれば、アリル基が導入されていなくても、低粘度の液状を呈し、エポキシ樹脂用硬化剤として用いたときに低弾性率の硬化物が得られる多価ヒドロキシ樹脂およびその製造方法、ならびに前記多価ヒドロキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂組成物、硬化物およびエポキシ樹脂を提供できる。
<液状多価ヒドロキシ樹脂>
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂は、下記式(u1)で表される構成単位(以下、構成単位(u1)ともいう。)と、下記式(u2)で表される構成単位(以下、構成単位(u2)ともいう。)とを有する。本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂は、構成単位(u1)および構成単位(u2)以外の構成単位(以下、構成単位(u3)ともいう。)をさらに有していてもよい。
「構成単位」は、重合体を構成する単位を示す。
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂には、非重合体が含まれていてもよい。たとえば、液状多価ヒドロキシ樹脂の製造に用いた原料(フェノール類等)が残存していてもよい。
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂は、典型的には、フェノールおよびメチルフェノールのいずれか一方または両方(後述する式(m1)で表される化合物)および下記式(m2)で表される化合物(以下、化合物(m2)ともいう。)を含むフェノール類をホルムアルデヒドで重縮合させたものである。
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂には、化合物(m2)が含まれていてもよい。たとえば前述の重縮合の際に未反応の化合物(m2)が残ることがあるが、化合物(m2)は沸点が高く、蒸留では除去できずに液状多価ヒドロキシ樹脂中に残存しやすい。
Figure 2017110198
[式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基であり、Xは水素原子または水酸基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0または1であり、Yは水素原子またはメチル基である。]
「−*」は結合手を示す。式(u1)中の3つの結合手のうち少なくとも1つは他の構成単位(別の構成単位(u1)、構成単位(u2)等)に結合し、式(u2)中の3つの結合手のうち少なくとも1つは他の構成単位(別の構成単位(u2)、構成単位(u1)等)に結合する。各式中の結合手のうち、他の構成単位に結合しない結合手は、水素原子に結合する。
ただし、構成単位(u1)中のベンゼン環と構成単位(u2)中のベンゼン環とはメチレン基を介して結合し、直接結合しない。また、同一分子中に2以上の構成単位(u1)を有し、構成単位(u1)同士が直接結合している場合、各構成単位(u1)中のベンゼン環はメチレン基を介して結合し、直接結合しない。同様に、同一分子中に2以上の構成単位(u2)を有し、構成単位(u2)同士が直接結合している場合、各構成単位(u2)中のベンゼン環はメチレン基を介して結合し、直接結合しない。
つまり、式(u1)中のベンゼン環から伸びる結合手は、他の構成単位に結合するか、または水素原子に結合する。他の構成単位に結合する場合、該結合手は、該他の構成単位(別の構成単位(u1)、mおよびnの少なくとも一方が1である構成単位(u2)等)のメチレン基に結合する。
式(u1)中のメチレン基から伸びる結合手は、他の構成単位(構成単位(u2)、別の構成単位(u1)等)のベンゼン環に結合する。
式(u2)中のベンゼン環から伸びる結合手は、他の構成単位に結合するか、または水素原子に結合する。他の構成単位に結合する場合、該結合手は、該他の構成単位(構成単位(u1)、mおよびnの少なくとも一方が1である別の構成単位(u2)等)のメチレン基に結合する。
式(u2)中のmが0(またはnが0)である場合、−(CH−*(または−(CH−*)は、前記ベンゼン環から伸びる結合手と同様の結合手(−*)を示す。すなわち、他の構成単位に結合するか、または水素原子に結合する。他の構成単位に結合する場合、該結合手は、前記ベンゼン環から伸びる結合手と同様に、他の構成単位のメチレン基に結合する。
式(u2)中のmが1(またはnが1)である場合、−(CH−*(または−(CH−*)はメチレン基であり、その結合手は、他の構成単位(構成単位(u1)、別の構成単位(u2))のベンゼン環に結合するか、または水素原子に結合してメチル基を形成する。ただし、mおよびnの両方が1である場合、−(CH−*および−(CH−*の少なくとも一方は他の構成単位のベンゼン環に結合する。つまり式(u2)中のベンゼン環にメチル基が2個結合することはない。
式(u1)中、Rは水素原子またはメチル基である。構成単位(u1)を有することで、耐熱性の良好な硬化物を得やすい。
がメチル基である場合、式(u1)中、ベンゼン環におけるRの結合位置は、安価である点及び合成した樹脂が容易に液状化する点で、水酸基の結合した位置(1位)に対してオルソ位(2位または6位)が好ましい。
ベンゼン環における単結合およびメチレン基の結合位置はそれぞれ、特に限定されない。典型的には、水酸基の結合した位置(1位)に対してオルソ位(2位または6位)およびパラ位(4位)のいずれかである。
構成単位(u1)は、Rがメチル基である構成単位(以下、クレゾール単位ともいう。)のみからなるものであってもよく、Rが水素原子である構成単位(以下、フェノール単位ともいう。)のみからなるものであってもよく、クレゾール単位とフェノール単位とからなるものであってもよい。
構成単位(u1)中、クレゾール単位の割合が高いほど、多価ヒドロキシ樹脂の粘度が低く、ゲルタイムが長くなり、硬化物の弾性率が低く、ガラス転移温度が低くなる傾向がある。逆に、フェノール単位の割合が高いほど、多価ヒドロキシ樹脂の粘度が高く、ゲルタイムが短くなり、硬化物の弾性率が高く、ガラス転移温度が高くなる傾向がある。クレゾール単位とフェノール単位との比率は、これらの特性を考慮して適宜設定できる。
低粘度、低弾性率の観点から、構成単位(u1)は少なくともクレゾール単位を含むことが好ましい。
クレゾール単位の含有量は、構成単位(u1)の全量(100質量%)に対し、0〜100質量%が好ましく、30〜100質量%がより好ましい。
したがって、フェノール単位の含有量は、構成単位(u1)の全量に対し、0〜100質量%が好ましく、0〜70質量%がより好ましい。
または、フェノール単位の含有量は、構成単位(u2)に対し、10質量%以下が好ましい。
式(u2)中、Rは炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基である。炭素数が10以上であることにより、液状多価ヒドロキシ樹脂の常温での粘度を低くしやすく、また低弾性率の硬化物を得やすい。炭素数が25以下であることにより、硬化物の耐熱性が良好である。
前記炭化水素基の炭素数は10〜25が好ましく、15〜20がより好ましい。
前記炭化水素基は、飽和炭化水素基でもよく、不飽和結合(炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合等)を有する不飽和炭化水素基でもよい。不飽和炭化水素基に含まれる不飽和結合の数は1つでも2つ以上でもよい。
前記炭化水素基の具体例としては、−(CH14CH、−(CHCH=CH(CHCH、−(CHCH=CHCHCH=CH(CHCH、−(CHCH=CHCHCH=CHCH=CHCH、−(CHCH=CHCHCH=CHCHCH=CH等が挙げられる。
式(u2)中、Xは、硬化物の吸水性が低い点で、水素原子であることが好ましい。
式(u2)中、ベンゼン環におけるRの結合位置は、ホルムアルデヒドとの反応性の点で、水酸基の結合した位置(1位)に対してメタ位(3位または5位)が好ましい。なお、Xが水酸基である場合、1位は、Xの結合位置ではなく、式中に「OH」として示される水酸基の結合位置を示すものとする。
ベンゼン環におけるX、Yそれぞれの結合位置は特に限定されない。Xが水酸基である場合、ホルムアルデヒドとの反応性の点で、式中に「OH」として示される水酸基の結合した位置(1位)に対してメタ位が好ましい。Yがメチル基である場合、水酸基の結合した位置(1位)に対してオルソ位が好ましい。
ベンゼン環における単結合、−(CH−*および−(CH−*の結合位置はそれぞれ特に限定されない。典型的には、水酸基の結合した位置(1位)に対してオルソ位(2位または6位)およびパラ位(4位)のいずれかである。
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂が有していてもよい構成単位(u3)としては、たとえば、下記式(u31)で表される構成単位(以下、構成単位(u31)ともいう。)等が挙げられる。
Figure 2017110198
[式中、Rはアリル基である。]
式(u31)中のベンゼン環から伸びる結合手は、式(u1)中のベンゼン環から伸びる結合手と同様に、他の構成単位に結合するか、または水素原子に結合する。他の構成単位に結合する場合、該結合手は、該他の構成単位のメチレン基に結合する。また、メチレン基から伸びる結合手は、他の構成単位のベンゼン環に結合する。
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂において、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の含有量は、液状多価ヒドロキシ樹脂全体に対して70〜90質量%であり、70〜85質量%が特に好ましい。
構成単位(u2)および化合物(m2)はいずれも、Rを有するものである。構成単位(u2)および化合物(m2)の含有量が上記下限値以上であれば、アリル基が導入されていなくても(たとえば前記構成単位(u31)を有さなくても)、液状多価ヒドロキシ樹脂の常温での粘度が低い。また、エポキシ樹脂用硬化剤として用いたときに低弾性率の硬化物が得られる。構成単位(u2)および化合物(m2)の含有量が上記上限値以下であれば、硬化性および耐熱性が良好である。
構成単位(u2)および化合物(m2)の合計に対する構成単位(u2)の割合は、液状多価ヒドロキシ樹脂の質量平均分子量が800〜1600になる限り特に限定されない。
液状多価ヒドロキシ樹脂中の構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の含有量は、液状多価ヒドロキシ樹脂の製造に使用したフェノール類の使用量から算出する方法や核磁気共鳴分光法等の公知の分析方法により確認できる。
液状多価ヒドロキシ樹脂中の構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の含有量は、たとえば、後述する製造方法(i)により液状多価ヒドロキシ樹脂を製造する場合の化合物(m2)に対するホルムアルデヒドの比率、反応条件(触媒量・種、温度、時間)等により調整できる。
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂から構成単位(u2)および化合物(m2)を除いた残部は、環境面およびエポキシ樹脂との硬化速度の点から、化合物(m2)以外のフェノール類およびホルムアルデヒドを含まないことが好ましい。
したがって、本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂から構成単位(u2)および化合物(m2)を除いた残部は、構成単位(u1)であるか、または構成単位(u1)および構成単位(u3)からなることが好ましく、構成単位(u1)であることが特に好ましい。
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂において、構成単位(u31)の含有量は、エポキシ樹脂との硬化速度の点から、構成単位(u2)に対し、10質量%以下が好ましく、0質量%が特に好ましい。すなわち、本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂は、構成単位(u31)を有さないことが特に好ましい。
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂の質量平均分子量(Mw)は、800〜1600であり、900〜1600が好ましく、1000〜1600がより好ましい。Mwが小さいほど、液状多価ヒドロキシ樹脂の25℃における粘度が低くなる。Mwが上記上限値以下であると、液状多価ヒドロキシ樹脂が常温で優れた流動性を示す。Mwが上記下限値以上であると、エポキシ樹脂との反応性に優れ、硬化物の耐熱性が良好である。
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂の分散度(Mw/数平均分子量(Mn))は、1.4〜1.6が好ましい。
本発明において、MwおよびMnは、標準物質をポリスチレンとしたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂の25℃における粘度は、100Pa・s以下であることが好ましく、50Pa・s以下がより好ましく、30Pa・s以下が特に好ましい。25℃における粘度が上記上限値以下であると、流動性に優れる。液状多価ヒドロキシ樹脂の25℃における粘度は低いほど好ましく、粘度の下限は特に限定されない。
液状多価ヒドロキシ樹脂の25℃における粘度は、E型(コーンプレート型)粘度計により測定される。
液状多価ヒドロキシ樹脂の粘度は、液状多価ヒドロキシ樹脂の質量平均分子量(Mw)、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の含有量等により調整できる。
(液状多価ヒドロキシ樹脂の製造方法)
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂は、下記式(m1)で表される化合物(以下、化合物(m1)ともいう。)と、下記式(m2)で表される化合物(m2)と、ホルムアルデヒドとを反応させることにより製造できる。
化合物(m1)と化合物(m2)とホルムアルデヒドとを反応させると、化合物(m1)または化合物(m2)に対するホルムアルデヒドの付加反応(メチロール化反応)と、生成したメチロール体と化合物(m1)または化合物(m2)との縮合反応が進行する。これにより、液状多価ヒドロキシ樹脂が生成する。
化合物(m1)、(m2)およびホルムアルデヒドとともに、化合物(m1)および化合物(m2)以外の他のフェノール類を反応させてもよい。
Figure 2017110198
[式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基であり、Xは水素原子または水酸基であり、Yは水素原子またはメチル基である。]
式(m1)中のRは、前記式(u1)中のRと同じである。
反応に用いる化合物(m1)は、単一の化合物からなるものでも2種以上の混合物でもよく、たとえばフェノール、オルソクレゾール(2−メチルフェノール)、メタクレゾール(3−メチルフェノール)、パラクレゾール(4−メチルフェノール)等が挙げられる。
化合物(m1)としては、安価である点及び合成した樹脂が容易に液状化する点で、フェノール、オルソクレゾールまたはそれらの混合物が好ましく、オルソクレゾール、またはオルソクレゾールとフェノールとの混合物が特に好ましい。
式(m2)中のR、Xはそれぞれ、前記式(u2)中のR、Xと同じである。
反応に用いる化合物(m2)は、単一の化合物からなるものでも2種以上の混合物でもよく、たとえばカシューナットシェルリキッドおよびその精製物、カルダノール、カルドール(カードルともいう。)、2−メチルカルドール、アナカルド酸、ウルシオール等が挙げられる。
化合物(m2)としては、比較的安価であり、反応性の制御が容易であり、得られる樹脂が液状を呈しやすく、低弾性率の硬化物を得やすいことから、カシューナットシェルリキッドまたはその精製物が好ましい。カシューナットシェルリキッドには、カルダノールを含む複数の化合物(m2)が含まれることが多い。
カシューナットシェルリキッドまたはその精製物としては、カシューナットシェルリキッドまたはその精製物の全質量に対し、カルダノールの含有量が70〜100質量%、カルドールの含有量が0〜25質量%、メチルカルダノールの含有量が0〜5%であり、カルダノールとカルドールとメチルカルダノールとの合計量(有効成分量)が70質量%以上であるものが好ましい。
他のフェノール類としては、たとえば、アリルフェノール等が挙げられる。他のフェノール類としてアリルフェノールを用いると、前記構成単位(u31)を有する液状多価ヒドロキシ樹脂が得られる。
液状多価ヒドロキシ樹脂の製造方法としては、以下の製造方法(i)が好ましい。
製造方法(i):化合物(m2)とホルムアルデヒドとを、または化合物(m1)と化合物(m2)とホルムアルデヒドとを、塩基性触媒の存在下で反応させ、その反応生成物と化合物(m1)とを酸性触媒の存在下で反応させて液状多価ヒドロキシ樹脂を得る方法。
化合物(m1)と化合物(m2)とでは、化合物(m2)の方がホルムアルデヒドとの反応性が低い。そのため、これらを一括してホルムアルデヒドと反応させると、反応生成物中に未反応の化合物(m2)が残留しやすい。化合物(m2)が液状多価ヒドロキシ樹脂中に残留すると、硬化物性の低下を招く。また、化合物(m2)は高沸点であるため、残留した化合物(m2)は容易に除去できない。
そこで、まず、化合物(m1)を反応させる前に先に化合物(m2)を反応させる(化合物(m1)の不在下で反応させる)、または液状多価ヒドロキシ樹脂の製造に使用する全量のうちの一部の化合物(m1)の存在下で化合物(m2)で反応させる。
化合物(m2)とホルムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下で反応させると、化合物(m2)に1〜3分子のホルムアルデヒドが付加して下記式(3)で表されるメチロール体が生成する。化合物(m1)と化合物(m2)とホルムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下で反応させると、化合物(m1)、化合物(m2)それぞれに1〜3分子のホルムアルデヒドが付加して下記式(4)で表されるメチロール体、前記式(3)で表されるメチロール体が生成する。
このようにして生成したメチロール体に化合物(m1)を付加することで、液状多価ヒドロキシ樹脂中に化合物(m2)が残留することを抑制できる。
Figure 2017110198
[式中、R、R、X及びYはそれぞれ前記と同様であり、kは1〜3の整数であり、hは1〜3の整数である。]
反応生成物と化合物(m1)との反応は、塩基性触媒の存在下でも進行するが、塩基性触媒の存在下では、1段目の反応で生成したメチロール体同士が反応して構成単位(u2)のみから構成される構造が生成する反応や、メチロール体が反応することで生成されるホルムアルデヒドにより、さらにメチロール体が生成される反応等の副反応が生じやすく、質量平均分子量が大きくなりやすい。
対して酸性触媒の存在下では、1段目の反応で生成したメチロール体と、過剰にある化合物(m1)との反応が優先的に進行しやすく、メチロール体の反応により生成されるホルムアルデヒドが過剰にある化合物(m1)と優先的に反応し、上記のような副反応が生じにくい。そのため質量平均分子量が上記上限値以下に制御された液状多価ヒドロキシ樹脂が得られやすい。
以下、製造方法(i)により液状多価ヒドロキシ樹脂を製造する場合について詳しく説明する。
製造方法(i)では、まず、化合物(m2)とホルムアルデヒドとを、または化合物(m1)と化合物(m2)とホルムアルデヒドとを、塩基性触媒の存在下で反応させる1段目の反応を行う。
化合物(m2)は、通常、液状多価ヒドロキシ樹脂の製造に使用される全量が1段目の反応に用いられる。
1段目の反応に用いられる化合物(m1)の量は、化合物(m2)に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。前記上限値以下であれば、得られる多価ヒドロキシ樹脂の粘度がより低くなる傾向がある。この量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
化合物(m1)がフェノールを含む場合、フェノールの少なくとも一部を1段目で用いることで、フェノール単位をより確実に液状多価ヒドロキシ樹脂の構造中に導入できる。しかし、1段目の反応に用いられる化合物(m2)に対するフェノールの割合が多くなると、構成単位(u2)を有しない縮合体が増えたり、未反応のまま残存する化合物(m2)の量が増えたりして、硬化物性が低下するおそれがある。そのため、より優れた硬化物性を得る観点からは、1段目の反応に用いられるフェノールの量は、化合物(m2)の全量に対し、10質量%以下が好ましい。
ホルムアルデヒドは、固形のものを用いても水溶液を用いてもよい。安価であり、反応の制御が容易である点から、水溶液を用いることが好ましい。
ホルムアルデヒドの塩基性触媒の存在下で反応させる量、つまり1段目の反応において、化合物(m2)、または化合物(m1)および化合物(m2)と反応させるホルムアルデヒドの量は、化合物(m2)に対して10〜80質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。
ホルムアルデヒドと化合物(m2)とのモル比(ホルムアルデヒド/化合物(m2))は、0.5〜4.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましい。
ホルムアルデヒドの量が上記範囲内で少ないほど、液状多価ヒドロキシ樹脂中の構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の含有量が多くなる傾向がある。ホルムアルデヒドの量が上記範囲内で多いほど、前記合計の含有量に対する化合物(m2)の割合が少なくなる傾向がある。
ホルムアルデヒドの量が少なすぎると、生成した液状多価ヒドロキシ樹脂中に未反応の化合物(m2)が多く残留し、ガラス転移温度や硬化速度等の硬化物性が低下するおそれがある。ホルムアルデヒドの量が多すぎると、生成した液状多価ヒドロキシ樹脂中に余剰のホルムアルデヒドが残留し、その除去が必要であり、コストアップに繋がり好ましくない。
なお、カシューナットシェルリキッドには化合物(m2)以外の成分が含まれることがある。カシューナットシェルリキッドを用いる場合、カシューナットシェルリキッドの有効成分の量(カルダノールとカルドールとメチルカルダノールとの合計量)が化合物(m2)の量である。
塩基性触媒としては、反応が進行すれば特に制限はない。たとえばアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アンモニア水、3級アミン(トリエチルアミン等)、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ性物質が挙げられる。塩基性触媒は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
1段目の反応において、塩基性触媒の使用量は、化合物(m1)と化合物(m2)との合計(化合物(m1)を反応させない場合は化合物(m2)のみ)に対して1.3〜40質量%が好ましく、6.7〜20質量%がより好ましい。
塩基性触媒と、化合物(m1)と化合物(m2)との合計(化合物(m1)を反応させない場合は化合物(m2)のみ)とのモル比(塩基性触媒/{化合物(m1)+化合物(m2)})は、0.1〜3.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。
塩基性触媒の使用量が少なすぎると反応速度が遅く、使用量が多すぎると反応が急激に進み反応をコントロールすることが難しくなる。
1段目の反応は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の炭素数1〜4のアルコールの存在下で行うことが好ましい。これにより、1段目の反応中に化合物(m2)や反応生成物が凝集することを防止できる。
炭素数1〜4のアルコールは1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。炭素数1〜4のアルコールとしては、メタノールが特に好ましい。
炭素数1〜4のアルコールの使用量は、化合物(m1)と化合物(m2)との合計(化合物(m1)を反応させない場合は化合物(m2)のみ)に対して10〜100質量%が好ましい。
この後の酸性触媒下での化合物(m1)との反応(2段目の反応)において、反応系に残存する炭素数1〜4のアルコールはアルキル化剤としても機能する。1段目の反応でメチロール化された化合物(m2)(式(3)のメチロール体)のメチロール基(−CHOH)が炭素数1〜4のアルコールのアルキル基(以下、Rと略記する。)でキャップされ、−CHO−Rとなる(キャップ化メチロール体)。これにより、メチロール基がそのままの状態で存在している場合に比べて、2段目の反応の際に化合物(m2)のメチロール体同士が反応するような副反応が生じにくい。
一方、上記メチロール体及びキャップ化メチロール体は、過剰に存在する化合物(m1)とは容易に反応するため、目的の樹脂が得られやすい。
1段目の反応での反応温度は、0〜100℃が好ましく、30〜60℃がより好ましい。反応温度があまりに低いと反応は進まず、あまりに高すぎると反応をコントロールすることが難しくなり、目的の液状多価ヒドロキシ樹脂を安定的に得ることが難しくなる。
1段目の反応の終了時、1段目の反応で得られた反応生成物に酸を添加して塩基性触媒を中和してもよい。
次に、1段目の反応で得られた反応生成物と化合物(m1)とを酸性触媒の存在下で反応させる2段目の反応を行う。
化合物(m1)の塩基性触媒の存在下で反応させる量および酸性触媒の存在下で反応させる量の合計量、つまり、1段目の反応における化合物(m1)の使用量と2段目の反応における化合物(m1)の使用量との合計量は、1段目の反応で使用した化合物(m2)に対して、72〜361質量%が好ましく、108〜324質量%がより好ましい。
1段目の反応における化合物(m1)の使用量と2段目の反応における化合物(m1)の使用量との合計量と、1段目の反応で使用した化合物(m2)とのモル比(化合物(m1)/化合物(m2))は、2.0〜10.0が好ましく、3.0〜9.0がより好ましい。
化合物(m1)の比率が低すぎると、液状多価ヒドロキシ樹脂の質量平均分子量が大きくなり、常温での粘度が高くなる。化合物(m1)の比率が高すぎると、歩留まり低下し、コストアップに繋がる。
酸性触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、3フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛等が挙げられる。酸性触媒は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記の内、比較的安価に入手できる点では、塩酸、硫酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。
2段目の反応において、酸性触媒の使用量は、1段目の反応で使用した化合物(m2)に対して0.04〜12.6質量%が好ましく、0.4〜4.2質量%がより好ましい。
酸性触媒と化合物(m2)とのモル比(酸性触媒/化合物(m2))は、0.001〜0.3が好ましく、0.01〜0.1がより好ましい。
酸性触媒の使用量が少なすぎると反応速度が遅く、使用量が多すぎると反応が急激に進み反応をコントロールすることが難しくなる。
2段目の反応での反応温度は、30〜150℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。反応温度があまりに低いと反応は進まず、あまりに高すぎると反応をコントロールすることが難しくなり、目的の液状多価ヒドロキシ樹脂を安定的に得ることが難しくなる。
2段目の反応により得られる反応生成物は、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の含有量が70〜90質量%であり、質量平均分子量が800〜1600であれば、そのまま本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂とすることができる。
2段目の反応の後、必要に応じて、反応生成物に対し、蒸留等による未反応の原料の除去、濃縮、精製(洗浄、カラムクロマトグラフィー、等)等の処理を行ってもよい。未反応のホルムアルデヒドおよび化合物(m1)は洗浄や蒸留等により除去することが好ましい。他のフェノール類を用いた場合は他のフェノール類も除去することが好ましい。
製造方法(i)において、化合物(m1)、(m2)およびホルムアルデヒドとともに他のフェノール類を反応させる場合、他のフェノール類を反応させるタイミングは、ホルムアルデヒドとの反応性に応じて適宜設定できる。たとえば一段目の反応の際に反応させてもよく、二段目の反応の際に反応させてもよく、それらの両方の際に反応させてもよい。
他のフェノール類がアリルフェノールである場合、アリルフェノールは、化合物(m1)と同様、化合物(m2)よりもホルムアルデヒドとの反応性が高い。そのため、他のフェノール類がアリルフェノールである場合、化合物(m2)とホルムアルデヒドとを反応させた後、その反応生成物と反応させることが好ましい。つまり、化合物(m2)とホルムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下で反応させ、その反応生成物と化合物(m1)と他のフェノール類とを酸性触媒の存在下で反応させることが好ましい。
(液状多価ヒドロキシ樹脂の用途)
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂の用途は、特に限定されず、液状の多価ヒドロキシ樹脂の用途として公知の各種の用途に用いることができる。
たとえば、本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂は、複数の水酸基を有することから、水酸基と反応する官能基(エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、ハロゲン化物等)を有する化合物の硬化剤(架橋剤)として用いることができる。本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂は、エポキシ樹脂用硬化剤として好適である。
また、本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂は、エポキシ樹脂を製造するための材料として用いることができる。例えば液状多価ヒドロキシ樹脂の水酸基をエポキシ化することでエポキシ樹脂を得ることができる。
(作用効果)
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂にあっては、構成単位(u1)と構成単位(u2)とを有し、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の含有量が70〜90質量%であり、質量平均分子量が800〜1600であることで、常温で低粘度を呈する。また、本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ樹脂用硬化剤として用いたときに、硬化物に低弾性率を付与できる。
特に、本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂が構成単位(u31)を有さない場合には、本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂とエポキシ樹脂との反応性が良好であり、これらを含むエポキシ樹脂組成物の硬化速度が充分に速いものとなる。液状フェノール系硬化剤として従来用いられているアリルフェノール樹脂の場合、充分に低い粘度を得るためにはアリル基の導入量を多くする必要がある。しかし、アリル基は、特に水酸基のオルソ位に導入されている場合、水酸基とエポキシ基との反応を阻害し、エポキシ樹脂組成物の硬化速度が遅くなる。
は、水酸基の水素結合を阻害して低粘度化に寄与すると考えられる。Rはまた低弾性率化に寄与すると考えられる。
がメチル基である場合、Rも、水酸基の水素結合を阻害して低粘度化に寄与すると考えられる。また、Rは、水酸基のオルソ位に結合していても、水酸基とエポキシ基との反応を阻害しにくく、エポキシ樹脂組成物の硬化速度を損なうことなく低粘度化できる。Rが水素原子である場合、水酸基とエポキシ基との反応はより阻害されにくい。
<エポキシ樹脂用硬化剤>
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤は、前述の本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂からなる。すなわち、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤の好ましい態様は、本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂の好ましい態様と同様である。
<エポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂は、本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂の水酸基の少なくとも一部がエポキシ化されたものである。
水酸基のエポキシ化は、公知の方法により実施できる。たとえば液状多価ヒドロキシ樹脂とエピクロロヒドリンとを反応させることで、液状多価ヒドロキシ樹脂の水酸基(構成単位(u1)や構成単位(u2)のフェノール性水酸基等)の一部又は全部が−OZ(ここで、Zはグリシジル基である。)となった構造のエポキシ樹脂を得ることができる。
<エポキシ樹脂組成物>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、前述の本発明のエポキシ樹脂用硬化剤とを含む。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、エポキシ樹脂及び本発明のエポキシ樹脂用硬化剤以外の他の成分をさらに含んでもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、溶剤を含んでもよい。本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体の封止材料(液状封止材料等)として用いる場合は、溶剤を含まないことが好ましい。
エポキシ樹脂としては、特に限定されず、公知のエポキシ樹脂であってよく、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂、リン原子含有エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を組合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂として、本発明のエポキシ樹脂(本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂の水酸基の少なくとも一部がエポキシ化されたエポキシ樹脂)を用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物中、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂のエポキシ基と、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤の水酸基との当量比(エポキシ基/水酸基)が0.7〜1.5となる量であることが好ましい。エポキシ基/水酸基は、0.9〜1.1がより好ましい。エポキシ基/水酸基が前記範囲内であれば、得られる硬化物がより低弾性率なものになる。
前記他の成分としては、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤以外の硬化剤(以下、他の硬化剤ともいう。)、硬化促進剤、充填材(フィラー)、離型剤、表面処理剤、着色剤、可撓性付与剤等が挙げられる。
他の硬化剤としては、エポキシ樹脂に用いられる硬化剤として従来公知のものを用いることができ、たとえばフェノールノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、酸無水物、アミン樹脂等が挙げられる。
硬化促進剤としては、特に限定されず、公知の硬化促進剤であってよい。例えばリン系化合物、第3級アミン、イミダゾール化合物、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。リン系化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリス−2,6−ジメトキシフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等が挙げられる。第3級アミンとしては、2−ジメチルアミノメチルフェノール、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等が挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられる。これらの硬化促進剤はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を組合わせて用いてもよい。
硬化促進剤としては、硬化性、耐熱性、電気特性がより優れる点、耐湿信頼性が低下しにくい点で、リン系化合物(特にトリフェニルホスフィン)、イミダゾール化合物が好ましい。
硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂に対し、0.1〜5質量%が好ましい。
充填材(フィラー)としては、結晶性シリカ粉、溶融性シリカ粉、石英ガラス粉、タルク、ケイ酸カルシウム粉、ケイ酸ジルコニウム粉、アルミナ粉、炭酸カルシウム粉等が挙げられ、結晶性シリカ粉、溶融性シリカ粉が好ましい。
離型剤としては、たとえばカルナバワックス等の各種ワックス類等が挙げられる。
表面処理剤としては、公知のシランカップリング剤等が挙げられる。
着色剤としては、カーボンブラック等が挙げられる。
可撓性付与剤としては、シリコーン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリルゴム等が挙げられる。
溶剤としては、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤等を溶解するものであれば特に制限はなく、典型的には、極性溶剤が用いられる。極性溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、エタノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤と、必要に応じて他の成分と、を混合することにより調製できる。混合は、常法により行うことができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、熱硬化性を有し、熱硬化性成形材料として使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の用途としては、特に制限はなく、公知の熱硬化性成形材料の用途と同様であってよい。たとえば封止材料、フィルム材料、積層材料等が挙げられる。中でも、本発明の有用性の点から、液状封止材料が好ましく、アンダーフィル材料が特に好ましい。
<硬化物>
本発明の硬化物は、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化してなるものである。
エポキシ樹脂組成物の硬化は、温度を100〜200℃に制御して行うことが好ましい。
硬化操作の一例としては、一旦前記の好適な温度で30秒間以上1時間以下の硬化を行った後、さらに、前記の好適な温度で1〜20時間の後硬化を行う方法が挙げられる。
以下に、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
以下の各例において「%」は、特に限定のない場合は「質量%」を示す。
以下の各例で用いた測定方法、テストピースの作製方法を以下に示す。
[多価ヒドロキシ樹脂の粘度]
25℃に設定したE型粘度計(TOKIMEC製)により測定した。
[多価ヒドロキシ樹脂の質量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)]
下記のGPC装置及びカラムを使用し、標準物質をポリスチレンとして測定した。
GPC装置:東ソー社製のHLC8120GPC。
カラム:TSKgel G3000HXL+G2000H+G2000H。
[多価ヒドロキシ樹脂の水酸基当量]
自動滴定装置(平沼産業製COM−1700S)を用い、無水酢酸によるアセチル化法で測定した。
[エポキシ樹脂組成物のゲル化時間]
ゲル化時間を、150℃にてJIS K 6910:2007に準拠した方法により測定した。
[成形物(硬化物)の作製方法]
エポキシ樹脂組成物をプラスチック製の型に入れ、120℃で1時間の硬化処理を行い、得られた一次硬化物を離型した後、150℃で1時間の後硬化処理を行って、成形物(硬化物)を得た。
[ガラス転移温度、貯蔵弾性率]
成形物(幅10.0mm×長さ5.0mm×厚さ4.0mm)のガラス転移温度(Tg)(℃)、Tg前貯蔵弾性率(GPa)及びTg後貯蔵弾性率(MPa)を、粘弾性スペクトロメーター(日立ハイテクサイエンス製、DMA7100)を用いて、2℃/分の昇温速度で−10℃〜200℃の範囲で測定した。
Tg前貯蔵弾性率は、Tg−25℃における貯蔵弾性率であり、Tg後貯蔵弾性率は、Tg+25℃における貯蔵弾性率である。
この測定方法で測定されたガラス転移温度は「ガラス転移温度:DMA」とした。
[5%熱減少温度]
成形物の熱重量減量を、示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー製TG/DTA6300)により、エアー雰囲気下、10℃/分の昇温速度で30℃〜620℃の範囲で測定し、5%熱減少温度(℃)を求めた。
[ガラス転移温度、線膨張係数]
成形物(幅10.0mm×長さ10.0mm×厚さ4.0mm)のガラス転移温度(Tg)(℃)、Tg前の線膨張係数(α1)及びTg後の線膨張係数(α2)を、熱機械的分析装置(日立ハイテクサイエンス製、TMA7100)を用いて、2℃/分の昇温速度で−10℃〜200℃の範囲で測定した。
線膨張係数(α1)は、Tg−20℃〜Tg−30℃における線膨張係数であり、線膨張係数(α2)は、Tg+20℃〜Tg+30℃における線膨張係数である。
上記測定方法で測定されたガラス転移温度は「ガラス転移温度:TMA」として表1に示した。
[曲げ弾性率]
成形物の曲げ弾性率(GPa)を、JIS K 6911:1995に準拠した方法により測定した。
<実施例1>
カシューナットシェルリキッド(CNSL)として、GOLDEN CASHEW PRODUCTS PVT社製、商品名:CARDANOLを用意した。このCNSLは、カルダノールの含有量が90.44%、カルドールの含有量が4.02%、メチルカルドールの含有量が1.04%で、それらの合計(有効成分量)が95.5%であった。
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量3Lのガラス製フラスコに、CNSL300g、メタノール150g、50%ホルムアルデヒド水溶液90g(1.5モル、CNSLに対し30%)を仕込み、その混合液に30%水酸化ナトリウム水溶液133gを35℃で2時間かけて滴下した。その後、35℃にてCNSLのメチロール化反応を6時間行った。次いで、オルソクレゾールを648g(6モル、CNSLに対し216%)添加し、30%酢酸220gを用いて中和した後、水洗を行い、中和塩を除去後、シュウ酸6.49gを添加して系内を酸性にし、100℃で4時間、オルソクレゾールの付加反応を行った。次いで、水洗を行い、その後、過剰のオルソクレゾールを留去し、液状多価ヒドロキシ樹脂Aを得た。
液状多価ヒドロキシ樹脂Aの25℃における粘度は7.8Pa・s、ゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)における質量平均分子量(Mw)は1326、分散度(Mw/Mn)は1.514、水酸基当量は206g/eqであった。また、液状多価ヒドロキシ樹脂Aの全質量に対し、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の含有量は80.0%(残部が20.0%)で、化合物(m2)の含有量は11.2%であった。これらの含有量は、液状多価ヒドロキシ樹脂Aの質量、使用したCNSL量及びGPCにより求めた。
<実施例2>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量3Lのガラス製フラスコに、実施例1で用いたのと同じCNSL300g、メタノール150g、50%ホルムアルデヒド水溶液120g(2.0モル、CNSLに対し40%)を仕込み、その混合液に30%水酸化ナトリウム水溶液133gを35℃で2時間かけて滴下した。その後、35℃にてCNSLのメチロール化反応を6時間行った。次いで、オルソクレゾールを648g(6モル、CNSLに対し216%)添加し、水洗を行い、中和塩を除去後、シュウ酸6.49gを添加して系内を酸性にし、100℃で4時間、オルソクレゾールの付加反応を行った。次いで、水洗を行い、その後、過剰のオルソクレゾールを留去し、液状多価ヒドロキシ樹脂Bを得た。
液状多価ヒドロキシ樹脂Bの25℃における粘度は24.4Pa・s、GPCにおける質量平均分子量(Mw)は1374、分散度(Mw/Mn)は1.489、水酸基当量は201g/eqであった。また、液状多価ヒドロキシ樹脂Bの全質量に対し、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の含有量は75.5%(残部が24.5%)で、化合物(m2)の含有量は6.3%であった。これらの含有量は、液状多価ヒドロキシ樹脂Bの質量、使用したCNSL量及びGPCにより求めた。
<実施例3>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量3Lのガラス製フラスコに、実施例1で用いたのと同じCNSL300g、フェノール6g、メタノール150g、50%ホルムアルデヒド水溶液120g(2.0モル、CNSLに対し40%)を仕込み、その混合液に30%水酸化ナトリウム水溶液133gを35℃で2時間かけて滴下した。その後、35℃にてCNSLのメチロール化反応を6時間行った。次いで、オルソクレゾールを648g(6モル、CNSLに対し216%)添加し、水洗を行い、中和塩を除去後、シュウ酸6.49gを添加して系内を酸性にし、100℃で4時間、オルソクレゾールの付加反応を行った。次いで、水洗を行い、その後、過剰のオルソクレゾールを留去し、液状多価ヒドロキシ樹脂Cを得た。
液状多価ヒドロキシ樹脂Cの25℃における粘度は25.1Pa・s、GPCにおける質量平均分子量(Mw)は1380、分散度(Mw/Mn)は1.492、水酸基当量は203g/eqであった。また、液状多価ヒドロキシ樹脂Bの全質量に対し、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の含有量は75.4%(残部が24.6%)で、化合物(m2)の含有量は6.6%であった。これらの含有量は、液状多価ヒドロキシ樹脂Cの質量、使用したCNSL量及びGPCにより求めた。
<比較例1:一般的な低粘度フェノール樹脂の合成>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量2Lのガラス製フラスコに、フェノール941g(10.0モル)、50%ホルムアルデヒド水溶液150g(2.5モル)、シュウ酸4.7g(0.037モル)を仕込み、100℃まで昇温し4時間還流反応を行った。次いで、水洗を行い、その後、過剰のフェノールを留去し、半液状多価ヒドロキシ樹脂Dを得た。
半液状多価ヒドロキシ樹脂Dの25℃における粘度は、粘度が高くて測定不可能(100Pa・s以上)であり、GPCにおける質量平均分子量(Mw)は467、分散度(Mw/Mn)は1.146、水酸基当量は103g/eqであった。
<比較例2:アリルフェノールを用いた一般的な液状樹脂の合成>
温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量2Lのガラス製フラスコに、オルソアリルフェノール1342g(10.0モル)、92%ホルムアルデヒド146.7g(4.5モル)、シュウ酸13.4g(0.106モル)を仕込み、120℃まで昇温し6時間反応を行った。次いで、水洗を行い、その後、過剰のオルソアリルフェノールを留去し、液状多価ヒドロキシ樹脂Eを得た。
液状多価ヒドロキシ樹脂Eの25℃における粘度は29.1Pa・s、GPCにおける質量平均分子量(Mw)は738、分散度(Mw/Mn)は1.371、水酸基当量は154g/eqであった。
<比較例3>
特開2015−89940号公報の実施例1に従って、液状多価ヒドロキシ樹脂Fを得た。
液状多価ヒドロキシ樹脂Fの25℃における粘度は10.2Pa・s、GPCにおける質量平均分子量(Mw)は1384、分散度(Mw/Mn)は1.588、水酸基当量は213g/eqであった。また、液状多価ヒドロキシ樹脂Fの全質量に対し、構成単位(u2)および化合物(m2)の合計の含有量は66.0%(残部が34.0%)で、化合物(m2)の含有量は6.5%であった。これらの含有量は、液状多価ヒドロキシ樹脂Fの質量、使用したCNSL量及びGPCにより求めた。
<実施例4〜9、比較例4〜9>
表1〜2に示す組成にて硬化剤、エポキシ樹脂および硬化促進剤を混合してエポキシ樹脂組成物を得た。エポキシ樹脂および硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と、硬化剤中の水酸基との当量比が1となるように設定した。
表1〜2中、硬化剤A〜Fはそれぞれ、上記液状多価ヒドロキシ樹脂A、液状多価ヒドロキシ樹脂B、液状多価ヒドロキシ樹脂C、半液状多価ヒドロキシ樹脂D、液状多価ヒドロキシ樹脂E、液状多価ヒドロキシ樹脂Fである。
エポキシ樹脂1は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、製品名:エピコート828)である。
エポキシ樹脂2は、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、製品名:エピコート806)である。
硬化促進剤は、2−エチル−4−メチルイミダソール(2E4MZ、試薬、東京化成工業株式会社製)である。
得られたエポキシ樹脂組成物のゲル化時間を前記の手順で測定した。また、エポキシ樹脂組成物を前記の手順で成形物とし、ガラス転移温度(TMA、DMA)、5%熱減少温度、線膨張係数、貯蔵弾性率、曲げ弾性率を測定した。結果を表1〜2に示す。
Figure 2017110198
Figure 2017110198
比較例4、7のエポキシ樹脂組成物に用いた硬化剤Dは、フェノール系硬化剤として一般的なものであるが、高粘度であり半固形状を呈していた。また、各エポキシ樹脂組成物から得られた成形物の弾性率が高かった。
比較例5、8のエポキシ樹脂組成物に用いた硬化剤Eは、アリルフェノールを用いた一般的な液状樹脂であり、硬化剤Dより低粘度であるものの、エポキシ樹脂組成物のゲル化時間が比較例4、7よりも長くなっていた。また、各エポキシ樹脂組成物から得られた成形物のTg前貯蔵弾性率が比較例4、7と同等の高い値を示した。
比較例6、9のエポキシ樹脂組成物に用いた硬化剤Fは、低粘度であるものの、エポキシ樹脂組成物のゲル化時間が比較例5、8よりもさらに長くなっていた。
これに対し、実施例4〜9のエポキシ樹脂組成物に用いた硬化剤A〜Cは、硬化剤D、Eよりも低粘度であった。また、各エポキシ樹脂組成物の硬化速度の指標であるゲル化時間が、硬化剤Fを用いた比較例6、9よりも短かった。また、各エポキシ樹脂組成物から得られた成形物の弾性率(貯蔵弾性率および曲げ弾性率)が低かった。また、5%熱減少温度が充分に高く、充分な耐熱性を有していた。
本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂は常温で低粘度の液状を呈する。また、本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂をエポキシ樹脂用硬化剤として用いることで、エポキシ樹脂組成物の硬化物に低弾性率を付与する事ができる。したがって、本発明の液状多価ヒドロキシ樹脂は、高機能性高分子材料として極めて有用であり、物理的、電気的に優れた材料として半導体封止材、アンダーフィル材、電気絶縁材料、銅張り積層板用樹脂、導電ペースト用樹脂、電子部品の封止用樹脂、塗料、各種コーティング剤、接着剤、ビルドアップ積層板材料等の幅広い用途に使用することができる。

Claims (9)

  1. 下記式(u1)で表される構成単位と、下記式(u2)で表される構成単位とを有し、
    前記式(u2)で表される構成単位および下記式(m2)で表される化合物の合計の含有量が、液状多価ヒドロキシ樹脂全体に対して70〜90質量%であり、
    質量平均分子量が800〜1600である液状多価ヒドロキシ樹脂。
    Figure 2017110198
    [式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基であり、Xは水素原子または水酸基であり、mおよびnはそれぞれ独立に0または1であり、Yは水素原子またはメチル基である。]
  2. 下記式(u31)で表される構成単位を有さない、請求項1に記載の液状多価ヒドロキシ樹脂。
    Figure 2017110198
    [式中、Rはアリル基である。]
  3. 25℃における粘度が100Pa・s以下である、請求項1または2に記載の液状多価ヒドロキシ樹脂。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液状多価ヒドロキシ樹脂の製造方法であって、
    下記式(m2)で表される化合物とホルムアルデヒドとを、または下記式(m1)で表される化合物と前記式(m2)で表される化合物とホルムアルデヒドとを、塩基性触媒の存在下で反応させ、その反応生成物と前記式(m1)で表される化合物とを酸性触媒の存在下で反応させて液状多価ヒドロキシ樹脂を得る、液状多価ヒドロキシ樹脂の製造方法。
    Figure 2017110198
    [式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数10〜25の直鎖または分岐状の炭化水素基であり、Xは水素原子または水酸基であり、Yは水素原子またはメチル基である。]
  5. 前記ホルムアルデヒドの塩基性触媒の存在下で反応させる量が、前記式(m2)で表される化合物に対して10〜80質量%であり、
    前記式(m1)で表される化合物の塩基性触媒の存在下で反応させる量および酸性触媒の存在下で反応させる量の合計量が、前記式(m2)で表される化合物に対して72〜361質量%である、請求項4に記載の液状多価ヒドロキシ樹脂の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液状多価ヒドロキシ樹脂からなるエポキシ樹脂用硬化剤。
  7. エポキシ樹脂と、請求項6に記載のエポキシ樹脂用硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物。
  8. 請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化した硬化物。
  9. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液状多価ヒドロキシ樹脂の水酸基の少なくとも一部がエポキシ化されたエポキシ樹脂。
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