JP2013147585A - 液状フェノール樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】低分子量で、耐熱性、硬化性など、フェノール樹脂の優れた特性を有し、かつ柔軟性にも優れた成形品を得られる液状フェノール樹脂を提供すること。
【解決手段】本発明は、(A)オリゴマーの含有率が1%以下であるカシューオイル、(B)フェノール類、並びに(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物を反応させてなる液状フェノール樹脂であって、好ましくは(A):(B)=10:90〜90:10であり、液状フェノール樹脂全体に対する窒素含有量が3〜30重量%である液状フェノール樹脂に関する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、(A)オリゴマーの含有率が1%以下であるカシューオイル、(B)フェノール類、並びに(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物を反応させてなる液状フェノール樹脂であって、好ましくは(A):(B)=10:90〜90:10であり、液状フェノール樹脂全体に対する窒素含有量が3〜30重量%である液状フェノール樹脂に関する。
【選択図】なし
Description
本発明は、液状レゾール型フェノール樹脂に関するものである。
熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂は、主に成形品の基材となる材料同士を結合させるバインダーとして広く用いられ、優れた機械的特性や電気的特性、接着性を有することから、様々な分野で使用されている。
フェノール樹脂は、含浸用途としても用いられる。含浸用途の例としては、プリプレグ、積層板、湿式摩擦材、C−Cコンポジット、FRP(繊維強化プラスチック)、研磨布紙などがある。含浸用途では、一般的にレゾール型液状フェノール樹脂が用いられる。含浸用途におけるフェノール樹脂は、低分子量とすることで含浸性を高めることが重要である。プリプレグの場合には、低分子量とすることで流れがよくなり、接着性を高めることもできる。このような含浸用途では、特に成形体の靭性向上への要求が高まってきており、フェノール樹脂自身にも柔軟性向上への要求が高い。しかしながら一般的なフェノール樹脂の硬化物は、機械的特性に優れる反面、硬くて脆いという性質をもち、柔軟性に優れているとは言えない。
フェノール樹脂は、含浸用途としても用いられる。含浸用途の例としては、プリプレグ、積層板、湿式摩擦材、C−Cコンポジット、FRP(繊維強化プラスチック)、研磨布紙などがある。含浸用途では、一般的にレゾール型液状フェノール樹脂が用いられる。含浸用途におけるフェノール樹脂は、低分子量とすることで含浸性を高めることが重要である。プリプレグの場合には、低分子量とすることで流れがよくなり、接着性を高めることもできる。このような含浸用途では、特に成形体の靭性向上への要求が高まってきており、フェノール樹脂自身にも柔軟性向上への要求が高い。しかしながら一般的なフェノール樹脂の硬化物は、機械的特性に優れる反面、硬くて脆いという性質をもち、柔軟性に優れているとは言えない。
そこで、上記問題を解決する方法として、フェノール樹脂を合成する際の反応において、変性剤として乾性油等を用いて柔軟性を改善する試みが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このような変性のフェノール樹脂は、分子量の制御が難しく、また、熱履歴後の強度低下が著しいという課題があった。
しかし、このような変性のフェノール樹脂は、分子量の制御が難しく、また、熱履歴後の強度低下が著しいという課題があった。
本発明は、低分子量で、耐熱性、硬化性など、フェノール樹脂の優れた特性を有し、かつ、柔軟性向上による靭性の向上及び熱履歴後の強度を両立する優れた成形品を得られる液状フェノール樹脂を提供するものである。
このような目的は、以下の本発明[1]〜[6]により達成される。
[1] (A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイル、(B)フェノール類、並びに(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物を反応させてなるものであることを特徴とする液状フェノール樹脂。
[2] 前記(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイルと、前記(B)フェノール類との重量比が、(A):(B)=10:90〜90:10である[1]に記載の液状フェノール樹脂。
[3] 前記液状フェノール樹脂全体に対する窒素含有量が、3〜30重量%である[1]又は[2]に記載の液状フェノール樹脂。
[4] 前記(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物が、ヘキサメチレンテトラミンを含む[1]ないし[3]のいずれか1項に記載の液状フェノール樹脂。
[5] 前記(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイル及び前記(B)フェノール類に対して、前記(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物を、モ
ル比において、(C)/{(A)+(B)}=0.13〜0.35の割合で反応させてなる[1]ないし[4]のいずれか1項に記載の液状フェノール樹脂。
[6] 含浸用途に用いられるものである、[1]ないし[5]のいずれか1項に記載の液状フェノール樹脂。
[1] (A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイル、(B)フェノール類、並びに(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物を反応させてなるものであることを特徴とする液状フェノール樹脂。
[2] 前記(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイルと、前記(B)フェノール類との重量比が、(A):(B)=10:90〜90:10である[1]に記載の液状フェノール樹脂。
[3] 前記液状フェノール樹脂全体に対する窒素含有量が、3〜30重量%である[1]又は[2]に記載の液状フェノール樹脂。
[4] 前記(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物が、ヘキサメチレンテトラミンを含む[1]ないし[3]のいずれか1項に記載の液状フェノール樹脂。
[5] 前記(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイル及び前記(B)フェノール類に対して、前記(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物を、モ
ル比において、(C)/{(A)+(B)}=0.13〜0.35の割合で反応させてなる[1]ないし[4]のいずれか1項に記載の液状フェノール樹脂。
[6] 含浸用途に用いられるものである、[1]ないし[5]のいずれか1項に記載の液状フェノール樹脂。
本発明の液状フェノール樹脂は低分子量で、これをバインダーに用いた場合には、耐熱性、硬化性、及び、柔軟性に優れた成形品を得ることができる。
以下に、本発明の液状フェノール樹脂について詳細に説明する。
本発明の液状フェノール樹脂は、(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイル、(B)フェノール類、並びに(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物を反応させてなるものであることを特徴とする。
まず、本発明の液状フェノール樹脂について詳細に説明する。
本発明の液状フェノール樹脂は、(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイル、(B)フェノール類、並びに(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物を反応させてなるものであることを特徴とする。
まず、本発明の液状フェノール樹脂について詳細に説明する。
(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイル
本発明の液状フェノール樹脂に用いられるオリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイルは、カシューナッツの殻から採取された油状の液を精製することで得られるカシューオイルである。精製の方法としては、蒸留、溶剤抽出、カラムクロマトグラフィーなどが挙げられる。
本発明の液状フェノール樹脂にカシューオイルを用いることにより、得られる液状フェノール樹脂に柔軟性を付与することができる。
また、オリゴマーの含有量を1%以下とすることで、液状フェノール樹脂の分子量が制御しやすくなり、分子量の増大を防ぐことができる。
本発明の液状フェノール樹脂に用いられるオリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイルは、カシューナッツの殻から採取された油状の液を精製することで得られるカシューオイルである。精製の方法としては、蒸留、溶剤抽出、カラムクロマトグラフィーなどが挙げられる。
本発明の液状フェノール樹脂にカシューオイルを用いることにより、得られる液状フェノール樹脂に柔軟性を付与することができる。
また、オリゴマーの含有量を1%以下とすることで、液状フェノール樹脂の分子量が制御しやすくなり、分子量の増大を防ぐことができる。
(B)フェノール類
本発明の液状フェノール樹脂に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール類、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、及び、1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類などが挙げられる。これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
これらのフェノール類の中でも、フェノール、クレゾール類、ビスフェノールAから選ばれるものが好ましい。これにより、本発明の液状フェノール樹脂を用いた成形品において、機械的強度を高めることができる。
本発明の液状フェノール樹脂に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール類、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、及び、1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類などが挙げられる。これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
これらのフェノール類の中でも、フェノール、クレゾール類、ビスフェノールAから選ばれるものが好ましい。これにより、本発明の液状フェノール樹脂を用いた成形品において、機械的強度を高めることができる。
(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物
本発明の液状フェノール樹脂で用いられる2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物としては、例えば、2級アルキルアミン化合物として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、3級アルキルアミン化合物として、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン
、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げられる。これらを単独で使用または2種以上併用することができる。
これらの中でも、ヘキサメチレンテトラミンを用いることが好ましい。これを用いることで液状フェノール樹脂のコストを低くすることができる。
本発明の液状フェノール樹脂で用いられる2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物としては、例えば、2級アルキルアミン化合物として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、3級アルキルアミン化合物として、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン
、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げられる。これらを単独で使用または2種以上併用することができる。
これらの中でも、ヘキサメチレンテトラミンを用いることが好ましい。これを用いることで液状フェノール樹脂のコストを低くすることができる。
本発明の液状フェノール樹脂においては、上記(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイルと、(B)フェノール類との重量比率が、(A):(B)=10:90〜90:10であることが好ましい。さらに好ましくは25:75〜75:25である。これにより、得られる液状フェノール樹脂の柔軟性と耐熱強度を両立させることができる。
本発明の液状フェノール樹脂においては、上記(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイルと、(B)フェノール類との合計モル数1モルに対して、(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物のモル数が、0.13〜0.35モルであることが好ましい。より好ましくは0.15〜0.30モルである。
これにより、本発明の液状フェノール樹脂を含浸用途に適用した場合に、成形品の柔軟性を向上させることができる。
これにより、本発明の液状フェノール樹脂を含浸用途に適用した場合に、成形品の柔軟性を向上させることができる。
本発明の液状フェノール樹脂は、以上に説明した(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイル、(B)フェノール類、並びに(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物を反応させてなるものであることを特徴とする。
本発明の液状フェノール樹脂は、触媒を使用しなくても得ることができるが、必要によりアルカリ性触媒を用いることができる。アルカリ性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、アンモニア水、トリエチルアミンなどの第3級アミン、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、炭酸ナトリウム、などのアルカリ性物質等を単独または2種類以上併用することができる。
上記アルカリ性触媒の使用量としては特に限定されないが、上記(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイルと、(B)フェノール類との合計モル数1モルに対して、通常、0.01〜0.1モルとすることができる。
本発明の液状フェノール樹脂においては、樹脂を希釈するために有機溶媒を用いることができる。希釈に用いられる有機溶剤としては特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒及びこれらの混合物を用いることができる。
本発明の液状フェノール樹脂は、特に、含浸用途に好適に用いることができる。含浸用途の例としては、プリプレグ、積層板、湿式摩擦材、C−Cコンポジット、FRP(繊維強化プラスチック)、研磨布紙などがある。
本発明の液状フェノール樹脂を含浸材に用いる場合、本発明の液状フェノール樹脂を、金属繊維や炭素繊維及び化学繊維を主成分とする基材へ含浸し、これを焼成・硬化することにより、含浸材を得てもよい。
得られた含浸材は、耐熱性、硬化性など、フェノール樹脂の優れた特性を有し、かつ、柔軟性にも優れたものである。
本発明の液状フェノール樹脂を含浸材に用いる場合、本発明の液状フェノール樹脂を、金属繊維や炭素繊維及び化学繊維を主成分とする基材へ含浸し、これを焼成・硬化することにより、含浸材を得てもよい。
得られた含浸材は、耐熱性、硬化性など、フェノール樹脂の優れた特性を有し、かつ、柔軟性にも優れたものである。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
ここに記載されている「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を示す。
ものではない。
ここに記載されている「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を示す。
1.液状フェノール樹脂の製造
(実施例1)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000重量部、オリゴマーの含有率が0.2%であるカシューオイル1000重量部、メタノール50重量部、アセトン250重量部、ヘキサメチレンテトラミン500重量部及び50%水酸化ナトリウム水溶液を40重量部添加し、95℃に加熱昇温させ3時間保持した。
その後、アセトン1800重量部を加え、40℃以下に冷却して、液状フェノール樹脂4400重量部を得た。
(実施例1)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000重量部、オリゴマーの含有率が0.2%であるカシューオイル1000重量部、メタノール50重量部、アセトン250重量部、ヘキサメチレンテトラミン500重量部及び50%水酸化ナトリウム水溶液を40重量部添加し、95℃に加熱昇温させ3時間保持した。
その後、アセトン1800重量部を加え、40℃以下に冷却して、液状フェノール樹脂4400重量部を得た。
(比較例1)
カシューオイルのオリゴマー含有率を14.0%とした以外は実施例1と同様の方法で実施し、液状フェノール樹脂4300重量部を得た。
カシューオイルのオリゴマー含有率を14.0%とした以外は実施例1と同様の方法で実施し、液状フェノール樹脂4300重量部を得た。
(比較例2)
実施例1において、ヘキサメチレンテトラミン500重量部の代わりに37%ホルマリン水溶液1600重量部を用いて反応した。これを減圧下で80℃、30分脱水した後、アセトン1800重量部を加え、40℃以下に冷却して、液状フェノール樹脂4100重量部を得た。
実施例1において、ヘキサメチレンテトラミン500重量部の代わりに37%ホルマリン水溶液1600重量部を用いて反応した。これを減圧下で80℃、30分脱水した後、アセトン1800重量部を加え、40℃以下に冷却して、液状フェノール樹脂4100重量部を得た。
2.液状フェノール樹脂の評価
カシューオイルのオリゴマー含有率、得られた液状フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)および分散比(Mw/Mn)は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算で算出した。カシューオイルのオリゴマー含有率は、カシューオイル全体に対する、Mwが1000以上の成分の積分比から算出した。GPCの測定条件を以下に示す。
装置 :HLC−8320(東ソー株式会社製)
検出器:RI
カラム:TSK−GEL G1000H(東ソー株式会社製)の1連およびTSK−GEL G2000H(東ソー株式会社製)の2連を、この順番で直列に連結して使用した
温度 :40℃
溶媒 :THF
流速 :1.0ml/分
試料 :濃度1重量%の試料を50μl注入
カシューオイルのオリゴマー含有率、得られた液状フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)および分散比(Mw/Mn)は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算で算出した。カシューオイルのオリゴマー含有率は、カシューオイル全体に対する、Mwが1000以上の成分の積分比から算出した。GPCの測定条件を以下に示す。
装置 :HLC−8320(東ソー株式会社製)
検出器:RI
カラム:TSK−GEL G1000H(東ソー株式会社製)の1連およびTSK−GEL G2000H(東ソー株式会社製)の2連を、この順番で直列に連結して使用した
温度 :40℃
溶媒 :THF
流速 :1.0ml/分
試料 :濃度1重量%の試料を50μl注入
3.含浸紙の作製と評価
実施例及び比較例で得られた液状フェノール樹脂を用いて、含浸紙を作製した。基材には市販の濾紙(120mm×10mm×厚さ1mm)を使用した。実施例及び比較例で得られた液状フェノール樹脂をメタノールで希釈して樹脂濃度を35%にした溶液中に上記濾紙を含浸した後、190℃のオーブンで30分間乾燥、硬化し、試験片を得た。
得られた試験片について、JIS P 8113「紙及び板紙−引張特性の試験方法−」に準拠して、常態、及び、240℃1時間処理後について、各々、引張り強さ、引張り弾性率を測定した。
実施例及び比較例で得られた液状フェノール樹脂を用いて、含浸紙を作製した。基材には市販の濾紙(120mm×10mm×厚さ1mm)を使用した。実施例及び比較例で得られた液状フェノール樹脂をメタノールで希釈して樹脂濃度を35%にした溶液中に上記濾紙を含浸した後、190℃のオーブンで30分間乾燥、硬化し、試験片を得た。
得られた試験片について、JIS P 8113「紙及び板紙−引張特性の試験方法−」に準拠して、常態、及び、240℃1時間処理後について、各々、引張り強さ、引張り弾性率を測定した。
上記評価結果を、表1にまとめた。
実施例1は、本発明の液状フェノール樹脂である。得られた樹脂は分子量が小さく、弾性率が低いことから柔軟性に富み、240℃熱処理後の強度維持率が高いことから耐熱性に優れていることがわかった。
一方、比較例1は、オリゴマー含有率が高いカシューオイルを用いて得られたレゾール型樹脂であり、比較例2はヘキサメチレンテトラミンの代わりにホルマリン(ホルムアルデヒド)を用いて得られたレゾール型樹脂であるが、分子量が小さい樹脂を得ることができなかった。
一方、比較例1は、オリゴマー含有率が高いカシューオイルを用いて得られたレゾール型樹脂であり、比較例2はヘキサメチレンテトラミンの代わりにホルマリン(ホルムアルデヒド)を用いて得られたレゾール型樹脂であるが、分子量が小さい樹脂を得ることができなかった。
本発明の液状フェノール樹脂は、低分子量で、耐熱性、硬化性など、フェノール樹脂の優れた特性を有し、かつ柔軟性にも優れた成形品を得られるものであり、特に含浸用途に好適に用いることができるものである。
Claims (6)
- (A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイル、(B)フェノール類、並びに(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物を反応させてなるものであることを特徴とする液状フェノール樹脂。
- 前記(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイルと、前記(B)フェノール類との重量比が、(A):(B)=10:90〜90:10である請求項1に記載の液状フェノール樹脂。
- 前記液状フェノール樹脂全体に対する窒素含有量が、3〜30重量%である請求項1又は2に記載の液状フェノール樹脂。
- 前記(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物が、ヘキサメチレンテトラミンを含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液状フェノール樹脂。
- 前記(A)オリゴマーの含有量が1%以下であるカシューオイル及び前記(B)フェノール類に対して、前記(C)2級及び/又は3級のアルキルアミン化合物を、モル比において、(C)/{(A)+(B)}=0.13〜0.35の割合で反応させてなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液状フェノール樹脂。
- 含浸用途に用いられるものである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液状フェノール樹脂。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013177524A (ja) * | 2012-02-29 | 2013-09-09 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | バイオマス誘導体、バイオマス誘導体組成物及びバイオマス誘導体硬化物 |
JP2017110198A (ja) * | 2015-12-10 | 2017-06-22 | 群栄化学工業株式会社 | 液状多価ヒドロキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂組成物、その硬化物およびエポキシ樹脂 |
-
2012
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JP2017110198A (ja) * | 2015-12-10 | 2017-06-22 | 群栄化学工業株式会社 | 液状多価ヒドロキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂組成物、その硬化物およびエポキシ樹脂 |
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