JP2010209216A - フェノール樹脂、湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物、及び湿式ペーパー摩擦材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 摩擦係数を維持し、高強度でありながら優れた柔軟性を有する湿式ペーパー摩擦材用のフェノール樹脂、及び当該フェノール樹脂を用いた湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物、及び湿式ペーパー摩擦材を提供する。
【解決手段】 塩基性触媒およびカップリング剤で表面処理された針状充填材の存在下で、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られることを特徴とするフェノール樹脂、当該フェノール樹脂を用いた湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物、及び湿式ペーパー摩擦材。
【選択図】 なし
【解決手段】 塩基性触媒およびカップリング剤で表面処理された針状充填材の存在下で、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られることを特徴とするフェノール樹脂、当該フェノール樹脂を用いた湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物、及び湿式ペーパー摩擦材。
【選択図】 なし
Description
本発明はフェノール樹脂、湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物、及び湿式ペーパー摩擦材に関するものである。
熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂は、主に成形品の基材となる材料同士を結合させるバインダーとして広く用いられ、優れた機械的特性や電気的特性、接着性を有することから、様々な分野で使用されている。特に近年、自動車、鉄道車両などにおける、フェノール樹脂をバインダーとして使用した摩擦材の使用量が増加している。その中でも湿式ペーパー摩擦材と呼ばれる、オートマチック車等の自動変速機等において使用される摩擦材には、天然パルプや有機合成繊維を母材とし、フェノール樹脂等の耐熱性が高い熱硬化性樹脂を含浸したものが用いられ、製造法としては湿式抄紙したペーパーに熱硬化樹脂を含浸し、硬化した後に、鋼板に接着する方法が一般的である。その湿式ペーパー摩擦材用のフェノール樹脂に対する要求特性は年々高まっており、特に、車両の小型化を目的として摩擦係数を維持したままでの高強度化への要求が高まってきている。
しかしながら、一般的なフェノール樹脂の硬化物は、機械的特性に優れる反面、堅くてもろいという性質をもち、摩擦材として要求される柔軟性が不足している。
上記問題点を踏まえ、種々のフェノール樹脂が検討されているが、摩擦係数を維持し、高強度でありながら優れた柔軟性を有する湿式ペーパー摩擦材用のフェノール樹脂はない(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、一般的なフェノール樹脂の硬化物は、機械的特性に優れる反面、堅くてもろいという性質をもち、摩擦材として要求される柔軟性が不足している。
上記問題点を踏まえ、種々のフェノール樹脂が検討されているが、摩擦係数を維持し、高強度でありながら優れた柔軟性を有する湿式ペーパー摩擦材用のフェノール樹脂はない(例えば、特許文献1参照。)。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消して、摩擦係数を維持し、高強度でありながら優れた柔軟性を有する湿式ペーパー摩擦材用のフェノール樹脂、及び当該フェノール樹脂を用いた湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物、及び湿式ペーパー摩擦材を提供する。
このような目的は、下記の本発明[1]〜[11]項により達成される。
[1] 塩基性触媒、およびカップリング剤で表面処理された針状充填材の存在下で、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られることを特徴とするフェノール樹脂。
[2] 前記フェノール樹脂は、アルデヒド類とフェノール類とのモル比(アルデヒド類/フェノール類)を0.8〜1.6で反応させたものである[1]項に記載のフェノール樹脂。
[3] 前記フェノール樹脂の重量平均分子量は、1.0×103以下である[1]または[2]項に記載のフェノール樹脂。
[4] 前記針状充填材は、金属酸化物、金属炭化物および金属窒化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]ないし[3]項のいずれかに記載のフェノール樹脂。
[5] 前記針状充填材の量は、フェノール類100重量部に対し、0.5〜10重量部である[1]ないし[4]項のいずれかに記載のフェノール樹脂。
[6] 前記針状充填材の繊維径は、0.1〜1.0μmである[1]ないし[5]項のいずれかに記載のフェノール樹脂。
[7] 前記針状充填材の繊維長は、5〜30μmである[1]ないし[6]項のいずれかに記載のフェノール樹脂。
[8] 前記カップリング剤で表面処理された針状充填材のカップリング剤は、シランカップリング剤である[1]ないし[7]項のいずれかに記載のフェノール樹脂。
[9] 前記カップリング剤の処理量が、針状充填材100重量部に対して0.5〜3.0重量部である[1]ないし[8]項のいずれかに記載のフェノール樹脂。
[10] [1]ないし[9]項のいずれかに記載のフェノール樹脂と、有機基材、及び/または無機基材とを必須成分とする湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物。を
[11] 前記[10]項の湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物を用いてなる湿式ペーパー摩擦材。
[1] 塩基性触媒、およびカップリング剤で表面処理された針状充填材の存在下で、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られることを特徴とするフェノール樹脂。
[2] 前記フェノール樹脂は、アルデヒド類とフェノール類とのモル比(アルデヒド類/フェノール類)を0.8〜1.6で反応させたものである[1]項に記載のフェノール樹脂。
[3] 前記フェノール樹脂の重量平均分子量は、1.0×103以下である[1]または[2]項に記載のフェノール樹脂。
[4] 前記針状充填材は、金属酸化物、金属炭化物および金属窒化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]ないし[3]項のいずれかに記載のフェノール樹脂。
[5] 前記針状充填材の量は、フェノール類100重量部に対し、0.5〜10重量部である[1]ないし[4]項のいずれかに記載のフェノール樹脂。
[6] 前記針状充填材の繊維径は、0.1〜1.0μmである[1]ないし[5]項のいずれかに記載のフェノール樹脂。
[7] 前記針状充填材の繊維長は、5〜30μmである[1]ないし[6]項のいずれかに記載のフェノール樹脂。
[8] 前記カップリング剤で表面処理された針状充填材のカップリング剤は、シランカップリング剤である[1]ないし[7]項のいずれかに記載のフェノール樹脂。
[9] 前記カップリング剤の処理量が、針状充填材100重量部に対して0.5〜3.0重量部である[1]ないし[8]項のいずれかに記載のフェノール樹脂。
[10] [1]ないし[9]項のいずれかに記載のフェノール樹脂と、有機基材、及び/または無機基材とを必須成分とする湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物。を
[11] 前記[10]項の湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物を用いてなる湿式ペーパー摩擦材。
本発明のフェノール樹脂を、湿式ペーパー摩擦材に用いた場合、十分な摩擦係数を維持しつつ、高強度で柔軟性に優れた湿式ペーパー摩擦材を得ることができる。
以下に、本発明のフェノール樹脂、湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物、及び湿式ペーパー摩擦材について詳細に説明する。
まず、本発明のフェノール樹脂について説明する。
本発明のフェノール樹脂は、塩基性触媒およびカップリング剤で表面処理された針状充填材の存在下で、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られることを特徴とする。
ここで、本発明のフェノール樹脂は、塩基性触媒、カップリング剤で表面処理された針状充填材、フェノール類、及びアルデヒド類と混合した状態で合成を行っても良く、また塩基性触媒下、フェノール類とアセトアルデヒド類とが反応している途中で、カップリング剤で表面処理された針状充填材を添加し合成しても良い。
これにより、針状充填材とフェノール樹脂との密着性をより高めることができる。
本発明のフェノール樹脂は、塩基性触媒およびカップリング剤で表面処理された針状充填材の存在下で、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られることを特徴とする。
ここで、本発明のフェノール樹脂は、塩基性触媒、カップリング剤で表面処理された針状充填材、フェノール類、及びアルデヒド類と混合した状態で合成を行っても良く、また塩基性触媒下、フェノール類とアセトアルデヒド類とが反応している途中で、カップリング剤で表面処理された針状充填材を添加し合成しても良い。
これにより、針状充填材とフェノール樹脂との密着性をより高めることができる。
前記フェノール類としては、特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール類、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、及び、1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類などが挙げられる。
これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
これらのフェノール類の中でも、フェノール、クレゾール類、及びビスフェノールAが好ましい。これにより、本発明のフェノール樹脂を用いた湿式ペーパー摩擦材は、機械的強度が高くなる。
これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
これらのフェノール類の中でも、フェノール、クレゾール類、及びビスフェノールAが好ましい。これにより、本発明のフェノール樹脂を用いた湿式ペーパー摩擦材は、機械的強度が高くなる。
前記アルデヒド類としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのアルデヒド類の中でも、ホルムアルデヒド、またはパラホルムアルデヒドが好ましい。これにより、本発明のフェノール樹脂を合成する際のフェノール類の反応性を高くすることができる。
これらのアルデヒド類の中でも、ホルムアルデヒド、またはパラホルムアルデヒドが好ましい。これにより、本発明のフェノール樹脂を合成する際のフェノール類の反応性を高くすることができる。
前記カップリング剤で表面処理された針状充填材の針状充填材としては、特に限定されないが、例えば、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、硼酸アルミニウム、ウォラストナイト、セピオライト、ゾノトライト、ホスフェートファイバー、ドーソナイト、 石膏繊維、針状炭酸カルシウム、炭化珪素あるいは窒化珪素よりなるウイスカー等が挙げられる。またこれらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
前記針状充填材の繊維径は0.1〜1.0μmであることが好ましい。さらに好ましくは、0.3〜0.6μmである。繊維径が0.1μm未満である場合は、ペーパー摩擦材としたときの強度が十分でなく、1.0μmを超える場合は、反応後、本発明のフェノール樹脂中に均一に分散することができないため、基材に均一に含浸できず、湿式ペーパー摩擦材の強度が低下する場合がある。
前記針状充填材の繊維長は5〜30μmであることが好ましい。さらに好ましくは、10〜20μmである。繊維長が5μm未満である場合は、ペーパー摩擦材としたときの強度が十分でなく、30μmを超える場合は、反応後、本発明のフェノール樹脂中に均一に分散することができないため、基材に均一に含浸できず、湿式ペーパー摩擦材の強度が低下する場合がある。
前記前記カップリング剤で表面処理された針状充填材に用いるカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シランモノマー、ビニルシラン、メタクリルシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン、サルファーシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、イソシアネートシラン等のシランカップリング剤を用いることが好ましい。さらに好ましくは、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤である。
これにより、針状充填材とフェノール樹脂との密着性を高めることができる。
これにより、針状充填材とフェノール樹脂との密着性を高めることができる。
前記エポキシ系シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
前記アミノ系シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
前記針状充填材をカップリング剤の処理するさいの、カップリング剤量としては、特に限定されないが、針状充填材100重量部に対して、0.5〜3.0重量部とすることが好ましい。さらに好ましくは0.7〜2.2重量部である。
針状充填材をカップリング剤の処理する方法は、特に限定されないが、例えば、乾式処理法、スラリー法等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
ここに記載されている「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を示す。
ここに記載されている「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を示す。
(実施例1)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部、濃度37%のホルマリン744部、水酸化ナトリウム20部、エポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維(大塚化学製ティスモD102、繊維径0.3〜0.6μm、繊維長10〜20μm))12部とを混合し、100℃で30分反応させた。その後、650mmHgの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が80℃に達したところでメタノール850部を加えて溶解・冷却し、樹脂固形分が50%のレゾール型フェノール樹脂2160部を得た。
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部、濃度37%のホルマリン744部、水酸化ナトリウム20部、エポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維(大塚化学製ティスモD102、繊維径0.3〜0.6μm、繊維長10〜20μm))12部とを混合し、100℃で30分反応させた。その後、650mmHgの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が80℃に達したところでメタノール850部を加えて溶解・冷却し、樹脂固形分が50%のレゾール型フェノール樹脂2160部を得た。
(実施例2)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部、濃度37%のホルマリン744部、水酸化ナトリウム20部を加え、100℃で30分反応させた。その後、エポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維12部を加えて、650mmHgの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が80℃に達したところでメタノール850部を加えて溶解・冷却し、樹脂固形分が50%のレゾール型フェノール樹脂2175部を得た。
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部、濃度37%のホルマリン744部、水酸化ナトリウム20部を加え、100℃で30分反応させた。その後、エポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維12部を加えて、650mmHgの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が80℃に達したところでメタノール850部を加えて溶解・冷却し、樹脂固形分が50%のレゾール型フェノール樹脂2175部を得た。
(実施例3)
実施例1においてエポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維に代えて、アミノシラン処理チタン酸カリウム繊維(大塚化学製ティスモD101、繊維径0.3〜0.6μm、繊維長10〜20μm)12部加えた以外は、実施例1と同様に反応を行い、レゾール型フェノール樹脂2160部を得た。
実施例1においてエポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維に代えて、アミノシラン処理チタン酸カリウム繊維(大塚化学製ティスモD101、繊維径0.3〜0.6μm、繊維長10〜20μm)12部加えた以外は、実施例1と同様に反応を行い、レゾール型フェノール樹脂2160部を得た。
(比較例1)
実施例1において、エポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維を除いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、レゾール型フェノール樹脂2110部を得た。
実施例1において、エポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維を除いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、レゾール型フェノール樹脂2110部を得た。
(比較例2)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部、濃度37%のホルマリン744部、水酸化ナトリウム20部を加え、1時間反応させた。その後、650mmHgの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が80℃に達したところでメタノール850部を加えて溶解・冷却し、樹脂固形分が50%のレゾール型フェノール樹脂2100部を得た。その後、樹脂固形分1000部に対してエポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維5部を添加し、1時間混合して目標とするレゾール型フェノール樹脂2165部を得た。
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部、濃度37%のホルマリン744部、水酸化ナトリウム20部を加え、1時間反応させた。その後、650mmHgの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が80℃に達したところでメタノール850部を加えて溶解・冷却し、樹脂固形分が50%のレゾール型フェノール樹脂2100部を得た。その後、樹脂固形分1000部に対してエポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維5部を添加し、1時間混合して目標とするレゾール型フェノール樹脂2165部を得た。
(比較例3)
実施例1において、エポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維に代えて、表面未処理チタン酸カリウム繊維(大塚化学製ティスモD、繊維径0.3〜0.6μm、繊維長10〜20μm)12部を添加に変えた以外は、実施例1と同様に反応を行い、レゾール型フェノール樹脂を得た。
実施例1において、エポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維に代えて、表面未処理チタン酸カリウム繊維(大塚化学製ティスモD、繊維径0.3〜0.6μm、繊維長10〜20μm)12部を添加に変えた以外は、実施例1と同様に反応を行い、レゾール型フェノール樹脂を得た。
前記実施例および比較例で得られたフェノール樹脂を用い、引張り強度、引張り弾性率の評価を行った。評価方法は以下に示すとおりである。
引張り強度、引張り弾性率の評価
(1)評価用試験片の作製方法
実施例及び比較例で得られたフェノール樹脂に、メタノールを添加して濃度30%に調整した。これに、濾紙(厚さ1mm、アドバンテック社製)を30秒間浸した後、常温で30分間風乾、80℃で30分間乾燥後、200℃で30分間焼成し、ペーパー摩擦材相当の試験片を作製した。
(1)評価用試験片の作製方法
実施例及び比較例で得られたフェノール樹脂に、メタノールを添加して濃度30%に調整した。これに、濾紙(厚さ1mm、アドバンテック社製)を30秒間浸した後、常温で30分間風乾、80℃で30分間乾燥後、200℃で30分間焼成し、ペーパー摩擦材相当の試験片を作製した。
(2)評価方法
JIS P 8113「紙及び板紙−引張特性の試験方法」に準拠して、25℃、及び、200℃4時間処理後について、各々、引張り強度、引張り弾性率を測定した。
JIS P 8113「紙及び板紙−引張特性の試験方法」に準拠して、25℃、及び、200℃4時間処理後について、各々、引張り強度、引張り弾性率を測定した。
上記評価方法により、行った評価結果を表1にまとめた。
エポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維を用いた合成した実施例1(反応開始時からチタン酸カリウム繊維を混合した場合)、並びに2(反応途中でチタン酸カリウム繊維を添加した場合)、及びアミノシラン処理チタン酸カリウム繊維を用い合成した実施例3は、25℃、及び250℃で高強度であり、また引っ張り弾性率が低く柔軟性に優れる結果であった。
一方、充填材を用いない比較例1は、強度が低く、フェノール樹脂とエポキシシラン処理チタン酸カリウム繊維を単に混合しただけの比較例2は、強度が十分でなく、また柔軟性にも劣る結果となった。また表面処理されていない針状充填材を用いた比較例3は、強度が低かった。
本発明のフェノール樹脂を、湿式ペーパー摩擦材用バインダーに用いた場合、十分な摩擦係数を維持しつつ、高強度で柔軟性に優れるため湿式ペーパー摩擦材の他、様々な摩擦材用途にも適用できる。
Claims (11)
- 塩基性触媒およびカップリング剤で表面処理された針状充填材存在下で、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られることを特徴とするフェノール樹脂。
- 前記フェノール樹脂は、アルデヒド類とフェノール類とのモル比(アルデヒド類/フェノール類)を0.8〜1.6で反応させたものである請求項1に記載のフェノール樹脂。
- 前記フェノール樹脂の重量平均分子量は、1.0×103以下である請求項1または2に記載のフェノール樹脂。
- 前記針状充填材は、金属酸化物、金属炭化物および金属窒化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1ないし3のいずれかに記載のフェノール樹脂。
- 前記針状充填材の量は、フェノール類100重量部に対し、0.5〜10重量部である請求項1ないし4のいずれかに記載のフェノール樹脂。
- 前記針状充填材の繊維径は、0.1〜1.0μmである請求項1ないし5のいずれかに記載のフェノール樹脂。
- 前記針状充填材の繊維長は、5〜30μmである請求項1ないし6のいずれかに記載のフェノール樹脂。
- 前記カップリング剤で表面処理された針状充填材のカップリング剤は、シランカップリング剤である請求項1ないし7のいずれかに記載のフェノール樹脂。
- 前記カップリング剤の処理量が、針状充填材100重量部に対して0.5〜3.0重量部である請求項1ないし8のいずれかに記載のフェノール樹脂。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載のフェノール樹脂と、有機基材、及び/または無機基材とを必須成分とする湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物。
- 前記請求項10に記載の湿式ペーパー摩擦材用樹脂組成物を用いてなる湿式ペーパー摩擦材。
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---|---|---|---|---|
CN102391448A (zh) * | 2011-08-23 | 2012-03-28 | 山东圣泉化工股份有限公司 | 用于树脂砂轮粘合剂的酚醛树脂的制备方法和热固型液体酚醛树脂 |
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