JP2021187919A - 湿式摩擦材用樹脂組成物、ならびに湿式摩擦材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟性と耐久性に優れるとともに、高温環境下における使用による摩擦材特性の劣化が低減された湿式ペーパー摩擦材を得ることのできる樹脂組成物、ならびに当該フェノール樹脂組成物を用いて得られる湿式摩擦材およびその製造方法を提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂と、溶剤と、を含む湿式摩擦材用樹脂組成物であって、当該湿式摩擦材用樹脂組成物の硬化物を、30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した第一の力学的損失正接をtanδ1、前記第一の力学的損失正接を測定した後の前記硬化物を、200℃から30℃まで、10℃/分の降温速度で冷却し、次いで30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した第二の力学的損失正接をtanδ2としたとき、以下の式で表される力学的損失正接の変化率の値が、0.5以下である、湿式摩擦材用樹脂組成物:変化率=(tanδ1−tanδ2)/tanδ1。【選択図】なし
Description
本発明は、湿式摩擦材用の樹脂組成物、ならびに当該フェノール樹脂組成物を用いて製造される湿式摩擦材およびその製造方法に関する。
オートマチック自動車の変速機は、通常、金属製基板(コアプレート)の表面に湿式摩擦材を接着した複数のフリクションプレートと、金属板等の一枚板からなる摩擦相手材としてのセパレータプレートとを交互に配した多板クラッチが組み込まれ、潤滑油として使用されるATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)の中で、これらのプレートを相互に圧接、解放することによって駆動力を伝達または遮断するように構成されている。
湿式摩擦材としては、ゴム系摩擦材や、紙や有機繊維を基材とするいわゆるペーパー摩擦材などが用いられている。ペーパー摩擦材は、一般的に、天然パルプや有機合成繊維等の基材に各種の摩擦調整剤などを配合した後、湿式抄紙法によりペーパーを得、次にこのペーパーに、フェノール樹脂などのバインダーとして作用する熱硬化性樹脂を含浸・硬化することにより製造される。このペーパー摩擦材は、高い動摩擦係数を有している。
最近の自動車業界においては、省エネルギー化、軽量化の追求により、各種使用部品の軽量化及び高効率化が進められている。一方、自動車エンジンは高回転、高出力化の傾向にある。自動変速機においても、自動車エンジンの高回転化、高出力化に対応すべく、湿式摩擦材に対して摩擦係数の向上や耐熱性、耐久性の更なる改善が求められている。
すなわち、湿式摩擦材には、高温、高負荷な条件でも高い耐熱性が要求され、かつ、高い摩擦係数について更なる改善が強く求められている。
これらの問題を改善するために、湿式ペーパー摩擦材の製造用のフェノール樹脂に対する要求特性は年々高まっており、特に、車両の小型化を目的として摩擦係数を維持したままでの高強度化への要求が高まってきている。しかしながら、一般的なフェノール樹脂の硬化物は、機械的特性に優れる反面、堅くてもろいという性質をもち、摩擦材として要求される柔軟性が不足している場合があった。
上記問題点を踏まえ、種々のフェノール樹脂が検討されており、例えば、特許文献1では、ノボラック型フェノール樹脂にシリコーンゲルを配合したフェノール樹脂組成物を用いることにより、柔軟性に優れ、よってトルク容量が大きい摩擦材を得る技術が提案されている。
自動変速機のクラッチ、ブレーキ要素において、トルクを伝達する能力をトルク容量といい、設計上の最も基本的な機能である。トルク容量は大きいほど望ましいが、トルク容量を大きくするために摩擦係数を高くした湿式ペーパー摩擦材は、クラッチ、ブレーキ要素に要求される他の機能である耐熱性や機械的強度を損なう場合がある。特許文献1の摩擦材用フェノール樹脂においても、トルク容量と耐熱性、機械的強度のすべてを満足する湿式ペーパー摩擦材を容易に製造する点において改善の余地があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、柔軟性と耐久性に優れた湿式ペーパー摩擦材を得ることのできる湿式摩擦材用の樹脂組成物、ならびに当該樹脂組成物を用いて得られる湿式摩擦材およびその製造方法を提供するものである。
本発明者は、その硬化物の熱履歴後の動的粘弾性挙動を特定の値に設定することにより、優れた摩擦係数を有し、高強度であるとともに、優れた柔軟性を有し、高温環境下の使用による摩擦性能の劣化が生じない湿式摩擦材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
熱硬化性樹脂と、
溶剤と、
を含む湿式摩擦材用樹脂組成物であって、
当該湿式摩擦材用樹脂組成物の硬化物を、30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した第一の力学的損失正接をtanδ1、
前記第一の力学的損失正接を測定した後の前記硬化物を、200℃から30℃まで、10℃/分の降温速度で冷却し、次いで30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した第二の力学的損失正接をtanδ2としたとき、
以下の式で表される力学的損失正接の変化率の値が、0.5以下である、湿式摩擦材用樹脂組成物が提供される。
変化率=(tanδ1−tanδ2)/tanδ1。
熱硬化性樹脂と、
溶剤と、
を含む湿式摩擦材用樹脂組成物であって、
当該湿式摩擦材用樹脂組成物の硬化物を、30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した第一の力学的損失正接をtanδ1、
前記第一の力学的損失正接を測定した後の前記硬化物を、200℃から30℃まで、10℃/分の降温速度で冷却し、次いで30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した第二の力学的損失正接をtanδ2としたとき、
以下の式で表される力学的損失正接の変化率の値が、0.5以下である、湿式摩擦材用樹脂組成物が提供される。
変化率=(tanδ1−tanδ2)/tanδ1。
また本発明によれば、
繊維基材と結合材とを備える湿式摩擦材であって、
前記結合材は、上記湿式摩擦材用樹脂組成物の硬化物からなる、湿式摩擦材が提供される。
繊維基材と結合材とを備える湿式摩擦材であって、
前記結合材は、上記湿式摩擦材用樹脂組成物の硬化物からなる、湿式摩擦材が提供される。
また本発明によれば、上記湿式摩擦材用樹脂組成物を、繊維基材に含浸させ、硬化させる工程を含む、湿式摩擦材の製造方法が提供される。
本発明によれば、優れた柔軟性と耐久性を有する湿式摩擦材を製造するために使用できる湿式摩擦材用樹脂組成物が提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(湿式摩擦材用樹脂組成物)
本実施形態の湿式摩擦材用樹脂組成物(本明細書中、単に「樹脂組成物」と称する場合がある)は、湿式摩擦材の製造において、繊維基材に含浸された後、熱処理により硬化されるバインダー樹脂として用いられる。本実施形態の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と溶剤とを含み、熱履歴前後の力学的損失正接の変化率が、0.5以下である。本実施形態において、樹脂組成物の熱履歴前後の力学的損失正接の変化率は、樹脂組成物の硬化物を、30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した第一の力学的損失正接をtanδ1、
上記第一の力学的損失正接を測定した後の硬化物を、200℃から30℃まで、10℃/分の降温速度で冷却し、次いで30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した第二の力学的損失正接をtanδ2としたとき、
以下の式により求められる値として定義される。
変化率=(tanδ1−tanδ2)/tanδ1
本実施形態の樹脂組成物の、上記式で規定される力学的損失正接の変化率は、0.5以下であり、好ましくは、0.48以下である。力学的損失正接の変化率の下限値は、例えば、0.3以上とすることができる。本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、高温環境に晒された場合であっても柔軟性が損なわれることなく維持される。よってこれを結合材として用いて得られる湿式摩擦材は、柔軟性による相手材との良好な密着性が維持されるとともに、使用による摩擦性能の劣化が抑制される。
本実施形態の湿式摩擦材用樹脂組成物(本明細書中、単に「樹脂組成物」と称する場合がある)は、湿式摩擦材の製造において、繊維基材に含浸された後、熱処理により硬化されるバインダー樹脂として用いられる。本実施形態の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と溶剤とを含み、熱履歴前後の力学的損失正接の変化率が、0.5以下である。本実施形態において、樹脂組成物の熱履歴前後の力学的損失正接の変化率は、樹脂組成物の硬化物を、30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した第一の力学的損失正接をtanδ1、
上記第一の力学的損失正接を測定した後の硬化物を、200℃から30℃まで、10℃/分の降温速度で冷却し、次いで30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した第二の力学的損失正接をtanδ2としたとき、
以下の式により求められる値として定義される。
変化率=(tanδ1−tanδ2)/tanδ1
本実施形態の樹脂組成物の、上記式で規定される力学的損失正接の変化率は、0.5以下であり、好ましくは、0.48以下である。力学的損失正接の変化率の下限値は、例えば、0.3以上とすることができる。本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、高温環境に晒された場合であっても柔軟性が損なわれることなく維持される。よってこれを結合材として用いて得られる湿式摩擦材は、柔軟性による相手材との良好な密着性が維持されるとともに、使用による摩擦性能の劣化が抑制される。
一実施形態において、樹脂組成物の硬化物のtanδ1は、たとえば、0.04以上であり、好ましくは、0.045以上であり、より好ましくは、0.050以上である。tanδ1の上限値は、たとえば、0.06以下とすることができる。tanδ1の値は高いほど、この樹脂組成物の硬化物が柔軟であり、高温環境下に晒された場合であっても柔軟性が良好であることを示す。また、上記の力学的損失正接tanδ1を測定した後の硬化物を、200℃から30℃まで、10℃/分の降温速度で冷却し、次いで30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した力学的損失正接をtanδ2が、0.025以上であり得る。tanδ2の値が高いほど、この樹脂組成物の硬化物が柔軟であり、高温環境下に晒された場合であっても柔軟性が維持されることを示す。本実施形態のフェノール樹脂組成物は、特に、tanδ2の値が大きく、またtanδ1に対するtanδ2の変化率が小さい。よって、信頼性に優れた湿式摩擦材を得ることができる。本実施形態の樹脂組成物は、高温環境に晒された場合であっても柔軟性が維持される。よってこれを結合材として用いて得られる湿式摩擦材は、柔軟性による相手材との密着性が優れるとともに、使用による摩擦性能の劣化が抑制される。よってこれを用いて製造される湿式摩擦材は、高いトルク容量、耐熱性、および機械的強度を備える。
本実施形態の樹脂組成物の力学的損失正接の値は、用いる熱硬化性樹脂の種類を選択することにより調整することができる。
以下、本実施形態の樹脂組成物に用いられる各成分について説明する。
以下、本実施形態の樹脂組成物に用いられる各成分について説明する。
本実施形態の樹脂組成物に用いられる熱硬化性樹脂は、その硬化物が優れた柔軟性を有するとともに、高い耐熱性および機械的強度を備える樹脂である。このような熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。中でもフェノール樹脂が好ましく用いられる。フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂、またはノボラック型フェノール樹脂、あるいはこれらの混合物を使用することができる。本実施形態の樹脂組成物に好適に用いられるフェノール樹脂としては、ポリブタジエンで変性されたフェノール類、またはポリブタジエンで変性されたノボラック型フェノール樹脂、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。ポリブタジエンで変性されたフェノール類とは、1つ以上のポリブタジエン構造が導入されたフェノール類をいう。またポリブタジエンで変性されたノボラック型フェノール樹脂とは、ポリブタジエニル連結基を有するポリブタジエン変性ノボラック型フェノール樹脂をいう。
ポリブタジエンで変性されたフェノール類において、ポリブタジエン構造が導入されるフェノール類としては、フェノール;o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類;p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール類;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類;p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体:1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類;およびレゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類等が挙げられる。
中でも、フェノール類としては、フェノール、クレゾール、およびキシレノール、アルキルフェノールまたはビスフェノールからなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
ポリブタジエン変性ノボラック型フェノール樹脂は、上述のポリブタジエンで変性されたフェノール類と、アルデヒド類とを、酸触媒の存在下で反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂である。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。中でも、ホルムアルデヒドが好ましい。ポリブタジエン変性ノボラック型フェノール樹脂は、その重量平均分子量が、例えば、10,000以上50,000以下であり、好ましくは、15,000以上40,000以下である。上記範囲の重量平均分子量を有するポリブタジエン変性ノボラック型フェノール樹脂は、これを含む樹脂組成物を、ペーパーに含浸させた際、柔軟性に優れた含浸ペーパーが得られるため好ましい。
これらのポリブタジエン変性フェノール類およびポリブタジエン変性ノボラック型フェノール樹脂は、市販の製品を利用することができる。
これらのポリブタジエン変性フェノール類およびポリブタジエン変性ノボラック型フェノール樹脂は、その構造に起因して、樹脂の硬化物が、強度および耐熱性の点で優れるとともに、適度な柔軟性を有する。
本実施形態の樹脂組成物に用いられる溶剤としては上記の熱硬化性樹脂が溶解または分散され得る溶剤であれば特に限定されない。用いることができる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶剤;プロピレングリコールメチルエーテル等のエーテル系有機溶剤;およびトルエン等の芳香族炭化水素溶剤が挙げられるが、これらに限定されない。本実施形態の樹脂組成物は、溶剤を含むことにより、液状またはワニス状の形態として提供される。
本実施形態の樹脂組成物において、上述の熱硬化性樹脂は、当該樹脂組成物全体に対して、例えば、20質量%以上80質量%以下、好ましくは、25質量%以上75質量%以下、より好ましくは、30質量%以上70質量%以下の量で配合される。上記範囲内の量で熱硬化性樹脂が配合されることにより、得られる樹脂組成物は、適度な粘度を有し、これを湿式摩擦材用のペーパーに含浸する際の作業性に優れる。
本実施形態の樹脂組成物は、酸性であり、例えば、pHが5以下であり、好ましくは、pHが4.5以下である。樹脂組成物の酸性度の下限値は、例えば、1以上であり、好ましくは、2以上である。樹脂組成物が酸性であることにより、これに含まれる上述の熱硬化性樹脂の硬化が促進される。樹脂組成物を酸性にするために使用される酸性成分、換言すると、熱硬化性樹脂の硬化触媒として作用する酸触媒は、有機酸または無機酸、あるいはこれらの組み合わせであり得る。有機酸としては、酢酸、ギ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、安息香酸、サリチル酸、スルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等が挙げられる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硫酸エステル、リン酸、リン酸エステル等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに他の添加剤を含み得る。他の添加剤としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の別の熱硬化性樹脂、エラストマー、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤、着色剤等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、上述の成分を、公知の方法により混合することにより得られる。
本実施形態の樹脂組成物は、その硬化物が、上耐熱性や耐久性に優れるとともに、良好な柔軟性を有する。より詳細には、本実施形態の樹脂組成物の硬化物は、高温環境に晒された場合であっても、柔軟性が維持される。
(湿式摩擦材)
本実施形態の湿式摩擦材は、上記樹脂組成物を用いて製造することができる。具体的には、湿式摩擦材は、上記フェノール樹脂組成物を繊維基材に含浸し、次いでこれを熱処理により硬化することにより製造することができる。繊維基材としては、天然繊維、金属繊維、炭素繊維、化学繊維などの繊維類を用いることができる。具体的には、天然パルプ繊維、リンターパルプ等の天然繊維;ガラス繊維等の無機繊維;ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維;アラミド繊維、フェノール繊維等の化学繊維などを使用することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。繊維の形態としては、特に限定されるものではないが、不織布、織布などを用いることができる。
本実施形態の湿式摩擦材は、上記樹脂組成物を用いて製造することができる。具体的には、湿式摩擦材は、上記フェノール樹脂組成物を繊維基材に含浸し、次いでこれを熱処理により硬化することにより製造することができる。繊維基材としては、天然繊維、金属繊維、炭素繊維、化学繊維などの繊維類を用いることができる。具体的には、天然パルプ繊維、リンターパルプ等の天然繊維;ガラス繊維等の無機繊維;ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維;アラミド繊維、フェノール繊維等の化学繊維などを使用することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。繊維の形態としては、特に限定されるものではないが、不織布、織布などを用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物を用いて得られた湿式摩擦材は、耐熱性や耐久性に優れるとともに、良好な柔軟性を有する。よって、本実施形態の湿式摩擦材は、その柔軟性により、相手材との密着性が優れる。また本実施形態の湿式摩擦材は、高温環境に晒された場合であっても柔軟性が維持される。よって、使用による摩擦性能の劣化が抑制される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(フェノール樹脂1の調製)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置中に、1000重量部のフェノールと、360重量部のホルマリン水溶液(ホルマリン含有量:37重量%)と、10重量部の蓚酸とを添加し、100℃で2時間撹拌しながら反応させた。続いて反応混合物の温度が130℃になるまで常圧蒸留で脱水した。その後、メチルエチルケトン500重量部、ポリブタジエン1000重量部、パラトルエンスルホン酸30重量部を加え、さらに100℃で1時間反応させることで、1500重量部のポリブタジエン変性ノボラック型フェノール樹脂(フェノール樹脂1)を得た。
(樹脂組成物1の調製)
メチルエチルケトンに、含有量が30質量%となるように上記のフェノール樹脂1を配合して、樹脂組成物1を調整した。
(湿式ペーパー摩擦材の作製)
上記の樹脂組成物1を、120mm×10mm×厚さ1mmのアラミド繊維基材に含浸させてから、200℃のオーブンで30分間乾燥硬化させることで、湿式摩擦材(含浸紙)を試験片として得た。
(フェノール樹脂1の調製)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置中に、1000重量部のフェノールと、360重量部のホルマリン水溶液(ホルマリン含有量:37重量%)と、10重量部の蓚酸とを添加し、100℃で2時間撹拌しながら反応させた。続いて反応混合物の温度が130℃になるまで常圧蒸留で脱水した。その後、メチルエチルケトン500重量部、ポリブタジエン1000重量部、パラトルエンスルホン酸30重量部を加え、さらに100℃で1時間反応させることで、1500重量部のポリブタジエン変性ノボラック型フェノール樹脂(フェノール樹脂1)を得た。
(樹脂組成物1の調製)
メチルエチルケトンに、含有量が30質量%となるように上記のフェノール樹脂1を配合して、樹脂組成物1を調整した。
(湿式ペーパー摩擦材の作製)
上記の樹脂組成物1を、120mm×10mm×厚さ1mmのアラミド繊維基材に含浸させてから、200℃のオーブンで30分間乾燥硬化させることで、湿式摩擦材(含浸紙)を試験片として得た。
(参考例1)
(フェノール樹脂2の調製)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置中に、1000重量部のフェノールと、740重量部のホルマリン水溶液(ホルマリン含有量:37重量%)と、20重量部のトリエチルアミンとを添加し、100℃で30分間撹拌しながら反応させた。次に、91kPaの減圧下、脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところで、1000重量部のメチルエチルケトン(MEK)を加えて反応物を溶解させてから冷却した。こうすることで、2100重量部の液状レゾール型フェノール樹脂(フェノール樹脂2)を得た。
(樹脂組成2の調製)
メチルエチルケトンに、含有量が30質量%となるように上記のフェノール樹脂2を配合して、樹脂組成物2を調整した。
(湿式ペーパー摩擦材の作製)
上記の樹脂組成物2を、120mm×10mm×厚さ1mmのアラミド繊維基材に含浸させてから、200℃のオーブンで30分間乾燥硬化させることで、湿式摩擦材(含浸紙)を試験片として得た。
(フェノール樹脂2の調製)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置中に、1000重量部のフェノールと、740重量部のホルマリン水溶液(ホルマリン含有量:37重量%)と、20重量部のトリエチルアミンとを添加し、100℃で30分間撹拌しながら反応させた。次に、91kPaの減圧下、脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところで、1000重量部のメチルエチルケトン(MEK)を加えて反応物を溶解させてから冷却した。こうすることで、2100重量部の液状レゾール型フェノール樹脂(フェノール樹脂2)を得た。
(樹脂組成2の調製)
メチルエチルケトンに、含有量が30質量%となるように上記のフェノール樹脂2を配合して、樹脂組成物2を調整した。
(湿式ペーパー摩擦材の作製)
上記の樹脂組成物2を、120mm×10mm×厚さ1mmのアラミド繊維基材に含浸させてから、200℃のオーブンで30分間乾燥硬化させることで、湿式摩擦材(含浸紙)を試験片として得た。
(比較例1)
(フェノール樹脂3の調製)
撹拌装置、還流冷却器および温度計を備えた反応装置に、カルダノール1000部、パラトルエンスルホン酸15部を添加し、140℃に加熱昇温させ1時間撹拌しながら反応させた。これにトリエチルアミン5部を加えて中和した後、フェノール300部、37%ホルマリン水溶液535部(カルダノール反応物及びフェノールの合計に対するモル比1.0)、50%水酸化ナトリウム水溶液12部を添加し、90℃に加熱昇温させて2時間撹拌しながら反応させた。その後、91kPaの減圧化で脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところでトルエン280部、メタノール630部を加えて溶解、冷却し、不揮発分45%の液状レゾール型フェノール樹脂(フェノール樹脂3)を2100部得た。
(樹脂組成物3の調製)
メチルエチルケトンに、含有量が30質量%となるように上記のフェノール樹脂3を配合して、樹脂組成物3を調整した。
(湿式ペーパー摩擦材の作製)
上記の樹脂組成物3を、120mm×10mm×厚さ1mmのアラミド繊維基材に含浸させてから、200℃のオーブンで30分間乾燥硬化させることで、湿式摩擦材(含浸紙)を試験片として得た。
(フェノール樹脂3の調製)
撹拌装置、還流冷却器および温度計を備えた反応装置に、カルダノール1000部、パラトルエンスルホン酸15部を添加し、140℃に加熱昇温させ1時間撹拌しながら反応させた。これにトリエチルアミン5部を加えて中和した後、フェノール300部、37%ホルマリン水溶液535部(カルダノール反応物及びフェノールの合計に対するモル比1.0)、50%水酸化ナトリウム水溶液12部を添加し、90℃に加熱昇温させて2時間撹拌しながら反応させた。その後、91kPaの減圧化で脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところでトルエン280部、メタノール630部を加えて溶解、冷却し、不揮発分45%の液状レゾール型フェノール樹脂(フェノール樹脂3)を2100部得た。
(樹脂組成物3の調製)
メチルエチルケトンに、含有量が30質量%となるように上記のフェノール樹脂3を配合して、樹脂組成物3を調整した。
(湿式ペーパー摩擦材の作製)
上記の樹脂組成物3を、120mm×10mm×厚さ1mmのアラミド繊維基材に含浸させてから、200℃のオーブンで30分間乾燥硬化させることで、湿式摩擦材(含浸紙)を試験片として得た。
(比較例2)
(フェノール樹脂4の調製)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置中に、1000質量部のフェノールと、540質量部の桐油と、1質量部のp−トルエンスルホン酸とを添加し、60℃で30分間撹拌しながら反応させた。次に、上記フェノールとのモル比が1.2となるように、770質量部のホルマリン水溶液(ホルマリン含有量:37質量%)と、1質量部のトリエタノールアミンと、20質量部のアンモニア水溶液(アンモニア含有量:25質量%)とを添加し、100℃で2時間撹拌しながら反応させた。次に、91kPaの減圧下、脱水を行いながら、系内の温度が70℃に達したところで、280質量部のトルエンと、670質量部のメタノールとを加えて反応物を溶解させてから冷却、2100質量部の液状の桐油変性(オイル変性)レゾール型フェノール樹脂(フェノール樹脂4)(不揮発分(固形分)含有量:45質量%)を得た。
(樹脂組成物4の調製)
メチルエチルケトンに、含有量が30質量%となるように上記のフェノール樹脂4を配合して、樹脂組成物4を調整した。
(湿式ペーパー摩擦材の作製)
上記の樹脂組成物4を、120mm×10mm×厚さ1mmのアラミド繊維基材に含浸させてから、200℃のオーブンで30分間乾燥硬化させることで、湿式摩擦材(含浸紙)を試験片として得た。
(フェノール樹脂4の調製)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置中に、1000質量部のフェノールと、540質量部の桐油と、1質量部のp−トルエンスルホン酸とを添加し、60℃で30分間撹拌しながら反応させた。次に、上記フェノールとのモル比が1.2となるように、770質量部のホルマリン水溶液(ホルマリン含有量:37質量%)と、1質量部のトリエタノールアミンと、20質量部のアンモニア水溶液(アンモニア含有量:25質量%)とを添加し、100℃で2時間撹拌しながら反応させた。次に、91kPaの減圧下、脱水を行いながら、系内の温度が70℃に達したところで、280質量部のトルエンと、670質量部のメタノールとを加えて反応物を溶解させてから冷却、2100質量部の液状の桐油変性(オイル変性)レゾール型フェノール樹脂(フェノール樹脂4)(不揮発分(固形分)含有量:45質量%)を得た。
(樹脂組成物4の調製)
メチルエチルケトンに、含有量が30質量%となるように上記のフェノール樹脂4を配合して、樹脂組成物4を調整した。
(湿式ペーパー摩擦材の作製)
上記の樹脂組成物4を、120mm×10mm×厚さ1mmのアラミド繊維基材に含浸させてから、200℃のオーブンで30分間乾燥硬化させることで、湿式摩擦材(含浸紙)を試験片として得た。
得られた実施例1、参考例1および比較例1〜2の樹脂組成物、および湿式摩擦材を、以下の項目について評価した。
(樹脂組成物の柔軟性の評価)
・熱履歴(300℃)後の力学的損失正接(tanδ1):上記の樹脂組成物について幅5.0mm×長さ30.0mm×厚さ1.0mmの大きさの硬化物を作製して測定用試験片とした。この試験片を、30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下で、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製「DMS6100」)を用いて、チャック間距離8mm、周波数10Hz、引張モードにて力学的損失正接tanδ1を測定した。結果を表1の「tanδ1」の欄に示す。tanδ1の値が大きいほど、柔軟性に優れることを示す。
・熱履歴(300℃×2回)後の力学的損失正接(tanδ2):tanδ2を測定した後の上記の試験片を、200℃から30℃まで、10℃/分の降温速度で冷却し、次いで30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下で、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製「DMS6100」)を用いて、チャック間距離8mm、周波数10Hz、引張モードにて力学的損失正接tanδ2を測定した。結果を表1の「tanδ2」の欄に示す。tanδ2の値が大きいほど、柔軟性に優れることを示す。
・力学的損失正接の変化率:上述のようにして測定したtanδ1、およびtanδ1より、以下の式により求められる変化率を算出した。
変化率=(tanδ1−tanδ2)/tanδ1
結果を表1に示す。変化率の値は小さいほど、熱履歴前後で柔軟性が維持されることを示す。
(樹脂組成物の柔軟性の評価)
・熱履歴(300℃)後の力学的損失正接(tanδ1):上記の樹脂組成物について幅5.0mm×長さ30.0mm×厚さ1.0mmの大きさの硬化物を作製して測定用試験片とした。この試験片を、30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下で、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製「DMS6100」)を用いて、チャック間距離8mm、周波数10Hz、引張モードにて力学的損失正接tanδ1を測定した。結果を表1の「tanδ1」の欄に示す。tanδ1の値が大きいほど、柔軟性に優れることを示す。
・熱履歴(300℃×2回)後の力学的損失正接(tanδ2):tanδ2を測定した後の上記の試験片を、200℃から30℃まで、10℃/分の降温速度で冷却し、次いで30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下で、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製「DMS6100」)を用いて、チャック間距離8mm、周波数10Hz、引張モードにて力学的損失正接tanδ2を測定した。結果を表1の「tanδ2」の欄に示す。tanδ2の値が大きいほど、柔軟性に優れることを示す。
・力学的損失正接の変化率:上述のようにして測定したtanδ1、およびtanδ1より、以下の式により求められる変化率を算出した。
変化率=(tanδ1−tanδ2)/tanδ1
結果を表1に示す。変化率の値は小さいほど、熱履歴前後で柔軟性が維持されることを示す。
(湿式摩擦材の機械的特性の評価)
・引張り破断伸び:得られた湿式ペーパー摩擦材の試験片を、250℃の環境下に30分載置した後、引張り破断伸びを、JIS P 8113に準拠した方法で測定した。なお、単位は%である。また、測定条件は、精密万能試験機AG−IS 5kN(島津製作所社製)を用いて、常温常圧下、1mm/minの試験速度とした。引張り破断伸びの数値は、高い値であればあるほど柔軟性に優れた試験片であることを示す。
・引張り破断伸び:得られた湿式ペーパー摩擦材の試験片を、250℃の環境下に30分載置した後、引張り破断伸びを、JIS P 8113に準拠した方法で測定した。なお、単位は%である。また、測定条件は、精密万能試験機AG−IS 5kN(島津製作所社製)を用いて、常温常圧下、1mm/minの試験速度とした。引張り破断伸びの数値は、高い値であればあるほど柔軟性に優れた試験片であることを示す。
実施例の樹脂組成物を使用して作製した湿式摩擦材の熱処理後の引張破断伸びは、比較例の湿式摩擦材より高く、加熱処理による柔軟性の低下が抑制されていた。よって湿式摩擦材として好適に使用できる。
Claims (7)
- 熱硬化性樹脂と、
溶剤と、
を含む湿式摩擦材用樹脂組成物であって、
当該湿式摩擦材用樹脂組成物の硬化物を、30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した第一の力学的損失正接をtanδ1、
前記第一の力学的損失正接を測定した後の前記硬化物を、200℃から30℃まで、10℃/分の降温速度で冷却し、次いで30℃から300℃まで、10℃/分の昇温速度で昇温し、次いで300℃から200℃まで、10℃/分の降温速度で降温した後、200℃の温度下、測定周波数10Hzで測定した第二の力学的損失正接をtanδ2としたとき、
以下の式で表される力学的損失正接の変化率の値が、0.5以下である、湿式摩擦材用樹脂組成物:
変化率=(tanδ1−tanδ2)/tanδ1。 - 前記第一の力学的損失正接tanδ1が、0.04以上0.06以下である、請求項1に記載の湿式摩擦材用樹脂組成物。
- 前記第二の力学的損失正接tanδ2が、0.025以上である、請求項1または2に記載の湿式摩擦材用樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂が、ポリブタジエンで変性されたフェノール類、およびポリブタジエンで変性されたノボラック型フェノール樹脂から選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の湿式摩擦材用樹脂組成物。
- 酸性である、請求項1〜4のいずれかに記載の湿式摩擦材用樹脂組成物。
- 繊維基材と結合材とを備える湿式摩擦材であって、
前記結合材は、請求項1〜5のいずれかに記載の湿式摩擦材用樹脂組成物の硬化物からなる、湿式摩擦材。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の湿式摩擦材用樹脂組成物を、繊維基材に含浸させ、硬化させる工程を含む、湿式摩擦材の製造方法。
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