JP4404302B2 - エポキシ樹脂の硬化剤、組成物及びその用途 - Google Patents

エポキシ樹脂の硬化剤、組成物及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、エポキシ樹脂硬化剤として有用な新規重縮合型アリーロキシシラン化合物及びその製法に関する。本発明はまた、かかる重縮合型アリーロキシシラン化合物を硬化剤として含有する、成形材、各種バインダー、コーティング材、積層材などに有用なエポキシ樹脂組成物に関する。特には、エポキシ樹脂系半導体封止材における硬化剤として使用するときに、熱硬化時において優れた熱硬化性を与え、その硬化物は低吸水性及び高ガラス転移温度を示す重縮合型アリーロキシシラン系樹脂硬化剤及びそれとエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂の硬化剤としてこれまでに用いられている化合物には、アミン類、酸無水物類、ポリアミド類、イミダゾール類、フェノール類、メルカプタン類などがあり、中でもフェノール系硬化剤は種類に富み、大きな一群をなしている。これは硬化剤として優れた諸特性を有することに加えて低コストのため各種産業に用いられており、とりわけこれを含むオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂組成物は、厳しい特性が求められる半導体用封止剤として一般的に用いられている。
ところが近年の半導体封止において、半田の鉛フリー化による実装温度の上昇、LSIチップの大型化、パッケージの薄型化・小型化・多様化などの急速な技術変化に伴い、封止材に対して益々厳しい要求性能が多岐にわたり求められ、従来のエポキシ樹脂系封止材料では、充分な対応が難しくなってきている。例えば、半田付け時の熱処理時に、吸湿水分の急激な気化膨張に伴うパッケージのクラックや剥離の発生が問題になっている。また一方では、生産性向上の観点においても、成形時における組成物の速硬化性に優れた硬化剤が求められている。
一般に水酸基を多く含むエポキシ樹脂硬化性組成物の硬化剤は吸水性が高く、半田リフロー時のクラックや半導体素子の信頼性低下などの問題を引き起こす。この問題に対して、フェノール性水酸基を部分的に又は完全にエステル保護した化合物を硬化剤に用いて、水酸基が低減されたエポキシ樹脂組成物を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、フェノール性水酸基に比較して硬化性の低下が大きいため、実用化のためにはまだまだ課題が多いのが現状である。また硬化性とのバランスを考慮して部分的にエステル化されたものは、エステル化率が下がるとともに吸水率の低減効果も小さくなる。
特開平7−53675号公報 特開平8−208807号公報 特開平10−168283号公報
これらの課題に対し、本発明者らは上述のフェノール性水酸基を保護する他の保護基に着目し、フェノール化合物の水酸基を有機シラン化合物により保護したフェノキシシラン化合物をエポキシ樹脂用硬化剤として用いることを検討した。その結果、シロキシ基と芳香環が交互に連結した重縮合型のアリーロキシシラン化合物が、従来のフェノール系硬化剤を上回る有益な特性を発揮することを見出し、本発明に至った。具体的には、硬化反応性に優れ、その硬化物は低吸水性及び高ガラス転移温度を示すなどであり、これらの特性は、半導体封止材料をはじめとする各種絶縁材料として極めて有用なものである。
すなわち本発明は、下記一般式(5)で示される骨格を有する重縮合型アリーロキシシラン化合物からなるエポキシ樹脂硬化剤に関する。
Figure 0004404302
(式中、R、R炭素数1〜12の炭化水素基、Ar、Ar置換基が存在していてよい炭素数6〜10のアリーレン基、Xは、直接結合、炭素数1〜6の2価の炭化水素基、O、S又はSOであり、mは0〜2の整数、nは1〜20の整数、Z1は下記一般式(6)で示される基、Z2は下記一般式(7)で示される基である。)
Figure 0004404302
(式中、Ar1、Ar2及びXは、式(5)と同じ。)
Figure 0004404302
(式中、R1及びR2は、式(5)と同じ、R は炭素数1〜4のアルキル基。)
本発明はまた、上記一般式(5)で示される骨格を有するエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂からなるエポキシ樹脂組成物に関する。
本発明によれば、成形材、各種バインダー、コーティング材、積層材などに有用な重縮合型アリーロキシシラン化合物系エポキシ樹脂硬化剤を提供することができる。このようなエポキシ樹脂硬化剤は、とくに半導体封止用エポキシ樹脂硬化剤として用いた場合に、成形時に速硬化性を示し、低吸水性及び高ガラス転移温度の成形品を与えるエポキシ樹脂組成物の提供が可能となる。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、前記一般式(5)の基本骨格を有するものであり、式中のR及びRは、それぞれ同一又は異なる炭化水素基であって、異種原子、例えばハロゲン、酸素等を含んでいてもよく、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、ベンジル、トリフルオロメチル、2−エトキシエチル、ビニルなどの置換又は非置換のアルキル基、フェニル、2−又は3−又は4−メチルフェニル、2−又は3−又は4−エチルフェニル、2−又は3−又は4−イソプロピルフェニル、2−又は3−又は4−イソブチルフェニル、2−又は3−又は4−tert−ブチルフェニル、2−又は3−又は4−ベンジルフェニル、2−又は3−又は4−クロルフェニル、2−又は3−又は4−エトキシエチルフェニル、2−又は3−又は4−フェニルフェニル、α−又はβ−ナフチルなどの置換又は非置換のアリール基を挙げることができる。R及びRの種類を変えることにより、エポキシ樹脂との硬化速度を調整することが可能であるが、それらの種類又は組み合わせ次第では、得られるエポキシ樹脂硬化物の耐湿性の低下をもたらすことがある。したがって原料の入手容易性を合わせて考慮すると、R及びRともにフェニル基であるものが好ましい。
また前記一般式(5)中、Ar及びArは、芳香環に炭化水素基、ハロゲン、水酸基のような置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基などのアリーレン基であり、またXは、直接結合、例えばメチレン、エチレン、エチリデン、イソプロピリデン、ブチリデン、シクロアルキレンなどの2価の炭化水素基、O、S又はSOであり、mは0〜2の整数、好ましくは0又は1、一層好ましくは1である。より具体的には、一般式(5)中の下記基(4)
Figure 0004404302
として、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、o,o’−ビフェノール、o,m’−ビフェノール、o,p’−ビフェノール、m,m’−ビフェノール、m,p’−ビフェノール、p,p’−ビフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン型ノボラック樹脂などの多価フェノール類の残基を例示することができる。これらの中では、2価フェノール類の残基であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤の一般式(5)において、nは1〜20の整数であって、一般にはその調製方法に基づきnの値が異なるものの混合物として得られる。このような混合物において、エポキシ樹脂硬化剤として好適なものは、nの平均値が1〜20、とくに3〜7程度のものである。すなわちnの平均値が大きすぎるものを用いると溶融粘度高くなりすぎるので、エポキシ樹脂組成物の加工性が損なわれるようになる。また150℃における溶融粘度が、0.1〜20poise、とくに0.1〜10poiseのものが好ましい。
このようなエポキシ樹脂硬化剤は、下記一般式(5)
Figure 0004404302
(式中、R、R、Ar、Ar、X、m及びnは前記と同じ、Z は下記一般式(6)
Figure 0004404302
(式中、Ar、Ar及びXは前記と同じ)で示される基、Zは水素、又は下記一般式(7)
Figure 0004404302
(式中、R、R及びR前記と同じ)で示される基)で示される鎖状重縮合物あるいはこれらの混合物である。
一般式(5)で示される骨格を有する重縮合型アリーロキシシラン化合物は、下記一般式(2)で示されるジアルコキシシラン化合物と下記一般式(3)で示される多価フェノール類をカルボン酸触媒の存在下で反応させることによって得ることができる。
Figure 0004404302
(式中、R、R 及びR は前記と同じ、R は炭素数1〜4のアルキル基)で示されるジアルコキシシラン化合物と下記一般式(3)
Figure 0004404302
(Ar、Ar 及びXは前記と同じであり、mは0〜2の整数)
一般式(2)におけるR及びRは、一般式(5)のそれらと同じである。また上記反応は比較的高温で行なう必要があるため、ジアルコキシシラン化合物は高沸点のものが好ましく、例えば常圧における沸点が120〜350℃程度のものが好適で使用できる。また多価フェノール類との反応においてジアルコキシシラン化合物中のアルコキシ基由来のアルコールが副生するが、これは高温下での反応系から容易に留去されるものが好ましい。したがって一般式(2)におけるR及びRは、それぞれ炭化水素基であるが、とくにメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチルなどの低級アルキル基であることが、副生するアルコールが低沸点のものとなるので好ましい。これらを考慮すると、一般式(2)で示されるアルコキシシラン化合物として、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジプロポキシジフェニルシラン、ジブトキシジフェニルシランなどを好適例として例示することができる。
ジアルコキシシラン化合物と反応させる多価フェノール類としては、ヒドロキノン、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、o,o’−ビフェノール、o,m’−ビフェノール、o,p’−ビフェノール、m,m’−ビフェノール、m,p’−ビフェノール、p,p’−ビフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン型ノボラック樹脂などを例示することができる。これらの中では、2価フェノール類であることが好ましい。
ジアルコキシシラン化合物による多価フェノール類のシリル化は、一般式(3)で示される多価フェノール類の水酸基の少なくとも一部が一般式(2)で示されるジアルコキシシラン化合物のジシロキシ基によって置換されればよいが、エポキシ樹脂硬化剤として優れた特性を充分に発揮させるためには、大半の水酸基がジシロキシ基で置換されていることが望ましい。したがってジアルコキシシラン化合物の使用量は、原料となる多価フェノール類中の水酸基1当量に対し、0.2〜1.5当量、好ましくは0.6〜1.0当量の割合とするのがよい。多価フェノール類の使用量を大過剰とし、未反応の多価フェノール類が残存するような反応条件を採用した場合においても、反応混合物である未反応多価アルコール含有の重縮合型アリーロキシシラン化合物をそのままエポキシ樹脂硬化剤として使用することもできる。
ジアルコキシシラン化合物と多価フェノール類の反応においては、触媒としてカルボン酸が用いられる。このようなカルボン酸として、反応終了後に高温あるいは減圧下に反応生成物から容易に留去されるものが好ましい。具体的には、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、蓚酸などの脂肪族カルボン酸の使用が好ましく、反応時及び反応終了後の留去操作を効率的に行なうことを考慮すると、吉草酸あるいはイソ吉草酸の使用がとくに好ましい。触媒の使用量は、原料となる多価フェノール類中の水酸基1当量に対し、0.01〜1.0当量、好ましくは0.05〜0.3当量の範囲とするのがよい。
上記反応は無溶媒で行なうことができるが、溶媒を使用することもできる。溶媒を使用する場合には、反応終了後にカルボン酸触媒と共に留去されるものが好ましい。そのため具体的には、オクタン、ノナン、デカン、デカリン、ドデカン、トルエン、キシレン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系溶媒の使用が好ましい。これらは単独で使用してもよく、あるいは2種以上混合して使用することもできる。
反応時間は、用いる原料の種類にも依存するが、通常の場合は1〜24時間程度の時間を必要とする。上記反応においては、使用するジアルコキシシラン化合物や多価フェノール類は高沸点であるため、反応温度の設定については、使用する触媒や溶媒が蒸散しない程度の反応温度とすればよい。したがって具体的には、120〜220℃程度の温度範囲が好適である。
反応終了後は、蒸留によって触媒を、溶媒を使用した場合には溶媒をも除去することによって目的とする重縮合型アリーロキシシラン化合物を単離することができる。目的物は沸点が極めて高く、熱に対しても安定であるため、このような高温減圧下での留去が効果的である。この操作により目的物が熱分解することも無く、簡便な操作で純度よく重縮合型アリーロキシシラン化合物を得ることができる。
かくして得られる重縮合型アリーロキシシラン化合物は、エポキシ樹脂硬化剤として有用であり、エポキシ樹脂系半導体封止材における硬化剤として使用すると、成形時における速硬化性を示し、成形品における低吸水性及び高ガラス転移温度を与えるエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
上記本発明の重縮合型アリーロキシシラン化合物からなるエポキシ樹脂硬化剤とともに使用することができるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂など、分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が挙げられる。これらエポキシ樹脂は単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂の硬化に際しては、硬化促進剤を併用することが望ましい。かかる硬化促進剤としては、エポキシ樹脂をフェノール樹脂系硬化剤で硬化させるための公知の硬化促進剤を用いることができ、例えば第3級アミン、第4級アンモニウム塩、イミダゾール類、有機ホスフィン化合物、第4級ホスホニウム塩などを挙げることができる。より具体的には、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセンー7などの第3級アミン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、ビスフェノール類のテトラフェニルホスホニウム塩などのホスホニウム化合物を挙げることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、無機充填剤、カップリング剤、離型剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤、低応力剤等を、添加または予め反応して用いることができる。またフェノール樹脂系硬化剤を併用することもできる。この場合、本発明の重縮合型アリーロキシシラン化合物系硬化剤は、フェノール系樹脂系硬化剤の低吸水化、ガラス転移温度上昇、速硬化性などの機能性付与に効果的である。このようなフェノール系樹脂系硬化剤としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物であって、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン型ノボラック樹脂などを例示することができる。
とくに半導体封止用に使用する場合は、無機充填剤の添加は必須である.このような無機充填剤の例として、非晶性シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、ガラス、珪酸カルシウム、石膏、炭酸カルシウム、マグネサイト、クレー、タルク、マイカ、マグネシア、硫酸バリウムなどを挙げることができるが、とくに非晶性シリカ、結晶性シリカなどが好ましい。また優れた成形性を維持しつつ、充填剤の配合量を高めるために、細密充填を可能とするような粒度分布の広い球形の充填剤を使用することが好ましい。例えば無機充填剤として、粒径が0.1〜3μmの小粒径の球形無機充填剤5〜40重量%と粒径が5〜30μmの大粒径の球形無機充填剤95〜60重量%の割合で混合使用するのが好ましい。
カップリング剤の例としては、ビニルシラン系、アミノシラン系、エポキシシラン系などのシラン系カップリング剤やチタン系カップリング剤を、離型剤の例としてはカルナバワックス、パラフィンワックス、ステアリン酸、モンタン酸、カルボキシル基含有ポリオレフィンワックスなど、また着色剤としては、カーボンブラックなどを例示することができる。難燃剤の例としては、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化合物、リン化合物など、また難燃助剤としては三酸化アンチモンなどを挙げることができる。低応力剤の例としては、シリコンゴム、変性ニトリルゴム、変性ブタジエンゴム、変性シリコンオイルなどを挙げることができる。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂の配合比は、成形性及び樹脂硬化物としての特性を考慮すると、アリーロキシ基/エポキシ基の当量比が0.5〜1.5、とくに0.8〜1.2の範囲にあることが好ましい。硬化促進剤についても、同様の視点で考慮すると、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で使用するのが好ましい。無機充填剤の種類については、その種類によっても若干異なるが、成形時及び成形品の特性などを考慮すると、無機充填剤を組成物全体の60〜93重量%を占めるような割合で配合することが好ましい。
エポキシ樹脂を成形材料として調製する場合の一般的な方法としては、所定の割合の各原料を、例えばミキサーによって充分混合後、熱ロールやニーダーなどによって混練処理し、これを冷却して固化したものを適当な大きさに粉砕するなどの手法を挙げることができる。このようにして得た成形材料は、例えば低圧トランスファー成形などにより半導体素子を封止することにより、半導体装置を製造することができる。エポキシ樹脂組成物の硬化は、例えば100〜250℃の温度範囲で行うことができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
[参考例1]
容量200mlのフラスコに、ビスフェノールF15.00g(150ミリ当量)、ジメトキシジフェニルシラン18.33g(150ミリ当量)、吉草酸1.53g(15ミリモル)を仕込み、180℃で溶融させ10時間攪拌した。この時発生するメタノールは系外に除去した。反応終了後は、加熱減圧下により吉草酸を留去して、ビスフェノールFのジフェニルシリル化体28.73g(収率96%、単橙色固体)を得た。得られたビスフェノールFのジフェニルシリル化体を採取し、ICIコーンプレート粘度計により溶融粘度を測定した。その結果、150℃時の溶融粘度は、0.9poiseであった。
[参考例2]
容量200mlのフラスコに、p、p’−ビフェノール18.62g(200ミリ当量)、ジメトキシジフェニルシラン24.44g(200ミリ当量)、吉草酸2.04g(20ミリモル)を仕込み、180℃で溶融させ10時間攪拌した。この時発生するメタノールは系外に除去した。反応終了後は、加熱減圧下により吉草酸を留去して、p、p’−ビフェノールのジフェニルシリル化体35.87g(収率98%、白色固体)を得た。得られたp、p’−ビフェノールのジフェニルシリル化体を採取し、ICIコーンプレート粘度計により溶融粘度を測定した。その結果、150℃時の溶融粘度は、9poiseであった。
[実施例1]
参考例1で得たビスフェノールFのジフェニルシリル化体、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業(株)製ESCN−195XL、エポキシ当量195g/eq)、溶融シリカ及び1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7(DBU)を表1に示す割合で配合し、充分に混合した後、85℃±3℃の2本ロールで3分混練し、冷却、粉砕することにより、エポキシ樹脂組成物を得た。これを用いてキュラストメータ硬化性を測定した。
またトランスファー成形機でエポキシ樹脂組成物を圧力100kgf/cmで175℃、2分間成形後、175℃、6時間ポストキュアを行い、吸水率測定用及びガラス転移温度(Tg)測定用のテストピースを得た。
これらエポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物の特性を、次の方法により測定した。
(1)175℃時キュラストメータ硬化性
エポキシ樹脂組成物5gをタブレットにして、金型温度175℃のキュラストメータで硬化に応じたトルク変化を測定した。
(2)吸水率
サンプル形状50mm径×3mmの円盤を、85℃、相対湿度85%RH雰囲気下で168時間吸水させたときの吸水率を測定。
吸水率(%)=(処理後の重量増加分/処理前の重量)×100
(3)ガラス転移温度(Tg)
TMAにより熱膨張係数を測定し、熱膨張係数の変極点をTgとした。
[実施例2]
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の代わりに、下記式(8)で示されるフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC3000P、エポキシ当量272g/eq)を用い、表1のような配合割合とした以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004404302
[実施例3]
ビスフェノールFのジフェニルシリル化体の代わりに、参考例2で得たp、p’−ビフェノールのジフェニルシリル化体を用い、表1のような配合割合とした以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の代わりに、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC3000P、エポキシ当量272g/eq)を用い、表1のような配合割合とした以外は、実施例3と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
ビスフェノールFのジフェニルシリル化体の代わりに、ビスフェノールFを用い、表1のような配合割合とした以外は、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
[比較例2]
ビスフェノールFのジフェニルシリル化体の代わりに、下記式(9)で示されるフェノールアラルキル樹脂(水酸基当量203g/eq)を用い、表1のような配合割合とした以外は、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
Figure 0004404302
Figure 0004404302
表1の実施例1、3と比較例1、及び実施例2、4と比較例2との比較より、本発明の重縮合型アリーロキシシラン化合物をエポキシ樹脂硬化剤に使用すると、速硬化性、ガラス転移温度上昇、低吸水化を実現できることが分る。

Claims (8)

  1. 下記一般式(5)で示される骨格を有する重縮合型アリーロキシシラン化合物からなるエポキシ樹脂硬化剤
    Figure 0004404302
    (式中、R、R炭素数1〜12の炭化水素基、Ar、Ar置換基が存在していてよい炭素数6〜10のアリーレン基、Xは、直接結合、炭素数1〜6の2価の炭化水素基、O、S又はSOであり、mは0〜2の整数、nは1〜20の整数、Z1は下記一般式(6)で示される基、Z2は水素又は下記一般式(7)で示される基である。)
    Figure 0004404302
    (式中、Ar 、Ar 及びXは、式(5)と同じ。)
    Figure 0004404302
    (式中、R 及びR は、式(5)と同じ、R は、炭素数1〜4のアルキル基。)
  2. 前記重縮合型アリーロキシシラン化合物の150℃における溶融粘度が0.1〜20poiseである請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化剤
  3. 請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂とからなるエポキシ樹脂組成物。
  4. 無機充填剤を含有する請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 第3級アミン、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物及びホスホニウム化合物から選ばれる硬化促進剤を含有する請求項3又は4に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 半導体封止用に使用される請求項3〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項3〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
  8. 請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置。
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