JP2015015171A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極、負極、前記正極と前記負極の間に挿入されたセパレータ、及び非水電解質を有する非水電解質二次電池であって、
前記正極及び/又は負極の電極材が疎水性球状シリカ粒子を含有し、
前記疎水性球状シリカ粒子が、
SiO2単位からなる親水性球状シリカ粒子の表面に、R1SiO3/2単位が導入され、R1SiO3/2単位が導入された表面に、さらに、R2 3SiO1/2単位が導入された疎水性球状シリカ粒子であって、
平均粒子径が5nm〜1.00μm、粒度分布D90/D10の値が3以下であり、平均円形度が0.8〜1である疎水性球状シリカ粒子
である非水電解質二次電池。
【選択図】なし
Description
[1].正極、負極、前記正極と前記負極の間に挿入されたセパレータ、及び非水電解質を有する非水電解質二次電池であって、
前記正極及び/又は負極の電極材が疎水性球状シリカ粒子を含有し、
前記疎水性球状シリカ粒子が、
SiO2単位からなる親水性球状シリカ粒子の表面に、R1SiO3/2単位(式中、R1は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)が導入され、R1SiO3/2単位が導入された表面に、さらに、R2 3SiO1/2単位(式中、R2は同一又は異種の、置換又は非置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)が導入された疎水性球状シリカ粒子であって、
平均粒子径が5nm〜1.00μm、粒度分布D90/D10の値が3以下であり、平均円形度が0.8〜1である疎水性球状シリカ粒子
であることを特徴する非水電解質二次電池。
[2].疎水性球状シリカ粒子が、
(A1)4官能性シラン化合物、その部分加水分解縮合生成物又はそれらの組み合わせを、加水分解・縮合することによって得られた、SiO2単位からなる親水性球状シリカ粒子を得る工程、
(A2)得られた親水性球状シリカ粒子の表面に、R1SiO3/2単位(式中、R1は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)を導入する工程、及び
(A3)R1SiO3/2単位が導入された表面に、さらに、R2 3SiO1/2単位(式中、R2は同一又は異種の、置換又は非置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)を導入する工程を含む方法で得られた疎水性球状シリカ粒子である[1]記載の非水電解質二次電池。
[3].疎水性球状シリカ粒子が、
(A1):親水性球状シリカ粒子の調製工程
下記一般式(I)
Si(OR3)4 (I)
(式中、R3は同一又は異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)
で表わされる4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を、塩基性物質の存在下、親水性有機溶媒と水との混合溶媒中で加水分解・縮合することによって、SiO2単位からなる親水性球状シリカ粒子が分散した混合溶媒分散液を得、
(A2):3官能性シラン化合物による第1疎水化表面処理工程
(A1)で得られた分散液に、下記一般式(II)
R1Si(OR4)3 (II)
(式中、R1は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基、R4は同一又は異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)で表わされる3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を添加して、前記親水性球状シリカ粒子を表面処理し、その表面にR1SiO3/2単位(式中、R1は前記と同じである。)が導入された球状シリカ粒子が分散した混合溶媒分散液を得、
(A3):1官能性シラン化合物による第2疎水化表面処理工程
(A2)で得られた混合溶媒分散液に、下記一般式(III)
R2 3SiNHSiR2 3 (III)
(式中、R2は、同一又は異種の、置換又は非置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)
で表わされるシラザン化合物、下記一般式(IV):
R2 3SiX (IV)
(式中、R2は前記と同じであり、XはOH基又は加水分解性基である。)で表わされる1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を添加し、前記R1SiO3/2単位が導入された球状シリカ粒子を表面処理し、その表面にR2 3SiO1/2単位(式中、R2は前記と同じである。)を導入する工程を含む方法で得られた疎水性球状シリカ粒子である、[1]又は[2]記載の非水電解質二次電池。
[4].正極の電極材(正極材)が疎水性球状シリカ粒子を含有し、その含有量(固形分質量%)が正極材中0.1〜5質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
[5].負極の電極材(負極材)が疎水性球状シリカ粒子を含有し、その含有量(固形分質量%)が負極材中0.1〜5質量%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、前記正極と前記負極の間に挿入されたセパレータ、及び非水電解質を有する非水電解質二次電池の前記正極及び/又は負極の電極材が疎水性球状シリカ粒子を含有し、この疎水性球状シリカ粒子が、SiO2単位からなる親水性球状シリカ粒子の表面に、R1SiO3/2単位(式中、R1は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)が導入され、R1SiO3/2単位が導入された表面に、さらに、R2 3SiO1/2単位(式中、R2は同一又は異種の、置換又は非置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)が導入された疎水性球状シリカ粒子であって、その平均粒子径が5nm〜1.00μm、粒度分布D90/D10の値が3以下、平均円形度が0.8〜1のものである。
本発明の疎水性球状シリカ粒子は、以下の特徴を有するものである。
(1)SiO2単位からなる親水性球状シリカ粒子の表面に、R1SiO3/2単位(式中、R1は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)が導入され、R1SiO3/2単位が導入された表面に、さらに、R2 3SiO1/2単位(式中、R2は同一又は異種の、置換又は非置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)が導入された疎水性球状シリカ粒子である。
(2)平均粒子径が5nm〜1.00μm、粒度分布D90/D10の値が3以下であり、平均円形度が0.8〜1である。
以下の(A1)〜(A3)工程を含む方法
(A1)親水性球状シリカ粒子の調製工程
4官能性シラン化合物、その部分加水分解縮合生成物又はそれらの組み合わせを、加水分解・縮合することによって得られた、SiO2単位からなる親水性球状シリカ粒子を得る工程、
(A2)3官能性シラン化合物による第1疎水化表面処理工程
得られた親水性球状シリカ粒子の表面に、R1SiO3/2単位(式中、R1は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)を導入する工程、及び
(A3)1官能性シラン化合物による第2疎水化表面処理工程
R1SiO3/2単位が導入された表面に、さらに、R2 3SiO1/2単位(式中、R2は同一又は異種の、置換又は非置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)を導入する工程を含む方法で得られた疎水性球状シリカ粒子である非水電解質二次電池。
(A1):親水性球状シリカ粒子の調製工程
下記一般式(I)
Si(OR3)4 (I)
(式中、R3は同一又は異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)
で表わされる4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を、塩基性物質の存在下、親水性有機溶媒と水との混合溶媒中で加水分解・縮合することによって、SiO2単位からなる親水性球状シリカ粒子が分散した混合溶媒分散液を得る。
R5OH (V)
(式中、R5は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)
で表わされるアルコールが挙げられる。
(A1)で得られた分散液に、下記一般式(II)
R1Si(OR4)3 (II)
(式中、R1は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基、R4は同一又は異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)で表わされる3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を添加して、上記親水性球状シリカ粒子を表面処理し、その表面にR1SiO3/2単位(式中、R1は上記と同じである。)が導入された球状シリカ粒子が分散した混合溶媒分散液を得る。
(A3)工程の前に、(A2)で得られた分散液(A2)から、親水性有機溶媒と水の一部とを除去して、濃縮することにより、濃縮分散液にしてもよい。
親水性有機溶媒と水の一部を除去する方法としては、例えば留去、減圧留去等が挙げられる。その温度は用いた親水性有機溶媒やその割合によって適宜選定されるが、60〜110℃程度である。この際、分散液(A2)に、予め(濃縮工程前)又は濃縮工程中に疎水性溶媒を添加してもよい。使用する疎水性溶媒としては、炭化水素系、ケトン系溶媒が好ましく、1種単独で又は2種以上を適宜選択して用いることができる。具体的には、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、メチルイソブチルケトンが好ましい。
(A2)で得られた混合溶媒分散液、又は(A’)で得られた濃縮分散液に、下記一般式(III)
R2 3SiNHSiR2 3 (III)
(式中、R2は、同一又は異種の、置換又は非置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)
で表わされるシラザン化合物、下記一般式(IV):
R2 3SiX (IV)
(式中、R2は上記と同じであり、XはOH基又は加水分解性基である。)で表わされる1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を添加し、上記R1SiO3/2単位が導入された球状シリカ粒子を表面処理し、その表面にR2 3SiO1/2単位(式中、R2は上記と同じである。)を導入する。シラザン化合物、1官能性シラン化合物は1種単独で又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
本発明の疎水性球状シリカ粒子は、非水電解質二次電池の正極及び/又は負極の電極材に配合されるものである。正極の電極材(正極材)、負極の電極材(負極材)のいずれか、又は正極材及び負極材の両方に配合してもよいが、正極材及び負極材に配合するのが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、前記正極と前記負極の間に挿入されたセパレータ、及び非水電解質を有するものである。非水電解質二次電池としては、リチウムイオン二次電池が好ましい。
正極材としては、正極材料として、正極活物質、導電剤、結着剤、粘度調整剤等が含まれる。
正極活物質は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。正極活物質としては、例えば、リチウム、リチウムを含有するリチウム複合酸化物、NbSe2等の複合金属が挙げられる。また、TiS2、MoS2、NbS2、ZrS2、VS2あるいはV2O5、MoO3及びMg(V3O8)2等のリチウムを含有しない金属硫化物もしくは酸化物も挙げられる。中でも、エネルギー密度を高くするには、LipMetO2を主体とするリチウム複合酸化物が好ましい。なお、Metは、コバルト、ニッケル、鉄及びマンガンのうちの少なくとも1種が好ましく、pは、通常、0.05≦p≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム複合酸化物の具体例としては、層構造を持つLiCoO2、LiNiO2、LiFeO2、LiqNirCo1-rO2(但し、q及びrの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0<q<1、0.7<r≦1)、スピネル構造のLiMn2O4及び斜方晶LiMnO2が挙げられる。更に高電圧対応型として置換スピネルマンガン化合物としてLiMetsMn1-sO4(0<s<1)も使用されており、この場合のMetはチタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛等が挙げられる。
負極材としては、負極材料として、負極活物質、導電剤、結着剤、粘度調整剤等が含まれる。
負極活物質は1種単独で又は2種以上を適宜選択して用いることができる。負極活物質としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,炭素繊維、活性炭等の炭素材料が挙げられる。また、リチウムを吸蔵及び放出することが可能であり、金属元素および半金属元素から選ばれる1種以上を構成元素として含む材料も挙げられる。また、珪素、珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合体、一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素、下記式
MOa
(式中、MはGe,Sn,Pb,Bi,Sb,Zn,In,Mgから選ばれる少なくとも
1種であり、a=0.1〜4の正数である。)
で表される珪素を含まない金属酸化物、もしくは、下記式
LiMbOc
(式中、MはGe,Sn,Pb,Bi,Sb,Zn,In,Mg,Siから選ばれる少な
くとも1種であり、b=0.1〜4の正数、c=0.1〜8の正数である。)
で表される(珪素を含んだものであってもよい)リチウム複合酸化物であり、具体的には、GeO,GeO2,SnO,SnO2,Sn2O3,Bi2O3,Bi2O5,Sb2O3,Sb2O4,Sb2O5,ZnO,In2O,InO,In2O3,MgO,Li2SiO3,Li4SiO4,Li2Si3O7,Li2Si2O5,Li8SiO6,Li6Si2O7,Li4Ge9O7,Li4Ge9O2,Li5Ge8O19,Li4Ge5O12,Li5Ge2O7,Li4GeO4,Li2Ge7O15,Li2GeO3,Li2Ge4O9,Li2SnO3,Li8SnO6,Li2PbO3,Li7SbO5,LiSbO3,Li3SbO4,Li3BiO5,Li6BiO6,LiBiO2,Li4Bi6O11,Li6ZnO4,Li4ZnO3,Li2ZnO2,LiInO2,Li3InO3、又はこれらの非量論的化合物等が挙げられる。中でも、珪素、珪素の微粒子が珪素系化合物に分散した複合体、一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素が好ましい。
正極と前記負極の間に挿入されたセパレータは、電解液に対して安定であり、保液性に優れていれば特に制限はないが、一般的にはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン及びこれらの共重合体やアラミド樹脂等の多孔質シート又は不織布が挙げられる。これらは単層又は多層に重ね合わせて使用してもよく、表面に金属酸化物等のセラミックスを積層してもよい。また、多孔質ガラス、セラミックス等も使用される。
非水電解質としては、例えば、軽金属塩が挙げられる。軽金属塩にはリチウム塩、ナトリウム塩、あるいはカリウム塩等のアルカリ金属塩、又はマグネシウム塩あるいはカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、又はアルミニウム塩等があり、目的に応じて1種又は複数種が選択される。例えば、リチウム塩であれば、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、C4F9SO3Li、CF3CO2Li、(CF3CO2)2NLi、C6F5SO3Li、C8F17SO3Li、(C2F5SO2)2NLi、(C4F9SO2)(CF3SO2)NLi、(FSO2C6F4)(CF3SO2)NLi、((CF3)2CHOSO2)2NLi、(CF3SO2)3CLi、(3,5−(CF3)2C6F3)4BLi、LiCF3、LiAlCl4あるいはC4BO8Liが挙げられ、これらのうちのいずれか1種又は2種以上が混合して用いられる。
[合成例1]
・工程(A1):親水性球状シリカ粒子の調製工程
攪拌機と、滴下ロートと、温度計とを備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール989.5g(水に対する質量比5.4)と、水135.5g(水の量はテトラメトキシシランに対して3.6mol比)、28質量%アンモニア水66.5g(アンモニアの量はテトラメトキシシランに対して0.38mol比)とを入れて混合した。この溶液を35℃となるように調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン436.5g(2.87モル)を6時間かけて滴下した。この滴下が終了した後も、さらに0.5時間攪拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状シリカ粒子の懸濁液を得た。
上で得られた懸濁液に室温でメチルトリメトキシシラン4.4g(0.03モル、親水性球状シリカ粒子のSi原子に対して0.01mol比)を0.5時間かけて滴下し、滴下後も12時間攪拌を継続し、シリカ粒子表面を疎水化処理することにより、疎水性球状シリカ粒子分散液を得た。分散液中の疎水性球状シリカ粒子濃度は、11質量%であった。
次いで、ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、前工程で得られた分散液を60〜70℃に加熱してメタノールと水の混合物1,021gを留去し、疎水性球状シリカ粒子混合溶媒濃縮分散液を得た。このとき、濃縮分散液中の疎水性球状シリカ粒子濃度は28質量%であった。
前工程で得られた濃縮分散液に、室温において、ヘキサメチルジシラザン138.4g(0.86モル、親水性球状シリカ粒子のSi原子に対して0.3mol比)を添加した後、この分散液を50〜60℃に加熱し、9時間反応させることにより、分散液中のシリカ粒子をトリメチルシリル化した。次いで、この分散液中の溶媒を130℃、減圧下(6,650Pa)で留去することにより、疎水性球状シリカ粒子(1)186gを得た。
〈シリカ粒子測定方法〉
1.工程(A1)で得られた親水性球状シリカ粒子の平均粒子径測定
メタノールにシリカ粒子懸濁液を、シリカ粒子が0.5質量%となるように添加し、10分間超音波にかけることにより、該微粒子を分散させた。このように処理した微粒子の粒度分布を、動的光散乱法/レーザードップラー法ナノトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製、商品名:UPA−EX150)により測定し、その体積基準メジアン径を平均粒子径とした。なお、メジアン径とは粒度分布を累積分布として表した時の累積50%に相当する粒子径である。
メタノールにシリカ粒子を、0.5質量%となるように添加し、10分間超音波にかけることにより、該微粒子を分散させた。このように処理した微粒子の粒度分布を、動的光散乱法/レーザードップラー法ナノトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製、商品名:UPA−EX150)により測定し、その体積基準メジアン径を平均粒子径とした。
また粒度分布D90/D10の測定は、上記粒子径測定した際の分布において小さい側から累積が10%となる粒子径をD10、小さい側から累積が90%となる粒子径をD90とし測定された値からD90/D10を計算した。
電子顕微鏡(日立製作所製、商品名:S−4700型、倍率:10万倍)によって観察を行い、形状を確認した。「球状」とは、真球だけでなく、若干歪んだ球も含む。なおこのような粒子の形状は、粒子を二次元に投影した時の円形度で評価し、円形度が0.8〜1の範囲にあるものとする。ここで円形度とは、(粒子面積と等しい円の周囲長)/(粒子周囲長)である。
シャーレ上に試料3gを均一に広げ、恒温恒湿器(ヤマト科学社製IG420型)に入れ、水分量を測定した。水分量測定は差動型示差熱天秤(株式会社リガク社製TG8120)を使用し、室温(25℃)〜200℃までの重量減少率を水分量とした。測定は、初期の水分量及び25℃/50%RHの条件で3日間放置した試料の水分量を測定した。
合成例1において、工程(A1)でメタノール、水、及び28質量%アンモニア水の量をメタノール1045.7g、水112.6g、28質量%アンモニア水33.2gに変えたこと以外は同様にして、疎水性球状シリカ粒子(2)188gを得た。この疎水性球状シリカ粒子について合成例1と同様に測定した。この結果を表1に示す。
・工程(A1):親水性球状シリカ粒子の調製工程
攪拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール623.7g、水41.4g、28質量%アンモニア水49.8gを添加して混合した。この溶液を35℃に調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン1,163.7g及び5.4質量%アンモニア水418.1gを同時に添加開始し、前者は6時間、そして後者は4時間かけて滴下した。テトラメトキシシラン滴下後も0.5時間攪拌を続け加水分解を行いシリカ粒子の懸濁液を得た。
こうして得られた懸濁液に室温でメチルトリメトキシシラン11.6g(テトラメトキシシランに対してモル比で0.01相当量)を0.5時間かけて滴下し、滴下後も12時間攪拌しシリカ粒子表面の処理を行った。
該ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管を取り付け、上記の表面処理を施したシリカ粒子を含む分散液にメチルイソブチルケトン1,440gを添加した後、80〜110℃に加熱しメタノール水を7時間かけて留去した。
こうして得られた分散液に室温でヘキサメチルジシラザン357.6gを添加し120℃に加熱し3時間反応させ、シリカ粒子をトリメチルシリル化した。その後溶媒を減圧下で留去して球状疎水性シリカ粒子(3)472gを得た。得られた疎水性球状シリカ粒子について合成例1と同様に測定した。この結果を表1に示す。
シリカ粒子の合成の際にテトラメトキシシランの加水分解温度を35℃の代りに20℃とした以外は合成例3と同様にして各工程を行ったところ、疎水性球状シリカ粒子(4)469gを得た。得られた疎水性球状シリカ粒子について合成例1と同様に測定した。この結果を表1に示す。固体NMR測定で確認したところ、合成例1〜4で得られた疎水性球状シリカ粒子は、内部にシラノール基が残存していた。
攪拌機と温度計とを備えた0.3リットルのガラス製反応器に爆燃法シリカ(商品名:SOC1、アドマテクス社製)100gを仕込み、純水1gを攪拌下で添加し、密閉後、さらに60℃で10時間攪拌した。次いで、室温まで冷却した後、ヘキサメチルジシラザン2gを攪拌下で添加し、密閉後、さらに24時間攪拌した。120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら残存原料及び生成したアンモニアを除去し、疎水性球状シリカ粒子(5)100gを得た。得られた球状シリカ粒子について合成例1と同様に測定した。この結果を表1に示す。
攪拌機と温度計とを備えた0.3リットルのガラス製反応器に爆燃法シリカ(商品名:SOC1、アドマテクス社製)100gを仕込み、純水1gを攪拌下で添加し、密閉後、さらに60℃で10時間攪拌した。次いで、室温まで冷却した後、メチルトリメトキシシラン1gを攪拌下で添加し、密閉後、さらに24時間攪拌した。次にヘキサメチルジシラザン2gを攪拌下で添加し、密閉後、さらに24時間攪拌した。120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら残存原料及び生成したアンモニアを除去し、疎水性不定形シリカ粒子(6)101gを得た。得られたシリカ粒子について合成例1と同様の試験を行った。結果を表1に示す。
正極活物質としてLiCoO295質量%、導電材として導電性カーボンブラック(Super−P)2.5質量%、及び結着剤としてPVdF(ポリフッ化ビニリデン)2.5質量%を、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶剤に加えた。正極材の総質量に対して0.1質量%(固形分質量%)の疎水性球状シリカ粒子(1)に加え、ペースト状の合剤を調製した。その後、このペースト状の合剤をアルミニウムホイル上に塗布し、乾燥させ、圧縮し、正極(成型体)を調製した。
疎水性球状シリカ粒子(1)を正極に加えなかった以外は、実施例1と同じ様式で、リチウム二次電池を調製した。
疎水性球状シリカ粒子(1)を負極に加えなかった以外は、実施例1と同じ様式で、リチウム二次電池を調製した。
実施例1の疎水性球状シリカ粒子(1)を(2)とした以外は、実施例1と同じ様式で、リチウム二次電池を調製した。
実施例1の疎水性球状シリカ粒子(1)を(3)とし、負極、正極への添加量を総重量に対して2質量%(固形分質量%)とした以外は、実施例1と同じ様式で、リチウム二次電池を調製した。
実施例1の疎水性球状シリカ粒子(1)を(3)とし、負極、正極への添加量を総重量に対して5質量%(固形分質量%)とした以外は、実施例1と同じ様式で、リチウム二次電池を調製した。
実施例1の疎水性球状シリカ粒子(1)を(4)とし、負極、正極への添加量を総重量に対して3質量%(固形分質量%)とした以外は、実施例1と同じ様式で、リチウム二次電池を調製した。
疎水性球状シリカ粒子を正極及び負極に加えなかった以外は、実施例1と同じ様式で、リチウム二次電池を調製した。
実施例1の疎水性球状シリカ粒子(1)を(5)とし、負極、正極への添加量を総重量に対して2質量%とした以外は、実施例1と同じ様式で、リチウム二次電池を調製した。
実施例1の疎水性球状シリカ粒子(1)を(6)とし、負極、正極への添加量を総重量に対して2質量%とした以外は、実施例1と同じ様式で、リチウム二次電池を調製した。
実施例及び比較例で調製した電極中の含水量を、水分測定装置(平沼産業製、AQ−7)を用いて、カールフィッシャー法によって測定した。
実施例及び比較例で調製したリチウム二次電池を十分に充電し、60℃で2週間貯蔵した。次いで、各リチウム二次電池の貯蔵後の容量を測定した。初期容量に対する容積比を表2に示す。
実施例及び比較例で調製したリチウム二次電池を、4.2Vに充電した。次いで、電流0.5C及び5Cでそれぞれ放電した時の各リチウム二次電池の容量を測定した。0.5Cと5Cの比率(0.5C/5C)を表2に示す。
Claims (5)
- 正極、負極、前記正極と前記負極の間に挿入されたセパレータ、及び非水電解質を有する非水電解質二次電池であって、
前記正極及び/又は負極の電極材が疎水性球状シリカ粒子を含有し、
前記疎水性球状シリカ粒子が、
SiO2単位からなる親水性球状シリカ粒子の表面に、R1SiO3/2単位(式中、R1は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)が導入され、R1SiO3/2単位が導入された表面に、さらに、R2 3SiO1/2単位(式中、R2は同一又は異種の、置換又は非置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)が導入された疎水性球状シリカ粒子であって、
平均粒子径が5nm〜1.00μm、粒度分布D90/D10の値が3以下であり、平均円形度が0.8〜1である疎水性球状シリカ粒子
であることを特徴する非水電解質二次電池。 - 疎水性球状シリカ粒子が、
(A1)4官能性シラン化合物、その部分加水分解縮合生成物又はそれらの組み合わせを、加水分解・縮合することによって得られた、SiO2単位からなる親水性球状シリカ粒子を得る工程、
(A2)得られた親水性球状シリカ粒子の表面に、R1SiO3/2単位(式中、R1は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)を導入する工程、及び
(A3)R1SiO3/2単位が導入された表面に、さらに、R2 3SiO1/2単位(式中、R2は同一又は異種の、置換又は非置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)を導入する工程を含む方法で得られた疎水性球状シリカ粒子である請求項1記載の非水電解質二次電池。 - 疎水性球状シリカ粒子が、
(A1):親水性球状シリカ粒子の調製工程
下記一般式(I)
Si(OR3)4 (I)
(式中、R3は同一又は異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)
で表わされる4官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を、塩基性物質の存在下、親水性有機溶媒と水との混合溶媒中で加水分解・縮合することによって、SiO2単位からなる親水性球状シリカ粒子が分散した混合溶媒分散液を得、
(A2):3官能性シラン化合物による第1疎水化表面処理工程
(A1)で得られた分散液に、下記一般式(II)
R1Si(OR4)3 (II)
(式中、R1は置換又は非置換の炭素原子数1〜20の1価炭化水素基、R4は同一又は異種の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)で表わされる3官能性シラン化合物、その部分加水分解生成物又はこれらの混合物を添加して、前記親水性球状シリカ粒子を表面処理し、その表面にR1SiO3/2単位(式中、R1は前記と同じである。)が導入された球状シリカ粒子が分散した混合溶媒分散液を得、
(A3):1官能性シラン化合物による第2疎水化表面処理工程
(A2)で得られた混合溶媒分散液に、下記一般式(III)
R2 3SiNHSiR2 3 (III)
(式中、R2は、同一又は異種の、置換又は非置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。)
で表わされるシラザン化合物、下記一般式(IV):
R2 3SiX (IV)
(式中、R2は前記と同じであり、XはOH基又は加水分解性基である。)で表わされる1官能性シラン化合物又はこれらの混合物を添加し、前記R1SiO3/2単位が導入された球状シリカ粒子を表面処理し、その表面にR2 3SiO1/2単位(式中、R2は前記と同じである。)を導入する工程を含む方法で得られた疎水性球状シリカ粒子である、請求項1又は2記載の非水電解質二次電池。 - 正極の電極材(正極材)が疎水性球状シリカ粒子を含有し、その含有量(固形分質量%)が正極材中0.1〜5質量%である、請求項1〜3のいずれか1項記載の非水電解質二次電池。
- 負極の電極材(負極材)が疎水性球状シリカ粒子を含有し、その含有量(固形分質量%)が負極材中0.1〜5質量%である、請求項1〜4のいずれか1項記載の非水電解質二次電池。
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