JP2014520086A - バイオマスからポリイソシアナートを製造する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、天然原料源からポリイソシアナートを調製するための方法であって、分子1個当たり少なくとも1つのヒドロキシ基または少なくとも1つのアルコキシ基を含む低分子量の芳香族(オキシ芳香族)成分を含む組成物が、バイオマス材料から生成され、これらのオキシ芳香族成分が対応する芳香族アミンへと変換され、場合によってホルムアルデヒドとの縮合後、ホスゲンとさらに反応することによって、イソシアナート基を含む化合物が得られる方法に関する。

Description

本発明は、天然原料源からポリイソシアナートを調製するためのプロセスであって、バイオマス材料から、分子1個当たり少なくとも1つのヒドロキシ基または少なくとも1つのアルコキシ基を含む低分子量の芳香族(オキシ芳香族)を含む組成物が生成され、これらのオキシ芳香族が対応する芳香族アミンに変換され、場合によってホルムアルデヒドとの縮合後、ホスゲンとさらに反応することによって、イソシアナート基を含む化合物が得られるプロセスに関する。
ポリイソシアナート(一般的な実施によると、分子1個当たり2つ以上のNCO基を有する化合物を、本明細書中以下では時々「ジイソシアナート」とも呼ぶ)は、ポリウレタン生成のために貴重な原料である。ポリウレタンは、最も広い範囲の用途を有するクラスのプラスチックである。したがって、ポリイソシアナートおよびポリウレタンに対する世界中の市場が数年の間高い成長速度を示している。最も重要なジイソシアナートはMDI(メチレンジ(フェニルイソシアナート))およびTDI(トリレンジイソシアナート)である。
第1にMDIは、オリゴマーと異性体(isomer)の混合物として市販され、この混合物は、ポリマー性MDI(PMDI、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナート)として公知である。第2にMDIは、最も低級のオリゴマー、すなわち2環のMDIの形態で市販されており、この2環MDIは、分子内に2つの芳香族環しか含まず、モノマー性MDI(MMDI)とも呼ばれている。MMDIは、純粋な異性体形または様々な異性体の混合物のいずれかで販売用に提供されている。PMDIのオリゴマーおよび異性体の組成は、生成プロセス、その作動条件およびプロセスが行われる方式により決定される。したがって、PMDIは、その生成プロセスにより最も良く特徴づけることができる典型的な製品の例である。MMDIは、分離工程により、そのプロセスの粗生成物(粗製のMDI混合物)から分離することができる。工業的規模では、この分離工程は一般的に蒸留または結晶化である。
同様に、TDIの調製のためのプロセスにより、TDI異性体と、ウレアおよびジイソシアナート基を介して架橋されているオリゴマーとを主に含む粗製のTDI混合物が第一に得られる。同様に、オリゴマーの組成は、生成プロセスにより決定される。純粋な異性体または特定の異性体混合物は、粗製のTDI混合物から分離により得ることができ、この分離は蒸留による分離工程を一般的に含む。
MDIの調製のための中間体として、対応するMDA(メチレンジ(フェニルアミン))は、慣用的プロセスにより、酸触媒の存在下でホルムアルデヒドと縮合することができる。このプロセスは、連続式またはバッチ式のいずれかで行うことができる(例えばDD295628およびDD238042)。さらに、ジイソシアナートが、対応するアミンおよびホスゲンから調製することができることは公知である。反応は、アミンのタイプに応じて、気相または液相のいずれかにおいて、バッチ式または連続式のいずれかで行う。第一級有機アミンとホスゲンとの反応を用いた有機ジイソシアナートの連続式調製は、何度も記載されており、工業的規模で実施されている。
上述のジイソシアナートの現代の工業合成は、ほぼ独占的に連続式で行われている。一般的に、プロセスの連続式実施形態は、複数の段階を含む。ホスゲン化の第一段階では、アミンは、ホスゲンと反応することによって、対応する塩化カルバモイルおよび塩化水素ならびにアミン塩酸塩を形成する。アミンとホスゲンとの間の第1次反応は、極めて速く、発熱性である。副生成物および固体の形成を最小限に抑えるために、アミンおよびホスゲンは、両方とも有機溶媒中に場合によって溶解されているが、これらを例えば急速に混合することができる。ホスゲン化の次の段階は、塩化カルバモイルを所望のジイソシアナートおよび塩化水素へ分解することと、さらにアミン塩酸塩を塩化カルバモイルにホスゲン化することの両方を含む。
液相のホスゲン化は、例えば、EP−A−1616857、WO2004/056756、WO2006/130405、EP−A−1509496、EP−A−1270544およびDE−A−19961973に記載されている。
アミン塩酸塩の望ましくない中間体の形成を回避するために、ホスゲン化はまた、高温で気相のホスゲン化として行うことができる。このようなプロセスは、EP−A−593334、WO2003/045900、WO2008/086922およびWO2008006775(エアゾールのホスゲン化)に例証として記載されている。
さらに、ホスゲン化は、超臨界溶媒中で行うことができる(WO2008/049783)。イソシアナートそれ自体(EP−A−1401802、US6,683,204)またはイオン液体(WO06048141、WO2006048171)を溶媒として使用することも可能である。
解決すべき重要な問題は、ポリイソシアナートの生成コストの40〜80%を構成し、世界市場でのその入手の可能性が限定されている適切なアミンの、安価で長期的な供給である。この問題は、芳香族アミンの供給に対して特に重要である。
従来技術では、芳香族アミンは、対応する芳香族、例えばベンゼンまたはトルエンから、ニトロ化工程を対応するアミンを形成するためのその後のニトロ基の水素化と共に用いて、慣用的に調製している。多数のバッチ式および連続式プロセスが、ニトロ芳香族の調製に対して公知である。ニトロ化剤は一般的に、硝酸と硫酸の混合物または硝酸単独のいずれかである。芳香族化合物はニトロ化により官能化した後、対応するアミンを得るために、これを水素化しなければならない。水素化は一般的に触媒の存在下で行われ、水が副生成物として得られる。水素化は、多種多様な工業用実施形態、例えば流動床もしくは固定床、または液相もしくは気相において工業的に行うことができる。
したがって、従来技術によるポリイソシアナートの調製には、以下の技術的欠点がある:
−ニトロ化工程と水素化工程の両方とも、特別な処置を必要とする廃水を生成する。
−ニトロ化合物は、極めて高い分解エネルギー(>1000J/g)を有する高エネルギー物質であるため、このプロセスは、入念な安全対策を必要とする。
−TDIまたはMDIの調製に対してアミンを用意する芳香族塩基分子の官能化は、複雑な多段階プロセスを必要とする。
したがって、ポリイソシアナートの調製に対して適切なアミンを用意する代替の方式に対する必要性が存在する。
自然に連続式で生成された大量のバイオマスは、これまでに材料としての利用のためまたはエネルギー生成のための再生可能な原料としてわずかしか使用されてこなかった。原料源を保存するため、化石原料をバイオマス出発材料に置き換えることを可能にするプロセスを持つことが必要である。高い効率を達成するためには、理想的には用意されたバイオマス材料を完全に利用することが追求されている。
リグニンまたはリグノセルロースを含む材料のための様々な分解プロセスからの流れを、後処理に供することによって、価値のある材料を得ることができることは公知である。
US2,057,117は、バニリンを調製するためのプロセスについて記載しており、このプロセスでは、リグノセルロース、粗製のリグニン抽出物およびリグノスルホン酸から選択される出発材料を、アルカリ金属水酸化物水溶液と共に過圧下で加熱し、得た反応混合物を硫酸と混和することによって、有機の構成物質を沈殿させ、バニリンを溶解性形態に変換する。
WO99/10450は、リグニンを炭化水素燃料に変換するためのプロセスについて記載している。ここで、リグニンは、塩基で触媒した脱重合、それに続く水素化処理に供される。この水素化処理は、水素化脱酸素反応と、穏やかな水素化分解とを含む。後者は、芳香族環の部分的な水素化が生じる条件下で行われる。
WO2008/027699A2は、バイオマス熱分解によって生じるリグニンが、水溶性構成物質の除去後、脱炭酸され、水素化脱酸素され、続いて、このプロセスの工程からの有機生成物が水素化分解に供されるプロセスについて記載している。
WO2010/026244は、セルロースおよび少なくとも1つの価値のある低分子量材料を生成するための統合プロセスであって、
a)リグノセルロース含有出発材料が用意され、処理媒体を用いた分解に供され、
b)セルロース濃縮画分、および少なくとも1つのセルロース枯渇画分が、分解した材料から単離され、このセルロース枯渇画分が、工程a)からの処理媒体の少なくとも一部を含み、
c)このセルロース枯渇画分が処理に供されることによって、少なくとも1つの価値のある低分子量材料が得られ、
d)価値のある材料(複数可)が、工程c)で得られた処理生成物から単離される、
プロセスについて記載している。
WO2009/108601は、リグニン含有出発材料から生物燃料を生成するためのバイオリファイナリープロセスのための出発材料を生成するためのプロセスについて記載している。ここで、パルプ化プロセスの黒液からのリグニンまたは黒液それ自体は、水素含有気体およびアモルファスまたは結晶性酸化物支持体上の触媒の存在下で、水素化処理に供される。
WO2009/108599は、紙の生成に焦点を当てた、WO2009/108601と同等の開示内容を有する。
Angew.Chem.2008年、120巻、9340〜9351ページにおいて、M.Stockerは、バイオリファイナリーにおいてBTL(バイオマスツーリキッド)燃料を得るためのリグノセルロースが豊富なバイオマスの触媒転換について記載している。
US2009/0227823は、固体炭化水素出発材料(例えばリグノセルロース材料)から少なくとも1つの液体炭化水素生成物を生成するためのプロセスであって、この出発材料を触媒熱分解の対象とし、熱分解生成物をその後の触媒反応に供することによって、液体生成物が得られるプロセスについて記載している。
Chem.Rev.2006年、106巻、4044〜4098ページにおいて、G.W.Huberらは、バイオマスからの燃料の合成について記載している。この文献によると、リグノセルロース材料は、原理的には3つの経路を介して液体燃料に変換することができ、これら3つの経路は、これらの初期工程に関して異なる:気体化して合成気体を形成する、熱分解してバイオオイルにする、加水分解して糖およびリグニンを得る。熱分解で得られるバイオオイルは、続いて、水素の存在下で水素化脱酸素反応、または水蒸気改質に供することができる。
未公開欧州特許出願第10162255.3号、第10162256.1号および第10162259.5号は、リグノセルロース含有出発材料の分解からの価値のある有機材料の調製について記載している。未公開欧州特許出願第10171278.4号は、リグニンと、組成物中に分散した少なくとも1つの触媒とを含む組成物(複合材)、このような触媒およびリグニンを含有する組成物を生成するためのプロセス、ならびに芳香族組成物を調製するためのその使用について記載している。
バイオリファイナリーに関する上述の文献の中で、対応する芳香族アミンからの芳香族ポリイソシアナートおよびさらなる価値のある生成物の統合的調製のためにバイオマス出発材料を使用することについて何らかの示唆をしているものはない。
EP−A−1616857 EP−A−593334 WO2008/049783
ポリイソシアナートの調製に対して適切なアミンを用意するという問題は、驚くことに、価値のある生成物を得るための生物学的に基本的な生成物のワークアップの副生成物を利用して、芳香族アミンを用意することによって解決することができる。これは、具体的には、リグノセルロース含有材料、例えば紙の生成における、例えば木材またはバガスのプロセシングにおいて得られるリグニンの反応であり、このリグニンの反応からポリイソシアナートの調製に対して特に有利な芳香族アミンを本発明のプロセスで得ることができる。
本発明の重要な態様は、自然に生じたような芳香族化合物の官能化を利用することによる、経済的および生態学的に改善された芳香族アミンの供給である。
驚くことに、バイオマス出発材料からの芳香族環を有するポリイソシアナートの有利な調製が可能であることが見出された。
したがって、本発明は、第一に、ポリイソシアナートを調製するためのプロセスであって、バイオマス出発材料が使用されて、0.5×10−12〜5×10−12の範囲のC14対C12アイソトープ比を有する芳香族アミンの組成物が調製され、芳香族アミンの組成物がホスゲン化に供されるプロセスを提供する。
ホスゲン化の適切な好ましい実施形態に関して、工程g)に対して以下に示す情報は、参照により完全に組み込まれている。
芳香族アミンの組成物を調製するためのバイオマス出発材料は、好ましくは、分解を含む少なくとも1つの反応に供することによって、分子1個当たり少なくとも1つのヒドロキシ基および/または少なくとも1つのアルコキシ基を有する芳香族を含む芳香族組成物(「オキシ芳香族組成物」)が得られ、このオキシ芳香族組成物はアミノ化に供される。
このオキシ芳香族組成物は、好ましくは、総質量に基づき、少なくとも75質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%、特に少なくとも95質量%の単環式芳香族を含む。
本発明は、ポリイソシアナートを調製するためのプロセスであって、
−バイオマス出発材料が、分解を含む反応に供されることによって、分子1個当たり少なくとも1つのヒドロキシ基および/または少なくとも1つのアルコキシ基を有する芳香族を含む芳香族組成物(「オキシ芳香族組成物」)が得られ、
−オキシ芳香族組成物がアミノ化に供され、
−アミノ化生成物が、場合によって、ホルムアルデヒド供給源との縮合に供され、
−アミノ化生成物または(アミノ化生成物がホルムアルデヒド供給源との縮合に供された場合)ホルムアルデヒド供給源との縮合生成物がホスゲン化に供される、
プロセスをさらに提供する。
バイオマス出発材料の分解に対して適切なおよび好ましい実施形態に関して、工程b)に対して以下に与えられた情報は、参照により完全に組み込まれている。
(分解した)バイオマス出発材料を対象に行うことができるさらなる反応および/またはワークアップ工程(後処理工程)に関して、工程c)およびd)に対して以下に与えられた情報は、参照により完全に組み込まれている。
アミノ化の適切なおよび好ましい実施形態に関して、工程e)に対して以下に与えられた情報は、参照により完全に組み込まれている。アンモニアは好ましくはアミノ化に使用される。
ホルムアルデヒド供給源との縮合の適切なおよび好ましい実施形態に関して、工程f)に対して以下に与えられた情報は、参照により完全に組み込まれている。
ホスゲン化の適切なおよび好ましい実施形態に関して、工程g)に対して以下に与えられた情報は、参照により完全に組み込まれている。
本発明は、ポリイソシアナートを調製するためのプロセスであって、
a)バイオマス出発材料が用意され、
b)バイオマス出発材料が分解に供され、
c)工程b)で得られる分解された材料が、少なくとも1つの芳香族成分富化画分C1)と、少なくとも1つの芳香族成分低減画分C2)とに場合によって分離され、
d)工程b)からの分解生成物、または工程c)からの芳香族成分富化画分C1)が、脱アルキル化ゾーンに場合によって供給され、水素および/または水蒸気の存在下で反応し、
脱アルキル化ゾーンから放出物が取り出され、
脱アルキル化ゾーンからの放出物が、場合によって分離に供されることによって、脱アルキル化芳香族が濃縮された少なくとも1つの流れD1)と、より揮発性の成分が濃縮された少なくとも1つの流れD2)とが得られ、
e)工程b)からの分解生成物、または工程c)からの芳香族成分富化画分C1)、または工程d)での脱アルキル化ゾーンからの放出物、または脱アルキル化芳香族が濃縮された流れD1)が、アミノ化ゾーンにおいてアンモニアとの反応により、アミノ化に供され、
f)工程e)からのアミノ化生成物が、場合によって、ホルムアルデヒド供給源との縮合に供され、
g)工程e)からのアミノ化生成物、またはf)からのホルムアルデヒド供給源との縮合生成物が、ホスゲン化に供される、
プロセスをさらに提供する。
本発明は、C14対C12アイソトープ比が0.4×10−12〜4.5×10−12の範囲にある、ポリイソシアナート組成物をさらに提供する。
本発明は、上記および下記に記載のようなプロセスにより得ることができるポリイソシアナート組成物をさらに提供する。
本発明のポリイソシアナート組成物は、好ましくは少なくとも30のNCO数を有する。
蒸発の好ましい実施形態を示す図である。
本特許出願の目的のため、「バイオマス」という用語は、非化石由来の植物材料を指す。バイオマスは、枯れた植物および植物の部分、例えば枯れた木、わら、葉などを含む。バイオマスという用語はまた、非化石由来の植物材料が、化学的および/または物理的処理に供される生成物も含む。このような生成物として、特に、リグノセルロース、例えばリグニンの分解および分画からの生成物が挙げられる。バイオマスは、具体的には、石炭、石油、天然ガス、ピートおよびこれらをアップグレードした生成物、例えばコークスを含まない。
本発明の目的のため、「オキシ芳香族」という表現は、分子1個当たり、少なくとも1つのヒドロキシ基および/または少なくとも1つのアルコキシ基を有する芳香族を指す。したがって、「オキシ芳香族組成物」は、オキシ芳香族を含む組成物である。好ましいオキシ芳香族は、単環式芳香族または高い含有量の単環式芳香族を有する組成物である。本発明のプロセスに使用するオキシ芳香族組成物は、好ましくは、総質量に対して、少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも90質量%、特に少なくとも95質量%の単環式芳香族を含む。
単環式オキシ芳香族は、好ましくは一般式(I)の化合物
Figure 2014520086
(式中、
基Rは、それぞれ、互いに独立して、水素またはC〜C−アルキルであり、
基Rは、独立して、C〜C−アルキル、C〜C−ヒドロキシアルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル、ホルミル、C〜C−アシル、C〜C−アルコキシカルボニルおよびC〜C−アルキルカルボニルオキシの中から選択され、
mは1、2または3であり、
nは0、1、2、3または4であり、
mとnの合計は、1〜6の整数である)
の中から選択される。
本発明のプロセスは、特に、フェノール、フェノールエーテル、クレゾール、キシレノール、グアヤコール、ベラトロール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノンおよびこれらの混合物の中から選択されるモノマー性オキシ芳香族を含むオキシ芳香族組成物を提供することを可能にする。
特定の実施形態では、本発明のプロセスは、バイオマス出発材料からの高含有量の単環式芳香族を有するオキシ芳香族組成物の供給を含む。本発明の目的のため、単環式芳香族はまた、「モノマー性芳香族」とも呼ばれる。2〜15個の芳香族環を有する多環式芳香族はまた、「オリゴマー性芳香族」とも呼ばれる。
バイオマス出発材料が、本発明のプロセスにおいて、芳香族アミンの組成物を調製するための少なくとも1つの分解の対象となる場合、総質量に対して、少なくとも1質量%、特に好ましくは少なくとも2質量%の単環式オキシ芳香族を含む芳香族組成物が第1次分解生成物として得られる。単環式オキシ芳香族の割合は、以下に記載されているようなさらなる反応および/またはワークアップ工程を用いて有意に増加させることができる。ここで得られた追加的成分は、有利なことに、本発明のプロセスで再利用するか、またはワークアップによって、価値のあるさらなる生成物を得るか、またはエネルギー生成のために利用することができる。
特定の実施形態では、オキシ芳香族組成物を用意するためのバイオマス出発材料の反応は、少なくとも1つの脱アルキル化を含む。このようにして得た脱アルキル化生成物は、初期の芳香族組成物よりも有意に高い含有量の単環式脱アルキル化芳香族を有する。このようなオキシ芳香族組成物は、ポリイソシアナートへのさらなる変換のために特に有利である。
本発明の目的のため、「脱アルキル化」という用語は、水素および/または水蒸気の存在下での芳香族組成物中に含まれる、置換されているおよび/または多環式の芳香族化合物の反応を指し、これらの化合物は、置換基が水素で置き換えられるように、および/または複数の芳香族環を含む化合物が切断されてより少ない数の環を有する化合物を形成するように、少なくとも部分的に転換される。水素で置き換えられる置換基は、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基などの中から選択される。本発明の目的のため、「脱アルキル化」という用語はまた、分子量の低減に伴う他の反応、例えば脱水酸基化、脱アルコキシ化または芳香族の切断を含む。ここで、芳香族の切断という用語は、分子1個当たりの芳香族環の数が、芳香族環それ自体が破壊されることなく、本質的に減少する反応を指す。しかし、脱アルキル化により得られる脱アルキル化オキシ芳香族は、本発明によると、分子1個当たり少なくとも1つのヒドロキシ基および/または少なくとも1つのアルコキシ基を常に有する。
バイオマス出発材料の用意(工程a)
リグニン含有材料は、好ましくは、本発明のプロセスの工程a)のバイオマス出発材料として用意される。
適切なリグニン含有出発材料は、純粋なリグニンおよびリグニン含有組成物である。ここで、組成物のリグニン含有量は、広い範囲で重大ではない。リグニン含有量が低すぎる場合においてのみ、本プロセスはもはや経済的に作動しない。
材料の乾燥質量に基づき、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも15質量%の工程a)で用意されるリグニンを含む、リグニン含有出発材料が好ましい。材料の乾燥質量に基づき、10〜100質量%、特に好ましくは15〜95質量%のリグニンを含む、リグニン含有組成物が好ましい。本発明の目的のため、乾燥質量という用語は、ISO標準11465の意味で使用されている。
リグノセルロース含有材料はまた、本発明のプロセスに使用するためのリグニン含有出発材料を用意することに対しても適切である。リグノセルロースは、植物の細胞壁の構造的骨格を形成し、主な構成物質としてリグニン、ヘミセルロースおよびセルロースを含む。植物の気泡壁のさらなる構成物質、したがってこれから得られるリグノセルロース含有材料は、例えば、シリカート、抽出可能な低分子量の有機化合物(抽出可能物として公知の、例えばテルペン、樹脂、脂肪)、ポリマー、例えば、タンパク質、核酸および植物ガム(浸出液として公知)などである。
リグニンは、その基本的単位が本質的にはフェニルプロパンであるバイオポリマーであり、このフェニルプロパンは、天然の供給源に応じて、フェニル環上の1つまたは複数のメトキシ基により、およびプロピル単位上のヒドロキシ基で置換されていてもよい。したがって、リグニンの典型的な構造単位は、エーテル結合および炭素−炭素結合を用いて互いに一緒になっている、p−ヒドロキシフェニルプロパン、グアイアシルプロパンおよびシリンギルプロパンである。
これらの天然組成物、例えば木材またはわらにおいて、さらなる化学的な処理をせずに使用されるリグノセルロース含有材料と、リグノセルロースのプロセシング、例えばセルロースを生成するためのプロセス(パルププロセス)からのリグニン含有流との両方が、本発明のプロセスのためのバイオマス出発材料として適切である。
本発明に従い使用することができるリグノセルロース材料は、出発材料として、例えば、木材および植物繊維から得ることができる。好ましいリグノセルロース材料は、木材処理産業からの木材および残渣で構成されるものである。これらには、例えば、様々なタイプの木材、すなわち広葉樹、例えばカエデ、ブナノキ、セイヨウナシの木、オーク、ハンノキ、セイヨウトネリコ、ユーカリ、一般的なブナノキ、サクランボの木、ライム、ナッツの木、ポプラ、柳などからの木材、および針葉樹、例えばダグラスファー、トウヒ、イチイ、アメリカツガ、マツ、カラマツ、モミ、シーダーなどからの木材が含まれる。木材は、広葉樹木材と針葉樹木材ばかりでなく、「堅木」と「軟木」にも分類することができ、これはそれぞれ、広葉樹木材および針葉樹木材という用語と同じ意味ではない。堅木とは対照的に、軟木という用語は、軽い木材(すなわち、0.55g/cm未満のキルン乾燥密度を有する木材、例えば柳、ポプラ、ライムおよびほぼすべての針葉樹の材木)を指す。すべての堅木およびすべての軟木は、原則として、本発明のプロセスにおける使用に対して適切である。本発明のプロセスで使用される木材はまた、製造された形態、すなわちペレットの形態で存在することもできる。木材処理産業からの適切な残渣は、木材切れ端、さらにおがくず、寄せ木の研削屑などである。さらなる適切なリグノセルロース材料は、天然の線維材料、例えば、アマ、アサ、サイザルアサ、ジュート、わら、ココナッツ繊維、スイッチグラス(Panicum virgatum)および他の天然繊維などである。適切なリグノセルロース材料はまた、農業、例えば穀物(小麦わら、トウモロコシわらなど)、トウモロコシ、サトウキビ(バガス)などの収穫における残渣としても得られる。適切なリグノセルロース材料はまた、林業における残渣、例えば枝、樹皮、木くずなどの形態で得られる。リグノセルロース材料のもう一つの良い供給源は、比較的に小さな領域での高いバイオマスの生成を可能にする短期輪作の作物である。
セルロース(パルプ)の生成のためのリグノセルロース材料の蒸解によるリグニン含有流、好ましくは黒液、特にKraft蒸解(硫酸塩蒸解)からの黒液が、工程a)のバイオマス出発材料として用意されることが好ましい。
好ましい実施形態では、バイオマス出発材料を、リグノセルロース含有材料を分解の対象とし、セルロース濃縮画分およびリグニン濃縮(同時にセルロース枯渇)画分を、分解した材料から単離することによって用意される。次いで、後者は、場合によってさらなるワークアップ後、本発明のプロセスのためのバイオマス出発材料として機能する。したがって、本実施形態では、リグノセルロース含有材料は、本発明のプロセスの工程a)における最初の分解に供され、リグニン濃縮材料がこれから単離され、続いてこの材料が、工程b)での第2の分解に供される。
リグノセルロース含有材料を分解することによってセルロースを生成するためのプロセスは原則として公知である。当業者に公知のすべての分解プロセスからのリグニン含有流は、原則として、バイオマス出発材料としての使用に対して適切である。これらのプロセスは、使用される処理媒体により、水性−アルカリ性プロセス、水性−酸性プロセスおよび有機プロセスへと基本的に分類することができる。これらのプロセスおよび分解条件の概説は、例えば、WO2010/026244において見出すことができる。
リグノセルロース含有材料を分解するために使用される処理媒体は、リグニンの少なくとも一部を可溶化することが可能である。リグノセルロース含有材料に含まれるセルロースは、他方では、一般的に、処理媒体中で可溶化されないか、またはほんの少ししか可溶化されない。よって、セルロース濃縮画分は、好ましくは、濾過または遠心分離により分離する。
リグニンに加えて、例えばヘミセルロース、セルロース、上述の成分の分解生成物、分解化学物質および分解した材料からのこれらの混合物の中から選択される少なくとも1つのさらなる成分を含む、リグニン含有(セルロース枯渇)画分を単離することが好ましい。
多くの場合、リグニンに加えて少なくとも1つのさらなる成分を含むリグニン含有出発材料をバイオマス出発材料として使用する場合、この単離は、工程b)での分解に対して重大ではない。
リグニンに加えて少なくとも1つのさらなる成分を含むリグニン含有画分が、リグニン含有出発材料を用意するために使用される場合、リグニン以外の化合物の少なくとも一部は、工程b)での分解以前に除去することができる。リグニン含有画分(有機成分および/または無機プロセス化学物質)から除去した成分は、さらなるワークアップおよび/または熱的利用、好ましくはリグニン含有画分を用意したセルロース生成のためのプロセスに回されるのが好ましい。
リグニン以外の化合物の少なくとも一部を除去するため、リグニン含有画分のpHを第一に適切な値に設定することができる。水性−アルカリ性プロセス(例えばKraftプロセス)からのリグニン含有画分は、酸と混和することによって、pHを調整することができる。適切な酸は、例えば、CO、鉱酸、例えば、塩酸、硫酸およびリン酸などである。CO(または水との反応でそれから生成する炭酸)は、酸として特に好ましい。本発明のプロセスの、または本発明のプロセスとカップリングさせたパルププロセスのオフガス流からのCOを使用するのが好ましい。例えば、黒液の燃焼(回収ボイラー)またはライム窯からのオフガスが適切である。オフガスは、リグニン含有画分に直接導入するか、または他の成分が分離された後で導入するか(例えば、スクラビングプロセス、例えばBenfieldスクラブなどを用いて)のいずれかが可能である。COの添加により形成される炭酸塩および/または炭酸水素塩は一般的に、簡単な方式で、カップリングさせたパルププロセス、例えば、リグニン回収前に取り出された黒液に再循環させることができる。したがって、リグニン含有画分のpHを調整するためのCOの使用は、他の酸が使用された場合と比べてコストの低下を伴い、さらに、一般的に、パルププロセスへの良好な統合を可能にする。
水性−酸性プロセスからのリグニン含有画分は、塩基と混和することによって、pHを調整することができる。適切な塩基は、例えば、アルカリ金属塩基、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなど、アルカリ金属炭酸水素塩、例えば炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムなど、およびアルカリ土類金属塩基、例えば水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウム、さらにアンモニアまたはアミンなどである。
工程a)において、リグニン含有画分からのリグニン以外の化合物の少なくとも一部の除去は、好ましくは濾過、遠心分離、抽出、沈殿、蒸留、ストリッピングまたはこれらの組合せにより実行される。当業者は、リグニン含有画分、したがってリグニン含有出発材料の組成を、工程b)の分解のために分離プロセスを介して制御することができる。リグニン以外の成分の少なくとも部分的な除去は、1つまたは複数の段階で行うことができる。従来通りの濾過プロセスは、例えば、ケーキ濾過および深層濾過(例えば、A.Rushton、A.S.Ward、R.G.Holdich:Solid−Liquid Filtration and Separation Technology、VCH Verlagsgesellschaft、Weinheim 1996年、177ページ以下、K.J.Ives、A.Rushton(編):Mathematical Models and Design Methods in Solid−Liquid Separation、NATO ASI Eシリーズ、88号、Martinus Nijhoff、Dordrecht 1985年、90ページ以下において記載されている通り)および交差流濾過法(例えば、J.Altmann、S.Ripperger、J.Membrane Sci.124巻(1997年)、119〜128ページにおいて記載されている通り)である。従来通りの遠心分離プロセスは、例えば、G.Hultsch、H.Wilkesmann、「Filtering Centrifuges」において、D.B.Purchas、Solid−Liquid Separation、Upland Press、Croydon 1977年、493〜559ページにおいて、およびH.Trawinski、Die aquivalente Klarflache von Zentrifugen、Chem.Ztg.83巻(1959年)、606〜612ページにおいて記載されている。抽出は、例えば、パルプ生成からの処理媒体と不混和性の溶媒、またはリグニンおよび場合によってさらに所望される成分が十分な量で溶解性がある溶解度ギャップを有する少なくとも1つの溶媒を使用して行うことができる。リグニン含有画分から分解せずに気化することができる成分の除去を、当業者に公知の慣用的蒸留プロセスにより行うことができる。蒸留によるワークアップに対して適切な装置は、蒸留塔、例えばバブルキャップ、篩プレート、篩トレイ、規則充填、ランダム充填エレメント、弁、側部取出し口などを備えることができるトレイカラムなど、エバポレーター、例えば薄膜エバポレーター、落下フィルムエバポレーター、強制循環エバポレーター、Sambayエバポレーターなど、およびこれらの組合せを含む。
特定の実施形態では、分解からの液体処理媒体の少なくとも一部を依然として含む、リグノセルロース材料の蒸解からのリグニン含有流を使用することによって、工程a)におけるリグニン含有出発材料が用意される。次いでこのリグニン含有流を、好ましくはリグニン含有画分の沈殿の対象とし、続いて液体成分を部分的または完全に除去することによって、工程b)の分解のためのリグニン含有出発材料が用意される。
リグニン含有出発材料は、好ましくはセルロース(パルプ)を生成するためのプロセスにおいて用意され、このプロセスに、本発明による合成気体および少なくとも1つの有機液体または液化可能な、価値のある材料の生成が統合される。
よって、特定の実施形態では、液体化合物の少なくとも一部の除去が、パルプを生成するためのプロセスの範囲内で行われる。したがって、例えば、親パルププロセスの個々の蒸発工程以前またはこの最中に取り出される黒液を、リグニン含有出発材料の用意のために使用することができる。
アルカリ性処理媒体を用いた方法で、リグノセルロース材料の蒸解からのリグニン含有流を使用することによって、工程a)のバイオマス出発材料が用意されることが好ましい。黒液、特に硫酸塩蒸解(Kraft蒸解)からの黒液を使用するのが特に好ましい。リグニン含有材料の用意のために、Kraft蒸解からの黒液を第一に酸性化させることによって、存在するリグニンの少なくとも一部を沈殿させることができ、続いて沈殿させたリグニンを単離することができる。上述の酸は、酸性化に対して適切である。特に、COが使用される。黒液のpHは、好ましくは、10.5以下の値に下げる。沈殿させたリグニンは、好ましくは、濾過プロセスで単離する。適切な濾過プロセスは上述されているものである。所望する場合、単離したリグニンは、少なくとも1つのさらなるワークアップ工程に供することができる。このような工程は、例えば、さらなる精製、好ましくは適切なスクラビング媒体を使用するスクラブを含む。適切なスクラビング媒体は、例えば、鉱酸、例えば、好ましくは水溶液中の硫酸などである。特定の実施形態では、Kraft蒸解からの黒液は、第一に酸性化させることによって、COを用いて、存在するリグニンの少なくとも一部を沈殿させ、続いて沈殿させたリグニンを濾過で単離し、濾液を硫酸でのスクラビングに供することによって、リグニン含有材料を調製する。
COを使用して沈殿により黒液からリグニンを単離するための1つのプロセスは、参照により本明細書に組み込まれているWO2008/079072に記載されている。別の、特に適切なプロセスは、同様に参照により組み込まれているWO2006/038863(EP1797236A1)およびWO2006/031175(EP1794363A1)に記載されているリグノブーストプロセスである。
分解(工程b)
本発明のプロセスの工程b)では、バイオマス出発材料を分解に供することによって、平均分子量がバイオマス出発材料に含まれる成分の平均分子量よりも有意に下である成分を含む分解生成物を得る。
特定の実施形態では、リグニン含有出発材料は、工程b)の分解に対して使用される。本実施形態では、工程b)で得られた分解生成物は、500g/モル以下、特に好ましくは400g/モル以下、特に300g/モル以下の分子量を有する成分を主に含む。
工程b)での分解は、原則として2つの変異形に従い行うことができ、これらは、以下に詳細に記載される。最初の変異形は、熱分解を含み、したがって熱分解生成物をもたらす。第2の変異形は、液体分解媒体の存在下での反応を含み、したがって液体分解の生成物をもたらす。
第1の変異形:熱分解
本発明のプロセスの第1の変異形において、バイオマス出発材料、特にリグニン含有出発材料は、工程b)の熱分解に供される。本発明の目的のため、熱分解はバイオマス出発材料の熱処理であり、分子酸素は、たとえあったとしてもほんの少量だけ導入される。本発明の目的のため、少量とは、バイオマス出発材料に含まれる炭素をCOへと完全酸化させるのに必要な量よりも有意に少ない量である。熱分解において導入された分子酸素の量は、好ましくは少なくとも50モル%、特に好ましくは少なくとも75モル%、特に少なくとも90モル%、すなわち、バイオマス出発材料に含まれる炭素をCOへと完全酸化させるのに必要な量よりも下の量である。熱分解は、一般的に吸熱的に生じる。本発明のプロセスのこの変異形において、分解生成物は、少なくとも部分的に気体の形態で得られる。
熱分解は、バッチ式でまたは連続式で行うことができる。連続式熱分解が好ましい。
熱分解は、少なくとも1つの熱分解ゾーンにおいて行われる。バイオマス出発材料、特にリグニン含有出発材料は、適切な輸送デバイス、例えばスクリューコンベヤーまたは圧気輸送を用いて熱分解ゾーンに導入することができる。
熱分解に対して、バイオマス出発材料、特にリグニン含有出発材料は、好ましくは主に固体形態で導入される。本発明の目的のため、主に固体形態とは、熱分解のために使用される出発材料が、標準的条件下で(20℃、1013ミリバール)、出発材料の総質量に対して、70質量%以下、特に好ましくは50質量%以下の液体含有量を有することを意味する。よって、バイオマス出発材料、特にリグニン含有出発材料は、熱分解に対して、例えば、湿ったまたは事前乾燥させた固体として使用される。
熱分解ゾーンは、様々な実施形態、例えば回転式の環状炉または流動床で構成することができる。スタティック式および循環流動床式の両方とも適切である。熱分解ゾーンが流動床式として構成される場合、流動化ガス(好ましくは水蒸気またはその後のプロセス工程のうちの1つからの気体混合物)が使用され、一般的な条件下で不活性である微粒子の追加的材料が流動化すべき材料として導入される。シリカ砂が追加的材料として特に適切である。このような流動床プロセスは、例えば、US4,409,416Aにおいて記載されている。代替の実施形態では、熱分解ゾーンは、少なくとも1つの固定床を含む。固定床は、少なくとも1つの不活性材料の固定床および/または少なくとも1つの触媒として活性のある材料の固定床を含むことができる。本発明のプロセスが、熱分解ゾーンとして少なくとも1つの固定床を使用して作動する場合、熱分解フェイズの後に続いてバーニングオフフェイズを行うことによって、比較的不揮発性の成分を固定床から除去する断続的作動が有利となり得る。
熱分解を実行するため、流動化ガスを熱分解ゾーンに供給することができる。好ましい流動化ガスは、水蒸気、二酸化炭素、窒素など、またはこれらの気体の混合物である。
第1の好ましい実施形態では、熱分解は、水素の添加と共に行われない。本実施形態では、水素化反応は、存在する場合、脱アルキル化工程d)において本質的に生じる。
第2の好ましい実施形態では、熱分解は、水素の添加と共に行われる。熱分解のこの実施形態は、水素化分解とも呼ぶことができる。水素化分解において、バイオマス出発材料、特にリグニンは、水素の作用で低分子量のフラグメントへと切断される。水素添加を用いた熱分解は、好ましくは、懸濁液中で行われる。また好ましくは、触媒を使用して、および/または過圧下で行われる。このようなプロセスは、例えば、US4,420,644において、およびH.L.Churnら、Adv.Solar Energy、4巻(1988年)、91ページ以下に記載されている。
さらなる好ましい実施形態では、蒸発により濃縮したKraftプロセスからの黒液が熱分解に対して使用される。このようなプロセスは、例えば、US3,375,283において記載されている。黒液はこの場合、主に固体形態で存在する。このプロセスの変異形においても、熱分解気体流が生成物として得られる。同様に得られる固体残渣は、例えば、パルプ化プロセスに再循環させることができる。
特定の実施形態では、標準的条件下(20℃、1013ミリバール)で、黒液材料の総質量に対して、70質量%以下、特に好ましくは50質量%以下の液体含有量を有する黒液材料が熱分解に対して使用される。
工程b)での熱分解は、所望する場合、少なくとも1つの熱分解触媒の存在下で行うことができる。適切な熱分解触媒は、例えば、シリカ、アルミナ、アルミノシリカート、シート構造を有するアルミノシリカートおよびゼオライト、例えば、モルデナイト、フォージャサイト型、ゼオライトX、ゼオライトYおよびZSM−5など、酸化ジルコニウムまたは二酸化チタンである。
熱分解での温度は、好ましくは200〜1500℃、特に好ましくは250〜1000℃、特に300〜800℃の範囲である。
熱分解での気圧は、好ましくは、0.5〜250バール(絶対)、より好ましくは1.0〜40バール(絶対)の範囲である。
熱分解温度での滞留時間は、数秒〜数日とすることができる。特定の実施形態では、熱分解温度での滞留時間は、0.5秒〜5分間、特に2秒〜3分間である。滞留時間は、特に流動床反応器の場合、熱分解条件下での反応器の総体積と、流動化ガスの体積流量との比により得られる。
リグニンの触媒によるまたは無触媒の熱分解に対して適切なプロセスはまた、例えば、参照により本明細書に組み込まれている、WO96/09350(Midwest Research Institute、1996年)またはUS4,409,416(Hydrocarbon Research Institute、1983年)に記載されている。
熱分解ゾーンでは、バイオマス出発材料、特にリグニンは、熱分解の条件下では少なくとも部分的に気体(「熱分解気体」)である熱分解生成物に変換される。さらに、熱分解は、熱分解の条件下で液体および/または固体として部分的に存在する熱分解生成物を生じる可能性がある。
工程b)で得られる分解生成物(=熱分解生成物)の組成は、使用するバイオマスに応じて異なり得る。
いずれにせよ、工程b)の熱分解で得られる分解生成物は、本発明の意味では、オキシ芳香族を含む。分解生成物は、オキシ芳香族に加えて、さらなる異なる芳香族、さらに、水蒸気、不活性ガス(例えば窒素)、非芳香族炭化水素、H、CO、CO、硫黄含有化合物、例えばHSなど、およびこれらの混合物の中から選択されるさらなる成分も含むことができる。非芳香族炭化水素は、好ましくは分解生成物、例えばメタンなどである。
工程b)の熱分解で得られる分解生成物の分画およびさらなる処理は、工程c)においてより詳細に記載されることになる。
第2の変異形:液相における分解
本発明のプロセスの第2の変異形では、バイオマス出発材料、特にリグニン含有出発材料は、工程b)の液体分解媒体の存在下で分解に供される。この変異形では、分解生成物は、少なくとも部分的に液相で得られる。
液相での分解は多くのプロセスにより行うことができるが、これらのプロセスは、第1に、および最も分解媒体に関して異なる。バイオマス出発材料、特にリグニン含有出発材料は、好ましくは、工程b)において、水性−アルカリ性、水性−酸性または有機分解媒体の存在下で、分解に供される。
工程b)での液体分解媒体の存在下での分解に対しては、パルププロセスからの少なくとも1つのセルロース枯渇画分を使用するのが好ましい。特定の実施形態では、これは、パルププロセスからの、セルロース枯渇画分であり、この画分は、パルプ生成のためのリグノセルロース材料の蒸解からの、液体処理媒体の少なくとも一部を依然として含む。
工程b)での分解に対して使用される処理媒体は、標準的条件(20℃および1013ミリバール)下で液体である少なくとも1つの化合物を含む。この処理媒体は、好ましくは水、酸、塩基、有機溶媒およびこれらの混合物の中から選択される。標準的条件下で液体である酸および塩基または酸もしくは塩基を含む液体混合物の場合、当業者は、以下に述べられるものから選択することができる。有機溶媒は好ましくは、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノールまたはフェノールなど、ジオールおよびポリオール、例えばエタンジオールおよびプロパンジオールなど、アミノアルコール、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンなど、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼンまたはキシレンなど、ハロゲン化溶媒、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンまたはクロロベンゼンなど、脂肪族溶媒、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、リグロイン、石油エーテル、シクロヘキサンまたはデカリンなど、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルまたはジエチレングリコールモノメチルエーテルなど、ケトン、例えばアセトンまたはメチルエチルケトンなど、エステル、例えば酢酸エチル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリルなど、およびこれらの混合物の中から選択される。
液体化合物は、好ましくは、水、水混和性有機溶媒およびこれらの混合物の中から選択される。液体化合物は、特に好ましくは、水、アルコールおよびこれらの混合物の中から選択される。したがって、液体化合物として、水、メタノール、エタノール、水とメタノールおよび/もしくはエタノールとの混合物、またはメタノールとエタノールとの混合物を使用することが可能である。
工程b)で使用される液体分解媒体は、少なくとも1つの塩基を含むことができる。適切な塩基は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムまたは水酸化マグネシウムなど、アルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸水素塩、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウムまたは炭酸水素マグネシウムなど、アルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムなど、アルカリ土類金属酸化物、例えば酸化カルシウムまたは酸化マグネシウムなど、ならびにこれらの混合物である。
工程b)で使用される液体分解媒体は、少なくとも1つの酸を含むことができる。ブレンステッド酸またはルイス酸は原則として適切である。適切なブレンステッド酸は無機酸ならびにこれらの酸性塩および無水物である。これらのブレンステッド酸として、例えば、鉱酸、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸またはアミドスルホン酸など、さらにアンモニウム塩、例えばフッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウムまたは硫酸アンモニウムなどが挙げられる。硫酸水素塩、例えば硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素カルシウムまたは硫酸水素マグネシウムなどもまた適切である。亜硫酸水素塩、例えば亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素カルシウムまたは亜硫酸水素マグネシウムもまた適切である。リン酸水素塩およびリン酸二水素塩、例えばリン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素カリウムまたはリン酸二水素カリウムなどもまた適切である。SO、SOおよびCOもまた適切である。
さらなる適切なブレンステッド酸は、有機酸およびその無水物、例えばギ酸、酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸またはp−トルエンスルホン酸などである。
適切なルイス酸は、すべて金属またはセミ金属ハロゲン化物であり、この金属またはセミ金属は、電子ペアギャップを有する。例として、BF、BCl、BBr、AlF、AlCl、AlBr、エチルアルミニウムジクロリド、塩化ジエチルアルミニウム、TiF、TiCl、TiBr、VCl、FeF、FeCl、FeBr、ZnF、ZnCl、ZnBr、Cu(I)F、Cu(I)Cl、Cu(I)Br、Cu(II)F、Cu(II)Cl、Cu(II)Br、Sb(III)F、Sb(V)F、Sb(III)Cl、Sb(V)Cl、Nb(V)Cl、Sn(II)F、Sn(II)Cl、Sn(II)Br、Sn(IV)F、Sn(IV)ClおよびSn(IV)Brがある。
工程b)で使用される液体分解媒体は、上述された化合物以外の少なくとも1つの塩を含むことができる。これらの塩は、好ましくは、上述の酸および塩基の塩、さらにその酸化または還元生成物の中から選択される。適切な塩は、例えば、アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属硫酸塩、例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウムまたは硫酸マグネシウムなどである。アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属亜硫酸塩、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウムまたは亜硫酸マグネシウムなどもまた適切である。アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属硫化物、例えば硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化カルシウムまたは硫化マグネシウムなどもまた適切である。アルカリ金属硫化水素、例えば硫化水素ナトリウムまたは硫化水素カリウムなどもまた適切である。
工程b)で使用される液体分解媒体は、上述の化合物以外のさらなる化合物を含むことができる。これらは特に、リグノセルロース含有出発材料からパルプを生成するための様々な蒸解プロセスからの当業者に公知の、従来通りのプロセスの化学物質である。本明細書中で使用されているこのようなプロセスおよびプロセスの化学物質は当業者に公知である。
第1の特に好ましい実施形態では、アルカリ性分解媒体が工程b)で使用される。特に、先行するパルププロセスからのアルカリ性蒸解媒体の少なくとも一部を含む、パルププロセスからの少なくとも1つのセルロース枯渇画分が、工程b)での分解のために使用される。
よって、工程b)での分解は、好ましくは、Kraftプロセス(硫酸塩プロセス)からのセルロース枯渇画分を使用して行う。よって、工程b)で使用される分解媒体は、水性媒体中にNaOHおよびNaSを含む。特定の実施形態では、工程a)で使用される処理媒体は、水性媒体中にNaOH、NaS、NaCOおよびNaSOを含む。
工程b)での分解は、特に好ましくは、Kraftプロセスによるパルプの生成において得られた黒液を使用して行う。ここで、パルプ繊維が分離された後に直接得られる黒液(「薄い黒液」)または蒸発により得られる濃縮グレードのいずれかを使用することが可能である。ClarkおよびGreenが、Tappi、51巻(1号)、1968年、44ページ以下において記載しているようなアルカリ性水相での分解は特に有利である。
工程b)での分解はまた、ソーダプロセス(炭酸ナトリウムプロセス)からのセルロース枯渇画分を使用して行うこともできる。よって、工程b)で使用される処理媒体は、硫黄含有化合物を本質的に含まない水性媒体中に主成分としてNaOHを含む。
工程b)での分解はまた、アルカリ−酸素蒸解からのセルロース枯渇画分を使用して行うこともできる。
工程b)での分解はまた、アルカリ−ペルオキシド蒸解からのセルロース枯渇画分を使用して行うこともできる。
工程b)での分解はまた、アントラキノンの存在下、蒸解からのセルロース枯渇画分を使用して行うこともできる。
工程b)での分解はまた、有機溶媒を用いたリグノセルロース材料の蒸解(Organosolvプロセスとも呼ばれる)からのセルロース枯渇画分を使用して行うこともできる。適切な有機溶媒は上述されたものである。特に、C〜C−アルカノール、C〜C−アルカノールの混合物および少なくとも1つのC〜C−アルカノールと水との混合物の中から選択される有機溶媒が使用される。C〜C−アルカノールは、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールおよびn−ブタノールの中から選択される。メタノール、エタノールおよびこれらの混合物が好ましい。少なくとも1つのC〜C−アルカノールと水との混合物は、混合物の総質量に対して、好ましくは10〜99質量%、特に好ましくは20〜95質量%の少なくとも1つのC〜C−アルカノールを含む。次いで、工程b)で使用される分解媒体は、親パルププロセスからの添加物を追加的に含むことができる。このような添加物として、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムなど;亜硫酸水素アンモニウム、さらにアルカリ金属およびアルカリ土類金属亜硫酸水素塩、例えば亜硫酸水素ナトリウムおよび亜硫酸水素マグネシウムなどが挙げられる。これらの添加物としてまた、鉱酸、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸またはアミドスルホン酸など、およびそのアンモニウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩が挙げられる。例えばシュウ酸、ギ酸または酢酸などの有機酸もまた酸として適切である。過酸、例えば過硫酸または過酢酸などもまた適切である。
以下の市販のOrganosolvプロセスのうちの1つからの液体処理媒体の少なくとも一部を含む、セルロース枯渇画分もまた本発明の方法における工程b)で使用するのに適切である:
Alcellプロセス:処理媒体として、エタノール/水混合物;
ASAMプロセス:アルカリスルフィット−アントラキノン−メタノール処理媒体;
Organocellプロセス:第1段階で有機媒体を使用し、第2段階でアルカリ媒体を使用する2段階プロセス、例えば第1段階でメタノールおよび/またはエタノールを用いて分解(digestion、蒸解)し、第2段階でメタノールおよび/またはエタノール、NaOH、ならびに場合によってアントラキノンを用いて分解する;
Acetosolvプロセス:処理媒体として酢酸/塩酸混合物。
工程b)での液体分解媒体の存在下での分解は1つまたは複数の段階で行うことができる。最も単純なケースでは、工程b)の分解は1段階で行う。
工程b)での分解は、好ましくは周辺温度より上の温度で行う。温度は、好ましくは約40〜300℃、特に好ましくは50〜250℃の範囲である。特定の実施形態では、温度は、所望の最終温度に到達するまで、第一に段階的に増加するか、または処理経過中に連続的に増加する。
工程b)での分解は減圧下、大気圧または大気圧より上の気圧で行うことができる。工程a)での気圧は一般的に、0.01バール〜300バール、好ましくは0.1バール〜100バールの範囲である。
工程b)での分解の期間は一般的に、0.5分間〜7日間、好ましくは5分間〜96時間である。
パルププロセスからのセルロース枯渇画分が工程b)での分解に対して使用される場合、分解は、有利には、セルロース枯渇画分、特に黒液に対する輸送コストを低く保つために、パルプ生成の場所と近接して行われる。輸送は好ましくは、パイプラインを介して実行される。
いずれにせよ、工程b)での液体分解媒体の存在下での分解において得られる分解生成物は、本発明の意味では、オキシ芳香族を含む。
工程b)での液体分解媒体の存在下で得られる分解生成物の分画およびさらなる処理は、工程c)においてより詳細に記載される。
工程d)での脱アルキル化に対する、または工程e)でのアミノ化に対するさらなる分画および/または処理を行うことなく、工程b)で得られる分解生成物を使用することは原則として可能である。工程b)で得られる分解生成物が液体として得られる場合、この分解生成物は、好ましくは工程d)へのまたは工程e)への導入以前に蒸発に供する。蒸発の好ましい実施形態は、図1に描写されており、以下に記載される。
本発明のプロセスの別の実施形態では、工程b)で得られる分解生成物は、脱アルキル化(工程d)またはアミノ化(工程e)での使用前に、分画および/または処理(工程c)に供される。
分解生成物の分画/処理(工程c)
工程b)で得られる分解された材料は、好ましくは、工程c)において、少なくとも1つの芳香族成分富化画分C1)と少なくとも1つの芳香族成分低減画分C2)とに分離される。
分画は、好ましくは、蒸留、抽出、吸収、膜プロセスまたはこれらの組合せにより行われる。分画は、特に好ましくは、蒸留、抽出またはこれらの組合せにより行われる。
工程b)での分解が液相において行われる場合、工程c)での分画は、好ましくは、蒸留および/または抽出を用いて行われる。
本発明のプロセスの第1の特定の実施形態では、工程a)で用意されるバイオマス出発材料は、工程b)の液相における分解に供され、少なくとも1つの芳香族成分富化画分C1)と、少なくとも1つの芳香族成分低減画分C2)とを得るための工程c)での分画は、好ましくは抽出および/または蒸留を含む。
工程c)での分画の前に、工程b)での液相における分解からの放出物のpHは、好ましくは所望の値に設定される。特定の実施形態では、アルカリ性の分解媒体の存在下での分解により得られた分解生成物は、工程c)で使用される。特に、パルププロセスからの少なくとも1つのセルロース枯渇画分、特にKraftプロセスからの黒液が分解に使用される。よって、分解生成物の分画前に酸を添加することにより、pHを好ましくは9以下、特に好ましくは8以下の値に設定する。適切な酸は、例えば、鉱酸、例えば塩酸、硫酸およびリン酸など、さらに酸形成化合物、例えばCOおよびHSなどである。本発明のプロセスまたは本発明のプロセスとカップリングさせたパルププロセスのオフガス流からのCOを使用するのが好ましい。例えば、黒液燃焼(回収ボイラー)またはライム窯からのオフガスが適切である。ここで、オフガスは、直接または他の成分の除去後(例えばスクラビングプロセス、例えばBenfieldスクラブなどを用いて)のいずれかに分解生成物に導入することができる。COの添加により形成される炭酸塩および/または炭酸水素塩は、一般的に、例えば分解プロセスにカップリングさせたパルププロセスへ、例えばリグニン回収のために前もって取り出しておいた黒液へ単純な方式で再循環させることができる。したがって、pHを調整するためのCOの使用は、他の酸を使用するよりもコストの低下を伴い、さらに一般的には、パルププロセスへの良好な統合を可能にする。工程b)での分解において得られるヒドロキシ芳香族は、約9より上のpH値で塩(フェノキシド)としてほぼ完全に存在する。pHを<9の値、好ましくは<8に事前に下げることによって、蒸留および/または抽出による効果的な単離の助けとなる。
液相での分解から工程b)で得られる生成物の分画蒸留は、当業者に公知の従来通りのプロセスで行うことができる。水蒸気蒸留が好ましく、この水蒸気蒸留において芳香族濃縮留出物が得られる。このモードの操作は、工程b)での分解において得られる芳香族フラグメントの水蒸気揮発性を利用することによって、これらを分解生成物から分離する。少なくとも1つの段階における蒸気の凝縮熱が、別の段階での蒸発のために利用される多段階プロセスが好ましい。得られる蒸留生成物は、分解生成物を使用した場合と比較して芳香族が濃縮され、場合によって水相を除去した後では、工程d)の場合による脱アルキル化または工程e)のアミノ化のための出発材料として適切である。
液相における分解からの、工程b)で得られる生成物の分画もまた好ましくは抽出で行う。ここで、工程b)での分解において得られる芳香族の少なくとも一部を分離し、残りの残渣(芳香族、無機のプロセス化学物質などが少ない有機成分)は、好ましくは本発明のプロセスまたは本発明のプロセスとカップリングさせたパルプ生成のための統合プロセスにおいて、さらなるワークアップおよび/または熱的利用に回すことができる。
抽出は、分解で得られる芳香族が十分な量で溶解性があり、さもなければ分解生成物との溶解度ギャップを形成する溶媒(抽出剤)を使用して行うことができる。次いで抽出剤を工程b)で得られる分解生成物と密接に接触させ、続いて相分離を行う。抽出は、1つまたは複数の段階を有することができる。
適切な抽出剤は、有機化合物、例えば、芳香族または非芳香族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミド、アミンおよびこれらの混合物などである。これらの有機化合物として、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、リグロイン、石油エーテル、シクロヘキサン、デカリン、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、メチルエチルケトンおよびこれらの混合物が挙げられる。
抽出は、バッチ式でまたは連続式で行うことができ、K.Sattler、Thermische Trennverfahren、Wiley−VCH、第3の実質的改訂版および拡張版、2001年7月での記載を参照されたい。複数のバッチ分離操作を、カスケード方式で逐次的に行うことができ、残渣は、新鮮な抽出剤の部分および/または向流に搬送された抽出剤と接触させるたびに、抽出剤相から分離される。抽出をバッチ式で実行するため、分解生成物および抽出剤は、適切な容器内で、機械的扇動、例えば撹拌を用いて接触させ、混合物を静置させておくことによって、相分離の発生を可能にし、有利には容器底部のより重い相を取り除くことによって、相の1つを除去する。連続的に抽出を実行するため、抽出剤および分解生成物は、適切な装置内で、バッチ変異形と類似の方式で連続的に搬送する。
抽出は、例えば、少なくとも1つの撹拌機−沈降機の組合せまたは少なくとも1つの抽出カラム内で行う。適切な撹拌機として、動的混合機および静的混合機の両方が挙げられる。
好ましい実施形態では、工程c)において少なくとも1つの芳香族成分富化画分C1)と、少なくとも1つの芳香族成分低減画分C2)とを得るための分画は、
c1)工程b)で得られる分解生成物を抽出することによって、芳香族成分富化抽出物と、芳香族成分低減枯渇残渣とを得る副工程副工程、
c2)場合によって、抽出物を、抽出剤が濃縮され芳香族が枯渇した画分と、芳香族が濃縮され抽出剤が枯渇した画分とに分離する副工程
c3)ステップc1)で得られる芳香族成分富化抽出物またはステップc2)で得られる芳香族成分富化画分を、ステップd)および/またはe)に導入する副工程
を含む。
抽出前、工程b)で得られる分解生成物のpHは、少なくとも1つの酸または少なくとも1つの塩基の添加により調整することができる。さらに多段階抽出の場合、第1段階へ導入された分解生成物のpHおよびそれぞれの段階において抽出剤相から分離した残渣のpHは、少なくとも1つの酸もしくは酸形成化合物または少なくとも1つの塩基の添加により調整することができる。適切な酸は、例えば、鉱酸、例えば塩酸、硫酸およびリン酸など、または酸形成化合物、例えばCOおよびHSなどである。適切な塩基は、例えば、アルカリ金属塩基、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなど、アルカリ金属炭酸水素塩、例えば炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムなど、およびアルカリ土類金属塩基、例えば水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウムなど、さらにアンモニアまたはアミンである。
工程c2)の抽出物の、抽出剤濃縮画分および芳香族成分富化画分C1)への分離は、好ましくは蒸留により行われる。
工程c2)での抽出物の分画蒸留は、当業者に公知の慣用的プロセスにより行うことができる。適切なプロセスは、K.Sattler、Thermische Trennverfahren、Wiley−VCH、第3の実質的改訂版および拡張版、2001年7月に記載されている。分画蒸留のための適切な装置は、蒸留塔、例えばバブルキャップ、篩プレート、篩トレイ、規則充填、内部構造物、弁、側部取出し口などを備えることができるトレイカラムなどを含む。側部取出し口、再循環部などを備えることができる隔壁カラムは特に適切である。2つ以上の蒸留塔の組合せを蒸留用に使用することができる。エバポレーター、例えば薄膜エバポレーター、落下フィルムエバポレーター、Sambayエバポレーターなど、およびこれらの組合せもまた適切である。
工程b)での分解が熱分解を含む場合、工程c)での分画は、好ましくは吸収を用いて行われる。
本発明のプロセスの第2の実施形態では、工程a)で用意されるバイオマス出発材料を熱分解に供することによって、工程b)での分解を実行し、少なくとも1つの芳香族成分富化画分C1)と、少なくとも1つの芳香族成分低減画分C2)とを得るための工程c)での画分は、吸収を含む。
熱分解ゾーンから取り出された放出物は、熱分解気体ばかりでなく、固体および/または液体成分の量も含む可能性がある。これらは、熱分解で形成された、例えば、比較的に不揮発性な成分(例えば炭素質材料)である。少なくとも1つの固体の追加的材料が工程b)での熱分解に対して使用される場合、熱分解ゾーンからの放出物もこの追加的材料の量を含む可能性がある。これらの固体および/または液体成分は、所望する場合、適切な装置、例えばサイクロンを用いて工程c)での熱分解気体から分離することができる。分離された固体の追加的材料は、好ましくは熱分解ゾーンへ再循環させる。分離された、追加的材料以外の成分は、別の使用、例えば熱を生成するための燃焼に回され、本発明のプロセスまたは統合プロセスにおいて好ましくは再利用される。ここで得られるオフガスは、主にCO、さらに水および場合によってOを含むが、これも同様に使用に回すことができる。少なくとも1つの追加的材料と、熱分解条件下で比較的に不揮発性な成分とを含む熱分解ゾーンからの放出物を、熱分解ゾーンから物理的に分離されたバーニングオフゾーンにおいて、酸素含有気体、好ましくは空気と接触させることも可能であり、これによって、熱分解で形成された比較的に不揮発性の成分(「炭素質材料」)のバーニングオフが生じる。次いで、適切な分離デバイスを用いて、生成したオフガスから追加的材料を分離し、適切な輸送デバイスを介して熱分解ゾーンに戻す。
適切な実施形態では、熱分解からの放出物を、直接、すなわち凝縮可能な成分を除去することなく、場合によるその後の脱アルキル化ゾーンへ供給することができる。しかし、工程b)での熱分解条件下では比較的に不揮発性であり、熱分解ゾーンからの放出物の中で、気体の形態ではなく、むしろ固体または液体形態で存在する熱分解ゾーンからの放出物の成分は、本実施形態の脱アルキル化ゾーンへの導入以前に分離することができる。他方では、ある特定の実施形態において、凝縮可能な熱分解生成物(すなわち、正常の条件下で液体または固体として存在する生成物)は、熱分解からの放出物から分離される(固体/液体の除去後)。これは、当業者に公知の適切な分離プロセス、例えば凝縮、吸収、吸着、膜分離プロセスなどを用いて実行することができる。
特に好ましい変異形は吸収である。ここでは、熱分解ゾーンからの放出物を、適切な溶媒を含む流れAb1)と接触させる。接触は、好ましくは、高沸点の成分の凝縮も行うことができる冷却工程の後で行う。接触は、適切な装置(例えばカラム)内で行う。吸収媒体と芳香族熱分解生成物とを含む液体流Ab2)および熱分解からの放出物と比較して、芳香族熱分解生成物が濃縮された気体流Ab3)は、接触装置から流れ出る。流れAb2)は、好ましくは蒸留により、Ab2)と比較して芳香族熱分解生成物が濃縮された画分Ab4)と、Ab2)と比較して芳香族熱分解生成物が枯渇した画分Ab5)とに分離される。Ab4)は、必要に応じて、さらなるワークアップ後、場合によるその後の脱アルキル化工程d)またはアミノ化工程e)への流れC1)として供給され、Ab5)は、さらなる冷却後、吸収へ再循環させる、すなわちAb5はAb1)の主な構成物質である。さらなる構成物質は、溶媒損失を補うために添加される、ある割合の溶媒である。
吸収媒体として適切な溶媒は、有機化合物、例えば芳香族または非芳香族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミド、アミンおよびこれらの混合物などである。これらの有機化合物として、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、リグロイン、石油エーテル、シクロヘキサン、デカリン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびこれらの混合物が挙げられる。
溶媒は、好ましくは、等しい条件下でフェノールの沸点よりも下の沸点を有する。溶媒は、特に好ましくは、等しい条件下で、フェノールの沸点よりも少なくとも10Kだけ下の沸点を有する。溶媒は、好ましくは追加的に、水に対する高い溶解度を有する。このような溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノールが挙げられる。
吸収媒体として使用される溶媒の多くは、吸収条件下で蒸気圧を有し、これにより、吸収媒体と共に吸収から脱離する気体流Ab3)の充填をもたらす。これは、フェノールの沸点よりも下の沸点を有する好ましい溶媒に特に適用される。よって、吸収から脱離する気体流Ab3)は、好ましくは、含まれる溶媒の少なくとも部分的除去の対象となる。気体流Ab3)からの溶媒の除去は、好ましくは、ウォータースクラブの形態で行われる。ここで、吸収のために使用される溶媒の良好な水溶性が特に有利となる。溶媒および場合によって芳香族が充填されたスクラビング水流は、例えば、蒸留によりワークアップを行うことができる。分離した吸収媒体(場合によって芳香族と一緒に)は、吸収工程へ再循環させる。
工程b)で得られる分解生成物は、工程c)において、上述の分画ばかりでなく、少なくとも1つのさらなる処理工程に供することもできる。追加的処理工程は、分画前、その最中、またはその後に行うことができる。
工程b)で得られる分解生成物または工程c)でそこから単離した画分C1)は、500g/モル以下、特に好ましくは400g/モル以下、特に300g/モル以下の分子量を有する成分を主に含む。
本発明のプロセスの特定の実施形態では、工程c)で単離した、芳香族成分低減画分C2)は、合成気体の生成のために少なくとも部分的に使用される。
脱アルキル化(工程d)
工程b)からの分解生成物または工程c)からの芳香族成分富化画分C1)は、脱アルキル化ゾーンに場合によって供給され、水素および/または水蒸気の存在下で反応する。脱アルキル化において、工程b)での熱分解において形成され、工程c)で画分C1)として場合によって単離された芳香族分解生成物を、水素および/または水蒸気の作用で少なくとも部分的に転換させることによって、置換基が水素で置き換わるように、および/または複数の芳香族環を含む化合物が切断されてより少ない数の環を有する化合物を形成するようにできる。したがって、上記に示されている通り、「脱アルキル化」とはまた、アルキル置換基が水素で置き換えられない反応、例えば脱水酸基化、脱アルコキシ化、芳香族切断なども指す。水素で置き換えられる置換基は、好ましくはアルキル基の中から選択される。
工程d)で使用するのに適切な脱アルキル化プロセスは、ヒドロ脱アルキル化、水蒸気脱アルキル化またはこれらの混合形態を含む。本発明の目的のための純粋なヒドロ脱アルキル化の場合、熱分解気体流に加えて、分子の水素(純粋な形態または他の成分、例えばCOなどと混合して)が脱アルキル化ゾーンへ供給されるが、水は供給されない。本発明の目的のための純粋な水蒸気脱アルキル化の場合、熱分解気体流に加えて、水(純粋な形態または他の成分と混合して)が脱アルキル化ゾーンに供給されるが、分子の水素は供給されない。工程d)での脱アルキル化プロセスはまた、ヒドロ脱アルキル化と水蒸気脱アルキル化との混合形態としても構成することもできる。この場合、熱分解気体流に加えて、水と分子の水素との両方が脱アルキル化ゾーンに供給される。適切なおよび好ましいプロセスパラメーターは、一部は、ヒドロ脱アルキル化および水蒸気脱アルキル化に対して以下に示されている。この情報により、当業者は、ヒドロ脱アルキル化と水蒸気脱アルキル化との混合形態に対して適切なおよび好ましいプロセスパラメーターを決定することが可能になる。よって、脱アルキル化のために使用されるHおよびHOで構成される反応気体は、好ましくは、約0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲のH対HOの混合比を有する。特に適切なH対HOの混合比は、約40:60〜60:40の範囲である。
反応に必要な水素は、水蒸気脱アルキル化の場合、水と、水蒸気脱アルキル化への供給原料混合物中に含まれるか、または水蒸気脱アルキル化の経過中に形成される(主に有機の)成分とのインサイツの反応により形成される。式CH+HO→CO+3Hによるメタンおよび水からの水素の形成は、ここで例証により述べることができる。
脱アルキル化ゾーン内の温度は、好ましくは400〜900℃、特に好ましくは500〜800℃の範囲である。
脱アルキル化ゾーン内の絶対圧は、好ましくは1〜100バール、特に好ましくは1〜20バールの範囲である。
第1の好ましい実施形態では、工程b)からの分解生成物または芳香族成分富化画分C1)は、ヒドロ脱アルキル化に供される。この目的のために、工程d)での反応は、水素の存在下で行われる。
ヒドロ脱アルキル化に対する脱アルキル化ゾーン内の温度は、好ましくは500〜900℃、特に好ましくは600〜800℃の範囲である。
ヒドロ脱アルキル化に対する脱アルキル化ゾーン内の絶対圧は、好ましくは1〜100バール、特に好ましくは1〜20バール、特に1〜10バールの範囲である。
ヒドロ脱アルキル化における、使用されるHとH(化学量論)との比は、好ましくは0.02〜50、特に好ましくは0.2〜10の範囲である。ここで、H(化学量論)とは、環置換基1つ当たり1モルのHが反応するという想定で、脱アルキル化ゾーンへ供給された芳香族をベンゼンに完全に変換させるのに理論的に必要なHの量である。
ヒドロ脱アルキル化に対する脱アルキル化ゾーン内での滞留時間は、好ましくは0.1〜500秒、特に好ましくは0.5〜200秒の範囲である。
第2の好ましい実施形態では、工程b)からの分解生成物または工程c)からの芳香族成分富化画分C1)を、水蒸気脱アルキル化に供する。この目的のために、工程d)での反応は、水蒸気の存在下で行われる。
水蒸気脱アルキル化に対する脱アルキル化ゾーン内の温度は、好ましくは、400〜800℃、特に好ましくは475〜600℃、特に525〜600℃の範囲である。
水蒸気脱アルキル化に対する脱アルキル化ゾーン内の絶対圧は、好ましくは1〜100バール、特に好ましくは1〜20バール、特に1〜10バールの範囲である。
水蒸気脱アルキル化において、使用されるHOとCとの比は、好ましくは0.1〜20モル/モル、特に好ましくは0.5〜2モル/モルの範囲である。ここで、Cは、熱分解の炭素ベースの平衡度または当業者に公知の方法を用いて水蒸気脱アルキル化から放出された生成物の量を求めることによって求められる炭素のモル量である。
水蒸気脱アルキル化における脱アルキル化ゾーン内のHとCHとのモル比は、好ましくは<50:1、特に好ましくは<25:1の範囲である。
脱アルキル化触媒の不在下での水蒸気脱アルキル化の場合、脱アルキル化ゾーンにおける、OR(式中、R=H、アルキル)とC合計とのモル比は、好ましくは、>0.05:1、特に好ましくは0.1:1〜0.2:1の範囲である。
脱アルキル化触媒の不在下での水蒸気脱アルキル化の場合、脱アルキル化ゾーンにおける、OR(式中、R=H、アルキル)とC削除可能との比は、好ましくは>0.5:1、特に好ましくは1:1〜10:1、特に1:1〜2:1の範囲である。
水蒸気脱アルキル化に対するWHSVは、好ましくは0.05〜10kg/L時間、特に好ましくは0.1〜2kg/L時間の範囲である。
水蒸気脱アルキル化は、触媒の存在下または不在下で行うことができる。特定の実施形態では、水蒸気脱アルキル化は触媒の不在下で行われる。水蒸気脱アルキル化に対する触媒によるプロセスは、WO2008/148807A1に記載されている。この文献および適切な触媒について本明細書に引用された参考文献は、本明細書によって参照により完全に組み込まれる。水蒸気脱アルキル化における触媒のタイプおよびプロセス工程についてのさらなる情報は、これが制限を構成することなく、WO2007/051852A1、WO2007/051851A1、WO2007/051855A2、WO2007/051856A1、WO2008/135581A1およびWO2008/135582A1(EP2008055585)に見出すことができる。US3,775,504は、生成された水素の少なくとも一部が直ちに再び反応するのはこの系内に特有のことであるため、水蒸気脱アルキル化は、水蒸気脱アルキル化およびヒドロ脱アルキル化の組合せを実際に含むと述べている。
脱アルキル化工程d)によって、以下の成分を、工程b)からの分解生成物または工程c)からの芳香族成分富化画分C1)より少ない割合で一般的に有する少なくとも1つのオキシ芳香族組成物が得られる:モノアルキル化した、ジアルキル化したおよびポリアルキル化したフェノール;アルコキシフェノール、例えばメトキシフェノールなど;ポリアルキル化したベンゼン;2つ以上の芳香族環を含む化合物。これらの成分は、本明細書中以下では「脱アルキル化されていないまたは少しだけ脱アルキル化された芳香族」と呼ぶ。
−脱アルキル化ゾーンからの放出物の分画
脱アルキル化ゾーンからの放出物は、工程e)でのアミノ化に直接供給することができる。
代替の実施形態では、放出物は、脱アルキル化ゾーンから取り出され、工程e)でのアミノ化への導入前に分画に供される。ここで、脱アルキル化オキシ芳香族が濃縮された少なくとも1つの流れD1)および揮発性成分が濃縮された少なくとも1つの流れD2)が得られる。アルキル化されていないまたは低い程度のアルキル化を有する単環式オキシ芳香族の高い含有量を有するオキシ芳香族組成物が好ましくは生成物D1)として得られる。
脱アルキル化ゾーンからの放出物を、好ましくは分画に供することによって、以下の3つの流れ:
D1)アルキル化されていない、または低い程度のアルキル化を有する単環式オキシ芳香族が濃縮された流れ、
D2)脱アルキル化されていない、または少ししか脱アルキル化されていない芳香族が濃縮された流れ、
D3)D1)およびD2)より揮発性の副生成物が濃縮された流れ
が得られる。
脱アルキル化ゾーンからの放出物を、場合によって分画に供することによって、さらなる流れ、例えば水含有流などを得ることができる。
流れD1)は、アミノ化工程e)での使用が有利である。
流れD1)は、好ましくはD1)の総量に基づき、少なくとも70質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%、特に少なくとも90質量%の単環式芳香族を含む。
流れD1)は、好ましくは、D1)の総量に基づき、30質量%以下、特に好ましくは、20質量%以下、特に10質量%以下の、脱アルキル化されていないまたは少ししか脱アルキル化されていない芳香族を含む。
流れD2)は、好ましくは、D2)の総量に基づき、少なくとも70質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%、特に少なくとも90質量%の、脱アルキル化されていないまたは少ししか脱アルキル化されていない芳香族を含む。
流れD3)は、例えば、非芳香族炭化水素、特にメタン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素およびこれらの混合物の中から選択される成分を含む。工程a)で用意されるリグニン含有出発材料に応じて、流れD3)は、さらなる成分を含むことができる。Kraftプロセスからのリグニン含有出発材料が使用される場合、これらは、硫黄含有副生成物、特にHSを含む。
脱アルキル化ゾーンから気体の放出物を取り出し、続いてこれを分画に供することが好ましい。
分画プロセスとして、一般的に公知の熱分離プロセスを使用することが可能である。
工程d)での脱アルキル化ゾーンからの放出物の分画は、好ましくは、吸収を含む。吸収において、脱アルキル化ゾーンからの気体の放出物は、溶媒(吸収媒体)と接触させると、気体流中に含まれる成分の一部が吸収され、したがって分離する。
吸収は、適切な装置、例えば向流カラム、バブルカラムなどの中で行われる。吸収は、好ましくは向流カラム内で行われる。
吸収は、1つまたは複数の段階を有することができる。
吸収は、好ましくは溶媒を使用して行われ(非充填:吸収剤、充填:被吸収物質)、この溶媒中では、脱アルキル化で得られる芳香族は、十分な量で溶解性があり、他の揮発性副生成物は本質的に不溶性である。ここで、脱アルキル化されていないまたは少ししか脱アルキル化されていない芳香族も、アルキル化されていないまたは低い程度のアルキル化を有する単環式芳香族(=標的生成物)と一緒に吸収される。
したがって、吸収により、第一に、芳香族を含む被吸収物質が得られる。この被吸収物質中に含まれる芳香族成分は、これらの組成に関して、流れD1)およびD2)中の芳香族と、吸収媒体中に場合によって含まれる芳香族とを足した合計に対応する。残りの気体流の中に含まれる成分は、これらの組成に関して、流れD3)に対応する。所望する場合、気体流は、芳香族を除去する追加的精製工程に供することができる。次いでこれらは、共同のワークアップのため、分離された溶媒中に含まれる芳香族と再び合わせることができる。しかし分離された気体流からの芳香族のこのような単離は、一般的には必要ではない。
好ましい実施形態では、工程d)での脱アルキル化ゾーンからの放出物の分画は、
d1)脱アルキル化ゾーンからの放出物を、吸収媒体と接触させることによって、脱アルキル化の芳香族の主生成物が濃縮された被吸収物質と、脱アルキル化の芳香族の主生成物が枯渇した気体流D3)とを得る副工程、
d2)被吸収物質を、アルキル化されていないまたは低い程度のアルキル化を有する単環式オキシ芳香族が濃縮された流れD1)と、脱アルキル化されていないまたは少ししか脱アルキル化されていない芳香族が濃縮された流れD2)と、場合によって吸収媒体を含む流れとに分離する副工程、
d3)存在する場合、吸収媒体を含む流れを工程d1)に再循環させる副工程、
d4)場合によって、流れD2)の少なくとも一部を、工程d)の脱アルキル化ゾーンに再循環させる副工程
を含む。
吸収媒体は、好ましくは、流れD1の一番高い沸騰成分の沸点よりも上の沸点を有する。
第1の適切な実施形態では、流れD1)およびD2)の成分とは異なる吸収媒体が使用される。本実施形態に対して適切な吸収媒体は、非芳香族炭化水素、非芳香族アルコール、非芳香族のアルデヒド、ケトン、アミド、アミンおよびこれらの混合物である。本実施形態のための吸収媒体は、好ましくは、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、リグロイン、石油エーテル、シクロヘキサン、デカリン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびこれらの混合物の中から選択される。
さらなる適切な吸収媒体は、流れD1)およびD2)の成分とは異なる芳香族炭化水素である。これらの芳香族炭化水素は、好ましくは、場合によって置換されているアセトフェノン、場合によって置換されているベンゾフェノン、場合によって置換されているビフェニル、場合によって置換されているテルフェニル、場合によって置換されているジフェニルエーテルおよびこれらの混合物の中から選択される。流れD1)またはD2)の中に同様に副生成物として含まれる成分が吸収媒体として使用される場合、この成分は、当業者に公知の装置の手段を用いて、この成分が得られた分量だけ本プロセスから確実に連続的に除去することができる。
流れD1)およびD2)の成分とは異なる吸収媒体が使用される場合、工程d)での脱アルキル化ゾーンからの放出物の分画は、好ましくは、
d1)脱アルキル化ゾーンからの放出物を、吸収媒体と接触させることによって、脱アルキル化の芳香族の主生成物が濃縮された被吸収物質と、D1およびD2より揮発性である副生成物が濃縮された、脱アルキル化の芳香族の主生成物が枯渇した気体流D3)(または気体流D3))とを得る副工程、
d2)被吸収物質を、アルキル化されていないまたは低い程度のアルキル化を有する単環式オキシ芳香族が濃縮された流れD1)と、脱アルキル化されていないまたは少ししか脱アルキル化されていない芳香族が濃縮された流れD2)と、吸収媒体を含む流れとに分離する副工程、
d3)吸収媒体を含む流れを工程d1)に再循環させる副工程、
d4)場合によって、流れD2)の少なくとも一部を、工程d)の脱アルキル化ゾーンに再循環させる副工程
を含む。
特定の変異形では、本発明のプロセスで得ることができる芳香族組成物は、吸収媒体として使用する。これは特に、脱アルキル化において反応していない、または不完全に反応した芳香族の混合物である。好ましい変異形では、その組成が、流れD2またはD1とD2との混合物に部分的または完全に対応する、芳香族組成物が吸収媒体として使用される。流れD2またはD1とD2との混合物は、吸収媒体としての使用前に、場合によって、少なくとも1つのワークアップ工程に供することができる。
その組成が大部分または完全に流れD2またはD1とD2との混合物に対応する吸収媒体が使用される場合、工程d)での脱アルキル化ゾーンからの放出物の分画は、好ましくは以下の副工程を含む:
d1)脱アルキル化ゾーンからの放出物を、吸収媒体と接触させることによって、脱アルキル化の芳香族の主生成物が濃縮された被吸収物質と、脱アルキル化の芳香族の主生成物が枯渇した気体流D3)とを得る工程、
d2)被吸収物質を、アルキル化されていないまたは低い程度のアルキル化を有する単環式オキシ芳香族が濃縮された流れD1)と、脱アルキル化されていないまたは少ししか脱アルキル化されていない芳香族が濃縮された流れD2)とに分離する工程、
d4)場合によって、流れD2)の少なくとも一部を、工程d)の脱アルキル化ゾーンに再循環させる工程。
この変異形では、溶媒は、脱アルキル化からの流れまたは脱アルキル化の下流での高沸点溶剤の予備的除去からの気体流の部分的凝縮により得ることができる。ここで、特に水を上述の部分的凝縮と吸収との間に凝縮させる、さらなる部分的凝縮を挿入することが有利となり得る。この変異形でも、未反応のまたは不完全に反応した芳香族の少なくとも部分的吸収が、所望の生成物の吸収と一緒に起きる、すなわち、この変異形でも、被吸収物質中に含まれる芳香族成分は、これらの組成に関して、流れD1)およびD2)の芳香族の合計に対応する。
工程d2)では、芳香族濃縮被吸収物質は、好ましくは蒸留により分画される。回収された溶媒は、場合によって、吸収された水の除去後、吸収(工程d1)へと再循環される。芳香族は、以上および以下に記載のようにさらに処理される。
芳香族濃縮被吸収物質は、好ましくは、工程d2)での少なくとも1つのカラム(「再生カラム」)の中で分画蒸留される。蒸留条件は、好ましくは、アルキル化されていないまたは低い程度のアルキル化を有する本質的芳香族、ならびに存在する場合、水がオーバーヘッド生成物として得られるように、および脱アルキル化されていないまたは少ししか脱アルキル化されていない本質的芳香族が塔底生成物として得られるように選択される。
言うまでもなく、工程d2)での分画蒸留において選択される底部の温度はとても低いので、塔底生成物の望ましくない第2の反応は本質的に回避される。これは、特に、適切なカラム気圧および/または底部での低ボイラー含有量(低ボイラー含有量は、その後のストリッピングを用いてさらに減少させることができる)を設定することによって達成できる。
工程d2)での蒸留において得られるオーバーヘッド生成物は、直接流れd1)として取り出し、工程e)でのアミノ化のために使用することができる。
代替として、工程d2)での蒸留において得られるオーバーヘッド生成物は、さらなるワークアップに供することができる。
オーバーヘッド生成物中に含まれる水は、公知の方法で分離することができる。この目的のために、オーバーヘッド生成物は、蒸留からの蒸気の凝縮後、相分離器に供給することによって、水を分離することができる。生成した水は、プロセスからのさらなる流れとして放出される。相分離器からの有機相は、流れD1)として少なくとも部分的に取り出すか、またはさらなるワークアップに供するかのいずれかが可能である。相分離器からの有機相は、ランバックとしてカラムに部分的に戻し、および/または蒸留によるさらなるワークアップに供することができる。これは、好ましくは、依然として含まれる水および/または望ましくない有機成分を除去する働きをする。
工程d2)での蒸留において得られる塔底生成物は、脱アルキル化において反応していないまたは不十分にしか反応していない芳香族を含む、すなわち塔底生成物は、脱アルキル化されていないまたは少ししか脱アルキル化されていない芳香族が濃縮されている。これは、流れD2)として直接取り出すか、またはさらなるワークアップに供するかのいずれかが可能である。工程d2)での蒸留において得られる塔底生成物は、好ましくは少なくとも2つの副流に分離される。第1の副流は、好ましくは、脱アルキル化ゾーンからの放出物の吸収性分画である工程d)へ吸収媒体として再循環させる。この目的のために、この副流は、必要に応じて、適切な温度に冷却する。第2の副流は、流れD2)として取り出される。流れD2)は、工程d)の脱アルキル化ゾーンへの再循環前に、流れD2に属さない構成物質の除去に供することができる。これは、例えば、本発明のプロセスにおいて中間体として得られない吸収溶媒が使用される場合有利である。さらに、現時点で流れD2)からの別のパージ流を取り出し、例えば、これを燃焼装置に通して、脱アルキル化条件下で反応しないまたはゆっくりと反応する成分の蓄積を減少させることが有利である。
脱アルキル化へ供給される前に、流れD2)を、好ましくは蒸発に供する。好ましい変異形が図1に示されており、図の関連する記載において説明されている。
特定の実施形態では、工程d)で得られる流れD3)は、芳香族が枯渇し、揮発性副生成物が濃縮されるが、合成気体を生成するために少なくとも部分的に使用される。本発明のプロセスの上に記載された好ましい実施形態によると、工程d)での脱アルキル化ゾーンからの放出物の分画(分割)が吸収を含む場合、吸収装置を脱離する気体流(流れD3)は、場合によって、吸収媒体および/または芳香族を除去するための精製工程後、合成気体を生成するために少なくとも部分的に使用することができる。
工程d)で得られる流れD3)は、合成気体の生成に加えて、様々な他の使用に部分的に回すことができる。これらは燃焼を含む。本発明のプロセスがパルププロセスに近接している場合、流れD3)をパルププロセス装置に供給することが有利となり得る。流れD3)は、特に好ましくは、廃液燃焼(回収ボイラー)に供給する。本実施形態には、水蒸気もしくは電力の生成のために、または流れD3)を燃焼させる場合、排煙脱硫のために追加的装置が必要ではないという利点がある。別の変異形では、流れD3)の燃焼は、脱硫、例えば、硫化水素を除去するための気体スクラブの形態での脱硫を先行して行い、続いて形成されたHSを元素の硫黄に変換する。硫黄の形成は、公知の方法、例えばClausプロセスで行うことができる。代わりに、燃焼に続いて脱硫単位の燃焼を行うこともできる。
合成気体生成のための、例えば、水蒸気および/または酸素を含む少なくとも1つのさらなる流れを、流れE3)に加えて場合によって使用することができる。
本発明のプロセスの特定の実施形態では、工程c)で単離した芳香族成分低減画分C2)は、合成気体を生成するために少なくとも部分的に使用される。工程b)での分解からの、および/または工程d)での場合による脱アルキル化からのオフガス流を合成気体の生成において使用することも可能である。このオフガス流は、例えば、比較的不揮発性の成分の燃焼からのバーニングオフガスであることができる。このようなオフガス流の導入は、合成気体のH/CO比の減少を可能にする。
合成ガスの生成は、好ましくは以下の工程を含む:
−改質工程、
−変換する工程(必要な場合追加的水がここで導入される)、この工程では、水性ガスシフト反応(CO+HO⇔H+CO)が進行する、
−場合によって、酸性ガス、例えばCOなどの部分的な除去のための工程。
合成ガスの生成は、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、論文「Gas Production」、DOI:10.1002/14356007.a12_169.pub2において記載されているように、従来技術に従い行われる。
好ましい変異形では、本発明のプロセスにおいて生成される合成ガスは、(必要に応じて、それ自体は、水、硫黄含有成分、COなどの除去に対して公知であるさらなる精製工程の後で)水素、COまたはこれら2つの混合物を消費する少なくとも1つのプロセスにおいて完全または部分的に使用される。このようなプロセスとして、例えば、水素化、ヒドロホルミル化、カルボニル化、メタノール合成、Fischer−Tropschプロセスによる炭化水素の合成などが挙げられる。
本発明のプロセスの好ましい実施形態では、本プロセスにおいて生成される合成ガス含有流または合成ガスから生成される水素濃縮流れは、工程b)での分解および/または工程d)での場合による脱アルキル化に供給される。水素での合成ガスの濃縮は、水性ガスシフト反応を用いて上に記載のように実行することができる。
本プロセスにおいて生成される合成ガス含有流、または合成ガスから生成される、水素濃縮流れを、工程d)での脱アルキル化に供給するのが好ましい。この変異形の特定の利点は、脱アルキル化の生成物におけるフェノール(複数可)の割合が、純粋な水蒸気の脱アルキル化、すなわち水素の導入なしの場合より高いことである。より高いフェノールの形成は、本発明によるポリイソシアナートの調製の重要な利点を表している。
アミノ化(工程e)
分解および場合によってさらなる反応および/またはワークアップ工程により、バイオマス出発材料から得られるオキシ芳香族組成物は、工程g)でのアミノ化に供される。ここで、オキシ芳香族組成物は、好ましくは、アミノ化ゾーン内のアンモニア供給源と反応させることによって、対応する芳香族アミンを得る。
工程e)では、工程b)からの分解生成物または工程c)からの芳香族成分富化画分C1)、または工程d)での脱アルキル化ゾーンからの放出物、または工程d)からの脱アルキル化芳香族が濃縮された流れD1)を、アンモニア供給源との反応によるアミノ化に供することが好ましい。
アンモニア供給源との反応は、例えば、DE−B−1289530、US3,578,714、US5,214,210およびEP−A−0321275に記載されているような、当業者に公知の従来通りのプロセスにより行うことができる。これらの文献の開示は、本明細書によって参照により完全に組み込まれている。
アミノ化は、アンモニアまたは反応条件下でアンモニアを形成することが可能なアンモニア供給源を使用して行うことができる。このようなアンモニア供給源として、例えば、熱的分解でアンモニアを形成する化合物、例えば炭酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムが挙げられる。代替として、好ましくはメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、シクロヘキシルアミン、アミノピリジン、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、n−プロピルアニリン、イソプロピルアニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジプロピルアニリン、メチルエチルアニリンおよびメチルプロピルアニリンの中から選択される有機アミンが、アミノ化に対して使用することができる。アミノ化に対してアンモニアを使用するのが好ましい。
アミノ化は、好ましくは適切な触媒の存在下で行われる。少なくとも1つのAlオキシドまたはSi−Alオキシドに基づく触媒を使用するのが好ましい。
必要に応じて、出発材料は、予熱に供することができ、この予熱は、アミノ化前の蒸発に関連していてもよい。
アミノ化ゾーン内の温度は、好ましくは100〜600℃、特に好ましくは200〜450℃の範囲である。
アミノ化ゾーンの絶対圧は、好ましくは1〜100バール、特に好ましくは1〜30バールの範囲である。
アミノ化のための反応器として、固定床または流動床を使用するのが好ましい。
アミノ化におけるアンモニアとオキシ芳香族のモル比は、好ましくは5:1〜30:1の範囲である。
アミノ化ゾーンを脱離するガスは、好ましくは、オキシ芳香族よりもアミンがより大きなモル割合を占める。
アミノ化ゾーンから取り出された放出物にワークアップを行うために、この放出物は、好ましくは分画に供する。アミノ化ゾーンからの放出物は、一般的に気体の形態で取り出される。好ましい実施形態では、アミノ化ゾーンから取り出された放出物は冷却し、第1蒸留塔に供給することによって、過剰のアンモニアを分離する。これを好ましくはアミノ化ゾーンに再循環させる。形成されるアミンは、水と、場合によって第1蒸留塔の底部の少量の副生成物との混合物として得られる。第1蒸留塔からの塔底生成物は、第2の蒸留塔に供給することによって、水を分離する。さらなる分画は、好ましくは少なくとも1つのさらなる蒸留塔内で実行する。ここで、芳香族アミンに富む少なくとも1つの流れE1)およびオキシ芳香族が濃縮された少なくとも1つの流れE2)が得られる。割型カラムの技術の利用もまた、複数のカラムを合わせて、1つまたは複数の側部取出し口を備えた1つのカラムにすることを可能にしている。特定の実施形態では熱的にカップリングされた側部取出し口を有する適切なカラム、および隔壁カラムは、当業者には公知である。
芳香族アミンに富む流れE1)は、ホスゲン化(工程g)に供給される。オキシ芳香族が濃縮された流れE2)は、好ましくはアミノ化ゾーンに再循環される。
所望する場合、芳香族アミンに富む流れE1)は、さらなる分画に供することができる。さらなる分画は、特定の実施形態では、芳香族アミンに富む流れE1)がモノアミン(すなわち1つのNH基を有するアミン)およびポリアミン(すなわち複数のNH基、例えば2、3または4つのNH基を有するアミン)を含む場合行われる。さらなる分画は、好ましくは蒸留で行われる。次いで、芳香族モノアミンが濃縮された流れE1m)および芳香族ポリアミンが濃縮された流れE1p)が好ましくは得られる。特定の実施形態では、芳香族モノアミンが濃縮された流れE1m)は、工程g)でのホスゲン化の前に、工程f)でのホルムアルデヒド供給源との縮合に供される。芳香族ポリアミンが濃縮された流れE1p)は、工程g)でのホスゲン化の前に、工程f)でのホルムアルデヒド供給源との縮合に供されるか、または工程g)でのホスゲン化に直接使用するかのいずれかが可能である。
特定の実施形態では、バイオマスから得られていない少なくとも1つのアミン(本明細書中以下では「慣用的アミン」)を、工程f)および/またはg)での反応以前に、工程e)からのアミノ化生成物に添加する。上記に示されている通り、「バイオマス」という用語は、本発明の目的のため、非化石由来の植物材料を指す。添加されるアミンは、好ましくは、石炭、石油、天然ガスおよびこれらのアップグレードした生成物、例えばコークスの中から選択される化石原料供給源に由来する。
工程f)および/またはg)での反応のために使用されるアミンは、好ましくは、工程f)および/またはg)での反応のために使用されるアミンの総量に基づき、少なくとも50質量%、特に好ましくは少なくとも75質量%、特に少なくとも90質量%、特に少なくとも99質量%の、本発明に従いバイオマス出発材料から調製したアミンを含む。
−慣用的アミン
適切な慣用的芳香族アミンは、対応する芳香族、例えばベンゼンまたはトルエンなどから、従来技術から公知のプロセスにより調製することができる。これらのプロセスは、特にニトロ化を、その後のニトロ基の水素化と共に用いて、対応するアミンを形成することを含む。ニトロ芳香族は、バッチ式または連続式プロセスにより調製することができる。ニトロ化剤は、好ましくは、硝酸と硫酸との混合物または硝酸単独でのいずれかである。液相における連続式調製に対して適切なプロセスは、例えば、Meissnerら、「Continuous production of nitrotoluenes」、Ind.Eng.Chem.、46巻、4号(1954年)、718〜24ページおよびUS2,773,911において記載されている。硝酸を単独で使用したニトロ化は、US2,739,174に記載されており、炭化水素の気相のニトロ化は、GB586732に記載されている。適切な工業プロセスの概要は、例えば、Leslie A.Carmichael、Aromatic Amines、SRI Stanford Research Institute、1972年に見出すことができる。EP−A−748788およびEP−A−0597361は、ニトロトルエンを生成するための断熱性および連続式の液相ニトロ化について記載している。US5,302,763は、硝酸を使用した、硫酸を使わないニトロ化について記載している。EP−A−1350787は、選択性を増加させるために、酸性ゼオライト上で不均一に触媒されたトルエンのニトロ化のためのプロセスについて記載している。EP−A−0184569は、混合したオキシド上での気相の不均一に触媒されたニトロ化のためのプロセスについて記載している。ジニトロトルエンの調製の概説は、Hermannら、Industrial nitration of toluene to dinitrotoluene、ACS Symp.シリーズ623(nitration)、234〜249ページにおいて見出すことができる。EP−A−1880989は、プロセスの精製化学製品の実施形態について記載している。WO2005/075407およびEP−A−0903336では、液相においてプロセスを等温的に実行することについて記載している。汚水処理の詳細は、DE10329303に記載されており、より広い統合プロセスの統合は、EP−A−1132347およびEP−A−0976718において記載されている。CN1854114は、金属塩の添加を用いたニトロ化について教示している。使用した硫酸を濃縮する重要性が、DE−A−4230099に記載されている。TDIの前駆体としてのジニトロトルエンに関する情報は、MDA/MDIの前駆体としてのモノニトロベンゼンに同様に適用される。液相中での適切な連続式プロセスの記載は、US2,849,497およびUS2,773,911において見出すことができる。可能な反応器は、例えば、熱交換器または流管を有する撹拌容器である。流管内で断熱的に反応を実行することが、BE724918、DE4428460およびDE4428461において記載されている。ここで、ニトロ化の酸は、ニトロ化反応の反応熱を拾い上げる。こうして貯蔵された熱を利用することによって、減圧による反応混合物からの副生成物の水を分離することができる。芳香族のニトロ化反応を液相で実行するための、断熱性流管のある特定の実施形態は、DE10223483、EP0489211およびWO01/64333において見出すことができる。液相における断熱性反応は、異性体の形成についての選択性を必ずしも考慮に入れなくてよいので、ニトロトルエンのものと比較して、モノニトロベンゼンの調製に特に好ましい。ニトロ化プロセスを安全にモニタリングすることおよび実行することが、EP−A−1445246に記載されている。Quadrosら、Ind.Eng.Chem.Res.2004年、43巻、4438〜4445ページは、汚水問題に関係している。上述の文献の開示は、本明細書によって参照により完全に組み込まれている。
ニトロ化で得られる芳香族ニトロ化合物は、水素化により対応するアミンへと変換される。水素化の副生成物として水が得られる。水素化は、好ましくは触媒の存在下で行われる。この水素化は、工業的に多種多様な工業用実施形態、例えば流動床または固定床など、または液相もしくは気相内で行うことができる。反応の高い熱は、エネルギーの生成のために利用され、および/または統合的熱システムへと統合されるのが有利である(EP−A−1137623、US7,064,237、EP−A−0696573、EP−A−0748789を参照されたい)。コーティングされたマイクロチャネル内での反応の実行は、DE−A−102006011497に記載されている。上述の文献の開示は、本明細書によって参照により完全に組み込まれている。
−環の水素化
工程e)で得られるアミノ化生成物(特に芳香族ポリアミン濃縮流れE1p)は、工程f)でのホルムアルデヒド供給源との場合による縮合の前、または工程g)でのホスゲン化の前に環水素化に供することができる。経済的および生態学的に有利な脂肪族ポリイソシアナートは、このように得ることができる。適切な環水素化プロセスは、例えば、US6,429,338、WO2006/066762およびEP−A−799817に記載されている。これらの文献の開示は、本明細書によって参照により完全に組み込まれている。
ホルムアルデヒド供給源との縮合(工程f)
高いNCO数を有するポリイソシアナートを得るため、工程e)において得られるアミノ化生成物は、工程g)でのホスゲン化の前に、部分的または完全に、ホルムアルデヒドとの縮合に供することができる。さらに、工程g)でのホスゲン化のため、縮合したアミンを非縮合アミンと混合することが可能である。
ホルムアルデヒドとの芳香族アミンの縮合に対して適切なプロセスに関して、DE−A−19961973、DD295628およびDD238042が参照により組み込まれている。
工程f)での反応に対して適切なホルムアルデヒド供給源は、ホルマリン溶液、ホルムアルデヒドオリゴマー、例えばトリオキサン、およびホルムアルデヒドのポリマー、例えばパラホルムアルデヒドである。パラホルムアルデヒドまたはホルマリン溶液を使用するのが好ましい。気体のホルムアルデヒドを使用するのもまた当然可能である。
使用するアミンとホルムアルデヒドとのモル比は、好ましくは1.5:1〜10:1、特に2:1〜6:1である。
縮合反応は、好ましくは酸性触媒の添加と共に行われる。酸性触媒として、この反応に対して一般的に公知の触媒、例えば鉱酸、例えばリン酸、硫酸および塩酸などを使用することが可能である。塩酸は、好ましくは工程f)での縮合のための触媒として使用される。
触媒とアミンとのモル比は、好ましくは0.01〜1、特に0.1〜0.5である。
縮合反応は普通、20〜150℃、好ましくは20〜130℃の温度で行われる。好ましい変異形では、アニリンおよび酸性触媒を最初に充填し、ホルムアルデヒドを添加する。
縮合からの酸性アミン混合物は、慣用的方法、例えば中和、相分離および蒸留などによりワークアップを行うことができる。
ホスゲン化(工程g)
工程e)で得られるアミン生成物(特に、芳香族ポリアミン濃縮流れE1p)または工程f)で得られる縮合物のホスゲン化は、当業者に公知の慣用的方法で行うことができる。
工程g)でのホスゲン化に対して適切である液相ホスゲン化は、例えば、EP−A−1616857、WO2004/056756、WO2006/130405、EP−A−1509496、EP−A−1270544およびDE−A−19961973に記載されている。これらの文献の開示は、本明細書によって参照により完全に組み込まれている。
代替として、工程g)でのホスゲン化は、気相ホスゲン化として行うことができる。気相での高温でのホスゲン化の利点は、望ましくないアミン塩酸塩の中間体の形成を、一般的に回避することができることである。このようなプロセスは、EP−A−593334、WO2003/045900、WO2008/086922およびWO2008/006775(エアゾールのホスゲン化)において記載されており、これらは本明細書によって参照により同様に組み込まれている。
さらに、工程g)でのホスゲン化は、超臨界の溶媒中で行うことができる(WO2008/049783)。イソシアナート自体(EP−A−1401802、US6,683,204)またはイオン液体(WO2006/048141 BASF、WO2006/048171 BASF)もまた、溶媒として使用することができる。
適切な実施形態では、工程g)のホスゲン化は、ホスゲン化条件下では不活性である溶媒中で行われる。適切な溶媒は、例えば、芳香族、例えばトルエン、モノクロロベンゼンまたはジクロロベンゼンなどである。工程g)でのホスゲン化は、慣用的反応器、例えば撹拌容器またはカラムなどの中で行うことができる。
ホスゲン化での温度は、好ましくは50〜150℃、特に好ましくは70〜100℃の範囲である。
ホスゲン化での気圧は、好ましくは0.5〜10バール、特に好ましくは0.8〜5バールの範囲である。
工程g)でのホスゲン化で得られる粗製のイソシアナートは、慣用的方法、例えば蒸留で精製することができる。この目的のために使用することができる装置は、落下フィルムエバポレーターまたは薄膜エバポレーターまたは充填カラムである。この精製は、2つのプロセス工程で行うことができる。第一に、ホスゲン、HClおよび溶媒を、ストリッピングにより、50〜150℃の温度で、場合によって減圧下でまたは不活性ガスの導入により粗製のイソシアナートから分離する。残りの溶媒およびおそらく塩素を含む化合物を、続いて150〜190℃の温度で、再びストリッピングにより、または減圧下で除去する。

Claims (36)

  1. ポリイソシアナートを製造する方法であって、バイオマス出発材料を用いて、0.5×10−12〜5×10−12の範囲のC14対C12アイソトープ比を有する芳香族アミンの組成物を製造し、前記芳香族アミンの組成物をホスゲン化に供することを特徴とするポリイソシアナートの製造方法。
  2. 芳香族アミンの組成物を調製するためのバイオマス出発材料が、分解を含む少なくとも1つの反応に供されることによって、分子1個当たり少なくとも1つのヒドロキシ基および/または少なくとも1つのアルコキシ基を有する芳香族を含む芳香族組成物(「オキシ芳香族組成物」)が得られ、前記オキシ芳香族組成物がアミノ化に供される、請求項1に記載の方法。
  3. オキシ芳香族組成物が、総質量に対して、少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも90質量%、特に少なくとも95質量%の単環式芳香族を含む、請求項2に記載の方法。
  4. −バイオマス出発材料が用意し(工程a)、分解を含む反応に供する(工程b)ことによって、分子1個当たり少なくとも1つのヒドロキシ基および/または少なくとも1つのアルコキシ基を有する芳香族を含む芳香族組成物(「オキシ芳香族組成物」)を得、
    −前記オキシ芳香族組成物をアミノ化に供し(工程e)、
    −前記アミノ化の生成物が、場合によって、ホルムアルデヒド供給源と縮合し(工程f)、
    −前記アミノ化の生成物またはホルムアルデヒド供給源との前記縮合の生成物をホスゲン化に供する(工程g)、
    ポリイソシアナートを製造する方法。
  5. a)バイオマス出発材料を用意し、
    b)前記バイオマス出発材料を、分解に供し、
    c)場合によって、工程b)で得られる分解した材料を、少なくとも1つの芳香族成分富化画分C1)と、少なくとも1つの芳香族成分低減画分C2)とに分離し、
    d)工程b)で得られた前記分解の生成物または工程c)で得られた前記芳香族成分富化画分C1)が、脱アルキル化ゾーンに場合によって供給され、水素および/または水蒸気の存在下で反応し、
    放出物が前記脱アルキル化ゾーンから取り出され、
    前記脱アルキル化ゾーンからの前記放出物が、場合によって分離されることによって、脱アルキル化芳香族成分に富む少なくとも1つの流れD1)、およびより揮発性の成分に富む少なくとも1つの流れD2)が得られ、
    e)工程b)で得られた前記分解生成物または工程c)で得られた前記芳香族成分富化画分C1)、または工程d)での前記脱アルキル化ゾーンからの前記放出物、または前記脱アルキル化芳香族成分に富む流れD1)が、アミノ化ゾーン内でアンモニア供給源との反応によりアミノ化に供され、
    f)工程e)で得られた前記アミノ化の生成物が、場合によって、ホルムアルデヒド供給源との縮合に供され、
    g)工程e)で得られた前記アミノ化生成物または工程f)で得られたホルムアルデヒド供給源との前記縮合の生成物が、ホスゲン化に供される、
    ポリイソシアナートを製造する方法。
  6. リグニン含有材料がバイオマス出発材料として使用される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. リグノセルロース材料またはリグノセルロース材料の蒸解生成物がバイオマス出発材料として使用される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. セルロース(パルプ)を生成するためのリグノセルロース材料の蒸解によるリグニン含有流、好ましくは黒液、特にKraft蒸解(硫酸塩蒸解)による黒液がバイオマス出発材料として使用される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 工程b)での分解のために、前記バイオマス出発材料を熱分解に供する、請求項2から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 熱分解において、水素化合物が添加されない、請求項9に記載の方法。
  11. 熱分解が、水素の添加(水素化分解)によって行われる、請求項9に記載の方法。
  12. 標準的条件下で(20℃、1013ミリバール)、黒液材料の総質量に対して、70質量%以下、好ましくは50質量%以下の液体含有量を有する黒液材料が熱分解に対して使用される、請求項9から11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 用意されたバイオマス出発材料が、工程b)での液相中の分解に供される、請求項2から8のいずれか1項に記載の方法。
  14. バイオマス出発材料、好ましくはリグニン含有出発材料が、工程b)において水性−アルカリ性、水性−酸性または有機分解媒体の存在下で分解に供される、請求項13に記載の方法。
  15. パルププロセスにより得られた少なくとも1つのセルロース低減画分、特にKraft法により得られた黒液が、分解に使用される、請求項13または14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 工程c)において、少なくとも1つの芳香族成分富化画分C1)と、少なくとも1つの芳香族成分低減画分C2)への分離が、蒸留、抽出、吸収、膜分離法またはこれらの組合せ、好ましくは蒸留、抽出、吸収またはこれらの組合せにより行われる、請求項5から15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 工程a)で用意されたバイオマス出発材料が、工程b)での分解のための熱分解に供され、少なくとも1つの芳香族成分富化画分C1)と、少なくとも1つの芳香族成分低減画分C2)とを得るための工程c)での分画が吸収を含む、請求項9から12のいずれか1項に記載の方法。
  18. 工程a)で用意されたバイオマス出発材料が、工程b)において液相での分解に供され、少なくとも1つの芳香族成分富化画分C1)と、少なくとも1つの芳香族成分低減画分C2)とを得るための工程c)での分画が、抽出および/または蒸留を含む、請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。
  19. 工程c)において少なくとも1つの芳香族成分富化画分C1)と、少なくとも1つの芳香族成分低減画分C2)とを得るための分画が、
    c1)工程b)で得られる分解生成物を抽出することによって、芳香族成分富化抽出物と、芳香族成分低減枯渇残渣とを得る副工程、
    c2)場合によって、前記抽出物を、抽出剤が富化し芳香族が低減した画分と、芳香族が富化し抽出剤が低減した画分と、に分離する副工程、
    c3)工程c1)で得られる前記芳香族成分富化抽出物、または工程c2)で得られる芳香族成分富化画分を、工程d)および/またはe)に導入する副工程
    を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 工程d)での反応が、水添脱アルキル化または水蒸気脱アルキル化またはその混合した形態を含む、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 脱アルキル化ゾーン内の温度が、400〜900℃、好ましくは500〜800℃の範囲である、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 脱アルキル化ゾーン内の絶対圧が、1〜100バール、特に好ましくは1〜20バール、特に1〜10バールの範囲である、請求項1から21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 工程d)での脱アルキル化ゾーンからの放出物が、分画に供されることによって、以下の3つの流れ:
    D1)アルキル化されていないか、または低い程度のアルキル化を有する単環式オキシ芳香族成分に富む流れ、
    D2)脱アルキル化されていないか、または少ししか脱アルキル化されていない芳香族成分に富む流れ、
    D3)D1)およびD2)よりも揮発性である副生成物に富む流れ
    が得られる、請求項5から22のいずれか1項に記載の方法。
  24. アンモニアが、工程e)でのアミノ化のために使用される、請求項4から23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 工程e)でのアミノ化ゾーンからの放出物が、分画に供されることによって、芳香族アミンに富む少なくとも1つの流れE1)と、少なくとも1つのオキシ芳香族成分に富む流れE2)とが得られる、請求項4から24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 芳香族アミン成分に富む少なくとも1つの流れE1)と、少なくとも1つのオキシ芳香族成分に富む流れE2)とを得るための分画が、
    e1)アミノ化ゾーンからの放出物を分画蒸留することによって、アンモニア富化画分と、アンモニア低減画分とを得る副工程、
    e2)場合によって、蒸留により工程e1)で得られた前記アンモニア低減画分から水を分離する副工程、
    e3)分画蒸留することによって、芳香族アミンに富む少なくとも1つの流れE1)と、少なくとも1つのオキシ芳香族成分に富む流れE2)とを得る副工程
    を含む、請求項25に記載の方法。
  27. 芳香族アミンに富む流れE1)が、少なくとも部分的にホルムアルデヒド供給源との縮合(工程h)に供される、請求項25または26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 芳香族アミンに富む流れE1)が、ホルムアルデヒド供給源との事前の縮合なしに、ホスゲン化のために少なくとも部分的に使用される(工程g)、請求項25から27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 芳香族アミンに富む流れE1)が、さらなる分画に供されることによって、芳香族モノアミンに富む流れE1m)と、芳香族ポリアミンに富む流れE1p)とが得られる、請求項25から28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 芳香族モノアミンが濃縮された流れE1m)が、工程g)でのホスゲン化の前に、工程f)でのホルムアルデヒド供給源との縮合に供される、請求項29に記載の方法。
  31. 芳香族ポリアミンに富む流れE1p)が、工程g)でのホスゲン化の前に、工程f)でのホルムアルデヒド供給源との縮合に供されるか、または工程g)でのホスゲン化に対して直接使用される、請求項29または30のいずれか1項に記載の方法。
  32. オキシ芳香族成分に富む流れE2)が、工程e)でのアミノ化ゾーンに再循環される、請求項25から31のいずれか1項に記載の方法。
  33. バイオマスから得られたものではない少なくとも1つのアミンが、工程f)および/またはg)での反応の前に、工程e)で得られたアミノ化生成物に添加される、請求項4から32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 14対C12アイソトープ比が、0.4×10−12〜4.5×10−12の範囲である、ポリイソシアナート組成物。
  35. 請求項1から33のいずれか1項に記載の方法により得られるポリイソシアナート組成物。
  36. 少なくとも30のNCO数を有する、請求項34または35に記載のポリイソシアナート組成物。
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