本特許出願は、2010年12月3日に出願された米国仮特許出願第61/419,574号(タイトルは“Electrolytic Cell for Ozone Production”、発明者はWilliam J. Yost III, Carl David Lutz, Jeff Booth, Don Boudreau, およびNick Lauder)の優先権を主張するものであり、当該出願の全体は、参照することにより本特許出願に組み入れられる。
各形態における上述の特徴は、付随する図を参照しながら、以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解される。
一の形態によれば、流水においてオゾンを生成するための電解槽は、少なくとも1つの、自立構造で立っているダイアモンド電極を含んでいる。自立構造で立っているダイアモンド電極は、既知の電極に比べてかなりの高い電力を扱うことができ、また、その他の電極に比べて、より多くのオゾンを生成することができる。
電解槽100の一形態が図1Aに示されており、また、電解槽100の断面が図1Bに示されている。図1Bでは、電解槽100の内部の構成要素が見えるようになっている。
図1Bに示されているように、電解槽100は、2つの電極、すなわちアノード101およびカソード102を有している。この形態において、カソード102は、ボロンがドープされた、自立構造で立っているダイアモンドアノードであり、一方、カソード102は、チタンまたはその他の伝導性材料から形成されている。アノード101およびカソード102は、それらの表面領域を増大させるための貫通孔特徴部110を含んでいてもよい。水は、貫通孔特徴部110を通ることができる。
オゾンを形成するため、水源が電解槽100に供給され、正の電位がアノードに印加される。一方、アノード101およびカソード102を横切る電圧差(または電位差)を生じさせるよう、異なる電位がカソード102に印加される。図1に示される形態において、電位は、アノード接点103およびカソード接点104を介して印加される。電解槽100のアノード側において、電位差が水分子を壊して1)酸素および2)水素カチオンにする。酸素はオゾンになり、水の中に溶解する。水素カチオンは、電解槽のアノード側からカソード側へ、カソード102に印加される負の電位によって引き寄せられる。電解槽のカソード側では、カチオンが水素バブルを形成する。
アノード101からカソード102へのプロトン(例えば水素カチオン)の移動を容易化するため、いくつかの形態においては、すき間のない膜105(例えば、Nafion(登録商標)などの、プロトン交換膜(PEM))が、すき間のない電解質として用いられており、また、アノード101とカソード102との間に配置されている。加えて、いくつかの場合には、膜105が、電解槽100のカソード側での源水流を、電解槽100のアノード側での源水から分離するためのバリアとして用いられる。構造的な完全性を膜105にもたらすため、膜は、支持用の母材(supporting matrix)(図示せず)をさらに含んでいてもよい。
図示されているように、膜105は、電極101および電極102、並びに、接点103および接点104の間にある。実際、そのような構造は、膜を、電極の間に挟まれたものとして説明することができる。また、電極101,102および膜105の配置、および/または、電極101,102、膜105、および接点103,104の配置は、電極のサンドイッチを形成するものとして説明され得る。サンドイッチは、これらの構成には限られず、様々な形態は、その他の構成または層を、サンドイッチされた積み重ねの中に含むことができる。
図1Aおよび1Bの形態において、電解槽100は、アノードフレーム106およびカソードフレーム107を含んでいる。フレーム106,107はいずれも、アノード101、カソード102、アノード接点103、カソード接点104および膜105の位置を定めており、かつ、アッセンブリに構造的な完全性をもたらしている。フレーム106,107はまた、1つまたは2つ以上の開口部108を含んでおり、開口部108を通って源水が流れることができる。開口部108の寸法および形状は、寸法、長さ、またはその他の幾何学的な側面によって開口部の流体抵抗を変えることによってカソードまたはアノード領域を通る様々な流速を実現するため、変えられ得る。いくつかの例証となる形態において、電解槽はまた、その外側の周囲にOリング109を含んでいる。電解槽100がパイプ(チューブまたはその他のハウジングであってもよい)の中に挿入されるとき、Oリング109は、パイプの内側の周縁への電解槽100の固定および封止に役立つことができる。若しくは、またはそれに加えて、Oリング109は、フレーム106,107を互いにクランプすることを補助するための圧縮力をフレーム106,107に対して提供することもできる。
自立構造で立っているダイアモンド電極200の形態が、図2に示されている。ダイアモンド電極200は、電流拡散器201および自立構造で立っているダイアモンド202を含んでいる。
自立構造で立っているダイアモンド202は、第1面202Aと、第1面の反対側にある第2面202Bと、を有している。ダイアモンドはまた、第1面202Aと第2面202Bとの間の距離として定義される厚み202Cを有している。図2の形態において、自立構造で立っているダイアモンドは、ほぼ一様な厚みを有している。すなわち、自立構造で立っているダイアモンドの厚みは、全ての点でほぼ同一になっている。
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「自立構造で立っているダイアモンド」とは、薄層状でない(non-laminated)、ドープされたダイアモンド材料であって、約100μmよりも大きい厚みを有するダイアモンド材料のことである。例えば、自立構造で立っているダイアモンドは、100μm、200μm、300μm、400μmまたはそれを超える厚みを有している。実際、いくつかの形態は、500μm、600μm、700μmまたはそれを超える厚みを有している。
これらの厚いダイアモンドは、有利には、性能の著しい劣化を生じさせること無く、かつ実質的なダメージを招くこと無く、持続した期間にわたって、高い電流密度で電流を流すことができる。例えば、いくつかの形態において、自立構造で立っているダイアモンドは、1平方センチメートルあたり少なくとも1アンペア(または「amp」)の持続した電流密度で導くことができ、一方、その他の形態は、例えば、1平方センチメートルあたり少なくとも2アンペアの持続した電流密度で導くことができる。テストの間、発明者らは、自立構造で立っているダイアモンド電極を、電極を損傷させることなく、またはその電流伝導またはオゾン生成性能を劣化させることなく、少なくとも500時間にわたって連続的に、1平方センチメートルあたり約2アンペアの電流密度で動作させた。そのような電極は、既知の電極よりも、1平方センチメートルの表面積あたりでより多くのオゾンを生成することができ、従って、単位時間あたり同一の量のオゾンを生成するよう構成された従来の電極よりも、よりコンパクトに構成され得る。様々な形態による電極はまた、既知の電極よりも、より長い有用かつ生産性の高い寿命を有している。
対照的に、従来技術における電極は、基材上の薄いフィルムダイアモンドコーティングなどの、薄層状の薄いフィルムダイアモンド層を含んでいる。例えば、「Electrochemical Ozone Production Using Diamond Anodes And A Solid Polymer Electrolyte」というタイトルの文献を参照(Alexander Kraft など、 Electrochemistry Communications 8 (2006), 883-886ページ)。例示的な従来技術における電極300が図3に示されている。電極300は、基材301および薄いフィルムダイアモンド層302を含んでいる。薄いフィルムダイアモンド層302は、基材302上で成長したものであってもよい。そのようなダイアモンド層は、それが成長する以前には存在していない。対照的に、自立構造で立っているダイアモンドは、電流拡散器から独立して存在し得る。
電極300の構造的および電気的な完全性は、ダイアモンド層302と基材301との間における物理的な接触に依存する。その接触は、すなわち電極300の完全性は、ダイアモンド層302が基材301から剥離し始める場合に危うくなる。そのような剥離は、例えば、電極300の内側における熱応力によって引き起こされ得る。特に、そのような熱応力は、ダイアモンド層302と基材301との界面において発現される。熱応力は、同様に、ダイアモンド層302と基材301での熱膨張係数の相違によって引き起こされ得る。さらに、熱応力は、ダイアモンド層の厚み303の増加に伴って増加する。
このため、既知の電極において用いられるダイアモンド層は、制限された厚みおよび制限された電流密度定格からなっていた。薄層状の電極におけるダイアモンド層の厚みを制限することは、ダイアモンド材料と基材での各々の熱膨張係数の相違の結果として生成される熱応力を制限する。一般に、ダイアモンド層の厚みは、約10μmまたはそれよりも小さい範囲に制限されてきた。
しかしながら、ダイアモンド層の厚みを制限することによって電極の構造的な完全性を守ることは、コスト高を招く。そのような電極は、電流密度容量を制限してきた。例えば、約400mA/cm2よりも小さい電流密度が、上述の文献“Electrochemical Ozone Production Using Diamond Anodes And A Solid Polymer Electrolyte”において報告された。実際、薄層状のダイアモンド電極の製造者は、電流密度を0.5A/cm2よりも下に維持することを推奨している。高い電流密度は、特に数分または数時間にわたって維持される場合、そのような電極を損傷させるかもしれず、および/または、ダイアモンド層と基材とが剥離し始めることを引き起こすことなどによって、性能の劣化を生じさせるかもしれない。そのような制限された電流容量は、電極のオゾン生成能を制限する。
図2に戻ると、電流拡散器201は、自立構造で立っているダイアモンド202に対して、固定されるとともに電気的に連結されている。動作中、自立構造で立っているダイアモンド202をホストシステムに接続するため、電圧供給が電流拡散器に連結されてもよい。例えば、電流拡散器202は、拡張部分203を含んでいる。拡張部分は、例えばワイヤがはんだ付けされ得る結合部などの電気的接点として用いられ得る。そのようなものとして、電流拡散器201は、電気的な伝導性を有している。いくつかの形態において、電流拡散器は、例えばチタンなどの金属を含んでいてもよい。
電流拡散器の様々な形態が、多様な形状をとることができる。例えば、電流拡散器は、メッシュまたは格子形状のものであってもよい。格子状の電流拡散器703が、例えば図7に示されている。
電流拡散器のその他の形態は、いわゆる“フレーム”形状を有している。なぜなら、フレームの一部分は矩形または正方形の形状を有しており、これによって、写真フレームの形状に似ているからである。電流拡散器400のフレーム形状の一形態が、例えば図4A〜4Dに示されている。具体的には、図4Aは、電流拡散器400の斜視図を表しており、一方、図4Bは、側面図を表しており、図4Cは、平面図を表しており、図4Dは、底面図を表している。電流拡散器400は、伝導性を有しており、例えばチタンを含んでいてもよい。図4Dの寸法は、説明のためのものであり、その他の様々な形態を制限するものではない。
電流拡散器のフレーム部分401は、穴402を含んでいる。自立構造で立っているダイアモンド(図4には示されていない)に連結されるとき、穴402は、自立構造で立っているダイアモンドの大領域を水に対して向け、これによって、オゾンの生成を容易化する。フレーム部分401の周囲が所定の領域を画定する場合、穴402は、その領域の大部分を占める。例えば、穴402は、フレーム部分401の約80%、約90%またはそれ以上を占めてもよい。
電解槽500のその他の形態が、図5に示されている。この形態は、接点503,504、膜505およびOリング509など、上述の電解槽100に類似したいくつかの特徴を有している。そのような特徴についてここで再び述べることはしない。
しかしながら電解槽500は、電解槽100とは異なるものである。なぜなら、少なくとも電解槽500は、2つの自立構造で立っているダイアモンド電極501,502を有しているからである。そのようなものにおいて、1つの電極をアノードと同定し、その他の電極をカソードと同定する必要はない。電極501,502のいずれも、アノードとしてもカソードとしても機能することができる。または実際には、アノードおよびカソードの役割が交互に行ったり来たりしてもよい。いくつかの形態において、電解槽500または電解槽500をホストするシステムは、電圧入力の極性を電極に対して反転させる電気回路を含んでいてもよい。そのような電気回路は、例えば、選択的に、第1入力電圧を第1電極501に向け、第2電圧を第2電極502に向けるために、入力電圧と第1電極501および第2電極502との間に連結された多数のスイッチを有するスイッチネットワークを含んでいてもよい。そのようなものとして、入力電圧が第1の極性を有する場合、1つの第1電極501がアノードとして機能し、その他の第2電極502がカソードとして機能する。しかしながら、入力電圧の極性が反転される場合(すなわち、第2極性になる場合)、第1電極501がカソードとして機能し、第2電極がアノードとして機能する。
図6は、2つのダイアモンド電解槽のその他の形態600を示している。図6において、電解槽600は、膜603の同一の側に配置され、ボロンがドープされたダイアモンド電極601,602の直列構造を含んでいる。電極601,602はそれぞれ、電極接点604,605に接続されている。図6に示すように、膜603は、ダイアモンド電極601および602の両方に接触している。このような構造において、カチオンは、電極601と電極602との間で膜603を通って水平方向に移動する。
電解槽アッセンブリ700のその他の形態が図7に示されている。この形態において、電解槽アッセンブリ700は、円筒状の内部容積部700Bを有するハウジング700A、ダイアモンド電極701,702、電流拡散器703,704、膜705、および、円筒状の内部容積部700Bの内側にある半円形のフレーム706および707を含んでいる。ハウジング700Aは、その外側の形状を考慮しなければ、円筒形ハウジングとも称され得るものである。
この形態において、水は、ハウジング700Aの一部である水路710を介して電極701,702に供給される。水が電極701,702に近づくにつれて、水は、水路710の内側にある分割器711に出くわす。分割器は、水を第1流(第1水流とも称され得る)および第2流(第2水流とも称され得る)に分けるチャネルを効果的に形成している。これらのチャネルは、第1流を第1電極701へ向けており、かつ、第2流を第2電極702へ向けている。第1流および第2流はその後、独立に流れ、そして、アノード(電極に供給される電圧の極性に応じて、電極701または電極702のいずれでも有り得る)を通った流れの中のいくつかの水分子が、その水素原子および酸素原子を消失させ、そして、いくつかの酸素原子がオゾンを形成する。そのようにして、オゾンが流れの一方に導入される。いくつかの形態において、流れは、流れが電極701および電極702を通った後に所定の点で再び結合されてもよい。
いくつかの形態において、フレーム706およびフレーム707のうちの少なくとも一方は、電極のサンドイッチに圧縮力を生成するよう拡大可能であってもよい。例えば、フレーム706および/またはフレーム707は、ばねによって負荷がかけられた2つの部分を含んでいてもよい。はねは、2つの部分を引き離すことを促すように2つの部分を押圧し、このことにより、フレームが拡大する。そのようなものとして、フレームの一部がハウジングの円筒状の内部を押圧し、一方、フレームのその他の部分が電極のサンドイッチを押圧する。
電解槽800アッセンブリのその他の形態が図8に示されている。この形態は、異なるハウジング800Aを含んでいるが、円筒形の内部容積部800Bを有している。この形態800は、円筒形の内部容積部800Bの内側に電解槽801を含んでいる。特に、電解槽801は、少なくとも1つのフレームに成形された電流拡散器802を含んでおり、この電流拡散器802は、上述の電流拡散器400と類似のものであってもよい。
図9は、電解槽901をホストするシステム900の一形態を示している。システム900は、チューブ902の内側の周囲の中に設置された電解槽901を含んでいる。この形態において、電解槽は、例えば上述の電解槽100であってもよく、または、例えばここで説明される電解槽のその他の形態であってもよい。図9の形態においては、Oリング109が、電解槽900とチューブ901の内側の周囲との間に水が流れることを防いでいる。
図10は、電解槽1000をホストするシステム1000のその他の形態を示している。図10は、本発明の一形態によるハウジング1001の内側にある電解槽100を示している。本形態における電解槽100は、上述の電解槽100であるが、電解槽500など、本明細書に開示されているその他の形態の中から選択されたものであってもよく、または、全く異なるものであってもよい。
ハウジングは、入口部1002、出口部1003、および、入口部1002を出口部1003に接続する水路(またはパイプ)1004を含んでいる。示されている形態において、入口部1002および/または出口部1003は、ハウジング1001を源水供給部へ容易に接続するよう、プッシュロック式の(push-n-lock)チューブ接続部を含んでいる。用いられ得る接続部の例は、米国出願No.12/769,133に記載されており、この出願の内容は、参照によりその全体が本願に組み込まれる。
本発明の様々な形態によれば、源水は、入口部1002の中へ流れ、そして、図10において矢印1005で示されている方向において水路1004、電解槽100および出口部1003を通って流れる。源水の一部分は、電解槽100のアノード側を流れ、一方、源水のその他の部分は、電解槽100のカソード側を流れる。
水が電解槽100を通って流れるにつれて、正の電位がアノード101に印加され、一方、負の電位がカソード102に印加される。電位は、アノード接点103およびカソード接点104を介して印加され、その後、電気的なリード線1006を介して電力源に接続される。示されている形態において、アノード接点103およびカソード接点104は、チタンメッシュまたはチタンフレームの電流拡散器によって形成されている。電流拡散器は、電気的なリード1006にスポット溶接されている。このようにして、アノード接点103およびカソード接点104は、アノード101およびカソード102の表面に源水を接触させることができるようになる。電気的なリード線1006は、水路1004の壁を通り、そして、例示的な形態においては、ブッシングスクリュー1007およびOリング1008が、端子と水路の壁との間で源水が漏れることを防ぐために用いられている。
上述のように、電解槽100のアノード側の水は、1)酸素および2)水素カチオンを形成する。酸素は、水に溶解するオゾンになり、一方、水素カチオンは、電解槽のカソード側に向かって引き寄せられ、そして、水素バブルを形成する。例としてシステム1000を用いることにより、電解槽100のカソード側の(水素を含む)水および電解槽のアノード側の(オゾンおよびその他の種を含む)水が合流し、そして、出口部1003から流出する。
発明者らは、電解槽100のアノード側からの水と電解槽のカソード側からの水とを混合することが不利であることを理解した。電気分解反応の生成物が混合される場合、それらは、反応して再結合する。例えば、電解槽のカソード側の水素は、その他の化学的な種を形成するため、オゾン、ヒドロキシル基、および、アノード側からのその他の酸素派生物と再結合する。いくつかの場合では、約30%ものオゾンが、電解槽100の下流側で再結合することがあり、これによって、電解槽100の正味のオゾン生成量が減少してしまう。
さらに、発明者らは、本発明の例証となる形態において、このような不利を、電解槽100の簡易かつ経済的なデザインが上回ることを理解した。図9および10のデザインに示されているように、電解槽100のアノード側およびカソード側に供給する上で、単一の水供給部のみが必要になる。対照的に、従来の多くのシステムにおいては、アノードが1つの水供給部によって供給され、かつ、カソードが貯水槽からの陰極液によって供給される。このような従来の構成は、複雑さを増大させ、かつ、電解槽のコストを増大させる。
さらに発明者らは、水素やオゾンなどの生成物を混合することに関連する不利は、生成物の互いに対する露出時間を最小化することによって制限され得ることを実現した。具体的には、発明者らは、水および生成物を大きなチャンバーまたは貯水槽1020の中に流すことによって、露出時間が最小化され得ることを発見した。チャンバーにおいて、浮力がある水素バブルが、上面まで上がり、そしてオゾンから離れ、これによって、もはや反応および再結合が生じなくなる。本発明の1つの例証となる形態において、生成物は、それが形成された直後に大きなチャンバーの中へ流れ込む。典型的には、生成物(オゾンおよび水素)が水路の乱流の中ですごす時間が短いほど、それらが再結合して電解槽のオゾン生成物を無効にすることが少なくなる。
発明者らはまた、貯水槽から供給される陰極液を有さない電解槽に関連した不利があることを理解した。電気分解反応の間、源水からの薄片(例えば、炭酸カルシウム)が膜105上またはその他の構成要素上に積み重なり、または蓄積する。最終的には、それが上述のように積み重なる場合、薄片が、電解槽100の中で電気化学反応を妨げる。電解槽100の内部でのそのような蓄積は、電解槽の有効寿命を短くすることがあり、または、電解槽の性能やオゾンなどの目的の科学的性質の効率的な生成を回復させるために内部の構成要素を分解して洗浄することを求めることになる。この問題の予防に役立てるため、従来のシステムは、陰極液(例えば、塩化ナトリウムおよび/またはクエン酸を含む水)の貯水槽を利用して、当該液を膜の表面および従来のデバイスのカソードに適用していた。陰極液は、膜の上および陰極の上に薄片が積み重なることを防ぐのに役立ち、これによって、電解槽の効率を改善する。
陰極液が薄片の積み重なりを防ぐのに役立つが、それでもなお、陰極液は、追加の部品を必要とし、かつ電解槽のデザインおよびそれを利用するシステムの設計に対するコストを悪化させ、かつ追加する、ということを発明者らは理解している。発明者らはさらに、本発明の例証となる形態において、積み重ねられた薄片に関連する不利が、電解槽100の簡易かつ経済的な設計によって無効化されることを理解した。図9および10の設計に示されているように、例えば、本発明の例証となる形態は、貯水槽または陰極液を含んでいない。言い換えれば、そのような形態は、貯水槽および陰極液を用いない。この経済的かつ簡易な電解槽100の設計は、電解槽100がもはや有効でなくなったときにそれを交換することを可能にする。
本発明の例証となる形態は、とりわけ、使い捨て可能であるという点、および、水の浄化のための低コストの解決法であるという点で有益である。より高価かつ複雑な従来のシステムが、効率を回復させるために陰極液の交換および/または電解槽の分解を必要とするのに対して、電解槽の例証となる形態は、単純に、取り除かれ、廃棄され、そして、新たな電解槽アッセンブリに交換される。電解槽の例証となる形態は、制限された寿命(既知の電解槽よりも長い寿命ではあるが)を有するかもしれないが、より複雑な従来の電解槽をメンテナンスすることに代えて、使い捨て可能な電解槽を単に交換することは、よりコスト効率が良いことである。そのような使い捨て可能な電解槽は、とりわけ、源水供給部が低レベルの不純物を有している場合に有益である。そのような環境下において、薄片の積み重なりは低く、そして、陰極液の必要性を軽減する。陰極液の必要性を軽減するその他の要因もまた、存在し得る。
電解槽の操作方法1100が図11に示されている。上述のように、2つの自立構造で立っているダイアモンド電極を有する電解槽において、一方の電極をアノードとして同定し、他方の電極をカソードとして同定する必要はない。いずれの電極も、アノードとしてもカソードとしても機能することができる。または実際には、アノードおよびカソードの役割が交互に行ったり来たりしてもよい。この特徴は、薄片の積み重なりを軽減するように電解槽が動作することを可能にする。
そのようなものとして、方法は、ダイアモンド材料を含む第1電極およびダイアモンド材料を有する第2電極を含む電解槽を提供することによって開始する(工程1101)。電解槽は、上述の電解槽と類似のものであってもよく、または、その他の設計のものであってもよい。いくつかの形態において、ダイアモンド電極は、自立構造で立っているダイアモンドであるが、その他の形態において、ダイアモンド電極は、従来技術で知られているような、薄層状のダイアモンドを含んでいてもよい。電解槽はまた、第1電極と第2電極との間で第1電極と第2電極とを分離する膜を含んでいる。
動作の際、水が電解槽に供給される(工程1102)。上述のように、いくつかの形態は、入ってくる水を第1流および第2流に分離し、そして、第1流をアノードへ向け、第2流をカソードに向ける。そのようなものとして、いくつかの形態は、工程1102で、水をそのような複数の流れに分ける。上述のように、いくつかの形態は、陰極液を必要とせず、または使用しない。そのようなものとして、いくつかの水が1つの水源から供給され、異なる源から陰極液が供給されることよりもむしろ、全ての水が1つの共通の源から供給され得る。従って、いくつかの形態は、単一のまたは共通の源から水を電解槽に供給する。
上述のように、電解槽の動作の際、複数の電極を横切る電位差が提供される。そのようなものとして、方法はまた、工程1103において、一回目は、第1電極および第2電極を横切る電位差を提供し、この電位差は正の極性を有している。
一方、この形態においては、薄片が電極上に積み重なり始める、または積み重なり続けるかもしれない。薄片の積み重なりに対抗するため、次の工程は、第1電極および第2電極への電圧の極性を反転させる(工程1104)。この工程1104は、一回目の後の二回目に実施され、電圧差が第2の(反対の、または逆転した)極性を二回目で有するようになる。電圧の極性を反転させることにより、電極と薄片との間での引力もまた反転され、これによって、第1極性の下では薄片を引き寄せていた電極が、第2極性の下では薄片を遠ざけるようになる。経時的に繰り返される極性の反転(例えば、第1極性、第2極性、第1極性、第2極性、など)は、薄片の積み重なりを軽減することに役立ち、そして、既に積み重ねられた薄片を無効にすることさえもできる。
そのようなものとして、プロセスは、二回目の後の三回目におけるさらなる電圧差の反転を含んでいる(工程1105)。この新たな電圧差は、三回目で第1極性を有している。
極性を反転させるこのプロセスまたはサイクルは、周期的に繰り返されてもよい。サイクルの周期は、システムのオペレータによって決定され得る。また、選択された周期は、電解槽の寸法、電極を過ぎる水流の速度、および、水の内容物(例えば、不純物の量)などの要因に依存していてもよい。例えば、極性は、毎分1回、毎時1回、毎日1回、または、周期的に、または様々な間隔でランダムに反転されてもよい。
印加された電圧差が、第1ダイアモンド材料を通る電流を生成する。例証となる形態において、第1ダイアモンド材料を通るこの電流は、第1時間と第2時間との間の期間の全体にわたって、少なくとも約1A/cm2の電流密度を有している。例えば、この時間の間、電流は、約1.5A/cm2、約2A/cm2または3A/cm2の電流密度、または、当業者によって決定されるさらに高い電流密度を有していてもよい。
その後、方法は、工程1106で、第1電極の第1流の中にオゾンを導入する。最終的に、方法は、オゾン導入後、工程1107で結合流を生成するため、第1流および第2流を結合させる。
いくつかの形態はまた、結合流を保持チャンバーに向ける(工程1108)。さらに、いくつかの形態は、さらなる水を保持チャンバーに提供し、ここで、さらなる水がオゾンによって浄化される(工程1109)。さらなる水は、オゾンが入っている水の結合流が保持チャンバーに到着する前、後、またはその期間中に、提供され得る。
本発明の上述の形態は、単に説明のためのものであり、多くの変形例および修正例が当業者にとっては明らかである。例えば、限定はされないが、いくつかの形態は、特定の電解槽を有するシステムを説明しているが、一般には、そのようなシステムは、上述の電解槽のいずれかを用いて構成され得る。その他の例として、図11の方法は、水を分離すること、および、電極を横切る電圧の極性を反転させることの両方を含んでいる。しかしながら、水流を分離する方法は、電圧の極性を反転させることなく実行されてもよい。また、電圧の極性を反転させる方法は、水流を分離することなく実行されてもよい。そのような変形例および修正例の全ては、特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲内であることが意図されている。