JP2014236522A - 振動型アクチュエータおよび光学機器 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の目的は、振動子と接触する被駆動部材の共振が発生しにくく、不要な振動が抑制された高出力で低騒音の振動型アクチュエータを提供することである。
本発明の実施形態を説明する前に、図5を参照して、被駆動部材(以下、摩擦部材ともいう)の固定方法について説明する。摩擦部材に複数の固定部を設けることにより、摩擦部材を複数の短い梁が固定部で連結したものとみなせる構成にし、共振周波数を高くして、その分布を疎にする方法がある。ただし、この方法では、梁に生じる応力の伝達が固定部で完全に遮断できる程度に、固定部の支持剛性を大きく必要がある。図5(A)は、1つの梁の両端及び中央に固定部を設けた構成とし、支持剛性が十分に大きい例を示す概念図である。1つの梁のA部とB部は両端がそれぞれ固定部に固定されているので、A部に応力が生じた場合でも、B部への応力の伝達が遮断される。しかし、カメラのような小型機器ではこのような固定部は現実的ではない。また、固定部の支持剛性が不十分である場合、応力が固定部を越えて伝達するので、共振周波数を高くして、その分布を疎にする効果が十分得られない。図5(B)は、1つの梁の両端及び中央に固定部を設けた構成にて、その支持剛性が十分ではない例を示す概念図である。A部に生じた応力がB部へ伝達することを示している。
以下の実施形態では、摩擦部材の固定部での応力の伝達を低減し、共振周波数を従来よりも高くして共振周波数の分布を疎にするための構成を説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る超音波モータ1の構成例を示す図である。図1(A)は超音波モータ1を、振動子11と摩擦部材31の相対移動方向から見た場合の図である。駆動方向(x方向)を紙面に垂直な方向とする。図1(B)は、図1(A)に示す超音波モータ1のA−A線に沿う断面図である。x方向を左右方向とする。
振動子11は圧電素子11aを金属板11bに貼り付けた構造を有する。圧電素子11aに対し、図示しない圧電素子駆動部が交流電圧を印加することで振動子11に2つの振動モードを発生させる。この2つの振動モードを組み合わせることにより金属板11bに設けられた複数の接触部11cに楕円運動が発生する。なお、接触部11cに楕円運動を発生させる原理の詳細な説明については省略する(前記特許文献1参照)。
本実施形態における摩擦部材31の共振周波数の分布の変化を図6に示す。図6(A)は、スリット部を形成していない摩擦部材31の両端部を保持部材41に固定した場合の比較例を示す。左側の斜視図で示すように、両端部を固定する方法で摩擦部材31を保持部材41に固定した場合の共振周波数の分布を右側に図示する。横軸は周波数を表し、1次ないし5次振動の共振周波数をf1ないしf5で例示する。縦軸は振動の強さを表す。一方、図6(B)は、摩擦部材31に複数のスリット部31bを形成し、スリット部31bにより区分される各領域について、それぞれの固定部31c1〜3を介して保持部材41に固定した構成を左側の斜視図に示す。摩擦部材31の長手方向にて3箇所で保持部材41に固定した場合の共振周波数の分布を右側に図示する。横軸は周波数を表し、1次振動及び2次振動の共振周波数をF1及びF2で例示する。
これに対し、図6(B)の固定方法を実施した場合、摩擦部材31の共振周波数が高いため、1次と2次の共振周波数F1,F2が疎に分布している。共振周波数同士の間隔が広いため、駆動周波数帯域と共振周波数が重ならないように設計することは容易である。図6(B)で共振周波数F1,F2は駆動周波数帯域外である。よって、摩擦部材31の共振が発生しにくく、不要な振動が抑制された高出力で低騒音の超音波モータを実現できる。
図3(A)は摩擦部材31の構成例を示す側面図である。図3(B)は、スリット部31bにより2分された摩擦部材31の各領域31d、31eを、それぞれが独立した梁131a、131bであると仮定した場合の模式図である。梁131a、131bは、摩擦部材31の固定部31cと同様の位置で支持されているものとする。摩擦部材31の可聴周波数帯域における共振を防ぐためには、梁131a、131bの面外方向屈曲1次振動モードの共振周波数を可聴周波数帯域外とし、上限(約20kHz)よりも高くする。なお、面外方向屈曲1次振動モードとは、図3(B)に破線で示すように、摩擦部材31において振動子11との接触面31aに対して垂直な方向の振動モードである。
図3(C)は、摩擦部材31にスリット部31bを設けることにより厚みが薄くなった部位(薄肉部)31fを両端固定の梁と仮定した場合の模式図である。この場合、摩擦部材31の可聴周波数帯域における共振を防ぐためには、梁としての薄肉部131cの面外方向屈曲1次振動モードの共振周波数を可聴周波数帯域外とし、上限よりも高くする。なお、面外方向屈曲1次振動モードとは、図3(C)に破線で示すように、摩擦部材31において振動子11との接触面31aに対して垂直な方向の振動モードである。
なお、本実施形態では、振動子11として圧電素子11aを金属板11bに貼り付けた構造を例示して説明した。これに限らず、例えば複数の圧電素子を貼り合わせたバイモルフ構造の振動子等を用いても同様の効果を得ることができる。このような構成上の変更は後述の実施形態でも同様に可能である。
次に本発明の第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態にて第1実施形態の場合と同様の構成要素については既に使用した符号を用いることにより、それらの詳細な説明を省略する。本実施形態では回転駆動型アクチュエータを例示する。
図4は本実施形態に係る超音波モータ2の構成例を示す。図4(A)は超音波モータ2の一部を切り欠いて示す側面図であり、図4(B)は図4(A)のA−A線に沿う断面図である。本実施形態の超音波モータ2では、2つの振動子11を平行に並べることで回転駆動を行う。振動子11は圧電素子11aを金属板11bに貼り付けた構造をもつ。圧電素子駆動部は、各圧電素子11aに対して交流電圧を印加することで、各振動子11に複数の振動モードを発生させる。これらの複数の振動モードを組み合わせることにより金属板11bに設けた接触部11cに楕円運動が発生する。接触部11cは、各振動子11の金属板11bにそれぞれ設けられている。
11 振動子
21 支持部材
31 摩擦部材(被駆動部材)
41 保持部材
51 ベース部材
Claims (12)
- 圧電素子を有する振動子と、
前記振動子と圧接し、前記圧電素子の駆動により前記振動子に対して相対的に移動する被駆動部材と、
前記被駆動部材を保持する保持部材を備え、
前記被駆動部材はスリット部、及び複数の取り付け用の固定部を有し、前記スリット部により区分される前記被駆動部材の各領域が前記固定部により前記保持部材にそれぞれ固定されていることを特徴とする振動型アクチュエータ。 - 前記スリット部は、前記被駆動部材にて前記振動子と接触する面とは異なる面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記スリット部は、前記被駆動部材にて前記振動子と接触する面とは反対側の面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記スリット部により区分される前記被駆動部材の各領域は、それらの端部が前記複数の固定部により前記保持部材に固定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記スリット部は、前記被駆動部材及び保持部材の駆動方向において、前記複数の固定部のうち、第1の固定部により前記被駆動部材を前記保持部材に固定した位置と、第2の固定部により前記被駆動部材を前記保持部材に固定した位置との間に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記被駆動部材及び保持部材の駆動方向において、前記被駆動部材に前記スリット部が形成された薄肉部の両端が前記固定部により前記保持部材に固定されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記スリット部により区分される前記被駆動部材の各領域を、前記固定部により前記保持部材にそれぞれ固定することにより構成される梁の面外方向屈曲1次振動モードの共振周波数は、可聴周波数帯域外であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記薄肉部の両端を前記固定部により前記保持部材に固定することによって構成される梁の面外方向屈曲1次振動モードの共振周波数は、可聴周波数帯域外であることを特徴とする請求項6に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記保持部材に固定された前記被駆動部材の共振周波数は、前記圧電素子の駆動周波数帯域外であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。
- 前記振動子の支持部材と、
前記支持部材を介して前記振動子を並進可能に支持するベース部材と、
前記ベース部材と前記保持部材との間に配置される転動部材を備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。 - 円環状の前記被駆動部材と、
前記保持部材を回転可能に支持するベース部材と、
前記ベース部材と前記被駆動部材との間に配置された複数の前記振動子を備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータ。 - 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータと、
前記保持部材の移動によって駆動される光学素子を備えることを特徴とする光学機器。
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