ここに記載された図面およびシステムは通常の記号を用いて構成されうるが、異なる態様から認識されうる様々な実施を反映するために、図面はより一般的な方法で準備される。
本発明はいくつかの具体的な態様を参照して説明されるが、その記載は本発明の例示であって、本発明を限定するものとして解釈されるものではない。本発明に対する様々な修正は、本発明の真の精神および範囲から外れることなく、当業者による好ましい態様となり得る。より深い理解のため、要素が指定され、様々な数字を通して参照符号が用いられることをここに記す。
(シングルステージシステム)
図1は本発明の圧縮空気エネルギー保存システム20のもっとも簡単な態様を示し、重要な原理の多くを例示する。簡潔に書くと、現存する圧縮空気エネルギー保存システムの設計を向上させるこれらの原理の中には、圧縮および膨張の間、熱交換を容易にするために液体を空気と混合する工程を含むことによってプロセスの効率を向上させ、空気を圧縮することと膨張することの両方のための同じ機構を活用するものもある。最後に、バルブタイミングを電気的に制御することによって、所定の圧縮空気の量からのもっとも高い可能な仕事出力が得られうる。
図1にもっともよく示されるように、エネルギー保存システム20は、その内部にピストン装置23等の受け皿を往復運動させるために形成されたチャンバー22を画定するシリンダー装置21を含む。圧縮空気エネルギー保存システム20はまたシリンダー装置21と一緒となる圧力セル25をユニットとして含み、一つのステージの可逆的な圧縮/膨張機構(つまり、単一ステージ24)を形成する。空気フィルター26,気液分離機27、およびパイプ30および31を介して低圧側の圧縮/膨張機構24に流体的に接続されている液体49dをそれぞれ含む液体タンク28がある。高圧側には、空気保存タンク32が入口パイプ33および出口パイプ34を介して圧力セル25に接続されている。2つの出力ノズル11および44に沿って、複数の二方・二位置バルブ35〜43が設けられる。この具体的な態様はまた液体ポンプ46および47を含む。しかしながら、液体タンク28の位置がシリンダー装置21の位置よりも高いならば、水はシリンダー装置に重力によってフィードされ、ポンプ46の必要性が除かれることが好ましいであろう。
簡潔に書くと、大気中の空気がパイプ10を介してシステムに入り、フィルター26を通過し、パイプ30を介してシリンダー装置21のシリンダーチャンバー22に入り、そこで液圧もしくは他の機械的なアプローチによるピストン23の作用によって圧縮される(図8参照)。圧縮が始まる前に、圧力セル25からパイプ48を介して、噴霧ノズル44を用いて、液体ミストがシリンダー装置21のチャンバー22に導入される。この液体は、水、油、もしくは十分に高い熱容量特性を有する、圧力セルからの他の適切な液体49fであり得る。システムは好ましくは実質的に大気温で運転され、高温に耐えうる液体が必要とされない。液体ミストの主要機能はシリンダーチャンバー内における空気の圧縮中に発生する熱を吸収することである。そのため、それぞれの圧縮ストロークの間にチャンバーに注入されるミストの所定量は、そのストロークの間に発生する熱の全てを吸収するために必要とされる量である。ミストが濃縮されるにつれて、それがシリンダーチャンバー22内で液体物49eとして回収する。
その後、圧縮空気/液体混合物はパイプ51を介して出口ノズル11を通って圧力セル25に移送される。圧力セル25内において、移送された混合物は、セル内に含まれる液体物49fへの圧縮によって発生する捕捉された熱を交換する。空気は、液体を通して、かつ、圧力セルの上部で泡立ち、その後、パイプ33を介して空気保存タンク32に進む。
膨張サイクルは原則的に圧縮サイクルの逆のプロセスである。空気はパイプ34を介して空気保存タンク32を離れ、圧力セル25内の液体49fを通して泡立たせ、パイプ55を介してシリンダー装置21のチャンバー22に入り、そこでピストン23もしくは他の機械的連結機構を駆動させる。再度、膨張プロセス中、シリンダーチャンバー内で略一定の温度を維持するために膨張の間、出口ノズル44およびパイプ48を介して、液体ミストがシリンダーチャンバー22に導入される。空気の膨張が完了した時、分離された液体が再利用されうるように、用いられた空気およびミストが気液分離機27を通過する。最後に、パイプ10を介して空気が大気に放出される。
圧縮の間に発生する熱を除去するために、もしくは膨張の間に吸収されるチャンバーに熱を加えるために、圧力セル25内に収容される液体49fは連続的に熱交換器52を通して循環される。従来型の空冷式もしくは水冷式の熱交換器(この図には示されないが、図3における12として示される)を介して、この循環液が次々にシステム外にある熱溜まり(例:大気、池、等)と熱を交換する。内部の熱交換器52と連通するパイプ53および54を介して、循環液が外部の熱交換器に向けて、および熱交換器から運ばれる。
図1の装置はさらにコンピューター読み出し可能保存装置1002と電気的に連結されるコントローラー/プロセッサー1004をさらに含み、それはどのような構造も取り得て、以下に限定されるものではないが、半導体の原理、磁気保存原理もしくは光学保存原理に基づくものを含む。コントローラー1004はシステム内の能動素子の領域と電気的に連結されるものとして示され、以下のものに限定されるものではないが、バルブ、ポンプ、チャンバー、ノズルおよびセンサーを含む。本システムによって用いられるセンサーの具体例は、以下のものに限定されるものではないが、圧力センサー(P)1008、1014および1024、温度センサー(T)1010、1018、1016および1026、湿度センサー(H)1006、体積センサー(V)1012および1022、および流量センサー1020を含む。
以下に詳細を示すように、1つ以上のシステム要素から受け取られる入力、およびそれらの入力から計算され得る数値にも基づいて、コントローラー/プロセッサー4は、1つ以上の目的を達成するためにシステムの運転を動的に制御し得る。目的は以下のものに限定されるものではないが、以下のものを含む:最大化もしくは制御された保存されたエネルギーの有効仕事への変換効率、最大化、最小化、もしくは制御された動力出力、予期される動力出力、ピストンと連結する回転シャフトの予期される出力速度、ピストンと連結する回転シャフトの予期される出力トルク、ピストンと連結する回転シャフトの予期される入力速度、ピストンと連結する回転シャフトの予期される入力トルク、ピストンと連結する回転シャフトの最大出力速度、ピストンと連結する回転シャフトの最大出力トルク、ピストンと連結する回転シャフトの最小出力速度、ピストンと連結する回転シャフトの最小出力トルク、ピストンと連結する回転シャフトの最大入力速度、ピストンと連結する回転シャフトの最大入力トルク、ピストンと連結する回転シャフトの最小入力速度、ピストンと連結する回転シャフトの最小入力トルク、もしくは、それぞれのステージにおける最大の予期される空気の温度差。
本シングルステージシステムの圧縮サイクルは以下のように進行する:
圧縮サイクルのステップ1の間、ピストン23が上死点(TDC)に達する時にシリンダー装置内の死容積がゼロになるように、液体49dが液体タンク28からシリンダー装置21のチャンバー22に加えられる(液体物49eとして回収)。これは時々なされなければならないだけであり、このステップはサイクルの大多数で省略される。
圧縮サイクルのステップ2の間、圧力セル25から液体ミストが、パイプ48およびノズル44を介してシリンダーチャンバー22に、ポンプ47を介して送りこまれる。選択されたミストの数は圧縮ステップ(ステップ3)の間に発生する熱を吸収するのに十分である。液体ミストの体積分率は滴が実質的に一緒に結合しないほど十分に低く、そのため、熱交換のために利用可能な有効表面積(つまり、空気と液体との間の界面)が減少する。概して、ポンプ47の運転が必要とされないように、圧力セル25とシリンダー装置21のチャンバー22との間の圧力差は十分に高い。
圧縮サイクルのステップ3の間、液圧もしくは他の機械的構造(図8参照)によってピストンロッド19と接続されるクランクシャフト(不図示)によってピストン23が上方に駆動され、シリンダーチャンバー内に収容される空気およびミストを圧縮する。
シリンダーチャンバー22内部の空気圧が圧力セル25内部の圧力と略同じになる時に圧縮サイクルのステップ4が開始され、そこで出口バルブ38が開放され、圧縮空気がシリンダーチャンバーから圧力セルに向けて流れ出す。圧縮サイクルのステップ1の間にシリンダー装置に加えられる液体のため、シリンダーチャンバー内の略全ての空気がこのステップの間に押し出されうる。取り込まれたミストとともに入口ノズル11を通って圧縮空気が圧力セル25に導入され、圧縮中に発生した熱がセル内の液体49fと急速に交換されるように微細な泡を生成する。
圧縮サイクルのステップ5の間、バルブ36およびパイプ30を介して、ピストン23が押し下げられ、低圧空気がシリンダー装置に補充される。上記表は、このステップの間は閉じられているものとしてバルブ39を示し、このステップ5の間、オフになっているものとしてポンプ47を示す。しかしながら、これは必須ではない。他の態様においては、空気でシリンダー装置が満たされるにつれてミストがシリンダーチャンバーに導入されるように、ステップ5の間、バルブ39が開放されうるし、ポンプ47がオンでありえる。
本シングルステージシステムの膨張サイクルは以下のように進行する。
膨張サイクルのステップ1の間、システム内の死容積を除くように、液体タンク28からシリンダーチャンバーに液体が加えられる。上述のように、これは稀にしか必要とされないであろう。圧縮サイクルと同様に、もし液体タンク28がシリンダー装置21のチャンバーの位置よりも高い位置に置かれるならば、ポンプ46は除外されうる。
膨張サイクルのステップ2の間、正確な間隔で入口バルブ37を開放することによって、所定の空気量V0がシリンダー装置のチャンバーに加えられ、それは圧力セル内の空気圧および所望の膨張比に左右される。必要とされるV0は所望の膨張比によって除されるシリンダー装置の容積の合計である。シングルステージシステムにとって、その比は大気中の空気保存タンク内の空気圧以下である。空気がシリンダーチャンバー22に導入されていると同時に、入口ノズル44を通して、(ポンプ47を介して)圧力セルからの液体ミストがシリンダーチャンバーに送りこまれる。もし十分な圧力差が圧力セル25とシリンダー装置21との間に存在するなら、ポンプ47は必須ではない。いったんシリンダーチャンバー内部の圧力が十分に高くなると、バルブ37が閉じられる。このステップを発端にピストン23がBDCの方向に動かされ、クランクシャフト、液圧、もしくは他の機械的手段を介して、システムから動力を伝達する。
膨張サイクルのステップ3の間、ステップ2において導入された空気はチャンバー22において膨張される。液体ミストもまたノズル44を通してチャンバー22に送りこまれ続ける。導入されるミストの所定の総量は、空気膨張の間、温度を略一定に保つためにシステムに十分な熱を加えるために必要とされる量である。このステップの間、ピストン23はシリンダー装置の底に向けて駆動される。
この2ステップ膨張プロセス(第1ステップにおいて導入された空気量V0−ステップ2、そして第2ステップにおいて膨張される−ステップ3)によって、システムは圧縮空気において利用可能な略全てのエネルギーを引き出すことが可能となることが好ましいであろう。
膨張サイクルのステップ4の間、クランクシャフトもしくは他の機械的連結機構がピストン19を上死点(TDC)まで戻し、消費された空気および液体ミストをシリンダー装置から排気する。ピストンを駆動させるために必要とされる動力は、システムの運動量および/または他の位相の異なるピストンの動作によってもたらされる。排気空気は気液分離機を通過し、分離された液体は液体タンク28に戻る。
(マルチステージシステム)
機械力がシステムに向けて、およびシステムから運ばれることによる機械的もしくは液圧的なアプローチによって提供されうるよりも大きな圧縮/膨張比が求められる時には、マルチステージが用いられるべきである。3ステージ(つまり、第1ステージ24a、第2ステージ24b、および第3ステージ24c)を有するマルチステージ圧縮空気エネルギー保存システム20は図2に模式的形態で示される。より多くもしくはより少ないステージを有するシステムが同様に構築される。以下の全ての符号において、文字a、b、およびcが数値指定とともに用いられる時(例:25a)、それらはマルチステージエネルギー保存システム20の個々のステージにおける要素を参照することに言及する。
本発明によれば、それぞれのステージは概して略同じ膨張比を有し得る。あるステージの膨張比r1は全体の膨張比のN乗根である。すなわち下式のように表される。
ここでRは全体の膨張比であり、Nはステージの数である。しかしながら、全てのステージの膨張比の積がRである限り、異なるステージが異なる膨張比を有し得ることが好ましいであろう。すなわち、3ステージシステムにおいては、たとえば下式のように表される。
それぞれのステージを通して質量流量が略一定となるために、より低い圧力のステージはより大きな排気量を有するシリンダーチャンバーを有しなければならないであろう。マルチステージシステムにおいては、シリンダーチャンバーの相対的な排気量は以下の式によって支配される。
ここで、Viはi番目のシリンダー装置の容積であり、Vfはシステムの合計排気量である(すなわち、シリンダー装置の全ての排気量の総和)。
例として、3ステージシステムの合計排気量が1リットルであると推定する。もしそれぞれのピストンのストローク長さが略同じであり、最終シリンダーチャンバーの内径(直径)と略同じであるならば、3つのシリンダーチャンバーの容積は、約19cm3、127cm3、および854cm3である。3つのシリンダーチャンバーに対して約10.3cmのストローク長さを伴い、内径は約1.54cm、3.96cm、および10.3cmである。最も低圧のシリンダー装置は最大のものであり、最も高圧のシリンダー装置は最小のものである。
3つのステージ24a、24bおよび24cがどのように液圧システム(例:液圧モーター57および6個の液圧シリンダー61a1〜61c2)と接続され、連続的なほぼ一様の動力出力を生み出し得るかの模式図が図9である。それぞれの対応する圧縮空気駆動シリンダー装置21a1〜21c2のそれぞれの圧縮空気駆動ピストン23a1〜23c2が、それぞれのピストンロッド19a1〜19c2を介して、それぞれの液圧シリンダー装置61a1〜61c2の対応するピストン60a1〜60c2と接続される。
上述のように、空気駆動シリンダー装置21a1〜21c2のチャンバーは排気量の点で異なる。しかしながら、液圧シリンダー装置61a1〜61c2のチャンバーは排気量の点で略同一である。それぞれの空気駆動ピストンによって生じる力が3つのステージに渡って略同一であるため、それぞれの液圧シリンダー装置は液圧モーター57に略同一の圧力を供給する。この構造において、所定のステージ(例:第1のステージ24a)を備える2つの空気駆動ピストン21a1、21a2はお互い180度位相が異なる状態で運転することに言及する。
(マルチステージシステムにおける熱交換を効率化するために液体ミストを用いるステージ)
もしステージが単動であり、熱交換を効率化するために液体ミストを用いるのであれば、上記のシングルステージシステムと名付けられたセクションに記載されたスキームに従ってステージが運転される。マルチステージ20(例:図2の第2のステージ24b)のそれぞれの単動ステージは図4に模式的に示される。この構造においては、圧縮の間、2番目に低い圧力のステージ(例:第1のステージ24a)の圧力セル25aから説明される第2のステージ24bのシリンダーチャンバー22bに空気が流れ、膨張の間、パイプ92a/90bを介して2番目に低い圧力のステージの圧力セルに空気が流れる。液体は、パイプ93a/91bを介して2番目に低い圧力のステージの圧力セル25aに向けて、および圧力セル25aから流れる。
その一方、圧縮の間、説明されたステージ(例:第2のステージ24b)の圧力セル25bから、2番目に高い圧力のステージ(例:第3のステージ24c)のシリンダー装置のチャンバーへ向けて空気が流れ、膨張の間、パイプ92b/90cを介して2番目に高い圧力のステージのシリンダー装置のチャンバーから空気が流れる。説明された空気圧縮/膨張機構(例:第2のステージ24b)が図1に示される主要な要素(第1のステージ24のシリンダー装置21および圧力セル25)と正確に同じであり、例外として、図4において、あるステージの圧力セルから2番目に高い圧力のステージのシリンダー装置のチャンバーに液体を運ぶパイプ93bがあることが好ましいであろう。高圧ステージにとってはパイプ93bは必須ではない。それゆえ、シングルステージ構造の図面である図1および図3にはそれは表されていない。
説明されたステージが最も圧力の低いステージであるならば(例:図2の態様における第1のステージ24a)、膨張サイクルの間はライン90aが空気を気液分離機(例:図1における分離機27)に流し、圧縮サイクルの間は空気フィルター(例:図1におけるフィルター26)から流す。同様に、もし説明されたステージが最も圧力の低いステージであるならば、ライン91aは液体タンクへ向けて、および液体タンクから液体を伝える。もし説明されたステージが最も圧力の高いステージであるならば(例:第3のステージ24c)、パイプ92cを介して、空気が、空気タンク(例:図1における空気タンク32)へ向けて、および空気タンクから運ばれる。
(熱交換を効率的に行うために泡を用いる単動ステージ)
空気が圧縮されるにつれて空気を冷却する、もしくは空気が膨張されるにつれて空気を加熱するために、シリンダー装置もしくは圧力セルに噴霧される液体ミストを用いる代わりに、本発明のある具体的な態様は逆の手順を用いる。すなわち、図6にもっともよく示されるように、シリンダー装置21cのチャンバー22c内の液体物49c1を通して空気が泡立てられる。必要な熱交換を効率化するために必要とされるミストの体積分率が圧縮サイクルの間に結合する滴の高い割合を引き起こすのに十分に高くなるだろう際に、このプロセスが上述のミストのアプローチに優先して用いられるべきである。概して、これはより高い圧力で起こる。それゆえ、図6における指示子cの使用(例:25c)は第3もしくは高圧ステージを示す。
図1に関連して上述されるように、図6の装置はコンピューター読み出し可能保存装置6004と電気的に連結されるコントローラー/プロセッサー6002をさらに有し、どんな構造でもあり得て、以下に限定されるものではないが、半導体の原理、もしくは、磁気保存または光学保存の原理に基づくものを含む。コントローラー6002はシステム内の能動素子の領域と電気的に連結されるものとして示され、以下に限定されるものではないが、バルブ、ポンプ、チャンバー、ノズル、およびセンサーを含む。本システムによって用いられるセンサーの具体的な例は、以下に限定されるものではないが、圧力センサー(P)6008および6014、温度センサー(T)6010、6016および6018、および体積センサー(V)6012を含む。
図6は熱交換を容易にするために泡を用いるステージを説明する。この単動ステージシステムのための圧縮サイクルは以下のように進行する。
その一方、この単動ステージシステムのための膨張サイクルは以下のプロセスを用いる。
このステージ(例:第3のステージ24c)におけるシリンダー装置21cのチャンバー22cからの空気−液体混合物は、膨張サイクルの間、バルブ108cおよびパイプ91c/95bを介して、2番目に低い圧力のステージ(例:第2のステージ24b)の圧力セル25bに運ばれる。圧縮の間、たとえばパイプ92b/90cを介して2番目に低い圧力のステージ24bから、この第3のステージ24c内のシリンダー装置21cのチャンバー22cに空気が運ばれる。
その一方、たとえば、この第2のステージ24cの圧力セル25cからの空気は、直列バルブ41cの操作とともにパイプ92c/90dを介して2番目に高い圧力のステージのシリンダーチャンバー22dに向けて、およびシリンダーチャンバー22dから運ばれる。このステージの圧力セル25cからの液体49cは、たとえばパイプ93c/94dを介して、2番目に高い圧力のステージ24dのシリンダーチャンバー22dに運ばれる。(その膨張サイクルの間、)2番目に高い圧力のステージのシリンダーチャンバー22dからの空気−液体混合物はパイプ91d/95cを介してこのステージの圧力セル25cに運ばれる。
いくつかのマルチステージシステムにおいて、他の(高圧)ステージがそこからのエネルギーを保存および除去するために泡の技術を用い得る一方、(低圧)ステージは液体ミスト技術を用い得ることが好ましいであろう。
(多相)
ここまでに説明されたシステムは単相の態様を表すものである。すなわち、全てのピストンは1サイクルの過程にわたって一緒に動く。たとえば膨張の間は、これによってサイクルの半分の間は機械的な作業出力量が変化し、サイクルの残り半分の間に作業入力が必要となる。そのような作業入力はフライホイール(不図示)の使用によって容易になり得る。
1サイクルの過程にわたる動力出力をスムースにし、フライホイールの必要性を低減するため、ある態様においては、マルチシステム相が用いられ得る。そのため、N組のピストンが別々に360/N°動作し得る。たとえば、4式のピストンは90°位相がずれて動作し、出力をスムースにし、自動スタートおよび動作の優先方向を効率的にする。シリンダー装置を圧力セルと接続するバルブはサイクルの半分以下の間のみ開放され、180°の2つの位相それぞれの間で圧力セルを共有することが可能になることに言及する。
もしN相が用いられていて、Nが偶数であれば、一対の相は180°であり、複動ピストンを用いて実行され得る。図5は、熱交換を効果的に行うために液体ミストを用いる複動ステージを示す。ピストンのそれぞれの半分は、シングルステージシステムのセクションで要点が説明された手順に従って動かされるが、180°位相がずれている。
図1に関連して上述されるように、図5の装置はコンピューター読み出し可能保存装置5004と電気的に連結されるコントローラー/プロセッサー5002をさらに含み、それはどのような構造も取り得て、以下に限定されるものではないが、半導体の原理、もしくは磁気保存または光学保存の原理に基づくものを含む。コントローラー5002は本システムにおける能動素子の領域と電気的に連結されるものとして示され、以下に限定されるものではないが、バルブ、ポンプ、チャンバー、ノズル、およびセンサーを含む。本システムによって用いられるセンサーの具体的な例は、以下に限定されるものではないが、圧力センサー(P)、温度センサー(T)、湿度センサー(H)、および体積センサー(V)を含む。
図5で説明される複動ステージのための圧縮サイクルは以下のように進行する。
ピストン内の液面が運転中の長い時間にわたって略同じに保たれるので、いくつかの具体的な態様において、ステップ5は不必要であり、大多数のサイクルにおいて省略されうることに言及する。
その一方、図5に説明される複動ステージのための膨張サイクルは以下のように進行する。
圧縮と同様に、ステップ5はまれにしか必要とされず、サイクルの大部分において省略され得ることに言及する。
(複数のシリンダー装置を備えるステージ)
マルチステージシステム20内の全てのシリンダー装置が略同じサイズであることが望ましいのであれば、より大きな(低圧の)シリンダー装置は、平行に連結される、2つ以上のより小さなシリンダー装置に分割され得る。そのようなステージの例が図7に示され、それが図4の態様のステージの別の態様である。この構造において、4つの実質的に同様なシリンダー装置21b1〜21b4が、液体物49bを含む単一の圧力セル25bを共有する。しかしながら、システムが全体としてより一様に動力を運び得るようにシリンダー装置をお互いに位相をずらして動かすことが望ましいならば、別々の圧力セルがそれぞれのシリンダー装置に対して必要となるだろう。上述のように、例外は180°位相をずらしたシリンダー装置であり、そこから共通の圧力セルを共有し得る。
図7の態様に戻り、上記シングルステージシステムのセクションに記載されたミスト式システムに用いられるスキームに従って、シリンダー装置21b1〜21b4のそれぞれが運転される。
マルチシリンダー装置ステージは単動もしくは複動であってもよく、熱交換を効果的に行うために液体ミストか泡のどちらかを使用し得る。マルチステージシステムは、単一のシリンダー装置を有するステージと、複数のシリンダー装置を有するステージと、を有し得る。
(システムへ、およびシステムから機械力を運ぶ選択肢)
本発明に係るステージに向けて、およびステージから動力を運ぶために、少なくとも4つの方法が適用され得る。これらは以下に述べられ、図8に例示される。
W.直動液圧シリンダー装置21wが示され、以下のように動かされる。膨張サイクルの間、バルブ121wおよびパイプ122wを介してシリンダー装置21wのチャンバー22wに入る空気によって、圧力液49wがバルブ123wから出される。それから、それがパイプ124wを通過する。そのため、液体に対して空気圧によって印加される力は、機械力を生み出すために液圧装置(例:図9に示されるように、液圧モーター57、液圧シリンダー装置、もしくは水力タービン)を動かすために用いられ得る。圧縮サイクルの間、逆のプロセスが起こる。機械力の外部源が液圧ポンプもしくはシリンダー装置を動かし、バルブ123wを通して圧力液49wをシリンダーチャンバー22wに入れ、チャンバー内の空気を圧縮する。空気が所望の圧力に達した時、バルブ121wが開放され、圧縮空気をシリンダーチャンバー22wから2番目に高い圧力のステージもしくは空気タンクに流す。
X.単動ピストン23x(図4にも示される)はピストンロッド19xを介して従来型のクランクシャフトと接続され得る。その動作は上述のシングルステージシステムのセクションにおいて詳しく説明されている。
Y.複動ピストン(図5にも示される)は同様にピストンロッド19yを介してクランクシャフトに接続され得る。その動作は上述の多相と銘打たれたセクションにおいて詳しく説明されている。
Z.ダイヤフラム125を有する液圧シリンダー装置21は、膨張サイクルの間、バルブ121zを介して空気がシリンダーチャンバー22zに入る時にダイヤフラム125が下方向に力を加えられるように示されている。そのため、圧力液49zはバルブ123zおよびパイプ124zを通るように強いられるか、追いやられる。同様に、圧縮サイクルの間、圧力液49zはバルブ123zを通り、シリンダーチャンバー22zに入るように強いられ、ダイヤフラム125を上方向へそらし、チャンバー22zの上部において空気を圧縮し、それからバルブ121zを介して外に出て行く。
これらの4つの選択肢の全てが、熱伝導を効果的に行うために液体ミスト技術か泡技術のどちらかとともに用いられ得る。ミストもしくは泡を供給するために必要なバルブおよびノズルは図8には示されていない。
上記の例はピストンの使用を示しているが、他のタイプの可動要素が用いられ得て、本発明の範囲の範疇に入る。用いられ得る他のタイプの装置の例は以下に限定されるものではないが、スクリューコンプレッサー、マルチローブブロワー、ベーンコンプレッサー、ジェロータ、およびクアシタービン(quasi−turbines)を含む。
(シングルステージの単動エネルギー保存システム)
図3の態様を参照して、直動液圧シリンダー装置(上記オプションA)として構成される2つの圧力セル25dおよび25eを利用するシングルステージの単動エネルギー保存システム20が例示される。2つの圧力セルはお互いにほぼ180°位相をずらして動かされる。液体ミストが圧縮サイクルの間の熱交換を効果的に行うために用いられ、泡とミストとの両方が膨張サイクルの間の熱交換を効果的に行うために用いられる。
図1に関連して上述されるように、図3の装置はコンピューター読み出し可能保存装置3008と電気的に連結されるコントローラー/プロセッサー3006をさらに含み、それはどのような構造も取り得て、以下に限定されるものではないが、半導体の原理、もしくは磁気保存または光学保存の原理に基づくものが含まれる。コントローラー3006は本システム内の能動素子の領域と電気的に連結されるものとして示され、以下に限定されるものではないが、バルブ、ポンプ、チャンバー、ノズル、およびセンサーを含む。本システムによって用いられるセンサーの具体的な例は以下に限定されるものではないが、圧力センサー(P)3016、3022および3038、温度センサー(T)3018、3024および3040、湿度センサー(H)3010、および体積センサー(V)3036、3014、および3020を含む。
シングルステージの単動エネルギー保存システム20の圧縮サイクルは以下のように進行する。
ステップ1の間、液圧ポンプモーター57を用いて圧力セル25eから圧力セル25dに流体が送り込まれることによって、セル25d内部の空気を圧縮する。流体ミストがノズル141を通して噴霧され、圧縮熱を吸収する。セル25d内部の圧力が空気タンク32の圧力に達した時、バルブ132が開放され、圧縮空気が空気タンクに向けて流れる。これらのステップが進行するにつれ、大気圧での空気がパイプ10および空気フィルター26dを介し、それからセル25eに入ってシステムに入り、それから送り込まれた流体を置換する。
全ての空気がセル25dから追い出される時、プロセスは逆に進み、液体をセル25dからセル25eに送り込むために4方バルブ138が状態を変更してステップ3が開始され、セル25e内部の空気が圧縮される。そのため、連続サイクルにおいて、液体がセル25dと25eとの間を行ったり来たりする。
シングルステージの単動エネルギー保存システムの膨張サイクルは以下のように進行する。
ステップ1において、圧縮空気がノズル11dを介して圧力セル25dに泡立てられる。泡がたつにつれて、それらは液体物49dと熱を交換する。空気はセル25dから追いやられ、パイプ139dを通過し、液圧モーター57を駆動させることによって機械力を運ぶ。
ステップ2において、圧縮空気をセル25dに入れるバルブ133が閉じられ、セル25d内の空気が膨張し、モーター57を動かし続ける。ステップ3において、いったん、ステップ1において入れられた空気がセル25dの上部に上昇し、液体物49dともはや熱を交換できなくなると、流体ミストがノズル141を介してセルに噴霧され、膨張中の空気をさらに加熱する。
ステップ1、2、および3の間、流体が液圧モーター57を通過するので、それはパイプ139eを通り続け、圧力セル25eに入り、そのセル内にある空気をパイプ140から出して液体トラップリザーバー13dに入れ、それから空気フィルター26dおよび最終的にパイプ10を介して空気が大気に放出される。
ステップ4、5および6はステップ1、2および3に酷似している。すなわち、圧縮空気が圧力セル25eに泡立てられ、流体に液圧モーター57を通過させ、それから圧力セル25dに入れる。
もしタンク13eが運転中に使い尽くされるならば、余剰液体が、タンク13dの底からセル25dおよび25eに、パイプ140と接続される不図示のポンプを用いて送りこまれる。
周囲と熱を交換する従来型の外部熱交換器12と接続され、圧力セル25dおよび25e内のコイル52dおよび52eによって示されるように、熱を伝導する空気および取り込まれた滴(熱交換器)のために、液体トラップ13dおよび13eの両方は、時間とともに温度を変化させる。そして、温度を周囲温度近くまで和らげる。
ステップ1および3の間にセル内で泡立てられた圧縮空気の体積は所望の動力出力次第である。もしセル内の全ての液体を動かすことなく空気が大気まで完全に膨張し得るならば、最大仕事量がストロークの間になされるだろう。もしストロークの間に空気が完全に膨張しないのならば、動力出力を等しくするその他の全てが効率の犠牲においてより高くなるだろう。
泡が液体を通してできている間、液体物とのほぼ全ての熱交換が起こるので、ストロークの行程の間に、空気泡が液体の表面に達するように圧力セルは不十分な高さではあり得ないことに言及する。しかしながら、排気ストロークが完了するまでに流体から完全に分離するために、それらは泡の列にとって十分に高くなければならない。もしシステムがゆっくり運転されなければならないならば、泡のいくつかは膨張が完了する前に頂点に達するだろう。この事象においては、膨張サイクルのノズル141(ステップ3において)もしくは142(ステップ6において)を通して液体ミストが噴霧される。
図3は基本原理を説明するためのものである。より大きな膨張比が望まれるシステムにおいては複数ステージ24の使用が求められる。
(システムの構成)
この発明に従って設計される複数のエネルギー保存システムの態様が可能であることが理解されるだろう。これらのエネルギー保存システム20はシングルステージもしくはマルチステージであり得る。ステージは単一シリンダー装置もしくはマルチシリンダー装置であり得る。熱交換は液体ミストを介して、もしくは泡を介して効果的であり得る。前述のセクションで説明される少なくとも4つの方法のいずれかを介して、動力がシステムに、もしくはシステムから運ばれ得る。可能な構成のそれぞれが具体的なアプリケーションもしくは一連の設計の優位性に長所を有する。ここでこれらの構成の全てを説明することは現実的ではないだろうが、求められるようなこれらの可能なエネルギー保存システムのいずれかを構成するように、当業者にとって、与えられた情報が十分であるはずである。
共通して以下の要素を有し得る構成もある。
1.空気との高表面積接触における液相によって効果的になる、必要とされる熱交換と一緒の、空気の近等温膨張および圧縮。
2.空気の圧縮および膨張の両方を可能にする可逆的機構。
3.圧縮空気の所定量から可能な最大作業出力を得るためのバルブタイミングの電気的制御。
4.もしエネルギー保存システムが液圧モーターもしくは水力タービンを用いるならば、その装置のシャフトが直接もしくはギヤボックスを介して電動発電機に接続される。もしエネルギー保存システムが往復運動するピストンを用いるならば、往復運動をシャフトのトルクに変換し得るクランクシャフトもしくは機械的連結機構が用いられる。
(膨張中の廃熱利用)
等温で運転するために、仕事中に(つまり、ピストンを押すこと、もしくは圧力液を動かすことによって)空気が膨張するにつれて冷却される空気の傾向は、外気もしくは水(例:流れもしくは湖)との熱交換によって是正されなければならない。しかしながら、もし他の熱源(たとえば復水器からの湯)が利用可能ならば、膨張サイクルの間、それが有利に用いられ得る。図1において、上記シングルステージシステムのセクションで説明されたように、パイプ53および54が外部熱交換器に繋がる。もしそれらのパイプが代わりに熱源に向かっているならば、膨張プロセスの効率は劇的に向上され得る。
システムは外気温と略同じもしくは近傍で運転されているので、この点において有益であるために、熱源は外気よりもわずか数度上回っていることが必要である。しかしながら、サイクルを通して膨張プロセスを外気温と同じもしくは上に保つために求められる全ての熱を供給するために十分な熱質量を熱源は持たなければならない。
上記に詳細が説明されるように、本発明に係るエネルギーを保存および回収するシステムおよび方法の態様は、プロセッサーおよびコンピューター読み出し可能保存媒体を含むホストコンピューターと連結されての実施にかなり適している。そのようなプロセッサーおよびコンピューター読み出し可能保存媒体は装置に組み込まれ得る、および/または、外部の入力/出力デバイスを通して、制御もしくはモニターされ得る。図20は、本発明の一態様に係る情報を処理する計算装置の簡素化された図である。この図は単なる例示であり、ここに請求項の範囲を限定するものではない。当業者は多くの他の変形、修正および代用を認識するだろう。本発明に係る態様は、ブラウザのような単一のアプリケーションプログラムで実行され得る、もしくは、クライアント−サーバ関係におけるワークステーション、パーソナルコンピューターもしくはリモート端末のような分散コンピューター環境における複数のプログラムとして実行され得る。
図20は、ディスプレイデバイス2020、ディスプレイスクリーン2030、キャビネット2040、キーボード2050、およびマウス2070を含むコンピューターシステム2010を示す。マウス2070およびキーボード2050は「ユーザ入力デバイス」を表す。マウス2070は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースデバイス上のボタンの選択のためのボタン2080を含む。ユーザ入力デバイスの他の例は、タッチスクリーン、ライトペン、トラックボール、データグローブ、マイクロフォン、等である。図20は、本発明を具体化するシステムの1つのタイプ以外の代表例である。多くのシステムのタイプおよび構成が本発明とともに使用するのに適していることは、当業者にとってきわめて自明であろう。好ましい態様において、コンピューターシステム2110は、ペンティアム(登録商標)クラスを基礎とするコンピューター、マイクロソフト社による、稼働するWINDOWS(登録商標)XP(商標)もしくはWINDOWS(登録商標) 7(商標)のオペレーティングシステムを含む。しかしながら、本発明の範疇から外れない範囲で、当業者によって、本装置は、他のオペレーティングシステムおよび基本設計概念に容易に適用される。
述べたように、マウス2170は、たとえばボタン2180のような1つ以上のボタンを有し得る。キャビネット2140は、たとえば、ディスクドライブ、プロセッサー、保存装置等のようなよく知られているコンピューター部品を収納する。保存装置は以下に限定されるものではないが、ディスクドライブ、磁気テープ、固体メモリ、バブルメモリ、等を含む。キャビネット2140は、たとえば、コンピューターシステム2110を外部デバイス、外部保存装置、他のコンピューター、追加の周辺機器、さらには以下に記載するものに接続するための入力/出力(I/O)インターフェースカードのような追加のハードウェアを含み得る。
図20Aは、図20のコンピューターシステム2010における基本サブシステムの例示である。この図は単なる例であり、請求項の範囲はここに限定されるべきではない。当業者は、他の変形、修正、および代用を認識するだろう。ある態様において、サブシステムはシステムバス2075を介して相互接続される。たとえば、プリンター2074,キーボード2078、固定ディスク2079、ディスプレイアダプター2082と接続されるモニター2076、および他のような追加サブシステムが示される。I/Oコントローラー2071と接続する周辺機器および入力/出力(I/O)デバイスは、たとえばシリアルポート2077のような当業者に既知の多くのアプローチによってコンピューターシステムに接続され得る。たとえば、シリアルポート2077はコンピューターシステムをモデム2081に接続するために用いられ得て、同様に、たとえば、インターネット、マウス入力デバイス、もしくはスキャナーのようなワイドエリアネットワークに接続される。システムバスを介した相互接続によって、セントラルプロセッサー2073は、それぞれのサブシステムと通信でき、および、サブシステム間の情報の交換だけでなくシステムメモリ2072もしくは固定ディスク2079からの命令の実行を制御することができる。サブシステムおよび相互接続の他のアレンジが当業者によって容易に実現可能である。システムメモリおよび固定ディスクはコンピュータープログラムの保存用の有形媒体の例であり、有形媒体の他の例は、フロッピー(登録商標)ディスク、着脱式ハードディスク、たとえばCD−ROMやバーコードのような光学保存媒体、たとえばフラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)およびバッテリーバックメモリのような半導体メモリを含む。
図21は、プロセッサー/コントローラー間の関係、受け取られる様々な入力、実行される機能、およびプロセスコントローラーによって生み出される出力を示す模式図である。示唆されるように、1つ以上の入力に基づいて、プロセッサーは装置の様々な運転特性を制御し得る。
制御され得るそのような運転パラメーターの一例は、膨張サイクルの間に流入空気をシリンダーに入れるバルブの開閉タイミングである。図11A〜Cは図1のシングルステージシステムのシリンダー22の簡素化された拡大図であり、前述のように膨張サイクルに耐える。
具体的には、膨張サイクルのステップ2の間、制御された時間間隔の間、バルブ37を開放することによって、所定量V0の空気が圧力セルからチャンバーに加えられる。この空気の量V0は、ピストンが膨張ストロークの終点に達する時にチャンバー内部の所望の圧力が得られるように計算される。
ある場合においては、もしステージが最も圧力の低いステージであるか唯一のステージであるならば、この所望の圧力は2番目に圧力の低いステージもしくは大気圧とほぼ等しくなるだろう。そのため、膨張ストロークの終点においては、初期の空気量V0におけるエネルギーは完全に消費され、膨張した空気を2番目に圧力の低いステージに動かす際に無駄になるエネルギーはほとんどないか、全くない。
この目標を達成するために、所望の空気量(V0)をチャンバーに入れることができる間のみバルブ37が開放され、その後、ステップ3〜4において(図11B〜C)、バルブ37は閉状態が維持される。ある態様においては、チャンバー内部の所望の圧力は、2番目に低いステージの、1psi以内、5psi以内、10psi以内、もしくは20psi以内であり得る。
他の態様においては、バルブ37がV0よりも大きな初期空気量を入れるようにコントローラー/プロセッサーがバルブ37を制御し得る。たとえば、エネルギー回収の効率を犠牲にして、より大きな動力が所定の膨張サイクルから望まれる時、そのような指示が与えられ得る。
圧縮の間、バルブの開閉タイミングも注意深く制御され得る。たとえば、図11D〜Eに示すように、ミストの追加および圧縮に対応する表のステップ2および3において、シリンダー装置と圧力セルとの間のバルブ38が閉状態のまま維持され、シリンダー内部で圧力が高まる。
従来型のコンプレッサー装置においては、蓄積された圧縮空気がチェックバルブによってベッセル内部に収容され、閾値圧力に応答して機械的に開放されるように設計されている。チェックバルブを作動させるために圧縮空気のエネルギーをそのように使用することが、有益な作業を実行するための空気からのエネルギーの能率的回収を損なう。
それに対して、図11Fに示すように、本発明の態様は、所望の条件の下でバルブ38を正確に開放するためにコントローラー/プロセッサーを用い得て、たとえば、そこではシリンダー内の蓄積圧力は圧力セル内の圧力を一定量上回る。この方法において、シリンダー内部の圧縮空気からのエネルギーはバルブ開放プロセスによって消費されず、エネルギー回収の能率は上昇する。圧縮空気をシリンダーから流出させるために制御に依存し得るバルブのタイプの態様は以下に限定されるものではないが、パイロットバルブ、カム操作ポペットバルブ、ロータリーバルブ、液圧作動バルブ、および電子作動バルブを含む。
シングルステージ装置のバルブ37および38の操作タイミングは上述したように制御され得る一方、他の態様におけるバルブが同様に制御され得ることが好ましいはずである。そのようなバルブの例は以下に限定されるものではないが、図3のバルブ130、132、133、134、136および137、図4のバルブ37bおよび38b、図5のバルブ37b1、38b1、37b2および38b2、図6のバルブ106cおよび114c、図7に示されるバルブ37b1〜4および38b1〜4を含む。
プロセッサーによって制御され得るシステムパラメーターの他の例はチャンバー内に導入される液体量である。たとえば、圧力、湿度、算出された効率、および他のような1つ以上の数値に基づいて、圧縮もしくは膨張の間にチャンバーに導入される液体量が注意深く制御され、運転の効率を維持し得る。たとえば、V0よりも大きい空気量が膨張サイクルの間にチャンバーに入ると、所望の温度範囲内で膨張中の空気の温度を維持するために追加の液体が導入されなければならないかもしれない。
本発明はこれらの上記具体的な態様に限定されない。他の方法および装置が本発明の範囲に含まれ得る。たとえば、シリンダー装置に液体を加えるステップは全てのサイクルの間に必須ではない。また、空気が注入されると同時に液体がチャンバーに加えられてもよい。
そのため、図12A〜Cに関係して示されるように、熱交換を効果的に行うために液体ミストを用いるシングルステージシステム用の圧縮サイクルの一態様におけるステップを以下の表が示し、図1と同様の要素が示される。
液体が空気と同時に導入される対応する膨張サイクルが以下の表に示され、図13A〜Cに関係する。
さらに、泡が熱交換を効果的に行うために用いられる場合、液体を補給するステップは全てのサイクルにおいて必須ではない。図14A〜Cに関係して、以下の表は、熱交換を効果的に行うために泡を用いるシングルステージシステム用の圧縮サイクルの一態様におけるステップを示し、そこでは図6におけるものと同様の要素が参照される。
このシステム用の対応する膨張サイクルが図15A〜Cに関連して以下の表に示される。
多相ステージ用の圧縮サイクルの一態様のステップが図16A〜Dおよび以下の表に示され、図5の要素を参照する。
複動ステージ用の対応する膨張サイクルが図17A〜Dおよび以下の表に例示される。
図18A〜Dに示されるシングルステージの単動エネルギー保存システム用の圧縮サイクルは以下の表に示され、シリンダー内への空気注入の際に噴霧されるミストを有し、図3に示される同様の要素を有する。
シングルステージの単動エネルギー保存システムの対応する膨張サイクルは図19A〜Dに示されるように以下のように進行する。
上述の具体的な態様における変形が可能である。たとえば、いくつかの態様においては、複数のピストンが共通のチャンバーと連結され得る。他の態様においては、マルチステージ装置が別々の圧力セルを含まなくてもよい。
たとえば、図10の態様においては、図4の態様のように圧力セルを通すよりもむしろ、ステージが熱交換器を一緒に通して直接的に接続される。ステージ1が排気ステップを実行している時にステップ2が吸気ステップを実行しているように(圧縮中)、2つのステージにおける相対的な段階が注意深く制御されなければならない。ステージ2が排気ステップを実行している時に、ステージ1が吸気ステップを実行している(膨張中)。
タイミングが制御され、バルブ37および10058が開放される時に熱交換器10024の両側の圧力が略同じになる。バルブ10036を開放し、ポンプ10032をオンにすることによって、噴霧ノズル44用の液体がシリンダー22内の余剰水から供給される。同様に、バルブ10038を開放し、ポンプ10034をオンにすることによって、噴霧ノズル10064用の液体がシリンダー10046内の余剰水から供給される。上述されるように、運転中のそのような正確なタイミングが、複数のシステム要素と連結されるコントローラー/プロセッサーの運転とともに実現され得る。
本発明は上述される具体的な態様に限定されない。たとえば、ミストとして空気に注入される液体として水が記載されているが、他の液体が用いられてもよく、本発明の範囲内である。用いられ得る液体の例は、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびアルコールを含む。
以下の付記項が圧縮に関連する。
(付記1)
エネルギーを保存するための方法であって、
第1の温度において、第1のチャンバーに、第1の量の空気を導入する工程と、
圧縮サイクルにおいて、前記第1の量の空気を、前記第1のチャンバーと接続される第1のピストンによって圧縮する工程と、
前記圧縮サイクルによって発生する熱エネルギーを吸収するために、第1の所定量の流体を前記第1の量の空気に注入することによって、圧縮中、前記第1の量の空気を第1の温度範囲に保つ工程と、
前記第1の量の空気の少なくとも一部を第1の圧力セルに移送する工程と、
を含む方法。
(付記2)
前記第1の所定量の流体が1つ以上の制御パラメーターに基づく、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記3)
前記制御パラメーターが、測定された物理特性から前記圧縮サイクル用に算出された、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
(付記4)
前記制御パラメーターが、圧縮の間の前記第1の量の空気の温度における最大の増加を含む、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
(付記5)
前記制御パラメーターが、前記チャンバー内部に液状で存在する流体の量を含む、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
(付記6)
前記制御パラメーターが効率を含む、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
(付記7)
前記制御パラメーターが前記ピストンへの動力の入力を含む、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
(付記8)
前記制御パラメーターが前記ピストンの速度を含む、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
(付記9)
前記制御パラメーターが前記ピストンにかかる力を含む、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
(付記10)
前記ピストンが、固体、液体、もしくは固定と液体との組み合わせである、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記11)
第1の温度から、前記流体の沸点以下の第2の温度まで、前記第1の量の空気の温度における変化によって、前記第1の温度範囲が反映される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記12)
前記流体が水を含む、
ことを特徴とする付記11に記載の方法。
(付記13)
前記第1の温度範囲が約60℃以下である、
ことを特徴とする付記12に記載の方法。
(付記14)
前記第1の所定量の流体が噴霧化もしくはミスト化によって注入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記15)
前記第1の量の空気から前記第1の所定量の流体に伝導された熱エネルギーが液体を通して空気を泡立てることによって促進される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記16)
前記圧力セルの内部の圧縮空気を保存タンクに移送する工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
以下の付記項は圧縮および膨張に関連する。
(付記17)
膨張サイクルにおいて、前記第1の圧力セルから前記第1のチャンバーに第2の量の空気を移送する工程と、
前記第2の量の空気を膨張させて前記第1のピストンを駆動させる工程と、
膨張中の空気によって吸収される熱エネルギーを供給するために前記第2の量の空気に第2の所定量の流体を注入することによって、膨張中、前記第2の量の空気を第2の温度範囲に保つ工程と、
をさらに含む付記1に記載の方法。
(付記18)
前記第1のピストンの駆動から電力を発生させる工程をさらに含む、付記17に記載の方法。
(付記19)
前記第2の所定量の流体が1つ以上の制御パラメーターに基づいている、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記20)
前記制御パラメーターが測定された物理特性から前記膨張サイクル用に算出された、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記21)
前記制御パラメーターが、膨張の間の前記第2の量の空気の温度における最大の増加を含む、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記22)
前記制御パラメーターが前記チャンバー内部に液状で存在する流体の量を含む、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記23)
前記制御パラメーターが効率を含む、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記24)
前記制御パラメーターが前記第1のピストンによる動力の出力を含む、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記25)
前記制御パラメーターが前記ピストンの速度を含む、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記26)
前記制御パラメーターが前記ピストンにかかる力を含む、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記27)
前記第1の所定量の流体が、噴霧化もしくはミスト化によって注入される、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記28)
前記第2の量の空気から、液体を通過する空気を泡立てることによって促進される前記第2の所定量の流体に、熱エネルギーが伝導される、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記29)
前記流体が水を含む、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記30)
前記膨張サイクルの間に追加熱エネルギーと連通するチャンバーを設置する工程をさらに含む、付記17に記載の方法。
(付記31)
前記追加熱エネルギーが他の熱源からの廃熱である、
ことを特徴とする付記30に記載の方法。
(付記32)
第1の温度から液体の凝固点以上の第2温度までの、前記第2の量の空気の温度における変化によって、前記第2の温度範囲が反映される、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記33)
前記流体が水を含む、
ことを特徴とする付記32に記載の方法。
(付記34)
前記第2の温度範囲が約11℃以下である、
ことを特徴とする付記33に記載の方法。
(付記34a)
前記第1のピストンの膨張ストロークの終点において、所望の圧力と略等しい前記第1のピストンにかかる圧力を生み出すように、前記第2の量の空気が構成される、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記34b)
前記所望の圧力が、2番目に低い圧力のステージの入力圧力であるか、もしくは周囲圧力である、
ことを特徴とする付記34aに記載の方法。
(付記34c)
前記所望の圧力は膨張効率を最大化するように算出される、
ことを特徴とする付記34aに記載の方法。
(付記34d)
前記所望の圧力は所望の水準の動力出力を生み出すように算出される、
ことを特徴とする付記34aに記載の方法。
(付記34e)
前記所望の圧力は、前記2番目に低い圧力のステージの入力圧力の約5psi以内である、
ことを特徴とする付記34aに記載の方法。
以下の付記項はマルチステージ運転に関連する。
(付記35)
前記第1の圧力セルおよび第2の圧力セルと選択的に流体連通する第2のチャンバーを設ける工程と、
第2の温度において、第3の量の空気を、前記第1の圧力セルから前記第2のチャンバーに導入する工程と、
前記第2のチャンバーの圧縮サイクルにおいて、
前記第3の量の空気を、前記第2のチャンバーと接続される第2のピストンによって圧縮する工程と、
圧縮によって発生する熱エネルギーを吸収するために前記第3の量の空気に第3の所定量の流体を注入することによって、圧縮中、前記第3の量の空気を第3の温度範囲に保つ工程と、
前記第3の量の空気の少なくとも一部を、前記第2の圧力セルに移送する工程と、
をさらに含む付記17に記載の方法。
(付記36)
前記第2のチャンバーの膨張サイクルにおいて、前記第2の圧力セルから前記第2のチャンバーに第4の量の空気を移送する工程と、
前記第4の量の空気を膨張させ、前記の第2ピストンを駆動する工程と、
膨張中の空気によって吸収される熱エネルギーを供給するために前記第4の量の空気に第4の所定量の流体を注入することによって、膨張中、前記第4の量の空気を第4の温度範囲に保つ工程と、
前記第4の量の空気の少なくとも一部を、前記第2のチャンバーから前記第1の圧力セルに移送する工程と、
をさらに含む付記35に記載の方法。
以下の付記項は膨張に関連する。
(付記37)
保存されたエネルギーを放出する方法であって、
膨張サイクルにおいて、圧力セルから、内部に配置されたピストンを有するチャンバーに、多量の空気を移送する工程と、
前記多量の空気を膨張させ、前記ピストンを駆動する工程と、
膨張中の空気によって吸収された熱エネルギーを供給するために前記多量の空気に所定量の流体を注入することによって、膨張中、前記多量の空気を第1の温度範囲に保つ工程と、
を含む方法。
(付記38)
前記所定量の流体が、1つ以上の制御パラメーターに基づく、
ことを特徴とする付記37に記載の方法。
(付記39)
前記制御パラメーターが、測定された物理特性から算出される、
ことを特徴とする付記38に記載の方法。
(付記40)
前記制御パラメーターが、膨張の間の前記多量の空気の温度における最大の減少を含む、
ことを特徴とする付記38に記載の方法。
(付記41)
前記制御パラメーターが、前記チャンバー内部に液状で存在する流体の量を含む、
ことを特徴とする付記38に記載の方法。
(付記42)
前記制御パラメーターが効率を含む、
ことを特徴とする付記38に記載の方法。
(付記43)
前記制御パラメーターが前記ピストンへの動力入力を含む、
ことを特徴とする付記38に記載の方法。
(付記44)
前記制御パラメーターが前記ピストンの速度を含む、
ことを特徴とする付記38に記載の方法。
(付記45)
前記制御パラメーターが前記ピストンの力を含む、
ことを特徴とする付記38に記載の方法。
(付記46)
前記ピストンが、固体、液体、もしくは固定と液体との組み合わせである、
ことを特徴とする付記38に記載の方法。
(付記47)
前記流体が水を含む、
ことを特徴とする付記38に記載の方法。
(付記48)
第1の温度から第2の温度までの、前記第1の量の空気の温度における変化によって、前記第1の温度範囲が反映され、前記変化が所定値よりも小さい、
ことを特徴とする付記38に記載の方法。
(付記49)
より低い温度は前記流体の凝固点よりも大きい、
ことを特徴とする付記48に記載の方法。
(付記50)
より高い温度は前記流体の沸点よりも小さい、
ことを特徴とする付記48に記載の方法。
(付記51)
前記第1の所定量の流体は、噴霧化もしくはミスト化によって注入される、
ことを特徴とする付記38に記載の方法。
(付記52)
前記多量の空気から前記第1の所定量の流体に移送された熱エネルギーが、液体を通して空気を泡立てることによって促進される、
ことを特徴とする付記38に記載の方法。
(付記52a)
前記ピストンの膨張ストロークの終点において、所望の圧力と略等しい前記ピストンにかかる圧力を生み出すように前記多量の空気が構成される、
ことを特徴とする付記37に記載の方法。
(付記52b)
前記所望の圧力が、2番目に低い圧力のステージの入力圧力であるか、もしくは周囲圧力である、
ことを特徴とする付記37に記載の方法。
(付記52c)
前記所望の圧力は膨張効率を最大化するように算出された、
ことを特徴とする付記37に記載の方法。
(付記52d)
前記所望の圧力は所望の水準の動力出力を生み出すように算出された、
ことを特徴とする付記37に記載の方法。
(付記52e)
前記所望の圧力は前記2番目に低い圧力のステージの入力圧力の約5psi以内である、
ことを特徴とする付記37に記載の方法。
以下の付記項はシステム運転中の温度差に関連する。
(付記53)
内部に配置された可動ピストンを有するチャンバーと選択的に流体連通する圧力セルを備えるエネルギー保存システムを設ける工程と、
空気を前記チャンバーに流す工程と、
圧縮サイクルにおいて、前記チャンバー内部で前記空気を圧縮するためにエネルギー源と連結する前記ピストンを設置することによってエネルギーを保存し、圧縮空気を前記圧力セルに移送する工程と、
膨張サイクルにおいて、前記チャンバー内部の空気の膨張に応じて前記ピストンを動かしつつ、前記圧力セルから前記チャンバーに空気を移送し戻すことによってエネルギーを放出する工程と、
前記圧縮サイクルおよび/または前記膨張サイクルの運転パラメーターをモニターする工程と、
前記チャンバー内の空気の温度をある範囲内に保つために前記運転パラメーターを制御する工程と、
を含む方法。
(付記54)
運転パラメーターを決定する工程が、前記圧縮サイクルの間に前記チャンバー内部の前記空気に導入される液体の量を制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記55)
前記液体が水を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記56)
運転パラメーターを決定する工程が、前記膨張サイクルの間に前記チャンバー内部の前記空気に導入される液体の量を制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記57)
前記液体が水を含む、
ことを特徴とする付記56に記載の方法。
(付記58)
前記ある範囲の下限が、前記チャンバー内部の前記空気に導入される液体の凝固点よりも大きい、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記59)
前記液体が水を含む、
ことを特徴とする付記58に記載の方法。
(付記60)
前記ある範囲の上限が、前記チャンバー内部の前記空気に導入される液体の沸点よりも小さい、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記61)
前記液体が水を含む、
ことを特徴とする付記60に記載の方法。
(付記62)
運転パラメーターを決定する工程が、前記膨張サイクルの間に前記チャンバー内部にある前記圧力セルからの空気の移送のタイミングを制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記62a)
前記ピストンの膨張ストロークの終点において、前記ピストンにかかる所望の圧力を生み出すように移送された空気が構成されるよう、前記タイミングが制御される、
ことを特徴とする付記62に記載の方法。
(付記62b)
前記所望の圧力が、2番目に低い圧力のステージの入力圧力であるか、もしくは周囲圧力である、
ことを特徴とする付記62aに記載の方法。
(付記62c)
前記所望の圧力は膨張効率を最大化するように算出された、
ことを特徴とする付記62aに記載の方法。
(付記62d)
前記所望の圧力は所望の水準の動力出力を生み出すように算出された、
ことを特徴とする付記62aに記載の方法。
(付記62e)
前記所望の圧力は、前記2番目に低い圧力のステージの入力圧力の約5psi以内である、
ことを特徴とする付記62aに記載の方法。
(付記63)
運転パラメーターを決定する工程は、前記圧力セルにおける圧力をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記64)
運転パラメーターを決定する工程は、前記チャンバーにおける圧力をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記65)
運転パラメーターを決定する工程は、前記チャンバーにおける前記空気の温度をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記66)
運転パラメーターを決定する工程は、前記チャンバーに流れ込む前記空気の湿度をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記67)
運転パラメーターを決定する工程は、前記チャンバーから排出される空気の湿度をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記68)
運転パラメーターを決定する工程は、前記膨張サイクルの間に放出される動力をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記69)
運転パラメーターを決定する工程は、前記ピストンの位置をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記70)
運転パラメーターを決定する工程は、前記ピストンにかかる力をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記71)
運転パラメーターを決定する工程は、前記液体の温度をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記54に記載の方法。
(付記72)
運転パラメーターを決定する工程は、前記液体の温度をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記56に記載の方法。
(付記73)
運転パラメーターを決定する工程は、前記液体の流速をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記54に記載の方法。
(付記74)
運転パラメーターを決定する工程は、前記液体の流速をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記56に記載の方法。
(付記75)
運転パラメーターを決定する工程は、前記チャンバー内の前記液体のレベルをモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記54に記載の方法。
(付記76)
運転パラメーターを決定する工程は、前記チャンバー内の前記液体のレベルをモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記56に記載の方法。
(付記77)
運転パラメーターを決定する工程は、前記チャンバー内の前記液体の体積をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記54に記載の方法。
(付記78)
運転パラメーターを決定する工程は、前記チャンバー内の前記液体の体積をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記56に記載の方法。
(付記79)
前記ピストンが回転シャフトと連結され、
運転パラメーターを決定する工程が、前記回転シャフトの速度をモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記80)
前記ピストンが回転シャフトと連結され、
運転パラメーターを決定する工程が、前記回転シャフトのトルクをモニターする工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記81)
前記運転パラメーターが、モニターされた運転パラメーターから算出された導出パラメーターに基づいて制御される、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記82)
前記導出パラメーターが、電力変換効率、予期される動力出力、前記ピストンと連結される回転シャフトの予期される出力速度、前記ピストンと連結される回転シャフトの予期される出力トルク、前記ピストンと連結される回転シャフトの予期される入力速度、前記ピストンと連結される回転シャフトの予期される入力トルク、前記ピストンと連結される回転シャフトの最大出力速度、前記ピストンと連結される回転シャフトの最大出力トルク、前記ピストンと連結される回転シャフトの最小出力速度、前記ピストンと連結される回転シャフトの最小出力トルク、前記ピストンと連結される回転シャフトの最大入力速度、前記ピストンと連結される回転シャフトの最大入力トルク、前記ピストンと連結される回転シャフトの最小入力速度、前記ピストンと連結される回転シャフトの最小入力トルク、もしくは、それぞれのステージにおける最大に予期される空気の温度差、からなる群から選択される、
ことを特徴とする付記81に記載の方法。
(付記83)
前記運転パラメーターを制御する工程が、前記圧縮サイクルの間に前記チャンバーから前記圧力セルへの空気の移送のタイミングを制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記84)
前記運転パラメーターを制御する工程が、前記膨張サイクルの間に前記圧力セルから前記チャンバーへの空気の移送のタイミングを制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記85)
前記運転パラメーターを制御する工程が、前記チャンバーへの液体の流入のタイミングを制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記54に記載の方法。
(付記86)
前記運転パラメーターを制御する工程が、前記チャンバーへの液体の流入のタイミングを制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記56に記載の方法。
(付記87)
前記圧縮サイクルの間、前記ピストンが、モーターもしくは電動発電機と連結され、
前記運転パラメーターを制御する工程が、前記モーターもしくは前記電動発電機に印加される電力量を制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記88)
前記膨張サイクルの間、前記ピストンが、発電機もしくは電動発電機と連結され、
前記運転パラメーターを制御する工程が、前記発電機もしくは前記電動発電機に印加される電力負荷を制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記89)
前記液体がポンプを用いて前記チャンバーに流され、
前記運転パラメーターを制御する工程が、前記ポンプに供給される電力量を制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記54に記載の方法。
(付記90)
前記液体がポンプを用いて前記チャンバーに流され、
前記運転パラメーターを制御する工程が、前記ポンプに供給される電力量を制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記56に記載の方法。
(付記91)
前記圧力セル内の液体が、ファンと熱連通する熱交換器を通して循環され、
前記運転パラメーターを制御する工程が、前記ファンに供給される電力量を制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記92)
前記膨張サイクルの間、追加熱エネルギーと連通する前記チャンバーを設置する工程をさらに含む、付記53に記載の方法。
(付記93)
前記追加熱エネルギーが他の熱源からの廃熱である、
ことを特徴とする付記92に記載の方法。
(付記94)
前記運転パラメーターを制御する工程が、圧縮比を制御する工程を含む、
ことを特徴とする付記53に記載の方法。
(付記95)
前記圧力セル内部の圧縮空気を保存タンクに移送する工程をさらに含む、付記53に記載の方法。
以下の付記項はシステムに関連する。
(付記96)
内部に設けられた可動ピストンを有し、エネルギー源と選択的に連通する第1のチャンバーと、
第1のバルブを通して前記第1のチャンバーと選択的に流体連通する圧力セルと、
第2のバルブを通して前記第1のチャンバーと選択的に流体連通する空気源と、
第3のバルブを通して前記第1のチャンバーと選択的に流体連通する液体源と、
以下の状態のうちの一つにおけるシステム要素と電気的に連結し、運転するように構成されたコントローラーと、
前記第1のバルブが閉じられ、前記第2のバルブが開放され、前記第3のバルブは開放されるか閉じられているか、している吸気ステップ、
前記ピストンが前記エネルギー源と連通され、前記第1のバルブと前記第2のバルブとが閉じられ、前記第3のバルブは開放されるか閉じられているかされ、その後、前記ピストンによる前記チャンバー内における前記空気の圧縮に応じて前記第1のバルブが開放される圧縮ステップ、
前記ピストンが前記エネルギー源と連通されず、前記第1のバルブが開放され、前記第2のバルブが閉じられ、前記第3のバルブは開放されても閉じられていてもよく、前記空気が前記チャンバー内で膨張して前記ピストンを動かし、その後、前記空気が膨張し続けるにつれて前記第1のバルブが閉じられる膨張ステップ、
前記ピストンが前記エネルギー源と連通されず、前記第1のバルブが閉じられ、前記第2のバルブが開放され、前記第3のバルブは開放されても閉じられていてもよい、排気ステップ、
を備え、
前記第1のチャンバー内の前記空気の温度をある範囲内に保つために前記コントローラーが運転パラメーターを決定するように構成される、
ことを特徴とするエネルギー保存および回収システム。
(付記97)
前記可動ピストンが固体ピストンを備える、
ことを特徴とする付記96に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記98)
前記可動ピストンが液体ピストンを備える、
ことを特徴とする付記96に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記99)
前記チャンバー内部の前記空気に前記液体を注入するように構成された噴霧器をさらに備える、付記96に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記100)
前記液体が水を含む、
ことを特徴とする付記99に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記101)
前記圧力セル内部の前記液体と前記空気との間で熱を伝導するように構成された気泡管をさらに備える、付記96に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記102)
前記液体が水を含む、
ことを特徴とする付記101に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記103)
前記チャンバー内部に存在する液体の体積を検出するように構成されたセンサーをさらに備え、前記センサーが前記コントローラーと電気的に連結され、前記運転パラメーターを決定するために参照される、付記96に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記104)
圧力、温度、湿度、前記ピストンの位置、前記ピストンにかかる力、液体の流量、液面、液体の体積、前記ピストンによって駆動されるシャフトの速度、もしくは前記ピストンによって駆動される前記シャフトのトルク、からなる群から選択される特性を検出するように構成されたセンサーをさらに備え、前記センサーが前記コントローラーと電気的に連結され、前記運転パラメーターを決定するために参照される、
ことを特徴とする付記96に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記105)
前記膨張ストロークの間、前記ピストンと選択的に連結されるように構成された発電機もしくは電動発電機をさらに備える、付記96に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記106)
前記チャンバーが熱エネルギー源と熱連通するように構成された、
ことを特徴とする付記96に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記107)
前記圧力セルから圧縮空気を受け取るように構成された保存タンクをさらに備える、付記96に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記107a)
前記ピストンの膨張ストロークの終点において前記ピストンにかかる圧力が所望の圧力と略一致するように、膨張中、前記コントローラーが前記空気を入れるために前記第1バルブを操作するように構成された、
ことを特徴とする付記96に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記107b)
前記所望の圧力が、2番目に低い圧力のステージの入力圧力であるか、もしくは周囲圧力である、
ことを特徴とする付記107aに記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記107c)
前記所望の圧力が膨張効率を最大化するように算出された、
ことを特徴とする付記107aに記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記107d)
前記所望の圧力が所望のレベルの動力出力を生み出すように算出された、
ことを特徴とする付記107aに記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記107e)
前記所望の圧力が2番目に低い圧力のステージの入力圧力の約5psi以内である、
ことを特徴とする付記107aに記載のエネルギー保存および回収システム。
以下の付記項は複数のステージを有するシステムに関連する。
(付記108)
内部に配置された可動ピストンを有し、前記エネルギー源と選択的に連通される第2のチャンバーと、
第4のバルブを通して前記第2のチャンバーと選択的に流体連通し、第5のバルブを通して前記第1の圧力セルと選択的に流体連通する第2の圧力セルと、
をさらに備え、
前記第4のバルブと前記第5のバルブとが、前記コントローラーと連通し、前記コントローラーによって操作されるように構成された、
付記96に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記109)
前記第1のチャンバーと前記第1の圧力セルとが直列的に接続された複数の第2のチャンバーと第2の圧力セルとをさらに備え、前記第1のチャンバーからの出力が前記第2のチャンバーに伝わる、付記96に記載のエネルギー保存および回収システム。
以下の付記項はプロセッサーに関連する。
(付記110)
エネルギーを保存および回収する装置であって、
コンピューター読み出し可能保存媒体と電気的に連結するプロセッサーを備えるホストコンピューターを備え、前記コンピューター読み出し可能保存媒体は内部に保存された1つ以上のコードを有し、前記プロセッサーに、
内部に配置された可動ピストンを有し、エネルギー源と選択的に連通する第1のチャンバーと、前記第1のチャンバーと選択的に流体連通される圧力セルと、を備えるエネルギー保存および回収システムの特性を示す信号を受信し、
受信された前記信号に応答して、前記エネルギー保存および回収システムの要素を制御し、前記第1のチャンバー内部の空気の温度をある温度範囲内に維持する、
ように指示をする、装置。
(付記111)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存された前記コードは、前記圧力セル内の圧力を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記112)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存された前記コードは、前記第1のチャンバー内の圧力を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記113)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存された前記コードは、前記第1のチャンバー内の前記空気の温度を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記114)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、前記圧力セル内の前記空気の温度を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記115)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、前記第1のチャンバーに流入する前記空気の湿度を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記116)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、動力出力を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記117)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、前記第1のチャンバーから排出された前記空気の湿度を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記118)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、前記ピストンの位置を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記119)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、前記ピストンにかかる力を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記120)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、前記チャンバーに流れる液体の温度を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記121)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、前記チャンバーへの液体の流速を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記122)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、前記チャンバーにおける液面を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記123)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、前記チャンバーにおける液体の体積を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記124)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、前記ピストンと連結する回転シャフトの速度を示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記125)
前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、前記ピストンと連結する回転シャフトのトルクを示す前記信号を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記126)
受信された前記信号に応答して、前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードが、前記プロセッサーに、圧縮サイクルの間、前記チャンバーから前記圧力セルへの空気の移送のタイミングを制御する指示をするように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記126a)
受信された前記信号に応答して、前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードが、前記プロセッサーに、膨張サイクルの間、前記圧力セルから前記チャンバーへの空気の移送のタイミングを制御する指示をするように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記127)
受信された前記信号に応答して、前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードが、前記プロセッサーに、前記チャンバーへの液の移送のタイミングを制御する指示をするように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記128)
受信された前記信号に応答して、前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードが、前記プロセッサーに、前記チャンバーへ移送される液体の量を制御する指示をするように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記129)
受信された前記信号に応答して、前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードが、前記プロセッサーに、膨張サイクルの間、前記ピストンと連結される発電機もしくは電動発電機に印加される電力負荷を制御する指示をするように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記130)
受信された前記信号に応答して、前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードが、前記プロセッサーに、圧縮サイクルの間、前記ピストンと連結される発電機もしくは電動発電機に印加される電力を制御する指示をするように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記131)
受信された前記信号に応答して、前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードが、前記プロセッサーに、前記チャンバーに液体を流すためにポンプに印加される電力を制御する指示をするように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記132)
受信された前記信号に応答して、前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードが、前記プロセッサーに、前記圧力セルから液体を受け取るように構成された熱交換器と関係するファンに印加される電力を制御する指示をするように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
(付記133)
受信された前記信号に応答して、前記コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードが、前記プロセッサーに、圧縮比を制御する指示をするように構成された、
ことを特徴とする付記110に記載の装置。
以下の付記項はマルチステージシステムに関連する。
(付記134)
第1のステージにおいて空気を圧縮する可動式の第1の要素を含む第1のステージと、
最終ステージにおいて空気を圧縮する可動式の第2の要素を含み、最終ステージ内の膨張空気に応答する可動式の最終ステージと、
ある温度範囲内において前記第1のステージ内もしくは前記最終ステージ内における空気の温度を維持するために、前記第1のステージもしくは前記最終ステージに注入される液体量を決定するように構成されたコントローラーと、
前記コントローラーと連通し、決定された前記液体量を、前記第1のステージもしくは前記最終ステージに注入するように構成された液体源と、
を備え、
前記第1のステージは第1のバルブを通して供給される外気と選択的に流体連通し、
前記最終ステージは第2のバルブを通して圧縮空気保存タンクと選択的に流体連通している、エネルギー保存および回収システム。
(付記135)
可動式の前記第1の要素はまた、前記第1のステージ内部の膨張中の空気にも応答して可動する、
ことを特徴とする付記134に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記136)
可動式の前記第1の要素はピストンを備える、
ことを特徴とする付記134に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記137)
可動式の前記第1の要素は、ねじを備える、
ことを特徴とする付記134に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記138)
前記第1のステージもしくは前記最終ステージが、チャンバーと選択的に流体連通する圧力セルを備える、
ことを特徴とする付記134に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記139)
前記第1のステージが、第3バルブを通して、最終ステージに移送され、前記最終ステージから圧縮空気を受け取るように、構成された、
ことを特徴とする付記134に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記140)
前記第1のステージが可動式の前記第1の要素として内部に配置された第1のピストンを有する第1のチャンバーを備え、前記最終ステージが可動式の前記第2の要素として内部に配置された第2のピストンを有する第2のチャンバーを備え、前記第1ステージと前記最終ステージとが圧力セルを有しない、
ことを特徴とする付記139に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記141)
前記第1のステージと前記最終ステージとの間に、直列に配置され、選択的に流体連通する中間ステージをさらに備え、前記中間ステージが、前記中間ステージ内で空気を圧縮し、前記中間ステージ内部で膨張中の空気に応答して可動する、第3の要素を備える、付記134に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記142)
可動式の前記第1の要素はまた、前記第1のステージ内部で膨張中の空気にも応答して可動する、
ことを特徴とする付記141に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記143)
前記第1のステージが、可動式の前記第1の要素として、内部に配置された第1のピストンを有する第1のチャンバーを備え、前記中間ステージが、可動式の前記第3の要素として、内部に配置された第2のピストンを有する第2のチャンバーを備える、
ことを特徴とする付記142に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記144)
前記中間ステージが、可動式の前記第3の要素として、内部に第1のピストンを有する第1のチャンバーを備え、前記最終ステージが、可動式の前記第2の要素として、内部に第2のピストンを有する第2のチャンバーを備える、
ことを特徴とする付記141に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記145)
前記第1のステージ、前記中間ステージ、もしくは前記最終ステージが、圧力セルと選択的に流体連通するチャンバーを備える、
ことを特徴とする付記141に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記146)
連続するステージが圧力セルを含まない、
ことを特徴とする付記141に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記147)
前記第1のステージと前記最終ステージとの間に直列に配置された追加の中間ステージをさらに備える、付記141に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記148)
可動式の前記第2の要素がピストンを備える、
ことを特徴とする付記134に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記149)
可動式の前記第2の要素が液体ピストンを備える、
ことを特徴とする付記148に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記150)
可動式の前記第2の要素が固体ピストンを備える、
ことを特徴とする付記148に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記151)
前記第1のステージの圧縮比が、前記最終ステージの圧縮比よりも大きい、
ことを特徴とする付記134に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記152)
前記第1のステージの圧縮比が前記中間ステージの圧縮比よりも大きく、前記中間ステージの圧縮比が前記最終ステージの圧縮比よりも大きい、
ことを特徴とする付記141に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記153)
前記液体が水を含む、
ことを特徴とする付記134に記載のエネルギー保存および回収システム。
(付記154)
エネルギーを保存する方法であって、
第1のステージにおいて外気を受け取る工程と、
前記第1のステージにおいて外気を圧縮する工程と、
圧縮空気を最終ステージに移送する工程と、
前記最終ステージにおいて空気をさらに圧縮する工程と、
さらに圧縮された前記空気を前記最終ステージから保存タンクに移送する工程と、
圧縮もしくはさらなる圧縮の間、前記第1のステージ内もしくは前記第2のステージ内における空気の温度変化をある範囲内に保つために運転パラメーターを決定する工程と、
を含む方法。
(付記155)
決定された前記運転パラメーターが、前記ステージに向けての空気の動き、もしくは前記ステージからの空気の動きを制御するバルブを開放する、もしくは閉鎖するタイミングを含む、
ことを特徴とする付記154に記載の方法。
(付記156)
決定された前記運転パラメーターが、圧縮もしくはさらなる圧縮の間、前記第1のステージもしくは前記最終ステージに注入される液体量を含む、
ことを特徴とする付記154に記載の方法。
(付記157)
前記外気を圧縮する前記工程が、前記第1のステージのチャンバー内部に配置され、エネルギー源と連通する、ピストンを設置する工程を含む、
ことを特徴とする付記154に記載の方法。
(付記158)
前記外気を圧縮する前記工程が、前記第1のステージのチャンバー内部に配置され、エネルギー源と連通する、ねじを設置する工程を含む、
ことを特徴とする付記154に記載の方法。
(付記159)
圧縮空気が、追加の圧縮が起こる中間ステージを介して、前記最終ステージに移送される、
ことを特徴とする付記154に記載の方法。
(付記160)
前記保存タンクから前記最終ステージに圧縮空気を移送する工程と、
前記圧縮空気を膨張させ、前記最終ステージにおいて可動式の第1要素を駆動する工程と、
前記最終ステージから前記第1のステージに空気を移送する工程と、
前記第1ステージ内の圧縮空気を膨張させ、前記第1ステージにおいて可動式の第2要素を駆動する工程と、
前記第1のステージ内もしくは前記第2のステージ内の空気の膨張の間、前記第1のステージ内もしくは前記第2のステージ内の空気の温度変化をある範囲内に保つ運転パラメーターを決定する工程と、
をさらに含む付記154に記載の方法。
(付記161)
決定された前記運転パラメーターが、前記ステージに向けての空気の動き、もしくは前記ステージからの空気の動きを制御するバルブを、開放するもしくは閉鎖するタイミングを含む、
ことを特徴とする付記160に記載の方法。
(付記162)
決定された前記運転パラメーターが、前記第1のステージもしくは前記第2のステージ内での空気の膨張の間、前記第1のステージもしくは前記最終ステージに注入される液体量を含む、
ことを特徴とする付記160に記載の方法。
(付記163)
可動式の前記第1の要素がピストンを備える、
ことを特徴とする付記160に記載の方法。
(付記164)
可動式の前記第2の要素がピストンを備える、
ことを特徴とする付記160に記載の方法。
(付記165)
空気の膨張がさらに起こる中間ステージを介して、前記最終ステージから前記第1のステージに空気が移送される、
ことを特徴とする付記160に記載の方法。
本発明に係る態様は、温度差からのエネルギーの抽出に関連する。特定の態様において、熱源からのエネルギーは、圧縮空気の膨張を介して抽出されてもよい。ある態様においては、圧縮気体を包含する保存ユニットは、コンプレッサー−膨張機と流体連通している。保存ユニットから受け取られた圧縮気体は、コンプレッサー−膨張機中で膨張し、動力を生む。この膨張の間、コンプレッサー−膨張機は、熱交換器を介して熱源と選択的に熱連通しており、その結果、膨張中の気体による出力を増強する。他の態様においては、熱源が連続して利用可能な場合には、専用の気体膨張機が専用のコンプレッサーを駆動するよう構成されてもよい。そのような態様は、上昇した基準圧におけるシステムの運転に由来する、例えばヘリウムまたは他の高い熱容量の気体(例えば、二酸化炭素、水素、またはネオン)といった、高い熱容量特性を有する気体を利用する閉鎖系を用い得る。
本発明の態様は概して、温度差からのエネルギーの抽出に関連する。ある態様によれば、熱源からの熱の形態での温度は、圧縮気体の膨張による利用可能なエネルギーを生成するために利用されてもよい。コンプレッサー−膨張機は、圧縮気体保存ユニットと流体連通している。保存ユニットから受け取られた圧縮気体は、コンプレッサー−膨張機中で膨張して、動力を生成する。膨張の間、動力出力を増強するために、熱源は、熱交換器を介してコンプレッサー−膨張機と選択的に熱連通している。システムの運転は、膨張の間、液体を導入することによって、および/または膨張の間コンプレッサー−膨張機を出入りする空気の流れを制御することによって、さらに増強され得る。
ほぼ等温的に運転するために、気体の温度が低くなる傾向は、それが仕事(つまり、ピストンを押す、または圧力液を変位させる)中に膨張するときに、熱源との熱交換により是正され得る。ある熱の形態が利用可能であれば、膨張サイクルの間の動力出力を改善するために利用されてもよい。
多くの態様においては、圧縮気体システムは外気温とほぼ同じもしくは近傍で運転されているので、この点において有益であるように熱源は外気よりも数度程度上回っていることが必要である。しかしながら、サイクルを通して膨張プロセスを外気温の近傍に保つために求められる全ての熱を供給するために、熱源は十分な熱質量を持たなければならない。したがって、本発明の態様は、圧縮空気からの動力出力を増強するために、例えば他のプロセスからの廃熱の形態における、低品位の熱を利用し得る。
図22は、圧縮空気からエネルギーを生成するための、本発明に係るシステム2280の一態様の簡素化されたブロック図を示す。しかし、圧縮気体の他の形態が用いられ得る。システムは、米国特許仮出願明細書第61/221,487号明細書(“’487出願”)に記載されたものと同様の構造を有していてもよいコンプレッサー−膨張機2282を含むが、代替的に他の構造にもなり得る。
コンプレッサー−膨張機2282は、圧縮空気保存ユニット2284と流体連通している。コンプレッサー−膨張機2282は、熱交換器2286およびバルブ2288を介して、熱源2290またはヒートシンク2292に選択的に熱連通している。熱源2290は、低品位の熱または高品位の熱であってもよい。熱源190は、連続して存在していてもよく、事実上断続的であってもよい。
コンプレッサー−膨張機2282は、連結機構2296を介して電動発電機2294と物理的に連結している。連結機構2296は、特定の態様に応じて、機械式、液圧式、または空気圧式であってもよい。電動発電機2294は同様に、電力グリッド2298といった電源と電気的に連結している。
システム2280の運転は、以下の通り記述される。第1モードにおいて、システム2280は、保存ユニット2284で保存された圧縮空気を利用可能な仕事に変換することにより、動力を生成するよう構成される。システムは、例えばグリッドの電力需要のピークにおいて、例えば平日の午前7時から午後7時の間、この第1モードにおいて構成されてもよい。
図22Aに記載されるこの第1モードにおいて、圧縮空気は、保存ユニット2284から膨張機として機能するコンプレッサー−膨張機2282に導かれる。スイッチ2288は、熱源2290と熱交換器2286および/または保存ユニット2284との間の熱連通を許容するように構成される。
このモードにおける熱源からの熱の寄与の結果として、コンプレッサー−膨張機における空気の膨張は、温度の低下を経験し、その結果、増強された動力出力が生成される。この動力出力は同様に、連結機構2296を介して発電機として機能する電動発電機2294と連結している。電動発電機からの動力出力は同様に、電力グリッド2298に消費用に供給されてもよい。
運転の第2モードにおいては、システム2280は、保存タンクにおいて圧縮空気の供給を補充するよう構成される。システムは、この第2モードにおいて、例えば電力グリッドにおける減少した電力需要の時期に構成されてもよい。
図22Bで示されるこの第2モードにおいて、電動発電機2294は、電力グリッド2298から(または、風力タービンまたは太陽エネルギー捕集ユニットといった他の源から直接的に)動力を受け取り、圧縮器としてコンプレッサー−膨張機2282を運転するよう連結機構を作動させる。スイッチ2288は、ヒートシンク2292と熱交換器2286および/または保存ユニット2284との間の熱連通を許容するように構成される。
このモードにおけるコンプレッサー−膨張機からヒートシンクへの熱の伝導の結果として、コンプレッサー−膨張機において圧縮された空気は温度の低下を経験し、その結果、圧縮空気への変換におけるエネルギーのロスが低減される。圧縮空気は同様に、コンプレッサー−膨張機から圧縮空気保存ユニット2284に伝えられ、後に第1モードにおいて回収される。
ある態様においては、スイッチ2288は、時間の経過に従って作動するというように、事実上一時的であってもよい。この例は、概日周期であってもよい。これは、日中には熱交換器および/または保存ユニットは熱源として太陽と熱連通し、反対に夜には、熱交換器および/または保存ユニットはヒートシンクとして冷えた外気と熱連通している、というものである。そのような態様においては、熱源の規模は、熱交換器および/または保存ユニットへの反射などの技術により、または太陽光吸収を促進するよう構成されたコーティングがなされた熱交換器および/または保存ユニットを供給することにより増幅され得る。
ある態様においては、スイッチ2288は、熱交換器および/または保存ユニットと近接する熱源からの温流体を許容するよう、または熱交換器および/または保存ユニットと近接する熱源からの冷流体を許容するよう作動可能である。このタイプの構成の例は、熱源としての発電所、またはヒートシンクとしての水(例えば、冷却塔、湖、または海)に通じるパイプと選択的に流体連通するスイッチを含む。
上述のシステムの種々の態様の運転は、単独または組み合わせて用いられる1または2以上の技術を利用して、促進され得る。このような技術のひとつは、空気が膨張するまたは圧縮される際に、空気に液体を導入することである。特に、液体が空気よりも高い熱容量を示す場合には、圧縮空気からの熱の伝導および膨張空気への熱の伝導が改善され得る。同様に、この大きな熱の伝導によって、圧縮または膨張する空気の温度がより一定に保たれる。圧縮および膨張の間のそのような液体の導入については、’487出願に詳述される。
ある態様においては、液体は噴霧装置を介してミストとして導入される。他の態様においては、気体は気泡として導入されてもよい。他の態様は、ミストおよび気泡の両方を用いてもよく、および/またはある段階でのみミストおよび/もしくは気泡を採用する複数ステージ(後述)を用いてもよい。
システムの運転を促進するために採用され得る他の技術は、コンプレッサー−膨張機内部を流れる気体の精密な制御である。このような精密な制御は、コンプレッサー−膨張機の種々の要素と電気的に連結するよう構成されているコントローラーまたはプロセッサーを利用して達成されてもよい。
例えば、図23は、本発明の態様に係るシングルステージコンプレッサー−膨張機2300の態様の簡素化されたブロック図を示す。このようなコンプレッサー−膨張機の構造に関するさらなる詳細は、後述の図25に関連して提供される。
図23のコンプレッサー−膨張機2300は、配置されたピストン2304といった可動の要素を有するシリンダー2302を備える。シリンダー2302は、圧力セル2306と選択的に流体連通している。圧縮の間、シリンダーへの流入空気(および場合により液体)は、ピストンにより圧縮され、圧縮空気はバルブ2308を通って圧力セルに流される。
従来のコンプレッサーの構造においては、バルブ2308は、シリンダーにおいて圧縮空気により及ぼされる圧力由来の力により物理的に作動されるチェックバルブである。しかしながら、このようなチェックバルブの作動は、圧縮空気のエネルギーのいくらかを消費する。
一方、本発明のある態様により、バルブ2308は、プロセッサーまたはコントローラーにより電気的に制御されて操作される異なるタイプのものであってもよい。本発明の態様による制御に適するバルブの例は、以下に限定されるものではないが、パイロットバルブ、ロータリーバルブ、カム操作バルブ、および液圧的、空気圧的、または電気的に作動されるバルブを含む。この方法における電気的な制御の使用は、チェックバルブの従来の作動に関連した圧縮空気におけるエネルギーのロスを回避する。
精密なバルブ制御は、膨張の間の働きをも促進し得る。特に、バルブ2310は、膨張サイクルの間、シリンダーが圧力セルから既定の量のみの空気を受け入れるように精密に制御されてもよい。この既定の量の空気は、膨張ストロークの終わりに、ピストンにおいて所望の圧力となるよう計算されてもよい。この所望の圧力は、コンプレッサー−膨張機がシングルステージのみを有し、または圧力セルおよびシリンダーがマルチステージの構造の最も低いステージを備える場合、大気圧とほぼ等しくてもよい。マルチステージ構造においては、所望の圧力は、次に低いステージの圧力と等しくてもよい。あるいは、より大きい出力が求められる場合、バルブ2310を開けるタイミングおよび閉めるタイミングは、膨張ストロークの終わりの所望の圧力が大きい値であるように、十分な量の空気を許容するよう制御されてもよい。
前述の態様は、気体のコンプレッサーまたは膨張機のどちらか一方として機能するよう構成可能な要素の使用に関連して記載されてきたが、これは、本発明により必須とされない。他の態様は、気体の圧縮または膨張のどちらか一方の専用のための独立した要素を採用することができ、これは本発明の範疇に入る。
ひとつのこのような他の態様が図24Aに示され、ここではシステム2400が専用膨張機2402を備える。専用膨張機2402は、圧縮気体を受け取るよう機能し、圧縮気体を膨張させ有効仕事に変換するよう機能する。例えば、膨張機2402内での圧縮気体の膨張は、一般的な物理的連結機構2416を駆動する役割を有していてもよく、それは、機械式、液圧式、空気圧式、または他のタイプであってもよい。
専用膨張機2402は同様に、熱交換器306と熱連通しており、それは熱源2410と熱連通している。膨張機に流入した圧縮気体が膨張し、例えば連結機構2416の駆動といった有効仕事に変換される際に、専用膨張機により熱交換器2406を介して熱源2410から受け取ったエネルギーが動力出力を促進してもよい。特に、膨張前または膨張中の熱源による気体の加熱は、非等温の気体の膨張に起因する熱力学的なロスを低減する。
連結機構2416は同様に、専用コンプレッサー2403に物理的に接続している。専用コンプレッサー2403は、専用膨張機から出された気体を圧縮するよう、連結機構2416の働きにより駆動されてもよい。
専用コンプレッサー2403は、熱シンク2412に熱連通している熱交換器2405に、熱連通している。熱交換器2405を介して熱シンク2412に熱連通していることで専用コンプレッサーにより経験された低下した温度は、気体を圧縮するために必要とされるエネルギー量を低減するのに役立ち得る。
連結機構2416はまた、発電機2414と連結している。連結機構の動きに基づき、発電機2414は、同様に電力グリッド2418に消費用に供給される電力を生成するために運転される。
運転において、いくらかの量の圧縮気体は、例えば、モーター(図示せず)でコンプレッサー2403を駆動することにより、最初は専用膨張機に供給される。あるいは、発電機2414は、逆にモーターとして作動されてもよい。
続いて、圧縮空気の初期量が保存ユニットから専用膨張機に送られる。膨張機における圧縮気体の膨張は、連結機構を駆動する役割を有する。圧縮気体において保存されたエネルギーを力学的仕事に変換することは、熱源から供給されたエネルギーにより促進される。
エネルギーの変換の結果として、連結機構は、専用膨張機から受け取った気体を圧縮するために専用コンプレッサー2403を操作するよう、およびこの圧縮気体を膨張機に操作のために戻すよう作動される。特に、圧縮の前または圧縮中に熱シンクにより気体を冷却することは、非等温の気体の圧縮に起因する熱力学的なロスを低減する。
コンプレッサーを運転するために必要な量を上回る膨張気体から回収されたエネルギーは同様に、電力を生成するよう利用されてもよい。特に、機械的連結機構の作動は、電力グリッド2418と接続する発電機2414を運転してもよい。
図24Aに示されるような態様は、ある利点を提案し得る。ひとつの可能性のある利点は、図24Aのシステムが所望の特性を示す気体で運転し得る、ということである。
例えば、ヘリウムは、エネルギー保存システムへの使用における好適な候補となり得る。それは、相対的に高い熱容量を示すからである。ヘリウムの高い熱容量により、圧縮プロセスと膨張プロセスの各々の間でエネルギーを効率よく吸収し、伝達することができる。
ヘリウムの消費は一般的に、開放システムでの使用を制限する。しかし、図24Aの態様は閉鎖システムとして機能する。この閉鎖された構成により専用膨張機において膨張される気体は、同様に圧縮され、専用膨張機に戻されるようになる。このようなリサイクリングにより、ヘリウムは、図24Aのシステムでの使用において経済的に実行可能となる。
図24Aのシステムの態様の閉鎖系により、熱容量を向上させる高濃度気体で運転させることも可能となる。具体的には、図24Aのシステムは閉鎖されており外気に依存しないため、外気圧より著しく高い圧力基準値で運転され得る。このような圧力基準値の例は、以下に限定されるものではないが、外気圧より高い5PSI、10PSI、20PSI、50PSI、100PSI、または200PSIである圧力を含む。このようなシステムにおける高濃度気体の向上された熱容量により、圧縮プロセスと膨張プロセスの各々において熱を伝導および吸収する能力が改善し、エネルギーの保存と回収の間のこれらのプロセスの熱力学的な効果が潜在的に促進される。
図24Aの態様のシステムはまた、簡単な構造の利点を提供し得る。例えば、専用膨張機および専用コンプレッサーの運転が同時に起こるため、気体は概して、圧縮された後ほとんど同時に膨張のために消費される。この即時の膨張は、圧縮された気体を保存するための独立した耐圧容器の要素を備える必要性を取り除き得る。
さらに、図24Aのシステムにおける気体は保存される必要がないため、基準値の圧力と圧縮後の圧力との間の相対的に小さな差を利用して運転し得る。したがって、図24Aのシステムの態様における気体の圧縮は、シングルステージのみ、さらには簡略化された構造を利用して成し遂げられ得る。
本発明のある実施態様において、性能は、再生器装置の使用により促進され得る。図24Bは、再生器を含む装置の実施態様を示す、簡素化された図である。特に、装置2450は専用コンプレッサー2453、専用膨張機2452,および再生器2454を備え、これらはすべて一般的な回転シャフト2466と機械的に連結している。
再生器2460は、この閉鎖ループシステムにおいて、専用コンプレッサー2453と専用膨張機2452との間の流動気体の間に置かれる。具体的には、再生器2460を通る間、専用コンプレッサー2453において圧縮され熱シンク2462の温度に冷却された気体は、専用膨張機2452において膨張され熱源2460の温度に加熱された流動気体近傍からの熱エネルギーの伝導により加熱される。逆に言えば、専用膨張機2452において膨張され熱源2460の温度に加熱された気体は、専用コンプレッサー2453において圧縮の間冷却された流動気体近傍への熱エネルギーの伝導によって、冷却される。再生器2460における流動気体の間の熱エネルギーの交換は、究極的には膨張気体から回収されるエネルギー量を亢進させる役割を有する。
他の態様において、再生器の要素により実施されるものと同様の効果が、その代わりに複数のステージにわたって膨張を行うことにより成し遂げられ得る。このような態様は、図24Cにおいて示される。第1専用膨張機2482が第2専用膨張機2483と直列に流体連通しており、第1専用膨張機と第2専用膨張機の両方が共通の連結機構2476と物理的に連結していることを除いては、システム2480はシステム2400と同様である。連結機構2476は、回転シャフトのように機械式であってもよく、あるいは液圧式または空気圧式であってもよい。熱交換器2484および2486の各々を介する熱源2470と熱連通する一連の専用膨張機ステージ2482および2483を使用する熱の抽出によって、第2膨張ステージから出てきた気体の最終的な温度は、図24Bの態様の再生器から出てきた気体の最終的な温度になり得る。他の態様において、熱交換器2484および386は、独立した熱源と熱連通していてもよく、それは同じ温度であることは必須ではない。
図24Dは、本発明による装置のさらなる他の態様を示す簡素化された図である。図24Aの通り、この図は気体(ここではヘリウム)がリサイクルされる閉鎖システムを示す。
図24Dの実施態様は、同様の一般的な回転シャフトに機械的にリンクされた2つの膨張機と2つのコンプレッサーを含む。図24Dの特定のシステムは究極的には、保存のため二酸化炭素を圧縮するよう運転される。
特に、図24Dは、燃焼排ガスから分離された圧縮二酸化炭素のためのシステムの態様を示す。これは、排ガスにおいて利用可能な熱のみを動力源とする。
アミンによる石炭排ガスからの二酸化炭素の分離方法に関連する寄生損失のほぼすべては、2つのプロセスから生じる。
1)吸収されたCO2を放出するために、アミン液体を加熱すること。
2)輸送または保存に適する液体を作り出すために、分離されたCO2を圧縮すること。
本発明の態様は、第2のカテゴリー−CO2ガスを圧縮するのに必要なエネルギー−に対処する。それは、全寄生損失の約35%、またはCO2捕捉器を備える石炭火力発電所により生成されるすべての電力の10%を占める。本発明の態様による技術は、全体におけるこれらのロスを取り除くことが可能である。
燃焼排ガスにおける低品位の熱は、効率的におよび安価に機械力に変換され得、機械力は同様にCO2コンプレッサーを同様に効率的に運転するために用いられる。
本発明の態様は、近等温の気体圧縮および膨張を利用する。熱力学的に得られる基本的な結果は、圧縮が等温的に行われる場合に、気体を圧縮するのにかなり小さい仕事量で済むということである。
圧縮の仕事が気体において行われると、熱が生まれる。温度が圧縮の間一定に保たれるよう、この熱がシステムから断続的に取り除かれるとしたら、圧縮は等温的に行われるといえる。同様に、気体が膨張する際にシステムに熱が加えられるとしたら、圧縮気体に保存されたエネルギーからより多くの仕事量を得ることができる。
図24Dの構造は、シングルシャフトにおいて、これらの原理に基づき運転される2つの装置を配置する。
第1の装置は、エリクソンサイクルにおいて運転される連結された圧縮チャンバーと膨張チャンバーとを含む熱エンジンである。このエンジンは、高い熱効率で機械的仕事−この場合ではシャフトトルク−を生成するために、排ガスと外気との間の温度差を利用する。
第2の装置は、近等温のCO2コンプレッサーである。
これらの装置は、CO2コンプレッサーに始まって下記に詳述される。本発明にかかる態様による、ある中核原理を表す。
気体状のCO2のΔT(圧縮の間に起こる温度の上昇)を制御するために、本発明の態様は、熱吸収において液体が気体よりもはるかに優れていることを利用する。実際、ある温度で、所定の体積の油は、同じ体積のCO2気体よりも約2000倍熱を保ち得る。液体と気体が直接的に接触する表面積が大きければ、気体相と液体相との間の温度の平衡は、より早く生じる。圧縮の前または間に気体の中に液体の小滴を噴霧することで、2つの相の間で早急な熱交換をもたらす大きな表面積を提供する。
液体スプレー、典型的には潤滑油、は気体コンプレッサーを冷却するために、および圧縮率を通常よりも高く(適切な冷却なしに、高い圧縮率は熱疲労および熱損傷が残り得る程度の熱を作り出す)するために長年の間使われてきた。本発明によるこのプロセスの促進は、2つのエリアに分類される。
第1のエリアは、作業−必要に応じて調節−の間、所望のレベルで圧縮または膨張のΔTを維持するのに必要な液体スプレーの体積の計算である。これは、この特定のアプリケーションの特に重要な必要条件である:アミン吸収プロセスの特性上、システムの異なるステージは、特定の温度で運転されなければならない。
第2のエリアは、気体の圧縮と膨張の両方のΔTを制御するためのスプレーの使用である。熱エンジン部品に関連して記述したように、膨張セルは、排ガスにおいて利用可能な排熱から得られた機械力を伝達する必要性を有する。
(温度が制御された圧縮)
図27は、コンプレッサーの機構を概略的に示す。CO2ガスは、油が気体流にスプレーされる前混合チャンバーに入り、混合される。気体は、約25℃で入り、液体は約20℃である。それは、気体−液体エアロゾルが圧縮チャンバーに入る前に、パルセーションダンパー“ボトル”を介して通過する。これにより、コンプレッサーが循環で操作されている場合でも、油を継続的にスプレーすることができる。圧縮チャンバーそれ自体には、従来型の往復ピストンおよびシリンダーが配置され、CO2ガスに適合するよう適宜修正される。
下死点にピストンが動くにつれて、CO2/油−水滴エアロゾルは、入口バルブ(図の上方のバルブ)のひとつを介してシリンダーに吸い込まれる。熱エンジン(下述)は上死点にピストンを駆動し、混合物を圧縮する。所望の圧力に達したとき(30℃でCO2が液化するのに、約40気圧が必要である)、排気バルブが開き、混合物が分離機に排出される。分離機(従来のサイクロンシステム)はCO2から油を抽出し、タンクまたは輸送のためのパイプラインにCO2を送る。圧縮プロセスにより30℃に温められた油は、熱交換器(図示せず)を介して、20℃に戻すために送られ、再び前の混合チャンバーにスプレーされるようになる。
図27に示されたシステムは、複動式である。片方のシリンダーが圧縮されると、もう片方は排出される。どちらかの側の入口バルブおよび排出バルブは、お互い180度位相がずれて開閉する。
ここで留意すべきは、図27に記載のシステムは、シングルステージのコンプレッサーであることである。最終的な設計は、実用的な範囲内での圧縮率を保つよう3または4のステージを必要としてもよい。しかしながら、単一のポンプおよび単一の熱交換器だけは、すべてのステージにおいて必須とされる。典型的には、マルチステージコンプレッサーにおいて、すべてのステージは同じ圧縮率を有する。我々のステージの他の独自の特徴は、圧縮率は各ステージにおいて同等のΔT’sを作り出すよう調整されることである。ΔT’sのバランスを取ることで、効率および電力密度が最大化される。
(システムの構造)
一体化された液体スプレーシステムを有するコンプレッサーは、“セル”を備える。このようなセルは、バルブのタイミングに応じて、気体コンプレッサーまたは気体膨張機として運転され得る。膨張セルにおいて、気体は入口バルブを介してシリンダーに入り、ピストンを動かしクランクシャフトを回転させるよう膨張する。
図24Dのシステムにおいては、CO2コンプレッサーはひとつのセルであり、コンプレッサーを作動する熱エンジンは3つの密結合されたセルからなる。すべての4つのセルは、単一のクランクシャフトを共有する。
点線の箱の中に示される熱エンジンを形成する3つのセルにおいて、一番目のもの(“コンプレッサー”とされる)はコンプレッサーとして運転され、他の2つ(“膨張機1”および“膨張機2”)は膨張機である。コンプレッサーは後述を除き、前述のCO2コンプレッサーと同様に運転される。
膨張機は、少し異なって運転される。気体が膨張し、ピストンにおいて仕事が発生すると温度が下がる。熱交換器1および2を介して排ガスから得られた熱を加えることで、膨張機は、両方の圧縮セル(熱エンジンのコンプレッサーおよびCO2コンプレッサー)に動力を供給するクランクシャフトトルクの形態において十分な機械エネルギーを生成する。熱い排ガスを介してシステムに熱を加えることにより、膨張機は、熱エンジンのコンプレッサーを運転するのに必要なシャフトトルクよりも大きなシャフトトルクを作り出し、最終的に正の出力に導く。生成される超過の仕事は、入ってくる排ガスと外気の間の温度差に依存する。
2つの異なる温度で利用可能な2つの熱源が存在するため、2つの膨張機が存在する。分離されたCO2流が約110℃から120℃である一方で、ほとんどが窒素でありCO2は約10%だけである石炭燃焼からの排ガスは150℃である。結果として、熱源から得られるエネルギーを最大化するために、熱エンジンの膨張部は2つの熱交換器と2つの再生器を用いており、各々が利用可能な特定の温度に変えられる。
熱エンジンの有用な効果は、排ガスが冷却されることであり、アミン吸収プロセスの前に存在すべきかにかかわらない。同様に、分離されたCO2ガス流は、圧縮において液化するよう、冷却されなければならない。結果として、これらの熱交換器は、従来のアミンプロセスの必要な部分である。我々のシステムにおいて、それらは気体流を冷却し、CO2コンプレッサーにエネルギーを供給する2つの役割を果たす。
熱の付加と排除は、ほぼ一定の圧力で生じ、熱エンジンのサイクルをエリクソンサイクルにする。エリクソンエンジンはしばしば、圧縮と膨張が反対側で起こる複動ピストンを用いる。我々のシステムにおいて、圧縮と膨張は離れたシリンダーで起こる。
熱エンジンの圧縮セルと膨張セルは閉システムを形成するため、いかなる適切な気体をも用いられ得る。気体としては、ヘリウムが選択され得る。その熱伝導特性ゆえに再生器(しばしばこの種の熱エンジンの最も高価な部分である)がコンパクトおよび安価となるからである。
システムの熱力学は複雑である。鍵となる分析的な結果は、石炭燃焼パワープラントの排ガスにおいて利用可能な十分な熱エネルギーが存在することである。それにより、熱のロスおよび機械的ロスを含めて、全体のシステムを運転し、エネルギーの付加なしにすべての分離されたCO2を圧縮できる。それは、全体のシステムが内蔵型となり得る:運転のために電気を必要としない、ということである。
次に、圧縮と膨張を成し遂げるための装置の種々の態様について詳解する。しかしながら、本発明はこれらの態様に限定されるものではなく、他の装置(例えば、専用コンプレッサーおよび専用膨張機)が用いられ得る。
(シングルステージシステム)
図25は、本発明のシステム2520の態様を示す。この態様は、圧縮と膨張の間の熱交換を促進させるために液体と空気を混合し、圧縮する空気と膨張する空気の両方に同じ機構を応用することを含む。バルブのタイミングを電気的に制御することで、圧縮空気の所定量から高い動力出力を得ることできる。
図25に示されるように、エネルギー保存システム2520は、ピストン装置2523の往復のために形成されるチャンバー2522を画定するシリンダー装置2521または同様のものを含む。圧縮空気エネルギー保存システム2520はまた、圧力セル2525を含む。それは、ユニットとしてシリンダー装置2521と一緒に組み合わされた場合、可逆性の圧縮/膨張機構(すなわち、1−ステージ2524)のひとつのステージを形成する。空気フィルター2526、気液分離機2527、および液体タンク2528が存在し、パイプ2530と2531各々を介して、低い圧力側において圧縮/膨張機構2524と流体連通する液体2549dを含んでいる。高い圧力側において、空気保存タンク2532は、入力パイプ2533と出力パイプ2534を介して圧力セル2525に接続している。2つの出力ノズル2511と2544とともに、複数の双方向・2位置バルブ2535−2543が提供される。この特定の態様は、液体ポンプ2546と2547も含む。しかしながら、評価されるであろうことは、液体タンク2528の水位がシリンダー装置2521の水位よりも高くなった場合、水は重力に従ってシリンダー装置に流れ込み、ポンプ2546の必要性が低減されることである。
つまり、大気がパイプ2510を介して入り、フィルター2526を通過し、パイプ2530を介してシリンダー装置2521のシリンダーチャンバー2522に入る。そこでは、ピストン2523の動きにより、液圧により、または他の機械的アプローチにより(図8参照)圧縮される。圧縮が始まる前に、噴霧ノズル2544を用いて、液体ミストがシリンダー装置2521のチャンバー2522に導入される。それは、圧力セル2525からパイプ2548を介する。液体は、水、油、または十分に高い熱容量特性を有する圧力セル由来の他の適切な液体2549fであってもよい。高い温度に持ちこたえることが可能な液体が必要とされないよう、システムは、好ましくは実質的に外気温で作動する。液体ミストの主要な機能は、シリンダーチャンバーにおいて空気の圧縮の間に生成された熱を吸収することである。各々の圧縮ストロークの間、チャンバーに注入されたミストの予定量は、ストロークの間に生成されたすべての熱を実質的に吸収するのに必要な量である。ミストがまとまるにつれて、シリンダーチャンバー2522において液体2549eとして集まる。
圧縮された空気/液体混合物は、パイプ2551を介して、出力ノズル2511を通って、圧力セル2525に移送される。圧力セル2525において、移送された混合物は、圧縮により生成された捕捉熱を、セルに収容される液体2549fと交換する。空気は液体を通って泡となり、圧力セルの上端部に達し、パイプ2533を通って空気保存タンク2532に進む。
膨張サイクルは本質的には、圧縮サイクルの逆のプロセスである。空気がパイプ2534を通って空気保存タンク2532を離れ、圧力セル2525において液体2549fを通って泡となり、パイプ2555を介してシリンダー装置2521のチャンバー2522に入る。そこでは、ピストン2523または他の機械的連結機構が駆動される。再度、膨張プロセスの間シリンダーチャンバーにおいて実質的に一定の温度に保つために、膨張の間、液体ミストは出力ノズル2544とパイプ2548を介してシリンダーチャンバー2522に導入される。空気圧縮が完了したとき、分離された液体が再利用されるよう、消費された空気とミストが気液分離機2527を通過する。最終的に、空気はパイプ2510を介して外気に排出される。
圧力セル2525に収容される液体2549fは、継続的に熱交換器2552を通って循環される。圧縮の間に生成された熱を取り除き、膨張の間に熱吸収されるチャンバーに熱を加えるためである。この循環する液体は同様に、スイッチ2564および熱交換器2512を介して、熱をヒートシンク2560または熱源2562のどちらか一方と選択的に交換する。循環する液体は、内部熱交換器2552と接続しているパイプ2553と2554を介して、外部熱交換器2512に運ばれ、および外部熱交換器2512から運ばれる。
図25の装置はさらに、コンピューター読み出し可能保存装置2592に電気的に連結しているコントローラー/プロセッサー2594を含む。それは、いかなる設計のひとつであってもよく、以下に限定されるものではなく、半導体原理、または磁気的もしくは光学的記憶原理に基づくものを含む。コントローラー2594は、システム内の能動素子の領域と電気的に連結されるものとして示され、以下のものには限定されないがバルブ、ポンプ、チャンバー、ノズルおよびセンサーを含む。本システムに用いられるセンサーの具体例は、以下のものには限定されないが、圧力センサー(P)2598,2574および2584、温度センサー(T)2570、2578、2586および2576、湿度センサー(H)2596、体積センサー(V)2582および2572、および流量センサー2580を含む。
以下に詳細を示すように、1または2以上のシステム要素から受け取られる入力、およびもしかするとそれらの入力から計算される数値にも基づいて、コントローラー/プロセッサー2594は、1または2以上の目的を達成するためにシステムの運転を動的に制御する。目的は以下のものには限定されないが、以下のものを含む:最大化もしくは制御された保存されたエネルギーの有効仕事への変換効率;最大化、最小化、もしくは制御された出力;予期される出力;ピストンと連結する回転シャフトの予期される出力速度;ピストンと連結する回転シャフトの予期される出力トルク;ピストンと連結する回転シャフトの予期される入力速度;ピストンと連結する回転シャフトの予期される入力トルク;ピストンと連結する回転シャフトの最大出力速度;ピストンと連結する回転シャフトの最大出力トルク;ピストンと連結する回転シャフトの最小出力速度;ピストンと連結する回転シャフトの最小出力トルク;ピストンと連結する回転シャフトの最大入力速度;ピストンと連結する回転シャフトの最大入力トルク;ピストンと連結する回転シャフトの最小入力速度;ピストンと連結する回転シャフトの最小入力トルク;またはそれぞれのステージにおける最大の予期される空気の温度差である。
前に図12A−Cに併せて記載された表は、熱交換に影響を与える液体ミストを利用したシングルステージシステムのための圧縮サイクルの態様におけるステップを表す。圧縮サイクルの間、圧力セルの熱交換器は熱源と熱連通していないが、ヒートシンクとは熱連通している。
対応する膨張サイクルは、図13A−Cに関連して上述の表において示される。膨張サイクルの間、圧力セルの熱交換器は熱源と熱連通している。
圧縮および膨張の両方で同じ機構を使用することは、本発明によっては必須とされないが、それによりシステムのコスト、大きさ、および複雑性を低減することができる。
(マルチステージシステム)
機械力がシステムに運ばれ、およびシステムから運ばれる、機械的または液圧的アプローチにより適合可能である場合よりも大きな圧縮/膨張率が求められる場合、マルチステージシステムが利用されるべきである。3つのステージ(すなわち、第1ステージ2624a、第2ステージ2624b、および第3ステージ2624c)を有するマルチステージ圧縮空気エネルギー保存システム2620は、図26に概略的な形態で図示される。数個以上のステージを有するシステムは、同様に構築される。ここで留意すべきは、下記のすべての図において、a、bおよびcの文字が番号の指定とともに使われる場合(例えば、2625a)、それらはマルチステージエネルギー保存システム2620の個々のステージにおける要素に言及している。図26は、種々のステージがスイッチ2654を通って熱源2650またはヒートシンク2652と選択的に連結し得ることを示す。
同じ要素によって実行される圧縮機能および膨張機能を有する装置のマルチステージの態様もまた、再生器装置を利用することで恩恵を受け得る。図26Aは、システム2650の他の態様の簡略化された図を示す。それは、再生器2652を含むこと以外は、図26のシステムと同様である。再生器2652は、高圧ステージ2624cと圧縮気体保存ユニット2632との間の導管2633と選択的に流体連通している。
システムが圧縮モードで運転されている場合、ステージ2624a〜cは、スイッチ2654を介してヒートシンク2652と熱連通している。バルブ2654と2656は、流入空気を、導管2620を回避して第1ステージ2624aに直接流入するよう構成される。
システムが膨張モードにて運転されている場合、バルブ2654と2656は、第1ステージ2624aの出口と熱連通する導管2620を配置するよう構成される。加えて、ステージ2624a−cは、スイッチ2654を介して熱源2650と熱連通している。
この構成の結果として、膨張の間、再生器2652を通って保存ユニット2632から流出する気体は、低圧ステージ2624aから流出する流動気体近傍からの熱エネルギーを受け取ることにより温められる。具体的には、低圧ステージ2624aから流出する気体は、3つの連続的なステージから熱源への露出により温められる。再生器における流動気体間の熱エネルギーの交換は、圧縮気体の膨張からの出力エネルギーを増強させる。同様に、低圧ステージから出力された気体は、外気に放出される前に、外気温に冷却される。
図26および26Aの態様は、熱源と同じ温度で熱連通している場合のマルチステージ装置のステージのすべてを示すが、これらは本発明により必須とされるものではない。図26Bは、システム2680の他の態様を示し、ここでは、異なるステージが、異なる温度を有する異なる熱源と選択的に連結している。図26Bの特定の態様において、低圧ステージ2624aおよび第2のステージ2624bは、第1のスイッチ2683を通って、第1の熱源2682およびヒートシンク2684と選択的に熱連通している。最終ステージ2624cおよび保存ユニット32は、第2のスイッチ2686を通ってヒートシンク2684および第2の熱源2685と熱連通している。
図26Bで示されるような実施態様により、第2の温度差からのエネルギーが抽出され得る。例えば、工業的プロセス由来の高温の熱は、各々前ステップよりも外気に近い温度を有する冷却ステップの継続を経て、外気温まで冷却され得る。
さらに、圧縮および/または膨張の間、本発明の態様によるマルチステージ装置の種々のステージが、温度の異なる変化を経験し得る。図26Bに示されるような構成により、このようなステージの特定の温度の熱源へのより正確なマッチングが可能となる。それにより、種々の温度から利用可能な効率的なエネルギーの抽出が可能となる。
図24Dは、専用コンプレッサーと専用膨張機の要素に特徴を有する態様を示す。それは、異なる熱源と各々連結している多段階膨張ステージを利用する。
要約すれば、本発明の種々の態様は、共通して1または2以上の下記の要素を有していてもよい。
1.膨張サイクルの間、熱源と選択的に熱連通する。
2.空気と高い比表面で接触する液相によりもたらされる所要の熱交換を伴う、近等温の空気の膨張および圧縮。
3.空気の圧縮および膨張の両方をなし得る可逆的機構。
4.圧縮空気の所定の体積から高い予定出力を得るための、バルブタイミングの電気的な制御。
上記に詳述したように、本発明によるエネルギーを保存および回収するシステムおよび方法の態様は、プロセッサーおよびコンピューター読み出し可能保存媒体を含むホストコンピューターと連結されての実施に非常に適している。そのようなプロセッサーおよびコンピューター読み出し可能保存媒体は装置に組み込まれ得る、および/または、外部の出力/入力デバイスを通して、制御もしくはモニターされ得る。図20は、本発明の一態様に係る情報を処理する計算装置の簡素化された図である。この図は単なる例示であり、請求項の範囲を限定するものではない。当業者は多くの他の変形、修正および代用を認識するだろう。本発明に係る態様は、ブラウザのような単一のアプリケーションプログラムで実行され得る、もしくは、クライアント−サーバ関係におけるワークステーション、パーソナルコンピューターもしくはリモート端末のような分散コンピューター環境における複数のプログラムとして実行され得る。
図20は、ディスプレイデバイス2020、ディスプレイスクリーン2030、キャビネット2040、キーボード2050、およびマウス2070を含むコンピューターシステム2010を示す。マウス2070およびキーボード2050は「ユーザ入力デバイス」を表す。マウス2070は、グラフィカル・ユーザ・インターフェース上のボタンの選択のためのボタン2080を含む。ユーザ入力デバイスの他の例は、タッチスクリーン、ライトペン、トラックボール、データグローブ、マイクロフォン、等である。図20は、本発明を具体化するシステムの1つのタイプ以外の代表例である。多くのシステムのタイプおよび構成が本発明とともに使用するのに適していることは、当業者にとってきわめて自明であろう。好ましい態様において、コンピューターシステム2010は、ペンティアム(登録商標)クラスを基礎とするコンピューター、マイクロソフト社による稼働するWINDOWS(登録商標)XP(商標)もしくはWINDOWS(登録商標) 7(商標)のオペレーティングシステムを含む。しかしながら、本発明の範疇から外れない範囲で、当業者によって、本装置は、他のオペレーティングシステムおよび基本設計概念に容易に適用される。
述べたように、マウス2070は、たとえばボタン2080のような1または2以上のボタンを有し得る。キャビネット2040は、たとえば、ディスクドライブ、プロセッサー、保存装置等のようなよく知られているコンピューター部品を収納する。保存装置は以下に限定されるものではないが、ディスクドライブ、磁気テープ、固体メモリ、バブルメモリ、等を含む。キャビネット2040は、たとえば、コンピューターシステム2010を外部デバイス、外部保存装置、他のコンピューター、追加の周辺機器、さらには以下に記載するものに接続するための入力/出力(I/O)インターフェースカードのような追加のハードウェアを含み得る。
図20Aは、図20のコンピューターシステム2010における基本サブシステムの例示である。この図は単なる例であり、請求項の範囲はこれに限定されるべきではない。当業者は他の変形、修正、および代用を認識するだろう。ある態様において、サブシステムはシステムバス2075を介して相互接続される。たとえば、プリンター2074,キーボード2078、固定ディスク2079、ディスプレイアダプター2082と接続されるモニター2076、および他のような追加サブシステムが示される。I/Oコントローラー2071と接続する周辺機器および入力/出力(I/O)デバイスは、たとえばシリアルポート2077のような当業者に既知の多くのアプローチによってコンピューターシステムに接続され得る。たとえば、シリアルポート2077はコンピューターシステムをモデム2081に接続するために用いられ得、同様に、たとえば、インターネット、マウス入力デバイス、もしくはスキャナーのようなワイドエリアネットワークに接続される。システムバスを介した相互接続によって、セントラルプロセッサー2073は、それぞれのサブシステムと通信でき、および、サブシステム間の情報の交換だけでなくシステムメモリ2072もしくは固定ディスク2079からの命令の実行を制御することができる。サブシステムおよび相互接続の他のアレンジが当業者によって容易になされうる。システムメモリおよび固定ディスクはコンピュータープログラムの保存用の有形媒体の例であり、有形媒体の他の例は、フロッピー(登録商標)ディスク、着脱式ハードディスク、たとえばCD−ROMやバーコードのような光学保存媒体、たとえばフラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)およびバッテリーバックメモリのような半導体メモリを含む。
図21は、プロセッサー/コントローラー間の関係、受け取られる様々な入力、実行される機能、プロセスコントローラーによって生み出される出力を示す模式図である。示唆されるように、1または2以上の入力に基づいて、プロセッサーは装置の様々な運転特性を制御し得る。
制御され得るそのような運転パラメーターの例は、膨張サイクルの間に流入空気をシリンダーに入れるバルブの開閉タイミングであり、図13A〜Cに関連して前述された通りである。
具体的には、膨張サイクルのステップ1の間、制御された時間間隔の間のバルブ37の開放によって、空気の所定量V0が圧力セルからチャンバーに加えられる。この空気の量V0は、ピストンが膨張ストロークの終点に達する時にチャンバー内部の所望の圧力が得られるように計算される。
ある場合においては、もしステージが最も圧力の低いステージであるか唯一のステージであるならば、この所望の圧力は2番目に圧力の低いステージもしくは大気圧とほぼ等しくなるだろう。そのため、膨張ストロークの終点においては、初期の空気量V0におけるエネルギーは完全に消費され、膨張した空気を2番目に圧力の低いステージに動かす際に無駄になるエネルギーはほとんどないか、全くない。
この目標を達成するために、所望の空気量(V0)をチャンバーに入れることができる間のみバルブ37が開放され、その後、ステップ3〜4において、バルブ37は閉状態が維持される。ある態様においては、チャンバー内部の所望の圧力は、2番目に低いステージの、1PSI以内、5PSI以内、10PSI以内、20PSI以内であり得る。
他の態様においては、バルブ37がV0よりも大きな初期空気量となるようにコントローラー/プロセッサーがバルブ37を制御し得る。たとえば、エネルギー回収の効率を犠牲にして、より大きな動力が所定の膨張サイクルから望まれる時、そのような指示が与えられ得る。
圧縮の間、バルブの開閉タイミングも注意深く制御され得る。たとえば、ミストの追加および圧縮に対応する表のステップ1および2において、シリンダー装置と圧力セルとの間のバルブ38が閉状態のまま維持され、シリンダー内部の圧力が高まる。
従来型の圧縮装置においては、蓄積された圧縮空気がチェックバルブによってベッセル内部に収容され、閾値圧力に応答して機械的に開放されるように設計されている。チェックバルブを作動させるために圧縮空気のエネルギーをそのように使用することが有益な作業を実行するための空気からのエネルギーの能率的回収を損なう。
対照的に、本発明の態様は所望の条件の下でバルブ38を正確に開放するためにコントローラー/プロセッサーを用い得て、たとえば、そこではシリンダー内の蓄積圧力は圧力セル内の圧力を一定量上回る。この方法において、シリンダー内部の圧縮空気からのエネルギーはバルブ開放プロセスによって消費されず、エネルギー回収の能率は上昇する。圧縮空気をシリンダーから流出させるために電気的制御に依存し得るバルブのタイプの態様は以下に限定されるものではないが、パイロットバルブ、カム操作バルブ、ロータリーバルブ、液圧作動バルブ、および電子作動バルブを含む。
シングルステージ装置のバルブ37および38の操作タイミングは上述したように制御され得る一方、他のバルブが同様に制御され得ることが好ましいはずである。
プロセッサーによって制御され得るシステムパラメーターの他の例はチャンバー内に導入される液体量である。たとえば、圧力、湿度、算出された効率、および他のような1または2以上の数値に基づいて、圧縮もしくは膨張の間にチャンバーに導入される液体量が注意深く制御され、運転の効率を維持し得る。たとえば、V0よりも大きい空気量が膨張サイクルの間にチャンバーに入ると、所望の温度範囲内で圧縮空気の温度を維持するために追加の液体が導入されなければならないかもしれない。
上述の具体的な態様における変形が可能である。たとえば、いくつかの態様においては、複数のピストンが共通のチャンバーと連結され得る。
そして上述の態様は圧力セルの液体部分に接触した場合での熱交換器を示してきた一方で、これは本発明に必須とされない。他の態様において、熱交換器は圧力セルの気体部分、または圧力セルの気体部分および液体部分の両方に接触し得る。専用圧力セルを有しない態様(例えば図10に示されるように)において、熱交換器はシリンダー内に含まれるまたはシリンダーに流入する気体または液体に接触し得て、これは本発明の範囲内に含まれる。
そして上述の態様は専用圧力セルを示してきた一方で、マルチステージ装置は独立した圧力セルを含まなくてもよい。例えば、図10の態様において、ステージは圧力セルよりもむしろ熱交換器を通ってともに直接的に接続される。ステージ1が排出ステップを行っているときにステージ2が注入ステップを行うよう(圧縮の間)、2つのステージにおけるサイクルの相対位相は注意深く制御されなければならない。ステージ2が排出ステップを行っているときには、ステージ1が注入ステップを行う(膨張の間)。
熱交換器10024の両側の圧力が、バルブ37および10058が開く際に実質的に同じであるよう、タイミングが制御される。スプレーノズル44への液体は、バルブ10036を開き、ポンプ10032を動かすことにより、シリンダー22内の過剰の水から供給される。同様に、スプレーノズル10064への液体は、バルブ10038を開き、ポンプ10034を動かすことにより、シリンダー10046内の過剰の水から供給される。操作の間のこのような適切なタイミングは、前述のような、複数のシステムの要素と連結しているコントローラー/プロセッサーの操作により達成され得る。
(付記1)
圧縮気体からエネルギーを回収するように構成されたシステムであって、
熱源と熱連通している熱交換器と、
液体供給部と選択的に液体連通している、第1の可動部材を有するチャンバーを備える第1の膨張機と、
前記熱交換器と熱連通し、前記チャンバーと選択的に流体連通している第1の圧力セルと、
を備え、
前記チャンバーは、前記第1の圧力セルからの圧縮気体が第1のピストンを動かすために前記チャンバー内にて膨張するときに、前記液体供給部から液体を受けるよう構成される、
ことを特徴とするシステム。
(付記2)
第1の膨張機は、圧縮気体保存ユニットと選択的に流体連通しているコンプレッサー−膨張機を備え、
前記熱交換器は、前記コンプレッサー−膨張機が膨張機として運転されるように構成されるときには、前記熱源と熱連通するように構成され、前記コンプレッサー−膨張機がコンプレッサーとして運転されるように構成されるときには、前記熱源と熱連通しないように構成される、
ことを特徴とする付記1に記載のシステム。
(付記3)
前記熱交換器は、前記コンプレッサー−膨張機がコンプレッサーとして運転されるように構成されるときには、ヒートシンクと熱連通するように構成される、
ことを特徴とする付記2に記載のシステム。
(付記4)
前記熱交換器と前記熱源との間を選択的に熱連通できるようにするスイッチをさらに備える、付記1に記載のシステム。
(付記5)
前記熱源は太陽エネルギーを含み、前記スイッチは概日周期を含む、
ことを特徴とする付記4に記載のシステム。
(付記6)
前記スイッチは前記熱源と前記圧縮気体保存ユニットとの間を選択的に熱連通できるようにする、
ことを特徴とする付記4に記載のシステム。
(付記7)
前記第1の可動部材と再生器との間の物理的連結機構をさらに備える、付記1に記載のシステム。
(付記8)
前記物理的連結機構は、機械式連結機構、液圧式連結機構、または空気圧式連結機構を備える、
ことを特徴とする付記7に記載のシステム。
(付記9)
前記膨張機は、専用膨張機を備え、
前記物理的連結機構と連結し、前記専用膨張機から出てきた気体を受けるよう構成された専用コンプレッサーをさらに備える、
ことを特徴とする付記7に記載のシステム。
(付記10)
前記専用コンプレッサーはヒートシンクと熱連通している、
ことを特徴とする付記9に記載のシステム。
(付記11)
前記専用膨張機から出てきた気体を前記専用コンプレッサーから出てきた気体に熱的に露出するように構成された再生器をさらに備える、付記9に記載のシステム。
(付記12)
膨張サイクルの間、前記チャンバーに気体を収容するように構成されたバルブと連結しているコントローラーをさらに備える、付記1に記載のシステム。
(付記13)
前記可動部材が膨張ストロークの終点にある場合、前記気体が大気圧とほぼ等しい圧力または2番目に低い圧力ステージとほぼ等しい圧力を作り出すよう構成される、
ことを特徴とする付記12に記載のシステム。
(付記14)
前記膨張機が、前記チャンバーにおける前記可動部材により圧縮された空気を、バルブを介して前記圧力セルに流入するように構成されたコンプレッサー/膨張機を備える、
ことを特徴とし、
圧縮サイクルの間、前記チャンバーにおいて所望の圧力が達成されたときに、前記バルブを開くために前記バルブと連結しているコントローラーをさらに備える、付記1に記載のシステム。
(付記15)
温度差からエネルギーを抽出する方法であって、
第1の温度で圧縮気体を供給する工程と、
第2の温度で熱源を連結機構に連結された膨張機内で膨張している圧縮気体と熱連通するように配置する工程と、
前記連結機構から機械的、空気圧的、または液圧的な形態での力を抽出する工程と、
を含む方法。
(付記16)
前記圧縮気体が保存ユニットから供給される、
ことを特徴とする付記15に記載の方法。
(付記17)
前記熱源が太陽エネルギーを含む、
ことを特徴とする付記16に記載の方法。
(付記18)
前記熱源が概日周期により前記圧縮気体と選択的に熱連通するように配置される、
ことを特徴とする付記17に記載の方法。
(付記19)
第2の熱源を第3の温度で前記保存ユニットと熱連通するように選択的に配置する工程をさらに含む、付記16に記載の方法。
(付記20)
前記圧縮気体が前記連結機構に連結したコンプレッサーより供給される、
ことを特徴とする付記15に記載の方法。
(付記21)
前記コンプレッサーが前記膨張機から出てきた気体を圧縮する、
ことを特徴とする付記20に記載の方法。
(付記22)
前記圧縮気体がヘリウムを含む、
ことを特徴とする付記21に記載の方法。
(付記23)
前記気体が高い熱容量を有する濃縮気体を含むように、前記気体が外気圧よりも実質的に高い圧力基準値で前記膨張機から出てくる、
ことを特徴とする付記21に記載の方法。
(付記24)
再生器において、前記膨張機から出てきた前記気体を、前記コンプレッサーから出てきた前記圧縮気体に熱的に露出する工程をさらに含む、付記21に記載の方法。
(付記25)
前記膨張機から出てきた気体を、第3の温度で第2の熱源と熱連通している第2の膨張機と流体連通するように配置する工程をさらに含む、付記20に記載の方法。
(付記26)
前記膨張機内で前記圧縮気体に液体を導入する工程をさらに含む、付記15に記載の方法。
冷却目的で液体−気体エアロゾルの膨張を利用することは、米国特許仮出願第61/320,150号明細書で説明されており、この出願は全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。本発明の態様は、このようなエアロゾル冷却サイクルを用いて作動し得る圧縮気体エネルギー保存および回収システムに関連する。
具体的には、このような冷却システムの態様は、熱交換を促進するように水スプレーを用いて、等温近くで空気を圧縮および膨張することで運転される。ある態様において冷却剤は空気−水エアロゾルを含むため、システムは、温室ガス(GHG)の排出なしに効率良くかつ確実に運転されることができる。
本発明の態様により、わずかな温度変化のみで、空気を等温近くで圧縮および膨張することができる。これは熱力学的に基本的な結果から得られる:圧縮プロセスにより生成される熱が圧縮ストロークの間取り除かれると、気体を圧縮するのにより少ない仕事量で済む。同様に、膨張の間に熱が加えられれば、より大きな仕事量を膨張する空気から得ることができる。
液体の水は、外気の熱容量よりも約5千倍大きい熱容量を示す。本発明の態様は、微小な水滴を圧縮および膨張チャンバーに噴霧する。これにより、少量の水スプレーが生成された多くの熱を吸収し、結果的に等温近くでの運転が可能となる。
ある態様は、圧縮および膨張を行うために、往復ピストンの機構を利用する。このような往復ピストンの機構を利用することで、液体を直接的に圧縮または膨張チャンバーにスプレーすることができる。液体の水滴がスプレーの形態で直接的に膨張チャンバーに導入され得るシステムは、米国特許出願第12/701,023号明細書で説明されており、この出願は全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。米国特許仮出願第61/306,122号明細書は、気体が膨張するチャンバーの上流に配置された混合チャンバーに液体スプレーが導入され得る他の態様を説明している。この出願も全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
加えて、液体スプレーの流量とタイミングが制御され得る。これにより、流量とΔTとを独立して変化させることができ、効率の良さと快適さが最適化される。
等温近くでコンプレッサーおよび膨張機を連結させることで、エアロゾルの冷却サイクルが実行されるようになる。ある態様において、これにより、作用流体として空気および水のみの使用で済むようになる。他の態様は、ヘリウムと潤滑油といった、気体と液体の他の組み合わせを採用し得る。気体と液体とを組み合わせることで、GHGを排出することなく、高い性能係数(COP)を得ることができる。
本発明の実施態様によるエアロゾル冷却サイクルは、相変化により多くの熱を伝導させないにもかかわらず、効率良く運転され得る。この効率の良さは、膨張する気体の仕事を抽出し、その仕事を再び圧縮に投入することにより成し遂げられる。
図28は、本発明の一態様による冷却サイクルを図示した簡素化した図である。特に、モーターは、コンプレッサーピストンを下死点(BDC)から上方に駆動し、シリンダー内にて空気を圧縮する。それは150psiでスタートする。
ピストンが上死点(TDC)のほうに動くと、温度上昇を約10°Fに保ちながら、ポンプは水をシリンダーに噴霧する。シリンダーにおける圧力が約500psiに到達したとき、排出バルブが開き、圧縮された空気−水滴混合物が空気−水分離機に送られる。
圧縮の間に得られた熱が外側に行かないようにして、分離された水は熱交換器を通過する。空気は、膨張機シリンダーに向かって逆流熱交換器を通過する。熱の一部は他方向に(膨張機からコンプレッサーへ)移動する空気に移送される。
冷却された空気は、TDCで膨張機シリンダーに入り始め、再度水はシリンダーに噴霧される。膨張中の空気は、ピストンをBDCの方に駆動し、シャフトを回転させ、コンプレッサーシリンダーを動かすための付加的な力を供給する。
水−空気混合物は、他の分離機を通過し、分離された水は冷却サイドの熱交換器を通過し、ビルディングの中から熱を引き出す。分離された空気は、逆流熱交換器を介してコンプレッサーに戻り、サイクルは完了する。
この構造の任意の利益は、空気保存タンクが図28のA点に配置される場合、コンプレッサーはタンクを満たすために低電力需要の間に稼働され得るということである。膨張により達成される冷却効果は、付加的な電力利用無しに、ピーク需要の間(例えば、平日の午前7時から午後7時の間)得られ得る。
本発明の態様は、前述の特定の温度に限定されない。例えば、図28Aは以下の工程1−6を含むエアロゾル冷却システムの他の態様を示す。
1.冷却気体(〜65°F)は往復運動する膨張機において膨張し、内部に取り込まれた液体スプレーから熱を引き出す。両方とも膨張機を〜40°Fにする。抽出された仕事は、コンプレッサーとポンプに再投入される。
2.冷却エアロゾルは、気体から分離され、液体流に集められ、熱交換器に送られる。流入気流を〜55°Fに冷却し、再度膨張する気体にスプレーされるようにサイクルに戻される。
3.液体を含まない冷却気体は逆流熱交換器を通され、液体を含まない暖かい気体の流れに対抗する。冷却気体は外気温よりわずかの高い温度(〜120°F)に一定圧で加熱される。
4.暖かい液体は暖かい気体にスプレーされ、その後圧縮される。コンプレッサーは、一部膨張機により、および一部電気モーターにより駆動される。圧縮の熱は、エアロゾルに引き込まれる。両方ともコンプレッサーを〜130°Fにする。
5.暖かい液体は気体から分離され、液体流に集められ、熱交換器に送られる。大気に熱を放出することで冷却され、その後再度圧縮する気体にスプレーされるために再利用される。
6.液体を含まない暖かい気体は、逆流熱交換器を通され、液体を含まない冷却気体の流れに対抗する。暖かい気体は、空調装置排気温度よりもわずかに低い温度(〜50°F)に一定圧で冷却される。気体は膨張機に流れ込み、冷却液体とともに取り込まれ、サイクルは継続する。
ある態様では、合理的なコストでCOPが4を超えることを成し遂げ得る。寄生損失の制御は、装置の効率性の改善において一助となり得る。例えば、電動モーターおよびドライブ全体の効率性が95%であれば、コンプレッサーおよび膨張機機構の効率性は往復で79%を超え得る。高品質の機械的部品が使われる場合、ならびに圧縮、膨張の間、および熱交換器の全体において、温度変化が約10°Fから20°Fの間に維持され得る場合、この効率性レベルは達成可能である。
本発明の態様は、ある側面においてタービン膨張機を有する気体冷却サイクルと同様のアプローチを利用する。それは、例えばジェット機の空気循環冷却器に用いられる。例えば、大部分の冷却は、潜熱よりも顕熱の移動を介して行われる。
しかしながら、本発明によるエアロゾル冷却サイクルの態様は、ある側面においてこのような従来の気体冷却サイクルとは異なる。例えば、圧縮および膨張プロセスにおけるエアロゾルの使用およびエアロゾルの液体成分を介した熱の拒絶により、よりコンパクトで安価なシステムが実現する。
特に、空気−水エアロゾルは、既定の圧力で単位体積あたり同じ体積の空気よりも多くの熱を運ぶ。これにより、ΔTを厳密に所望の有効範囲に制御する一方で、高い圧縮率を用いて、ストロークごとに従来の(断熱性)コンプレッサー/膨張機によりなされるよりも多くの熱を送りこむことができる。
低くかつ厳密に制御されたΔTにより、高い熱力学的効果が得られる。ストロークごとに送りこまれる大量の熱は、機械的効果および流体効率のロスを減弱させる。空気−水エアロゾルの水成分の優れた熱運搬能力および熱移送能力は、所要の熱交換のコストと体積を低減する。
本発明の態様によるエアロゾル冷却サイクルにおいて等温近くの圧縮および膨張を達成することは、必要な質量流および液滴粒径で圧縮および膨張チャンバーに水を導入する噴霧ノズルの開発に依存し得る。このようなスプレーシステムは、粒子速度画像および計算流体力学(CFD)の分析を用いることが特徴である。
図29は、きわめて一様な水滴分布を提供する中空円錐ノズルの速度場を示す。これは、高い圧縮率に適している。図30は、高い質量流を提供するファンノズルのCFDシミュレーションを示す。
前述の通り、性能係数(COP)は、冷却システムの定量可能な特性のひとつである。従来の商業的な空調ユニットは、3.5のCOPで作動し得る。
エアロゾル冷却サイクルを利用するシステムの態様は、約4のCOPを目標とし得る。しかしながら、実際に達成されるCOPの正確な値は、多くの値に依存する。
このようなCOPの計算の例は、下記の力学的な表現(1)−(14)に関連して提供される。図31はエアロゾル冷却サイクルのシステム図を示し、図32はエアロゾル冷却サイクルの温度−エントロピー図を示す。
ポイント1と2との間の等温圧縮プロセスの間なされる仕事量は、下記のように表される。
コンプレッサーの効率性は、等温圧縮プロセスの間なされる仕事量の実際になされる仕事量に対する割合として規定される。
等温圧縮プロセスの間の仕事量は、下記のように表される。
膨張効率性は、抽出された現実の仕事量の等温プロセスにおいて抽出された仕事量に対する割合として表される。
等温的に運転される膨張機により空間から抽出された熱は、下記のように表される。
COPは下記のように計算される。
システムの一態様の特定のパラメーターは、下記のように提供される。
T1=75°F=297K;T2=75°F=297K,T3=55°F=286K,T4=55°F=286K
圧力比は、27.1をとる。
等温圧縮においてなされる仕事量は、下記のように表される。
膨張の熱効率を98%、機械的および漏れ効率が95.6%と仮定すると、実際の仕事量は、下記のように表される。
等温膨張から抽出される仕事量は、下記のように表される。
膨張の熱効率を92.7%、機械的および漏れ効率が95.6%と仮定すると、実際の仕事量は、下記のように表される。
空間から抽出された熱は、下記のように表される。
COPは、下記のように表される。
図32Aは、エアロゾル冷却サイクルの態様を介した仕事量と熱の流れを表した、電力フローのグラフである。電力の値は、グリッドからの電力の流入に標準化されている。
まず、1kwの電力が97%の効率でモータードライブを通過し、次に95%の効率でモーターにより処理される。これは、モーターシャフトを進み、摩擦として0.5%の力をロスする。このシャフトはコンプレッサーを駆動する。
コンプレッサーはいくつかの非効率性の可能性を有する源を有し得て、それには限定されることなくスプレー、漏れ、機械的および熱的なものが含まれる。水とヘリウムの質量比が10:1の場合に、噴霧のロスがシステムを介して循環される仕事量の1%のみとなる。
往復運動するコンプレッサーまたは膨張機の機械的および漏れのロスは、典型的には約95%である。しかしながら、摩擦損失は、バルブアクチュエーター、オリフィスフリクション、管内損失、およびピストンリングに集中する。
これらの摩擦損失は、圧力が上がるにつれて直線的には大きくならず、バルブ/パイプのロスはヘリウムのような軽い気体を用いることで低減する。圧力比2.71で、約25バールの内部加圧で運転を行うことで、合計で95.6%以上の機械的効率性を維持し得る。
熱的効率性もまた、図32Aの態様において示される。気体と液体との間の温度差が約5°Fの場合、示された温度で膨張効率が92.7%であり、圧縮効率が98%である。
本発明の態様によるエアロゾル冷却サイクルを利用するシステムのサイズは、因子の数に依存し得る。往復ピストン、ポンプ、熱交換器およびACモーターといったシステムの部品は、既製品または比較的簡便な修正品のどちらかを用い得る、基本的な装置である。これにより、装置の構成および従来のサイズの試作品が実現する。
例えば、1200RPMおよび150psiで稼働する1トンのシステムは、1hpの電動モーター、合計で350cc置換の2つの往復ピストン、および約15平方メートルの界面の表面積を有する冷却ファン熱交換器を利用し得る。これらの部品は、所望の形状要因(例えば、1.5’×1’×9”)に適合され得る。
特定の態様において、システムの部品は、10年以上の目標で、ほとんどメンテナンスをせずに、またはメンテナンス無しで作動することが期待され得る。寿命に影響を及ぼす1つの要因は、コンプレッサーおよび膨張機シリンダーにおける水の使用を含み得る。水が多くの金属を腐食するからである。スライディングシール、弁座、摩耗表面、およびファスナーといった要素の構成において、耐水性のマテリアルもまた有用であるといえる。本発明による態様は、水に露出される要素の寿命を改善するために、アルミニウム成分、ニッケル−ポリマーコーティング、および/またはPTFTスライディング成分を用いることができる。
要約すれば、本発明の態様は、従来の冷却アプローチと比較して潜在的な利益を有する。例えば、従来の冷却装置は、圧縮比の機能としてほぼ固定された熱いおよび冷たい温度を有し得、実際に必要とされる以上のΔTのオーバーシュートが引き起こされ、潜在的に著しい熱力学的なロスが生じていた。これに対して、本発明の態様は、負荷と圧縮率とで独立してΔTを制御することができ、これにより特定の著しい効率ロスを回避することができる。
本発明によるシステムによりもたらされ得る他の潜在的な利点は、従来のシステムにおいて別に浪費されていたエネルギーの捕捉である。例えば、典型的な空調はノズルを介して膨張を行う(例えば、膨張バルブ)。エネルギーは、浪費されているこのプロセスの間、放出される。蒸気圧縮のための付加された相対的効率性が小さいため、この場合でも付加されたCOPは約1である。
反対に、エアロゾルサイクルのために付加された相対的効率性はより大きく、付加されたCOPは4またはそれ以上である。つまり、本発明の態様は、効率良くエアロゾルを圧縮し、熱を交換し、エアロゾルの膨張からの機械的仕事を生成することができる。良好な機械的および熱力学的な構造が与えられるため、高いCOPが実現する。
本発明の態様による冷却システムのさらなる潜在的な利点は、GHGsを回避できることである。具体的には、空気−水エアロゾルまたはヘリウム−油エアロゾルの成分は、温室特性を示さず、それゆえ本発明によるシステムは、HCFCsまたは他の作動流体を利用する従来のシステムと比較して、環境的な利点を有し得る。
以下の付記項は、エアロゾル冷却に関連する。
(付記1)
膨張チャンバー内で熱を膨張する気体と交換するために第1の液体噴霧を導入する工程と、
膨張後の前記気体から前記液体を分離する工程と、
冷却するために分離された前記液体を熱交換器に流す工程と、
圧縮チャンバーからの圧縮気体が逆流熱交換器を介して前記膨張チャンバーに流れている間、前記逆流熱交換器を介して前記膨張チャンバーから前記圧縮チャンバーに気体を流す工程と、
前記圧縮チャンバー内で熱を前記圧縮気体と交換するために、第2の液体噴霧を導入する工程と、
を含む冷却方法。
(付記2)
前記気体が空気を含み、
前記第1の液体噴霧および前記第2の液体噴霧が水を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の冷却方法。
(付記3)
前記膨張チャンバーにおける前記液体噴霧と前記気体との間の熱交換により等温近くの膨張が生じ、
前記圧縮チャンバーにおける前記第2の液体噴霧と前記気体との間の熱交換により等温近くの圧縮が生じる、
ことを特徴とする付記1に記載の冷却方法。
(付記4)
前記第1の液体噴霧の結果として、前記膨張チャンバーが膨張の間約20°Fまたはそれ未満の温度変化を経験し、
前記第2の液体噴霧の結果として、前記圧縮チャンバーが圧縮の間約20°Fまたはそれ未満の温度変化を経験する、
ことを特徴とする付記1に記載の冷却方法。
(付記5)
圧縮気体が膨張を経験する第1のチャンバーに第1の液滴を噴霧することにより形成された、第2のエアロゾルの膨張により生じた第1のエアロゾルから分離された液体への露出によって外気の温度を制御する工程と、
圧縮気体が逆流熱交換器を介して流されている際に、前記逆流熱交換器を介して前記第1のエアロゾルから分離された気体を流す工程と(前記圧縮気体は、気体が圧縮される第2のチャンバーに第2の液滴を噴霧することにより形成された、第4のエアロゾルの圧縮により生じた第3のエアロゾルから分離される)、
を含む方法。
(付記6)
前記気体が空気を含み、
前記第1の液滴の噴霧および前記第2の液滴の噴霧が水を含む、
ことを特徴とする付記5に記載の方法。
(付記7)
前記第1のエアロゾルを形成するための前記第2のエアロゾルの膨張が、前記第1の液滴からの熱の移動により等温近くの状況下で起こり、
前記第3のエアロゾルを形成するための前記第4のエアロゾルの圧縮が、前記第2の液滴からの熱の吸収により等温近くの状況下で起きる、
ことを特徴とする付記5に記載の方法。
(付記8)
前記第1のエアロゾルを形成するための前記第2のエアロゾルの膨張が、約20°Fまたはそれ未満の温度変化で起こり、
前記第3のエアロゾルを形成するための前記第4のエアロゾルの圧縮が、約20°Fまたはそれ未満の温度変化で起こる、
ことを特徴とする付記5に記載の方法。
(付記9)
膨張チャンバーを形成するために配置された第1の部材を有する第1のシリンダーと(前記第1の部材は前記膨張チャンバー内で気体の膨張に対応して可動である)、
圧縮チャンバーを形成するために配置された第2の部材を有する第2のシリンダーと(前記第2の部材は前記圧縮チャンバー内で気体を圧縮するために可動である)、
可動の前記第1の部材と可動の前記第2の部材との間の物理的連結機構と、
前記物理的連結機構に接続しているモーターと、
前記膨張チャンバーにおいて第1のエアロゾルを形成するために液滴を導入するように、および前記圧縮チャンバーにおいて第2のエアロゾルを形成するために液滴を導入するように構成されたスプレーシステムと、
前記第1のシリンダーの出口と流体連通している入口を有する第1の気体/液体分離機と、
前記第2のシリンダーの出口と流体連通している入口を有する第2の気体/液体分離機と、
前記第1の気体/液体分離機の第1の出口と液体連通している第1の熱交換器と、
前記第2の気体/液体分離機の第1の出口と液体連通している第2の熱交換器と、
前記第1の気体/液体分離機から受け取った気体を前記圧縮チャンバーに流すように構成され、および前記第2の気体/液体分離機から受け取った気体を前記膨張チャンバーに流すように構成された逆流熱交換器と、
を備え、
前記第1の熱交換器は外気の温度を冷却するための冷却ノードとして機能する、
ことを特徴とする冷却装置。
(付記10)
前記液体は水を含み、前記気体は空気を含む、
ことを特徴とする付記9に記載の冷却装置。
(付記11)
前記第1の部材は第1の往復ピストンを備え、前記第2の部材は第2の往復ピストンを備える、
ことを特徴とする付記9に記載の冷却装置。
(付記12)
前記物理的連結機構が回転可能なシャフトを備える、
ことを特徴とする付記11に記載の冷却装置。
(付記13)
前記第1の気体/液体分離機からの液体を前記第1の熱交換器に流すように構成された第1のポンプと、
前記第2の気体/液体分離機からの液体を前記第2の熱交換器に流すように構成された第2のポンプと、をさらに備える付記9に記載の冷却装置。
(付記14)
前記スプレーシステムが中空円錐スプレーノズルを備える、
ことを特徴とする付記9に記載の冷却装置。
(付記15)
前記スプレーシステムがファンスプレーノズルを備える、
ことを特徴とする付記9に記載の冷却装置。
要約すると、本発明に係る態様は、温度差からのエネルギーの抽出に関連する。特定の態様においては、熱源からのエネルギーは圧縮空気の膨張を通して抽出され得る。ある態様においては、圧縮気体を収容する保存ユニットはコンプレッサー−膨張機と流体連通する。保存ユニットから受け取られる圧縮気体はコンプレッサー−膨張機内で膨張し、動力を発生させる。この膨張の間、コンプレッサー−膨張機は熱交換器を通して熱源と選択的に熱連通することによって、膨張中の気体による動力出力を増加させる。他の態様においては、熱源が連続的に利用可能な場合、専用の気体膨張機が専用コンプレッサーを駆動させるように構成され得る。そのような態様は、たとえば、ヘリウムもしくは上昇した基準圧におけるシステムの運転から生じる高密度気体のように、高い熱容量特性を有する気体を用いた閉鎖系システムを利用し得る。
圧縮空気の1つの源は風である。風からの動力発生の効率は地面からの風力タービンのファンブレードの高さを大きくすることで向上することが知られている。しかしながら、そのような高さは、様々な風の条件下でブレードを含むタービンの比較的重い構造を安全に支持するために、十分な機械的強度をもつ大きくてしっかりした構造の設備を必要とする。
そのような支持構造を建設し、維持する費用は、システムの内在する費用であり、風力発生装置の全体的な収益性を失わせる。そのため、風力タービンを支持するための新しい種類の構造および方法のための技術における必要性がある。
エネルギー保存および回収システムは運転中の風力タービンからの動力を用いて圧縮された空気を用いる。この圧縮空気は地面より上で風力タービンを支持する構造の1つ以上のチャンバーの内部に保存される。物理的支持および圧縮空気を保存するためのベッセルの両方として機能することにより、エネルギー保存および回収システムの全体のコストに対する支持構造の相対的な寄与が減少することによって、組み合わされたタービン/支持装置の経済的実現性を向上させ得る。ある態様においては、チャンバー内部に保存された圧縮空気の膨張力が支持構造の物理的安定性を増加させるために信頼され得て、さらに支持構造の材料コストを低減する。
本発明に係る方法の一態様は、風力タービンを支持する構造の壁によって画定されるチャンバー内部で、運転中の風力タービンの動力から発生される圧縮気体を保存する工程を含む。
本発明に係る装置の一態様は、地面より上に風力タービンを持ち上げるように構成された支持構造を備え、支持構造が風力タービンによって運転される気体コンプレッサーと流体連通するように構成されたチャンバーを画定する壁を備え、チャンバーもまたコンプレッサーによって圧縮された気体を保存するように構成される。
本発明に係る装置の一態様は、風力タービンと、風力タービンによって運転されるように構成された気体コンプレッサーと、地面より上に風力タービンを持ち上げるように構成された支持構造と、を備え、支持構造が気体コンプレッサーと流体連通するチャンバーを画定する壁を備え、チャンバーは気体コンプレッサーによって圧縮される気体を保存するように構成されるエネルギー保存システムを備える。発電機は、チャンバーから流れる圧縮気体の膨張から電力を発生するように構成される。
前述のように、風力タービンが地面より上により高く持ち上げられるほど、風力タービンはより効果的にエネルギーを捕らえるように運転する。具体的には、風力は高さの7乗根におおよそ比例する。動力は風力の2倍に比例し、風力タービンの面積にも比例する。より大きな高さHによって、理論的には、より大きな径のタービンは、H2に比例する面積およびHxに比例する動力(xはおそらく2 3/7より大きい)をもたらすことができる。そのため、支持構造はシステムの必要要素である。本発明の態様によれば、この支持構造は、風力タービンの出力から発生される圧縮空気を受け取り、保存するように構成された1つ以上のチャンバーもしくはベッセルを収容するというさらなる負荷を実行し得る。
支持構造は内部スペースを囲う外郭構造から概して形成されるので、風力タービン用のそのような支持構造は初めからこの役目によく適している。もしなければ完全に中実の支持構造に関連するであろう大量の材料を消費せず、大きな重量を防ぎつつ、この構造は上部にある風力タービン用の所望の機械的支持を提供する。
図33は本発明に係るシステムの一態様の簡素化された模式図を示す。具体的には、システム3300は支持タワー3306の上部に位置するナセル3301を備える。ナセル3301は回転可能ブレード3304を有する風力タービン3302を含む。
ナセル3301がジョイント3311を通して支持タワー3306と回転可能に連結(矢印3320によって示される)することによって、風力タービンのブレードが卓越風の方向を向き得る。本発明の態様に係る使用に適した風力タービンの一例は、コネティカット州フェアフィールドのゼネラルエレクトリックカンパニーから利用可能な1.5SLE型タービンである。
風3308にさらされてタービン3302のブレード3304が回転することによって、風力を、連結機構3305における出力であるエネルギーに変換する。連結機構3305は、実際には、機械的、液圧的、空気圧的であり得る。
同様に、連結機構3305は、ギヤシステム3312および連結機構3303を通して、モーター/発電機3314と物理的に連結する。ギヤシステム3312はまた連結機構3307を通してコンプレッサー/膨張機要素3316と物理的に連結する。連結機構3303および3307は、実際には、機械的、液圧的、空気圧的であり得る。
ギヤシステムは減法的もしくは加法的な方法において、同時に、全ての連結機構の動作を可能にするように構成され得る。ギヤシステムはまた全ての連結機構よりも少ない動作に適応するように構成され得る。ある態様においては、遊星歯車システムがこれらの役割を果たすためによく適し得る。
圧縮気体保存チャンバー3318は支持タワーの壁3318a内部に画定される。コンプレッサー/膨張機3316は導管3309を通して保存チャンバー3318と流体連通する。
システム3300の運転のいくつかのモードが以下に記載される。運転のあるモードにおいては、風が吹き、グリッド上の電力需要は大きい。これらの条件下では、タービンのブレードの回転からのエネルギー出力のほぼ全てが、連結機構3305および3303と、ギヤシステム3312とを通して、発電機として作動しているモーター/発電機3314に伝えられる。同様に、モーター/発電機3314によって発生された電力は、導管3313を通して消費グリッド上の出力となるように伝えられる。コンプレッサー/膨張機3316はこのモードにおいては運転されない。
運転の他のモードにおいては、風は吹いているが、電力需要は大きくはない。これらの条件下では、タービンのブレードの回転からのエネルギー出力の一部が、上述された要素3305、3312、3303、および3314を通して電力に変換される。
さらに、コンプレッサーとして機能するコンプレッサー/膨張機3316を運転するために、連結機構3305および3307と、ギヤシステム3312とを通して、運転中のタービンからのエネルギー出力のある部分も伝わる。コンプレッサー/膨張機3316は吸気し、その空気を圧縮し、その後、支持タワーに位置する保存チャンバー3318に圧縮空気を流す。後述するように、この圧縮空気の形態で保存されたエネルギーは、後に回収され、有益な仕事を生み出し得る。
具体的には、システム3300の運転の他のモードにおいては、コンプレッサー/膨張機3316が膨張機として運転されるように構成される。このモードにおいては、保存チャンバーからの圧縮空気が導管3309を通して膨張機3316に流れ、そこで膨張され得る。空気の膨張が、連結機構3307と物理的に連結する可動要素を駆動する。そのような可動要素の一例が、コンプレッサー/膨張機3316のシリンダー内部に位置するピストンである。
同様に、作動する連結機構3307のエネルギーは、ギヤシステム3312および連結機構3303を通して、発電機として作動するモーター/発電機3314に伝えられる。同様に、連結機構3303の作動の結果としてモーター/発電機によって発生される電力は、導管3313を通して電力グリッドへの出力であり得る。
いま述べた運転のモードにおいては、風は吹いていてもよいし、吹いていなくてもよい。もし風が吹いていれば、コンプレッサー/膨張機3316によるエネルギー出力は、タービン3312によるエネルギー出力とともにギヤシステムに組み合わせられ得る。次に、これらの源(風、圧縮空気)からの組み合わせられたエネルギーは、ギヤシステム3312によって、連結機構3303を通して、モーター/発電機3314に伝えられ得る。
運転のさらなる他のモードにおいては、風は吹いていなくてもよく、電力需要は低い。これらの条件下では、コンプレッサー/膨張機3316はコンプレッサーとして運転され得る。モーター/発電機3314はモーターとして運転され、連結機構3303および3307と、ギヤシステム3312とを通して、コンプレッサー/膨張機3316(コンプレッサーとして機能する)を作動させるためにグリッドの電力を引き出す。この運転モードによって、グリッドからの余剰電力が、後の消費のため、チャンバー3318に保存される圧縮空気を再補給するように消費され得る。
圧縮気体としてエネルギーの効率的な保存および回収を提供するシステムの態様が、2009年6月29日に出願された米国特許仮出願第61/221,487号明細書、および、2010年1月28日に出願された米国特許出願第12/695,922号明細書に記載されており、その両方が、全ての目的のために、全ての内容がここに取り込まれる。しかしながら、本発明の態様は、これら、もしくは他の圧縮空気保存および回収システムの具体的な設計と一緒の使用に限定されない。2010年1月12日に出願された米国特許仮出願第61/294,396号明細書もまた、全ての目的のために、その内容がここに取り込まれる。
前述のように、本発明のある態様は、好ましくは遊星歯車システムを用いて、システムの異なる要素の間で機械エネルギーの移送を行い得る。具体的には、そのような遊星歯車システムは、上述のさまざまな運転モードにおける連結機構間で異なる相対的な動作に適応する柔軟性をもたらし得る。
図33Aは、本発明の態様に用いられ得る遊星歯車システムの一態様の簡素化された上面図を示す。図33AAは、線33A−33A’に沿った図33Aの遊星歯車システムの簡素化された断面図を示す。
具体的には、遊星歯車システム3350は、外周面に第1の歯群3354を有し、内周面に第2の歯群3356を有するリングギヤ3352を備える。リングギヤ3352は、3つの他のギヤアッセンブリーと係合され、関連して両方向に可動する。
具体的には、第1のギヤアッセンブリー3340は、リングギヤ3352の外側に位置するサイドギヤ3342を備え、遊星歯車システムへの第1の連結機構として機能する回転可能なシャフト3341に固定される。サイドギヤ3342の歯は、リングギヤの外周面に位置する歯3354と機械的に連結されている。両方向へのシャフト3341の回転は結果としてリングギヤ3352の対応する動作になるだろう。
第2のギヤアッセンブリー3358は、リングギヤ3352の内側に位置する中央(太陽)ギヤ3360を備える。中央ギヤ3360は、遊星歯車システムへの第2の連結機構として機能する回転可能なシャフト3362に固定される。
第3のギヤアッセンブリー3365によって、中央ギヤ3360は、リングギヤ3352の第2の歯群3356と機械的に連結する。具体的には第3のギヤアッセンブリー3365は、各々のピン3367を通して、(遊星枠)プレート3366と回転自在に連結される複数の(遊星)ギヤ3364を備える。プレート3366は、遊星ギヤシステムとの第3の連結機構として機能する第3のシャフト3368に固定される。
図33A〜33AAの遊星歯車システムは、回転可能な3つの連結機構3341、3362、および3368との機械的な連結を提供する。これらの連結機構のそれぞれは、たとえば、風力タービン、発電機、モーター、モーター/発電機、コンプレッサー、膨張機、もしくはコンプレッサー/膨張機のようなシステムの他のさまざまな要素と物理的に連結され得る。
遊星歯車システム3350は、減法的もしくは加法的な方法において、同時に、全ての連結機構の動作を可能にする。たとえば、風が吹いている場合、タービン連結機構からのエネルギーが、発電機への連結機構およびコンプレッサーへの連結機構の両方を駆動させるように分配され得る。他の例においては、風が吹いており、エネルギー需要が大きい場合、遊星歯車システムは、タービン連結の出力が膨張機連結機構の出力と組み合わせられることを可能にし、発電機への連結機構を駆動させる。
さらに、遊星歯車システムはまた、全ての連結機構よりも少ない動作に適応するように構成される。たとえば、シャフト3341の回転はシャフト3362の回転に至り得て、また、その逆も成り立ち得て、その場所でシャフト3368の回転が防止される。同様に、シャフト3341の回転はシャフト3368のみの回転に至り得るし、その逆も成り立ち得る。もしくは、シャフト3362の回転はシャフト3368のみの回転に至り得るし、その逆も成り立ち得る。たとえば、風力タービンが安定していてモーターの出力に基づいてコンプレッサーを運転することが望まれている場合、この構成によって、機械エネルギーは、システムの2つの要素のみの間で選択的に連結され得る。
図33に戻り、本発明に係る圧縮気体保存および回収システムのある態様は、多くの潜在的な望ましい特性をもたらし得る。第1に、システムは、現存する風力タービンシステムに存在し得る装備を活用する。すなわち、圧縮空気エネルギー保存および回収システムは、グリッド上の風力タービンから電力を出力するために用いられる同一の発電機を利用し得る。風および保存された圧縮空気の両方から電力を発生させるために発電機をそのように用いることによって、システム全体のコストを低減できる。
図33の態様と関連する他の潜在的な恩恵は発電効率を向上させる。具体的には、風力タービンのブレードを回転させることによる機械エネルギーの出力は、他の形態(たとえば電気エネルギー)に変換する必要なしに、機械的な形態でコンプレッサーに伝達され得る。もともとの機械的な形態での動力源(風力タービン)の出力を活用することによって、圧縮空気へのその動力の移送効率が高められ得る。
図33の態様に関連するさらなる他の潜在的な恩恵は、削減される要素の数である。具体的には、システムの二つの要素は二重の機能を発揮する。具体的には、モーター/発電機は、モーターとしても発電機としても運転でき、コンプレッサー/膨張機は、コンプレッサーとして、もしくは膨張機として運転できる。これによって、これらの機能のそれぞれを実行するための別個の専用の要素の必要性がなくなる。
図33の態様のさらなる他の潜在的な恩恵は、様々な要素を可動部品と結合させる連結機構の相対的な簡素さである。具体的には、図33の態様においては、タービン、ギヤシステム、モーター/発電機、およびコンプレッサー/膨張機が全てナセル内に位置している。そのような構成が、ナセルと、基礎の支持構造との間の回転結合との適合性という恩恵をもたらす。具体的には、要素間の連結機構の中に回転ジョイントを旋回させる必要があるものはなく、そのため、連結機構は、ナセルと支持構造との間の相対動作に適合する必要はない。そのような構成によって、これらの連結機構の構造および操作は、実質的に簡素化される。
しかしながら、他の態様によれば、1つ以上のギヤシステム、コンプレッサー/膨張機、およびモーター/発電機がナセルの外側に位置し得る。図34は、本発明に係るシステム3400のそのような他の態様の簡素化された図を示す。
この態様においては、タービン3402がナセル3401内に位置している一方、ギヤシステム3412、コンプレッサー/膨張機3416、およびモーター/発電機3414は、タワー3406の基部に位置している。タービン3402とギヤシステム3412との間で動作する細長い連結機構3405の使用によって、この配置が可能となる。細長い連結機構3405は、実際には、機械的、液圧的、もしくは空気圧的であり得る。
連結機構3405が回転ジョイント3411を旋回させ、そのためにギヤシステム3412に対するタービン3402の相対的な動作に適合させることができなければならない点において、図34の態様の構造はいくつかの追加の複雑さをもたらし得る。連結機構3405が一方向のみ(タービンからギヤシステムへ)にエネルギーを伝達するように限定されることを考慮することによって、この複雑さの中には低減されるものもあり得る。
さらに、連結機構3405に回転ジョイント3411を旋回させることに関連する複雑さのコストは、モーター/発電機、コンプレッサー/膨張機、およびギヤシステムへのアクセスの容易さによって相殺され得る。具体的には、これらの要素は、多数の可動部分を含み、摩耗を免れない。タワーの基部(上部よりもむしろ)にこれらの要素を配置することにより、検査およびメンテナンスの目的でのアクセスが容易になることによって、コストを低減できる。
さらなる他の態様が可能である。たとえば、図34は、支持構造内部に収納されるものとして、ギヤシステム、モーター/発電機、およびコンプレッサー/膨張機の要素を示すが、これは必須ではない。他の態様においては、これらの要素の1つ以上が支持構造の外部に位置され得て、依然として支持タワーから延びる連結機構を通して風力タービンと連結し得る。そのような態様においては、圧縮空気用および電力用の導管、および、機械的、液圧的、もしくは空気圧的な連結機構が、システム要素間の必要な連結を提供し得る。
本発明の態様は上述された具体的な態様に限定されない。たとえば、図1および図2は、組み合わされた機能性を有する、コンプレッサー/膨張機要素およびモーター/発電機要素を備える圧縮気体保存システムを示すが、これは本発明によって必須とはされない。
図35は、別個の専用のコンプレッサー3550、専用の膨張機3516、専用のモーター3554、および専用の発電機3514の要素を利用する、本発明に係るシステム3500の他の態様を示す。そのような態様は、圧縮気体保存システムに適応するように、現存する風力タービンを適合させるために有用であり得る。
具体的には、風力タービン用の前から存在するパッケージは、ギヤシステム3512、連結機構3503および3505を通して、タービン3502と連結する専用の発電要素3514を特徴づけ得る。しかしながら、発電機3514は、モーターとしての機能性をも発揮するようには設計されない。
そのような現存する構成には、専用の膨張機3516、専用のコンプレッサー3550、専用のモーター3554、連結機構3507および3573、および導管3570が、圧縮気体保存システムを具現化するために加えられ得る。一態様においては、専用の膨張機3516が、連結機構3507を通して、ギヤシステム3512と連結するナセル3501内に位置され得る。専用の膨張機3516は、導管3509を通して、支持タワー3506の壁3506aの内部に画定される圧縮気体保存チャンバー3518の上部と流体連通する。
たとえば支持タワーの基部もしくはその近傍に、専用のコンプレッサー3550および専用のモーター3554が容易に含まれることによって、これらの要素へのアクセスが容易になる。専用のコンプレッサー3550は導管3570を通して保存チャンバー3518と流体連通しており、連結機構3572を通して専用のモーター3554と物理的に連結している。同様に、専用のモーター3554は発電機および/またはグリッドと電気的に連結しており、チャンバー3518内に保存された圧縮気体の供給を補給するためにコンプレッサーを運転する電力を受け取る。
図35に示すように、この態様は、ナセル3501内のギヤシステム3512と、ナセル3501の外側に位置する専用のコンプレッサー3550との間に延びる、任意の細長い、機械的、液圧的、空気圧的な連結機構3574をさらに含み得る。そのような連結機構によって、専用のコンプレッサーが、タービンの出力によって直接運転され、専用の発電機によって機械的形態を電気的形態に変換することと、コンプレッサーを運転するために専用のモーターによって電力を機械的形態に再変換して戻すこと、とに関連する損失を防止することができるだろう。
図35Aは本発明に係るシステムのさらなる他の態様の簡素化された図を示す。図35Aのシステム3580の態様においては、タービン3582、連結機構3583、および専用のコンプレッサー3586の要素のみが、支持タワー3596の上に位置するナセル3581内に位置する。専用のコンプレッサー3586は連結機構3583(機械的、液圧的、もしくは空気圧的であり得る)を通してタービンと連結され、専用のコンプレッサーによる空気の圧縮を促進するために機能する。専用コンプレッサーによって出力される圧縮空気は、支持タワー3596に存在するチャンバー3598に、ジョイント3591をわたる導管3589を通って流れる。
残りの要素は、ナセルの外側、支持タワーの両側、もしくはその代わりに支持タワーの外側に位置する。たとえば、専用の膨張機もしくは膨張機/コンプレッサー3588は、壁3596a内部に画定されるチャンバー3598と連結し、導管3593を通して圧縮空気を受け取る。要素3588は圧縮空気を膨張させ、発電機もしくは発電機/モーター3584への連結機構3592を通してこの膨張から回収されるエネルギーを伝えることができるように構成される。同様に、要素3584は、グリッドにフィードされる電力を発生させるように運転される。
図35Aの態様はまた、グリッドのエネルギーを保存するためにも機能し得る。要素3584が発電機/モーターであり、要素3588が膨張機/コンプレッサーである場合、要素3584はモーターとして運転され、コンプレッサーとして運転される要素3588を駆動し得て、空気が圧縮され、保存および後の回収のためにチャンバー3598に流入され得る。
別個の細長い連結機構も導管も必要なく、チャンバーを用いてタワーの上部から底部へ力が運ばれるという点で、図35Aの態様は潜在的な長所をもたらす。図35Aの態様の他の可能性のある長所は、タワーの上部における重量における低減である。タービンの機械的な出力がまずは圧縮空気に変換され、次に発電機を運転するための機械力に戻されるところで、この態様は損失を招く一方、タワーの上部における重量における低減によってそのような損失は相殺され、タワーをより高くし、より多くの風力にアクセス可能にする。
本発明は何らかの特定の形状を有する支持構造に限定されない。図33および34に示される具体的な態様においては、支持構造はその長さに沿って変化する断面形状を示す。たとえば、支持構造3306は、基部において広く、風力タービンと交わる点に向けて次第に細くなる。支持機能にもっともよく役立つだろう位置に材料を配置することによって、そのような設計が、材料を最小化し、コストを低減する。
しかしながら、本発明はまた、他の形状を有する支持構造をも包含する。たとえば、図36は、実質的に一様である円形もしくは楕円形の断面形状を有する中空管を備える支持構造3600を示す。同様に、この中空管3600の壁3600aは、圧縮気体を保存するためのチャンバー3602を画定する。できるだけより多くの質量を用いる一方、そのような管は、多くの他の産業における様々な応用のために用いられる、より簡単な構造である。それゆえ、そのような管は、より大きな材料費を相殺し得る比較的低価格で利用可能であると思われる。
なおもさらなる他の態様が可能である。たとえば、ある態様においては、支持構造に追加の安定性を与えるために、内部に保存された圧縮空気によって発揮される力を活用するように支持構造が設計され得る。
そのため、以前の態様のそれらよりも、より少ない本来強度を発揮する、より薄い壁3706bを有する部分3706aを支持構造3700が備えることを特徴とする一態様を図37は示す。これが1つ以上の因子に寄与し得る力を低減し得て、以下に限定されるものではないが、支持部のための異なる設計もしくは形状の使用、支持部における低減された材料の量の使用、もしくは支持部における異なる材料の使用を含む。
しかしながら、本発明の態様によれば、支持構造3706の本来強度における低減は、チャンバー3718内部に含まれる圧縮空気3726によって発揮される膨張力3724によって相殺され得る。具体的には、膨らんだ風船の壁を固めるものに類似するやり方で、圧縮空気の膨張力は、支持構造に追加の強度をもたらし得る。この膨張効果は、例示の目的のために、図37において大きく誇張されて示される。
そのような構造のためのある可能なアプリケーションは、たとえばカーボンファイバーのような、少なくともある種の湾曲が可能である材料から組み立てられた支持構造を用いることである。そのような態様においては、柔軟性のある支持部材のチャンバー内部で圧縮空気からの膨張力がチャンバーの壁に対して作用することによって、それを堅くし、その支持部の構造的な安定性に寄与し得る。あるいは、そのような支持構造は他の材料からも形成され得て、本発明の範疇に入る。
カーボンファイバーを包含する構造はさらなる一層の長所をもたらし得る。たとえば、その組み立て方法次第で、カーボンファイバー構造は、特定の寸法において、高められた強度を発揮し得る。そのため、カーボンファイバー支持構造は、特定の寸法における強度および/または湾曲を発揮するように組み立てられ得る。たとえば、圧縮空気の膨張力が機能することが予期される寸法であり、および/または、支持部が外部応力(例:支配的な風向)を経験することが予期される寸法である。
もちろん、その圧縮空気が引き出され、エネルギー回収のために膨張させられるにつれて、保存された圧縮空気の膨張力を利用する構造が、内部に保存された圧縮空気の量における予期される(および予期されない)変化に直面して十分な本来強度を発揮しなければならないだろう。それでもなお、支持構造内部に残存する圧縮空気の最低量に関連する膨張力は、製造およびメンテナンスのコストを低減するために支持構造に十分な安定性を与え得る。
(付記1)
風力タービンを支持する構造の壁によって画定されるチャンバー内部で、運転中の前記風力タービンの動力から発生する圧縮気体を保存する工程を含む方法。
(付記2)
前記圧縮気体を発生させる前記風力タービンの出力からコンプレッサーを運転する工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記チャンバーから前記圧縮空気の少なくとも一部を流す工程と、
流れた前記圧縮気体の前記一部を膨張させ、動力を発生させる工程と、
をさらに含む付記1に記載の方法。
(付記4)
前記圧縮気体の前記一部が、前記チャンバーから、発電機と物理的に連結する膨張機に流れる、
ことを特徴とする付記3に記載の方法。
(付記5)
前記圧縮気体の膨張力が前記支持構造に安定性を与える、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記6)
前記壁が柔軟な材料を備える、
ことを特徴とする付記5に記載の方法。
(付記7)
地面より上に風力タービンを持ち上げるように構成された支持構造を備え、
前記支持構造は前記風力タービンによって運転される気体コンプレッサーと流体連通するように構成されたチャンバーを画定する壁を含み、前記チャンバーもまた前記コンプレッサーによって圧縮された気体を保存するように構成された装置。
(付記8)
前記支持構造が中空管を備える、
ことを特徴とする付記7に記載の装置。
(付記9)
前記中空管が、長さに沿って実質的に一定である断面を示す、
ことを特徴とする付記8に記載の装置。
(付記10)
ジョイントを通して前記支持構造と回転連結するナセルをさらに備え、前記ナセルが前記タービンを収納する、付記7に記載の装置。
(付記11)
前記ナセルが、ギヤシステムと、前記ギヤシステムと前記タービンとの間の物理的な第1の連結機構と、発電機と、前記発電機と前記ギヤシステムとの間の物理的な第2の連結機構と、前記チャンバーと流体連通する膨張機と、前記膨張機と前記ギヤシステムとの間の物理的な第3の連結機構と、をさらに収納し、前記第1の連結機構と、前記第2の連結機構と、前記第3の連結機構とが前記ジョイントを旋回させない、
ことを特徴とする付記10に記載の装置。
(付記12)
前記発電機が、前記気体コンプレッサーを運転するように構成されたモーター/発電機を備える、
ことを特徴とする付記11に記載の装置。
(付記13)
前記気体コンプレッサーと前記膨張機とが、コンプレッサー/膨張機として組み合わされた、
ことを特徴とする付記11に記載の装置。
(付記14)
前記ギヤシステムが遊星歯車システムを備える、
ことを特徴とする付記11に記載の装置。
(付記15)
ギヤシステムと、発電機と、前記発電機と前記ギヤシステムとの間の物理的な第1の連結機構と、前記チャンバーと流体連通する膨張機と、前記膨張機と前記ギヤシステムとの間の物理的な第2の連結機構と、前記タービンと前記ギヤシステムとの間の物理的な第3の連結機構と、をさらに備え、前記ギヤシステムと、前記発電機と、前記物理的な第1の連結機構と、前記膨張機と、前記物理的な第2の連結機構とが前記ナセルの外側に位置し、前記物理的な第3の連結機構が前記ジョイントを旋回させる、
ことを特徴とする付記10に記載の装置。
(付記16)
前記発電機がモーター/発電機を備え、前記膨張機がコンプレッサー/膨張機を備える、
ことを特徴とする付記15に記載の装置。
(付記17)
前記発電機が専用発電機を備え、前記膨張機が専用膨張機を備える、
ことを特徴とする付記15に記載の装置。
(付記18)
前記ギヤシステムが遊星歯車システムを備える、
ことを特徴とする付記15に記載の装置。
(付記19)
前記ナセルが、ギヤシステムと、専用発電機と、前記専用発電機と前記ギヤシステムとの間の物理的な第1の連結機構と、前記チャンバーと流体連通する専用膨張機と、前記専用膨張機と前記ギヤシステムとの間の物理的な第2の連結機構と、前記タービンと前記ギヤシステムとの間の物理的な第3の連結機構と、を収納し、
前記装置が、前記保存チャンバーと流体連通し、第4の連結機構を通して専用モーターと物理的に連結する専用コンプレッサーをさらに備え、前記専用コンプレッサーと、前記専用モーターと、前記第4の連結機構とが前記ナセルの外側に位置する、
ことを特徴とする付記10に記載の装置。
(付記20)
前記ギヤシステムと前記専用モーターとの間の第5の連結機構をさらに備える、付記19に記載の装置。
(付記21)
前記ギヤシステムが遊星歯車システムを備える、
ことを特徴とする付記19に記載の装置。
(付記22)
前記コンプレッサーが前記ナセルによって収納される専用コンプレッサーを備え、前記コンプレッサーが、第1の連結機構を通して前記タービンと物理的に連結し、第1の導管によって前記ジョイントを渡る前記チャンバーと流体連通し、
前記システムが前記支持構造の基部にもっとも近く位置する膨張機をさらに備え、前記膨張機が前記チャンバーと流体連通し、第2の連結機構を通して発電機と連結する、
ことを特徴とする付記10に記載の装置。
(付記23)
前記膨張機が膨張機/コンプレッサーを備え、前記発電機が発電機/モーターを備える、
ことを特徴とする付記22に記載の装置。
(付記24)
風力タービンと、
前記風力タービンによって運転されるように構成された気体コンプレッサーと、
地面より上に前記風力タービンを持ち上げるように構成された支持構造と、
前記チャンバーから流れる圧縮気体の膨張から電力を発生させるように構成された発電機と、
を備え、
前記支持構造は前記気体コンプレッサーと流体連通するチャンバーを画定する壁を備え、
前記チャンバーは前記気体コンプレッサーによって圧縮される気体を保存するように構成された、
エネルギー保存システム。
(付記25)
ジョイントを通して前記支持構造と回転連結するナセルをさらに備え、前記ナセルが、前記風力タービンと、前記発電機と、前記チャンバーと流体連通し、前記発電機と物理的に連結する膨張機と、を収納する、付記24に記載のシステム。
要約すると、エネルギー保存および回収システムの態様は、風力タービンを運転することからの動力を用いて圧縮された空気を活用する。この圧縮空気は、地面より上に風力タービンを支持する構造の1つ以上のチャンバー内部に保存される。物理的な支持、圧縮空気を保存するベッセルの両方として機能することにより、エネルギー保存および回収システムの全体のコストへの支持構造の相対的な寄与が減少することによって、組み合わされたタービン/支持装置の経済的実現性を上昇させ得る。ある態様においては、チャンバー内部に保存された圧縮空気の膨張力は、支持構造の物理的な安定性を増加させるために信頼され得て、さらに支持構造の材料コストを低減し得る。
ある態様においては、圧縮気体からのエネルギーの保存および回収は、単独もしくは組み合わせで活用される1つ以上の技術を用いて高められ得る。ある技術が、液滴のミストを、気体圧縮および/または膨張が起こる第2チャンバーの上流に位置する専用チャンバーに導入する。いくつかの態様においては、専用の混合チャンバーと第2チャンバーとの間にパルセーションダンパーボトルを挿入することによって、生成される液体−気体混合物の一様性が高められ、混合チャンバーを通した連続的な流れが可能になり得る。他の技術は低エネルギーで作動可能なバルブ構造を活用し、圧縮および/または膨張チャンバーへ向けての、および、圧縮および/または膨張チャンバーからの気体の流れを制御する。バルブ構造は、システム運転の間に起こるもともとの圧力差を活用し、少ないエネルギー使用でのバルブ作動を可能にする。
図38は、本発明に係るエネルギー保存および回収システム3801の一態様の簡素化されたブロック図を示す。図38は、圧縮空気保存ユニット3803と選択的に流体連通するコンプレッサー/膨張機3802を示す。モーター/発電機3804は、コンプレッサー/膨張機3802と選択的に連通する。
運転の第1モードにおいては、エネルギーは圧縮空気の形態で保存され、モーター/発電機3804はモーターとして運転される。モーター/発電機3804は外部源からの動力を受け取り、コンプレッサー/膨張機3802をコンプレッサーとして機能させる。コンプレッサー/膨張機3802は圧縮されていない空気を受け取り、ピストンのような可動要素3802bを用いてチャンバー3802a内の空気を圧縮し、圧縮空気を保存ユニットに流す。
運転の第2モードにおいては、圧縮空気の中に保存されたエネルギーは回収され、コンプレッサー/膨張機3802は膨張機として運転される。コンプレッサー/膨張機3802は保存ユニット3803から圧縮空気を受け取り、次に圧縮空気をチャンバー3802a内で膨張させる。この膨張が、発電機として機能するモーター/発電機3804と連結する可動部材3802bを駆動させる。同様に、モーター/発電機3804によって発生された電力は、電力グリッドに入力されて消費され得る。
上述したように空気を圧縮し、減圧するプロセスは、熱的および機械的な損失を経験し得る。しかしながら、もし圧縮プロセスが温度における最低限の増加とともに進行するのであれば、圧縮プロセスは低減された熱的損失とともに起こるだろう。そして、もし膨張プロセスが温度における最低限の減少とともに進行するのであれば、膨張プロセスは低減された熱的損失とともに起こるだろう。
そのため、本発明の態様は、圧縮および/または膨張プロセスの間に液体を導入し得る。気体と比較して高い液体の熱容量によって、液体は、圧縮中に空気から熱を受け取り、膨張中に空気に熱を伝導できる。もし圧縮中もしくは膨張中の空気中にミストとして液体が導入されるのであれば、液体へ向けての、および液体からのエネルギーのこの伝導が、液体の大きな表面積によって高められ得る。
圧縮および/または膨張の間に導入される液体/気体混合物の条件(たとえば、液滴直径、液滴分布の均一性、液体体積分率、温度、および圧力)は、気体に向けての、および気体からのエネルギーの伝導を決定する際に重要となり得る。しかしながら、圧縮および膨張の内在する性質により、それらのプロセスが起こるにつれて、温度、体積、および圧力のような条件は変化しやすい。
そのため、液体/気体混合物のよりよい制御を実現するため、および、圧縮中および膨張中のその混合物の熱特性の一貫性および再現性を保証するために、本発明の態様は、膨張および圧縮が起こっている第2チャンバーの上流に位置する別個の混合チャンバー3805を利用する。この別個の混合チャンバー3805は、バルブ3807を通してチャンバー3802aと選択的に流体連通している。このように、圧縮/膨張チャンバー内部の気体から熱を吸収し、もしくは気体から熱を移送するために、混合チャンバー3805内の比較的安定な条件下で準備された液体−気体混合物が、圧縮/膨張チャンバー3802aに流れる。
上述の態様は、気体コンプレッサーおよび気体膨張機として運転されるように構成された単一の装置を用いているが、これは本発明によって必須とされない。他の態様は、圧縮および膨張を行うための、別個の専用要素を用い得て、それは本発明の範疇に入る。
たとえば、図39は、本発明の一態様に係る、気体圧縮を行うための装置3900の簡素化された図面を示す。気流3902は、入口パイプ3904を通して入り、混合チャンバー3906に流れる。
液体スプレー3908は、複数のノズル3910と流体連通するマニフォールド3911を通して混合チャンバー3906に噴霧され、気流3902と混合される。混合チャンバー3906の存在および構造のため(たとえば、噴霧オリフィスもしくはノズルの寸法および/または数および配置)、液体スプレー3908は、圧縮チャンバー3912に入る前に、たとえば気液エアロゾルのような均一な混合物を形成するために気体内に均一に分配される。
ある態様においては、約20μm以下の平均粒径の液滴を有する混合物を生成することが望ましくてもよい。いくつかの態様においては、適切なサイズの液滴を有する混合物の形成が、液体中の界面活性剤の一体性によって高められ得る。用いられ得る界面活性剤の一例は、トリトンX−100として知られている、CAS番号:9002−93−1のオクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。
気液エアロゾルが圧縮チャンバー3912に入る前に、それは他の特徴であるパルセーションダンパーボトル3914を通過する。このパルセーションダンパーボトルの容積は圧縮チャンバーの容積よりも極めて大きく、概して、そのチャンバーの容積の少なくとも10倍である。
パルセーションダンパーボトル3914はまた、ボトル3914への吸気口3916および排気口3918の幅方向のサイズとは異なる幅方向のサイズ(w)をも示す。ボトルと吸気口および排気口との間のサイズの違いによって、圧縮チャンバー3912の吸気バルブ3920a〜bから出て、混合チャンバー3906に戻ろうとする音波のインピーダンス不整合の連続が引き起こされる。とりわけ、これらのインピーダンス不整合は混合チャンバー内での流体の動きにおける不要な変化を起こし、それは内部で生成される気液混合物の均一性を妨げるであろう。
具体的には、図39A〜Bに関連して以下に詳細に議論されるように、吸気バルブ3920aおよび3920bが交互に開放・閉鎖される、コンプレッサーの周期的な運転のために、そのような不要な流体の動きが発生し得る。この周期的なバルブ操作が振動を起こし得て、それが混合チャンバー3906内で生成される気液混合物内での不均一性を潜在的に引き起こすだろう。
バルブと混合チャンバーとの間にパルセーションダンパーボトルを挿入することによって、本発明に係る態様はこれらの振動を抑制し得る。
圧縮チャンバー3912は、シリンダー3913内部の往復ピストン3924を含む配置を備える。ピストンはエネルギー源(不図示)と物理的に連結している。
圧縮チャンバー3912は、バルブ3920a〜bおよびバルブ3922a〜bを通して、吸気導管3950と排気導管3952とに、それぞれ、選択的に流体連通している。圧縮および膨張の機能を組み合わせる装置における使用にとりわけ適し得るこれらのバルブの具体的な一構成が、図41に関連して以下に詳細に述べられる。
コンプレッサーの運転が、図39A〜Bに関連して、以下に詳細に述べられる。図39Aは、ピストンが下死点に向けて動くにつれて、液体−気体混合物が吸気バルブ3920bを通してシリンダーの左側部分3913aに吸い込まれることを示す。同時に、出口バルブ3922aが開放され、前のストロークにおいてチャンバーの左側部分で圧縮された液体−気体混合物を分離機3930に排気する。吸気バルブ3920aはこのピストンのストロークの間は閉じられている。
図39Bは次のストロークを示し、そこでは吸気バルブ3920bが閉じられ、ピストンが上死点に向けて動かされる。これによって、シリンダーの左側部分3913a内の液体−気体混合物が圧縮される。所望の圧力に達した時、排気バルブ3922bが開き、圧縮された混合物が分離機3930に排気される。図39Bに示されるピストンストロークの間、吸気バルブ3920aは開放され、次のサイクルでの圧縮のため、追加の気液混合物を入れる。出口バルブ3922aはこのピストンストロークの間は閉じられている。
分離機3930は気液混合物から液体を分離するのに役立つ。本発明の態様に係って用いられ得る分離機のタイプの例は以下に限定されるものではないが、遠心分離機(cyclon separators)、遠心分離機(centifugal separators)、重力分離機、およびデミスター分離機(メッシュ式コアレッサー、ベーンパック、もしくは他の構造を用いる)を含む。
上記図面は単一要素として分離機を示しているが、直列に配置される1つ以上の装置を備えてもよい。そのため、分離機は、流れた気液混合物から、大部分の液体を最初に取り除くように設計された第1の構造を用い得る。そのような構造の一例は、流れた混合物用の蛇行路を画定し、水のまとまりのための大きな表面積をもたらす一連の重ね合わせ板もしくはバッフルを有するチャンバーである。この最初の構造は、混合物から液体のより少ない量を取り除くように設計された、たとえば遠心分離機のような他の構造と直列に並び得る。
次に、圧縮気体は、バルブ3933を通して、分離機から、圧縮気体保存ユニット3932に流される。
分離機3930によって回収された液体は、液体タンク3934内に集められる。この液体は、熱交換器3938を通して、ポンプ3936によって、ノズル3910まで循環され、そこで再び、スプレーとして、流入する気流に注入される。
図39に例証されるシステムは複動式である。具体的には、シリンダーの一方の液体−気体混合物が圧縮されるにつれて、シリンダーのもう一方の液体−気体混合物は排気される。そのため、シリンダーの両側にある吸気バルブ3920a〜bおよび排気バルブ3922a〜bは、お互いに位相を180°ずらして開閉するように構成されている。それが、パルセーションダンパーボトルによって抑制される音波を生じ得るこの繰り返されるバルブの開閉である。
図39の装置は、コンピューター読み出し可能保存装置3994と電気的に連結するコントローラー/プロセッサー3996をさらに含み、それはどのような構造も取り得て、以下に限定されるものではないが、半導体の原理、もしくは、磁気保存または光学保存の原理に基づくものを含む。コントローラー3996は本システム内の能動素子の領域と電気的に連結するものとして示され、以下に限定されるものではないが、バルブ、ポンプ、チャンバー、ノズル、およびセンサーを含む。本システムによって用いられるセンサーの具体的な例は以下に限定されるものではないが、本システムの入口側に位置する、圧力センサー(P)、温度センサー(T)、体積センサー(V)、および湿度センサー(H)を含む。
以下に詳細に説明されるように、1つ以上のシステム要素から受け取られる入力、およびそれらの入力から算出される、可能性のある数値にも基づいて、コントローラー/プロセッサー296は、1つ以上の目的を達成するためにシステムの運転を動的に制御し得て、以下に限定されるものではないが、保存されたエネルギーの有益な仕事への変換の最大化もしくは制御された効率、最大化、最小化もしくは制御された動力出力、予期される動力出力、ピストンと連結する回転シャフトの予期される出力速度、ピストンと連結する回転シャフトの予期される出力トルク、ピストンと連結する回転シャフトの予期される入力速度、ピストンと連結する回転シャフトの予期される入力トルク、ピストンと連結する回転シャフトの最大出力速度、ピストンと連結する回転シャフトの最大出力トルク、ピストンと連結する回転シャフトの最小出力速度、ピストンと連結する回転シャフトの最小出力トルク、ピストンと連結する回転シャフトの最大入力速度、ピストンと連結する回転シャフトの最大入力トルク、ピストンと連結する回転シャフトの最小入力速度、ピストンと連結する回転シャフトの最小入力トルク、もしくはそれぞれのステージにおける予期される空気の温度差を含む。
上記の例はピストンの使用を述べているが、他のタイプの可動要素が用いられ得て、本発明の範疇の範囲内に入る。用いられ得る他のタイプの装置の例は、以下に限定されるものではないが、スクリューコンプレッサー、マルチローブブロワー、ベーンコンプレッサー、ジェロータ、およびクアシタービン(quasi−turbines)を含む。
混合チャンバーの様々な可能な態様の特徴がここに説明される。混合チャンバーの目的は液体を気流に注入することであり、それが均一な気液混合物に結びつく。混合チャンバーは、1つ以上の特徴を利用してそのような均一な気液混合物を得るように設計され得る。
たとえば、気体への液体の注入の一つの方法は、気体が沿って流れる導管の壁に形成される1つ以上のオリフィスを通して液体を流すことによって実現され得る。気流に対するそのようなオリフィスの断面の寸法と位置は、生成される気液混合物の特性を決定するために用いられ得る。
あるいは、所望の混合物に至るように算出された、いわば注入された液体の性質(速度、圧力変化)に変化を課すように設計されたノズル構造を通して噴霧されることによって液体が導入され得る。あるノズル構造は圧力変化に加えてエネルギーの均一な形態を利用し、所望の噴霧特性を実現し得る。超音波エネルギーの活用は、たとえば約5〜10μmの間の範囲における小さな粒径を有する非常に微細な液滴の形成に至り得る。
図39CAは、気流の方向に沿った混合チャンバー3950の俯瞰図を示し、本発明の一態様に係る、注入された液体の可能な軌跡3951を示す。本図に示すように、液体の軌跡は、液体への流入気体の列の様々な部分の露出を最大化するように向かっており、混合チャンバーの壁によって画定される気体の列の環状断面と交わる矢印としてここに観察される。これらの軌跡3951を生み出すオリフィスもしくはノズル3953は混合チャンバーと同じレベルに存在する必要はなく、その代わり、その長さに沿って異なる点に交互に配列され得る。
図39CBは、気流の方向に沿った、混合チャンバー3960の他の構造の俯瞰図を示し、本発明の一態様に係る、注入された液体の可能な軌跡3962を示す。本図に示すように、液体の軌跡は、いわゆるフィボナッチ螺旋に従う方向を向き得る。ここでも、これらの軌跡3962を生み出すオリフィスもしくはノズル3963は、混合チャンバーと同じレベルに存在する必要はなく、その代わり、その長さに沿った点に存在し得る。
噴霧軌跡の相対配向以外の側面は、特定のアプリケーションのための混合チャンバーを設計するために用いられ得る。詳細が以下に議論されるように、異なる圧力においてそれぞれのステージに流れる入口ガスとともに、ある態様はいくつかのステージに渡り、圧縮もしくは膨張を行い得る。そのため、より高い圧力において液体を気体に注入するように構成された混合チャンバーは、低圧気流と一緒の使用が意図された混合チャンバーとは異なる構造を有し得る。
具体的には、より高い圧力の気流への注入の態様は、細長く、低圧混合チャンバーと比較して幅狭である寸法を示し得る。そのような構造は、高圧気流の中心部に貫通する噴霧軌跡の困難さを克服するだろう。
図39に戻り、その図面に示される具体的な態様は、圧縮を実行するための専用の装置である。他の態様によれば、同様の装置が、膨張機として運転され得る。
図40は、本発明に係る膨張装置の一態様を示す。膨張サイクルの間、圧縮気体は、入口パイプ4004を介して保存ユニット4032から混合チャンバー4006に入るだろう。
マニフォールド4011を通して、液体スプレー4008はノズル4010を用いて注入されるだろう。液体−気体混合物はパルセーションダンパーボトル4014を通してシリンダー4013のチャンバーに流れ、それが膨張機として作動するだろう。
図40Aに示すように、このモードにおいては、シリンダー4013のチャンバー4013a内部のその気体の膨張は、ピストン4024を右側に動かし、クランクシャフト(不図示)を回すだろう。また、そのピストンストロークの間、前のピストンストロークの間に膨張された気体は、シリンダー4013の他のチャンバー4013bから出力されるだろう。
図40Bは次のピストンストロークを示し、他のチャンバー4013b内部の気体の膨張がピストンを反対方向に動かし、クランクシャフトを回すことを特徴とする。第1のチャンバー4013a内で前に膨張されていた気体はシリンダーから出力される。
分離機4030は、チャンバーから出力された、膨張された液体−気体を受け取り、気液混合物から液体を分離する。本発明の態様に係る、用いられ得る分離機のタイプの例は、以下に限定されるものではないが、遠心分離機(cyclon separators)、遠心分離機(centifugal separators)、重力分離機、およびデミスター分離機(メッシュ式コアレッサー、ベーンパック、もしくは他の構造を用いる)を含む。次に、気体は本システムから流れ出る。
分離機4030によって回収された液体は、液体タンク4034に集められる。この液体は、熱交換器4038を通して、ポンプ4036によって、ノズル4010まで循環され、その場所でそれはスプレーとして気流に再び注入される。
図40の装置は、圧縮サイクルの間よりも膨張サイクルの間、いくぶん異なって運転されるだろう。具体的には、気体膨張およびピストンへの仕事は冷却するだろう。ある態様においては、熱源から得られる熱が、コンプレッサーに注入される圧縮気体に、もしくは、混合チャンバーに噴霧される液体に加えられ、膨張機がクランクシャフトのトルクの形態で機械エネルギーを発生させ得る。すなわち、本システムに熱を加えることによって、膨張機はより大きなシャフトトルクを発生させ、動力出力が高められ得る。動力出力の量は、熱源と外気との間の温度における差に左右される。
ある態様においては、1つ以上の熱源から得られるエネルギーを最大化するために、再生器を通して熱が気体に伝導され、それが効率的に熱を交換し得る。
(組み合わされた圧縮/膨張)
前述のある態様は、専用のコンプレッサーもしくは膨張機として運転されるように構成された構造に関連する。しかしながら、他の態様は、圧縮モードもしくは膨張モードのどちらかで運転するように構成可能であり得る。
図41は、圧縮および膨張の両方の役割において機能することができるそのような装置の一態様の簡素化された図面を示す。図41において、実線は圧縮モードにおける三方バルブの構造を示すために用いられ、破線は膨張モードにおける三方バルブの構造を示すために用いられる。図41はまた、例証の目的のためにそこに至る導管だけではなく、圧縮/膨張シリンダーおよびバルブ構造をも示し、この図は要素の相対寸法を表現するものとして理解されるべきではない。
装置4100は、空気フィルター4152を通して入口4150と流体連通する第1の組み合わされた混合チャンバー/パルセーションダンパーボトル4182を備える。圧縮モードにおいては、要素4182の出口は、三方バルブ4164を通して、その運転が以下に詳細に述べられる、圧縮/膨張シリンダーおよびバルブ構造4108と選択的に連通する。圧縮モードにおいては、要素4108の出力は第2の三方バルブ4166を通して分離機4170に流れ、そこで、分離された液体がタンク4135に流れる。同様に、分離された気体は三方バルブ4165を通して圧縮気体保存ユニット4132に流れる。タンク4135からの液体は、熱交換器4190を通して、混合チャンバー/パルセーションダンパーボトル4182の混合チャンバーへの再注入のために、ポンプ4176によって送り込まれる。
膨張モードにおいては、保存ユニット4132からの圧縮気体は、三方バルブ4165を通して、第2の組み合わせられた混合チャンバー/パルセーションダンパーボトル4183に流れる。同様に、要素4183の出口は、三方バルブ4166を通して、その運転が以下に詳細に述べられる、圧縮/膨張シリンダーおよびバルブ構造4108と選択的に連通する。膨張モードにおいては、要素4108の出力は三方バルブ4164を通して分離機4172に流れ、そこで、分離された液体がタンク4136に流れる。同様に、分離された気体は、出口4134を通してシステムから流れ出る。タンク4136からの液体は、熱交換器4192を通して、混合チャンバー/パルセーションダンパーボトル4183の混合チャンバーへの再注入のために、ポンプ4174によって送り込まれる。
図41の態様の具体的なシリンダーおよびバルブ構造4108がここに説明される。シリンダーおよびバルブ構造4108がシリンダー4112内部に配置される複動ピストン4124を特徴とすることによって、第1のチャンバー4113aと第2のチャンバー4113bとを画定する。第1のバルブ4120は、第1のチャンバー4113aと第1の低圧側導管4102との間で流体連通できるように作動する。第2のバルブ4122は、第1のチャンバー4113aと第2の高圧側導管4104との間で流体連通できるように作動する。
第3のバルブ4121は、第2のチャンバー4113bと第1の導管4102との間で流体連通できるように作動可能である。第4のバルブ4123は、第2のチャンバー4113bと第2の導管4104との間で流体連通できるように作動可能である。
図41は例示の目的のためのみに提供され、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。たとえば、本図は垂直方向に動作可能であるものとしてピストンを示しているが、これは必須ではない。ピストンの動作方向は、特定の実施に左右されて異なり得る(たとえば、水平方向に)。
また、図41はシリンダーの側壁に位置するものとして様々なバルブを示しているが、そのような構成もまた必須ではない。別の態様に従って、バルブは他の位置に配置され得て(たとえば、シリンダーの端壁)、その構造は本発明の範疇の範囲内に入るだろう。
様々なモードにおけるシリンダーおよびバルブ構造4108の運転が、図41A〜Dの詳細な図面に関連して、ここに説明される。第1から第4のバルブ4120〜4123のそれぞれは、それぞれの弁座412_bに対して可動なバルブプレート412_aを備える。弁座に対してバルブプレートを動かすことによってバルブ4120〜4123を作動させるために、それぞれのソレノイド412_cは物理的に連結している。ソレノイド412_cは、たとえば図41のコントローラー/プロセッサー4196のようなコントローラー/プロセッサーと連結している。
ある構成によれば、様々なバルブの弁座およびバルブプレートは、低いエネルギー消費で気流を運ぶように配置され得る。たとえば、図41A〜Bは、シリンダー4112がコンプレッサーとして運転されるように構成されるケースを示す。具体的には、図41Aにおいてピストン4124が下降するにつれて、バルブ4121および4123が最初に閉じられ、第2のチャンバー4113b内部の気体が圧縮され、第1の導管4102内の圧力に対して第2のチャンバー4113内の圧力を上昇させる。この圧力差が弁座4121bに対してバルブプレート4121aに自然に付勢する役割を果たすことによって、ソレノイド4121cが最小限のエネルギー消費でバルブ4121を閉位置に維持することができる。
図41Bに示すように、ピストンが下降し続け、最終的には第2のチャンバー4113b内部の圧力は高圧側の圧力に到達する。さらに、弁座4121bに対するバルブプレート4121aの具体的な構造によって、バルブ4121は、このプロセスの間、ソレノイド4121cからの最小限のエネルギーで閉状態を維持する。
さらに、比較的小さなエネルギーが、圧縮気体を第2のチャンバー4113bから流れさせるためにバルブ4123を開放するように、ソレノイド4123cによって消費されることが求められる。これは第2のチャンバー4113b内部の圧力は高圧側の導管4104の圧力に近づくからであり、そのため、バルブ4123の作動は大きな圧力差を克服することが求められない。
図41A〜Bに示すピストンストロークの間、流入する気流が、次のピストンストロークにおける圧縮のために第1のチャンバー4113aを満たすことができるように、バルブ4120が開放される。バルブ4120および4122のバルブプレートおよび弁座の具体的な構成によってもまた、この仕事が最小限のエネルギー消費で達成され得る。
具体的には、ピストン4124が図41A〜B中、下降するにつれて、第1のチャンバー4113aの有効容積が増加し、チャンバー内部の圧力は第1の導管4102に対して減少する。この圧力差は、弁座4120bから離れたバルブプレート4120aに自然に付勢する役割を果たし、ソレノイド4120cに最小限のエネルギー消費でバルブ4120を開放させる。加えて、第2の導管4104に対して第1のチャンバー4113a内の低い圧力が、弁座4122bに向かうバルブプレート4122aへの付勢に自然に繋がることによって、ソレノイド4122cからの最小限のエネルギーでバルブ4122を閉位置に望ましく維持する。
それに続く圧縮ストロークにおいて(ここには図示されない)、ピストン4124は上昇し、第1のチャンバー内の空気を圧縮する。いわば、図41A〜Bと関連して上述されたのと同様に、弁座に対するバルブプレートの位置によって、この圧縮が最低限のエネルギー消費で起こる。具体的には、圧縮ストロークの間に自然に起こる圧力差は、バルブ4120を付勢し、バルブ4123を閉じ、そしてバルブ4121および4122を開放させる傾向がある。
図41C〜Dは、シリンダー4112が膨張機として運転されるように構成されたケースを示す。さらに、ある数値のプレートとシートの配置によって、この膨張が、低減されたエネルギー消費で達成され得る。
具体的には、図41C中、ピストン4124が下降するにつれて、バルブ4120が閉じられたまま、バルブ4122が開放され、膨張のために圧縮空気が第1のチャンバー4113a内に入れられる。この点において、第1のチャンバー4113a内部の圧力は、低圧側の第1の導管4102の圧力と比べて高い。この圧力差は、弁座4120bに対してバルブプレート4120aに自然に付勢する役目を果たし、ソレノイド4120cに最小限のエネルギー消費でバルブ4120に閉位置を維持させ得る。
図41cにも示すように、バルブ4123が閉じられ、バルブ4121が開放され、前のピストンストロークの間に膨張された、圧力が低下した空気を、第2のチャンバー4113bから第1の導管4102に流れ出させる。ここにおいて、第2のチャンバー内部の膨張空気の圧力は低圧側の導管4102の圧力に近づき、バルブ4121を開放するためにソレノイド4121cのためのエネルギーは全く必要ではないか、ほとんど必要ではない。加えて、第2の導管4104と第2のチャンバー4113bとの間の圧力差は、弁座4123bに対するバルブプレート4123aに自然に付勢する役割を果たし、ソレノイドに低いエネルギー消費でバルブ4123を閉じたまま維持させ得る。
図41Dに示すように、いったんバルブ4122が閉じられ、空気が第1のチャンバー4113a内で膨張し、さらにピストン4124を下向きに動かすと、第2の導管と第2のチャンバーとの間の圧力差に基づいてバルブ4123は閉鎖されたままとなる。弁座4123bに対するバルブプレート4123aの位置取りのため、バルブ4123のこの閉状態が、ソレノイド4123cによる最小限のエネルギー消費で維持され得る。
図41Dもまた、閉じられたままのバルブ4120を示す。弁座4120bに対するバルブプレート4120aの位置取りのため、第1のチャンバー4113aと第1の導管4102との間の圧力差に基づき、ソレノイド4120cによる最小限のエネルギー消費で、バルブ4120の閉状態が維持され得る。
次の膨張ストロークにおいて(ここには図示されない)、空気が第2のチャンバー内で膨張するにつれて、ピストン4124が上昇する。いわば、図41C〜Dと関連して上述されたのと同様に、弁座に対するバルブプレートのある位置取りによって、この膨張が、最小限のエネルギー消費で起こり得る。具体的には、内在する圧力差が、バルブ4121および4122に自然に付勢し、閉じる傾向がある。
バルブ作動におけるエネルギーの浪費を防ぐために、次の膨張において、シリンダー内部の気体が低圧側の圧力とほぼ同じ圧力であるように、システムが設計され得る。そのような圧力バランスが、図41C〜Dにおけるバルブ4121と、膨張の間、ピストンの次のストロークにおいてバルブ4120とを作動させるために必要となるエネルギー量を減少させる。
加えて、ピストン4124がストロークの底に達する前に、図41Cにおけるバルブ4121が閉鎖され得る。ピストンがそのストロークの底にまで動き続けるにつれて、第2のチャンバー4113b内に残存する空気が圧縮される。チャンバー4113b内の最終圧力がマニフォールド4104内の圧力と略同じになるようにバルブ4121が閉じられるタイミングが選択されることによって、バルブ4123を開放するために必要とされるエネルギーを低減し、もし気体が仕事をすることなく圧力低下中も膨張することができるならば起こるだろう損失を低減する。他の態様においては、バルブ4123の全域にわたって圧力を均一にするためにバルブ(不図示)を通してチャンバー4113bに水が入れられ得る。
図41〜41Dの特定のシリンダーおよびバルブ構造は、システム故障の際に圧縮モードに自動的に戻ることによって他の長所をもたらす。具体的には、バルブ作動指示がコントローラーによって受け取られない場合、ピストンの連続的な動きから起こるシリンダー内の相対的な圧力差が、初期設定によって、バルブ4120〜4123に、低圧側からシリンダーへ気体を入れさせるだろう。同様に、段階的に吸収されるシステムおよび停止されたシステム内の運動エネルギーを残しつつ、これは、圧縮するフェイルセーフモードに至るだろう。
図41A〜Dに示す具体的なバルブおよびシリンダーの構造は、熱交換のための、気体への液体の注入を含むシステムにおける使用に限定されず、そのような液体注入を必要としないシステムにおいても使われ得る。さらに、図41A〜Dに示す具体的なバルブおよびシリンダーの構造は、シリンダーが圧縮および膨張の両方のために用いられるシステムにおける使用に限定されず、専用の圧縮システムもしくは専用の膨張システムにおいても用いられ得る。
図41A〜Dの具体的な態様は、ガスフローバルブを、ソレノイドによって選択的に作動されるものとして示すが、本発明は、液体注入のための具体的なタイプのバルブを使用することに限定されない。本発明の態様に係る液体注入のために適し得るバルブの例は、以下に限定されるものではないが、ソレノイド作動バルブ、スプールバルブ、ゲートバルブ、シリンダーバルブ、ニードルバルブ、もしくはポペットバルブを含む。
本発明における使用のために適し得る他のガスフローバルブの構造の一例は、サーボループを含む音声コイル作動バルブである。そのようなバルブ構造の使用が、たとえば、停止前のプレート移動の終点における減速のような、作動の速度プロファイルを制御するために有利であり得ることによって、バルブ構成部品にかかる応力を低減する。
バルブ抑制への他のアプローチが可能である。たとえば、ある態様は、反対側の部材における対応する隆起部とともに、エアクッション、ディンプル、円筒ホール、もしくは、弁体または弁座における凹みの他の形状を用い、それが弁座に近づくにつれて、バルブの可動構成部品の動作のエネルギーのいくつかを吸収する空気バネを生成し得る。
ガスフローバルブが空気圧的に作動され得る他の態様によれば、一例は空気圧に比例する空気バルブである。さらなる他の態様においては、たとえば高圧液圧バルブのように、バルブが液圧で作動され得る。
また、図41A〜Dは、ある態様に係るバルブの開閉タイミングを示すが、このタイミングスキームは必須ではない。他の態様によれば、バルブの他のタイミングが用いられ得て、本発明の範囲内にとどまる。
たとえば、図49A〜Cは、圧縮および膨張に耐えるチャンバー内の圧力と容積との関係を示す。これらのプロットは代表値であり、理想的なプロットであり、バルブ損失を含まない。具体的には、図49Aは、圧縮サイクルを経験するチャンバー内部での、容積に対する圧力をプロットする。
第1のピストンストロークの間、ピストンは、時刻t1において上死点(TDC)から動き、時刻t3において下死点(BDC)に達する。時刻t1において、チャンバー内部の容積は、ピストンヘッドがTDCに達する時、チャンバー内に残存する隙間容積(Vc)である。時刻t3において、チャンバー内部の容積は、ピストンがBDC位置にある場合の容積(VBDC)である。
t1とt3との間の時刻t2において、チャンバー内部の圧力は低圧側の圧力よりも低く、バルブの開放を起こし、入口圧力(Pin)において低圧側からチャンバーに気体を入れる。
第1のピストンストロークの終点において(時刻t3)、バルブは閉じられる。ピストンの次のストロークにおいて、ピストンは逆向き(BDCからTDCに向けて)に動き始め、チャンバー内部の気体を圧縮し始める。時刻t4において、チャンバー内部の圧力は高圧側の出口圧力(Pout)に達する。次にチャンバーと高圧側との間のバルブが開き、ピストンの連続的な動きが、圧縮気体を、より圧力が高い側に流す。
時刻t5において、ピストンは第2のストロークの終点に達する。チャンバーと高圧側との間のバルブは閉じられ、次に、ピストンは逆向きに動き始め、他の圧縮サイクルを開始する。
図49Aに示す圧縮サイクルのバルブは効率的に動作する。具体的には、チャンバー内部の圧力が低圧側の圧力と一致する時に(時刻t2)、第1のバルブが開き、バルブ作動のためにわずかなエネルギーしか要しない。加えて、この点における圧力のバランスは、低圧側からチャンバーへ気体を流す際に浪費されるエネルギーを最小化する。
同様に、チャンバー内部の圧力が高圧側の圧力と一致する時に(時刻t4)、第2のバルブが開き、この場合もバルブ作動のためにわずかなエネルギーしか要しない。さらに、圧力のこのバランスは、チャンバーから高圧側へ気体を流す際に浪費されるエネルギーを最小化する。
図49Bは、従来型の膨張サイクルに耐えるチャンバー内部での、容積に対する圧力をプロットする。従来側の膨張サイクルの第1のピストンストロークの間、ピストンは、時刻t1においてTDC位置から動き、時刻t3においてBDC位置に達する。時刻t1において、チャンバー内部の容積は、隙間容積(Vc)である。時刻t3において、チャンバー内部の容積はVBDCである。
時刻t1において、チャンバーと高圧側との間のバルブが開放される。存在する圧力差によって、気体はバルブを通してチャンバーに急速に流れ、利用可能な容積を満たすまで膨張し、時刻t2において、圧力をPinに急速に達しさせる。チャンバー内部の空気は時刻t2とt3との間に膨張し、ピストンはBDCに向けて動く。
第1のピストンストロークの終点において(時刻t3)、バルブは閉じられ、チャンバーと低圧側との間のバルブが開放される。チャンバー内の圧力はPoutまで急速に降下する。次のストロークにおいて、ピストンは逆向きに(BDCからTDCに向けて)動き、チャンバーから低圧側(Pout)に向けて膨張気体を排気する。
時刻t5において、ピストンは第2のストロークの終点に達する。出口バルブは閉まり、ピストンが逆向きに動き始め、他の膨張サイクルを開始する。
図49Aの圧縮サイクルと対照的に、図49Bの従来型の膨張サイクルにおけるバルブは低い効率で運転され得る。具体的には、空気をチャンバーに入れるステップおよびチャンバーから膨張空気を排気するステップのどちらかもしくは両方の間、圧縮気体のエネルギーが回収に失われ得る。
たとえば、高圧側とチャンバーとの間のバルブを開放する時(時刻t1)、圧力差が存在する。バルブはこの圧力差に抗して作動されなければならず、効率を犠牲にしてエネルギーを消費する。加えて、時刻t1とt2との間、圧縮気体がチャンバーに急速に流れるにつれて、圧縮気体の利用可能なエネルギーが浪費される。このエネルギーは失われ、ピストンの動作によって回収されるためには利用できず、システム効率をさらに低下させる。
効率はまた、チャンバーからの膨張気体の流出においても失われ得る。具体的には、時刻t3におけるチャンバーと低圧側との間のバルブの作動の時に、チャンバー内部の圧力は低圧側の圧力を上回り得る。そのような場合、バルブはこの圧力差に抗して作動されなければならず、効率を犠牲にしてエネルギーを消費する。さらに、時刻t3とt4との間に気体が低圧側に急速に流れるにつれて、消費されるだろう気体の利用可能なエネルギーが消費されるだろう。このエネルギーは失われ、ピストンの動作によって回収されるためには利用できず、システム効率をさらに低下させる。
そのため、本発明の態様は、より効率的な運転を可能にするために、膨張モードにおいてバルブ作動を制御するように構成される。図49Cは、本発明の一態様に係る膨張サイクルの一態様の圧力−容積の関係を破線でプロットする。
バルブの開放タイミングがピストンストロークの終点と必ずしも一致しないことを除けば、図49Cのプロットは図49Bのそれと似ている。たとえば、ピストンがBDC位置に達する前に、高圧側とチャンバーとの間のバルブは時刻t3において閉じられる。この作動タイミングの結果として、より少ない気体の量が膨張のために導入され、膨張サイクルの終点におけるチャンバー内部の気体の、結果として生じる圧力は、低圧側と一致し得る。そのような低減された圧力差によって、チャンバーと低圧側との間のバルブの低エネルギー作動が可能となり、チャンバー内部で膨張される気体の低圧側への急速な流れに関連するエネルギー損失を低減する。
ピストンがTDC位置に達する前に、チャンバーと低圧側との間のバルブが時刻t1において閉められ得る。このバルブ作動タイミングの結果として、高圧側とチャンバーとの間のバルブが再び開放された時に、チャンバー内に気体がいくらか残る。この残存気体が、圧縮気体のチャンバーへの吸気時における圧力差を低くするために役立つ。同様に、低減された圧力差が、吸気バルブが開放される瞬間の、圧縮気体のチャンバーへの流速を緩やかにし、より多くのエネルギーを、膨張による回収用に利用可能とする。低減された圧力差はまた、膨張のために圧縮気体をチャンバーに入れるために、圧力差に抗してバルブを作動させるために必要であるエネルギーの量を低下させる。
図49Bの曲線をたどることによって推論される動力の総量は、図49Cのそれよりも大きいが、効率はより低い。バルブタイミングを制御することによって、図49Bと図49Cとの間の中間曲線がたどられ得て、本システムが効率のために動力出力をトレードオフすることができる。
図41EA〜EEは、本発明の別の態様に係る、膨張モードの間のバルブの開閉タイミングを示す。図41EA〜EEは、例証の目的のためにシリンダーの端壁にバルブを示すが、前の図41〜41Dに一般的に表現されるように、ピストンヘッドの最大上方範囲に近似するチャンバー内のどこにでもバルブは位置し得る。
図41EAにおいて、ピストン4124はシリンダー4112の頂点に近づき、前のピストンストロークの間に膨張された気体が、開放されたバルブ4120を通して、ここで低圧側に排気される。図41EBに示すように、あるアプローチにおいて、ピストンが膨張ストロークのまさに終点に達するまでバルブ4120が開放されたまま維持され得ることによって、膨張空気の全てが排気される。
しかしながら、バルブの作動のそのようなタイミングは、システムからのエネルギーの損失に繋がり得る。図41ECに具体的に示すように、ピストンの次のストローク(下向き)の開始時に、高圧側と連結するバルブ4122が開放され、高圧気体がチャンバーに急に流れるだろう。高圧気体のそのような急速な流れと関連するエネルギーが次の膨張で損なわれることによって、動力出力を減少させるだろう。
図41EDの他のバルブタイミングアプローチによれば、ピストンヘッドがシリンダーの上部に達する前にバルブ4120を閉じることによって、このエネルギー損失が防がれ得る。この構造においては、シリンダー内部に残存する膨張気体4185は、連続的なピストンの上方向への動きによって圧縮されるだろう。この圧縮はシリンダーの上部における圧力を上昇させ、図41EEにおいて次にバルブ4122が開放されるにつれて圧力差を減少させるだろう。この方法において、流入気体はより低い流速で流れ、圧力差と関連するエネルギー損失を低減するだろう。
図41ED〜41EEのアプローチもまた、バルブ作動によって消費されるエネルギーを低減するだろう。開放するために、ソレノイド4122cは、高圧側によって発揮される圧力に抗してバルブ4122のプレートを動かさなければならない。しかしながら、バルブ4120の早い閉鎖から生ずるシリンダー内部の増加された背圧が追加の付勢を提供し、バルブ4122の開放中のバルブプレートのこの動きを助けるだろう。
述べられたばかりのバルブタイミングアプローチは、シリンダー内部の残存気体の存在を利用し、膨張中、ピストンストロークの終点における圧力差を低減する。このアプローチとは別に、もしくは関連して、この圧力差を低減するために、液体材料がシリンダーに導入され得る。
図41FA〜41FCはそのような態様の断面図を示す。図41FAにおいて、膨張空気がバルブ4120を通して低圧側に排気されつつ、ピストンが再びシリンダーの上部に近づく。図41FBにおいて、ピストンがシリンダーの上部に近づく前に、バルブ4120が閉じられる。たとえば水のような液体4187は、バルブ4117を通してタンク4119からシリンダーに入れられる。液体は残存気体のためにシリンダー内で利用可能な容積を低減するのに役立ち、残存気体をより高圧に圧縮することをより容易にする。図41FCに示すように、ピストンが次のストロークにおいて下降するにつれて水の存在に起因するシリンダー内の増加した圧力は、そのバルブが開放されて高圧側から気体が流れるにつれて、バルブ4122の全域に渡る圧力差および対応するエネルギー損失を低減するだろう。もし圧力差がゼロにまで低減されるならば、自由な膨張は起こらず、効率が最大化されるだろう。
液体は多くの方法でシリンダー内に導入され得る。ある態様において(たとえば、隙間容積を低減するために液体注入を用いる態様)、別個のバルブによって、シリンダーと液体供給部との間に選択的な連結ができる。また、ある態様は、液体注入およびいくつかはミストからの液滴として、シリンダー内部の液体のいくつかもしくは全てを提供し得る。
液体がシリンダー内部に存在する態様においては、シリンダー内部に導入される、もしくは残る、液体の量は、システム性能を最適化するように制御され得る。たとえば、チャンバー内部のセンサーは、液面、およびこの液体量を変化させるように制御されたシステム要素の運転を示し得る。ある態様においては、シリンダーから流れる液体の流速がプロセッサーもしくはコントローラーによって制御されつつ、液体が排液管によってシリンダーから取り除かれ得る。
図41に戻り、この態様は、2つの別個の混合チャンバーと、パルセーションダンパーボトルとを含む。液体−気体混合物の形態の条件が膨張に対する圧縮用に異なりやすいので、そのような別個の構造の使用が望ましくなり得る。たとえば、圧縮モードにおいては、液体スプレーを受け取る気流は低圧となる。それに対して、膨張モードにおいては、液体スプレーを受け取る気流は高圧となるだろう。図4の態様に示すような別個の混合チャンバーの使用によって、これらの異なる条件下での最適な液体導入が可能となる。
本発明の態様によれば、組み合わされた圧縮/膨張チャンバー、専用圧縮チャンバー、もしくは専用膨張チャンバーは、さまざまなバルブ構造を通して、混合チャンバー(パルセーションダンパーボトルのような、どんな介在構造以外にも)と流体連通し得る。図39〜41Dの態様に示すように、複数のバルブによって、混合チャンバーと、1つ以上の圧縮/膨張チャンバー(たとえば、シリンダー内部の複動ピストンの存在によって画定される2つのチャンバー)との間の選択的な流体連通が可能となり得る。
前の態様に示すように、バルブは、弁座に対してバルブプレートを動かすシャフトと物理的に連結するソレノイドによって機械的に作動され得る。そのような構造は、システム性能を高める追加の特徴を含み得る。
たとえば、図41Gは、超音波振動子を用いるバルブ構造の一態様の簡素化された図面を示す。本図は例証の目的のためのみに提供され、本図の要素の相対的な寸法やサイズは原寸に比例していない。
具体的には、バルブ4189は、開口部4193を有する弁座4191を含み、開口部4197を有し、弁座と係合するように可動するバルブプレート4195を含む。弁座の開口部はバルブプレートの開口部に対してずらされており、それらの係合において気体がバルブを通して流れることを防ぐ。
弁座とバルブプレートとが係合されていないとき、気体が、開口部4197および4193を通過することによってバルブを旋回させるようにこれらの要素の間に十分なスペースが存在する。しかしながら、図41Gに示すように、開放バルブを通して流れる気体に課される通路は、露出された表面における液滴4187のまとまりに潜在的に至る鋭い曲がり角を備えるひどいものである。そのようなまとまりが、圧縮もしくは膨張の間、チャンバー内のそれらの滴の均一性を望ましくなく変え得る。鋭い曲がり角を最小化するためにバルブプレートおよび弁座の端を鋭くすることによってまとまりは低減され得るが、その効果はこの方法単独によって取り除かれないかもしれない。
そのため、一態様によれば、本発明のバルブ構造は、超音波振動子と連結するように配置され得る。この振動子から受け取られる超音波エネルギーは、バルブにおける液体のまとまりをばらばらにするのに役立ち得て、その液体を、圧縮および/または膨張の間の熱交換のためにチャンバーに流し得る。
図41Gは一態様を示し、バルブプレート4195が、ソレノイド4177と連結するシャフト4175によって弁座4191に対して可動であることを特徴とする。本態様においては、超音波振動子4173はシャフト4175に固定され得る。超音波振動子4173の作動は、バルブプレート4191への超音波の伝達に至り、その表面においてまとまり得る液体を振動させ、分散させる。超音波エネルギーは弁座にも届き、その表面の液体のまとまりをばらばらにする。
図41Gは、超音波振動子がシャフトを通してバルブプレートと直接的に接することを特徴とする態様を示すが、これは本発明によって必須ではない。他の態様においては、バルブ要素表面の液体のまとまりをばらばらにするために超音波エネルギーがこれらのバルブ要素に作用しつつ、超音波振動子がバルブプレートおよび/または弁座とある距離をもって分離され得る。
図41Gの装置は、チャンバーへの気流を制御するバルブ構造と音響通信する超音波振動子を位置づけるが、その代わりに超音波振動子が他の場所に置かれてもよく、本発明の範疇に入る。
たとえば、注入された液体ミストからの滴のまとまりはバルブプレートもしくは弁座の表面に限定されない。そのようなまとまりはまた、シリンダー自体の内部、チャンバーおよび/またはピストンヘッドおよびピストンシャフトの壁にも起こり得る。
そのため、本発明のある態様は、シリンダー自体の内部に超音波振動子を配置し得る。そのような態様においては、振動子からの超音波エネルギーは、チャンバーの壁および/またはピストンの表面に伝達され得る。
シリンダー内部への超音波エネルギーのそのような伝達が、少なくとも2つの方法において、圧縮もしくは膨張プロセスのための熱交換を向上させ得る。まず、超音波エネルギーは表面から気体に液体を分散して戻し、そこで、液体は、気体と熱的に相互に作用するのにもっともよく適すだろう。加えて、超音波エネルギーが、まとまった液体を、より小さな径を有する微細な滴に分散させるために役立ち得ることによって、より広い表面積を生み出し、熱交換を向上させる。
バルブ構造の話題に戻り、本発明の態様は、ソレノイド作動バルブの使用に限定されるものではない。他の態様が他のタイプのバルブを使ってもよく、本発明の範疇に入る。
本発明における使用に適し得る、そのような他のバルブ構造の一例は、サーボループを含む音声コイル作動バルブである。そのようなバルブ構造の使用が、たとえば、停止前のプレート移動の終点における減速のような、作動の速度プロファイルを制御するのに有利であり得ることによって、バルブ構成部品にかかる応力を低減する。
バルブが空気圧的に作動し得る他の態様によれば、一例は空気圧比例空気バルブである。さらなる他の態様においては、たとえば高圧液圧バルブのように、バルブが液圧で作動され得る。
本発明に係る使用のためのバルブの態様は、開放および/または閉鎖の具体的な時間プロファイルを示すように設計され得る。たとえば、図41Hは、カムがシャフト4144に対して回転するにつれて、カム従動子4142とカム4143の表面4143aとの間の接触によって、バルブプレート4140がシャフト4148を通してバルブプレート4145に対して作動することを特徴とする可能な一態様を示す。カム従動子は、バネ4141によってカム表面と接して支えられる。本態様において、カムの具体的な形状、およびカム従動子に対するその表面の対応する位置づけが、閉鎖および開放の方向において、バルブの作動の時間プロファイルを決定するように設計され得る。バルブタイミングは、カムの角度もしくは有効プロファイルを変えるように機構を提供することによって変化され得る。
さらに、本発明に係る態様は、二方バルブの使用に限定されるものではない。ある態様によれば、2つ以上の数の出力を有する多方バルブを通して、混合チャンバーが、複数の圧縮/膨張チャンバーと選択的に流体連通し得る。
2つ以上の出力を有し、混合チャンバーと圧縮/膨張チャンバーとの間のバルブを用いるシステムが図46Aの態様に示される。この構造において、混合チャンバー4699の出力は、パルセーションダンパーボトル4694および多方バルブ4698を通して、複数の圧縮/膨張チャンバー4602a〜cのうちの1つと選択的に流体連通する。
ほとんどの場合、気液混合物が概して圧縮/膨張チャンバー4602a〜cのうち少なくとも1つに流れるように、システムの本態様が設計される。気体、液体、および生成される気液混合物それ自体の流れは、繰り返しては停止されず、異なる圧縮/膨張チャンバーの変化する需要に従って再開されるので、気液混合物を生成するための混合チャンバーのそのような進行中の運転は、徐々にその混合物の特性の均一性を確保するために役立つ。
図46Bに示すさらなる他の態様においては、混合チャンバー4659内に準備される気液混合物は、圧縮/膨張チャンバー4654a〜cのうちの一つによっていつも必須とされるわけではない。しかしながら、気液混合物の進行中の生成の利点は、ダンプ4656と流体連通する多方バルブ4658の一出力をセットすることによって得られ得る。そのため、気液混合物がどのチャンバーにおいても圧縮/膨張のために必要とされない時、混合物は、混合チャンバー4659からパルセーションダンパーボトル4654を通ってダンプ4656に流れ、そこで、液体は、たとえば再注入のような後の使用のために回収されてもよいし、されなくてもよい。
混合チャンバーで生成され、圧縮/膨張チャンバーに流れる気液混合物の性質は、膨張サイクルおよび圧縮サイクルの間、同じであってもよいし、同じでなくてもよいことが、さらに言及される。そのため、所望の気液混合物が変化する場合、変化された気液混合物の均一条件が得られるまで、移行期の混合物をダンプに流すことは有利なことであり得る。
液体−気体混合物をダンプに選択的に送ることが有益であり得る具体的な一態様は図48A〜48Cに表現される。具体的には、膨張サイクルの間、液体−気体混合物の所定の限定された体積を入れるようにバルブ作動にわたる精密な制御を用い得る態様がある。
具体的には、制御された時間間隔の間、吸気バルブ4800を開放することによって、所定の空気量V0が高圧側(たとえば、前のステージもしくは保存タンク)からチャンバーに加えられる。ピストン4802が膨張ストロークの終点に達する時にチャンバー4804内部の所望の圧力が得られるように、この空気量V0が算出される。
あるケースでは、この所望の圧力は、2番目に低い圧力のステージの圧力とほぼ等しい、もしくはそのステージがもっとも圧力の低いステージまたは唯一のステージであるならば、ほぼ大気圧となるだろう。ある態様においては、チャンバー内部の所望の圧力は、2番目に低い圧力のステージの圧力の、1PSI以内、5PSI以内、10PSI以内、もしくは20PSI以内となり得る。そのため、膨張ストロークの終点において、最初の空気量V0におけるエネルギーは完全に消費され、膨張空気を2番目に低い圧力のステージに移動させる際に浪費されるエネルギーはほとんどないか、全くない。
この目的を達成するために、所望の空気量(V0)がチャンバーに入ることができる場合に限り、吸気バルブ4800が開放される。その後、図48B〜Cに示すように、バルブ4800が閉じられたままとなる。
そのような構造においては、ピストンがその膨張ストロークを完了する前に吸気バルブ4800が閉じられる。さらに、吸気バルブ4800の閉鎖のタイミングは、気液フローを他のチャンバー(もしくは複動ピストンの場合にはその部分)に入れるために、他の吸気バルブの開放と正確に同期させなくてもよい。そのため、吸気バルブ4800の閉鎖タイミングにおいて、膨張のための圧縮された液体−気体混合物の流れを受け取るために既に準備されている他のチャンバーがなくてもよい。それゆえ、本システム内のチャンバーが膨張のための流れを受け取るように構成されるそのような時まで(図48Cに図示)、そのような態様は、連続的に流れる液体−気体混合物をダンプに押しやる能力から恩恵を受け得る。
他の態様においては、コントローラー/プロセッサーは、V0よりも大きな初期体積の空気を膨張チャンバーに入れさせるために吸気バルブ4800を制御し得る。たとえば、より大きな動力が所定の膨張サイクルから望まれる時、エネルギー回収の効率を犠牲にして、そのような指令がなされ得る。
上記に詳細が説明されるように、本発明に係るエネルギーを保存および回収するシステムおよび方法の態様は、プロセッサーおよびコンピューター読み出し可能保存媒体を含むホストコンピューターと連結される実施に非常に適している。そのようなプロセッサーおよびコンピューター読み出し可能保存媒体は装置に組み込まれ得る、および/または、外部の入力/出力デバイスを通して、制御もしくはモニターされ得る。
図47は、プロセッサー/コントローラーと、プロセッサーコントローラーによって受け取られる様々な入力、実行される機能、生成される出力との間の関係を示す模式図である。示されるように、1つ以上の入力に基づいて、プロセッサーは装置の様々な運転特性を制御し得る。
制御され得るそのような運転パラメーターの一例は、混合チャンバーへの空気および液体の流れと、同様に混合チャンバーから圧縮/膨張チャンバーへの流れを制御するバルブのタイミングおよび構造である。たとえば、上述のように、いくつかの態様においては、混合チャンバーと圧縮/膨張チャンバーとの間のバルブが選択的に開閉され、気液混合物が、適切な圧縮/膨張チャンバーに流れる。複数のそのようなチャンバーが混合チャンバーと連結するシステムにおいて、気液混合物を適切な時期に適切なチャンバーに送るように、そして、ある態様においては気液混合物を必要に応じてダンプに送るように、バルブは注意深く制御されなければならないだろう。
混合チャンバーと圧縮/膨張チャンバーとの間のそのようなバルブの操作タイミングはまた、所定の量の空気および気液混合物のみが圧縮/膨張チャンバーに導入されることを確実にするように制御されなければならないかもしれない。これは図48A〜Cに関連して上述されている。
バルブの開閉タイミングはまた、圧縮の間も注意深く制御され得る。たとえば、本発明の態様は、たとえばシリンダー内の蓄積圧力が次のステージもしくは最終タンクの圧力をある数値で上回る所望の条件下で、圧縮チャンバーの出口バルブを精密に開放するためにコントローラー/プロセッサーを活用し得る。この方法においては、シリンダー内部の圧縮空気からのエネルギーは、出口バルブ(従来型のチェックバルブを有するケースのように)を作動させる際には消費されず、圧縮空気に保存されたエネルギーは、膨張による後の回収のために維持される。
圧縮および/または膨張チャンバーの吸気および出口バルブの操作のタイミングは上述のように制御され得るが、ある態様においては、他のバルブ、もしくはバルブ以外のシステム要素が同様に制御され得る。たとえば、プロセッサーによって制御され得るシステムパラメーターの他の例は、チャンバーに導入される液体の量である。たとえば、圧力、湿度、算出された効率、および他の1つ以上の数値に基づいて、圧縮もしくは膨張の間にチャンバーに導入される液体の量は、運転の効率を維持するために注意深く制御され得る。たとえば、V0よりも大きな量の空気が膨張サイクルの間にチャンバーに入れられる場合、その膨張中の空気の温度を所望の温度範囲内に維持するために、追加の液体が導入されなければならないかもしれない。これは、流体タンクを、噴霧ノズルと、もしくは流体を噴霧ノズルに流すためのポンプと接続するバルブの全域にわたるプロセス制御によって、これが得られ得る。
(マルチステージシステム)
述べられたばかりの具体的な態様は、シングルステージの全てにわたる圧縮もしくは膨張を用いる。しかしながら、本発明に係る他の態様は、1つ以上の圧縮および/または膨張のステージを用い得る。
たとえば、機械力が本システムに向けて、および本システムから運ばれることによる機械的もしくは液圧的なアプローチによって収容され得る以上に大きな圧縮/膨張比が求められる時、複数のステージが用いられ得る。
図42Aは、3つのステージ(すなわち、第1のステージ4224a、第2のステージ4224b、および第3のステージ4224c)を備えるタンク4232内における保存のための空気を圧縮するためのマルチステージシステム4220の一態様のきわめて簡素化された図面を表す。より多い、もしくはより少ないステージを備えるシステムが同様に構成され得る。図42Aのシステム4220に示すように、マルチステージの態様においては、保存のための最終的な所望の圧力に達するまで、一圧縮ステージの出力が、さらなる圧縮のために次の圧縮ステージ等の入口に流れる。この方法においては、一つだけのステージでは得られるのが困難だろう最終圧力に、いくつかのステージにわたって気体は圧縮され得る。
図42Bは、本発明に係るマルチステージ専用圧縮装置4200の一態様の詳細図を表す。具体的には、図42Bは、第1のステージ4202、第2のステージ4204、および保存ユニット4232を含むシステム4200を示す。第1のステージ4202は、圧縮チャンバーモジュールC01を通して、分離モジュールB1と流体連通する混合チャンバーモジュールA0を備える。第1のステージ4202は、空気フィルター4250を通して圧縮のための空気を受け取る。
同様に、第1のステージ4202は、第2のステージ4204と流体連通する。第2のステージは、圧縮モジュールC12を通して、分離モジュールB2と流体連通する混合チャンバーモジュールA1を備える。同様に、第2のステージ4204は、保存ユニット4232と流体連通する。
図42BA、42BB、および42BCは、図42Bのマルチステージ装置の異なる構成部品モジュールの簡素化された図を示す。具体的には、混合モジュールAxは、混合チャンバー4208と流体連通する気体入口4206を備える。混合チャンバー4208は、液体入口4213を通して液流を受け取るように構成され、その液体を、マニフォールド4210および噴霧ノズル4212を通して流動気体に注入するように構成される。混合モジュールAxは、出口4216と流体連通するパルセーションダンパーボトル4214をさらに含む。
分離モジュールByは図42BBに示される。分離モジュールは、気液分離機4232と流体連通する入口4230を備える。分離機によって分離された液体が、液体タンク4234に流れるように構成される。分離機からの気体が、分離モジュールの出口4236に流れるように構成される。ポンプ4238は、タンクからの液体が液体出口4240に流れるように構成される。
圧縮モジュールCxyは図42BCに示される。圧縮モジュールの一態様の構造は、図41〜41Bと関連して詳細に上述されている。具体的には、圧縮モジュールは、入口4252と流体連通し、バルブ4256aおよび4256bを通してシリンダー4254と流体連通する導管4250を備える。導管4258は、バルブ4257aおよび4257bを通してシリンダー4254と流体連通し、出口4259と流体連通する。
複動ピストン4255は、シリンダー4254内部に配置される。複動ピストンは、エネルギー源(不図示)と連結し、その動きはシリンダー内部に存在する気体を圧縮するのに役立つ。そのような圧縮は一般的に示され、図39〜39Bおよび41〜41Bに関連して上述される。
マルチステージ専用圧縮装置4200の第1のステージ4202において、分離モジュールB1の液体出口は、第1の熱交換器H.E.01を通して、混合モジュールA0の液体入口と流体連通する。マルチステージ専用圧縮装置4200の第2のステージ4204において、分離モジュールB2の液体出口は、第2の熱交換器H.E.02を通して、混合モジュールA1の液体入口と流体連通する。
図42Bの態様は、ステージによって生成される圧力差を用いて、液体の注入を容易にし得る。具体的には、図42Bの態様は、前のより低圧なステージの低減された圧力を有する気流に逆戻りされた、分離された液体を有する。これは液体注入のために必要とされる力を減少させ、それゆえ、液体を流す際にポンプによって消費される電力を低減する。
本発明に係る専用マルチステージ圧縮装置は、図42Bに示す具体的な態様に限定されるものではない。具体的には、図42Bの態様は、分離された液体が個々のステージ内部で気流に再注入されて回収される装置を示すが、これは本発明によって必須とされるわけではない。
そのため、図42Cは、本発明に係る専用マルチステージ圧縮装置の他の態様を示す。本態様に係るシステム4260において、第1のステージの混合チャンバー4262に注入された液体は、次に分離機4264によって分離され、続いて次のステージの混合チャンバー4266内に注入のために流れる。この構造は、タンク4268内の最終的に分離された液体の収容に至る。
図42A〜Cは2つのステージにわたる圧縮を示すが、本発明の態様はこのアプローチに限定されるものではない。エネルギーの量が圧縮気体から回収されるまで、一膨張ステージの出力がさらなる膨張のために次の膨張ステージの入口に流れつつ、本発明に係る他の態様もまた、いくつものステージにわたって膨張を実行し得る。この方法においては、エネルギーはいくつかのステージにわたって膨張される気体から回収され得て、それは一つのステージだけにおける膨張で得ることが困難だろう。
図43は、本発明に係るマルチステージ専用膨張装置の一態様の詳細図を表す。具体的には、図43は、保存ユニット4332と、第1のステージ4362と、第2のステージ4364と、を含む装置4360を示す。第1のステージ4362は、膨張モジュールE34を通して分離モジュールB4と流体連通する混合チャンバーモジュールA3を備える。第1のステージ4362は、保存ユニット4332から圧縮用の空気を受け取る。
同様に、第1のステージ4362は、第2のステージ4364と流体連通する。第2のステージ4364は、膨張モジュールE23を通して、分離モジュールB3と流体連通する混合チャンバーモジュールA2を備える。同様に、第2のステージ4364は、出口4357と流体連通する。
マルチステージ専用膨張装置4360の異なる構成部品モジュールは、上述される図42BAおよび42BBにも表され得る。専用膨張装置4360は、図43Aに示す膨張モジュールExyをさらに含む。
具体的には、そのような膨張モジュールの一態様の構造および運転は、図41および41C〜Dに関連して詳細に上述される。具体的には、膨張モジュールは、入口4352と流体連通し、バルブ4366aおよび4366bを通してシリンダー4354と流体連通する、導管4350を備える。導管4358は、バルブ4367aおよび4367bを通してシリンダー4354と流体連通し、出口4359と流体連通する。
複動ピストン4355は、シリンダー4354内部に配置される。複動ピストンは、たとえば発電機のような、機械力をエネルギーに変換するための装置(不図示)と連結する。シリンダー内部の空気の膨張がピストンの動きを駆動させるのに役立つ。そのような膨張は、図40〜40B、41、および41C〜Dと関連して、一般的に示され、上述される。
マルチステージ専用膨張装置4360の第1のステージ4362において、分離モジュールB4の液体出口は、第1の熱交換器H.E.43を通して、混合モジュールA3の液体入口と流体連通している。マルチステージ専用膨張装置4360の第2のステージ4364において、分離モジュールB3の液体出口は、第2の熱交換器H.E.32を通して、混合モジュールA2の液体入口と流体連通している。
本発明に係る専用マルチステージ膨張装置は、図43に示す具体的な態様に限定されるものではない。具体的には、図43の態様は、分離された液体が個々のステージ内部での気流への再注入のために回収されることを特徴とする装置を示すが、これは本発明によって必須とされるものではない。
図43Bは、本発明に係る専用マルチステージ膨張装置の他の態様を示す。本態様に係るシステム4300において、第1のステージの混合チャンバー4302に注入される液体は、次に分離機4304によって分離され、続いて、次のステージの混合チャンバー4306への注入のために流れる。この構造は、タンク4308における最終的に分離された液体の収容に至る。
図43Bの態様は、ステージによって生成される圧力差に抗して注入される液体を必要としない。図43Aの具体的な態様において、分離された液体は、前の、より高圧なステージの上昇した圧力を有する流入気流に戻るように流れる。それに対して、図43Bの態様は、次のステージに入る膨張気体に流れる分離された液体を有し、液体を流す際にポンプによって消費される電力を低減する。
ここまでに述べられたマルチステージ装置の態様は、圧縮もしくは膨張のどちらかに専用となっているが、本発明に係る他の態様は、圧縮と膨張との両方を実行し得る。図44は、圧縮と膨張との両方を可能にするそのような2ステージ装置の一態様の簡素化された模式図を示す。
具体的には、図44の態様は多くの構造の特徴を組み合わせ、圧縮と膨張との両方を実行できるシステムを生み出す。システム4400の一つの特徴は、三方バルブ4404を通したシステムのある要素の連結である。図44は、圧縮モードにおいては三方バルブの構造を実線で述べ、膨張モードにおいては破線で述べる。
システム4400の一つの特徴は、圧縮モードおよび膨張モードの両方における液体の導入のための同一の混合チャンバー4405の使用である。具体的には、圧縮の間、混合チャンバー4405は、前のステージにおける圧縮のおかげで既に高圧である気体に液体を注入するために用いられる。膨張の間、混合チャンバーは、第1のステージにおける高圧気体に気体を注入するために用いられる。所望の気液混合物を得るために、圧縮および膨張の両方において概して用いられる混合チャンバーを有するマルチステージ装置において、それらの混合チャンバーに流れる入口気体の圧力はほぼ同じだろう。
システム4400のさらなる他の特徴は、1つ以上の寸法(ここでは、寸法dに沿って)に細長く延びるパルセーションダンパーボトルの使用である。導管が、短いままのそれらの隣接要素と流体連通することが可能となりつつ、パルセーションダンパーボトルの細長い形状によって、ボトルと隣接要素との間の複数の連結が可能となる。
具体的には、パルセーションダンパーボトルのサイズは、液体−気体混合物を受け取るための相対的により大きな容積をもたらす。ボトルの壁の表面積に対して比較的低い比率の露出がされつつ、この容積が気流の本体内部の液滴を収容する。壁へのそのような液滴の露出を最小限にすることによって、表面上にまとまるよりはむしろ、液滴は気流内部に分散されたままとなる傾向があり、そのため、熱交換のために利用可能となる。
図44は、模式的な形態のみにおける細長いパルセーションダンパーボトルを示す簡素化された図であり、細長いボトルの形状は、これもしくは他の具体的なプロファイルに限定されるものとして解釈されるべきではない。たとえば、パルセーションダンパーボトルの他の態様は、1つ以上のローブもしくは他の細長い外観を含み得る。
細長い形状を有するそのようなパルセーションダンパーボトルの使用がないので、より大きな複雑さを示す対応する流体導管(たとえば、より大きな長さおよび/またはより多くの曲がり角)が、ボトルと、異なるシステム要素と、を接続するために用いられ得る。そのような複雑な導管は、たとえば導管内部の液体の望まれない局所的なまとまりを引き起こすことによって、液体−気体混合物の均一性を乱す局所的な圧力差を生み出し得る。
圧縮モードにおける運転下、保存ユニット4432に流れる前に、気体は入口4450を通してシステムに入り、2つの連続する液体注入ステージおよび圧縮ステージにさらされる。分離された液体はタンク4435に収容され、タンクは膨張モードにおいて近等温の膨張を得るために次の再注入のための熱を保存するように絶縁され得る。
具体的には、膨張モードにおける運転下、出口4434においてシステムから流れ出る前に、保存ユニットからの圧縮気体が、2つの連続する液体注入ステージおよび膨張/圧縮ステージにさらされる。分離された液体はタンク4436に収容され、圧縮モードにおいて近等温の圧縮を得るように次に再注入され得る。
図44のシステムの態様において、図42C(専用コンプレッサー)および図43B(専用膨張機)の態様と類似した方法で、異なるステージにわたる分離された液体の流れは、最後の分離機における収容に至る。そのような態様は、起こる液体の指向性のある流れを収容するために、より大きい流体タンクを必要とする。
図45は、本発明の一態様に係るマルチステージ装置を示す簡素化された図面であり、その装置は、圧縮および膨張の両方を実行するように構成可能である。具体的には、システム4500は図44の態様の修正を表し、追加の三方バルブ4502と、ある分離要素とある混合チャンバーとの間の追加の導管と、を含む。さらに、図45は、圧縮モードにおいては実線で三方バルブの構造を表し、膨張モードにおいては破線で表す。
図45の態様は、いくつかの追加のバルブおよび導管の複雑さをもたらすが、それはある要素を取り除き得る。具体的には、圧縮と膨張とは同時には起こらず、それゆえに図44の態様の3つの全ての熱交換器およびポンプは同時に使用中であることが求められていないことに言及する。そのため、システム4500は、図44の態様の3つの熱交換器および3つのポンプに対して、2つの熱交換器(H.E.1およびH.E.2)および2つのポンプ(4504)のみを用いる。
さらに、図45の態様は、ステージ内部への液体の循環を制限する。そのため、液体が1つのタンクに収容されるほどには液体の流れはなく、そのため液体タンクは図44の態様におけるよりも大きくされる必要はない。
要約すると、本発明に係るさまざまな態様が以下の要素の1つ以上を包含し得る。
1.気体の圧縮および/または膨張が起こるチャンバーの上流にある、混合気体および液体用の混合チャンバーの使用。
2.混合チャンバーと、圧縮および/または膨張が起こるチャンバーと、の間のパルセーションダンパーボトルの使用
3.気液混合物が、連続的に圧縮/膨張チャンバーに流れるか、必要とされない時にダンプに流れるかのどちらかでありつつ、混合チャンバー内部での気液混合物の連続的な生成。
4.圧縮/膨張が起こるところから分離された混合チャンバーにおいて生成されながら、気体との高表面積接触における液相によって効率化される必要な熱交換を伴う、気体の近等温膨張および圧縮。
5.空気の圧縮および膨張が可能な機構。
6.圧縮空気の所定の体積の膨張から大きな仕事出力を得るようなバルブタイミングの電気的制御。
ここに述べられるさまざまな構造は、機械的形態における力を用い、生成し、それは液圧もしくはピストンの往復運動である。しかしながら、ほとんどの応用において、必要となるものは電気エネルギーの保存のためのものである。その場合において、適切な電力条件の電子機器とともに、発電機が、膨張の間、システムによって供給される機械力を電気力に変換するために用いられ得る。同様に、圧縮の間、システムによって必要とされる機械力がモーターによって供給され得る。圧縮および膨張が同じチャンバーによって同時になされないため、ある態様においては、モーター/発電機は両方の機能を実行するために用いられ得る。
もしエネルギー保存システムが液圧モーターもしくは水力タービンを用いるならば、その装置のシャフトは、直接もしくはギヤボックスを介して、モーター/発電機に接続され得る。もしエネルギー保存システムが往復ピストンを用いるならば、往復運動をシャフトのトルクに変換し得るクランクシャフトもしくは他の機械的連結機構が用いられ得る。
さらに、本発明の態様は、全てのステージを備える混合チャンバーの使用を必要としない。ある態様は、たとえば、圧縮/膨張が起こっているチャンバーへのミストもしくはスプレーの直接的な注入によって、混合チャンバーよりも他によって、圧縮/膨張チャンバーに導入される気体を有する他のステージを備え、いくつかのステージのみにおける混合チャンバーを用い得る。
さらなる他の態様は、たとえば液体を通して気体を泡立たせることによって、スプレー以外によって液体が気体に導入されるステージを用い得る。たとえば、ある態様において、そこからのエネルギーを保存および除去する泡技術を用い得る(高圧)ステージがあり得る一方、混合チャンバーを用いる液体ミスト技術を用いるかもしれない(低圧)ステージがあり得る。
(付記1)
液体−気体混合物を生成するために流動気体を含む第1のチャンバーに液体を噴霧する工程と、
前記液体−気体混合物を第2のチャンバーに流す工程と、
前記第2のチャンバーと連結されたピストンによって前記気液混合物の一部を圧縮させ、前記液体−気体混合物の液体が圧縮によって生じた熱エネルギーを吸収する工程と、
圧縮された前記液体−気体混合物の少なくとも一部を前記第2のチャンバーから移送する工程と、
を含む方法。
(付記2)
前記液体−気体混合物が前記第2のチャンバーに流れない時に、前記液体−気体混合物を生成し続ける工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記液体−気体混合物が前記第2のチャンバーに流れない時に、前記液体−気体混合物を第3のチャンバーに流す工程をさらに含む、付記2に記載の方法。
(付記4)
前記液体−気体混合物が前記第2のチャンバーに流れない時に、前記液体−気体混合物をダンプに流す工程をさらに含む、付記2に記載の方法。
(付記5)
パルセーションダンパーボトルを通して前記液体−気体混合物を前記第2のチャンバーに流す工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記6)
圧縮気体を形成するために、圧縮された前記液体−気体混合物の一部から液体を分離する工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記7)
前記圧縮気体を保存ユニットに流す工程をさらに含む、付記6に記載の方法。
(付記8)
前記第1のチャンバーに噴霧されるように、熱交換器を通して、分離された前記液体を流す工程をさらに含む、付記6に記載の方法。
(付記9)
さらなる圧縮のために、前記圧縮気体を次のステージに流す工程をさらに含む、付記6に記載の方法。
(付記10)
前記次のステージに噴霧されるように、熱交換器を通して、分離された前記液体を流す工程をさらに含む、付記9に記載の方法。
(付記11)
液体−気体混合物を生成するために流動気体を含む第1のチャンバーに液体を噴霧する工程と、
前記液体−気体混合物を第2のチャンバーに流す工程と、
前記液体−気体混合物を前記第2のチャンバーと連結されたピストンを駆動させるように膨張させ、前記液体−気体混合物の前記液体が膨張中に熱エネルギーを伝導する工程と、
前記第2のチャンバーから、膨張された前記液体−気体混合物の少なくとも一部を移送する工程と、
を含む方法。
(付記12)
前記液体−気体混合物が前記第2のチャンバーに流れない時に、前記液体−気体混合物を生成し続ける工程をさらに含む、付記11に記載の方法。
(付記13)
前記液体−気体混合物が前記第2のチャンバーに流れない時に、前記液体−気体混合物を第3のチャンバーに流す工程をさらに含む、付記12に記載の方法。
(付記14)
前記液体−気体混合物が前記第2のチャンバーに流れない時に、前記液体−気体混合物をダンプに流す工程をさらに含む、付記12に記載の方法。
(付記15)
パルセーションダンパーボトルを通して前記液体−気体混合物を前記第2のチャンバーに流す工程をさらに含む、付記11に記載の方法。
(付記16)
圧縮された前記液体−気体混合物の一部から液体を分離する工程をさらに含む、付記11に記載の方法。
(付記17)
前記第1のチャンバーに噴霧されるように、熱交換器を通して、分離された前記液体を流す工程をさらに含む、付記11に記載の方法。
(付記18)
前記流動気体が保存ユニットから受け取られる、
ことを特徴とする付記11に記載の方法。
(付記19)
前記流動気体が前の膨張ステージから受け取られる、
ことを特徴とする付記11に記載の方法。
(付記20)
前記前の膨張ステージに噴霧されるように、熱交換器を通して、分離された前記液体を流す工程をさらに含む、付記19に記載の方法。
(付記21)
気流を受け取るように構成され、第1のチャンバー内部で液体−気体混合物を生成するように噴霧器を通して液体源と液体連通する第1のチャンバーと、
パルセーションダンパーボトルとバルブとを通して、前記第1のチャンバーと選択的に流体連通する第2のチャンバーと、
を備え、
前記第2のチャンバーが内部に配置された可動部材を有する、
装置。
(付記22)
前記可動部材が、前記第2のチャンバー内部の空気を圧縮するようにエネルギー源と連結する、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記23)
前記可動部材が、前記第2のチャンバー内部の空気の膨張にかかる動力を生成するように発電機と連結する、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記24)
前記バルブが、前記第2のチャンバー内部の圧力が前記第1のチャンバー内部の圧力を超える時に、弁座に向けて動くように配置されたバルブプレートを備える、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記25)
第2のバルブを通して前記第2のチャンバーと流体連通する分離機をさらに備える、付記21に記載の装置。
(付記26)
前記バルブが、前記第2のチャンバー内部の圧力が前記第1のチャンバー内部の圧力を超える時に、第1の弁座に向けて動くように配置された第1のバルブプレートを備え、
前記第2のバルブが、前記第2のチャンバー内部の圧力が前記分離機内部の圧力を超える時に、第2の弁座から離れて動くように構成された第2のバルブプレートを備える、
ことを特徴とする付記25に記載の装置。
(付記27)
前記分離機と液体連通する液体タンクをさらに備える、付記25に記載の装置。
(付記28)
導管と、ポンプと、熱交換器と、をさらに備え、
前記液体タンクが、前記導管と、前記ポンプと、前記熱交換器と、を通して、前記第1のチャンバーと液体連通する液体源を備える、
ことを特徴とする付記27に記載の装置。
(付記29)
前記可動部材が、発電機と選択的に連結することと、エネルギー源と選択的に連結すること、
とを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記30)
第2の気流を受け取るように構成され、第3のチャンバー内部で第2の気液混合物を生成するように第2の噴霧器を通して第2の液体源と液体連通する第3のチャンバーと、
第1のパルセーションダンパーボトルと前記バルブとの間の第1の三方バルブと、
第2のパルセーションダンパーボトルと第2のバルブとの間の第2の三方バルブと、
をさらに備え、
前記第3のチャンバーが、前記第2のパルセーションダンパーボトルと前記第2のバルブとを通して前記第2のチャンバーと選択的に流体連通し、
前記第1の三方バルブが、前記第2のチャンバーから第1の分離機に出力を流すように構成可能であり、
前記第2の三方バルブが、前記第2のチャンバーから第2の分離機に出力を流すように構成可能である、
付記29に記載の装置。
(付記31)
前記バルブが、前記第2のチャンバー内部の圧力が前記第1のチャンバー内部の圧力を超える時に、第1の弁座に向けて動くように配置された第1のバルブプレートを備え、
前記第2のバルブが、前記第2のチャンバー内部の圧力が前記第1の分離機内部の圧力を超える時に、第2の弁座から離れて動くように構成された第2のバルブプレートを備える、
ことを特徴とする付記30に記載の装置。
(付記32)
前記第1の液体源を備え、前記第1の分離機と液体連通し、第1の導管と、第1のポンプと、第1の熱交換器と、を通して、前記第1のチャンバーと液体連通する第1の液体タンクと、
前記第2の液体源を備え、前記第2の分離機と液体連通し、第2の導管と、第2のポンプと、第2の熱交換器と、を通して、前記第3のチャンバーと液体連通する第2の液体タンクと、
をさらに備える付記30に記載の装置。
(付記33)
前記分離機と流体連通する次のステージをさらに備える、付記25に記載の装置。
(付記34)
前記分離機が液体タンクと液体連通し、前記次のステージが、導管と、ポンプと、熱交換器と、を通して前記液体タンクと液体連通する、
ことを特徴とする付記33に記載の装置。
(付記35)
前記第1のチャンバーと流体連通する前のステージをさらに備える、付記21に記載の装置。
(付記36)
前記前のステージが液体タンクと液体連通し、前記液体タンクが、導管と、ポンプと、熱交換器と、を通して前記第1のチャンバーと液体連通する、
ことを特徴とする付記35に記載の装置。
(付記37)
前記次のステージが、第2のパルセーションダンパーボトルを通して第4のチャンバーと流体連通する第3のチャンバーを備え、前記第4のチャンバーが内部に配置された第2の可動部材を有し、
前記装置はさらに、圧縮モードにおいて前記第1のチャンバー内で圧縮された気体を前記次のステージに流すよう構成可能であり、膨張モードにおいて前記第4のチャンバー内で膨張された気体を前記第1のチャンバーに流すように構成可能である、三方バルブのネットワークをさらに備える、
ことを特徴とする付記33に記載の装置。
(付記38)
三方バルブの前記ネットワークが、
前記第1のパルセーションダンパーボトルと前記第2のチャンバーとの間に配置された第1の三方バルブと、
前記第2のチャンバーと前記第3のチャンバーとの間に配置された第2の三方バルブと、
前記第2のパルセーションダンパーボトルと前記第4のチャンバーとの間に配置された第3の三方バルブと、
前記第4のチャンバーと圧縮気体保存ユニットとの間に配置された第4の三方バルブと、
を備える、
ことを特徴とする付記37に記載の装置。
(付記39)
前記圧縮モードにおいて、
前記第1の三方バルブが、前記第2のチャンバーと流体連通する前記第1のパルセーションダンパーボトルを設置するように構成され、
前記第2の三方バルブが、第1の分離機と流体連通する前記第2のチャンバーを設置するように構成され、
前記第3の三方バルブが、前記第3のチャンバーと流体連通する前記第2のパルセーションダンパーボトルを設置するように構成され、
前記第4の三方バルブが、前記保存ユニットと流体連通する第2の分離機と流体連通する前記第4のチャンバーを設置するように構成された、
ことを特徴とする付記38に記載の装置。
(付記40)
前記膨張モードにおいて、
前記第4の三方バルブが、前記保存ユニットと流体連通する前記第3のチャンバーを設置するように構成され、
前記第3の三方バルブが、前記第4のチャンバーと流体連通する前記第2のパルセーションダンパーボトルを設置するように構成され、
前記第2の三方バルブが、第1の分離機と流体連通する前記第4のチャンバーを設置するように構成され、
前記第1の三方バルブが、出口と流体連通する第2の分離機と流体連通する前記第2のチャンバーを設置するように構成された、
ことを特徴とする付記38に記載の装置。
(付記41)
前記第2のパルセーションダンパーボトルが細長い、
ことを特徴とする付記37に記載の装置。
(付記42)
前記第2のパルセーションダンパーボトルが、前記第2のチャンバーと、前記第4のチャンバーと、に寸法容易連結するように細長い、
ことを特徴とする付記41に記載の装置。
(付記43)
前記液体源がマニフォールドを通して前記噴霧器と連通する、
ことをさらに特徴とする付記21に記載の装置。
(付記44)
前記噴霧器が、前記第1のチャンバーの壁の内部にオリフィスを備える、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記45)
前記噴霧器がノズルを含む、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記46)
マニフォールドと液体連通し、複数の液体噴霧の軌跡を注入するように構成された、複数の噴霧器をさらに備える、付記21に記載の装置。
(付記47)
複数の前記噴霧器が、前記第1のチャンバーを通して、気流の方向において異なる位置に配置される、
ことを特徴とする付記46に記載の装置。
(付記48)
前記バルブが、ソレノイド作動バルブ、空気圧作動バルブ、液圧作動バルブ、音声コイル作動バルブ、もしくはカム作動バルブを備える、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記49)
前記バルブと音響通信する超音波振動子をさらに備える、付記21に記載の装置。
(付記50)
前記可動部材が、ピストンシャフトとピストンヘッドとを備える固体ピストンを備える、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記51)
前記可動部材が、第2のバルブを通して前記第1のチャンバーと流体連通する前記第1のチャンバーと第3のチャンバーとを画定するシリンダー内部に配置された複動ピストンを備える、
ことを特徴とする付記50に記載の装置。
(付記52)
前記第2のチャンバーが第3のバルブを通して分離機と流体連通し、前記第3のチャンバーが第4のバルブを通して前記分離機と流体連通する、
ことを特徴とする付記51に記載の装置。
(付記53)
前記バルブが、前記第2のチャンバー内部の圧力が前記第1のチャンバー内部の圧力を超える時に、第1の弁座に向けて動くように配置された第1のバルブプレートを備え、
前記第2のバルブが、前記第3のチャンバー内部の圧力が前記第1のチャンバー内部の圧力を超える時に、第2の弁座に向けて動くように配置された第2のバルブプレートを備え、
前記第3のバルブが、前記第2のチャンバー内部の圧力が前記分離機内部の圧力を超える時に、第3の弁座から離れて動くように構成された第3のバルブプレートを備え、
前記第4のバルブが、前記第3のチャンバー内部の圧力が前記分離機内部の圧力を超える時に、第4の弁座から離れて動くように構成された第4のバルブプレートを備える、
ことを特徴とする付記52に記載の装置。
(付記54)
内部に配置された可動部材を有するチャンバーを設ける工程を含み、
前記チャンバーが第1のバルブを通して高圧側と選択的に流体連通し、第2のバルブを通して低圧側と選択的に流体連通し、
前記可動部材の第1の膨張ストロークにおいて、
前記高圧側から前記チャンバーに向けて圧縮気体を入れるように前記第2のバルブを閉鎖し、前記第1のバルブを開放する工程と、
前記チャンバー内部で前記圧縮気体を膨張させ、エネルギーを生成するように前記可動部材を駆動させる工程と、
を含み、
前記第1の膨張ストロークと逆方向における前記可動部材の第2の膨張ストロークにおいて、
前記第1の膨張ストロークの間に膨張された気体を前記低圧側に流すように前記第2のバルブを開放する工程と、
前記第2の膨張ストロークの終点より前に、前記チャンバー内部の圧力を上昇させる工程と、
を含む、
方法。
(付記55)
前記第2の膨張ストロークの終点より前に、前記第2のバルブを閉鎖することによって、前記圧力が上げられる、
ことを特徴とする付記54に記載の方法。
(付記56)
前記第2の膨張ストロークの終点より前に、液体を前記シリンダーに導入する工程をさらに含む、付記55に記載の方法。
(付記57)
前記チャンバーの外側で、前記液体が前記圧縮気体に注入される、
ことを特徴とする付記56に記載の方法。
(付記58)
前記液体が前記チャンバーに直接流れる、
ことを特徴とする付記56に記載の方法。
(付記59)
前記第2の膨張ストロークの終点より前に、液体を前記シリンダーに導入することによって、前記圧力が上げられる、
ことを特徴とする付記54に記載の方法。
(付記60)
前記チャンバーの外側で、前記液体が前記圧縮気体に注入される、
ことを特徴とする付記59に記載の方法。
(付記61)
前記液体が前記チャンバーに直接流入される、
ことを特徴とする付記59に記載の方法。
(付記62)
前記第1の膨張ストロークの終点において前記低圧側とほぼ等しい圧力となるように、多量の圧縮気体がチャンバーに入れられるとすぐに、前記第1の膨張ストロークの間に前記第1のバルブを閉鎖する工程をさらに含む、付記54に記載の方法。
(付記63)
前記第1のバルブが、前記チャンバー内部の圧力が前記高圧側の圧力を超える時に、第1の弁座から離れて動くように配置された第1のバルブプレートを備え、
前記第2のバルブが、前記チャンバー内部の圧力が前記低圧側の圧力を超える時に、第2の弁座に向けて動くように配置された第2のバルブプレートを備える、
ことを特徴とする付記54に記載の方法。
(付記64)
前記チャンバーと第2のチャンバーとを画定するように内部に配置された複動ピストンを有する前記チャンバーを設ける工程を含み、
前記第2のチャンバーが、第3のバルブを通して高圧側と選択的に流体連通し、第4のバルブを通して低圧側と選択的に流体連通し、
前記可動部材の前記第1の膨張ストロークにおいて、前記方法が、
前の膨張ストロークの間に前記第2のチャンバー内で膨張された気体を前記低圧側に流すことができるように前記第4のバルブを開放する工程と、
前記第1の膨張ストロークの終点より前に前記第2のチャンバー内部の圧力を上昇させる工程と、
をさらに含む、
ことを特徴とする付記54に記載の方法。
(付記65)
前記第1の膨張ストロークの終点より前に、前記第4のバルブを閉鎖することによって、前記圧力が上げられる、
ことを特徴とする付記64に記載の方法。
(付記66)
前記第1の膨張ストロークの終点より前に、液体を前記シリンダーに導入する工程をさらに含む、付記65に記載の方法。
(付記67)
前記第2のチャンバーの外側で、前記液体が前記圧縮気体に注入される、
ことを特徴とする付記66に記載の方法。
(付記68)
前記液体が前記第2のチャンバーに直接流れる、
ことを特徴とする付記66に記載の方法。
(付記69)
前記第1の膨張ストロークの終点より前に、液体を前記シリンダーに導入することによって前記圧力が上げられる、
ことを特徴とする付記64に記載の方法。
(付記70)
前記第2のチャンバーの外側で、前記液体が前記圧縮気体に注入される、
ことを特徴とする付記69に記載の方法。
(付記71)
前記液体が前記第2のチャンバーに直接流れる、
ことを特徴とする付記69に記載の方法。
(付記72)
前記第1のバルブが、前記チャンバー内部の圧力が前記高圧側の圧力を超える時に、第1の弁座から離れて動くように配置された第1のバルブプレートを備え、
前記第2のバルブが、前記チャンバー内部の圧力が前記低圧側の圧力を超える時に、第2の弁座に向けて動くように配置された第2のバルブプレートを備え、
前記第3のバルブが、前記第2のチャンバー内部の圧力が前記高圧側の圧力を超える時に、第3の弁座から離れて動くように配置された第3のバルブプレートを備え、
前記第4のバルブが、前記第2のチャンバー内部の圧力が前記低圧側の圧力を超える時に、第4の弁座に向けて動くように配置された第4のバルブプレートを備える、
ことを特徴とする付記64に記載の方法。
圧縮気体からのエネルギーの保存および回収は、1または2以上の技術を単独でまたは組み合わせて利用することで促進され得る。一つの技術は、液滴のミストを、気体の圧縮および/または膨張が行われる第2チャンバーの上流に配置された専用チャンバーに導入する。いくつかの態様において、生じた液体−気体混合物の均一性が、パルセーションダンパーボトルを専用混合チャンバーと第2チャンバーとの間に置くことにより促進され得て、混合チャンバーを介した連続的な流動を許容する。他の技術は、低エネルギーで作動可能なバルブの構造を利用し、圧縮および/または膨張チャンバーからの気流、並びに圧縮および/または膨張チャンバーへの気流を制御する。バルブの構造は、システム運転の間に生じる固有の圧力差を利用し、低いエネルギー消費によりバルブを作動する。
本発明のある態様は、圧縮および/または膨張プロセスの間、液体−気体混合物を提供し得る。気体に比して上昇した液体の熱容量により、液体は圧縮の間に気体から熱を受け取り、液体は膨張の間に熱を気体に伝導することができる。液体が膨張または圧縮する空気内に水滴のミストまたはスプレーとして導入される場合、この液体へのエネルギーの移動および液体からのエネルギーの移動は、液体の大きな表面積により促進され得る。
概して、本発明の態様により熱交換を成し遂げるために気体圧縮または膨張チャンバーに導入された液体は、チャンバー内で燃焼を経験するものとは期待されない。したがって、熱交換を行うために注入される液体は可燃性である(例えば、油、アルコール、ケロシン、ディーゼル、またはバイオディーゼル)が、多くの態様において、液体がチャンバー内で燃焼することは予想されない。少なくともこの側面において、本発明の態様による液体の導入は、液体が燃焼のためにタービンおよびモーターに導入される場合とは異なり得る。
可変周波数駆動のコストおよび効率性は、他の可能性のある改良の領域である。負荷制御を有する同期式電動発電機が代わりに用いられ得、コンプレッサー/膨張機においては、バルブのパルス長および振動数は、電力調節および振動数調節のために電力を変化させるように制御され得る。このようなアプローチは、リアルタイムで増加または減少する電力のために効率性を犠牲にし得る。
本発明の態様によれば、チャンバー内に存在する可動部材を用いて、圧縮により気体にエネルギーが与えられ得、および/または膨張により気体からエネルギーが回収され得る。ある態様において、可動部材は事実上、機械的、液圧的、空気圧的、磁気的、電磁気的または静電気的な1または2以上の物理的連結機構を介して、他のシステム要素(例えば、モーターまたは発電機)と接続していてもよい。
いくつかの態様において、可動部材は、一つの特定のタイプの連結機構のみを介して接続し得る。例えば、本発明のある態様は、回転シャフトを含み得る機械的連結機構をもっぱら利用して、可動部材へのエネルギー/可動部材からのエネルギーに接続し得る。このような構成は、ある形態と他の形態との間のエネルギー変換に関連するロスを回避することにより、効率性を向上させ得る。
ある態様は、可動部材を有する液圧的連結機構を利用し得る。
液体/気体混合物のコンディション(限定されることなく、液滴粒径、水滴分布の一様性、スプレー速度、液体体積分率、温度、および圧力を含む)は、気体と液体との間の熱エネルギーの交換に影響を与え得る。前述のある態様は混合チャンバーを利用して液体を導入するが、これは本発明により必須とされない。いくつかの態様は、圧縮チャンバー、膨張チャンバー、または膨張および圧縮が行われるチャンバーへの直接的な液体注入を利用し得る。
例えば、図50Aは、本発明によるエネルギー保存装置の一つの可能な態様の簡素化された概略図を示す。ここでは、気体として圧縮空気を利用し、注入される液体として水を利用し得る。図50Aは、圧縮チャンバー5018aおよび5018bを有するシリンダー5008内に配置される可動部材5006(ここでは、ピストンヘッドおよびピストンロッドを備える往復固体ピストン)を備えるシステム5002を示す。
ある態様において(図50Aに具体的に示されたものに限定されない)、ピストンはクロスヘッドのデザインであってもよい。このような態様は、クランクケースに存在し得る油または他の液体から膨張/圧縮シリンダーの水をさらに単離することにより、付加的な利益を提供し得る。
可動部材は、1または2以上の連結機構5099を介して、モーター、発電機、またはモーター/発電機5098と選択的に物理的に接続し得る。これらの連結機構は事実上、機械式、液圧式、または空気圧式であってもよい。
ある態様において、ピストンは、自由ピストンであってもよい。このような自由ピストンは、磁気的連結機構または電磁気的連結機構といった物理的連結機構を介してエネルギーと接続し得る。
ある態様において、ピストンは、連結機構に連結されているピストンヘッドおよびピストンロッドを備えていてもよい。この連結機構は、円形ギア、および/または他の形状(例えば、楕円体)を有するギアを備え得る。ある実施態様において、1または2以上のギアの歯は、直線形状、斜角形状、またはらせん形状を有し得、後者はスラスト軸受を提供し得る。ある態様において、ウォームギアが用いられ得る。
多種の機械的連結機構が可能である。例示は限定されることなく、遊星ギヤシステムといったマルチ−ノードギヤシステムを含む。機械的連結機構の例は、クランクシャフト、チェーン、ベルト、ドライバー−フォロワー(driver−follower)連結機構、ピボット連結機構、ポースリエリプキン(peaucellier lipkin)連結機構、サラス(Sarrus)連結機構、スコットラッセル連結機構、チェビシェフ連結機構、ホーキンス連結機構、斜板式または搖板式連結機構、斜軸式連結機構、ワット連結機構、トラックフォロワー(track follower)連結機構、およびカム連結機構といったシャフトを含む。カム連結機構は、異なる形状のカムを採用してもよく、それには限定されることなく正弦曲線および他の形状が含まれる。種々のタイプの機械的連結機構が“Ingenious Mechanisms for Designers and Inventors”(Jones著,第I巻および第II巻,インダストリアルプレス(The Industrial Press),ニューヨーク,1935年)に記載されており、これは全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
図50Aに示される特定の態様は水平に動くように配置されたピストンを利用するが、本発明はこのようなデザインに限定されない。他の態様は、他の方向(例えば、垂直、対角線上)に動くように配置されたピストンまたは他のタイプの部材を用い得る。
例えば、ある態様において、垂直方向に往復運動するように構成されたピストンを有することは有益であり得る。それは、下方に置かれた圧縮および/または膨張チャンバーを有する。このような実施態様は気泡を必要とせず、スプレーによる液体の導入が代わりに用いられ得るが、このタイプの構成の例はすでに図6で示された。このタイプの構成により、重力下でパッキングを介したチャンバーからの液体の漏れを防ぎ、クランクケースまたは他のスペースへの液体の望まない進入を防ぐことができる。
本発明の特定の態様は、直線状以外に動く可動部材を有する1または2以上のステージを含み得る。例えば、スクリュー、クアシタービン(quasi−turbines)、ジェロータ、および他の構造体といったある装置の部材は、回転して動くように構成される。
気体の圧縮および/または膨張に有用であり得る種々のタイプの構造は、“The Internal Combustion Engine in Theory and Practice”(Charles Fayette Taylor著,第I巻および第II巻,改訂第2版,The MIT Press,1985年)により開示される。これは全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
本発明にかかるある態様は、逆向きの吸気ポートおよび排気ポートを利用し得る。具体的には、インレットマニホールド、導管、バルブ、およびシリンダー(または複数のシリンダー)は概して、複素共振システムを形成する。圧縮または膨張された気体はこの共振システムを介して移動し、断面領域における変化が存在するときに壁に反射し、閉キャビティに捕捉された気体を圧縮し反射する。このような閉キャビティの一例は、突き当たりの閉バルブを有する導管である。
気体の慣性およびこれらの反射は、圧縮波および膨張波を生み出す。計算流体力学(CFD)の技術を用いた分析により、圧縮波の到来を、吸気バルブを閉じるタイミングに合わせるように、吸気システムの形状を調整することが可能である。これは例えば、シリンダーに通じるパイプの長さを調節することでなし得る。
例えば、図135Aに示されるように、入口バルブ13500がシリンダー13504内で可動のピストン13502のTDCで開いた直後、吸気ポート13506に対して圧力が下がる。図135Bに示されるように、これは、バルブから遠ざかってパイプの方に動く膨張波13508を生み出す。
膨張波は(s−v)の速度で移動する。sは音速であり、vは流速である。液体は、気体と液滴の混合物であってもよい。
図135Cに示されるように、波はパイプの突き当たりの開口により反射される。波はその後、速度(s+v)で圧縮波としてバルブの方向に戻る。
到来する圧縮波は、シリンダーを満たす一助となる。パイプの長さをLとすると、波の全往復移動時間は、下記の式で表される。
有益な効果を最大化するために、移動時間は、クランクレボリューション(θ/2πN)の間バルブが開いている時間とほぼ同じであってもよい。ここで、θは開放角であり、Nは回転速度である。それは、下記の式で表される。
したがって、図135Dで示されるように、Lは、シリンダーへの空気流動を最大化するパイプの長さである。
図135Eは、吸気ポートの長さの変化が、異なる回転速度での典型的なシリンダーの構造の体積効率(それは、バルブを介して出され得る気体の量である)に与える影響を示す。パイプの最適な長さは、他の変数の間で、回転速度の関数である。
ここに記載された調整は、付加的な気体をシリンダーに送り込む作用を有し得て、体積効率を向上させる。同様に、排気システムの形状を調整することは、シリンダーから気体をより完全に排気させ、同様に体積効率を向上させる一助となり得る。これらの効果の分析については、“Engines,An Introduction”(John L.Lumley著,ケンブリッジユニバーシティープレス(Cambridge University Press),ケンブリッジ,1999年)に見出され得る。これは全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
最適な吸気システムおよび排気システムの形状は、エンジン速度に依存し得る。装置が構造のパフォーマンスを最適化する特定の速度で稼働されるとしたら、有益な効果が得られ得る。
上記の記載は多くの部分で、液体注入に関与する圧縮/膨張装置の使用に焦点を当ててきた。しかしながら、本発明の調整のアプローチは、このような装置に限られない。他の態様に従って、吸気および/または排気システムの形状が流動における音響エネルギーを利用するように調整され得て、種々のタイプの気体コンプレッサーおよび気体膨張機における体積効率を向上させることができる。
図50Aの特定の態様に戻って、低圧側において、圧縮チャンバー5018aは、空気清浄機5020、低圧側導管5010、吸引ボトル5011、およびバルブ5012を介して外部の空気と選択的に流体連通している。バルブ5012は、バルブを開閉するように弁座5012bに応じて可動するバルブプレート5012aを備える。ある態様において、バルブは、ソレノイド、または液圧式または空気圧式ピストンまたは電動モーターといった他の制御可能なアクチュエーターにより作動され得る。圧縮チャンバー5018bは同様に、空気清浄機、低圧側導管、吸引ボトル、および弁座5013bに応じて可動するバルブプレート5013aを備えるバルブ5013を介して外部の空気と選択的に流体連通している。
高圧側において、圧縮チャンバー5018aは、バルブ5022、ディスチャージボトル5023、高圧側導管5024、バッフル分離機5026、およびサイクロン分離機5028を各々介して圧縮気体保存タンク5032と選択的に流体連通している。バルブ5022は、バルブを開閉するように弁座5022bに応じて可動するバルブプレート5022aを備える。
本発明の種々の態様のバルブは、ソレノイドにより作動され得る。種々のタイプのバルブアクチュエーションが可能であり、それには限定されることなく、カム駆動アクチュエーション、圧電式アクチュエーション、液圧式アクチュエーション、電子式アクチュエーション、磁気式アクチュエーション、空気圧式アクチュエーション、および他のアクチュエーションが含まれる。特定の態様に依存して、バルブアクチュエーションは、可変タイミングにより駆動されてもよく、または固定タイミングにより駆動されてもよい。
前述の態様はプレートバルブの形態での気流バルブを利用するように記載されているが、これは必須とされない。本発明は、特定の気体バルブのタイプを利用する装置に限定されることなく、他の気体バルブのタイプが種々の態様での使用に適し得る。本発明の態様によるバルブの例は限定されることなく、パイロットバルブ、ロータリーバルブ、カム操作ポペットバルブ、および液圧的作動バルブ、空気圧的作動バルブ、または電気的作動バルブを含む。
ある態様において、バルブおよび他の部品は、それらの性能を向上させるマテリアルを利用して製造され得る。例えば、バルブのある態様は、1または2以上の表面において、テフロン(登録商標)といった疎水性コーティングを有していてもよい。いくつかの態様において、疎水性コーティングは、超疎水性特性をさらに付与するために、テクスチャを含み得る。
他のタイプのコーティングが使用され得る。あるタイプのコーティングは、腐食および摩耗を防ぎ得る。可能なタイプのコーティングの一例は、ダイヤモンド状炭素(DLC)である。ニッケル/ポリマーコーティングも使用され得る。
ある態様において、1または2以上の気流または液流バルブの機能は、可動部材自体により果たされ得る。例えば本明細書の別の箇所に記載された図84に示されるように、ある態様において、ピストンヘッドの動作は、選択的にチャンバーへのポートを妨害し得て、バルブとして効果的に機能し得る。
圧縮チャンバー5008bは同様に、バルブ5027、高圧側導管、バッフル分離機、およびサイクロン分離機を各々介して空気保存タンクと選択的に流体連通している。バルブ5027は、ソレノイドによるある態様において、弁座5027bに応じて可動するバルブプレート5027aを備える。
圧縮気体保存タンク5032は、圧力レギュレータ5054を介してマフラー5052と流体連通している。空気保存タンク5032はまた、フロート弁を介して液体循環システムの加圧水タンク5030と液体連通している。
種々のタイプの圧縮気体保存ユニットが、本発明の異なる態様における使用に適応し得る。例えばある態様において、圧縮気体保存ユニットは高い収容能力を有する包囲容積を備え得て、それは例えば、廃鉱または天然ガス田といった人工の構造物である。大容量の圧縮気体はまた、洞窟、岩塩ドーム、または他の多孔質の地物といった、自然発生した地質学的な構造において保存され得る。
他の適切な圧縮気体保存ユニットは、この目的のために特別に作られた容器を含み得る。ある態様において、気体は、約1.6メートルの全長を有する1または2以上のスチールタンク(お互い選択的に接続され得る)において保存され得、それは200気圧で空気を保存することができバルブが備えられる。いくつかの態様は、約16メートルの全長を有するより大きなスチールタンクを利用してもよく、それにより閉じられたタンクをネックの方向に回転させるコストを低減させることができ、バルブのコストをも低減させることができる。
本発明の態様は、鋼板といった単一の金属材料以外のものから作られた圧縮気体保存ユニットを利用してもよい。例えば、前述のように、圧縮気体保存ユニットのある態様は、特定の形態を有していてもよく、および/または炭素繊維若しくは他の材料を含む複合材料を含んでいてもよい。
ある態様において、気体保存ユニットは、1層または2層以上の高い引張強度のワイヤーまたはファイバーからなる複合材料で構成されていてもよい。このワイヤーまたはファイバーは、金属または天然若しくは合成材料から作られ、不浸透性のライナーの周りにらせん状の巻かれており、マトリックス材料により適所に固定されている。高い引張強度のワイヤーを用いる利点は、バルク形態での等重量の同じ合金よりも張力がより高いことである。そのため、材料をより少なく用い得、それによりコストが低減する。
ある態様において、圧縮気体保存ユニットは、エネルギー源と熱連通していてもよい。例えばある態様において、保存ユニットは、太陽と熱連通しているタンクを備え得る。タンクは、熱吸収する材料(例えば、黒塗り)で被覆され得る。ある態様において、保存ユニットは、赤外線(I−R)太陽エネルギーを捕捉し熱連通をさらに促進させるように、透明なバリア(例えばガラス)の後方に置かれ得る。
図50Aのシステムの運転は、前述に示された多くの図において記載されたものと同様である。可動部材5006は、シリンダー内で往復運動の態様で動く。チャンバー5018aの下死点(BDC)に対応する部材5006の右方への動きにより、チャンバー5008aと低圧側の吸引ボトルとの間で圧力差が生じる。この圧力差は、弁座5012bから離れるようにバルブプレート5012aを付勢し、これによりバルブ5012が開き、チャンバー5018a内に圧縮されていない空気を受け入れることができる。チャンバー5018aと排気ボトルとの間のこの圧力差はまた、弁座5022bの方向にバルブプレート5022aを付勢し、これによりバルブ5022が閉まり、チャンバー5018a内に圧縮されていない空気が蓄積する。
チャンバー5018aの可動部材の(BDCの方向への)同様の動き(このストロークにおけるチャンバー5018bのTDCである)はまた、チャンバー5018bと吸引ボトルとの間の圧力差を作り出す。具体的には、前回のストロークの間チャンバー5018bに入り込んだ空気が圧縮され、それにより弁座5013bの方向にバルブプレート5013aが付勢され、バルブ5013が閉じる。
チャンバー5018bと排気ボトルとの間の圧力差により、バルブ5027は閉じた状態で維持される。しかしながら、可動部材がBDCの方向へ動き続けると、チャンバー5018b内の圧力が上昇する。チャンバー5018b内のこの圧力が高圧側において排気ボトルの圧力に到達すると、バルブプレート5027aは弁座5027bの方向に付勢されなくなり、バルブ5027が開かれる。これにより、圧縮気体は排気ボトルに流出し、導管、バッフルおよびサイクロン分離機を介して最終的には保存ユニットに流出する。
左方への可動部材5006の次のストロークにおいて(チャンバー5018aの上死点(TDC)およびチャンバー5018bのBDCである)、圧縮チャンバー5018aおよび5018bの役割が切り替わる。それは、前回チャンバー5018aに入れられた圧縮されていない気体が、高圧に達し高圧側におけるわずかな圧力差により作動されるバルブ5022を介して流出するまで可動部材により圧縮される一方で、圧縮されていない気体が開バルブ5013を介してチャンバー5018bに入れられるということである。
図50Aに示されるように、吸引ボトルは圧縮チャンバーへの入口バルブの上流の低圧側に置かれ、排気ボトルは圧縮チャンバーの出口バルブの下流の高圧側に置かれる。これらのボトルの容積は、各々の圧縮チャンバーの容積よりも顕著に大きく、概して少なくとも圧縮チャンバーの10倍の容積である。
ボトルは、それらの入口および出口とは異なる幅寸法(w,w’)を示す。寸法の違いは、圧縮チャンバーのバルブからシステムの残りまで伝わろうとする音波の一連のインピーダンス不整合を作り出し、それにより望まない圧力変化が妨害される。気体バルブとシステムの他の要素との間に吸引ボトルおよび排気ボトルを取り付けることにより、本発明による態様は、これらのパルセーションを抑制することができる。
圧縮の間、チャンバー内の気体は、温度上昇を経験する。この圧縮を熱力学的に効率良く進めるために、本発明の態様は、液滴(ここでは水)をチャンバー内に直接スプレーすることで、液体−気体混合物を作り出す。液体−気体混合物の液体成分は、圧縮下の気体から熱エネルギーを吸収し、それにより温度上昇の程度を低減させる。
したがって、図50Aはまた、圧縮プロセスを経験する気体と熱交換するチャンバー内に注入するための液体を流すよう構成される液体循環システムを示す。具体的には、液体循環システムは導管5088、移送ポンプ5042、熱交換器5044、バルブ5047、マルチステージ水ポンプ5031、バルブ5033および5034、ならびに各々スプレーノズル5035および5036を介して圧縮チャンバーと流体連通している加圧水タンク5030を備える。アキュムレーター5039は、発生するエネルギーのパルセーションを吸収するように液体循環システムと流体連通している。
バルブ5033および5034は、選択された時間に圧縮チャンバー5018aおよび5018bの各々にスプレーノズル5035および5036を介して水を流すように作動可能である。ある態様において、バルブは、空気が受け入れられると同時に圧縮チャンバーに液体を流すために開けられるよう構成されていてもよい。このような態様において、空気流入と同時の直接的な液体注入は、空気内の水滴の混合を促進し、所望の熱交換の有効性を高めることができる。
ある態様において、バルブ5033および5034は、空気がすでに流入し各々の気体入口バルブが閉じた時点でのみ、圧縮チャンバーに液体を流入させるために開けられるよう構成されていてもよい。このような態様において、閉じられたチャンバーへの直接的な液体注入は、熱交換を実行するのに加えて、空気を圧縮する働きを有し得る。
ある態様において、バルブ5033および5034は、気体を圧縮するように閉じられたチャンバー内で部材が動いている間、開けられるよう構成されていてもよい。後述の通り、ある態様において、圧縮を経験している気体への液体注入は、異なる特性を有するスプレーのサブシステムを2つ以上利用して行われ得る。
いくつかの態様において、バルブ5033および5034の作動により、圧縮サイクルの複数の期間にわたってチャンバーに液体が流入され得る。例えば、バルブは、圧縮の前ではなく空気流入の間および後に作動され得て、空気流入の後および圧縮の間に作動され得て、または空気流入の間および圧縮の間に作動され得る。
示唆したように、ある態様において、液体は圧縮チャンバーに持続的に導入されてもよい。さらに、液体が導入されている間、部材がチャンバー内で動くにつれて、および/または圧縮気体がチャンバーから流出するにつれて、圧縮チャンバーは圧力変化を経験し得る。
したがって、図50Aにおけるバルブ5033および5034は、注入されない間、液体循環システムの他の成分からスプレーを分離する役割を有し得る。この分離は、システムを介した液体の流れに悪影響を及ぼし得る、液体圧力における変化(例えば、一時的な圧力の戻り)を防ぐ一助となる。液体が持続的に導入される態様において、液流バルブは必須とされなくてもよい。
液体循環システムは、液体内の圧力変化の影響を回避するように設計された他の特徴を含み得る。例えば、システム作動の間、循環する水は、より高圧への圧縮を経験する液体−気体混合物を作り出すために気体に注入される。液体はその後、分離機によりこの高圧の液体−気体混合物から除かれる。
しかしながら、圧縮プロセスの結果として、いくらかの量の気体が液体に溶解され得る。その後、液体循環システムを介して流され分離された液体が低圧で流入気体に接触したとき、この溶解された気体は溶液から放出し得る(気体放出)。
このような気体放出は、液体循環システムのさまざまな部分、とりわけバルブ5033および5034、スプレーノズル5035および5036、および/またはこれらの要素間の導管5060および5061の各々において、望まない泡を作り出し得る。液体循環システムのこれらの場所におけるこのような泡の存在は、圧縮チャンバーへの制御された液流の予測可能性および/または信頼性を妨げ得る。
したがって、本発明のある態様では、液流バルブと低圧に露出されたスプレーノズルとの間の導管の長さ(d,d’)をできるだけ短くするようにしてもよい。このように距離を短くすることで、加圧液体からの気体放出の機会を効率的に低減することができ、その結果、泡の形成を好ましく回避することができる。
図50Aの特定の態様において、液流バルブ5033および5034はソレノイドにより選択的に作動されるように示される。しかしながら、本発明は、液体注入のための特定のタイプのバルブを用いることに限定されない。本発明の態様による液体注入に適し得るバルブの例は、限定されることなく、ソレノイド作動バルブ、スプールバルブ、ゲートバルブ、シリンダー状バルブ、ニードルバルブ、またはポペットバルブを含む。
本発明での使用に適し得る他のバルブ構造の一例は、サーボループを含む音声コイル作動バルブである。このようなバルブ構造体の使用は、作動の速度プロファイルの制御に有用であり得る。例えば、停止前のプレート動作の終点における速度を低減し、その結果、バルブ要素における応力を軽減する。
バルブの緩和の他のアプローチが可能である。例えば、ある実施態様は、反対側の部材における隆起部に対応したエアクッション、ディンプル、シリンダー状ホールおよび/またはバルブ体または弁座における他のくぼみ形状を用い得る。それにより、弁座に近づいたときにバルブの可動要素の動作のエネルギーのいくらかを吸収する空気ばねを作り出す。
バルブが空気圧的に作動され得る他の態様に従えば、空気圧比例バルブの例が挙げられる。さらなる他の態様において、バルブは液圧的に作動され得、例えば高圧の液圧式バルブが用いられ得る。
ある態様において、特定の粒径の液滴を有する混合物を作り出すことが望まれ得る。いくつかの態様において、このような混合物の形成は、液体中に界面活性剤を含ませることにより促進され得る。用いられ得る界面活性剤の一例は、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールであり、Triton X−100として知られている。
圧縮後、液体−気体混合物は出口バルブ5022および5027の各々を介して排気ボトル5023、高圧側導管5024、および液体が除去される分離機5026,5028に流される。バッフル分離機構造体5026は、流された気体−液体混合物から多量の液体を最初に除去するよう設計された第一の構造を採用する。このような構造の例は、一連の重ね合わせ板または流された混合物のための蛇行路を規定するバッフルを有し、水のまとまりのための大きな表面積を提供するチャンバーである。
図50Aの特定の態様において、最初のバッフル分離機構造体の後に直列して第二の分離機構造体5028(ここではサイクロン分離機)がある。それは、混合物からより少ない量の液体を除去するように設計される。本発明の態様は、以下に限定されることなく、この分離機構造体または特定のタイプの分離機構造体である。潜在的に用いられ得る分離機の例は、以下に限定されることなく、サイクロン分離機、遠心分離機、重力分離機、およびデミスター分離機(メッシュタイプのコアレッサー、ベーンパック、または他の構造体を利用する)を含む。種々の分離機の構造は、
“Gas−Liquid and Liquid−Liquid Separators”(M.Stewart,K.Arnold著,Gulf Professional Publishing,2008年)に記載され、これは全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
分離機5026および5028により混合物から除去された液体は、フロートバルブ5027および導管の各々を介して加圧水タンク5030に戻される。それは、圧力除去バルブおよびドレインバルブを含む。液体は加圧水タンクから、冷却のため熱交換器5044を介した移送ポンプ5042を利用し、その後、圧縮チャンバーへの再注入のためにマルチステージ水ポンプ5031により再利用される。
図50Aの液体循環システムはまた、バルブ5048を介して水供給タンク5046と選択的に流体連通している。このタンクは、ベースとなる水供給(例えば、地方自治体の水供給)からフィルター5050を介して加圧されていない水を受ける。この供給タンクからの水は、循環システムの水を最初に補充するように、または再補充するようにバルブ5048を介して選択的に流されてもよい。水供給タンク5046はまた、真空逃し弁およびドレインバルブを含む。
図50Aの特定の態様において、スプレーは、気流バルブを備えていないシリンダーの反対側の壁に配置される。スプレーは、液滴、ジェットまたはシートを作り出し、チャンバー内で熱エネルギーの交換を促進する1または2以上のオリフィスまたはノズルの配列を備え得る。これらのノズルまたはオリフィスは、一般的なマニフォールドと液体連通していてもよい。
本発明は、特定のタイプのスプレーを介したチャンバー内への液体導入に限定されない。本発明の実施態様による使用に適し得る可能なノズル構造のいくつかの例が、米国特許第3,659,787号明細書;米国特許第4,905,911号明細書;米国特許第2,745,701号明細書;米国特許第2,284,443号明細書;米国特許第4,097,000号明細書;および米国特許第3,858,812号明細書に記載される。これらは全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
本発明の態様による液体を導入するために利用され得るスプレー構造の一タイプは、衝突スプレーである。このような衝突スプレー構造の例は、マサチューセッツ州グリーンフィールドのBETE Fog Nozzle社から購入可能なPJミスティングノズル(PJ Misting Nozzle)である。ある態様において、液体スプレーは、所望の特性を有する液滴を形成するために、液流に加えて例えば音響エネルギーといったエネルギーを利用してもよい。
さらに他のタイプのスプレー構造が知られている。本発明の実施態様による使用に適し得るスプレー構造の例は、以下に限定されることなく、回転ディスクアトマイザー、静電アトマイザー、圧力旋回ノズル、ファンジェットノズル、インパクトノズル、および回転カップアトマイザーを含む。
ある態様において、複数のスプレーが、所望の特性を有するスプレーを作り出すために相互接触するように構成されてもよい。例えば、一つのノズルのスプレーは、隣接したノズルの空の部分を満たし得る。米国特許出願第6,206,660号明細書;米国特許出願2004/0244580号明細書;および米国特許出願2003/0180155号明細書には、スプレーの種々の構成が記載されており、これらは全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
本発明による態様は、液体を気体に導入するためのスプレーの使用に限定されない。他の態様によれば、本発明による圧縮気体エネルギー保存装置の1または2以上のステージは、気泡管の使用を介して液体を導入し得、それは図6に関連して前述した通りである。
高圧では液体の高い質量分率を実現させるよう液体の体積分率が大きくなり得るため、液滴−気体エアロゾルは維持されることが困難となり得る。代わりに、体積分率により“スラグ流”または“環状流”が生じ得る。
このようなスラグ流または環状流は、迅速な熱伝導をもたらさないという点において、好ましくないかもしれない。加えて、このようなスラグ流または環状流は、機械的な課題またはバルブ性能の低下をもたらし得る。
しかしながら、泡の形成において液体に気体を導入することは、不均一な流動を引き起こすことなく気体と液体とが接触する際の広い表面積を支持する。ある態様は、液体内に対流様の流れを作り出すスパージャーパターンを利用し得る。このような流れは、シリンダー内でより均一に泡を分布させることにより、泡中の気体と液体との間の熱移動率を向上させ得る。
図50Aの装置はさらに、コンピューター読み出し可能保存装置5094と電気的に連結されるコントローラー/プロセッサー5096を含み、それはどのようなデザインも取り得て、以下のものには限定されないが、半導体の原理、磁気保存原理もしくは光学保存原理に基づくものを含む。コントローラー/プロセッサー5096は、システム内の能動素子の領域と電気的に連結されるものとして示され、以下のものには限定されないがバルブ、ポンプ、チャンバー、スプレーおよびセンサーを含む。システムに用いられるセンサーの具体例は、以下のものには限定されないが、圧力センサー(P)、温度センサー(T)、体積センサー(V)、システムの入口に設置される湿度センサー(H)、およびバルブ若しくはピストンといった可動要素の状態またはシステムの他のパラメーターを表示する他のセンサーを含む。
後述の通り、1または2以上のシステム要素から受け取られる入力、およびもしかするとそれらの入力から計算される数値にも基づいて、コントローラー/プロセッサー96は1または2以上の目的を達成するためにシステムの運転を動的に制御する。その目的は限定されることなく、圧縮の最大化若しくは制御された効率性、圧縮気体の形態でエネルギーを保存するための力の制御された消費、圧縮を実行する可動部材の予期される入力速度、可動部材と連結する回転シャフトの最大入力速度、可動部材と連結する回転シャフトの最大入力トルク、可動部材と連結する回転シャフトの最小入力速度、可動部材と連結する回転シャフトの最小入力トルク、マルチステージ装置(後述)の異なるステージでの最大の予期される水の温度上昇、またはマルチステージ装置の異なるステージでの最大の予期される空気の温度上昇を含む。
コンピューター読み出し可能保存媒体に存在するコードは、コントローラーまたはプロセッサーを指示するように構成されてもよい。それは、システムに種々のモードの作動を実行させる。例えば、図50Aは専用コンプレッサーとして作動するように構成された装置を示すが、これは本発明により必須とされない。他の態様が、専用膨張機として機能するように構成され得て、圧縮気体に保存されたエネルギーを、有効仕事を実行する力(例えば、電力グリッドへの電力の出力)に変換する。
図50Bは、専用膨張機のこのような態様の簡略図を示す。図50Bの態様は、チャンバーが高圧側で保存タンクから圧縮空気を受け取るように機能すること以外は、図50Aと同様の原理で運転される。ピストンロッドは、チャンバー内で気体の膨張に対応して動く。チャンバー内に注入された液体は、熱を膨張する空気に伝導させ、温度低下を低減させる。液体分離機(ここでは図示を簡略化するためにシングルユニットとして記述される)は、再循環のために液体を除去するように低圧側に設置され、膨張空気はシステムから流出される。
図51は、本発明による圧縮気体保存システムにおける使用のための装置500の他の態様の簡略化された概略図を示す。この他の態様は、圧縮または膨張を実行するように構成可能である。
具体的には、運転の一様式において、装置は、圧縮気体の形態でエネルギーを保存するように力を消費する。コンプレッサー/膨張機5102は、モーター/発電機5130から連結機構5132を介してエネルギーを受け取る。それは、バルブ5112を介して低圧側導管5110からチャンバー5108に収容された気体を圧縮するように部材5106の動作を駆動する。
圧縮の間、チャンバー内の気体は、温度上昇を経験する。この圧縮を熱力学的に効率良く進めるために、本発明の態様は、チャンバー内に液滴を噴霧することにより液体−気体混合物を作り出す。液体−気体混合物の液体成分は、圧縮下の気体から熱エネルギーを受け取り、それにより温度上昇の程度を軽減させる。
圧縮気体はその後、バルブ5122を介して高圧側導管5120および保存ユニット5126への分離機要素5124(多数の分離機を備えていてもよい)に流される。混合物から除去された液体は、容器5125に収容され(それは熱交換器5150を介したヒートシンク5140への露出により冷却され得る)、圧縮のための追加の気体を収容するチャンバーへの注入のためにポンプ5134により流される。
システム5100の他の運転様式において、エネルギーは圧縮気体の膨張により回収される。コンプレッサー/膨張機5102は高圧側導管5120およびバルブ5122を介して保存ユニット5126から圧縮気体を受け取り、可動部材5106を動かすようにチャンバー5108において圧縮気体を膨張させる。膨張された空気は、バルブ5112および排気管としての低圧側導管5110を介して流される。モーター/発電機5130は発電機として運転され、可動部材の動作からエネルギーを受け取り、電力を出力する。
膨張の間、チャンバー内の気体は、温度低下を経験する。この膨張を熱力学的に効率良く進めるために、本発明の態様は、チャンバーに液滴を噴霧することにより液体−気体混合物を作り出す。液体−気体混合物の液体成分は、膨張下の気体に熱エネルギーを伝導させ、それにより温度低下の程度を軽減させる。
膨張の後、液体−気体混合物は、バルブ5112および低圧側導管5110を介して液体分離機5114に流される。混合物から除去された液体は、容器5115に収容され(それは熱交換器5152を介した熱源5154への露出により加熱され得る)、膨張のための付加的な圧縮気体を収容するチャンバー内への再注入のためにポンプ5134により流される。
図51の特定の態様は、垂直の方向に動く単一ピストンを収納し、2つのバルブを備えるバルブアッセンブリーを介してアクセスされるシリンダーを示すが、本発明はこの特定の構成に限定されない。本発明による態様は、他の構成、例えば、前記に詳述したような、水平方向に可動しバルブおよび4つのバルブを備えるシリンダーアッセンブリーに収容される複動ピストンを利用してもよい。
前記に詳述したように、本発明によるエネルギーを保存および回収するためのシステムおよび方法の態様は具体的には、プロセッサーおよびコンピューター読み出し可能保存媒体を含むホストコンピューターを併用する実施に適する。このようなプロセッサーおよびコンピューター読み出し可能保存媒体は、装置に組み込まれてもよく、および/または外部の入力/出力装置を介して制御され若しくはモニターされてもよい。
図52は、プロセッサー/コントローラーと、プロセッサー/コントローラーにより受け取られる種々の入力、プロセッサー/コントローラーにより実行される種々の機能、およびプロセッサー/コントローラーにより作られる種々の出力との関係を示す概略図である。示されるように、プロセッサーは、1または2以上の入力に基づき装置の種々の運転特性を制御し得る。このような運転パラメーターは限定されることなく、前記に詳述したように、気流バルブおよび液流バルブの開閉タイミングを含む。
前述した図20−20Aは、本発明の態様による情報処理のための計算装置の簡略図を示す。この図は単なる例示であり、特許請求の範囲を限定するものではない。本技術分野の当業者は、多くの他の変形、修正および代用を認識するだろう。本発明による態様は、ブラウザのような単一のアプリケーションプログラムで実行され得る、または、クライアント−サーバ関係におけるワークステーション、パーソナルコンピューターもしくはリモート端末のような分散コンピューター環境における複数のプログラムとして実行され得る。
液体の水は、至るところに存在することと高い熱容量を有することから、熱エネルギーをヒートシンクまたは熱源と交換するのに通常用いられる一媒体である。しかしながら、液体の水の熱交換特性は、相の変化により制限され得る。
例えば、室温の液体の水は、気体への相変化を起こす前に、圧縮気体から熱を吸収し約80℃以上の正の温度変化を経験し得る。しかしながら、室温の液体の水は、固体への相変化を起こす前に、膨張する気体に熱を移動させ約15℃以下の負の温度変化を経験し得る。
得られる温度低下のより狭い範囲は、気体膨張のためのマルチステージ装置の一ステージの運転において制約となり得る。しかしながら、本発明の実施態様は熱交換媒体として液体の水の使用に限られない。種々の態様は、熱交換のための他の液体を利用することができ、本発明の範囲内に含まれ得る。例えば、プロピレングリコール溶液の凝固点は、存在するプロピレングリコールの相対量に依存して、液体の水の凝固点よりかなり低くなり得る。このような他の熱交換媒体は、例えば、高緯度または高い高度といった、純粋な液体の水の流動に適さない環境において利用され得る。
本発明の種々の態様において用いられ得る液体または成分の例は、限定されることなく、不凍剤、界面活性剤、沸点上昇剤、腐食剤、潤滑剤、形成剤、溶解された固体、および溶解された気体を含み得る。
前述の特定の態様は、気体が投入され外部環境に排気されるシステムを示す。このようなシステムの例は、大気の空気の圧縮および膨張に基づくものである。
しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。他の態様が閉鎖システムに示され得る。そこでは、圧縮のためにシステムに投入される気体は先の圧縮プロセスの間に排気されたものである。このようなシステムの一例では、圧縮気体が空気以外、例えば、ヘリウムまたは好適な熱容量を示す他の気体を含む。
開放システムまたは閉鎖システムにおいて本発明のある態様に従って圧縮され、膨張され、または圧縮および膨張される気体の例は、以下に限定されることなく下記を含む(ASHRAE=アメリカ暖房冷凍空調学会(American Society of Heating, Refrigerating,and Air−Conditioning Engineers))。
(ASHRAE No./名称/化学式/CAS No.;利用可能な気体)
R−600/ブタン/CH3CH2CH2CH3/106−97−8;R−600a/イソブタン/CH(CH3)2CH3/75−28−5;
R−601/ペンタン/CH3CH2CH2CH2CH3/109−66−0;
R−601a/イソペンタン/(CH3)2CHCH2CH3/78−78−4;
R−610/ジエチルエーテル/C2H5OC2H5/60−29−7;R−611/ギ酸メチル/C2H4O/107−31−3;
R−630/メチルアミン/CH2NH2/74−89−5;R−631/エチルアミン/C2H5NH2/75−04−7;
R−702/水素/H2/1333−74−0;R−704/ヘリウム/He/7440−59−7;
R−717/アンモニア/NH3/7664−41−7;R−718/水/H2O/7732−18−5;R−720/ネオン/Ne/7440−01−9;
R−728/窒素/N2/7727−37−9;R−732/酸素/O2/7782−44−7;R−740/アルゴン/Ar/7440−37−1;
R−744/二酸化炭素/CO2/124−38−9;R−744A/二酸化窒素/N2O/10024−97−2;
R−764/二酸化硫黄/SO2/7446−09−5;R−784/クリプトン/Kr/7439−90−9;
R−1112a/1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチレン/C2Cl2F2/79−35−6;
R−1113/クロロトリフルオロエチレン/C2ClF3/79−38−9;R−1114/テトラフルオロエチレン/C2F4/116−14−3;
R−1120/トリクロロエチレン/C2HCl3/79−01−6;
R−1130/シス−1,2−ジクロロエチレン/C2H2Cl2/156−59−2;
R−1132/1,1−ジフルオロエチレン/C2H2F2/75−38−7;R−1140/クロロエチレン/C2H3Cl/75−01−4;
R−1141/フルオロエチレン/C2H3F/75−02−5;R−1150/エチレン/C2H4/74−85−1;
R−1216/ヘキサフルオロプロピレン/C3F6/116−15−4;
NA/ヘキサフルオロプロペントリマー/(C3F6)3/6792−31−0;R−1270/プロピレン/C3H6/115−07−1;
R−10/テトラクロロメタン/CCl4/56−23−5;R−11/トリクロロフルオロメタン/CCl3F/75−69−4;
R−12/ジクロロジフルオロメタン/CCl2F2/75−71−8;
R−12B1/ブロモクロロジフルオロメタン/CBrClF2/353−59−3;
R−12B2/ジブロモジフルオロメタン/CBr2F2/75−61−6;
R−13/クロロトリフルオロメタン/CClF3/75−72−9;R−13B1/ブロモトリフルオロメタン/CF3Br/75−63−8;
R−14/テトラフルオロメタン/CF4/75−73−0;R−20/トリクロロメタン/CHCl3/67−66−3;
R−21/ジクロロフルオロメタン/CHFCl2/75−43−4;R−22/クロロジフルオロメタン/CHClF2/75−45−6;
R−22B1/ブロモジフルオロメタン/CHBrF2/1511−62−2;R−23/トリフルオロメタン/CHF3/75−46−7;
R−30/ジクロロメタン/CH2Cl2/75−09−2;R−31/クロロフルオロメタン/CH2FCl/593−70−4;
R−32/ジフルオロメタン/CH2F2/75−10−5;R−40/クロロメタン/CH3Cl/74−87−3;
R−41/フルオロメタン/CH3F/593−53−3;R−50/メタン/CH4/74−82−8;
R−110/ヘキサクロロエタン/C2Cl6/67−72−1;R−111/ペンタクロロフルオロエタン/C2FCl5/354−56−3;
R−112/1,1,2,2−テトラクロロ−1,2−ジフルオロエタン/C2F2Cl4/76−12−0;
R−112a/1,1,1,2−テトラクロロ−2,2−ジフルオロエタン/C2F2Cl4/76−11−9;
R−113/1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン/C2F3Cl3/76−13−1;
R−113a/1,1,1−トリクロロトリフルオロエタン/C2F3Cl3/354−58−5;
R−114/1,2−ジクロロテトラフルオロエタン/C2F4Cl2/76−14−2;
R−114a/1,1−ジクロロテトラフルオロエタン/C2F4Cl2/374−07−2;
R−114B2/ジブロモテトラフルオロエタン/C2F4Br2/124−73−2;
R−115/クロロペンタフルオロエタン/C2F5Cl/76−15−3;R−116/ヘキサフルオロエタン/C2F6/76−16−4;
R−120/ペンタクロロエタン/C2HCl5/76−01−7;
R−121/1,1,2,2−テトラクロロ−1−フルオロエタン/C2HFCl4/354−14−3;
R−121a/1,1,1,2−テトラクロロ−2−フルオロエタン/C2HFCl4/354−11−0;
R−122/1,1,2−トリクロロ−2,2−ジフルオロエタン/C2HF2Cl3/354−21−2;
R−122a/1,1,2−トリクロロ−1,2−ジフルオロエタン/C2HF2Cl3/354−15−4;
R−122b/1,1,1−トリクロロ−2,2−ジフルオロエタン/C2HF2Cl3/354−12−1;
R−123/2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン/C2HF3Cl2/306−83−2;
R−123a/1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロエタン/C2HF3Cl2/354−23−4;
R−123b/1,1−ジクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン/C2HF3Cl2/812−04−4;
R−124/2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロエタン/C2HF4Cl/2837−89−0;
R−124a/1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン/C2HF4Cl/354−25−6;
R−125/ペンタフルオロエタン/C2HF5/354−33−6;
R−E125/(ジフルオロメトキシ)(トリフルオロ)メタン/C2HF5O/3822−68−2;
R−130/1,1,2,2−テトラクロロエタン/C2H2Cl4/79−34−5;
R−130a/1,1,1,2−テトラクロロエタン/C2H2Cl4/630−20−6;
R−131/1,1,2−トリクロロ−2−フルオロエタン/C2H2FCl3/359−28−4;
R−131a/1,1,2−トリクロロ−1−フルオロエタン/C2H2FCl3/811−95−0;
R−131b/1,1,1−トリクロロ−2−フルオロエタン/C2H2FCl3/2366−36−1;
R−132/ジクロロジフルオロエタン/C2H2F2Cl2/25915−78−0;
R−132a/1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエタン/C2H2F2Cl2/471−43−2;
R−132b/1,2−ジクロロ−1,1−ジフルオロエタン/C2H2F2Cl2/1649−08−7;
R−132c/1,1−ジクロロ−1,2−ジフルオロエタン/C2H2F2Cl2/1842−05−3;
R−132bB2/1,2−ジブロモ−1,1−ジフルオロエタン/C2H2Br2F2/75−82−1;
R−133/1−クロロ−1,2,2−トリフルオロエタン/C2H2F3Cl/431−07−2;
R−133a/1−クロロ−2,2,2−トリフルオロエタン/C2H2F3Cl/75−88−7;
R−133b/1−クロロ−1,1,2−トリフルオロエタン/C2H2F3Cl/421−04−5;
R−134/1,1,2,2−テトラフルオロエタン/C2H2F4/359−35−3;
R−134a/1,1,1,2−テトラフルオロエタン/C2H2F4/811−97−2;
R−E134/ビス(ジフルオロメチル)エーテル/C2H2F4O/1691−17−4;
R−140/1,1,2−トリクロロエタン/C2H3Cl3/79−00−5;
R−140a/1,1,1−トリクロロエタン/C2H3Cl3/71−55−6;
R−141/1,2−ジクロロ−1−フルオロエタン/C2H3FCl2/430−57−9;
R−141B2/1,2−ジブロモ−1−フルオロエタン/C2H3Br2F/358−97−4;
R−141a/1,1−ジクロロ−2−フルオロエタン/C2H3FCl2/430−53−5;
R−141b/1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン/C2H3FCl2/1717−00−6;
R−142/クロロジフルオロエタン/C2H3F2Cl/25497−29−4;
R−142a/1−クロロ−1,2−ジフルオロエタン/C2H3F2Cl/25497−29−4;
R−142b/1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン/C2H3F2Cl/75−68−3;
R−143/1,1,2−トリフルオロエタン/C2H3F3/430−66−0300;
R−143a/1,1,1−トリフルオロエタン/C2H3F3/420−46−23,800;
R−143m/メチルトリフルオロメチルエーテル/C2H3F3O/421−14−7;
R−E143a/2,2,2−トリフルオロエチルメチルエーテル/C3H5F3O/460−43−5;
R−150/1,2−ジクロロエタン/C2H4Cl2/107−06−2;
R−150a/1,1−ジクロロエタン/C2H4Cl2/75−34−3;
R−I51/クロロフルオロエタン/C2H4ClF/110587−14−9;
R−151a/1−クロロ−1−フルオロエタン/C2H4ClF/1615−75−4;
R−152/1,2−ジフルオロエタン/C2H4F2/624−72−6;
R−152a/1,1−ジフルオロエタン/C2H4F2/75−37−6;
R−160/クロロエタン/C2H5Cl/75−00−3;
R−161/フルオロエタン/C2H5F/353−36−6;
R−170/エタン/C2H6/74−84−0;
R−211/1,1,1,2,2,3,3−ヘプタクロロ−3−フルオロプロパン/C3FCl7/422−78−6;
R−212/ヘキサクロロジフルオロプロパン/C3F2Cl6/76546−99−3;
R−213/1,1,1,3,3−ペンタクロロ−2,2,3−トリフルオロプロパン/C3F3Cl5/2354−06−5;
R−214/1,2,2,3−テトラクロロ−1,1,3,3−テトラフルオロプロパン/C3F4Cl4/2268−46−4;
R−215/1,1,1−トリクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン/C3F5Cl3/4259−43−2;
R−216/1,2−ジクロロ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン/C3F6Cl2/661−97−2;
R−216ca/1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン/C3F6Cl2/662−01−1;
R−217/1−クロロ−1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン/C3F7Cl/422−86−6;
R−217ba/2−クロロ−1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン/C3F7Cl/76−18−6;
R−218/オクタフルオロプロパン/C3F8/76−19−7;
R−221/1,1,1,2,2,3−ヘキサクロロ−3−フルオロプロパン/C3HFCl6/422−26−4;
R−222/ペンタクロロジフルオロプロパン/C3HF2Cl5/134237−36−8;
R−222c/1,1,1,3,3−ペンタクロロ−2,2−ジフルオロプロパン/C3HF2Cl5/422−49−1;
R−223/テトラクロロトリフルオロプロパン/C3HF3Cl4/134237−37−9;
R−223ca/1,1,3,3−テトラクロロ−1,2,2−トリフルオロプロパン/C3HF3Cl4/422−52−6;
R−223cb/1,1,1,3−テトラクロロ−2,2,3−トリフルオロプロパン/C3HF3Cl4/422−50−4;
R−224/トリクロロテトラフルオロプロパン/C3HF4Cl3/134237−38−0;
R−224ca/1,3,3−トリクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン/C3HF4Cl3/422−54−8;
R−224cb/1,1,3−トリクロロ−1,2,2,3−テトラフルオロプロパン/C3HF4Cl3/422−53−7;
R−224cc/1,1,1−トリクロロ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパン/C3HF4Cl3/422−51−5;
R−225/ジクロロペンタフルオロプロパン/C3HF5Cl2/127564−92−5;
R−225aa/2,2−ジクロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン/C3HF5Cl2/128903−21−9;
R−225ba/2,3−ジクロロ−1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン/C3HF5Cl2/422−48−0;
R−225bb/1,2−ジクロロ−1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン/C3HF5Cl2/422−44−6;
R−225ca/3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン/C3HF5Cl2/422−56−0;
R−225cb/1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン/C3HF5Cl2/507−55−1;
R−225cc/1,1−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパン/C3HF5Cl2/13474−88−9;
R−225da/1,2−ジクロロ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン/C3HF5Cl2/431−86−7;
R−225ea/1,3−ジクロロ−1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン/C3HF5Cl2/136013−79−1;
R−225eb/1,1−ジクロロ−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン/C3HF5Cl2/111512−56−2;
R−226/クロロヘキサフルオロプロパン/C3HF6Cl/134308−72−8;
R−226ba/2−クロロ−1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン/C3HF6Cy51346−64−6;
R−226ca/3−クロロ−1,1,1,2,2,3−ヘキサフルオロプロパン/C3HF6Cl/422−57−1;
R−226cb/1−クロロ−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン/C3HF6Cl/422−55−9;
R−226da/2−クロロ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン/C3HF6Cy431−87−8;
R−226ea/1−クロロ−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン/C3HF6Cl/359−58−0;
R−227ca/1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン/C3HF7/2252−84−8;
R−227ca2/トリフルオロメチル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル/C3HF7O/2356−61−8;
R−227ea/1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン/C3HF7/431−89−0;
R−227me/トリフルオロメチル1,2,2,2−テトラフルオロエチルエーテル/C3HF7O/2356−62−9;
R−231/ペンタクロロフルオロプロパン/C3H2FCl5/134190−48−0;
R−232/テトラクロロジフルオロプロパン/C3H2F2Cl4/134237−39−1;
R−232ca/1,1,3,3−テトラクロロ−2,2−ジフルオロプロパン/C3H2F2Cl4/1112−14−7;
R−232cb/1,1,1,3−テトラクロロ−2,2−ジフルオロプロパン/C3H2F2Cl4/677−54−3;
R−233/トリクロロトリフルオロプロパン/C3H2F3Cl3/134237−40−4;
R−233ca/1,1,3−トリクロロ−2,2,3−トリフルオロプロパン/C3H2F3Cl3/131221−36−8;
R−233cb/1,1,3−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロプロパン/C3H2F3Cl3/421−99−8;
R−233cc/1,1,1−トリクロロ−2,2,3−トリフルオロプロパン/C3H2F3Cl3/131211−71−7;
R−234/ジクロロテトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/127564−83−4;
R−234aa/2,2−ジクロロ−1,1,3,3−テトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/17705−30−5;
R−234ab/2,2−ジクロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/149329−24−8;
R−234ba/1,2−ジクロロ−1,2,3,3−テトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/425−94−5;
R−234bb/2,3−ジクロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/149329−25−9;
R−234bc/1,2−ジクロロ−1,1,2,3−テトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/149329−26−0;
R−234ca/1,3−ジクロロ−1,2,2,3−テトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/70341−81−0;
R−234cb/1,1−ジクロロ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/4071−01−6;
R−234cc/1,3−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/422−00−5;
R−234cd/1,1−ジクロロ−1,2,2,3−テトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/70192−63−1;
R−234da/2,3−ジクロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/146916−90−7;
R−234fa/1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/76140−39−1;
R−234fb/1,1−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン/C3H2F4Cl2/64712−27−2;
R−235/クロロペンタフルオロプロパン/C3H2F5Cl/134237−41−5;
R−235ca/1−クロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパン/C3H2F5Cl/28103−66−4;
R−235cb/3−クロロ−1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン/C3H2F5Cl/422−02−6;
R−235cc/1−クロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン/C3H2F5Cl/679−99−2;
R−235da/2−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン/C3H2F5Cl/134251−06−2;
R−235fa/1−クロロ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン/C3H2F5Cl/677−55−4;
R−236cb/1,1,1,2,2,3−ヘキサフルオロプロパン/C3H2F6/677−56−5;
R−236ea/1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン/C3H2F6/431−63−0;
R−236fa/1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン/C3H2F6/690−39−1;
R−236me/1,2,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル/C3H2F6O/57041−67−5;
R−FE−36/ヘキサフルオロプロパン/C3H2F6/359−58−0;
R−241/テトラクロロフルオロプロパン/C3H3FCl4/134190−49−1;
R−242/トリクロロジフルオロプロパン/C3H3F2Cl3/134237−42−6;
R−243/ジクロロトリフルオロプロパン/C3H3F3Cl2/134237−43−7;
R−243ca/1,3−ジクロロ−1,2,2−トリフルオロプロパン/C3H3F3Cl2/67406−68−2;
R−243cb/1,1−ジクロロ−2,2,3−トリフルオロプロパン/C3H3F3Cl2/70192−70−0;
R−243cc/1,1−ジクロロ−1,2,2−トリフルオロプロパン/C3H3F3Cl2/7125−99−7;
R−243da/2,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン/C3H3F3Cl2/338−75−0;
R−243ea/1,3−ジクロロ−1,2,3−トリフルオロプロパン/C3H3F3Cl2/151771−08−3;
R−243ec/1,3−ジクロロ−1,1,2−トリフルオロプロパン/C3H3F3Cl2/149329−27−1;
R−244/クロロテトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl/134190−50−4;
R−244ba/2−クロロ−1,2,3,3−テトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl;
R−244bb/2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl/421−73−8;
R−244ca/3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl/679−85−6;
R−244cb/1−クロロ−1,2,2,3−テトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl/67406−66−0;
R−244cc/1−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl/421−75−0;
R−244da/2−クロロ−1,1,3,3−テトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl/19041−02−2;
R−244db/2−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl/117970−90−8;
R−244ea/3−クロロ−1,1,2,3−テトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl;
R−244eb/3−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl;
R−244ec/1−クロロ−1,1,2,3−テトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl;
R−244fa/3−クロロ−1,1,1,3−テトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl;
R−244fb/1−クロロ−1,1,3,3−テトラフルオロプロパン/C3H3F4Cl/2730−64−5;
R−245ca/1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン/C3H3F5/679−86−7 560;
R−245cb/ペンタフルオロプロパン/C3H3F5/1814−88−6;
R−245ea/1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロパン/C3H3F5/24270−66−4;
R−245eb/1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン/C3H3F5/431−31−2;
R−245fa/1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン/C3H3F5/460−73−1;
R−245mc/メチルペンタフルオロエチルエーテル/C3H3F5O/22410−44−2;
R−245mf/ジフルオロメチル2,2,2−トリフルオロエチルエーテル/C3H3F5O/1885−48−9;
R−245qc/ジフルオロメチル1,1,2−トリフルオロエチルエーテル/C3H3F5O/69948−24−9;
R−251/トリクロロフルオロプロパン/C3H4FCl3/134190−51−5;
R−252/ジクロロジフルオロプロパン/C3H4F2Cl2/134190−52−6;
R−252ca/1,3−ジクロロ−2,2−ジフルオロプロパン/C3H4F2Cl2/1112−36−3;
R−252cb/1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロプロパン/C3H4F2Cl2/1112−01−2;
R−252dc/1,2−ジクロロ−1,1−ジフルオロプロパン/C3H4F2Cl2;
R−252ec/1,1−ジクロロ−1,2−ジフルオロプロパン/C3H4F2Cl2;
R−253/クロロトリフルオロプロパン/C3H4F3Cl/134237−44−8;
R−253ba/2−クロロ−1,2,3−トリフルオロプロパン/C3H4F3Cl;
R−253bb/2−クロロ−1,1,2−トリフルオロプロパン/C3H4F3Cl;
R−253ca/1−クロロ−2,2,3−トリフルオロプロパン/C3H4F3Cl/56758−54−4;
R−253cb/1−クロロ−1,2,2−トリフルオロプロパン/C3H4F3Cl/70192−76−6;
R−253ea/3−クロロ−1,1,2−トリフルオロプロパン/C3H4F3Cl;
R−253eb/1−クロロ−1,2,3−トリフルオロプロパン/C3H4F3Cl;
R−253ec/1−クロロ−1,1,2−トリフルオロプロパン/C3H4F3Cl;
R−253fa/3−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロパン/C3H4F3Cl;
R−253fb/3−クロロ−1,1,1−トリフルオロプロパン/C3H4F3Cl/460−35−5;
R−253fc/1−クロロ−1,1,3−トリフルオロプロパン/C3H4F3Cl;
R−254cb/1,1,2,2−テトラフルオロプロパン/C3H4F4/40723−63−5;
R−254pc/メチル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル/C3H4F4O/425−88−7;
R−261/ジクロロフルオロプロパン/C3H5FCl2/134237−45−9;
R−261ba/1,2−ジクロロ−2−フルオロプロパン/C3H5FCl2/420−97−3;
R−262/クロロジフルオロプロパン/C3H5F2Cl/134190−53−7;
R−262ca/1−クロロ−2,2−ジフルオロプロパン/C3H5F2Cl/420−99−5;
R−262fa/3−クロロ−1,1−ジフルオロプロパン/C3H5F2Cl;
R−262fb/1−クロロ−1,3−ジフルオロプロパン/C3H5F2Cl;
R−263/トリフルオロプロパン/C3H5F3;
R−271/クロロフルオロプロパン/C3H6FCl/134190−54−8;
R−271b/2−クロロ−2−フルオロプロパン/C3H6FCl/420−44−0;
R−271d/2−クロロ−1−フルオロプロパン/C3H6FCl;
R−271fb/1−クロロ−1−フルオロプロパン/C3H6FCl;
R−272/ジフルオロプロパン/C3H6F2;
R−281/フルオロプロパン/C3H7F;
R−290/プロパン/C3H8/74−98−6;
R−C316/ジクロロヘキサフルオロシクロブタン/C4Cl2F6/356−18−3;
R−C317/クロロヘプタフルオロシクロブタン/C4ClF7/377−41−3;
R−C318/オクタフルオロシクロブタン/C4F8/115−25−3;
R−3−1−10/デカフルオロブタン/C4F10;
R−329ccb/375−17−7;
R−338eea/75995−72−1;
R−347ccd/662−00−0;
R−347mcc/ペルフルオロプロピルメチルエーテル/C4H3F7O/375−03−1;
R−347mmy/ペルフルオロイソプロピルメチルエーテル/C4H3F7O/22052−84−2;
R−356mcf/
R−356mffm/
R−365mfc/1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン/C4H5F5
FC−72/テトラデカフルオロヘキサン/C6F14/355−42−0
R−400 R−12/R−114(60/40 wt%)二成分混合物
R−401A R−22/R−152a/R−124(53/13/34)
R−401B R−22/R−152a/R−124(61/11/28)
R−401C R−22/R−152a/R−124(33/15/52)
R−402A R−125/R−290/R−22(60/2/38)
R−402B R−125/R−290/R−22(38/2/60)
R−403A R−290/R−22/R−218(5/75/20)
R−403B R−290/R−22/R−218(5/56/39)
R−404A R−125/R−143a/R−134a(44/52/4)
R−405A R−22/R−152a/R−142b/R−C318(45/7/5.5/42.5)
R−406A R−22/R−600a/R−142b(55/04/41)
R−407A R−32/R−125/R−134a(20/40/40)
R−407B R−32/R−125/R−134a(10/70/20)
R.407C R−32/R−125/R−134a(23/25/52)
R−407D R−32/R−125/R−134a(15/15/70)
R−407E R−32/R−125/R−134a(25/15/60)
R−408A R−125/R−143a/R−22(7/46/47)
R−409A R−22/R−124/R−142b(60/25/15)
R−409B R−22/R−124/R−142b(65/25/10)
R−410A R−32/R−125 (50/50)
R−410B R−32/R−125 (45/55)
R−411A R−1270/R−22/R−152a(1.5/87.5/11)
R−411B R−1270/R−22/R−152a(3/94/3)
R−412A R−22/R−218/R−142b(70/5/25)
R−413A R−218/R−134a/R−600a (9/88/3)
R.414A R−22/R−124/R−600a/R−142b(51/28.5/4.0/16.5)
R−414B R−22/R−124/R−600a/R−142b(50/39/1.5/9.5)
R−415A R−22/R−152a(82/18)
R−415B R−22/R−152a(25/75)
R−416A R−134a/R−124/R−600(59/39.5/1.5)
R−417A R−125/R−134a/R−600(46.6/50.0/3.4)
R−418A R−290/R−22/R−152a(1.5/96/2.5)
R−419A R−125/R−134a/R−E170(77/19/4)
R−420A R−134a/R−142b(88/12)
R−421A R−125/R−134a(58/42)
R−421B R−125/R−134a(85/15)
R−422A R−125/R−134a/R−600a(85.1/11.5/3.4)
R−422B R−125/R−134a/R−600a(55/42/3)
R−422C R−125/R−134a/R−600a(82/15/3)
R−422D R−125/R−134a/R−600a(65.1/31.5/3.4)
R−423A R−134a/R−227ea(52.5/47.5)
R−424A R−125/R−134a/R−600a/R−600/R−601a(50.5/47/.9/1/.6)
R−425A R−32/R−134a/R−227ea(18.5/69.5/12)
R−426A R−125/R−134a/R−600/R−601a(5.1/93/1.3/.6)
R−427A R−32/R−125/R−143a/R−134a(15/25/10/50)
R−428A R−125/R−143a/R−290/R−600a(77.5/20/.6/1.9)
R−500 R−12/R−152a(73.8/26.2)
R−501 R−22/R−12(75/25)
R−502 R−22/R−115(48.8/51.2)
R−503 R−23/R−13(40.1/59.9)
R−504 R−32/R−115(48.2/51.8)
R−505 R−12/R−31(78/22)
R−506 R−31/R−114(55.1/44.9)
R−507 R−125/R−143a(50/50)
R−508A R−23/R−116(39/61)
R−508B R−23/R−116(46/54)
R−509A R−22/R−218(44/56)
本発明のある態様において、上述の気体の1または2以上の混合物はまた、圧縮、膨張、または圧縮および膨張の影響を受け得る。このような気体混合物の一例は、燃焼のために通常用いられる天然ガスである。
本発明のある態様によれば、有効仕事を実行するためのエネルギーは、ネットワークを介して流される圧縮気体(例えば天然ガス)の膨張により回収され得る。例えば、従来の“シティーゲート”または他の受動的圧力調節器は、気体を高圧から低圧に自由に膨張させることができる。生じた低圧の気体はより高いエントロピーを有し、そこから得られる仕事量はより少ない。
あるアプリケーションにおいて、気体において得られる仕事のこのロスを最小化することが求められ得る。このようなアプリケーションの例は、シティーゲートシステムを介した都市ガスの圧力(city pressure)への天然ガスパイプラインにおけるガスの膨張の間生じる。
したがって、本発明の態様は、アクティブレギュレーターを含み得、それは気体が膨張する際にピストンまたは他の可動部材に対抗して機械的仕事を行う。その機械的仕事は、発電機を運転して電力を作り出すように、またはいくつかの他の機械的システムを駆動するように用いられ得る。
このように、図136に記載されるアクティブレギュレーター13600は、気体を自由に膨張させるよりもむしろ、ピストン13602を駆動するように膨張する気体の圧力を用いる。このピストンの動きは同様に、有効仕事を供給するために利用され得る。例えば、図136の態様において、ピストンは発電機13606を運転するようにクランクシャフト13604を回転させて電力を作り出す。
プロセスの効率性を最大化するためおよび膨張の間気体中の水分を凍結させないために、膨張の間、気体に混合可能な液体が噴霧器13607を介してシリンダー13608内にスプレーされる。前述のように、この液体は熱をシリンダー内に伝導させ、膨張プロセスの温度を、例えばこの温度をほぼ一定にするように、制御する。
膨張された気体−液体混合物は、バルブ13610を介してシリンダーから排気され、気体−液体分離機13612を介して送られる。液体は、シリンダーに再びスプレーされる前に外気温近くまで戻されるように熱交換器13614を介してポンプ13613により送りこまれる。
ここに記載された特定の態様は、シングルステージにおいて圧縮または膨張を実行する。しかしながら、本発明による他の態様は、直列に配置された2以上の圧縮および/または膨張ステージを利用し得る。
例えば、機械的または液圧的アプローチ(それにより機械力がシステムに運ばれ、およびシステムから運ばれる)により無理なく提供され得るよりもより高い圧縮/膨張率が求められる場合、複数ステージが利用され得る。
図53Aは、3つのステージ(すなわち、第1ステージ5324a、第2ステージ5324b、および第3ステージ5324c)を有するタンク5332での保存のために空気を圧縮するマルチステージシステム5320の態様の顕著に簡素化された図を示す。1または2以上のステージを有するシステムも同様に構築され得る。図53Aのシステム5320に示されるように、マルチステージの態様において、一圧縮ステージの出力は、保存のための最終的な所望の圧力に到達するまで、さらなる圧縮のために次の圧縮ステージの入口に流されるなどされる。この方法において、気体は、複数のステージにおいて、一ステージのみでは達成するのが困難であった最終の圧力に圧縮され得る。
図53Bは、本発明によるマルチステージの専用コンプレッサー装置5300の一態様の図を示す。具体的には、図53Bは、第1ステージ5302、第2ステージ5304、および保存ユニット5332を含むシステム5300を示す。第1ステージ5302は、圧縮チャンバーモジュールC01を介して分離機モジュールB1と流体連通している入口モジュールA0を備える。第1ステージ5302は、空気フィルター5350を介して圧縮のための空気を受け入れる。
第1ステージ5302は同様に、第2ステージ5304と流体連通しており、それは圧縮モジュールC12を介して分離機モジュールB2と流体連通している入口モジュールA1を備える。第2ステージ5304は同様に、保存ユニット5332と流体連通している。
図53BA、53BBおよび53BCは、図53Bのマルチステージ圧縮装置の異なる要素モジュールの簡略図を示す。具体的には、入口モジュールAxは、導管5312を介してパルセーションダンパーボトル5314と流体連通している気体入口5306を備え、それは出口5316と流体連通している。
分離機モジュールByが、図53BBに示される。分離機モジュールは、液体−気体分離機5332と流体連通している入口5330を備える。分離機により分離された液体は、液体容器5334に流れるように設定される。分離機からの気体は、分離機モジュールの出口5336に流れるように構成される。
ポンプ5338は、液体を、液体バルブ5341を介して容器から液体出口5340に流れるように構成される。液体バルブ5341は、分離機モジュールから圧縮モジュールの噴霧器構造体への液流を制御する役割を有する。液流バルブの作動は、ポンプおよび容器に、液体注入が行われていないときにチャンバー内に生じる圧力変動を生じさせない役割を有し得る。ある態様において、液流導管は、圧変化を軽減させるようにアキュムレーター構造体と連結していてもよい。
圧縮モジュールCxyは図53BCに示される。圧縮モジュールの一態様の構造は前記に詳述される。具体的には、圧縮モジュールは、入口5352と流体連通しており、バルブ5356aおよび5356bを介してシリンダー5354と流体連通している導管5350を備える。導管5358は、バルブ5357aおよび5357bを介してシリンダー5354と流体連通しており、出口5359と流体連通している。
複動ピストン5355は、シリンダー5354内に配置される。複動ピストンは熱源(図示せず)と接続され、その動きによりシリンダー内に存在する気体が圧縮される。このような圧縮は概して、前記に示され記述される。
噴霧器5343は、液体を中に導入するようにシリンダーと液体連通している。噴霧器5343は、分離機モジュールの液体出口からの液体を受け取る。ある態様において、液流バルブと噴霧器との間の距離は、気体放出の機会を低減させるように最小化され得る。
マルチステージ専用コンプレッサー装置5300の第1ステージ5302において、分離機モジュールB1の液体出口は、第1熱交換器H.E.01を介して圧縮モジュールC01と流体連通している。マルチステージ専用コンプレッサー装置5300の第2ステージ5304において、分離機モジュールB2の液体出口は、第2熱交換器H.E.12を介して圧縮モジュールC12の液体入口と流体連通している。
図53Bの態様は、液体の注入を促進するために、ステージにより作り出された圧力差を利用し得る。具体的には、図53Bの態様は、分離された液体を有し、それは先のより低圧のステージの減じられた圧力を有する気流に戻されたものである。これにより、液体注入に必要とされる力、および液流においてポンプにより消費される力が低減される。
本発明による専用マルチステージコンプレッサー装置は、図53Bに示される特定の態様に限定されない。具体的には、図53の態様は分離された液体が個々のステージ内で気流中への再注入のために回収される装置を示すが、これは本発明には必要とされない。
図53Cは、本発明による専用マルチステージコンプレッサー装置の他の態様を示す。この態様によるシステム5360において、第1ステージの圧縮チャンバー5362内に注入された液体は、続いて分離機5364により取り除かれ、その後次のステージの圧縮チャンバー5366への注入のために流される。この構成により、タンク5368内に最終的に分離された液体が集積する。図53Cの態様は、圧縮気体のエネルギーが節約され、同じステージの圧縮チャンバーへの再注入のための液流により消費されないという点において利益を提供し得る。
図53A−Cは複数ステージにわたる圧縮を示すが、本発明の態様はこのアプローチに限定されない。本発明による他の態様はまた、ある量のエネルギーが圧縮気体から回収されるまで、複数ステージでの膨張を、さらなる膨張のための次の膨張ステージの入口に流される一膨張ステージの出力等で実行し得る。この方法において、エネルギーは、いくつかのステージで膨張された気体から回収され得て、それは一つのみのステージでの膨張により得るのは困難である。
図54は、本発明によるマルチステージ専用膨張機装置の一態様の詳細な図を示す。具体的には、図54は、保存ユニット5432、第1ステージ5462、および第2ステージ5464を含む装置5460を示す。第1ステージ5462は、膨張モジュールE34を介して分離機モジュールB4と流体連通している入口モジュールA3を備える。第1ステージ5462は、保存ユニット5432から圧縮のための空気を受け取る。
第1ステージ5462は同様に、第2ステージ5464と流体連通している。第2ステージ5464は、膨張モジュールE23を介して分離機モジュールB3と流体連通している入口モジュールA2を備える。第2ステージ5464は同様に、出口5457と流体連通している。
マルチステージ専用膨張機装置5460のある異なる要素モジュールがまた、前述の通り図53BAおよび53BBに示され得る。専用膨張機装置5460はさらに、図54Aに示される膨張モジュールEXYを含む。
このような膨張モジュールの一態様の構造および運転は、前記に記載されてきた。具体的には、膨張モジュールは、入口5459と流体連通しており、バルブ5467aおよび5467bを介してシリンダー5454と流体連通している導管5458を備える。導管5450は、バルブ5466aおよび5466bを介してシリンダー5454と流体連通しており、出口5452と流体連通している。
複動ピストン5455は、シリンダー5454内に配置される。複動ピストンは、機械力をエネルギーに変換するための装置(図示せず)、例えば発電機と連結している。シリンダー内の空気の膨張により、ピストンが駆動される。このような膨張は概して、前記に示され記述される。
マルチステージ専用膨張機装置5460の第1ステージにおいて、分離機モジュールB4の液体出口は、第1熱交換器H.E.43を介して膨張モジュールE34のチャンバーと流体連通している。マルチステージ専用膨張機装置5460の第2ステージ5464において、分離機モジュールB3の液体出口は、第2熱交換器H.E.32を介して膨張モジュールE23のチャンバーと流体連通している。
本発明による専用マルチステージ膨張機装置は、図54に示される特定の態様に限定されない。具体的には、図54の態様は、分離された液体が個々のステージ内で気流中への再注入のために回収される装置を示すが、これは本発明により必須とされない。
図55は、本発明による専用マルチステージ膨張機装置の他の態様を示す。この態様によるシステム5500において、第1ステージの膨張チャンバー5502に注入された液体は、続いて分離機5504により分離され、その後次のステージの膨張チャンバー5506への注入のために流される。この構成により、タンク5508内に最終的に分離された液体を集積させる分離機5507が実現する。
図55の実施態様は、圧力差に逆らって液体が注入されることを要求しない。図54Aの特定の態様において、分離された液体は、その前のより高圧のステージの高められた圧力を有する入口の気流中に戻される。反対に、図55の態様は、分離された液体を有し(それは、次のステージに入れられる膨張気体中に流されたものである)、液流においてポンプによる消費される力を低減する。
これまで記載されたマルチステージ装置の態様は圧縮または膨張のいずれか一方に専用であったが、本発明による他の態様は、圧縮および膨張の両方を実行し得る。図56は、このような2ステージ装置の一態様の簡略化された概略図を示し、それは圧縮と膨張の両方を実行し得る。
具体的には、図56の態様は、圧縮および膨張の両方を実行し得るシステムを作り出すように、複数の構造の特性を組み合わせる。システム5600の一つの特性は、三方バルブ5604を介するシステムのある要素との連結である。図56は、圧縮モードにおいては実線として、膨張モードにおいては破線として、三方バルブの構成を示す。
システム5600の一つの特性は、圧縮モードと膨張モードとの両方での導入のための液体を収容する同様の容器5605の使用である。具体的には、圧縮の間、容器5605は、その前のステージでの圧縮によりすでに高圧となっている気体に液体を注入するように利用される。膨張の間、容器5605は、第1ステージでの高圧の気体に気体を注入するように用いられる。圧縮および膨張の両方において通常用いられる混合チャンバーを有するマルチステージ装置において、これらの混合チャンバーへの入口の流れる気体の圧力は、所望の気体−液体混合物を達成するためにほぼ同値となるだろう。
システム5600のさらなる他の特性は、1または2以上の寸法(ここでは寸法dの方向に)において長くされたパルセーションダンパーボトル5606の使用である。パルセーションダンパーボトル5606の長くされた形状により、隣接要素との流体連通のための導管を短くできる一方で、ボトルと隣接要素との間の複数の接続が可能となる。このボトルは、シングルステージの実施態様のボトルのために前述されたものと基本的には同様にパルセーションを減弱するように機能する。
図56は、概略形態のみで長くされたパルセーションダンパーボトルを示す簡略図であり、長くされたボトルの形状は、このプロファイルまたは他の特定のプロファイルに限定されるように解釈されるべきではない。例えば、パルセーションダンパーボトルの他の態様は、1または2以上のローブまたは他の長くされた構造を含み得る。
圧縮モードにおける運転下では、気体は、入口5650を介してシステム5600に入り、保存ユニット5632に流される前に、2つの連続する液体注入および圧縮ステージに露出される。分離された液体は、タンク5635に集積する。それは、次の再注入のために熱を節約するよう断熱され得て、膨張モードにおいて等温近くの膨張が達成される。
具体的に、膨張モードにおける運転下では、保存ユニット5632からの圧縮気体は、出口5634でシステム外に流される前に、2つの次の液体注入および膨張圧縮ステージに露出される。分離された液体は、タンク5636に集積し、圧縮モードにおいて等温近くの膨張を達成するように続いて再注入され得る。
図56のシステムの実施態様において、異なるステージを通って分離された液流は、図53C(専用コンプレッサー)および図55(専用膨張機)の態様に類似した方法で、最終分離機での蓄積をもたらす。このような態様は液体容器を必要とし、それは生じる指向性の液流に適合するように、より大きいものとなる。これらの蓄積された液体は、システムの作動モードを逆転させることにより、元の容器に戻され得る。
図57は、本発明の態様によるマルチステージ装置を示す簡略図である。それは、圧縮および膨張の両方を実行するように構成可能である。具体的には、システム5700は、図56の態様を修正したものを表し、それは、付加的な三方バルブ5702およびある分離機要素とある圧縮/膨張チャンバーとの間の付加的な導管を含む。さらに図57は、圧縮モードにおいては実線として、膨張モードにおいては破線として、三方バルブの構成を示す。
図57の態様は、いくつかの付加的なバルブおよび導管の複合体を提供するが、それはある要素を除外し得る。具体的には、圧縮と膨張とが同時に起こらず、それゆえに図57の態様のすべての3つの熱交換器および3つのポンプの同時使用は必要とされないことを意味する。このように、図56の態様では3つの熱交換器および3つのポンプを利用するのに対して、システム5700は2つの熱交換器(H.E.1およびH.E.2)および2つのポンプ(5704)のみ利用する。
さらに、図57の態様は、液体の循環をステージ内に限定する。その結果、液体の流れに関しては、液体が1つの容器には蓄積せず、液体容器は図56の態様におけるものほど大きく作られる必要はない。加えて、図57の態様は、ステージの各所での液体注入の実行において圧縮空気のエネルギーを浸食しない。
ある前述の態様は、圧縮または膨張を経験する気体への導入のための液体を流すように1または2以上のポンプの使用について記述した。ある実施態様において、1または2以上のこのようなポンプは、圧縮または膨張チャンバー内に存在する可動部材(例えばピストン)から独立して作動され得る。例えば、ポンプは電力を動力源とし得て、それはシステムの運転により生成されるものであってもよく、そうでなくてもよい。
前述の態様は、液体がポンプを利用したシステムを介して流されるといった態様を示したが、それは種々のタイプであってもよく、遠心分離式、ダイヤフラム式、または他の様式といった非容積移送式ポンプが含まれる。しかしながら、圧縮または膨張チャンバー内の圧力は概して変化するため、本発明のある態様は、膨張/圧縮チャンバーへの液流を提供するために容積移送式ポンプの使用による恩恵を受け得る。
したがって、図85は、液体入りのシリンダー8504内で可動可能なピストン8502の形態における容積移送式ポンプが用いられている態様を示す。液体は、バルブ8508および導管8506を介してシリンダー8504から流され、圧縮および/または膨張チャンバー8510内の噴霧器8509に導かれる。
図85の容積移送式ポンプは、所望の特性を有する液流をもたらし得る。具体的には、ピストン8514が動くにつれて、シリンダー8510内の圧力が変化する。ノズル8509に固定の圧力で液体が供給されているとしたら、ノズルにおける圧力差は、ピストンストロークの間変化し得る。
したがって、あるときは、圧力差は必要とされるものより高くなり得る(もしかするとエネルギーを浪費しているかもしれない)。一方で、圧力差が低くなりすぎる可能性がある(スプレーの効果を無くし、その結果コンプレッサーの効率性を減弱させる)。しかしながら、定容積型ポンプでノズルを駆動することで、圧力差は、コンプレッサーピストンで同期ポンプを制御することによりストロークの間中、所望の値で維持され得る。
圧縮の間、互いに一致して動くことはピストン8514および8502に有利となり得る。膨張の間、180°相がずれて動くことはピストンに有利となり得る。他の態様において、異なる位相角が適し得る。他の態様は、ポンプとコンプレッサー/膨張機要素との非同期作動により有効となり得る。
圧縮/膨張シリンダー内の変化する圧力の中でより均一な液流を提供するのに加えて、図85の特定の態様は、利用可能なエネルギーを効率的に用い得る。具体的には、液体ポンプ8500のピストン8502が圧縮/膨張シリンダーのピストン8514と同様の物理的連結機構8512(ここではクランクシャフト)により駆動されているため、エネルギーは第二のソースから消費されず、液流を駆動するために他の形態に変換されることを要する圧縮/膨張のオリジナルのエネルギーからも消費されない。
図85の特定の態様はピストンポンプの形態における容積移送式ポンプからチャンバーに流される液体を示すが、これは本発明には必須とされない。ある態様は、液体を流すための容積移送式ポンプの他の形態を採用し得、それには限定されることなく、蠕動ポンプ、前進空洞ポンプ、ギアーポンプ、またはルーツタイプポンプが含まれる。
本発明によるシステムのある態様は、複数の液体ポンプを利用してもよい。例えば、図86は、容積移送式マルチステージ水ポンプと流体連通している非容積移送式(遠心分離式)ポンプを含む圧縮システムの態様を示す。移送式ポンプからマルチステージ水ポンプへの液体の流動は、示されるように、移送式ポンプの周囲の比例積分微分(PID)ループを利用する。PIDループは、マルチステージ水ポンプへの目標値の圧力(または流速といった他のパラメーター)を維持するように構成される。
本発明のある態様はシステムを介して液体を流すためのポンプを採用し得るが、他の態様において、独立した液体ポンプ構造は必要とされなくてもよい。例えば、図87は、圧縮または膨張チャンバー内の圧力を利用して液体が流される態様を示す。
具体的には、図87において、容器8700からの液体は、マルチステージシステム8708のステージ8706のチャンバー8704の噴霧器8702に流される。容器8700は、気体を収容するヘッドスペース8710を含み、その圧力は液体を噴霧器に流す力を提供する。
具体的には、ヘッドスペース8710は、液流バルブネットワーク8714を介して他のステージ8712のチャンバーと選択的に気体連通している。液流バルブネットワーク8714は、コントローラーにより受け取った入力に基づき、正確に作動される。
他のステージ内の気体圧力が容器からチャンバー8704内に液体を流すのに十分であるくらい高い場合には、液流バルブネットワーク8714は、ヘッドスペース8712と他のステージとの間の気体連通を許容するように作動される。液流バルブネットワークを正確に制御することで、液体の流動に必要な圧力のみの運搬を許容でき、その結果、システム内のエネルギー全体を節約できる。
ある態様において、1または2以上の気流または液流バルブの機能は、可動部材それ自体により発揮され得る。例えば、パッシブポートバルブは通常、2ストローク内燃エンジンにおいて用いられる。これらのポートは、クランクケースからシリンダー(そこで燃焼が起こっている)への空気−燃料混合物の移動、およびシリンダーからの燃焼気体の排気を制御する。
図84は、ピストン8400の垂直の動きにより、チャンバー8404へのポート8402(ここでは圧縮チャンバーへの気流入口ポート)が選択的に妨げられ得る態様を示す。その結果、入口バルブとして効率的に機能する。このような構成は、通常の2ストロークエンジンの構造において採用されてきた。
いくつかのバルブ構造体の必要性を低減することにより、このような態様は、装置のデザインを簡素化し得、潜在的にコストおよびメンテナンスを軽減させる。あるバルブの必要性を取り除く態様はまた、例えば、混合チャンバーの上流で作られた水滴として、チャンバーへの液体の導入を促進し得る。具体的には、他の方法で生じ得る液滴の集まりに表面を提供する要素(例えば弁座、バルブプレート)を取り除くことにより、究極的には、圧縮/膨張の間熱交換のために導入される液体の質(体積、速度、水滴粒径の均一性、水滴の数等)を改善し得る。
図84の態様は圧縮のためのチャンバー内への気流を制御するピストンの動きを示すが、本発明はこの特定の構成に限定されない。種々の態様は、チャンバーへの/からの液流、および/または膨張若しくは圧縮が起こっているチャンバーから出入りする気流を制御するようにピストンの動きを採用し得る。
さらに、図84の特定の態様は対称な形状を有するピストンおよびチャンバーを示すが、これはまた本発明により必須とされない。他の態様において、死容積を最小化しおよび/またはチャンバー内の他のバルブの作動に適合させるといった目標を達成する一方で、ピストンおよびシリンダーの表面は材料の流動を許容するように成形され得る。
ポートバルブを用いる本発明の態様は、プレートおよびポペットバルブといった他のバルブタイプに対する1または2以上の可能性のある利益を示し得る。一つの可能性のある利益は、ポートバルブが可動部材それ自体を超えて動くパーツを欠き、それゆえより安価で信頼性が高くなるということである。ポートバルブを利用するシステムの他の可能性のある利益は、ポートバルブの開口部を顕著に大きいものとし得、高い流速を許容できるということである。
さらなる他の可能性のある利益は、気体が高速回転したり方向転換したりすることなくポートバルブを介して通過し得るということである。このような構成は、さらに流速を改善し得る。この構成はまた、気体−液体エアロゾル(例えば混合チャンバーの上流で作られ得る)が障害を最小にして通過できるようにし、それにより気体に取り込まれた液滴をより容易に維持できるようになる。
パッシブポートバルブは、ピストンまたは他の可動部材から独立して制御され得なくてもよい。もしポートバルブが可動部材から独立して制御されるとしたら、これは、例えばクランクシャフトまたは他の機構といった第二の連結機構を介して制御される第二のピストン(または他のタイプの可動部材)を用いることにより成し遂げられ得る。
例えば、図139はピストンアクチュエーター13902、および圧縮/膨張チャンバー13908と流体連通しているシリンダー状チャンバー13906の側における1または2以上のポート開口部13904を備えるシステム13900の簡略図を示す。ポート開口部13904は、気体(または気体と液滴との混合物)を圧縮/膨張チャンバー13908に導入するために用いられ得る。
ピストンアクチュエーターは、気体の圧縮または膨張に関与する可動部材13910(例えばピストン)とは独立して、および可動部材13910と反対の方向に動き得る。
いくつかの態様において、アクチュエーターピストンは、同様のクランクシャフトまたは可動部材を駆動する他の機構に接続された機械的連結機構を介して作動され得る。これらの態様において、アクチュエーターピストンおよび可動部材は、同調して動き、同時にTDCに達する。
いくつかの態様において、アクチュエーターピストンのタイミングは、可動部材のそれから独立している。これにより、圧縮/膨張率および他のシステムパラメーターの制御が可能となる。
パッシブポートバルブを用いるいくつかの態様は、部分的にポートの開口部を塞ぐことができる可動式スライディングウィンドウを含み得る。これにより、制御されるべきポートを介して気体または気体−液体混合物が流動できる。このような流動制御により同様に、システムの力が“スロットル”されるようになり、これは作動の間増強されまたは減弱される。ある態様によれば、可動式スライディングウィンドウの位置は、コンピューターまたは機械的制御下にある独立した作動機構により調整され得る。
本発明に従ったある態様は複数のステージにおける注入のための液体を利用するが、これは必須とされない。例えば、特定のマルチステージの態様の1または2以上のステージは、液体の導入を全く利用しなくてもよい。このようなステージに適する可動部材は、前述のものに加えて、レギュラータービン、ブロワー、および遠心力ポンプを含む。
さらに、マルチステージ装置のある態様はステージ間で同様の液体の注入を利用し得るが、これは本発明により必須とされず、ある態様は異なるステージにおける異なる液体の注入を特徴とする。いくつかのこのような態様において、これらの液体はステージ間で完全に区別されて保持されていてもよく、例えば、独立した専用気体−液体分離機、容器、およびポンプを利用する。
しかしながら、他の態様によれば、1または2以上の成分を共有する異なる液体が種々のステージで注入され得る。このような態様において、液体の共通でない成分は分離され、共通の成分はステージ間で循環される。
例えば、いくつかの態様において、他の膨張ステージは水−プロピレングリコール溶液のような液体の注入を利用する一方で、1または2以上の膨張ステージは純水のような液体の注入を利用し得る。このような態様において、プロピレングリコールは、ステージ間で水を流す前に分離され得る。
さらに、前述の通り、シングルまたはマルチステージ装置のいくつかの態様は、圧縮および膨張の両方のための同じチャンバーを使用するように構成され得る。このような装置のある態様は、それらの特定の運転モードに依存して異なる液体を導入し得る。
本発明のある態様によれば、圧縮および膨張の間導入されるこれらの異なる液体は、ステージ内および/またはステージ間で独立して保持され得る。そして、異なる液体が共通の成分を共有する場合、液体−液体分離は、異なるステージの間または異なるモードで運転される同じステージ内で液体成分の循環を許容するように用いられ得る。
液体からの成分の分離を利用する本発明の態様は、図88において一般的に記載され得、それは分離機構造体8802において気体から分離された液体を受け取る液流および分離ネットワーク8800を含む。液流および分離ネットワーク8800は、導管、バルブ、ポンプ、容器、熱交換器、アキュムレーター、フィルター、および分離機構造体から選択される種々の要素を備え得る(これらは適切な組み合わせで配置される)。ある態様において、このような液流および分離ネットワークは、図87において前述された液流バルブネットワークと組み合わされ得る。
いくつかの態様において、シリンダーへのスプレーノズルを介した液体を駆動する原動力は、コンプレッサーまたは膨張機の動きにより作られる圧力差から生じ得る。図138は、例えばシステムといったものの態様13800の簡略図を示す。
圧縮の場合において、気体−液体分離機13802を介して気体−液体混合物から分離された液体は、圧縮チャンバーに入る気体の圧力よりも高圧である。その結果、スプレーノズル13804に圧力差が存在する。
いくつかの態様において、この差はノズルを介して圧力降下を克服するのに十分である。システムは、適切な圧力差を提供するように構成され得て、所望のスプレーを作り出すように液体がノズルに導入される。
いくつかの態様において、システムは、適切な圧力差を提供するように可変流動バルブ13806で設計され得る。システムのある態様は、適切な圧力差を達成するためにシステムの成分および形状を適切に選択して設計され得る。
膨張が始まると、次の圧力が高いほうのステージから流れる気体−液体混合物は、シリンダー内容物よりも高い圧力を有するだろう。高圧気体13810からのこの圧力差は、スプレーノズルを通って気体−液体分離機を介して気体から分離された液体を駆動するために用いられ得る(圧縮の場合は前述の通りである)。
前述のいくつかの態様は、圧縮または膨張の間シリンダーに液体スプレーを導入するためにスプレーノズル構造体を用いる。しかしながら、これは本発明に必須とされず、ある態様は他のタイプのスプレーシステムを利用し得る。
例えば、図137は、このような一態様の装置13700の簡略化された断面図を示す。具体的には、ピストンがBDC近くのとき、液体13702は、液体入口13708およびバルブ13710を介して、ピストン13704のトップとノズルプレート13706との間の空間(volume)に導入される。
圧縮の間、ピストンがBDCからTDCへ駆動されるにつれて、ピストンはノズルプレートに逆らって液体空間(liquid volume)を押す。ノズルプレートの動きは、シリンダー13720の上部をノズルプレートに接続している圧縮性部材13712(例えばスプリング)の力により対抗されている。
シリンダーにより生じている圧力とバネとの間の力の差は、ノズルプレートにおいてオリフィス(単純な開口部よりも複雑な内部空間を規定し得る)を介して液体を駆動する。これは、シリンダーの上部においてスプレーを作り出す。
膨張の間、反対の方向ではあるがその振る舞いは同様である。バネは、TDC近くの膨張ストロークの初動時に圧縮される。バネが膨張するにつれ、それは液体空間(liquid volume)にノズルプレートを押し下げ、スプレーを形成するようにオリフィスを介して液体のいくらかを駆動する。
本発明の態様は、ステージごとの圧縮または膨張チャンバーへの直接的な液体導入を必要としない。ある態様は、どのステージでも直接的な液体導入を利用しないか、またはいくつかのステージでのみ直接的な液体導入を利用し得る。直接的な液体導入を利用ないステージは、独立した混合チャンバーを介して圧縮/膨張チャンバーに導入された気体−液体混合物を有するステージを併用し得る。
ある態様は、スプレー以外のもの、例えば液体を介した泡状の気体により液体が気体に導入される1または2以上のステージを利用し得る。例えば、ある態様において、他の(典型的には高圧の)ステージは泡による液体導入を採用し得る一方で、いくつかの(典型的には低圧の)ステージは混合チャンバーまたは直接注入を利用した液体ミスト技術を採用し得る。
本発明による圧縮気体保存システムの態様は、いかなる特定のサイズにも限定されない。ある適用において、標準的な搬送容器といった特定の形状要因に収まることがシステムにとって有用であり得る。形状要因の他の例は、トラクター−トレイラーのリグのトレイラーの標準的なサイズ/重量である。それは潜在的に、運搬可能な適用におけるエネルギー保存システムの態様の使用を許容し得る。
いくつかの場合において、一人の人により組み立てられ得ることがシステムにとって有用であり得る。例えば、重量が50ポンドまたはそれ未満である個々の要素から組み立てられるシステムである。いくつかの場合において、1日またはそれ未満で設置可能であることがシステムに求められ得る。
本発明の特定の態様は、1または2以上のステージの温度変化の制御を許容し得る。ある態様は、複数ステージにわたって気体の圧縮および/または膨張を許容し得る。そこでは、各ステージの気体にほぼ等しい温度変化が起こっている。
システムの設計において、設計者は、最初と最後の気体温度を選択し、他のシステムパラメーターを決定するためにシステム方程式を反復して解いてもよい。それは、所望のデルタ−Tを達成させる。
システムの運転において、圧縮または膨張ストロークの間の温度変化は、システムの設計者(または運営者)により選ばれる値(number)であってもよい。この温度変化は、効率性を犠牲にし得る。デルタ−Tが高くなるにつれ力も高くなるが、効率性は低くなる。
いくつかの態様によれば、異なるステージでの気体温度のこのような実質的に等しい変化は、必ずしも等しい圧縮または膨張率を利用しないステージの各々で達成され得る。いくつかの態様において、ステージの圧縮率または膨張率は、動的に制御され得て、それは例えば圧縮および/または膨張チャンバーからの気体の吸気または排気に関与するバルブの作動のタイミングに基づく。
図58は、本発明によるシングルステージシステム5801の一態様の簡略化されたブロック図を示す。図58は、気体入口5805および圧縮気体保存ユニット5803に流体連通しているコンプレッサー/膨張機5802を示す。モーター/発電機5804は、コンプレッサー/膨張機5802に選択的に連結している。
運転の第一モードにおいて、エネルギーは圧縮気体(例えば空気)の形態で保存され、モーター−発電機5804はモーターとして運転される。モーター/発電機5804は外部源から電力を受け取り、コンプレッサー/膨張機5802をコンプレッサーとして機能させるために電力(Win)を送る。コンプレッサー/膨張機5802は、入口圧力(Pin)の圧縮されていない気体を受け取り、ピストンとった可動部材を利用してチャンバー内で保存のためのより高い圧力(Pst)に気体を圧縮し、保存ユニット5803に圧縮ガスを流す。
運転の第二モードにおいて、圧縮気体に保存されたエネルギーが回収され、コンプレッサー−膨張機5802は膨張機として運転される。コンプレッサー/膨張機5802は、保存ユニット5803から保存された圧力Pstで圧縮気体を受け取り、その後チャンバー内で圧縮気体をより低い出口圧力Poutに膨張させる。この膨張は、モーター/発電機5804(発電機として機能している)と連結している可動部材を駆動する。コンプレッサー/膨張機からの出力(Wout)は、モーター/発電機5804に送られ、同様に電力グリッドに入力され消費され得る。
前述の気体を圧縮および減圧するプロセスは、いくらかの熱的および機械的ロスを経験し得る。しかしながら、これらのプロセスが、最小の温度変化で等温近くの条件で進むのであれば、熱的ロスは低減されるだろう。その結果、圧縮が最小の温度上昇(+ΔTc)で進むのであれば、熱的ロスは低減され、膨張が最小の温度下降(−ΔTE)で進むのであれば、熱的ロスは低減されるだろう。
本発明の態様は、気体圧縮および/または膨張に関連する温度変化を最小化するようにしてもよい。複数のステージにわたるこうした圧縮/膨張を実行することにより、熱的ロスが生じる。このような複数のステージにわたる圧縮および膨張については、後述される。
図58Aは、マルチステージ圧縮−膨張装置の態様の簡略化された全体図を示す。図58Aは、気体入口5805および圧縮気体保存ユニット5803と流体連通しているコンプレッサー/膨張機5802を示す。モーター/発電機5804は、コンプレッサー/膨張機5802と選択的に連結している。
この態様において、コンプレッサー/膨張機5802は実際には、直列の流体連通により接続されている複数のステージ5802a〜cを備える。図58Aの特定の態様は3つのこういったステージを有するシステムを示すが、本発明の態様によれば2またはそれ以上の数のステージが用いられ得る。
圧縮モードの運転において、コンプレッサー/膨張機5802の各ステージは、より低圧で入口気体を受け取り、より高圧にその気体を圧縮し、次のより高圧のステージに圧縮気体を流すように(あるいは、最も高圧のステージの場合、保存ユニットに圧縮気体を流すように)構成される。したがって、図58Aは、ステージ5802aにおいてPinからP1への第一の圧力上昇を経験し、ステージ5802bにおいてP1からP2への第二の圧力上昇を経験し、3番目のステージ5802cにおいてP2からPstへの最終の圧力上昇を経験する入口気体を示す。
各ステージにおいて、ある量の電力(ここではそれぞれWin1、Win2およびWin3)は、モーターとして運転されているモーター/発電機5804から消費される。各ステージにおいても、圧縮気体の圧力上昇は、気体の温度上昇(ここではそれぞれ+ΔT1、+ΔT2および+ΔT3)に対応する。
膨張モードの運転において、コンプレッサー/膨張機5802の各ステージは、より高圧で入口気体を受け取り、より低圧にその気体を膨張させ、次のより低圧のステージに膨張気体を流すように(あるいは、より低圧ステージの場合、システムの外に膨張気体を流すように)構成される。したがって、図58Aはまた、ステージ5802cにおいてPstからP3への第一の圧力低下を経験し、ステージ5802bにおいてP3からP4への第二の圧力低下を経験し、3番目のステージ5802cにおいてP4からPoutへの最終の圧力低下を経験する保存気体を示す。システムから出力された圧力はもとの入口圧力と同じであってもよく、必ずしも同じでなくてもよいことが特徴である。
各ステージにおいて、ある量の電力(ここではそれぞれWout3、Wout2およびWout1)が生成され、発電機として運転されているモーター−発電機5804に出力される。各ステージにおいても、気体の圧力低下は、気体の温度低下(ここではそれぞれ−ΔT4、−ΔT5および−ΔT6)に対応する。
図58Aは各ステージがその先のステージおよびその後のステージと連結している装置を示すが、これは本発明には必須とされない。図58Bは、ステージ5882a−cがバルブネットワーク5888と流体連通しているシステム5880の態様の簡略図を示す。その作動により、ステージ間の気流の選択的なルーティングが可能となる。このようにして、図58Bの態様を利用して、1または2以上のステージが選択的に利用され、またはバイパスされる。それは特定のコンディションに依存する。例えば、保存タンクからの先の気体膨張は圧力を相対的に低い値まで下げるが、膨張の継続はすべてのステージにわたって実行されなくてもよい。同様に、より低圧への圧縮はすべてのステージで行われなくてもよく、バルブネットワークの使用により1または2以上のステージが選択的にバイパスされることが可能となる。
そして、図58A〜Bは各ステージで圧縮または膨張のいずれかを実行するように構成可能である装置を示すが、本発明はこのような態様に限定されない。本発明による装置の他の態様は、専ら圧縮のみまたは膨張のみを実行するマルチステージ装置となり得る。このような態様の簡略図は図58Cにおいて示される。
本発明によるある態様において、各ステージにより経験される温度変化は、(プロセスが気体圧縮を含んでいても気体膨脹を含んでいても)実質的に等しくてもよい。ここで言及されるように、“実質的に等しい”の用語は、500℃若しくはそれ未満、300℃若しくはそれ未満、100℃若しくはそれ未満、75℃若しくはそれ未満、50℃若しくはそれ未満、25℃若しくはそれ未満、20℃若しくはそれ未満、15℃若しくはそれ未満、10℃若しくはそれ未満、または5℃若しくはそれ未満異なる温度変化に言及する。1または2以上の特定のステージにより経験された温度変化は、単独または組み合わせて適用される1または2以上の技術を利用して、本発明の態様に従って制御され得る。
(圧縮率/膨張率の制御)
1または2以上のステージの温度は、ステージの圧縮率または膨張率を調整することにより実現され得る。複数ステージを備えるいくつかの態様によれば、ステージの圧縮率または膨張率は、互いに顕著に異なり得る。
圧縮、膨張、または圧縮および膨張を実行するためのマルチステージ装置の各ステージは、圧縮率および/または膨張率により特徴づけられるだろう。これらの圧縮率および/または膨張率は異なるステージで等しくてもよく、等しくなくてもよい。
ある態様において、各ステージにおいて行われる圧縮および/または膨張プロセスは、シリンダー内で可動であるピストンを利用して実行され得る。図59−59Bは、このような装置の全体図を示す。
具体的には、図59は、圧縮および/または膨張ステージ5900が壁5904を有するシリンダー5902を備えることを示す。ピストンロッド5906bに接続されたピストンヘッド5906aを備える可動式ピストン5906が、シリンダー5902内に収容される。
ステージが圧縮を実行するように構成される場合には、ピストンロッドは連結機構を介してエネルギー源(図示せず)と物理的に連結している。それは実際にはクランクシャフトといった機械式のものであり得る。あるいは、エネルギー源とピストンロッドの間の連結機構は、実際には液圧式または空気圧式であってもよい。エネルギー源は、そこで空気を圧縮するようにシリンダー内のピストンの動きを駆動する。
ステージが膨張を実行するように構成される場合には、ピストンシャフトは連結機構を介して発電機(図示せず)と物理的に連結している。発電機は、連結機構を介して伝達されたピストンロッドの動きからエネルギーを生成する。
図59は、圧縮/膨張ステージの態様の簡略化された全体図のみを示し、本発明はこの略図の特定の要素に限定されて理解されるべきではない。例えば、図59は垂直方向に可動するピストンを示すが、これは必要とされず、種々の態様においてピストンは水平方向または他の方向に可動し得る。
また、図59の特定の態様において、気流バルブ5910および5912はシリンダー5902の端壁に形成される。図59A−59Bはまた、説明のためにシリンダーの端壁におけるバルブを示すが、バルブはチャンバーの他の場所に設置され得る。
バルブ5910は、弁座5910bから離れてバルブプレート5910aを動かすように、ソレノイドといった要素5911により選択的に作動可能である。それにより圧縮および/または膨張チャンバー5908と低圧側5916の導管5914との間の流体連通が可能となる。バルブ5912は、弁座5912bから離れてバルブプレート5912aを動かすように、ソレノイドといった要素5913により選択的に作動可能である。それにより圧縮および/または膨張チャンバー5908と高圧側5920の導管5918との間の流体連通が可能となる。
前述の通り、本発明の態様は、チャンバーに関連する特定の構造または構成を有するバルブでの使用に限定されない。前記でも言及された通り、本発明の態様は、往復運動するピストンを備える可動部材に限定されず、他の構造も用いられ得、それには限定されることなくスクリュー、クアシタービン(quasi−turbines)、およびジェロータが含まれる。
図59Aは、ピストンヘッド5906aがシリンダーのトップ(上死点−TDC)へと動くステージ5900を示す。図59Aは、TDCでピストンヘッド5906の上面とシリンダーの端壁との間にいくらかの量の死容積(Vdead)が存在することを示す。
本発明の特定の態様によれば、マルチステージコンプレッサー、膨張機、またはコンプレッサー/膨張機は、各ステージで温度変化に関するある基準に合致するように設計され得る。
図59Bは、ピストンヘッド5906がシリンダーのボトム(下死点−BDC)へ動くステージ5900を示す。図59Bは、2つの容積を示す。
ステージの全容積(Vtotal)は、ピストンの上面とBDCでのシリンダーの上壁との間で規定される。ステージの排気容積(Vdisplacement)は、BDCでの上面とTDCでの上面との間で規定される。死容積は、全容積と排気容積との間の差を表す:Vdead=Vtotal−Vdisplacement。
ステージ5900の動きを定量化する値は、その圧縮率または膨張率であり、一般的にここではrとして言及される。圧縮率または膨張率は、下記の式(1’)で表され得る。
ここで、膨張の間入口バルブが閉じまたは圧縮の間出口バルブが開く場合、Vclosedはシリンダーの容積である。
膨張の場合において、容積VclosedおよびVtotalは、死容積に起因するばかりでなく、膨張ストロークの間ピストンがBDCに到達する前の気体吸気バルブの閉鎖にも起因して、および排気ストロークの間ピストンがTDCに到達する前の気体排気バルブの閉鎖にも起因して、互いに異なり得る。圧縮の場合において、Vclosedは、死容積に起因するばかりでなく、圧縮ストロークの間ピストンがTDCに到達する前の気体排気バルブの開口にも起因して、Vtotalとは異なり得る。
各ステージで等しい圧縮率または膨張率を有するマルチステージ膨張/圧縮装置において、ステージの圧縮率または膨張率rは、全体の圧縮率または膨張率のN乗根である。それは下記のように表される。
ここで、Rは全体の圧縮率または膨張率であり、Nはステージの数である。
これは、ステージ間で中間冷却(または中間加熱)が起こる理想形である。それは、圧縮気体または膨張気体の温度が次のステージに入る前に外気温に回復される場合である。式(2’)はまた、容積の非効率性を無視している。
すべてのステージの圧縮率または膨張率の結果がRである以上、異なるステージは異なる圧縮率または膨張率を有し得る。それは、例えば下記の式で表されるように3ステージシステムにおけるものである。
マルチステージシステムにおいて、シリンダーチャンバーの相対的な排気量は、次の式により支配される。
Viはithシリンダー装置の排気量容積であり、Vfはシステムの全排気量である(それはすべてのシリンダー装置の排気量の合計である)。
本発明のある態様によれば、マルチステージ圧縮または膨張装置の各ステージは、膨張または圧縮ストロークの進行の間特定の温度変化で運転されるように構成され得る。このような態様の構造および運転は、物理量を単位として個々のステージのパフォーマンスを規定する一連の数学的関係を利用して達成され得る。このような一連の数学的関係の一例は、気体膨脹ステージに関連して式(5’)〜(16’)において下記に示される。
圧縮または膨張の後の最終の気体温度、および圧縮または膨張の後の相関する最終の気体圧力は、多くの値に依存する。下記の式(6’,7’)は、ステージの圧力および温度のこれらの最終の値を表す。
このようなステージの圧力比は、下記のように表される。
Vclosedは、吸気バルブが膨張の間閉まるとき、または排気バルブが圧縮の間開くときのシリンダーの容積である(Vtotal/r))。
Vdisplacementは、シリンダーの全排気量である。
ΔTgas−liquidは、ストロークの終点の圧縮/膨張チャンバー内の気体と液体との間の温度差である。
γeffectiveは、有効ポリトロープ指数(effective polytropic index)である。
後記で詳述する通り、γeffectiveおよびΔTgas−liquidの値は、値の数に依存する。これらの値に基づき、式(5’,6’,7’)は、シングル膨張ステージのために生じる温度変化を決定するために解かれ得る。
膨張率の制御は、いくつかの可能性のある方法で達成され得る。一つのアプローチにおいて、膨張率はVclosedを制御することにより決定され得る。例えば、Vclosedは、バルブの作動のタイミングを介して制御され得、それは膨張のために圧縮気体がチャンバー内へ流れることに関連するものである。
したがって図61A〜Cは、ピストン6106が膨張ストロークを経験している膨張ステージ6100を示す。図61Aは、下向きに動くピストン6106で閉じているバルブ6110、および膨張によるエネルギー回収のためにチャンバーに圧縮ガスを流すように開いているバルブ6112を示す。図61Bにおいて、バルブ6112は、ピストンがBDCの位置に到達する前に気体の吸気を中止するように閉じられる。その結果、このピストンストロークの間膨張され得る気体量Vclosedに制限される。図61Cは、気体量Vclosedが膨張するにつれて、下向きに継続してピストンが動くことを示す。
したがって、バルブ6112が閉まるタイミングを調節することにより、シリンダー内で膨張される気体量が制限される。具体的には、図61Bにおいてバルブ6112はピストンがBDCに到達する前に閉じられるため、シリンダー内の気体の体積は制限され、膨張率およびステージにより経験される温度変化はまたそれに応じて制限される。
入口バルブ6112の作動のタイミングは、コントローラーまたはプロセッサーにより調節され得て、コントローラーとしては例えば前述の複数ステージにわたって繰り返し計算を実行するものが挙げられる。したがって、図61A−Cはコントローラー6196と電気的に連結されているようなバルブ6112の作動要素6111を示す。コントローラー496は同様に、コンピューター読み出し可能保存媒体6194と電気的に連結し、それはバルブ6112の作動を指示するための保存されたコードを有する。
前述の膨張率の調節は、システムにより保存されまたは放出されるエネルギー量を犠牲にし得る。具体的には、図61B−Cにおける他の方法でシリンダー内に収容され得るよりも小さな体積の気体の膨張は、膨張中の気体によるピストンへの出力を低減させる。しかしながら、このようなエネルギーのロスは、所望の温度変化を達成するために求められ得、例えば、他のステージにより経験したものに一致したステージの温度変化をもたらす。
膨張チャンバーに導入された液体はまた、膨張率を変える役割を有し得る。水を中に含まないシリンダーは、r=Vtotal/Vclosedの膨張率を有する。水の容積Vwaterがシリンダーに導入されれば、膨張率はr=(Vtotal−Vwater)/(Vclosed−Vwater)となる。このように、膨張率はVwaterに依存する。
式(5’,6’,7’)に戻って、γeffectiveの値は、値の数から導かれる。γeffの計算は、式(8’)および(9’)に関連して論じられる。
φγは、ポリトロープの非均一性(ポリトロープ指数が圧縮/膨張チャンバーにおける液滴の非均一な分布に起因して増加するファクター)と定義される。
上記は、Rで除された気体の定圧熱容量と定義される。
上記は、液体の定圧熱容量と定義される。
mrは、液体の気体に対する質量比と定義される。
Rは、気体定数と定義される。
式(6’,7’)に表されるΔTgas−liquidの値はまた、変数の数から算出される。これは、式(10’)−(17’)に関連して論じられる。
上記は、気体と液体との間の体積熱伝導率である。
上記は、気体から液体への全体の熱伝導率である。
rdroplet=液滴の平均半径
aliquid=液体の割合
kgas=気体の熱伝導率
ω=回転速度
dV/dθ=圧縮での変化/クランク角θでの膨張チャンバー容積
上記は、ヌセルト数である。
agravity=重力加速度
ρ=密度
μ=粘度
cdrag=水滴の抵抗係数(球体=.47)
上記は、プラントル数である。
式(5’,6’,7’)はまた、互い直列に配置された複数の膨張ステージの特性を決定するために用いられ得る。さらに後述の通り、式は、一つのステージによる出力された温度および圧力で、各ステージで解かれ得、それは連続するその次のステージに向けた式への入力として提供される。
加えて、マルチステージシステムにおける各ステージの特性を示す式(5’,6’,7’)は、個々のステージの構造および/または運転パラメーターを決定するために反復して解かれ得、それは互い直列に配置された場合の温度変化を表す。複数の膨張ステージに適用されるこれらの式の反復解法については、さらに後述される。
マルチステージ圧縮または膨張装置において質量流速、吸気圧力、および死容積が固定されている場合、圧縮/膨張ストロークの間の温度変化および圧縮率/膨張率は単一の自由パラメーターを表す。これは、一つを制御することで他も制御することである。したがって、各ステージを設計する際、式(5’)を用いて圧縮率/膨張率を選択することにより、圧縮または膨張ストロークの経過の間名目上は所望の温度変化がもたらされる。効果的な熱交換器を適切に選択することにより、各ステージが所望の温度変化を示すというように、マルチステージシステムを反復して設計することが可能となる。
式(5’)−(16’)に関連して記載された種々の関係は、所定の膨張ステージに向けた出力を作り出すように利用され得る。具体的には、種々のタイプの式への入力は、膨張ステージにより経験された温度変化(ΔTgas,final−initial)と同様に、膨張ステージから排気された気体の温度および圧力(Tgas final,pfinal)の形態において対応する出力を作り出す。
これらの出力(Tgas_final1,pfinal1)は同様に、式(5’,6’,7’)への最初の温度および圧力(Tgas_initial2,pinitial2)を表す入力として提供され得、さらなる膨張のために膨張されたこの気体を受け取る次の膨張ステージの動作が計算される。ステージの圧力および温度の出力(Tgas_final2,pfinal2)は、第3の膨張ステージへの入力(Tgas_initial3,pinitial3)として提供され得て、最終出力の温度および圧力(Tgas_final3,pfinal3)が作り出される。
計算において、システムの最初の温度および/若しくは圧力の値(Tgas_initial1,pinitial_1)、並びに/またはシステムの最終の温度および/若しくは圧力の値(Tgas_final3,pfinal3)は、あらかじめ決定され得る。例えば、入口気体の圧力および/または温度は、圧縮気体保存ユニットの最新の容積(後述の通り、圧縮気体が消費されるのに伴い変化し得る)により決定され得る。
他の例において、出口気体の圧力および/または温度は、排気される環境により決定され得る。例えば、海水面で外部環境に排気される空気は、1ATM未満の出力圧力を有していなくてもよい。
他のファクターは計算を制約し得る。例えば、外気温での液体の水が熱交換に用いられる場合、一つのステージで経験される温度変化は、凍結を回避するために約15℃よりも低くなり得ない。
加えて、マルチステージ圧縮システムにおける各ステージの特性を示す対応する式は、反復して解かれ得、互いに直列に配置された場合に実質的に等しい温度変化を示す個々のステージの設計または運転パラメーターが決定される。
各ステージが実質的に等しい温度変化を経験するコンディションを決定するように構成されたシステムは、コンピューター読み出し可能保存媒体と電気的に連結しているコントローラーを含み得る。それは、磁気的、光学的、および/または半導体の原理に基づき得る。このコンピューター読み出し可能保存媒体は、あるタスクを実行するためにプロセッサーを指示するように構成されたコードを保存する。
例えば、コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードは、計算に入力される最初の圧力および/または温度パラメーターをあらかじめ決定するようにコントローラーに指示し得る。コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードはまた、マルチステージシステム計算により出力される最終の圧力および温度パラメーターをあらかじめ決定するようにコントローラーに指示し得る。
コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードはさらに、各式への入力において存在するある変数をあらかじめ決定するようにコントローラーに指示し得る。例えば、これらのある変数は、圧縮の影響を受ける気体(例えば空気)の特性、および/または熱交換のために注入される液体(例えば水)の特性によりあらかじめ決定される。
コンピューター読み出し可能保存媒体に保存されたコードはさらに、各式への入力において存在する1または2以上の変数を決定するようにコントローラーに指示し得る。例えば、前の反復の結果は、特定の方法(方向、大きさ)で変化する入力変数を表し得、各ステージの所望の温度変化が作り出される。したがって、コンピューター読み出し可能保存媒体に存在するコードにより表現されるアルゴリズムに基づき、コントローラーは前の反復から入力の値を変化させ得る。共役勾配または最急降下といった標準的手法が用いられ得る。
実質的に等しい温度変化を示すステージのパラメーターを規定するための反復計算の良好な収束は、数的な分析手法に基づき決定され得る。このような解を得るためのこのような数的な分析の例は、限定されることなく、共役勾配、最急降下、レーベンバーグ−マルカート、ニュートン−ラフソン、ニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズム、または二分探索を含む。
ある態様によれば、式(5’−16’)に基づく計算は、デザインプロセスの間実行され得、デザインのある不変パラメーターが固定される。他の態様によれば、前述の反復計算は、変化するコンディションを反映するように調整されたマルチステージシステムの特性により継続的に実行され得る。このような変化するコンディションの一例は、システムへの入口温度(Tgas−initial)である。
具体的には、圧縮システムが一日中作動される場合、外の空気の温度は時間とともに変化し得る。この外の空気が圧縮への入口にある場合、その温度は時間とともに変化する(例えば、日中には温度が上昇し、夜間には低下する)。コントローラーは、この温度変化を検出し、計算への入力として提供するセンサーと電気的に連結し得る。コントローラーはまた、他の変化する特性の状態を検出する付加的なセンサーに連結し得る。
コントローラーは、気体圧縮システムの種々の要素と電気的に連結されていてもよい。計算結果に基づき、コントローラーは、等しい温度変化が異なるステージで維持されることを保証するようにシステム要素の運転を指示し得る。
例えば、ある態様において、コントローラーは圧縮チャンバーに気体を許容するのに関連するバルブを作動し得る。ある態様において、コントローラーは、膨張チャンバーからの気体を排気するのに関連するバルブ、および/または圧縮チャンバーに液体を流すのに関連するバルブを作動し得る。これらのバルブ要素の作動タイミングの制御は、個々のステージの圧縮率に影響を及ぼし得、その結果これらのステージにより経験される温度変化に影響を及ぼし得る。
式(17’)は、Vclosedに依存するTgas_finalを示す。
式(18’)は、Vclosedが圧縮率(r)に関連して表され得ることを示す。
したがって、ステージの圧縮率は、圧縮ステージにより経験された温度変化の程度を決定し得る。このような圧縮率の制御は、いくつかの可能な方法で達成され得る。
一つのアプローチにおいて、圧縮率は、Vclosedの制御により決定され得る。例えば、Vclosedは、圧縮のためのチャンバーへの気体流入に関連するバルブの作動タイミングを介して制御され得る。
前述に類似した方法において、コントローラーは、気体圧縮システムの種々の要素と電気的に連結されていてもよい。計算結果に基づき、コントローラーは、等しい温度変化が異なるステージで維持されることを保証するようにシステム要素の運転を指示し得る。
例えば、ある態様において、コントローラーは、圧縮チャンバー内に気体を許容するのに関連するバルブを作動し得る。図63A−Cは、圧縮の場合におけるこのような入口バルブの作動の例を示す。具体的には、図63A−Bは、ピストン6306が圧縮前のストロークを経験する圧縮ステージ6300を示し、図63Cは、圧縮ストロークの最初の部分を示す。
図63Aは、下向きに動くピストン6306で閉じているバルブ6312、および圧縮のためのチャンバー内に気体を流動させるように開いているバルブ6310を示す。図63Bにおいて、バルブ6310は、ピストンがBDCに到達する前に気体の吸気を中止するように閉じられる。その結果、ピストンのストロークの後圧縮され得る気体量Vclosedに制限される。図63Cは、後の圧縮ストロークにおいて、気体量Vclosedを圧縮するようにピストン6306が上向きに動くことを示す。
バルブ6310の閉鎖タイミングを調節することにより、シリンダー内で圧縮される気体の量が決定される。具体的には、図63Bにおいてバルブ6310はピストンがBDCに到達する前に閉められるため、圧縮のためのシリンダー内の気体の有効体積は制限され、ステージの圧縮率(r)もまた制限される。
入口バルブ6310の作動タイミングは、コントローラーまたはプロセッサーにより調節され得る。したがって、図63A−Cは、コントローラー6396と電気的に連結しているようなバルブ6310の作動要素6311を示す。コントローラー6396は同様に、コンピューター読み出し可能保存媒体6394に電気的に連結され、それはバルブ6310の作動指示のための保存されたコードを有する。
圧縮モードにおける気体出口バルブの作動タイミングはまた、圧縮率を制御するように調節され得る。前述と同様の方法において、出口バルブの閉鎖は、圧縮チャンバー内でいくらかの残りの圧縮気体を保有するように調節され得る。その結果、圧縮のためのより多くの気体を吸気するように次のピストンストロークにおける(Vdisplacement)の完全な値未満にVclosedを低減させる。このようなバルブのタイミングはまた、圧縮率(r)を低減するだろう。
前図に関連して前述されたのと同様の方法において、圧縮チャンバーに導入された液体はまた、圧縮率(r)を変化させる役割を有し得る。中に水を含まないシリンダーは、r=Vtotal/Vclosedの圧縮率を有する。Vwaterの体積の水がシリンダーに導入されれば、圧縮率は、r=(Vtotal−Vwater)/(Vclosed−Vwater)となる。このように、圧縮率は、Vwaterに依存する。
膨張機のパフォーマンスは、入力が制御パラメーターおよびセンサーデータを含み得、および出力がバルブ作動を含み得るアクティブ制御ループにより制御され得る。一態様において、制御入力は限定されることなく下記を含む。
Pf≡排気バルブの開口前まで膨張する最終の圧力
ΔVi≡吸気の間の容積変化
ΔVe≡排気後の容積変化
S≡クランクの回転速度(RPM)
上記は、スプレーバルブが開かれた際のクランク角に等しい。
上記は、スプレーバルブが閉じられた際のクランク角に等しい。
F≡スプレーポンプの流速
センサーからの測定値は、限定されることなく下記を含む。
Pi≡入力圧力
PO≡出力圧力
上記は、TDCに関連するクランク角に等しい。
Ti≡平均入口温度
Tf≡平均排気温度
W≡膨張機による軸出力
一態様において、制御ループは下記の通り進行し得る。TDCからピストンが開始し、吸気バルブが開かれ、Piで気体を受け入れる。
ピストンがΔViの容積を経験するまでピストンが動く際、吸気バルブは、開いたままである。これは、測定されたクランク角、並びに公知のピストンおよび連結機構の大きさより計算され得る。
この時点で、吸気バルブは閉じられ、気体は膨張し、シリンダー内の圧力が低下するにつれてピストンで仕事が行われる。シリンダー内の圧力がPf以下に低下したとき、排気バルブが開けられる。これは、BDCの前、またはBDCにおいて起こり得る。
排気バルブは、TDC前のΔVeまで(測定されたクランク角から計算され得る)開いたままであり、TDCのとき排気バルブが閉じられる。ピストンはTDCまで動き続け、サイクルは繰り返される。
スプレーは、この制御ループで制御され得る。いくつかの態様において、液体は、シリンダーに継続してスプレーされるのみである。
ある態様において、スプレーは、サイクルの一部の間ソレノイドバルブといった制御可能なバルブにより起動され得る。例えば、スプレーは、TDCからはクランク角Aからクランク角Bまで変えられ得る。Aは、0°,5°,10°,45°,90°,120°,180°,200°,240°,270°であってもよい。Bは、180°または360°であってもよく、これに20°またはそれ以上プラスまたはマイナスしてもよい。
スプレーノズルへの圧力または流速は、制御され得る。これは例えば、スプレーポンプに接続された可変周波数駆動を制御することによりなされ得る。
システムの回転速度は、制御され得る。これは例えば、ピストンと機械的に連結している発電機における負荷を変化させることによりなされ得る。
運転コンディションに連動している制御入力パラメーターは、限定されることなく最終温度(Tf)または軸動力(W)を含む、特定の結果を導く。制御入力パラメーターと出力との間の関係は、物理的原理からモデル化され得、および/またはそれは制御されたテストの間測定され得、マップが作られる。このマップは、スムースな多次元サーフェス(a smooth multi−dimensional surface)に近似するために内挿される。
膨張機の作動の間、特定の需要に合致するための特定の電力(W)の出力といった、ある目標となるパフォーマンスを達成することが求められ得る。作られたマップは、運転のための初期設定の制御値に到達するように用いられ得る。
運転の間、所望のパフォーマンスパラメーター(この場合、W)が測定される場合、マップの勾配(gradient)は、測定値と目標値との間の差を低減または最小化する方向に制御パラメーターを変えるように用いられ得る。目標となるパフォーマンスの指標の例は、限定されることなく、出力、効率性(測定値から計算される)または他の指標の加重和を含む。
ある態様は、Tf>Tminといった制約に影響を受けるTi−Tfを最小化する指標を利用し得る。これは、液体の凝固点より高い温度を維持する間、膨張機からの高い効率性を得るように利用され得る。
制御ループを利用する膨張機のパフォーマンスは前述で記載されたが、本発明はこれらの特定の態様に限定されない。他の態様によれば、コンプレッサーのパフォーマンスは、入力が制御パラメーターおよびセンサーデータを含み得、および出力がバルブ作動を含み得るアクティブ制御ループにより制御され得る。
一態様において、制御入力は、限定されることなく下記を含む。
ΔPf≡排気バルブが開く前のシリンダー内の最終圧力と排気バルブの他方の側における圧力(Po)との間の差
ΔPi≡吸気バルブが開く前のシリンダー内の最初の圧力と吸気バルブの他方の側における圧力(Pi)との間の差
ΔVi≡吸気の間の容積変化
ΔVe≡吸気後の容積変化
S≡クランクの回転速度(RPM)
上記は、スプレーバルブが開いているときのクランク角に等しい。
上記は、スプレーバルブが閉じているときのクランク角に等しい。
F≡スプレーポンプの流速
センサーからの測定値は、限定されることなく下記を含む。
Pi≡入力圧力
Po≡出力圧力
上記は、TDCに対応するクランク角に等しい。
Ti≡平均吸気温度
Tf≡平均排気温度
W≡膨張機による軸出力
態様において、制御ループは下記のように進行し得る。ピストンがTDCで始まりシリンダー内の気体がある圧力Pでは、ピストンはBDCの方に動き始める。
圧力がPi−ΔPiよりも下回ると、吸気バルブが開かれる。これは、TDCの前またはTDCの時であってもよい。
吸気バルブが閉められる時、ピストンがBDCの方へ動く。ピストンヘッドがTDCの方に戻るにつれて、シリンダー内の圧力は上昇しつつピストンは気体を圧縮する。
シリンダー内の圧力がPo−ΔPfよりも高くなったときに、排気バルブは開かれる。これは、TDCの前またはTDCの時であってもよい。
排気バルブがTDCの前のΔVeまで(測定されたクランク角から計算されるように)開いたままになっており、TDCのときに排気バルブが閉められる。ピストンはTDCの方に動き続け、サイクルは繰り返される。
スプレーはこの制御ループで制御され得る。いくつかの態様において、液体はシリンダーに継続的にスプレーされるのみである。
ある態様において、スプレーは、サイクルの一部の間(例えば、ソレノイドバルブといった制御可能なバルブによって)起動され得る。例えば、スプレーは、TDCからはクランク角Aからクランク角Bまで変えられ得る。Aは、0°,5°,10°,45°,90°,120°,180°,200°,240°,270°であってもよい。Bは、180°または360°であってもよく、それに20°またはそれ以上プラスまたはマイナスしてもよい。
スプレーノズルへの圧力または流速は、例えばスプレーポンプに接続された可変周波数駆動を制御することにより、制御され得る。システムの回転速度は、例えばピストンと機械的に連結された発電機への負荷を変化させることにより、制御され得る。
運転条件と連動した入力パラメーターの制御は、最終温度(Tf)または軸動力(W)といった特定の結果をもたらす。制御入力パラメーターと出力との間の関係は、物理的原理からモデル化され得、またはそれは制御された試験の間測定され得、マップが作り出される。このマップは、スムースな多次元サーフェス(a smooth multi−dimensional surface)に近似するために内挿され得る。
コンプレッサーの運転の間、特定の需要に合致するための特定の電力(W)の出力といった、ある目標となるパフォーマンスを達成することが求められ得る。上述の作られたマップは、装置の作動のための初期設定の制御値に最初に到達するよう用いられ得る。
運転の間、所望のパフォーマンスパラメーター(この場合、W)が測定されると、マップの勾配は、測定値と目標値との間の差を低減または最小化する方向に制御パラメーターを変えるように用いられ得る。目標となるパフォーマンスの指標は、出力、効率性(測定値から計算される)であってもよい。他の指標は、他の指標の加重和であってもよい。
他の指標は、Tf>Tminといった制約に影響を受けるTi−Tfを最小化し得る。この指標は、液体の沸点より低い温度を維持する間膨張機からの高い効率性を得るように利用され得る。
したがって、ステージの圧縮率は、圧縮ステージにより経験される温度変化の程度を決定し得る。このような圧縮率の制御は、いくつかの可能な方法において達成され得る。
一つのアプローチにおいて、圧縮率は、Vclosedを制御することにより決定され得る。例えばVclosedは、圧縮のためのチャンバー内への気体流入に関連するバルブの作動タイミングを介して制御され得る。
コントローラーは、気体圧縮システムの種々の要素と電気的に連結し得る。反復計算の解の結果に基づき、コントローラーは、異なるステージで等しい温度変化が維持されることを保証するようにシステム要素の運転を指示し得る。
例えば、ある態様において、コントローラーは圧縮チャンバーに気体を許容するのに関与するバルブを作動し得る。図63A−Cは、圧縮の場合のこのような入口バルブの作動の例を示す。具体的には、図63A−Bは、ピストン6306が圧縮の前にストロークを経験する圧縮ステージ6300を示し、図63Cは、圧縮ストロークの初期部分を示す。
図63Aは、下方に動くピストン6306で閉じられたバルブ6312および圧縮のためのチャンバーに気体を流入させるように開かれたバルブ6310を示す。図63Bにおいて、バルブ6310はピストンがBDCに到達する前に気体の吸気を中止するように閉められる。その結果、次のピストンのストロークにおいて圧縮され得る気体量Vclosedに制限される。図63Cは、次の圧縮ストロークにおいて、ピストン6306が気体量Vclosedを圧縮するように上方に動くことを示す。
バルブ6310の閉鎖タイミングを調整することにより、シリンダー内で圧縮される気体の量が決定される。具体的には、図63Aにおいてバルブ6310はピストンがBDCに到達する前に閉められるため、圧縮のためのシリンダー内の気体の有効容積は制限され、ステージの圧縮率(cr)もまた制限される。
入口バルブ6310の作動タイミングは、コントローラーまたはプロセッサーにより調節され得る。したがって、図63A−Cは、コントローラー6396と電気的に連結しているようなバルブ6310の作動要素6311を示す。コントローラー6396は同様に、コンピューター読み出し可能保存媒体6394と電気的に連結しており、バルブ6310の作動指示のための保存されたコードを有する。
圧縮モードにおける気体出口バルブの作動のタイミングはまた、圧縮率を制御するために調節され得る。上述と同様の方法において、出口バルブの閉鎖は、圧縮チャンバー内にいくらかの残りの圧縮ガスを保持するように調節され得、圧縮のためにより多くの気体を吸気するように次のピストンストロークにおける(Vdisp)の全体の値よりも低い値にVclosedを低下させる。このようなバルブのタイミングはまた、圧縮率(cr)を低減させるだろう。
前述の図と関連して記載された前記と同様の方法において、圧縮チャンバーに導入された液体はまた、圧縮率(cr)を変えるよう機能し得る。中に水を含まないシリンダーは、cr=Vtotal/Vclosedの圧縮率を有する。ある体積の水Vwaterがシリンダーに導入されると、圧縮率は、cr=(Vtotal−Vwater)/(Vclosed−Vwater)となる。このように圧縮率は、Vwaterに依存する。
上述のアプローチは、バルブ(入口/出口)のタイミングおよび/または液体注入の調節を利用した容積制御により圧縮率および/または膨張率を制御することに焦点を合わせた。しかしながら、これは本発明により必須とされず、他の態様は、圧縮率または膨張率に影響を及ぼす他の要素を調節することにより温度の制御を成し遂げ得る。
例えば、圧縮率または膨張率を変化させる他の技術は、機械的アプローチを利用し得る。このようなアプローチの例は限定されることなく、ピストンストロークの長さを変えること、またはチャンバーの死容積を変化させるようにプランジャーを操作することを含む。
所定のステージで生じる温度変化は、そのステージの速度を変化させることにより制御され得る。例えば、より低圧のステージは、等しい速度ならびに気体および液体の質量流速でのより高圧のステージよりも小さいΔTを示し得る。
速度を増加させることおよび同じファクターにより排気量を低減させることは、等しい質量流速を与えるが(例えば、後のステージに対抗する)、より高いΔTを与えるだろう。このようなステージのサイズは縮小され、コストが抑えられるだろう。
各ステージは、独立したクランク間または各ステージの可動部材を作動する他の連結機構間の、固定のギヤ比または可変のギヤ比のどちらか一方で、異なる速度で稼働し得る。あるいは、独立したモーター/発電機が各ステージまたはステージのグループに提供され得る。
1以上の速度が独立して制御可能であれば、これらの速度は、所望の作動パフォーマンスを達成するように動的に調節され得る。圧縮率/膨張率およびΔTの値を制御するパラメーターを動的に調節する一つの方法は、加重入力(weighted inputs)の機能を利用することである。
ある態様において、これらの入力は限定されることなく、吸気圧力といった生のセンサーデータ、排気圧力、吸気温度、排気圧力、液体流速、気体流速、保存タンク圧力、およびモーター/発電機へのまたはモーター/発電機からの測定された電力を含み得る。これらの入力は、生のセンサーデータ、および電力需要の要求といった他のソース、ユーザの入力パラメーター、予想されるΔT、および予想される効率性に基づき算出される値を含み得る。
本発明により実質的に等しい温度変化を経験する圧縮または膨張の複数ステージを有する発明の態様は、いくつかの潜在的な利点を示し得る。一つの潜在的な利点は、システムの効率性を最大化する能力である。
上述の通り、圧縮および膨張は、最小の熱的ロスおよび最大の効率性で進行する。それらは、等温近くのコンディションで生じる。複数ステージにわたるこのような圧縮または膨張を効率良く実行するための装置の構造の問題は、各ステージで温度変化を同等にするよう要求することで単純化される。所定のこのコンディションで、マルチステージシステムの他の要素は、この一定の温度変化を最小化するように設計され得る。
さらに、効率的な作動に好ましい等温近くのコンディションを達成するために、マルチステージシステムの各ステージは、エネルギーを交換するように熱源または熱シンクと熱連通している。圧縮を実行するステージの場合、ステージは、加熱された気体から熱エネルギーを伝導させるためにヒートシンクと熱連通している。膨張を実行するステージの場合、ステージは、冷却された気体に熱エネルギーを伝導させるために熱源と熱連通している。
図64Aは、ステージ6402、6404および6406が異なる温度変化を示すように期待されるマルチステージシステム6400のケースを示す。確実におよび効率良く熱エネルギーの必要量を交換するために、図64Aのシステムは通常、各ステージで異なる熱交換器6408,6410および6412を採用するだろう。さらに、循環する液体は異なる温度であるため、独立した循環システム(ポンプを含む)が、各々の熱交換器と関連する熱容量を有する各々の熱源またはシンクとの間で用いられるだろう。
しかしながら、各ステージが実質的に等しい温度変化を示すよう期待される場合、より単純な熱交換器のデザインが用いられ得る。図64Aは、このようなシステム6450を示し、そこでは、各ステージ6452、6454および6456が同じタイプのシェルチューブ型熱交換器6458と熱連通している。さらに、各熱交換器は各ステージで同量の熱エネルギーを交換するよう期待されるため、これらの熱交換器はシングルポンプ6460および熱シンクまたは熱源を有する一般的な循環システムをすべて共有し得る。このような構成は好ましく複数のポンプおよび流体導管ループの使用を排除し、その結果システムの複雑性および費用を軽減させる。
上述の通り、本発明による圧縮ガスシステムの要素は、図65に一般的に記載されるように、1または2以上の連結機構を介して他の構造体と接続していてもよい。圧縮気体エネルギーシステム6500と外部の要素との間のこのような連結機構は、機械式連結機構、液圧式連結機構、磁気的連結機構、電磁的連結機構、電気式連結機構または空気式連結機構といった物理的連結機構6502を含み得る。
本発明によるシステムの態様間の他の可能なタイプの連結機構は、熱的連結機構6504を含み、それは液体、気体または固体材料用の導管、導管、ポンプ、バルブ、スイッチ、再生器、および直交流熱交換器を含む熱交換器を備え得る。
図65にさらに示されるように、本発明によるシステムの態様と外部の要素との間の他の可能なタイプの連結機構は、流体連結機構6506および通信連結機構6508を含む。前者の例は、気体相または液体相における材料の流動を含み、導管、バルブ、ポンプ、容器、アキュムレーター、ボトル、スプレー、および他の構造体を含み得る。
通信連結機構の例は、有線または光学的なファイバー連結機構6510aおよび無線の通信ネットワーク6510bを含み、それは局地的に機能するか、または広い地域にわたって作動する。本発明の態様による使用に適し得る通信ネットワークの例は限定されることなく、イーサネット(登録商標)、CAN、WiFi、ブルートゥース、DSL、専用マイクロ波リンク、SCADAプロトコル、DOE’s NASPInet、DoD’s SIPRNet、IEEE802.11,IEEE 802.15.4,フレームリレー,非同期転送モード(ATM),IEC 14908,IEC 61780,IEC 61850,IEC 61970/61968,IEC 61334,IEC 62056,ITU−T G.hn,SONET,IPv6,SNMP,TCP/IP,UDP/IP,高度メータインフラストラクチャおよびスマートグリッドプロトコルを含む。
所定の圧力である量の空気に存在する保存された仕事量および図65のシステム6500に保存された仕事量は、下記のように計算され得る。
値W/V0は、保存容器において単位体積当たり保存された仕事量を示す。これは、保存エネルギー密度である。このエネルギー密度は、下記の式を利用して決定され得る。
W=保存された仕事
V0=保存ユニットの容積
Pα=開システムにおける外気圧、または閉システムにおける低い圧力
P0=タンクにおける圧力
リットル(L)を単位にした容積からの、および気圧(atm)を単位にした圧力からのこのエネルギー密度の表現は、換算係数の使用を要する。
W=保存された仕事(ジュール)
V0=保存ユニットの容積(L)
Pa=開システムにおける外気圧、または閉システムにおける低い圧力(atm)
P0=タンクにおける圧力(atm)
したがって、標準的なコンディション下では下記の通りである。
V0=1L
Pa=1atm
P0/Pα≡r
W/V0の逆数は、所定のエネルギー量を保存するために必要とされるタンクの容積を示す。この式は、下記に従ってL/kW・hを単位として表現され得る。
1ジュール=1W・s
3600ジュール=1W・h
3600キロジュール=1kW・h
これは、所定の典型的な圧力で下記の結果をもたらす。
効率性の結果は、下記のように上記の式の代替としてもたらされる。
e=システムの一方向の効率性
したがって、0.8の効率性(e)で300atmの保存圧力(P0)から、1atmの最終圧力(Pa)に圧縮された空気を回収するシステムにおいて、値V0/W=31.45(L/kW・h)である。
本発明の態様によるシステムの、圧縮気体の形態で保存されたエネルギーを早急に回収する能力は、種々の役割に潜在的に適するこのようなシステムを提供し得る。いくつかのこのような役割は、1または2以上のエンドユーザに電力を供給するのに関連するネットワーク内でのエネルギーシステムの配置を含む。このようなネットワークはまた、電力グリッドとして後述で言及される。
文献“Energy Storage for the Electricity Grid:Benefits and Market Potential Assessment Guide:A Study for the DOE Energy Storage Systems Program”(Jim Eyer&Garth Corey,レポートNo.SAND2010−0815,サンディア国立研究所,2010年2月)は、全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
図66は、電力の生成、送電、分配および消費のためのネットワークの実施態様の全体的な説明を示す。図66に示される態様は、実際の電力ネットワークを実質的に簡略化したものを表し、本発明を限定するように理解されるべきではない。
電力分配ネットワーク6601は、送電層6604と電気的に接続している発電層6602を備える。送電層からの電力は、分配層6605を介して、消費層6608の個々のエンドユーザ6606に到達するように流される。電力分配ネットワークのこれらの各層は同様に記載される。
発電層6602は、ネットワークへのバルク量での電力を作り出すのに関連する複数の個別の発電資産6610a,6610bを備える。このような発電資産6610a、6610bの例は、石炭火力発電所、天然ガス火力発電所、石油火力発電所といった化石燃料を燃焼させる従来型の発電所を含み得る。従来型の発電所の他の例は、化石燃料を燃焼させない水力発電所および原子力発電所を含む。発電資産のさらなる他の例は、例えば自然の温度差を利用するもの(例えば、地温勾配および海洋深度による温度勾配)、風力タービン、または太陽エネルギー捕集装置(例えば、太陽電池(PV)アレイおよび太陽熱発電所)といった他のエネルギー源を含む。
発電層の資産は概して、送電層に比して相対的に低い電圧(<50kV)で交流電流の形態で電力を送る。この電力はその後、ルーティングのために送電層に送られる。具体的には、発電資産と送電層との間の接続部分はこの先、バスバー6612として言及される。
送電層は、送電ライン6622に沿って種々のポイントに設置された各々の変圧器要素6620aおよび6620bを備える。昇圧器6620aは、発電資産および対応するバスバーに隣接して設置され、送電ラインでの効率的な送電のために電圧を上げる役割を有する。送電層に存在する電圧の例は、数百kVのオーダーであってもよい。
送電ラインのもう一方の端で、降圧器6620bは、最終的にはエンドユーザへの分配のために電圧を下げる役割を有する。送電層の降圧器による出力は低い数十kVの電圧範囲であってもよい。
図66は、高度に簡略化された形態での送電層を示し、電力の送電は実際には、送電変電器6665により画定されるステージで、異なる電圧でのいくつかのステージを利用して行われ得る。このような送電変電器は、送電ライン6622と第二送電ライン6663との間の接続部分に存在し得る。
分配層は送電層から電力を受け取り、その後この電力をエンドユーザに運ぶ。いくらかのエンドユーザ6606aは、第一の変電器6630aから相対的に高い電圧を直接受け取る。第一の変電器は、電圧を例えば12,000Vといった第一の分配電圧にさらに下げる役割を有する。
他のエンドユーザは、第二の変電器6630bからより低い電圧を受け取る。フィーダーライン6632は第一の変電器を第二の変電器に接続し、さらに、第一の分配電圧をメーター6634でエンドユーザに送られる最終の電圧に下げる。このような最終の電圧の一例は、120Vである。
図66は、電力の生成、送電、分配、および消費において用いられ得る電力ネットワークの物理的要素の概要を提供する。それは、公共インフラストラクチャーの重要な部分を形成し、多数の区別し得る地理的および政治的な団体からの協力を必要とするため、このような電力ネットワークは(地域の、国家の、国際的な)多くのレベルで高度に調整される。
したがって図66はまた、異なる監督官庁による種々のネットワーク要素の規制を区分するための骨組みを提供する。例えば、電力ネットワークの要素は、電力ネットワークの発電層、送電層、分配層、または消費層の資産としての区分に基づき規制され得る。このような規制区分は、電力ネットワーク内で一体化されているエネルギー保存システムの特性を決定するのに重要な役割を果たし得る。
本発明のある態様によれば、圧縮気体システムは電力供給ネットワークの発電層内で統合され得る。ある態様において、圧縮気体から回収されたエネルギーは、短い期間安定した電力を供給し得る。いくつかの態様において、圧縮気体から回収されたエネルギーは、ウィンドファームといった再生可能なエネルギー源を含む発電資産からの可変の出力を平準化または均等化するように電力を供給し得る。
図66の電力ネットワークの発電層の種々の資産は、作られるべき電力の種類の観点から分類され得る。例えば、ベースロード発電資産は典型的には、最も安価でエネルギーを作り出すように構成された装置を備える。このようなベースロードパワー発電資産は概して、最も高い効率性および経済性を提供するために全力で連続的に運転される。典型的なベースロード発電資産の例は、原子力発電所、石炭発電所または石油火力発電所といった大型の発電所を含む。
負荷追従発電資産は概して、例えばオン/オフにされることによりまたは増強若しくは低減された能力で運転することにより、時間の経過とともに変化する需要に対応可能な装置を備える。このような負荷追従発電資産の例は、限定されることなく蒸気タービン発電所および水力発電所を含む。
負荷追従発電資産は、最低30分前の事前通知で、変化する需要に合致するために付加的な電力を提供するように要求され得る。負荷追従発電資産は典型的には全力で継続的に運転しないため、それらは非効率的に機能し、それらの電力は概してベースライン発電資産から得られる電力よりも高価となる。
発電資産の第3のタイプは、ピーク発電資産である。ピーク発電資産は、最も高いレベルの需要に合致するように断続的に利用される。ピーク発電資産は、比較的間際の通知で運転することができるが、効率性は低減されそれに対応してより高価となる。天然ガスタービンは、ピーク発電資産として典型的に用いられる装置の一例である。他の例は、ディーゼル発電機である。
それらは比較的間際の通知で電力を供給することができるが、ピーク発電資産でさえも電力ネットワークの需要に合致する必要な量および質の電力を作り出し得る前にいくらかのリードタイムを要する。このような電力の質の要件の例は、所定の許容範囲内での電圧の持続、および出力の頻度をすでにネットワークに存在する頻度に同調させる必要性を含む。
圧縮気体エネルギー保存および回収システムの態様は過去に、米国特許仮出願第61/221,487号明細書、米国特許仮出願第61/294,396号明細書、および米国特許出願第12/695,922号明細書で記載されており、この出願は全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。米国特許仮出願第61/358,776号明細書(代理人整理番号800KT−001300US)も全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
このような圧縮気体エネルギー保存および回収システムの一つの潜在的な特徴は、比較的安定した形態で保存されたエネルギーを提供するように間際の通知で利用できることである。具体的には、圧縮気体は、大きな容積を有する保存ユニット内で高められた圧力で維持され得る。このような保存構造体の例は限定されることなく、タンク、廃鉱若しくは油井といった人工の構造物、または洞窟、岩塩ドーム、若しくは他の多孔質の地物といった自然発生した地質学的な構造物を含む。
需要に応じて、圧縮気体の形態で保存されたエネルギーは、保存ユニットと膨張機装置との間の流体連通をもたらすように気流バルブを作動することにより利用可能とされ得る。この単純なバルブ作動により、圧縮気体におけるエネルギーは機械的または電気的な形態に早急に変換され得る。
例えば、後述のようにチャンバー内での圧縮気体の膨張は、それに配置されたピストンを駆動する役割を有し得る。ピストンは電力を作り出すように発電機と機械的に連結し得る。このような構成により、安定的な電力が早急に作り出され得る。燃焼エンジンのウォームアップ時間が無いという性質が要求されるためである。空気中のエネルギーは即座に利用可能であり、全電力を供給するようにシステムの慣性を克服することのみを必要とする。それは数秒で十分である。
圧縮気体の形態で保存されたエネルギーのこのような即座の利用可能性は、燃焼型装置とは著しく対照的であり、そこでは安定的な出力はマテリアルの複数の流動の調節により成し遂げられ得るのみである。例えば、天然ガスタービンの安定的な運転は、空気および天然ガスの流動を正確に制御することにより、これらの流動を混合することにより、および実質的に変化しないコンディション下で混合物を燃焼させることによりなされ得るのみである。安定的で確実な出力を作り出すためのガスタービンの運転はまた、燃焼により生じる熱の注意深い管理を必要とし、回転するタービン翼の形態での機械的エネルギーに変換された膨張気体が作り出される。
実行するよう要求される特定の役割に依存して、発電資産はあるパフォーマンス特性で運転し得る。このようなある特性は、図62の表に記載される。
ある実施態様によれば、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、発電資産に物理的に併設され得、一般的なバスバーを介して電力ネットワークと電気的に連結し得る。あるいは、発電資産ならびにエネルギー保存および回収システムは同様の送電ラインを介して電力ネットワークと電気的に連結し得る。
本発明による圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、事実上可変である再生可能なエネルギー源の出力を均等化するように電力ネットワークの発電層に組み込まれ得る。例えば、風力タービンの出力は、吹いている風の量により規定される。風速は比較的短期間で上がったり下がったりし、それに対応して出力が上がったり下がったりする。同様に、太陽エネルギー捕集装置の出力は、利用可能な太陽光の量により規定され、それは雲量といった要因に依存して比較的短時間で変化し得る。
しかし従来、電力ネットワークは、石炭燃料発電所といったエネルギー源に依存してきた。それは実質的に一定であり、時間的に制御可能である出力を提供する。再生可能なエネルギー源と電力ネットワークにより伝統的に依存されたエネルギー源との間のこの違いは、事実上断続的および/または可変であるソーラーパワーおよび風力といった再生可能なエネルギー源の採用に障壁をもたらし得る。
それゆえ、本発明の圧縮気体エネルギー保存および回収システムの態様は、電力ネットワークへの出力を均等化するために、再生可能なエネルギー源と組み合わされ得る。図67は、このような均等化機能の簡略図を示す。
例えば、図67の時間において、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、再生可能な他のエネルギー源の可変出力と固定値Zとの間の差を補うのに十分な出力を提供する。この固定値は例えば、発電資産の所有者とネットワーク運営者との間の契約の期間に基づき決定され得る。
さらに、図67の点Bで始まる時間において、再生可能な発電資産により提供されるエネルギーは、例えば風の完全喪失または接近する暴風雨前線に基づき急激に落ち込む。このような状況下では、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、Bより先の時間、エネルギーを供給するように構成され得る。それは、他の発電資産がより長い時間にわたって置換エネルギーの範囲に増やされ得るまでである。
ある態様において、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、増強プロセスを始めるために置換発電資産に情報を伝達するように構成され得る。このような情報は、インターネットまたはスマートグリッドといった広域ネットワークにより伝達され得、そこでは圧縮気体エネルギー保存および回収システムは置換発電資産と物理的に併設されない。
具体的には、圧縮気体エネルギー保存および回収システムの態様の電力ネットワークへの組み込みはまた、図66に示される。ある態様によれば、圧縮気体エネルギー保存および回収システム6640bは、電力発電資産6610aまたは6610bとして同じ送電ラインに配置された発電層に組み込まれ得る。他の態様において、本発明による圧縮気体エネルギー保存および回収システム6640aは、場合によっては同様のバスバーの後方に、電力発電資産と物理的に併設され得る。
圧縮気体エネルギー保存および回収システムを電力発電資産とともに設置することは、ある利益をもたらし得る。一つのこのような潜在的な利益は、より効率的な作動を許容することにより得られる費用の優位性である。
例えば、ある態様において、圧縮気体エネルギー保存および回収システムのコンプレッサー要素は、物理的連結機構6641を介して電力発電資産の可動部材と物理的に連結し得る。前述のように、特定の態様において、ガスタービンまたは風力タービンの回転翼は、機械的、液圧的、または空気圧的連結機構を介して圧縮気体エネルギー保存および回収システムのコンプレッサーと物理的に連結し得る。
このような連結機構によりもたらされる直接的な物理的連結により、電力はこれらの要素間をより効率的に移動し得る。それにより、動力の電気的な形態への変換に関連するロスを回避できる。この方法において、運転されるガスタービンまたは風力タービンからの動力は、出力の均等化または増強カバレッジの役割において、後の回収のための圧縮気体を保存するように利用され得る。
さらに、圧縮気体エネルギー保存および回収システムの発電資産との併設は、エネルギー流動の他の形態間の効率的な連結をもたらし得る。例えば、エネルギー保存システムのある態様は、熱リンク6642を介して、併設された発電資産と熱連通し得る。いくつかの態様において、圧縮気体エネルギー保存システムによる圧縮気体の膨張の効率性は、発電資産から接続されている熱を利用して亢進され得る。
この方法において、太陽熱発電所からの廃熱は、エネルギー保存システムのチャンバーにおける気体膨張を増強するように活用され得る。ある環境下において、システムと太陽熱発電所は併設され得る。他の態様において、圧縮気体は、引き延ばされた導管を介して発電資産にもたらされ得る。
エネルギー保存システムを発電資産と併設することはまた、液体タンク6644を介したこれらの要素間での実際の液体連通を提供し得る。例えば、エネルギー保存システムがガスタービン発電機と併設される場合、液体リンクは、システムにより保存された圧縮気体が燃焼のためのこのようなガスタービンに直接流されることを許容し、それによりガスタービン運転の効率性が向上する。
エネルギー保存システムを電力発電資産と併設することにより実現され得る他の可能性のある利点は、従来の装置を活用しないでできるということである。例えば、従来の発電資産は典型的には、すでに機械的エネルギーを電力に変換するための発電機を含む。本発明による圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、気体膨張からの動作を電力に変換するための同様の発電機要素を利用し得る。同様に、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、電力をネットワークに伝えるために、電力発電資産の従来のネットワーク(バスバー)との連結を利用し得る。
ネットワークの発電層におけるバスバーの後方にエネルギー保存システムを設置することにより実現され得るさらにもう一つの可能性のある利点は、規制制度の結果もたらされる形態である。発電層の一端として、エネルギー保存システムのネットワークとの接続は、比較的単純であり限られている。具体的には、エネルギー保存システムは単一の接続部分を介してネットワークと接続し、その強度および接続部分を介した電力の流れの方向は、発電機およびエネルギー保存システムの期待される運転に基づくだろう。
エネルギー保存システムを電力発電資産と併設することはさらに、2つの要素間の協調的な動作を促進し得る。具体的には、圧縮気体エネルギー保存システム6640aと、併設された発電資産との間の接続リンク6650は事実上局地的であってもよく、それゆえにより大きなエリアネットワークよりも潜在的に速く、確実である。
エネルギー保存システムと発電資産との間のこのような近接は、保存システムからネットワークに出力される電力と、発電資産からネットワークに出力される電力との間のシームレスな移動を促進する一助となり得る。出力を均等化する役割において、エネルギー保存システムと他の断続的なエネルギー源との間の近接近は、即座に変化するコンディションにおいて力を作り出すために保存システムによる早急でスムースな介在を促進し得る。
ある状況下では所望されるが、本発明による圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、電力発電資産と物理的に併設されることを必要としない。具体的には、インターネットといった広域ネットワークにおける通信の高められた信頼性は、ネットワークの異なる要素間の近接近の必要性を低減させた。
したがって、図66はまた、電力発電資産6610aとして同じ送電ラインに置かれた圧縮気体エネルギー保存および回収システム6640bの実施態様を示す。システム6640bおよび電力発電資産6610aは、有線または無線のネットワークリンク6657と効果的に連結し得る。
例えば、本発明の態様による圧縮気体エネルギー保存および回収システムの一つの潜在的な役割は、ガバナーレスポンスメカニズムを提供することである。それは、別な点で他のエネルギー源のある形態から不足している。具体的には、(蒸気タービンといった)液体の流れを伴う従来の電力発電機は、発電機の測定速度を液流バルブとリンクさせるガバナー装置を含む。ガバナーは、ネガティブフィードバックを提供する形で運転され得、例えば、操作速度が遅すぎるときには液流を促進するようにバルブを開け、操作速度が速すぎるときには液流を制限するようにバルブを閉める。
このような発電機は、自動発電制御(AGC)能を有するように設計され得る。振動数、電圧を安定化するように、または他の補足的な目的のために付加的な力が必要とされる場合、AGCにより、出力における増加または減少を要求するシステムオペレーターからのメッセージがガバナーに直接的に転送され得る。このシグナルは、ガバナー自体の速度および他のコンディションの決定に先んじる。
しかしながら、ある電力発電資産は、本来備わっているAGC能を欠く。例えば、風力タービンによる出力量は、風によるタービン翼の回転速度に基づく。このような回転は、付加的な電圧を供給するための、ガバナーの動作による従来の方法においては加速され得ない。
太陽エネルギーのある形態はまた、本来備わっているガバナーレスポンスメカニズムを欠き得る。例えば、光起電力電池または太陽熱システムの配列から得られるエネルギー量は、典型的には太陽光により影響を受け、付加的な電力に対する需要に合致するように必ずしも即座に増やされなくてもよい。
したがって、本発明による圧縮気体エネルギー保存および回収システムのいくつかの態様は、電力ネットワークの非ガバナー発電資産と組み合わされ得る。このような保存システムは、発電資産にAGC能を与え、およびシステムオペレーターによる電力安定化の要求に反応して即座により多くの電力を自動的に出力して、本質的にガバナーの代わりを努め得る。このような構成は、従来の電力グリッドインフラ内の他のエネルギー源の統合を促進し、エネルギー保存システムの他の電力発電資産との物理的併設を必ずしも必要としないだろう。
このような発電資産と異なる場所にエネルギー保存システムを置くことは、ある環境下では利益となり得る。例えば、再生可能なエネルギー源の部分は、風力または太陽光といった天然資源を利用することにより大きく影響を受ける。結果として、このような他の発電資産は、遠隔地に置かれ得るが、圧縮気体エネルギー保存および回収システムといった併設される要素の調査および維持の費用を増加させる。付加的なコストは、遠隔地から必要とされる場所までの電力の移送に関連し得る。したがって、よりアクセスしやすい場所にエネルギー保存システムを提供することは、運転のコストパフォーマンスを向上させ得る。
発電資産と異なる場所に圧縮気体エネルギー保存および回収システムを置くことはまた、それにより高い柔軟性を与え得る。具体的には、このような遠隔地に置かれたエネルギー保存システムの運転は、必ずしもいかなる特定の発電資産に頼らなくてもよい。このように、図66の圧縮気体エネルギー保存および回収システム6640bは、発電資産6610a、発電資産6610b、またはこれらの両方の増強時期をカバーするために、ネットワークに直ちに電力を供給し得る。
図68は、本発明の態様に従った圧縮気体エネルギー保存および回収システムの一態様の簡略化されたブロック図を示す。具体的には、圧縮気体エネルギー保存および回収システム6801は、気体入口6805と流体連通し、および圧縮気体保存ユニット6803と流体連通するコンプレッサー/膨張機(C/E)6802を備える。
図68は、コンプレッサー/膨張機6802が連結機構6807を介してモーター/発電機(M/G)6804を選択的に物理的に連結していることを示す。運転の第一モードにおいて、モーター/発電機6804はエネルギーを圧縮気体(例えば空気)の形態で保存されることを許容するようにモーターとして作動する。モーター/発電機6804は、外部電源から電力を受け取り、コンプレッサー/膨張機6802をコンプレッサーとして機能させるようにその電力を伝達する。モーター/発電機6804のための一つの可能性のある電力源は、ライン6881を介して電力グリッド6814の分配層の変電機6882と電気的に連結しているメーター6880である。後述に詳細に記載されるように、電力グリッド6814は電力に加えて情報を保有するスマートグリッドであってもよい。
圧縮において、モーター/発電機6804は同様に、連結機構6807を介してコンプレッサー/膨張機6802に電力を伝え、コンプレッサー/膨張機6802がコンプレッサーとして機能するのを許容する。コンプレッサー/膨張機6802は、入口6805から気体を受け取り、気体を圧縮し、圧縮気体を保存ユニット6803に流動させる。
図68はまた、システム6801はまた風力タービンといった第一の(可変の)他のソース6810からエネルギーを受け取るように構成され得ることを示す。ここで、コンプレッサー/膨張機6802は、連結機構6820を介して風力タービン6810と物理的に連結されるように示される。この連結機構は同様に、機械式、液圧式、または空気圧式であってもよい。
連結機構6820により利用可能となる風力タービンの回転翼とコンプレッサー/膨張機との間の直接的な連結は、少ないエネルギーロスで圧縮気体としての十分なエネルギー保存を可能にし得る。風力タービン−圧縮気体保存システムの組み合わせの態様は、同時係属中の米国特許出願第12/730,549号明細書に記載され、これは全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。ある態様において、エネルギー保存システムおよび他のエネルギー源は、物理的連結機構6821により示されるように、一般的な発電機を共有し得る。
ある態様において、他のエネルギー保存源は、独立した発電機を含み、モーターとして運転しているモーター/発電機6804に電力を供給するように連結機構6883を介して電気的な形態でエネルギーを提供し得る。ある態様において、風力タービンにおける独立した発電機は、連結機構6883を介してモーター/発電機6804と電気的に連結し得る。
図68はさらに、圧縮気体エネルギー保存および回収システム6801はまた油または天然ガスのパイプラインといった第二の(送付可能な)ソース6850からエネルギーを受け取るように構成され得ることを示す。システムは、電力を供給するという契約上の責務を果たすために、この送付可能なエネルギー源6850を利用し得る。それは例えば、前の運転が保存された圧縮気体供給を使い果たした場合である。
具体的には、送付可能なソース6850からのエネルギーは、天然ガスタービン、ディーゼルモーター、またはガスモーターといった要素6864により消費され得、モーター/発電機6804を発電機として運転するように連結機構6822を介して駆動し、その結果グリッドに(例えばピークの需要の間)出力するための電力を生成する。他のエネルギー源6850からのエネルギーはまた要素6864により消費され得、コンプレッサー/膨張機6802をコンプレッサーとして運転するように連結機構6885を介して駆動し、その結果、例えばオフピークの需要の間エネルギー回収のために気体を圧縮する。
要素6864はまた、熱交換器6860を介して熱源6862と熱連通し得る。この方法において、要素6864の運転による熱エネルギーは、圧縮気体からのエネルギー回収の間膨張の効率性を向上させ得る。
要素6864がタービン(例えばガスタービン)である場合、ある態様において、それは燃焼プロセスの間保存ユニットからの圧縮気体の膨張を利用し得る。したがって、図68は、液体導管6876およびバルブ6878を介して圧縮気体保存ユニット6803と選択的に流体連通している要素6864を示す。この方法において燃焼のために圧縮気体を利用することは、圧縮気体において保存されたエネルギーの非常に効率的な回収を許容し得る。
ある態様において、コンプレッサー/膨張機6802は、独立したコンプレッサーおよび独立した膨張機を備え得、それは熱エンジンとしてともに運転されるために配置されるように構成される。このような態様において、熱源6862からの熱は、気体保存ユニット6803が枯渇した後もモーター/発電機6804を駆動するように用いられ得る。
ある態様において、エネルギー保存および回収システム6801はまた他の設備6870と併設されてもよく、それは電力の大規模な消費者であってもよい。このような設備の例は、限定されることなく、工場(半導体工程設備を含む)といった製造センター、データセンター、病院、ポート、空港、および/またはショッピングモールといった大規模小売施設を含む。
電力は独立したチャンネル6874を介してシステム6801と設備6870との間で送られ得るが、設備6870およびエネルギー保存および回収システム6801は、電力グリッドとの一般的な接続部分(例えばメーター)を共有していてもよい。電力はチャンネル6874を介してエネルギー保存および回収システムから設備に直接的に送られ得、連続電力供給(UPS)として機能し、または設備が、限定されることなくピークシェービング、負荷均等化、および/または需要応答を含む目標を達成するのを許容する。例えば熱的な、液体による他のリンク(ここでは示されない)および/または接続は、設備とエネルギー保存システムとの間に存在し得、例えば温度制御をもたらす。
第二の運転モードにおいて、圧縮気体において保存されたエネルギーは回収され、コンプレッサー/膨張機6802は膨張機として運転される。コンプレッサー/膨張機6802は圧縮気体を受け取り、この圧縮気体に膨張をもたらし、連結機構6807を介して発電機として機能しているモーター/発電機6804と連結している可動部材を駆動する。モーター/発電機からの電力は、バスバー6872および消費のための送電ライン6812を介して電力グリッドに出力され得る。
前述のように、圧縮または膨張を経験する気体は、いくらかの温度変化を経験する傾向にある。具体的には、気体は圧縮される際には温度が上昇し、膨張する際には温度が下がる傾向にある。
前述のように気体を圧縮および減圧するプロセスは、いくつかの熱的ロスおよび機械的ロスを経験し得る。しかしながら、これらのプロセスは、最小の温度変化で等温近くのコンディションで進行するのであれば、低減された熱的ロスを生じるだろう。このような等温近くの圧縮および/または膨張は、限定されることなく熱交換を実行するための液体注入を含む1または2以上の技術を利用して達成され得る。
したがって、システム6801のコンプレッサー/膨張機装置6802は、1または2以上の熱交換器6860と流体連通しており、それはヒートシンクまたは熱源6862と選択的に熱連通し得る。運転の圧縮モードにおいて、熱交換器はヒートシンクとの熱連通中に置かれ、それは例えば、熱交換器を冷却するために空気を吹き込むファンがある環境である。運転の膨張モードにおいて、熱交換器は熱源との熱連通中に置かれ、それは例えば、大気温度または廃熱のソースである。熱源は、エネルギー源6850を利用して要素6864により生成された熱を受け取り保存するように構成された池のような構造となり得る。
図68の特定の態様は圧縮気体を利用するシステムの形態でのエネルギー保存および回収システムを示すが、本発明はこのようなシステムに限定されない。本発明の他の態様は、電力供給ネットワークの発電資産として、同じバスバーの後方に置かれた、または同じ送電ラインに接続しているエネルギー保存および回収システムの他の形態を利用し得る。このような他のタイプのエネルギー保存および回収システムの例は、限定されることなく、揚水式水力発電、フライホイール、バッテリー、ウルトラキャパシター、熱的保存、化学的保存、浸透圧保存、または超伝導リングを含む。
システム6801の種々の要素は、中央コントローラーまたはプロセッサー6896と連結しており、それは同様にコンピューター読み出し可能保存媒体6894と電気的に連結している。中央コントローラーまたはプロセッサー6896はまた、ノード6818と6828との間の有線接続6816および/または無線リンクを介して電力グリッド6814(例えばスマートグリッド)を連結し得る。中央コントローラーまたはプロセッサー6896はまた、例えばインターネット6822といった他の情報源と連結し得る。
コンピューター読み出し可能保存媒体6894に保存された計算機コードの形態での指示に基づき、コントローラーまたはプロセッサー6896はシステム6801の種々の要素を制御するように運転され得る。この制御は、システムにおける種々のセンサーから受け取ったデータ、データから算出された値、および/または併設されたソースまたは外部ソースを含む種々のソースからコントローラー若しくはプロセッサー6896により受け取った情報に基づき得る。
ある態様において、システムのコントローラーは、発電資産から受け取った指示に基づき運転を開始するように構成され得る。例えば、圧縮気体保存および回収システムは、再生可能なエネルギー発電資産からの断続的な出力を均等化するように電力を供給し得る。このような環境下では、コントローラーは、再生可能なエネルギー発電資産からの可変のまたは断続的な出力を示すシグナルを受け取るように、およびそれに応じて十分な量の電力を生成するように構成され得る。
ある態様において、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、発電資産にシグナルを送り得る。例えば、機能の均等化に携わるシステムは、再生可能なエネルギー発電資産からの長期間の出力ロス(曇天または風力のロスによる)の指示を受け取り得る。このようなイベントの検出において、システムコントローラーは、より長期間のタイムフレームにおいて十分な電力のカバレッジを提供するために他の発電資産に指示するシグナルを送るよう構成され得る。
図68Aは、実施態様に従った圧縮/膨張システムの組み合わせ運転の種々のシステムパラメーターを示す簡略化されたブロック図である。図68Aは、圧縮下ではモーター/発電機6804は外部のソースから電力を受け取り、コンプレッサー/膨張機6802をコンプレッサーとして機能するようにその電力(Win)を送ることを示す。コンプレッサー/膨張機6802は、入口圧力(Pin)で圧縮されていない気体を受け取り、ピストンといった可動要素を利用してチャンバー内で保存のためのより大きな圧力(Pst)に気体を圧縮し、圧縮気体を保存ユニット6803に流動させる。
図68Aはまた、運転の第二モードにおいて圧縮気体に保存されたエネルギーが回収され、コンプレッサー−膨張機6802が膨張機として運転されることを示す。コンプレッサー/膨張機6802は、保存ユニット6803から保存された圧力Pstで圧縮気体を受け取り、その後圧縮気体がチャンバーにおいてより低い出口圧力Poutに膨張することを許容する。この膨張は、発電機として機能するモーター/発電機6804と連結している可動部材を駆動する。コンプレッサー/膨張機からの、モーター/発電機6804に送られた出力(Wout)は同様に、電力グリッドに入力され、消費され得る。
図68Aはまた、圧縮気体保存および回収システムと他の要素との間の可能性のある物理的な連結機構、流体的な連結機構、接続連結機構、および/または熱的連結機構の存在を示す。
図68および図68Aは組み合わせたコンプレッサー/膨張機(C/E)および組み合わせたモーター/発電機(M/G)を有する圧縮気体保存および回収システムの態様を示すが、これは本発明により必須とされない。図68Bは、独立した専用コンプレッサー要素6886および専用膨張機要素6888を各々利用する他の態様を示す。これらは各々、独立した専用モーター要素6887および専用発電機要素6889と連結している。ある態様において、これらの要素は単一の一般的な連結機構を介して物理的に連結され得る。他の態様において、これらの要素は複数の連結機構を介して物理的に連結され得る。さらの他の態様において、モーター6887および発電機6889は単一のモーター/発電機ユニットに組み合わされ得る。
他と同様にこの態様においても、圧縮気体の膨張から回収されたエネルギーは、電気的エネルギーとしてシステムから送られることを必須としない。作動のあるモードにおいて、膨張する気体に由来するエネルギーの全量は、例えば温度制御(例えば加熱または冷却)および/またはコンプレッサーによるより多くの気体の圧縮といった、他の目的のために消費され得る。
図68Cは、本発明の態様による圧縮気体保存および回収システムの他の態様の簡略化されたブロック図を示す。図68Cの態様において、専用コンプレッサー(C)6886、専用膨張機(E)6888、専用モーター(M)6887、および専用発電機(G)6889は、マルチノードギヤシステム6899を介してすべてが互いに選択的に物理的に連結している。このようなギヤシステムの態様は、米国特許出願第12/730,549号明細書に記載された遊星ギヤシステムであり、これは全ての目的のためにその内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
前述の図33A−AAに示したように、遊星ギヤシステムといったマルチノードギヤシステムは、すべての連結機構を同時に、減法的または加法的な方法で作動させ得る。例えば、風が吹いている場合、タービン連結機構からのエネルギーは、発電機への連結機構とコンプレッサーへの連結機構との両方を駆動するように分配され得る。他の例において、風が吹いておりエネルギー需要が高い場合、遊星ギヤシステムは、風力タービン連結機構の出力を膨張機連結機構の出力と組み合わせ、発電機への連結機構を駆動する。
さらに、マルチノードギヤシステムはまた、すべての連結機構よりも少ない動きを提供するように構成され得る。例えば、シャフト3368が回転できない場合、図33Aのシャフト3341の回転は、シャフト3362の回転をもたらし得、その反対も然りである。同様に、シャフト3341の回転はシャフト3368のみの回転をもたらし得、その反対も然りであり、またはシャフト3362の回転はシャフト3368のみの回転をもたらし得、その反対も然りである。この構成は、機械的エネルギーがシステムの二要素間だけで選択的に伝達されることを可能にする。それは例えば、風量タービンが固定のものであり、モーターの出力に基づきコンプレッサーを作動するように所望される場合である。
本発明のある態様は、システムの異なる要素間で機械的エネルギーを移動させるように遊星ギヤシステムシステムを好ましく採用し得る。具体的には、このような遊星ギヤシステムシステムは、種々のモードの運転における連結機構間の異なる相対的な動作を提供する柔軟性を与え得る。
図68Cはマルチノードギヤシステムを有する態様を示すが、これは本発明により必須とされない。他の態様において、システムの種々の要素は、個々の物理的連結機構を介して、またはすべての他の要素より少ない数の要素を共有された物理的連結機構を介して、互いに物理的に連結され得る。
ある態様において、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、圧縮および/または膨張の間熱交換を促進するように液体の注入を利用してもよい。このような熱交換は、圧縮および/または膨張のプロセスの間温度が制御されたコンディション(例えば等温近く)に維持されるようにし得、その結果対応するエネルギーの保存および回収効率が向上する。
圧縮気体エネルギー保存および回収システムの電力ネットワークの発電層への組み込みは、他では増強時間のために無駄にされ得る役割において、存在する発電資産を利用されるようにし得る。例えば、発電資産の潜在的な役割はエネルギー市場に電力を売ることである。
一つのこのような市場では、1時間以上のタイムフレームの間需要と供給のバランスを取るようにエネルギーの販売を行う。このような態様は、存在する発電資産を需要の短期間での変動に合致させるために、ほぼリアルタイムで保存システムから電力を送り得る。これらの変動は自然的な要因により生じ得、例えば可変の再生可能なエネルギー源(例えば風力基地)により供給される電力量の変化である。変動はまた人工的な要因によっても生じ得、例えばエネルギー市場による料金スケジューリングの変動である。
圧縮気体エネルギー保存および回収システムのある態様は、タイムフレームよりも長い間、例えば一日に卸のエネルギー市場に電力を売るために発電資産の増強を促進するように構成され得る。したがって、本発明のエネルギー保存システムの他の潜在的な役割は、発電資産による一日での裁定取引(bulk intraday arbitrage)を促進することであってもよい。
このような役割において、発電資産は、卸の電力が高価である場合に、販売用のエネルギーを増強し提供するために機能するだろう。圧縮気体エネルギー保存システムの存在は、発電資産にこのような一日での裁定取引(bulk intraday arbitrage)の機会に即座に反応することを許容するだろう。
保存システムからの電力は(および後に増強後の発電資産からの電力により置き換えられる)、卸のエネルギー市場に売られ得る。このような圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、独立系発電事業者(IPP)、自家発電、または他の何らかの小売供給事業者(LSE)により所有され作動され得る。
発電資産(その増強が圧縮気体エネルギー保存および回収システムによりカバーされる)の他の潜在的な役割は、再生可能なエネルギーの日周の均等化を実行することである。具体的には、このような発電資産の早急な反応時間は、負荷および送電の有用性によりよくマッチさせるために、変化する再生可能なエネルギー源から即座に需要に切り替えることを可能にするだろう。例えば、風がおさまった場合、圧縮気体からのエネルギーは、ガスタービンが再生可能なエネルギー供給のロスをカバーするように増強されるまで、電力ネットワークを乗り切ることができる。これは、再生可能なエネルギーの信頼性を向上させ、それゆえ再生可能なエネルギーの価値を向上させるだろう。
前述は、回収された電力が卸のエネルギー市場に売られるところの発電資産に分類されるシステムに関連するが、本発明はこのような役割を果たすことに限定されない。他の態様において、エネルギー保存および回収システムは、他のタイプの市場にエネルギーを売ることができ、それは本発明の範囲内に含まれ得る。
圧縮気体から回収された電力を売るためのこのような他の市場の例は、付帯的なサービス(ancillary services)(A/S)市場である。大まかに言って、付帯的なサービス(ancillary services)市場は概して、エンドユーザによる消費以外の目的でネットワークに電力を売ることを意味する。このような目的は、完全性(integrity)、ネットワークの安定性、および提供される電力の質の維持を含む。
付帯的なサービス(ancillary services)市場にエネルギーを提供する能力(最大能力)は通常、市場価格で、一日より短い期間で売られる。独立電力管理機構(ISO)は、このような能力を準備しておくための能力コストを支払う。
現実のエネルギー自体は、ある期間電力を提供するようにネットワークからの要求に応じて売られる。これが起こると、システムの所有者に、販売されたエネルギーの市場価格が支払われる。
一つの付帯的な(ancillary)市場は、ネットワークを作動するために必要とされるリザーブを提供する能力を維持するために存在する。それは、ネットワークの運営者が、ネットワークが将来の需要に合致できることを保証するために、現状の需要以上の電力量を供給することができるよう要求されることである。このようなリザーブは典型的には、過剰供給の割合として算出される。
リザーブの一形態は、偶発的なリザーブである。偶発的なリザーブは、予期されないが考慮される必要のある、あるイベント(偶発事件)に反応して比較的短期間で電力ネットワークにより要求される。このような可能性のある偶発事件の例は、送電層の要素(例えば送電ライン)の不具合、予期しない需要の高まり、または即座に発電要素の出力をシャットダウンする若しくは減らす必要性を含む。
偶発的なリザーブの一形態は、スピンニングリザーブである。このようなスピンニングリザーブは典型的には、極めて即座に利用可能である。スピンニングリザーブは伝統的に、発電ユニットからの出力を増加させる形態をとっており、それは能力以下で、またはある顧客へのサービスの途絶により作動している。このようなリザーブは、“スピンニング”と呼ばれる。即座に需要を満たすためには、発電資産はすでにオンラインにあり、ネットワークの休止と同期する方法(“スピンニング”)で運転し得るからである。
偶発的なリザーブの一形態は、スタンディングリザーブである。スタンディングリザーブは、発電要素がまだ同期的にオンラインとなっていない場合に、スピンニングリザーブよりも長いリードタイムで利用可能である。スタンディングリザーブはまた、対応するより長い期間、ある顧客へのサービスを途絶させる形態をとり得る。
ある態様において、存在する発電資産(その増強時間が本発明による圧縮気体エネルギー保存および回収システムによりカバーされる)は、偶発的なリザーブを提供するように機能し得る。このような発電資産は、ある期間サービス提供者により要求される偶発的な必要電力量を提供する能力を有するだろう。増強カバレッジのための種々の可能性のある役割は、上述にまとめられる。
(付記1)
圧縮気体がチャンバー内に置かれた可動部材を駆動するように膨張することを許容する工程と、
前記可動部材の動作から電力を生成する工程と、
電力ネットワークの発電資産の増強期間に前記電力ネットワークに電力を供給する工程と、
を含む方法。
(付記2)
電力がバスバーを介して前記電力ネットワークに供給され、前記発電資産が前記バスバーを介して前記電力ネットワークと電気的に連結している、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記3)
電力が発電機を介して前記電力ネットワークに供給され、前記発電資産が前記発電機と物理的に連結している、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
(付記4)
電力が前記電力ネットワークの送電ラインに供給され、前記発電資産が前記送電ラインと電気的に連結している、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記5)
前記発電資産がガスタービン発電機、蒸気タービン発電機、またはディーゼル発電機を備える、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記6)
圧縮気体を前記発電資産と熱連通するように置く工程をさらに含む付記1に記載の方法。
(付記7)
前記発電資産を前記圧縮気体のソースと流体連通するように置く工程をさらに含む付記1に記載の方法。
(付記8)
前記可動部材を前記発電資産と物理的に連結するように置く工程をさらに含む付記1に記載の方法。
(付記9)
前記可動部材を前記発電資産と電気的に連結するように置く工程をさらに含む付記1に記載の方法。
(付記10)
圧縮気体がチャンバー内に置かれた可動部材を駆動するように膨張することを許容する工程と、
前記可動部材の動作から電力を生成する工程と、
電力ネットワークの発電資産の断続的な出力を均等化するように前記電力ネットワークに電力を供給する工程と、
を含む方法。
(付記11)
電力がバスバーを介して前記電力ネットワークに供給され、前記発電資産が前記バスバーを介して前記電力ネットワークと電気的に連結している、
ことを特徴とする付記10に記載の方法。
(付記12)
電力が発電機を介して前記電力ネットワークに供給され、前記発電資産が前記発電機と物理的に連結している、
ことを特徴とする付記11に記載の方法。
(付記13)
電力が前記電力ネットワークの送電ラインに供給され、前記発電資産が前記送電ラインと電気的に連結している、
ことを特徴とする付記10に記載の方法。
(付記14)
前記発電資産が再生可能なエネルギーの発電資産を備える、
ことを特徴とする付記10に記載の方法。
(付記15)
前記再生可能なエネルギーの発電資産が風量タービンまたは太陽エネルギーハーベスタを備える、
ことを特徴とする付記14に記載の方法。
(付記16)
圧縮気体を前記発電資産と熱連通するように置く工程をさらに含む付記10に記載の方法。
(付記17)
前記発電資産を前記圧縮気体のソースと流体連通するように置く工程をさらに含む付記10に記載の方法。
(付記18)
前記可動部材を前記発電資産と物理的に連結するように置く工程をさらに含む付記10に記載の方法。
(付記19)
前記可動部材を前記発電資産と電気的に連結するように置く工程をさらに含む付記10に記載の方法。
(付記20)
チャンバー内の気体の膨張に応ずる、前記チャンバー内に収納された可動部材を有する前記チャンバーと、
前記可動部材と物理的に連結し、および電力ネットワークの送電層と電気的に連結している発電機と、
前期発電機が発電資産の増強期間の間前記電力ネットワークに電力を供給するように、前記チャンバーに選択的に流体連通するように構成された圧縮気体保存ユニットと、
を備える装置。
(付記21)
前記発電機および前記発電資産が一般的なバスバーを介して前記送電層と電気的に連結している、
ことを特徴とする付記20に記載の装置。
(付記22)
前記発電資産が電力を生成するように前記発電機と物理的に連結している、
ことを特徴とする付記20に記載の装置。
(付記23)
前記発電機および前記発電資産が一般的な送電ラインを介して前記送電層と電気的に連結している、
ことを特徴とする付記20に記載の装置。
(付記24)
前記チャンバーと前記発電資産との間に熱的連結機構をさらに備える付記20に記載の装置。
(付記25)
前記圧縮気体保存ユニットと前記発電資産との間に液体連結機構をさらに備える付記20に記載の装置。
(付記26)
前記発電資産がガスタービンを備える、
ことを特徴とする付記25に記載の装置。
(付記27)
前記圧縮気体保存ユニットと流体連通しているコンプレッサーをさらに備える付記20に記載の装置。
(付記28)
前記発電資産と前記コンプレッサーとの間の物理的連結機構をさらに備える付記27に記載の装置。
(付記29)
前記可動部材と電気的に連結し、および前記発電資産と電気的に連結しているコントローラーをさらに備える付記27に記載の装置。
(付記30)
チャンバー内の気体の膨張に応ずる、前記チャンバー内に収納された可動部材を有する前記チャンバーと、
前記可動部材と物理的に連結し、および電力ネットワークの送電層と電気的に連結している発電機と、
前期発電機が発電資産の断続的な出力を均等化するために前記電力ネットワークに電力を供給するように、前記チャンバーに選択的に流体連通するように構成された圧縮気体保存ユニットと、
を備える装置。
(付記31)
前記発電機および前記発電資産が一般的なバスバーを介して前記送電層と電気的に連結している、
ことを特徴とする付記30に記載の装置。
(付記32)
前記発電資産が前記発電機と物理的に連結している、
ことを特徴とする付記31に記載の装置。
(付記33)
前記発電機および前記発電資産が一般的な送電ラインを介して前記送電層と電気的に連結している、
ことを特徴とする付記30に記載の装置。
(付記34)
前記圧縮気体保存ユニットと流体連通しているコンプレッサーをさらに備える付記30に記載の装置。
(付記35)
前記発電資産と前記コンプレッサーとの間の物理的連結機構をさらに備える付記30に記載の装置。
(付記36)
前記発電資産がガスタービンを備える、
ことを特徴とする付記35に記載の装置。
(付記37)
前記チャンバーと前記発電資産との間に熱的連結機構をさらに備える付記30に記載の装置。
(付記38)
前記可動部材と電気的に連結し、および前記発電資産と電気的に連結しているコントローラーをさらに備える付記30に記載の装置。
圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、メーターの後方にあるエンドユーザとともに、電力供給ネットワークの範囲内に包含され得る。そのようなエネルギー保存および回収システムは、電力供給および/または温度調節の役割に機能し得る。ある態様においては、圧縮気体の膨張から回収されるエネルギーは、エンドユーザを冷却するために用いられ得る。いくつかの態様によれば、気体の圧縮から生成される熱が、加熱のために用いられ得る。電力供給として機能する際、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、エンドユーザのために無停電電源供給(UPS)として機能し得て、および/または、エンドユーザにピークシェービングを実行させる、および/または、需要反応プログラムに参加させる、ように電力を供給するために機能し得る。
本発明の態様によれば、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、エンドユーザのメーターの後方にある電力供給ネットワークの範囲内に包含され得る。ある態様においては、気体の圧縮によって生み出されたエネルギー、もしくは気体の膨張から(および、他の熱源からおそらく補完される)回収されたエネルギーは、エンドユーザの温度調節(たとえば、冷却および/または加熱)をもたらすように用いられ得る。
そのような温度調節機能のためのいくつかのパラメーターの例が、図60として示される表に記載されている。
ある態様においては、消費層内部に位置する圧縮気体エネルギー保存システムは、エンドユーザの完全もしくは部分的な必要性を満たすように電力供給をもたらし得る。そのような電力供給役割の例は、以下に限定されるものではないが、無停電電源供給(UPS)として、エンドユーザに日々の取引に携わせる電力供給(すなわち、低価格の際におけるネットワークからの日々の電力の購買)として、エンドユーザを需要反応プログラムに参加させる電力供給として、エンドユーザに歴史的なピーク水準以下に消費を低減させる電力供給として、および/または、変動期の間に電力を供給する電力供給として、もしくは、たとえば、風力タービンもしくは太陽電池(PV)アレイのような再生可能エネルギー源からの間欠的な供給として、機能することを含む。
そのような電力供給機能のいくつかのパラメーターの例が図62として示される表に記載される。
小さなエンドユーザの例は、個人住宅もしくは小企業を含む。中規模エンドユーザの例は、たとえば、病院、オフィスビル、大規模店舗、工場、もしくはデータ保存センターのような、より多くの電力を消費し、および/または、温度調節をするユーザを含む。大規模エンドユーザは、たとえば、ショッピングモール、居住分譲地、学問または管理キャンパス、もしくは、たとえば空港、港、鉄道のような交通の要衝などの複数の個別の団体に占められるユーザを含み得る。
図66は、圧縮気体保存システムの様々な態様の電力ネットワークへの包含を示す。図66は、ある態様においては、圧縮気体エネルギー保存および回収システム6640aが、エンドユーザ6606aとともにあるメーター6634aの後方にある消費層に包含され得る。そのような構成においては、複数の異なるタイプの連結機構6650(以下に限定されるものではないが、物理的、熱的、電気的、流体的、および/または通信を含む)が、エンドユーザと、エネルギー保存および回収システムとの間に存在し得る。
図66はまた、他の態様において、本発明に係る圧縮気体エネルギー保存および回収システム6640bは、エンドユーザ6606bと、1つ以上の局所電源6655との両方を備えるメーター6634bの後方に併設され得る。そのような局所電源の例は、以下に限定されるものではないが、風力タービン、および、屋上太陽電池(PV)アレイおよび/または太陽熱システムのような太陽エネルギー利用装置を含む。そのような構造においては、複数の異なるタイプの連結機構6650(以下に限定されるものではないが、物理的、電気的、通信、熱的、および/または流体的)は、エンドユーザとエネルギー保存および回収システムとの間、エンドユーザと局所発電機との間、および/または、エネルギー保存および回収システムと局所電源との間に存在し得る。
図69は、本発明の一態様に係る圧縮気体エネルギー保存および回収システムの一態様の簡素化されたブロック図を示す。具体的には、圧縮気体保存および回収システム6901は、エンドユーザ6950およびメーター6992と電気的に連結するように構成されたモーター/発電機(M/G)6904を備える。
モーター/発電機(M/G)6904は、物理的な連結機構6921およびクラッチ6922を通して、専用コンプレッサー(C)6902と選択的に物理的に連結する。モーター/発電機(M/G)6904はまた、連結機構6923およびクラッチ6924を通して、専用膨張機(E)6905と選択的に物理的に連結する。
専用コンプレッサー(C)6902は気体入口6903と選択的に流体連通する。専用コンプレッサーの気体出口6947は、逆流熱交換器6928および一方向バルブ6909を通して、圧縮気体保存ユニット6932と選択的に流体連通する。
ある態様においては、圧縮気体保存ユニット6932は、熱源と選択的に連通し得る。たとえば、圧縮気体保存ユニットは、太陽と熱連通するように位置どられ得て、日中の間にそれが太陽エネルギーを吸収する。ある態様においては、保存ユニットは、たとえば暗く着色された塗料のような熱エネルギーの吸収を促進する材料で覆われ得る。
ある態様においては、圧縮気体保存ユニットは、たとえばガラスのような視覚的に透明な障壁の背後で太陽と熱連通するように位置どられ得る。障壁が太陽光から赤外線放射(IR)を捕まえるのに役立ち得ることによって、日中における圧縮気体の加熱をさらに強化する。
専用膨張機(E)の気体入口6949は、逆流熱交換器6928および一方向バルブ6911を通して、圧縮気体保存ユニット6932と選択的に流体連通する。専用膨張機は、気体出口6907と選択的に流体連通する。
上述のように、本発明の態様は、制御された温度範囲の条件下での気体の圧縮および膨張を利用する効率的なエネルギー保存および回収を実現するために導入される液体との熱交換を用いる。ある態様においては、これらの制御された温度条件は、近等温での気体の圧縮もしくは膨張に至り得る。
システム内部に現存する熱エネルギーは、さまざまな熱的連結機構を通して伝達され得る。本発明の態様に係る熱的連結機構は、ある物理的位置から他の物理的位置への熱エネルギーの伝導を可能にする様々な組み合わせで構成される1つ以上の要素を備え得る。熱的連結機構の可能な要素の例は、以下に限定されるものではないが、液流導管、気流導管、ヒートパイプ、熱交換器、環状ヒートパイプ、および熱サイフォンを含む。
たとえば、専用コンプレッサーは、熱的連結機構6961を通して熱シンク6962と選択的に熱連通し得る。この熱的連結機構によって、圧縮気体から、温かさの形態で、熱エネルギーの伝導が可能になり得る。
専用膨張機は、熱的連結機構6964を通して、熱源6988と選択的に熱連通し得る。この熱的連結機構によって、膨張気体から、冷たさの形態で熱エネルギーの伝導が可能になり得る。
専用コンプレッサーは、圧縮気体から温かさの形態で熱エネルギーを伝導するように構成された熱的連結機構6963を含む。温かさの形態でのこの熱エネルギーは、選択的に、スイッチ6984を通してシステム外へ流出され得るか、もしくは熱的連結機構6982を通してエンドユーザに流れ得る。ある態様においては、熱的連結機構6982は、圧縮気体それ自身の形態で熱を運び得る。ある態様においては、熱的連結機構は、圧縮気体と熱を交換してきた流体の形態で熱を運び得る。
専用膨張機は、膨張気体から冷たさの形態で熱エネルギーを伝導するように構成された熱的連結機構6973を含む。冷たさの形態でのこの熱エネルギーは、選択的に、スイッチ6981を通してシステムから流出され得るか、もしくは熱的連結機構6980を通してエンドユーザに流れ得るかのどちらかである。ある態様においては、熱的連結機構6973は、膨張気体それ自体の形態で冷たさを運び得る。ある態様においては、熱的連結機構は、膨張気体と熱を交換してきた液体の形態で冷たさを運び得る。
ある態様においては、熱的連結機構6980および6982は、エンドユーザにおいて、現存する暖房、換気、および空調(HVAC)システムと調和するように構成され得る。そのような標準的なHVACシステムの例は、以下に限定されるものではないが、以下の製造者から利用可能なものを含む。AAON、Addison Products Company、Allied Thermal Systems、American Standard、Armstrong Bard、Burnham、Carrier、Coleman、Comfortmaker、Goodman、Heil、Lennox、Nordyne、Peake Industries Limited、Rheem、Trane、およびYork International。
典型的なタイプの家庭用HVACシステムは、空調装置、熱ポンプ、一体型ガス・電気、一体型熱ポンプ、一体型空調装置、一体型二元燃料、空気ハンドラ、および炉を備え得る。典型的なタイプの業務用HVACシステムは、Puron(登録商標)冷媒を用いる一体型屋上ユニットを含む一体型室外ユニット、R−22冷媒を用いる一体型屋上ユニット、および100%屋外専用空気ユニットを備え得る。屋内で一体化される業務用HVACシステムは、屋内内蔵式ユニット、水熱源ヒートポンプ、および一体型ターミナル空調装置を含む。
業務用HVACシステムはまた、一体型スプリットシステムの形態でもあり得る。例は、スプリットシステム(6から130トン)、スプリットシステム(1.5から5トン)、コンデンサー、ダクトフリーシステム、炉、およびコイルを含む。
冷却装置の例は、以下に限定されるものではないが、空冷冷却装置、水冷冷却装置、コンデンサーレス冷却装置を含み、コンデンサーおよび他の冷却要素を含み得る。
空気側の装備は、以下に限定されるものではないが、エアハンドラ、エアターミナルコイル、ファンコイル、熱/エネルギー回収ユニット、誘導ユニット、地下空気分配システムおよびユニット通風機を含む。熱的装備の例は、以下に限定されるものではないが、ボイラーおよび炉を含む。
多くの態様において、熱的連結機構は、流体の流れの環(loop)もしくは環(circuit)の一部である流体導管を備え得る。ある態様においては、エンドユーザの直接的または間接的な熱によって冷却された(または、エンドユーザの直接的または間接的な冷たさによって加熱された)流体がシステムに戻り得る。
そのため、ある態様においては、コンプレッサーから出てきた加熱された液体は、ヒートシンク(熱を必要とするエンドユーザであり得る)に露出された後でコンプレッサーに循環されて戻り得る。同様に、膨張機から出てきた冷却された液体は、熱源(冷却を必要とするエンドユーザであり得る)に露出された後で膨張機に循環されて戻り得る。両方のケースにおいて、熱的露出は、1つ以上の熱交換構造を通して起こり得る。
ある態様においては、膨張機から出てきた冷却された気体は、冷却を要するエンドユーザの形態で熱源に露出された後でコンプレッサーに循環されて戻り得る。同様に、コンプレッサーから出てきた加熱された気体は、加熱を要するエンドユーザの形態でヒートシンクに露出された後で膨張機に循環されて戻り得る。そのような場合、熱的露出は、1つ以上の熱交換構造を通して起こり得る。
さらに、熱的連結機構は単一の要素を備えなくてもよい。さまざまなタイプの熱交換器を用いて、液管を通して流れる液体から、気体管を通して流れる気体に(もしくはその逆に)、熱エネルギーが伝導され得る。そのような熱交換器は、もともとの熱交換の場所からエンドユーザの内部にまで範囲をもつ様々な異なる位置に配置され得る。ある態様においては、熱的連結機構の1つ以上の構成要素がヒートパイプを備え得て、そこで流体が気体と液体との間で相を変える。
図69A〜Dは、熱的連結機構がエンドユーザと調和し得る様々な方法を例証する簡素化された図である。図69Aは、熱的連結機構6957が冷たい液体を運ぶことを特徴とし、エンドユーザ構成要素6950が熱的連結機構における冷たさが空気に伝導されることを特徴とする熱交換器6951を備える態様を示す。
いくつかの態様においては、空気はプレナム6952を通して動き、その後、エアダクトカップリング6953に入る。ある態様においては、空気は、熱交換器からカップリングに直接動く。
次に、冷たい空気が、ある工業標準に合致するように設計され得る、暖房、換気、および空調(HVAC)システム6954に入る。熱交換器を通ってその通路によって暖められた液体は、連結機構6955を介してエンドユーザ構成要素6950に存在する。ある態様においては、この連結機構は、暖められた液体をシステムに循環して戻し得る。
本発明は、図69Aに示す具体的な態様に限定されない。たとえば、ある態様においては、熱の流れが逆向きであり得る。連結機構6955は、熱い液体を熱交換器に運び、空気をエアプレナム内で暖め得る。次に、熱い空気は、HVACシステムと接続されたエアダクトを通して伝えられる。熱交換器を通ってその通過の間に冷却された液体は、熱的連結機構6957を介してエンドユーザ構成要素6950に存在する。
図69Bは他の態様を示し、その態様においては、上述したように、熱的連結機構6957が冷たい空気を運び、エンドユーザ構成要素6950が、HVACシステム6954に繋がるエアダクトカップリング6953と、HVACシステム6954から熱的連結機構6955までHVACシステムによって拒絶された暖かい空気を運ぶエアダクトカップリング6956と、を備える。
代わる代わる熱的連結機構6955が熱い空気を運び、エンドユーザ構成要素6950が、上述のようなHVACシステムに繋がるエアダクトカップリングと、HVACシステムから熱的連結機構6957へのエアダクトカップリングと、を備える。この連結機構6957は、HVACシステムによって拒絶された冷却された空気を運ぶ。
図69Cは他の態様を示し、その態様においては、熱的連結機構6957が冷たい空気を運び、エンドユーザ構成要素6950が、上述のようにHVACシステム6954に繋がるエアダクトカップリング6953に接続された除湿器6958と、HVACシステムから熱的連結機構6955までのエアダクトカップリング6956と、を備える。連結機構6955は、HVACシステムによって拒絶された暖かい空気を運ぶ。
図69Dはさらなる他の態様を示し、その態様においては、熱的連結機構6957が冷たい液体を運び、エンドユーザ構成要素6950がパイプカップリング6959を備える。
パイプカップリングは、たとえばスーパーマーケットにある冷蔵ケースのような冷却機器(chiller load)6999に接続される。冷却機器を通して通路によって暖められた液体はパイプカップリングを通過し、熱的連結機構6955を介してエンドユーザ構成要素6950を出る。
上述のように、本発明の態様は、熱エネルギーを伝えるためにガスダクトコネクションを用い得る。たとえば、図69Aの態様の熱交換装置は、エアダクトコネクションを介して、プレナムを通して、HVACシステムに熱いもしくは冷たい空気を伝え得る。図69Bの態様においては、熱的連結機構は、エアダクトコネクションを介して、HVACシステムに、熱いもしくは冷たい空気を直接伝えるように構成され得る。図69Cの態様においては、熱的連結機構は除湿器に冷たい空気を供給するように構成され得て、エアダクトコネクションを介してHVACシステムに接続され得る。熱的連結機構は、エアダクトコネクションを介して、HVACシステムから熱い空気を受け取るように構成され得る。
本発明の態様に係るそのようなガスダクトコネクションは、以下のダクトコネクション構成要素のうち1つ以上から形成される配管を備え得る。液体封止材を含む配管封止材、マスチック、ガスケット、テープ、ヒートアプライド(heat applied)材料、マスチックおよび埋め込み構造組み合わせ(fabric combination)。そして、以下に限定されるものではないが、スタンディング駆動スリップ(standing drive slip)、スタンディングS(standing S’s)、コンパニオンアングル(companion angle)、フランジ目地補強、スリップオンフランジ目地補強、スタンディング継目目地補強、および溶接フランジ目地補強を含む旋回目地補強を備え得る。そして、以下に限定されるものではないが、非金属ダクトクランプ、メタルクランプ、カラー(スピンイン、張り出し(flared)、蟻継ぎ(dovetail)、スピンイン円錐、スピンイン直線、4インチスリーブ、および最低2インチのダクトにおけるカラー)を含むフレキシブルダクトコネクタを備え得る。そして、以下に限定されるものではないが、タイプre1:半径エルボ(radius elbow)、タイプre2:ベーン付スクエアスロートエルボ(square throat elbow)、タイプre3:ベーン付半径エルボ,タイプre4:ベーン付4スクエアスロートエルボ(4 square throat elbow)、タイプre5:二重半径エルボ(dual radium elbow)、タイプre6:マイターエルボ、タイプre7:45°スロート(throat)、45°ヒール(heel)、タイプre8:45°スロート、半径ヒール(radius heel)、タイプre9:45°スロート、90°ヒール,タイプre10:半径スロート、90°ヒールを含むフィッティング(fitting)を備え得る。
配管は、鈑金・空調契約業者協会(SMACNA)のHVAC配管工事基準:金属およびフレキシブル(2005)の基準に適合し得て、全ての目的のためにその全てがここに参照として包含される。
本発明の態様に係る様々なタイプの配管が、低圧から、1000パスカルと同じ圧力までの圧力範囲にわたる気体を運ぶために用いられ得る。ある態様においては、配管は亜鉛メッキ鋼を備え得る。その配管は、鋼板、亜鉛被覆(溶融亜鉛メッキ)、G90亜鉛被覆の一般要求事項のためのASTM A525の仕様に決められている質を備える。
ある態様においては、配管は、らせん、円形、および平たい楕円形の配管およびフィッティングを備え得る。ある態様においては、配管は、らせん配管を備え、製造者が出版する寸法公差基準で校正され得る。350mm(14インチ)以上のらせん配管は、追加された強度および剛性に波形をつけ得る。らせん継ぎ目のずれはフラット継ぎ目によって抑制され、らせん継ぎ目に沿うような間隔のくぼみが機械的に形成され得る。
いくつかの態様においては、配管は製造されたフランジ配管ジョイントを含み得て、その例は以下に限定されるものではないが、ガスケット式のテンションリング、もしくは補強フランジおよびガスケットタイプを含む。承認基準の例は、以下に限定されるものではないが、ダクトメイト(DUCTMATE)、ネクサス(NEXUS)、およびマクギルエアフローフランジ/フープコネクタ(McGill Airflow Flange/Hoop Connector)、スパイラルメイト(SPIRALMATE)、もしくはオーバルメイト(OVALMATE)を含む。
様々な封止剤が用いられ得る。ある封止剤のタイプは水性ポリマーで、不燃性の高速配管封止化合物を用いる。NFPA90Aおよび90Bの要求を満たし得る封止剤もある。封止剤は耐油性であり得る。封止剤は、ULクラス1にリストアップされたものであり得る。
封止剤は、−7℃から+93℃まで(20°Fから+200°Fまで)の温度範囲を有し得る。封止剤用の承認基準は、DYN−O−SEAL(−40°Fから+200°Fまで)、フォスター32−17、およびフォスター32−19を含む。
さまざまなテープが用いられ得る。一つの例がPVC処理で、不燃性の、目の粗い(ガーゼ)繊維ガラステープである。テープはULにリストアップされ得る。
ある態様においては、テープは50mm(2.5インチ)の幅を有し得る。承認基準は、DURODYNE FT−2、およびHARDCAST FS−150を含む。
配管は、多くの方法で取り付けられ得る。配管は、SMACNAの基準に従って取り付けられ得る。
圧力構造(pressure construction)がある態様において用いられ得る。低圧配管構造分類が以下の表に与えられる。
配管構造、シートゲージ、補強および支持の等級は機能に従い得て、以下のように述べられる。
・ファンの吐出側からの給気配管:750パスカル(3 in WG)等級。
・ファンの吸い込み側の戻り空気配管:250パスカル(1 in WG)等級。
・ファンの吐出側の排気配管:250パスカル(1 in WG)等級。
・ファンの吸い込み側の排気配管:500パスカル(2 in WG)等級。
配管封止の構造は以下のようになり得る。
・ファンの吐出側からの給気配管:封止分類A。
・ファンの吐出側の戻り空気配管:封止分類B。
・ファンの吸い込み側の戻り空気配管:封止分類B。
・ファンの吐出側の排気配管:封止分類B。
・ファンの吸い込み側の排気配管:封止分類B。
本発明に係る態様はフレキシブル配管を用い得る。そのようなフレキシブル配管用に適用される基準は、以下に限定されるものではないが、以下の最新版を含む。
・UL181。
・全米防火協会(NFPA)90Aおよび90B。
・フレキシブル配管用のSMACNA設置基準。
本発明に係って用いられるフレキシブル配管の態様は、最大延焼レーティングが25であり、最大煙蔓延レーティングが50であり得る。
本発明に係って用いられるフレキシブル配管の態様は、工場で組み立てられた半剛体で絶縁されていないアルミニウム配管を備え得る。フレキシブル配管はらせん状に巻かれ、三重シーム継ぎと機械的に接続され得る。配管間のその継ぎ目は、連続的な気密で漏れ防止されたジョイントを形成し得る。配管はULクラス1にリストアップされ得る。
ある態様においては、フレキシブル配管は以下の運転特性の1つ以上を示し得る。
・約2500パスカルの最大正圧(10 in WG)。
・約250パスカルの最大負圧(1 in WG)。
・約20.3m/秒(4000フィート/分)の最大気体速度。
・約−50℃から320℃(−60°Fから600°F)の温度範囲。
いくつかの態様によれば、断熱フレキシブル配管が用いられ得る。ある態様は、工場で組み立てられた半剛体断熱アルミニウム配管を備え得る。断熱フレキシブル配管はらせん状に巻かれ、三重シーム継ぎと機械的に接続され得る。断熱フレキシブル配管は、連続的な気密で漏れ防止されるジョイントを形成するように継ぎ目を用い得る。断熱フレキシブル配管は、リストアップされたULクラス1であり得る。断熱フレキシブル配管は、(ポリエチレンスリーブ)防湿材によって覆われた25mm(1インチ)の工場で被覆された繊維ガラス断熱であり得る。
ある態様においては、断熱フレキシブル配管は、以下の性能特性の1つ以上を示し得る。
・約0.24 Btu/h/ft2°F以下の最小熱的損失/利得。
・約2500パスカルの最大正圧(10 in WG)。
・約250パスカルの最大負圧(1 in WG)。
・約20.3m/秒(4000フィート/分)の最大気体速度。
・約−40°Fから250°Fの間の気体温度範囲。
本発明の態様に係るフレキシブル配管は、約3m(10フィート)以下である、天井コンセントを供給するフレキシブル配管の長さで設置され得る。ある態様においては、封止化合物および/またはテープが、鋼板とフレキシブル配管との間の接続ポイントで用いられ得る。さらなる機械的接続が鋼板ネジを用いてなされ得る。フレキシブル配管のさまざまな態様は、1つの配管の直径よりも大きな中心線半径を有するカーブを有し得る。
ある態様においては、熱エネルギーは、液体を運ぶように構成された連結機構を用いて伝導され得る。たとえば、図69Aの態様は、熱交換装置を通して、冷たい液体および熱い液体を運ぶように構成された熱的連結機構を含む。図69Dの態様は、液体配管接続を介して、冷却装置に冷たさおよび/または熱を直接的に運ぶように構成された熱的連結機構を用いる。
本発明の態様に係るそのような液体配管接続は、1つ以上の構成要素から形成され得て、以下に限定されるものではないが、たとえばフィッティングのようなパイプ封止材(銅、黒管、黄銅、亜鉛メッキ鋼板、もしくはPVCから形成され得る)、ニップル(銅、黒管、黄銅、亜鉛メッキ鋼板、もしくはPVCから形成され得る)、ハブなしカップリング(no hub coupling)、パイプクランプ、およびパイプハンガーインサート(pipe hunger insert)を含む。
様々なタイプの鋼管が、液体配管のために用いられ得る。例は、スケジュール40に従うNPS 2 およびそれ以下で継ぎ目なし、スケジュール40に従うNPS 2 1/2〜3の継ぎ目なしもしくは電気抵抗溶接(ERW)、およびスケジュール40に従うNPS 4〜8のERWを含む。適用規格は、ASTM A53もしくはA135のグレードBを含む。
様々なジョイントが、液体配管パイプを接続するために用いられ得る。スレッドジョイントの例は、ANSI B1.20.1標準に準拠して化合物を結合させるテーパー状配管スレッドとテフロン(登録商標)テープもしくは粉末鉛ペーストを用いるNPS 2およびそれ以下、もしくはASME B16.39標準に準拠する黒可鍛鉄、ブロンズフェース、グランドジョイントを備えるユニオンである。NPS 2およびそれ以上のスレッドジョイントもまた用いられ得る。
溶接ジョイントもまた液体配管パイプを接続するために用いられ得る。溶接ジョイントの例は、ANSI B16.11標準に準拠するソケット溶接フィッティングを用いるNPS 2およびそれ以下を含む。NPS 2 1/2およびそれ以上のためのジョイントは、CSA W47.1−1983に従う平面座フランジ、ANSI B18.2.1、B2.2.2に従うフランジボルトおよびナット、およびフランジガスケットを含み、ガスケットはANSI B16.21、B16.20、A21.11に準拠する1.6mm(1/16インチ)厚さの弾性シートもしくは他の好適な材料である。
溝付きジョイントもまた液体配管パイプを接続するために用いられ得る。溝付きジョイントの例は、EPDMガスケットを有する固定カップリングを備えた機械的ロールジョイント(joint rolled)もしくは溝彫り基準(cut grooved standard)を用いるNPS 2 1/2およびそれ以上を含む。承認基準はVictaulicおよびGruvlockを含む。適用規格はCSA B242−M1980である。
様々なタイプのフィッティングが、約1035キロパスカル(150psi)までの圧力を経験することを予期される液体配管のために用いられ得る。この圧力範囲内でのNPS 2およびそれ以下のためのスレッドフィッティングは、ANSI B16.3標準に準拠するクラス150のスレッド可鍛鉄、およびASME B16.39標準に準拠する黒可鍛鉄、ブロンズフェース、グランドジョイントのユニオンを含む。
1035キロパスカル(150psi)までの圧力を経験することを予期される液体配管のための溶接フィッティングは、クラス150の鍛鋼、平面座パイプフランジ、溶接首(weld neck)または差し込み、もしくは鍛鋼突き合わせ溶接タイプを含み、配管に合うような壁厚を有するNPS 2 1/2およびそれ以上である。承認基準は、Weldbend、Tube Turns、およびBonney Forgeを含む。適用規格は、ANSI B16.5である。
1035キロパスカル(150psi)までの圧力を経験することを予期される液体配管のための溝付きフィッティングは、ASTM A47−77標準に準拠する可鍛鉄を用いるか、ASTM A536−80標準に準拠する延性鉄を用いる、NPS 2 1/2およびそれ以上を含む。承認基準は、VictaulicおよびGruvlockを含む。
様々なタイプのフィッティングが、約2070キロパスカル(300psi)までの圧力を経験することを予期されて液体配管のために用いられ得る。NPS 2およびそれ以下のスレッドフィッティングは、ANSI B16.3標準に従うクラス300のスレッド可鍛鉄を用い得る。
溶接フィッティングもまた、より高い圧力を経験することを予期されて配管のために用いられ得る。NPS 2およびそれ以下用には、ANSI 16.11標準に準拠するBonney ForgeおよびAnvil(Grinnell)の承認規格とともに、クラス300の鍛鋼の溶接フィッティングが用いられ得る。クラス300の鍛鋼、ブロンズフェース、MSS−SP−83標準に従うグランドジョイントを備えるユニオンもまた用いられ得る。
NPS 2 1/2およびそれ以上用には、クラス300の鍛鋼、平面座パイプフランジ、溶接首もしくは差し込みが用いられ得る。配管に合うような壁厚を有する鍛鋼突き合わせ溶接タイプもまた用いられ得る。承認基準は、Weld Bend、Tube Turns、およびBonney Forgeを含む。適用規格は、ANSI B16.5を含む。
溝付きフィッティングもまた、この圧力範囲のために用いられ得る。NPS 2 1/2およびそれ以上は、ASTM A47−77標準に準拠する可鍛鉄を用い得るか、もしくはASTM A536−80標準に準拠する延性鉄を用い得る。承認基準は、VictaulicおよびGruvlockを含む。
溶接分岐接続フィッティングもまた、全ての配管サイズのために、より高い圧力用に用いられ得る。分岐フィッティングが溶接されるパイプラン(pipe run)の最小厚さである壁厚とともに、これらのフィッティングが鍛鋼であり得る。承認基準は、Bonney Forge ”O−let”フィッティング、およびAnvil(Grinnell)”Anvilet”フィッティングを含む。フィッティングは、ANSI B31.1標準に準拠し得る。
様々なバルブのタイプが加熱および冷却のために用いられる液体配管に用いられ得る。ゲートバルブは、約1035キロパスカル(150psi)までの圧力用に用いられ得る。NPS2およびそれ以下用に、ブロンズボディ、スクリューボンネット、ソリッドウェッジディスクを備えるクラス150の上昇弁棒とバルブがはんだ付けされ得る。承認基準はKitz 44である。
この圧力範囲においては、スレッドゲートバルブもまた用いられ得て、それは、ブロンズボディ、スクリューボンネット、ソリッドウェッジディスクを備えるクラス150の上昇弁棒を備え得る。承認基準はKitz 24である。NPS 2およびそれ以下用のスレッドバルブは、MSS SP−80標準および/またはANSI/ASME B16.34標準に準拠し得る。
NPS 2 1/2およびそれ以上用に、フランジゲートバルブがこの圧力範囲において用いられ得て、それは、全面座フランジ、鋳鉄ボディ、ブロンズトリム、ソリッドウェッジディスク、ボルテッドボンネット、OS&Yを備えるクラス125の上昇弁棒を含む。承認基準はKitz 72である。フランジゲートバルブは、MSS SP−70標準および/またはANSI/ASME B16.5標準に準拠し得る。
2070キロパスカル(300psi)までの圧力用に、ボールバルブが用いられ得る。NPS 2およびそれ以下用に、そのようなボールバルブははんだ付けされるか、ねじ山をつけられる。はんだ付けされたボールバルブは、最低600psi WOGの2つのブロンズもしくは黄銅のボディ、フルポートのクロムめっきブロンズもしくはステンレス鋼ボール、PTFEシートおよびシール、耐噴出弁棒を備え得る。承認基準は、Kitz 59である。スレッドボールバルブは、最低600psi WOGの2つのブロンズもしくは黄銅のボディ、フルポートのステンレス鋼ボール、PTFEシートおよびシール、耐噴出弁棒を備え得る。承認基準は、Kitz 58である。そのようなボールバルブは、ANSI/ASME B16.34標準に準拠し得る。
NPS 2 1/2〜12用には、バタフライバルブが用いられ得る。そのようなバタフライバルブの一例は、溝が彫られており、長首構造の可鍛もしくは延性鉄ボディ、アルミニウムブロンズディスク、93℃(200°F)の作業温度のためのEPDMグレード”E”のライナーを備えたクラス150である。承認基準は、Victaulicシリーズ300である。バルブは、ANSI/ASME B16.34標準もしくはANSI/ASME B16.5標準に準拠し得る。
4100キロパスカル(600psi)までの圧力用には、ボールバルブが用いられ得る。NPS 2〜4用に、ボールバルブは溝が彫られており、600psi WOG、延性鉄ボディ、ステンレス鋼のボールおよび弁棒、スタンダードポート、特定されたロックシールド、TFEシートおよびシールを備え得る。承認基準は、Victaulicシリーズ721およびGruvlokである。ボールバルブは、MSS SP−70標準もしくはANSI/ASME B16.5標準に準拠し得る。
1035キロパスカル(150psi)までの圧力用に、スイングチェックバルブが用いられ得る。NPS 2およびそれ以下は、はんだ付けもしくはスレッド付のスイングチェックバルブを用い得る。はんだ付けされたスイングチェックバルブは、Kitz 30−の承認基準とともに、クラス150で、Yパターンブロンズボディ、ブロンズスイングディスク、インテグラルシート、スクリューインキャップ(screw in cap)であり得る。スレッドスイングチェックバルブは、Kitz 29の承認基準とともに、クラス150で、Yパターンブロンズボディ、ブロンズスイングディスク、インテグラルシート、スクリューインキャップであり得る。そのようなはんだ付けされた、もしくはスレッドのスイングチェックバルブは、MSS SP−80標準および/またはANSI/ASME B16.34標準に準拠し得る。
NPS 2 1/2およびそれ以上は、全面座フランジ、鋳鉄ボディ、再生可能ブロンズシートリング、ブロンズスイングタイプディスクを備えるクラス125のフランジスイングチェックバルブを用い得る。承認基準は、Kitz 78を含む。そのようなフランジスイングチェックバルブは、MSS SP−71標準および/またはANSI/ASME B16.5標準に準拠し得る。
本発明のある態様に係るシステムからの熱的連結機構は、冷蔵装置と連結し得る。そのような冷蔵構成要素は、構成要素の評価を確立するために性能試験に用いられる、カナダ規格協会(CSA)標準B52、ARI、ASMEおよびASHRAEの規約および標準に準拠し得る。
冷蔵構成要素の一例は冷蔵チューブである。ハロゲン冷媒が用いられる場合、工場で清浄化され封止されたシームレスのACR銅がチューブのために用いられ得る。そのようなチューブは、ASTM B280標準に準拠し得る。
フィッティングは、冷蔵構成要素の他の例である。フィッティング用には、長径タイプのエルボおよび返しベンドが用いられ得る。これらのフィッティングは、鍛錬(wrought)銅もしくは鍛造(forged)黄銅のはんだタイプから形成され得る。フィッティングは、ASME B16.22標準に準拠し得る。
ジョイントは、冷蔵構成要素のさらなる他の例を表す。ある態様は、銅フィッティングと接続された銅配管を利用し得る。そのようなジョイント用の材料の例は、以下に限定されるものではないが、SIL−FOS−15 リン−銅−銀合金を含み、CSA B52標準に準拠し得る。
ある態様は、黄銅フィッティングを用い得る。そのようなフィッティングは、CSA B52標準に準拠する、2500 PSI はんだを備え得る。
いくつかの態様における装備または付属品への接続は95−5はんだを用いて実現され得て、CSA B52標準に準拠し得る。
ある態様においては、フレキシブル接続部品が用いられ得る。本発明に係るいくつかの態様は、シームレスフレキシブルブロンズホースを備えるフレキシブル接続部品を用い得る。本発明のいくつかの態様は、より大きさサイズ向けに、編組被覆のブロンズワイヤを備えるフレキシブル接続部品を用い得る。接続部品はCSA B52標準に準拠し得る。
ある態様によれば、冷蔵配管は、以下のように取り付けられ得る。もし、汚れ、やすり粉、もしくは目に見える湿気が存在するならば、冷蔵配管のそれぞれの長さは、冷凍機油に浸された布で拭かれ得る。ジョイントを組み立てる際を除いて、配管の端は封止されたままであり得る。エルボおよびフィッティングは最小限に保たれる。水平配管搬送気体は、流れの方向に1:240に近づけられる。ラインは8フィート以下の間隔で支持されるか、固定され得る。
適切な場所で、拡張スイングジョイント、配管ガイド、およびアンカーが設けられ得る。冷蔵配管と接する際、配管ガイドおよびアンカーは銅でメッキされ得る。
アンカーは建物の構造を適切に固定し得る。振動エリミネーターは、冷蔵配管と同じ寸法の”アナコンダ(Anaconda)”であり得る。
液体ラインフィルター乾燥機および点検窓は、冷蔵配管および重量に適合し、製造者推奨に従った寸法および能力の”Sporlan”であり得る。吸い込みラインPトラップはそれぞれの蒸発器の基部に、水平方向に50フィートごと、垂直方向に20フィートごとに設けられ得る。ソレノイドバルブは、能力に適合するような寸法の”Sporlan”となるだろう。そして、磁気コイル電圧が制御システムと調和され得る。複数のランが取り付けられる時、配管は最低6インチにまで広がり、膨張および収縮を可能とし得る。
”HYDRAZORB”または”CUSH−A−CLAMP”のゴムグロメットが、ラインの擦れを抑制するために配管とクランプとの間に用いられ得る。1.7メートル(5フィート)以上の垂直立ち上がりが吸い込みラインで起こる場合、立ち上がりは次の水平吸い込みの上部に接続され得る。スクリューおよびフランジ式のジョイントは、蝋付けフォーマットが利用可能ではない装備の接続に限定され得る。
配管を濡らす時、乾燥窒素が配管内に出てくるかもしれない。フレキシブル配管振動分離機およびスタブコネクタが、620℃(1148°F)以下で融解する合金を用いて、封止された密閉コンプレッサーに蝋付けされ得る。
2つの排出フィッティングが設けられ得る。1つは吸い込みラインフィルターの入口側にある吸い込みライン内にあり得て、1つはフィルター乾燥機の出口側にある液体ラインにあり得る。液体ライン中の接続部は、充填バルブとして機能するように弁で調節され得る。接続部は少なくとも1/4インチであるべきである。CSA B52の最新版に準拠して、圧力除去装置が開放され得る。
漏れおよび圧力のテストは以下のように行われ得る。漏れテストは、システムを空にする前に行われ得る。高圧側で2070キロパスカル(300psi)のゲージ圧力および低圧側では1050キロパスカル(150psi)で、テストはCSA B52の最新版に準拠し得る。乾燥窒素が圧力を上昇させるために用いられ得る。装置は、乾燥窒素とともに、高圧側および低圧側におけるテスト圧力を処理するように組み立てられ得る。石鹸溶液、もしくは、たとえば”SNOOP”のような専用の漏れ検知キット、もしくは蛍光トレーサーを用いて、漏れがテストされ得る。
図69に戻り、湿度(H)、体積(V)、温度(T)、および圧力(P)、およびバルブ状態センサーのような他のセンサー(S)を含むさまざまなタイプのセンサーが、システム中の様々な場所に配置され得る。これらのセンサーは中央コントローラー6996と電気的に連結され得る。
具体的には、システム6901の様々な要素が中央コントローラーもしくはプロセッサー6996と連結され、同様に、コンピューター読み出し可能保存媒体6994を電気的に連結する。コンピューター読み出し可能保存媒体6994に保存された計算機コードの形態での指示に基づいて、コントローラーもしくはプロセッサー6996はシステム6901のさまざまな要素を制御するように運転され得る。この制御は、システム内のさまざまなセンサーから受信されるデータ、そのデータから算出される数値、および/または、併置された源(たとえば、以下で議論されるエンドユーザもしくは併置されたエネルギー発電機)を含み、またはインターネットもしくはスマートグリッドなどの外部源からの、さまざまな源からコントローラーもしくはプロセッサー6996によって受信される情報、に基づき得る。
圧縮気体エネルギー保存および回収システムの運転がここに述べられる。上述のように、ある機能において、たとえば空調および/または加熱の形態で、本システムは温度制御をエンドユーザに提供する。この冷却または加熱は、エンドユーザと、専用コンプレッサーおよび専用膨張機と、の間に設けられた熱的連結機構を通して実現される。
具体的には、保存ユニットに保存されている圧縮気体は、一方向バルブ6911を通して専用膨張機に流れ得る。基礎的な熱力学の原理によれば、膨張機の内部で膨張に耐える圧縮気体は、温度における低下を経験する傾向にあるだろう。この気体膨脹プロセスからの熱エネルギーのこの流れは、熱的連結機構6980およびスイッチ6981を通してエンドユーザを冷却するように用いられ得る。
具体的には、冷却の熱力学効率は、近等温の条件下で気体膨脹を行うことによって高められ得て、低減された熱的損失とともに温度における最低限の変化に至る。ある態様においては、そのような近等温の条件は、膨張中の気体と、膨張中の気体内部に存在する液体(たとえば、水または油)との間での熱交換を用いて得られ得る。具体的には、液滴によって利用可能となる大きな表面積と組み合わされた、液体の比較的高い熱容量によって、液体から膨張中の気体への効率的な熱の伝導が可能となる。膨張されたエアロゾルからの分離後、膨張中の気体への熱の伝導によって冷却された液体が、同様に、冷却機能を実行するためにエンドユーザとの熱的連結機構を通して流れ得る。
図69に示され、述べられた具体的な態様は、圧縮気体からのエネルギーの保存および回収に焦点を当てているが、これは本発明によって必須とはされていない。本発明に係る他の態様は、上述のように、発電層内部の位置どりに関連するエンドユーザとともにメーターの後方に位置するエネルギー保存システムの他の形態を用い得る。
図69に示される圧縮気体エネルギー保存および回収システムの態様は、ある側面において、図28の冷蔵装置の態様とは異なる。たとえば、図28の冷蔵装置は、単一のコンプレッサー/膨張機ユニットにおけるコンプレッサーおよび膨張機を接続する。
また、図28の冷蔵装置は、圧縮されている気体を保存するための構造の設備なしに示されている。しかしながら、図28に関連して説明されるように、そのような装置は、たとえば気体保存ユニットを含むように、ポイントAにおいて容易に修正され得る。
図28に示すような冷蔵装置はまた、個別の電力発生能力が不足している。しかしながら、他の態様において、コンプレッサー/膨張機ユニットの膨張機要素は、電力を供給する発電機と物理的に連結されるように容易に配置され得る。そのような発電は、1)後の使用のための圧縮気体を保存する能力が存在する、および/または、2)膨張機がその動力出力の規模を増加させるために外部熱源と熱連通する、場合に、有用であり得る。
しかしながら、それらの相違にもかかわらず、図28の冷蔵システムと図69のエネルギー保存および回収システムとが同様の原理を用いて運転されると理解されている。具体的には、両方が、膨張された気液混合物から分離された液体を用い、温度制御機能を実行している。
上記の図28〜32は、冷却を供給するための気体膨脹の効果に焦点を当ててきた。しかしながら、本発明はこの応用に限定されず、他の態様が加熱効果をもたらし得る。
基礎的な熱力学の原理によれば、コンプレッサー内部で圧縮に耐えている気体は、温度における上昇を経験する傾向にある。そのため、上述のエアロゾル冷却に類似した方法で、圧縮気体への露出によって加熱されてきた注入液体が、エンドユーザを加熱するために、スイッチ6981および熱的連結機構6980を通して、分離され、流れ得る。
前述の議論は、温度制御のための圧縮気体エネルギー保存および回収システムの使用に焦点を当ててきたが、本発明の態様はこの応用に限定されない。具体的には、専用膨張機内部での気体の膨張は、電力を供給するために利用され得る物理的な仕事に至り得る。
ここで、図69に戻り、専用膨張機6905が、連結機構6923と物理的に連結している可動部材を含み得る。
図69の態様と相まって説明される、図50Bの専用膨張機の詳細図は、気体の膨張が可動部材を駆動し、たとえば図69の連結機構6923のような連結機構に物理的なエネルギーを出力し得ることを示唆する。機械的、液圧的、空気圧的な形態における、この物理的なエネルギーは、多くの方法で用いられ得る。
たとえば、連結機構6923におけるエネルギー出力は第2の連結機構6921に伝達され、専用コンプレッサー6902内部に配置される第2の可動部材を駆動し得る。この方法においては、保存ユニットに気体を圧縮し、流す第2の可動部材の作動は、膨張のために利用可能な圧縮気体の供給を再補給するために機能し得る。
図69の具体的な態様は、連結機構6921および6923を別個で異なるものとして示しているが、これは本発明によって必須ではない。ある態様においては、連結機構6921および6923は、たとえば可動部材としての往復ピストンの間の共通クランクシャフトのような同じ構造であり得る。そのような構造は、保存ユニットへ圧縮気体を供給する目的のための膨張機要素とコンプレッサー要素との間での効率的なエネルギー移送を容易にし得る。
ある運転モードにおいて、膨張機によって駆動される連結機構6923からのエネルギーは、システム内部に最初に維持され得る。具体的には、圧縮気体から回収されたエネルギーは、冷却のため、および/または、圧縮気体の供給を再補給するために用いられるだろう。次に、モーター/発電機からの出力となるネット電力はないだろう。
しかしながら、他の運転機能が、電力供給として機能する圧縮気体保存システムを必要とし得る。そのため、あるアプリケーション(以下に限定されないが、UPS、ピークシェービング、需要応答プログラム、および再生可能平準化を含む)においては、メーターを迂回することによって、圧縮気体保存システムがエンドユーザに直接電力を供給し得る。そのような1つ以上の電力供給アプリケーションにおいて、圧縮気体エネルギー保存システムは、たとえば、移送がエンドユーザへの断絶なくスムースな方法で圧縮空気システムからエネルギーを引き出し得るパワーエレクトロニクスモジュールおよび短期エネルギー保存(たとえば、バッテリーの形態で)のような追加の構成要素を含み得る。
他のアプリケーションにおいては、本システムはメーターを通して電力ネットワークに電力を戻し得る。たとえば、分散発電(DG)構造においては、電力ネットワークはメーターを通して戻ってきた電力を受け取るように構成される。この方法においては、圧縮気体の膨張によって駆動される発電機による電気的出力が、電力ネットワーク、およびこの電力の供給に報いるエネルギー保存システムの運営者にフィードされ得る。
そのようなスキームがピーク需要の時に特別な長所であり得て、そこでDGからネットワークへ寄与された戻り電力が追加の負荷を満たし得る。そのようなスキームはまた、ネットワークに弾力性を与え得て、自然災害またはテロリストの攻撃のような出来事に起因する広範囲のネットワーク停止に対応して、DGから電気グリッドの一時的な局所アイランドを形成させることができる。
本システム6901のさまざまな要素は中央コントローラーもしくはプロセッサー6996と連結し、同様に、コンピューター読み出し可能保存媒体6994と電気的に連結する。コンピューター読み出し可能保存媒体6994に保存された計算機コードの形態での指示に基づいて、コントローラーもしくはプロセッサー6996は、システム6901のさまざまな要素を制御するために運転され得る。この制御は、システム内のさまざまなセンサーから受信されるデータ、そのデータから算出される数値、および/または、併置された源(たとえば、以下で議論されるエンドユーザもしくは併置されたエネルギー発電機)を含み、もしくはインターネットやスマートグリッドなどの外部源からの、さまざまな源から、コントローラーもしくはプロセッサー6996によって受信される情報に基づき得る。
ある態様においては、本システムのコントローラーは、エンドユーザから受信される指示に基づいて運転を開始するように構成され得る。たとえば、エンドユーザが電力ネットワーク運営者からの需要応答のための要請を受け入れる場合、同様に、エンドユーザは、需要応答時期をカバーするために必要な電力を供給する保存システムのための必要性を示唆するコントローラーへの信号を伝達し得る。
他の態様においては、圧縮気体保存および回収システムが、エンドユーザもしくは外部源(たとえばインターネット)から信号を受け取り、温度条件における現実の、もしくは切迫した変化を示唆し得る。それに応じて、コントローラーは、より大きな冷却効果とともにシステムを運転するように指示し得る。
ある態様においては、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、信号をエンドユーザに伝達し得る。たとえば、圧縮気体の利用可能な供給が枯渇に向かっている場合、エネルギー保存システムは、その温度を維持するために、グリッドを通してネットワークから追加の電力を引き出すためにエンドユーザのための必要性を示唆する、エンドユーザへのメッセージを送信し得る。
メーターの後方にエネルギー保存システムを位置づけることによって実現され得る潜在的な利点は、規制管理の結果的な形態である。消費層の一部として、ネットワークとのエネルギー保存システムの接触は比較的単純であり、限られている。具体的には、最終的なメーター接続の場合において、消費およびさらには出力のパターンに基づいて推定され得るインターフェースを通して電力の流れの規模および方向とともに、本システムが単一のインターフェース(メーター)を通したネットワークと交わることが予期される。そのため、本発明の態様に係る、メーターの後方に位置する圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、通常の家庭用電気製品と類似してみなされ得て、たとえば、発電、伝送、および分散の層のような電力ネットワークの他の層の要素を調節する規制の影響下にはない。
エンドユーザとエネルギー保存システムとが同じ場所にあることは、2つの存在間での組み立てられた動きをさらに高め得る。具体的には、圧縮気体エネルギー保存システム6440aと、同じ位置にあるエンドユーザとの間の通信リンクは本質的に局所的であり得て、それゆえに広域通信ネットワークよりも潜在的により早く、より信頼性がある。
さまざまな電力供給機能(すなわち、UPS、ピークシェービング、需要応答、再生可能平準化)のうちのいずれか1つにおいて、エネルギー保存システムとエンドユーザとの間のそのような密接な近接は、ネットワークによって供給される電力のエンドユーザの消費と、保存システムから供給される電力のエンドユーザの消費との間の継ぎ目のない移送を容易にするために役立ち得る。
図69に示す態様は、輪郭に示される1つ以上の任意の特徴を含み得る。たとえば、ある態様においては、膨張機の気体出口は、コンプレッサーの気体入口と流体連通している。そのような態様によってもたらされる閉鎖系流体ループ6985は、多くの潜在的な利点を提供し得る。1つが気体の維持であることによって、熱交換を高めるより高い熱容量を有する、より多くの外来の気体(たとえばヘリウムまたは高密度気体)の使用が可能になる。
図69の態様の他の任意の特徴は、膨張機6905と、たとえば太陽もしくは近隣の設備または工業プロセスによって発せられる熱のような外部熱源6987との間の可能な熱的連結機構6986、もしくは図70に関連して以下に議論される局所電源である。具体的には、そのような外部熱源からの熱エネルギーは、圧縮気体の膨張からのエネルギーの回収の効率を高めるために用いられるように捕捉され得る。追加の熱の源に関する本発明に係る圧縮気体保存および回収システムの使用は、米国特許仮出願第61/294,396号明細書に詳細が述べられており、全ての目的に対して、ここにその内容が参照によって包含される。
ある態様においては、本発明に係る圧縮気体エネルギー保存および回収システムの運転は、概日周期の熱的な局面と調和し得る。そのような運転の一例がここに述べられる。
図69を再び参照すると、この例においては、エンドユーザは、日中の温度と夜間の温度との間に比較的大きな差をもたらす気候に位置する大きなオフィスビルを備える。夕方や、週末の間、オフィスビルはほとんど空であり、電力ネットワークに最小限の負荷をもたらし、最低限の温度を維持するためにいくぶんかの電力を消費する。
しかしながら、平日の午前7時から午後7時までの間、オフィスビルは労働者で占められ、電力ネットワークに大きな負荷をもたらし、その相当の構成要素が冷却に向けられる。他のユーザからの需要のため、この時間帯の電力料金は高い。加えて、供給される電力のためにビルに課金される料金は、過去の使用ピークに基づき得る。
そのため、電力費を低減するために、オフィスビルは、そのメーターの後方に、本発明に係る圧縮気体エネルギー保存および回収システムを包含し得る。そのようなシステムは、温度調節と電力供給の役割の両方に機能し得る。
たとえば、オフピーク時間には、本システムは、ネットワークからのエネルギーを消費し、保存ユニット内に圧縮気体を保存するためにコンプレッサーを運転し得る。そのような圧縮によって生成された熱が加熱のために用いられ得ることによって、電力ネットワークからその目的のためにエネルギーを引き出すオフィスビルのためのニーズを未然に防ぎ得る。
しかしながら、エネルギーがあまり高くないオフピークの時間帯には、エネルギー保存のためのシステムの電力消費は、潜在的にさらに大きく経済的に重要である。この保存されたエネルギーは、ピーク需要期の間に、オフィスビルによってもたらされる負荷を低減(もしくは除去さえも)するために後に回収され得る。
具体的には、エネルギー保存および回収システムは、ピーク需要の時間帯に、圧縮気体を保存ユニットから膨張機に流し得る。そのような運転は、少なくとも2つの理由で電力ネットワークへのオフィスビルの負荷を低減するだろう。
第1に、オフィスビル内部の温度が高いと予期される時に、気体膨張は日中に冷却効果を提供し得る。気体膨張によるそのような冷却が、さもなければビルの温度を制御するためにネットワークから引き出されるだろう負荷の一部を取り除くだろう。
第2に、いくぶんかの負荷を取り除くことに加えて、気体膨張によって生み出される電力もまた、負荷のタイミングを低需要の時期に有利にシフトし、さらにコストを低減し得る。保存されたエネルギーは、より低い電力料金の時に電力ネットワークから既に引き出されている。後の回収から利用可能になるエネルギーは、そのより低い価格で利用可能であることによって、エネルギーの有効原価を低減する。
さらに、日中に自然に利用可能な太陽エネルギーは、冷却効果、および/または、保存された圧縮空気から供給される電力を高めるために容易に用いられ得る。たとえば、圧縮気体保存ユニットは太陽と熱連通するように配置され得る。太陽からの熱エネルギーは保存ユニット内部の気体を加熱し、内部に保存され、気体の膨張にかかる回収のために利用可能な、エネルギーの総量を増加させ得る。
加熱中の保存気体と別個に、または関連して、太陽からのエネルギーはまた、膨張中の気体への注入用の液体を加熱するためにも用いられ得る。具体的には、熱エネルギーは、気液混合物の次の膨張を分離される液体を加熱するように繋がり得る。上述のように、この液体は、近等温条件下での膨張中の気体への熱の伝導によって冷却されてくるだろう。エネルギー回収の典型的な時間帯に、気体および液体を加熱するための日光の天然な供給は、概日周期に係る圧縮気体エネルギー保存および回収システムの運転に役立つ。
本発明の態様に係るエネルギー保存によって提供される負荷低減および負荷シフトは、過去のピーク以下に現在の負荷を下げることによって、さらにコストを低減し得る。具体的には、以前のピーク負荷の大部分を備える冷却コストの除去もしくは低減が、現在の負荷がそれらのピークを超えないことを確実にすることによって、罰金または追加料金を防ぎ得る。
要約すれば、概日周期と調和するエネルギー保存システムの運転は、少なくとも2つの別個の基本原理に基づく、低減されたコストをもたらし得る。第1に、膨張によるエネルギー回収と関連する冷却が日中の温暖さと同時に起こり、圧縮によるエネルギー保存と関連する加熱が夜間の冷涼さと同時に起こるので、エネルギー保存および回収が温度制御と関連するいくぶんかの負荷を除去し得る。
第2に、エネルギー保存および回収は、電力ネットワークにかかる負荷を、比較的高価な電力のピーク期から、比較的安価な電力のオフピーク期にシフトし得る。そのような負荷シフトは消費された電力に課金される大部分の料金を低減する観点から理解され、また、特定のユーザによる需要がある過去のピークを考慮して課金される料金の観点からも理解され得る。
ある状況においては、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、圧縮と膨張とを同時に行うシステムコントローラーによって構成され得る。そのような運転モードにおいては、圧縮された気体の全部または一部が、冷却および/または電力を供給するために、ただちに膨張され得る。
そのような運転モードは、さまざまな条件によって起こされ得る。たとえば、保存された圧縮気体は枯渇に近づき得るが、温度制御はまだ必要とされる。他の例においては、継続的な電力の供給が、ピーク負荷をぎりぎりで乗り切る、または電力を供給するための契約関係の条件を満たす(すなわち、圧縮気体の供給が使い果たされる場合でさえ電力を供給すること)ために必要とされ得る。他の例においては、ネットワークから利用可能である電力コストは低く、コスト効率を基礎にエネルギー保存を正当化する。
同時の圧縮と膨張を含むそのようなモードにおける運転はある効率ももたらし得る。具体的には、図28と関連して上述されたように、熱交換器を通した、保存ユニットへの、および保存ユニットからの、同時に起こる気体の流れによって、これらの気流間での熱エネルギーの伝導が可能になる。
図71として表される表は、システム運転の異なるモードを要約する。
図66に戻り、ある態様においては、エネルギー保存システムとエンドユーザとが、同じメーターの後方に、局所的なエネルギー源と併置され得る。そのような局所的なエネルギー源の可能な例は、屋上PVアレイ、太陽熱システム、風力タービン、もしくはエンドユーザの天然ガスの供給と流体連通するガスマイクロタービンを含む。
それに沿って、図70は、本発明の一態様に係る圧縮気体保存および回収システム7001の一態様の簡素化されたブロック図を示し、エンドユーザ7050および局所電源7070をメーターの後方に併置する。図70の態様において、専用コンプレッサー(C)7002、専用膨張機(E)7005、専用モーター(M)7004、および専用発電機(G)7003の全てが、マルチノードギヤシステム7099を通してお互いに選択的に物理的に連結している。
そのようなギヤシステムの一態様が、米国特許出願第12/730,549号明細書および図33A〜33AAと関連して上述される遊星歯車システムである。具体的には、マルチノードギヤシステム7099は、3つの回転連結機構(たとえば、連結機構3341、3362および3368)と機械的に連結する。これらの連結機構のそれぞれは、たとえば、風力タービン、発電機、モーター、モーター/発電機、コンプレッサー、膨張機、もしくはコンプレッサー/膨張機のような局所的エネルギー源などの、システムの他の様々な要素と物理的に連結し得る。
マルチノードギヤシステム7099は、減法的もしくは加法的な方法において、同時に、連結機構の全ての動作を可能にし得る。たとえば、風が吹く場合、タービン連結機構からのエネルギーは、発電機への連結機構およびコンプレッサーへの連結機構の両方を駆動するように分配され得る。他の例においては、風が吹き、エネルギー需要が大きい場合には、遊星歯車システムは、膨張機連結機構の出力と組み合わせられる風力タービン連結機構の出力に、発電機への連結機構を駆動させるようにする。
さらに、遊星歯車システムはまた、連結機構の全てよりも少ない動作に適応するように構成される。たとえば、図33A〜33AAの具体的な態様のシャフト3341の回転はシャフト3362の回転に至り得るし、その逆も成り立ち、その場所でシャフト3368の回転が防止される。同様に、シャフト3341の回転はシャフト3368のみの回転に至り得るし、その逆も成り立つ。もしくは、シャフト3362の回転はシャフト3368のみの回転に至り得るし、その逆も成り立つ。たとえば、風力タービンが安定していて、モーターの出力に基づいてコンプレッサーを運転することが望まれている場合、この構成によって、機械エネルギーはシステムの2つの要素のみの間で選択的に連結され得る。
本発明のある態様は、本システムの異なる要素間での機械エネルギーの移送を可能にするように、遊星歯車システムのようなマルチノードギヤシステムを好適に用い得る。具体的には、そのような遊星歯車システムは、図72に記載される様々な運転のモードにおける連結機構間の異なる相対的な動作に適応する柔軟性をもたらし得る。
図70に戻り、その図はマルチノードギヤシステムを示すが、これは本発明によって必須とはされない。他の態様においては、本システムの様々な要素が、個々の物理的連結機構を通して、もしくは他の要素の全てよりも少なく共有された物理的連結機構を通して、お互いに物理的に連結され得る。
図70は、局所電源を、連結機構7080を通して任意にマルチノードギヤと物理的に連結するものとして示す。この構造によって、さらに大きな電力を生み出すために、局所電源から、および膨張機からの物理的なエネルギーが組み合わせられ得る。この構造によってもまた、電力を生み出すために、局所電源および膨張機が、存在する資産(同様の発電機構造)を別個に用いることができる。
図70はまた、局所的な発電機が、電気的連結機構7082を通して、エンドユーザもしくはメーターと選択的に連結し得ることをも示す。PVアレイのケースがそうであるように、そのような連結機構は、局所エネルギー源が電力を直接的に出力する場合に用いられ得る。
図70はまた、局所的な発電機が、熱的連結機構7072および7074をそれぞれ通して、エンドユーザおよび/または膨張機と熱連通し得ることも示す。たとえば、太陽熱システムおよび燃焼ガスマイクロタービンのケースがそうであるように、局所エネルギー源が熱の形態で直接的にエネルギーを出力する場合に、そのような連結機構が用いられ得る。
マルチノードギヤおよび/または物理的、熱的、流体的、および電気的な連結機構の他の形態によってもたらされる柔軟性によって、図72の表に要約されるモードにおける本システムの運転が可能になる。
図70に示すように局所電源を備える圧縮気体エネルギー保存および回収システムの位置は、本システムに、多くの可能性のある役割において機能する能力を与え得る。一つの役割においては、たとえば屋上ソーラー(PVおよび/または太陽熱)もしくは風力タービンのような1つ以上の局所的なエネルギー源を組み合わせるエネルギー保存ユニットが、エンドユーザのエネルギー需要の全てを潜在的に満たし得る。安全および/または経済の理由で望まれ得るように、これによって、エンドユーザは完全にグリッドを操作することができるだろう。
他の役割は、風力タービン、PVアレイ、または太陽熱システムのような再生可能エネルギー源による出力である断続的な電力を平準化することである。たとえば、DGスキームにおいては、局所的な代替電源の所有者はネットワーク運営者との接触を開始し、電力をグリッドに戻し得る。しかしながら、日光や風のようなある天然資源の断続的な性質によって、一定の電力供給をもたらす契約義務を満たすことは困難であり得る。
しかしながら、本発明に係る圧縮気体エネルギー保存および回収システムが併設されることによって、局所的エネルギー源の所有者は、定期的に電力を供給し得る。具体的には、圧縮気体の形態でシステムによって保存されたエネルギーは、風または太陽のような天然資源の一時的な不足に起因する出力における差(gap)を埋め合わせるために必要なものとして回収され得る。そのため、本システムからのエネルギーは、局所的な代替エネルギー源による電力出力を平準化するために役立ち、メーターによって電力ネットワークに最終的に出力される電力が実質的に一定となるだろう。半日ぶんよりも大きな能力を有し、毎日再補給することができる圧縮気体エネルギー保存および回収システムによって、天然資源の欠乏の長い時間にわたる平準化を可能とするだろう。
図70の態様のように、局所電源を備える圧縮気体エネルギー保存および回収システムの位置は、ある利点をもたらし得る。そのような潜在的な利点の一つが、より効率的な運転を可能にすることによってもたらされるコスト面の長所である。
たとえば、ある態様においては、圧縮気体エネルギー保存および回収システムのコンプレッサー要素は、連結機構およびギヤを通して、局所電源の可動部材と物理的に連結し得る。そのため、一態様においては、屋上風力タービンの回転ブレードが、機械的、液圧的、または空気圧的な連結機構を通して、圧縮気体エネルギー保存システムのコンプレッサーと物理的に連結し得る。そのような連結機構によってもたらされる直接的な物理的連結により、電力が、局所源とコンプレッサー要素との間をより効率的に移送されるようになることによって、力を、電気のような中間形態に変換しなければならないことに関連する損失を避け得る。この方法において、風力タービンまたはガスマイクロタービンを運転することによって生み出される物理的な仕事は、温度制御または電力供給役割における後の回収のための圧縮気体を保存するように取り入れられ得る。
さらに、局所電源と圧縮気体保存および回収システムとが併設されることによって、他の形態のエネルギーフローの効率的な伝達が可能になり得る。たとえば、エネルギー保存システムのある態様は、熱的連結機構を通して、一緒にあるエネルギー源と熱連通し得る。そのため、いくつかの態様においては、圧縮気体エネルギー保存システムによる圧縮気体の膨張効率は、熱エネルギーの局所源から伝導される熱を用いることで高められ得る。熱エネルギーの局所源は概して図70における参照番号7079で指定される。他の源からの熱を利用する圧縮気体エネルギー保存および回収システムの運転は米国特許仮出願第61/294,396号明細書において説明され、全ての目的のためにその全ての内容がここに参照として包含される。
ある状況下では、局所電源は、たとえば、屋上PVおよび/または太陽熱システム、マイクロタービン、ディーゼル発電機、もしくは他の局所電源のような発電機でもあり得る。この方法において、そのような電源からの熱エネルギーは、併置するエネルギー保存システムのチャンバー内での気体膨張を増進させるために活用され得る。
エネルギー保存および回収システムを発電資産と併置することによっても、流体連結機構を通したこれらの要素間の流体連通が可能になり得る。たとえば、エネルギー保存システムがマイクロタービンと併置される場合、流体連結によって、システムによって保存された圧縮気体が燃焼のためにそのようなマイクロタービンに直接流れることによって、マイクロタービンの運転効率を高め得る。同様に、太陽熱システムによって暖められた液体は同じようになり得るか、もしくは、熱を膨張中の圧縮気体に伝導するために用いられる液体と熱連通し得る。
エネルギー保存システムと発電資産とを併置することによって実現され得る他の可能性のある利点は、現存する設備を平準化する能力である。たとえば、ディーゼル発電機またはマイクロタービンのような現存する局所電源は、機械エネルギーを電力に変換する発電機を既に含み得る。本発明に係る圧縮気体エネルギー保存および回収システムの一態様は、気体膨張から生じる動きを電力に変換する同様の発電要素を用い得る。同様に、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、たとえばネットのメーター測定および/または分散発電スキームにおける、電力を電力ネットワークと繋げるためにネットワーク(メーター)との間のエンドユーザの現存する調和を用い得る。
図70に戻り、システム7001の様々な要素が中央コントローラーまたはプロセッサー7096と連結し、同様に、コンピューター読み出し可能保存媒体7094と電気的に連結する。中央コントローラーまたはプロセッサー7096はまた、1つ以上の情報源と連結し、それは内部または外部にあり得る。内部情報源の例は様々なシステムセンサーを含む。外部情報源の例は以下に限定されるものではないが、スマートグリッド、インターネット、もしくはLANを含む。
以上に示されるように、コンピューター読み出し可能保存媒体7094に保存された計算機コードの形態での指示に基づいて、コントローラーまたはプロセッサー7096は運転され、システム7001の様々な要素を制御し得る。この制御は、システム内のさまざまなセンサーから受信されるデータ、そのデータから算出される数値、および/または、併置されたエンドユーザまたは外部源のような源からコントローラーもしくはプロセッサー6996によって受信される情報、に基づき得る。
本発明の態様によれば、気体圧縮および/または膨張システムは、たとえばスマートグリッドのような1つ以上の外部源から受信されるデータに応答して運転されるように構成され得る。外部情報に基づいて、コントローラーまたはプロセッサーは、特定の方法でシステム要素の運転を制御し得る。受信され得るそのような外部情報の例は以下に限定されるものではないが、現在の電力料金、将来予期される電力料金、現在の電力需要の状態、将来の電力需要の状態、気象条件、および、過密の存在や可能性のある停電を含む電力グリッドの状態に関する情報、を含む。
以下に説明されるように、本発明の態様に係る圧縮気体エネルギー保存および回収システムの運転は、コントローラーまたはプロセッサーによって受信される情報に基づき得る。ある状況においては、システムの運転は、受信される情報に基づいて中止され得る。たとえば、受信された情報が電力の高い需要を示唆する場合、グリッド上の負荷を低減するために、空気を圧縮するシステムの運転がコントローラーによって中断され得る。
あるいは、システムコントローラーまたはプロセッサーによって受信されるエネルギーはシステムの運転の開始に至り得る。システムの一態様は無停電電源供給(UPS)の役割を機能に有し得て、工業プロセス(たとえば半導体組み立て工場)、交通ノード(たとえば、港、空港または電化された列車のシステム)、もしくはヘルスケア(病院)、もしくはデータ保存(サーバーファーム)のような、停電が有害な結果を有する場所では、それが、あるアプリケーションに継続的にエネルギーを提供するように構成される。そのため、グリッドからの電力の差し迫った減少(電力供給一時停止)や損失(停電)のどちらか、もしくはそのような出来事の危険性でさえ、を示す情報の受信が、プロセッサーまたはコントローラーに、連続的な方法で必要な電力を供給するために、圧縮気体エネルギー保存および回収システムを運転するように指示させ得る。
ある状況下では、コントローラーまたはプロセッサーに供給される情報が、たとえば圧縮モード、膨張モード、もしくは組み合わされた圧縮および膨張モードのような特定のモードにおける圧縮気体保存および回収システムの運転を決定し得る。ある状況下では、コントローラーによって受信された情報が低減された電力費を示し、低コストでエネルギーを保存するために、エネルギー保存および回収システムに、圧縮モードで運転させ得る。
さらに、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、概して、エネルギー保存/回収の効率と、所定の期間にわたって保存され/生み出される電力量との間のなんらかのバランスを取りながら運転される。たとえば、特定の体積増加における圧縮気体の膨張に基づいて最大効率で電力を生み出すように装置は設計され得る。他の体積増加の膨張は、より大きな電力出力に至り得るが、低い効率においてである。同様に、特定の範囲の外側での体積における気体体積の圧縮は、保存のための圧縮気体の形態での低い効率でのエネルギー変換に至り得る。
ある状況下においては、本発明に係るシステムの態様は、最適化された効率の条件下で運転され得る。たとえば、グリッドが通常の価格および/または電力需要を示す場合、コントローラーは、システムの構成要素に、最大効率で気体を圧縮または膨張させるように運転するように指示し得る。
あるいは、グリッド、もしくはインターネットのような他の源から受信された情報に基づいて、コントローラーまたはプロセッサーは、システムに、最大効率から外れた条件下で運転するように指示し得る。そのため、スマートグリッドが比較的低い電力料金を示す場合(たとえば、平日午前7時から午後5時の間のピーク需要の外側)、プロセッサーまたはコントローラーは、料金が低い間にエネルギー保存のため、より多くの電力量を消費するように算出された方法で、気体の圧縮を指示し得る。
ある態様によれば、エネルギー保存および回収システムの運転に関連する情報は、外部源から継続的に利用可能であり得る。そのような状況においては、コンピューター読み出し可能保存媒体に存在するコードが、情報の利用可能性もしくは情報における変化を検知するように外部源を積極的にモニターし、次にシステムの要素にそれに従って運転するよう指示するように、システムプロセッサーまたはコントローラーに指示し得る。
いくつかの態様においては、関連情報は、外部源から、エネルギー保存および回収システムのコントローラーに、積極的に伝達され得る。そのような積極的な伝達の一例は、需要応答システムの要請である。
具体的には、ある態様において、保存システムのプロセッサーまたはコントローラーは、電力グリッドの運営者から、需要応答システムの一部として、ピーク時の需要を低減するために積極的な要請を受信し得る。そのため、コントローラーまたはプロセッサーは、そのような需要応答システムの一部として、グリッド上にあるエンドユーザの低減された負荷を埋め合わせるために十分な電力を出力するよう、システムの運転に指示し得る。
受信された情報が比較的低い電力料金を示すとき(たとえば真夜中のように)、プロセッサーまたはコントローラーは、より多くの電力量を消費するように算出された方法で気体の圧縮を指示し得る。たとえば、料金が低い間に大きな体積増加における気体の圧縮。そのような場合においては、そのような圧縮の不効率に関連する追加のコストは、圧縮を実行するために利用可能なエネルギーの低いコストによって相殺され得る。
現在の需要以外の要因は、エネルギーが購買され、および販売される時期に影響し得る。たとえば、将来の電力需要または将来の料金は、装置の運転の条件を決定する際に、コントローラーまたはプロセッサーによって考慮され得る。
そのため、エネルギーの将来価格がきわめて高いことが予期される状況下では、コントローラーまたはプロセッサーは、特定の方法でシステムを運転し得る。この一例が熱波であり得て、その際には、気象予報に基づいて需要が急上昇することが予期される。そのような予期を考慮して、コントローラーまたはプロセッサーは、システムに、予期される需要の急上昇に先がけて、追加の気体を圧縮するよう運転することによって(おそらくは低い効率で)、将来の条件に備えるように指示し得る。
システム運転に潜在的に影響を及ぼす他の要因は、電力ネットワーク運営者とエンドユーザとの間の特定の契約条項を含む。そのような条項は、特定の期間にわたって求められる最大負荷(および/または分散発電スキームにおける最小電力出力)と、漸増的もしくは段階的な追加、罰金、および電力の出力または消費のための乗数を含み得る。これらの契約条項との適合または相違は、コントローラーまたはプロセッサーによるエネルギー保存および回収システムの運転を指示する際における重要な要因となり得る。
そのため、ある態様においては、コントローラーまたはプロセッサーは、装置を運転する際に、そのような契約条項を考慮に入れ得る。たとえば、エンドユーザとグリッド運営者との間の契約が、特定の期間にわたってネットワークからユーザによって引き出され得る最大負荷を規定し得る。そのため、この基準量が超えられる危険にある場合、コントローラーまたはプロセッサーは、より高い電力出力およびより低い効率の条件下で、契約義務の達成を確実にするように、システムの運転に指示し得る。
システムの運転に潜在的に影響を与えるさらなる他のタイプの情報は、電力グリッドへのエネルギー源の予期される利用可能性である。たとえば、受信された情報が、ネットワークにエネルギーを供給する既知の太陽エネルギーファームの位置における将来の曇天条件の予報を示す場合、装置のプロセッサーまたはコントローラーは、本システムに、低効率で圧縮し、後に予期されるより高いエネルギー価格に先だって多量の圧縮気体を保存するように指示し得る。
システムのコントローラーまたはプロセッサーによって考慮され得るさらなる他のタイプの情報は、他の電力源の潜在的な利用可能性である。たとえば、図70のシステムは、複数の源から異なる形態でエネルギーを受け取るように構成される。具体的には、本システムは、グリッドそれ自体から、または屋上太陽電池アレイのような局所的なエネルギー源の運転から、直接、電力の形態でエネルギーを受け取り得る。本システムは、たとえば、近接して位置する風力タービンまたはマイクロタービンのような局所源から、物理的形態で(機械的、液圧液、または空気圧的に)エネルギーを受け取り得る。本システムは、たとえば、太陽熱装置のような局所源から熱的形態でエネルギーを受け取り得る。
そのため、好適な風況に関する情報が現地の発電所から得られた場合、風力タービンからの直接的な力の準備の利用可能性のために、コントローラーまたはプロセッサーは、本システムに、圧縮気体を保存するために圧縮運転をするように指示し得る。風の低減の下、この圧縮気体に保存されたエネルギーは、エンドユーザに直接、またはネットワークを通してグリッドに、または両方に、電力を出力するように圧縮モードで運転することによって後に回収され得る。好適な太陽条件からのエネルギーが、気体の圧縮のためのエネルギーを供給する場合、同様の状況が存在し得る。
ある状況下では、好適な太陽条件は、膨張の状態でのシステムの運転に至り得る。たとえば、好適な太陽条件によって、太陽熱装置からの熱の伝導は、膨張中の気体からの電力出力を高め、または、膨張中の気体からのエネルギー回収効率を高め得る。
ある態様においては、局所的なエネルギー源は、天然ガスがフィードされるマイクロタービンのように、非再生可能であり得る。そのため、保存ユニットにおける圧縮気体の供給が前の圧縮活動によって使い果たされ、電力がまだ求められている場合、コントローラーは、発電所に、グリッド(すなわち天然ガス分配ネットワーク)以外のエネルギー源から電力を消費する局所的なマイクロタービンの運転から電力を生み出すように指示し得る。
エネルギー保存システムのコントローラーまたはプロセッサーに利用可能であり得るさらなる他のタイプの情報は、電力グリッドにおける過密のプロファイルを含む。そのため、グリッドのある局所的な地域を通して電力を移送する際に困難(または予期される将来的な困難性)を示す情報が受信される場合、それに沿って、プロセッサーまたはコントローラーはシステムの運転を指示し得る。
たとえば、グリッド過密情報の予期される時期よりも前に、コントローラーまたはプロセッサーは、本システムを、特定のグリッドノードを通して移送されるエネルギーを保存するように構成し得る。後に、本システムは、需要に見合うように、ノードの混雑しない側にこの電力を出力するように膨張モードで運転するように指示され得る。
システムのコントローラーまたはプロセッサーによって受信される情報は個別の形態を取り得る。いくつかの態様においては、たとえば、米国国立標準技術研究所(NIST)によって開発されたスマートグリッド相互運用標準に準拠して、コントローラーは電力グリッドから直接情報を受信し得る。以下の文献が全ての目的のためにここに参照によって包含される。2010年1月付の”NIST Framework and Roadmap for Smart Grid Interoperability Standards, Release 1.0*”と、Electricity Advisory Committee(2008年12月)の”SmartGrid: Enabler of the New Energy Economy”。スマートグリッドのような利用可能であることが予期される情報は以下に限定されるものではないが、現在の電力価格、予測される将来の電力価格、計測された電力消費の測定値または消費の過去のピークを含む電力グリッドへの出力、グリッド過密の示唆、グリッドの電力供給一時停止、もしくはグリッドの停電を含む。
コントローラーもしくはプロセッサーはまた、スマート電力グリッドに渡って直接的に利用可能として以外の情報に基づいてシステムを構成し得る。たとえば、いくつかの態様によれば、コントローラーは、以下に限定されるものではないが、天気予報、または、電力もしくは電力の発生において用いられる石炭や石油のような商品の長期的な将来価格を含む、システム運転に影響を与え得る、インターネットを通した他のタイプの情報を受信し得る。そのような情報に基づいて、コントローラーもしくはプロセッサーはまた、本システムの運転または非運転、本システムの運転のモード、および/または、消費された電力または所定の期間にわたる出力に対する効率のバランスも制御し得る。
他の可能な情報源は、特定のユーザによる電力グリッドの現在および過去の電力消費を示すメーターである。たとえば、ある態様においては、圧縮気体エネルギー保存および回収システムは、コンビナートのような電力の大消費者であるエンドユーザと同じ場所にあり得る。その場所のための電力計から受信される情報に基づいて、コントローラーまたはプロセッサーは、ある方法で運転される本システムを構成し得る。そのような情報の一例が、エンドユーザにとっての過去のピーク負荷データである。
エンドユーザの予期される電力需要は、エネルギー保存および回収システムを制御する根拠として用いられ得る情報の他の例である。たとえば、産業設備が、高められたまたは低くなった能力で運転することが予期される場合、その情報がシステム運転を決定するために用いられ得る。
外部源からの情報に加え、コントローラーまたはプロセッサーもまた、システムへの内部情報を受信する。そのような内部情報は、システム内部の物理的なパラメーターを測定するように構成されたセンサーからのデータを含み得て、以下に限定されるものではないが、バルブの状態、温度、圧力、体積、湿度、液体および気体の流速、および、ファン、ポンプ、ピストン、ピストンと連結するシャフトのようなシステム内部の可動部材の速度およびトルクを含む。コントローラーまたはプロセッサーに供給され得る内部情報の他の例は、以下に限定されるものではないが、ポンプまたはファンのようなモーターの運転によって引き出される電力を含む。
もっとも広い意味においては、コントローラーまたはプロセッサーは、システムがとにかく運転するかどうかを決定するためにシステム要素の機能を制御し得る。そのような要素の一例は、圧縮気体保存ユニットとコンプレッサー/膨張機との間のバルブである。このバルブの閉鎖は、圧縮モードにあるシステムの運転が、保存ユニットに気体を流すことを防止するだろう。このバルブの閉鎖はまた、膨張モードにあるシステムの運転が、エネルギー回収のため保存ユニットから気体を流すことを防止するだろう。そのため、保存ベッセル内部の圧力が圧縮気体はほぼ枯渇していることを示唆する場合、経済的に好適な条件下で条件が気体供給の補充を可能にするまで、コントローラーまたはプロセッサーはシステムの運転を中止し得る。
システムが運転している時、コントローラーまたはプロセッサーはシステム要素を制御し、運転モードを決定し得る。この種のシステム要素の一例は、三方バルブのようなバルブである。そのようなバルブの状態は、特定の運転モードに対応する方法でシステム内部の液体または気体の流れを制御するようにコントローラーによって制御され得る。そのため、保存ベッセル内部の圧力が、圧縮気体はほぼ枯渇していることを示す場合、コントローラーまたはプロセッサーは、圧縮モードにあるシステムの運転を指示し、気体供給を補充し得る。
コントローラーもしくはプロセッサーはまた、システムの要素を制御し、特定の運転モード内部の運転方法を決定し得る。たとえば、コンプレッサー/膨張機の運転の効率は、圧縮または膨張される気体の体積増加に依存し得る。
コントローラーによるシステム要素の運転の制御は、出力電力または効率に加えて、もしくは代わりに、検討事項に基づき得る。たとえば、いくつかのアプリケーションにおいては、本システムは温度制御機能に役立ち、加熱または冷却の能力の形態で配送可能な量を供給し得る。そのような状況下では、そのような温度制御のために用いられ得るシステムからの気体および/または液体の出力の終点温度を決定するために、1つ以上のステージにおける液体の注入または非注入、1つ以上のステージにおける液体導入の条件、1つ以上のステージの圧縮比または膨張比、および他のパラメーターのようなシステム運転パラメーターを、コントローラーが制御し得る。
システム運転のそのような検討事項の他の例はコストである。たとえば、条件は圧縮を当然のこととするが、電力グリッドから利用可能であるエネルギー価格が比較的高い場合に、より小さな体積増加において気体を圧縮するコントローラーによるバルブの作動が、コントローラーによって指示され得る。他の例においては、条件が膨張を当然のこととするが、電力グリッドに供給されるエネルギー価格が比較的低い場合に、気体がより小さな体積増加において膨張されるように、コントローラーによるバルブの開放がコントローラーによって指示され得る。
圧縮気体の保存用の利用可能な収容能力は、システム運転において検討され得る他の要因である。たとえば、保存ユニットがその収容能力ぎりぎりになる、より小さな体積増加における圧縮に向けて、バルブタイミングが制御され得る。他の状況下では、保存ユニットが枯渇する寸前になる、より小さな体積増加における膨張に向けて、バルブタイミングが制御され得る。
コントローラーによってシステム要素を運転する際におけるさらなる他の可能な検討事項は、マルチステージ装置の個々のステージ間の動作の調整である。そのため、複数のステージを備える態様においては、それらのステージ間での効果的な調整を可能にするために、あるシステム要素がコントローラーによって運転され得る。
一例は、圧縮/膨張チャンバーへの入口または出口バルブの作動のタイミングであり、複数のステージにわたる効果的な運転を可能にするために、コントローラーによって制御され得る。ステージ間での液体の流れに関与するバルブの作動のタイミングは、システムのコントローラーによって制御され得る運転パラメーターの他の例である。
さらに、いくつかの態様においては、あるシステムの個々のステージが中間構造を通してお互いに流体連通し得る。中間構造は以下に限定されるものではないが、圧力セル(たとえば、図4の態様において)、熱交換器(たとえば、図10の態様において)、バルブ/バルブネットワーク(たとえば、図58B〜Cの態様において)、気体ベッセル、気液分離機、および/または液体タンクを含む。そのような態様においては、そのような中間構造に向けての、および/または、中間構造からの、材料の流れを支配する要素が、システム運転を調整するために、システムコントローラーによって制御され得る。いくつかの場合においては、それらのステージ間でバルブによって経験される圧力差を最小化するために、様々なステージにおける環状可動部材の相対位相を制御することが長所となり得る。
ある態様においては、より暖かい外気と膨張チャンバー(もしくはそれと熱連通する熱交換器)との間の熱エネルギーの伝導は、濃縮によって液体の水の形態に至り得る。そのような液体の水は、ある用途(たとえば、飲用または灌漑用)に利用可能であり得て、それゆえ、システムによって配送可能であるさらなる他のタイプの材料をもたらし得る。液体の水はまた、本発明に係るシステムの態様に由来するエネルギーを用いて実行される海水脱塩からも利用可能であり得る。
そのため、ある態様においては、プロセッサーまたはコントローラーは、システムによって配送可能である液体の水の量に基づいて、システムの運転を制御するように構成され得る。配送可能なものの他の形態の例は、以下に限定されるものではないが、電力、圧縮気体の流れ、二酸化炭素、冷却能力、および加温能力を含む。
(付記1)
逆流熱交換器を通して保存ユニットから膨張チャンバーに圧縮気体を流す工程と、
前記膨張チャンバー内部で膨張中の気体と熱を交換するために液体スプレーを導入する工程と、
前記気体の膨張に応答して前記膨張チャンバー内の部材の移動によって作動される連結機構を通して発電機を駆動する工程と、
前記発電機から電力ネットワークのエンドユーザに電力を流す工程と、
液体を、前記気体の次の気体膨張から分離する工程と、
エンドユーザを冷却するために分離された前記液体を流す工程と、
を含み、
前記エンドユーザが、前記発電機と前記膨張チャンバーとを備え、メーターの後方に位置する、方法。
(付記2)
前記スプレーが液体の水を含み、膨張中の前記気体が空気を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記3)
前記部材がピストンを備え、前記連結機構が機械的連結機構を備える、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記4)
平日の午前7時と午後7時との間に実行される、付記1に記載の方法。
(付記5)
前記メーターの後方にも位置する局所的な電力源からの物理的エネルギーを備える発電機を駆動する工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記6)
前記局所的な電力源がタービンを備え、前記物理的なエネルギーがシャフトの回転を備える、
ことを特徴とする付記5に記載の方法。
(付記7)
局所的なエネルギー源と熱連通する膨張中の前記気体を配置する工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記8)
前記局所的なエネルギー源が太陽熱装置を備える、
ことを特徴とする付記7に記載の方法。
(付記9)
圧縮チャンバー内部で圧縮される追加の気体と熱を交換する第2の液体スプレーを導入する工程と、
前記第2の液体を、圧縮された前記追加の気体から分離する工程と、
圧縮された前記気体が前記保存ユニットから前記膨張チャンバーに流れる間に、圧縮された前記追加の気体を、前記逆流熱交換器を通して前記保存ユニットに流す工程と、
をさらに含む付記1に記載の方法。
(付記10)
モーターによって駆動される第2の部材の動作によって、前記圧縮チャンバー内部で前記追加の気体を圧縮する工程、
をさらに含む付記9に記載の方法。
(付記11)
前記モーターが、前記メーターの後方にも位置する局所的な電力源によって、少なくとも一部が電力供給される、
ことを特徴とする付記10に記載の方法。
(付記12)
前記モーターが、太陽電池アレイを備える前記局所的な電力源からの電力によって駆動される、
ことを特徴とする付記11に記載の方法。
(付記13)
前記モーターが、前記局所的な電力源からの物理的なエネルギーによって駆動される、
ことを特徴とする付記11に記載の方法。
(付記14)
コントローラーによって発せされた指示に応答して、前記圧縮気体が前記保存ユニットから流れる、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記15)
前記コントローラーが、前記電力ネットワークから受信される情報に基づいて前記指示を発する、
ことを特徴とする付記14に記載の方法。
(付記16)
前記情報が需要応答要請を含む、
ことを特徴とする付記15に記載の方法。
(付記17)
前記情報が、前記メーターを通した電力の供給における中断を示唆する、
ことを特徴とする付記15に記載の方法。
(付記18)
前記コントローラーが、前記エンドユーザから受信された情報に基づいて前記指示を発する、
ことを特徴とする付記14に記載の方法。
(付記19)
前記情報が、前記エンドユーザの温度を含む、
ことを特徴とする付記18に記載の方法。
(付記20)
前記情報が、前記エンドユーザによる、増大した電力需要を含む、
ことを特徴とする付記18に記載の方法。
(付記21)
前記メーターの後方にも位置する局所的なエネルギー源から受信される情報に基づいて、前記コントローラーが前記指示を発する、
ことを特徴とする付記14に記載の方法。
(付記22)
前記情報が、前記局所的なエネルギー源からの電力の利用可能性を含む、
ことを特徴とする付記18に記載の方法。
(付記23)
第1の液体分離機と逆流熱交換器とを通って、圧縮気体保存ユニットと選択的に流体連通する出口を有する圧縮チャンバーと、
前記圧縮チャンバーと液体連通する第1の液体噴霧器と、
前記圧縮チャンバー内部に配置され、モーターと物理的に連結する、第1の可動部材と、
前記逆流熱交換器を通って、前記圧縮気体保存ユニットと選択的に流体連通する入口を有する膨張チャンバーと、
前記膨張チャンバーと液体連通する第2の液体噴霧器と、
前記膨張チャンバーの出口と流体連通する第2の液体分離機と、
前記膨張チャンバー内部に配置され、発電機と物理的に連結する、第2の可動部材と、
前記第2の液体分離機とエンドユーザとの間の熱的連結機構と、
を備え、
前記エンドユーザが、前記モーターと前記発電機とを備え、メーターの後方に位置する、装置。
(付記24)
前記発電機が、モーター/発電機を備える、
ことを特徴とする付記23に記載の装置。
(付記25)
前記第1の可動部材と前記第2の可動部材とが、共通の連結機構を通して、前記モーター/発電機と物理的に連結する、
ことを特徴とする付記24に記載の装置。
(付記26)
前記第1の可動部材が機械的連結機構を通して前記モーターと物理的に連結し、前記第2の可動部材が前記機械的連結機構を通して前記発電機と物理的に連結する、
ことを特徴とする付記23に記載の方法。
(付記27)
前記機械的連結機構が回転シャフトを備える、
ことを特徴とする付記26に記載の装置。
(付記28)
前記機械的連結機構が遊星歯車機構を備える、
ことを特徴とする付記26に記載の装置。
(付記29)
前記遊星歯車機構が、前記メーターの後方に位置する局所的なエネルギー源とさらに機械的に連結する、
ことを特徴とする付記28に記載の装置。
(付記30)
前記モーターが局所的なエネルギー源と電気的に連結する、
ことを特徴とする付記23に記載の装置。
(付記31)
前記第1の可動部材が固体ピストンを備え、前記第2の可動部材が第2の固体ピストンを備える、
ことを特徴とする付記23に記載の装置。
(付記32)
情報源と、前記モーター、もしくは、前記膨張チャンバーへの気体入口フローバルブと、電気的に連結するコントローラーをさらに備える付記23に記載の装置。
(付記33)
エンドユーザを備える電力供給ネットワークのメーターの後方に配置される発電機と、
チャンバーと選択的に流体連通する圧縮気体保存ユニットと、
前記チャンバー内部に配置され、前記チャンバー内部で膨張する気体に応答して動くように構成された部材と、
液体分離機を通して前記気体チャンバーと流体連通する気体出口と、
前記液体分離機から前記気体チャンバーに液体を注入するように選択的に構成された噴霧器と、
前記液体分離機と前記噴霧器との間の流体連結機構と、
前記液体分離機と前記エンドユーザとの間の熱的連結機構と、
を備え、
前記部材が前記発電機と選択的に物理的に連結する、
システム。
(付記34)
前記熱的連結機構が、熱源と熱連通する前記液体分離機からの液体を選択的に配置するように構成された、
ことを特徴とする付記33に記載のシステム。
(付記35)
前記エンドユーザを備える前記電力供給ネットワークの前記メーターの後方に配置されるモーターと、
前記チャンバーと前記圧縮気体保存ユニットとの間に配置される第2の液体分離機と、
前記第2の液体分離機と前記エンドユーザとの間の第2の熱的連結機構と、
をさらに備え、
前記モーターが、前記チャンバー内部の気体を圧縮する前記部材と選択的に物理的に連結し、
前記噴霧器が、前記第2の液体分離機から前記気体チャンバーに液体を注入するように選択的に構成された、
付記33に記載のシステム。
(付記36)
前記第2の熱的連結機構が、ヒートシンクと熱連通する前記第2の液体分離機からの液体を選択的に配置するように構成された、
ことを特徴とする付記35に記載のシステム。
(付記37)
前記エンドユーザを備えた前記電力供給ネットワークの前記メーターの後方に配置された局所的なエネルギー源と、
前記局所的なエネルギー源と前記モーターとの間の物理的連結機構と、前記局所的なエネルギー源と前記モーターとの間の電気的連結機構と、前記局所的なエネルギー源と前記噴霧器によって噴霧された前記液体分離機からの液体との間の熱的連結機構と、を備える連結機構と、
をさらに備える付記35に記載のシステム。
(付記38)
前記部材と、前記モーターと、前記発電機と、前記連結機構とが、共通のギヤに物理的に連結する、
ことを特徴とする付記37に記載のシステム。
(付記39)
前記モーターと前記発電機とが、モーター/発電機を備える、
ことを特徴とする付記35に記載のシステム。
上述の態様は電力供給ネットワークの生成または消費層の内部の圧縮気体システムの位置に関連しているが、本発明はそのような役割に限定されるものではない。圧縮気体システムの態様はネットワークの送電または分配層の内部にも位置し得て、本発明の範疇に入り得る。
したがって、図66は、送電層内部に位置する圧縮気体エネルギー保存システム6690の一態様を示す。システム6690は1つ以上の連結機構6661を通して送電の変電所6665と連結する。ある態様においては、エネルギー保存システムは、1つ以上の電気的連結機構を通して、送電層の変圧器と連結し得る。
電力供給ネットワークの送電層内部のシステム6690の配置によって、多くの可能な機能を実行することが可能となる。たとえば、電力ネットワークの分配層および特に送電層の資産の追加もしくはさらには改修のコストは、規制、環境および安全の懸念のために、比較的高くなり得る。
そのため、本発明に係るエネルギー保存システムのある態様は、送電層内部で統合され、送電線の改修を延期または拒否さえし得る。たとえば、あるエネルギー保存システムは、ピーク時期に大きな使用を経験する送電線の送電の変電所の近くに位置し得る。そのような役割においては、エネルギー保存システムによって、電力の送電の時間をそのようなピーク時期からずらすことが可能となり得る。
ある態様においては、送電層(または以下に述べられる分配層)に用いられる圧縮気体エネルギー保存システムは、物理的に持ち運び可能であり得る。たとえば、そのようなシステムは、フラットベッドトラック、トラクタートレーラー、またはコンテナの上に位置し得るし、送電層または分配層の内部の混雑の適切な予測点の近傍に移動され得る。
送電資産を通して運ばれる大量の電力のため、電力保存システムのそのような態様は、電力を保存するための大きな容量を有することを必要とし得る。さらに、保存システムが日常的に混雑を緩和するために据えられている場合、その能力は多くの時間にわたる需要を満たすことができ、一日にわたって再生が可能であるに違いない。
送電層における混雑が時間や分のオーダーで比較的長い期間にわたり特徴づけられ得る一方、送電の混雑の異なる形態がより短い期間で起こり得る。たとえば、ある運転限界が、不確実な要因の下での装備の信頼性の懸念に基づいた送電資産に課され得る。
それゆえに、短期間の送電能力は、送電線の実際の能力から離れて、そのような限界によって制約され得る。そのため、送電層内部に包含されるエネルギー保存および回収システムの他の潜在的な役割は、短い期間に電力を導入することによって、送電信頼性における限界を効果的に緩和することである。そのようなエネルギー保存システムは、約1秒から約15分以上までの時間、急に、送電ネットワーク内部の戦略上の立地に電力を投入するように構成され得る。
送電層内部に包含されるエネルギー保存および回収システムのさらなる他の可能な役割は、限定された送電アクセスをもたらす可変エネルギーの再生可能な源を支えることである。たとえば、大きな風力は、比較的低い能力の現存する高圧送電線によってのみ提供される地理的に離れた地域に見られ得る。
しかしながら、本発明に係るエネルギー保存および回収システムの一態様の包含によって、これらの現存する送電線が、そのような発電資産によって発生された電力を運ぶことが可能になり得る。たとえば、発電資産によって出力された電力の一部または全部を保存するように保存システムが運転され、現存する能力が送電層で利用可能となるまで、送電が延期されることを可能にし得る。
そのような送電の延期は、もしそうしなければネットワークに出力され得ないだろう電力の浪費を防止し得る。さらに、保存システムによって可能となる送電の延期によって、対応する送電リンクが完全に改修されて最大出力能力を扱う前に、再生可能発電資産が使われるようになり得る。
エネルギー保存および改修システムのさらなる他の可能性のある役割は、送電線の電圧維持をもたらすことである。具体的には、電圧維持は、ある許容限度の範囲内で電圧を維持するために、ネットワークに電力を投入または吸収することを含む。
たとえば、無効電力(VAR)は別個の源から起こり得るネットワークにおける電力の形態であり、そのもっとも共通するところは1つ以上の誘電発電機の存在である。無効電力はエンドユーザによる直接的な消費用には利用可能ではないが、それでもなお、所定の範囲内での電圧および電力の安定性を維持するために、無効電力が電力ネットワークの運営者によって提供されなければならない。
無効電力を制御する電圧制御を提供することは、概して、1秒以内の反応時間での電力の投入を含む。そのため、電圧制御は、伝統的には、コンデンサーバンク、静止型無効電力補償装置(SVCs)、または同期コンデンサーのようなデバイスによって提供されてきた。これらのデバイスは容量性抵抗をもたらす機能を有し、局所的な電圧レベルを上昇させるために無効電力を投入する。
そのため、本発明に係るエネルギー保存システムのある態様が戦略的な立地でネットワークに無効電力を供給するために送電層内部に包含され得ることによって、最終的にエンドユーザによって消費され得る有効電力を提供するために発電資産の制限を解く。そのような電圧維持は概して1秒以下の反応時間で供給される電力を必要とするため、本発明に係る保存システムの態様は、必要とされる反応時間にわたって電力を供給する能力がある、コンデンサーバンクまたは他の即答性の構造と接続され得る。
本発明に係るエネルギー保存および回収システムの態様もまた、電力ネットワークの分配層内部に包含され得る。一つの役割において、そのようなエネルギー保存および回収システムは、変電所へのピーク負荷を低減し、バックアップ機能を実行するように機能し得る。
図66に上述したように、分配の変電所は、エンドユーザに電力を送る分配層内部に戦略的に設置される。人口が増加するにつれて、これらの変電所は全体的なより大きな負荷を経験し、概してピーク負荷におけるさらなるより大きな増加を経験する。
分配の変電所の設計はピーク需要を満たす必要条件によって制約され、そのため負荷の増大は、もしなければ必要とされるだろう一般的な負荷よりも頻繁に変電所の改修または置換を指示し得る。それゆえ、ある態様においては、圧縮気体エネルギー保存および回収システムがそのようなピーク負荷を低減するために分配層内部に配置され得ることによって、高額な費用がかかる分配の変電所の改修または置換を実行するための必要性を延期する。
そのため、図66は、分配層内部に配置された圧縮気体エネルギー保存システムの一態様を示す。具体的には、圧縮気体システム6680aは、1つ以上の連結機構6667を通して、第1の分配層の変電所6630aと連結する。圧縮気体システム6680bは、1つ以上の連結機構6669を通して、第2の分配層の変電所6630bと連結する。ある態様においては、圧縮気体システムは、電気的な連結機構を通して、分配層の変圧器と連結され得る。分配層の電圧と一致する電圧を出力するように発電機が構成されている態様においては、システムは、分配層と直接的に電気的に連結し得る。
たとえば、分配層内部に配置される保存システムの一態様は、オフピーク時に電力を保存するように構成され得る。ピーク時には、保存システムは分配層に電力を投入するだろう。戦略的なポイントへの電力のそのような投入は、1つ以上の分配の変電所によって経験されるピーク負荷を低減し得る。変電所の過去のピーク負荷は増加しないので、分配の変電所を改修する必要性は、将来になるまで延期され得る。
本発明に係る保存システムの態様によってもたらされるピーク負荷における減少は、さらなる他のコスト低減に至り得る。たとえば、ピーク負荷における低減が変電所要素への負荷における対応する減少に至り得ることによって、長期間にわたって信頼性を向上する。
分配層の変電所におけるピークレベルを低減する際に保存システムによって演じられる役割は、それらの保存システムの特性を決定し得る。たとえば、主要変電所をバックアップするために配置される保存システムは、分配ネットワークにおける位置と釣り合いが取れる比較的高い電圧を出力するために必要とされ得る。
加えて、保存システムは全負荷を背負うよりはむしろピーク負荷を低減することのみを必要とするので、そのようなシステムの保存能力は他の役割と比較して、より小さくなり得る。システムの保存能力はまた、特定の高需要の時間に対応するその運転の相対的な希有性によっても指示され得る。
第1の分配層内部に位置することの代わりに、または加えて、本発明に係る圧縮気体保存システムの態様は、第2の分配層の内部に配置され得る。そのような役割においては、保存システムは、装備の改修を延期し、装備の摩耗を低減する、という同様の利点をもたらすだろう。
さらに、第2の分配層においてエネルギー保存システムを配置することは、他の潜在的な利点をもたらし得る。たとえば、そのような保存システムは、万一、電力供給一時停止、計画停電、全面停電の場合には、消費者へのエネルギーバックアップの源を提供し得る。そのような地域エネルギー供給の分散化された性質はまた電力ネットワークの安全性を高め、ネットワークのいくつかのノードの欠陥から生じる電力の完全な損失を防止し得る。
分配層内部にエネルギー保存を配置することはまた、より大きなネットワークの欠陥に付随することを特徴とする「アイランディング」を容易にし得て、グリッドの小区分は独立して「アイランド」として強化され得る。そして、最終的にはより大きなグリッドとして一緒に連結されたものが再構築される。そのような「アイランディング」技術はグリッドにおける摩耗を低減し、ユーザが完全に電力なしである時間の量を減少させ得る。
第2の分配に包含されるエネルギー保存システムはまた、エンドユーザに配置されるマルチプル分散発電(DG)装置から電力ネットワークへの出力のバランスを取る機能を有し得て、その例は、屋上太陽(PVおよび/または太陽熱)もしくは風を含む。そのような役割において、エネルギー保存システムのコストの負荷は、単一のユーザよりも、ユーザの共同体に分配され得る。
地域エネルギー供給の一部として第2の分配層内部のエネルギー保存および回収システムを提供することもまた、分配の損失を低減することによって効率を向上させ得る。なぜなら、保存場所は負荷に近いところに位置され、移動距離とそれゆえに起こる損失を低減するからである。
電圧維持は、分配層内部に配置された本発明に係るエネルギー保存システムのさらなる他の潜在的な役割を示す。そのような電圧維持機能は送電層と関連して上述されている。
圧縮気体エネルギー保存および回収システムのいくつかの態様は、分配層と特定の関連がある電圧維持をもたらし得る。たとえば、圧縮気体エネルギー保存システムは、田舎の地理的領域を扱う広いエリアにわたって広がる第2の分配層に沿った点における電圧レベルを上げるのに役立ち得る。
圧縮気体エネルギー保存および回収システムの態様は、他の局所的な役割に適合し得る。たとえば、大口の電力需要者である設備は、広い地理的領域にわたって拡大し得るし、共通のメーターを使わないかもしれない(それによって、上述のように、それらと、単一のエンドユーザと、を区別する)。そのような設備の例は、空港、港、鉄道の線路などの交通ハブを含み得る。
そのような設備に近い分配層内のエネルギー保存システムを提供することは、ピーク時におけるそれらの需要を低減するのに役立ち得る。さらに、そのような分配層におけるエネルギー保存システムの使用はまた、安全のために利点があり、万一の自然災害またはテロリストの攻撃の際にもそれらの重要な設備に供給される電力の完全性を保証し得る。
上記に詳細を示したように、本発明に係るシステムの様々な態様は圧縮気体エネルギー保存システムに関連し、その運転はコントローラーまたはプロセッサーによって受信された情報に基づいて制御される。ある態様においては、コントローラーによって受信された情報は、システムを運転する、もしくは運転を停止するかを決定するための根拠として機能し得る。いくつかの態様においては、情報は、圧縮モードまたは膨張モードにおけるシステムの運転を決定するために用いられ得る。いくつかの態様においては、コントローラーによって受信された情報は、エネルギーの保存または回収の間に消費される、または出力される、電力に対してのシステム運転の効率を決定するためにさらに用いられ得る。コントローラーによって受信される情報は、以下に限定されるものではないが、電力グリッド上のエネルギーの現在価格、電力グリッド上のエネルギーの予期される将来価格、電力グリッドへの電力の購入または販売に影響を与える契約条項、他の源から電力グリッドへのエネルギーの供給レベル、気象情報、および/またはシステムもしくは併置された設備の計測履歴を含む。
(付記1)
圧縮気体エネルギー保存および回収システムのコントローラーに外部源から情報を受信させる工程と、
前記情報の受信に対応して前記コントローラーにシステムの要素を制御させて、
前記システムの運転または非運転、
圧縮モードまたは膨張モードにおける前記システムの運転、
気体圧縮によるエネルギー保存の効率もしくは気体膨張によるエネルギー回収の効率、
前記システムによって消費される電力量、または、
前記システムによって生み出される配送可能な材料の量
から選択される少なくとも1つのシステム特性を決定する工程と、
を含む方法。
(付記2)
外部からの前記情報が電力グリッド上の電力の現在価格もしくは将来価格を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記3)
電力の現在価格もしくは電力の将来価格が前記電力グリッドから受信される、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
(付記4)
外部からの前記情報が、電力グリッドへの電力の購入もしくは販売に影響を与える契約条件を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記5)
前記要素が、前記圧縮モードもしくは前記膨張モードにおいて、前記システムを通して気体を流すように作動可能なバルブを備える、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記6)
前記バルブは、前記圧縮モードにおける第1の通路において、もしくは、前記膨張モードにおける第2の通路において、前記システムを通して気体を流すように構成された三方バルブを備える、
ことを特徴とする付記5に記載の方法。
(付記7)
前記要素は、チャンバー内部の圧縮もしくは膨張用の気体の増加体積を収容するように作動可能なバルブを備え、
前記バルブの作動のタイミングは、前記増加体積の規模を制御するように調節される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記8)
前記要素が、前記チャンバー内部の圧縮もしくは膨張に影響を受ける気体体積をチャンバーから排気するように作動可能なバルブを備え、
前記バルブの作動のタイミングは、排気の時に前記チャンバー内部に残存している圧力を制御するように調節される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記9)
前記要素が、前記システムによる気体の圧縮もしくは膨張の効率を変化させるように制御される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記10)
前記要素が、気体を圧縮する前記システムによって消費された電力量を変化させるように制御される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記11)
前記要素が、圧縮気体の膨張に関して前記システムによって出力された電力量を変化させるように制御される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記12)
前記配送可能な材料は、電力、水、もしくは圧縮された二酸化炭素ガスを含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記13)
前記コントローラーが、前記システムの内側から受信される追加の内部情報に基づいて前記要素を制御する、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記14)
前記追加の内部情報が圧縮気体保存ユニット内の圧力を含む、
ことを特徴とする付記13に記載の方法。
(付記15)
前記エネルギー保存および回収システムが複数のステージを備え、前記要素が前記複数のステージの2つの間での運転を調和するように制御される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記16)
前記エネルギー保存および回収システムが複数のステージを備え、前記要素が、用いられるステージの数を決定するように制御される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記17)
前記エネルギー保存および回収システムが電力グリッドと連結し、
前記情報が、
前記電力グリッドの運営者からの需要応答、
前記グリッドからの前記システムによって消費された電力の過去のピーク、
前記電力グリッドにかかる負荷の表示、
前記電力グリッドから利用可能な低減された電力の表示、
もしくは、前記電力グリッドの混雑の表示、
を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記18)
前記エネルギー保存および回収システムが、併置された設備と共有するメーターを通して、電力グリッドと連結し、
前記情報が、前記メーターにおける前記グリッドから消費される電力の過去のピークを含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記19)
前記エネルギー保存および回収システムが可変出力を有する代替エネルギー源と併置され、
前記情報が、前記代替エネルギー源の出力を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記20)
前記情報が気象情報を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記21)
圧縮気体エネルギー保存および回収システムの要素と電気的に連結し、外部情報源とも電気的に連結する、コントローラーと、
前記コントローラーに、前記外部情報源から受信された情報に応答して前記要素を制御するように、指示するように構成された、内部に保存されたコードを有するコンピューター読み出し可能保存媒体と、
を備え、
前記コードが、
前記システムの運転もしくは非運転、
圧縮モードもしくは膨張モードにおける前記システムの運転、
気体圧縮によるエネルギー保存の効率もしくは気体膨張によるエネルギー回収の効率、
前記システムによって消費された電力量、
もしくは、前記システムによって生み出された配送可能な材料の量、
から選択される少なくとも1つのシステム特性を決定する前記要素を制御するように構成された、装置。
(付記22)
前記要素が、前記圧縮モードもしくは前記膨張モードにおいて前記システムを通して気体を流すように作動可能なバルブを備える、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記23)
前記バルブは、前記圧縮モードにおける第1の通路において、もしくは、前記膨張モードにおける第2の通路において、前記システムを通して、気体を流すように構成された三方バルブを備える、
ことを特徴とする付記22に記載の装置。
(付記24)
前記要素は、チャンバー内部の圧縮もしくは膨張用の気体の増加体積を収容するように作動可能なバルブを備え、
前記バルブの作動のタイミングは、前記増加体積の規模を制御するように調節される、
ことを特徴とする付記23に記載の装置。
(付記25)
前記コードが、前記システムによる気体の圧縮もしくは膨張の効率を変化させる前記要素を制御するように前記コントローラーに指示するように構成された、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記26)
前記コードが、気体を圧縮する前記システムによって消費される電力量を変化させる前記要素を制御するように前記コントローラーに指示するように構成された、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記27)
前記コードが、圧縮気体の膨張に関して前記システムによって出力された電力量を変化させる前記要素を制御するように前記コントローラーに指示するように構成された、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記28)
前記コードが、電力、水、もしくは圧縮された二酸化炭素ガスを含む前記配送可能な材料の量を変化させるように前記コントローラーに指示するように構成された、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記29)
前記コントローラーが、前記システムの内部から受信される追加の内部情報に基づいて前記要素を制御するようにさらに構成された、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記30)
前記追加の内部情報は、圧縮気体保存ユニット内の圧力を含む、
ことを特徴とする付記29に記載の装置。
(付記31)
前記エネルギー保存および回収システムが複数のステージを備え、前記要素が前記複数のステージの2つの間での運転を調和するように制御される、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記32)
前記エネルギー保存および回収システムが複数のステージを備え、前記要素が、用いられるステージの数を決定するように制御される、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記33)
前記コードが、電力グリッド上の電力の現在価格もしくは将来価格を含む前記情報の受信に基づいて、前記要素を制御するように前記コントローラーに指示するように構成された、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記34)
前記コントローラーが、電力グリッドからの情報を受信するように構成された、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記35)
前記コードが、電力グリッドからの電力の販売もしくは購入に影響を与える契約条件の受信に基づいて、前記要素を制御するように前記コントローラーに指示するように構成された、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記36)
前記エネルギー保存および回収システムが電力グリッドと連結し、
前記情報が、
前記電力グリッドの運営者からの需要応答、
前記システムによって前記グリッドから消費された電力の過去のピーク、
前記電力グリッドにかかる負荷の表示、
前記電力グリッドから利用可能な低減された電力の表示、
もしくは、前記電力グリッドの混雑の表示、
を含む、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記37)
前記エネルギー保存および回収システムが、併置された設備と共有するメーターを通して、電力グリッドと連結し、
前記情報が、前記メーターにおける前記グリッドから消費される電力の過去のピークを含む、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記38)
前記エネルギー保存および回収システムが可変出力を有する代替エネルギー源と併置され、
前記情報が、前記代替エネルギー源の出力を含む、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
(付記39)
前記情報が気象情報を含む、
ことを特徴とする付記38に記載の装置。
本発明の態様はエアロゾルサイクル冷却を用いるシステムおよび方法に関する。
蒸気圧縮空調装置は、単純であり、効率的であり、安価であり、効果的である。残念なことに、標準的な冷媒の使用は強力な温室効果ガスを放出し得る。エアロゾル冷却サイクルと呼ばれる新しい熱力学サイクルを用いることでGHGの放出を取り除きつつ、本発明に係る態様は、蒸気圧縮システムの効率と一致もしくは上回り得る。
本発明に係る態様はいくつかの点で、熱を伝導するために用いられる気体の等温圧縮および膨張を用いるスターリングサイクルに類似するサイクルを用い得る。いくつかのアプローチによれば、微細で高密度な液体スプレーが、圧縮中および膨張中の気体に直接注入され得る。非常に高い熱容量と界面の表面積と、を有するこのスプレーは、作用気体と、暖気・寒気熱交換器との間で熱を素早く捕捉し、伝導し得る。気液エアロゾルの1つの選択肢は水および空気(ヘリウムが気体の他の選択肢である)であり、その使用によってはGHGの放出は起きないだろう。
伝統的な蒸気圧縮デバイスと比較して軽い重さのため、気体冷却サイクルが伝統的に航空機に用いられてきた(Nag,P.,”Engineering Thermodynamics,” Tata−McGraw Hill,2nd Ed.,1995参照)。これらのシステムで実行される断熱圧縮および膨張のために気体冷却サイクルは低いCOPを有し、そのため、伝統的な冷却ユニットには不向きである。
高まる注目を得つつある技術がスターリングサイクルクーラーである。現在、小容量のスターリングサイクル冷却システムが商業的に利用可能である。これらのシステムの可能性のある短所は、冷却負荷における大きな変化のために設計することが難しいことである。また、スターリング冷蔵庫は起動から所望の温度に達するまでに長い時間がかかるかもしれず、特定の電力が低く、システムの大きなサイズに至り得る(Organ,A,J.,”Regenerator and the Stirling Engine,”Mechanical Engineering Publications,UK.参照)。
理論的には、理想的なスターリングサイクルを稼働する空調設備はFOAに設定された目標値(関心1aの領域)に到達し得る。しかしながら、現実には、時代遅れに製作された「スターリング」空調装置が、理想的なスターリングサイクルに合理的にさえ近づくことはなく、極端に高い効率を必要とし、膨張および圧縮プロセスの間、気体に向けて、および気体から、熱を素早く伝導する。これを実行することの失敗によって、現存するスターリングサイクルシステムの圧縮および膨張プロセスがほぼ断熱となり、大きな熱力学的損失および限られた電力密度に至る。
そのため、本発明の態様はエアロゾル冷却サイクルを用い得る。そのような態様は、ほぼ等温で気体を圧縮および膨張させる能力をもち得る(すなわち、ほんのわずかな温度変化で)。これは、微細で、高密度で、高熱容量な液体スプレーを、圧縮中および膨張中の気体に取り込むことによって実現され得る。スプレーの熱容量は気体の熱容量をそのようにして支配し、圧縮の他の顕著な温度上昇(および膨張中の下降)はほんの数度にまで低減され得る。
そのため、エアロゾル冷却サイクルのような稼働中の高効率空調装置が開発され得る。
図73はある態様に係る簡素化された図面を示す。本システムは、モーター(7301)と、往復ピストンコンプレッサー(7302)と、膨張機(7303)と、高温側および低温側空冷液体熱交換器(7304および7305)と、2つのポンプ(7306および7307)と、2つの気液分離機(7308および7309)と、チェックバルブ(7310および7311)と、ソレノイドバルブ(7312から7315)と、逆流熱交換器(7316)と、を備える。
エアロゾルサイクルの一態様の詳細は以下のとおりである。
1.冷たい気体(〜55°F)が往復チャンバー(7303)内で膨張し、内部に取り込まれた液体スプレーから熱を引き出す。両方が45°F以下で膨張機を出る。抽出された仕事は、コンプレッサー(7302)およびポンプ(7306および7307)に再投入される。
2.冷たいエアロゾル内の液体は気体から分離され(分離機7309を介して)、液体蒸気に回収され、熱交換器(7305)に送られ、吸気気流を55°F以下まで冷却し、それから循環されて膨張中の気体にもう一度噴霧される。
3.冷たく液体を含まない気体は逆流熱交換器(7316)を通り、暖かく液体を含まない気体の流れとぶつかる。冷たい気体は、定圧の下、外気温(105°F以下)よりわずかに上の温度まで加熱される。
4.暖かい液体が暖かい気体に噴霧され、次に圧縮される(コンプレッサー7302内で)。コンプレッサーは膨張機によっていくぶん駆動され、電気モーター(7301)によっていくぶん駆動される。圧縮熱はエアロゾルに引き出される。両方が115°F以下でコンプレッサーから出る。
5.暖かい液体は気体から分離され(分離機7308を介して)、蒸気に回収され、熱交換器(7304)に送られ、熱を捨てることによって外気温にまで冷却され、その後回収され、圧縮中の気体にもう一度噴霧される。
6.暖かく液体を含まない気体は逆流熱交換器(7316)を通り、冷たく液体を含まない気体の流れとぶつかる。暖かい気体は、定圧の下、空調設備の排気温度(〜45°F)のわずか下まで冷却される。気体は膨張機に流れ、冷たい液体に取り込まれ、サイクルが続く。
伝統的な冷却サイクルにおいては、我々の構造におけるコンプレッサーが気体(空気またはヘリウム)を圧縮し、それを加熱するにつれて、その熱は熱交換器を介して外気に廃熱される。しかしながら、本発明に係るサイクルのある態様においては、バルク相転移は起こらなくてもよい。温度変化はほぼ全て顕熱の伝導によるものである。さらに、圧縮の熱は、圧縮シリンダーに噴霧される水滴によってほぼ完全に吸収される。加熱された滴は圧縮ストロークの終点においてシリンダーから排気され、次に、圧縮空気から分離される。それが、廃熱するために熱交換器を通して送り込まれた加熱液体である。
サイクルの膨張側は圧縮側の鏡像である。とはいえ、気体の膨張がピストンを駆動し、同様に、コンプレッサーを駆動する同じシャフトを駆動する、という点に言及する。これは、気体の自由膨張のエネルギーが損なわれる標準スロットルバルブと比較して効率を向上させる。
内燃エンジンにみられるのと同様に往復ピストン機構によって、作動中の圧縮/膨張チャンバー内に直接噴霧することが可能になり得る。タービンベースコンプレッサーは、液滴と気体との均一の混合を可能にする正しい配置を欠き得る。
目標とする仕様のため(60%の相対湿度を有する75°Fの建物温度、相対湿度100%で55°Fの排気温度、95°Fの外気温)、もし多くの寄生損失が制御され得るならば、4を超える性能係数(COP)が合理的なコストで達成され得る。もし電気モーターと、付随する駆動効率が95%であるならば、コンプレッサー機構および膨張機機構の効率は往復で79%を超え得る。もし高品質機械構成部品が用いられ、もし、圧縮中、膨張中、および熱交換器を通しての温度変化が約10°Fまでに維持され得るならば、このレベルの効率が達成され得る。
対照的に、従来型の断熱コンプレッサーおよび膨張機は、同様の運転条件下で、100°を超えるΔTを有し得る。本発明の態様に係る近等温技術が所望の冷却効率を達成し得る。
本発明に係る態様は液体スプレーシステムを用い得る。具体的には、圧縮ストロークの間の固定された小さな温度上昇(および、膨張ストロークの間の温度降下)を維持する能力が、システムの効率を実行するのに役立ち得る。液体スプレーは圧縮中に熱を吸収し、膨張中に熱を加え得る。その高い熱容量のため、液体の最も良い選択は水である。必要とされる熱伝導比を達成するために、スプレーは非常に密度が高くなり得る。すなわち、水の体積分率は少なくとも、0.25%であり得る。加えて、気体−水エアロゾルは、ホットスポットまたはコールドスポットを避けるように、圧縮および膨張チャンバー内に均一に分配され得る。
ノズルおよびスプレーマニフォールドが設計され得て、それらの性能は計算流体力学(CFD)のツールを用いてシミュレーションされ、次に、組み立てられて、レーザー画像および粒子画像流速測定システム(PIV)を用いてノズルを検査する。
スプレーシステムの態様は、シリンダーヘッドを介して圧縮および膨張シリンダーに水を直接注入する。課題は、約1リットルの排気量のシリンダーのヘッドに十分に適合するようにスプレーシステムを小型化することである。
本発明の態様は、コンプレッサーおよび膨張機の機構を包含し得る。原理的には、さまざまなコンプレッサーまたは膨張機の技術がこのアプリケーションのために用いられ得る。
実際には、運転中に高密度の水スプレーを注入する必要性がこの態様を決定し得る。往復ピストン機構が用いられ得る。そのようなアプローチが、もっともよい配置、もっとも高い柔軟性、および適切な速度や機械的な効率だけでないものをもたらし得る。
往復機構は、既製のコンプレッサーを改良することによって設計され得る。特注のシリンダーヘッドが噴霧システムに適応する。その機構は耐水性であり得て、特注の材料および完全な被覆の使用を含み得る。例は、露出面用のニッケルポリマーおよびDLC(ダイヤモンド状炭素)、グラファイト系PTFEピストンリング、黄銅ノズル、およびステンレス鋼バルブ構成部品を含む。
本発明に係る態様は逆流熱交換器を用い得る。逆流熱交換器の性能は所望のシステム効率の達成を決定し得る。120psi以上の内部圧力に耐える能力とともに、熱交換器のそれぞれの終点における流入および流出の気流の間の低いΔT(約10°F)が用いられ得る。
第2に、高温気流が冷却される時、結露が逆流熱交換器内で起こり得る。高温気体が逆流熱交換器より前に分離機を離れる時、それは湿気で飽和され得る。熱交換器を通しての圧力降下は低くなり得て、そのため、空気中の湿気のなかには熱交換器内部で液化し得るものもある。水はこのシステム内の閉ループ内に高圧のまま残るので、復水は回収され、システム内に再注入され得る。
逆流熱交換器のモデリングは、高圧での湿度属性値を含む。現存するソフトウェアは27バールの圧力までの湿り空気の熱力学属性を提供する。湿度的アルゴリズムは、凝縮も起こる冷却水コイルを通過する湿り空気を設計するために用いられるだろう。
用いられる作用気体が空気である場合、それは、直ちに膨張機に循環されるよりもむしろ、圧縮に続く好適な圧力ベッセルに保存され得る。電力を供給するために用いられる電気が安価である時、これによって、システムは夜間に充電され得る。冷たさは後に(概して、空調が必要とされ、電気がより高価だろう翌日に)供給され得る(消費されるさらなる電力なしに)。
本発明に係る態様は「開放型の」構造を有し得る。すなわち、空気は周囲からコンプレッサーに引かれ、膨張機から周囲に排気されるだろう。
本発明に係る態様は、経済的であり、かつ、温室効果ガスを使用せずに性能係数4をもたらし得る空調システムを開発し得る。ある構成部品(例:近等温コンプレッサーおよび膨張機、および逆流熱交換器)が製作され、個々にテストされ、(適切な解析とシミュレーションが完了した後)システムに統合され得る。
熱力学的モデリングは以下のように進められる。このデバイスのアプリケーションは高性能空調システムとしてである。潜在的で顕著な冷却が、冷却された水コイル(低温側熱交換器)で起こり得る。それゆえ、正確な性能モデリングは、空気側での適切な湿化プロセスを含み得る。
性能は一連の設計パラメーターで測定されるだろうが、設計外の条件での運転が季節ごとの性能を試算するために重要であり得る。パラメーターの研究は、さまざまな屋内および屋外の環境条件におけるシステムの性能をシミュレーションする熱力学的/湿度的なモデルを用いることで行われ得る。
さまざまな態様のための他の可能性のあるアプリケーションは、安定状態にある熱力学モデルを用いて調査され得る、内部熱水加熱を補助するシステムの使用、および/または熱ポンプとしての使用を含む。これらの代替アプリケーションは、元の設計で特定されるよりは、追加または異なる熱交換器を用い得る。もし高温側からのいくぶんもしくは全ての熱が内部の熱水を加熱するために用いられ、もしシステムが熱ポンプを風に当てるための空気として用いられるならば、熱力学的シミュレーションもまた、システム性能の効果を決定するように行われ得る。
構成部品のモデリングは以下のように行われ得る。2つの問題がこのアプリケーションにおける既製の熱交換器の使用を妨げている。1つめは主要熱交換器の全てにおける高圧の使用である。管の壁厚は、直面する高圧のために適切な安全を提供するように通常用いられる数値よりも高くなければならないかもしれない。
2つめに、高温気流が冷却されるとき、湿気の凝縮が逆流熱交換器内で起こり得る。高温気体が逆流熱交換器より前に分離機を離れる時、それは湿気でほぼ飽和されているだろう。熱交換器を通した圧力低下が低くなると予測されており、そのため、空気中の湿気のなかには熱交換器内で凝縮するものもある。このシステム内の閉ループ内で全ての水は高圧のまま残存するので、復水は回収されシステム内に再注入されなければならない。
逆流熱交換器のモデリングは高圧での湿度属性を必要とする。現存するソフトウェアが27バールまでの圧力における湿り空気の熱力学特性を提供する。従来型の湿度的アルゴリズムは、凝縮も起こり得る冷却水コイルを通過する湿り空気を設計するために用いられるだろう。従来型の熱伝導および流体力学の原理およびモデルが、システム内部の湿り空気および水の両方に、および、システム外の湿り空気内での修正なしに適用されることが予期されている。
構成部品は以下のように設計され得る。熱交換器の設計要件は、構成部品のモデリングの結果から決定され得る。構造は、3つのメイン熱交換器、2つの気流と、熱水および冷水コイルと、の間にある逆流熱交換器のそれぞれの一連の仕様を備え得る。仕様は、熱伝導負荷、流速、圧力比および圧力降下、最大寸法と重量を含み得る。コンパクトな設計要求が追加の困難を課し得る。
データ収集およびシステム設計は以下のようにされ得る。高圧環境に適応可能な適切なセンサーが、データ収集のためのソフトウェアおよびハードウェアとともに、システムを作成するために用いられ得る。
試験設備は、システム内の高温側および低温側熱交換器の両方に接近する空気のための安定した空気温度および湿度条件を維持することが可能な2つの周囲のチャンバーを含み得る。データの大半は低温側で収集され、システムにおける冷却負荷を決定する。熱交換器の空気側および水側の両方での熱伝導率が得られ得る。水側の測定値が、湿り空気側の測定値よりも正確であることが可能である。正確な電力測定値も得られ、システムのC.O.P.が決定されるだろう。
熱交換器の構造をテストする設備は以下のようであり得る。2つの別個の測定システムが可能である。1つは逆流熱交換器をテストするためのものである。
この設備においては、湿り空気が、コンプレッサー/膨張機の高温側および低温側の両方に気液分離機を出ることが予測される条件で提供され得る。熱交換器の両側に、および、両側から流れる湿り空気の温度、圧力、湿度の数値および流速が測定され得る。加えて、復水の温度および流速もモニターされ得る。
熱水および冷水コイルが既知の空気の流速を提供可能で、トンネル内で空気を暖め、湿らせ得る設備内でテストされ得る。設備は冷水コイルを測定することが可能であり得て、そこでは空気が暖められ、湿らされなければならない。建物の冷水を用いることで、熱が気流から除去される必要がある時には、熱水コイルをテストする冷却能力が設計され得る。これらのテストにおける空気の流速は、この設備内で通常行われるASHRAEフィルターテストで要求されるよりも低い。そのため、存在するノズルよりも低い範囲での流れを測定する新しい気流ノズルが正確な流れの測定のために仕様書に含められ得る。計装が両方の設備に据え付けられ、自動データ収集システムに接続される。システム性能確認テストが行われ得る。
近等温圧縮および膨張を用い、このシステムのための技術を開発し、基礎とすることによって、新しいサイクルの熱力学的解析がなされてきた。この作業は、高価ではなく、効率的なエネルギー保存システムを生み出す同様の技術を用いる取り組みから生じた。
質量流量および液滴粒径で、液体を圧縮および膨張チャンバーに導入する噴霧ノズルおよび制御システムが研究されてきた。これらのスプレーシステムは、粒子速度画像およびCFDの解析を用いて特徴づけられ得る。
図29は、高い圧縮比に適切な、非常に均一な滴分布をもたらす中空円錐ノズルの速度場を示す。図30はファンノズルのCFDシミュレーションであり、大きな質量流量をもたらし、作用ガス内に均一にスプレーを取り込むようにマニフォールド内に容易に配置され得る。
図74は、圧縮比が32である2つの圧縮サイクルにわたっての質量加重平均温度のグラフ図である。比較のために、スプレーなしの平均温度がプロットされている。図74Aは、極端に高い圧縮比32である気体圧縮のCFDシミュレーションからの、上死点におけるケルビン温度の疑似カラー図である。ストローク毎に注入される水の量は、その体積の約0.6%である。
(R&Dの進行)
圧縮気体を用いる空調が過去において積極的に追い求められていなかった理由の一つは、従来型の(断熱)圧縮/膨張サイクルの熱効率が非常に低かったことである。たとえば、1気圧から200気圧まで断熱圧縮し、膨張させて1気圧まで戻す往復の効率は約30%である。加えて、気体の温度における変化(圧縮/膨張されている時)は、圧縮比を約3.5までに制限し、圧縮または膨張サイクルのための複数のステージを必要とすることによって、効率をさらに低下させる。
そのようなシステムの性能を示すために、水滴をコンプレッサーに噴霧することによって温度変化ΔTが20℃以下に維持されている間、空気を気圧まで圧縮する計画を我々はたてている。我々の圧力の基準は、約25Wh/リットルのエネルギー密度を得るために設定され、それはシステムを実用にするために十分に高いものである。以下に説明されるように、ΔTの基準は、目標値である往復熱効率90%によって設定される。
(システムの熱効率)
図75はエネルギー保存システム用に用いられる熱力学サイクルの一態様を示す。プロセス1−2’の間、LSEによって開発されている独自の水スプレー技術を用いる等温コンプレッサーを用いて、約200気圧の高圧まで空気が圧縮される。伝統的な断熱コンプレッサーは約3.5の圧縮比を実現するにすぎない一方、現存する実験データは、圧縮比30が等温圧縮に用いられ得ることを示唆している(Coney et.al.,”Development of a reciprocating compressor using water injection to achieve quasi−isothermal compression”,Int.Compressor Eng.Conf.,July 16−19,2002参照)。大きな等温圧縮比のおかげで、高圧(200気圧を超えて)が、2つのステージのみを用いることによって実現され得る。この圧縮エネルギーは、数分か、何時間も続けて、のどちらかでタンクに保存される。大規模な数メガワットの電力系統においては、このエネルギーが数時間で保存されると思われ得る。この時間の間、タンクに保存される空気はいくぶん熱を失い、一定の体積で外気温に戻るだろう。保存されたエネルギーが必要とされる時、等温条件下で空気を膨張させる水スプレー技術をも用いるプロセス2−3に沿って、圧縮空気が膨張して元に戻される。
(熱力学的解析)
このシステムの実現可能性を示す基礎的な熱力学的計算がこのセクションで示される。システムに注入される水量は、温度がおおよそ一定に維持されるのに十分であるべきである。エネルギー移送は、TdS=dH−VdPの関係式で表され得る。数百ミクロンのサイズの水滴にとって、熱伝導率は非常に早く、空気および水滴によって得られる高速の熱平衡に至る。開発されている独自のスプレー技術に関する以下のセクションにおける説明は、合計エネルギーの比較的小さな比率を適用することによって、小さな液滴粒径が容易に可能であることを明確に示す。そのため、空気と水とが同じ温度であることが仮定される。それゆえ、我々は、dH=CpadT+mwCpwdTを有する。ここで、mwは空気の質量あたりの水の質量である。CpaとCpwは、それぞれ、空気と水の熱容量である。我々はここで、(Cpa+mwCpw)dT/T=RdP/Pと書き得る。上記方程式を積分することは以下の関係式に至る。
ここで、n=(1−R/(Cpa+mwCpw))−1である。圧縮中になされる仕事は以下のように示され得る。
エネルギー保存システムの効率は以下のように定義され得る。
水の体積分率に対する効率のプロットが図76Aに示される。図76Aは、圧縮中に異なる液滴粒径がシリンダーに噴霧される時の、往復のエネルギー保存サイクルの理想的な熱効率(圧縮比14.1、20Hzにおける)を示す。
理想的な往復熱効率90%を得るために、100μmの滴の形態での、コンプレッサー内に、最大2.5%の量の水を噴霧することが必要とされることが示される。図76Aに示すように、この量の水を噴霧することは、圧縮/膨張の間の温度上昇/下降を約ΔT=20Kまでに抑える。
図76Bは、水体積分率における増加を伴う排出空気の温度を示す。1気圧における水の初期体積分率の機能として、図76Bは、圧縮比14.1、20Hzでの圧縮中の空気の温度上昇(ΔT)を示す。
100μmの滴が噴霧される時、2.5%の水体積分率において、排出空気の温度における上昇は20°以下である。相対的に、水が用いられない時、温度上昇は1000Kを超える。
(空気と水滴との間の熱交換のタイムスケール)
現在のコンプレッサーシステムにとって、Prが0.7以下であると仮定され得て、理論的および実験的に算出された注入速度に基づいて、Reが100以下であると理解され得る。そのため、Nu=hdp/k=7.33である。平均100ミクロンの滴と空気伝導率k=0.027W/m/Kを仮定すると、我々は、熱伝導係数’h’として、2000W/m2/Kを有する。球状の水滴と空気との間の熱伝導は、maCpadTa/dt=hAp(Ta−Tw)と記載され得る。ここで、maは1つの滴を取り囲む空気の質量である。TaとTwとは、それぞれ、空気の温度と、水滴の温度である。Apは滴の表面積である。注入された上記の水の質量の算出から、我々は、ma=0.5mdを有し、ここで、mdは滴の質量である。この熱伝導プロセスと関連するタイムスケールは、τ=maCpa/hApとして与えられ、100ミクロンの滴にとっては、約1ミリ秒となる。これは、圧縮プロセスのタイムスケールよりも、際だって早い(コンプレッサーは約1200RPMの回転速度で運転される)。
(等温コンプレッサーのCFD解析)
圧縮比9での等温コンプレッサーの計算流体力学(CFD)の解析が行われている。動的な再度のかみあいに沿った複雑な多重フローのシミュレーションモデルが、気相と水相との間の複雑な相互作用をシミュレートするために用いられている。2つの相にとっての、別個の、エネルギー、運動量および体積の保存方程式が解かれる。
図77は、排気バルブの開放の直前にくる、シリンダーヘッドに近い位置における上死点での温度(K)を示す。そのシミュレーションにおいては、水滴の、跳ね返り、滑り、粘着の効果により、かなりの量の水の蓄積が壁に沿って観察される。概して、水体積分率が高い領域では温度が低く、低い水体積分率が存在する中核においては温度が高い。
図78は、水スプレーあり、および、水スプレーなしでの温度変化を示す。図78は、水スプレーあり、および、水スプレーなしでの、クランク回転に対するシリンダー内の質量平均空気温度(K)のCFD予測を示す。
1秒あたり0.4リットルで噴霧された(1ストロークあたり20cc)200μmの滴の存在下での温度上昇がわずか約25Kである一方、水スプレーなしでの気体の平均温度は約270K上昇するだろう。これらの結果は理論的解析を確認し、提案されたアプローチの有効性を明確に示す。
(他の損失)
等温圧縮/膨張サイクルによって際だって低減される熱的不効率に加えて、効率における減少に至る他の損失がある。そのような源は既に特定されており、ここに要約される。
(モーターおよび電気構成部品の損失:約5%と推定される。)
より高い効率の構成部品がより高いコストで購買され得る。
(バルブ損失:約2.7%と推定される。)
バルブを通る流量と圧力低下とは以下の式で関連づけられる。
我々は空気および水の流速を知っているので、圧力低下を以下の式で算出できる。
空気および水の典型的な速度はバルブ近くで10m/秒の範囲である。
ついで、気相と水相とで別々に損失が算出される:KJ/kg−of−airの単位における気流の損失は以下の式で表され、約1.25kJ/kgであると算出される。
kJ/kg−of−airの単位における水流によるバルブ損失は以下の式で表され、約3.75kJ/kgであると算出され、456kJ/kgの発電された総電力の約1.1%である。
(摩擦および連結の損失)
そのような損失は、主に、シリンダー内部のピストンの動き、および、ピストンリングを通した圧縮空気の漏れによる。摩擦および連結の合計損失は、ピストンリングあたり4psiと推定される。
(噴霧の損失:約0.16%と推定される。)
この電力損失は、ノズルにかかる圧力差と、ノズルを通した流速とに基づいて推定された。パーセンテージ損失は、(ΔPnozzleQwatermr/ρwater)/(RTln(P2/P1))を用いて推定される。
(噴霧システム)
上述の解析によって設定される噴霧基準を満たすために、比較的低い圧力差(50psi未満)および比較的大きな流速(100cc/秒未満)で運転し、比較的短い崩壊長さで小さな滴(100ミクロン未満)を生成する噴霧システムが設計され得る。噴霧ノズルはシリンダー内に比較的均一な噴霧を生み出し得て、浅い角度(シリンダーヘッドに対して)で噴霧すべきで、小さいもしくはゼロの死容積を引き出すはずである。それから、ノズルは製造するのにも容易であるべきであり、キャビテーション効果を除去/低減するべきである。
ノズルは、我々のシリンダーに適合するのに十分に小さく、確実で安価に複製するのに十分に単純であるように設計されてきている。ノズルの開発は継続されている。いくつかの予備の実験的および計算的なテストが以下である。
図30および79〜82bは、我々が実験したノズル構造のいくつかのCFDシミュレーションを示す。図79は、2Dにおけるジェット崩壊の多相流れシミュレーションを示す。図30は、独自のLSEノズルのうちの1つから放出される水スプレーのCFDシミュレーションを示す。図80は、開発された角錐ノズルから放出される水スプレーのCFDシミュレーションを示す。
CFDシミュレーションで、我々は、ノズルの内部流構造を予測し、形成されたシートの発散角を予測することができる。我々はまた、崩壊長さおよび崩壊機構のおおまかな推測を得ることができる。次に、我々は、科学論文に出版された半経験的相関に沿って得られた情報を用い、崩壊長さおよび液滴粒径の、より正確な数値を予測する。
図81aは、粒子画像流速測定(PIV)システムを用いて得られる滴の実験写真を示し、液体シートの崩壊および噴霧化を示す。液滴粒径の分布の測定値もまた、図81bにプロットされる。
実験準備はデュアルキャビティNdを含む。532nmの波長で2つの連続的な50mJ 4nsレーザーパルスで視野を照射する能力をもつYagレーザー(Solo III−15,New Wave Research)。この準備によって、我々は、落下速度の空間的分布を測定できる。
(コスト解析)
20Hzでの運転(1200RPM、2つの動力ストローク)、および200気圧タンクから1気圧まで空気を膨張させる際における90%の効率を仮定すると、我々のシステムの定格は、以下の関係式を用いて、7.75kW/リットル−of−displacementと推定される。
我々は、トラックディーゼルエンジンを、我々が提案するコンプレッサー/膨張機の主要な(量産の)コストを推定するために、モデルとして用いた。ディーゼルエンジン内の圧力値は我々のシステムにおける圧力と似ているので(〜200気圧)、これは直感的に合理的である。4ストロークでの2400RPM(我々のシステムと同じ動力ストローク)におけるディーゼルエンジンの定格は、以下の式を用いて約16kW/リットル−of−displacementであると推定される。
100馬力(〜75kW)のトラックディーゼルエンジンが約6000ドルであると仮定すると、我々のコンプレッサー/膨張機の量産の資本コストは約$165/kWである。以下の表は、資本コストの推定を要約し、他の項目のコストを含む。
(COP)
目標となる条件下、多くの商用空調ユニットは性能係数3.5で運転されている。我々のシステムはCOP4.25を目標とする。我々の解析の要約が以下である。
図32Aはサイクル全体を通して流れる仕事と熱を示す電力フローグラフ図である。全ての電力値は、グリッドから流れる電力に正規化されている。まず、1kWの電力は、97%の効率でモータードライブを通して処理され、95%の効率のモーターに続く。これはモーターシャフトを通過し、摩擦として、その電力の0.5%を失う。このシャフトがコンプレッサーを駆動させる。コンプレッサーはいくつかの不効率の源を有する。噴霧、漏れ、機械的、および熱的。
水対ヘリウムの質量比が10:1の際、噴霧による損失は、システムを通して循環される仕事のわずか1%にすぎない。往復コンプレッサーまたは膨張機の機械的および漏れの損失は概して95%である。しかしながら、摩擦損失は、バルブアクチュエーター、オリフィス摩擦、およびパイプ損失およびピストンリングに集中する。これらの摩擦損失のうち、圧力が増すにつれて直線的に増加するものはなく、バルブ/パイプ損失はヘリウムのような軽い気体で低い。圧縮比2.71で、運転は25バールに内部的に加圧され得る。これらの機械効率は合計で95.6%以上に維持され得る。
熱的損失がある。コンプレッサーおよび膨張機の動的熱性能が解析されており、小規模において、解析的境界、計算結果、およびいくつかの実験結果に至っている。気体はより低い温度であるので、膨張においてなされる仕事は圧縮においてなされる仕事より小さい。気体と液体との間の温度差が5°F以下である限りにおいて、示される温度に対して、膨張効率は92.7%であり、圧縮効率は98%であり、我々の実験および計算結果に従って獲得可能である。
(サイズ)
1200RPMおよび150psiで運転される1トンシステムに対して、我々は、1馬力の電動モーター、合計排気量350ccの2つの往復ピストン、および約15平方メートルの界面の表面積を有するファン冷却熱交換器を必要とする。これらの構成部品を所望のフォームファクター(1.5フィート×1フィート×9インチ)に収めることは困難ではあるが、実現可能であり得る。
(寿命)
目標仕様である14年間にわたって、ほとんどメンテナンスをせずに、またはメンテナンス無しで作動することが、構造における構成部品は合理的に期待され得る。そして、他の同様のシステムにおいてそのようにされている。水は多くの金属を腐食するので、寿命に影響を及ぼす1つの要因は、コンプレッサーおよび膨張機シリンダーにおける水の使用を含む。スライディングシール、弁座、摩耗表面、およびファスナーにとって、長寿命でもある耐水性のマテリアルが有用である。本発明に係る構造は、アルミニウム成分、ニッケル−ポリマーコーティング、およびPTFTスライディング成分を用い得る。
(コスト)
1トンあたり$1000の目標に到達するために、近等温圧縮および膨張シリンダーのコストエンジニアリングがなされ得る。排気量350ccの往復空気コンプレッサーポンプは約$370で販売される。本発明に係る態様は、カスタムバルブ、プラススプレーノズル、ポンプおよび気水分離機を用いて、コンプレッサーと膨張機との両方を運転し得る。それらの構成部品の合計コストが$500までに抑えられ得るならば、それは、1馬力モーターのために約$150、3つの熱交換器のそれぞれのために$100、および、筐体と制御のために$50を残す。
(拡張可能性)
我々の構造は単純な往復ピストン機構に基づいているため、おそらく100ワットから10MWまで適宜規模を大きくされ得る。より大きなユニットはより低いトン当たりコストを有するだろう。
約8気圧までの近等温圧縮が示され得る。我々は以下を含み得るステージを予期する:
1.低圧(約10気圧)における近等温空気圧縮と膨張との両方を示し、それは低密度エネルギー保存をともに可能にする。
2.高圧(約200気圧)での近等温圧縮および膨張を示す。これによって、非常に普遍的な応用可能なエネルギー保存ができる。
3.効率を上げるオープンアキュムレーターおよびコストを低減する混合空気タンクを含む統合システムを示す。
4.上記の3で示された技術のコスト的に有効な実装のために具体的に設計されたカスタムエンジンブロックおよび他の構成部品を開発する。
5.上記の4で開発された構成部品のための道具を組み立て、試験的な生産設備を設立する。
6.試験的なエネルギー保存ユニットの最初の稼働を行い、それらを試験設備に展開する。
7.フル生産に向けて道具を使う。
上述された最初の3つのフェーズがここで提案されているものであり、プロジェクトの1年目、2年目、3年目におおよそ対応する。もしプロジェクトの目標が満たされれば、技術の能力は商業的進展のための完全な準備がされている。配送可能なプロジェクトの最終試作品は、グリッドから電力を得て、適切な安全規定を完全に満たすことができる空気タンク内に無限に保存し、保存された電力をグリッド標準に配送することができるだろう。これは、多くの現存するエネルギー保存アプリケーションのために求められている基礎的な能力である(例:建物用の需要シフトおよび周波数調整)。
フェーズ4は商業化のために具体的になされる最初のステップである。これは、大部分、コスト工学および品質工学に焦点を当てた製造エンジニアリングフェーズである。我々は最初の製品が100kW規模(我々がここに試作している規模)であることを期待する。そのようなシステムは、工業的規模で多くのアプリケーションを有するだろう(建物のための需要シフト、バックアップ電力、変電所における”アイランディング”、大きな太陽電池アレイ用の保存、等)。
最初の製品を市場にもたらすために必要とされる投資が、道具、試験的な生産在庫、試験的なテスト、小規模生産に対する道具の改良、および最初の生産在庫のコストをほとんどカバーするだろう。フル生産が開始される前に、いくつかの発注書が既に進行中だろうことが期待され、在庫および売掛のための従来型の資金繰りを容易にするだろう。ベンチャーキャピタル投資が、もっともありえる道具や試験的生産のための資金源だろう。それは、小さなエンジンを作るコスト、おそらく$25M〜$50M、に匹敵しそうである。
上記態様は液滴の噴霧を通した熱交換のための液体の導入を述べているが、本発明はこのアプローチに限定されるものではない。ある態様によれば、たとえば、気泡管またはスパージャーを用いて、液体を通して気体を泡立てることによって、1つ以上のステージに液体が導入され得る。泡立てを利用するそのような液体導入は、熱交換を均一にするに至る、液滴と気体との間の均質な相互作用が得られるのが難しいかもしれない高圧で、とりわけ好適化され得る。
および、上述の態様は冷媒が気相に残るサイクルを用いる冷却を説明しているが、本発明はまた、そのようなアプローチに限定されるものではない。本発明のいくつかの態様に係る冷却は、冷媒の相が液体から気体に変化し、再び戻るサイクルを用い得る。
たとえば、図82は、本発明に係る冷却システムの別の態様のきわめて簡素化された図を示す。システム8200は、液体から気体へと相を変化し、再び液体に戻るように構成された材料を、冷媒として用いる。以下に述べられるように、冷媒による相転移は蒸発器8202内における冷却のため、熱を吸収し、取り除き、その後、濃縮器8204においてこの吸収された熱を解放するのに役立つ。
循環冷媒がコンプレッサー(C)8206に気体として入り、そこで高圧に圧縮される。本発明の態様によれば、ポンプ8212および熱交換器8214を通してタンク8210と流体連通する噴霧器8208(もしくは気泡器)を通して、低温の液体がこの圧縮中に気体に導入され得る。この導入された液体が、圧縮気体との熱交換を行うのに役立ち、気体の温度変化を低減し、上記に詳細が説明された熱力学効率を向上させる。
導入された液体は、冷媒それ自体と同じであってもよいし、そうでなくてもよい。本発明の様々な態様に係る導入に適し得る液体のリストはこの文章のどこかに記載されている。
圧縮の後、導入された液体は、気液分離機8216を用いて圧縮気体から分離され、上述の具体的な構造のいずれかとなり得る。その後、この分離された液体はタンク8210に流れる。
それから、分離された圧縮気体は濃縮機8204に流れ、そこで圧縮気体は熱交換し、熱シンク8220への露出により冷却されることによって、液相に変化する。濃縮された液体からの熱は熱シンクによって取り除かれる。
次に、濃縮された液体冷媒は、急速な圧力低下に耐えるスロットルバルブ(TV)8232を通って流れる。圧力におけるその減少は、液体冷媒のいくつかの部分の蒸発を引き起こし、気体と液体との混合物に至る。この蒸発が、所望の冷却温度以下に、気液混合物の温度を下げる。
ついで、冷たい気液混合物が蒸発器8202に送られる。ユーザ8230(ここでは単に住居として示される)からの熱(概して空気の形態で)が冷たい気液混合物と交わる。ユーザからの空気の熱が冷たい溶媒混合物の液体成分を蒸発させることによって冷却される。
最後に、蒸発器からの冷媒気体がコンプレッサーに戻り、サイクルが再び始まる。
図82に示すような冷却サイクルにおける圧縮中に熱交換を行う液体の導入は、より近等温で圧縮することによって、より効率的に圧縮を行うのに役立つ。この向上された効率が、COP(性能係数)を実質的に上昇させる。
本発明の態様は、1つ以上の望ましい特徴を発揮する圧縮気体エネルギー保存システムに関する。そのようなシステムは、効率的であり(往復で80%)、費用対効果が高く(システムコストは$100kWh未満)、素早く立ち上がる(rampable)(10分未満)であり得る。エネルギー保存は転換技術を明確に意味する。具体的な態様は、圧縮および膨張の間、高圧における熱伝導を容易にする水スプレーを用い得る。
本発明の態様に係る効率的で費用対効果の高いエネルギー保存技術は、圧縮空気を保存媒体として用いる。現存する圧縮空気エネルギー保存技術(CAES)と異なり、本発明の態様はどこにでも配置され得て、非常に効率的であり、運転するために化石燃料を必要としない。
本発明に係る態様は、近等温で空気を圧縮および膨張する能力をもたらす。等温運転は効率を大きく向上させるが、とりわけ高い電力密度において、事前に獲得することが難しいことが証明されている。本発明の態様は、圧縮中または膨張中の空気に水スプレーを直接注入する。これが圧縮熱を吸収し、必要とされる仕事を減少させる(および、膨張中に熱を加え、回収された仕事を増加させる)。ほぼ一定の運転温度によって、より高い圧縮比、より大きな速度、より低いコストでの運転が可能になり、膨張中に化石燃料を燃焼させる必要性を取り除くことができる。
概念的には単純であるが、熱伝導を容易にした水スプレーは際だった工学的挑戦を意味する(高圧においては特に)。本発明に係る態様は、科学論文に報告されてきたよりも10倍まで高い速度で、圧縮チャンバーから(膨張チャンバーへ)熱を伝導し得る。
本発明に係る態様は、圧縮空気を保存媒体として用いる実用的な実用規模のエネルギー保存に関する。我々が提案する技術はどこでも配置され得て、高い効率であり、運転するために化石燃料を必要としない。
本発明に係る態様の焦点は、近等温で空気を圧縮および膨張させる能力である。等温圧縮は効率を大きく上昇させるが、とりわけ大きな電力密度においては得ることが難しいことが証明されてきている。本発明の態様に係る1つのアプローチは、熱交換を容易にするために、水滴を、圧縮および膨張チャンバーに直接噴霧することである。
個々の役割が、商業規模でこの技術を実証するために用いられる。解析およびモデリングが、システム内で起こる熱力学的、機械的、音響的、および液圧的なプロセスの数学的モデルを精査し、拡張するために用いられ得る。
水スプレーの流体力学もまたモデル化され得る。例は、ノズルを通しての流れ、滴崩壊、シリンダー壁の腐食、および空気での二相流を含む。
コンプレッサーの開発が以下に述べられ得る。100kW規模の気体コンプレッサーが改良されて、膨張機として反対向きに運転し、熱伝導を容易にする水スプレーを一体化し得る。単一ステージは低圧(300psi)において試作され得て、次に、第2ステージを追加して、3000psi以上に到達し得る。第2ステージ用の事前混合チャンバーおよびカスタムバルブは、高圧における水の高い体積分率を可能にするように設計され得る。
(現存するグリッドスケールエネルギー保存技術)
グリッドエネルギー保存は、今日、揚水発電および圧縮空気(CAES)という2つの技術によって支配されている。これらの技術は、空気と水という2つの流体の移送または圧縮を介して運転される。空気および水はいつも極めて安価である。課題は、システムを作る際において、効率的に、拡張可能に、および柔軟にシステムを使うことである。
本発明に係る態様は、圧縮空気を保存媒体として用いるエネルギー保存技術に関する。調査報告書は、圧縮空気は、費用対効果の高いグリッド規模のエネルギー保存のためのもっともよい機会をもたらし、おそらくはFOAによって規定された挑戦的なコスト目標($100/kWh未満)を満たす唯一の実行可能な方向である、と結論づけてきた。
現存する圧縮空気エネルギー保存(CAES)は、空気を圧縮するために、電動モーターによって運転される圧縮タービンを用いる。いままで実行されたシステムにおいては、圧縮空気は、それが必要とされるまで、地下の岩塩ドームに保存されている。圧縮空気は、電力供給の間、膨張タービンを運転するために用いられる。
しかしながら、空気は膨張中に大きく冷却され、獲得され得るエネルギーの量を制限するため、それが膨張タービンに入る前に、天然ガスが燃やされて、気流を加熱する。これは、本質的に、圧縮と膨張との間における時間遅延とともに運転される天然ガス燃焼タービンである。
2つのCAESシステムが運転中にもかかわらず、費用および効率の検討、および、運転する化石燃料の燃焼の必要性のために、評判が良い技術であるとは証明されていない。
(近等温圧縮空気エネルギー保存)
現存するCAESシステムの短所を解決するように提案するいくつかのプロジェクトが進行中である。その目的は、化石燃料の燃焼を伴う補給のための必要性なしに、もっぱら空気の膨張からだけ電力を供給する圧縮空気エネルギー保存を進展させることである。
この新しい圧縮空気技術は、近等温(断熱よりはむしろ)圧縮および膨張を用いる。もし圧縮中に発生する熱が圧縮ストローク中にシステムから取り除かれるならば、より少ない仕事が気体を圧縮するために必要とされることは、熱力学においては(以下の予備結果を参照)、基本的な結果である。同様に、もし熱が膨張中に加えられるならば、より多くの電力が生成される。
もし温度が運転中に一定に保たれるならば、理論的には、エネルギー保存の効率は100%に近づき得る。実際には、可能性のある損失の多くの要因がある(摩擦、圧力降下、電気・機械的変換損失等)。それでもなお、80%に近づく往復効率が達成可能であり得る。
圧縮中に圧縮チャンバーから移送され、膨張中に加えられる、熱を伴った、近等温性能を実現するためのいくつかのアプローチがある。これは非常にゆっくりと運転することによってなされ得るので、チャンバーの壁を通して熱が伝わるための時間がある。そのようなシステムは拡大縮小の困難を有し、ゆっくりと運転され、システムの電力密度を制限し得る(それゆえに、そのコストを増大させ得る)。
あるいは、熱交換器は圧縮チャンバーに包含され得る。そして、このアプローチは、Lemofouet,S.の”Energy Autonomy and Efficiency through Hydro−Pneumatic Storage",
http://www.petisdejeunersvaud.ch/fileadmin/user_upload/Petis_dejeuners/EnAirys_Powertech_20081121.pdf.によって用いられている。
(近等温空気圧縮および膨張用の水スプレー機構)
本発明に係る態様はさらに異なるアプローチをとり得る。具体的には、高い熱容量を有する液体(水のような)が、圧縮および膨張中に空気に噴霧される。水は空気よりも、単位体積あたり、より多くの熱を吸収し得るので、プロセスを近等温に維持するためには少量で十分である。そして、水スプレーは熱交換のためのそのようなより広い表面積をもたらすので、多くの熱が非常に素早く伝導され得る。
本発明の態様に係るそのような液体注入によって、コンプレッサー/膨張機機構は高いRPMで運転されることが可能となる。システムが早く動けば動くほど、所定のシステムコストに対して、より多くの電力を供給し得る。
水スプレーの熱伝導能力を最大限に利用するために、機械的構成要素が高速運転可能であるべきである。しかしながら、近等温空気圧縮に用いる以前から知られている技術が、電力を供給するために、液圧シリンダーおよび液圧モーター/ポンプを用いる。試作品にしやすいが、液圧の使用は、運転速度を顕著に制限する。ここで関心のある規模においては、機械的システム(たとえば、本発明の態様に係る往復ピストンおよびクランクシャフトを用いて)は、液圧回路よりも早く運転し得る。
熱交換を容易にする水スプレーの問題は高圧でより難しい。しかしながら、高圧は、高い効率および小さな空気保存用面積を得るために重要であり得る。そのため、本発明の態様は、目標圧力の200気圧で圧縮を近等温に維持するために、科学論文に今まで報告されてきたよりも、水−空気のより高い体積分率を用い得る。これは、スプレーの密度および均一性を得るための、専用ノズル、バルブ、およびスプレーマニフォールドの構造を含み得る。
本発明の態様は、自動車エンジンそっくりの往復機械ピストンを用い得る。クランクシャフト、ベアリング、および潤滑システムを用いる機械ピストンの構造は、エンジニアにとって、液圧の構造よりもかなり困難であり得る。しかしながら、このアプリケーションにとって、本発明に係る態様は、同じ排気量に対して10倍の液圧の運転速度を実現し得る。そのため、そのようなシステムは、同程度のコストに対してかなり多くの電力を供給し得る。空気コンプレッサーおよび自動車エンジンは、この理由で、液圧よりもむしろ往復ピストンを用いる。追加された往復機構の複雑さによって、水スプレーの熱伝導能力をフルに活用することが可能となる。
本発明の態様は、素早く増加し(たとえば1分以内に)、少なくとも1時間に20kWを超える電力を供給し得る効率的なエネルギー保存システムに関連し得る。試作システムは、200気圧までの圧力で近等温運転するように改良された、商業用往復コンプレッサーである。従来のコンプレッサーは、概してより低い圧力(約3.5気圧)で運転されている。
(コンプレッサー/膨張機)
全体の空気圧縮/膨張プロセス(LSE)用の熱力学モデルを作るために、以下の予備実験セクションに記載された現在の構造は、水蒸発の効果、連続的な噴霧の効果、境界層の効果、および乱流混合効果を含むように改良され得る。システムの挙動に対する閉形式の境界が見出され、具体的な構造および運転条件用の詳細な数値を決定するために数値法が用いられ得る。
計算流体力学(CFD)を用いて、高圧で動くピストンを伴うシリンダー内での水スプレーの挙動をモデル化するために、新しいノズルの構造(たとえば、以下の予備実験セクションに記載されるように)がCFDを用いてモデル化され、スプレーの密度および均一性を向上させ得る。求める最も実りの多い設計手段を決定する際にCFD解析が役立つことが証明されてきている。
シリンダーモデルにおけるノズルマニフォールドが、内径/ストローク比の範囲および関心のある圧力にわたってモデル化され得る。高圧(100気圧以上)での噴霧システムのモデルは、得られている高い噴霧密度を反映する特定の値であり得る。
CFDモデルの個別のセットは、バルブ内への、およびバルブからの流れをシミュレートするように進められ得る。バルブ流を最適化することは体積効率を向上させ得る。バルブ構造における他の検討事項は、混合物がバルブオリフィスを通過するにつれて、事前混合チャンバー内の気流に噴霧された水滴が空気に取り込まれたまま維持されることを確実にすることである。
いくつかのモデル化が、ピストンの動作と跳ね返りの効果が関連し得ることを示す。これらは、とりわけ高い圧力でさらに発達され得る。上述のモデリングは、たとえば、ANSYS Fluentソフトウェアパッケージを用いてなされ得る。
200気圧以上の圧力で、極めて均一な10%近い水の体積分率を生み出す能力のある噴霧システムが開発中である。高圧シリンダーは小さなボアを有しており、低圧シリンダーに用いられる直接注入構造(ノズルがシリンダーに直接注入する場合)は非現実的であるようだ。必要とされるノズルの数のための余地がないだろう。
シリンダーの上流にある事前混合チャンバーが用いられ得る。そのような混合チャンバーにおいては、空気に対する水の適切な体積分率が生まれ、それからシリンダーへの吸気バルブを通過する。CFDが、有効なチャンバー配置およびノズル分布を設計するために用いられ得る。
高密度の空気−水エアロゾルが通過できる大きな流量係数のバルブが開発中である。上述のように、課題は、滴を浮遊状態で維持しつつ、事前混合チャンバーからシリンダーに高密度の空気−水滴混合物を移動させることである。
さまざまなバルブ配置が可能である。1つは、流れに方向変化を求めない大きな円筒オリフィスを有する回転バルブである。2つめの配置は、多くの2ストロークエンジンに見られ得るように、シリンダー壁内に、ポートまたは一群のポートを用いる。
第2の配置においては、ピストンが動くにつれて、ピストン自体が開閉する。ポートの配置に関する1つの課題は、圧縮(ポートが下死点においてピストンの上部の直上に位置され得る場合)および膨張(ポートが上死点近傍に配置され得る場合)の両方に対してポートを作動させることであり得る。
ある態様は、シリンダー内の死容積を管理するために液体の水を用い得る。近等温の圧縮および膨張によって、高い圧縮比が、そのような比を非現実的にするだろう大きな温度変化なしに実現され得る。しかしながら、死容積(ピストンが上死点にある時、カバーされないまま残るシリンダー容積の部分)が大きすぎなければ、高い圧縮比もしくは膨張比が実現されるのは困難であり得る。従来の気体コンプレッサーにおいては、たとえば、死容積は25%であり、圧縮比を4までに制限している。
本発明に係る態様は20以上の圧縮比を実現し得る。注意深く設計されたピストン/シリンダー/バルブ組立を用いること、および/または、デッドスペースの多くを満たす水の使用によって、これが実現され得る。
後者を伴い、ちょうどよい体積の水が、運転中、シリンダーに維持されることによる方法は、実現するのが困難であり得る。この課題を解決することは、バルブ構造およびフィードバックベースの制御を伴うモデリングおよび実験を含み得る。
本発明の態様は、空気コンプレッサー/膨張機内における水スプレーの最適化制御を発揮するように求め得る。コンプレッサー/膨張機の性能(効率および出力)は、水スプレーのタイミングおよび量に依存し得る。
概して、多くの水が噴霧されるほど、圧縮/膨張をよりよく等温化することができる。しかしながら、水スプレーはまたコストを被る(例:圧力低下)。
そのため、プロセスを等温化する目標を満たしつつ、より少ない水を注入することが、戦略を決定するのに有益であり得る。最適のタイミングおよび量を決定するために十分な正確さをもたらし得る解析モデルは、すぐには利用可能にはならないかもしれない。制御アプローチを学ぶことが、繰り返される実験を通して用いられるかもしれず、最適化制御戦略が達成されるだろう。正式には、そのようなアプローチは、自己最適化制御またはアプローチを求める極値、と名付けられる。
本発明の態様は、スプレーシステム、バルブ、死容積管理システム、および噴霧制御最適化を、高い圧縮比を可能にする単一シリンダーコンプレッサー/膨張機内に統合し得る。単一シリンダーは、制御可能なΔTで、10〜20以上の気圧において、コンプレッサーまたは膨張機として運転されるように構成され得る。システム性能が特徴づけられ、解析モデルと比較され得る。
ある態様は、100気圧以上の能力を持つマルチステージコンプレッサーを用い得る。ある態様においては、コンプレッサー/膨張機は、2つのシリンダーで仕事するように構成され得る。いくつかの態様によれば、水スプレーシステムは第2のステージのより高い圧力を用いて、より低い圧力のシリンダーのノズルを通して水スプレーを送り得る。熱交換器システムはシリンダーを支持するように構成され、両方のステージにおいて等しいΔTを維持するように噴霧システムを管理し得る。
(予備実験)
(近等温圧縮および膨張)
空気は安価な保存媒体である。急速な熱伝導によって、効果的なエネルギー保存が可能になり得る。微細で、高密度で、均一に噴霧された水によって、熱伝導は以前に試行されたものよりも良くなり得るだろう。
水は空気よりも大きな体積熱容量を有する(3200倍以上)。そのため、圧縮空気内にスプレーとして懸下された小さな容積の水でさえ、際だった温度変化に耐えることなしに、膨大な圧縮熱を吸収し、および、同様に膨張熱を供給し得る。
詳細な解析的および数式的な熱力学的解析(以下参照)が、熱力学的性能の解析的な上限および下限を生む。数式的なシミュレーションがそれらの限度を確認した。
様々なアプローチを用いて、空気の効果的な膨張が実現され得る。水スプレーの注入が熱伝導を向上させ得るが、現存する空気モーターが際だった「自由」膨張を引き起こし、有益な仕事をすることなく保存されたエネルギーを浪費する。
そのため、本発明のある態様は、効率を回復するだろう「制御パルス」バルブタイミング戦略を用い得る。このバルブタイミング戦略は、特定の時間に対する膨張プロセスの開始時にバルブを開放し、その後でバルブを閉鎖するだろう。膨張が完了した時に内部圧がより低いステージの圧力または大気圧と等しくなり、全ての利用可能なエネルギーが引き出されるように、これは十分な空気を収容するだろう。
(a)「制御パルス」バルブ戦略が自由膨張による不効率性を防ぐだろうこと(b)近等温圧縮および膨張が両方とも可能で、効率的なエネルギー保存を可能にすること、を例証するために、流体ピストンのコンセプトを用いて小さな試作品が作られた。流体を空気に噴霧しようとすることなく、空気が、ピストンの代わりに液圧流体によって変位された。ドライブ、制御板、および圧力セルは自家製であった。ソレノイドバルブ、液圧モーター、および液圧流体用の1ガロンの植物油を用いることによって、完全な等温システムの88%の熱効率を示した空気モーターが作られた。
この試作システムを通しての構成部品、コスト、および寄生損失が追いつめられ、可能なところで除去された。たとえば、液体ピストンまたは他の液圧システムが高エネルギー密度、低コスト、および高効率を実現するために苦労するだろうことが認識されていた。高エネルギー密度は高いRPMを必要とするが、素早く動き回る液体の運動量および摩擦が、安定で、頑強で、効率的なシステムを作ることを困難にし得る。そのような膨大な量の液体を動かすことに関連する流体摩擦が、効率を、かなりの量(一方向につき5%以上と見積もられる)低くするだろう。
加えて、圧縮および膨張の間、圧力が変化し、その最大効率点で液圧モーター/ポンプを連続的に動かし得る。利用可能な効率曲線に基づいて、一方向につき5%以上で再び効率が低くなり得る。
そのため、たとえば、シリンダー内において往復ピストンを用いることによって、圧縮および膨張への機械的アプローチが好適であり得る。
水スプレーは、表面の全てを冷却すること、スライド部品における摩耗を低減することといった伝統的な技術的問題を緩和し得る。たとえば、大手製造業者が3.5を超える圧縮比を有し得ないコンプレッサーを製作する。発生する高温が材料に余計に応力を与えるだろう。この制限が水スプレーの使用によって除かれる。
加えて、コンプレッサーおよびエンジンの容積効率および圧縮比を減少させる「死容積」を塞ぐので、水がシリンダーヘッドおよびバルブアッセンブリーの到達しにくい隙間にアクセスし得る。たとえば、伝統的な往復技術では、1気圧の空気を200気圧まで圧縮するために4ステージを要するだろう。本発明に係る態様は2ステージでこれを実現し得る。
可変周波数駆動のコストおよび非効率性が、改善の他の可能な源である。負荷制御付の同期電動発電機が代わりに使用され、コンプレッサー/膨張機上でバルブパルスの長さを制御し得る。そのようなアプローチは、リアルタイムで、増加もしくは減少した電力と引き換えに効率をトレードオフし得る。
ある態様においては、スプレーシステムは以下の性能基準を満たし得る:比較的短い崩壊長さで、比較的低い圧力差で(50psi未満)、比較的大きな流速で(100cc/秒未満)、小さな滴(100マイクロン未満)を生成し得る。スプレーシステムはシリンダー内部に比較的均一なスプレーをもたらし得る。噴霧ノズルの構造は小さいもしくはゼロの死容積を導入し、比較的製造しやすく、キャビテーション効果を除外/低減し得る。
小さな圧力差を必要とする水流を噴出し得るノズルが知られている。大きな圧力差で非常に微細なミストを噴出し得る他のノズルの構造も知られている。しかしながら、所望のパラメーターと一致することができる既知のノズルは出現していない。
そのため、本発明に係る態様は新しいノズルの構造を用い得る。図79は二次元のCFDシミュレーションの噴流の崩壊のモデルを示す。赤の領域が液体であり、青の領域が空気である。
図80は、ノズル構造から発せられる水スプレーのCFDシミュレーションを示す。赤色は完全に液体を示し、青が空気を示す。図80はLSEによって開発された角錐ノズルから発せられた水スプレーのCFDシミュレーションを示す。赤色は液体スプレーを示し、青は空気を示す。図81aはノズルの一態様からの液体シートの崩壊および噴霧化を示す。図81bはノズルの一態様からの液滴寸法の分布を示す。
本発明の態様に係るノズル構造は望ましい特性を発揮し得る。ノズル構造は、わずか50psiの圧力低下で、大きな流速(100cc/秒)で、我々のシリンダーに適合するために十分に小さく、確実かつ安価に再現するのに十分に単純な短い、崩壊長さ(1インチ以下)で、水滴を100マイクロン以下に噴霧化し得る。
圧縮/膨張シリンダーおよびバルブのモデルを伴うノズルモデルの組み合わせは、全体の圧縮/膨張プロセスの完全なCFDモデルをもたらす。これは、表面の水の薄膜を通して壁に対してしぶきを上げる滴をモデル化するために用いられてきており、ピストンが動き、バルブが開閉するにつれてメッシュが動的に変形し、近接して密集した滴の効果のモデルを包含し、それに利用可能である極端に高い体積比を持つ。
圧縮比9の排気量と、わずか1秒の1/20しか要しないストロークを伴うシステムのシミュレーションは、300Kから570Kまで上昇するだろう、水スプレーなしでの気体の平均温度を示す。一方、1秒あたり0.4リットル(ストロークあたり20cc)での200マイクロンの滴のスプレーの存在下で温度が上昇する。
図83はスプラッシュモデルを伴う、および伴わないCFDシミュレーションからの、クランク回転に対するシリンダー内の質量平均空気温度(K)を示す。図77は、排気バルブの開放にすぐに進む温度(K)を示す。
熱力学的解析は3つの部分に進む。第1に、圧縮または膨張プロセスの熱挙動が計算され、水が空気と完全に熱平衡になった場合、混合物と周囲との間の熱伝導は無視でき、温度が十分に低いので、飽和蒸気圧もまた低く、そのため、相変化が無視され得た。周囲と混合物との間の熱交換がない状態で、プロセスは、断熱圧縮または断熱膨張プロセスと同様であった。しかしながら、空気と密接に熱接触する水の存在が、空気1モルあたりの「有効」熱容量を増加させる。
理想気体の断熱圧縮もしくは断熱膨張においては、プロセスは、pVγ=一定、に従う。このとき、以下の関係が成り立つ。
ここで、cpおよびcvは定圧および定量の下でのモル熱容量であり、Rはモル気体定数である。
さらに、pV=nRTなので、温度は以下の式で表される。
γが以下の関係式によって置き換えられる場合を除いて、空気と水との混合物の圧縮または膨張に対してこれは真実である。
ここで、cv,effectiveは気体1モルあたりの、定量下での、気体および液体の合計熱容量である。
水スプレーが釣り合って増加するにつれて、cv,effectiveが増加し、reffectiveが近づく。そのため、上に与えられた温度に対する表現によって、プロセスを通した温度はほぼ一定となる。
熱力学的解析の2つめの部分は、滴および空気が即座には熱平衡にならないという真実を考慮する上記解析結果を拡大適用した。第1に、プロセス中に出入りする最大シャフト動力の方程式が決定された。これによって、プロセス中にそれまで獲得された水と空気との間の最大温度差の方程式を見出し得る。
同様に、これによって、圧縮または膨張中の温度変化をわずかに過大評価するように見え得るバウンディングプロセスの生成が可能となる。このバウンディングプロセスはまた、圧縮のために必要とされる仕事を過大評価し、膨張のためになされる仕事を過小評価する。空気と水とが連続的に熱平衡であり、獲得された最大温度差によって初期状態から既に暖められるか冷却されるかされている、と仮定される。
次に、このプロセスは、上述の平衡プロセスとして進められる。これらの数値はお互いに従属するが、代数的に解かれ得る。この仕事は、我々に、圧縮および膨張プロセス中に獲得されるΔTに関する解析限界およびスケーリング則と、熱効率における下限を与える。
本発明に係るシステムの態様は、他のエネルギー保存システムと比較して、ある所望の特性をもたらし得る。たとえば、蓄電池と異なり、空気コンプレッサーのサイクル寿命は無限である。
圧縮気体エネルギー保存(CAES)システムのコストは2つのコストの合計である。圧縮/膨張機構のコスト(この機構は電力を生み出すので、kWあたりのコスト)と空気保存システムのコスト(それはエネルギーを保存するので、kWhあたりのコスト)。本発明の態様は、$400/kWのコストと、$80/kWhの設置コストを目標とし得る(地下保存は利用可能ではないと仮定)。12時間の保存を伴うシステム用には、コストは$113/kWhと考えられ得る。しかしながら、26時間の保存を伴うシステム(アラバマ州マッキントッシュのCAESプラントの保存時間)は、わずか$95/kWhのコストですむだろう。
往復エンジンは成熟した技術である。トラックディーゼルエンジンは概して約$100/kWのコストがかかる。そのコストには(同程度の電力密度を仮定する)、モーター−発電機、電力工学、および他の構成要素が含まれるだろう。$400/kWの目標を満たすことは、大規模生産にとっては極めて実現可能である。
200気圧で空気を保存できる従来型の鉄タンクは約$125kWhのコストがかかる(バルブを含む)。これに、マニフォールド、接続ホース、筐体、ゲージ、およびコネクターのコストが追加されるはずである。また、圧縮空気から電力を供給する際における不効率さを考慮して余剰能力が必要とされる。もし片道の効率が90%であれば、約1.1kWhの保存能力は、1.0kWhを供給し得る。$150/kWhのコストは、入手可能な技術のようであり得る。
タンクが、通常の1.6メートルの代わりに16メートルの長さで作られると、閉鎖されたタンクを回転させるコストは、バルブおよびホースのコストに伴って減少し得る。天然ガスパイプラインのパイプまたは井戸ケーシングのパイプから始めることは、他の可能なアプローチである。
定格出力における運転時間は、より多くの保存タンクを追加することによって無限に拡大され得る。少なくとも1時間運転するのに十分なタンクが追加され得る(すなわち、合計保存の約100kWh)。
本発明に係る態様はまた、長いサイクル寿命ももたらし得る。圧縮空気エネルギー保存システムが機械的であり、電気化学的ではないため、その性能は蓄電池がなるのと同様には低下しない。適切にメンテナンスされると、気体コンプレッサーは30年間連続で運転可能である(11,000概日周期)。
本発明に係る態様はまた、高い往復効率をももたらし得る。従来のCAESシステムはわずか50%を超える効率である。80%の往復効率が等温システムにおいては理論的に可能である。通常運転の下での75%効率は、より現実的な目標であり得る。もし低品位熱(廃熱のような)が利用可能であれば、90%以上の効率が実現可能であり得る。
圧縮熱が失われているので、現在のCAESシステムにおける効率が制限される。近等温運転は100%に近い熱効率をもたらす。
しかしながら、最小化され得る多くの寄生損失がある。そのような寄生損失の例は、以下に限定されるものではないが、体積損失(吸気ストローク中は空気でシリンダーを満たし、排気ストローク中は空にする能力)、モーター/発電機効率、シリンダーに水を噴霧するために用いられる電力、熱交換器のファン、および摩擦を含む。たとえば、体積効率に対しては、シリンダー内の死容積のほとんどを満たす適切な水量が維持されるべきである。
滞留時間に関しては、充電モードから放電モードへの変更は、いくつかのバルブの状態を切り替える問題である。エンジンは同じ方向に回転し続ける。これはほぼ即座に起こるべきである。
拡張可能性に関しては、一態様においては、4つの全てのシリンダーが取り付けられる時に、約1MWで運転し得る枠組みにシステムがあり得る。運転は、初めは100kWであり得るが、いったん基本的な目標が達成されると、拡大し得る。
拡大に関連する1つの潜在的な技術的課題は、高圧における効率的な運転を含む。3000psi以上が倉庫の設置面積およびコストを低減するために望ましいかもしれない。それらの圧力において、大きくて十分な水の体積分率を維持することが目的である。
本発明に係る態様によってもたらされるさらなる他の可能性のある利点は内部損失の低減である。具体的には、現存するCAESシステムは圧縮空気を地下に保存する。用いられている地質のタイプ次第で、損失は顕著であり得る。鉄または複合材料タンク内での地上保存にとって、実用的な目的にとっては、適切な長期間にわたって保存されるエネルギーにおける損失はゼロである。
安全に関しては、機械的な構成要素および圧力ベッセルが、適切な技術コードに完全に準拠し得る。さらに、多くの態様において、システムは、単なる空気や水を使うように、無毒の物質を用いる。
本発明の態様は30年以上耐用し得て、頑丈な往復気体コンプレッサーに特有である。どんなエンジンとも同様に、定期的なメンテナンスが必要とされる。ピストンリング、パッキン、フィルターおよび潤滑油は周期的に交換することが求められる。
シリンダー内における水の使用が腐食源をもたらす。DLC、ニッケル/ポリマー、および他の材料のようなあるコーティングが、腐食に対する長期間の保護をもたらし得る。
上述のように、保存ユニット内にある圧縮気体は、エネルギー保存の他の目的にも役立ち得る。たとえば、上述のように、ある態様においては、膨らんだ構造の形状および完全性を維持するのに役立つ圧縮気体によって及ぼされる力を伴って、圧縮気体が物理的な支持機能を果たし得る。そのような膨らんだ構造の例は、以下に限定されるものではないが、柱、壁、屋根のような建築要素、および/または、浮き、ブイ、はしけ、もしくは船の船体のような浮遊要素を含む。
上述もされているように、圧縮気体を保存するように構成された膨張可能支持部材の構造は、圧縮気体によってもたらされる膨張力を最大限に利用するように設計され得る。そのような構造の一例は、European Congress on Computational Methods in Applied Sciences and Engineering(ECCOMAS2004)において、Mauro Pedrettiによる”TENSAIRITY(商標)”において述べられ、全ての目的のためにここに参照として包含される。TENSAIRITY(商標)は、座屈に対する圧縮要素を安定化するために低圧空気を用いる軽量構造コンセプトを述べる。
そのようなアプローチによって、追加の圧縮部材の包含または配置が、他の方向からの荷重に対抗し得る。ある態様においては、後端キャップが用いられつつ、繊維が膨張部材の周囲にらせん状に配置され得る。そのような構造は、内部圧への抵抗、膨張座屈モードへの抵抗、および/または、圧縮膨張部材への/からの力の分布をもたらす。
ある態様においては、圧縮気体保存ユニットの形状、材料構成、および/または位置が、物理的支持をもたらすその機能に基づき、少なくとも一部において選択され得る。ある態様においては、圧縮気体によってもたらされる追加の安定力によって、支持部材における、ある公差の緩和が可能になり得る。
たとえば、圧縮気体保存ユニットとして構成された風力タービン支持構造の例に再び戻り、圧縮気体によって発揮される力によって、タワーの壁を薄くすることができ得る。同様に、風力タービンの荷重に耐えるよりもむしろ、そのようなタワーにおけるかなりの割合の材料がタワーそれ自体を支持することにもっぱら向けられ得るので、これは、構造の全体の重量およびコストを低減する累積的な効果を有し得る。
膨張可能支持構造の設計は、潜在的な故障モードをも考慮に入れ得る。たとえば、風力タービン支持タワーの全体強度のかなりの部分が、回転ブレードのトルクに対抗するために十分な力をもたらすことにもっぱら向けられ得る。圧縮気体の損失に潜在的に繋がる問題が万一起こった時には、タービンの回転がすみやかに停止されることによって、このトルクに抵抗する支持構造の必要性を緩和する。もちろん、膨張されていない状態においてでさえ、支持タワーは、タービンの重量に耐える十分な力をもたらし、卓越風に対して回転しないタービンによってもたらされる牽引力に対抗する、ことが求められ得る。
本発明のある態様は、圧縮または膨張チャンバー内部で液体を気体に注入し得る液体噴霧ノズルに関する。いくつかの態様によれば、液体噴霧ノズルは一体成形からの材料の選択的および精密な除去によって形成され、狭いファン型出力スロットと流体連通する速度上昇領域を形成する。ある態様の液体噴霧ノズルは、お互いに係合する2つ以上の部品の接面に対向する凹部の間に画定され得る。それらの係合よりも前に対向面へのアクセスを利用可能にすることによって、たとえば整合により、そのような複数部品の態様が内部形状の正確な画定を容易にし得る。
図89は、本発明の一態様に係る液体注入噴霧器を画定するスペースの簡素化された断面図を示す。スペース8902は、たとえばマニフォールドまたは液流バルブのような液体の圧力源8906と流体連通する入口8904aを有する深部領域8904を備える。深部領域8904は円形断面を有するシリンダー形状であり得るし、または、他の形状の断面を有する改良されたシリンダーであり得る。
深部領域8904の第2端8904bは、深さが変化する速度増強領域8908側に開いており、注入された液体を受け取るように構成されたスペース(チャンバー)8910の手前で終わる。たとえば気体圧縮/膨張チャンバーのような液体が注入されるスペース8910側に開いている出口8912aに到達する速度増強領域8908を通って、浅いファン型スロット領域8912が深部領域8904の第2端8904bから広がる。図89に示す具体的な態様においては、これもしくは他の特定の角度関係が本発明によって必須とはされていないものの、ファン型スロット領域のそのサイドが、お互いに対して約120°の角度を画定する。
図89の矢印は、スペースを通って流れる液体の通路の一般化された描写を示す。加圧された液体は、比較的直線的な流路内の円筒領域に向けて入口8904aに入る。次に、流れる液体が領域8912の減少した断面積におけるくびれを経験するにつれて、液体は速度における上昇に耐える。最後に、加圧された液体がファン型スロット領域8912を通過するにつれて、液体はファン型軌跡に排出される。領域8908の形状は、領域8908と8912との間の境界に実質的に垂直である液体の速度ベクトルを変化させるのに役立つ。
ある態様においては、液体注入ノズルを画定するスペースは、たとえば金属のような一体成形の材料で形成され得る。図90Aは、一体成形の材料で組み立てられた一態様の、入口側からの、簡素化された端面図を示す。図90Bは、図90Aの90B−90B’の線に沿った簡素化された断面図を示す。図90Cは、ノズルの出口側からの簡素化された端面図を示す。
図90Aのノズル9000の態様は、ノズル内への液体の流れを受け取るように構成された第1の入口部分9002を備える。ある態様においては、この第1の入口部分は、直径Dを有するドリルビットまたはエンドミルを用いて金属塊を機械加工することによって容易に形成され得る。
同様に、第1の入口部分9002は、図89と関連して説明された、深部部分に対応する中間部分9004と連通する。中間部分は方向変化部分9006側に開いていて、半球状の形状であり、速度上昇部分9008であり得る。
ある態様においては、入口に挿入され、塊の出口側に到達する手前で止まる、直径D’を有するボールエンドミルを用いて金属塊を機械加工することによって、中間部分と方向変化部分とが同時に容易に形成され得る。
最後に、中間部分9004と方向変化部分9006とは、狭スロット領域9008を通して、出口と流体連通している。狭スロット領域9008は、出口側から金属塊を機械加工することによって容易に形成され得る。ある態様においては、半径rおよび厚さtの刃を有する切断のこぎりを用いて、狭スロット領域が加工され得る。
本発明に係る態様は、図90A〜90Cに示される具体的な形状に限定されるものではない。たとえば、スロット部分は、部分9002および9004によって画定される長軸Aに平行な角度で延びるものとして示されているが、これは必須とされていない。
図91A〜91Eは、別の態様の異なる簡素化された図を示し、スロットが、入口部分および中間部分の軸と垂直に形成されていることを特徴とする。図91Aは、入口の奥行きからの簡素化された端面図を示す。図91Bは、図91Aの91B−91B’の線に沿った簡素化された断面を示す。図91Cは、図91Aの図の反対側の端から見た簡素化された図を示す。図91Dは、出口の奥行きからの側面図を示す。図91Eは、他の側面図を示す。
具体的には、図91A〜91Eの他の態様は、より狭い頭部9152と、より広い胴体部9154を含むように形成されてきた材料塊9150を圧延することによって形成されるノズルを特徴づける。胴体部は、入口スペース9156の全体と、中間スペース9158の一部と、を包含する。頭部は、中間スペース9158の残りの部分と、方向変化スペース9160と、狭出口スロット9162と、を包含する。
図91A〜91Eのノズル構造は、図90A〜90Cに関連して上述された圧延技術を用いて、入口スペースおよび中間スペースを形成することによって加工され得る。また、たとえば、図91Dに示すように厚さtを有する切断のこぎりを用いて、露出された頭部のサイドを圧延することによってスロットが形成され得る。図面は中間スペース9158の直径にわたってのスロット切断を示すが、これは必須ではなく、スロットは、より浅くても切断されてもよいし、より深くて切断されてもよい。
この具体的な態様は軸Aに対して90°の角度で切断されるスロットを示すが、これは必須ではない。ある態様においては、出口スロットの角度は90°以外で傾き得る。スロット形成の際に道具に関連して部品の幾何学的配置を画定することによって、これが達成され得る。
図92A〜92Eは他の態様の異なる簡素化された図を示し、スロットが入口部分および中間部分の軸に対してある角度で形成されたことを特徴とする。図92Aは入口の奥行き側から見た簡素化された端面図を示す。図92Bは、図92Aの92B−92B’の線に沿った簡素化された断面を示す。図92Cは、図92Aの図面の反対側の端から見た簡素化された図面を示す。図92Dは、出口の奥行き側から見た側面図を示す。図92Eは、他の側面図を示す。
具体的には、図92A〜92Eの他の態様は、速度上昇領域9284に近接する傾斜ショルダー面9282を含むように形成されてきた材料塊9280を圧延することによって形成されるノズルを特徴づける。
図92A〜92Eのノズル構造は、図92A〜92Cに関連して上述された圧延技術を用いて、入口スペースおよび中間スペースを形成することによって加工され得る。たとえば、切断のこぎり機械加工ツールを用いて、その表面に垂直な傾斜面を圧延することによって、スロットが形成され得る。スロットを形成するために用いられ得る他の機械加工技術は放電加工(EDM)である。入口スペースの軸に対する傾斜面の幾何学的配置のおかげで、生じるスロットもまた、入口スペースに対して曲げられている。
上記態様は一体成形物から形成されたノズル構造を説明しているが、本発明はそのような構造に限定されるものではない。他の態様においては、液体注入ノズルを形成するスペースの1つ以上の部分が、係合されたプレートの対向面における凹部によって画定され得る。図93は、そのようなプレート9300の斜視図であり、噴霧器の構造の半分を形成する凹部9304を画定する端面9302を示し、出口9306aを有する浅い台形状のスロット凹部9306を含む。
図93Aは、図93のプレートの対応する上面図を示す。図93Bは、図93のプレートの対応する側面図を示す。
図93および図93Bはまた、プレートの側面に存在する孔9307を示す。これらの孔は、ボルトまたは他の構造を用いて、プレートを、マニフォールドまたは他の流体源に物理的に固定するために用いられ得る。
図93〜93Bは、端面9302から延びる突起9308をさらに示す。これらの突起が第2のプレートに存在する対応する開口部と係合するように構成されることによって、噴霧器を画定するためにプレートの位置合わせされた係合が可能となる。
具体的には、図94は、第1のプレートと係合するように構成された第2のプレートの一態様の斜視図である。図94は、平面開口部を画定し、噴霧器の構造の他の半分を形成する半円筒形状の凹部9404を画定するプレート9400の表面9402を示す。端面9402はまた、第2のプレートの表面からの対応する突起を受け取るようにサイズを決められた孔9410を含む。プレートの側面における孔9407は、ボルトまたは同様の構造を用いて、プレートを、マニフォールドまたは他の流体源に物理的に固定するために用いられ得る。
図95は、噴霧器から液体を受け取るように構成されたチャンバーの奥行きから見た、組み立てられた噴霧器の構造の一態様の図を示す。図95は、細長い孔9500としてみえる台形状のスロット部分の開口部のみと係合されたプレート9300および9400を示す。
図96は、マニフォールドのような噴霧器への加圧された液体源の斜めから見た、図95の組み立てられた噴霧器の構造の態様の図面を示す。図96は、円9600としてみえる円筒状凹部に向けて開口する平面と係合されたプレート9300および9400を示す。
本発明のある態様に係るノズルは、ファン型スプレーを生むことによって、ある利点をもたらし得る。たとえば、ある態様においては、気体との熱交換を効果的に行うために、液体がチャンバーに注入され得る。そのような液体−気体熱交換は、熱力学的に効果的な条件下において、気体の圧縮、または圧縮気体の膨張を実現する際に役立ち得る。
具体的には、熱交換量は気体に露出される液体の表面積に従属する。ファン型領域にわたって注入された液体の所定量を供給することが、液体が流れるにつれて薄くなる液体のシートをもたらし、結局、個々の滴に崩壊する。大きな体積にわたって均一に分布される小さな粒径の液滴を供給することが望ましくあり得る。同様に、より小さな粒径の液滴は、より大きな表面積をもたらし、高められた熱交換特性をもたらす。
従来型の噴霧ノズル構造を用いると、スプレーの端に存在する液体は、ファンスプレーの中心部にある滴に対して、より大きなサイズの滴にまとまって残る傾向があるかもしれない。端部におけるそのようなより大きな滴の存在は、気体との熱交換のために利用可能な液体の表面積を望ましくなく低下させ得る。これは、液体−気体熱交換の効率を低下させるだろう。
しかしながら、上述のような本発明の態様に係る噴霧ノズルの構造の使用によって、ファンスプレーの端において、より大きな滴が、より少なくなり得る。具体的には、図97は、方向変化領域(半球領域)の端から現れる液体が、狭いスロットの限られた体積の中で、より長い距離を横切らなければならないことを示す。方向変化領域の中心部から現れる液体によって得られる、スロットを通してのより短い流路Xと比較して、狭いスロットを通してのより長いこの流路X’は、ファンスプレーの端にある液体に、より小さな流速を経験させるはずであり、スプレーの中心部における液体量に対する、スプレーの端に存在する液体量を減少させる。同様に、この、より低い流速は、崩壊前に液体シートの相対的な厚さを減少させ、それゆえに、図98に示すように、スプレーの端における滴の粒径および数を減少させるはずである。
本発明に係る噴霧器の構造のいくつかの態様によってもたらされる一つの潜在的利点は、比較的製造が容易なことである。具体的には、噴霧器を形成する凹部が、ともに係合される対向面の間に画定されている。プレートの係合の前に、それらのそれぞれの表面が露出され、そのために設計者および機械加工ツールに容易にアクセス可能となり、所望の形状を有する凹部の組み立てを容易にする。
本発明に係るある態様の複数部品構造もまた、複数の噴霧器を用いることで、より複雑な装置の組み立てを容易にする。具体的には、それらの組み立ての前に、プレートの表面へのアクセスによって、複数の凹部が、同じ表面にお互いに隣接して形成され得る。複数のそのような凹部をも有する1つ以上のプレートとプレートとのそれに続く係合によって、複数の噴霧器を有する構造の形成が可能となる。
さらに、プレート表面における凹部の形状は比較的単純であり、適切な精密さをもって作るのが容易であり得る。たとえば、ある圧延ツールによって、100マイクロン、50マイクロン、または25マイクロン以下の特徴さえも伴って形状の組み立てが可能となる。そのような精密な小さな寸法を伴うノズルの製造は、デバイスを通した液体の流れの注意深い制御を可能にする。
図93〜93Bに示すようなある態様においては、1つのプレートは、半球状の端を有する円筒形状の凹部の半分を画定する平面開口部を伴う表面を有し得る。適切なプロファイルを有する機械加工ツールを用いて、そのような形状が、高い精度および小さな寸法公差をもって容易に形成され得る。
他のプレートの対向面に形成される凹部の形状はいくぶん複雑であり、球形または他の形状の方向変化領域と接する浅い台形スロット部分をも含む。しかしながら、従来の圧延技術を使うことで、そのような形状のより複雑な組み合わせでさえ、高い精度および小さな寸法公差で、容易に形成され得る。
図89〜96はスプレー構造の最適な具体的態様を示し、本発明を限定するものとしてみなされるべきではない。他の態様は、図面に示されるものとは異なる特有の相対寸法を用い得て、本発明の範疇に入る。
本発明に係る噴霧器のさらなる他の態様は、上記で示され、説明された具体的な態様のそれらとは異なって形取られた凹部から形成され得る。たとえば、台形状凹部の側面間の相対角度は120°に限定されず、特定のアプリケーションに多かれ少なかれ従属し得て、異なる角度を有する液体のファンスプレーに至り得る。角度を大きくすることは、崩壊長さを短くし、滴の粒径に影響を与え得る。
他の態様に従って、凹部の他の構成が可能である。たとえば、上記態様は、入口の内径軸と垂直の角度または平行の角度のどちらかで液体を排出するように向けられるスロットの特徴を示すが、これは本発明によって必須ではない。
図99A〜Dは、本発明に係るノズル構造9900の他の態様を示し、出口9902aを有するスロット部分9902が、係合されたプレート9904および9906の側面9904aおよび9906aによって画定される平面に対してわずか15°の角度の方向を向いていることを特徴とする。直角以外の形状でプレートもしくはプレートの部分を形成することによってこれが実現され、それらの対向した係合する端面9904bおよび9906bがプレートのそれぞれの側面9904aおよび9904bと垂直とならない。
そのため、図99A〜Dに示す具体的な態様においては、平面開口部9910を画定する部分球状凹部9908が三角形状プレート9906に形成され、非平面開口部9914を画定する凹部9912が、その三角形状プレートと合う表面を有するプレート9904に形成される。
図99A〜Dはまた、プレートを一緒に固定するために用いられ得る、ねじまたはボルトを受け取り得る内径9916への開口部だけでなく、液体入口開口部9915をも示す。
それぞれのプレートにおける凹部の形状がお互いに対して実質的に対称ではないという点において、図99A〜Dの具体的な態様は、前の多部品の態様とは異なる。すなわち、プレート9904内の凹部9912が、入口開口部9915から非平面開口部およびスロットまで至る円筒形状の管を画定しつつ、プレート9906内の凹部9908は部分球状部分を画定する。しかしながら、この場合も、組み立て前の圧延技術によって、これらの凹部は比較的単純に形成され、別個のプレートに容易に形成される。
上述のノズルの態様は、お互いに対して合う2つのプレートの対向面の間で画定されるが、本発明はこの具体的なアプローチに限定されない。第1の部品を第2の部品に挿入することによって、本発明に係る他の態様が作られ得て、挿入された部品の対応面がノズルを画定する。
たとえば、図100A〜Jは、第2の部品10004内に存在する開口部10003内部の第1の部品10002の挿入によって形成される、ノズル構造10000の他の態様の様々な図を示す。第1の部品内の孔10008および第2の部品内の孔10010を通って嵌合されるボルト10006を用いて、2つの部品10002と10004とが一緒に固定される。ボルト10006は末端部品10006aを含む。ワッシャー10005は第2の部品10004の表面10004b上に位置し、第1の部品10002はワッシャー上に位置する。
図100Hの断面部に示すように、噴霧される液体の流れは図示される矢印で表される。この液体は、第2の部品10004に存在するオリフィス10021(合計で12個)を通って流れる。
次に、矢印で示すように、流れる液体は領域10007で方向を変える。そのため、領域10007は、ノズル構造のこの態様の方向変化部分に相当する。
ついで、第1および第2の部品それぞれによってもたらされる対向面10002aおよび10004aの間で画定される通路10009を通って、この液体は流れる。通路10009は、通路10021よりも、流入液体へのより小さな断面積をもたらすので、液体の速度が上昇する。
また、それぞれの表面10002aおよび10004aはお互いに異なる角度で傾いている(表面10004aが30°の角度で傾いている一方、表面10002aは15°の角度で傾いている)。図100Jに示すように、液体が通路10009を通って流れるように、この配置は、実質的に同じ断面積をもたらすように調整される。具体的には、速度上昇部分を形成する通路10009への入口10009aの断面積Aは、その通路の出口を形成する段差10020の断面積A’と実質的に等しい(もしくは、より適切に言えば、いくぶん大きい)。
ノズルの速度上昇部分への入口および出口の相対断面積に基づいて、図100A〜Jの態様の構成は、液体によって経験される圧力低下の規模を低下させ得る。このように、ノズルから現れる液体の中空円錐形シートを作る速度ベクトルプロファイルを導きつつ、図100A〜Jの態様の構成はキャビテーションの発生を望ましく低下し得る。
次に、加圧された流れる液体は、最終的に、狭い段差10020を通って、通路10009およびノズルから出る。図100Hはここでは縮尺に従っておらず、段差10020の幅は例証の目的で拡大されている。
図100A〜Jに示すノズル構造の態様の性能の1つの潜在的な利点は、それが中空円錐パターン内での噴霧をもたらすことである。そのようなパターンによってもたらされる端がないことが、ファンスプレーよりも、滴の粒径の、より均一な分布をもたらし得る。また、中空円錐噴霧パターンは、より大きな体積にわたって液体を分布させる。
図100A〜Jに示すノズルは、熱交換のために望ましい粒径の滴の生成に好適である配置を示す。具体的には、ノズルの段差10020はこの態様においては25μmである。この段差10020は、ワッシャー10005の厚さによって、少なくとも一部分において決定され得る。
図100A〜Jの構造において、段差10020の出口側に隣接する第2の部品10004の表面は凹んでいる。コアンダ効果に帰する液体スプレーの偏向を避ける際に、この凹部は有用であり得る。ある態様によれば、コアンダ効果を防ぐために、第1の(挿入)部品のサイドが凹んでいるか傾斜していてもよい。他の態様においては、流れの方向を迂回させるまたは変えるために、コアンダ効果が当てにされ得る。
50psigの水圧において、0.41ガロン/分(25.93(ml/秒))の体積流量率がストップウォッチおよび目盛り付のシリンダーで測定された:0.41ガロン/分;25.93(ml/秒)。以下の表は、2つの異なる圧力における図100A〜Jのノズルを通る流れる液体の結果の簡潔な要約を表す。
この表は滴の粒径の2つの測定値を含む。数量D32(ザウター平均径またはSMDとしても知られている)は、その径が測定された滴の表面積に対する体積の平均比を表す仮想の滴を伴う噴霧を定量化する。
数量DV50は、滴の50%がより小さい滴の径をもたらす。数量DV90は、滴の90%がより小さい滴の径をもたらす。
1.94インチの視野でなされる測定(3回目および4回目を含む)に対しては、小さな滴は認識されなかった。そのため、滴の粒径の統計は、全ての滴を反映していないかもしれない。
図101A〜Cに示すように、ノズル性能を評価するための実験用の配置が作られた。50PSIGおよび100PSIGの水圧がテストされた。
図100A〜Jのノズルは大きな流速を示すので、ノズルが噴霧している時、約8〜10PSIの間の水圧低下が起こる。そのため、ノズルによって経験される実際の水圧は約42〜50PSIGおよび90〜100PSIGであり得る。
ノズルの2つの内面が異なる角度(30°および15°)を示すので、テスト前の出口における水シートの角度はわからなかった。図101Cに示すように、その装置においては、ノズル表面に対して22.5°の平均角が用いられる。
測定から算出された水シートとノズル表面との間の角度は30°である。これは、水シートは30°の表面にならうことを示す。
図101Aは視野(FOV)座標を示す。図101Bに示すように、典型的な測定平面(z=0)に加えて、より多くのテスト(runs)が異なるz位置で行われてきた。これは、噴霧層の厚さおよび噴霧角を決定するためであった。
図102〜112Bは、100PSIGの水圧における、図100A〜Jのノズルを通した噴霧の結果を示す。図102は、2つの瞬間影絵像からの全体的な流れの構造を示す。2つの像は同時には取られなかった。白線は、1.15インチの崩壊長さを示す。
以下の表は、300の瞬間速度場を伴うテスト1およびテスト4の平均速度を示す。
図103はテスト1およびテスト4の平均速度ベクトルを示す。図104はテスト1およびテスト4のRMS速度ベクトルを示す。
テスト1から生じる滴の粒径がここで説明される。崩壊長さは1.15インチであり、視野は1.94インチである。テスト1のFOVの2/3まで噴霧が崩壊しないので、液滴粒径の解析はx=−1.64インチ〜−2.24インチまでのみで行われる。
図105は、テスト1からの認識された滴を伴う1つの瞬間像を示す。滴のいくつかのみが示される。残りの滴は小さすぎて認識されないか、焦点外である。
小さな滴は認識されないので、液滴粒径の統計は完全には正確ではない。しかしながら、これらの液滴粒径の統計が以下の表に示され、大きな滴の分布についての見解をもたらす。
図106は、テスト1の液滴粒径のヒストグラム図を示す。
テスト4から生じる液滴粒径がここで説明される。図107は、テスト4からの認識された滴を伴うある瞬間像を示す。滴のいくつかのみが示され、残りの滴は小さすぎて認識されないか、焦点外である。
また、小さな滴の認識の欠如は、液滴粒径の統計の全体的な正確性に影響する。しかしながら、以下の表におけるこれらの液滴粒径の統計を示す目的は、大きな滴の分布の感覚をもたらすことである。
図108は、液滴粒径の対応するヒストグラム図を示す。
テスト5〜15および25〜27から生じる液滴粒径がここで説明される。図109Aは、テスト12(z=7mm)の認識された滴を伴うある瞬間像を示し、図109Bは、テスト14(z=9mm)の認識された滴を伴うある瞬間像を示す。ある滴しか認識されず、残りの滴は小さすぎて認識されないか、焦点外である。
図110Aはテスト12の液滴粒径のヒストグラム図を示す。図110Bはテスト14のヒストグラム図を示す。
以下の表はテスト5〜15および25〜27の液滴粒径の統計を示す。
図111Aは、テスト5〜15および25〜27の、z軸に沿った液滴粒径の分布を示す。図111Bは、シート角の観点から同じデータを示す。
図112Aは、テスト5〜15および25〜27の、各z位置において認識された滴の数を示す。図112Bは、シート角の観点から同じデータを示す。
図112A〜Bは、D32の線がz=7mm(シート角度が27.7°)まで増加し続けて、z=8〜10mm(28.5°〜30°のシート角度)で安定化することを示す。そのため、液滴粒径によって画定されるシート厚は20mm以上である。
図112A〜Bはまた、認識された滴の数は4mm(シート角度25.5°)でピークを迎え、画定される結果的なシート厚は10mm以上だろうということを示す。たとえ滴の数がz=4〜10mmまで小さく増加するとしても、より多くの水を含む大きな液滴粒径のために、この層が重要であり得る。
図113〜123Bは、50PSIG水圧における、図100A〜Jのノズルを通しての噴霧の結果を示す。図113は、2つの瞬間影絵像からの全体的な流体の構造を示す。2つの像は同時にはとられなかった。白線は1.4インチの崩壊長さを示す。
以下の表は、300の瞬間速度場を伴う、テスト2および3からの平均速度を示す。
流れがスムースすぎてPIV解析には理想的ではないので、テスト2の速度場は正確性を欠いているかもしれない。テスト2および3からの平均およびRMS速度ベクトル場は、図114および115にそれぞれ示されている。
テスト2の視野は1.94インチであり、崩壊長さは1.4インチである。テスト2の噴霧はその視野の2/3まで崩壊しないので、液滴粒径の解析はx=−1.64インチから−2.24インチまでのみで行われる。
図116は、テスト2からの認識された滴を伴う、ある瞬間像を示す。前に示したように、ある滴しか認識されない。残りの滴は小さすぎて認識されないか、焦点外である。
小さな滴の認識の欠如は、液滴粒径の統計の正確性に影響を及ぼし得る。しかしながら、これらの統計を示す目的は、大きな滴の分布のいくつかの見解をもたらすことである。
以下の表はテスト2からの液滴粒径の統計を示す。
図117は、液滴粒径の対応するヒストグラム図を示す。
図118は、テスト3からの、認識された滴を伴う、ある瞬間像を示す。ここでも、ある滴のみが認識された滴であり、残りの滴は小さすぎて認識されないか、焦点外である。これは液滴粒径の統計に影響を及ぼすが、これらは以下の表に示され、大きな滴の分布についての見解をもたらす。
図119は、テスト3からの、液滴粒径の対応するヒストグラムを示す。
図120は、テスト20の認識された滴を伴う、ある瞬間像であり、滴のいくつかしか認識されない。残りの滴は小さすぎて認識されないか、焦点外である。
以下の表は、テスト16〜24の液滴粒径の統計を示す。
図121は、テスト20からの、対応する液滴粒径のヒストグラム図を示す。
図122Aは、mmの観点で、テスト16〜21および22〜24について、z軸に沿った液滴粒径の分布をプロットする。図122Bは、シート角度の観点で、この液滴粒径の分布データをプロットする。
図123Aは、テスト16〜24の各z位置における、認識された滴の数を示す。図123Bは、シート角度の観点で、同じデータを示す。
D32と、認識された滴の数との両方の線は、z=4mm(シート角度25.5°)において平坦な漸近線に至る。そのため、シート厚もまた20mm以上である。
100psigの水圧で観察される結果と対照的に、x方向にシフトされた最後の3つのテストは、シフトのないテストとは異なる。これは、より低い水圧(50psig)のケースが、より小さな円錐角、間隙を介して比較的より均一な液滴粒径の分布、および、より大きな液滴粒径の1つ以上に至り得ることを意味する。
図100A〜Jに示されるノズル構造によってもたらされる1つの可能性のある利点は、シリンダーに突き出る機構がないことである。具体的には、スロットの開口部はチャンバーの壁と同一平面にあるので、ノズルは、それを収めるためにシリンダー内部に追加の死容積を設ける必要がない。より小さな死容積は、大きな圧縮または膨張比を生むために好適である。
図100A〜Jに示すノズル構造の他の可能性のある利点は、組み立ての容易さである。具体的には、プレートの係合よりも前に、プレートの対向面に存在するノズルを画定する対をなす凹部は、複雑な形状においてでさえ、精密さをもって容易に機械加工される。
上述のように、本発明に係る噴霧器の態様は、液滴を加圧気体に注入する際における使用にとりわけ適し得る。いくつかの態様において、この加圧気体は、圧縮を経験するか、もしくは、膨張に耐え得る。ある態様においては、熱交換を行う目的で液体を加圧気体に注入するように、噴霧器は構成され得る。
本発明の態様は、液体の水滴の加圧気体への注入に好適であり得る。いくつかの態様において、気体は空気であり得る。
本発明に係る噴霧器の態様は、圧縮および/または膨張が起こっているチャンバー内部に存在する圧縮気体に水を注入することに好適であり得る。そのようなチャンバーの一例が、固体ピストンのような往復部材を収納するチャンバーである。他の例は、ねじのような可動部材を収納するチャンバーである。本発明に係る噴霧器の態様がおそらく用いられ得る装置の他の例は、以下に限定されるものではないが、タービン、マルチローブブロワー、ベーンコンプレッサー、ジェロータ、およびクアシタービン(quasi−turbines)を含む。
本発明に係る噴霧器の構造の態様は、液体バルブ構造を通して液体の加圧された流れを受け取るように構成され得る。加圧された液体を噴霧器構造に流すのに適しているそのような液体バルブ構造の例は、以下に限定されるものではないが、ソレノイド作動バルブ、スプールバルブ、ポペットバルブ、またはニードルバルブを含む。液流バルブは、機械力、磁力、電磁気力、空気圧力、液圧力によって作動され得る。
ある態様においては、噴霧器構造は、マニフォールド構造を通して液体の加圧された流れを受け取るように構成され得る。いくつかの態様においては、噴霧器構造は、その一部が他の噴霧器と共有され得る別個の導管を通して、バルブから液体の加圧された流れを受け取るように構成され得る。
ある態様においては、噴霧器構造を液流バルブに接続する導管は、可能な限り短くされ得る。バルブが閉じられている時に気体が抜けるため、そのような構造は、導管内に形成する泡に関連する潜在的な課題を減らすのに役立ち得る。噴霧器を通して流れる液体を受け取るチャンバー内に存在する低圧を伴って、加圧された形態でバルブに供給されている液体のために、そのような気体抜けが起こり得る。
ある態様においては、本発明の一態様に係る噴霧器構造は、同じチャンバーとも流体連通する第2の噴霧器に関連して配置され得る。いくつかの態様においては、噴霧器の寸法は同じであり得るが、それらは特定の方法においてお互いに関連して同じ方向を向き得る。
たとえば、図100A〜Jの態様においては、挿入部は、挿入部の上部の平面に対して15°の角度をもつ表面を含み、それは圧縮および/または膨張チャンバーの壁と同じであり得る。ある態様において、2つ以上の噴霧器が、特定の方向に対して、一貫した方法で方向づけされるそれらの出口スロットを有し得る。ある態様によれば、この方向は、噴霧器、および/または、チャンバー内部の可動部材の動作の方向、に対しての気体入口バルブの位置のような要因によって影響され得る。
ここまで述べられているように本発明の態様は、圧縮気体と熱交換を行うために液体スプレーを注入する際に用いられる噴霧器構造に関する。しかしながら、噴霧器構造がある特定のアプリケーションにおける使用に限定されず、液体が気体に導入される場合に用いられ得ることが好ましい。
以下の付記項はノズルの態様に関する。
(付記1)
第1の部品と、
第2の部品と
前記第1の部品を前記第2の部品に固定し、前記第1の部品と前記第2の部品との間にスペースを画定するように構成された固定部材と、
を備え、
前記固定部材が、
液体源から受け取られる液体の方向を変更し、前記液体を第1の断面積を有する方向変化部分の出口に流すように構成された前記方向変化部分と、
第2の断面積を有する入口を通して前記方向変化部分の出口から液体を受け取るように構成された速度上昇部分と、
前記速度上昇部分と流体連通し、第3の断面積を有する出口と、
を備え、
前記速度上昇部分が、前記速度上昇部分の入口から流れる液体の速度を加速するように構成され、
前記第2の断面積が前記第1の断面積よりも極めて小さく、前記第3の断面積とほぼ同じもしくはわずかに大きい、
ことを特徴とする液体噴霧ノズル。
(付記2)
前記第1の部品が、前記第2の部品の開口部の内部に挿入されるように構成された、
ことを特徴とする付記1に記載の液体噴霧ノズル。
(付記3)
前記開口部の周縁が略円形である、
ことを特徴とする付記2に記載の液体噴霧ノズル。
(付記4)
前記固定部材がスレッド付ボルトを備える、
ことを特徴とする付記2に記載の液体噴霧ノズル。
(付記5)
前記スレッド付ボルトが薄ナット内のスレッドによって受け止められる、
ことを特徴とする付記4に記載の液体噴霧ノズル。
(付記6)
前記スレッド付ボルトが前記第1の部品内のスレッドによって受け止められる、
ことを特徴とする付記4に記載の液体噴霧ノズル。
(付記7)
前記第1の部品と前記第2の部品との間に配置されるスペーサーをさらに備える、付記2に記載の液体噴霧ノズル。
(付記8)
前記固定部材がスレッド付ボルトを備え、前記スペーサーがワッシャーを備える、
ことを特徴とする付記7に記載の液体噴霧ノズル。
(付記9)
前記出口に近接する前記第2の部品の上面の第1の領域が凹部を画定する、
ことを特徴とする付記2に記載の液体噴霧ノズル。
(付記10)
前記第2の部品への前記第1の部品の挿入によって、前記第1の部品の上面が、前記第1の領域の外側に位置する前記第2の部品の前記上面の第2の領域と同一平面上にある、
ことを特徴とする付記9に記載の液体噴霧ノズル。
(付記11)
前記出口から流れた前記液体が、約10〜50μmの間のザウター平均径を示す、
ことを特徴とする付記1に記載の液体噴霧ノズル。
(付記12)
前記出口から流れた前記液体が、1秒あたり約0.01リットルと20リットルとの間の流速を示す、
ことを特徴とする付記1に記載の液体噴霧ノズル。
(付記13)
前記速度上昇部分の軸が、前記第1の部品の上面と前記第2の部品の上面とに対して垂直以外の角度で傾いている、
ことを特徴とする付記1に記載の液体噴霧ノズル。
(付記1)
第1の部品と第2の部品との間に画定されるスペースを通して、液体源から、可動部材を収納するチャンバーに液体を流す工程を含み、
前記スペースが、
液体源から受け取られる液体の流れを変更し、前記液体を第1の断面積を有する方向変化部分の出口に流すように、構成された前記方向変化部分と、
第2の断面積を有する入口を通して前記方向変化部分の出口から液体を受け取るように構成された速度上昇部分と、
前記速度上昇部分および前記チャンバーと流体連通する出口と、
を備え、
前記速度上昇部分が、前記速度上昇部分の入口から流れる液体の速度を加速するように構成され、
前記出口が第3の断面積を有し、
前記第2の断面積が前記第1の断面積よりも極めて小さく、前記第3の断面積とほぼ同じもしくはわずかに大きい、
ことを特徴とする方法。
(付記2)
前記チャンバー内部の圧縮気体の膨張の間、前記液体が前記スペースを通って前記チャンバーに流れる、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記3)
前記可動部材によって、前記チャンバー内部の気体の圧縮の間、前記液体が、前記スペースを通って、前記チャンバーに流れる、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記4)
前記チャンバーへの気体の流入の間、前記液体が、前記スペースを通って、前記チャンバーに流れる、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記5)
前記第1の部品が前記第2の部品の開口部内部に挿入される、
ことを特徴とする付記1に記載の液体噴霧ノズル。
(付記6)
前記方向変化部分と、前記速度加速部分と、前記出口とが、ドーナツ形状を備える、
ことを特徴とする付記5に記載の液体噴霧ノズル。
本発明に係る態様は、可動部材の動作の方向、または、気体の流入の方向、に対する、特定の方向における液体の注入に限定されるものではない。たとえば、図50A〜Bの具体的な態様は、液体噴霧器がシリンダーの側壁に位置するバルブ構造を伴って、シリンダーの反対側の端壁に位置することを特徴づける。
これらの態様の構造においては、噴霧器の位置のために、液体は、ピストンの動作と平行な方向に、チャンバーに向けて注入され得る。そのような配向性が、気体と、注入された液体と、の間の相互作用を促進し、所望の特性を有する液体−気体混合物を形成し得る。
これらの態様においては、液体注入の方向は、チャンバーの側壁に位置する気流バルブを通して、気体の流入方向と必ずしも実質的に一致しない。そのような配向性が、気体と、注入された液体と、の間の相互作用を促進し、所望の特性を有する液体−気体混合物を形成し得る。
図51の具体的な態様は、バルブ構造が他の側壁に位置しつつ、シリンダーの反対側の側壁に噴霧器が位置することを示す。そのため、液体注入の方向は、チャンバーへ流れる気体の方向(圧縮または膨張モードにおいて)、または、チャンバー内部のピストンの動作の方向のいずれかと、必ずしも実質的に平行ではないかもしれない。液体注入の方向と、流入気流またはピストン動作の方向と、の間のそのような一致の欠如が、気液混合、および所望の特性を有する液体−気体混合物の形成を促進し得る。
しかしながら、他の態様においては、液体は、チャンバーへの流入気流の方向と実質的に一致する方向でチャンバーに注入され得る。液体注入のそのような方向性が、所望の特性を有する液体−気体混合物の形成を促進し得る。
たとえば、図50A〜Bおよび図51の態様が、液体噴霧器の位置とは異なるチャンバーの壁に配置されたものとして低圧側バルブおよび高圧側バルブを示すが、これは本発明によって必須とされない。図124は、噴霧器12438とバルブ12412および12422とが、チャンバー12408の同じ側壁12408bに位置することを特徴とする他の態様を示す。
図124の態様においては、三方バルブ12436がポンプ12434と噴霧器12438との間に設けられ、液体の流れを、低圧側バルブ12412に隣接するチャンバーの側壁に位置する特定の噴霧器に、または、高圧側バルブ12422に隣接するチャンバーの側壁に位置する噴霧器に、運転モードに従って、選択的に方向づける。そのようなバルブがどの方向においてもバルブを通して流れを塞ぐようにも構成され得ることによって、液体が導入されていない時に、チャンバー内における圧力変化から、液体循環システムを分離し得る。
図124の態様は、圧縮モードもしくは膨張モードのいずれかにおいて、噴霧器が、チャンバーへの気流の方向と実質的に一致する方向に液滴を注入するように向かわせ得るということにおける利点をもたらし得る。液体注入の方向と気流の方向との間のそのような一致が、所望の特性を有する液体−気体混合物の形成を促進し得る。
図124の態様は、噴霧器が、圧縮または膨張の間、チャンバー内部の可動部材の動作の方向と実質的に平行ではない方向に液滴を注入するように向かわせ得るということにおける利点をもたらし得る。液体注入の方向とピストン動作の方向との間のそのような一致の欠如が、所望の特性を有する液体−気体混合物の形成を促進し得る。
図124の態様はそれぞれのバルブの上のチャンバーの側壁に位置する噴霧器を示すが、この特定の構造は本発明によって必須とされるものではなく、変形が可能である。たとえば、図124Aは、チャンバー内部からの側壁12450の図を示し、バルブプレート12454を含むバルブ12452を示す。図124Aは、バルブを取り囲み、複数の軌跡における液体を流入気流に注入するように構成された、複数の噴霧器12456を示す。
ある態様においては、噴霧器は、バルブを通して、気流の方向に実質的に平行な方向に液体を注入するように構成され得る。他の態様においては、1つ以上の噴霧器が、バルブを通して、流れの方向と実質的に平行ではない方向に液体を注入するように構成され得る。そのような態様においては、噴霧器の出口は、お互いに対して一様な形状で配置されてもよいし、非一様な形状で配置されてもよい。
上述の態様は、圧縮または膨張チャンバーの単一壁または反対側の壁に位置する噴霧器を示すが、本発明はそのような構造に限定されるものではない。たとえば、図125は、噴霧器が、チャンバーの端壁と隣接する側壁との両方に位置することを特徴とする他の態様を示す。ある態様においては、噴霧器がマニフォールドと共通の液体連通しつつ、チャンバー12508の様々なサイドの周囲に広がる液体マニフォールド12570を設けることによって、そのような構造が容易になり得る。図125の図は断面のみを示し、そのため、ある態様においては、液体マニフォールドは紙の平面からも伸び、他のチャンバーの壁に位置する噴霧器との流体連通を可能にし得る。
図126はさらなる他の態様を示し、噴霧器12638とバルブ12612および12622のそれぞれとがチャンバー12608の同じ(端)壁12608aに位置することを特徴とする。バルブに対する噴霧器のそのような配置によって、潜在的に、同じ噴霧器の使用が、圧縮および膨張の両方の間に液体を注入することを可能にする。これは、圧縮および膨張用の別個の噴霧器の設計および設置の必要性を排除し得て、圧縮または膨張専用の噴霧器のそれぞれ一式に、液体を送るための追加のバルブおよび導管の複雑さをも排除するだろう。
図126の具体的な態様はバルブ間に配置された噴霧器を示すが、これは必須ではない。他の態様においては、図124Aに示すのと同様の方法で、噴霧器がバルブを取り囲み得る。
図126に示すように、バルブ12636は噴霧器とポンプとの間に配置され、液体が導入されない時にチャンバー内で起こる圧力変化から流体循環システムを分離し得る。
図126の態様は、噴霧器がチャンバーへの気流の方向と実質的に一致する方向に液滴を注入するように向けられるという利点をもたらし得る。液体注入の方向と気流の方向との間のそのような一致が、所望の特性を有する液体−気体混合物の形成を促進し得る。
図126の態様はまた、圧縮または膨張の間にチャンバー内部の可動部材の動作の方向と実質的に一致する方向に液滴を注入するように噴霧器が向けられるということにおける利点をもたらし得る。液体注入の方向とピストン動作の方向との間のそのような一致もまた、所望の特性を有する液体−気体混合物の形成を促進し得る。
図126の態様はある潜在的な利点をもたらし得るが、それは、チャンバーの端壁における比較的狭い領域内部に多くの要素(バルブ、バルブアクチュエーター、複数の噴霧器および液体導管)を位置する。狭いスペース内部への要素のそのようなまとまりが、装置の設計、建設、検査、および/またはメンテナンスに影響を及ぼし得る。
しかしながら、それは概して気体入口バルブに対する噴霧器の配置であり、液体−気体混合物の性質を決定する際に重要である。具体的には、圧縮/膨張プロセスの間の熱交換のために、液体が流入気体に注入される。圧縮または膨張は流入気流と同時であり得るので、流入気体と液体スプレーとの間の急速な相互作用を促進する方法で噴霧器を配置することが望ましくあり得る。
一方、出口バルブに対する液体噴霧器の配置はそれほど重要ではないかもしれない。なぜなら、圧縮または膨張の間の熱エネルギーの交換が既に行われた時点で、出口バルブは液体−気体混合物を排気するためだけに用いられるからである。
そのため、本発明のある態様は、気流制御専用の単一バルブに対して向いている噴霧器を通して、液体を、圧縮および/または膨張モードにおいて、チャンバーに導入し得る。図127はそのような態様の簡素化された模式図を示し、入口バルブ12712がチャンバー12708の端壁12708aに配置されていることを特徴とする。
図127の態様においては、複数の噴霧器12738もまた、入口バルブ12712周囲の端壁12708aに配置される。これらの噴霧器は、ポンプ12734から液体を受け取るように構成された共通の液体マニフォールド12770と流体連通する。出口バルブ12722は、チャンバーの側壁12708b内に設けられる。
噴霧器の入念な設計および入口バルブに対するそれらの配置によって、液体がチャンバーに導入され、所望の特性(たとえば、液滴粒径、滴分布の一様性、液体体積分率、温度、および圧力)を有する液体−気体混合物に至り得る。そして、同じバルブが圧縮および膨張モードの両方において気体を入れるために用いられるので、所望の特性を有する液体−気体混合物がそれぞれの場合において生産され得る。
液体が導入される条件は、膨張の場合に対して、圧縮の場合では異なり得る。たとえば、圧縮の間は、より低い圧力を有する気流に液体が導入される。膨張の間は、より高い圧力を有する圧縮気流に液体が導入される。
そのため、図127の態様においては、ある要素の運転パラメーターが制御され、所望の特性を有する液体−気体混合物を生成し得る。変化し得るパラメーターの一例は、液体がチャンバーに導入される速度である。そのような速度パラメーターは、ポンプ速度、および/または噴霧器の寸法、および/または、たとえば、内径、長さ、および巻きの数/角度のような、噴霧器に繋がる導管の特性のような変数によって影響され得る。ある態様においては、噴霧器は、液体の速度を制御するように調節可能な寸法を伴うオリフィスを有するノズルを備え得る。ある態様においては、噴霧器に繋がる導管の特性は変化し得る(たとえば、液流の通路を変えるバルブの作動によって)。
ある態様において、液体の圧力が変化し得る。たとえば、ポンプの運転の特性(たとえばポンプ速度)を変えることによって、これはなされ得る。ある態様においては、液圧がバルブの操作によって変化し、高速における液流の破裂によって周期的に解放される圧力蓄積が起こり得る。
液滴の粒径もまた、異なる圧力の気流とのその相互作用に影響を及ぼし得る。たとえば、より大きな粒径の液滴は、圧縮された気体の体積により深く浸透することができ得る。そのため、ある態様においては、膨張の場合に対して、圧縮用には異なる液滴粒径を生むように噴霧器が設計され得る。
図127の態様は、チャンバーへの気流の方向と実質的に一致する方向に液滴を注入するように噴霧器が向けられ得ることにおける利点をもたらし得る。これらの噴霧器もまた、圧縮または膨張の間のチャンバー内部の可動部材の動作の方向と実質的に一致する方向に液滴を注入するように向けられる。
液体注入および気流の方向とピストン動作の方向との間のそのような一致が、所望の特性を有する液体−気体混合物の形成を促進し得る。しかしながら、本発明の態様は、気流またはピストン動作に対する、どの特定の方向における液流に限定されるものではない。
そのため、図128は、入口バルブ12812がチャンバー12808の側壁12808aに配置され、噴霧器12838がチャンバーの端壁12808bに配置されることを特徴とする他の態様を示す。この態様においては、液体注入の軌跡は、チャンバーへの流入気体の方向と実質的に一致しない。そのような態様は、所望の特性を有する液体−気体混合物の形成を促進し得る。
図129はさらなる他の態様を示し、噴霧器12938が、流入気流の方向およびピストン動作の方向に対して異なるように向けられた複数のチャンバー壁に配置されたことを特徴とする。圧縮チャンバーまたは膨張チャンバーの複数のサイドの周囲に広がる液体マニフォールド12970の使用によって、そのような構造が容易になり得る。図129の図面は断面のみを示し、そのため、ある態様においては、液体マニフォールドは紙の平面からも伸び、チャンバーの他の壁に位置する噴霧器との流体連通をも可能にし得る。
本発明の態様は、図100A〜Jに示される具体的な液体ノズル注入構造に限定されるものではない。たとえば、本発明は、この、または他の特定のサイドの数を有する挿入部に限定されるものではないが、図80は、挿入部が直角のピラミッド形状を有するノズルのさらなる他のタイプの噴霧プロファイルを示す。
図133A〜Gは、ノズル構造のさらなる他の態様の他の態様を示す。このノズル構造においては、第1の部品13302が、第2の部分13304の開口部13303内部に挿入される。第2の部品の開口部13308にねじ切りされたボルト13310を用いることによって、その部品が固定される。ボルト13310の背部は、薄ナット13306を用いて第2の部品13304の背部に固定される。
ワッシャー13305は、第2の部品13304の表面13304b上に配置される。第1の部品13302はワッシャー上に配置される。
図133Fの断面図に示すように、噴霧される液体の流れは図示の矢印で示される。この液体は、第2の部品13304に存在するオリフィス13321(ここでは12個ある)を通って流れる。
次に、第1の部品および第2の部品それぞれによってもたらされる対向面13302aと13304aとの間で画定される通路13309を通って液体が流れる。通路13309が流入液体に対して、より狭い断面積をもたらすので、液体の速度が上昇する。
また、表面13302aと13304aのそれぞれがお互いに対して異なる角度で傾いている(表面13304aが30°の角度で傾いている一方、表面13302aは15°の角度で傾いている)。図100A〜Jのノズルの態様と同様、液体が通路13309を流れる間、実質的に同じ断面積を有するようにこの配置が配列されることによって、ノズルから出る液体の中空円錐シートを生むように速度ベクトルプロファイルを誘起しつつ、キャビテーションの発生を減少させる。
次に、加圧された流れる液体が、狭い段差13320を通って、最終的に、通路13309およびノズルから出る。図133Fはここでは縮尺通りには描かれておらず、段差13320の幅は例証の目的のために大きく描かれている。
図133A〜Gに示すノズルは、熱交換のための所望の粒径の滴の生成に好適な配置を示す。具体的には、ノズルの段差13320はこの態様においては25μmである。この段差13320は、少なくとも一部において、ワッシャー13305の厚さによって決定され得る。
図133A〜Gの構造において、段差13320の出口側に隣接する第2の部品13304の表面は、第1の凹部13330および第2の凹部13340を有する。これらの凹部は、コアンダ効果に帰する液体噴霧の通路における偏向を防ぐ際に役立ち得る。
図133A〜Gのノズル構造の態様は、ある可能な利点をもたらし得る。たとえば、第2の部品における凹部の丁寧な使用および第1の部品を作る際における材料の厚さによって、第1の部品の上面は、第2の部品の上面とぴったり重なり得る。これによって、第1の部品がチャンバーに飛び出ることが抑制され、死容積が減少する。
図133A〜Gのノズルの態様の他の可能な利点は、振動および液体の流れの条件下で、第1の部品と第2の部品とを一緒に固定する能力である。具体的には、これら2つの部品はボルトによって一緒に固定され、同様に、薄ナットによって第2の部品に対して固定され、ノズルの運転条件下で、ボルトのゆるみに耐える。
本発明に係るノズル構造は、上述の具体的な態様に限定されるものではない。たとえば、図100A〜Jおよび図133A〜Gは、第2の部品の表面に垂直に向いている軸を有する(12個の)内径の配列を伴う第2の部品を有するノズルを示すが、これは本発明によって必須とはされない。
他の態様によれば、たとえば、表面の法線に対して一定の角度でオフセットするように、内径の軸は異なって向き得る。そのような構造は、ノズルから流れる液体への渦をもたらし得る。そのような液体の渦の流れは、利点のある特性を示し得て、以下に限定されるものではないが、減少した崩壊長さを含む。
さらに、特定のノズルの運転特性は、要素間の相対寸法における相違によって決定され得る。たとえば、図134Aは、ノズル13406の2つの部品13402および13204の間に形成される段差領域13400の拡大図を示す。
液体は、部品13402の端と13404の端との間に形成された平面に略垂直な角度で、ノズルから流れ出る。そのため、これらの部品の相対長さを変更することは噴霧角度に影響を及ぼし得る。
図134Bは、図134Aの態様と比較して短い第1の部品13402の長さLを有する他の態様を示す。図134の態様と比較して、この寸法の変化は、ノズルの表面の平面に対する流れ角度Aにおける対応する増加に至る。
図134Cは、図134Aの態様と比較して長い第1の部品13402の長さLを有する他の態様を示す。図134の態様と比較して、この寸法の変化は、ノズルの表面の平面に対する流れ角度Aにおける対応する減少に至る。
本発明に係る噴霧ノズルの態様は特定の性能特性を示し得る。1つの性能特性が液滴粒径である。
液滴粒径は、DV50、ザウター平均粒径(SMD、D32、d32またはD[3,2]とも呼ばれる)もしくは他の測定方法を用いて測定され得る。本発明に係るノズルの態様は、約10〜200μmの間の範囲内のSMDを有する液滴を生み出し得る。本発明に係るノズルの態様によって生み出される液滴粒径の例は、以下に限定されるものではないが、約200ミクロン、150ミクロン、100ミクロン、50ミクロン、25ミクロン、および10ミクロンのSMDを有するそれらを含む。
本発明の態様に係る液体噴霧ノズルの他の性能特性は流速である。本発明に係る態様は、1秒あたり20リットルと0.01リットルとの間の流速をもたらす。本発明に係るノズルの態様の流速の例は、1秒あたり、20、10、5、2、1、0.5、0.25、0.1、0.05、0.02および0.01リットルである。崩壊長さ、噴霧パターン、噴霧円錐角、ファン角度、表面との角度(ファンスプレー用)、滴の空間分布。
本発明の態様に係る液体噴霧ノズルの他の性能特性は崩壊長さである。本発明に係るノズルの態様による液体の出力は、約1〜100mmの間の崩壊長さを示し得る。本発明に係るノズルからの液体の噴霧の崩壊長さの例は、100、50、25、10、5、2および1mmを含む。
本発明に係るノズルの例は、異なるタイプの噴霧パターンをもたらし得る。本発明に係るノズルの態様によってもたらされ得る噴霧パターンの例は、以下に限定されるものではないが、中空円錐、中実円錐、流れ、単一ファン、および複数ファンを含む。
本発明に係るノズルの態様は、約20〜180°の間の噴霧円錐角をもたらし得る。そのような噴霧円錐角の例は、以下に限定されるものではないが、20°、22.5°、25°、30°、45°、60°、90°、120°、150°および180°を含む。
本発明に係るノズルの態様は、約20〜360°の間の噴霧ファン角度をもたらし得る。そのようなファン角度の例は、以下に限定されるものではないが、20°、22.5°、25°、30°、45°、60°、90°、120°、150°、180°、225°、270°、300°、330°もしくは360°を含む。本発明の態様によってもたらされ得る、表面に対するファン噴霧角度の例は、以下に限定されるものではないが、90°、80°、60°、45°、30°、22.5°、20°、15°、10°、5°もしくは0°を含む。
滴空間分布は、本発明の態様に係る液体噴霧ノズルの他の性能特性を表す。滴空間分布を測定する1つの方法は、シートからそれるほとんどの滴を含む、シートまたは円錐の断面の角度を測定することである。本発明の態様に係るノズル構造において、この角度は0〜90°の間であり得る。本発明の態様によってもたらされ得るそのような角度の例は、以下に限定されるものではないが、0°、1°、2°、5°、7.5°、10°、15°、20°、25°、30°、45°、60°、75°もしくは90°を含む。
本発明のある態様によれば、熱交換を有効に行うためにチャンバーに導入される液体の量を制御することが重要であり得る。理想的な量は多くの要因次第であり、気体および液体の熱容量、圧縮または膨張の間の温度における所望の変化を含み得る。
導入される液体の量もまた、噴霧ノズルによって形成される液滴粒径次第であり得る。導入される液体の量の1つの測定は、チャンバー内の気体のモル数に対する、全ての滴の合計表面積の比である。m2/モルで表されるこの比は、約1から250かそれ以上までの範囲を取り得る。本発明の態様における使用に好適であり得るこの比の例は、1、2、5、10、15、25、30、50、100、125、150、200もしくは250を含む。
あるノズル構造は、個別のノズルの組み立てを容易にし得る。あるノズル構造によって、お互いに近い所定の表面における複数のノズルの配置も可能となり、性能が向上し得る。
たとえば、図130Aは、シリンダーの同一の壁に存在する多くのノズル13010の噴霧軌跡を示す。ある領域13012において、2つかさらに多いノズルからの液体の噴霧がお互いに重なり合う。この重なり合いが、液体噴霧滴がお互いに衝突する可能性をもたらすことによって、熱交換のためにそれらをさらに細かく崩壊させる。
複数の噴霧ノズルの組み立ておよび配置における柔軟性は、性能に対する追加の向上をもたらし得る。たとえば、ある態様においては、ピストンの動作の方向および/または気体の流入の方向に対するスプレー構造の次元軸の方向は、他のスプレー構造に対して一様であってもよいし、非一様であってもよい。
そのため、ある態様においては、スプレー構造の次元軸は、一定の様式で気流の方向とお互いにオフセットされ得て、それらは組み合わされ、渦のようなバルク効果が起こる。他の態様においては、気体と液滴との間の相互作用を促進するように算出された様式で、スプレー構造の次元軸が、ある方向に対して非一様に向き得る。そのような相互作用が、結果として生じる混合物の均一性と、混合物の気体と液体との間の熱交換の結果として生じる特性と、を向上させ得る。
ある態様においては、1つ以上の噴霧ノズルがスプレーの一部を方向づけるように意図的に向けられ、チャンバーの壁に対して衝突し得る。そのような衝突は、短い距離にわたり、噴霧をより小さい滴にさらに砕くのに役立ち得る。
図130Bは、液体スプレーの、より小さいサイズの滴への崩壊を高めるように設計されたさらなる他のアプローチを示す。この態様においては、ノズル13020は、チャンバーの壁に対して衝突するファンスプレーをもたらすように設計される。変換器13024からの音波もしくは超音波エネルギー13022もまた、チャンバーの壁に衝突し、チャンバー壁に振動を引き起こす。
この振動は液体衝突の効果的な位置または角度を変え、それゆえに振動壁からの液体の反射の位置または角度を変える。同様に、そのような反射が所定量の液体スプレーを、より広い面積にわたって、さらに分配するのに役立つことによって、それをより小さな滴に砕き、熱交換を効果的に行う。
本発明は図130Bに示す特定の態様に限定されるものではない。具体的には、この図は、超音波変換器を、チャンバーの外側に配置されたものとして示すが、その代わりもしくはそのような外部配置と関連して、音波変換器がチャンバー内部に配置され得る。
また、この態様は、音波または超音波変換器によって間接的にエネルギーを与えられる表面に衝突する液体を説明するが、これは必須ではない。ある態様によれば、液体は、音波または超音波変換器の表面と直接的に相互作用し得る。変換器の中には、圧電性、電磁性、磁歪性のタイプもある。
噴霧器が液体を導入するように構成される方向は、必ずしも、ノズルが形成されるチャンバー壁に垂直ではない。たとえば、図100A〜Jの態様においては、出口スロットはチャンバー壁の法線に対して大きな角度で傾いている。
噴霧器の次元軸は、流入気体がチャンバーに流れる(圧縮もしくは膨張)方向に向けて、もしくは、離れるように、傾いて位置し得る。液体導入のこの方向もまた、圧縮または膨張における液体の導入の間、ピストンの動作の方向に向けて、もしくは、離れるように、傾いて位置し得る。
液体がピストンヘッドまたは他のいくつかの固体表面にぶつかる前に、そのような噴霧の傾きは、注入された液体の通路を効果的に拡大するのに役立ち得る。そのようなより長い通路は、効果的な熱交換のために好適な所望のより小さな粒径(ゆえにより大きな表面積)を有する個々の滴に、液体を砕くためのより長い時間をもたらす。ピストンストロークの全体長さが、噴霧された液体の崩壊長さに対して短い構造において、これは大きな意義があり得る。
前の態様は、チャンバーを、壁内部に画定された簡素化された内部空間として表現してきた。しかしながら、ある態様においては、チャンバーの内部は、より複雑なプロファイルを示し得る。
たとえば、図131は、ピストンヘッド13106aおよびピストンシャフト13106bを備える複動ピストンを収容する圧縮または膨張チャンバーの一態様の簡素化された断面図を示す。ピストンヘッドは2つのチャンバー13108および13109を画定し、バルブ開口部13111および13123と、バルブ開口部13112および13122とをそれぞれ通って、外部導管と流体連通している。
図131は、2つの極端な位置13130および13132におけるピストンヘッドの位置を破線で示す。これらの位置において、ピストンヘッドは、気体が通過することが予期されるバルブ開口部の一部を覆う。
図131はまた、チャンバーの端壁13108aおよび13109aがバルブ開口部に近接するそれぞれの凹部13108bおよび13109bを含むことをも示す。これらの凹部によってもたらされる内部空間13108cおよび13109cは、位置13130および13132におけるピストンによってそれらが部分的に妨害されるとき、バルブ開口部を通して気体の流れを収容し得る。
そのため、ある態様においては、所望の特性を有する液体−気体混合物の形成を促進するために、液体噴霧器が内部チャンバー空間に対して明確に向き得る。たとえば、図131の態様においては、噴霧器13138は端壁に明確に向き、バルブ開口部を通して入る気流の予期される通路における空間13108cおよび13109cに液滴を導入し得る。
図131の具体的な態様は、特定の内部プロファイルを有するチャンバーを示すが、本発明は、このタイプもしくは他のタイプのチャンバーへの液体の注入に限定されるものではない。たとえば、図132は、複動ピストンを収容する他のチャンバーの断面図を示す。
図132の態様においては、ピストンヘッド13206aは、凹形状を示すチャンバーの対応する端壁を伴う、凸形状を示す。そのため、図132は、凸形状のピストンヘッドと凹状の壁形状との間に画定される空間に液体を注入するように端壁に配置された噴霧器13238を示す。
図131および図132の具体的な態様は、水平方向に移動可能な可動部材を有するチャンバーへの液体の注入を示す。そのため、本発明の態様は特定の軸に沿った液体の注入に限定されず、水平方向または垂直方向へのピストンの動作の方向を有するチャンバーへ液体が注入され得る。
ある態様においては、液体の直接注入は、気体の圧縮もしくは膨張のプロセスの間に起こる条件を変えることを考慮に入れてもよい。そのような変化条件の一例は温度である。
具体的には、気体の加熱は、圧縮ストロークにわたって一定の速度では行われない。それどころか、圧力がより高い水準にまで高まるにつれて、加熱はストロークの終点で増大する。そのため、近等温条件下で圧縮を行うためには、ある範囲内で温度を維持するように、より大きな熱交換量が圧縮ストロークの終点近くで必要になり得る。同様に、より大きなこの熱交換量がストロークの終点近くにおける液体の追加量の導入を必要とし得て、それは液体導入装置の特定の配置を用いて実現され得る。
単独もしくは組み合わせで、導入される液体の有効量は様々な方法で制御され得る。たとえば、噴霧器は寸法の面で小さくても大きくてもよく、数量の面で少なくても多くてもよいことによって、注入される液体の量を減少させる。二者択一的に、もしくはこれらの要因の組み合わせで、小さなもしくは大きな速度で流れる液体を噴霧器が受け取り得て、液体は比較的小さなもしくは大きな流速で注入される。
さらに、二者択一的に、もしくは上記要因の組み合わせで、噴霧器は異なる粒径の滴を生成するように構成され得る。そのような異なる粒径の滴は、熱交換のための、より小さいもしくはより大きな表面積をもたらし得て、それゆえに、より小さな有効体積を示し得る。
上記記述は圧縮ストロークにわたって起こる温度における変化に焦点を当てているが、他の条件もまた変化し得る。たとえば、変化条件の他の例は圧力である。具体的には圧縮プロセスの最初のステージの間、気体の圧力はより低く、気体中の水滴の浸透および混合が可能である。それに対して、圧縮ストロークの終点においては、気体の圧力はより大きい。気体の圧力および/または気体の密度は注入される液体の推進力に抵抗するので、この変化した圧力条件は液体を排出するのに役立ち、滴と気体との間の相互作用を抑制し得る。
特定の装置の構造がこの効果を考慮に入れ得る。たとえば、チャンバーのBDC位置において圧縮される空気はもっとも低い圧力であることが期待され、気体と注入された液体との間の相互作用および混合を促すだろう。そのため、この態様においては、上述の1つ以上のアプローチを用いて、この位置にある噴霧器が、最大の有効液量を注入するように構成され得る。
上記の例は圧縮ストロークの間に起こる温度および圧力における変化に焦点を当てているが、容積は他のさらなる変化条件の例を示す。具体的には、圧縮プロセスの最初のステージの間、大きな容積にわたって気体が分配され、気体と相互作用するために噴霧器の位置のためのより大きな空間がもたらされる。それに対して、圧縮ストロークの終点においては、気体はより小さな容積に閉じこめられ、液体を注入するために噴霧器にとって利用可能な空間を減少させる。さらに、上述の1つ以上の液体導入要因が、チャンバー内の適切な位置における熱交換のための有効液体体積をもたらすように用いられ得る。
本発明の態様に係る液体の導入を用いる装置の構造は、液体注入のタイミングを考慮に入れるべきである。たとえば、液体注入は圧縮ストロークの始点で起こり得るが、ある態様によれば、ピストンの直前のストロークの間に空気がチャンバー内に流れる際にも、液体注入が起こり得る。
そのようなアプローチが、液体注入システムのための所望の構造を変化させ得る。たとえば、ピストンストロークの方向に沿った様々な位置よりもむしろ、検討事項は流入気体に対しての噴霧器の方向づけとなり得る。吸気バルブに近い大きな有効体積を注入するように構成されたそのような噴霧器の位置は、圧縮よりも前にチャンバーを満たすよう流れる気体との滴の相互作用として気液混合を促進し得る。もちろん、ある態様においては、チャンバーが気体で満たされた後、ピストンが圧縮中にTDCに向けて動いている間でさえ、液体は直接的に注入され続けられ得る。
液体注入システムの他の構造は、膨張のケースに適切であり得る。そこで、ストロークにおけるピストンの位置と、温度および圧力との間の関係が、圧縮に関連して示されたものと同じであるが、これらの条件はそのうちに反対方向に変化する。また、圧力および温度の特定の数値は、膨張および圧縮の間で異なり得る。そのため、膨張の前後における気体と注入液体との間の最適な熱交換を実現するために、注入システムの相対構成が異なり得る。
現在のところ記述された具体的な態様は、例証の目的のためのみに提供されたものであり、本発明はそれらに限定されるべきではない。たとえば、上述のチャンバーの多くはチャンバーに向けて、およびチャンバーから気体を流すために2つ以上のポートを用いているが、これは本発明によって必須とされない。
別の態様によれば、圧縮および/または膨張モードにおいて、圧縮および/または膨張チャンバーは、チャンバーに向けて、および、チャンバーから気体を流すために用いられる単一のポートを有し得る。ポートを通るそのような気流は単一のバルブによって制御され、そのバルブは気体を入れるように開かれ、閉じられ、その次にチャンバーから(圧縮された、もしくは膨張された)気体を流すために開放され得る。
圧縮気体もしくは膨張気体を適切に送るために、この単一ポートが、三方バルブもしくはバルブネットワークを通して高圧側もしくは低圧側の適切な導管と連結され得る。単一のポートおよび対応する気流バルブのみを有するそのような構造の使用が、デバイスの構造を簡素化し、実質的にコストを低減し得る。
また、上述の態様のいくつかはチャンバーの壁を通して注入される液体を用いるが、これもまた本発明によって必須とされない。別の態様においては、たとえば、固体ピストンヘッド、ピストンロッド、および/または薄膜内のオリフィスを用いて、可動部材を通って液体が導入され得る。
以下の付記項は膨張に関連する。
(付記1)
内部に配置された可動部材を有するチャンバーを設ける工程と、
ポートを通して前記チャンバーに圧縮気体を流す工程と、
前記チャンバーに液体を導入する工程と、
前記液体の燃焼の非存在下で、前記液体の存在下において圧縮気体を膨張させ、前記可動部材を動作させる工程と、
前記可動部材と物理的に連結する連結機構から出力を発生させる工程と、
を含む方法。
(付記2)
前記液体を導入する前記工程が、前記液体の滴を噴霧する工程を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記2a)
前記チャンバー内の気体のモル数と前記滴の合計表面積との比が約1〜250m2/モルである、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
(付記3)
前記液体を導入する前記工程が、前記液体を通して前記圧縮気体を泡立たせる工程を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記4)
前記出力が、前記可動部材の動作によって回転されるシャフトの回転から生成される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記5)
前記物理的な連結が、液圧連結も空気圧連結も含まない、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記6)
前記物理的な連結が、機械的連結、磁気的連結、電磁気的連結、および/または静電気的連結を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記7)
前記可動部材が、固体ピストンもしくはねじを備える、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記8)
前記連結機構がクランクシャフトを備える、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記9)
前記チャンバーへの前記圧縮気体の流れの方向と略平行以外の方向に、前記液体が導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記10)
前記可動部材の動作の方向と略平行以外の方向に、前記液体が導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記11)
前記液体が、前記ポートを画定する前記チャンバーの壁を通して導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記12)
前記液体がマニフォールドを通して導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記13)
前記液体がバルブを通して導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記14)
前記チャンバーから気液混合物を流す工程と、
前記気液混合物から、前記液体の少なくとも一部分を分離する工程と、
をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記15)
前記気液混合物が、前記ポートを通ることなく、前記チャンバーから流れる、
ことを特徴とする付記14に記載の方法。
(付記16)
前記チャンバーへの前記圧縮気体の流れの間に前記液体が導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記17)
前記圧縮気体の膨張の間に前記液体が導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記18)
出力を発生させる前記工程が、電力を発生させる工程を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記19)
出力を発生させる前記工程が、機械力を発生させる工程を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記20)
前記チャンバーを伴う熱的連結機構を通してエンドユーザを冷却する工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
以下の付記項は圧縮に関連する。
(付記1)
内部に配置された可動部材を有するチャンバーを設ける工程と、
ポートを通して前記チャンバーに気体を流す工程と、
前記チャンバーに液体を導入する工程と、
連結機構と物理的に連結する可動部材の動作によって、液体の存在下で前記気体を圧縮する工程と、
前記チャンバーから前記圧縮気体を流す工程と、
を含む方法。
(付記2)
前記液体を導入する前記工程が、前記液体の滴を噴霧する工程を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記2a)
前記チャンバー内の気体のモル数と前記滴の合計表面積との比が約1〜250m2/モルである、
ことを特徴とする付記2に記載の方法。
(付記3)
前記液体を導入する前記工程が、前記液体を通して前記気体を泡立たせる工程を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記4)
前記可動部材がシャフトの回転によって動かされる、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記5)
前記物理的な連結が、液圧連結も空気圧連結も含まない、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記6)
前記物理的な連結が、機械的連結、磁気的連結、電磁気的連結、および/または静電気的連結を含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記7)
前記可動部材が、固体ピストンもしくはねじを備える、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記8)
前記連結機構がクランクシャフトを備える、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記9)
前記チャンバーへの前記気体の流れの方向と略平行以外の方向に、前記液体が導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記10)
前記可動部材の動作の方向と略平行以外の方向に、前記液体が導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記11)
前記液体が、前記ポートを画定する前記チャンバーの壁を通して導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記12)
前記液体がマニフォールドを通して導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記13)
前記液体がバルブを通して導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記14)
前記チャンバーから気液混合物を流す工程と、
前記気液混合物から、前記液体の少なくとも一部分を分離する工程と、
をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記15)
前記気液混合物が、前記ポートを通ることなく、前記チャンバーから流れる、
ことを特徴とする付記14に記載の方法。
(付記16)
前記チャンバーへの前記気体の流れの間に前記液体が導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記17)
前記気体の圧縮の間に前記液体が導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記18)
前記チャンバーへの前記気体の流れの間、および、前記気体の圧縮の間に、前記液体が導入される、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
(付記19)
前記チャンバーを伴う熱的連結機構を通してエンドユーザを加熱する工程をさらに含む、付記1に記載の方法。
以下は装置の付記項である。
(付記1)
内部に配置された可動式の第1の部材を有する第1のチャンバーと、
前記第1のチャンバーに液体を導入するように構成された第1の要素と、
前記第1のチャンバー内部で気体を圧縮するために前記第1のチャンバーと物理的に連結する連結機構と、
内部に配置された可動式の第2の部材を有する第2のチャンバーと、
前記第2のチャンバーに液体を導入するように構成された第2の要素と、
可動式の前記第1の部材によって前記第1のチャンバーで圧縮された気体の流れと、前記第2のチャンバーで膨張された気体の流れと、を受け取るように構成された逆流式熱交換器と、
前記第2のチャンバーとエンドユーザとの間の熱導管と、
を備える装置。
(付記2)
前記逆流式熱交換器からの圧縮気体の流れを受け取るように構成され、保存された圧縮気体を前記第2のチャンバーへ流すように構成された、圧縮気体保存ユニットをさらに備える、付記1に記載の装置。
(付記3)
可動式の前記第2の部材が、前記連結機構と物理的に連結している、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
(付記4)
前記第2の部材が熱源と熱連通している、
ことを特徴とする付記3に記載の装置。
(付記5)
可動式の前記第2の部材が、発電機と物理的に連結している、
ことを特徴とする付記4に記載の装置。
(付記6)
可動式の前記第2の部材が、発電機と物理的に連結している、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
(付記7)
可動式の前記第2の部材が、前記連結機構を通して、前記発電機と物理的に連結している、
ことを特徴とする付記6に記載の装置。
(付記8)
前記連結機構が回転シャフトを備える、
ことを特徴とする付記7に記載の装置。
(付記9)
前記連結機構が、マルチノードギヤシステムを備える、
ことを特徴とする付記7に記載の装置。
(付記10)
前記第1の要素および/または前記第2の要素が、噴霧器またはスパージャーから選択される、
ことを特徴とする付記7に記載の装置。
(付記1)
チャンバーへの液体の流れを制御する方法であって、
気体源と気体連結するポートを有するシリンダーを設ける工程と、
前記シリンダー内部に可動式の第1のピストンを設ける工程と、
前記シリンダー内部に、前記ポートを選択的に閉鎖する可動式の第2のピストンを設ける工程と、
を含む方法。
(付記2)
前記第2のピストンの動作が、前記第1のピストンの動作と同期される、
ことを特徴とする付記1に記載のチャンバーへの液体の流れを制御する方法。
(付記3)
前記第2のピストンの動作が、共通連結機構を用いて、前記第1のピストンの動作と同期される、
ことを特徴とする付記2に記載のチャンバーへの液体の流れを制御する方法。
(付記4)
前記共通連結機構が、共通機械的連結機構を備える、
ことを特徴とする付記3に記載のチャンバーへの液体の流れを制御する方法。
(付記5)
前記共通機械的連結機構がクランクシャフトを備える、
ことを特徴とする付記4に記載のチャンバーへの液体の流れを制御する方法。
(付記6)
前記第1のピストンの動作中に前記シリンダーに液体を供給する工程をさらに含む、付記1に記載のチャンバーへの液体の流れを制御する方法。
(付記7)
前記第1のピストンの動作が前記シリンダー内部の気体を圧縮する、
ことを特徴とする付記6に記載のチャンバーへの液体の流れを制御する方法。
(付記8)
前記第1のピストンの動作が、前記シリンダー内部の圧縮気体の膨張に応えるものである、
ことを特徴とする付記6に記載のチャンバーへの液体の流れを制御する方法。
(付記9)
気体の圧縮用または膨張用の装置であって、
ポートを有し、気体を包含するように構成されたチャンバーと、
前記チャンバー内部に配置された可動部材と、
前記ポートと流体連通し、気流の体積効率を高めるために前記ポートを通って前記気流の共振特性に同調される特性を有する、導管と、
を備える装置。
(付記10)
前記特性が、前記ポートと前記気流の入口との間の前記導管の長さを含む、
ことを特徴とする付記9に記載の気体の圧縮用または膨張用の装置。
(付記11)
前記特性が、前記ポートと前記気流の出口との間の前記導管の長さを含む、
ことを特徴とする付記9に記載の気体の圧縮用または膨張用の装置。
(付記12)
前記特性が前記導管の断面積を含む、
ことを特徴とする付記9に記載の気体の圧縮用または膨張用の装置。
(付記13)
前記特性が、前記ポートと気体源との間の前記導管の通路の長さを含む、
ことを特徴とする付記9に記載の気体の圧縮用または膨張用の装置。
(付記14)
前記気流が、前記チャンバー内の前記可動部材によって圧縮された気体を含む、
ことを特徴とする付記9に記載の気体の圧縮用または膨張用の装置。
(付記15)
前記共振特性が、前記チャンバーからの出口流量バルブの作動タイミング、および/または、前記導管からの出口流量バルブの作動タイミング、から決定される、
ことを特徴とする付記14に記載の気体の圧縮用または膨張用の装置。
(付記16)
前記気流が圧縮気体を含む、
ことを特徴とする付記9に記載の気体の圧縮用または膨張用の装置。
(付記17)
前記共振特性が、前記ポートに近接する前記導管の第1端に位置するチャンバー流量バルブの作動タイミング、および/または、前記第1端と反対側にある前記導管の第2端に位置する流量バルブの作動タイミング、から決定される、
ことを特徴とする付記16に記載の気体の圧縮用または膨張用の装置。
(付記18)
第1の部品と、
第2の部品と、
前記第1の部品を前記第2の部品に固定し、前記第1の部品と前記第2の部品との間にスペースを画定するように、構成された固定部材と、
を備え、
前記固定部材が、
液体源から受け取られる液体の流れを変更し、前記液体を第1の断面積を有する方向変化部分の出口に流すように、構成された前記方向変化部分と、
第2の断面積を有する入口を通して前記方向変化部分の出口から液体を受け取るように構成された速度上昇部分と、
前記速度上昇部分と流体連通し、第3の断面積を有する出口と、
を備え、
前記速度上昇部分が、前記速度上昇部分の入口から流れる液体の速度を加速するように構成され、
前記第2の断面積が前記第1の断面積よりも極めて小さく、前記第3の断面積とほぼ同じまたはわずかに大きい、
ことを特徴とする液体噴霧ノズル。
(付記19)
前記第1の部品が、前記第2の部品の開口部の内部に挿入されるように構成された、
ことを特徴とする付記18に記載の液体噴霧ノズル。
(付記20)
滴の噴霧をもたらすように構成され、
前記チャンバー内の気体のモル数と前記滴の合計表面積との比が、約1〜250m2/モルである、
ことを特徴とする付記18に記載の液体噴霧ノズル。