JP2014169497A - 希土類元素の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで簡易なリサイクルシステムとして実用化が可能な、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法を提供する。
【解決手段】処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して1300℃以上の温度で熱処理1し、得られた熱処理物を水と反応させ、希土類元素を含む粉末を回収する工程を少なくとも含む回収方法。酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を、炭素るつぼを処理容器及び炭素供給源として用いて行い、処理対象物の少なくとも一部が500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であり、更に熱処理物と水の反応を、熱処理物を空気中2に放置して空気中の水と反応させることで行うことが好ましい。処理対象物がR−Fe−B系永久磁石である。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばR−Fe−B系永久磁石(Rは希土類元素)などの、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法に関する。
R−Fe−B系永久磁石は、高い磁気特性を有していることから、今日様々な分野で使用されていることは周知の通りである。このような背景のもと、R−Fe−B系永久磁石の生産工場では、日々、大量の磁石が生産されているが、磁石の生産量の増大に伴い、製造工程中に加工不良物などとして排出される磁石スクラップや、切削屑や研削屑などとして排出される磁石加工屑などの量も増加している。とりわけ情報機器の軽量化や小型化によってそこで使用される磁石も小型化していることから、加工代比率が大きくなることで、製造歩留まりが年々低下する傾向にある。従って、製造工程中に排出される磁石スクラップや磁石加工屑などを廃棄せず、そこに含まれる金属元素、特に希土類元素をいかに回収して再利用するかが今後の重要な技術課題となっている。また、R−Fe−B系永久磁石を使用した電化製品などから循環資源として希土類元素をいかに回収して再利用するかについても同様である。
少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法については、これまでにもいくつかの方法が提案されており、例えば特許文献1では、処理対象物を酸化性雰囲気中で加熱して含有金属元素を酸化物とした後、水と混合してスラリーとし、加熱しながら塩酸を加えて希土類元素を溶液に溶解させ、得られた溶液に加熱しながらアルカリ(水酸化ナトリウムやアンモニアや水酸化カリウムなど)を加えることで、希土類元素とともに溶液に浸出した鉄族元素を沈殿させた後、溶液を未溶解物と沈殿物から分離し、溶液に沈殿剤として例えばシュウ酸を加えて希土類元素をシュウ酸塩として回収する方法が提案されている。この方法は、希土類元素を鉄族元素と効果的に分離して回収することができる方法として注目に値する。しかしながら、工程の一部に酸やアルカリを用いることから、工程管理が容易ではなく、また、回収コストが高くつくといった問題がある。従って、特許文献1に記載の方法は、低コストと簡易さが要求されるリサイクルシステムとして実用化するには困難な側面を有するといわざるを得ない。
また、特許文献2では、処理対象物に含まれる鉄族元素を酸化することなく希土類元素のみを酸化することによって両者を分離する方法として、処理対象物を炭素るつぼの中で加熱する方法が提案されている。この方法は、特許文献1に記載の方法のように酸やアルカリを必要とせず、また、炭素るつぼの中で処理対象物を加熱することで理論的にるつぼ内の雰囲気が鉄族元素が酸化されることなく希土類元素のみが酸化される酸素分圧に自律的に制御されることから、特許文献1に記載の方法に比較して工程が簡易であるという点において優れていると考えられる。しかしながら、単に処理対象物を炭素るつぼの中で加熱すればるつぼ内の雰囲気が所定の酸素分圧に自律的に制御されて希土類元素と鉄族元素を分離できるのかといえば、現実的には必ずしもそうではない。特許文献2では、るつぼ内の雰囲気の望ましい酸素含有濃度は1ppm〜1%であるとされているが、本質的には雰囲気を制御するための外的操作は必要とされないとある。しかしながら、本発明者らの検討によれば、少なくとも酸素含有濃度が1ppm未満の場合には希土類元素と鉄族元素は分離できない。従って、炭素るつぼの中で処理対象物を加熱すれば、理論的にはるつぼ内の雰囲気が鉄族元素が酸化されることなく希土類元素のみが酸化される酸素分圧に自律的に制御されるとしても、現実的にはるつぼ内を酸素含有濃度が1ppm以上の雰囲気に人為的に制御する必要がある。こうした制御は、特許文献2にも記載されているように酸素含有濃度が1ppm以上の不活性ガスをるつぼ内に導入することで行うことができるが、工業用不活性ガスとして汎用されているアルゴンガスの場合、その酸素含有濃度は通常0.5ppm以下である。従って、酸素含有濃度が1ppm以上のアルゴンガスをるつぼ内に導入するためには、汎用されているアルゴンガスをそのまま用いることはできず、その酸素含有濃度をわざわざ高めた上で用いる必要がある。結果として、特許文献2に記載の方法は、一見工程が簡易に思えるものの実はそうではなく、特許文献1に記載の方法と同様、低コストと簡易さが要求されるリサイクルシステムとして実用化するには困難な側面を有するといわざるを得ない。
特開2009−249674号公報 国際公開第2010/098381号
そこで本発明は、低コストで簡易なリサイクルシステムとして実用化が可能な、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の点に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、R−Fe−B系永久磁石に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して1300℃以上の温度で熱処理することで得られる熱処理物は、水と反応させると崩壊し、崩壊後に希土類元素を含む粉末を回収することができることを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明の少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法は、請求項1記載の通り、処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して1300℃以上の温度で熱処理し、得られた熱処理物を水と反応させ、希土類元素を含む粉末を回収する工程を少なくとも含んでなることを特徴とする。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を、炭素るつぼを処理容器および炭素供給源として用いて行うことを特徴とする。
また、請求項3記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物の少なくとも一部が500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることを特徴とする。
また、請求項4記載の方法は、請求項1記載の方法において、熱処理物と水の反応を、熱処理物を空気中に放置して空気中の水と反応させることで行うことを特徴とする。
また、請求項5記載の方法は、請求項1記載の方法において、希土類元素を含む粉末が希土類元素を50mass%以上含むことを特徴とする。
また、請求項6記載の方法は、請求項1記載の方法において、希土類元素を含む粉末の粒径が120μm未満であることを特徴とする。
また、請求項7記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする。
本発明の方法によれば、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して1300℃以上の温度で熱処理することで得られる熱処理物を水と反応させるだけで希土類元素を含む粉末を回収することができる。従って、本発明の方法は、低コストで簡易なリサイクルシステムとして実用化が可能な方法である。
実施例1における実験結果を示す写真である(1:炭素るつぼ内の2種類の塊状物、2:一方の塊状物の崩壊、3:崩壊によって得られた粉末)。 実施例3における実験結果を示す写真である(1:炭素るつぼ内の単一の塊状物、2:塊状物の崩壊、3:崩壊によって得られた粉末(粉末A:大きさの大きい方の粉末、粉末B:大きさの小さい方の粉末))。
本発明の少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法は、処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して1300℃以上の温度で熱処理し、得られた熱処理物を水と反応させ、希土類元素を含む粉末を回収する工程を少なくとも含んでなることを特徴とするものである。
本発明の方法の適用対象となる少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物は、Nd,Pr,Dy,Tb,Smなどの希土類元素とFe,Co,Niなどの鉄族元素を含むものであれば特段の制限はなく、希土類元素と鉄族元素に加えてその他の元素として例えばホウ素などを含んでいてもよい。具体的には、例えばR−Fe−B系永久磁石などが挙げられるが、とりわけ本発明の方法は鉄族元素含量が30mass%以上である処理対象物に好適に適用することができる(例えばR−Fe−B系永久磁石の場合、その鉄族元素含量は、通常、60mass%〜82mass%である)。処理対象物の大きさや形状は特段制限されるものではなく、処理対象物がR−Fe−B系永久磁石の場合には製造工程中に排出される磁石スクラップや磁石加工屑などであってよい。処理対象物に対して十分な酸化処理を行うためには、処理対象物は500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることが望ましい(例えば調製の容易性に鑑みれば粒径の下限は1μmが望ましい)。しかしながら、処理対象物の全てがこのような粒状ないし粉末状である必要は必ずしもなく、粒状ないし粉末状であるのは処理対象物の一部であってよい。
まず、本発明の方法における処理対象物に対する酸化処理は、処理対象物に含まれる希土類元素を酸化物に変換することを目的とするものである。特許文献2に記載の方法と異なり、処理対象物に対する酸化処理によって処理対象物に含まれる鉄族元素が希土類元素とともに酸化物に変換されてもよい。処理対象物に対する酸化処理は、酸素含有雰囲気中で処理対象物を熱処理したり燃焼処理したりすることによって行うことが簡便である。酸素含有雰囲気は大気雰囲気であってよい。処理対象物を熱処理する場合、例えば350℃〜1000℃で1時間〜5時間行えばよい。処理対象物を燃焼処理する場合、例えば自然発火や人為的点火により行えばよい。また、処理対象物に対する酸化処理は、アルカリ水溶液中で処理対象物の酸化を進行させるアルカリ処理によって行うこともできる。アルカリ処理に用いることができるアルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどが挙げられる。また、アルカリ水溶液の濃度としては0.1mol/L〜10mol/Lが挙げられる。処理温度としては60℃〜150℃が挙げられるが、より効果的な酸化処理を行うためには100℃以上が望ましく、より安全性を高めるためには130℃以下が望ましい。処理時間としては30分間〜10時間が挙げられる。処理対象物に対する酸化処理は、単一の方法で行ってもよいし、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。処理対象物に対してこうした酸化処理を行うと、処理対象物に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の1.5倍以上となり、希土類元素の酸化物への変換をより確実なものにすることができる。酸化処理によって処理対象物に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の2.0倍以上になることが望ましい。また、処理対象物に対する酸化処理は、炭素の非存在下で行うことが望ましい。炭素の存在下で処理対象物に対する酸化処理を行うと、処理対象物に含まれる希土類元素が炭素と望まざる化学反応を起こして所望する酸化物への変換が阻害される恐れがあるからである(従ってここでは「炭素の非存在下」は処理対象物に含まれる希土類元素の酸化物への変換が阻害されるに足る化学反応の起因となる炭素が存在しないことを意味する)。
次に、酸化処理を行った処理対象物を炭素の存在下に移して1300℃以上の温度で熱処理する。熱処理温度を1300℃以上に規定するのは、1300℃未満であると、処理対象物からの希土類元素の回収を効果的に行えない恐れがあるからである。熱処理温度は1350℃以上が望ましく、1400℃以上がより望ましく、1450℃以上がさらに望ましい。熱処理温度の上限は、過度の高温による処理設備への悪影響の回避などに鑑みれば2300℃が望ましく、2100℃がより望ましい。熱処理時間は例えば10分間〜3時間が適当である。酸化処理を行った処理対象物に対する炭素の供給源は、グラファイト(黒鉛や石墨)、木炭、コークス、石炭、ダイヤモンド、カーボンブラックなど、どのような構造や形状のものであってもよいが、炭素るつぼを用いて熱処理を行えば、炭素るつぼは処理容器としての役割とともにその表面からの炭素供給源としての役割も果たすので都合がよい(もちろん別個の炭素供給源をさらに添加することを妨げるものではない)。処理容器として炭素るつぼを用いる場合、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理は、アルゴンガス雰囲気などの不活性ガス雰囲気(酸素含有濃度は1ppm未満が望ましい)中や真空(1000Pa未満が望ましい)中で行うことが望ましい。大気雰囲気などの酸素含有雰囲気中で熱処理を行うと、雰囲気中の酸素が炭素るつぼの表面において炭素と反応することで二酸化炭素を生成し、炭素るつぼが炭素供給源としての役割を効率的に果さない恐れがあるからである。なお、用いることができる処理容器は、特許文献2に記載の方法のように炭素るつぼに限定されるわけではなく、非炭素製の処理容器、例えばアルミナや酸化マグネシウムや酸化カルシウムなどの金属酸化物や酸化ケイ素でできたセラミックスるつぼ(単一の素材からなるものであってもよいし複数の素材からなるものであってもよい。炭化ケイ素などの炭素元素を含む素材であっても炭素供給源としての役割を果さない素材からなるものを含む)などを用いることもできる。非炭素製の処理容器を用いる場合、処理容器は炭素供給源としての役割を果さないので、処理容器に炭素供給源を添加することによって酸化処理を行った処理対象物を熱処理する。また、非炭素製の処理容器として製鉄のための溶鉱炉、電気炉、誘導炉などを用いるとともに、炭素供給源として木炭やコークスなどを用いれば、酸化処理を行った処理対象物を一度に大量に熱処理することができる。添加する炭素供給源の量は処理対象物に含まれる鉄族元素に対してモル比で1.5倍以上であることが望ましい。添加する炭素供給源の量をこのように調整することで、処理対象物に含まれる鉄族元素が酸化処理によって酸化物に変換されてもその還元を確実なものとして炭素との合金化を進行させることができる。なお、非炭素製の処理容器を用いる場合、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理は、アルゴンガス雰囲気などの不活性ガス雰囲気(酸素含有濃度は1ppm未満が望ましい)中や真空(1000Pa未満が望ましい)中で行ってもよいし、大気雰囲気などの酸素含有雰囲気中で行ってもよい。酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を酸素含有雰囲気中で行った場合、熱処理後における処理容器内の余剰の炭素供給源は雰囲気中の酸素と反応することによって二酸化炭素となって処理容器から排出される点において都合がよい。
こうして炭素の存在下で熱処理することで得られる熱処理物は、処理容器内に2種類の塊状物として存在したり、処理容器内に単一の塊状物として存在したりする。こうした熱処理物の形態の違いは、本発明者らの検討によれば、処理対象物に対する酸化処理の方法の違いや酸化処理を行った処理対象物に対する熱処理の方法の違い、処理対象物が希土類元素と鉄族元素以外にその他の元素を含むか否かの違いなどに起因すると推察される。一例を挙げると、処理対象物がR−Fe−B系永久磁石などのようにその他の元素としてホウ素を含む場合、例えば、処理対象物に対する酸化処理を酸素含有雰囲気中で処理対象物を熱処理したり燃焼処理したりすることで行うと、熱処理物は処理容器内に2種類の塊状物として存在する傾向にある一方、処理対象物に対する酸化処理をアルカリ処理によって行うと、熱処理物は処理容器内に単一の塊状物として存在する傾向にある。また、例えば、酸化処理を行った処理対象物を粒径の小さい(例えば125μm未満)炭素供給源と混合してから炭素るつぼを用いて熱処理すると、熱処理物は炭素るつぼ内に単一の塊状物として存在する傾向にある。熱処理物が2種類の塊状物として得られる場合、熱処理物を水と反応させることで2種類の塊状物のうちの一方が、熱処理物が単一の塊状物として得られる場合、熱処理物を水と反応させることで熱処理物の全部または一部が、特別な人為的操作を行わなくても自然に崩壊し、崩壊後に希土類元素を含む粉末を回収することができる。熱処理物と水を反応させる方法は特段限定されるものではなく、熱処理物を水中に浸漬して反応させる方法などであってもよいが、熱処理物を空気中に放置して空気中の水と反応させる方法が簡便であって望ましい。熱処理物と反応させる水は酸性水やアルカリ性水であってもよい。また、熱処理物と水を反応させる環境を高温にしたり、高湿度にしたり、高圧にしたりする方法も有効である。熱処理物と水を反応させる時間(熱処理物が崩壊するに至るまでの時間)は処理量などにもよるが、例えば5分間〜10日間である(熱処理物を空気中に放置して空気中の水と反応させる方法の場合にはそれ以上の時間、例えば1年間といった長期間であってもよい)。
回収された希土類元素を含む粉末は、好適には希土類元素を50mass%以上(60mass%以上が望ましく70mass%以上がより望ましい)含み、その粒径は120μm未満である。前述の通り、処理対象物がR−Fe−B系永久磁石などのようにその他の元素としてホウ素を含む場合、例えば、処理対象物に対する酸化処理を酸素含有雰囲気中で処理対象物を熱処理したり燃焼処理したりすることで行うと、熱処理物は処理容器内に2種類の塊状物として存在し、そのうちの一方の塊状物が水と反応することで崩壊して希土類元素を含む粉末となる傾向にある。他方の塊状物は塊状のままであるので、崩壊後に例えば目開きが120μmの篩にかけることで、希土類元素を含む粉末を他方の塊状物と分離して回収することができる。また、例えば、処理対象物に対する酸化処理をアルカリ処理によって行ったり、酸化処理を行った処理対象物を粒径の小さい(例えば125μm未満)炭素供給源と混合してから炭素るつぼを用いて熱処理したりすると、熱処理物は処理容器内に単一の塊状物として存在し、この塊状物は水と反応することで全部または一部が崩壊する傾向にある。崩壊後には大きさが異なる2種類の粉末が存在したり、崩壊しなかった塊状物と粉末が存在したりし、希土類元素を含む粉末は前者の場合は大きさの小さい方の粉末として得られ、後者の場合は崩壊した粉末として得られる。従って、例えば目開きが120μmの篩にかけることで、希土類元素を含む粉末を大きさの大きい方の粉末や崩壊しなかった塊状物と分離して回収することができる。こうした現象は、酸化処理を行った処理対象物に含まれる希土類元素の酸化物が炭素の存在下での熱処理によって安定性に劣る炭化物に変換され、熱処理物に含まれるこの炭化物が水と反応することで水酸化物に変換される一方で、鉄族元素は炭素の存在下での熱処理によって炭素を固溶して合金化して溶融し、また、鉄族元素の酸化物は炭素によって還元された後に炭素を固溶して合金化して溶融し、結果として、鉄族元素と炭素の合金の溶融物が生成するが、この溶融物は安定性が高いため水と反応しないことに起因すると推察される。処理対象物に対する酸化処理を酸素含有雰囲気中で処理対象物を熱処理したり燃焼処理したりすることで行った場合における熱処理物を水と反応させた後に塊状のままである塊状物と、処理対象物に対する酸化処理をアルカリ処理によって行ったり、酸化処理を行った処理対象物を粒径の小さい(例えば125μm未満)炭素供給源と混合してから炭素るつぼを用いて熱処理したりした場合における熱処理物を水と反応させた後に得られる大きさの大きい方の粉末や崩壊しなかった塊状物は、いずれも鉄族元素を通常70mass%以上含む。なお、希土類元素を含む粉末の鉄族元素の含有量は、通常25mass%以下である。従って、希土類元素を含む粉末と鉄族元素を主成分とする塊状物や粉末の分離には磁選も有効である(希土類元素を含む粉末は磁石に吸引されない)。処理対象物がR−Fe−B系永久磁石などのようにその他の元素としてホウ素を含む場合における、処理対象物に対する酸化処理の方法の違いによる熱処理物の形態の違いは、酸化処理を行った処理対象物のホウ素の含有量の違いに起因すると推察される。処理対象物に対する酸化処理を酸素含有雰囲気中で処理対象物を熱処理したり燃焼処理したりすることで行った場合、酸化処理を行った処理対象物のホウ素含量は通常0.7mass%以上である。一方、処理対象物に対する酸化処理をアルカリ処理によって行った場合、アルカリ処理によって処理対象物のホウ素含量が低減され、酸化処理を行った処理対象物のホウ素含量は通常0.4mass%以下である。いずれの場合においても本発明の方法によって希土類元素を含む粉末を得ることができるが、本発明の方法においては、酸化処理を行った処理対象物のホウ素含量は少ない方が望ましく(例えば2.0mass%以下)、酸化処理を行った処理対象物のホウ素含量が少ないことで、ホウ素モル濃度が希土類元素のモル濃度の例えば0.35倍以下といった希土類元素のモル濃度に対するホウ素モル濃度が小さい希土類元素を含む粉末を得やすくなるようである。
本発明の方法によって回収される希土類元素を含む粉末に含まれる希土類元素は水酸化物として存在するので、熱処理や燃焼処理などによる脱水処理をしてから例えば溶融塩電解法などによって還元することで希土類金属に変換することができる。処理対象物が例えばR−Fe−B系永久磁石などのように希土類元素と鉄族元素に加えてその他の元素としてホウ素を含む場合、本発明の方法によって回収される希土類元素を含む粉末には上記の通りホウ素が多少なりとも含まれる。希土類元素に加えてホウ素を含む粉末をフッ素を含む溶融塩成分を用いた溶融塩電解法によって還元すると、ホウ素がフッ素と反応することで有毒なフッ化ホウ素が発生する恐れがある。従って、希土類元素を含む粉末のホウ素含量が多い場合(例えば2.3mass%以上の場合)にはホウ素含量を低減しておくことが望ましい。希土類元素を含む粉末のホウ素含量の低減は、例えば希土類元素を含む粉末をアルカリ金属の炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)や酸化物とともに例えば炭素の存在下で熱処理することで行うことができる。炭素の存在下での熱処理は、例えばグラファイト(黒鉛や石墨)、木炭、コークス、石炭、ダイヤモンド、カーボンブラックなどを炭素の供給源として用いて1300℃〜1600℃で行えばよい。熱処理時間は例えば30分間〜5時間が適当である。炭素るつぼを用いて熱処理を行えば、炭素るつぼは処理容器としての役割とともにその表面からの炭素供給源としての役割も果たすので都合がよい(もちろん別個の炭素供給源をさらに添加することを妨げるものではない)。アルカリ金属の炭酸塩や酸化物は、例えば希土類元素を含む粉末1重量部に対して0.1重量部〜2重量部用いればよい。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
実施例1:
R−Fe−B系永久磁石の製造工程中に発生した約10μmの粒径を有する磁石加工屑(自然発火防止のため水中で7日間保管したもの)に対し、吸引ろ過することで脱水してから大気雰囲気中で火をつけて燃焼処理を行うことで酸化処理を行った。こうして酸化処理を行った磁石加工屑のICP分析結果(使用装置:島津製作所社製のICPV−1017、以下同じ)とガス分析結果(使用装置:堀場製作所社製のEMGA−550W、以下同じ)を表1に示す。酸化処理を行った磁石加工屑に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の7.6倍であった。
次に、酸化処理を行った磁石加工屑50gを、寸法が外径70mm×高さ70mm×肉厚10mmの炭素るつぼ(黒鉛製)に収容した後、工業用アルゴンガス雰囲気(酸素含有濃度:0.2ppm、流量:10L/分。以下同じ)中で1800℃で1時間熱処理した。その後、炭素るつぼを室温まで炉冷したところ、炭素るつぼ内には熱処理物として2種類の塊状物(塊状物Aと塊状物B)がるつぼに固着して存在した(図1−1)。この2種類の塊状物は、空気中で1日間放置しておくと、塊状物Aは塊状のままであるのに対し、塊状物Bはアセチレン臭を発しながら自然に崩壊して粉末となり(図1−2)、炭素るつぼの内容物を目開きが120μmの篩にかけることで粉末のみを回収することができた(図1−3)。篩にかけた後の塊状物Aと回収された塊状物B由来の粉末のそれぞれのICP分析結果とガス分析結果を表2に示す。表2から明らかなように、塊状物Aの主成分は鉄である一方、塊状物Bの主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、塊状物B由来の粉末のホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.07倍であった。また、塊状物B由来の粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例2:
酸化処理を行った磁石加工屑を2000℃で熱処理すること以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、実施例1の場合と同様に、炭素るつぼ内には熱処理物として2種類の塊状物(塊状物Aと塊状物B)がるつぼに固着して存在し、この2種類の塊状物は、空気中で1日間放置しておくと、塊状物Aは塊状のままであるのに対し、塊状物Bはアセチレン臭を発しながら自然に崩壊して粉末となり、炭素るつぼの内容物を目開きが120μmの篩にかけることで粉末のみを回収することができた。篩にかけた後の塊状物AのSEM・EDX分析結果(使用装置:日立ハイテクノロジーズ社製のS800、以下同じ)と回収された塊状物B由来の粉末のICP分析結果を表3に示す。表3から明らかなように、塊状物Aの主成分は鉄である一方、塊状物Bの主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、塊状物B由来の粉末のホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.18倍であった。また、塊状物B由来の粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例3:
R−Fe−B系永久磁石の製造工程中に発生した約10μmの粒径を有する磁石加工屑(自然発火防止のため水中で7日間保管したもの)を、100℃に加熱した5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬してアルカリ処理を行った。1時間後、吸引濾過してアルカリ処理を行った磁石加工屑を回収し、回収したアルカリ処理を行った磁石加工屑を純水中に投入して撹拌することで洗浄し、吸引濾過してアルカリ処理を行った磁石加工屑を回収した。この操作をあと2回繰り返してアルカリ処理を行った磁石加工屑を十分に水洗した後、150℃のホットプレート上で乾燥させた。こうして酸化処理を行った磁石加工屑のICP分析結果とガス分析結果の結果を表4に示す。酸化処理を行った磁石加工屑に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の9.5倍であった。
次に、酸化処理を行った磁石加工屑50gを、寸法が外径70mm×高さ70mm×肉厚10mmの炭素るつぼ(黒鉛製)に収容した後、工業用アルゴンガス雰囲気中で1800℃で1時間熱処理した。その後、炭素るつぼを室温まで炉冷したところ、炭素るつぼ内には熱処理物として単一の塊状物がるつぼに固着して存在した(図2−1)。この塊状物は、空気中で1日間放置しておくと、アセチレン臭を発しながら自然に崩壊して粉末となり(図2−2)、炭素るつぼの内容物を目開きが120μmの篩にかけることで大きさが異なる2種類の粉末(粉末Aと粉末B)を回収することができた(図2−3)。粉末Aと粉末BのそれぞれのICP分析結果とガス分析結果を表5に示す。表5から明らかなように、大きさが大きい方の粉末Aの主成分は鉄である一方、大きさが小さい方の粉末Bの主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末Bのホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.01倍であった。また、粉末Bの主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例4:
酸化処理を行った磁石加工屑を2000℃で熱処理すること以外は実施例3と同様にして実験を行ったところ、実施例3の場合と同様に、炭素るつぼ内には熱処理物として単一の塊状物がるつぼに固着して存在した。この塊状物は、空気中で1日放置しておくと、アセチレン臭を発しながら自然に崩壊して粉末となり、炭素るつぼの内容物を目開きが120μmの篩にかけることで大きさが異なる2種類の粉末(粉末Aと粉末B)を回収することができた。粉末AのSEM・EDX分析結果と粉末BのICP分析結果を表6に示す。表6から明らかなように、大きさが大きい方の粉末Aの主成分は鉄である一方、大きさが小さい方の粉末Bの主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末Bのホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.02倍であった。また、粉末Bの主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例5:
単一の塊状物を空気中で1日間放置するかわりに、室温で水中に1日間浸漬すること以外は実施例3と同様にして実験を行ったところ、この単一の塊状物はアセチレン臭を発する気体を発しながら水中で自然に崩壊して粉末となった。この粉末を吸引濾過して回収し、自然乾燥させてから目開きが120μmの篩にかけることで大きさが異なる2種類の粉末(粉末Aと粉末B)を回収することができた。粉末AのSEM・EDX分析結果と粉末BのICP分析結果を表7に示す。表7から明らかなように、大きさが大きい方の粉末Aの主成分は鉄である一方、大きさが小さい方の粉末Bの主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末Bのホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.01倍であった。また、粉末Bの主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例6:
酸化処理を行った磁石加工屑50gと粒径が125μmを超えるカーボンブラック(東海カーボン社製のファーネスブラック)20gの混合物を1450℃で熱処理すること以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、炭素るつぼ内には熱処理物として単一の塊状物がるつぼに固着せずに存在した。この塊状物1gをプレッシャークッカー試験機(平山製作所社製のPC−242HS、以下同じ)を用いて120℃、100%RH、2気圧の高温・高湿度・高圧の条件で1時間処理すると、塊状物の一部が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を磁選によって分離し、両者のICP分析とガス分析を行った。結果を表8に示す。表8から明らかなように、塊状物の主成分は鉄である一方、粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末のホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.20倍であった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例7:
酸化処理を行った磁石加工屑20gを1450℃で熱処理すること以外は実施例3と同様にして実験を行ったところ、炭素るつぼ内には熱処理物として単一の塊状物がるつぼに固着して存在した。この塊状物1gをプレッシャークッカー試験機を用いて120℃、100%RH、2気圧の高温・高湿度・高圧の条件で6時間処理すると、塊状物の一部が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を磁選によって分離し、粉末のSEM・EDX分析を行った。結果を表9に示す。表9から明らかなように、この粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例8:
実施例7で得られた塊状物を100℃に加熱した1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に6時間浸漬すると、塊状物の一部が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を水洗してから乾燥させた後、両者を磁選によって分離し、粉末のSEM・EDX分析を行った。結果を表10に示す。表10から明らかなように、この粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例9:
実施例7で得られた塊状物を室内に230日放置しておくと、塊状物の一部が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を磁選によって分離し、粉末のSEM・EDX分析を行った。結果を表11に示す。表11から明らかなように、この粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例10:
酸化処理を行った磁石加工屑50gと粒径が125μmを超えるカーボンブラック(東海カーボン社製のシーストSO)20gの混合物を1450℃で熱処理すること以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、実施例1の場合と同様に、炭素るつぼ内には熱処理物として2種類の塊状物がるつぼに固着せずに存在した。この2種類の塊状物は、空気中で1日間放置しても変化が認められなかったが、プレッシャークッカー試験機を用いて120℃、100%RH、2気圧の高温・高湿度・高圧の条件で6時間処理すると、一方の塊状物が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を磁選によって分離し、粉末のICP分析を行った。結果を表12に示す。表12から明らかなように、粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末のホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.35倍であった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例11:
酸化処理を行った磁石加工屑50gと粒径が125μmを超えるカーボンブラック(東海カーボン社製のシーストSO)50gの混合物を1450℃で熱処理すること以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、実施例1の場合と同様に、炭素るつぼ内には熱処理物として2種類の塊状物がるつぼに固着せずに存在した。この2種類の塊状物は、空気中で1日間放置しても変化が認められなかったが、プレッシャークッカー試験機を用いて120℃、100%RH、2気圧の高温・高湿度・高圧の条件で6時間処理すると、一方の塊状物が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を磁選によって分離し、粉末のICP分析を行った。結果を表13に示す。表13から明らかなように、粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末のホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.34倍であった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
実施例12:
酸化処理を行った磁石加工屑50gと粒径が125μm未満のカーボンブラック(東海カーボン社製のシーストSO)10gの混合物を1450℃で熱処理すること以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、炭素るつぼ内には熱処理物として単一の塊状物がるつぼに固着して存在した。この塊状物は、空気中で1日間放置しても変化が認められなかったが、プレッシャークッカー試験機を用いて120℃、100%RH、2気圧の高温・高湿度・高圧の条件で6時間処理すると、塊状物の一部が崩壊して粉末となった。塊状物と粉末を磁選によって分離し、粉末のICP分析を行った。結果を表14に示す。表14から明らかなように、粉末の主成分は希土類元素であり、希土類元素を粉末として鉄から分離することができたことがわかった。なお、粉末のホウ素モル濃度は希土類元素のモル濃度の0.33倍であった。また、粉末の主体が希土類元素の水酸化物であることをX線結晶回析により確認した。
本発明は、低コストで簡易なリサイクルシステムとして実用化が可能な、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. 少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法であって、処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して1300℃以上の温度で熱処理し、得られた熱処理物を水と反応させ、希土類元素を含む粉末を回収する工程を少なくとも含んでなることを特徴とする方法。
  2. 酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を、炭素るつぼを処理容器および炭素供給源として用いて行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 処理対象物の少なくとも一部が500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 熱処理物と水の反応を、熱処理物を空気中に放置して空気中の水と反応させることで行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 希土類元素を含む粉末が希土類元素を50mass%以上含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 希土類元素を含む粉末の粒径が120μm未満であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 処理対象物がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする請求項1記載の方法。
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