JP2013199698A - 希土類元素含有物質からの希土類元素濃縮方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】希土類元素含有物から希少元素で産出量の少ない希土類元素をより高い濃縮率で濃縮する方法を提供する。
【解決手段】希土類元素含有物質を酸化ホウ素(B23)フラックスの共存下で加熱溶融し、B23相と、B23相よりも下方にB23相よりも希土類元素が富化された相とを形成する工程1、すなわち1150〜1600℃で10〜360分保持した後、冷却する工程1を含む希土類元素含有物質からの希土類元素濃縮方法。
【選択図】なし

Description

本発明は希土類元素含有物質から希土類元素を濃縮する方法に関する。とりわけ本発明は希土類磁石から希土類元素を濃縮する方法に関する。
希土類元素は永久磁石、水素吸蔵合金、固体レーザー、ディスプレイ用蛍光体、蛍光灯、セラミックコンデンサ、センサー、燃料電池、着色剤等に使用されている。希土類元素はパソコン、スマートフォン及び電気自動車などを取り扱うハイテク産業に欠かせない物質であり、昨今の電子機器の高度化に伴ってその需要が高まっているが、希少元素であるために産出量が少なく、価格も高騰している。そのため、このようなハイテク機器から希土類を回収し、リサイクルするための技術開発が望まれている。
従来の希土類元素の回収方法は、湿式法と乾式法に分けることができる。湿式法では希土類を使用した機器を破砕してスクラップとし、これを酸により溶解し、固液分離や溶媒抽出によって各希土類元素に分離する方法が一般的である。湿式法を開示した文献としては、特許文献1〜3、非特許文献1等が挙げられる。また、乾式法としては、希土類含有物を還元後、CaF2等のフッ化物フラックスと共に加熱溶融し、フラックス中に酸化物や炭素などの不純物を抽出する方法を開示した特許文献4〜6等が挙げられる。非特許文献2には、Nd−Fe−B系磁石から酸化ホウ素を用いたガラススラグ法によってNdが抽出され、酸化ホウ素を主成分とするNd含有ガラススラグ相とFe−B合金とに分離されることが記載されている。
特開昭62−83433号公報 特公平5−14777号公報 特開平5−287405号公報 特開2001−335815号公報 特開2002−12921号公報 米国特許第5,174,811号明細書
町田憲一、"金属"、Vol.79、アグネ技術センター、2009年、pp.29−35 T.Saito他、"ガラススラグ法による廃Nd-Fe-B合金からのNd抽出(The extraction of Nd from waste Nd-Fe-B alloys by the glass slag method)"、ジャーナルオブアロイズアンドコンパウンズ(Journal of ALLOYS AND COMPOUNDS)、エルビア(Elsevier), 353(2003) pp.189-193
湿式法では酸や沈澱剤を大量に使用するという問題や浸出に時間を要するという問題があることから乾式法が有望であるが、上述した方法以外にも有益な方法や改善策が存在すると考えられる。希土類元素の回収技術は未だ発展途上にあり、多くの選択肢を提供しておくことが今後の技術開発の可能性を広げる観点から望ましいであろう。
ここで、非特許文献2に記載されている酸化ホウ素を使用する方法は興味深いが、酸化ホウ素のガラススラグ相にNdを抽出することはできても、Ndが十分に濃縮されているとはいえない。また、非特許文献2は鉄中からの希土類の除去を検討したもので、希土類の回収を前提としていない。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、希土類元素含有物から希土類元素をより高い濃縮率で濃縮する方法を提供することを課題の一つとする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討したところ、以下の知見を得た。希土類元素含有物質を酸化ホウ素(B23)フラックスの共存下で加熱溶融させると、希土類元素とB23を主体とした二元系融体が出現する。この二元系融体は所定条件下では更にB23相と、その下のB23相よりも希土類元素が富化された相にきれいに二液分離する。更に、希土類元素含有物質中にFeが含まれている場合、Fe相が別途生成する。そのため、この現象を利用すれば、例えば希土類磁石をB23相と希土類元素が富化したRexy−B23相とFe相に分離することができる。加熱溶融を炭素等の融点降下剤の共存下で行えば分離性は更に良くなる。この点、非特許文献2ではB23を用いているが、上述した二液相分離を利用していない点で大きく異なる。
本発明は上記知見を基礎として完成したものであり、一側面において、希土類元素含有物質をB23の共存下で加熱溶融し、B23相と、B23相よりも下方にB23相よりも希土類元素が富化された相とを形成する工程1を含む希土類元素含有物質からの希土類元素濃縮方法である。
本発明に係る希土類元素濃縮方法の一実施形態においては、工程1は、1150〜1600℃で10〜360分保持した後、冷却することを含む。
本発明に係る希土類元素濃縮方法の別の一実施形態においては、希土類元素含有物質が鉄を含有し、工程1では前記希土類元素が富化された相の下方に又は当該相に包囲されるように、B23相及び前記希土類元素が富化された相の何れの相よりも鉄が富化された相を更に形成する。
本発明に係る希土類元素濃縮方法の更に別の一実施形態においては、工程1を融点降下剤の共存下で行う。
本発明に係る希土類元素濃縮方法の更に別の一実施形態においては、融点降下剤が炭素である。
本発明に係る希土類元素濃縮方法の更に別の一実施形態においては、炭素の供給源がFe−C合金である。
本発明に係る希土類元素濃縮方法の更に別の一実施形態においては、工程1を酸化剤の共存下で行う。
本発明に係る希土類元素濃縮方法の更に別の一実施形態においては、酸化剤が酸化鉄である。
本発明に係る希土類元素濃縮方法の更に別の一実施形態においては、B23相中の希土類元素の総質量に対する前記希土類元素が富化された相中の希土類元素の総質量の比が10以上である。
本発明に係る希土類元素濃縮方法の更に別の一実施形態においては、希土類元素にNd、Dy及びPrから選択される少なくとも一種が含まれる。
本発明に係る希土類元素濃縮方法の更に別の一実施形態においては、希土類元素含有物質は希土類磁石を原料とする。
本発明に係る希土類元素濃縮方法の更に別の一実施形態においては、希土類磁石がネオジム磁石である。
本発明によれば、希土類元素が含まれる材料から希土類元素を高濃縮することができるようになる。そのため、本発明は例えば希土類磁石等の希土類元素を含有する使用済み製品から各成分を分離回収し、リサイクルするための要素技術として極めて有益である。
本発明に係る方法によって加熱処理した後の試料(例1)の断面写真の例である。
本発明に係る希土類元素含有物質からの希土類元素濃縮方法の一実施形態においては、希土類元素含有物質をB23の共存下で加熱溶融し、B23相と、B23相よりも下方にあってB23相よりも希土類元素が富化された相(以下、「希土類富化相」という。)とを形成する工程1を含む。
(1.希土類元素含有物質)
希土類元素含有物質としては、希土類元素、すなわちSc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)の17元素の何れか1種以上を含有する物質であれば特に制限はない。典型的な実施形態においては、希土類元素含有物質にはNd、Pr、Sm及びDyから選択される少なくとも一種が含まれる。希土類元素含有物質は混合物、化合物、焼結物、合金、及びこれらの組み合わせなど種々の形態を取ることができる。
本発明が処理対象とする希土類元素含有物質の典型例を挙げると、希土類元素は永久磁石、水素吸蔵合金、固体レーザー、ディスプレイ用蛍光体、蛍光灯、セラミックコンデンサ、センサー、燃料電池、着色剤等に使用されることから、これらの使用済み製品や、製品の製造過程で排出される端材などである。また、希土類元素含有物質は粉状や塊状を含め、何れの形状でも構わないので、加熱溶融前に予め粉砕する必要はない。従って、廃棄されたそのままの形態で処理することもできる。但し、磁石を処理するときは、安全性の観点から、加熱等の方法によって予め消磁しておくことが好ましい。
希土類元素を用いて作られる永久磁石は希土類磁石と呼ばれており、ネオジム磁石(例:Nd−Fe−B系)、サマリウムコバルト磁石(例:Sm−Co系)、プラセオジム磁石(例:Pr−Co系)、サマリウム鉄窒素磁石(例:Sm−Fe−N系)等が知られている。希土類磁石はモーター、自動車、MRI、ハードディスク、ヘッドホン等への利用が多い。希土類磁石には希土類元素の他に鉄が含まれていることが多い。湿式法を用いた場合には、鉄分を酸浸出するのに多くの時間及びコストを費やす必要があったが、後述するように、本発明に係る方法によれば、酸浸出することなく、鉄を相分離可能である。
また、製品によっては耐食性や電磁波シールド性を高めるために各種のめっきが施されているものもある。めっきは予め研磨等で除去した方が希土類富化相の純度を高める点で好ましいが、ニッケル、銅、クロム、リンなど主要なめっき成分は鉄と挙動を同じくするので、希土類富化相への混入は僅かである。そのため、経済性も考慮すれば、めっきを除去することなく加熱溶融に供する方が実用的である。
(2.希土類希土類富化相形成)
希土類元素含有物質をB23フラックスの共存下で加熱溶融すると、希土類元素とB23を主体とした二元系融体が出現する。加熱溶融温度を適正化することにより、この融体は比重差によって上部のB23相と、下部の希土類富化相とに二液分離する。二液分離に適した温度は1150〜1600℃であり、後述するFe相中への希土類元素の分配率を下げるためには、1400℃以下が好ましく、1250℃以下がより好ましい。加熱溶融温度が高すぎると二液分離しないために、B23と希土類元素の混在した相が生成するのみであり、希土類元素の十分な濃縮ができない。
高い分離性を得る観点からは、上記温度範囲に10分以上保持し溶融状態にすることが好ましく、60分以上保持することがより好ましい。但し、保持時間が長すぎても理論的な分配比を超えた効果は生じないことから、経済性を考慮すれば、保持時間は360分以下とするのが好ましく、240分以下とするのがより好ましい。
希土類富化相中の希土類元素はB23とRe23の液体が均一に溶け合った形態で存在していると考えられ、希土類富化相とB23富化相の二液相分離を発生させるために(これより低い値だと化合物固体と液相、または化合物固相のみとなる。)2モルの希土類元素に対して3モルのB23が必要である。そのため、B23は、希土類元素含有物質に含まれる希土類元素に対して少なくとも1.5倍のモル比で共存させることが望ましく、希土類富化相を生成させるためには1.5倍以上のB23が必要な理由から1.5倍以上のモル比で共存させることが好ましい。上限は特に設定されないが、余剰なB23の存在によりエネルギー消費が多くなるので、B23は希土類元素含有物質に含まれる希土類元素に対して5以下のモル比とするのが好ましく、4以下のモル比とするのがより好ましい。
二液分離させた後、上記温度範囲よりも高い温度に加熱することは二液分離性を悪化させるので避けるべきであるが、当該温度範囲に保持する前にいったん当該温度範囲よりも高温に加熱しておくことは鉄など高融点物質中に混入している希土類元素を溶かし出す上で有効である。従って、加熱溶融時の温度変化としては、二液分離に好適な上記温度範囲に加熱し、その後冷却する場合と、均質な融体を形成するために二液分離に好適な上記温度範囲よりも高温(例えば1600℃以上)に加熱して、次いで、温度を低下させて二液分離に好適な上記温度範囲に保持し、その後冷却する場合がある。
23相は典型的にはB23を80質量%以上、より典型的にはB23を90質量%以上含有する。希土類富化相はB23相よりも希土類元素が富化された相であり、典型的にはB23を30〜70質量%、より典型的にはB23を40〜60質量%、更により典型的にはB23を40〜50質量%含有する。本発明の一実施形態によれば、B23相中の希土類元素の総質量に対する希土類富化相中の希土類元素の総質量の比を10以上とすることができ、好ましくは20以上とすることができ、より好ましくは25以上とすることができ、例えば10〜40とすることができ、20〜30とすることもできる。
希土類元素含有物質が鉄を含有するときは、希土類富化相の下方に又は希土類富化相に包囲されるように、B23相及び希土類富化相の何れの相よりも鉄が富化された相(以下、「Fe相」という。)を更に形成することができる。一般に、Fe相は希土類富化相よりも比重が大きいので、下方に位置するが、鉄の量が少ないと鉄が丸まってしまい、希土類富化相に包囲されるように、Fe相が形成される。本発明の一実施形態によれば、B23相中のFeの総質量に対するFe相中のFeの総質量の比を100以上とすることができ、好ましくは500以上とすることができ、より好ましくは1000以上とすることができ、例えば100〜2000とすることができ、500〜1500とすることもできる。また、本発明の一実施形態によれば、希土類富化相中のFeの総質量に対するFe相中のFeの総質量の比を10以上とすることができ、好ましくは50以上とすることができ、より好ましくは100以上とすることができ、例えば10〜200とすることができ、50〜150とすることもできる。
更に、本発明の一実施形態によれば、Fe相中の希土類元素の総質量に対する希土類富化相中の希土類元素の総質量の比を10以上とすることができ、好ましくは100以上とすることができ、より好ましくは1000以上とすることができ、例えば10〜3000とすることができ、1000〜3000とすることもできる。
鉄の融点は1538℃と高いことから、二液分離の効率と溶解時のエネルギー低減を考慮すると、融点降下剤の共存下で工程1を実施するのが好ましい。融点降下剤としては、鉄の融点を下げることのできる物質であれば特に制限はないが、炭素、リン、ボロン、シリコン、硫黄、ヒ素、アンチモンなどが挙げられる。これらは単独で使用することもでき、二種類以上を組み合わせて使用することもできる。
融点降下剤の中でも炭素は、鉄の酸化を防ぎ、鉄がB23相へ移動するのを防止する効果があり、分離性が向上するので好ましい。炭素の供給源としては、限定的ではないが、加熱炉に炭素るつぼを使用すること、炉壁を炭素コーティングすること、銑鉄等のFe−C合金、コークス、グラファイト、プラスチック、有機物等を添加剤として反応系に添加すること、二酸化炭素、炭化水素系ガスなどの炭素源を吹き込むこと等が挙げられる。コークスやグラファイトは加熱溶融時に酸化し、ほとんどはガスとなって系外に排出されるので、各相に対する汚染物質となる心配も少ない一方で、系外に排出されやすいので融点降下や酸化防止効果としては弱くなる。一方、Fe−C合金の場合、炭素が合金中に組み込まれており、加熱溶融中も容易には系外に排出されないので、融点降下や酸化防止効果はコークスやグラファイトに比べて高い。そして、Feは分離性がよいので添加することによる弊害はない。よって、炭素の供給源としてFe−C合金が優れている。
融点降下剤の添加量は、溶融温度が最も低くなるという理由により共晶点の組成付近とすることが好ましい。融点降下剤として炭素を使用する場合は、炭素飽和の状態、すなわち融体中にそれ以上炭素が溶け込まない状態で加熱溶融を行うことが融点降下や酸化防止効果の観点で好ましい。
加熱溶融時の雰囲気は特に制限はなく、大気雰囲気下で実施すれば足りる。しかしながら、鉄の酸化を防止する観点からは、Arや窒素などの不活性雰囲気下で実施するのが好ましい。鉄が酸化するとB23相へ移行し易くなるからである。
鉄の酸化は回避すべきである一方で、希土類元素の酸化を促進することは、相分離性を良くする観点で好ましい。また、ネオジム磁石にはホウ素が含まれているが、このホウ素を酸化することによりB23とすることが望まれる。そこで、工程1を鉄の酸化が促進されない程度の酸化性条件下で加熱溶融を行うことが好ましい。このような観点からみた本発明に適した酸化剤としては、空気、二酸化炭素、酸化鉄(三酸化二鉄、四酸化三鉄)、酸化鉄を含む複合酸化物、酸化ボロン、一酸化炭素、亜硫酸ガス等が挙げられ、回収される鉄の不純物を低減する観点から空気、二酸化炭素、酸化鉄が好ましい。
酸化剤の添加量は、鉄を酸化させない理由により希土類元素に対して酸素量が1.5〜2.0倍のモル比とすることが好ましい。
ここで、非特許文献2との違いについて述べると、非特許文献2では不活性雰囲気の実験であり、適切な酸化剤も添加されていないことから、添加したB23が磁石中の希土類金属と次の反応をすることにより還元され、以下の反応式に従って鉄中のボロン濃度が増加する。
Nd2Fe14B+B23=Nd23+3Fe2B+8Fe
このことから非特許文献2の方法では、鉄中のホウ素は全くといっていいほど除去できない。鉄の再利用を考えると、鉄中にホウ素が含まれない本方法が望ましいと考えられる。この点、本発明によれば、上述した希土類元素を酸化し、鉄は酸化させないような酸化性条件下で加熱溶融を行うことにより、Fe相中にホウ素はほとんど混入しないようにすることが可能である。
(3.分離回収)
各相が形成された後は、溶融状態にある間に各相を分液することにより、希土類富化相を含めて各相を分離回収することができる。B23相は工程1に再利用することができる。分液の方法としては、比重の重い相から順番に炉底から排出する方法がある。比重の軽い相は炉の上部から抽出してもよい。また、冷却して固化させてから、相の境界に沿ってカッター等で切断してもよい。冷却する際は、分離性を挙げるために、固化するまでは徐冷するのが好ましい。
分離回収された希土類富化相は公知の任意の処理に供することができる。例えば、シュウ酸、塩酸、硫酸等を用いた酸浸出を行って希土類元素を溶解した後、水酸化アンモニウム、硫酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム等を添加してpH調整することによって希土類元素の塩を析出する。酸化ホウ素は液中に溶解したままであるので、固液分離することによって希土類元素の塩を回収可能である。上述した乾式処理によって、予め鉄が除去されているので、浸出に要する酸の量は格段に小さくて済む。その後、溶融塩電解やCa還元などの方法によって希土類元素を単体として回収することができる。希土類元素の塩を焼成することで希土類酸化物として回収することもできる。
<例1>
加熱して消磁した市販のネオジム磁石を鉄乳鉢によって粉砕し実験に供した。ネオジム磁石にはNi−Cu−Niの三層めっきが施されていたが、表面を研磨してめっき層を除去した。ICP−AESを用いて決定されためっき除去後の試料の組成を表1に示す。
(単位:質量%)
ネオジム磁石試料(5.0g)、B23(10g)、Fe23(1.2g)を、Cを4.3質量%含むFe−C合金(7.5g)と共に炭素るつぼへ装入した。Fe23はネオジム磁石中の希土類元素とホウ素を酸化させるために加えた。試料を1170℃で1時間、アルゴン雰囲気中で加熱保持した後、アルゴンガスを吹き付けて急冷した。相の分離を目視で確認した後、各相成分をICP−AESを用いて分析した。
上記実験によって得られた試料の写真を図1に示す。図1から分かるように、試料が三相に分離している。表2に示す各相の分析結果からみて、これら三相は鉛直方向に上から順にネオジムを1.25質量%程度含むB23相、黒緑色のネオジム、ジスプロシウム、プラセオジム等の希土類元素が富化されたNd23−B23相、そして最下相の希土類元素をほとんど含んでいないFe−C合金相であった。
(単位:質量%)
表2より、B23相中の希土類元素の総質量に対する希土類富化相(Nd2O3-B2O3相)中の希土類元素の総質量の比は25.7であり、Fe相(Fe-C合金相)中の希土類元素の総質量に対する希土類富化相中の希土類元素の総質量の比は596.4であった。上記実験結果より、磁石中の希土類元素をNd23−B23相へ濃縮することが可能であることが分かる。表中で、Fe−C合金相におけるB23が「−」となっているが、これはB23としては検出されなかったという意味である。なお、Bとしては0.27質量%検出された。
<例2>
例1と同様のネオジム磁石を粉砕せずに塊の状態で実験に供した。ネオジム磁石にはNi−Cu−Niの三層めっきが施されていたが、表面を研磨してめっき層を除去した。ネオジム磁石試料(20g)及びB23(10g)を、Cを4.3質量%含むFe−C合金(20g)と共に炭素るつぼへ挿入した。試料を1170℃で21.5時間、二酸化炭素雰囲気中で加熱保持した後、アルゴンガスを吹き付けて急冷した。相の分離を目視で確認した後、各相成分をICP−AESを用いて分析した。各相の分析結果を表3に示す。表3からみて、これら三相は鉛直方向に上から順にネオジムを0.14質量%程度含むB23相、黒緑色のネオジム、ジスプロシウム、プラセオジム等の希土類元素が富化されたNd23−B23相、そして最下相の希土類元素をほとんど含んでいないFe−C合金相であった。その結果、例1と同様に、鉛直方向に上から順にB23相、Nd23−B23相、及びFe−C合金相の三相に分離したことが分かった。
(単位:質量%)
例2において、B23相中の希土類元素の総質量に対する希土類富化相(Nd2O3-B2O3相)中の希土類元素の総質量の比は254.8であり、Fe相(Fe-C合金相)中の希土類元素の総質量に対する希土類富化相中の希土類元素の総質量の比は1528.8倍であった。
<例3>
例1と同様のネオジム磁石を鉄乳鉢によって粉砕し実験に供した。ネオジム磁石にはNi−Cu−Niの三層めっきが施されていたが、表面を研磨してめっき層を除去した。ネオジム磁石試料(5g)及びB23(10g)を炭素るつぼへ挿入した。試料を1350℃で2時間、次いで1170℃で1時間、二酸化炭素雰囲気中で加熱保持した後、アルゴンガスを吹き付けて急冷した。相の分離を目視で確認した後、各相成分をICP−AESを用いて分析した。結果を表4に示す。
(単位:質量%)
表4より、例1と同様に、鉛直方向に上からB23相、Nd23−B23相、及びFe−C合金相の三相に分離したことが分かる。溶解したネオジウム磁石を構成する合金が炭素るつぼ、または二酸化炭素中の炭素と反応し、Fe−C合金相を形成したと考えられる。B23相中の希土類元素の総質量に対する希土類富化相(Nd2O3-B2O3相)中の希土類元素の総質量の比は119.1であり、Fe相(Fe-C合金相)中の希土類元素の総質量に対する希土類富化相中の希土類元素の総質量の比は532.0であった。上記実験結果より、磁石中の希土類元素をNd23−B23相へ濃縮することが可能であることが分かる。この結果から、銑鉄を添加しなくても加熱溶融温度を高めることで希土類元素を濃縮可能であることが分かる。
<例4>
例1と同様のネオジム磁石を鉄乳鉢によって粉砕し実験に供した。ネオジム磁石にはNi−Cu−Niの三層めっきが施されていたが、表面を研磨してめっき層を除去した。ネオジム磁石試料(5g)及びB23(10g)を炭素るつぼへ挿入した。試料を1450℃で3時間、二酸化炭素雰囲気中で加熱保持した後、アルゴンガスを吹き付けて急冷した。相の分離を目視で確認した後、各相成分をICP−AESを用いて分析した。
その結果、例1と同様に、鉛直方向に上からB23相、Nd23−B23相、及びFe−C合金相の三相に分離したことが分かった。表5に各相の分析結果を示す。しかしながら、例1と比較して、Fe−C合金相のNd、Dy及びPr濃度が上昇した。
(単位:質量%)
表5より、B23相中の希土類元素の総質量に対する希土類富化相(Nd2O3-B2O3相)中の希土類元素の総質量の比は34.5であり、Fe相(Fe-C合金相)中の希土類元素の総質量に対する希土類富化相中の希土類元素の総質量の比は63.6であった。上記実験結果より、磁石中の希土類元素をNd23−B23相へ濃縮することが可能であることが分かる。但し、本実施例では加熱温度が高く、Fe相に希土類元素が多く分配されたため、Fe相(Fe-C合金相)中の希土類元素の総質量に対する希土類富化相中の希土類元素の総質量の比が、例1〜例3に比べて低かった。

Claims (12)

  1. 希土類元素含有物質をB23の共存下で加熱溶融し、B23相と、B23相よりも下方にB23相よりも希土類元素が富化された相とを形成する工程1を含む希土類元素含有物質からの希土類元素濃縮方法。
  2. 工程1は、1150〜1600℃で10〜360分保持した後、冷却することを含む請求項1に記載の方法。
  3. 希土類元素含有物質が鉄を含有し、工程1では前記希土類元素が富化された相の下方に又は当該相に包囲されるように、B23相及び前記希土類元素が富化された相の何れの相よりも鉄が富化された相を更に形成する請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程1を融点降下剤の共存下で行う請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 融点降下剤が炭素である請求項4に記載の方法。
  6. 炭素の供給源がFe−C合金である請求項5に記載の方法。
  7. 工程1を酸化剤の共存下で行う請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  8. 酸化剤が酸化鉄である請求項7に記載の方法。
  9. 23相中の希土類元素の総質量に対する前記希土類元素が富化された相中の希土類元素の総質量の比が10以上である請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
  10. 希土類元素にNd、Dy及びPrから選択される少なくとも一種が含まれる請求項1〜9の何れか一項に記載の方法。
  11. 希土類元素含有物質は希土類磁石を原料とする請求項1〜10の何れか一項に記載の方法。
  12. 希土類磁石がネオジム磁石である請求項11に記載の方法。
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