JP2019026871A - 希土類フッ化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高純度の希土類フッ化物を、安全性の高い操作方法で、回収率を低下させることなく得ることのできる、希土類フッ化物の製造方法を提供する。【解決手段】希土類としてR(RはNd、Pr、Dy、Tbから選ばれる一種以上)を含む希土類フッ化物の製造方法である。この製造方法においては、Rシュウ酸塩、R炭酸塩、R酸化物、R水酸化物から選ばれる一種以上であるR化合物と、フッ化アンモニウムおよび酸性フッ化アンモニウムの少なくとも一つを含むフッ素含有化合物とを、それらが固体の状態である第一の温度で混合する。そして、得られた混合物を、フッ素含有化合物の融点以上300℃未満の第二の温度で所定時間熱処理した後、第二の温度よりも高い第三の温度で所定時間熱処理することを特徴とする。【選択図】 図1
Description
本発明は、希土類系永久磁石などの添加元素R(RはNd(ネオジム)、Pr(プラセオジム)、Dy(ジスプロシウム)、Tb(テルビウム)から選ばれる一種以上)を含む処理対象物から、Rを分離回収する希土類系永久磁石のリサイクル工程に好適な、Rフッ化物を製造する方法に関する。なお、本明細書等では、元素Xを含む種々の化合物を、X化合物、Xフッ化物、X水酸化物のように表記することがある。Xは特定の元素である場合もあるし、選択可能な複数種類の元素のグループを指す場合もある。
R−T−B系永久磁石(TはFe(鉄)またはFeとCo(コバルト))は、高い磁気特性を有していることから、今日様々な分野で使用されている。このような背景のもと、R−T−B系永久磁石の生産工場では、大量の磁石が生産されている。磁石の生産量の増大に伴い、製造工程中に加工不良物などとして排出される磁石スクラップや、切削屑や研削屑などとして排出される磁石加工屑などの量も増加している。
とりわけ情報機器の軽量化や小型化によって、そこで使用される磁石も小型化していることから、加工取り代の比率が大きくなることで、製造歩留まりが年々低下する傾向にある。従って、製造工程中に排出される磁石スクラップや磁石加工屑などを廃棄せず、そこに含まれる金属元素、特に希土類元素をいかに回収して再利用するかが、今後の重要な技術課題となっている。また、R−T−B系永久磁石を使用した電化製品などから、循環資源として希土類元素をいかに回収して再利用するかについても同様である。
出願人は、これまでこの技術課題に対して精力的に取り組んできており、その研究成果として、R−T−B系永久磁石などの希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法として、処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移し、1150℃以上の温度で熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法を特許文献1において提案している。
特許文献1などの方法によって回収された希土類酸化物は、NdやPrなどの軽希土類元素とDyやTbなどの重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物である。これらは例えば溶媒抽出法(周知のように、混じり合わない二つの溶媒を用いてそれぞれの溶媒に対する溶解度の差を利用することで行う方法)などによって軽希土類元素と重希土類元素、またはそれぞれの元素に分離され、さらにこれらの塩、水酸化物、酸化物などとして回収される。回収された希土類塩などは、溶融塩電解法などの方法によって還元され、希土類金属として磁石の製造工程で再利用される。
溶融塩電解法は、希土類金属などの酸化還元電位の卑な金属の酸化物や塩を還元できる方法としてよく知られた方法である。しかしながら、電解に多量の溶融塩を必要とするなどコストの面で課題を有しており、溶融塩電解法に替わる方法が望まれている。
一方で、近年、Tbフッ化物やDyフッ化物などの希土類フッ化物を使用して希土類系永久磁石の磁気特性を向上させる方法が提案されている。例えば特許文献2には重希土類元素と、各種金属の合金をR−T−B系焼結磁石の表面に存在させた状態で熱処理することによって、重希土類元素を効率よく希土類系永久磁石に拡散させて、希土類系永久磁石の保磁力を高める方法が開示されている。
発明者らは、溶媒抽出法で得られた希土類金属の塩から直接希土類フッ化物を製造し、それを希土類系永久磁石の原料として利用することができれば、大幅なコストダウンが可能であると考えた。希土類磁石のリサイクル工程において希土類フッ化物を製造する方法としては、特許文献3、特許文献4の方法がある。
特許文献3には希土類系永久磁石などの希土類金属含有合金スクラッブから得られた希土類酸化物を酸に溶解し、濾過によって不溶性沈殿物を除去した濾液に対して、フッ化アンモニウムを反応させて希土類フッ化物の沈殿を得る方法が記載されている。しかしながら特許文献3の方法は、酸溶液に浸出した希土類イオンに対してフッ酸やフッ化アンモニウムを作用させる反応であるため、pHが低い状態(実施例によればpHが3以下)で反応してフッ化水素酸が生成する、取扱いの難しいプロセスである。
特許文献4には、希土類系永久磁石の製造工程で発生する不良粉や加工屑などの廃粉末(これらは希土類系磁石合金の酸化物や水酸化物である)を酸性フッ化アンモニウム、フッ化アンモニウム等を用いてフッ化する方法が記載されている。しかしながら特許文献4の方法においては、フッ素含有化合物と希土類磁石合金とを混合・加熱した後に、希土類フッ化物と合金とを分離するために、希土類フッ化物の融点以上に加熱する必要がある。希土類フッ化物の融点は例えば、NdF3が1378℃、PrF3が1401℃、TbF3が1182℃、DyF3が1160℃と高温であるため、莫大な電気エネルギーを必要とし高コストなプロセスとなる。さらに、高温加熱下においてフッ素ガスが発生すると考えられるため、作業上の配慮の必要がある。
また、一般的な希土類フッ化物の製造方法として、希土類酸化物とフッ化アンモニウムや酸性フッ化アンモニウムを混合して300℃〜400℃以上の高温で反応させることが考えられる。しかしながら発明者らの検討によれば、固体の希土類酸化物と固体のフッ素含有化合物を混合して、300〜500℃まで一気に加熱すると、フッ化アンモニウムや酸性フッ化アンモニウムが溶融状態となる120℃付近で突沸する結果、生成物が飛散し回収率が低下する問題があることがわかった。
特許文献5には、希土類酸化物と酸性フッ化アンモニウムを混合し、これを反応容器に充填し、加熱して希土類フッ化物を製造するに際し、反応容器内壁とガス抜き穴外壁との距離が100mm以下となるように混合物に発生ガスのガス抜き穴を垂直方向に1本または2本以上設けて反応させることが開示されている。しかし、特許文献5の技術では、混合物にガス抜き穴を形成する作業が必要であり、また、当然ではあるが、混合物の溶融後にはガス抜き穴は機能しなくなる。また、加熱プロセスや加熱による反応自体を制御するものではない。
本発明は、高純度の希土類フッ化物を、安全性の高い操作方法で、かつ、反応時の突沸等によって回収率を低下させることなく得ることのできる、希土類フッ化物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、希土類としてR(RはNd、Pr、Dy、Tbから選ばれる一種以上)を含む希土類フッ化物の製造方法である。この製造方法においては、Rシュウ酸塩、R炭酸塩、R酸化物、R水酸化物から選ばれる一種以上であるR化合物と、フッ化アンモニウムおよび酸性フッ化アンモニウムの少なくとも一つを含むフッ素含有化合物とを、それらが固体の状態である第一の温度で混合する。そして、得られた混合物を、フッ素含有化合物の融点以上300℃未満の第二の温度で所定時間熱処理した後、第二の温度よりも高い第三の温度で所定時間熱処理することを特徴とする。
本発明によれば、高純度の希土類フッ化物を、安全性の高い操作方法で、かつ、反応時の突沸等によって回収率を低下させることなく得ることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る希土類フッ化物の製造方法について説明する。
なお、本発明は、ここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、適宜組み合わせや改良が可能である。
なお、本発明は、ここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、適宜組み合わせや改良が可能である。
発明者らは、原料として用いるフッ素含有化合物として、溶媒抽出で得られる希土類化合物との混合操作時(多くの場合常温)においては固体で、比較的取り扱いが容易であり、また、実用的な温度領域において加熱によりガス化する物質として、フッ化アンモニウムおよび酸性フッ化アンモニウムを選択した。
固体の希土類化合物と固体のフッ素含有化合物とを、これらが固体の状態である第一の温度で混合し、フッ素含有化合物が溶融する温度以上300℃未満の第二の温度で一定時間保持して溶融する。その後、第二の温度より高い第三の温度で希土類フッ化物が生成する温度に加熱して、一定時間保持することで精製し、高純度の希土類フッ化物を、安全性の高い操作方法で、かつ、反応時の突沸等によって回収率を低下させることなく得ることができることを見出した。
第一の温度の例は0℃〜30℃である。また、第二の温度の例はフッ素含有化合物(例えば酸性フッ化アンモニウム)の融点付近である124.6℃〜130℃である。また、第三の温度の例は125℃〜1000℃である。第二の温度の保持時間や第三の温度の保持時間は、材料の種類や量にもよるが、例えば其々30〜180分程度、その温度を維持する。
また、R化合物は、R−T−B系磁石(TはFeまたはFeとCo)のリサイクル工程によって得られたR化合物であってもよい。R−T−B系磁石のリサイクル工程の例としては、R−T−B系磁石からR酸化物ないし複合酸化物を得る工程と、得られたR酸化物ないし複合酸化物を酸に溶解する工程と、得られた溶液に沈殿剤を加えて沈殿物として前記R化合物を得る工程、とを含む。
図1は、実施例共通の希土類フッ化物の製造方法の概要を示す流れ図である。
(S101:R化合物の準備)
本実施例で用いるR化合物(Rシュウ酸塩、R炭酸塩、R酸化物、R水酸化物から選ばれる一種以上)は、例えば、R−T−B系磁石の廃磁石、磁石スクラップ、磁石加工屑など、Rを含む処理対象物の従来のリサイクル工程における中間生成物として得ることができる。
本実施例で用いるR化合物(Rシュウ酸塩、R炭酸塩、R酸化物、R水酸化物から選ばれる一種以上)は、例えば、R−T−B系磁石の廃磁石、磁石スクラップ、磁石加工屑など、Rを含む処理対象物の従来のリサイクル工程における中間生成物として得ることができる。
Rを含む処理対象物のリサイクル工程におけるR化合物を得る方法は公知の方法であってよい。例えば、特許文献1記載の方法などによって、Rを含む処理対象物からRの複合酸化物ないし酸化物の混合物を得る工程、得られたRの複合酸化物ないし酸化物の混合物を酸に溶解し、得られた溶液を溶媒抽出法にかけてそれぞれのRを含む溶液に分離(軽希土類元素Nd、Prと重希土類元素Dy、Tb、さらにはNd、Pr、Dy、Tbそれぞれの元素に分離)する工程、分離した溶液に沈殿剤を加えてそれぞれのRの塩を得る工程、などがあげられる。
沈殿剤としてシュウ酸を用いればRシュウ酸塩が、炭酸Naを用いればR炭酸塩が、水酸化Naを用いればR水酸化物が、さらに、これらを酸化処理することによって、R酸化物を得ることができる。なお、本実施例で用いる希土類化合物を得る方法はこれらの方法に限られるものではなく、例えば、使用する希土類化合物の一部または全部として、市販の希土類化合物を使用することを妨げるものではない。
(S102:フッ素含有化合物の準備)
フッ素含有化合物としては、酸性フッ化アンモニウムおよびフッ化アンモニウムの少なくとも一つを用いる。酸性フッ化アンモニウム(NH4F・HF、融点124.6℃)は、仕込み操作時の第一の温度(例えば0℃〜30℃)においては固体で比較的安全性が高く取り扱いが容易である。また、第一の温度より高い第二の温度(例えば124.6℃)に加熱することにより溶融状態を形成し、かつ、第二の温度よりも高い第三の温度(例えば125℃〜1000℃)に加熱することにより、フッ素含有化合物に起因する不純物成分が最終的に揮発する。
フッ素含有化合物としては、酸性フッ化アンモニウムおよびフッ化アンモニウムの少なくとも一つを用いる。酸性フッ化アンモニウム(NH4F・HF、融点124.6℃)は、仕込み操作時の第一の温度(例えば0℃〜30℃)においては固体で比較的安全性が高く取り扱いが容易である。また、第一の温度より高い第二の温度(例えば124.6℃)に加熱することにより溶融状態を形成し、かつ、第二の温度よりも高い第三の温度(例えば125℃〜1000℃)に加熱することにより、フッ素含有化合物に起因する不純物成分が最終的に揮発する。
なお、酸性フッ化アンモニウムとフッ化アンモニウムは潮解性があり、室温で液状になる場合がある。仕込みの作業の容易性の観点からは潮解を避ける処理手順が望ましいが、多少潮解した場合でも、第一の温度付近では大きな問題はない。また、フッ化アンモニウム(NH4F)は、100℃の加熱により分解して酸性フッ化アンモニウム(NH4F・HF)を生成することから、本実施例で使用可能なフッ素含有化合物である。
酸性フッ化アンモニウムは、融点付近で溶融し、加熱により最終的にはアンモニア(NH3)ガス、フッ化水素(HF)ガスとして揮発する。これらのガスの揮発により、高純度のRフッ化物を得ることができる。
(S103:試料の混合)
次に、R化合物とフッ素含有化合物を、これらがともに固体の状態である第一の温度(例えば0℃〜30℃)で混合して反応容器に充填する。固体の状態で混合するので、混合時にはR化合物とフッ素含有化合物は反応せず、安全性の問題がない。固体のR化合物と固体のフッ素含有化合物の混合比は理論モル反応量以上であればよい。すなわち、生成するRフッ化物をRF3とすると、R1モルに対して、フッ素含有化合物3モル以上を添加すればよい。例えばR酸化物がR2O3の場合、R酸化物1モルに対してフッ素含有化合物6モル以上である。
次に、R化合物とフッ素含有化合物を、これらがともに固体の状態である第一の温度(例えば0℃〜30℃)で混合して反応容器に充填する。固体の状態で混合するので、混合時にはR化合物とフッ素含有化合物は反応せず、安全性の問題がない。固体のR化合物と固体のフッ素含有化合物の混合比は理論モル反応量以上であればよい。すなわち、生成するRフッ化物をRF3とすると、R1モルに対して、フッ素含有化合物3モル以上を添加すればよい。例えばR酸化物がR2O3の場合、R酸化物1モルに対してフッ素含有化合物6モル以上である。
フッ素含有化合物の添加量が理論モル反応量以下であると、Rフッ化物に導入されるフッ素が不足して、R化合物のフッ素化反応が完全に進行せず、Rフッ化物の純度が低下する。また、過剰に添加すると、薬品コストが増大するに加え、加熱過程でNH3ガス、HFガスが大量に発生するためその廃処理コストが増大したり、NH3ガスやHFガスが腐食性であるため設備の損傷が加速し、設備の修繕費用が増大したりする原因となる恐れがある。
(反応容器)
反応容器の材質は、フッ素含有化合物から発生するNH3ガスやHFガスによって腐食されにくい材質、また、万一製造するRフッ化物中に混入しても、その後の使用に極力支障がない材質を選択する。例えば、鉄、ニッケル、白金、マグネシア、アルミナ、カーボン、ハステロイ(商標)、モネル(商標)などがあげられる。
反応容器の材質は、フッ素含有化合物から発生するNH3ガスやHFガスによって腐食されにくい材質、また、万一製造するRフッ化物中に混入しても、その後の使用に極力支障がない材質を選択する。例えば、鉄、ニッケル、白金、マグネシア、アルミナ、カーボン、ハステロイ(商標)、モネル(商標)などがあげられる。
反応容器は、一方を底面として一方が開放された筒型の容器を用いることできる。また、蓋をできる反応容器でもよいが、発生するガスが適時反応容器外に排出されるような機構を備えていることが好ましい。発生するガスが反応容器外に排出されないと、反応が阻害され、得られるR化合物の純度が低くなる。また、発生したガスにより内圧が高くなり、反応容器が破損する恐れがある。
本実施例においては、フッ素含有化合物由来のNH3ガスやHFガスは、反応容器中での加熱時に発生し、また、後述のように、反応温度が1000℃以下、実用的には350℃以下の比較的低温であるため、反応容器にガス排出機構を設けておくことによって安全に回収可能である。ガス排出機構には除害設備を備えていることが好ましい。例えば、フッ素含有化合物にNH4F・HFを用いた場合は、HFを除害するために、Ca(OH)2(水酸化カルシウム)などを吸着材とした吸着管を備えるとよい。また、NH3ガスはアルカリスクラバなどで処理することができる。このようにガス排出機構については、用いるフッ素含有化合物から発生する処理すべきガスを除害できる吸着剤を適宜選定するとよい。
(試料反応の形態)
加熱反応は、静置した状態で反応させてもよいが、上記混合物を攪拌したり、容器を回転させながら反応させたりすることが望ましい。攪拌する場合、攪拌羽根で混合物を攪拌すればよいが、その材質は、反応容器と同様に、フッ素含有化合物由来の発生ガスにより腐食されにくく、また、万一製造するRフッ化物中に混入しても、その後の使用に極力支障がない材質から選択する。また、反応容器を回転させる場合、ロータリーキルンや流動床型加熱炉、攪拌振とう機などの設備を用いることができる。
加熱反応は、静置した状態で反応させてもよいが、上記混合物を攪拌したり、容器を回転させながら反応させたりすることが望ましい。攪拌する場合、攪拌羽根で混合物を攪拌すればよいが、その材質は、反応容器と同様に、フッ素含有化合物由来の発生ガスにより腐食されにくく、また、万一製造するRフッ化物中に混入しても、その後の使用に極力支障がない材質から選択する。また、反応容器を回転させる場合、ロータリーキルンや流動床型加熱炉、攪拌振とう機などの設備を用いることができる。
加熱雰囲気は、大気中でもよいが、R化合物の酸化を抑制するため、アルゴンまたは窒素などの不活性ガス雰囲気が好ましい。
(試料反応の温度および時間)
(S104〜S105:溶融過程:第一の温度から第二の温度)
加熱温度は、R化合物およびフッ素含有化合物が固体である温度(第一の温度)から加熱を開始し、フッ素含有化合物の融点付近の温度(第二の温度)で一定時間保持し、溶融状態においてR化合物とフッ素含有化合物を反応させて、R化合物にフッ素を導入する。
(S104〜S105:溶融過程:第一の温度から第二の温度)
加熱温度は、R化合物およびフッ素含有化合物が固体である温度(第一の温度)から加熱を開始し、フッ素含有化合物の融点付近の温度(第二の温度)で一定時間保持し、溶融状態においてR化合物とフッ素含有化合物を反応させて、R化合物にフッ素を導入する。
第二の温度の範囲は、フッ素含有化合物の融点以上300℃未満とする。この範囲の温度で、R化合物およびフッ素含有化合物は突沸を避けつつ十分に溶融される。例えば酸性フッ化アンモニウムでは、融点付近の温度である124.6℃〜130℃程度で突沸を避けつつ溶融する。第二の温度による処理時間は、例えば30〜180分程度である。
第二の温度で保持することにより、混合物の突沸を防止するので、突沸による回収率の低下を抑制することができるとともに、溶融状態を創成することでフッ化反応を促進する。この段階で(NH4F)3RF6が生成すると考えられる。なお、温度は理想的にはR化合物およびフッ素含有化合物自体の温度であるが、実用上は炉等の加熱手段の設定温度と考えてよい。以下の温度も同様である。
(S106〜S107:精製過程:第二の温度から第三の温度)
次に、第二の温度より高い第三の温度で一定時間保持することにより、NH3ガスやHFガスを発生させる。第三の温度による処理時間は、例えば30〜180分程度である。この段階で(NH4F)3RF6からRF3(Rフッ化物)を生成すると考えられる。すなわちRF3を精製する過程といえる。第二の溶融の温度および第三の精製の温度での保持時間は、加熱設備や処理量によって適宜調整されるが、例えば、約1gのR酸化物とフッ素含有化合物とを反応させるとき、2.6時間程度である。
次に、第二の温度より高い第三の温度で一定時間保持することにより、NH3ガスやHFガスを発生させる。第三の温度による処理時間は、例えば30〜180分程度である。この段階で(NH4F)3RF6からRF3(Rフッ化物)を生成すると考えられる。すなわちRF3を精製する過程といえる。第二の溶融の温度および第三の精製の温度での保持時間は、加熱設備や処理量によって適宜調整されるが、例えば、約1gのR酸化物とフッ素含有化合物とを反応させるとき、2.6時間程度である。
第三の温度は、(NH4F)3RF6の分解温度以上で、かつ、製造したRF3が酸化分解する温度よりも低い温度領域とする。第三の温度は、実験によって求める他、(NH4F)3RF6の分解温度については、文献AMMONIUM FLUOROLANTHANATES(J.inorg,nucl.Chem.,1974,Vol.36, pp.763−770.Pergamon Press. Printed in Great Britain.)のTable4に、(NH4F)3RF6に類似する(NH4)3Dy3Fll・H20等のRとNH4Fが結合した化合物の分解温度が開示されており、それを近似的に流用することもできる。具体的には、125℃〜1000℃であり、実用的には、炉の温度が高すぎない125℃〜350℃が好ましい。また、処理速度を考慮すれば300℃〜350℃が好ましい。
(S108:試料の回収)
製造したRフッ化物は、加熱終了後室温まで冷却後に取り出す。冷却時は、大気中で放置してもよい。また、窒素ガスまたはアルゴンガスなどの不活性ガスを流すことにより、冷却時間を短縮することができる。本実施例によれば純度95%以上、さらには98%以上の高い純度のRフッ化物を得ることができる。
製造したRフッ化物は、加熱終了後室温まで冷却後に取り出す。冷却時は、大気中で放置してもよい。また、窒素ガスまたはアルゴンガスなどの不活性ガスを流すことにより、冷却時間を短縮することができる。本実施例によれば純度95%以上、さらには98%以上の高い純度のRフッ化物を得ることができる。
水酸化ジスプロシウム(Dy(OH)3、9.78mg)と酸性フッ化アンモニウム(NH4F・HF、9.90mg)を室温でテフロン(登録商標)製の乳鉢で混合し、鉄材(S45C)の容器に充填し、窒素(流量100mL/min)雰囲気下、加熱炉で加熱した。
図2は、実施例1の加熱温度プログラムを示すグラフ図である。温度プログラムは、室温から125℃まで昇温し、125℃で60分間保持した後、350℃まで昇温し、350℃で60分間保持した。その後、室温まで放置し、冷却した後、容器から生成物を回収した。生成物の広角X線回折装置による化合物形態分析(定性分析)を行った。
図3は定性分析結果として、X線回折プロファイルを示す。図3のプロファイルは、フッ化ジスプロシウム(DyF3)が生成したことを示している。また、それ以外のピークがみられないことは、他の物質が存在しないか極めて微量であることを示しており、純度≧99%で希土類フッ化物(DyF3)を回収した。
水酸化ジスプロシウム(Dy(OH)3、9.29mg)とフッ化アンモニウム(NH4F、12.17mg)を室温でテフロン(登録商標)製の乳鉢で混合し、鉄(S45C)材の容器に充填し、窒素(流量100mL/min)雰囲気下、加熱炉で加熱した。
温度プログラムは、図2で説明したものと同様であり、室温から125℃まで昇温し、125℃で60分間保持した後、350℃まで昇温し350℃で60分間保持した。その後、室温まで放置し、冷却した後、容器から生成物を回収した。
図4は定性分析結果として、生成物の広角X線回折装置による化合物形態分析(定性分析)を行った結果の、X線回折プロファイルを示す。図4のプロファイルは、フッ化ジスプロシウム(DyF3)が生成したことを示している。また、それ以外のピークがみられないことは、他の物質が存在しない極めて微量であることを示しており、純度≧99%で希土類フッ化物(DyF3)を回収した。
炭酸ジスプロシウム(Dy2(CO3)3、13.17mg)とフッ化アンモニウム(NH4F、10.28mg)を室温でテフロン(登録商標)製の乳鉢で混合し、鉄(S45C)材容器に充填し、窒素(流量100mL/min)雰囲気下、加熱した。
温度プログラムは、図2で説明したものと同様であり、室温から125℃まで昇温し、125℃で60分間保持した後、350℃まで昇温し350℃で60分間保持した。その後、室温まで放置し、冷却した後、容器から生成物を回収した。
図5は生成物の広角X線回折装置による化合物形態分析(定性分析)を行った結果として、X線回折プロファイルを示す。図5のプロファイルは、フッ化ジスプロシウム(DyF3)が生成したことを示している。また、それ以外のピークがみられないことは、他の物質が存在しないか極めて微量であることを示しており、純度≧99%で希土類フッ化物(DyF3)を回収した。
以上の実施例で説明したように、本実施例ではR化合物とフッ素含有化合物とを、それらが固体の状態である第一の温度で混合し、混合物をフッ素含有化合物の融点以上300℃未満の第二の温度で熱処理した後、第二の温度よりも高い第三の温度で熱処理する。これにより、反応前の原料は固体で安定のため取り扱い容易であり、加熱反応中にフッ素源が溶融するため、不純物が揮発し純度が高い。また、加熱プロセスを制御することにより、溶融物の突沸やガスの揮散を避けることができるので、生成物の逸失を低減でき高回収率が期待できる。
Claims (10)
- 希土類としてR(RはNd、Pr、Dy、Tbから選ばれる一種以上)を含む希土類フッ化物の製造方法であって、
Rシュウ酸塩、R炭酸塩、R酸化物、R水酸化物から選ばれる一種以上であるR化合物と、フッ化アンモニウムおよび酸性フッ化アンモニウムの少なくとも一つを含むフッ素含有化合物とを、それらが固体の状態である第一の温度で混合し、
得られた混合物を、前記フッ素含有化合物の融点以上300℃未満の第二の温度で所定時間熱処理した後、
前記第二の温度よりも高い第三の温度で所定時間熱処理することを特徴とする希土類フッ化物の製造方法。 - 前記第一の温度は0℃〜30℃である、請求項1記載の希土類フッ化物の製造方法。
- 前記第二の温度は124.6℃〜130℃である、請求項1記載の希土類フッ化物の製造方法。
- 前記第三の温度は125℃〜1000℃である、請求項1記載の希土類フッ化物の製造方法。
- 前記第三の温度は125℃〜350℃である、請求項4記載の希土類フッ化物の製造方法。
- 前記第三の温度は300℃〜350℃である、請求項5記載の希土類フッ化物の製造方法。
- 前記R化合物は、R−T−B系磁石(TはFeまたはFeとCo)のリサイクル工程によって得られたR化合物である、請求項1に記載の希土類フッ化物の製造方法。
- 前記R−T−B系磁石のリサイクル工程は、
R−T−B系磁石からR酸化物ないし複合酸化物を得る工程と、得られたR酸化物ないし複合酸化物を酸に溶解する工程と、得られた溶液に沈殿剤を加えて沈殿物として前記R化合物を得る工程、とを含む、請求項7に記載の希土類フッ化物の製造方法。 - 前記第二の温度による熱処理時間が、30〜180分の範囲である、請求項1に記載の希土類フッ化物の製造方法。
- 前記第三の温度による熱処理時間が、30〜180分の範囲である、請求項1に記載の希土類フッ化物の製造方法。
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CN111115677A (zh) * | 2020-01-13 | 2020-05-08 | 赣州有色冶金研究所 | 一种氟化稀土的制备方法 |
WO2020171040A1 (ja) | 2019-02-18 | 2020-08-27 | 日本電気株式会社 | 声認証装置、声認証方法、及び、記録媒体 |
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