JP2016069675A - 希土類元素の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率的に希土類元素を回収することとともに、処理容器をその消耗や損傷を抑制して長期に亘って繰り返し用いる方法の提供。【解決手段】少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行い、酸化処理を行った処理対象物と粒状ないし粉末状の炭素物質の混合物を処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中又は真空中において1350℃未満の温度で熱処理することによって焼結体を得る第1熱処理工程と、第1熱処理工程で得られる焼結体を、処理容器に、少なくとも焼結体と容器底面との間にカーボンブラックが介在するように収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃以上の温度で熱処理する第2熱処理工程からなる2段階の工程により、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を実行し、希土類元素を酸化物Bとして鉄族元素Aから分離して回収する方法。【選択図】図3

Description

本発明は、例えばR−Fe−B系永久磁石(Rは希土類元素)などの、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法に関する。
R−Fe−B系永久磁石は、高い磁気特性を有していることから、今日様々な分野で使用されていることは周知の通りである。このような背景のもと、R−Fe−B系永久磁石の生産工場では、日々、大量の磁石が生産されているが、磁石の生産量の増大に伴い、製造工程中に加工不良物などとして排出される磁石スクラップや、切削屑や研削屑などとして排出される磁石加工屑などの量も増加している。とりわけ情報機器の軽量化や小型化によってそこで使用される磁石も小型化していることから、加工代比率が大きくなることで、製造歩留まりが年々低下する傾向にある。従って、製造工程中に排出される磁石スクラップや磁石加工屑などを廃棄せず、そこに含まれる金属元素、特に希土類元素をいかに回収して再利用するかが今後の重要な技術課題となっている。また、R−Fe−B系永久磁石を使用した電化製品などから循環資源として希土類元素をいかに回収して再利用するかについても同様である。
少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法については、これまでにもいくつかの方法が提案されており、例えば特許文献1では、処理対象物を酸化性雰囲気中で加熱して含有金属元素を酸化物とした後、水と混合してスラリーとし、加熱しながら塩酸を加えて希土類元素を溶液に溶解させ、得られた溶液に加熱しながらアルカリ(水酸化ナトリウムやアンモニアや水酸化カリウムなど)を加えることで、希土類元素とともに溶液に浸出した鉄族元素を沈殿させた後、溶液を未溶解物と沈殿物から分離し、溶液に沈殿剤として例えばシュウ酸を加えて希土類元素をシュウ酸塩として回収する方法が提案されている。この方法は、希土類元素を鉄族元素と効果的に分離して回収することができる方法として注目に値する。しかしながら、工程の一部に酸やアルカリを用いることから、工程管理が容易ではなく、また、回収コストが高くつくといった問題がある。従って、特許文献1に記載の方法は、低コストと簡易さが要求されるリサイクルシステムとして実用化するには困難な側面を有するといわざるを得ない。
また、特許文献2では、処理対象物に含まれる鉄族元素を酸化することなく希土類元素のみを酸化することによって両者を分離する方法として、処理対象物を炭素るつぼの中で加熱する方法が提案されている。この方法は、特許文献1に記載の方法のように酸やアルカリを必要とせず、また、炭素るつぼの中で処理対象物を加熱することで理論的にるつぼ内の雰囲気が鉄族元素が酸化されることなく希土類元素のみが酸化される酸素分圧に自律的に制御されることから、特許文献1に記載の方法に比較して工程が簡易であるという点において優れていると考えられる。しかしながら、単に処理対象物を炭素るつぼの中で加熱すればるつぼ内の雰囲気が所定の酸素分圧に自律的に制御されて希土類元素と鉄族元素を分離できるのかといえば、現実的には必ずしもそうではない。特許文献2では、るつぼ内の雰囲気の望ましい酸素含有濃度は1ppm〜1%であるとされているが、本質的には雰囲気を制御するための外的操作は必要とされないとある。しかしながら、本発明者の検討によれば、少なくとも酸素含有濃度が1ppm未満の場合には希土類元素と鉄族元素は分離できない。従って、炭素るつぼの中で処理対象物を加熱すれば、理論的にはるつぼ内の雰囲気が鉄族元素が酸化されることなく希土類元素のみが酸化される酸素分圧に自律的に制御されるとしても、現実的にはるつぼ内を酸素含有濃度が1ppm以上の雰囲気に人為的に制御する必要がある。こうした制御は、特許文献2にも記載されているように酸素含有濃度が1ppm以上の不活性ガスをるつぼ内に導入することで行うことができるが、工業用不活性ガスとして汎用されているアルゴンガスの場合、その酸素含有濃度は通常0.5ppm以下である。従って、酸素含有濃度が1ppm以上のアルゴンガスをるつぼ内に導入するためには、汎用されているアルゴンガスをそのまま用いることはできず、その酸素含有濃度をわざわざ高めた上で用いる必要がある。結果として、特許文献2に記載の方法は、一見工程が簡易に思えるものの実はそうではなく、特許文献1に記載の方法と同様、低コストと簡易さが要求されるリサイクルシステムとして実用化するには困難な側面を有するといわざるを得ない。
そこで本発明者は、低コストで簡易なリサイクルシステムとして実用化が可能な、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法として、処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法を特許文献3において提案している。
特開2009−249674号公報 国際公開第2010/098381号 国際公開第2013/018710号
特許文献3において本発明者が提案した方法によれば、処理容器として炭素るつぼを用いて熱処理することで、炭素るつぼが酸化処理を行った処理対象物に対してその表面からの炭素供給源としての役割(処理対象物に含まれる鉄族元素が酸化処理によって酸化物に変換された場合にその還元を確実なものとして鉄族元素の炭素との合金化を進行させる役割)も果たし、効率的に希土類元素を回収することができる。しかしながら、炭素るつぼに酸化処理を行った処理対象物に対する炭素供給源としての役割を担わせると、炭素るつぼは消費されて次第に消耗する。また、非炭素製の処理容器、例えばアルミナや酸化マグネシウムや酸化カルシウムなどの金属酸化物や酸化ケイ素でできたセラミックスるつぼに酸化処理を行った処理対象物と炭素供給源を収容して熱処理すると、酸化処理を行った処理対象物に含まれる鉄族元素が処理容器成分と固溶して熱処理物が容器内面にこびりつき、これを除去しようとすると処理容器に損傷を与えてしまうといったことが起こることが本発明者のその後の検討によって明らかになった。
そこで本発明は、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法において、効率的に希土類元素を回収することができるとともに、処理容器をその消耗や損傷を抑制して長期に亘って繰り返し用いることができる方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記の点に鑑みて鋭意検討を行った結果、酸化処理を行った処理対象物と粒状ないし粉末状の炭素物質の混合物を処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃未満の温度で熱処理することによって焼結体を得る第1熱処理工程と、第1熱処理工程で得られる焼結体を、処理容器に、少なくとも焼結体と容器底面との間にカーボンブラックが介在するように収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃以上の温度で熱処理する第2熱処理工程からなる2段階の工程により、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を実行することで、第2熱処理工程終了後に、希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物を、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物の一方として得ることができるとともに、第1熱処理工程で用いる処理容器と第2熱処理工程で用いる処理容器のいずれもを、その消耗や損傷を抑制して長期に亘って繰り返し用いることができることを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明の少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法は、請求項1記載の通り、酸化処理を行った処理対象物と粒状ないし粉末状の炭素物質の混合物を処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃未満の温度で熱処理することによって焼結体を得る第1熱処理工程と、第1熱処理工程で得られる焼結体を、処理容器に、少なくとも焼結体と容器底面との間にカーボンブラックが介在するように収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃以上の温度で熱処理する第2熱処理工程からなる2段階の工程により、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を実行することを特徴とする。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、第1熱処理工程の熱処理を950℃以上の温度で行うことを特徴とする。
また、請求項3記載の方法は、請求項1記載の方法において、第1熱処理工程において用いる粒状ないし粉末状の炭素物質の嵩密度が0.5g/cm以上であることを特徴とする。
また、請求項4記載の方法は、請求項1記載の方法において、第1熱処理工程で得られる焼結体の圧潰強度が10kgf以上であることを特徴とする。
また、請求項5記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物の少なくとも一部が5mm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることを特徴とする。
また、請求項6記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物の鉄族元素含量が30mass%以上であることを特徴とする。
また、請求項7記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする。
本発明の方法によれば、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から効率的に希土類元素を回収することができるとともに、処理容器をその消耗や損傷を抑制して長期に亘って繰り返し用いることができる。
実施例1における、第1熱処理工程終了後の炭素るつぼ内の様子である。 同、第1熱処理工程で得られた焼結体の粉砕物の断面SEM像である。 同、第2熱処理工程で得られた互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物の外観である。 比較例2における、第2熱処理工程で得られた単一の塊状物の外観である。 比較例3における、第2熱処理工程で得られた表面に石油コークスが付着した単一の塊状物の外観である。
本発明の少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法は、酸化処理を行った処理対象物と粒状ないし粉末状の炭素物質の混合物を処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃未満の温度で熱処理することによって焼結体を得る第1熱処理工程と、第1熱処理工程で得られる焼結体を、処理容器に、少なくとも焼結体と容器底面との間にカーボンブラックが介在するように収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃以上の温度で熱処理する第2熱処理工程からなる2段階の工程により、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を実行することを特徴とするものである。
本発明の方法の適用対象となる少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物は、Nd,Pr,Dy,Tb,Smなどの希土類元素とFe,Co,Niなどの鉄族元素を含むものであれば特段の制限はなく、希土類元素と鉄族元素に加えてその他の元素として例えばホウ素などを含んでいてもよい。具体的には、例えばR−Fe−B系永久磁石などが挙げられるが、とりわけ本発明の方法は鉄族元素含量が30mass%以上である処理対象物に好適に適用することができる(例えばR−Fe−B系永久磁石の場合、その鉄族元素含量は、通常、60mass%〜82mass%である)。処理対象物の大きさや形状は特段制限されるものではなく、処理対象物がR−Fe−B系永久磁石の場合には製造工程中に排出される磁石スクラップや磁石加工屑などであってよい。処理対象物に対して十分な酸化処理を行うためには、処理対象物は5mm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることが望ましい(例えば調製の容易性に鑑みれば粒径の下限は1μmが望ましい)。しかしながら、処理対象物の全てがこのような粒状ないし粉末状である必要は必ずしもなく、粒状ないし粉末状であるのは処理対象物の一部であってよい。
まず、本発明の方法における処理対象物に対する酸化処理は、処理対象物に含まれる希土類元素を酸化物に変換することを目的とするものである。特許文献2に記載の方法と異なり、処理対象物に対する酸化処理によって処理対象物に含まれる鉄族元素が希土類元素とともに酸化物に変換されてもよい。処理対象物に対する酸化処理は、酸素含有雰囲気中で処理対象物を熱処理したり燃焼処理したりすることによって行うことが簡便である。酸素含有雰囲気は大気雰囲気であってよい。処理対象物を熱処理する場合、例えば350℃〜1000℃で1時間〜12時間行えばよい。処理対象物を燃焼処理する場合、例えば自然発火や人為的点火により行えばよい。また、処理対象物に対する酸化処理は、アルカリ水溶液中で処理対象物の酸化を進行させるアルカリ処理によって行うこともできる。アルカリ処理に用いることができるアルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどが挙げられる。また、アルカリ水溶液の濃度としては0.1mol/L〜10mol/Lが挙げられる。処理温度としては60℃〜150℃が挙げられるが、より効果的な酸化処理を行うためには100℃以上が望ましく、より安全性を高めるためには130℃以下が望ましい。処理時間としては30分間〜10時間が挙げられる。処理対象物に対する酸化処理は、単一の方法で行ってもよいし、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。処理対象物に対してこうした酸化処理を行うと、処理対象物に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の1.5倍以上となり、希土類元素の酸化物への変換をより確実なものにすることができる。酸化処理によって処理対象物に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の2.0倍以上になることが望ましい。また、処理対象物に対する酸化処理は、炭素の非存在下で行うことが望ましい。炭素の存在下で処理対象物に対する酸化処理を行うと、処理対象物に含まれる希土類元素が炭素と望まざる化学反応を起こして所望する酸化物への変換が阻害される恐れがあるからである(従ってここでは「炭素の非存在下」は処理対象物に含まれる希土類元素の酸化物への変換が阻害されるに足る化学反応の起因となる炭素が存在しないことを意味する)。
次に、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を行う。本発明の方法においては、この熱処理を、以下の第1熱処理工程と第2熱処理工程からなる2段階の工程により実行することで、第2熱処理工程終了後に、希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物を、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物の一方として得ることができるとともに、第1熱処理工程で用いる処理容器と第2熱処理工程で用いる処理容器のいずれもを、その消耗や損傷を抑制して長期に亘って繰り返し用いることができる。
(第1熱処理工程)酸化処理を行った処理対象物と粒状ないし粉末状の炭素物質の混合物を処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃未満の温度で熱処理することによって焼結体を得る工程
(第2熱処理工程)第1熱処理工程で得られる焼結体を、処理容器に、少なくとも焼結体と容器底面との間にカーボンブラックが介在するように収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃以上の温度で熱処理する工程
第1熱処理工程は、酸化処理を行った処理対象物と粒状ないし粉末状の炭素物質の混合物を処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃未満の温度で熱処理することによって焼結体を得る工程である。酸化処理を行った処理対象物に対して炭素供給源としての役割を果たす粒状ないし粉末状の炭素物質としては、例えば、5mm以下の粒径を有する、石油コークス(例えば常圧蒸留残油や減圧蒸留残油などの重質油をコーキングという熱分解処理を行うことで得られる炭素を主成分とする物質)、グラファイト(黒鉛や石墨)、カーボンブラックなどが挙げられる(粒径の下限は例えば1μmである)。酸化処理を行った処理対象物に対する粒状ないし粉末状の炭素物質の混合量は、先に行った酸化処理による処理対象物に含まれる鉄族元素の酸化の程度にも依存するが、処理対象物に含まれる鉄族元素に対してモル比で0.1〜1.6が望ましく、0.5〜1.0がより望ましい。酸化処理を行った処理対象物に対する粒状ないし粉末状の炭素物質の混合量が少ないと、第1熱処理工程終了後に、ハンドリング性に優れた強度を有する焼結体(例えば圧潰強度が10kgf以上のもの)を得やすくなる反面、処理対象物に含まれる鉄族元素が酸化処理によって酸化物に変換された場合にその還元を確実なものとして炭素との合金化を進行させることが困難になることで、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄族元素の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物が得にくくなる。逆に、酸化処理を行った処理対象物に対する粒状ないし粉末状の炭素物質の混合量が多いと、処理対象物に含まれる鉄族元素が酸化処理によって酸化物に変換された場合にその還元を確実なものとして炭素との合金化を進行させることが容易になることで、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄族元素の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を得やすくなる反面、第1熱処理工程終了後に、ハンドリング性に優れた強度を有する焼結体が得にくくなる(酸化処理を行った処理対象物と粒状ないし粉末状の炭素物質の混合物が焼結しにくくなる)。酸化処理を行った処理対象物と粒状ないし粉末状の炭素物質の混合方法は、特段限定されるものではなく、単に混合するだけであってよい。なお、粒状ないし粉末状の炭素物質は0.5g/cm以上の嵩密度を有することが、第1熱処理工程終了後に、ハンドリング性に優れた強度を有する焼結体を得やすい点において望ましい(嵩密度の上限は例えば3.5g/cmである)。
処理容器の材質は特段限定されるものではなく、特許文献2に記載の方法において用いられている炭素るつぼの他、非炭素製の処理容器、例えばアルミナや酸化マグネシウムや酸化カルシウムなどの金属酸化物や酸化ケイ素でできたセラミックスるつぼ(単一の素材からなるものであってもよいし複数の素材からなるものであってもよい)などを用いることもできる。処理容器として、炭素るつぼに比較して安価なアルミナるつぼなどのセラミックスるつぼを、その消耗や損傷を抑制して長期に亘って繰り返し用いることができることは、本発明の方法を低コストと簡易さが要求されるリサイクルシステムとして実用化する上において有利である。
第1熱処理工程の熱処理温度を1350℃未満に規定するのは、1350℃以上で熱処理すると、酸化処理を行った処理対象物が溶融してしまって容器内面に固着してしまうことにより、第1熱処理工程終了後に、ハンドリング性に優れた強度を有する焼結体が得られなくなることで、第2熱処理工程に進めなくなるからである。第1熱処理工程の熱処理温度は1300℃以下が望ましく、1250℃以下がより望ましい。なお、第1熱処理工程の熱処理温度の下限は950℃が望ましく、1050℃がより望ましい。950℃未満で熱処理すると、酸化処理を行った処理対象物と粒状ないし粉末状の炭素物質の混合物が焼結しにくくなることで、第1熱処理工程終了後に、ハンドリング性に優れた強度を有する焼結体が得にくくなったり、処理対象物に含まれる鉄族元素が酸化処理によって酸化物に変換された場合にその還元を確実なものとして炭素との合金化を進行させることが困難になることで、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄族元素の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を得にくくなったりする。熱処理を不活性ガス雰囲気中または真空中で行うのは、大気雰囲気などの酸素含有雰囲気中で熱処理すると、雰囲気中の酸素が粒状ないし粉末状の炭素物質と反応することで二酸化炭素を生成し、粒状ないし粉末状の炭素物質が、酸化処理を行った処理対象物に対する炭素供給源としての役割を効率的に果さない恐れがあるからである。不活性ガス雰囲気はアルゴンガスやヘリウムガスや窒素ガスなどを用いて形成することができる。その酸素含有濃度は1ppm未満が望ましい。また、真空の程度は1000Pa未満が望ましい。なお、熱処理時間は例えば1分間〜24時間が適当である。
第2熱処理工程は、第1熱処理工程で得られる焼結体を、処理容器に、少なくとも焼結体と容器底面との間にカーボンブラックが介在するように収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃以上の温度で熱処理する工程である。第1熱処理工程で得られる焼結体に対して第2熱処理工程を行うことで、焼結体が溶融し、その結果、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄族元素の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を、容器内面に塊状物が固着することなく得ることができる。第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄族元素の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物が得られる理由は、本発明者の検討によれば次の通りである。即ち、第1熱処理工程終了後に得られる焼結体は、その内部において希土類元素の酸化物と鉄族元素の炭素との合金が既に微視的に分離したものであり、こうした焼結体を第2熱処理工程に付することで、焼結体が溶融し、焼結体の段階では微視的であった希土類元素の酸化物と鉄族元素の炭素との合金の分離が、巨視的な分離に移行することによると考えられる。また、焼結体の段階で希土類元素の酸化物と鉄族元素の炭素との合金の微視的な分離が相応に進行していない場合であっても、第2熱処理工程に用いるカーボンブラックが焼結体に対する炭素供給源となり、第2熱処理工程が希土類元素の酸化物と鉄族元素の炭素との合金の分離を進行させることによると考えられる。焼結体は、容器底面との間に加えて容器側面との間にカーボンブラックが介在するように収容してもよく、また、容器に充填したカーボンブラックに埋没するように収容してもよい。第2熱処理工程において用いるカーボンブラックは、平均粒径が1nm〜500nmの炭素の微粒子が融着して連鎖状ないしは不規則かつ複雑な鎖状に枝分かれした大きさが1μm〜1mmほどの凝集形態を有した粒子からなる粉末や、発塵防止やハンドリング性の向上などを目的として大きさが100μm〜3mmほどのビード形状に造粒された粒子などであることが望ましい。こうしたカーボンブラックは空気を多く含むことから、カーボンブラックと焼結体や塊状物の反応が回避されるとともに、これらが容器内面に固着することを効果的に防止することができる。処理容器の材質は特段限定されるものではないことは、第1熱処理工程において用いる処理容器と同様である。第2熱処理工程の熱処理温度を1350℃以上に規定するのは、1350℃未満で熱処理すると、焼結体が溶融しないことで、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄族元素の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物が得られなくなるからである。第2熱処理工程の熱処理温度は1400℃以上が望ましく、1450℃以上がより望ましい。なお、第2熱処理工程の熱処理温度の上限は例えばエネルギーコストの点に鑑みれば1700℃が望ましく、1650℃がより望ましい。熱処理を不活性ガス雰囲気中または真空中で行うのは、大気雰囲気などの酸素含有雰囲気中で熱処理すると、雰囲気中の酸素が焼結体や塊状物に含まれる鉄族元素と反応することで、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄族元素の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物が得られない恐れがあるからである。不活性ガス雰囲気はアルゴンガスやヘリウムガスや窒素ガスなどを用いて形成することができる。その酸素含有濃度は1ppm未満が望ましい。また、真空の程度は1000Pa未満が望ましい。なお、熱処理時間は例えば1分間〜24時間が適当である。
第2熱処理工程終了後に得られる、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄族元素の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物は、力を加えることでそれぞれの塊状物に分離することができる。こうして互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物の一方として得られる希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物の希土類元素含量は、第1熱処理工程の熱処理条件や第2熱処理工程の熱処理条件などにも依存するが、50mass%以上が望ましく60mass%以上がより望ましく70mass%以上がさらに望ましい。また、その鉄族元素含量は10mass%以下が望ましく5mass%以下がより望ましく3mass%以下がさらに望ましい。回収された希土類元素の酸化物は、例えば溶融塩電解法などによって還元することで希土類金属に変換することができる。
本発明の方法の適用対象となる少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物が例えばR−Fe−B系永久磁石などのようにその他の元素としてホウ素を含む場合、本発明の方法によって鉄族元素の炭素との合金から分離することで回収された希土類元素の酸化物にはホウ素が多少なりとも含まれる。ホウ素を含む希土類元素の酸化物をフッ素を含む溶融塩成分を用いた溶融塩電解法によって還元すると、希土類元素の酸化物に含まれるホウ素がフッ素と反応することで有毒なフッ化ホウ素が発生する恐れがある。従って、こうした場合には予め希土類元素の酸化物のホウ素含量を低減しておくことが望ましい。ホウ素を含む希土類元素の酸化物のホウ素含量の低減は、例えばホウ素を含む希土類元素の酸化物をアルカリ金属の炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)や酸化物とともに例えば炭素の存在下で熱処理することで行うことができる。炭素の存在下での熱処理は、例えば、前出の各種の炭素物質を炭素供給源として用いて1300℃〜1600℃で行えばよい。熱処理時間は例えば30分間〜5時間が適当である。アルカリ金属の炭酸塩や酸化物は、例えばホウ素を含む希土類元素の酸化物1重量部に対して0.1重量部〜2重量部用いればよい。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
実施例1:
まず、R−Fe−B系永久磁石の製造工程中に発生した約10μmの粒径を有する磁石加工屑(自然発火防止のため水中で7日間保管したもの)に対し、吸引ろ過することで脱水してからロータリーキルンを用いて燃焼処理することで酸化処理を行った。こうして酸化処理を行った磁石加工屑のSEM・EDX分析(使用装置:日立ハイテクノロジーズ社製S4500。以下同じ)の結果を表1に示す。酸化処理を行った磁石加工屑に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の5.5倍であった。
次に、第1熱処理工程として、寸法が外径35mm×高さ15mm×肉厚5mmの炭素るつぼ(黒鉛製)に、酸化処理を行った磁石加工屑5gと石油コークス(ダイネン社製Rコークス、粒径:<5mm、嵩密度:1.00g/cm。以下同じ)0.4g(磁石加工屑に含まれる鉄に対するモル比率:0.75)をよく混合してから収容し、工業用アルゴンガス雰囲気(酸素含有濃度:0.2ppm、流量:5L/分。以下同じ)中で1050℃で12時間熱処理した。その後、炭素るつぼを室温まで炉冷した。その結果、炭素るつぼ内には、円形ボタン状の焼結体のみが、るつぼ内面に固着せずに存在した。図1に炭素るつぼ内の様子を示す。この焼結体の収縮率(((炭素るつぼの内径−焼結体の直径)/炭素るつぼの内径)×100の計算式で算出。以下同じ)は約13%であって、圧潰強度は44.5kgfであり(AIKOH ENGINEERING社製の引張試験機1305−Dを用いた測定による。以下同じ)、わずかな力では壊れないハンドリング性に優れた強度を有するものであった。この焼結体の粉砕物の断面のSEM・EDX分析の結果を図2(断面SEM像)と表2に示す。図2と表2から明らかなように、この焼結体は相Aと相Bからなる2相構造を有し、相Aは鉄と炭素を主成分とし、相Bは希土類元素と酸素を主成分とすることがわかった。なお、相Bが希土類元素の酸化物であることは、別途の標準サンプルを用いたX線回折分析(使用装置:リガク社製RINT2400。以下同じ)によって確認した。また、炭素るつぼに、酸化処理を行った磁石加工屑との反応に起因する変化や消耗は認められなかった(炭素るつぼの重量減少は認められるがその程度は0.1%未満であり、るつぼのみを熱処理した場合の重量減少とほぼ同じ)。
次に、第2熱処理工程として、寸法が外径70mm×高さ60mm×肉厚10mmの炭素るつぼ(黒鉛製)に、カーボンブラック(東海カーボン社製のファーネスブラック、大きさが150μm〜2mmほどのビード形状に造粒された粒子、嵩密度:0.35g/cm。以下同じ)を充填し、その中に第1熱処理工程で得られた焼結体を埋没するように収容し、工業用アルゴンガス雰囲気中で1450℃で1時間熱処理した。その後、炭素るつぼを室温まで炉冷した。その結果、炭素るつぼ内には、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物とカーボンブラックが残留物として存在した。炭素るつぼから取り出した2種類の塊状物の外観を図3に示す。また、この2種類の塊状物に対して行ったSEM・EDX分析の結果を表3に示す。表3から明らかなように、塊状物の一方(塊状物A)の主成分は鉄の炭素との合金である一方、他方(塊状物B)の主成分は希土類元素の酸化物であり、希土類元素を酸化物として鉄から分離することができたことがわかった(塊状物Bの主成分が希土類元素の酸化物であることは別途の標準サンプルを用いたX線回折分析によって確認した)。また、炭素るつぼに、焼結体との反応に起因する変化や消耗は認められなかった(炭素るつぼの重量減少は認められるがその程度は0.3%未満であり、るつぼのみを熱処理した場合の重量減少とほぼ同じ)。
実施例2:
第1熱処理工程の熱処理温度を950℃とすること以外は実施例1と同様にして、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を得た。なお、第1熱処理工程で得られた焼結体の収縮率は約8%であって、圧潰強度は7.6kgfであり、実施例1の第1熱処理工程で得られた焼結体よりも強度の点において若干劣るものであったが、ハンドリング性に特段の問題はなかった。また、第1熱処理工程において用いた炭素るつぼに、酸化処理を行った磁石加工屑との反応に起因する変化や消耗は認められず、第2熱処理工程において用いた炭素るつぼに、焼結体との反応に起因する変化や消耗は認められなかった(いずれの炭素るつぼについても重量減少は認められるが、るつぼのみを熱処理した場合の重量減少とほぼ同じ)。
実施例3:
第1熱処理工程の熱処理温度を1150℃とすること以外は実施例1と同様にして、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を得た。なお、第1熱処理工程で得られた焼結体の収縮率は15%であって、圧潰強度は100kgf以上(測定不能)であった。また、第1熱処理工程において用いた炭素るつぼに、酸化処理を行った磁石加工屑との反応に起因する変化や消耗は認められず、第2熱処理工程において用いた炭素るつぼに、焼結体との反応に起因する変化や消耗は認められなかった(いずれの炭素るつぼについても重量減少は認められるが、るつぼのみを熱処理した場合の重量減少とほぼ同じ)。
実施例4:
第1熱処理工程の熱処理温度を1250℃とすること以外は実施例1と同様にして、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を得た。なお、第1熱処理工程において用いた炭素るつぼに、酸化処理を行った磁石加工屑との反応に起因する変化や消耗は認められず、第2熱処理工程において用いた炭素るつぼに、焼結体との反応に起因する変化や消耗は認められなかった(いずれの炭素るつぼについても重量減少は認められるが、るつぼのみを熱処理した場合の重量減少とほぼ同じ)。
実施例5:
酸化処理を行った磁石加工屑5gと石油コークスの粉砕物(粒径:125μm以下、嵩密度:0.72g/cm)0.4gをよく混合してから炭素るつぼに収容して第1熱処理工程を行うこと以外は実施例1と同様にして、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を得た。なお、第1熱処理工程で得られた焼結体の収縮率は約16%であって、圧潰強度は19.4kgfであった。また、第1熱処理工程において用いた炭素るつぼに、酸化処理を行った磁石加工屑との反応に起因する変化や消耗は認められず、第2熱処理工程において用いた炭素るつぼに、焼結体との反応に起因する変化や消耗は認められなかった(いずれの炭素るつぼについても重量減少は認められるが、るつぼのみを熱処理した場合の重量減少とほぼ同じ)。
実施例6:
酸化処理を行った磁石加工屑5gと黒鉛(炭素るつぼ(黒鉛製)をノコギリで切断することで発生した切り屑から調製、粒径:125μm以下、嵩密度:0.35g/cm)0.4gをよく混合してから炭素るつぼに収容して第1熱処理工程を行うこと以外は実施例1と同様にして、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を得た。なお、第1熱処理工程で得られた焼結体の収縮率は約10%であって、圧潰強度は3.5kgfであり、実施例1の第1熱処理工程で得られた焼結体よりも強度の点において劣るものであったが、ハンドリング性に深刻な問題はなかった。また、第1熱処理工程において用いた炭素るつぼに、酸化処理を行った磁石加工屑との反応に起因する変化や消耗は認められず、第2熱処理工程において用いた炭素るつぼに、焼結体との反応に起因する変化や消耗は認められなかった(いずれの炭素るつぼについても重量減少は認められるが、るつぼのみを熱処理した場合の重量減少とほぼ同じ)。
実施例7:
酸化処理を行った磁石加工屑5gとカーボンブラック0.4gをよく混合してから炭素るつぼに収容して第1熱処理工程を行うこと以外は実施例1と同様にして、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を得た。なお、第1熱処理工程で得られた焼結体の収縮率は約4%であって、圧潰強度は7.7kgfであり、実施例1の第1熱処理工程で得られた焼結体よりも強度の点において若干劣るものであったが、ハンドリング性に特段の問題はなかった。また、第1熱処理工程において用いた炭素るつぼに、酸化処理を行った磁石加工屑との反応に起因する変化や消耗は認められず、第2熱処理工程において用いた炭素るつぼに、焼結体との反応に起因する変化や消耗は認められなかった(いずれの炭素るつぼについても重量減少は認められるが、るつぼのみを熱処理した場合の重量減少とほぼ同じ)。
実施例8:
第2熱処理工程の熱処理温度を1350℃とすること以外は実施例1と同様にして、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を得た。なお、第1熱処理工程において用いた炭素るつぼに、酸化処理を行った磁石加工屑との反応に起因する変化や消耗は認められず、第2熱処理工程において用いた炭素るつぼに、焼結体との反応に起因する変化や消耗は認められなかった(いずれの炭素るつぼについても重量減少は認められるが、るつぼのみを熱処理した場合の重量減少とほぼ同じ)。
比較例1:
第1熱処理工程の熱処理温度を1450℃とすること以外は実施例1と同様にして、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を得ようとしたが、第1熱処理工程において酸化処理を行った処理対象物が溶融してしまって容器内面に固着してしまい、焼結体を得ることができず、第2熱処理工程に進めなかった。
比較例2:
酸化処理を行った磁石加工屑5gに石油コークスを混合せずに第1熱処理工程を行うこと以外は実施例1と同様にして、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を得ようとしたが、第1熱処理工程において焼結体を得ることができたものの、第2熱処理工程終了後の炭素るつぼ内には、単一の塊状物とカーボンブラックが残留物として存在し、目的とする互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物は得ることができなかった。炭素るつぼから取り出した単一の塊状物の外観を図4に示す。
比較例3:
カーボンブラックのかわりに石油コークスを用いて第2熱処理工程を行うこと以外は実施例1と同様にして、第2熱処理工程終了後に、一方が希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物であり、他方が鉄の炭素との合金を主成分とする塊状物である、互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物を得ようとしたが、第2熱処理工程終了後の炭素るつぼ内には、表面に石油コークスが付着した単一の塊状物と石油コークスが残留物として存在し、目的とする互いに独立かつ密接して存在する2種類の塊状物は得ることができなかった。炭素るつぼから取り出した表面に石油コークスが付着した単一の塊状物の外観を図5に示す。
本発明は、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から効率的に希土類元素を回収することができるとともに、処理容器をその消耗や損傷を抑制して長期に亘って繰り返し用いることができる方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. 少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法において、酸化処理を行った処理対象物と粒状ないし粉末状の炭素物質の混合物を処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃未満の温度で熱処理することによって焼結体を得る第1熱処理工程と、第1熱処理工程で得られる焼結体を、処理容器に、少なくとも焼結体と容器底面との間にカーボンブラックが介在するように収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において1350℃以上の温度で熱処理する第2熱処理工程からなる2段階の工程により、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を実行することを特徴とする方法。
  2. 第1熱処理工程の熱処理を950℃以上の温度で行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 第1熱処理工程において用いる粒状ないし粉末状の炭素物質の嵩密度が0.5g/cm以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 第1熱処理工程で得られる焼結体の圧潰強度が10kgf以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 処理対象物の少なくとも一部が5mm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 処理対象物の鉄族元素含量が30mass%以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 処理対象物がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする請求項1記載の方法。
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