JP6060704B2 - 希土類元素の回収方法 - Google Patents

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本発明は、例えばR−Fe−B系永久磁石(Rは希土類元素)などの、少なくとも希土類元素と鉄族元素とホウ素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法に関する。
R−Fe−B系永久磁石は、高い磁気特性を有していることから、今日様々な分野で使用されていることは周知の通りである。このような背景のもと、R−Fe−B系永久磁石の生産工場では、日々、大量の磁石が生産されているが、磁石の生産量の増大に伴い、製造工程中に加工不良物などとして排出される磁石スクラップや、切削屑や研削屑などとして排出される磁石加工屑などの量も増加している。とりわけ情報機器の軽量化や小型化によってそこで使用される磁石も小型化していることから、加工代比率が大きくなることで、製造歩留まりが年々低下する傾向にある。従って、製造工程中に排出される磁石スクラップや磁石加工屑などを廃棄せず、そこに含まれる金属元素、特に希土類元素をいかに回収して再利用するかが今後の重要な技術課題となっている。また、R−Fe−B系永久磁石を使用した電化製品などから循環資源として希土類元素をいかに回収して再利用するかについても同様である。
R−Fe−B系永久磁石から希土類元素を回収する方法については、これまでにもいくつかの方法が提案されており、例えば特許文献1では、磁石を酸化性雰囲気中で加熱して含有金属元素を酸化物とした後、水と混合してスラリーとし、加熱しながら塩酸を加えて希土類元素を溶液に溶解させ、得られた溶液に加熱しながらアルカリ(水酸化ナトリウムやアンモニアや水酸化カリウムなど)を加えることで、希土類元素とともに溶液に浸出した鉄族元素を沈殿させた後、溶液を未溶解物と沈殿物から分離し、溶液に沈殿剤として例えばシュウ酸を加えて希土類元素をシュウ酸塩として回収する方法が提案されている。この方法は、希土類元素を鉄族元素と効果的に分離して回収することができる方法として注目に値する。しかしながら、工程の一部に酸やアルカリを用いることから、工程管理が容易ではなく、また、回収コストが高くつくといった問題がある。従って、特許文献1に記載の方法は、低コストと簡易さが要求されるリサイクルシステムとして実用化するには困難な側面を有するといわざるを得ない。
また、特許文献2では、R−Fe−B系永久磁石に含まれる鉄族元素を酸化することなく希土類元素のみを酸化することによって両者を分離する方法として、磁石を炭素るつぼの中で加熱する方法が提案されている。この方法は、特許文献1に記載の方法のように酸やアルカリを必要とせず、また、炭素るつぼの中で磁石を加熱することで理論的にるつぼ内の雰囲気が鉄族元素が酸化されることなく希土類元素のみが酸化される酸素分圧に自律的に制御されることから、特許文献1に記載の方法に比較して工程が簡易であるという点において優れていると考えられる。しかしながら、単に磁石を炭素るつぼの中で加熱すればるつぼ内の雰囲気が所定の酸素分圧に自律的に制御されて希土類元素と鉄族元素を分離できるのかといえば、現実的には必ずしもそうではない。特許文献2では、るつぼ内の雰囲気の望ましい酸素含有濃度は1ppm〜1%であるとされているが、本質的には雰囲気を制御するための外的操作は必要とされないとある。しかしながら、本発明者らの検討によれば、少なくとも酸素含有濃度が1ppm未満の場合には希土類元素と鉄族元素は分離できない。従って、炭素るつぼの中で磁石を加熱すれば、理論的にはるつぼ内の雰囲気が鉄族元素が酸化されることなく希土類元素のみが酸化される酸素分圧に自律的に制御されるとしても、現実的にはるつぼ内を酸素含有濃度が1ppm以上の雰囲気に人為的に制御する必要がある。こうした制御は、特許文献2にも記載されているように酸素含有濃度が1ppm以上の不活性ガスをるつぼ内に導入することで行うことができるが、工業用不活性ガスとして汎用されているアルゴンガスの場合、その酸素含有濃度は通常0.5ppm以下である。従って、酸素含有濃度が1ppm以上のアルゴンガスをるつぼ内に導入するためには、汎用されているアルゴンガスをそのまま用いることはできず、その酸素含有濃度をわざわざ高めた上で用いる必要がある。結果として、特許文献2に記載の方法は、一見工程が簡易に思えるものの実はそうではなく、特許文献1に記載の方法と同様、低コストと簡易さが要求されるリサイクルシステムとして実用化するには困難な側面を有するといわざるを得ない。
加えて、R−Fe−B系永久磁石からの希土類元素を含む回収物は、ホウ素含量ができるだけ少ない方が望ましい。これは、回収物に含まれる希土類元素を、フッ素を含む溶融塩成分を用いた溶融塩電解法によって還元することで希土類金属に変換して再利用する場合、回収物のホウ素含量が多いと、溶融塩電解を行う際、ホウ素がフッ素と反応することで有毒なフッ化ホウ素が発生する恐れがあるためである。
特開2009−249674号公報 国際公開第2010/098381号
そこで本発明は、低コストで簡易なリサイクルシステムとして実用化が可能な、少なくとも希土類元素と鉄族元素とホウ素を含む処理対象物から、希土類元素を鉄族元素とホウ素から分離して回収する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の点に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、R−Fe−B系永久磁石に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移し、1550℃〜1800℃の温度で熱処理すると、希土類元素含量が多く、かつ、鉄族元素含量とホウ素含量が少ない回収物が得られることを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明の少なくとも希土類元素と鉄族元素とホウ素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法は、請求項1記載の通り、処理対象物に対して酸化処理を行って処理対象物に含まれる酸素モル濃度を希土類元素のモル濃度の1.5倍以上とした後、処理環境を炭素の存在下に移し、1550℃〜1800℃の温度で熱処理することで、希土類元素含量が70mass%以上で鉄族元素含量とホウ素含量がいずれも2.0mass%以下の回収物を得る工程を少なくとも含んでなることを特徴とする。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を、炭素るつぼを処理容器および炭素供給源として用いて行うことを特徴とする。
また、請求項3記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物の少なくとも一部が500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることを特徴とする。
また、請求項4記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物の鉄族元素含量が30mass%以上であることを特徴とする。
また、請求項5記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする
本発明によれば、低コストで簡易なリサイクルシステムとして実用化が可能な、少なくとも希土類元素と鉄族元素とホウ素を含む処理対象物から、希土類元素を鉄族元素とホウ素から分離して回収する方法を提供することができる。
実験例1における熱処理後の炭素るつぼを室温まで炉冷してから空気中で1日間放置した後のるつぼ内の様子を示す写真である。 実験例1における熱処理温度と希土類元素を含む回収物の鉄含量の関係を示すグラフである。 実験例1における熱処理温度と希土類元素を含む回収物のホウ素含量の関係を示すグラフである。
本発明の少なくとも希土類元素と鉄族元素とホウ素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法は、処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移し、1550℃〜1800℃の温度で熱処理することで、希土類元素含量が70mass%以上で鉄族元素含量とホウ素含量がいずれも2.0mass%以下の回収物を得る工程を少なくとも含んでなることを特徴とするものである。
本発明の方法の適用対象となる少なくとも希土類元素と鉄族元素とホウ素を含む処理対象物は、Nd,Pr,Dy,Tb,Smなどの希土類元素とFe,Co,Niなどの鉄族元素とホウ素を含むものであれば特段の制限はなく、希土類元素と鉄族元素とホウ素に加えてその他の元素として例えばアルミニウムや炭素などを含んでいてもよい。具体的には、例えばR−Fe−B系永久磁石などが挙げられるが、とりわけ本発明の方法は鉄族元素含量が30mass%以上である処理対象物に好適に適用することができる(例えばR−Fe−B系永久磁石の場合、その鉄族元素含量は、通常、60mass%〜82mass%である)。処理対象物の大きさや形状は特段制限されるものではなく、処理対象物がR−Fe−B系永久磁石の場合には製造工程中に排出される磁石スクラップや磁石加工屑などであってよい。処理対象物に対して十分な酸化処理を行うためには、処理対象物は500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることが望ましい(例えば調製の容易性に鑑みれば粒径の下限は1μmが望ましい)。しかしながら、処理対象物の全てがこのような粒状ないし粉末状である必要は必ずしもなく、粒状ないし粉末状であるのは処理対象物の一部であってよい。
まず、本発明の方法における処理対象物に対する酸化処理は、処理対象物に含まれる希土類元素を酸化物に変換することを目的とするものである。特許文献2に記載の方法と異なり、処理対象物に対する酸化処理によって処理対象物に含まれる鉄族元素が希土類元素とともに酸化物に変換されてもよい。処理対象物に対する酸化処理は、酸素含有雰囲気中で処理対象物を熱処理したり燃焼処理したりすることによって行うことが簡便である。酸素含有雰囲気は大気雰囲気であってよい。処理対象物を熱処理する場合、例えば350℃〜1000℃で1時間〜5時間行えばよい。処理対象物を燃焼処理する場合、例えば自然発火や人為的点火により行えばよい。また、処理対象物に対する酸化処理は、アルカリ水溶液中で処理対象物の酸化を進行させるアルカリ処理によって行うこともできる。アルカリ処理に用いることができるアルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどが挙げられる。また、アルカリ水溶液の濃度としては0.1mol/L〜10mol/Lが挙げられる。処理温度としては60℃〜150℃が挙げられるが、より効果的な酸化処理を行うためには100℃以上が望ましく、より安全性を高めるためには130℃以下が望ましい。処理時間としては30分間〜10時間が挙げられる。処理対象物に対する酸化処理は、単一の方法で行ってもよいし、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。処理対象物に対してこうした酸化処理を行うと、処理対象物に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の1.5倍以上となり、希土類元素の酸化物への変換をより確実なものにすることができる。酸化処理によって処理対象物に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の2.0倍以上になることが望ましい。また、処理対象物に対する酸化処理は、炭素の非存在下で行うことが望ましい。炭素の存在下で処理対象物に対する酸化処理を行うと、処理対象物に含まれる希土類元素が炭素と望まざる化学反応を起こして所望する酸化物への変換が阻害される恐れがあるからである(従ってここでは「炭素の非存在下」は処理対象物に含まれる希土類元素の酸化物への変換が阻害されるに足る化学反応の起因となる炭素が存在しないことを意味する)。
次に、酸化処理を行った処理対象物を炭素の存在下に移して1550℃〜1800℃の温度で熱処理する。この熱処理により、酸化処理を行った処理対象物に含まれる希土類元素の酸化物は高温で酸化物のままで溶融するのに対し、鉄族元素は炭素を固溶して合金化して溶融し、また、鉄族元素の酸化物は炭素によって還元された後に炭素を固溶して合金化して溶融し、結果として、希土類元素の酸化物の溶融物と鉄族元素と炭素の合金の溶融物が相溶することなく互いに独立して存在する。本発明においては、こうして鉄族元素と炭素の合金の溶融物から分離する希土類元素の酸化物の溶融物を回収物とする。熱処理温度を1550℃〜1800℃と規定するのは、1550℃未満であると回収物のホウ素含量が多くなる一方、熱処理温度が1800℃を超えると回収物の鉄族元素含量が多くなるからである。熱処理時間は例えば10分間〜3日間が適当である。酸化処理を行った処理対象物に対する炭素の供給源は、グラファイト(黒鉛や石墨)、木炭、コークス、石炭、ダイヤモンド、カーボンブラックなど、どのような構造や形状のものであってもよいが、炭素るつぼを用いて熱処理を行えば、炭素るつぼは処理容器としての役割とともにその表面からの炭素供給源としての役割も果たすので都合がよい(もちろん別個の炭素供給源をさらに添加することを妨げるものではない)。処理容器として炭素るつぼを用いる場合、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理は、アルゴンガス雰囲気などの不活性ガス雰囲気(酸素含有濃度は1ppm未満が望ましい)中や真空(1000Pa未満が望ましい)中で行うことが望ましい。大気雰囲気などの酸素含有雰囲気中で熱処理を行うと、雰囲気中の酸素が炭素るつぼの表面において炭素と反応することで二酸化炭素を生成し、炭素るつぼが炭素供給源としての役割を効率的に果さない恐れがあるからである。なお、用いることができる処理容器は、特許文献2に記載の方法のように炭素るつぼに限定されるわけではなく、非炭素製の処理容器、例えば酸化マグネシウムや酸化カルシウムなどの金属酸化物などでできたセラミックスるつぼ(単一の素材からなるものであってもよいし複数の素材からなるものであってもよい。炭化ケイ素などの炭素元素を含む素材であっても炭素供給源としての役割を果さない素材からなるものを含む)などを用いることもできる。非炭素製の処理容器を用いる場合、処理容器は炭素供給源としての役割を果さないので、処理容器に炭素供給源を添加することによって酸化処理を行った処理対象物を熱処理する。また、非炭素製の処理容器として製鉄のための溶鉱炉、電気炉、高周波誘導炉などを用いるとともに、炭素供給源として木炭やコークスなどを用いれば、酸化処理を行った処理対象物を一度に大量に熱処理することができる。添加する炭素供給源の量は処理対象物に含まれる鉄族元素に対してモル比で1.5倍以上であることが望ましい。添加する炭素供給源の量をこのように調整することで、処理対象物に含まれる鉄族元素が酸化処理によって酸化物に変換されてもその還元を確実なものとして炭素との合金化を進行させることができる。なお、非炭素製の処理容器を用いる場合、酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理は、アルゴンガス雰囲気などの不活性ガス雰囲気(酸素含有濃度は1ppm未満が望ましい)中や真空(1000Pa未満が望ましい)中で行ってもよいし、大気雰囲気などの酸素含有雰囲気中で行ってもよい。酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を酸素含有雰囲気中で行った場合、熱処理後における処理容器内の余剰の炭素供給源は雰囲気中の酸素と反応することによって二酸化炭素となって処理容器から排出される点において都合がよい。
酸化処理を行った処理対象物を炭素の存在下で熱処理してから冷却した後の処理容器内の様子は熱処理温度によって異なる。その理由は明らかではないが、1550℃〜1800℃の温度で熱処理することで、希土類元素含量が70mass%以上で鉄族元素含量とホウ素含量がいずれも2.0mass%以下の回収物を得ることができる。通常、回収物の希土類元素含量の上限は90mass%である。回収物の鉄族元素含量とホウ素含量はいずれも1.5mass%以下であることが望ましく、1.0mass%以下であることがより望ましく、0.5mass%以下であることがさらに望ましい。熱処理温度が低い場合、目的とする回収物は熱処理後に処理容器内に存在する2種類の塊状物の一方として得られる(他方は鉄族元素と炭素の合金である)。2種類の塊状物は力を加えることで分離することもできるし、両者を1350℃以上に加熱して溶融することで分離することもできる(両者の溶融物は相溶しない)。熱処理温度が高い場合、目的とする回収物は熱処理後に処理容器内に存在する2種類の塊状物の一方が大気中で自然に崩壊することで生成する粉末として得られたり、処理容器内に存在する単一の塊状物が大気中で自然に崩壊することで生成する大きさが異なる2種類の粉末の小さい方の粉末として得られたりする。目的とする回収物が粉末として得られる場合、その粒径は概ね120μm未満であるので、例えば目開きが120μmの篩にかけることでその回収は容易である。なお、目的とする回収物が粉末として得られる場合における熱処理後の処理容器内に存在する塊状物が大気中で自然に崩壊する現象は、塊状物が大気中の水分と反応することによる現象である。従って、塊状物に水を加えたり、塊状物を水中に浸漬したりすることによっても目的とする回収物を粉末として得ることができる。塊状物が崩壊するに至るまでの時間は処理量などにもよるが、例えば5分間〜10日間である。
本発明の方法によって得られる希土類元素含量が70mass%以上で鉄族元素含量とホウ素含量がいずれも2.0mass%以下の回収物に含まれる希土類元素は、酸化物や水酸化物として存在するので、例えば溶融塩電解法などによって還元することで希土類金属に変換して再利用することができるが、この回収物のホウ素含量は2.0mass%以下であるので、フッ素を含む溶融塩成分を用いた溶融塩電解法によって還元する場合でも、溶融塩電解を行う際、ホウ素がフッ素と反応することで有毒なフッ化ホウ素が発生する恐れが少ない。なお、この回収物のホウ素含量のさらなる低減は、この回収物をアルカリ金属の炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)や酸化物とともに例えば炭素の存在下で熱処理することで行うことができる。この回収物のホウ素含量のさらなる低減のための炭素の存在下での熱処理は、例えばグラファイト(黒鉛や石墨)、木炭、コークス、石炭、ダイヤモンド、カーボンブラックなどを炭素の供給源として用いて1300℃〜1600℃で行えばよい。熱処理時間は例えば30分間〜5時間が適当である。炭素るつぼを用いて熱処理を行えば、炭素るつぼは処理容器としての役割とともにその表面からの炭素供給源としての役割も果たすので都合がよい(もちろん別個の炭素供給源をさらに添加することを妨げるものではない)。アルカリ金属の炭酸塩や酸化物は、例えば希土類元素を含む粉末1重量部に対して0.1重量部〜2重量部用いればよい。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
実験例1:
R−Fe−B系永久磁石の製造工程中に発生した約10μmの粒径を有する磁石加工屑(自然発火防止のため水中で7日間保管したもの)に対し、吸引ろ過することで脱水してから大気雰囲気中で火をつけて燃焼処理を行うことで酸化処理を行った。こうして酸化処理を行った磁石加工屑のICP分析結果(使用装置:島津製作所社製のICPV−1017、以下同じ)とガス分析結果(使用装置:堀場製作所社製のEMGA−550W、以下同じ)を表1に示す。酸化処理を行った磁石加工屑に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の7.6倍であった。
次に、酸化処理を行った磁石加工屑50gを、寸法が外径70mm×高さ70mm×肉厚10mmの炭素るつぼ(黒鉛製)に収容した後、工業用アルゴンガス雰囲気(酸素含有濃度:0.2ppm、流量:5L/分。以下同じ)中で1400℃〜2000℃の範囲の各種の温度(1400℃,1500℃,1600℃,1800℃,2000℃)で1時間熱処理した。その後、炭素るつぼを室温まで炉冷したところ、熱処理温度が1400℃,1500℃,1600℃の場合、炭素るつぼ内には熱処理物として2種類の塊状物Aと塊状物Bが固着して存在した。この2種類の塊状物は空気中で1日間放置しても塊状のままであった。熱処理温度が1800℃の場合も、炭素るつぼ内には熱処理物として2種類の塊状物Aと塊状物Bが固着して存在したが、この2種類の塊状物は空気中で1日間放置しておくと、塊状物Aは塊状のままであったのに対し、塊状物Bはアセチレン臭を発しながら自然に崩壊して粉末となった。熱処理温度が2000℃の場合、炭素るつぼ内には熱処理物として単一の塊状物が固着して存在した。この塊状物は空気中で1日間放置しておくと、アセチレン臭を発しながら自然に崩壊して大きさが異なる2種類の粉末となった。それぞれの場合における熱処理後の炭素るつぼを室温まで炉冷してから空気中で1日間放置した後のるつぼ内の様子を図1に示す。
1400℃,1500℃,1600℃の温度で熱処理してから炭素るつぼを室温まで炉冷して空気中で1日間放置した後にるつぼ内に存在する2種類の塊状物Aと塊状物B、1800℃の温度で熱処理してから炭素るつぼを室温まで炉冷して空気中で1日間放置した後にるつぼ内に存在する塊状物Aと塊状物B由来の粉末(両者は目開きが120μmの篩にかけて分離)、2000℃の温度で熱処理してから炭素るつぼを室温まで炉冷して空気中で1日間放置した後のるつぼ内の2種類の大きさが異なる粉末(両者は目開きが120μmの篩にかけて分離)のそれぞれの組成分析を行った。1400℃,1500℃,1600℃の温度で熱処理した態様における塊状物A、1800℃の温度で熱処理した態様における塊状物A、2000℃の温度で熱処理した態様における大きさが大きい方の粉末のそれぞれのSEM・EDX分析結果(使用装置:日立ハイテクノロジーズ社製のS800、以下同じ)を表2に示す。また、1400℃,1500℃,1600℃の温度で熱処理した態様における塊状物B、1800℃の温度で熱処理した態様における塊状物B由来の粉末、2000℃の温度で熱処理した態様における大きさが小さい方の粉末のそれぞれのICP分析結果を表3に示す。
表2と表3から明らかなように、1400℃,1500℃,1600℃の温度で熱処理した態様における塊状物A、1800℃の温度で熱処理した態様における塊状物A、2000℃の温度で熱処理した態様における大きさが大きい方の粉末のそれぞれの主成分は鉄である一方、1400℃,1500℃,1600℃の温度で熱処理した態様における塊状物B、1800℃の温度で熱処理した態様における塊状物B由来の粉末、2000℃の温度で熱処理した態様における大きさが小さい方の粉末のそれぞれの主成分は希土類元素であることがわかった。また、いずれの温度で熱処理した場合においても希土類元素を鉄から分離することができるが、希土類元素含量(Nd,Pr,Dyの合計含量)が70mass%以上で鉄含量とホウ素含量がいずれも2.0mass%以下の回収物を塊状物や粉末の形態で得ることができるのは1600℃と1800℃の温度で熱処理した場合であり、熱処理温度が1400℃と1500℃であると回収物のホウ素含量が多くなる一方、熱処理温度が2000℃であると回収物の鉄含量が多くなることがわかった。熱処理温度と回収物の鉄含量の関係を図2に、熱処理温度と回収物のホウ素含量の関係を図3にそれぞれ示す。図2と図3から明らかなように、1550℃〜1800℃の温度で熱処理することで、鉄含量とホウ素含量がいずれも2.0mass%以下の回収物を得ることができることがわかった。なお、こうして塊状物や粉末の形態で得られた回収物に含まれる希土類元素は酸化物や水酸化物として存在することを、別途に行ったガス分析結果と標準試料を用いたX線回折分析結果から確認した。
実験例2:
実験例1と同様にして、酸化処理を行った磁石加工屑50gを、寸法が外径70mm×高さ70mm×肉厚10mmの炭素るつぼ(黒鉛製)に収容した後、工業用アルゴンガス雰囲気中で1600℃の温度で1時間または10時間熱処理した。その後、炭素るつぼを室温まで炉冷したところ、いずれの時間で熱処理した態様においても、炭素るつぼ内には熱処理物として2種類の塊状物Aと塊状物Bが固着して存在した。この2種類の塊状物は空気中で1日間放置しても塊状のままであった。空気中で1日間放置した後の塊状物AのSEM・EDX分析結果を表4に、塊状物BのICP分析結果を表5にそれぞれ示す。
表4と表5から明らかなように、いずれの時間で熱処理した態様においても、塊状物Aの主成分は鉄である一方、塊状物Bの主成分は希土類元素であり、希土類元素含量が70mass%以上で鉄含量とホウ素含量がいずれも2.0mass%以下の回収物を塊状物の形態で得ることができることがわかった。また、熱処理時間が長くなるにつれて回収物の鉄含量は多くなるが、ホウ素含量は少なくなることがわかった。なお、この知見は、1日間熱処理した場合の結果によっても支持された。
実験例3:
実験例1と同様にして、酸化処理を行った磁石加工屑50gを、寸法が外径70mm×高さ70mm×肉厚10mmの炭素るつぼ(黒鉛製)に収容した後、工業用アルゴンガス雰囲気中で1600℃の温度で1時間熱処理して得た塊状物B2.00gをメノウ乳鉢とメノウ乳棒を用いてよく粉砕した後、炭酸カリウム0.48gとともに寸法が外径35mm×高さ10mm×肉厚5mmの炭素るつぼ(黒鉛製)に収容し、工業用アルゴンガス雰囲気中で1450℃で1時間熱処理した。熱処理前の塊状物Bの粉砕物とその熱処理物のそれぞれのICP分析結果を表6に示す。表6から明らかなように、熱処理前の塊状物Bの粉砕物のホウ素含量は1.61mass%であったが、その熱処理物のホウ素含量は1.22mass%であり、塊状物の形態で得た希土類元素を含む回収物を炭酸カリウムとともに熱処理することで、そのホウ素含量を低減できることがわかった(熱処理物が酸素を含むことは別途に行ったガス分析結果から確認済み)。
本発明は、低コストで簡易なリサイクルシステムとして実用化が可能な、少なくとも希土類元素と鉄族元素とホウ素を含む処理対象物から、希土類元素を鉄族元素とホウ素から分離して回収する方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (5)

  1. 少なくとも希土類元素と鉄族元素とホウ素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法であって、処理対象物に対して酸化処理を行って処理対象物に含まれる酸素モル濃度を希土類元素のモル濃度の1.5倍以上とした後、処理環境を炭素の存在下に移し、1550℃〜1800℃の温度で熱処理することで、希土類元素含量が70mass%以上で鉄族元素含量とホウ素含量がいずれも2.0mass%以下の回収物を得る工程を少なくとも含んでなることを特徴とする方法。
  2. 酸化処理を行った処理対象物の炭素の存在下での熱処理を、炭素るつぼを処理容器および炭素供給源として用いて行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 処理対象物の少なくとも一部が500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 処理対象物の鉄族元素含量が30mass%以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 処理対象物がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする請求項1記載の方法
JP2013013379A 2013-01-28 2013-01-28 希土類元素の回収方法 Active JP6060704B2 (ja)

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