JP2018141181A - 希土類元素溶液を調製する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)軽希土類元素と重希土類元素を含む処理対象物から両者の複合酸化物ないし酸化物の混合物を得る工程
(2)得られた軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物を、塩酸および/または硝酸に溶解する工程
(3)得られた溶液に沈殿剤を加えて沈殿物を得る工程
(4)得られた沈殿物を焼成する工程
(5)得られた焼成物を、濃度が0.7mol/L以上の、塩酸および硝酸から選ばれる少なくとも1つの無機酸と、酢酸、クエン酸、乳酸、アセチルアセトン酸、α−ヒドロキシイソ酪酸から選ばれる少なくとも1つの有機酸からなる混合酸に、溶解上限量の1.5倍以上添加して、軽希土類元素リッチな溶液と重希土類元素リッチな残渣を得る工程(混合酸の濃度は無機酸の濃度と有機酸の濃度の合計濃度)
(6)得られた溶液を残渣から分離する工程
を少なくとも含んでなることを特徴とする(ここで「リッチ」なる用語は該当する希土類元素の他方の希土類元素に対する含量比が処理対象物における含量比よりも大きいことを意味する)。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、沈殿剤としてシュウ酸、酢酸、炭酸の金属塩から選ばれる少なくとも1つを用いることを特徴とする。
また、請求項3記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする。
また、請求項4記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(重希土類元素の含量/軽希土類元素の含量)が0.05〜0.50であることを特徴とする。
また、請求項5記載の方法は、請求項1記載の方法において、軽希土類元素リッチな溶液に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(重希土類元素の含量/軽希土類元素の含量)が0.02〜0.10であり、かつ、処理対象物に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(重希土類元素の含量/軽希土類元素の含量)よりも0.01以上小さいことを特徴とする。
(1)軽希土類元素と重希土類元素を含む処理対象物から両者の複合酸化物ないし酸化物の混合物を得る工程
(2)得られた軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物を、塩酸および/または硝酸に溶解する工程
(3)得られた溶液に沈殿剤を加えて沈殿物を得る工程
(4)得られた沈殿物を焼成する工程
(5)得られた焼成物を、濃度が0.7mol/L以上の、塩酸および硝酸から選ばれる少なくとも1つの無機酸と、酢酸、クエン酸、乳酸、アセチルアセトン酸、α−ヒドロキシイソ酪酸から選ばれる少なくとも1つの有機酸からなる混合酸に、溶解上限量の1.5倍以上添加して、軽希土類元素リッチな溶液と重希土類元素リッチな残渣を得る工程(混合酸の濃度は無機酸の濃度と有機酸の濃度の合計濃度)
(6)得られた溶液を残渣から分離する工程
を少なくとも含んでなることを特徴とするものである(ここで「リッチ」なる用語は該当する希土類元素の他方の希土類元素に対する含量比が処理対象物における含量比よりも大きいことを意味する)。以下、本発明の方法における工程を順次説明する。
まず、本発明の方法を適用することができる軽希土類元素と重希土類元素を含む処理対象物は、NdやPrなどの軽希土類元素とDyやTbなどの重希土類元素を含むものであれば特段の制限はなく、軽希土類元素と重希土類元素に加えてその他の元素としてFe,Co,Niなどの鉄族元素やホウ素などを含んでいてもよい。具体的には、例えばR−Fe−B系永久磁石などが挙げられる。軽希土類元素と重希土類元素を含む処理対象物から両者の複合酸化物ないし酸化物の混合物を得る方法は、自体公知の方法であってよく、例えば、特許文献1に記載の、希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移し、1150℃以上の温度で熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法を好適に採用することができる。軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物の、軽希土類元素の含量と重希土類元素の含量の合計は、70mass%以上が望ましく、75mass%以上がより望ましい。軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物は、鉄族元素やホウ素などを含んでいてもよいが、これらの含量は、それぞれ5.0mass%以下が望ましく、2.5mass%以下がより望ましい。
この工程に用いる塩酸や硝酸は、先の工程で得られた軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物を溶解することができる濃度や容量で用いることができる。具体的には、例えば、濃度が0.5mol/L以上の塩酸や硝酸を、軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物1gに対して1mL〜50mLの割合で用いればよい。用いる塩酸や硝酸の濃度の上限は、安全性などの点に鑑みれば例えば5.0mol/Lである。溶解温度は、例えば20℃〜85℃であってよい。溶解時間は、例えば1時間〜3日間であってよい。なお、軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物は、その溶解を効率的に行うために、粒径が1mm以下の粒状ないし粉末状に粉砕して塩酸や硝酸に溶解することが望ましい。粉砕は粒径が500μm以下になるまで行うことがより望ましい。所望する粒径の軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物は、例えば篩を用いて分級することで得ることができる。
この工程に用いることができる沈殿剤としては、例えばシュウ酸や酢酸や炭酸の金属塩(炭酸ナトリウムなど)が挙げられ、先の工程で塩酸や硝酸に溶解した軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物を、軽希土類元素と重希土類元素のシュウ酸塩や酢酸塩や炭酸塩からなる沈殿物に変換する。シュウ酸や酢酸や炭酸の金属塩は、軽希土類元素と重希土類元素のシュウ酸塩や酢酸塩や炭酸塩からなる沈殿物を得ることができる量で用いることができる。具体的には、シュウ酸や酢酸や炭酸の金属塩は、先の工程で塩酸や硝酸に溶解した軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物1gに対して例えば0.8g〜3.0gの割合で用いればよい。沈殿温度は、例えば20℃〜85℃であってよい。沈殿時間は、例えば1時間〜6時間であってよい。
次に、先の工程で得られた軽希土類元素と重希土類元素のシュウ酸塩や酢酸塩や炭酸塩からなる沈殿物を焼成し、軽希土類元素と重希土類元素のシュウ酸塩や酢酸塩や炭酸塩を再び複合酸化物ないし酸化物の混合物に変換する。軽希土類元素リッチな溶液と重希土類元素リッチな残渣を効果的に得るためには、沈殿物の焼成は、例えば大気雰囲気などの酸素が存在する雰囲気で500℃〜1000℃で行うことが望ましい。焼成温度は、600℃〜950℃がより望ましく、700℃〜900℃がさらに望ましい。焼成時間は、例えば1時間〜6時間であってよい。
この工程は、本発明の方法において鍵となる工程である。肝要なのは、先の工程で得られた焼成物、即ち、軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物を、塩酸および硝酸から選ばれる少なくとも1つの無機酸と、酢酸、クエン酸、乳酸、アセチルアセトン酸、α−ヒドロキシイソ酪酸から選ばれる少なくとも1つの有機酸からなる混合酸に溶けきらない量、即ち、溶解上限量よりも多い量で混合酸に添加しなければならないということと、混合酸は、所定の濃度(無機酸の濃度と有機酸の濃度の合計濃度)以上のものでなければならないということである。このように処理条件を設定することで、焼成物に含まれる軽希土類元素は混合酸に溶解しようとする一方で、重希土類元素は焼成物に残留しようとすることを本発明者は見出した。軽希土類元素と重希土類元素のこの性質を利用することで、軽希土類元素リッチな溶液と重希土類元素リッチな残渣を得ることができる。また、軽希土類元素リッチな溶液に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比は、含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比にバラツキがある処理対象物から得られたものであっても、一定の範囲に収束したものになり、この含量比は、無機酸に対する有機酸の混合量を変えることで、調整することができる。混合酸への焼成物の添加量の下限を溶解上限量の1.5倍と規定するのは、1.5倍未満では、焼成物に含まれる重希土類元素が軽希土類元素とともに混合酸に溶解してしまいやすくなるからである。混合酸への焼成物の添加量を溶解上限量の1.0倍以下とすると、焼成物が混合酸に溶けきってしまうので、焼成物に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の全量が混合酸に溶解する(結果として軽希土類元素リッチな溶液と重希土類元素リッチな残渣を得ることはできない)。混合酸への焼成物の添加量の上限は、例えば溶解上限量の4.0倍である。溶解上限量の4.0倍を超えると、焼成物に含まれる軽希土類元素の多くが混合酸に溶解しきれなくなることで、軽希土類元素が焼成物に残留しやすくなり、結果として軽希土類元素リッチな溶液と重希土類元素リッチな残渣を得にくくなる。軽希土類元素リッチな溶液と重希土類元素リッチな残渣を効果的に得るためには、混合酸への焼成物の添加量は、溶解上限量の1.8倍〜3.5倍が望ましく、2.0倍〜3.0倍がより望ましい。なお、混合酸に対する焼成物の溶解上限量は、用いる混合酸に焼成物を少量ずつ溶解することで実験的に求めることもできるし、計算で求めることもできる(例えば、焼成物に軽希土類元素と重希土類元素以外の金属元素が含まれていてもその量はごく僅かであるので、焼成物が軽希土類元素と重希土類元素のみからなると見做し、焼成物の組成に基づいて、用いる混合酸から供給される水素イオンのモル量(pHの変動による供給量の変動はないものとする)と各希土類元素の価数から算出する。こうして算出される溶解上限量は厳密なものではないが、この工程を実施する上での支障はない)。用いる混合酸の濃度の下限を0.7mol/Lと規定するのは、0.7mol/L未満では、焼成物に含まれる軽希土類元素が重希土類元素に優先して溶解せずに、軽希土類元素とともに重希土類元素も溶解してしまいやすくなるからである。混合酸の濃度の下限は1.0mol/Lが望ましい。なお、混合酸の濃度の上限は、安全性などの点に鑑みれば、例えば5.0mol/Lである。無機酸に対する有機酸の混合量は、無機酸1molに対して有機酸0.05mol〜0.50molが望ましく、0.10mol〜0.40molがより望ましい。無機酸に対する有機酸の混合量が少なすぎても多すぎても、軽希土類元素リッチな溶液に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比を調整しにくくなる(その理由は必ずしも明確ではないが、有機酸として用いる酢酸、クエン酸、乳酸、アセチルアセトン酸、α−ヒドロキシイソ酪酸の、軽希土類元素と重希土類元素のそれぞれに対する錯体形成能の違いに基づくと考えられる)。焼成物を添加する混合酸の温度は、例えば20℃〜85℃であってよく、焼成物を添加した後、例えば1時間〜10時間撹拌保持するのがよい。
先の工程で得られる溶液には軽希土類元素が多く含まれ(即ち軽希土類元素の重希土類元素に対する含量比が処理対象物における含量比よりも大きい)、残渣には重希土類元素が多く含まれる(即ち重希土類元素の軽希土類元素に対する含量比が処理対象物における含量比よりも大きい)。従って、溶液を残渣から例えば濾過により分離することで、軽希土類元素リッチな溶液を本発明の希土類元素溶液として得ることができる。重希土類元素リッチな残渣から分離された軽希土類元素リッチな溶液、即ち、本発明の希土類元素溶液は、自体公知の方法によって溶媒抽出法に付すことで、溶液に含まれる軽希土類元素と重希土類元素を分離することができる。この際、軽希土類元素リッチな溶液には、処理対象物よりも軽希土類元素が多く含まれているので、処理対象物それ自体を溶媒抽出法に付して軽希土類元素と重希土類元素を分離する場合よりも、抽出操作に必要な段数を少なくすることができるため、抽出剤や有機溶媒の使用量の低減化や装置の小型化が可能になる。また、処理対象物に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(重希土類元素の含量/軽希土類元素の含量)が、例えば0.05〜0.50の範囲でバラツキがあっても、軽希土類元素リッチな溶液に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(重希土類元素の含量/軽希土類元素の含量)は、例えば0.02〜0.10の範囲に収束したものになるということは特筆すべき点である(但し処理対象物に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(重希土類元素の含量/軽希土類元素の含量)よりも0.01以上小さい)。従って、含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(重希土類元素の含量/軽希土類元素の含量)が、例えば0.05〜0.50の範囲の処理対象物であれば(R−Fe−B系永久磁石における両者の含量比はこの範囲にある)、その都度、処理対象物を分析して両者の含量比を求めなくても、収束した含量比に適合する処理条件で溶液に含まれる軽希土類元素と重希土類元素を分離することができる。また、軽希土類元素リッチな溶液に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比は、無機酸に対する有機酸の混合量を変えることで調整することができるので、両者を分離するための処理条件を設定する際の自由度が高い。なお、軽希土類元素リッチな溶液から分離された重希土類元素リッチな残渣に対して例えば(2)〜(6)の工程を実施することで、残渣に含まれる軽希土類元素の量を低減すること(重希土類元素の軽希土類元素に対する含量比をより大きくすること)ができる。この場合、重希土類元素リッチな残渣から分離された軽希土類元素リッチな溶液は、本発明の希土類元素溶液として、自体公知の方法によって溶媒抽出法に付すことで、溶液に含まれる軽希土類元素と重希土類元素を分離することができることは、上記の通りである。
60℃に加熱した濃度が1.1mol/Lの塩酸5400mL、1450mL、750mL、100mLに、それぞれ343gのNd2O3試薬、93gのPr6O11試薬、53gのDy2O3試薬、7gのTb4O7試薬を添加して6時間撹拌することで、それぞれの希土類元素の塩酸溶液を調製した。調製したそれぞれの希土類元素の塩酸溶液を表1の割合で混合し、含まれる希土類元素の濃度が異なる3種類の塩酸溶液A〜Cをそれぞれ3L調製した。
濃度が1.1mol/Lの塩酸と、クエン酸を用い、両者を各種の割合で混合し、表4に示す5種類の混合酸G〜Kを調製した。
(工程1)
R−Fe−B系永久磁石の製造工程中に発生した約10μmの粒径を有する磁石加工屑(自然発火防止のため水中で7日間保管したもの)に対し、吸引ろ過することで脱水してからロータリーキルンを用いて燃焼処理することで酸化処理を行った。こうして酸化処理を行った磁石加工屑のICP分析(使用装置:島津製作所社製のICPV−1017)の結果を表5に示す。
工程1で得た希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物Bを、瑪瑙製の乳鉢と乳棒で粉砕し、ステンレス製の篩を用いて粒径が125μm未満の粉末を得る操作を複数回行うことで、約1kgの塊状物Bの粉末を調製した。こうして調製した塊状物Bの粉末75gを、濃度が1.0mol/Lの塩酸1Lに加え、80℃で6時間撹拌した後、残渣をろ過することで、塊状物Bの塩酸溶液を得た。
工程2で得た塊状物Bの塩酸溶液1Lに、シュウ酸二水和物130gを加え、室温で2時間撹拌することで、水分を多量に含む白色粉末の沈殿物(軽希土類元素と重希土類元素のシュウ酸塩)を約100g得た。
工程3で得た沈殿物を、アルミナるつぼに収容し、大気雰囲気で900℃で2時間焼成することで、茶色の焼成物を65.5g得た。この焼成物のSEM・EDX分析の結果(Nd,Pr,Dyのみ)を表7に示す。なお、この焼成物は、軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物であることを、別途に行ったX線回析分析において確認した。
60℃に加熱した実施例1における混合酸E100mLに、溶解上限量の2.0倍に相当する量の工程4で得た焼成物を添加して撹拌した。なお、用いる混合酸Eに対する工程4で得た焼成物の溶解上限量(6.55g)は、混合酸Eに焼成物を少量ずつ溶解することで実験的に求めた。
工程5における撹拌を開始してから2時間後、残渣をろ過することで、酸溶液と残渣を分離した。得られた酸溶液にシュウ酸二水和物13gを加えて室温で2時間撹拌することで白色の沈殿物を得、この沈殿物を大気雰囲気で900℃で2時間焼成することで焼成物を得た。焼成物の重量とSEM・EDX分析の結果から、焼成物に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(WHR/WLR:酸溶液に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比に相当)を調べたところ0.09であり、酸溶液に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比は、工程4で得た焼成物に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(0.21)よりも小さく、この酸溶液は軽希土類リッチな溶液(本発明の希土類元素溶液)であった。一方、酸溶液から分離された残渣を大気雰囲気で900℃で2時間焼成することで得られた焼成物に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(WHR/WLR:残渣に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比に相当)を調べたところ、残渣に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比は、工程4で得た焼成物に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比よりも大きく、この残渣は重希土類リッチであった。
実施例1における混合酸Eのかわりに、濃度が1.3mol/Lの硝酸と酢酸からなる混合酸(硝酸濃度:1.1mol/L+酢酸濃度:0.2mol/L)を用いること以外は、実施例3と同様にして、軽希土類元素と重希土類元素の含量比が、実施例3で得た本発明の希土類元素溶液とほぼ同じの、軽希土類リッチな溶液である本発明の希土類元素溶液を得た。
実施例1における混合酸Eのかわりに、濃度が1.1mol/Lの塩酸と乳酸からなる混合酸(塩酸濃度:1.0mol/L+乳酸濃度:0.1mol/L)を用いること以外は、実施例3と同様にして、軽希土類元素と重希土類元素の含量比が、実施例3で得た本発明の希土類元素溶液とほぼ同じの、軽希土類リッチな溶液である本発明の希土類元素溶液を得た。
実施例1における混合酸Eのかわりに、濃度が1.1mol/Lの塩酸とアセチルアセトン酸からなる混合酸(塩酸濃度:0.8mol/L+アセチルアセトン酸濃度:0.3mol/L)を用いること以外は、実施例3と同様にして、軽希土類元素と重希土類元素の含量比が、実施例3で得た本発明の希土類元素溶液とほぼ同じの、軽希土類リッチな溶液である本発明の希土類元素溶液を得た。
実施例1における混合酸Eのかわりに、濃度が1.1mol/Lの塩酸とα−ヒドロキシイソ酪酸からなる混合酸(塩酸濃度:0.8mol/L+α−ヒドロキシイソ酪酸濃度:0.3mol/L)を用いること以外は、実施例3と同様にして、軽希土類元素と重希土類元素の含量比が、実施例3で得た本発明の希土類元素溶液とほぼ同じの、軽希土類リッチな溶液である本発明の希土類元素溶液を得た。
実施例1における混合酸Eのかわりに、濃度が2.0mol/Lの塩酸と酢酸からなる混合酸(塩酸濃度:1.5mol/L+酢酸濃度:0.5mol/L)を用いること以外は、実施例3と同様にして、軽希土類元素と重希土類元素の含量比が、実施例3で得た本発明の希土類元素溶液とほぼ同じの、軽希土類リッチな溶液である本発明の希土類元素溶液を得た。
実施例1における混合酸Eのかわりに、濃度が3.0mol/Lの塩酸と酢酸からなる混合酸(塩酸濃度:2.5mol/L+酢酸濃度:0.5mol/L)を用いること以外は、実施例3と同様にして、軽希土類元素と重希土類元素の含量比が、実施例3で得た本発明の希土類元素溶液とほぼ同じの、軽希土類リッチな溶液である本発明の希土類元素溶液を得た。
実施例1における混合酸Eのかわりに、濃度が3.0mol/Lの硝酸とクエン酸からなる混合酸(硝酸濃度:2.0mol/L+クエン酸濃度:1.0mol/L)を用いること以外は、実施例3と同様にして、軽希土類元素と重希土類元素の含量比が、実施例3で得た本発明の希土類元素溶液とほぼ同じの、軽希土類リッチな溶液である本発明の希土類元素溶液を得た。
Claims (5)
- (1)軽希土類元素と重希土類元素を含む処理対象物から両者の複合酸化物ないし酸化物の混合物を得る工程
(2)得られた軽希土類元素と重希土類元素の複合酸化物ないし酸化物の混合物を、塩酸および/または硝酸に溶解する工程
(3)得られた溶液に沈殿剤を加えて沈殿物を得る工程
(4)得られた沈殿物を焼成する工程
(5)得られた焼成物を、濃度が0.7mol/L以上の、塩酸および硝酸から選ばれる少なくとも1つの無機酸と、酢酸、クエン酸、乳酸、アセチルアセトン酸、α−ヒドロキシイソ酪酸から選ばれる少なくとも1つの有機酸からなる混合酸に、溶解上限量の1.5倍以上添加して、軽希土類元素リッチな溶液と重希土類元素リッチな残渣を得る工程(混合酸の濃度は無機酸の濃度と有機酸の濃度の合計濃度)
(6)得られた溶液を残渣から分離する工程
を少なくとも含んでなることを特徴とする希土類元素溶液を調製する方法(ここで「リッチ」なる用語は該当する希土類元素の他方の希土類元素に対する含量比が処理対象物における含量比よりも大きいことを意味する)。 - 沈殿剤としてシュウ酸、酢酸、炭酸の金属塩から選ばれる少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 処理対象物がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 処理対象物に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(重希土類元素の含量/軽希土類元素の含量)が0.05〜0.50であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 軽希土類元素リッチな溶液に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(重希土類元素の含量/軽希土類元素の含量)が0.02〜0.10であり、かつ、処理対象物に含まれる軽希土類元素と重希土類元素の含量比(重希土類元素の含量/軽希土類元素の含量)よりも0.01以上小さいことを特徴とする請求項1記載の方法。
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