JP2014168177A - 通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電話回線側からの各種イベントを検知できる状態を維持しつつ高い省電力効果を得ることが可能な通信装置を提供する。
【解決手段】複合機1は、動作モードとして、スイッチング電源41が動作して電力を供給する通常モードと、スイッチング電源41が動作を停止するOFFモードを備えている。DAA21は、スイッチング電源41からの電力で動作するため、OFFモード時は動作できない。一方、OFFモード中も、省電力チップ7などの最低限の回路は、例えばバックアップ電源8によって動作する。OFFモード時に回線イベントが発生すると、フォトトランジスタ26がオンし、電源ソフトスイッチ31が押し操作された場合と等価な状態が発生する。つまり電源ソフトスイッチ31が擬似的にオンされる。これにより、省電力チップ7がスイッチング電源41を起動させ、動作モードを通常モードに復帰させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電話回線に接続されて使用される通信装置に関する。
電話機能やファクシミリ機能などの、電話回線側(交換機等)との間で通信を行う機能(以下「回線通信機能」ともいう)を備えた通信装置には、様々な形態のものがある。例えば、回線通信機能を主機能として備えた専用機のほか、回線通信機能に加えて印刷機能やコピー機能なども兼ね備えたいわゆる複合機などがある。
このような通信装置は、一般に、装置内の各部へ電力を供給するための主電源回路を備えている。例えば複合機においては、電源スイッチがオンされると、印刷機構やコピー機構、DAA(Data Access Arrangement )やモデムなどの各種通信回路、これら各機構の動作を制御する制御回路などの装置内の各部に、主電源回路から電力が供給され、これにより装置内の各部が動作可能な状態となる。
近年、通信装置を含む各種電気機器には、消費電力低減のために、動作モードとして、主電源回路から各部へ電力が供給される(或いは供給可能な状態となる)通常モードのほかに、制御回路等の必要最小限の回路へ微小電力を供給する以外は主電源回路からの電力供給を停止するスリープモードが備えられている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−45678号公報
動作モードとしてスリープモードを備えることにより省電力を実現できるが、消費電力低減への要求は年々高まっており、さらなる省電力が求められている。スリープモードよりもさらに消費電力を低減するための一手法として、主電源回路からの電力供給を完全に停止させるモード(以下「OFFモード」という)を備えることが考えられる。
OFFモードでは、制御回路や各種通信回路は電力供給が遮断されて動作が完全に停止する。ただし、OFFモードでは、電源スイッチのオン・オフ検知やRTC(Real Time Clock )、OFFモード解除条件検知、主電源回路への起動要求などの必要最小限の機能のみ、別途、二次電池やスーパーキャパシタなどのバックアップ電源で動作が継続される。そのため、OFFモードでは、必要最小限の機能を維持しつつ、スリープモードよりも高い省電力効果が得られる。
しかし、回線通信機能を備えた通信装置に対して動作モードとしてOFFモードを備えるようにすると、高い省電力効果が得られる反面、OFFモード中はDAAやモデムなどの各種通信回路の動作が停止するため、呼出信号や極性反転などの電話回線側からの各種イベントを検知することができなくなる。
そのため、回線通信機能を備えた通信装置においては、いつ発生するかわからない電話やファクシミリの着信に対応できるようにするためにも、動作モードをOFFモードに設定することは現実的ではない。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、電話回線側からの各種イベントを検知できる状態を維持しつつ高い省電力効果を得ることが可能な通信装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の通信装置は、電話回線に接続可能な通信装置であって、供給される動作用電力により動作し、電話回線に接続されて電話回線との間で信号送受を行う回線接続部と、回線接続部を含む供給対象へ動作用電力を供給する主電源部と、電話回線の電気的変化を回線イベントとして検出する回線イベント検出部と、当該通信装置の動作モードが、少なくとも回線接続部に対する動作用電力の供給が停止される停止モードに設定されている間に、回線イベント検出部により回線イベントが検出された場合、動作モードを、主電源部から回線接続部へ動作用電力が供給される通常モードに設定する通常モード設定部とを備えることを特徴とする。
このように構成された本発明の通信装置では、回線接続部に動作用電源が供給されない停止モード中は、回線接続部とは別に備えられた回線イベント検出部が回線イベントを検出する。回線イベント検出部により回線イベントが検出されたら、通常モード設定部が動作モードを通常モードに設定する。そのため、電話回線側からの回線イベントを検出できる状態を維持しつつ高い省電力効果を得ることが可能となる。
本発明の通信装置は、主電源部とは別に所定電圧のバックアップ電力を供給するバックアップ電源部を備え、動作モードが停止モードに設定されている間は回線イベント検出部及び通常モード設定部はバックアップ電源部からのバックアップ電力により動作するように構成してもよい。
このように構成された通信装置によれば、停止モード中に回線イベント検出部及び通常モード設定部に主電源部からの動作用電力が供給されなくなっても、バックアップ電力によって停止モード中に回線イベントの検出及び停止モードから通常モードへの切り替えを確実に行うことができる。換言すれば、停止モード中に回線イベント検出部及び通常モード設定部に対する主電源部からの動作用電力の供給は不要となるため、その分、停止モード時の省電力効果を高めることができる。
停止モード及び通常モードは、それぞれ次のような動作モードとすることができる。すなわち、停止モードは、主電源部から供給対象への動作用電力の供給が行われない動作モードである。通常モードは、主電源部から供給対象への動作用電力の供給が行われる動作モードである。
このように、停止モード時には主電源部から供給対象への動作用電力の供給を行わないようにすることで、停止モード時であっても電話回線側からの各種イベントを検知できる状態を維持しながら、より高い省電力効果を得ることができる。
本発明の通信装置は、次のように構成してもよい。すなわち、当該通信装置を起動又は停止させるための入力操作を受け付け可能な操作信号出力部を備える。この操作信号出力部は、動作モードが停止モードに設定されている間はバックアップ電源部からのバックアップ電力により動作し、入力操作が受け付けられた場合にその旨を示す操作信号を通常モード設定部へ出力する。回線イベント検出部は、回線イベントを検出した場合、直接的又は間接的に操作信号を生成して通常モード設定部へ出力する。通常モード設定部は、動作モードが停止モードに設定されている間に操作信号が入力された場合、動作モードを通常モードに設定する。
このように構成された通信装置によれば、停止モード中に回線イベントが検出された場合、回線イベント検出部は、操作信号出力部において入力操作がなされたときと同等の動作を擬似的に発生させる。そのため、停止モード中に回線イベントが検出された場合の通常モードへの切り替えを、簡素な構成で確実に行うようにすることができる。
上記のように操作信号出力部を備えた構成の場合、更に、動作モードが通常モードに設定されている間は回線イベント検出部から通常モード設定部へ操作信号が出力されないようにするための操作信号遮断部を備えるようにしてもよい。
通常モード時にも回線イベント検出部から操作信号が出力されるようにすると、通常モード時に回線イベントが発生する度に回線イベント検出部からの操作信号によって当該通信装置の起動・停止が交互に繰り返されてしまうおそれがある。そこで、操作信号遮断部を備えることで、通常モード時において回線イベント検出部からの操作信号に起因する当該通信装置の起動・停止の交互繰り返しの発生を防ぐことができる。
上記のように操作信号出力部を備えた構成の場合、操作信号遮断部は、具体的には、回線イベント検出部から通常モード設定部への操作信号の伝送経路を遮断するラッチングリレーを備えた構成としてもよい。そして、操作信号遮断部は、通常モード設定部により動作モードが通常モードに設定された場合にラッチングリレーを伝送経路が遮断されるようにセットするようにするとよい。
ラッチングリレーは、オンからオフ又はオフからオンへの切り替え時に通電が必要であるものの切り替え後は通電が不要な構成のリレーである。そのため、回線イベント検出部から通常モード設定部への操作信号の伝送経路の導通・遮断を低電力で実現できる。
上記のように操作信号出力部を備えた構成の場合、回線イベント検出部は、電気的に絶縁された発光素子及び受光素子を有するフォトカプラを備え、電話回線の電気的変化が生じた場合に発光素子が発光してその光が受光素子で受光されると操作信号を生成するよう構成してもよい。フォトカプラを用いることで、電話回線側と装置内部側との絶縁を簡素な構成で確実に確保しつつ、高い省電力効果を得ることができる。
操作信号出力部及び回線イベント検出部は、より具体的には、次のように構成することができる。すなわち、操作信号出力部は、入力操作がなされている間にオンして入力操作がなされていない間はオフする操作スイッチを備え、その操作スイッチがオンされている間に操作信号を出力するよう構成する。回線イベント検出部は、操作スイッチに対して並列に接続された操作スイッチ導通用回路を備える。この操作スイッチ導通用回路は、回線イベントを検出した場合に操作スイッチの両端を導通させることにより操作スイッチを等価的にオンさせて操作信号出力部に操作信号を出力させる。
つまり、操作スイッチ導通用回路は、回線イベントが検出された場合に操作スイッチを等価的(擬似的)にオンさせるのである。このように操作スイッチを等価的にオンさせて操作信号出力部から操作信号を出力させることで、操作信号出力部とは別に操作信号を出力する回路等を設ける必要がなくなる。そのため、簡素な構成でありながら回線イベント発生時に確実に操作信号を出力させて動作モードを通常モードに切り替えることができる。
本発明の通信装置は、さらに、動作モードが通常モードに設定されている間に所定の停止条件が成立した場合に、動作モードを停止モードに設定する、停止モード設定部を備えるようにしてもよい。停止条件を適宜設定することで、適切なタイミングで動作モードを停止モードに設定することができ、省電力効果を安定的に得ることができる。
また、主電源部が、動作モードが通常モードに設定されている間に停止信号が入力されると動作用電力の供給を停止するよう構成されている場合は、停止モード設定部は、通常モードから停止モードへの設定を、主電源部へ停止信号を直接又は間接に出力することにより行うようにするとよい。
更に、主電源部が、動作モードが停止モードに設定されている間に開始信号が入力されると動作用電力の供給が可能となるように構成されている場合は、通常モード設定部は、停止モードから通常モードへの設定を、主電源部へ開始信号を直接又は間接に出力することにより行うようにするとよい。
このように、主電源部への開始信号又は停止信号によって動作モードを切り替えできるようにすることで、動作モードの切り替えを簡素な構成で容易に行うことができる。
実施形態の複合機の概略構成を表す構成図である。 CPUが実行するメイン処理を表すフローチャートである。 実施形態の複合機における回線イベント発生時の動作例を表すタイムチャートである。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に示された具体的手段や構造等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の形態を採り得る。また、下記の実施形態の構成の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略した態様も本発明の実施形態である。
図1に示すように、本発明が適用された実施形態の複合機1は、音声通話機能、ファクシミリ通信機能、コピー機能、スキャナ機能などの複数の機能を備えたものであり、メイン基板10と、通信回路基板20と、パネル基板30と、電源基板40と、回線接続コネクタ50とを備えている。なお、複合機1は、図1に示した構成の他にも、印刷を行う印刷機構や、原稿の画像読取を行う画像読取機構等も備えているが、それらについては図示を省略している。
電源基板40は、スイッチング電源41と、発振制御部42とを備えている。スイッチング電源41は、外部から入力される商用のAC電源(例えばAC100V電源)を複数種類のDC電源電圧に降圧してメイン基板10やその他必要な回路・機構等へ出力する。本実施形態では、スイッチング電源41は、24Vの第1DC電源電圧V1、5Vの第2DC電源電圧V2、及び3.3Vの第3DC電源電圧V3を生成してメイン基板10等へ出力する。
なお、通信回路基板20には、スイッチング電源41で生成された第3DC電源電圧V3が、メイン基板10を介して供給される。ただし、スイッチング電源41から直接供給される構成であってもよい。
発振制御部42は、メイン基板10から入力される電源発振停止・開始パルス信号に基づいてスイッチング電源41を発振又は停止させる。なお、スイッチング電源41について「発振」とは、商用AC電源を各DC電源電圧V1,V2,V3へ降圧して出力する動作を意味する。
発振制御部42は、スイッチング電源41が発振しているときにメイン基板10から電源発振停止・開始パルス信号が入力された場合はスイッチング電源41を停止させ、スイッチング電源41が動作を停止しているときにメイン基板10から電源発振停止・開始パルス信号が入力された場合はスイッチング電源41の発振を開始させる。
パネル基板30は、複合機1の動作をオン/オフさせるためにユーザにより操作される電源ソフトスイッチ31を備えている。この電源ソフトスイッチ31は、一端がメイン基板10内の抵抗R1の一端に接続され、他端がグランドラインに接続されている。
電源ソフトスイッチ31は、物理的構成としては、ユーザが押し操作している間だけ接点が閉じてオンになるいわゆる自動復帰型のスイッチである。即ち、ユーザが押し操作すると、接点が閉じてオンし、抵抗R1の一端とグランドラインとがこの電源ソフトスイッチ31を介して導通する。ユーザが電源ソフトスイッチ31を離すと、接点が開いてオフし、抵抗R1の一端とグランドラインとの間の経路が遮断される。
通信回路基板20は、DAA21と、モデム22と、トランス23と、フォトカプラ24とを備えている。DAA21は、ラインコード60を介して公衆の電話回線に接続される。ラインコード60は、複合機1を電話回線に接続するためのケーブルであり、一対の電話線L1,L2を備えている。ラインコード60が回線接続コネクタ50に接続されると、ラインコード60の一対の電話線L1,L2がそれぞれ通信回路基板20内の一対の回線接続ラインL11,L12に接続され、これにより、電話回線とDAA21とが接続された状態となる。
DAA21は、アナログの電話回線接続用のインタフェースとして用いられる周知の回線接続モジュールであり、メイン基板10内のCPU3からモデム22経由で入力される各種指令に従って、電話回線の閉結や開放、電話回線からの各種入力信号(例えば呼出信号、ダイヤルトーン、極性反転など)の検出、電話回線への各種出力信号の送出などを行う。
DAA21は、複合機1における一次側(DAA21,回線接続コネクタ50側)と二次側(モデム22側)とを直流的に絶縁するために、トランス23を介してモデム22に接続されている。DAA21の動作用電源は、モデム22からトランス23を介して供給される。また、DAA21とモデム22との間の各種信号等の入出力も、トランス23を介して行われる。
モデム22は、ファクシミリ通信において送受信されるファクシミリ信号の変調・復調といった基本的機能を有する他、メイン基板10のCPU3からの指令に従いながらDAA21を制御し、DAA21への各種信号等の出力や、DAA21からの各種入力信号・回線電圧等の受信などを行う。
フォトカプラ24は、発光ダイオード部25とフォトトランジスタ26を備えている。発光ダイオード部25は、互いに逆方向となるように並列接続された2つの発光ダイオードからなる。発光ダイオード部25の一端は、コンデンサC1を介して一方の回線接続ラインL11に接続され、発光ダイオード部25の他端は、他方の回線接続ラインL12に接続されている。
そのため、電話回線において例えば極性反転が生じたり呼出信号が出力されたりすることによって電話回線に電気的変化(一対の電話線L1,L2の線間電圧の変動)が生じると、発光ダイオード部25を構成する2つの発光ダイオードのうち何れか一方が発光し、その発光している間、フォトトランジスタ26がオンする。
フォトトランジスタ26は、一端(エミッタ)がパネル基板30内の電源ソフトスイッチ31の他端に接続(すなわちグランドラインに接続)されている。フォトトランジスタ26の他端(コレクタ)は、メイン基板10内のラッチングリレー12を介して抵抗R1の一端に接続(すなわち電源ソフトスイッチ31の一端に接続)されている。つまり、電源ソフトスイッチ31には、フォトトランジスタ26及びラッチングリレー12が直列接続されてなる回路が、並列に接続されている。なお、フォトトランジスタ26のエミッタとコレクタの間には、コンデンサC2が接続されている。
ラッチングリレー12は、スイッチ部13と、スイッチ部13を動作させるセット(S)/リセット(R)コイル部14とを備えている。スイッチ部13は、1つのコモン端子と2つの接点とを備え、コモン端子は抵抗R1の一端に接続(すなわち電源ソフトスイッチ31の一端に接続)されており、2つの接点のうち一方がフォトトランジスタ26の他端(コレクタ)に接続されている。このフォトトランジスタ26の他端に接続されている接点を、以下、カプラ側接点ともいう。
ラッチングリレー12のスイッチ部13は、S/Rコイル部14にパルスが入力される度に接点が切り替わる。図1では、スイッチ部13が、カプラ側接点に切り替えられてコモン端子とカプラ側接点とが導通した状態となっており、本実施形態ではこの状態をセット状態という。逆に、スイッチ部13がカプラ側接点とは別のもう一方の接点に切り替えられた状態をリセット状態という。
ラッチングリレー12は、スイッチ部13の切り替え時のみS/Rコイル部14への通電(パルス入力)を必要とし、切り替え後の状態維持のための定常的な通電は不要なリレーである。すなわち、スイッチ部13がリセット状態にあるときに、S/Rコイル部14にセット用のパルスが入力されると、スイッチ部13がセットされる(すなわちセット状態に切り替わる)。スイッチ部13がセット状態にあるときに、S/Rコイル部14にリセット用のパルスが入力されると、スイッチ部13がリセットされる(すなわちリセット状態に切り替わる)。つまり、S/Rコイル部14にパルスが入力される度に、スイッチ部13のセット、リセット状態が切り替わる。S/Rコイル部14へのパルス入力によりスイッチ部13の状態が切り替わると、その後再びパルスが入力されるまでの間は、S/Rコイル部14は非通電状態であるもののその切り替わった状態は維持される。
次に、メイン基板10について説明する。メイン基板10は、CPU3、省電力チップ7、バックアップ電源8、電圧変換部9、リレードライブ回路11、ラッチングリレー12、抵抗R1などを備えている。
CPU3は、複合機1が備える各種機能を実現するための各種制御処理等を実行する。CPU3の機能には、リレードライブ回路11や図示しない印刷機構、画像読取機構などの各部を制御・動作させる機能も含まれる。CPU3は、ラッチングリレー12をセット状態にさせる際は、リレードライブ回路11へセット指令を出力し、ラッチングリレー12をリセット状態にさせる際は、リレードライブ回路11へリセット指令を出力する。
リレードライブ回路11は、CPU3からの指令に基づき、ラッチングリレー12を切り替えるためのパルスを出力する。具体的には、CPU3からセット指令が入力された場合は、ラッチングリレー12のS/Rコイル部14へセット用のパルス(セットパルス)を出力して、ラッチングリレー12をセット状態にさせる。CPU3からリセット指令が入力された場合は、ラッチングリレー12のS/Rコイル部14へリセット用のパルス(リセットパルス)を出力して、ラッチングリレー12をリセット状態にさせる。
省電力チップ7は、起動検知部15、RTC(リアルタイムクロック)16、電源制御部17などを備えたIC(半導体集積回路)である。起動検知部15は、電源ソフトスイッチ31の操作の有無を検知する機能のほか、後述する動作モードの切替タイミング(特にOFFモードから通常モードへの切り替え(復帰)タイミング)を検知する機能を備えている。RTC16は、現在時刻を保持・出力する。電源制御部17は、CPU3からの指令又は起動検知部15からの指令に基づいて、電源基板40の発振制御部42へ、電源発振停止・開始パルス信号を出力する。省電力チップ7は、スイッチング電源41からの第2DC電源電圧V2又はバックアップ電源8からの電力により動作する。
電圧変換部9は、スイッチング電源41からの第2DC電源電圧V2又はバックアップ電源8からの電圧(約5V)を、3.3Vの操作検知用電圧Vbに変換する。この操作検知用電圧Vbは、抵抗R1の他端に印加される。抵抗R1の一端は、既述の通り電源ソフトスイッチ31に接続されると共に、省電力チップ7内の起動検知部15にも接続されている。つまり、起動検知部15には、抵抗R1の一端の電圧が、スイッチ操作信号Psとして入力される。
このような構成により、起動検知部15には、電源ソフトスイッチ31が押し操作されていない場合は、3.3Vの操作検知用電圧Vbが抵抗R1を介して入力される。つまり、3.3Vのスイッチ操作信号Psが入力される。一方、電源ソフトスイッチ31が押し操作されると、抵抗R1の一端が電源ソフトスイッチ31を介してグランドラインに接続され、これによりスイッチ操作信号Psは0Vとなる。
起動検知部15は、入力されるスイッチ操作信号Psの電圧の変化によって、電源ソフトスイッチ31が押し操作されたことを検知する。そして、電源ソフトスイッチ31の押し操作が検出される度に、後述するように複合機1の動作モードを切り替える。
ここで、複合機1の動作モードについて説明する。本実施形態の複合機1は、動作モードとして、通常モードとOFFモードを有している。通常モードは、スイッチング電源41から複合機1内の各部へ各種DC電源電圧V1,V2,V3が供給されて複合機1内の各部が動作可能となる動作モードである。通常モードでは、スイッチング電源41からの各種DC電源電圧V1,V2,V3がメイン基板10に供給され、このうち少なくとも3.3Vの第3電源電圧V3は通信回路基板20にも供給される。
そのため、通常モードでは、メイン基板10においては、CPU3が動作して、複合機1が備える各種機能の実行が可能となる。通信回路基板20においても、DAA21やモデム22などの各回路が動作可能となり、これにより、電話回線を介した音声電話やファクシミリ通信等の各種通信が可能となる。そのため、通常モードでは、例えば音声電話の着信時に電話回線の極性が反転すると、その極性反転がDAA21により検出され、DAA21が回線を閉結する。そして、CPU3の制御のもとで、呼出音の鳴動や回線側への応答信号送信などの各種動作を経て、発呼側との音声通話が可能となる。
また、通常モード時は、スイッチング電源41からの第2DC電源電圧V2が、ダイオードD1を介して省電力チップ7及び電圧変換部9へ入力される。そのため、省電力チップ7及び電圧変換部9は、通常モード時には、スイッチング電源41からの第2DC電源電圧V2により動作する。
一方、OFFモードは、複合機1が一定時間使用されていない待機時や、通常モード中にユーザが電源ソフトスイッチ31を押し操作した場合などに設定される動作モードであって、スイッチング電源41の発振が停止されて各種DC電源電圧V1,V2,V3の供給が停止される(各DC電源電圧V1,V2,V3が0Vになる)動作モードである。スイッチング電源41の発振が完全に停止するため、OFFモード中の待機電力はほとんどゼロである。OFFモードを導入していることで、本実施形態の複合機1では、非常に高いレベルの省電力が実現される。
CPU3は、通常モード時に常時、動作モードをOFFモードへ切り替えるべきOFFモード切替条件が成立したか否かを判断している。本実施形態では、OFFモード切替条件として、例えば、複合機1が一定時間使用されていないことや、電源ソフトスイッチ31が押し操作されたことなどが設定されている。CPU3は、RTC16からの時刻情報やスイッチ操作信号Psなどの各種情報を用いながら、OFFモード切替条件が成立したかどうか判断し、OFFモード切替条件が成立した場合は、電源制御部17に対して電源発振停止・開始パルス信号を出力させる。通常モード時に電源制御部17が電源発振停止・開始パルス信号を出力すると、電源基板40において発振制御部42がスイッチング電源41の発振を停止させるため、これにより動作モードが通常モードからOFFモードに切り替わる。
OFFモードでは、スイッチング電源41の発振が停止されるため、CPU3やDAA21、モデム22などの、複合機1内のほとんどの回路は、電力供給が途絶えて停止する。そのため、従来のスリープモードよりもさらに消費電力が抑えられる。
ただし、OFFモード中であっても維持させるべき機能(以下「最低基本機能」ともいう)がいくつかある。例えば、RTC16、電源ソフトスイッチ31の操作有無検知、OFFモードを解除して通常モードに復帰させる復帰条件を検出するための起動検知部15、OFFモード解除の際にスイッチング電源41を発振させるために電源発振停止・開始パルス信号を出力する電源制御部17などが、最低基本機能の一例である。つまり、OFFモード中であっても、最低限、省電力チップ7内の各部の動作や、電源ソフトスイッチ31の操作有無検知は、維持させる必要がある。
そこで本実施形態では、OFFモード中であってもこれら最低基本機能を維持させるために、バックアップ電源8を搭載している。バックアップ電源8の具体的構成は種々考えられるが、本実施形態では、スーパーキャパシタC0を備えた構成となっている。
スーパーキャパシタC0には、通常モード中にスイッチング電源41から5Vの第2DC電源電圧V2が供給され、これにより5Vに充電される。OFFモードになると、スーパーキャパシタC0の充電電力が、バックアップ電力として省電力チップ7や電圧変換部9に供給されてこれらが動作可能となり、これにより最低基本機能が維持される。
動作モードをOFFモードから通常モードへ復帰させるための復帰条件として、本実施形態では、例えば、電源ソフトスイッチ31が押し操作されたことや、スーパーキャパシタC0の充電電圧が規定の下限電圧以下になったこと、OFFモードが一定時間継続していること、などが設定されている。
すなわち、OFFモード中に電源ソフトスイッチ31が押し操作されると、起動検知部15に入力されるスイッチ操作信号Psは、Highレベル(3.3V)からLowレベル(0V)に変化する。起動検知部15は、そのスイッチ操作信号Psの変化を検出すると、電源制御部17に対して電源発振停止・開始パルス信号を出力させることで、動作モードを通常モードに復帰させる。
また、OFFモードが一定時間継続した場合も、一時的に通常モードに復帰させて、例えば印刷機構のクリーニング処理などの所定の処理を実行させる。起動検知部15は、RTC16の時刻情報をもとに、OFFモードが一定時間継続したか否か判断する。そして、一定時間継続した場合、電源制御部17に対して電源発振停止・開始パルス信号を出力させることで、動作モードを通常モードに復帰させる。CPU3は、一定時間継続によって通常モードに復帰された場合は、必要な所定の処理を実行した後、再びOFFモードに切り替える。
また、OFFモード中にスーパーキャパシタC0の充電電圧が下限電圧値以下になった場合も、一時的に通常モードに復帰させ、スイッチング電源41の発振を再開させて、スーパーキャパシタC0を充電させる。起動検知部15は、スーパーキャパシタC0の充電電圧を監視し、下限電圧値以下になった場合、電源制御部17に対して電源発振停止・開始パルス信号を出力させることで、動作モードをOFFモードから通常モードに復帰させる。この場合のOFFモード解除は、スーパーキャパシタC0の充電電力を補充するための解除である。そのため、一時的にOFFモードが解除されるものの、スーパーキャパシタC0が一定量充電されたら、CPU3は再び動作モードをOFFモードに切り替える。
なお、バックアップ電源8の具体的構成は他にも種々考えられ、例えば、ACダイレクト小容量電源や、スーパーキャパシタとACダイレクト小容量電源の併用、あるいは2次電池などを備えるようにしてもよい。
ACダイレクト小容量電源とは、スイッチング電源41とは別に設けられ、外部の商用AC電源からバックアップ電源電圧(本例ではDC5V)を生成して省電力チップ7や電圧変換部9へ供給するための電源回路である。ACダイレクト小容量電源は、例えばダイオードブリッジからなる整流回路、ツェナーダイオード、平滑コンデンサなどからなるごく簡素な回路にて構成できる。ACダイレクト小容量電源は、商用AC電源が入力されている限り常時バックアップ電源電圧を生成可能である。
バックアップ電源8が上記のようなACダイレクト小容量電源で構成されている場合、その構成上、OFFモード中でも、商用AC電源から直接、最低基本機能維持のために必要なバックアップ電力を得ることができる。
バックアップ電源8がスーパーキャパシタC0とACダイレクト小容量電源の併用構成である場合、スーパーキャパシタC0の電力及びACダイレクト小容量電源からの電力の双方がバックアップ電力として存在することで、能力の高いバックアップ電源回路が実現される。なお、バックアップ電源8がスーパーキャパシタC0とACダイレクト小容量電源の併用構成である場合は、スーパーキャパシタC0はOFFモード中もACダイレクト小容量電源により充電される。そのため、バックアップ電源8をスーパーキャパシタCOだけで構成する場合のようにOFFモード中にスーパーキャパシタC0の充電電圧によって一時的にOFFモードが解除されることはない。
動作モードとしてOFFモードを備える本実施形態の複合機1では、動作モードがOFFモードになると、スイッチング電源41からの電力供給が途絶えるため、通信回路基板20においてもDAA21やモデム22などの動作が停止する。そのため、OFFモードになると、電話回線が極性反転したり呼出信号が入力されたりするなどの、電話回線側(交換機等)の制御動作等に起因した電話回線の電気的変化(回線イベント)が生じても、DAA21はその回線イベントを検出できない。
そこで本実施形態の複合機1は、OFFモード時であっても回線イベントを検出して通常モードに復帰させることができるよう、フォトカプラ24を含む回線イベント検知回路を備えている。この回線イベント検知回路は、主に、一対の回線接続ラインL11,L12の間に接続された発光ダイオード部25や、電源ソフトスイッチ31に並列接続されている、フォトトランジスタ26及びラッチングリレー12が直列接続されてなる回路などにより構成されている。
また、本実施形態では、CPU3が、OFFモードへの切り替え時にラッチングリレーをセット状態にし、OFFモードから通常モード時に復帰した時にラッチングリレー12をリセット状態にする。CPU3は、ラッチングリレー12の切り替えを、リレードライブ回路11を動作させてリレードライブ回路11からパルスを出力させることにより実現する。図1に示したラッチングリレー12の状態は、既述の通りセット状態を示しており、これはすなわち、動作モードがOFFモードである場合の状態を示している。
このような構成により、OFFモード時に、例えば回線イベントとして電話回線の極性反転が生じると、発光ダイオード部25に電流が流れて何れかの発光ダイオードが発光し、これによりフォトトランジスタ26がオンする。すると、抵抗R1の一端は、ラッチングリレー12及びフォトトランジスタ26を介してパネル基板30のグランドラインに接続され、これにより抵抗R1の一端の電圧は0Vとなる。
この状態は、電源ソフトスイッチ31の両端が導通した状態となっており、電源ソフトスイッチ31が押し操作された状態と等価である。つまり、本実施形態では、OFFモード時に回線イベントが発生した場合、フォトトランジスタ26がオンさせることで電源ソフトスイッチ31を擬似的にオンさせるのである。フォトトランジスタ26がオンすると、起動検知部15に入力されるスイッチ操作信号Psは0Vになる。起動検知部15は、OFFモード時にスイッチ操作信号Psが0Vになると、電源ソフトスイッチ31が押し操作されたものと判断して、動作モードを通常モードに復帰させる。
極性反転に限らず、例えば呼出信号(所定周波数の交流信号)が電話回線から入力された場合も、その呼出信号によって発光ダイオード部25が発光してフォトトランジスタ26がオンする。そのため、擬似的に電源ソフトスイッチ31が押し操作された状態となり、動作モードが通常モードに復帰する。
更に、複合機1にラインコード60が接続されておらず且つ動作モードがOFFモードになっている状態で、複合機1にラインコード60が接続された場合も、そのラインコード60の接続時に一対の電話線L1,L2間の電位差(例えば約48V)によって発光ダイオード部25が発光し、これにより動作モードが通常モードに復帰する。
このように、本実施形態の複合機1は、フォトカプラ24を含む回線イベント検知回路を備えていることで、DAA21が動作しないOFFモード中であっても、DAA21に代わって回線イベントを検知し、通常モードに復帰させることができる。通常モードに復帰した後は、DAA21が動作し、DAA21により回線イベントが検出されて電話回線側との音声通話やファクシミリ通信等が行われることになる。
一方、通常モード時に復帰した後も、回線イベント検知回路をOFFモード時と同じ状態にしたままだと、この回線イベント検知回路の動作によって動作モードの不要な切り替えが発生してしまう。すなわち、動作モードが通常モードのときに、回線イベントが発生すると、DAA21がその回線イベントを検知して所定の処理を行うのと並行して、フォトカプラ24も動作してフォトトランジスタ26がオンし、電源ソフトスイッチ31が擬似的にオンされてしまう。すると、起動検知部15は、電源ソフトスイッチ31がオンされたものと判断して、動作モードを通常モードからOFFモードに切り替えてしまう。つまり、通常モード中、回線イベントが発生する度に、電源ソフトスイッチ31が擬似的にオンされて動作モードが切り替わってしまう。
そこで本実施形態では、回線イベント検知回路にラッチングリレー12を設けて、通常モード時には回線イベント検知回路が動作しないようにしている。すなわち、OFFモード時のみラッチングリレー12をセット状態にして、回線イベントが発生したら電源ソフトスイッチ31を擬似的にオンできるようにする。そして、通常モード時は、ラッチングリレー12をリセット状態にして、回線イベントが発生しても電源ソフトスイッチ31が擬似的にオンされないようにする。
なお、通常モード中に回線イベントにより電源ソフトスイッチ31が擬似的にオンされるのを防ぐための具体的手段としてラッチングリレー12を用いるのは、あくまでも一例であり、他の手段を用いて同じ機能を実現するようにしてもよい。
例えば、ラッチングリレー12ではなく、コイルへの通電・非通電によってスイッチの状態が切り替わる一般的なリレーを用いてもよい。その場合、OFFモード中の非通電状態のときにスイッチ部13が図1に示す状態(つまり回線イベント検知回路が有効となる状態)になるようにし、通常モード時にはコイルに通電することでスイッチ部13を切り替えて回線イベント検知回路を無効とするようにすればよい。
ただし、上記のように一般的なリレーを用いると、通常モード中はリレーのコイルに常時通電する必要があり、その分、通常モード時の消費電力が増加してしまう。そのため、通常モード時の消費電力を少しでも低減させるためには、ラッチングリレー12を用いた本実施形態の構成のような、通常モード時に連続的な通電を必要としないような手段を用いるのが好ましい。
CPU3が実行するメイン処理について、図2を用いて説明する。CPU3は、スイッチング電源41からの電源供給により起動すると、図示しないメモリから図2のメイン処理のプログラムを読み出して実行する。なお、CPU3は、図2のメイン処理によって、通常モードからOFFモードへの切り替えは行うが、OFFモードから通常モードへの切り替えはCPU3が主体的に行うものではない。OFFモード中はCPU3にも電源が供給されず、CPU3は停止している。OFFモードから通常モードへの切り替えは、既述の通り、復帰条件が成立した場合に省電力チップ7により行われる。OFFモード時に復帰条件が成立すると、省電力チップ7内の電源制御部17から発振制御部42へ電源発振停止・開始パルスが出力され、これによりスイッチング電源41からの電源供給が開始される。本実施形態ではスイッチング電源41からの電源供給が開始されている間の動作モードを通常モードと定義しているため、CPU3が動作を開始して図2のメイン処理を開始した時点で、すでに動作モードは通常モードになっている。
CPU3は、図2のメイン処理を開始すると、S110で、リレードライブ回路11へリセット指令を出力してラッチングリレー12をリセット状態にする。S120では、通常モード起動処理を行う。通常モード起動処理は、CPU3の起動時に実行される、予め決められたいくつかの処理である。
S130では、CPU3の起動が、OFFモード中に一時的復帰条件が成立したことによる起動であるか否かを判断する。一時的復帰条件とは、OFFモードが一定時間継続したこと、又はスーパーキャパシタC0の充電電圧が下限電圧値以下になったこと、の何れかである。
CPU3の起動が、OFFモード中に一時的復帰条件が成立したことによる起動でない場合は、S140で、電源ソフトスイッチ31が押し操作されたか否か判断する。電源ソフトスイッチ31が押し操作されていない場合は、S150で、当該複合機1が使用されていない未使用状態が一定時間継続したか否か判断する。未使用状態が一定時間継続していない場合は、S160でその他の処理(詳細は省略)を行って、S140に戻る。
S140で電源ソフトスイッチ13が押し操作されたと判断した場合、及びS150で未使用状態が一定時間継続したと判断した場合は、OFFモード切替条件が成立したということであるため、OFFモードへ切り替えるためのS170及びS180の処理を行う。
S170では、リレードライブ回路11へセット指令を出力してラッチングリレー12をセット状態にする。S180では、電源制御部17へ、電源発振停止・開始パルス信号の出力を命令する。これにより、電源制御部17から発振制御部42へ電源発振停止・開始パルスが出力され、スイッチング電源41の発振が停止されて、動作モードがOFFモードに移行する。
S130で、CPU3の起動が、OFFモード中に一時的復帰条件が成立したことによる起動である場合は、S190に進み、一時的起動時対応処理を行う。一時的起動時対応処理は、どのような一時的復帰条件が成立したことでOFFモードから通常モードに切り替わったのかによって予め決められている。例えば、OFFモードが一定時間継続したことにより通常モードに切り替わった場合は、印刷機構のクリーニング処理などの所定の処理が一時的起動時対応処理となり、スーパーキャパシタC0の充電電圧が下限電圧値以下になったことにより通常モードに切り替わった場合は、スーパーキャパシタC0を一定量充電することが一時的起動時対応処理となる。S190の一時的起動時対応処理を終えたら、S170に進む。
次に、本実施形態の複合機1の動作のうち、OFFモード時に回線イベント発生によって通常モードに切り替わる場合の動作例を、図3を用いて説明する。通常モード時にOFFモード切替条件が成立すると、CPU3は、OFFモードに切り替わる前の必要な処理を行い、且つラッチングリレー12をセットする(t1)。これにより、動作モードがOFFモードに移行する(t2)。
OFFモード移行後、極性反転などの回線イベントが発生すると(t3)、フォトカプラ24が動作してフォトトランジスタ26がオンすることにより、電源ソフトスイッチ31が擬似的にオンされ、省電力チップ7に入力されるスイッチ操作信号PsがHighレベル(3.3V)からLowレベル(0V)に変化する(t4)。これにより、省電力チップ7の電源制御部17が電源基板40に電源発振停止・開始パルス信号を出力して、スイッチング電源41を発振させる。スイッチング電源41が発振して各DC電源電圧V1,V2,V3が出力されることで、OFFモードが解除されて通常モードに復帰する(t5)。
以上説明した本実施形態の複合機1によれば、DAA21に電源が供給されないOFFモード中は、フォトカプラ24などからなる回線イベント検知回路によって回線イベントを検出し、回線イベントが発生したら電源ソフトスイッチ31を擬似的にオンさせることで、動作モードを通常モードに復帰させる。そのため、OFFモードとして、スイッチング電源41の動作を完全に停止させて消費電力をほぼゼロとする、省電力効果の非常に高いモードを実現しながらも、OFFモード中であっても回線イベントを検出できる状態を維持することができる。
仮に、OFFモードに移行する機能を備えているもののOFFモード中は回線イベントを検出できないような構成の場合、電話回線との通信機能を重視するユーザにとっては、そのOFFモードは使えない。OFFモードを使えるユーザは、電話回線との通信機能を使用しないユーザなど、回線イベントを検出できなくなっても支障のない一部ユーザに限られてしまう。
これに対し、本実施形態の複合機1は、OFFモード中であっても回線イベントを検出できるため、電話回線との通信機能を重視するユーザも問題なくOFFモードを使用できる。つまり、電話機能やファクシミリ通信機能を備えた複合機1に対しても、容易且つ効果的にOFFモードを導入することができる。
また、OFFモード中は、バックアップ電源8によって、省電力チップ7や電圧変換部9などの必要最小限の動作が継続される。そのため、OFFモード中、スイッチング電源41からの電力供給は途絶えるものの、バックアップ電源8によって、OFFモードから通常モードへの切り替えを確実に行うことができる。また、省電力チップ7や電圧変換部9に対してスイッチング電源41から電力供給する必要が無いため、その分、OFFモード時の省電力効果を高めることができる。
また、回線イベントを検出した場合にそれを省電力チップ7に伝える方法として、電源ソフトスイッチ31に対して回線イベント検知回路を並列に接続し、これにより回線イベント発生時に電源ソフトスイッチ31を擬似的にオンさせる方法を採用している。これにより、簡素な構成ながら、回線イベントが検出された場合の通常モードへの切り替えを確実に行うことができる。
また、ラッチングリレー12を備え、これにより、通常モード中に回線イベント発生によって電源ソフトスイッチ31が擬似的にオンされてしまうのを防ぐようにしている。つまり、通常モード時には回線イベント検知回路の動作が無効化される。そのため、通常モード時において、回線イベント発生の度に電源ソフトスイッチ31が擬似的にオンされて動作モードが切り替わってしまうことを防止することができる。
しかも、ラッチングリレー12を用いていることで、セット・リセットの切り替え時は通電(パルス)が必要であるもののそれ以外は通電する必要がない。そのため、通常モード時における回線イベント検知回路の無効化を、より低消費電力で実現できる。
なお、本実施形態において、DAA21は本発明の回線接続部の一例に相当し、スイッチング電源41は本発明の主電源部の一例に相当し、抵抗R1からラッチングリレー12及びフォトカプラ24を経てパネル基板30内のグランドラインに至る回路は本発明の操作スイッチ導通用回路の一例に相当し、省電力チップ7は本発明の通常モード設定部の一例に相当し、バックアップ電源8は本発明のバックアップ電源部の一例に相当し、電源ソフトスイッチ31は本発明の操作スイッチの一例に相当する。
[他の実施形態]
(1)回線イベントを検出する手段としてフォトカプラ24を用いるのはあくまでも一例である。フォトカプラ24に代えて例えばフォトMOSリレーを用いてもよく、一次側(回線側)と二次側を直流的に絶縁しつつ回線イベント発生を二次側に伝達出来る限り、種々の回路構成・素子等を用いることができる。
(2)OFFモード時の回線イベント発生を省電力チップ7に伝える方法として、上記実施形態では、電源ソフトスイッチ31と並列に回線イベント検知回路を設けてこれにより電源ソフトスイッチ31を擬似的にオンさせる方法を採用したが、これはあくまでも一例である。回線イベントが発生したことを省電力チップ7の起動検知部15に伝えることができる限り、様々な方法を採用できる。
(3)上記実施形態では、本発明を複合機1に適用した例を示したが、本発明の適用が複合機1に限定されるものでないことはいうまでもない。電話回線に接続して使用されるあらゆる種類の通信装置に対して本発明を適用可能である。
1…複合機、3…CPU、7…省電力チップ、8…バックアップ電源、9…電圧変換部、10…メイン基板、11…リレードライブ回路、12…ラッチングリレー、13…スイッチ部、14…S/Rコイル部、15…起動検知部、16…RTC、17…電源制御部、20…通信回路基板、21…DAA、22…モデム、23…トランス、24…フォトカプラ、25…発光ダイオード部、26…フォトトランジスタ、30…パネル基板、31…電源ソフトスイッチ、40…電源基板、41…スイッチング電源、42…発振制御部、50…回線接続コネクタ、60…ラインコード、C0…スーパーキャパシタ、C1,C2…コンデンサ、D1…ダイオード、L1,L2…電話線、L11,L12…回線接続ライン、R1…抵抗。

Claims (12)

  1. 電話回線に接続可能な通信装置であって、
    供給される動作用電力により動作し、前記電話回線に接続されて前記電話回線との間で信号送受を行う回線接続部と、
    前記回線接続部を含む供給対象へ前記動作用電力を供給する主電源部と、
    前記電話回線の電気的変化を回線イベントとして検出する回線イベント検出部と、
    当該通信装置の動作モードが、少なくとも前記回線接続部に対する前記動作用電力の供給が停止される停止モードに設定されている間に、前記回線イベント検出部により前記回線イベントが検出された場合、前記動作モードを、前記主電源部から前記回線接続部へ前記動作用電力が供給される通常モードに設定する通常モード設定部と、
    を備えることを特徴とする通信装置。
  2. 請求項1に記載の通信装置であって、
    前記主電源部とは別に設けられ、所定電圧のバックアップ電力を供給するバックアップ電源部を備え、
    前記回線イベント検出部及び前記通常モード設定部は、前記動作モードが前記停止モードに設定されている間は、前記バックアップ電源部からの前記バックアップ電力により動作する
    ことを特徴とする通信装置。
  3. 請求項2に記載の通信装置であって、
    前記停止モードは、前記主電源部から前記供給対象への前記動作用電力の供給が行われない動作モードであり、
    前記通常モードは、前記主電源部から前記供給対象への前記動作用電力の供給が行われる動作モードである
    ことを特徴とする通信装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の通信装置であって、
    当該通信装置を起動又は停止させるための入力操作を受け付け可能であって、前記入力操作が受け付けられた場合にその旨を示す操作信号を前記通常モード設定部へ出力する操作信号出力部を備え、
    前記操作信号出力部は、前記動作モードが前記停止モードに設定されている間は前記バックアップ電源部からの前記バックアップ電力により動作し、
    前記回線イベント検出部は、前記回線イベントを検出した場合、直接的又は間接的に前記操作信号を生成して前記通常モード設定部へ出力し、
    前記通常モード設定部は、前記動作モードが前記停止モードに設定されている間に前記操作信号が入力された場合、前記動作モードを前記通常モードに設定する
    ことを特徴とする通信装置。
  5. 請求項4に記載の通信装置であって、
    前記動作モードが前記通常モードに設定されている間は前記回線イベント検出部から前記通常モード設定部へ前記操作信号が出力されないようにするための操作信号遮断部を備えている
    ことを特徴とする通信装置。
  6. 請求項5に記載の通信装置であって、
    前記操作信号遮断部は、前記回線イベント検出部から前記通常モード設定部への前記操作信号の伝送経路を遮断するラッチングリレーを備えている
    ことを特徴とする通信装置。
  7. 請求項6に記載の通信装置であって、
    前記操作信号遮断部は、前記通常モード設定部により前記動作モードが前記通常モードに設定された場合は、前記ラッチングリレーを、前記伝送経路が遮断されるようにセットする
    ことを特徴とする通信装置。
  8. 請求項4〜請求項7の何れか1項に記載の通信装置であって、
    前記回線イベント検出部は、電気的に絶縁された発光素子及び受光素子を有するフォトカプラを備え、前記電話回線の電気的変化が生じた場合に前記発光素子が発光してその光が前記受光素子で受光されると前記操作信号を生成するよう構成されている
    ことを特徴とする通信装置。
  9. 請求項4〜請求項8の何れか1項に記載の通信装置であって、
    前記操作信号出力部は、前記入力操作がなされている間にオンして前記入力操作がなされていない間はオフする操作スイッチを備え、前記操作スイッチがオンされている間に前記操作信号を出力するよう構成されており、
    前記回線イベント検出部は、前記操作スイッチに対して並列に接続された回路であって、前記回線イベントを検出した場合に前記操作スイッチの両端を導通させることにより前記操作スイッチを等価的にオンさせて前記操作信号出力部に前記操作信号を出力させる操作スイッチ導通用回路を備えている
    ことを特徴とする通信装置。
  10. 請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の通信装置であって、
    前記動作モードが前記通常モードに設定されている間に所定の停止条件が成立した場合に、前記動作モードを前記停止モードに設定する停止モード設定部を備えている
    ことを特徴とする通信装置。
  11. 請求項10に記載の通信装置であって、
    前記主電源部は、前記動作モードが前記通常モードに設定されている間に停止信号が入力されると前記動作用電力の供給を停止するよう構成されており、
    前記停止モード設定部は、前記通常モードから前記停止モードへの設定を、前記主電源部へ前記停止信号を直接又は間接に出力することにより行う
    ことを特徴とする通信装置。
  12. 請求項1〜請求項11の何れか1項に記載の通信装置であって、
    前記主電源部は、前記動作モードが前記停止モードに設定されている間に開始信号が入力されると前記動作用電力の供給が可能となるように構成されており、
    前記通常モード設定部は、前記停止モードから前記通常モードへの設定を、前記主電源部へ前記開始信号を直接又は間接に出力することにより行う
    ことを特徴とする通信装置。
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