JP2014162238A - 車両のエアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両衝突時の衝撃力の吸収性能を向上させることができる車両のエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】車両衝突時にガスをエアバッグ本体9に供給するインフレータ8が、車体のルーフの周縁部3にブラケット10を介して取り付けられ、ブラケット10は、ルーフの周縁部3に沿う長板状に形成され、インフレータ8が固定されるブラケット10の固定部20と、ルーフの周縁部3に取り付けられるブラケット10の取り付け部とは、ブラケット10の長手方向に並び、固定部20の固定面は取り付け部の取り付け面に対して、上側ほど車室外側W2に位置するように傾斜している。
【選択図】図5

Description

本発明は、
車両衝突時にガスをエアバッグ本体に供給するインフレータが、車体のルーフの周縁部にブラケットを介して取り付けられ、
前記ブラケットは、前記ルーフの周縁部に沿う長板状に形成され、
前記インフレータが固定される前記ブラケットの固定部と、前記ルーフの周縁部に取り付けられる前記ブラケットの取り付け部とは、前記ブラケットの長手方向に並んでいる車両のエアバッグ装置に関する。
上記のエアバッグ装置を備えた車両では、車両衝突時に衝撃力で乗員の頭部が硬度の高い金属製のインフレータに当接する虞がある。そこで、前記ブラケットを変形させて前記衝撃力を吸収している。
その一例として、従来、特許文献1に開示されているように、インフレータを板状のブラケットを介して車体に片持ち支持させてあった。そして、インフレータが固定されるブラケットの固定部と、前記ルーフの周縁部に取り付けられるブラケットの取り付け部との間の平板部を車両衝突時に折曲変形させていた。
この技術において、前記ブラケットの固定部の固定面と、前記ブラケットの取り付け部の取り付け面とは略直交している。
特開2010‐235043号公報
上記従来の構造によれば、前記ブラケットの固定部の固定面と、前記ブラケットの取り付け部の取り付け面とは略直交しているために、固定部と取り付け部の間の平板部が、車両衝突時の衝撃力にある程度抗することができて、衝撃力の吸収性能の面で改善の余地があった。
本発明の目的は、車両衝突時の衝撃力の吸収性能を向上させることができる車両のエアバッグ装置を提供する点にある。
本発明の特徴は、
車両衝突時にガスをエアバッグ本体に供給するインフレータが、車体のルーフの周縁部にブラケットを介して取り付けられ、
前記ブラケットは、前記ルーフの周縁部に沿う長板状に形成され、
前記インフレータが固定される前記ブラケットの固定部と、前記ルーフの周縁部に取り付けられる前記ブラケットの取り付け部とは、前記ブラケットの長手方向に並んでいる車両のエアバッグ装置であって、
前記ブラケットの固定部の固定面は、前記ブラケットの取り付け部の取り付け面に対して、上側ほど車室外側に位置するように傾斜している点にある。(請求項1)
上記の構成によれば、前記ブラケットの固定部の固定面は、前記ブラケットの取り付け部の取り付け面に対して、上側ほど車室外側に位置するように傾斜しているから、車両衝突時の衝撃力で、ブラケットの固定部が車室外側に傾斜変形しやすくなる。従って、前記衝撃力の吸収性能を向上させることができる。
そして、ブラケットの固定部が車室外側に傾斜することで、エアバッグ本体を上側に移動させることができ、乗員の頭部に対する車室内空間を拡大することができる。その結果、乗員の頭部を保護することができる。(請求項1)
本発明において、
前記固定部は前記ブラケットの長手方向中間部に設けられ、
前記取り付け部は、前記ブラケットの固定部の両側に設けられていると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
インフレータを、ブラケットを介して前記ルーフの周縁部で安定支持することができる。これにより、車両衝突時の衝撃力で、ブラケットの固定部を車室外側(車室外側)に、より傾斜変形させやすくすることができる。(請求項2)
本発明において、
前記固定部は、前記ブラケットの長手方向中間部をひねって形成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
例えば、前記固定部の固定面が、前記取り付け部の取り付け面に対して上側ほど車室外側に位置するように、前記ブラケットを曲げ加工する手段に比べると、曲げ部への応力の集中を防ぐことができる。さらに、車両衝突時にひねりに沿って変形が生じやすくすることができ、固定部を円滑に変形させることができる。(請求項3)
本発明において、
前記ブラケットは前記インフレータよりも長く形成され、
前記固定部以外のブラケット部分の長手方向中間部が、前記ブラケット部分の残部に対して、上側ほど車室外側に位置するように傾斜していると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
車両衝突時に前記固定部の傾斜変形によりインフレータが傾斜してブラケットに当接した場合、前記固定部以外のブラケット部分の長手方向中間部を傾斜変形させることで衝撃力を吸収することができる。(請求項4)
本発明において、
前記ルーフの周縁部に沿うように折り畳まれた前記エアバッグ本体が前記ブラケットに固定されていると、次の作用を奏することができる。(請求項5)
インフレータと折り畳まれたエアバッグ本体とをコンパクトにまとめることができ、ルーフライニングなどの内装部材への収容スペースをコンパクトにすることができる。(請求項5)
本発明によれば、
車両衝突時の衝撃力の吸収性能を向上させることができる車両のエアバッグ装置を提供することができた。
車両のエアバッグ装置を車室内側から見た図 図1のZ部の拡大図 図2のA−A断面図(車体側の部品を省略した断面図) (a)はブラケットを車室内側から見た図、(b)はブラケットを上方から見た図、(c)はブラケットの側面図 図2のA−A断面図 図2のA−A断面図であり、ブラケットの固定部の変形方向を示す断面図 第1の別実施形態を示す図 第2の別実施形態を示す図であり、図7のF矢視図 第3の別実施形態を示す図であり、図7のG矢視図 第1の比較例の構造を示す断面図であり、図2のA−A断面図に対応する図 第2の比較例の構造を示す断面図であり、図2のA−A断面図に対応する図 第3の比較例の構造を示す断面図であり、図2のA−A断面図に対応する図
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3,図5に示すように、カーテンエアバッグ装置7が自動車のルーフサイドレール3(車体のルーフの周縁部に相当)に取り付けられている。カーテンエアバッグ装置7はルーフライニング16の裏側に位置する。
[カーテンエアバッグ装置7の構造]
前記カーテンエアバッグ装置7は、ルーフサイドレール3に沿うように折り畳まれた袋状のエアバッグ本体9と、車両衝突時にガスをエアバッグ本体9に供給するインフレータ8と備えている。折り畳まれたエアバッグ本体9の長手方向の複数個所は、上側が開放した断面U字状の複数の収容体13に各別に収容されている。図1の符号2はセンターピラー、4はフロントピラー、1はルーフ、K1はフロントドア用の開口、K2はリアドア用の開口、Frは車両前方側、Rrは車両後方側である。
前記エアバッグ本体9は、前席の側部の上方と後席の側部の上方とにわたって位置するように、ルーフサイドレール3に取り付けられている。車両衝突時にインフレータ8からエアバッグ本体9にガスが供給されると、エアバッグ本体9が膨張展開しながら乗員と車体側部との間に瞬時に下降して乗員を保護する。
前記インフレータ8は、ルーフサイドレール3の後端部にブラケット10を介して取り付けられている。このインフレータ8は後席の側部の後上方に位置する。ブラケット10とインフレータ8はいずれも金属製である。インフレータ8は硬度の高い金属で形成されている。
[ブラケット10の構造]
図4(a)〜図4(c)に示すように、ブラケット10は、ルーフサイドレール3に沿う長板状に形成され、インフレータ8よりも長く形成されている。インフレータ8が固定されるブラケット10の固定部20は、ブラケット10の長手方向中間部に設けられている。
[ブラケット10の固定部20の構造]
詳述すると、図3,図4(a)〜図4(c)に示すように、ブラケット10の長手方向中間部に、断面円形状の段付きの凹部20Uが形成されている。凹部20Uは車室内側W1から車室外側W2に向かって凹んでいる(図5参照)。そして、凹部20Uの底壁20Tに第1ボルト挿通孔20Hが形成されている。さらに、第1ボルト挿通孔20Hの周部が、凹部20Uの凹み方向とは反対側に立ち上がっている。このようにして前記固定部20が形成されている。
第1ボルト挿通孔20Hの周部の立ち上がり部は、インフレータ8側のボルト12の頭部12Tを受け止め支持する受け座20Z(図3参照)に構成されている。受け座20Zの座面はインフレータ8が固定される固定面20Mに構成されている。上記構成のブラケット10は一枚の板材をプレス加工して形成されている。これにより、ブラケット10を簡単に製作することができ、ブラケット10の製作コストを低減することができる。
[インフレータ8のブラケット10への固定構造]
図3に示すように、インフレータ8にボルト12の頭部12Tが固着されて、インフレータ8の外周面からボルト12がインフレータ8の径方向外方側に突出している。このボルト12が、ブラケット10の固定部20の第1ボルト挿通孔20Hに凹部20U側(車室内側W1)から挿通されている。そして、ボルト12の雄ねじ部にナット11が螺合締結されて、インフレータ8がブラケット10の固定部20に固定されている。
[ブラケット10の第1取り付け部21と第2取り付け部22の構造]
図4(a),4(b)に示すように、ブラケット10の長手方向の両端部に、ルーフサイドレール3に取り付けられる第1取り付け部21と第2取り付け部22が各別に設けられている。つまり、前記第1取り付け部21と第2取り付け部22がブラケット10の固定部20の両側に設けられている。固定部20と第1取り付け部21と第2取り付け部22はブラケット10の長手方向に間隔を空けて並んでいる。
前記第1取り付け部21は、ブラケット10の長手方向の一端部(車両前方側Frの端部)にピン挿通孔21Hを形成して構成されている。第2取り付け部22は、ブラケット10の長手方向の他端部(車両後方側Rrの端部)に第2ボルト挿通孔22Hを形成して構成されている。
第1取り付け部21と固定部20の間のブラケット部分、及び、固定部20と第2取り付け部22の間のブラケット部分には、ブラケット10の長手方向に延びるビード30が形成されている。ビード30は、凹部20Uの凹み方向とは反対側(車室内側W1)に膨出している。これにより、ブラケット10の強度を向上させることができる。
そして、ブラケット10の第2ボルト挿通孔22Hに車室内側W1からボルト45(図2参照)が挿通されてルーフサイドレール3側の雌ねじ部に螺合されている。さらに、ブラケット10のピン挿通孔21Hにピン46(図2参照)が車室内側W1から挿通されるとともに、ルーフサイドレール3側のピン孔に挿入されて、ブラケット10がルーフサイドレール3に取り付けられている。
図3,図4(a)〜図4(c),図5に示すように、前記固定部20は、ブラケット10の第1取り付け部21と第2取り付け部22とに対して、上側ほど車室外側W2に位置するように傾斜している。詳しくは、固定部20の固定面20Mは、第1取り付け部21の取り付け面21Mと、第2取り付け部22の取り付け面22Mとに対して、上側ほど車室外側W2に位置するように傾斜している。
図6に示すように、車両衝突時の衝撃力で乗員の頭部Tがルーフライニング16を介してインフレータ8に当接すると、ブラケット10の固定部20がB方向(車室外側W2)に傾斜変形しやすくなる。従って、前記衝撃力の吸収性能を向上させることができる。
このように、ブラケット10の固定部20がB方向に傾斜変形することで、エアバッグ本体9を上側に移動させることができ、乗員の頭部Tに対する車室内空間を拡大することができる。その結果、乗員の頭部を保護することができる。
例えば、本発明による衝撃吸収機能を有しないブラケット10を採用した第1の比較例の構造の場合、図10に示すように、ルーフライニング16とカーテンエアバッグ装置7との間の空間Cに衝撃緩衝部品を配置する必要がある。その結果、部品点数・コスト・重量がいずれも増加する。また、前記第1の比較例の構造では、衝撃緩衝部品のスペースを確保する為にルーフライニング16が乗員側に侵入する可能性があり、車室内の乗員空間を圧迫する。
これに対して、本発明の構成によれば、衝撃緩衝部品を配置する必要がなく、部品点数・コスト・重量を少なくすることができ、さらに、ルーフライニング16が乗員側に侵入することがなくて、車室内の乗員側の空間を圧迫することがない。
第2の比較例の構造として、図11に示すように、インフレータ8を乗員の頭部Tから上方に離した位置に設定することで、乗員を保護する構造が考えられる。しかしながら、第2の比較例の構造では、エアバッグ本体9の膨張展開位置が車両上方に設定される。そのために、乗員の頭部Tとカーテンエアバッグ装置7との距離D2が、本発明の構成における前記距離D1よりも大きくなり(D2>D1)、エアバッグ本体9の十分な膨張展開性能を得ることができない虞がある。(図11において、二点鎖線は本発明のエアバッグ装置7、実線は、第2の比較例の構造のエアバッグ装置7を示している。)
これに対し、本発明の上記構成によれば、ブラケット10の固定部20を上記のように傾斜させたことにより、図5に示すようにカーテンエアバッグ装置7の位置を変更することなく、インフレータ8の位置を車両上方に設定することができる。これにより、エアバッグ本体9の膨張展開性能を損なうことなく乗員側の空間を最大限確保することができる。
第3の比較例の構造として、図12に示すように、インフレータ8とルーフライニング16の距離E1を近づける構造が考えられる。しかしながら、第3の比較例の構造では、走行中にインフレータ8とルーフライニング16が接触する可能性がある。そのために、走行時に異音を発生させる懸念があり、品質を低下させてしまう不具合がある。これに対して、本発明の構成によれば、図5に示すように、インフレータ8とルーフライニング16の距離E2を近づける必要がない(E2>E1)。従って、上記の不具合を回避することができる。
[固定部20の形成]
図4(a)〜図4(c)に示すように、前記固定部20は、ブラケット10の長手方向中間部をひねって(ねじって)形成されている。これにより、次の作用を奏することができる。
例えば、前記固定部20の固定面20Mが、前記第1取り付け部21の取り付け面21Mと第2取り付け部22の取り付け面22Mとに対して、上側ほど車室外側W2に位置するように、前記ブラケット10を曲げ加工する手段に比べると、曲げ部への応力の集中を防ぐことができる。さらに、車両衝突時にひねりに沿って変形が生じやすくすることができ、固定部を円滑に変形させることができる。
図4(a)〜図4(c)に示すように、前記固定部20以外のブラケット部分の長手方向中間部が、前記ブラケット部分の残部に対して、上側ほど車室外側W2に位置するように傾斜した傾斜部23に形成されている。傾斜部23は第1ボルト挿通孔20Hと第2ボルト挿通孔22Hとの間であって、かつ、第2ボルト挿通孔22Hに近い側に位置している。
これにより、車両衝突時に固定部20の変形によりインフレータ8が傾斜してブラケット10に当接した場合、前記傾斜部23を傾斜変形させることで衝撃力を吸収することができる。前記傾斜部23も固定部20以外のブラケット部分の長手方向中間部をひねって形成されている。
前記ルーフサイドレール3に沿うように折り畳まれたエアバッグ本体9はブラケット10に固定されている。その結果、インフレータ8と折り畳まれたエアバッグ本体9とをコンパクトにまとめることができ、ルーフライニング16などの内装部材への収容スペースをコンパクトにすることができる。
[別実施形態]
(1) 図7に示すように、前記インフレータ8は、ルーフサイドレール3の前端部や長手方向中間部を含む部分S1(ハッチングで示す部分)のいずれかの個所にブラケットを介して取り付けられていてもよい。
(2) 図8に示すように、前記インフレータ8が車体のルーフ1の前縁部S2(ハッチングで示す部分)にブラケットを介して取り付けられていてもよい。
(3) 図9に示すように、前記インフレータ8が車体のルーフの後縁部S3(ハッチングで示す部分)にブラケットを介して取り付けられていてもよい。図9の符号K3はバックドア用の開口である。
1 ルーフ
3 ルーフの周縁部(ルーフサイドレール)
8 インフレータ
9 エアバッグ本体
10 ブラケット
20 固定部
20M 固定面
21 取り付け部(第1取り付け部)
22 取り付け部(第2取り付け部)
21M 取り付け面(第1取り付け部の取り付け面)
22M 取り付け面(第2取り付け部の取り付け面)
W2 車室外側

Claims (5)

  1. 車両衝突時にガスをエアバッグ本体に供給するインフレータが、車体のルーフの周縁部にブラケットを介して取り付けられ、
    前記ブラケットは、前記ルーフの周縁部に沿う長板状に形成され、
    前記インフレータが固定される前記ブラケットの固定部と、前記ルーフの周縁部に取り付けられる前記ブラケットの取り付け部とは、前記ブラケットの長手方向に並んでいる車両のエアバッグ装置であって、
    前記ブラケットの固定部の固定面は、前記ブラケットの取り付け部の取り付け面に対して、上側ほど車室外側に位置するように傾斜している車両のエアバッグ装置。
  2. 前記固定部は前記ブラケットの長手方向中間部に設けられ、
    前記取り付け部は、前記ブラケットの固定部の両側に設けられている請求項1記載の車両のエアバッグ装置。
  3. 前記固定部は、前記ブラケットの長手方向中間部をひねって形成されている請求項2記載の車両のエアバッグ装置。
  4. 前記ブラケットは前記インフレータよりも長く形成され、
    前記固定部以外のブラケット部分の長手方向中間部が、前記ブラケット部分の残部に対して、上側ほど車室外側に位置するように傾斜している請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両のエアバッグ装置。
  5. 前記ルーフの周縁部に沿うように折り畳まれた前記エアバッグ本体が前記ブラケットに固定されている請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両のエアバッグ装置。
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