JP2014161460A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】円滑に針棒の切り換えを行う。
【解決手段】下端部で個々に縫い針11,12を保持する二本の針棒110,120と、各針棒を上下動可能に支持する針棒土台31と、針棒抱き25を通じて各針棒に上下動動作を付与する針上下動機構20と、各針棒について個々に設けられ、針棒土台による針棒の保持状態と針棒抱きによる針棒の保持状態とを切り換える針棒停止機構32,32と、各針棒停止機構に対して、二つの保持状態の切り換えを入力する停止選択機構33と、針棒土台を通じて縫製に使用する針棒の選択動作を行う切換駆動機構34とを備え、針棒土台は、二本の針棒の下端部側が揺動可能となるようにミシンフレームに支持され、切換駆動機構は、針棒土台に対する揺動動作の付与により二本の針棒の選択を行う。
【選択図】図12

Description

本発明は、二本の針棒を備えるミシンに関する。
色や太さなどの特性の異なる二種類の縫い糸を選択的に使用して縫製を行うために、二本の縫い針を個々に保持する二本の針棒を備え、これらを同じ針落ち位置に選択的に位置決めして、縫製を行うミシンが従来から知られている(例えは、特許文献1参照)。
このミシンは、二本の針棒を上下動可能に支持する針棒土台をミシンフレームに対して水平移動可能に設け、針棒土台の上下二箇所に接続されたエアシリンダにより水平移動を付与することで二本の針棒の位置切り換えを行っていた。
また、このミシンでは、縫製を行っていない縫い針の上糸が天秤の引き上げにより、縫い針の目穴から引き抜かれないように、個々の縫い針ごとに、上糸を保持する保持ユニットが設けられている。
これらの保持ユニットは、天秤から縫い針に至る上糸経路の途中に設けられ、エアシリンダの作動により上糸を保持する構造となっている。そして、縫製を行っていない縫い針の保持ユニットに対して上糸を保持する制御を行っていた。
特開2010−12271号公報
しかしながら、上記従来のミシンでは、針棒の切り換えの際に針棒土台の上下二箇所に対して個々にエアシリンダで水平移動動作を付与する構造であったため、二つのエアシリンダが正確に同期して作動しないと、針棒土台が斜めになって円滑な移動動作が妨げられ、動作不良が生じる可能性があった。
また、上記従来のミシンでは、針棒の切り換えの際に針棒土台に水平移動動作を付与する構造を採っている。このため、例えば、上軸からクランク機構により各針棒に上下動動作を付与する場合、針棒土台の水平移動距離分に応じてクランクロッドが回動し、針棒の切り換えの前後で各縫い針の高さに違いを生じていた。そして、針板下方の一個の釜と、選択された縫い針とで縫い目を形成するが、二本の縫い針の間で、縫い針と、釜の剣先との位置関係等の縫い条件に違いが生じてしまうという問題も生じていた。
さらに、上記従来のミシンでは、各縫い針ごとに上糸の保持ユニットを備えているので、その駆動源となるエアシリンダ等のアクチュエーターが二つ必要となり、また、これらのアクチュエーターを個別に制御する必要があり、装置全体の構成の複雑化、部品点数の増加、制御系の複雑化を生じるという問題も生じていた。
本発明は、二本の針棒の切り換え動作の円滑化を図ることをその目的とする。
本発明は、下端部で個々に縫い針を保持する二本の針棒と、前記二本の針棒を上下動可能に支持する針棒土台と、針棒抱きを通じて前記二本の針棒に上下動動作を付与する針上下動機構と、前記二本の針棒について個々に設けられ、前記針棒土台による針棒の保持状態と前記針棒抱きによる針棒の保持状態とを切り換える針棒停止機構と、各々の前記針棒停止機構に対して、二つの前記保持状態の切り換えを入力する停止選択機構と、前記針棒土台を通じて縫製に使用する針棒の選択動作を行う切換駆動機構とを備えるミシンにおいて、前記針棒土台は、前記二本の針棒の下端部側が揺動可能となるようにミシンフレームに支持され、前記切換駆動機構は、前記針棒土台に対する揺動動作の付与により前記二本の針棒の選択を行うことを特徴とする。
上記発明において、前記停止選択機構は、二つの前記針棒停止機構のいずれかを選択して前記二つの保持状態の切り換えを入力する切り換え部材と、前記切り換え部材に対して、前記二本の針棒の前記針棒停止機構のいずれに対して前記保持状態への切り換えを入力するかを選択する動作を付与するアクチュエーターとを備える構成としても良い。
また、上記発明において、前記停止選択機構の前記切り換え部材は、前記針棒土台の揺動動作の支軸に軸支され、前記支軸回りの回動動作により前記二本の針棒の前記針棒停止機構に対して個別に前記保持状態への切り換えを入力する構成としても良い。
また、上記発明において、前記切換駆動機構は、前記針棒土台に対して、その揺動半径方向に沿って形成された嵌合溝と、前記嵌合溝に嵌合する角駒と、揺動動作が入力される入力腕に一端側が固定され、他端側に前記角駒に装着される偏心カム部を備えるカム軸と、
前記入力腕を介して、前記針棒土台に揺動運動を付与する第2アクチュエーターとを備える構成としても良い。
さらに、上記発明において、前記切換駆動機構による前記縫製に使用する針棒としての選択に応じて、選択されていない方の針棒が保持する縫い針に供給される上糸を当該縫い針と天秤との間で保持する糸保持装置を備え、前記糸保持装置は、前記針棒土台に装備された可動保持部材と、前記ミシンフレームに固定装備された固定保持部材とを備え、前記固定保持部材は、前記可動保持部材の前記針棒土台の揺動動作方向における両端部のそれぞれに対向する二つの対向部を有し、前記二つの対向部が、前記可動保持部材と共に、二本の針棒の縫い針に供給されるそれぞれの上糸を個別に挟持する構成としても良い。
また、上述の糸保持装置の固定保持部材は、前記二つの対向部をつなげる連接部と、前記連接部に形成された二つの糸通し穴を有し、二本の針棒の縫い針に供給されるそれぞれの上糸を個別に通す構成としても良い。
上記発明は、二本の針棒を支持する針棒土台を揺動させることにより縫製に使用する針棒の選択を行うので、針棒土台に対して一つの駆動源で選択動作を付与することが可能である。
従って、針棒土台の上下二箇所を同時に水平移動させる場合のように二つの駆動源の正確な同期を必要とせず、針棒の選択動作を円滑に行うことができ、動作不良を低減して選択動作の信頼性も向上させることが可能となる。
また、従来は針棒土台を水平移動させることで針棒の選択を行っていたので、選択動作における針棒抱きの水平移動量は二本の針棒の縫い針の間隔と等しくなっていた。一方、本発明は、針棒土台の揺動により針棒の選択を行うので、二本の縫い針がそれらの間隔分の移動を行った場合でも、揺動中心に近い位置にある針棒抱きの移動量は二本の縫い針の間隔よりも十分に小さくなる。
これにより、それぞれの針棒の選択時における縫い針の高さの変動を低減することができ、縫い条件の違いを低減し、釜の剣先による目飛び等の発生を低減し、縫い品質を向上させることが可能である。
また、二本の針棒の針棒停止機構に対する保持状態への切り換えを入力する切り換え部材の選択動作をアクチュエーターにより付与する構成とした場合には、針棒土台の揺動動作とは独立して選択動作を制御することができ、針棒土台の揺動動作とは異なる適正なタイミングでの選択動作を行うことが可能となる。
また、停止選択機構の切り換え部材を針棒土台の揺動動作の支軸に軸支させる構成とした場合には、支軸の共用化を図ることができ、部品点数の低減、装置構成の簡易化を図ることが可能となる。
また、切換駆動機構が、針棒土台の嵌合溝と、嵌合溝に嵌合する角駒と、揺動動作が入力される入力腕と、入力腕に一端側が固定され、他端側に角駒に装着される偏心カム部を備えるカム軸と、入力腕を介して、針棒土台に揺動運動を付与する第2アクチュエーターとを備える構成とした場合には、針棒土台を精度良く確実に揺動させることができる。
さらに、糸保持装置の可動保持部材を針棒土台に装備する構成とした場合には、針棒選択時の針棒土台のそれぞれの方向への揺動により、可動保持部材を固定保持部材の一方の対向部と他方の対向部とに個々に当接させることができ、各々の当接により、各針棒が保持する縫い針に供給されるそれぞれの上糸を挟持することが可能である。
従って、糸保持装置は二本の上糸を保持するための駆動源を一つとして必要とせず、装置全体の構成の簡易化、部品点数の低減、制御系の簡易化を図ることが可能となる。
また、固定保持部材は、二つの対向部をつなげる連接部と、連接部に形成された二つの糸通し穴を有し、二本の針棒の縫い針に供給されるそれぞれの上糸を個別に通すことを可能とする構成とした場合には、左糸、右糸の誤った糸通しを防止できる。
発明の実施形態のミシンの斜視図である。 ミシンの面部周辺を示す拡大斜視図である。 図2と異なる方向から見た面部周辺の拡大斜視図である。 ミシンアーム部の面部側先端部の内部に格納されている内部構成の斜視図である。 針棒切換機構の正面図である。 針棒切換機構の斜視図である。 二本の針棒を切り欠いて内部の針棒停止部の構成を示した断面図である。 切換駆動部のカム軸と針棒土台の連結状態を示す分解斜視図である。 糸保持装置の正面図である。 糸保持装置の斜視図である。 ミシンの制御系を示したブロック図である。 図12(A)は一方の針棒の縫い針を縫製に使用する縫い針として選択している状態を示し、図12(B)は他方の針棒の縫い針を縫製に使用する縫い針として選択している状態を示す針棒切換機構の正面図である。 切り換えレバーの押し込み突起の他の実施形態の正面図である。 糸保持装置の他の実施形態の斜視図である。 糸保持装置の他の実施形態の部分拡大図である。 糸保持装置の他の実施形態をY軸方向から見た詳細図である。
[実施形態の概要]
本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
本実施形態として以下に記載するミシン100は、いわゆる電子サイクルミシンであり、縫製を行う被縫製物である布地を保持する布保持部としての保持枠を有し、その保持枠が縫い針に対し相対的に移動することにより、保持枠に保持される布地に所定の縫製データに基づく縫製パターンを形成する。また、このミシン100は、二本の針棒110,120を保有しており、針棒110,120を切り換えて選択的に使用することができる。これにより、例えば、各針棒110,120に装備された縫い針11,12に色や太さなどの特性の異なる二種類の上糸U1,U2をそれぞれ挿通し、縫製パターンを二種類の上糸で形成することが可能となっている。
図1は本発明にかかるミシン100の斜視図、図2はミシン100の面部105周辺を示す拡大斜視図、図3は図2と異なる方向から見た面部105周辺の拡大斜視図である。
ここで、鉛直上下方向をZ軸方向とし、これと直交する水平方向をX軸方向(左右方向)とし、Z軸方向とX軸方向の両方に直交する水平方向をY軸方向(前後方向)と定義する。
上記ミシン100は、縫い針11,12をそれぞれ下端部に保持して上下動を行う二本の針棒110,120と、ミシンモーター21を駆動源として縫い針を上下動させる針上下動機構20と、二本の針棒110,120の内のいずれか一方が上下動動作を行うように切り換えを行う針棒切換機構30と、縫い針11,12にそれぞれ通される上糸U1,U2に所定の糸張力を付与する糸調子器131〜133と、針棒110,120と同じ周期で上糸U1,U2の引き上げを行う天秤機構14と、上下動を停止させている縫い針11又は12に通された上糸U1又はU2を選択的に保持する糸保持装置60と、縫い針11又は12に通された上糸U1又はU2に下糸(図示略)を絡める単一の釜を備える図示しない釜機構と、被縫製物である布地を保持してX−Y平面に沿って任意に移動位置決めを行う移動機構としての布移動機構80と、ミシン100の各構成を支持するミシンフレーム101と、針落ちによる布地の上下動を抑える中押さえ15と、上糸U1とU2の繰り出しの有無をそれぞれ検出する第一と第二の糸繰り出し検出手段としての第一と第二の糸切れセンサ161,162と、図示しない糸巻き機構と、縫い針11又は12から垂下した上糸U1又はU2の端部の保持を行う糸端クランプ装置18と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段としての制御装置90とを備えている。
[ミシンフレーム]
図1に示すように、ミシン100は、外形がX軸方向から見て略コ字状を呈するミシンフレーム101を備えている。このミシンフレーム101は、ミシン100の上部をなしY軸方向に延びるミシンアーム部102と、ミシン100の下部をなしY軸方向に延びるミシンベッド部103と、ミシンアーム部102及びミシンベッド部103とを連結する縦胴部104とを有している。
[布移動機構]
図1に示すように、布移動機構80は、ミシンベッド部103の上面において被縫製物を保持する保持枠81と、保持枠81を昇降可能に支持する支持アーム82と、支持アーム82を介して保持枠81をX軸方向に移動させるX軸モーター83(図11参照)と、支持アーム82を介して保持枠81をY軸方向に移動させるY軸モーター84(図11参照)とを備えている。
布移動機構80は、かかる構成により、保持枠81を介して被縫製物をX−Y平面の任意の位置に移動位置決めすることができ、一針ごとに任意の位置に針落ちを行うことができ、自在な縫い目の形成が可能となっている。
[針上下動機構]
図4はミシンアーム部102の面部105側先端部の内部に格納されている内部構成の斜視図である。
図示のように、針上下動機構20は、上記ミシンアーム部102内においてY軸方向に沿った状態で回転可能に支持された上軸22と、上軸22の一端部から回転力を付与するミシンモーター21(図11参照)と、上軸22の他端部に設けられた釣合錘23と、釣合錘23の回転中心から偏心した位置において図示しない針棒クランクを介してY軸回りに回転可能に一端部が連結されたクランクロッド24と、針棒110又は120を選択的に保持する針棒抱き25とを備えている。
上記針上下動機構20は、ミシンモーター21の出力により上軸22が回転し、釣合錘23、針棒クランク及びクランクロッド24を通じて回転動作を上下動動作に変換する。そして、針棒抱き25が保持するいずれか一方の針棒110又は120に上下動動作を付与することを可能とする。
なお、針棒抱き25と各針棒110,120との連結構造については後述する。
[天秤機構]
天秤機構14は、図4に示すように、上糸U1,U2をそれぞれ挿通させる糸通し穴が一端部に形成されたベルクランク状の天秤141と、ミシンアーム部102内でフレームに回動可能に軸支された天秤クランク142とを備えている。そして、天秤141はその基端部が釣合錘23に回動可能に支持されており、基端部と先端部の中間部が天秤クランク142の回動端部に連結されている。これにより、上軸22が回転すると、天秤141の基端部が周回運動を行い、天秤クランク142との連結により、天秤141の先端部は上昇動作と下降動作とで速度が異なる所定の上下動動作を行うようになっている。
[第一と第二の糸切れセンサ及び糸調子器]
ミシンアーム部102の面部105を正面とした場合、図2に示すように、図示しない糸立てから繰り出される上糸U1,U2は、ミシンアーム部102の右側面部に設けられた複数の糸案内171,172によりそれぞれの糸経路が形成される。そして、当該糸経路の途中には、第一と第二の糸切れセンサ161,162、糸調子器131〜133、天秤141が順番に配置され、これらを通過した上糸U1,U2は、面部105の下側に設けられた糸保持装置60(図11参照)を経てそれぞれの縫い針11,12に案内される。
第一の糸切れセンサ161には上糸U1が挿通され、第二の糸切れセンサ162には上糸U2が挿通される。そして、これらの糸切れセンサ161,162は、上糸U1,U2の通過する位置に光源と受光素子からなる光学センサを備えており、受光素子からの検出信号によって上糸U1,U2の有無及び上糸U1,U2が移動又は停止のいずれの状態であるかを検出することが出来る。
例えば、上記各糸切れセンサ161,162によって挿通されているはずの上糸U1、U2が通過位置に存在しないことが検出された場合には、糸経路の途中で糸切れが発生して糸切れセンサ161、162から抜け落ちている状態であることが予想される。
また、縫製中であるはずの上糸U1又はU2が停止中である場合には、適正な縫い針11又は12に正しく上糸U1,U2が通されていないかけ違いが生じていることが予想される。
また逆に、縫製中ではないはずの上糸U1又はU2が移動中である場合には、上糸U1,U2のかけ違いや、他方の上糸U1,U2に糸絡みを生じて一緒に繰り出されていることが予想される。
このように、第一と第二の糸切れセンサ161,162は、周囲の縫製状況と照らし合わせて各種の異常状態を検出することが可能となっている。
糸調子器131には上糸U1が掛け渡され、糸調子器132には上糸U2が掛け渡されて、これら上糸U1,U2ごとに個別の糸張力付与が行われる。
また、糸調子器133は上糸U1,U2共用であり、これらに対して同一の糸張力付与が行われる。
前述した天秤141は、その先端部がミシンアーム部102の右側面部から外部に突出するように配置されており、糸調子器133に掛け渡された上糸U1,U2がそれぞれの糸通し穴に挿通される。
[針棒切換機構:全体]
図5は針棒切換機構30の正面図、図6は斜視図である。針棒切換機構30は、二本の針棒110,120を上下動可能に支持する針棒土台31と、ミシンアーム部102の面部105近傍における上部において針棒土台31を支持する支持ブロック35と、針棒110,120を針棒土台31に対する保持状態(上下動動作状態)と針棒抱き25に対する保持状態(上死点位置停止状態)とに切り替え可能な針棒停止部32,32(図7参照)と、各針棒停止部32,32に対して保持状態の切り換え動作を行う停止選択部33と、使用する針棒110又は120の縫い針11又は12を所定の縫い位置に位置合わせする切換駆動部(切換駆動機構)34とを備えている。
[針棒切換機構:針棒土台]
針棒土台31は、上下に並んで離間する上部ブロック311及び下部ブロック312と、これらに架設された状態で連結する架設部313と、上部ブロック311の上面から更に上方に延出された板状の支持部314とが一体的に形成されている。
そして、針棒土台31は、支持部314に対してY軸方向に沿って貫通形成された支持孔に挿入された支軸315を介して支持ブロック35によりY軸回りに揺動可能に支持されている。なお、支持ブロック35は、不図示のネジによりミシンアーム部102に固定される。
上部ブロック311と下部ブロック312は、架設部313によって一定の離間距離で上下に並んで配置され、これら上部ブロック311と下部ブロック312には、いずれも、針棒110と120とを挿入する針棒挿入孔316,316と針棒挿入孔317,317とが上下に貫通した状態で形成されている。
針棒挿入孔316,316及び針棒挿入孔317,317は、いずれも針棒土台31の長手方向に沿って貫通形性されている。従って、針棒土台31の長手方向がZ軸方向に平行となる姿勢にした場合、各針棒挿入孔316,316及び各針棒挿入孔317,317もZ軸方向に略平行な状態となる。
さらに、一方の針棒挿入孔316と一方の針棒挿入孔317は同心且つ同径であり、更に、他方の針棒挿入孔316と他方の針棒挿入孔317も同心且つ同径となるように、各々が形成されている。
そして、一方の針棒110は、一方の針棒挿入孔316にその上部が支持され、一方の針棒挿入孔317にその下部が支持される。また、他方の針棒120は、他方の針棒挿入孔316にその上部が支持され、他方の針棒挿入孔317にその下部が支持される。
なお、これらの針棒挿入孔316,316及び針棒挿入孔317,317は、いずれもその内側に図示しない摺動軸受けが設けられており、それぞれの針棒110,120は円滑に上下動を行うことが可能となっている。即ち、針棒土台31は、二本の針棒110,120を上下動可能に支持する。
[針棒切換機構:針棒停止部]
針棒110と針棒120は、いずれも内部が中空の管状となっており、これらの内部には針棒停止部32の一部の構成が格納されている。図7は各針棒110,120を切り欠いて内部の針棒停止部32の構成を示した断面図である。
各針棒停止部32は、それぞれの針棒110,120を針棒土台31に対する保持状態と針棒抱き25に対する保持状態とに切り換えることが可能である。そして、後述する停止選択部33は、各針棒停止部32に対して所定の外部操作を行い、一方の針棒110が針棒抱き25に保持されると共に他方の針棒120が針棒土台31に保持された第一の選択状態と、一方の針棒110が針棒土台31に保持されると共に他方の針棒120が針棒抱き25に保持された第二の選択状態とを切り換えることで、いずれか一方の針棒110又は120のみが選択的に上下動を行うようにすることが可能となっている。
針棒110と針棒120のそれぞれに設けられる針棒停止部32は、いずれも同一の構成である。また、針棒停止部32に対応して針棒110に設けられるピン出没孔111、上側ボール出没孔112及び下側ボール出没孔113と、針棒120に設けられるピン出没孔121、上側ボール出没孔122及び下側ボール出没孔123(いずれも後述)は、互いに同一構造である。
従って、針棒110側の針棒停止部32のみについて説明し、針棒120側の針棒停止部32の説明は省略する。
針棒停止部32は、針棒110の管状の内部に挿入された停止棒321と、針棒110の内部で停止棒321を上方に押圧する押圧バネ322と、針棒110の内部から外周面に貫通形成された上側ボール出没孔112と下側ボール出没孔113とにそれぞれ嵌合可能な針棒駆動ボール323及び針棒停止ボール324と、針棒抱き25に対して針棒110の落下を防止するためにその外周に固定装備されたストッパー325とを備えている。
上記停止棒321は、その上端部に停止棒321の他の部位よりも小径なピン形状部321aが形成されており、押圧バネ322による上方への押圧により、通常時には、ピン形状部321aが針棒110の上端面に形成されたピン出没孔111から外部上方に突出している。
また、停止棒321は、上下二箇所に第一と第二の溝カム部321b,321cが形成されている。これらの溝カム部321b,321cは、停止棒321の他の部位よりも小径に形成されており、上側に位置する第一の溝カム部321bは溝の内側下部に円錐状のテーパが形成されており、下側に位置する第二の溝カム部321cは溝の内側上部に円錐状のテーパが形成されている。
そして、針棒110の内部壁面と各溝カム部321b,321cとの間に形成されるそれぞれの空間内には、針棒駆動ボール323と針棒停止ボール324とがそれぞれ収容されている。
さらに、針棒110の第一の溝カム部321b内に収容された針棒駆動ボール323が臨む位置には内側から外部に貫通した上側ボール出没孔112が形成されており、針棒110の第二の溝カム部321c内に収容された針棒停止ボール324が臨む位置には内側から外部に貫通した下側ボール出没孔113が形成されている。
上側ボール出没孔112は、針棒110の内側では針棒駆動ボール323よりも大径であり、外側に向かうにつれて縮径して針棒110の外周面では針棒駆動ボール323より僅かに小径となっている。また、下側ボール出没孔113の内径と針棒停止ボール324も同様の関係となっている。
そして、停止棒321のピン形状部321aが最大限に突出した状態(以下、単に「突出状態」という)にあるときには、上側ボール出没孔112に対して第一の溝カム部321bがやや上側に位置し、下側ボール出没孔113に対して第二の溝カム部321cが合致する位置となるように配置が設定されている。この状態では、針棒駆動ボール323は上側ボール出没孔112から一部が突出した状態となり、針棒停止ボール324は下側ボール出没孔113から内側に後退した状態となる(図7の針棒120参照)。
また、停止棒321のピン形状部321aが押し込まれると(例えば、ピン形状部321aの突出長さの半分〜全長程度:以下、「押し込み状態」という)、上側ボール出没孔112に対して第一の溝カム部321bが合致する位置となり、下側ボール出没孔113に対して第二の溝カム部321cがやや下側に位置した状態となる。この状態では、針棒駆動ボール323は上側ボール出没孔112から内側に後退した状態となり、針棒停止ボール324は下側ボール出没孔113から一部が突出した状態となる(図7の針棒110参照)。
そして、針棒110が上死点高さに位置し、針棒抱き25も上死点位置にあるときに、停止棒321のピン形状部321aを突出状態とすると、上側ボール出没孔112から一部突出した針棒駆動ボール323とストッパー325とにより、針棒抱き25を上下に挟み込むことができる。これによって針棒110を針棒抱き25に対する保持状態とすることができ、針上下動機構20からの上下動動作を針棒110に伝達することが可能となる。
また、針棒土台31の下部ブロック312の上面にはボールストッパー326が設けられており、針棒110の外周面に突起が存在すると、針棒土台31に対する針棒110の下降を阻止する構造となっている。しかし、ピン形状部321aが突出状態の時には針棒停止ボール324は下側ボール出没孔113の内側に後退しているので、針棒土台31に対する針棒110の上下動が規制されない。
従って、針棒110は、上下動の動作状態となる。
一方、針棒110が上死点高さに位置し、針棒抱き25も上死点位置にあるときに、停止棒321のピン形状部321aを押し込み状態とすると、上側ボール出没孔112から針棒駆動ボール323が後退するので、針棒110の針棒抱き25に対する保持状態が解除される。
また、ピン形状部321aが押し込み状態の時には針棒停止ボール324が下側ボール出没孔113から一部突出するので、ボールストッパー326により針棒土台31に対する針棒110の下降が阻止される。さらに、前述したストッパー325は、針棒110が上死点に位置するときに針棒土台31の上部ブロック311の下面に当接又は近接するように配置されており、針棒土台31に対して針棒110が上死点位置よりも上方に移動することも阻止される。
従って、針棒110は、針棒土台31に対する保持状態となる。
このように、針棒停止部32は、針棒110が上死点にあるときに、停止棒321のピン形状部321aの押し込み操作を行うことにより、針棒110を針棒抱き25に対する保持状態(上下動動作状態)から針棒土台31に対する保持状態(上死点位置停止状態)に切り換えることが可能となっている。また、ピン形状部321aの押し込み操作を解除すれば、押圧バネ322により針棒土台31に対する保持状態から針棒抱き25に対する保持状態に自動的に戻すことが可能となっている。
[針棒切換機構:切換駆動部]
針棒切換機構30では、針棒土台31を支軸315を中心としてY軸回りに揺動させることで、縫い針11又は12を選択することを可能とする。
従って、切換駆動部34では、支軸315の中心線と直交して鉛直下方に下ろした垂線に、上死点と下死点の中間に位置するときの縫い針11の先端部と上死点と下死点の中間に位置するときの縫い針12の先端部とが、それぞれ一致する傾斜角度となるように、針棒土台31を揺動させる。なお、上記垂線に縫い針11の先端部と縫い針12の先端部とがそれぞれ一致する傾斜角度にある状態を、縫い針11又は縫い針12が「縫い位置にある」と言うものとする。そして、各縫い針11、12が、一個の中押さえ15と一個の釜を共用して縫い目を形成する。
図4〜図6に示すように、切換駆動部(切換駆動機構)34は、針棒土台31の揺動動作の駆動源となるエアシリンダ341と、エアシリンダ341のプランジャに一方の回動腕が連結されたベルクランク342と、ベルクランク342の他方の回動腕に一端部が連結されたリンク体343と、リンク体343の一端部が連結された入力腕346と、入力腕346に一端部が固定連結されたカム軸344と、カム軸の他端側に設けられた偏心カム344aと、偏心カム344aが装着される角駒347(図8に示す)とを備えている。
エアシリンダ341のプランジャが進退動作を行うと、ベルクランク342が回動し、リンク体343が進退移動を行う。当該リンク体343の他端部は入力腕346の回動端部に連結されており、エアシリンダ341の作動により入力腕346に回動動作を付与することが可能となっている。なお、エアシリンダ(第2アクチュエーター)341は、ミシンフレーム101に揺動可能に支持されており、プランジャの進退動作において、ベルクランク342との連結部に生じるX軸方向の変位を揺動により許容することが可能となっている。
入力腕346に固定連結されたカム軸344は、回動中心に対して偏心した円形の偏心カム344aを備えている。そして、当該偏心カム344aは、図8に示すように、角駒347の穴347aに挿入される。角駒347は針棒土台31の下部ブロック312に形成された嵌合溝318に嵌合している。嵌合溝318は、針棒土台31の下部において、その長手方向(針棒土台31の揺動半径方向と平行)に沿って形成されている。従って、エアシリンダ341の駆動により、入力腕346を介してカム軸344が回動すると、角駒347が左右方向(X軸方向)に移動し、針棒土台31を揺動させることが可能である。
なお、切換駆動部34の各構成は、エアシリンダ341のプランジャが前進位置にある場合に縫い針11が縫い位置にある状態となり、エアシリンダ341のプランジャが後退位置にある場合に縫い針12が縫い位置にある状態となるように、各部の寸法が設計されている。また、針棒土台31又は切換駆動部34の構成の何れかが、縫い針11が縫い位置となる位置と縫い針12が縫い位置となる位置で正確に停止するように二つのストッパーを設けても良い。その場合には、各ストッパーの位置を調節可能とし、縫い針11、12の位置を調節可能としても良い。
[針棒切換機構:停止選択部]
停止選択部(停止選択機構)33は、針棒110と針棒120のそれぞれの針棒停止部32,32に対してそれぞれのピン形状部321a,321aに対する押し込み操作を行うことにより、第一の選択状態(一方の針棒110が針棒抱き25に保持され、他方の針棒120が針棒土台31に保持された状態)と第二の選択状態(一方の針棒110が針棒土台31に保持され、他方の針棒120が針棒抱き25に保持された状態)との状態切り換えを行う機構である。
停止選択部33は、図5〜図7に示すように、針棒110と針棒120の状態切り換え動作の駆動源となるエアシリンダ(アクチュエーター)331と、エアシリンダ331のプランジャに入力腕332aが連結された切り換えレバー(切り換え部材)332とを備えている。
支持ブロック35は、ミシンアーム部102に固定されている。支軸315は、支持ブロック35に固定されている。この支軸315は、針棒土台31と切り換えレバー332をY軸回りに回動可能に支持している。また、切り換えレバー332は、二本の針棒110,120の上側に近接配置されている。
かかる切り換えレバー332は、支軸315を中心とする半径方向に延出された入力腕332aと、いずれも入力腕332aと異なる半径方向に延出された二つの押し込み突起332b,332cとを備えている。
切り換えレバー332は、入力腕332aが上方に向いた状態で支軸315に回動可能に支持されている。この入力腕332aは、支持ブロック35に支持されたエアシリンダ331のプランジャに連結されている。なお、エアシリンダ331は、支持ブロック35に揺動可能に支持されており、プランジャの進退動作において、切り換えレバー332の入力腕332aとの連結部に生じるZ軸方向の変位を揺動により許容することが可能となっている。
また、二つの押し込み突起332b,332cはいずれも概ね下方に向けられており、エアシリンダ331のプランジャの後退動作により一方の押し込み突起332bが針棒110から突出したピン形状部321aとの対向位置に切り換えられ、エアシリンダ331のプランジャの前進動作により他方の押し込み突起332cが針棒120から突出したピン形状部321aとの対向位置に切り換えられるようになっている。
また、各押し込み突起332b、332cの突出長さは、それぞれの針棒110,120が上死点高さまで上昇したときに、それぞれのピン形状部321a,321aがそれぞれの針棒110,120の保持状態を切り換えることが可能な押し込み量で押し込みが行われる長さに設定されている。
なお、切換駆動部34による針棒土台31の揺動動作と停止選択部33による第一又は第二の選択状態への切り換え動作は連動して行われる。
即ち、停止選択部33の切り換えレバー332により、針棒110,120を第一の選択状態(針棒110が上下動を行う状態)に切り換える際には、切換駆動部34は、針棒土台31の針棒110が縫い位置となるように揺動動作を行い、停止選択部33の切り換えレバー332により、針棒110,120を第二の選択状態(針棒120が上下動を行う状態)に切り換える際には、切換駆動部34は、針棒土台31の針棒120が縫い位置となるように揺動動作を行う。
従って、切り換えレバー332のそれぞれの押し込み突起332b、332cを各針棒110,120のピン形状部321a,321aに対向する位置に回動させる際には、針棒土台31の揺動角度を考慮して適正な位置となるように、切り換えレバー332の入力腕332a及び押し込み突起332b,332cの寸法及びエアシリンダ331のストロークが設定されている。
また、エアシリンダ331の作動時に、切り換えレバー332のそれぞれの押し込み突起332b、332cが適正な位置で正確に停止するように、二つのストッパーを設けても良い。その場合には、各ストッパーの位置を調節可能とし、押し込み突起332b、332cの停止位置を調節可能としても良い。
[糸端クランプ装置]
糸端クランプ装置18は、縫い針11,12の針穴から垂れ下がる上糸端を払うことができるワイパーと、ワイパーが誘導した上糸端を吸込みことができる吸引口と、吸引口に案内した上糸端を挟持するボールと、ボールを吸引口側に移動するエアシリンダ181(図11に示す)等を備えている。
そして、縫い始め時、左右両方の縫い針11,12に上糸を通した後、作業者は図示を省略した操作パネルを操作して、ワイパーを駆動し、左右の上糸U1,U2を吸引口に案内する。縫製開始の際、左右の上糸端は吸引口に吸込まれている。しかし、糸への吸引力は弱いため、一方の針が上下動して縫い目を形成すると、一方の糸への吸引が外れる。縫目が数針形成されると、ボールが移動して縫い目を形成してない他方の針の上糸を挟持するので、他方の針の上糸が巻き込まれて、縫いこまれることがない。なお、糸切り後には、自動的にワイパーが駆動して、上糸端を吸引する。
[糸保持装置]
図9は糸保持装置60の正面図、図10は斜視図である。糸保持装置60は、縫製を行う縫い針として選択されていない縫い針11又は12に挿通された上糸U1又はU2が、天秤141の引き上げ動作により縫い針11又は12から引き抜かれないように保持する為のものである。
糸保持装置60は、針棒土台31の前側下端部に装備された可動保持部材61と、可動保持部材61に対して針棒土台31の揺動方向の両側で近接対向する二つの対向部621,622を備えた固定保持部材62とを備えている。
可動保持部材61は、針棒土台31の下部(支軸315に対して縫い針11,12側)に固定装備されており、その下端部には前方に屈曲してなる糸保持部611が形成されている。糸保持部611は、X−Y平面に沿った矩形平板状をなし、その左右の両側縁部611a,611bはいずれもY軸方向に平行に形成されている。
固定保持部材62は、面部105のフレームに固定されており、対向部621,622はいずれもY−Z平面に平行となるように配設されている。
そして、可動保持部材61は、糸保持部611が固定保持部材62の対向部621と622との間に遊挿された状態で配置されている。糸保持部611の一方の側縁部611aに対して固定保持部材62の一方の対向部621がX軸方向左側において近接対向し、糸保持部611の他方の側縁部611bに対して固定保持部材62の他方の対向部622がX軸方向右側において近接対向している。
さらに、上記糸保持部611の一方の側縁部611aと固定保持部材62の一方の対向部621との隙間は、縫い針11に挿通する上糸U1を挿通する第一の糸通し部となっており、天秤141から縫い針11に至る途中の上糸U1が挿通される。
また、糸保持部611の他方の側縁部611bと固定保持部材62の他方の対向部622との隙間は、縫い針12に挿通する上糸U2を挿通する第二の糸通し部となっており、天秤141から縫い針12に至る途中の上糸U2が挿通される。
可動保持部材61は、X軸方向に沿って往復揺動を行う針棒土台31に装備されており、針棒土台31は縫製を行う縫い針11,12を選択する際に針棒切換機構30の切換駆動部34により揺動動作が付与される。
そして、縫い針11の選択時には、切換駆動部34は針棒土台31の下端部を右方に揺動させるので、可動保持部材61の糸保持部611の他方の側縁部611bが固定保持部材62の他方の対向部622側に接触する。その結果、使用しない縫い針12側の上糸U2がこれらに挟持された状態となり、天秤141の引き上げ動作に抗して上糸U2が縫い針12から引き抜かれることを防止することができる。
また、縫い針12の選択時には、切換駆動部34は針棒土台31の下端部を左方に揺動させるので、可動保持部材61の糸保持部611の一方の側縁部611aが固定保持部材62の一方の対向部621側に接触する。その結果、使用しない縫い針11側の上糸U1がこれらに挟持された状態となり、天秤141の引き上げ動作に抗して上糸U1が縫い針11から引き抜かれることを防止することができる。
[中押さえ]
中押さえ15は、縫製時に選択されている縫い針11又は12を遊挿可能な枠状部を備えており、当該枠状部が縫い針11又は12と同期して小さいストロークで上下動を行い、縫い針11又は12との摩擦により布地が大きく上下に振れないように抑えると共に布地からの縫い針11又は12の引き抜きをより確実に行われるための部材である。
この中押さえ15は、ミシンアーム部102内に設けられた図示しない中押さえ駆動機構に支持されており、当該中押さえ駆動機構は、上軸22から動力を得て中押さえ15の上下動動作付与を行っている。
[糸巻き機構]
図示しない糸巻きは、釜の内部に装備するボビンに下糸を巻き付けるための機構である。糸巻き機構は、ボビンをセットするボビン保持台と、上軸22から動力を得てボビン保持台に回転動作を付与する動力伝達機構とを備えている。当該動力伝達機構は、ボビン保持台にボビンがセットされたことを検知する検知レバーを備えており、検知レバーによるボビン検知時に上軸22からボビン保持台への動力伝達が行われるようになっている。また、検知レバーは、ボビンに所定量の下糸が巻回されると、上軸22からボビン保持台への動力伝達が切断されるようにもなっている。
[ミシンの制御系:制御装置]
図11はミシン100の制御系を示したブロック図である。ミシン100は、上述した各部、各部材の動作を制御するための動作制御手段としての制御装置90を備えている。そして、制御装置90は、縫製における動作制御を行うためのプログラムが格納されたROM92と、演算処理の作業領域地となるRAM93と、縫製データを記憶する記憶手段としての不揮発性のデータメモリ94と、ROM92内のプログラムを実行するCPU91とを備えている。
また、CPU91は、図示しないインターフェイスを介してミシンモーター駆動回路21a、X軸モーター駆動回路83a、Y軸モーター駆動回路84aと接続され、これらを介してミシンモーター21、X軸モーター83、Y軸モーター84の駆動を制御する。
ミシンモーター21は、図示しないエンコーダが併設されたサーボモーターであり、その検出角度がCPU91に出力される。
また、上記X軸モーター83及びY軸モーター84はステッピングモーターであり、これらの図示しない原点検索手段がCPUに接続され、その出力からCPU91は各モーター83,84の原点位置を認識することができる。
さらに、CPU91は、図示しないインターフェイスを介して、針棒切換機構30の停止選択部33のエアシリンダ331、針棒切換機構30の切換駆動部34のエアシリンダ341及び糸端クランプ装置18のエアシリンダ181のそれぞれを作動させる電磁弁333,347,182を制御するための駆動回路333a,347a,182aと接続されている。
また、前述した糸調子器131〜133の内の糸調子器133だけは、ソレノイドを内蔵し、制御装置90の制御により、糸張力を任意に制御することが可能となっている。従って、この糸調子器133の駆動回路133aも図示しないインターフェイスを介してCPU91と接続されている。
また、縫製時その他の場合に、上糸U1,U2の状態検出を行う第一及び第二の糸切れセンサ161,162はセンサドライバー160aを介してCPU91と接続されている。
データメモリ94に格納されている縫製データには、所定の縫製パターンを縫製するための毎針の針落ち位置に布地を移動させる為のX軸モーター83及びY軸モーター84の布送り量を定めた布送りデータ、いずれの縫い針11又は12を使用するかを定めた選択縫い針データ、糸張力を定めた糸張力データ等が記録されており、CPU91は、縫製の際には、一針ごとに上記縫製データの設定内容を読み取り、ミシンの各構成の動作制御を実行する。
例えば、CPU91が毎針の布送りデータを読み取った場合には、所定の上軸角度となるタイミングでX軸モーター83及びY軸モーター84を駆動し、布地を目標となる針落ち位置まで移動させる。
また、CPU91が糸張力データを読み取った場合には、所定の上軸角度となるタイミングで糸調子器133の内蔵ソレノイドを駆動し、目標となる糸張力となるように駆動させる。
また、CPU91が縫製中に選択縫い針データを読み取った場合には、「ミシンモーター停止」→「上下糸切断」→「使用する縫い針の切り換え」を順番に実行する。
即ち、「ミシンモーター停止」では、CPU91は、所定の上軸角度でミシンモーター21を停止するよう制御する。
そして、「上下糸切断」では、CPU91は、不図示の糸切りモーターを制御してそれまで縫製を行っていた上糸と下糸の糸切りを実行する。
さらに、「使用する縫い針の切り換え」では、CPU91は、針棒切換機構30の停止選択部33のエアシリンダ331と切換駆動部34のエアシリンダ341を作動させて、切り換えレバー332及び針棒土台31を揺動させる。
これにより、切り換えレバー332による、針棒110又は120の上端から突出するピン形状部321aの押し込み位置が切り換えられる。また、針棒土台31が揺動して縫い針11又は12が縫い位置に位置決めされる。
[使用する縫い針の切り換え動作]
上述した「使用する縫い針の切り換え」動作について図12の動作説明図に基づいてより詳細に説明する。
制御装置90のCPU91は、縫製パターンを形成する縫いの途中で縫製データから選択縫い針データを読み取った場合、例えば、それまで縫いを行っていた縫い針から他の縫い針に切り換えを行う。ここでは、縫い針12から縫い針11に切り換える場合を例示する。
まず、CPU91は、所定の上軸停止角度である上停止位置で上軸22の回転を停止するようミシンモーター21の停止を行う。例えば、上停止位置の上軸角度は天秤141の上死点とする(例えば、針棒上死点を上軸角度0°とした場合、上軸角度30〜50°の範囲)。この時、針棒上死点を通過した位置でミシンモーター21を停止させるので、それまで縫いを行っていた縫い針12を保持する針棒120は上死点位置よりも幾分下降動作を生じる。なお、図12(A)では針棒120を大きく下降させた状態を図示しているが、針棒110と上停止位置で停止している針棒120の高低差は図12(A)の場合よりも小さい。
そして、上記停止状態で不図示の糸切りモーターを制御してそれまで縫製を行っていた上糸と下糸の糸切りを実行する。次に、糸端クランプ装置18のワイパーを駆動し、左右の縫い針11、12の上糸端を吸引口に案内し、吸引する。
その後、図12(B)に示すように、針棒切換機構30の切換駆動部34のエアシリンダ341を作動させて、針棒土台31を下端部が右方に向かう方向に揺動させる。これにより、縫い針12が縫い位置(支軸315の直下位置)から外れてから縫い針11が縫い位置に切り換えられる。
また、停止選択部33のエアシリンダ331を作動させて、切り換えレバー332の押し込み突起332cが揺動後の針棒土台31の針棒120のピン形状部321aと対向する位置となるように切り換えレバー332を回動させる。
この時点では、針棒12が幾分下降しているので、押し込み突起332cと針棒120のピン形状部321aとが干渉を生じることなく切り換えレバー332を回動させることが可能である。
上記切り換えレバー332の回動により、押し込み突起332bが針棒110のピン形状部321aとの対向位置から逸れるので、針棒110の内部の停止棒321は押圧バネ322に押されて上方に移動を生じる。これにより、溝カム部321cが上方に移動して針棒停止ボール324が下側ボール出没孔113において内側に退避する(図7参照)。従って、針棒110が針棒土台31に保持された状態が解除される。なお、上軸角度が針棒上死点を通過した位置で上軸22は停止しているので、針棒抱き25は幾分下降した状態にあり、このため、この時点では、針棒110の針棒駆動ボール323は上側ボール出没孔112から外側に突出した状態となることができず、針棒110は針棒抱き25に保持された状態とはなっていない。
そして、CPU91は、ミシンモーター21を逆回転で駆動させて、上停止位置(天秤上死点)から針棒上死点まで戻すよう制御する。これにより、針棒120及び針棒抱き25は上昇し、針棒120のピン形状部321aが切り換えレバー332の押し込み突起332cに当接して下方に押し込まれる。このため、針棒120の内部の停止棒321の溝カム部321bが下降して、針棒駆動ボール323は上側ボール出没孔112から内側に後退する。また、溝カム部321cも下降して、針棒停止ボール324が下側ボール出没孔113から突出する。従って、針棒120は、針棒抱き25の保持状態が解除され、針棒土台31に保持された状態に切り換えられる。
一方、針棒110内では、針棒駆動ボール323が上側ボール出没孔112から突出し、針棒抱き25に保持された状態となる。
また、針棒土台31が図12(A)の状態から図12(B)の状態に回動すると、糸保持装置60では、可動保持部材61が右方に移動し、その糸保持部611の左の側縁部611aが対向部621との間で保持していた上糸U1を解放する。また、可動保持部材61の糸保持部611の右の側縁部611bが対向部622に当接し、これらの間で上糸U2の保持を行う。
その後、ミシンモーター21は通常の回転方向で回転を再開して、縫い針11による針落ちが行われるが、縫い針12の上糸U2は糸保持部611の側縁部611bと対向部622とに挟持されているので、天秤141により上方に引き上げられても縫い針12からの引き抜きの発生は防止される。また、縫製開始後、縫い目が数針形成されると、糸端クランプ装置18のボールが移動して、縫い目を形成してない縫い針12の上糸を挟持するので、縫い針12の上糸が巻き込まれて、縫いこまれることが防止される。
[実施形態の作用効果]
上記ミシン100は、下端部で個々に縫い針を保持する二本の針棒110、120と、二本の針棒を上下動可能に支持する針棒土台31と、針棒抱き25を通じて二本の針棒に上下動動作を付与する針上下動機構20と、二本の針棒110,120について個々に設けられ、針棒土台31による針棒110又は120の保持状態と針棒抱き25による針棒110又は120の保持状態とを切り換える針棒停止機構としての針棒停止部32,32と、各々の針棒停止部32,32に対して、二つの保持状態(針棒抱き25による針棒の保持状態と針棒土台31による針棒の保持状態)の切り換えを入力する停止選択機構としての停止選択部33と、針棒土台31を通じて縫製に使用する針棒110又は120の選択動作を行う切換駆動機構としての切換駆動部34とを備え、針棒土台31は、二本の針棒110,120の下端部側が揺動可能となるようにミシンアーム部101aのミシンフレームに支持され、切換駆動部34は、針棒土台31に対する揺動動作の付与により二本の針棒110,120の選択を行うことを特徴としている。
このように、二本の針棒110,120を支持する針棒土台31を揺動させることにより縫製に使用する針棒の選択(縫い位置への縫い針11又は12の位置決め)を行うので、針棒土台31に対して一つの駆動源としてのエアシリンダ341で選択動作を付与することが可能である。
従って、針棒土台の上下二箇所を個々の駆動源により同時に水平移動させることで針棒の選択を行う従来技術と比べると、二つの駆動源の正確な同期を必要とせず、針棒110,120の選択動作を円滑に行うことができ、動作不良を低減して選択動作の信頼性も向上させることが可能である。
また、従来方式のように、針棒土台を水平移動させることで針棒の選択を行うと、当該選択動作における針棒抱きの水平方向の移動量は二本の針棒の縫い針の間隔と等しくなる。その結果、縫い針11の選択時と縫い針12の選択時とでは、針先に顕著な高低差を生じ得る。
一方、上記ミシン100では、針棒土台31の支軸315を中心とする揺動により針棒110,120の選択を行うので、二本の縫い針11,12の下端部が縫い針間隔分の移動を行った場合でも、針棒抱き25は支軸315寄りに位置しているので、当該針棒抱き25の水平方向の移動量は縫い針間隔よりも十分に小さくすることができる。
従って、針棒の選択の前後において生じる縫い針11と縫い針12の高低差は、針棒土台を水平移動させる構成に比べて十分に低減することが可能となる。
これにより、針棒選択前後で生じる縫い条件の違いを低減し、釜の剣先による目飛び等の発生を低減し、縫い品質を向上させることが可能である。
また、ミシン100の停止選択部33は、二本の針棒110,120の針棒停止部32,32を選択して二つの保持状態(針棒抱き25による針棒の保持状態と針棒土台31による針棒の保持状態)の切り換えを入力する切り換え部材としての切り換えレバー332と、当該切り換えレバー332に対して、二本の針棒110,120の各針棒停止機構32,32のいずれに対して保持状態への切り換えを入力するかを選択する動作を付与するアクチュエーターとしてのエアシリンダ331とを備えている。
このため、針棒土台31の揺動動作とは独立して各針棒停止機構32,32の保持状態の切り換え選択動作を制御することができ、針棒土台31の揺動動作とは異なるタイミングでも選択動作を行うことが可能となる。
また、停止選択部33の切り換えレバー332は、針棒土台31の揺動動作の支軸315に軸支され、当該支軸315回りの回動動作により二本の針棒110,120の針棒停止部32,32に対して個別に保持状態への切り換えを入力するかを選択する構成であることから、針棒土台31と切り換えレバー332とで支軸315の共用化を図ることができ、部品点数の低減、装置構成の簡易化を図ることが可能となる。
また、切換駆動機構34は、針棒土台に対して、その揺動半径方向に沿って形成された嵌合溝318と、嵌合溝に嵌合する角駒347と、揺動動作が入力される入力腕346に一端側が固定され、他端側に角駒347に装着される偏心カム部344aを備えるカム軸344と、入力腕346を介して、針棒土台に揺動運動を付与する第2アクチュエーターとしてのエアシリンダ341とを備えている。この構成により、針棒土台31を精度良く確実に揺動させることができる。
また、ミシン100は、切換駆動部34による縫製に使用する針棒としての選択に応じて、選択されていない方の針棒110又は120が保持する縫い針11又は12に供給される上糸U1又はU2を当該縫い針11又は12と天秤141との間で保持する糸保持装置60を備えている。
そして、この糸保持装置60は、針棒土台31に装備された可動保持部材61と、ミシンアーム部101aのミシンフレームに固定装備された固定保持部材62とを備え、固定保持部材62は、可動保持部材61における針棒土台31の揺動動作方向における両端部に位置する側縁部661a,661bのそれぞれに対向する二つの対向部621,622を有している。さらに、二つの対向部621,622のそれぞれが可動保持部材61の側縁部661a,661bと共に、二本の針棒110,120の縫い針11,12に供給されるそれぞれの上糸U1,U2を個別に挟持する構成となっている。
上記糸保持装置60の可動保持部材61は針棒土台31に装備されているので、針棒選択時の針棒土台31のそれぞれの方向への揺動により、可動保持部材61の各々の側縁部661a,661bを固定保持部材62の一方の対向部621と他方の対向部622とに個々に当接させることができ、各々の当接により、各針棒110,120が保持する縫い針11,12に供給されるそれぞれの上糸U1,U2を挟持することが可能である。
このため、糸保持装置60では、二本の上糸U1,U2を保持するための駆動源を一つとして必要とせず、装置全体の構成の簡易化、部品点数の低減、制御系の簡易化を図ることが可能となる。
[その他]
なお、上述した針棒切換機構30は、電子サイクルミシンに限らず、いわゆる本縫いミシン等の種々にミシンに適用し搭載しても良い。本縫いミシンに適用する場合には、オペレーターが針棒110,120の切り換えの実行をミシンの制御装置90に対して指示入力する入力手段を設けることが望ましい。
また、停止選択部33の切り換えレバー332は、半径方向外側に突出した押し込み突起332b,332cを備える構造としており、「使用する縫い針の切り換え」動作における各針棒110,120の保持状態を切り換える際には、各針棒110,120の上端部から突出したピン形状部321a,321aと押し込み突起332b,332cとが干渉しないように、針棒抱き25に保持された状態の針棒110又は120が上死点を通過した上停止位置にある時に切り換えレバー332の回動を行い、その後に上軸22を逆回転させて上死点位置に戻してピン形状部321aの押し込みを行っている。
ここで、図13に示すように、切り換えレバー332の押し込み突起332bと332cの間を緩やかに縮径するテーパ形状部332dで連結し、外周カム状に形成しても良い。これにより、針棒抱き25に保持された状態の針棒110又は120のピン形状部321aと押し込み突起332b又は332cとが干渉することなく切り換えレバー332を回動させることが可能となる。
従って、「使用する縫い針の切り換え」動作の際には、ミシンモーター21を上停止位置ではなく、針棒上死点で停止させ、その状態で、糸切り、針棒土台31の回動、切り換えレバー332の回動を行い、針棒110,120を切り換えて、そのまま縫製を再開することが可能となる。つまり、ミシンモーター21の逆回転動作を不要とし、針棒切換動作を迅速に行うことが可能となる。
[糸保持装置の他の例]
また、図9に示す糸保持装置60に替えて図14〜図16に示す糸保持装置60Aをミシン100に装備しても良い。
この糸保持装置60Aは、針棒土台31の右の側面近傍に固定装備された可動保持部材61Aと、可動保持部材61Aに対して針棒土台31の揺動方向の両側で近接対向する二つの対向部621A,622Aを備えた固定保持部材62Aとを備えている。
上記可動保持部材61Aは、その上端部が針棒土台31の前面の右端部において二つのネジにより固定されている。そして、可動保持部材61Aの下端部はY軸方向における後方に向かって屈曲形成された糸保持部611Aが形成されている。糸保持部611AはY軸方向に沿った丸棒状である。
そして、糸保持部611Aの外周面における左右の両側縁部611Aa,611Abは、それぞれ、固定保持部材62Aの対向部621A,622Aに対向している。
固定保持部材62Aは、針棒土台31の右側近傍に配置されている。そして、固定保持部材62Aの二つの対向部621A,622Aは、いずれもY軸方向に平行であってZ軸方向に対して若干傾斜した平板状をなし、Y軸方向から見て略逆さU字状となるように互いの上部が一体的に連接されている。そして、固定保持部材62Aは、支持部625Aにより面部105のフレームに固定されている。
また、二つの対向部621A,622Aの連接部は半円筒状をなし、当該連接部を上下に貫通して縫い針11側の上糸U1を挿通する糸通し穴623Aと縫い針12側の上糸U2を挿通する糸通し穴624Aとが形成されている。
糸通し穴623A,624AはいずれもX軸方向に沿ったスリット状に形成されている。そして、糸通し穴623Aは対向部621A,622Aの連接部から対向部621Aに至る範囲で形成され、糸通し穴624Aは対向部621A,622Aの連接部から対向部623Aに至る範囲で形成されている。
これにより、糸通し穴623Aは上方から挿通された上糸U1を、対向部621Aと糸保持部611Aの外周面における左の側縁部611Aaとの間の第一の糸通し部に案内し、糸通し穴624Aは上方から挿通された上糸U2を、対向部622Aと糸保持部611Aの外周面における左の側縁部611Abとの間の第二の糸通し部に案内することを可能としている。
可動保持部材61Aは、X軸方向に沿って往復揺動を行う針棒土台31に装備されているので、切換駆動部34による縫い針11の選択時において、針棒土台31の下端部が右方に揺動すると、可動保持部材61Aの糸保持部611Aの右側縁部611Abが固定保持部材62Aの対向部622A側に接触する。その結果、使用しない縫い針12側の上糸U2がこれらに挟持された状態となり、天秤141の引き上げ動作に抗して上糸U2が縫い針12から引き抜かれることを防止することができる。
また、切換駆動部34による縫い針12の選択時には、針棒土台31の下端部が左方に揺動するので、可動保持部材61Aの糸保持部611Aの一方の側縁部611Aaが固定保持部材62Aの一方の対向部621A側に接触する。その結果、使用しない縫い針11側の上糸U1がこれらに挟持された状態となり、天秤141の引き上げ動作に抗して上糸U1が縫い針11から引き抜かれることを防止することができる。
上記糸保持装置60Aの場合、装置全体を針棒土台31の右側に配置することができ、天秤141から縫い針11,12の近傍に設けられた針棒糸案内36に渡る上糸経路の途中に設けることができるため、上糸U1,U2を円滑に案内することが可能である。
[他の例の作用効果]
上記糸保持装置60Aの可動保持部材61Aは針棒土台31に装備されているので、針棒選択時の針棒土台31のそれぞれの方向への揺動により、可動保持部材61Aの各々の側縁部661Aa,661Abを固定保持部材62Aの一方の対向部621Aと他方の対向部622Aとに個々に当接させることができ、各々の当接により、各針棒110,120が保持する縫い針11,12に供給されるそれぞれの上糸U1,U2を挟持することが可能である。このため、糸保持装置60Aでは、二本の上糸U1,U2を保持するための駆動源を一つとして必要とせず、装置全体の構成の簡易化、部品点数の低減、制御系の簡易化を図ることが可能となる。
また、固定保持部材62Aは、二つの対向部をつなげる連接部と、連接部に形成された二つの糸通し穴623A、624Aを有し、二本の針棒の縫い針に供給されるそれぞれの上糸を個別に通すことを可能とした。このため、左糸、右糸の誤った糸通しを防止できる。
[他の発明]
上記の糸保持装置60と、糸保持装置60Aは、針棒土台31に揺動動作を付与する切換駆動機構34を有するミシンで用いられた。しかし、これら糸保持装置60、60Aは、エアシリンダ等の切換駆動機構を有し、針棒土台に水平移動動作を付与するミシンに対しても用いることができる。
装置全体の構成の簡易化、部品点数の低減、制御系の簡易化を目的として、以下の発明の構成が容易に考えられる。なお、揺動動作と水平移動動作の両動作を行うものを単に移動動作と定義する。
発明の構成は、以下の通りである。なお、以下の構成説明では糸保持装置60を搭載する場合を例示するが、糸保持装置60Aを搭載することも可能なので、糸保持装置60Aを搭載する場合の構成についても括弧内の符合により例示する。
下端部で個々に縫い針を保持する二本の針棒110,120と、
二本の針棒110,120を上下動可能に支持する針棒土台31と、
針棒抱き25を通じて二本の針棒11,12に上下動動作を付与する針上下動機構20と、
二本の針棒110,120について個々に設けられ、針棒土台31による針棒110,120の保持状態と針棒抱き25による針棒110,120の保持状態とを切り換える針棒停止機構32,32と、
各々の針棒停止機構32,32に対して、上記二つの保持状態の切り換えを入力する停止選択機構33と、
針棒土台31を通じて縫製に使用する針棒110又は120の選択動作を行う切換駆動機構34とを備えるミシンにおいて、
針棒土台31は、二本の針棒110,120の下端部側が揺動可能となるようにミシンフレームに支持され、
切換駆動機構34は、針棒土台31に対する移動動作の付与により二本の針棒の選択を行い、
切換駆動機構34による縫製に使用する針棒としての選択に応じて、選択されていない方の針棒が保持する縫い針11又は12に供給される上糸U1又はU2を当該縫い針と天秤141との間で保持する糸保持装置60(60A)を備え、
糸保持装置60(60A)は、針棒土台31に装備された可動保持部材61(61A)と、ミシンフレームに固定装備された固定保持部材62(62A)とを備え、
固定保持部材62(62A)は、可動保持部材61(61A)の針棒土台31の揺動動作方向における両端部のそれぞれに対向する二つの対向部621,622(621A,622A)を有し、
二つの対向部621,622(621A,622A)が、可動保持部材61(61A)と共に、二本の針棒110,120の縫い針11,12に供給されるそれぞれの上糸U1,U2を個別に挟持することを特徴とする。
この構成により、糸保持装置60(60A)では、二本の上糸U1,U2を保持するための駆動源を一つとして必要とせず、装置全体の構成の簡易化、部品点数の低減、制御系の簡易化を図ることが可能となる。
また、糸保持装置60Aを搭載した場合には、固定保持部材62Aは、二つの対向部621A,622Aをつなげる連接部と、連接部に形成された二つの糸通し穴623A、624Aを有し、二本の針棒110,120の縫い針11,12に供給されるそれぞれの上糸U1,U2を個別に通すことを可能とした。このため、左糸、右糸の誤った糸通しを防止できる。
20 針上下動機構
21 ミシンモーター
22 上軸
25 針棒抱き
30 針棒切換機構
31 針棒土台
315 支軸
32 針棒停止部(針棒停止機構)
33 停止選択部(停止選択機構)
331 エアシリンダ(アクチュエーター)
332 切り換えレバー(切り換え部材)
34 切換駆動部(切換駆動機構)
341 エアシリンダ(第2アクチュエーター)
35 支持ブロック
60,60A 糸保持装置
61,61A 可動保持部材
611,611A 糸保持部
611a,611b,611Aa,611Ab 側縁部
62,62A 固定保持部材
621,622,621A,622A 対向部
80 布移動機構
90 制御装置
100 ミシン
101 ミシンフレーム
102 ミシンアーム部
11,12 縫い針
110,120 針棒
14 天秤機構
141 天秤
U1 上糸
U2 上糸

Claims (6)

  1. 下端部で個々に縫い針を保持する二本の針棒と、
    前記二本の針棒を上下動可能に支持する針棒土台と、
    針棒抱きを通じて前記二本の針棒に上下動動作を付与する針上下動機構と、
    前記二本の針棒について個々に設けられ、前記針棒土台による針棒の保持状態と前記針棒抱きによる針棒の保持状態とを切り換える針棒停止機構と、
    各々の前記針棒停止機構に対して、二つの前記保持状態の切り換えを入力する停止選択機構と、
    前記針棒土台を通じて縫製に使用する針棒の選択動作を行う切換駆動機構とを備えるミシンにおいて、
    前記針棒土台は、前記二本の針棒の下端部側が揺動可能となるようにミシンフレームに支持され、
    前記切換駆動機構は、前記針棒土台に対する揺動動作の付与により前記二本の針棒の選択を行うことを特徴とするミシン。
  2. 前記停止選択機構は、
    二つの前記針棒停止機構のいずれかを選択して前記二つの保持状態の切り換えを入力する切り換え部材と、
    前記切り換え部材に対して、前記二本の針棒の前記針棒停止機構のいずれに対して前記保持状態への切り換えを入力するかを選択する動作を付与するアクチュエーターとを備えることを特徴とする請求項1記載のミシン。
  3. 前記停止選択機構の前記切り換え部材は、前記針棒土台の揺動動作の支軸に軸支され、
    前記支軸回りの回動動作により前記二本の針棒の前記針棒停止機構に対して個別に前記保持状態への切り換えを入力することを特徴とする請求項2記載のミシン。
  4. 前記切換駆動機構は、
    前記針棒土台に対して、その揺動半径方向に沿って形成された嵌合溝と、
    前記嵌合溝に嵌合する角駒と、
    揺動動作が入力される入力腕に一端側が固定され、他端側に前記角駒に装着される偏心カム部を備えるカム軸と、
    前記入力腕を介して、前記針棒土台に揺動運動を付与する第2アクチュエーターとを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のミシン。
  5. 前記切換駆動機構による前記縫製に使用する針棒としての選択に応じて、選択されていない方の針棒が保持する縫い針に供給される上糸を当該縫い針と天秤との間で保持する糸保持装置を備え、
    前記糸保持装置は、前記針棒土台に装備された可動保持部材と、前記ミシンフレームに固定装備された固定保持部材とを備え、
    前記固定保持部材は、前記可動保持部材の前記針棒土台の揺動動作方向における両端部のそれぞれに対向する二つの対向部を有し、
    前記二つの対向部が、前記可動保持部材と共に、二本の針棒の縫い針に供給されるそれぞれの上糸を個別に挟持することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のミシン。
  6. 前記固定保持部材は、
    前記二つの対向部をつなげる連接部と、
    前記連接部に形成された二つの糸通し穴を有し、
    二本の針棒の縫い針に供給されるそれぞれの上糸を個別に通すことを特徴とする請求項5に記載のミシン。
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