JP2014161440A - 歯科cad/cam用レジンブロック - Google Patents

歯科cad/cam用レジンブロック Download PDF

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Abstract

【課題】比較的単純な構造で汎用性と生産性に優れ、なおかつ天然歯の美観の再現性が高い歯科CAD/CAM用切削ブロックを提供すること。
【解決手段】 象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層とが積層された歯科CAD/CAM用レジン系ブロックであって、少なくとも象牙質修復用レジン層は光拡散性粒子を含有し、特定の拡散比を有することを特徴とする歯科CAD/CAM用レジン系ブロック。好ましくは、象牙質修復用レジン層を構成する光拡散性粒子と樹脂マトリックスとの屈折率の差が0.02〜0.08である歯科CAD/CAM用レジンブロック。
【選択図】なし

Description

本発明は、三次元座標データに基づいて切削加工機によって歯冠を作製する際に使用される歯冠作製用ブロックに関する。
インレー、クラウン、ブリッジ等の歯科用補綴物の作製には、従来はロストワックス鋳造法による金属材料の鋳造や、ポーセレンや光硬化性樹脂の築盛等の方法が一般的に採用されてきた。一方、近年では一定品質の歯科用補綴物を短時間で大量に作製する事が可能な方法として、コンピュータを利用し三次元座標データに基づいて歯科用補綴物の設計を行い、切削加工機を用いて歯冠修復物を作製する、CAD/CAMシステムが適用される例が増えている。このようなシステムでは、適当な大きさを有する直方体、円柱、ディスク等の形状のブロック体が供給され、これを切削加工機にセットして削りだすことで歯冠形状や歯列形状の補綴物を得る。ブロック体の素材としては、ガラスセラミック、ジルコニア、チタン、アクリル樹脂等、種々の材料が提案されている。
歯冠歯列修復治療では、天然組織の色調に可能な限り近い外観を付与する事が要求されるが、このような審美的要求を満たすためには、単一成分からなるブロック体を切削して作製するだけでは十分でない場合も多く、これまでにも多層の色調から構成される切削用ブロック体が提案されている。
例えば特許文献1では、異なる数層の色調を持つセラミック成形部材を開示している。複数の層を同一ブロック状に組み合わせて成形する事によって、天然歯の透明な切縁部から不透明な歯頚部にわたる自然な色調を再現することを可能にしている。
例えば特許文献2では、複数の層の空間的配置に注目し、異なる色調の2成分界面が曲面を描くように配置することを特徴としている。これによって、天然歯の垂直方向の再現だけでなく、水平方向の再現性も改善したとしている。
例えば特許文献3では異なる色密度が徐々に変化する複数層からなる歯科用切削用ブロックが提案されている。
これらの先行文献に示されるように、天然歯の再現性向上のために、ブロック内部の色調構造を多層化、あるいは空間的配置に特徴を持たせる試みがなされている。また、異なる色調の境界部が表面へ露出した場合、その美観が大きく損なわれるため、表面にいたる境界部分を移行的に配置したり、複数の層構造を形成するなど、より厳密に設計される必要性が生じる。このようにブロックの色調構造を多層化、複雑化するほど、1ブロックの汎用性は低下し、術者はより多くの種類のブロックを用意しなければならなくなるといった欠点が生じる。
一方、天然歯冠はその大部分を、透明で色彩の少ないエナメル質と、比較的不透明で色彩の強い象牙質の二層から構成されており、その光学特性を模倣すること自体は難しくないようにも思われる。にもかかわらず、依然として外観の審美性が課題となっている原因は、これらの異なる組織の光学的特性的なギャップが大きい事と、これらの層の境界配置を個人差、個体差のある天然歯と完全一致させる事が困難である事に起因していると考えられる。CAD/CAMのような大量生産を前提とする歯冠修復物の製造方法において、天然歯のアナトミカルな構造を模倣する事は、生産性の向上の観点からは実質不可能と思われる。
特許文献4では、異なる色調の材料をまとめてプレスする加圧プロセスを踏むことで、材料同士の境界域で僅かながら混色を起こし、美観の改善された多色構造体の製造方法が提案されている。この方法は、セラミックにもプラスチックにも適用可能とされている。このような手法は、材料の境界部を物理的に移行的にし、光学的特性のギャップを目立ちにくくしたものと理解される。しかし、この方法では、プレス加工前の原料の様々な性状、例えばセラミック粉体のかさ密度やプラスチック材料の粘度や粘度温度依存性の影響を受けやすく、界面域での混色の度合いを制御する事が困難であった。
欧州特許第0455854号明細書 特表2011−528597号公報 国際公開第02/09612号パンフレット 米国特許第6379593号明細書
このように、従来技術では、いくつかのCAD/CAM用切削ブロック体が示されており、該CAD/CAM用切削ブロック体は、エナメル質、象牙質から構成される天然歯冠に対する色彩調和を図るため、また、ブロック体中の層と層との境界を目立たなくし美観を良好にするために、内部の色調構造を多層化したり、各層の空間的配置を厳密に制御したりすることが必要であった。そのため、ブロック体の構成が複雑となり、汎用性、生産性に劣っていた。したがって、本発明は、比較的単純な構造で汎用性と生産性に優れ、なおかつ天然歯の美観の再現性が高い歯科CAD/CAM用切削ブロックを提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、ブロック体を構成する各成分の光学的特性、特に光透過性と光の内部拡散性の関連性に注目し、特定の関係を満たす光学的特性を有する材料を組み合わせて使用することで、天然歯のアナトミカルな構造を必ずしも模倣する必要がなく、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層とが積層された歯科CAD/CAM用レジン系ブロックであって、
少なくとも象牙質修復用レジン層は光拡散性粒子を有し、
前記象牙質修復用レジン層の0.30±0.01mm硬化体のコントラスト比C1が0.2〜0.5であり、かつ下記式
D’1={(I20/cos20゜)+(I70/cos70゜)}/(2×I0×C1)
(式中、I0、I20、及びI70は、前記歯科CAD/CAM用レジン系ブロックの厚さ0.30±0.01mmの板状試料に、該試料の表面に対して垂直に光を照射した場合において、光の入射方向に対してそれぞれ、0゜、20゜、及び70゜の方向に透過した光強度を意味する。)のD’1で定義される拡散比が30〜200の範囲にある、
ことを特徴とする歯科CAD/CAM用レジン系ブロックである。
本発明の好ましい一実施態様は、象牙質修復用レジン層を構成する光拡散性粒子と樹脂マトリックスとの屈折率の差が0.02〜0.08、好ましくは0.02〜0.05である歯科CAD/CAM用レジン系ブロックである。
本発明においては、前記光拡散性粒子が無機粒子および/または無機粒子を主成分とする有機無機複合粒子であることが好ましい。また、樹脂マトリックスが(メタ)アクリル樹脂であることが好ましい。また、象牙質修復用レジン層中の光拡散性粒子の平均粒径が1〜50μmであり、かつ象牙質修復用レジン層中の光拡散性粒子の含有量が5〜60質量%である歯科CAD/CAM用レジン系ブロックであることが好ましい。
また、本発明においては、象牙質修復用レジン層の0.30±0.01mm硬化体のコントラスト比C1が0.2〜0.5であり、前記エナメル質修復用レジン層の0.30±0.01mm硬化体のコントラスト比C2が0.05〜0.25であり、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層のコントラスト比の差ΔC12が少なくとも0.05以上であることが好ましい。
本発明の歯科CAD/CAM用切削ブロックは、2層程度の少ない層構成で、かつ各層の空間的配置の厳密な制御を必要としない単純な構造を有しているため汎用性と生産性に優れており、天然歯の美観の再現性に優れた歯冠修復物を容易に作製する事が可能となる。
本発明の歯科CAD/CAM用レジンブロック(以下、本発明のブロックとも言う)は、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層とが積層された歯科CAD/CAM用レジン系ブロックであって、
少なくとも象牙質修復用レジン層は光拡散性粒子を有し、前記象牙質修復用レジン層の0.30±0.01mm硬化体のコントラスト比C1が0.2〜0.5であり、かつ下記式
D’1={(I20/cos20゜)+(I70/cos70゜)}/(2×I0×C1)
(式中、I0、I20、及びI70は、前記歯科CAD/CAM用レジン系ブロックの厚さ0.30±0.01mmの板状試料に、該試料の表面に対して垂直に光を照射した場合において、光の入射方向に対してそれぞれ、0゜、20゜、及び70゜の方向に透過した光強度を意味する。)のD’1で定義される拡散比が30〜200の範囲にある、
ことを特徴とする。
歯科CAD/CAM用レジン系ブロックとは、コンピュータ上に取得された三次元座標データに基づいて切削加工機によって歯冠を作製する際に使用されるブロック体のことを言う。ブロック体であればその大きさ形状に制限はなく、目的に応じたものを適宜選択して用いればよい。ブロック体の大きさが大きいほど、ブリッジなどのより大きい補綴物を作製する事が可能となるが、インレーなどの小さい修復物を作製するには無駄が多い。大きさとしては、通常5mm〜150mmの範囲から選択され、形状としては角柱状、円柱状、ディスク状などから用途や切削装置に応じて選択される。
本発明の歯科CAD/CAM用レジン系ブロックは、象牙質及びエナメル質から構成される天然歯に対する色調を調和させるため少なくとも象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層を含む。象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層は本発明の歯科CAD/CAM用レジン系ブロックを構成する最小限の構造要素である。象牙質修復用レジン層はエナメル質修復用レジン層のマトリックスは樹脂で構成され、樹脂は同種でも異種でもよい。
また、本発明のブロックは、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層とが積層された構造を有するが、ここで積層とは両層の少なくとも一面同士が接触し界面を形成している状態を意味する。界面は平面であっても曲面であってもよく、すなわち、両層の空間的配置は、界面を有していれば特に限定されるものではない。
さらに、本発明の象牙質修復用レジン層、及びエナメル修復用レジン層はそれぞれを多層化していてもよい。しかし、単層の象牙質修復用レジン層及び単層のエナメル質修復用レジン層のみの場合でも本発明の条件を満足すれば、天然歯との色調適合性が高くなる。この点、天然歯の色調を再現すべく多層化し、CAD/CAM用ブロックを作成していた従来技術と比較し、本発明は汎用性が高く、生産性向上効果がある。したがって、本発明のCAD/CAM用レジン系ブロックは、単層の象牙質修復用レジン層と単層のエナメル質修復用レジン層のみにより構成されることが好ましい。
本発明の象牙質修復用レジン層及びエナメル質修復用レジン層に関して、天然歯の色調を再現すべく、種々の色調パラメーター(コントラスト比、彩度等)を天然歯のものに近づける厳密なコントロールを行わない場合でも、天然歯の色調再現性が良好となる。後述する光拡散性粒子を少なくとも象牙質修復用レジン層に配合することにより天然歯との色調適合性が高まるため、各層の色調パラメーターはある一定の範囲内に調整しさえすればよい。
本発明における象牙質修復用レジン層の0.30±0.01mm硬化体のコントラスト比C1は0.2〜0.5である。象牙質修復用レジン層のコントラスト比をこのように制御することで、後述する光拡散性粒子の配合を条件として天然歯との色調適合が良好となる。ここで、コントラスト比は、色差計を用いて、三刺激値のY値を背景色黒及び白で測定し、下記式に基づいて求めた値である。黒背景としては艶消し暗箱が、白背景としては白色標準板が使用される。
コントラスト比C=背景色黒の場合のY値/背景色白の場合のY値
コントラスト比が小さい場合、透明性が高すぎ、コントラスト比が大きい場合は透明性が低すぎて、審美的な歯冠修復物が得られない。より好ましいコントラスト比C1の範囲は、0.3〜0.4である。
本発明におけるエナメル質修復用レジン層の0.30±0.01mm硬化体のコントラスト比C2は特に制限されるものではないが、天然歯との色調適合性の観点から象牙質修復用レジン層より小さい値である0.05〜0.25である事が好ましい。コントラスト比が小さい場合、透明性が高すぎ、コントラスト比が大きい場合は透明性が低すぎて、審美的な歯冠修復物を得る事が難しくなる。また、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層のコントラスト比の差ΔC12が0.05以上である事が好ましい。ΔC12は、0.1〜0.3の範囲である事がより好ましく、0.15〜0.3の範囲である事がさらに好ましい。象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層のコントラスト比が近い場合、あたかも単一素材のブロックのような外観を示しやすくなり、2層を組み合わせて天然歯に近い外観を有する歯冠修復物を製造するメリットが得られにくくなるため、コントラスト比の差は一定以上大きい事が好ましい。一般に、コントラスト比の差が大きいと、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層の境界部分が明瞭に識別する事ができるようになるため好ましくない。しかし、本発明のブロック体は、光拡散性粒子を有しているため象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層のコントラスト比の差が大きい場合にも、その境界部分をほとんど識別する事ができず、より自然で審美的な外観を付与する事ができるという、著しい効果がある点でも非常に有益である。さらに、本発明の象牙質修復用レジン層、及びエナメル修復用レジン層は、実際の天然歯の象牙質やエナメル質のコントラスト比Cを必ずしも再現したものでなくてもよい。一般的な天然歯エナメル質のコントラスト比はおよそ0.2、一般的な天然歯象牙質のコントラスト比はおよそ0.3といわれており、その差ΔC12は個人差もあるが約0.1である。しかし、人工的材料によって天然歯を再現する場合は、切端部の透明感を強調したり支台の色調を遮蔽したりする目的で、両者のコントラスト比の差を敢えて大きくする場合があり、そのほうが審美的な外観を得ることができる場合がある。このような場合においても、本発明のレジン系ブロックは、その境界部分をほとんど識別する事ができず、より自然で審美的な外観を付与する事ができるという、著しい効果がある点でも非常に有益である。
コントラスト比の調整は、顔料の添加やその配合比の増減によって調整することができる。亜鉛華、酸化チタン等の白色顔料の配合量によって調整を行うのが、他の色の因子例えば色相や彩度へ及ぼす影響が少ないことから好ましい。
本発明の歯科CAD/CAM用レジン系ブロックは象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層とからなる。天然歯は、透明性の高いエナメル質と比較的不透明で色味のある象牙質から構成され、切端部ほど色味が少なく透明感があり、歯頸部ほど色味が濃くなっている。象牙質修復用レジン層の好適なL、a、bの範囲は、Lは70〜90、aは−5.0〜5.0、bは5〜30であり、エナメル質修復用レジン層の好適なL、a*、bの範囲は、Lは80〜90、aは−5.0〜1.0、bは0.0〜7.0である。このような天然歯のおおよその外観を表現するためには、少なくとも2層を組み合わせてブロックを予め調整しておく必要があり、本発明のブロックは異なる2種類の色の層を組み合わせてなる。ここで、色が異なるとは、白背景で測定したL表色系における象牙質修復用レジン層の彩度S1とエナメル質修復用レジン層の彩度S2の彩度差ΔS(S1−S2)が2〜25であることを意味する。ΔSの好ましい範囲は5〜20であり、更に好適な範囲は7〜15である。ΔSが大きすぎても小さすぎても、天然歯と調和した良好な外観の歯冠修復物を得る事ができない。ここで、ΔSは色差計を用いて測定されるL*a*b*を元に以下の式によって算出される。
S1=√(a+b)、S2=√(a+b
ΔS=S1−S2
ここに、a1、a2はそれぞれ象牙質修復用レジン層、エナメル質修復用レジン層の白背景でのa値を、b1、b2はそれぞれ象牙質修復用レジン層、エナメル質修復用レジン層の白背景でのb値を表す。白背景としては標準白板が使用される。
本発明の象牙質修復用レジン層、エナメル質修復用レジン層およびそれ以外の第三層などの任意の構成成分の色は、顔料の添加やその配合量を変更することによって調整する事ができる。使用する顔料の種類は特に限定されるものではない。具体例を挙げれば、黄鉛、亜鉛鉛、バリウム黄等のクロム酸塩;紺青等のフェロシアン化物;銀朱、カドミウム黄、硫化亜鉛、アンチモン白、カドミウムレッド等の硫化物;硫酸バリウム、硫酸亜鉛、硫酸ストロンチウム等の硫酸塩;亜鉛華、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ベンガラ、鉄黒、酸化クロム等の酸化物;水酸化アルミニウム等の水酸化物;ケイ酸カルシウム、群青等のケイ酸塩;カーボンブラック、グラファイト等の炭素等、ナフトールグリーンB、ナフトールグリーンY等のニトロソ系顔料;ナフトールS、リソールファストイエロー2G等のニトロ系顔料、パーマネントレッド4R、ブリリアントファストスカーレット、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー等の不溶性アゾ系顔料;リソールレッド、レーキレッドC、レーキレッドD等の難溶性アゾ系顔料;ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF5R、ピグメントスカーレット3B、ボルドー10B等の可溶性アゾ系顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー等のフタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の塩基性染料系顔料;ピーコックブルーレーキ、エオシンレーキ、キノリンイエローレーキ等の酸性染料系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独でまたは複数を組み合わせて用いることができる。
本発明のブロックにおける象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層の体積比は特に制限されない。象牙質修復用レジン層は、エナメル質修復用レジン層よりも大きな体積比を有している事が、切削加工後の歯冠修復物が天然歯との外観の調和が得られるように設計しやすくなるという点で好ましい。ブロック全体に対する象牙質修復用レジン層の体積比が51〜90%であることが好ましく、61〜80%であることがより好ましい。これは、一般的な天然歯における象牙質の割合がエナメル質に対して大きいことと、光拡散性粒子を含む象牙質修復用レジン層が多い方が本発明の効果が高くなることに起因すると考えられる。ここで、象牙質修復用レジン層の体積比とは、象牙質修復用レジン層の体積のブロック全体の体積に対する割合(100×象牙質修復用レジン層の体積/ブロック全体の体積)をいい、エナメル質修復用レジン層の体積比とは、エナメル質修復用レジン層の体積のブロック全体の体積に対する割合(100×エナメル質修復用レジン層の体積/ブロック全体の体積)をいう。一方、エナメル質修復用レジン層の好ましい体積比はブロック全体の10〜49%、より好ましくは20〜39%である。
体積比は、象牙質修復用レジン層、エナメル質修復用レジン層の計量値によって調整する事が可能である。例えば、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層のみから構成されるブロックにおいて成形を行う金型内部の容量をVとした場合に、象牙質修復用レジン層の計量容積をv1とし、エナメル質修復用レジン層の計量容積をV−v1とし、このときの各体積比が上記好適な範囲に含まれるように調整すればよい。
本発明の象牙質修復用レジン層は樹脂マトリックス及び光拡散性粒子を含み、下記式D’1で定義される拡散比が30〜200の範囲にあることを特徴とする。
D’1={(I20/cos20゜)+(I70/cos70゜)}/(2×I0×C1)
(式中、I0、I20、及びI70は、前記歯科CAD/CAM用レジン系ブロックの厚さ0.30±0.01mmの板状試料に、該試料の表面に対して垂直に光を照射した場合において、光の入射方向に対してそれぞれ、0゜、20゜、及び70゜の方向に透過した光強度を意味する。)
本発明のCAD/CAM用レジンブロックでは、天然歯の色調、すなわち、象牙質とエナメル質との色調適合性を向上させるべく、象牙質修復用レジン層の色、コントラスト比、エナメル質修復用レジン層の色を調整している。しかし、コントラスト比と色(彩度)の調整だけでは、天然歯の色調を十分再現できず、また、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層の境界が移行的ではなく、境界部分が目立ってしまい、審美性に劣ってしまう。したがって、本発明では、コントラスト比、色に加え、象牙質修復用レジン層の拡散比を適切に制御することを最大の特徴とする。象牙質修復用レジン層に光拡散性粒子を含有させる事によって本発明の効果が達成される理由については明らかではないが、発明者は以下のように考えている。天然歯と同様に、本発明のCAD/CAM用レジンブロックにおいてより色調に重要な影響を及ぼしているのは、彩度が高い象牙質修復用レジン層である。光拡散性粒子はそれらが存在する層の色情報をより多く観測者へ反射する性質を有しているため、本発明のCAD/CAM用レジンブロックにおいても、象牙質修復用レジン層へ光拡散性粒子を配合させたほうが高い効果が得られるものと推測される。また、天然歯における象牙質の光拡散特性と類似しているという別の理由も存在すると考えられる。
これらを適切に制御することで、象牙質、エナメル質からなる天然歯との色調適合性が良好で、かつ境界部分が目立たず、審美性のすぐれた材料となる。拡散比が30未満の場合及び200より大きい場合、本発明の効果である天然歯の美観の再現性に優れた歯冠修復物を得る事ができない。本発明の効果の発現機構は不明だが、拡散比を本発明の範囲に調整することによって、本発明のCAD/CAM用レジンブロックに入射した光が境界付近で様々な方向に拡散反射することで境界を目立たなくする効果が発現するものと予想される。
拡散比D’とは、対象物質に入射した透過光の光の広がり度合いを表す指標である拡散度Dを、透明性の指標であるコントラスト比Cで除した値である。発明者らの検討によれば、本発明の効果を得るためには単に拡散度Dで示される数値を一定の範囲とするのみでは不十分であり、新たに導かれた指標である拡散比D’で規定される特定の組成物を使用する事が本発明における重要な点であることを見出した。拡散度Dは対象物質の透明性の大小によって影響を受け、透明性が高いほど正透過光の強さを表す数値I0が大きくなることによって拡散度Dが小さくなる傾向にあり、一方で透明性が低いほどI0が小さくなることによって拡散度Dが大きくなる傾向にある。よって、D’の数値自体に化学的な根拠は無いものの、拡散度Dを透明性の指標であるコントラスト比Cによって除し補正をかけることで、透明性の影響を極力排除しつつ、対象物質の光学的特性の適正に見積もる事ができる。
拡散度Dの測定にはゴニオフォトメーターを用いる。条件は試験片厚さ0.3±0.01mmで行う。拡散比のより好適な範囲は40〜150であり、更に好適な範囲は75〜125である。拡散比の調整は、選択する樹脂マトリックスや光拡散性粒子の種類、及び光拡散性粒子の配合量によって行う事ができ、具体的には、光拡散性粒子の配合量が大きいほど、また、光拡散性粒子の屈折率と樹脂マトリックスの屈折率との差が大きいほど拡散比を高くする事ができる。
本発明のエナメル質修復用レジン層の拡散比D’2値は特に規定されないが、より高い審美性を有するブロックとするためには、拡散比D’2が30〜200、より好ましくは40〜150の範囲にあることが好ましい。象牙質修復用レジン層の色、コントラスト比、拡散比を適切に調整すると同時に、エナメル質修復用レジン層の拡散比をこのように制御することで、天然歯との色調適合性の向上効果、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層との境界を移行的にし目立たなくするといった効果が極めて良好に発揮される。
D’2は以下の式によって求める事ができる。
D’2={(I20/cos20゜)+(I70/cos70゜)}/(2×I0×C2)
(式中、I0、I20、及びI70は、前記歯科CAD/CAM用レジン系ブロックの厚さ0.30±0.01mmの板状試料に、該試料の表面に対して垂直に光を照射した場合において、光の入射方向に対してそれぞれ、0゜、20゜、及び70゜の方向に透過した光強度を意味する。)
本発明の歯科CAD/CAM用レジン系ブロックに用いられる樹脂マトリックスとしては、本発明の要件を満たすレジン系材料が特に制限無く選択される。レジン系材料としては、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であってもよく、重合性単量体を含んでなる硬化性組成物を重合硬化して得られる樹脂でもよい。本発明の効果を得るためには、透明性が高い樹脂が好適に使用され、具体的に例示すれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリアミド、ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、フェノール樹脂などが挙げられるが、生体安全性や高い透明性が得られる事から、ポリメタクリレートやポリアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂を用いる事が好ましい。
本発明の歯科CAD/CAM用レジン系ブロックの象牙質修復用レジン層は、光拡散性粒子と樹脂マトリックスとを含有してなり、該光拡散性粒子の平均粒径が1〜50μmであり、かつ象牙質修復用レジン層中の光拡散性粒子の含有量が5〜60質量%であることが好ましい。
本発明における光拡散性粒子とは、材料に光拡散性を付与する機能を有する粒子であり、平均粒径が1〜50ミクロンであり、粒子自体が透明であり、25度における屈折率が樹脂マトリックスの屈折率と少なくとも0.01異なる粒子を指す。該光拡散性粒子に特に制限は無く、無機粒子、有機粒子、有機無機複合粒子のいずれも使用する事ができる。粒子自体の透明性が高い事が好ましく、無機粒子としては、シリカ、ガラス、シリカ系複合酸化物、それらの凝集体等、有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート等、有機無機複合粒子としては、上記の無機粒子および有機粒子に用いられる材料を複合化して得られる粒子、例えばシリカ分散メタクリル等が好適に使用される。有機無機複合粒子としては無機粒子を主成分とする有機無機複合粒子が好ましい。本発明のブロックの機械的物性が高くなることから、無機粒子、および/または有機無機複合粒子を用いる事がより好ましい。無機粒子を用いた場合、材料の摩耗性、熱膨張性、吸水性、溶解性を抑制する事ができ、機械的強度も高くする事ができる。また、有機無機複合粒子を用いた場合、小さい粒子径の無機粒子を使用しながら、より大きな粒子を調整する事が可能になるため、高い研磨性、光沢性、表面滑沢性が得られながら、本発明の効果である高い光拡散比を得る事が容易にする事ができる。
光拡散性粒子は耐熱性が高いものが好ましい。熱可塑性樹脂の場合、溶融温度が200℃以上であることが好ましい。また、架橋型の樹脂が好適に用いられる。
該光拡散性粒子の平均粒子径は1〜50ミクロンである。平均粒子径は、粒度分布計を用いて測定する事ができ、体積%のD50値から得られる値である。より好ましい平均粒子径は6−20ミクロンである。平均粒子径が大きすぎても小さすぎても、高い審美的外観を得る事が難しくなる。また、該光拡散性粒子の粒子のバラツキ、すなわち粒度分布はできるだけ狭いものが好ましく、粒子径の変動係数が70%以下のものが好ましい。さらに、粒子径の変動係数は、好ましくは30%以下であり、最も好ましくは10%以下のものが好適である。
粒子形状としては、球状、略球状、不定形、半球状、レンズ状、凹形状、マッシュルーム形状、凝集状、クラスター状、ディンプル状など種々の形状のものが使用可能である。より高い光拡散効果を示すことから、球状、略球状、半球状のものが好ましい。
光拡散性粒子の屈折率は、後述する樹脂マトリックスの屈折率と異なり、両者の屈折率の差nDが、0.01以上であり、0.02〜0.08である事がより好ましく、0.02〜0.05である事がもっとも好ましい。本発明ではこのように、光拡散性粒子と樹脂マトリックスとの屈折率差を制御することが天然歯の色調を再現する観点から重要である。屈折率はアッベ型屈折率計によって25℃の環境で測定する事ができる。屈折率差が大きいほど光拡散効果が高くなるが、コントラスト比が低くなり不透明になる傾向にあるため、屈折率差が大きすぎても好ましくない。また、屈折率差が小さすぎると光拡散効果を得る事が難しくなる。
ここで、光拡散性粒子として有機無機複合粒子を用いた場合、有機無機複合粒子自体の透明性を高くし、本発明のブロックの設計を容易にする観点から、該有機成分と該無機成分の屈折率差は小さいほど好ましく、ΔnDが0.02以下、より好ましくは0.01以下である事が好ましい。有機無機複合粒子全体の屈折率は、液浸法により最も高い透明性が得られる屈折率によって求める事ができる。
光拡散性粒子の配合量は、象牙質修復用レジン層全体に対して、5〜60質量%である事が好ましい。より好ましい配合量の範囲は、10〜30質量%である。光拡散性粒子が少ない場合、光拡散効果が十分得られない。光拡散性粒子が多い場合、機械的物性が低下する恐れがある。
光拡散性粒子は樹脂マトリックスとのなじみを改善したり、化学的結合を生じさせために、表面処理を行う事ができる。具体的には、γメタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が好適に使用できる。
本発明における樹脂マトリックスとは、光拡散性粒子が分散する分散媒としての役割を持つ成分である。樹脂マトリックスとしては、樹脂であれば特に制限が無く、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれも使用する事ができるが、透明性が高い樹脂が好ましい。具体的には、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、あるいはこれらのコポリマーが好適に使用される。特に安全性や高い透明性、屈折率コントロールが容易であることから、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂が好適に使用される。
樹脂マトリックスとしては、光拡散性粒子を容易に分散させるために、光拡散性粒子を混合する工程においては流動性を示すものが好ましい。また、樹脂マトリックスを製造するための重合性単量体に光拡散性粒子を分散させておき、重合性単量体を重合硬化することによって、本発明の象牙質修復用レジン層、エナメル質修復用レジン層および第三成分などのその他任意の成分を得ても良い。
上記重合性単量体としては、特に限定されず、ラジカル重合性単量体やエポキシ化合物、オキセタン化合物などのカチオン重合性単量体などが挙げられる。ラジカル重合性単量体としては、重合性の良さなどから、(メタ)アクリレート系の単量体が好適に用いられる。当該(メタ)アクリレート系の重合性単量体を具体的に例示すると、次に示すものが挙げられる。
(A1)単官能ラジカル重合性単量体
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシートリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレートなど、酸性基を有する単官能重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸、N−(メタ)アクリロイルグリシン、N−(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、O−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルフェニルアラニン、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−o−アミノ安息香酸、p−ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸などおよびこれらの化合物のカルボキシル基を酸無水物基化した化合物、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデカン−1,1−ジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシデカン−1,1−ジカルボン酸、12−(メタ)アクリロイルオキシドデカン−1,1−ジカルボン酸、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサン−1,1−ジカルボン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−メタクリロイルオキシ−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピルサクシネート、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテートアンハイドライド、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸無水物、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−2,3,6−トリカルボン酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルカルボニルプロピオノイル−1,8−ナフタル酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,8−トリカルボン酸無水物、9−(メタ)アクリロイルオキシノナン−1,1−ジカルボン酸、13−(メタ)アクリロイルオキシトリデカン−1,1−ジカルボン酸、11−(メタ)アクリルアミドウンデカン−1,1−ジカルボン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンフォスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ブロモエチルハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリルアミドエチルジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、10−スルホデシル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロキシプロピル−3−ホスホノプロピオネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルホスホノアセテート、4−(メタ)アクリロキシブチル−3−ホスホノプロピオネート、4−(メタ)アクリロキシブチルホスホノアセテート、5−(メタ)アクリロキシペンチル−3−ホスホノプロピオネート、5−(メタ)アクリロキシペンチルホスホノアセテート、6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、6−(メタ)アクリロキシヘキシルホスホノアセテート、10−(メタ)アクリロキシデシル−3−ホスホノプロピオネート、10−(メタ)アクリロキシデシルホスホノアセテート、2−(メタ)アクリロキシエチル−フェニルホスホネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルホスホン酸、N−(メタ)アクリロイル−ω−アミノプロピルホスホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネートなど、水酸基を有する単官能重合性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどを挙げることができる。
(A2)二官能ラジカル重合性単量体
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレート、あるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクトなど、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト、たとえば、1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)−2,2−4−トリメチルヘキサン;酸性基を含むものとして、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル、ジ(2−メタクリロイルオキシプロピル)フォスフェート、ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2−ジハイドロジェンホスフェートなどを挙げることができる。
(A3)三官能ラジカル重合性単量体
トリメチロールプロパーントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパーントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパーントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート)などを挙げることができる。
(A4)四官能ラジカル重合性単量体
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジトリメチロールプロパーンテトラ(メタ)アクリレートなどのテトラ(メタ)アクリレート化合物、ヘキサメチルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサンのようなジイソシナネートの間に脂肪族を有するジイソシアネート化合物などを好適に用いることができる。
なお、上記のラジカル重合性単量体は、すべて単独で、もしくは組み合わせて使用することができる。
また、重合性単量体を重合硬化させるためには、重合触媒を用いるのが好ましい。硬化性組成物の重合方法には、紫外線、可視光線等の光エネルギーによる反応(以下、光重合という)、過酸化物と促進剤との化学反応によるもの、加熱によるもの等があり、採用する重合方法に応じて下記に示す各種重合開始剤を適宜選択して使用すればよい。
例えば、光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、ベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4−メタクリロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ジアセチル、2,3−ペンタジオンベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナントラキノン、9,10−アントラキノンなどのα−ジケトン類、2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン化合物、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド類等を使用することができる。
なお、光重合開始剤には、しばしば還元剤が添加されるが、その例としては、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N−メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン類、ラウリルアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどのアルデヒド類、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサルチル酸、チオ安息香酸などの含イオウ化合物などを挙げることができる。
また、熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p−フロルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類等が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。重合開始剤の配合量は、樹脂マトリックス100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
本発明の象牙質修復用レジン層としては、光拡散性粒子と樹脂マトリックスのほかに、任意の成分を含有する事ができる。例えば、充填材、重合開始剤、重合禁止剤、蛍光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、抗菌剤、X線造影剤などが挙げられる。
充填材は、本発明のブロックにおける機械的強度の向上、耐磨耗性の向上、熱膨張係数の低減、吸水性、溶解性の低減などの観点から配合される。
該充填材としては、光拡散性を有しないものであれば、公知の充填材が制限なく使用でき、無機粒子および有機粒子、有機無機複合粒子のいずれを用いてもよいが、通常は無機充填材が用いられる。こうした無機充填材としては、具体的には、非晶質シリカ、シリカージルコニア、シリカーチタニア、シリカーチタニア酸化バリウム、シリカーチタニアージルコニア、石英、アルミナ、ガラスなどの球形状粒子あるいは不定形状粒子を挙げることができる。このうち、シリカとジルコニア、シリカとチタニア、またはシリカと酸化バリウムとを主な構成成分とする複合酸化物が、高いX線造影性を有するため好ましく使用される。また、充填材の形状は、球形状であるのが、耐摩耗性、表面滑沢性、光沢持続性に特に優れた可視光硬化性組成物の硬化体が得られることから、特に好適に用いられる。
該充填材の平均粒子径は、0.001〜1ミクロンであることが好ましく、0.01〜0.5ミクロンであることが、耐摩耗性、表面滑沢性、光沢持続性の観点からより好ましい。
該充填材として特に好適なものは、下記に示すようなシリカ系金属酸化物粒子の特定の配合比からなる混合フィラーである。
1)平均一次粒子径0.3〜0.6μm、より好ましくは0.45〜0.58μmである、有機ケイ素化合物により表面処理されてなる、球形状または略球形状のシリカ系金属酸化物粒子I 40〜80質量%
2)平均一次粒子径が1)シリカ系金属酸化物粒子Iの平均一次粒子径の1/8〜1/4、より好ましくは1/5.5〜1/4.5である、有機ケイ素化合物により表面処理されてなる、球形状または略球形状のシリカ系金属酸化物粒子II 15〜55質量%
3)平均一次粒子径が5〜30nmであるシリカ系金属酸化物微粒子III 0〜5質量%
ここで、本発明において、1)〜3)からなる各シリカ系複合酸化物粒子の一次粒子径は、走査型や透過型の電子顕微鏡の撮影像から、円相当径(対象粒子の面積と同じ面積を持つ円の直径)を画像解析により測定したものをいう。測定に用いる電子顕微鏡撮影像としては、明暗が明瞭で粒子の輪郭を判別できるものを使用し、画像解析の方法としては、少なくとも粒子の面積、粒子の最大長、最小幅の計測が可能な画像解析ソフトを用いて行う。また、これら一次粒子の平均粒子径、変動係数、平均均斉度は、上記によって計測した一次粒子径より、下記式によって算出する。
Figure 2014161440
Figure 2014161440
ここに、粒子の数(n)、粒子の最大長を長径(Li)、この長径に直交す方向の径を最小幅(Bi)である。
これらの値を算出する場合、測定精度を保つためには少なくとも40個以上の粒子を測定する必要があり、100個以上の粒子について測定することが望ましい。
このシリカ系金属酸化物粒子混合フィラーにおいて、1)シリカ系金属酸化物粒子Iと2)シリカ系金属酸化物粒子IIとを組合せて使用させることによって、フィラーの充填率を大きく増加させることができる。すなわち、平均一次粒子径0.3〜0.6μmの比較的大きい粒子径の1)シリカ系複合酸化物粒子Iと、その平均一次粒子径の1/8〜1/4の大きさの2)シリカ系複合酸化物粒子IIを併用することにより、前者の大粒子同士の間隙を、後者の小粒子が充填し、結果的に最密充填に近づくため、その充填率を著しく高くすることができる。これにより、得られる歯科用硬化性組成物は、硬化体の機械的強度が大きく向上し、低い吸水溶解性、小さい熱膨張率や重合収縮率といった歯科用硬化性組成物としての優れた基本物性を有するものになる。しかも、1)シリカ系複合酸化物粒子Iを前記粒子径の範囲で使用していることにより、硬化体は、表面滑沢性にも優れ、短時間で容易に仕上げ研磨が行える、良好な研磨性を備えたものにすることができる。
この1)シリカ系金属酸化物粒子Iと2)シリカ系金属酸化物粒子IIとを併用した混合フィラーに、3)微細(平均一次粒子径5〜30nm)なシリカ系金属酸化物微粒子IIIを流動調整を目的として配合してもよい。
ここで、1)シリカ系金属酸化物粒子Iにおいて、平均一次粒子径が0.6μmを超える場合は、表面滑沢性が低下する傾向にあり、この平均一次粒子径が0.3μm未満の場合は、機械的強度が低下する傾向になる。なお、上記1)シリカ系金属酸化物粒子Iの一次粒子のバラツキはできるだけ小さいものが好ましく、一次粒子径の変動係数が30%以下のものが好ましい。さらに、一次粒子径の変動係数は、好ましくは20%以下であり、最も好ましくは10%以下のものが好適である。
本発明における1)シリカ系金属酸化物粒子Iは、シリカもしくはシリカを主成分とする金属酸化物であり、結晶質のものも使用可能であるが、非晶質のものが好ましい。具体的に例示するとシリカ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−バリウムオキサイド、シリカ−アルミナ、シリカ−カルシア、シリカ−ストロンチウムオキサイド、シリカ−マグネシア、シリカ−チタニア−ナトリウムオキサイド、シリカ−チタニア−カリウムオキサイド、シリカ−ジルコニア−ナトリウムオキサイド、シリカ−ジルコニア−カリウムオキサイド、シリカ−アルミナ−ナトリウムオキサイド、またはシリカ−アルミナ−カリウムオキサイド等が挙げられる。
上記の1)シリカ系金属酸化物粒子Iの形状は、球形状または略球形状である。なお、ここでいう略球形状とは、前記走査型や透過型の電子顕微鏡の撮影像の画像解析において求められる平均均斉度が0.6以上であることを意味する。平均均斉度は0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。
上記1)として使用する性状のシリカ系金属酸化物粒子の製造方法は特に限定されず、液相反応、気相反応いずれの方法も可能であるが、前記一次粒子径の変動係数が小さく球形状の粒子を得ることが容易であることから、加水分解可能な有機ケイ素化合物を含んだ溶液、あるいは更に周期律表第I、II、III、及び第IV族の金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む加水分解可能な有機化合物を含んだ混合溶液を、これら原料は溶解するが反応生成物は実質的に溶解しないアルカリ性溶媒中に添加し、加水分解を行って反応生成物を析出させる、所謂ゾルゲル法が好適に採用される。
なお、このような方法で製造されたシリカ系金属酸化物粒子は、その表面安定性を保持するために乾燥後500〜1000℃の温度で焼成するのが好ましい。また焼成時に粒子が凝集するので、ジェットミル、振動ボールミル等を用いて凝集粒子を解きほぐし、粒度を調整してから使用するのが好ましい。このような操作を行なっても凝集粒子を完全に凝集前の状態にするのは困難であり、上記のような熱処理を行なった場合には、シリカ系複合酸化物の一次粒子とその凝集体とが混合したものが得られる場合があるが、大粒子径の独立粒子を添加した場合と異なり、多少の凝集体が含まれていても重合硬化後の滑沢性や耐摩耗性に対して実質的に悪影響がなければ差し支えない。
本発明において、上記1)シリカ系金属酸化物粒子Iは、樹脂マトリックスとのなじみを良くし、硬化体の機械的強度、ペーストの流動性を良好にする観点から、有機ケイ素化合物により表面処理して用いられる。この表面処理は、有機ケイ素化合物からなる公知の表面処理剤ならびにこれらを用いた公知の表面処理方法が好適に採用できる。好適な表面処理剤を例示すれば、メチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン系のシランカップリング剤やその加水分解物、トリメチルシラノール等の一官能シラン化合物、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン、シリコーンオイル等が挙げられる。これら表面処理剤の処理量は、粒子の表面を被覆するために必要な量あれば良い。一般に、表面処理剤は、シリカ系金属酸化物Iの100質量部に対して0.1〜30質量部の範囲で使用される。
シリカ系金属酸化物粒子混合フィラーにおいて、2)シリカ系金属酸化物粒子IIは、上述の1)シリカ系金属酸化物粒子Iの平均一次粒子径の1/8〜1/4のものである。この平均一次粒子径が、上記値より小さい場合または大きい場合には、フィラーの充填率が低下するため、本発明のブロックの基本物性が低下する傾向にある。
また、2)シリカ系金属酸化物粒子IIにおいても、一次粒子径の変動係数は、通常、30%以下のものが使用され、20%以下がより好ましく、10%以下が最も好ましい。形状も、1)シリカ系金属酸化物粒子Iと同様に、球形状または略球形状であり、略球形状の場合の平均均斉度は0.6以上であり、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。
金属酸化物の種類も、1)シリカ系金属酸化物粒子Iで説明したものと同じであり、そこで例示したようなシリカもしくはシリカを主成分とする金属酸化物が制限なく使用できる。この際、該1)シリカ系金属酸化物粒子Iと同一の材質であっても異なる材質であってもよい。
さらに、2)シリカ系金属酸化物粒子IIの製造方法も、1)シリカ系金属酸化物粒子Iで説明したものと同様の方法が制限なく採用でき、前記1)シリカ系金属酸化物粒子Iの平均一次粒子径の1/8〜1/4のものとして適宜に製造すればよい。
この2)シリカ系金属酸化物粒子IIも、樹脂マトリックスとのなじみを良くし、硬化体の機械的強度、ペーストの操作性を良好にする観点から、有機ケイ素化合物により表面処理されて用いられ、その表面処理剤や表面処理方法も、前記した1)シリカ系金属酸化物粒子Iの場合と同様である。
3)シリカ系金属酸化物微粒子IIIのより好適な平均一次粒子径の範囲は、10〜28nmの範囲である。なお、これら粒子は、一次粒子が凝集してサブミクロン程度の二次凝集粒子を形成していてもよい。
本発明において、3)シリカ系金属酸化物微粒子IIIは、前記1)シリカ系金属酸化物粒子Iで例示した材質のものから、適宜に採択して使用すれば良い。この際、1)シリカ系金属酸化物粒子Iや2)シリカ系金属酸化物粒子IIと同一の材質であっても異なる材質であってもよい。粒子表面のシラノール基の数が少なく分散性が良好であり、透明性が高く、さらに、ペーストのべたつきを抑える効果も特に良好に発揮されることから、気相反応により得られたシリカ系金属酸化物が好ましく、中でもヒュームドシリカが最も好ましい。
こうした3)シリカ系金属酸化物微粒子IIIは、そのまま使用しても良いが、1)シリカ系金属酸化物粒子Iや2)シリカ系金属酸化物粒子IIと同様に、有機ケイ素化合物により表面処理して用いるのが、(A)重合性単量体とのなじみを良くし、分散性を良くして前記した配合効果をより良好に発揮させる観点から好ましい。この際の使用する表面処理剤や表面処理方法は、上記1)シリカ系金属酸化物粒子Iや2)シリカ系金属酸化物粒子IIでの表面処理と同様に実施すればよい。
本発明において、上記各組成からなるシリカ系金属酸化物粒子混合フィラーの配合量は、樹脂マトリックス100質量部に対して200〜700質量部である。また、更に好適な配合比は300〜600質量部である。シリカ系金属酸化物粒子混合フィラーの配合量が200質量部未満の場合、歯科用硬化性組成物の硬化体の機械的物性が劣り、さらに、ペーストのべたつきの抑制効果も十分でなくなる。他方、シリカ系金属酸化物粒子混合フィラーの配合量が700質量部を超えると、(A)重合性単量体との均一な混合が困難になり、ペースト状態にすることが難しくなる。
また、本発明のブロックの透明性を高くする事ができるという観点から、該充填材と樹脂マトリックスの屈折率差は小さいほど好ましく、ΔnDが0.02以下、より好ましくは0.01以下である事が好ましい。有機無機複合粒子全体の屈折率は、液浸法により最も高い透明性が得られる屈折率によって求める事ができる。
上記無機粒子は、樹脂マトリックスとのなじみをよくし機械的強度や耐水性を向上させるために、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理されていることが望ましい。表面処理の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシランなどが好適に用いられる。上記シランカップリング剤は、樹脂マトリックスに合わせて、適時選択すればよく、1種類あるいは2種類以上を合わせて用いることができる。
本発明の実施の形態において、充填材の配合量は、目的に応じて選択すればよいが、樹脂マトリックス100質量部に対して通常10〜1000質量部の割合であり、より好ましくは100〜500質量部の割合で使用される。
本発明のエナメル質修復用レジン層としては特に制限が無く、本発明の象牙質修復用レジン層と同様のものが使用可能である。
本発明の歯科CAD/CAM用ブロックの製造方法に特に制限はなく、使用する材料によって適宜製造方法を使い分ければよい。例えば、樹脂マトリックスが熱可塑性樹脂の場合、予め調整された象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層を計量、加熱溶融し、金型内部に逐次射出成形する方法や、同様に金型内部に逐次プレス成形する方法をとることができる。樹脂マトリックスの原料となる重合性単量体に光拡散性粒子を配合させておき、これを重合硬化することによって各成分を得る場合、予め、重合開始剤を含有させておいた重合性単量体を含む象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層を準備し、まず象牙質修復用レジン層を金型内に計量、充填、付形、脱泡操作等を行い、必要に応じて加熱や光による仮重合を行う。ついで、エナメル質修復用レジン層を計量、充填、付形、脱泡操作等を行い、必要に応じて加熱や光による仮重合を行い、加熱、あるいは光による最終重合を行うことでブロック体を作製する。上記においては、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層の順番は逆でも良い。また、必要に応じて、得られたブロック体の研磨、熱処理などの処理を行うこともできる。
ブロック内部での象牙質修復用レジン層、エナメル質修復用レジン層の界面は、任意に設定する事が可能である。例えば、XYZの各軸より構成される直方体形状のブロックにおいてそれぞれの軸の長さがX<Y<Zの関係にあった場合、YZ軸平面に平行となる境界面、XY軸平面に並行となる境界面、XZ軸平面に並行となる境界面を設定する事ができる。このような境界面を設定した場合、ブロックの側面に境界線が露出するが、本発明の効果は、この境界線の明瞭さの影響を最小限にとどめる事ができる。また、歯の形状に近い円弧を描いた界面形状である事がより好ましく、例えば特表2011−528297に示されるような、曲線からなる曲面をブロック内部に配置された構造を有するものや、天然歯の解剖学的構造を再現しやすいという観点から好適である。
このようにして作製されたブロックは、必要に応じて、CAD/CAM装置に保持するためのチャック構造を接合し、CAD/CAM用ブロックとして供する事ができる。これをCAD/CAM装置に接続して、設計に基づいて切削を行うことで、歯冠修復物を得る事ができる。ブロック切削後の歯冠修復物における象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層の体積比は、象牙質修復用レジン層は、エナメル質修復用レジン層よりも大きな体積比を有している事が、天然歯との外観の調和が得られるという点で好ましい。象牙質修復用レジン層が51〜90%であることが好ましく、61〜80%であることがより好ましい。歯冠修復物の体積比は、切削加工の設計を行う際に、ブロックにおける切削位置を調整することで制御する事ができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において用いられる材料、試験方法等を以下に示す。
(光拡散性粒子)
D−1: 架橋ポリメチルメタクリレートSSX105(屈折率1.49、平均粒子径5ミクロン、変動係数9%)積水化学
D−2: 有機無機複合フィラー(屈折率1.52、平均粒子径12ミクロン、変動係数61%)
D−3: 凝集シリカフィラー(屈折率1.46、平均粒径2ミクロン、変動係数133%)
(樹脂マトリックス)
M−1: 2,2−ビス[(3−メタクロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン(以下bis−GMAと略す。)/トリエチレングリコールジメタクリレート(以下TEGDMAと略す。)(重量比60/40)の重合体(硬化体); 硬化体の屈折率1.546
(重合触媒)
I−1: アゾイソブチロニトリル
(充填材)
F−1: 平均粒径0.4ミクロン、屈折率1.542の球状シリカジルコニア70質量部と平均粒径0.07ミクロン、屈折率1.542の球状シリカジルコニア30質量部混合物のγメタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物
(彩度差)
象牙質修復用レジン層およびエナメル質修復用レジン層をそれぞれ直径30mm×厚さ0.30±0.01mmの形状に成形し、色差計(東京電色製、TC−1800MKII)を用いて、背景色白でa*、b*の測定を行い、下記式に基づいてΔSを算出した。
S1=√(a*1 +b*1 )、S2=√(a*2 +b*2
ΔS=S1−S2
a*1、b*1:象牙質修復用レジン層のa*b*値、a*2、b*2:エナメル質修復用レジン層のa*b*値である。
(コントラスト比)
象牙質修復用レジン層あるいはエナメル質修復用レジン層を直径30mm×厚さ0.30±0.01mmの形状に成形し、色差計(東京電色製、TC−1800MKII)を用いて、三刺激値のY値を背景色黒及び白で測定した。下記式に基づいてコントラスト比を計算た。
コントラスト比=背景色黒の場合のY値/背景色白の場合のY値
(屈折率)
25℃における屈折率nD25を、アッベ屈折計(アタゴ社製)を用いて測定した。各無機フィラーの屈折率は液浸法によって測定した。すなわち、無機フィラーをエタノール中に分散させ、このスラリーに対し1−ブロモナフタリンを徐々に滴下し、無機フィラーと液体の境界が目視で確認できなくなったところの分散液の屈折率を無機フィラーの屈折率とした。また、有機無機複合粒子の屈折率は、無機フィラーと重合性単量体の硬化体の屈折率から、加成性が成り立つとして計算により算出した。
(拡散比)
象牙質修復用レジン層あるいはエナメル質修復用レジン層を直径30mm×厚さ0.30±0.01mmの形状に成形し、この試料片について、ゴニオフォトメーター(村上色彩技術研究所、GP−2000)を用いて、透過光の光度分布を測定した。拡散比D’は以下の式に従って計算した。
D’={(I20/cos20°)+(I70/cos70°)}/(2×I0×C)
ここで、Iは試料を透過した光の光度を表し、Io、I20、I70は光の入射方向に対してそれぞれ、0度、20度、70度方向の光の強さを表す。三角関数は光度を測定した方向の余弦を示し、角度の単位は度であり、Cはコントラスト比である)。
(外観試験A)
象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層の境界部分の移行度合いを目視評価し、境界部分が移行的で審美的に優れているものを◎、境界部分がやや移行的であるものを○、境界部分が明瞭に識別可能であり人工物様となっているものを×とした。
(外観試験B)
下顎義歯床上に人工陶歯として松風社製ベラシアSA/S32(色調A3)を配列し、第一大臼歯部分に、ブロックを切削して作製した歯冠修復物を配列した。これを目視評価したとき、色調適合性に特に優れるものを◎、色調適合性が良好なものを○、やや違和感を覚えるが許容であるものを△、色調適合性が低いものを×とした。
(外観試験C)
人工陶歯として松風社製ベラシアSA/S32(色調A3)を用い、その下顎第一大臼歯部分に幅3mm、深さ3mmのMOD窩洞を形成し、デジタル印象を採得し、コンピュータ上で修復物の設計を行った。このデータに基づいてCAD/CAM切削を行いインレー形状の修復物を得た。これを試適用セメントで窩洞に装着し、目視にてとの色調の調和について観察を行い、下記三段階評価を行った。◎:修復物の色調が陶歯と良く適合している。○:修復物の色調が陶歯と類似しているが適合性は良好でない。×:修復物と陶歯との違いが明確である。
[製造例1]
樹脂マトリックスM−1の100質量部に、重合開始剤I−1を1質量部混合溶解した。この樹脂マトリックス100質量部に対し、光拡散性粒子としてD−1を30質量部、充填材としてF−1を370質量部添加し、プラネタリーミキサーを用いてよく分散させることで硬化性組成物を得た。これに、ピグメントスカーレット3B、フタロシアニンブルー、キノリンイエロー、酸化チタン、カーボンブラックの各種顔料を添加し、配合量を調整することでパールエステ(トクヤマデンタル製)のDA3相当色に調色した。これを真空脱泡したものを組成物1とした。この硬化体のコントラスト比は0.33、拡散比は44であった。
[製造例2]
製造例1で用いた硬化性組成物に、各種顔料を添加することでパールエステ(トクヤマデンタル製)のCE相当色に調色した。これを真空脱泡したものを組成物2とした。この硬化体のコントラスト比は0.15、拡散比は59であった。
[製造例3]
製造例1で用いた硬化性組成物に、各種顔料を添加することでパールエステ(トクヤマデンタル製)のDA1相当色に調色した。これを真空脱泡したものを組成物3とした。この硬化体のコントラスト比は0.33、拡散比は43であった。
[製造例4]
製造例1で用いた硬化性組成物に、各種顔料を添加することでパールエステ(トクヤマデンタル製)のCD3相当色に調色した。これを真空脱泡したものを組成物4とした。この硬化体のコントラスト比は0.23、拡散比は46であった。
[製造例5]
樹脂マトリックスM−1の100質量部に、重合開始剤I−1を1質量部混合溶解した。この樹脂マトリックス100質量部に対し、光拡散性粒子としてD−2を80質量部、充填材としてF−1を320質量部添加し、プラネタリーミキサーを用いてよく分散させることで硬化性組成物を得た。これに各種顔料を添加することでパールエステ(トクヤマデンタル製)のDA3相当色に調色した。これを真空脱泡したものを組成物5とした。この硬化体のコントラスト比は0.33、拡散比は113であった。
[製造例6]
製造例5で用いた硬化性組成物に、各種顔料を添加することでパールエステ(トクヤマデンタル製)のCE相当色に調色した。これを真空脱泡したものを組成物6とした。この硬化体のコントラスト比は0.15、拡散比は124であった。
[製造例7]
樹脂マトリックスM−1の100質量部に、重合開始剤I−1を1質量部混合溶解した。この樹脂マトリックス100質量部に対し、光拡散性粒子としてD−3を125質量部、充填材としてF−1を275質量部添加し、プラネタリーミキサーを用いてよく分散させることで硬化性組成物を得た。これに各種顔料を添加することでパールエステ(トクヤマデンタル製)のDA3相当色に調色した。これを真空脱泡したものを組成物7とした。この硬化体のコントラスト比は0.33、拡散比は33であった。
[製造例8]
製造例7で用いた硬化性組成物に、各種顔料を添加することでパールエステ(トクヤマデンタル製)のCE相当色に調色した。これを真空脱泡したものを組成物8とした。この硬化体のコントラスト比は0.15、拡散比は36であった。
[製造例9]
樹脂マトリックスM−1の100質量部に、重合開始剤I−1を1質量部混合溶解した。この樹脂マトリックス100質量部に対し、充填材としてF−1を400質量部添加し、プラネタリーミキサーを用いてよく分散させることで硬化性組成物を得た。これに各種顔料を添加することでパールエステ(トクヤマデンタル製)のDA3相当色に調色した。これを真空脱泡したものを組成物9とした。この硬化体のコントラスト比は0.33、拡散比は1であった。
[製造例10]
製造例9で用いた硬化性組成物に、各種顔料を添加することでパールエステ(トクヤマデンタル製)のCE相当色に調色した。これを真空脱泡したものを組成物10とした。この硬化体のコントラスト比は0.15、拡散比は3であった。
[製造例11]
製造例9で用いた硬化性組成物に、各種顔料を添加することでパールエステ(トクヤマデンタル製)のODA3相当色に調色した。これを真空脱泡したものを組成物11とした。この硬化体のコントラスト比は0.15、拡散比は1であった。
[実施例1]
象牙質修復用レジン層として組成物1を、エナメル質修復用レジン層として組成物2を選択した。これら二成分の色差ΔE*は24.5であった。組成物1を10×10mmの金型へ気泡を巻き込まないように15mmの高さまで填入し、上面を平滑化した後、加熱加圧重合機を用いて、圧力4kgf/cm2、120度30分の条件で加熱加圧重合を行った。金型を取り出し、組成物1の平滑化した表面に組成物2を気泡を巻き込まないようにさらに10mmの高さまで填入し、上面を平滑化した後、加熱加圧重合機を用いて、圧力4kgf/cm2、120度30分の条件で加熱加圧重合を行った。金型からブロックを取り出し、更に120度1時間熱処理を行った。このブロックを専用の固定具に接着し、歯科用切削装置を用いて下顎第一大臼歯形態に切削した。このとき、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層の体積比が、75対25の比となるように設計し水平方向に切削を行った。切削体をダイヤモンドペーストとバフで研磨し、歯冠修復物を得た。外観試験A、B、Cの結果を表1にまとめた。
[実施例2〜8]
表1に示した組成物を用いた以外は実施例1と同様の方法によって歯冠修復物を作製した。外観試験A、B、Cの結果を表1にまとめた。
[比較例1〜5]
表1に示した組成物を用いた以外は実施例1と同様の方法によって歯冠修復物を作製した。外観試験A、B、Cの結果を表1にまとめた。
Figure 2014161440

Claims (6)

  1. 象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層とが積層された歯科CAD/CAM用レジン系ブロックであって、
    少なくとも象牙質修復用レジン層は光拡散性粒子を含有し、
    前記象牙質修復用レジン層の0.30±0.01mm硬化体のコントラスト比C1が0.2〜0.5であり、かつ下記式
    D’1={(I20/cos20゜)+(I70/cos70゜)}/(2×I0×C1)
    (式中、I0、I20、及びI70は、前記歯科CAD/CAM用レジン系ブロックの厚さ0.30±0.01mmの板状試料に、該試料の表面に対して垂直に光を照射した場合において、光の入射方向に対してそれぞれ、0゜、20゜、及び70゜の方向に透過した光強度を意味する。)のD’1で定義される拡散比が30〜200の範囲にある、
    ことを特徴とする歯科CAD/CAM用レジン系ブロック。
  2. 象牙質修復用レジン層を構成する光拡散性粒子と樹脂マトリックスとの屈折率の差が0.02〜0.08である請求項1に記載の歯科CAD/CAM用レジン系ブロック。
  3. 前記光拡散性粒子が無機粒子および/または有機無機複合粒子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の歯科CAD/CAM用レジン系ブロック。
  4. 前記光拡散性粒子の平均粒径が1〜50μmであり、含有量が象牙質修復用レジン層中5〜60質量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科CAD/CAM用レジン系ブロック。
  5. 樹脂マトリックスが(メタ)アクリル樹脂であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯科CAD/CAM用レジン系ブロック。
  6. 前記エナメル質修復用レジン層の0.30±0.01mm硬化体のコントラスト比C2が0.05〜0.25であり、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層のコントラスト比の差ΔC12が少なくとも0.05以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の歯科CAD/CAM用レジン系ブロック。
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