JPWO2018074583A1 - 歯科切削加工用複合レジン材料及びその製造方法 - Google Patents

歯科切削加工用複合レジン材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、色調に自然なグラデーションを有し、かつ口腔内での咬合圧に耐えうるだけの十分な機械的強度を有する歯科補綴物を作製可能な歯科切削加工用複合レジン材料及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、3層以上の積層構造を有する歯科切削加工用複合レジン材料であって、3種以上の歯科用組成物が、1つの金型に同時に充填された後に、重合硬化された歯科切削加工用複合レジン材料及びその製造方法に関する。

Description

本発明は、歯科切削加工用複合レジン材料及びその製造方法に関する。
近年、歯科の分野においても、デジタル化の普及によりコンピュータの画面上で歯冠形状を設計し、CAD/CAM 装置で被削材料のブロックを削り出して歯科補綴物を形成する技術が使用されるようになってきた。
この技術によって、安定した品質の歯科補綴物を短時間で効率よく供給できることが可能となった。また、この技術(方法)では、これまでの手作業が機械化されるため、レジンの操作性又は歯科技工士の技量の違いよる歯科補綴物の品質のバラつきが小さくなるというメリットがある。すでに、CAD/CAM用材料として、材料強度及び耐久性に優れる歯科切削加工用複合レジン材料が幾つか提案されている。
例えば、特許文献1には、平均粒径0.01〜0.04μmの無機質充填剤を20〜70重量%と、少なくとも1個の不飽和二重結合を持つメタクリレート又はアクリレートのモノマーとを含む混合物を加圧下で加熱し、重合硬化させて形成される歯科切削加工用複合レジン材料が開示されている。
しかしながら、これまでの単一な色調の歯科用レジン材料では、天然歯のように自然で複雑な色調を表現できないという問題があった。
天然歯は、歯冠部から歯頸部までを大きく分けるとエナメル質(エナメル色;半透明の白色)、象牙質(デンティン色;薄いクリーム色)、及び歯頸部(サービカル色;クリーム色)の3色で構成されており、エナメル色からサービカル色にかけて徐々に色調が濃くなり、透明性は低くなる。
歯科切削加工用複合レジン材料にグラデーションを感じるような色調を付与する方法としては、現状ではCAD/CAM装置による補綴物の作製後、様々な色調の歯科用硬質レジンを用いて、材料表面をキャラクタライズすることが可能である。しかし、この方法ではCAD/CAM装置を用いるメリットである品質のバラつきの低減及び作業の簡略化という効果が薄れてしまう問題を有していた。
このため、歯科切削加工用複合レジン材料のメリットを損なわずに補綴物の色調再現性を向上させるには、歯科切削加工用複合レジン材料が、天然歯のように、色調の濃さ及び透明性の異なる3層以上の積層構造体であることが理想的と考えられる。
特許文献2には、金型の中に無機充填剤を含む樹脂材を一部充填し、真空下で回転攪拌処理後に重合硬化させ、これを充填する材料の色調を変えながら数回繰り返すことで、積層のグラデーションタイプの歯科切削加工用ブロックを製造する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2に記載のグラデーションブロックは、各層を独立して重合硬化させているため、層数の増加に伴い製造工程も増加する。また、各層ごとに一度重合硬化させたものを、再度重合させることにより積層構造体を作製するため、境界層が目立ってしまうことや、境界面が弱くなり機械的強度が十分確保できない懸念がある。
特開2012−214398号公報 国際公開第2009/154301号
本発明は、色調に自然なグラデーションを有し、かつ口腔内での咬合圧に耐えうるだけの十分な機械的強度を有する歯科補綴物を作製可能な歯科切削加工用複合レジン材料及びその製造方法を提供すること目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、下記に示す歯科切削加工用複合レジン材料及びその製造方法は、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
項1.
3層以上の積層構造を有する歯科切削加工用複合レジン材料であって、
3種以上の歯科用組成物が、1つの金型に同時に充填された後に、重合硬化された歯科切削加工用複合レジン材料。
項2.
3層以上の積層構造がグラデーション化された、項1に記載の歯科切削加工用複合レジン材料。
項3.
歯科切削加工用複合レジン材料の一端から他端に向かう第1方向に延在する直線上において、一端から他端に向かう第1方向に向かって色が変化しており、
前記一端から全長の15%までの区間にある第1点のLh表色系による色度(L,C,h)を(L1,C1,h1)とし、
前記一端から全長の50%の距離にある第2点のLh表色系による色度(L,C,h)を(L2,C2,h2)とし、
前記他端から全長の15%の区間にある第3点のLh表色系による色度(L,C,h)を(L3,C3,h3)としたとき、値の順番は、
L1>L2>L3であり、かつ
C1<C2<C3である、
項1又は2に記載の歯科切削加工用複合レジン材料。
項4.
一端から他端に向かう第1方向に延在する直線上において、一端から他端に向かう第1方向に向かって透過率が変化しており、
前記一端から全長の15%までの距離にある第1点の透過率をT1とし、
前記一端から全長の50%の距離にある第2点の透過率をT2とし、
前記他端から全長の15%までの距離にある第3点の透過率をT3としたとき、
第1点(T1)と第2点(T2)の透過率の差が2%〜4%であり、かつ
第2点(T2)と第3点(T3)の透過率の差が2%〜6%であり、値の順番は、
T1>T2>T3である、
項1〜3の何れか一項に記載の歯科切削加工用複合レジン材料。
項5.
曲げ強さが180MPa以上で、かつ前記積層構造における色調の界面が確認されない、請求項1〜4の何れか一項に記載の歯科切削加工用複合レジン材料。
項6.
前記歯科組成物が、無機フィラー及び樹脂を含有する、項1〜5の何れか一項に記載の歯科切削加工用複合レジン材料。
項7.
項1〜6に記載の3層以上の積層構造を有する歯科切削加工用複合レジン材料の作製方法であって、
3種以上の歯科用組成物を、1つの金型に同時に充填した後に、重合硬化する工程を含む、作製方法。
本発明によれば、自然なグラデーションを有し、審美性に優れ、かつ口腔内での咬合圧に耐えうるだけの十分な機械的強度を有する歯科補綴物を作製可能な歯科切削加工用複合レジン材料を提供できる。
図1は、本発明に関する充填方法と3層の積層構造を有する歯科切削加工用複合レジン材料についての説明図である。
図2は、請求項2及び3に係る発明の説明図である。
図3は、実施例1(図3a)、比較例8(図3b)及び比較例9(図3c)で得られたブロック体の境界面の状態を示した図である。
図4は、実施例1(図4a)、比較例8(図4b)及び比較例9(図4c)で得られたブロック体の破断面の状態を示した説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.歯科切削加工用複合レジン材料
本発明の歯科切削加工用複合レジン材料は、3種以上の歯科用組成物が、1つの金型に同時に充填され、3層以上の積層構造を有する歯科切削加工用複合レジン材料である。
積層の数としては、3層以上であれば特に限定はないが、生産性の観点から、好ましくは3〜5層であり、より好ましくは3又は4層である。
該歯科用組成物(以下、「歯科用複合レジン材料」ということもある)には、無機フィラー及び樹脂成分を含有することができる。
無機フィラーとしては、成分、形状及び粒子径は特に限定はなく、歯科分野で利用されている公知の無機フィラーを用いることができる。該無機フィラーとしては、例えば、SiO2、ZrO2及びAl2O3からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機化合物を含有する無機酸化物フィラー(以下、「複合金属酸化物フィラー」ということもある。また、SiO2のみの場合は、「SiO2フィラー」ということもある。)、フッ化物を含有する無機フィラー(以下、「フッ素フィラー」ということもある。)等が挙げられる。
複合金属酸化物フィラーとしては、特に限定はなく、SiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する複合金属酸化物フィラー、及びSiO2フィラーが好ましい。複合金属酸化物フィラーとしては、平均粒子径0.1〜0.9μmの一次粒子を焼結により部分的に結合させた平均粒子径が2〜8μmの二次粒子であるフィラーであることがより好ましい。SiO2フィラーとしては、平均粒子径0.1μm以下の超微粒子SiO2フィラーがより好ましい。
フッ素フィラーとしては、水溶液中でフッ化物イオンを放出する化合物であれば特に限定はなく、例えば、平均粒子径が0.1〜0.9μmである公知のフッ化物を含有する無機フィラーを用いることができる。
該無機フィラーは、機械的強度、耐摩耗性、耐水性、X線造影性、フッ素徐放性等を付与する目的で配合する。透明性を高くするには、樹脂との屈折率差を小さくすることが好ましい。また、高い研磨性及び光沢維持性を得るには、粒子径をできるだけ小さくすることが好ましい。
該無機フィラーは、1種のみを使用することができ、又は2種以上の無機フィラーを混合することができる。
該歯科用組成物又は歯科切削加工用複合レジン材料中に含まれる無機フィラーの含有量は、通常50〜90重量%であり、60〜85重量%が好ましく、65〜80重量%がより好ましい。
樹脂成分としては、特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリレート系重合性モノマー(以下、「重合性モノマー」又は「モノマー」ということもある)等が挙げられる。該(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味している。該樹脂は、無機フィラーを充填するためのマトリックスとして使用される。
該重合性モノマーとしては、歯科用として使用可能な(メタ)アクリレート系重合性モノマーであれば特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、アルキルエステルの場合はアルキル基の炭素数1〜12;芳香族基を含むエステルの場合は炭素数6〜12である。なお、これらの基にポリエチレングリコール鎖等の置換基を含むものはそれらの炭素数も含める。)のような単官能性の(メタ)アクリレート;ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(アルキレン基の炭素数2〜20)、エチレングリコールオリゴマージ(メタ)アクリレート(2〜10量体)、ビスフェノールAを含むジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート2モルとジイソシアネート1モルとの反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性の(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、特開昭50−042696号公報又は特開昭56−152408号公報に開示されているモノマー等が好適である。
該単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
該多官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAグリシジルジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、7,7,9−トリメチル−4,13−ジオキサ−3,14−ジオキソ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート(1,6−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−2−エトキシカルボニルアミノ)−2,4,4−トリメチルヘキサン)、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとメチルシクロヘキサンジイソシアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとメチルシクロヘキサンジイソシアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとメチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)との反応生成物、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシエチル(メタアクリレートとイソホロンジイソシアネートとの反応生成物、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートとの反応生成物等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。
該(メタ)アクリレート系重合性モノマーは、多官能性の(メタ)アクリレートが好ましく、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ウレタンジメタクリレート(UDMA)及びビスフェノールAグリシジルジメタクリレート(Bis-GMA)がより好ましく、DEGDMA、TEGDMA、UDMA及びBis-GMAが特に好ましい。
これら(メタ)アクリレート系重合性モノマーは、単独で又は2種類以上の重合性モノマーを混合して使用することができ、2種以上の多官能性の(メタ)アクリレートを混合して使用することが好ましく、粘度を調整するために2種以上のジ(メタ)アクリレートを混合して使用することがより好ましい。
該歯科切削加工用複合レジン材料中に含まれる重合性モノマーの含有量は、通常10〜50重量%であり、15〜40重量%が好ましく、20〜35重量%がより好ましい。
なお、本発明の歯科切削加工用複合レジン材料においては、前記(メタ)アクリレート系重合性モノマーに加えて、重合の容易さ、粘度の調節、あるいはその他の物性の調節のため、上記(メタ)アクリレート系重合性モノマー以外の他の重合性モノマーを混合して重合することも可能である。
本発明の歯科切削加工用複合レジン材料は、重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤を含有する場合、その量は、例えば、重合性モノマー100重量部に対して、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜2重量部の範囲である。
さらに必要に応じて、重合促進剤、着色顔料、乳濁材、蛍光材、オパール化材、重合禁止剤、酸化防止剤、抗菌剤、X線造影材、安定化剤、紫外線吸収剤、変色防止剤等のその他公知の各種添加剤を配合できる。これらは単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
着色顔料及び乳濁材は、天然歯を模倣するために、一般の歯科治療の用途での公知の化合物が使用できる。例えば、酸化鉄系着色顔料、有機顔料、酸化ジルコニウム、酸化チタン等が挙げられる。
天然歯は、歯冠部から歯頚部にかけて色調と透明性が変化する。歯冠部は、エナメル質に覆われており、エナメル質は半透明の白色であり、内部にあるデンティンはエナメル質よりも透明性が低く、黄味を帯びた薄いクリーム色である。歯頚部はさらに透明性が低くなり、色調も濃くなっている。そのため、天然歯の再現のためには、上記の着色顔料などを用いて色調と透明性の異なる3層以上の構造を持つことが好ましい。
該重合開始剤としては、一般的に使用されている重合開始剤であれば特に限定はなく、中でも歯科用途に用いられている重合開始剤が好ましい。一般に、重合開始剤は、重合性モノマーの重合手段によって異なる種類のものが使用される。重合開始剤には光重合開始剤、熱重合開始剤等がある。
該光重合開始剤としては、紫外光又は可視光で反応し、ラジカルを発生する光重合開始剤を使用することができる。具体的には、ジアセチル、アセチルベンゾイル、ベンジル、カンファーキノン(CQ)、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等のα−ジケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル;2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン化合物等;ベンゾフェノン、p,p'−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p'−ジメトキシアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物が挙げられる。
該熱重合開始剤としては、特に限定はなく、過酸化物、アゾ化合物等の公知の熱重合開始剤を使用することができる。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4'−アゾビス−4−シアノバレリック酸、1,1'−アゾビス−1−シクロヘキサンカーボニトリル、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチラート、2,2'−アゾビス−(2−アミノプロパン)ジヒドロクロライド等が挙げられる。
また、本発明に用いる(メタ)アクリレート系重合性モノマーの重合は、上記の重合開始剤に加え、重合促進剤を組み合わせて使用することができる。
該重合促進剤は、特に限定はなく、一般的に光重合開始剤と組み合わせて使用される。該重合促進剤としては、特に限定はなく、例えば、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(DMAEMA)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル(DMABE)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)安息香酸n−ブトキシエチル等を使用することができる。
さらに、本発明に用いる無機フィラーは、歯科切削加工用複合レジン材料の機械的強度、耐磨耗性及び耐水性を向上させるために、表面処理を施すことが好ましい。表面処理剤及びその表面処理法としては、公知の方法が採用され特に限定されない。
表面処理剤としては、特に限定はなく、例えば、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメトキシシラン、5-(メタ)アクリロイルオキシペンチルトリメトキシシラン、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメトキシシラン、7-(メタ)アクリロイルオキシヘプチルトリメトキシシラン、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、9-(メタ)アクリロイルオキシノニルトリメトキシシラン、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、11-(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、13-(メタ)アクリロイルオキシトリデシルトリメトキシシラン、14-(メタ)アクリロイルオキシテトラデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシランシリルイソシアネ−ト、ビニルトリクロロシラン等のシランカップリング剤など無機酸化物の表面改質剤として使用される化合物が挙げられる。好ましくは3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(γ-MPTS)を挙げることができる。
無機フィラーの表面処理剤による処理方法としては、該各フィラーと表面処理剤とをアルコ−ル等の溶剤中で数十分間〜10時間程度、好ましくは1時間〜5時間の範囲で加熱環流する方法が挙げられる。また、表面処理剤の加水分解を促進する必要があれば、該溶剤中に水もしくは酢酸等の酸性水を添加して上記範囲内で加熱環流した後、溶媒を除去し、常圧もしくは減圧下乾燥する方法が挙げられる。
表面処理剤の量は、無機フィラーの粒子径によって変わるが、該各フィラー100重量部に対して通常0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲である。なお、表面処理後の該各フィラーは、処理前のフィラーと粒径もしくは粒度分布は殆ど変化しない。
本発明の歯科切削加工用複合レジン材料は、無機フィラーと重合性モノマー以外に前記の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
歯科用組成物
本発明の歯科切削加工用複合レジン材料で用いられる歯科用組成物としては、特に限定はなく、例えば、(A)SiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する複合金属酸化物フィラー、(B)フッ化物を含有する無機フィラー、(C)平均粒子径0.1μm以下の超微粒子SiO2フィラー、及び/又は(D)(メタ)アクリレート系重合性モノマーを含み、該(A)複合金属酸化物フィラーが21〜61重量%、かつ該(B)フッ化物を含有する無機フィラーが7〜50重量%の配合割合で混合することで製造できる。
上記の歯科用組成物中の各成分の混合割合(混合比)は、粘性及び使用目的によって適宜調整することができる。例えば、(メタ)アクリレート系重合性モノマー100重量部に対して、複合金属酸化物フィラー及びフッ素フィラーをそれぞれ150〜600重量部(好ましくは230〜460重量部)、並びに超微粒子SiO2フィラー3〜60重量部(好ましくは6〜36重量部)を配合し、さらに必要に応じて重合開始剤、重合促進剤、着色顔料、乳濁材、オパール化材、蛍光材、重合禁止剤、酸化防止剤、抗菌剤、X線造影材、安定化剤、紫外線吸収剤、変色防止剤等の添加物を適宜配合することができる。なお、該歯科用組成物は、重合開始剤を含む場合、その取り扱いに注意が必要であり、保管環境は大気遮断、暗所及び低温が必須である。
該歯科用組成物の作製方法としては、前記の各成分を容器に所定量とり、十分に混練して分散させた後、ペーストを得る工程、及び該ペーストを減圧下で混練、もしくは真空撹拌することで、均一で気泡の除去された粘土状又はペースト状の歯科用組成物が得られる。
該歯科用組成物は、公知の重合(光及び加熱)方法に従って、重合させることで硬化物が得られる。
3. 歯科切削加工用複合レジン材料の作製方法
本発明の歯科切削加工用複合レジン材料(「成形体」、「硬化体」、「ブロック」又は「グラデーションブロック」ということもある。)の作製方法は、3種(類)以上の歯科用組成物を、1つの金型に同時に充填する工程を含んでいる。つまり、1つ目の歯科用組成物(第1層)、2つ目の歯科用組成物(第2層)及び3つ目の歯科用組成物(第3層)を、1つの金型に対して、同時に充填する工程を備えることにより、本発明の歯科切削加工用複合レジン材料を作成できる。
具体的には、上記歯科用組成物(以下、「レジンペースト」又は「ペースト状の複合レジン材料」ということもある。)を含む容器を3つ以上有しており、該3つ以上の容器から、該歯科用組成物を1つの金型に同時に充填させること(工程)によって製造することができる。
つまり、該成形体は、3種(3色)以上の歯科用組成物を用いて製造することができる。このようにして得られた成形体は、グラデーション化された、審美性の高い歯科切削加工用複合レジン材料である。
本発明のブロックの形状は、特に限定はないが、一般に、直方体であり、縦(a)、横(b)及び高さ(c)は、一番短い辺の長さに対して、一番長い辺の長さが1.5倍以下であることが好ましい。具体的には、例えば、縦(a)、横(b)、及び高さ(c)は、a10mm×b12mm×c15mm;a12mm×b14mm×c18mm;a14.5mm×b14.5mm×c18mm等の直方体が挙げられる。
3層以上の積層の各色としては、特に限定はなく、例えば、エナメル色、デンディン色、サービカル色、トランス色、乳白色、アンバー色の等様々な色調が挙げられ、天然歯の再現のために用いることが出来る。
歯の色調の中で、代表的な色調がエナメル色、デンティン色、サービカル色であるが、エナメル色とは、歯冠表面のエナメル質を模した色調であり、半透明の白色である。
デンディン色とは、歯冠中央部の象牙質を模した色調であり、薄いクリーム色である。
サービカル色とは、歯冠下部の歯頸部の色調を模した色であり、濃いクリーム色である。本発明の成形体は、歯質の色調を歯冠部から歯頸部にかけてエナメル色、デンティン色、サービカル色に分かれていることから、3層以上が好ましく、中でも、サービカル色、デンティン色及びエナメル色を含むことが好ましい。
L*(エルスター)は明度(Luminosity)を意味する。L*の値は、0(黒)から100(白)の範囲である。値が大きいほど、明るく、値が小さいほど暗い。
C*(シースター)は彩度(Chroma)を意味する。C*の値が大きいとあざやかさが増し、C*の値が小さいと、くすんだ色となる。
h(エイチ)は、色相角度(hue)を意味する。hは0から360度の範囲である。
hの値は、0度が赤で、90度が黄、180度が緑、270度が青となる。
歯科切削加工用複合レジン材料の一端から他端までの全長における15%までの区間にある第1点のLh表色系による色度(L,C,h)を(L1,C1,h1)とし、
前記一端から全長における50%の距離にある第2点のLh表色系による色度(L,C,h)を(L2,C2,h2)とし、
前記他端から全長における15%の区間にある第3点のLh表色系による色度(L,C,h)を(L3,C3,h3)としたとき、
L1としては、特に限定はないが、例えば、65〜85の範囲であり、好ましくは、70〜80である。
C1としては、特に限定はないが、例えば、5〜25の範囲であり、好ましくは、5〜20である。
h1としては、特に限定はないが、例えば、90〜110の範囲であり、好ましくは、90〜105である。
L2としては、特に限定はないが、例えば、60〜80の範囲であり、好ましくは、65〜77である。
C2としては、特に限定はないが、例えば、10〜30の範囲であり、好ましくは、10〜25である。
h2としては、特に限定はないが、例えば、80〜105の範囲であり、好ましくは、85〜100である。
L3としては、特に限定はないが、例えば、55〜80の範囲であり、好ましくは、60〜75である。
C3としては、特に限定はないが、例えば、10〜35の範囲であり、好ましくは、15〜30である。
h3としては、特に限定はないが、例えば、75〜100の範囲であり、好ましくは、80〜95である。
ペースト状の歯科用組成物の充填方法
ノズルから複数のペースト状の歯科用組成物(複合レジン材料)を金型に同時に充填する際に、層と層の間に空気が入り込んでしまう問題がある。そのため、ノズル流路形状については次のような加工を実施することができる。例えば、3層ブロックの場合、外側の層は中央層に押し付けるように流れ、逆に、中央層の材料は外側の層に向かって広がるように流す。これにより隣接する境界同士に圧力が付加され境界に気泡が入ることなく充填を行うことが可能となる。その結果、境界面に気泡が入ることなく金型充填が行えるため、成形品も良好となる。
また、各層のレジンペーストの稠度(粘性)は、ある程度同等であることが好ましい。各層の稠度が異なれば、アクチュエータへの負荷も変わり金型への充填スピードが変わってしまう。そうなると、各層が等間隔に充填されず、境界乱れが発生し、製品の外観が悪化することになる。したがって、各層の稠度を一定に調整する必要がある。例えば、未着色の状態の複合レジンペースト3色分の量を一度に作製し、そのペーストを分割して着色することで、一定の稠度を持つ3色の複合レジンペースト材料を作製することが可能である。
本発明者らは、上記課題を解決するために、材料である歯科用組成物(レジンペースト)を金型内に充填する際、複数色のレジンペーストを同時に吐出することが可能な専用のグラデーションブロック充填用ノズルを開発し、均等に充填できる吐出条件を見出した。各層の色調、透明性の変化量及びその変化する傾向を規定することにより、本発明を完成するに至った。このノズルから吐出された材料は、界面がわずかに混ざりながら合流して一体となった後に硬化されるため、明確な鏡界面は存在しない。また、硬化前に境界層が馴染んでいるため、境界層も境界層以外の部位と同等の機械的強度を有する。さらに、金型内に色調の異なる複数の材料を同時に充填できるため、1回の充填によって多層成形を行える。すなわち、形成する層数が増加した場合でも、工程数は同じであるため、効率的な製造方法であり、時間短縮が可能となる。また、一度に形成される層数については、特に限定されない。
グラデーションブロック充填用ノズルの製作方法及びグラデーションブロックの製造方法を下記に示す。
グラデーション充填用ノズルの製作方法
グラデーション充填用ノズルとは、材料となるレジンペーストを供給する容器(シリンジ)とノズルまでの流路にあたるアクチュエータからなる。アクチュエータは、ノズルの上流側に各層に対応する材料の充填されたシリンジを取付け、同時に押し出すと下流側で各材料が合流して充填されるマニホールド型の形状であることが好ましい。アクチュエータは、レジンペーストが流路内を通過する際に、摩擦によるコンタミが発生しないように、内面をテフロン(登録商標)コーティング又はハードクロムメッキされたものが好ましい。
グラデーションブロックの作製方法
該グラデーションブロック(3層以上の積層構造を有する歯科切削加工用複合レジン材料)の作製方法は、3種以上の歯科用組成物を、1つの金型に同時に充填する工程を含んでいる。つまり、上記グラデーション充填用ノズルから複数のペースト状の歯科用組成物を金型に同時に充填する工程を含んでおり、さらに、該工程で得られた充填物を、加熱加圧する工程を含むことができる。
歯科用複合レジン材料を重合硬化して成形されるグラデーションブロックは何層から構成されてもいてもよいため、ペースト状レジン材料を各層の色調に調色後、必要な色数分をシリンジの容器に入れて、その容器をノズル上流側に取り付ける。次にシリンジ後端にペーストを押し込むためのピストン(プランジャ)をセットし、このプランジャとアクチュエータを連結させる。そうすることでアクチュエータを駆動させ、材料を押し出すことができる。アクチュエータで押し出すことで材料がノズル上流に流れ込み、最終的にノズル下流で各層が合流し、金型内に充填される。その後、重合硬化することで、積層構造のグラデーションブロックが製造出来る。この充填方式で作製することで各層の境界面は、色調が異なる材料同士がわずかに混ざり合った移行層になり、自然なグラデーションを有する歯科切削加工用複合レジン材料を得ることができる。
該金型で成形するにあたっては、例えば、金型と、蓋とが準備される。該金型はキャビティ(空洞部)を備えており、該キャビティの形状は、例えば、角柱状、円柱状、角板状、円板状等の形状に形成される。
該重合硬化の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱及び/又は光照射(光照射及び加熱、加熱、又は光照射)等の方法により製造することができる。加熱により重合硬化させる場合、さらに加圧下で行うことが好ましい。光照射により重合硬化させる場合、光照射後に加熱処理を行うことが好ましい。
加熱により重合硬化させる方法としては、例えば、金型のキャビティ(空洞部)に歯科用組成物を充填した後、該金型にコア(蓋)を取着して、キャビティを閉塞した状態で加圧下又は常圧下において加熱することにより、該成形用組成物が重合硬化されて歯科切削加工用複合レジン材料の硬化体が作製される。
成形時の加熱温度は、歯科切削加工用複合レジン材料の組成等に応じて適宜調整されるが、例えば、60〜200℃の範囲であり、80〜180℃が好ましく、90〜160℃がより好ましい。
成形時に歯科切削加工用複合レジン材料にかけられる圧力も適宜調整されるが、例えば、常圧(大気圧)〜300MPaの範囲であり、10〜250MPaが好ましく、30〜230MPaがより好ましい。成形時の温度及び圧力は、必要に応じて経時的に変動させてもよい。
加圧下での加熱により重合硬化させる場合は、大気圧に比べ加熱重合が促進され、未重合の残留モノマーが少なくなり、気泡の混入が抑制され均一な重合体が得られる。
光照射により重合硬化させる方法としては、光重合開始剤の種類によって異なり、紫外線の波長も使用できるが、通常人体に無害である可視光の波長で光照射して重合硬化させる。該光の波長としては、例えば、250〜700nmの範囲が好ましく、300〜500nmがより好ましい。
前記の波長範囲の光源としては、LEDランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザー、蛍光灯、太陽光等の光を使用することができる。
また、前記の光を照射し、重合性モノマーを重合させる場合の照射時間は、歯科用組成物から得られる歯科補綴物又は歯科切削加工用複合レジン材料の厚さ、透明性、色調及び照射光の光量により異なるが、一般に所望の重合時間に合わせ適宜決定すればよい。好ましくは10秒から10分程度、より好ましくは1分から6分の光照射を行う。
歯科切削加工用複合レジン材料を、歯科用組成物の光照射による重合硬化で作製する方法としては、例えば、透明なシリコーン樹脂等に成形用組成物を充填した後、300〜500nmの波長の光を数分間両面から照射して光重合させる。さらに、重合度を高めるために、90〜180℃の範囲で加熱処理を行って成形体を形成することが好ましい。
上記重合硬化によって、得られた歯科切削加工用複合レジン材料の体積は特に限定はなく、通常3cm3以上200cm3以下の範囲で形成される。このようにして得られた本発明の歯科切削加工用複合レジン材料は、積層構造の境界面が中央部に位置する試験片の三点曲げ試験を実施したとき、曲げ強さが180MPa以上、好ましくは、200〜320Pa、より好ましくは220〜300MPaで、かつ前記積層構造における色調の界面が確認されないことを特徴としている。前記界面が確認されないとは、積層構造の境界面の色調が移行的になっていることで、目視において明確な界面が確認されないという意味である。
4. 歯科補綴物の作製
本発明の歯科切削加工用複合レジン材料は、手作業で切削加工してもよいが、例えば、歯科用CAD/CAM装置により切削加工されるなどして、歯冠の形状の歯科補綴物を作製することができる。
歯科補綴物としては、例えば、義歯、インレー、アンレー、クラウン、連冠、ブリッジ、インプラント治療における上部構造体等が挙げられる。
歯科用CAD/CAM装置としては、公知の装置を用いることができる。歯科補綴物がCAD/CAM装置を用いて作製される場合は、従来の手作業と比べて効率よく、短時間かつ高精度で作製することができる。
かくして得られる本発明の歯科切削加工用複合レジン材料から得られる歯科補綴物は、色調に自然なグラデーションを有し、審美性に優れ、かつ口腔内での咬合圧に耐えうるだけの十分な機械的強度を有している。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
実施例1
1.(A) 無機フィラーの調製
硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O、和光純薬工業社製) 10重量部及びAP-1(変性エタノール、日本アルコール販売社製、エタノール87%、イソプロピルアルコール13%)15重量部を混合し、溶解させた。次いで、得られた溶液にジルコゾールZN(硝酸ジルコニウム水溶液、第一稀元素化学工業社製、ZrO2含有率=25wt%)を118重量部添加し、さらに、MS51(メチルシリケートオリゴマー、三菱化学社製、SiO2含有率=52wt%)280重量部及び蒸留水430重量部を添加した。その後、得られた混合物を60分間攪拌機で混合し、透明かつ均一な原料混合液を調製した。次に、アンモニア水溶液(例えば、ナカライテスク社製、NH3=28%)の2倍希釈液127重量部を、先に調製した原料混合液に攪拌しながら添加すると、共沈ゲル化してゼリー状となった。このゲル化体を取り出し、100℃で乾燥して過剰のアンモニア、水及び溶媒を除去し、乾燥ゲルを得た。この乾燥ゲルを水洗及び濾過することにより副成した硝酸アンモニウムを除去し、再度乾燥した。なお、硝酸アンモニウムが多量に残留すると焼成時にガスが発生し、爆発するリスクがあるため、十分に水洗する必要がある。
この乾燥ゲル100重量部を250重量部のAP-1中に分散させ、直径0.65mmのジルコニアボールを規定量充填したビーズミル(シンマルエンタープラゼス社製、MULUTI-LABO)を用いて4時間粉砕して、スラリーとした。このスラリーの粒径及び粒度分布を測定したところ、平均粒子径は0.6μmで、粒径が0.2μm未満にまで粉砕されることはなかった。
スラリーを回収し、乾燥して溶媒を除去した。この段階の粒子は、完成フィラーの一次粒子に対応する。次にこの粉砕乾燥ゲルをジェットミル(ホソカワミクロン社製、100AFG/50ATP)で処理し、約20μmのゲル粉体の平均粒子径を得た。この凝集ゲルをアルミナ製の皿に入れ、電気炉中で1100℃まで昇温(毎時270℃)して、同温度で3.5時間保持した後、炉外に取り出して放冷し、白色の粉末を得た。
この焼成ゲルを、上記ジェットミルで粉砕してSiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する複合金属酸化物フィラーとした。当該複合金属酸化物フィラーの平均粒子径は5.5μm(10%D:0.4μm、50%D:10.1μm、90%D:26.9μm)で、約0.5〜約50μmの範囲に幅広く分布した多分散系であることが認められた。
この複合金属酸化物フィラー100重量部をアルコール溶媒(AP-1)200重量部中に懸濁し、γ-MPTS(TSL-8370、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)9重量部を添加し1時間超音波分散した。その後、溶媒をエバポレ−タ−で除去した後、減圧下80℃で2時間乾燥し、減圧下110℃で1時間乾燥することによりシランカップリング材で表面処理された複合金属酸化物フィラーを得た。
2.(B) フッ素フィラーの調製
アルコール溶媒(AP-1)200重量部中に、平均粒子径0.7μmのフッ化物含有歯科用ガラスフィラー(G018−090(UF0.7)、NEC SCHOTTコンポーネンツ社製)100重量部、及びγ-MPTSを2重量部加えて、1時間超音波分散した。その後、アルコール溶媒をエバポレーターで除去した後、減圧下80℃で2時間乾燥し、減圧下110℃で1時間乾燥することによりシランカップリング材で表面処理されたフッ素フィラーを得た。
3.(C) 超微粒子SiO 2 フィラーの調製
超微粒子SiO2フィラーである、平均粒子径15nmのコロイダルシリカフィラー溶液(MEK-ST 100、日産化学工業社製、メチルエチルケトン中にSiO2が30重量%含有)100重量部中に、γ-MPTSを10重量部加えて、1時間超音波分散した。その後、重合性モノマー(UDMA)を60重量部加えた後、溶媒をエバポレ−タ−で除去し、シランカップリング材で表面処理された超微粒子SiO2フィラーを30重量%含有するUDMAを得た。
4.(D) 重合性モノマーの調整
UDMA及びDEGDMAの配合割合(重量比)が8:2である重合性モノマー組成物に対して、加熱重合開始剤(BPO)が1重量%になるように添加したUDMA及びDEGDMAの混合重合性モノマーを調整した。
5.(E) 成形用組成物の製造
上記混合重合性モノマー(D)に、(A)複合金属酸化物フィラー、(B)フッ素フィラー及び(C)超微粒子SiO2フィラーを含有するUDMAを混合し、(D)重合性モノマー(UDMA/DEGDMA=80/20重量比)が28重量%、(A)複合金属酸化物フィラーが48重量%、(B)フッ素フィラーが21重量%及び(C)超微粒子SiO2フィラーが3重量%含有するペーストを作製した。
このペーストを3等分し、表1に示す配合の着色顔料(酸化第二鉄(赤顔料)、イソインドリノン(黄顔料)、四三酸化鉄(黒顔料)、大日精化工業社製)、乳濁材(SPZ(酸化ジルコニウム)、第一稀元素社製)をそれぞれ加えて、エナメル色のペースト(E1)、デンティン色のペースト(E2)、及びサービカル色のペースト(E3)を作製した。
次いで、減圧下において、均一に混練及び脱泡することで、歯科切削加工用複合レジン材料を形成するための成形用組成物を得た。
6.グラデーションブロック体(加熱重合型)の作製
次に、上記レジンペーストE1、E2及びE3をそれぞれ含む3つの容器(シリンジ)から、グラデーションブロック体専用に作製した充填ノズルを用いて、同時に金型に充填した。具体的には、3層構造のブロックを作製する場合、充填ノズルの流路形状は、図1aに示すように、外側の層の材料は中央層に押し付けるように流れ、逆に中央層の材料は外側の層に向かって広がるように充填した。上記5で稠度を一定に調整したエナメル色、デンティン色及びサービカル色の3種類の材料E1、E2及びE3を、吐出開始タイミング(開始信号を受けて0.2〜1.0秒後に同時吐出開始)と、吐出スピード(0.1ml/sec〜0.3ml/sec)を調整し、吐出を開始した。すると3層の材料E1、E2及びE3は境界同士が合流し吐出された。その状態で金型に充填され、成形されたブロックは、境界層に気泡は発生せず、3層の厚みもほぼ均一となった。その後、加圧加熱により硬化し、150℃で1時間の加熱処理を行い、十分に重合を進行させ、3層構造を有するグラデーションブロック体(歯科切削加工用複合レジン材料)を作製した(図1b)。その後、得られたグラデーションブロック体に取付治具8を接着し、歯科切削加工用複合レジン材料を作製した(図1c)。
実施例2〜3及び比較例1〜6
実施例2〜6及び比較例1〜6は、表1の顔料配合量が異なる以外は、実施例1と同様の方法で、実施例1とは色調及び透明性の異なる3層構造を有する歯科切削加工用複合レジン材料をそれぞれ作製した。
比較例7
市販の2層構造を有する歯科切削加工用レジン「松風ブロック HC A2−2L」(松風社製)を用いた。
比較例8
実施例1の1層目と同一のレジンペーストを金型の1/3まで充填し、加圧加熱により成形した後、100℃で20分間の加熱処理を行い、十分に硬化させた。その後、実施例1の2層目と同一のレジンペーストを金型の2/3まで充填し、100℃で20分間の加熱処理を行った。さらに実施例1の3層目と同一のレジンペーストで金型の残り部分を埋め、実施例1と同じ条件で重合硬化を行い、段階的に硬化した3層構造を有する歯科切削加工用複合レジンを得た。
比較例9
実施例1の1〜3層目と同一のレジンペーストをそれぞれ金型に充填し、実施例1と同じ条件で重合硬化を行った。得られたブロック体を、それぞれ1/3の厚みにダイヤモンドカッターブレードを装着した切断機にて切断し、光重合性の歯科用接着材(マルチプライマー リペアーリキッドワン、山本貴金属地金社製)にて1層目と2層目、2層目と3層目の順に接着することで、界面が接着材である3層構造を有する歯科切削加工用複合レジンを得た。
[色度及び透過率の測定]
実施例1〜6及び比較例1〜7の歯科切削加工用複合レジンの色調及び透過率については、一端から他端に向かう第1方向に延在する直線上において、前記一端から全長の15%までの距離にある第1点、
前記一端から全長の50%の距離にある第2点、
前記他端から全長の15%までの距離にある第3点、
試験片の厚さ方向の中心になるように、歯科切削加工用複合レジンから、ダイヤモンドカッターブレードを装着した切断機にて、各層の中央付近を、積層面と並行の方向に、厚さ0.8mm、四方が12〜15mm平板のペレット状に加工し、測色機(CM-3610d、コニカミノルタ社製)を用いて色度(L、C、h表色系)を測定した。また、透過率については、同じペレットを、濁度計(NDH−2000、日本電色工業社製)を用いて測定した。
[外観の目視評価]
作製した歯科切削加工用複合レジンについて、CAD/CAM装置(DWX-50、Roland DG社製)を用い、前歯部の1番目のクラウン形状に削り出し、第1点(エナメル色)と第2点(デンティン色)及び第2点(デンティン色)と第3点(サービカル色)の各境界面の色調と透明性の変化について以下の基準で、目視で評価を行った。
1:境界面の色調と透明性の変化が移行的で、自然なグラデーションを感じるもの。
2:境界面の色調もしくは透明性の変化が非常に小さく、境界面を認識できないが、変化が小さすぎるため、グラデーションを感じないもの。
3:境界面の色調もしくは透明性の変化が非常に大きく、あきらかに境界面を認識できるもの。
[曲げ強さの評価]
実施例1及び比較例8、9の歯科切削加工用複合レジンから、2mm×2mm×25mmの寸法で、中央部(端から12.5mm)に1層目(エナメル色)と2層目(デンティン色)の境界面が位置する試験片を製作した。この試験片を耐水研磨紙(P2000)で表面を研磨した後、37℃の蒸留水に24時間浸漬し、小型万能試験機(島津製作所社製,EZ-Graph)を用いてクロスヘッドスピード1mm/min、支点間距離20mmの条件で三点曲げ試験を実施した。
[境界面の顕微鏡観察]
実施例1及び比較例8、9の歯科切削加工用複合レジン材料から、上記の三点曲げ試験用の破断前後の試験片について、その境界面を小型顕微鏡(VC-M20Z、オムロン社製)にて80倍に拡大して観察した。また、破断前後の境界面の状態について、以下の基準で評価を行った。
破断前の境界面の状態
1:あきらかな境界面が認識できない。
2:よく見ると境界面が認識できる。
3:あきらかに境界面が認識できる。
破断後の境界面の状態
1:境界面に沿って破断していない。
2:境界面に沿って破断している。
表1に、実施例1〜6及び比較例1〜7の第1点〜第3点の色度、透過率を示す。
Figure 2018074583

表2に、実施例1〜6及び比較例1〜7の各層の透過率の差及び、外観の目視評価結果を示す。
Figure 2018074583
[評価結果]
実施例1〜6及び比較例1〜3の色調は、第1点から第2点、さらに第2点から第3点にかけて、L値(明度)は減少傾向、C値(彩度)は、増加傾向を一様に示した。h値(色相角度)は明確な傾向を示さなかった。
実施例の色調(L、C、h表色系)の範囲として第1点は、L1が71.8〜74.6であり、C1が9.1〜16.9であり、h1が92.9〜101.4であった。第2点は、L2が70.0〜73.6であり、C2が13.7〜21.1であり、h2が90.3〜94.4であった。第3点は、L3が67.9〜73.2であり、C3が17.9〜27.8でありh3が88.2〜93.6であった。
比較例4〜5は、第2点のL値が最も高い値となっているが、目視でも歯冠の中央付近が明るくなっており、歯としては違和感のある色調であった。
実施例1〜6の透過率の範囲としては、第1点は、49.1〜52.8%であり、第2点は、46.0〜50.2%であり、第3点は、41.8〜46.5%であった。
実施例1〜6の第1点と第2点の透過率の差は2.3〜3.6%であり、第2点と第3点の差は2.3〜6.0%であり、透過率は、第1点から第2点及び第2点から第3点にかけて低下し、この傾向が逆転することはなかった。
比較例1〜7の第1点と第2点の透過率の差は0.9〜8.5%であり、第2点と第3点の差は0.3〜9.2%であった。比較例は、実施例と比べて透過率の変化が小さい、もしくは大きかった。
目視評価の結果、実施例1〜6においては、各層で色調と透明性が適度に変化し、天然歯のような自然なグラデーションを感じ、審美性に優れていたが、比較例1〜7では、第1点から第2点、及び第2点から第3点にかけて、透明性の差が小さすぎてグラデーションを感じない、もしくは反対に透明性の差が大きすぎて境界が目立ち過ぎるという結果となった。
目視評価の結果を透過率の差に当てはめると、透明感が適度に変化し、自然なグラデーションを感じる各層の透過率の差は、第1点と第2点においては2〜4%であることが好ましく、第2点と第3点においては2〜6%であることが望ましいことが分かった。
上記の結果をまとめると、歯科切削加工用複合レジン材料の一端から他端に向かう第1方向に延在する直線上において、一端から他端に向かう第1方向に向かって色が変化しており、前記一端から全長の15%までの区間にある第1点のLh表色系による色度(L,C,h)を(L1,C1,h1)とし、
前記一端から全長における50%の距離にある第2点のLh表色系による色度(L,C,h)を(L2,C2,h2)とし、
前記他端から全長における15%の区間にある第3点のLh表色系による色度(L,C,h)を(L3,C3,h3)としたとき、値の順番は、
L1>L2>L3であり、かつC1<C2<C3であった。
一端から他端に向かう第1方向に延在する直線上において、一端から他端に向かう第1方向に向かって透過率が変化しており、
前記一端から全長の15%までの距離にある第1点の透過率をT1とし、
前記一端から全長の50%の距離にある第2点の透過率をT2とし、
前記他端から全長の15%までの距離にある第3点の透過率をT3としたとき、
第1点(T1)と第2点(T2)の透過率の差が2%〜4%であり、かつ
第2点(T2)と第3点(T3)の透過率の差が2%〜6%であり、値の順番は、T1>T2>T3であった。
表3に曲げ強さの測定結果と破断前後の境界面の状態を示す。
Figure 2018074583

図3a〜図3c及び図4a〜図4cに、実施例1、比較例8及び比較例9で作製した試験片の境界面及び破断面の顕微鏡写真を示す。
実施例1では、曲げ強さが232MPaであった。これは、臼歯部で使用される一般的な歯冠用のハイブリッド型硬質レジンの曲げ強さ(200MPa程度)と比べても遜色ない値である。
また、図3aに示したように、実施例1は境界部分が移行的になっているため、曲げ試験前の試験片の中央部に明確な界面は確認されなかった。また、曲げ試験後の破断面が、境界面に沿っていなかった(図4a)。これらの結果から、実施例1で作製した試験片は、応力が集中するような界面が無いと考えられる。
比較例8では、曲げ強さが225MPaであった。図3bに示すとおり、わずかに境界面が確認されたが、図4bに示すとおり、破断面は境界面に沿っていなかった。
比較例9の接着材を介して積層した複合レジンの曲げ強さは105MPaであり、実施例1及び比較例8と比べて大幅に値が低下した。これは、図3c及び図4cに示すとおり、破断面が接着材との境界であることから、接着界面を起点に破断したと推測される。以上の結果より、実施例1の同時注入方式で作製した積層構造を有する歯科切削加工用複合レジンは、比較例8及び比較例9に比べて、境界面が見えにくく、審美性に優れているだけでなく、さらに高い強度が得られることが分かった。
なお、実施例2〜6及び比較例1〜6については、曲げ強さを測定していないが、着色顔料などの微量成分以外は実施例1と同じ組成、製法であるため、曲げ強さについても実施例1と同等と推測される。
図3aに示したとおり、実施例1では明確な境界面が存在せず、自然なグラデーションになっていることが分かった。これに対して、比較例8の段階的に重合硬化した歯科切削加工用複合レジン材料では、わずかに境界面が確認された。また、比較例9では接着材による境界が明確に確認された。このように、実施例1では、あきらかな境界線が存在しないことから、境界面で2種の歯科用組成物がわずかに混じり合うことで、強度と審美性を高めていると推測される。
1 外側ノズル
2 中央ノズル
3 外側ノズル
4 金型
5 エナメル色層
6 デンティン色層
7 サービカル色層
8 取付治具

Claims (7)

  1. 3層以上の積層構造を有する歯科切削加工用複合レジン材料であって、
    3種以上の歯科用組成物が、1つの金型に同時に充填された後に、重合硬化された歯科切削加工用複合レジン材料。
  2. 3層以上の積層構造がグラデーション化された、請求項1に記載の3層以上の積層構造を有する歯科切削加工用複合レジン材料。
  3. 歯科切削加工用複合レジン材料の一端から他端に向かう第1方向に延在する直線上において、一端から他端に向かう第1方向に向かって色が変化しており、
    前記一端から全長の15%までの区間にある第1点のLh表色系による色度(L,C,h)を(L1,C1,h1)とし、
    前記一端から全長の50%の距離にある第2点のLh表色系による色度(L,C,h)を(L2,C2,h2)とし、
    前記他端から全長の15%の区間にある第3点のLh表色系による色度(L,C,h)を(L3,C3,h3)としたとき、値の順番は、
    L1>L2>L3であり、かつ
    C1<C2<C3である、
    請求項1又は2に記載の歯科切削加工用複合レジン材料。
  4. 一端から他端に向かう第1方向に延在する直線上において、一端から他端に向かう第1方向に向かって透過率が変化しており、
    前記一端から全長の15%までの距離にある第1点の透過率をT1とし、
    前記一端から全長の50%の距離にある第2点の透過率をT2とし、
    前記他端から全長の15%までの距離にある第3点の透過率をT3としたとき、
    第1点(T1)と第2点(T2)の透過率の差が2%〜4%であり、かつ
    第2点(T2)と第3点(T3)の透過率の差が2%〜6%であり、
    値の順番は、
    T1>T2>T3である、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の歯科切削加工用複合レジン材料。
  5. 曲げ強さが180MPa以上で、かつ前記積層構造における色調の界面が確認されない、請求項1〜4の何れか一項に記載の歯科切削加工用複合レジン材料。
  6. 前記歯科組成物が、無機フィラー及び樹脂を含有する、請求項1〜5の何れか一項に記載の歯科切削加工用複合レジン材料。
  7. 請求項1〜6に記載の3層以上の積層構造を有する歯科切削加工用複合レジン材料の作製方法であって、
    3種以上の歯科用組成物を、1つの金型に同時に充填した後に、重合硬化する工程を含む、作製方法。
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