JP6739809B2 - 歯科用組成物、及び該歯科用組成物を用いた歯科切削加工用複合レジン材料 - Google Patents

歯科用組成物、及び該歯科用組成物を用いた歯科切削加工用複合レジン材料 Download PDF

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Description

本発明は、歯科用組成物、及び該歯科用組成物を用いた歯科切削加工用複合レジン材料に関する。
歯科において、歯磨き粉又は洗口剤に含まれているフッ化物は、エナメル質の耐酸性向上、再石灰化、う蝕原性細菌の抑制等の優れたう蝕予防効果が知られている(非特許文献1)
また、虫歯のう蝕部分を削って形成した窩洞等に、フッ化物を含む歯科材料を詰めるという歯科治療が行われている。削ったう蝕部分の大きさに合わせて修復材料が選択され、その修復材料には、歯冠材料、合着材料、接着材料、充填材料等が用いられる。
フッ化物イオンを徐放することができるフッ化物含有の歯科用材料としては、グラスアイオノマーセメントがあり、合着材料又は充填材料として幅広く使用されている。
グラスアイオノマーセメントの無機フィラー成分であるフルオロアルミノシリケートガラス粉末は、歯科用複合レジン材料の原料としても用いられており、歯に詰めた後にフッ化物イオンを放出するが、フッ化物イオンの放出に伴って、材料中のその他成分も溶出することから、歯科用組成物の機械的強度が低下するという問題点があった。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、酸反応性元素を含む無機微粒子をポリシロキサンで被覆し、その後、酸性ポリマーで処理し、無機微粒子表面にセメント反応相を形成することで、フッ化物イオンを放出させながらも強度の劣化を抑制した無機フィラーの作製方法が開示されている。
特許文献2には、フッ化物イオンを放出する無機フィラーに、重合性基を有するシランカップリング材を用いて高分子が架橋された網目構造に形成された第1層、その上にリン酸系モノマーと重合性モノマーとを用いて膜状に形成された第2層、さらにその上にシランカップリング材を用いて高分子が架橋された網目構造を形成する第3層を備えた3層構造の歯科用フィラーが、歯科用複合レジン材料の強度の低下を抑えながら長期間のフッ化物イオンの放出を可能であることが開示されている。
歯科補綴物は、歯科技工士が手作業で製作することが一般的であったが、近年デジタル技術が普及し、コンピューターの画面上で歯冠形状を設計し、切削装置で被削材料のブロックを削り出して歯科補綴物を形成するCAD/CAM(Computer-Aided Design/Computer-Aided Manufacturing)技術が一般的に使用されるようになってきた。この技術によって、安定した品質の歯科補綴物を短時間で効率よく供給することが可能となった。また、この方法では、これまでの手作業が機械化されるためレジンの操作性又は歯科技工士の技量の違いよる歯科補綴物の品質のバラつきが小さくなるというメリットがある。
これまでに、CAD/CAM用の材料としては、ジルコニア、チタン、複合レジン等を用いた歯科切削加工用材料が開発され、すでに多くの症例で使用されている。特に、複合レジンを重合硬化させた歯科切削加工用材料を用いた歯科治療は、2014年4月から健康保険に導入されたことにより、急速に普及している。
レジンは、ジルコニア又はチタンと比べて、材料の研磨性(加工性)に優れるが、耐久性が劣るため、レジンに無機フィラーを含有させることで、耐久性を向上させた複合レジン材料が提案されている。
例えば、特許文献3には、平均粒径0.01〜0.04μmの無機質充填剤を20〜70重量%と、少なくとも1個の不飽和二重結合を持つメタクリレート又はアクリレートのモノマーとを含む混合物を加圧下で加熱し、重合硬化させて形成される歯科用レジン材料が開示されている。
また、本出願人は、平均粒子径0.1〜0.9μmの一次粒子を焼結により部分的に結合させた表面に凹凸構造を持つ平均粒子径1〜6μmの二次粒子の複合金属酸化物の無機フィラー70〜82重量%及び平均粒子径0.1μm以下の超微粒子SiO2フィラーを1〜10重量%と(メタ)アクリレート系重合性モノマーを含有する成形用組成物を重合することで、気泡がなく、かつ曲げ強さ、硬さ等の機械的強度及び研磨後の光沢性に優れた歯科切削加工用複合レジン材料を提案している(特許文献4)。
しかしながら、特許文献3及び4の歯科切削加工用複合レジン材料には、フッ化物イオン徐放性が付与されていない。
歯科切削加工用複合レジンは、大きな咬合圧の発生する臼歯部においても使用されるため、高い機械的強度が求められるが、複合レジンへのフッ化物イオン徐放性の導入は、強度とトレードオフの関係になるため、高いレベルで両立させるのは難しく、特許文献1及び2に記載されているように、フッ化物イオンを徐放する無機フィラーに対して煩雑な表面処理等の工程が必要とされていた。
そこで、無機フィラーに対して煩雑な表面処理工程が必要なく、フッ化物イオン徐放性を有し、かつ機械的強度及び研磨性にも優れた歯科用複合レジン材料が強く望まれている。
特開2001−139844号公報 特開2014−201559号公報 特開平10−323353号公報 特開2015−067543号公報
DENTAL MATERIALS, 23, 2007, pp.343-362
本発明は、曲げ強さ及び研磨性に優れ、う蝕原性細菌抑制機能を有する歯科用組成物、及び該歯科用組成物を重合硬化した歯科切削加工用複合レジン材料を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、下記に示す歯科組成物及び該歯科用組成物を重合硬化した歯科切削加工用複合レジン材料は、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
項1.
(A)SiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する複合金属酸化物フィラー、
(B)フッ化物を含有する無機フィラー、
(C)平均粒子径0.1μm以下の超微粒子SiO2フィラー、及び
(D)(メタ)アクリレート系重合性モノマーを
含有する歯科用組成物であって、
前記(A)複合金属酸化物フィラーが21〜61重量%であり、かつ
前記(B)フッ化物を含有する無機フィラーが7〜50重量%である、前記歯科用組成物。
項2.
前記(A)複合金属酸化物フィラーが、平均粒子径0.1〜0.9μmの一次粒子を焼結により部分的に結合させた平均粒子径が2〜8μmの二次粒子であるフィラーである、項1に記載の歯科用組成物。
項3.
前記(B)フッ化物を含有する無機フィラーが、平均粒子径0.1〜1μmの無機フィラーである、項1又は2に記載の歯科用組成物。
項4.
フッ素徐放性を有する項1〜3の何れか一項に記載の歯科用組成物。
項5.
う蝕原性細菌を抑制できる、項1〜4の何れか一項に記載の歯科用組成物。
項6.
項1〜5の何れか一項に記載の歯科用組成物を重合硬化した歯科切削加工用複合レジン材料。
項7.
(A)SiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する複合金属酸化物フィラー、
(B)フッ化物を含有する無機フィラー、
(C)平均粒子径0.1μm以下の超微粒子SiO2フィラー、及び
(D)(メタ)アクリレート系重合性モノマーを混合する工程を含む、
項1〜5の何れか一項に記載の歯科用組成物を製造する方法。
項8.
項1〜5の何れか一項に記載の歯科用組成物を重合硬化させる工程を含む、歯科切削加工用複合レジン材料の作製方法。
本発明は、曲げ強さ及び研磨性に優れ、かつ、う蝕原性細菌抑制機能を有する歯科用組成物及び歯科切削加工用複合レジンを提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.歯科用組成物及び該歯科組成物を用いた歯科切削加工用複合レジン材料
本発明の歯科用組成物(以下、「歯科用複合レジン材料」ということもある)及び該歯科組成物を重合硬化した歯科切削加工用複合レジン材料は、(A)SiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する複合金属酸化物フィラーを(以下、「A成分」ということもある。)を21〜61重量%、(B)フッ化物を含有する無機フィラー(以下、「B成分」ということもある。)を7〜50重量%、(C)平均粒子径0.1μm以下の超微粒子SiO2フィラー(以下、「C成分」ということもある。)、及び(D)(メタ)アクリレート系重合性モノマー(以下、「D成分」ということもある。)を含有する。
上記A成分、B成分、C成分及びD成分を含有する歯科用組成物は、CAD/CAM装置で加工する歯科切削加工用複合レジン材料を作製(重合硬化)する前の歯科成形用複合レジン材料であるが、未硬化の状態でも使用でき、歯科技工士、歯科医師等が歯の形状に形成後、硬化して歯科補綴物を製作するために使用する歯科用複合レジン材料でもある。
A成分: SiO 2 、ZrO 2 及びAl 2 O 3 を含有する複合金属酸化物フィラー A成分は、SiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する複合金属酸化物フィラー(以下、「複合金属酸化物フィラー」ということもある。)であり、該複合金属酸化物フィラーは、平均粒子径0.1〜0.9μmの一次粒子を焼結により部分的に結合させた平均粒子径が2〜8μmの二次粒子であるフィラーであることが好ましい。
該複合金属酸化物フィラーの含有量は、歯科用組成物又は歯科切削加工用複合レジン材料中、21〜61重量%であり、25〜55重量%が好ましく、30〜50重量%がより好ましい。
該複合金属酸化物フィラーは1種のみを使用することができ、又は2種以上の異なる複合金属酸化物フィラーを混合することができる。
該複合金属酸化物フィラーの屈折率(nD)は、歯科切削加工用複合レジン材料のマトリックスである樹脂の屈折率(nD)と同等又は近似している点に特徴を有する。該複合金属酸化物フィラーの屈折率(nD)と樹脂の屈折率(nD)の差が±0.006の範囲内となるようにSiO2、ZrO2及びAl2O3の組成比を調整できる。
上記複合金属酸化物フィラーの屈折率(nD)は、使用する樹脂の屈折率によって変動するが、一般的に歯科で用いられる(メタ)アクリレート系重合性モノマーの場合は1.49〜1.52の範囲内で制御することができる。これらのフィラーの特性により、歯科用組成物又は歯科切削加工用複合レジン材料は、高い透明性を有することが可能となる。
該複合金属酸化物フィラー、即ち焼結一次粒子が結合した凝集状の二次粒子は、ゾル−ゲル法で調整された多孔質SiO2-Al2O3-ZrO2非晶質体からなる粒子を、上記粒子径に微粉砕してゲル微粒子を得る工程、該ゲル微粒子を凝集させる工程、及び該凝集物を焼成する工程を経て作製される。
該焼成により、一次粒子は十分に焼結するが、焼結一次粒子間の結合が弱い二次粒子を形成し、これが本発明に用いる複合金属酸化物フィラーが製造される。該複合金属酸化物フィラーを使用した歯科切削加工用複合レジン材料(硬化物)は、研削加工性並びに研削及び/又は研磨後の表面滑沢性の両方に優れる。
本発明の歯科切削加工用複合レジン材料は、平均粒子径が0.1〜0.9μm程度の一次粒子が結合したフィラー(二次粒子、平均粒子径=2〜8μm)を含有することにより大きな曲げ強度が付与される。フィラー(二次粒子)の表面は、凹凸が形成されており、この凹凸の中に重合性モノマーが入り込んで硬化することで嵌合効果(アンカー効果ともいう)が生じ、機械的強度が高くなるものと考えられる。
本発明に用いるフィラーは、SiO2-Al2O3-ZrO2系のゲル微粉粒子(焼結後には一次粒子)を、乾燥後、高温で焼成するため、一次粒子の表面は十分に焼結している。このため、その比表面積は小さくなっており、このフィラーを使用した歯科切削加工用複合レジン材料(硬化物)は、吸水率が小さく、口腔内のような湿潤条件での耐久性に優れる。
複合金属酸化物フィラーの製造方法
本発明に用いる複合金属酸化物フィラーは、アルコキシシラン、加水分解可能なジルコニウム化合物及び加水分解可能なアルミニウム化合物の混合物を、ゾル−ゲル法により共沈−乾燥させてゲル体とする工程(A1工程)、該ゲル体を粉砕して微細粒子(一次粒子)とする工程(A2工程)、及び該一次粒子を焼成することで二次粒子を形成する工程(A3工程)を備え、必要に応じて、シランカップリング材によって表面処理する工程(A4工程)を備える方法により製造される。
具体的には、A1工程は、アルコキシシラン、加水分解可能なアルミニウム化合物及び加水分解可能なジルコニウム化合物を溶媒中で均一に混合して、SiO2 50〜95重量%(好ましくは60〜85重量%)、ZrO2 0.1〜30重量%(好ましくは10〜20重量%)及びAl2O3 0.1〜30重量%(好ましくは0.3〜10重量%)を含有する溶液を作製し、アルカリ溶液を混合して各成分を同時に加水分解させて、反応生成物のゲル粒子を析出させる。
本発明における複合金属酸化物フィラーの組成のうち、SiO2の屈折率(nD)は1.46、ZrO2は2.2で、Al2O3は1.76であり、各成分の含有量によって、複合金属酸化物フィラーの屈折率(nD)がほぼ加成則に従い変化する。歯科切削加工用複合レジン材料の透明性を高めるには、樹脂の屈折率(1.48〜1.52)に近似させる必要があり、各成分の含有率を適切な値に選択することが重要である。また、歯科材料においてX線造影性を付与するために、ZrO2成分を含有させることができる。
なお、複合金属酸化物フィラーの屈折率(nD)を増加させるTiO2、CeO2、Y2O3成分等の導入も可能であるが、最終的なフィラー全重量に対して、3重量%以下の少量に留めることが望ましい。
ここで、アルコキシシランとしては、特に限定はなく、例えば、一般式:Si(OR)4(Rはアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等を示す。)で表わされるテトラアルコキシシラン化合物;テトラアルコキシシランの部分加水分解オリゴマー等が挙げられる。中でも、アルコキシシランとしては、エトキシシラン、メトキシシラン、メチルシリケートオリゴマー(SiO2含有量=52wt%、(CH3O)10Si4=約4量体、三菱化学(株)製のMS51)が好ましく、メチルシリケートオリゴマーが安価で取り扱いし易い点でより好ましい。
加水分解可能なアルミニウム化合物としては、特に限定はなく、例えば、安価で加熱分解し易いAl硝酸塩(Al(NO3)3)、Al酢酸塩(Al(OAc)3)、Alアセチルアセトネート塩等のアルミニウム塩;Al(OR)3(Rはアルキル基、好ましくはn-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等を示す)で表されるトリアルコキシアルミニウム化合物等が挙げられる。該アルミニウム塩は、通常水溶液として用いることができる。
加水分解可能なジルコニウム化合物としては、一般式:Zr(OR')4(R'はアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等を示す。)で表わされるテトラジルコニウム化合物;ZrO(NO3)2・nH2O;ZrOCl2・nH2O等が挙げられる。中でも、ZrO(NO3)2・nH2O又はZrOCl2・nH2O及びZrO(NO3)2・nH2Oが好ましい。nは、1〜10の整数を示す。
複合金属酸化物フィラーの具体的な製造方法としては、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)を水又はアルコールに溶解し、この溶液にジルコニウム化合物(例えば、ZrO(NO3)2水溶液)を加えて十分に混合する。該混合液に、アルコキシシラン、例えば、メチルシリケートオリゴマーを加えて均一透明な原料混合溶液とする。得られた原料混合溶液における無機酸化物含有率は、1〜35重量%程度の範囲であり、好ましくは3〜10重量%程度の範囲である。水又は有機溶媒の含有率が多いと乾燥に時間を要し不経済となり、溶媒が少ないと次の中和攪拌操作が困難となるからである。
以上のように調製した原料混合溶液(ゾル)は、アルカリ性溶液を添加することにより、加水分解及び共沈反応によりゲル化することができる。
アルカリ性溶液としては、特に限定はなく、例えば、上記原料混合溶液を溶解し、水に任意の割合で溶解し、乾燥及び加熱処理によりフィラー中に残留しない点で、アンモニア水が好ましい。アンモニア水の量は、原料混合溶液と混合した時に塩基性を示すことが必要で、一般には、pH7〜9程度、好ましくはpH8程度になる量が一つの目安となる。例えば、市販アンモニア水(含有率:35wt%)の2倍希釈程度を採用することができる。
上記原料混合溶液とアルカリ性溶液との混合方法は、特に限定はなく、例えば、各原料成分におけるアルカリによるそれぞれの加水分解条件が異なることが原因である共沈物における成分の偏りを防止するために、一括添加することが望ましい。攪拌速度、反応温度及び時間についても特に限定はなく、均一反応を目的に激しく攪拌して急速中和を行い、共沈微粒子の集合体(ゼリー状ゲル体)を得ることで、成分の偏りを防止できる。
上記の操作により得られるゾル−ゲル体は、通常のエバポレーター又は乾燥機で溶媒、過剰のアンモニア、水等の蒸発除去及び乾燥を行う。乾燥温度としては特に限定はなく、例えば、40〜150℃、好ましくは70〜120℃の範囲である。
次いで、乾燥したゲル体を水洗して、副生成物である硝酸アンモニウム等を除去する。例えば、送風式乾燥機等で、ゲル体を十分乾燥させた後、該乾燥物に、エタノールを加えて、遊星ミル、ビーズミル等により平均粒子径0.1〜0.9μmのゲル微粒子に湿式粉砕し、エタノールを蒸発除去及び乾燥してゲル微粒子粉体とする。この微粒子粉体を、ジェットミル等の気流式粉砕機を利用して平均粒子径が3〜20μmの粒子とし、電気炉中で焼成する。上記特許文献4では、微粒子粉体を、焼成前に遊星ミル中でアルミナボールを衝突させて粉砕し、粒子を作製していたが、遊星ミルの場合、アルミナボールによって強く押し固められるため、焼成後の無機フィラーが硬くなる。このため、歯科切削加工用複合レジン材料(硬化体)を最終研磨する際に十分な光沢を得るには、研磨力の高いダイヤモンド粒子含有の研磨材を用いる必要があった。一方、本発明で利用している気流式粉砕機の場合は、アルミナボールのようなメディアを用いず、粉体同士を高速で衝突させて粉砕する方式である。このため、粒子が必要以上に硬くならず、歯科切削加工用複合レジン材料の研磨が容易になり、研磨力の低いアルミナ粒子含有の汎用研磨材でも十分な光沢が得られるという特徴を有する。
該粒子の焼成では、一次粒子の焼結と該一次粒子が結合した二次粒子(平均粒子径3〜10μm)の形成とが重要となる。SiO2、ZrO2及びAl2O成分の含有率によって、その最適な加熱処理条件(温度、時間等)は適宜選択する。
例えば、昇温速度は、最速でも毎分20℃程度、通常毎分3〜10℃程度とすることが望ましい。焼成温度は、800〜1200℃程度、好ましくは1000〜1190℃程度、より好ましくは1050〜1150℃である。
上記方法により製造された二次粒子は、解砕、ブレンド等の方法により適当な粒度分布を有するように調整される。二次粒子の無機フィラーは、平均粒子径が0.1〜0.9μm程度の焼結一次粒子がネック形成によって相互に結合された不定形粒子(粒径=1〜50μm)であり、鋭いエッジを持たず、粒度分布がブロードで粒子の大きさが不揃いで、凸凹の表面を有している。この焼成後の二次粒子を、必要に応じて気流式粉砕機で解砕し、平均粒子径2〜8μmに調節できる。
本発明における平均粒子径及び粒度分布の測定は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製、SALD-2200)により行う。該平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布を体積基準で測定しているため、体積平均粒子径を意味する。
焼成前のゲル微粒子(一次粒子)及び粒子(二次粒子)の粒度は、蒸留水を溶媒として、屈折率を1.45±0.10にして、粒度分布測定装置に粉体を投入し、5分間超音波分散後に測定した。また、焼成後の粒子(二次粒子)の粒度は、屈折率を1.50±0.10の条件で測定した。
B成分:フッ化物を含有する無機フィラー
本発明の歯科用組成物又は歯科切削加工用複合レジン材料は、フッ化物を含有する平均粒子径1μm以下の無機フィラー(以下、「フッ素フィラー」ということもある。)を配合する必要がある。
該フッ素フィラーとしては、水溶液中でフッ素イオンを放出する化合物であれば特に限定はなく、例えば、平均粒子径が0.1〜0.9μmである公知のフッ化物を含有する無機フィラーを用いることができる。具体的に、フッ素フィラーとしては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム等のアルカリ金属フッ化物;フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム等のアルカリ土類金属フッ化物;フルオロ珪酸塩等のフッ化ケイ素化合物;フッ化亜鉛化合物;モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸アンモニウム、モノフルオロリン酸アルミニウム等のフッ化リン酸化合物;これらの複合化合物等が挙げられる。中でも、フッ素フィラーとして好ましくは、フッ素フィラー(CaO 5〜30重量%、SrO 5〜30重量%、SiO2 10〜70重量%、Al2O3 10〜50重量%、ZnO 0〜20重量%、Na2O 0〜10重量%、P2O5 0〜10重量%の合計)に対して、フッ素(F)の含有量は、5〜50重量%が好ましい。該フッ素フィラーの平均粒子径は、特に限定はなく、例えば、2μm以下であればよく、0.1〜1μmの範囲が好ましい。
該フッ素フィラーは、1種のみを使用することができ、又は2種以上の異なるフッ素フィラーを混合することができる。
該歯科切削加工用複合レジン材料中に含まれるフッ素フィラーの含有量は、7〜50重量%が好ましく、10〜45重量%がより好ましく、12〜40重量%がさらに好ましい。
C成分:平均粒子径0.1μm以下の超微粒子SiO2フィラー
本発明の歯科用組成物又は歯科切削加工用複合レジン材料は、平均粒子径が0.1μm以下の超微粒子SiO2フィラー(以下、「超微粒子SiO2フィラー」ということもある。)を配合する必要がある。該超微粒子SiO2フィラーとしては、一次粒子の平均粒子径が0.1μm以下である公知のSiO2フィラーであれば特に限定はなく、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカ等が挙げられる。該超微粒子SiO2フィラーの平均粒子径は、0.1μm以下であればよく、0.01〜0.1μmの範囲が好ましい。
該超微粒子SiO2フィラーは、1種のみを使用することができ、又は2種以上の異なる超微粒子SiO2フィラーを混合することができる。
該歯科用組成物又は歯科切削加工用複合レジン材料中に含まれる超微粒子SiO2フィラーの含有量は、1〜10重量%が好ましく、2〜8重量%がより好ましい。
該C成分の超微粒子SiO2フィラーは、SiO2フィラーであって、ZrO2及びAl2O3を含有しないフィラーであるのに対して、A成分のSiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する無機フィラーは、必ずSiO2、ZrO2及びAl2O3をそれぞれ含有する複合金属酸化物からなる無機フィラーである。
B成分のフッ素フィラーは、必ずフッ化物を含有する無機フィラーであるのに対して、A成分及びC成分には、フッ化物が含まれていないため、3種類のフィラーの成分は明確に区別できる。
D成分:(メタ)アクリレート系重合性モノマー
本発明の歯科用組成物及び歯科切削加工用複合レジン材料は、(メタ)アクリレート系重合性モノマー(以下、「重合性モノマー」、又は「モノマー」ということもある)を配合する必要がある。該(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味している。
該重合性モノマーとしては、歯科用として使用可能な(メタ)アクリレート系重合性モノマー(単量体)であれば特に限定はなく、使用することができる。例えば、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、アルキルエステルの場合はアルキル基の炭素数1〜12;芳香族基を含むエステルの場合は炭素数6〜12である。なお、これらの基にポリエチレングリコール鎖等の置換基を含むものはそれらの炭素数も含める。)等の単官能性の(メタ)アクリレート;ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(アルキレン基の炭素数2〜20)、エチレングリコールオリゴマージ(メタ)アクリレート(2〜10量体)、ビスフェノールAを含むジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート2モルとジイソシアネート1モルとの反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性の(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、特開昭50−042696号公報又は特開昭56−152408号公報に開示されているモノマー等が好適である。
該単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
該多官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAグリシジルジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、7,7,9−トリメチル−4,13−ジオキサ−3,14−ジオキソ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート(1,6−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−2−エトキシカルボニルアミノ)−2,4,4−トリメチルヘキサン)、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとメチルシクロヘキサンジイソシアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとメチルシクロヘキサンジイソシアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとメチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)との反応生成物、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、2−ヒドロキシエチル(メタアクリレートとイソホロンジイソシアネートとの反応生成物、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートとの反応生成物等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。
該(メタ)アクリレート系重合性モノマーは、多官能性の(メタ)アクリレートが好ましく、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ウレタンジメタクリレート(UDMA)及びビスフェノールAグリシジルジメタクリレート(Bis-GMA)がより好ましく、DEGDMA、TEGDMA、UDMA及びBis-GMAが特に好ましい。
これら(メタ)アクリレート系重合性モノマーは、単独で使用できるが、2種類以上の重合性モノマーを混合して使用することが好ましく、2種以上の多官能性の(メタ)アクリレートを混合して使用することがより好ましく、粘度を調整するために2種以上のジ(メタ)アクリレートを混合して使用することが特に好ましい。
該歯科用組成物及び歯科切削加工用複合レジン材料中に含まれる重合性モノマーの含有量は、18〜30重量%が好ましく、20〜28重量%がより好ましい。
なお、本発明の歯科用組成物及び歯科切削加工用複合レジン材料においては、前記(メタ)アクリレート系重合性モノマーに加えて、重合の容易さ、粘度の調節、あるいはその他の物性の調節のため、上記(メタ)アクリレート系重合性モノマー以外の他の重合性モノマーを混合して重合することも可能である。
本発明の歯科用組成物及び歯科切削加工用複合レジン材料は、重合開始剤を含むことが好ましい。さらに必要に応じて、重合促進剤、着色顔料、乳濁材、蛍光材、オパール化材、重合禁止剤、酸化防止剤、抗菌剤、X線造影材、安定化剤、紫外線吸収剤、変色防止剤等のその他公知の各種添加剤を配合できる。これらは単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
該重合開始剤としては、一般的に使用されている重合開始剤であれば特に限定はなく、中でも歯科用途に用いられている重合開始剤が好ましい。一般に、重合開始剤は、重合性モノマーの重合手段によって異なる種類のものが使用される。重合手段には光重合開始剤、熱重合開始剤等がある。
該光重合開始剤としては、特に限定はなく、紫外光又は可視光で反応し、ラジカルを発生する光重合開始剤を使用することができる。具体的には、ジアセチル、アセチルベンゾイル、ベンジル、カンファーキノン(CQ)、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等のα−ジケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル;2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン化合物等;ベンゾフェノン、p,p'−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p'−ジメトキシアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物が挙げられる。
該熱重合開始剤としては、特に限定はなく、過酸化物、アゾ化合物等の公知の熱重合開始剤を使用することができる。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4'−アゾビス−4−シアノバレリック酸、1,1'−アゾビス−1−シクロヘキサンカーボニトリル、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチラート、2,2'−アゾビス−(2−アミノプロパン)ジヒドロクロライド等が挙げられる。
また、本発明に用いる(メタ)アクリレート系重合性モノマーの重合は、上記の重合開始剤に加え、重合促進剤を組み合わせて使用することができる。
該重合促進剤は、一般的に光重合開始剤と組み合わせて使用される。該重合促進剤としては、特に限定はなく、例えば、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(DMAEMA)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル(DMABE)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)安息香酸n−ブトキシエチル等を使用することができる。
さらに、本発明に用いる無機フィラー、フッ素フィラー及び超微粒子SiO2フィラーは、歯科切削加工用複合レジン材料の機械的強度、耐磨耗性及び耐水性を向上させるために、表面処理を施すことが好ましい。表面処理剤及びその表面処理法としては、公知の方法が採用され特に限定されない。
表面処理剤としては、特に限定はなく、例えば、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメトキシシラン、5-(メタ)アクリロイルオキシペンチルトリメトキシシラン、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメトキシシラン、7-(メタ)アクリロイルオキシヘプチルトリメトキシシラン、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、9-(メタ)アクリロイルオキシノニルトリメトキシシラン、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、11-(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、13-(メタ)アクリロイルオキシトリデシルトリメトキシシラン、14-(メタ)アクリロイルオキシテトラデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシランシリルイソシアネ−ト、ビニルトリクロロシラン等のシランカップリング剤など無機酸化物の表面改質剤として使用される化合物が挙げられる。好ましくは、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(γ-MPTS)を挙げることができる。
複合金属酸化物フィラー、フッ素フィラー及び超微粒子SiO2フィラーの表面処理剤による処理方法としては、特に限定はなく、例えば、各フィラーと表面処理剤とをアルコ−ル等の溶剤中で数十分間〜10時間程度、好ましくは1時間〜5時間の範囲で加熱環流する方法等が挙げられる。また、表面処理剤の加水分解を促進する必要があれば、該溶剤中に水、酢酸等の酸性水を添加して上記範囲内で加熱環流した後、溶媒を除去し常圧もしくは減圧下乾燥する方法が挙げられる。
表面処理剤の量は、該各フィラー100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲である。なお、表面処理後の該各フィラーは、処理前のフィラーに比べて、粒径又は粒度分布に殆ど変化はない。
本発明の歯科切削加工用複合レジン材料は、上記(A)〜(D)成分以外に前記の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
着色剤(及び乳濁剤)としては、天然歯を模倣するために、一般の歯科治療の用途での公知の化合物が使用できる。例えば、酸化鉄系着色顔料、有機顔料、酸化ジルコニウム顔料、チタンホワイト、チタンイエロー等が挙げられる。具体的には、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化チタン等が挙げられる。
2. 歯科用組成物の製造方法
本発明の歯科用組成物は、(A)SiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する複合金属酸化物フィラー、(B)フッ化物を含有する無機フィラー、(C)平均粒子径0.1μm以下の超微粒子SiO2フィラー及び(D)(メタ)アクリレート系重合性モノマーを含み、該(A)複合金属酸化物フィラーが21〜61重量%、かつ該(B)フッ化物を含有する無機フィラーが7〜50重量%の配合割合で混合することで製造できる。
上記の歯科用組成物中の各成分の混合割合(混合比)は、粘性及び使用目的によって適宜調整することができる。例えば、(メタ)アクリレート系重合性モノマー100重量部に対して、複合金属酸化物フィラー及びフッ素フィラーをそれぞれ150〜600重量部(好ましくは230〜460重量部)、並びに超微粒子SiO2フィラー3〜60重量部(好ましくは6〜36重量部)を配合し、さらに必要に応じて重合開始剤、重合促進剤、着色顔料、乳濁材、オパール化材、蛍光材、重合禁止剤、酸化防止剤、抗菌剤、X線造影材、安定化剤、紫外線吸収剤、変色防止剤等の添加物を適宜配合することができる。なお、該歯科用組成物は、重合開始剤を含む場合、その取り扱いに注意が必要であり、保管環境は大気遮断、暗所及び低温が必須である。
該歯科用組成物の作製方法としては、前記の各成分を容器に所定量とり、十分に混練して分散させた後、ペーストを得る工程及び該ペーストを減圧下で混練、もしくは真空撹拌することで、均一で気泡の除去された粘土状又はペースト状の歯科用組成物が得られる。
該歯科用組成物は、公知の重合(光及び加熱)方法に従って、重合させることで硬化物が得られる。
3. 歯科切削加工用複合レジン材料の作製方法
本発明の歯科切削加工用複合レジン材料(「成形体」又は「硬化体」ということもある。)は、(A)SiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する複合金属酸化物フィラー、(B)フッ化物を含有する無機フィラー、(C)平均粒子径0.1μm以下の超微粒子SiO2フィラー及び(D)(メタ)アクリレート系重合性モノマーを含み、該(A)複合金属酸化物フィラーが21〜61重量%、かつ該(B)フッ化物を含有する無機フィラーが7〜50重量%の配合割合で混合した歯科用組成物を、金型内に充填後に重合硬化させて作製することができる。
該金型で成形するにあたっては、例えば、金型と、蓋とが準備される。該金型はキャビティ(空洞部)を備えており、該キャビティの形状は、例えば、角柱状、円柱状、角板状、円板状等の形状に形成される。
該重合硬化の方法としては、特に限定はなく、例えば、加熱及び/又は光照射(光照射及び加熱、加熱のみ又は光照射のみ)等の方法により製造することができる。加熱により重合硬化させる場合、さらに加圧下で行うことが好ましい。光照射により重合硬化させる場合、光照射後に加熱処理を行うことが好ましい。
加熱により重合硬化させる方法としては、例えば、金型のキャビティ(空洞部)に歯科用組成物を充填した後、該金型にコア(蓋)を取着して、キャビティを閉塞した状態で加圧下又は常圧下において加熱することにより、該成形用組成物が重合硬化されて歯科切削加工用複合レジン材料が作製される。
成形時の加熱温度は、歯科切削加工用複合レジン材料の組成等に応じて適宜調整されるが、例えば、通常60〜200℃の範囲であり、80〜180℃が好ましく、90〜150℃がより好ましい。
成形時に歯科切削加工用複合レジン材料にかけられる圧力も適宜調整されるが、例えば、常圧(大気圧)〜300MPaの範囲であり、10〜250MPaが好ましく、30〜230MPaがより好ましい。成形時の温度及び圧力は、必要に応じて経時的に変動させてもよい。
加圧下で加熱により重合硬化させる場合は、加熱重合が促進され、未重合の残留モノマーが少なくなり、気泡の混入が抑制され均一な重合体が得られる。
光照射により重合硬化させる方法としては、光重合開始剤の種類によって異なり、紫外線の波長も使用できるが、通常人体に無害である可視光の波長で光照射して重合硬化させる。該光の波長としては、例えば、250〜700nmの範囲が好ましく、300〜500nmがより好ましい。
前記の波長範囲の光源としては、LEDランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザー、蛍光灯、太陽光等の光を使用することができる。
また、前記の光を照射し重合性モノマーを重合させる場合の照射時間は、歯科用組成物から得られる歯科補綴物又は歯科切削加工用複合レジン材料の厚さ、透明性、色調及び照射光の光量により異なるが、一般に所望の重合時間に合わせ適宜決定すればよい。好ましくは10秒から10分程度、より好ましくは1分から6分の光照射を行う。
歯科切削加工用複合レジン材料を、歯科用組成物の光照射による重合硬化で作製する方法としては、例えば、透明なシリコーン樹脂等に成形用組成物を充填した後、300〜500nmの波長の光を数分間両面から照射して光重合させる。さらに、重合度を高めるために、90〜180℃の範囲で加熱処理を行って成形体を形成することが好ましい。上記重合硬化によって、得られた歯科切削加工用複合レジン材料の体積は特に限定はなく、通常3cm3以上200cm3以下の範囲で形成される。
かくして得られる本発明の歯科切削加工用複合レジン材料は、優れた外観の審美性、機械的強度、表面光沢、虫歯菌抑制機能及び研磨性を有する等の特性を有している。機械的強度の指標である曲げ強さは、通常150MPa以上、好ましくは160MPa〜280MPa、より好ましくは170MPa〜280MPaである。虫歯菌抑制機能を表す吸光度は、通常0.4未満、好ましくは0.01〜0.39である。研磨性を表す光沢度は、通常65%以上、好ましくは66%〜100%、より好ましくは67%〜100%である。
4. 歯科修復物の作製
本発明の歯科用組成物又は歯科切削加工用複合レジン材料は、歯科医師又は歯科技工が歯科修復材として利用することができる。例えば、う蝕を除去した窩洞への直接充填又は歯冠形状に成型後、上記の光照射により重合硬化して、歯科補綴物を作製することができる。また、本発明の歯科切削加工用複合レジン材料は、手作業で切削加工してもよいが、例えば、歯科用CAD/CAM装置により切削加工されるなどして、歯冠の形状の歯科補綴物を作製することができる。
歯科補綴物としては、例えば、義歯、インレー、アンレー、クラウン、連冠、ブリッジ、インプラント治療における上部構造体等が挙げられる。
歯科用CAD/CAM装置としては、公知の装置を用いることができる。歯科補綴物がCAD/CAM装置を用いて作製される場合は、従来の手作業と比べて効率よく、短時間で高精度な歯科補綴物を作製することができる。
かくして得られる本発明の歯科切削加工用複合レジン材料から得られる歯科補綴物は、優れた外観の審美性、機械的強度、表面光沢及び虫歯菌抑制機能を有する等の特性を有している。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
実施例1
1.(A)複合金属酸化物フィラーの調製
硝酸アルミニウム(Al(NO3)39H2O) 10重量部及びAP-1(変性エタノール、日本アルコール販売社製AP-1、エタノール87%、イソプロピルアルコール13%)15重量部を混合し、溶解させた。次いで、得られた溶液にジルコゾールZN(硝酸ジルコニウム水溶液、第一稀元素化学工業社製、ZrO2含有率=25wt%)を118重量部添加し、さらに、MS51(メチルシリケートオリゴマー、三菱化学社製、SiO2含有率=52wt%)280重量部及び蒸留水430重量部を添加した。その後、得られた混合物を60分間攪拌機で混合し、透明かつ均一な原料混合液を調製した。次に、アンモニア水溶液(例えば、ナカライテスク社製、NH3=28%)の2倍希釈液127重量部を、先に調製した原料混合液に攪拌しながら添加すると、共沈ゲル化してゼリー状となった。このゲル化体を取り出し、100℃で乾燥して過剰のアンモニア、水及び溶媒を除去し、乾燥ゲルを得た。この乾燥ゲルを水洗及び濾過し、副成した硝酸アンモニウムを除去し、再度乾燥した。なお、硝酸アンモニウムが多量に残留すると焼成時にガスが発生し、爆発するリスクがあるため、十分に水洗する必要がある。
この乾燥ゲル100重量部を250重量部のAP-1中に分散させ、直径0.65mmのジルコニアボールを規定量充填したビーズミル(シンマルエンタープラゼス社製、MULUTI-LABO)を用いて4時間粉砕して、スラリーとした。このスラリーの粒径及び粒度分布を測定したところ、平均粒子径は0.6μmで、粒径が0.2μm未満にまで粉砕されることはなかった。
スラリーを回収し、乾燥して溶媒を除去した。この段階の粒子は、完成フィラーの一次粒子に対応する。次にこの粉砕乾燥ゲルをジェットミル(ホソカワミクロン社製、100AFG/50ATP)で処理し、約20μmのゲル粉体の平均粒子径を得た。このゲルをアルミナ製の皿に入れ電気炉中、毎時270℃の昇温速度で1100℃まで昇温して、同温度で3.5時間保持した後、炉外に取り出し放冷し、白色の粉末を得た。
この焼成ゲルを、上記ジェットミルで粉砕してSiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する複合金属酸化物フィラーとした。当該複合金属酸化物の平均粒子径は5.5μm(10%D:0.4μm、50%D:10.1μm、90%D:26.9μm)で、約0.5〜約50μmの範囲に幅広く分布した多分散系であることが認められた。
この複合金属酸化物フィラー100重量部をアルコール溶媒(AP-1)200重量部中に懸濁し、γ-MPTS(TSL-8370、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)9重量部を添加し1時間超音波分散した。その後、溶媒をエバポレ−タ−で除去した後、減圧下80℃で2時間乾燥し、減圧下110℃で1時間乾燥することによりシランカップリング材で表面処理された複合金属酸化物フィラーを得た。
2.(B) フッ素フィラーの調製
アルコール溶媒(AP-1)200重量部中に、平均粒子径0.7μmのフッ化イオンを放出する歯科用ガラスフィラー(G018−090(UF0.7)、NEC SCHOTTコンポーネンツ社製)100重量部及びγ-MPTSを2重量部加えて、1時間超音波分散した。その後、アルコール溶媒をエバポレーターで除去した後、減圧下80℃で2時間乾燥し、減圧下110℃で1時間乾燥することによりシランカップリング材で表面処理されたフッ素フィラーを得た。
3.(C) 超微粒子SiO2フィラーの調製
超微粒子SiO2フィラーである、平均粒子径15nmのコロイダルシリカフィラー溶液(MEK-ST 100、日産化学工業社製、メチルエチルケトン中にSiO2が30重量%含有)100重量部中に、γ-MPTSを10重量部加えて、1時間超音波分散した。その後、重合性モノマー(UDMA)を60重量部加えた後、溶媒をエバポレ−タ−で除去し、シランカップリング材で表面処理された超微粒子SiO2フィラーを30重量%含有するUDMAを得た。歯科切削加工用複合レジン材料は、この超微粒子SiO2フィラーを含有するUDMAを適量混合して作製する。
4.歯科切削加工用複合レジン(加熱重合型)の作製
重合性モノマーに対して加熱重合開始剤(BPO)が1重量%になるように添加したUDMA及びDEGDMAの混合重合性モノマー(D)に、(A)複合金属酸化物フィラー、(B)フッ素フィラー及び(C)超微粒子SiO2フィラーを含有するUDMAを混合し、(D)重合性モノマー(UDMA/DEGDMA=80/20重量比)が29重量%、(A)複合金属酸化物フィラーが61重量%、(B)フッ素フィラーが7重量%及び(C1)超微粒子SiO2フィラーが3重量%含有するペーストを作製する。次いで、減圧下において、均一に混練・脱泡することで、歯科切削加工用複合レジン材料を形成するための歯科用組成物を得た。
該歯科用組成物を金型内(15mm×15mm×30mm)に充填し、加圧加熱により成形した後、150℃で1時間の加熱処理を行い、十分に重合を進行させ、歯科切削加工用複合レジン材料(ブロック体)を作製した。
実施例2〜7及び比較例1〜2
実施例2〜7及び比較例1〜2は、表1に記載の配合割合にする以外は、実施例1と同様の方法で歯科切削加工用複合レジンを作製した。
比較例3
従来技術の比較例として、既存の製品でフッ化物イオン徐放性の無いKZR-CAD ハイブリッドレジンブロック(山本貴金属地金社製)のA3/Lを用いた。これは、複合金属酸化物フィラー及び超微粒子SiO2フィラーを重合性モノマーと複合化し、重合硬化した歯科切削加工用複合レジンであり、特許文献4(特開2015-67543号公報)に基いて作製されたものである。
実施例8:歯科切削加工用複合レジン材料(光重合型)の作製
遮光下で重合性モノマーに対して光開始剤(CQ)が0.5重量%、重合促進剤(DMAEMA)が0.5重量%及び重合促進剤(DMBE)が1重量%になるように添加したUDMA及びBis-GMAの混合重合性モノマー(D)に、超微粒子SiO2フィラー(C1)、複合金属酸化物フィラー(A)及びフッ素フィラー(B)を混合し、重合性モノマー(D)(UDMA/Bis-GMA=88/12重量比)が25重量%、超微粒子SiO2フィラー(C1)が5重量%、複合金属酸化物フィラー(A)35重量%及びフッ素フィラー(B)35重量%含有するペーストを作製した。次いで、減圧下において、均一に混練及び脱泡することで、歯科用組成物を得た。
実施例9、10及び11
実施例9、10及び11は、表2に記載の配合割合で、実施例8の同様の方法により歯科切削加工用複合レジン材料(光重合型)を作製した。
実施例9、10及び11に使用した複合金属酸化物フィラーとフッ素フィラーは、γ-MPTSに代えて、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン(KBM-5803,信越シリコーン社製)を用いて表面改質されたものを用い、実施例1と同じ条件での表面処理を行った。
また、実施例10及び11には、超微粒子SiO2フィラー(C2)として平均粒子径が15nmのコロイダルシリカフィラーの他に、平均粒子径0.1μmのシリカフィラー(アドマナノYC100C-SM2,アドマテックス社製、γ-MPTS表面処理品)を添加した。
比較例4
従来技術の比較例として、既存の製品でフッ化物イオン徐放性の無いハイブリッド型硬質レジン「ツイニー(商標)」(山本貴金属地金社製)のDA3シェードを用いた。これは、重合性モノマーに特定の無機フィラーを加えることにより、優れた機械的強度等の特性を付与した複合レジン材料であり、特開2005-263648号公報に記載の製法に基いて作製されたものである。
比較例5
従来技術の比較例として、既存の製品でフッ化物イオン徐放性を有する歯科充填用コンポジットレジンである「ビューティフィルII(松風社製)」のA3シェードを用いた。これは、表面にセメント反応層が形成された酸反応性元素を含む無機微粒子の外側をポリシロキサンで被覆し、さらに酸性ポリマーを反応させた無機フィラーを用いたものであり、特許文献2(特開2001-139844号公報)に基いて作製されたものであると推側される。
歯科用組成物及び歯科切削加工用複合レジンの物性評価
実施例及び比較例で得られた歯科切削加工用複合レジン材料について、曲げ強さ、研磨性(研磨後の光沢性)及び虫歯菌抑制の有無は、以下の測定方法で測定した。
[曲げ強さの評価]
実施例1〜11及び比較例1〜5の歯科切削加工用複合レジン材料から、25mm×2mm×2mmの寸法の試験片を、ダイヤモンドカッターブレードを装着した切断機で切り出してして得た。この試験片を、粒度P2000の耐水研磨紙で表面を研磨した後、37℃の蒸留水に24時間浸漬後、小型万能試験機(島津製作所社製,EZ-Graph)を用いてクロスヘッドスピード1mm/min、支点間距離20mmの条件で三点曲げ試験を実施した。また、実施例8並びに比較例3及び4については、各歯科用複合レジンのペーストを25mm×2mm×2mmの金型に充填し、光重合器(デンケン・ハイデンタル社製、LEDキュアマスター)で両面から90秒間の光照射により硬化させた試験片を、粒度P2000の耐水研磨紙で表面を研磨した後、37℃の蒸留水に24時間浸漬後、三曲げ試験を実施した。なお、試験片は5個作製し、5回の測定値の平均値を曲げ強さとした。
[虫歯菌抑制の評価]
実施例1〜11及び比較例1〜5の歯科切削加工用複合レジン材料から、歯科用切削加工装置を用い、円柱状に削り出した後、ダイヤモンドカッターブレードを装着した切断機で切り出してして直径12mm及び厚さ1mmの試験片を得た。
また、実施例8並びに比較例3及び4の歯科切削加工用複合レジン材料は、対応する歯科用組成物のペーストをそれぞれφ12mm及び厚さ1mmの金型に充填し、光重合器で両面から90秒間の光照射により硬化させて試験片を得た。各試験片は、耐水研磨紙(P2000)で両面を研磨し、24穴培養プレートのウエル試験体を設置し、う蝕原性細菌(Streptococcus mutans,以下「虫歯菌」ということもある。)の菌液(1.0×107 CFU/mL,1%スクロース含有BHI液体培地) を1mL添加後、37℃の恒温器で24時間好気培養した。
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(-)で洗浄後、試験片をクリーンなウエルに移し、PBS(-) 0.95 mL、Microbial Viability Assay Kit-WST (同仁化学社製) の試験薬0.05mLを順次添加し2時間呈色させ、450 nmにおける吸光度を測定した。試験片に虫歯菌の抑制機能が無い場合は、溶液が橙色に変化し、虫歯菌の抑制機能がある場合は、溶液の変色が抑えられる。また、この試験方法では、歯科切削加工用複合レジン材料から徐放しうる数ppmの極めて低濃度のフッ化物イオンでも、虫歯菌を抑制することが確認された。つまり、この試験方法を用いることで、歯科切削加工用複合レジン材料の虫歯菌の抑制機能の有無を評価できる。吸光度は、各3枚の試験片で測定し、その平均値を示した。評価基準は以下のとおりである。
虫歯菌抑制[無]:吸光度が0.4以上の場合であり、虫歯菌が抑制されていない、又はごくわずか抑制されている状態
虫歯菌抑制[有]:吸光度が0.4未満の場合であり、虫歯菌が抑制されている状態
なお、虫歯菌抑制とは、歯科切削加工用複合レジン材料から徐放されるフッ化物イオンによって、試験片上での虫歯菌の付着又は増殖を抑制している状態を示す。
[研磨性の評価]
直径15mm及び厚さ1mmの試験片を虫歯菌抑制試験と同様の方法で作製し、試験片の光沢度が30±1%になるまで耐水研磨紙(P1500)で研磨し、研磨用試料とした。次に歯科技工用エンジンを用いてアルミナ含有の研磨材(大榮歯科産業社製,マルチブルー)を0.02g付着させた布バフ(綿糸ポイント(103),茂久田商会社製)により、20gfで120秒間研磨した。研磨後の光沢について光沢計(VG-2000、日本電色工業社製)を用いJIS Z 8741(1997)に従い、反射角60°での光沢度を測定した。光沢度(%)は3回測定し、その平均値を示した。評価基準は以下のとおりである。
1:光沢度が65%以上であり、歯科材料として十分な光沢がある状態
2:光沢度が60%以上であり、65%以上と比べるとわずかに劣るが、実用上問題がない光沢がある状態
3:光沢度が60%以下であり、光沢が不十分であり、実用上問題がある状態。
実施例1〜7及び比較例1〜3の歯科切削加工用複合レジンについて、A成分、B成分、C成分及びD成分の配合比率、並びに曲げ強さ、研磨後の光沢性及び虫歯菌抑制の評価結果を表1に示した。
Figure 0006739809

(評価結果)
表1に示す結果から、実施例1〜7では、209〜245MPaの高い曲げ強さを示し、表面の光沢性は全て良好であり、虫歯菌の抑制が有ることが確認された。一方、比較例2では、フッ素フィラーの増加により、硬化時にブロックの内部に気泡が残存し易くなるため、気泡の影響で曲げ強さが200MPaを下回ったと考えられる。実施例1〜4では、フッ素フィラーの配合比率が多くなるに従い、吸光度が急激に低下し、虫歯菌抑制が高くなった。なお、実施例5〜7では吸光度が一定となり、虫歯菌抑制が高い状態で安定した。この結果は、フッ素フィラーの配合比が曲げ強さと虫歯菌抑制の両方に影響を及ぼすことを示しており、フッ素フィラーの配合比を調整することで、物性と虫歯菌抑制とを両立した材料の開発が可能であることが分かった。表1の結果を総合的に考慮すると、複合金属酸化物フィラーとフッ素フィラーとの配合比率が7:3〜5:5で曲げ強さと、虫歯菌抑制が共に優れた高い値を示すため、実施例3〜5の組成が特に好ましい。また、実施例3の組成で成形した歯科切削加工複合レジン材料をCAD/CAM装置でクラウンに切削加工したところ、加工性に優れ、かつ表面の研磨が容易で十分な光沢が得られた。
比較例1は、フッ素フィラーを含まないため、虫歯菌を抑制せず、比較例2はフッ素フィラーを含むため虫歯菌を抑制するが、曲げ強さが低下した。
比較例3の既存の市販品では、実施例と同等の高い曲げ強さ(235MPa)を示したが、フッ素フィラーを含まないため、虫歯菌の抑制をせず、しかも研磨後の光沢も十分でなかった。比較例3の市販品の研磨の際には、本評価で用いたアルミナ含有の研磨材ではなく、ダイヤモンド含有の専用研磨材が指定されている。これは、比較例3に含まれている無機フィラーが、実施例に含まれている無機フィラーよりも硬いため、アルミナ含有の研磨材では十分な光沢が得られなかったと推察される。
実施例8〜11及び比較例4及び5の歯科切削加工用複合レジン材料について、A成分、B成分、C成分及びD成分の配合比率、並びに曲げ強さ、研磨後の光沢性及び虫歯菌抑制の評価結果を表2に示した。
Figure 0006739809

(評価結果)
表2に示す結果から、実施例8〜11では、曲げ強さは比較例4とは同程度であるが、表面の光沢性は良好であり、虫歯菌抑制が有ることが確認された。表1の実施例1〜7と比べて曲げ強さが低い原因は、光重合後に加熱処理を行っていないためである。歯科充填用コンポジットレジンとして使用する場合は、歯科医師が歯の窩洞部に材料を直接充填し、光照射によって重合硬化するため、臨床での使用方法を想定して実施例8では加熱処理を行わなかった。しかし、特許文献2の光重合性組成物においても、実施例の曲げ強さは150〜186MPaであり、実施例8〜11の曲げ強さの176〜192MPaは、十分な強度と考えられる。実施例9では、フィラーの表面処理剤をγ-MPTSから8−MOTSに代えることで、実施例8と比べてフィラー含有率は高くなったが、曲げ強さは向上しなかった。実施例10及び11において、超微粒子フィラーとして2種類添加することで、複合金属酸化物フィラー含有率がさらに高くなり、それに伴い曲げ強さも向上した。実施例8〜11の曲げ強さは、優れた機械的強度を有することが知られている市販品の比較例4と同等であり、フッ化物イオン徐放性を有する比較例5よりも高かった。
また、実施例8〜11の歯科切削加工用複合レジン材料を、間接修復用の歯科補綴材料(歯冠用硬質レジン等)として歯科技工士が使用する場合は、口腔外で形成するため光重合後に加熱処理を行うことも可能である。そこで、実施例8の歯科切削加工用複合レジン材料について、光重合後に追加で加熱処理(150℃、1時間)を行った場合、曲げ強さが226MPaまで向上することが確認された。
比較例4の市販品も同様に光重合後に加熱処理をすれば、220MPa以上の高い曲げ強さを得られることが知られているが、比較例3と同様に、強度は高いが虫歯菌抑制が無く、アルミナ含有の研磨材では、研磨後に十分な光沢度は得られなかった。
比較例5の市販品は、フッ化物イオンを含むイオン徐放性があることを製品の特徴の一つとしており、虫歯菌抑制が認められた。
[フッ化物イオン徐放量の評価]
表1の結果より、曲げ強さと虫歯菌抑制のバランスが最も良い歯科切削加工用複合レジン材料であった実施例3についてのフッ化物イオン徐放量を測定した。また、歯科切削加工用複合レジン材料として実施例8についても評価した。
[フッ化物イオンの測定方法]
実施例3及び8の歯科切削加工用複合レジン材料を用いて、直径15mm及び厚さ0.8mmの試験片を虫歯菌抑制試験と同様の方法で作製した。その表面を耐水研磨紙(P2000)で表面を研磨し、直径15mm、厚さ0.75mmのフッ化物イオン測定用試験片とした。試験片を蒸留水中に浸漬後、表3に記載の各期間におけるフッ化物イオン濃度を測定した。試験片は各3枚作製し、それぞれ測定し、その平均値を示した。
表3には、実施例3及び8の歯科切削加工用複合レジン材料を各浸漬期間におけるフッ化物イオン徐放量の累積値を示した。
Figure 0006739809
(評価結果)
その結果、表3に示すように、浸漬1日後に最もフッ化物イオンが徐放され、その後、徐放量は減少するが、6ヶ月後まで安定的な徐放が確認された。実施例8のフッ化物イオンの徐放量は、実施例3に比べて、初期及び長期間の徐放の累計ともに約2倍であった。これは、実施例3に比べて、実施例8の方がフッ素フィラーを多く含有することと、硬化条件の違いが影響していると考察される。

Claims (10)

  1. (A)SiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する複合金属酸化物フィラー、
    (B)フッ化物を含有する無機フィラー、
    (C)平均粒子径0.1μm以下の超微粒子SiO2フィラー、及び
    (D)(メタ)アクリレート系重合性モノマーを
    含有する歯科用組成物であって、
    該(A)複合金属酸化物フィラーが21〜37.5重量%であり、かつ
    該(B)フッ化物を含有する無機フィラーが35〜50重量%であ
    曲げ強さが176〜220MPaであり、
    虫歯菌抑制試験後の450nmにおける吸光度が0.12〜0.18であり、かつ、
    研磨後の光沢度(JIS Z 8741)が71〜75である、
    前記歯科用組成物。
  2. 前記(A)複合金属酸化物フィラーが、平均粒子径0.1〜0.9μmの一次粒子を焼結により部分的に結合させた平均粒子径が2〜8μmの二次粒子であるフィラーである、請求項1に記載の歯科用組成物。
  3. 前記(B)フッ化物を含有する無機フィラーが、平均粒子径0.1〜1μmの無機フィラーである、請求項1又は2に記載の歯科用組成物。
  4. 前記(A)複合金属酸化物フィラーと、前記(B)フッ化物を含有する無機フィラーとの配合比率が、(A):(B)=5:5〜3:7である、請求項1〜3の何れか一項に記載の歯科用組成物。
  5. さらに、光重合開始剤を含有する、請求項1〜4の何れか一項に記載の歯科用組成物。
  6. フッ素徐放性を有する請求項1〜の何れか一項に記載の歯科用組成物。
  7. う蝕原性細菌を抑制できる、請求項1〜の何れか一項に記載の歯科用組成物。
  8. 請求項1〜の何れか一項に記載の歯科用組成物を重合硬化した歯科切削加工用複合レジン材料。
  9. (A)SiO2、ZrO2及びAl2O3を含有する複合金属酸化物フィラー、
    (B)フッ化物を含有する無機フィラー、
    (C)平均粒子径0.1μm以下の超微粒子SiO2フィラー、及び
    (D)(メタ)アクリレート系重合性モノマーを混合する工程を含む、
    請求項1〜の何れか一項に記載の歯科用組成物を製造する方法。
  10. 請求項1〜の何れか一項に記載の歯科用組成物を重合硬化させる工程、及び、
    得られた複合レジン材料を、アルミナを含む研磨材で研磨する工程、
    を含む、歯科切削加工用複合レジン材料の作製方法。
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