JP2019507139A - 重合性樹脂と充填剤との間に屈折率差をもたらすナノ粒子を含む歯科用組成物 - Google Patents

重合性樹脂と充填剤との間に屈折率差をもたらすナノ粒子を含む歯科用組成物 Download PDF

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Abstract

歯科用組成物及び歯科用組成物を配合する方法が記載されている。一実施形態においては、歯科用組成物は、1種以上のエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー、及びナノ粒子を含む、重合性樹脂を含む。ナノ粒子は、少なくとも1.600の屈折率及び100nm以下の離散粒子又は凝集体の平均粒径を有する。歯科用組成物は、少なくとも200nmの離散粒子又は凝集体の平均粒径を有する無機金属酸化物充填剤を更に含む。ナノ粒子は、硬化した重合性樹脂と無機金属酸化物充填剤との間に屈折率差をもたらす濃度で存在し、それにより歯科用組成物のコントラスト比は少なくとも40である。

Description

歯科用組成物は、典型的には、所望される不透明度(例えば、コントラスト比)及び美的シェードを得るために、顔料を含む。顔料、特にチタニアの包含は硬化深度の妨げとなり得ることが分かっている。様々な歯科用固化性組成物について記載されているが、業界は、高いコントラスト比と組み合わせた高い硬化深度などの改善された特性を有する組成物に利点を見出すであろう。
一実施形態においては、1種以上のエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー、及びナノ粒子を含む重合性樹脂を含む、歯科用組成物について記載される。ナノ粒子は、少なくとも1.600の屈折率及び100nm以下の離散粒子又は凝集体の平均粒径を有する。歯科用組成物は、少なくとも200nmの離散粒子又は凝集体の平均粒径を有する無機金属酸化物充填剤を更に含む。ナノ粒子は、ナノ粒子を含む硬化した重合性樹脂と無機金属酸化物充填剤との間に屈折率差(refractive index differential)をもたらす濃度で存在し、それにより歯科用組成物のコントラスト比は少なくとも40である。
好ましい実施形態においては、屈折率差は、コントラスト比を最大にしながらも、少なくとも3.5mmの硬化深度をもたらすようにバランスを取られる。
別の実施形態においては、1種以上のエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーを含み、ビスフェノール由来モノマーを実質的に含まない重合性樹脂を含む、歯科用組成物について記載される。重合性樹脂は、先に記載されているように、高屈折率ナノ粒子を更に含む。重合性樹脂及びナノ粒子の構成成分の濃度は、ナノ粒子を含む硬化した重合性樹脂が、(例えば、無機金属酸化物)充填剤と少なくとも0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、又は0.010異なる屈折率を有するように選択される。
別の実施形態においては、少なくとも1種のビスフェノール由来モノマー及び高屈折率ナノ粒子(直前に記載した通り)を含む重合性樹脂を含む、歯科用組成物について記載される。重合性樹脂及びナノ粒子の構成成分の濃度は、ナノ粒子を含む硬化した重合性樹脂が、(例えば、無機金属酸化物)充填剤と少なくとも0.010、0.011、0.012、0.013、0.014、又は0.015異なる屈折率を有するように選択される。
歯表面を処理する方法、歯科用物品、及び歯科用組成物を製造する方法についても記載される。
本明細書に記載される(固化性)歯科用組成物は、重合性樹脂と、(例えば、無機金属酸化物)充填剤とを含む。
重合性樹脂は、典型的には、化学線(例えば、光)に対する曝露によって硬化可能であるため、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーを含む。歯科用コンポジットなどの典型的な実施形態においては、重合性樹脂は、少なくとも1種の多官能性エチレン性不飽和モノマーを含む。「多官能性エチレン性不飽和」という語句は、モノマーがそれぞれ少なくとも2個のエチレン性不飽和(例えば、フリーラジカル)重合性基を含むことを意味する。エチレン性不飽和基は、典型的には、(例えば、末端)フリーラジカル重合性基であり、(メタ)アクリル、例えば(メタ)アクリルアミド(HC=CHCON−及びHC=CH(CH)CON−)並びに(メタ)アクリレート(CHCHCOO−及びCHC(CH)COO−)などが挙げられる。他のエチレン性不飽和重合性基としては、ビニルエーテル(HC=CHO−)などのビニル(HC=C−)が挙げられる。エチレン性不飽和末端重合性基は、特に化学線(例えば、UV又は青色光)に対する曝露によって固化される組成物の場合、(メタ)アクリレート基であることが好ましい。更に、メタクリレート官能基は、典型的には、歯科用硬化性組成物において、アクリレート官能基よりも好ましい。
歯科用組成物において使用するための様々なエチレン性不飽和(例えば、(メタ)アクリレート)モノマーが当該技術分野において公知であり、そのうちのいくつかについて後に説明する。
重合性樹脂は、(例えば、無機金属酸化物)ナノ粒子を更に含む。このようなナノ粒子、又は換言すれば「ナノスコピック充填剤」は、粘度及びチクソトロピー調節剤として使用することができる。このようなナノ粒子はまた、歯科用固化性組成物の機械的特性に対しても部分的に寄与し得る。このようなナノ粒子はまた、それらのサイズにより、重合性樹脂の屈折率に対しても寄与する。
一部の実施形態においては、無機酸化物ナノ粒子は、100nm以下の一次粒径を有する。一次粒径は、典型的には、非凝集体の離散粒子のサイズを指す。他のより一般性が低い実施形態においては、ナノ粒子は、2個以上の(例えば、溶融又は共有)結合した粒子の凝集体である場合もあり、この凝集体は100nm以下の粒径を有する。平均粒径は、固化した歯科用組成物の薄片試料を切断し、倍率300,000の透過型電子顕微鏡写真を使用して約50〜100個の粒子の粒子径を測定し、平均を計算することによって決定することができる。ナノ粒子は、単峰性又は多峰性(例えば、二峰性)の粒径分布を有し得る。一部の実施形態においては、(例えば、ジルコニア)ナノ粒子は、少なくとも約2、3、4、又は5ナノメートル(nm)の平均粒径を有する。一部の実施形態においては、(例えば、ジルコニア)ナノ粒子は、約50、40、30、25、15、又は10ナノメートル(nm)以下の平均粒径を有する。
好ましい実施形態においては、歯科用組成物は、比較的高い屈折率を有する(例えば、無機金属酸化物)ナノ粒子を含む。ナノ粒子の屈折率は、典型的には、重合性樹脂の個別の有機構成成分(例えば、(メタ)アクリレートモノマー等)の屈折率だけでなく、有機構成成分の混合物の屈折率よりも大きい。したがって、高屈折率ナノ粒子の包含は、重合性樹脂の屈折率を上昇させ得る。典型的な実施形態においては、高屈折率ナノ粒子は、少なくとも1.60、1.65、1.70、1.75、1.80、1.85、1.80、1.85、又は2.00の屈折率を有する。典型的な高屈折率無機金属酸化物ナノ粒子としては、1.766の屈折率を有するアルミナ、2.208の屈折率を有するジルコニア、及び2.614の屈折率を有するチタニアが挙げられる。一部の実施形態においては、ナノ粒子は、単一の無機酸化物を含み得、この無機酸化物は更に、他の金属酸化物などの他の材料を少量含む。例えば、一部の実施形態においては、ナノ粒子は、ジルコニアと、約5重量%以下の、イットリアなどの他の金属酸化物とを含む。他の実施形態においては、ナノ粒子は、ジルコニアとシリカとの混合金属酸化物などの、認識可能な量の、2種以上の金属酸化物を含む。一部の実施形態においては、無機金属酸化物ナノ粒子は、ジルコニアの場合など、2.4又は2.3以下の屈折率を有する。
歯科用組成物は、任意に、比較的低い屈折率を有する(例えば、無機金属酸化物)ナノ粒子、例えばシリカなどを更に含む。低屈折率ナノ粒子の包含は、重合性樹脂の屈折率を低減させ得る。好適なシリカナノ粒子は、Ecolab(St.Paul,MN)からNALCO COLLOIDAL SILICASの商品名で市販されている。例えば、好ましいシリカ粒子は、NALCO製品1034A、1040、1042、1050、1060、2327、及び2329を使用することで得ることができる。
シリカナノ粒子は、好ましくは、シリカの水性コロイド分散体(すなわち、ゾル又はアクアゾル)から製造される。コロイドシリカは、典型的には、シリカゾル中に約1〜50重量パーセントの濃度で存在する。異なるコロイドサイズを有する、使用することができるコロイドシリカゾルが市販されており、Surface & Colloid Science,Vol.6,ed.Matijevic,E.,Wiley Interscience,1973を参照されたい。充填剤の製造における使用にとって好ましいシリカゾルは、水性媒体中の非晶質シリカの分散体(例えば、Ecolab製のNalcoコロイドシリカなど)、及びナトリウム濃度が低く、好適な酸との混和によって酸性化することができるもの(例えば、E.I.Dupont de Nemours & Co.製のLudoxコロイドシリカ、又はEcolab製のNalco 2326)として供給されている。
一部の実施形態においては、歯科用組成物は、少なくとも0.5、1、1.5、又は2重量%の低屈折率(例えば、シリカ)ナノ粒子を含む。低屈折率(例えば、シリカ)ナノ粒子の量は、典型的には、歯科用組成物の30、25、20、15、又は5重量%以下である。他の実施形態においては、歯科用組成物は、1、0.5、0.25、0.1、若しくは0.005重量%未満の低屈折率(例えば、シリカ)ナノ粒子を含むか、又は低屈折率(例えば、シリカ)ナノ粒子を実質的に含まない。
低屈折率(例えば、シリカ)ナノ粒子が歯科用組成物に含まれている場合、低屈折率(例えば、シリカ)ナノ粒子の濃度は、概して、高屈折率(例えば、ジルコニア)ナノ粒子の濃度未満である。したがって、高屈折率(例えば、ジルコニア)ナノ粒子の重量又は体積濃度は、典型的には、低屈折率(例えば、シリカ)ナノ粒子の重量又は体積濃度よりも大きい。一部の実施形態においては、高屈折率(例えば、ジルコニア)ナノ粒子の、低屈折率(例えば、シリカ)ナノ粒子に対する重量比又は体積比は、少なくとも1.1対1、1.2対1、1.3対1、1.4対1、1.5対1、1.6対1、1.7対1、1.8対1、1.9対1、又は2対1である。一部の実施形態においては、高屈折率(例えば、ジルコニア)ナノ粒子の、低屈折率(例えば、シリカ)ナノ粒子に対する重量比又は体積比は、少なくとも2.1対1、2.2対1、2.3対1、又は2.4対1である。一部の実施形態においては、高屈折率(例えば、ジルコニア)ナノ粒子の、低屈折率(例えば、シリカ)ナノ粒子に対する重量比又は体積比は、100対1、75対1、50対1、25対1、10対1、又は5対1以下である。
いくつかの好適な低屈折率(例えば、シリカ)ナノ粒子及び高屈折率(例えば、ジルコニア)ナノ粒子については、米国特許第6,387,981号(Zhangら)及び同第6,572,693号(Wuら)、並びにPCT国際公開第WO 01/30304号(Zhangら)、同第WO 01/30305号(Zhangら)、同第WO 01/30307号(Zhangら)、同第WO 03/063804号(Wuら)、米国特許第7,090,721号(Craigら)、同第7,090,722号(Buddら)、同第7,156,911号(Kangasら)、米国特許第7,241,437号(Davidsonら)、及び米国特許第7,649,029号(Kolbら)に開示されている。
本明細書に記載される歯科用組成物は、認識可能な量の無機金属酸化物充填剤を含むことが好ましい。歯科用途において使用される充填剤の性質は、典型的には、セラミックである。
充填剤は、例えば歯科用コンポジット及び歯科用物品(例えば、クラウン)などにおいて現在使用されている充填剤などの、歯科用途のために使用される組成物への組み込みにとって好適な広範な材料のうちの1種以上から選択することができる。充填剤は、概して、無毒性であり、口腔内での使用にとって好適である。充填剤は、放射線不透過性、放射線透過性、又は非放射線不透過性であり得る。一部の実施形態においては、充填剤は、典型的には、少なくとも1.500、1.510、1.520、1.530、又は1.540の屈折率を有する。
放射線不透過性を増加させるために、YbFなどの構成成分を最大約5重量%まで含むことが一般的である。一部の実施形態においては、硬化した歯科用組成物の放射線不透過性は、厚さ少なくとも3mmのアルミニウムである。
充填剤の性質は、粒子状又は繊維状のいずれかであり得る。粒子状充填剤は、概して、20:1以下、より一般的には10:1以下の長さ対幅の比又はアスペクト比を有するものとして定義され得る。繊維は、20:1超、又はより一般的には100:1超のアスペクト比を有するものとして定義され得る。粒子の形状は、球形から楕円形、又はより平面的なもの、例えばフレーク若しくはディスクなどの範囲にわたって多様であり得る。巨視的特性は、充填剤粒子の形状、特に形状の均一性に対して高度に依存し得る。
本明細書に記載される歯科用組成物は、ナノ粒子よりもサイズが大きい無機金属酸化物充填剤材料を含む。先に記載されているように、ナノ粒子は、典型的には、100nm以下の粒径を有する、非凝集体の離散粒子である。対照的に、無機金属酸化物充填剤は、100nm超、例えば少なくとも150nm又は少なくとも200nmなどの少なくとも1つの寸法を有する、粒子状又は繊維状材料である。粒子状充填剤の場合、非凝集体の離散粒子又は凝集粒子の平均粒径は、少なくとも200nmである。無機金属酸化物充填剤は、硬化後の摩耗特性の改善にとって非常に有効である。
一部の実施形態においては、硬化した歯科用組成物は、少なくとも120、130、又は140MPa、かつ典型的には200MPa又は250MPa以下の曲げ強さを呈する。一部の実施形態においては、硬化した歯科用組成物は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、又は10GPa、かつ典型的には15又は20GPa以下の曲げ弾性率を呈する。
一部の実施形態においては、充填剤は、重合性樹脂に不溶性である架橋済み有機材料を含んでもよく、任意に無機充填剤で充填されてもよい。好適な有機充填剤粒子の例としては、充填又は非充填粉砕ポリカーボネート、ポリエポキシド、ポリ(メタ)アクリレート、及び同類のものが挙げられる。
一部の実施形態においては、本明細書に記載される歯科用組成物は、酸反応性充填剤を含むが、ただし、歯科用組成物は、酸反応性充填剤と認識可能な程度に反応するカルボキシレートなどの構成成分を含まない。酸反応性金属酸化物充填剤としては、例えば、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛が挙げられる。酸反応性ガラスとしては、ホウ酸ガラス、リン酸ガラス、及びフルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラスが挙げられる。しかしながら、典型的な実施形態においては、歯科用組成物は、非酸反応性充填剤を含み、歯科用組成物は、酸反応性充填剤を実質的に含まない(1、0.5、0.25、0.1、又は0.005重量%未満)。
一部の実施形態においては、本明細書に記載される歯科用組成物は、石英、ヒュームドシリカ、米国特許第4,503,169号(Randklev)に記載されている種類の非ガラス質微粒子などの非酸反応性充填剤、並びにナノクラスター充填剤(nanocluster filler)、例えば米国特許第6,730,156号(Windischら)、米国特許第6,572,693号(Wuら)、及び米国特許第8,722,759号(Craig)に記載されているものなどを含む。
一部の実施形態においては、充填剤は、ナノクラスター、すなわち、固化性樹脂中に分散された場合でも、比較的弱いものの粒子を凝集させるのに十分な分子間力によって結びついた2個以上の粒子の群の形態である、ナノ粒子を含む。好ましいナノクラスターは、非重金属酸化物(例えば、シリカ)粒子及びジルコニアなどの重金属酸化物(すなわち、28よりも大きい原子番号を有する)の、軽度に凝集した、実質的に非晶質のクラスターを含み得る。ジルコニアは、結晶質であっても非晶質であってもよい。一部の実施形態においては、ジルコニアは、粒子として存在してもよい。ナノクラスターを形成する粒子は、約100nm未満の平均直径を有することが好ましい。しかしながら、軽度に凝集したナノクラスターの平均粒径は、典型的には、相当大きくなる。
充填剤の混合物も使用することができる。充填剤の混合物が使用される場合、十分な量の充填剤が、ナノ粒子を含む硬化した重合性樹脂と異なる屈折率を有して、本明細書に記載されるようなコントラスト比をもたらす。一部の実施形態においては、充填剤の混合物全体の少なくとも40、50、60、70、80、90重量%以上が、ナノ粒子を含む硬化した重合性樹脂と異なる屈折率を有する充填剤である。したがって、充填剤の一部は、硬化した重合性樹脂と同じ、又はより類似した屈折率を有する充填剤であり得る。
一部の実施形態においては、本明細書に記載される歯科用組成物は、本組成物の総重量に基づいて、少なくとも60、61、62、63、64、又は65重量%のナノクラスター充填剤を含む。ナノクラスター充填剤の最大量は、典型的には、75%又は80%以下である。一部の実施形態においては、無機金属酸化物材料(すなわち、ナノ粒子及び充填剤)の総量は、少なくとも70、71、72、73、74、又は75重量%である。無機金属酸化物材料(すなわち、ナノ粒子及び充填剤)の最大量は、典型的には、80%又は85%以下である。
一部の実施形態においては、(例えば、ナノクラスター)充填剤粒子は、重合性樹脂の有機相よりも高い屈折率を有する。例えば、(例えば、ナノクラスター)充填剤粒子は、少なくとも1.530、1.535、又は1.540の屈折率を有してもよく、一方で、重合性樹脂の有機相(すなわち、ナノ粒子が存在しない)は、1.500、1.505、1.510、1.515、1.520、1.525の屈折率を有する。
充填剤のサイズに起因して、充填剤は、重合性樹脂の屈折率を上昇させない。むしろ、屈折率に関しては、充填剤は分離相として作用する。
一部の実施形態においては、歯科用組成物は、硬化した重合性樹脂(すなわち、ナノ粒子を含む)と無機金属酸化物充填剤との間に屈折率差をもたらすのに十分な量の高屈折率(例えば、ジルコニア)ナノ粒子を含み、それによりコントラスト比は少なくとも40、41、42、43、44、又は45である。
高屈折率(例えば、ジルコニア)ナノ粒子の濃度が高くなるにつれて、ナノ粒子を含む硬化した重合性樹脂と充填剤との間の屈折率差は大きくなり、それによって、コントラスト比(不透明度)が高くなり得る。しかしながら、(例えば、チタニア)顔料粒子が存在しない場合であっても、コントラスト比(例えば、不透明度)が高くなると、硬化深度は減少する。したがって、重合性樹脂及びナノ粒子の構成成分の濃度は、コントラスト比及び硬化深度の相乗的バランスをもたらすように選択される。一部の実施形態においては、屈折率差及びコントラスト比は、少なくとも3.5mm又は4mmの硬化深度に対して最大化される。
少なくとも40のコントラスト比をもたらし得る屈折率差は、重合性樹脂の組成に応じて多様であり得る。典型的な実施形態においては、屈折率差は、少なくとも0.005、0.006、0.007、0.008、0.009であり、一部の実施形態においては、(例えば、チタニア)顔料が存在しない場合であっても、少なくとも0.010、0.011、0.012、又は0.013である。
一部の実施形態においては、ビスフェノール由来モノマーをほとんど又はまったく含まない歯科用組成物の場合など、屈折率差は、0.025、0.024、0.023、0.021、又は0.020以下であってもよい。他の実施形態においては、認識可能な量のビスフェノール由来モノマーを含む歯科用組成物の場合など、屈折率差は、0.055、0.054、0.053、0.052、0.051、0.050、0.049、0.048、0.047、0.046、又は0.045以下であってもよい。差が大き過ぎると、(例えば、チタニア)顔料が存在しない場合であっても、硬化深度は、不利なことに、3.5mm(又は、換言すると、ISO 4049規格に準拠すれば4mm)未満であり得る。
一部の実施形態においては、ナノ粒子を含む未硬化の重合性樹脂の屈折率は、充填剤の屈折率未満である。他の実施形態においては、ナノ粒子を含む未硬化の重合性樹脂の屈折率は、充填剤の屈折率に等しいか又はそれよりも大きい。典型的な実施形態においては、ナノ粒子を含む硬化した重合性樹脂の屈折率は、充填剤の屈折率よりも大きい。一部の実施形態においては、充填剤の屈折率は、ナノ粒子を含む未硬化の重合性樹脂と、ナノ粒子を含む硬化した重合性樹脂との間(中間点など)にある。
コントラスト比は、硬化した重合性樹脂(すなわち、ナノ粒子を含む)と無機金属酸化物充填剤との間の屈折率差によってもたらされるため、そのようなコントラスト比は、顔料が存在しない場合及び顔料濃度がより低い場合でももたらされ得る。また、顔料濃度は、重合性樹脂の組成に応じて多様であり得る。顔料粒子は、典型的には、少なくとも150nmの離散粒子又は凝集体の粒径を有する。
一部の実施形態においては、ビスフェノール由来系モノマーをほとんど又はまったく含まない歯科用組成物の場合など、歯科用組成物は、0.05、0.04、又は0.03重量%以下の顔料粒子、例えば高屈折率(例えば、チタニア)顔料粒子などを含み得る。他の実施形態においては、認識可能な量のビスフェノール由来系モノマーを含む歯科用組成物の場合など、歯科用組成物は、0.07、0.06、又は0.05重量%以下の顔料粒子、例えば高屈折率(例えば、チタニア)顔料粒子などを含み得る。
一部の実施形態においては、ビスフェノール由来系モノマーをほとんど又はまったく含まない歯科用組成物の場合など、コントラスト比は((例えば、チタニア)顔料が存在しない場合であっても)、典型的には、60、59、58、57、56、55以下である。他の実施形態においては、認識可能な量のビスフェノール由来系モノマーを含む歯科用組成物の場合など、コントラスト比は((例えば、チタニア)顔料が存在しない場合であっても)、典型的には、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、又は55以下である。
一部の実施形態においては、ビスフェノール由来系モノマーをほとんど又はまったく含まない歯科用組成物の場合など、歯科用組成物は、典型的には、少なくとも2、2.5、3、3.5、又は4重量%の高屈折率(例えば、ジルコニア)ナノ粒子を含む。高屈折率(例えば、ジルコニア)ナノ粒子の量は、典型的には、歯科用組成物の20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、又は10重量%以下である。
他の実施形態においては、認識可能な量のビスフェノール由来系モノマーを含む歯科用組成物の場合など、歯科用組成物は、典型的には、少なくとも4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10重量%の高屈折率(例えば、ジルコニア)ナノ粒子を含む。高屈折率(例えば、ジルコニア)ナノ粒子の量は、典型的には、歯科用組成物の20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、又は10重量%以下である。
直前に記載した高屈折率ナノ粒子の濃度は、ジルコニアに関して好ましい。高屈折率ナノ粒子がジルコニアよりも高い屈折率を有する場合、例えばチタニアの場合など、より低い濃度のナノ粒子が用いられることになる。更に、高屈折率ナノ粒子がジルコニアよりも低い屈折率を有する場合、例えばアルミナの場合など、より高い濃度のナノ粒子が用いられることになる。
典型的な実施形態においては、(例えば、高屈折率)無機金属酸化物ナノ粒子及び無機酸化物充填剤は、ナノ粒子及び無機酸化物充填剤と樹脂との間の結合を強化するための表面処理を含む。様々な表面処理について、当該技術分野において記載されており、例えば、米国特許第8,647,510号(Davidsonら)に記載されているものなどの有機金属カップリング剤及びカルボン酸が挙げられる。
好適な共重合性有機金属化合物は、一般式:CH=C(CHSi(OR)又はCH=C(CHC=OOASi(OR)[式中、mは0又は1であり、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、Aは二価有機連結基であり、nは1〜3である]を有し得る。有機金属カップリング剤は、アクリレート、メタクリレート、ビニル基及び同類のものなどの反応性硬化性基で官能化されてもよい。好ましいカップリング剤としては、ガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及び同類のものが挙げられる。
一部の実施形態においては、表面改質剤の組み合わせが有用である可能性があり、これらの薬剤のうちの少なくとも1種は、固化性樹脂と共重合可能である官能基を有する。固化性樹脂とは一般に反応しない他の表面改質剤が、分散性又はレオロジー特性を強化するために含まれてもよい。この種類のシランの例としては、例えば、アリールポリエーテル、アルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリール、又はアミノアルキル官能性シランが挙げられる。
表面改質は、モノマーとの混合に続いて、又は混合後のいずれかで行うことができる。典型的には、樹脂へ組み込む前に、オルガノシラン表面処理化合物をナノ粒子と組み合わせることが好ましい。表面改質剤の必要とされる量は、粒径、粒子のタイプ、改質剤の分子量、及び改質剤のタイプなどのいくつかの要因に左右される。概して、ほぼ単層の改質剤を粒子の表面に付着させることが好ましい。
構成成分の混合物の屈折率は、混合物中のそのような構成成分の体積分率を乗じた各構成成分の屈折率の和を決定することによって計算できることが公知である。等式は以下の通りである:
Figure 2019507139
式中、Nは所与の構成成分iの屈折率であり、Vは所与の構成成分iの体積分率であり、nは構成成分の数である。
当業者であれば理解するように、すべての構成成分をこの計算において利用することもできるが、通常、すべての重合性(例えば、モノマー及びオリゴマー)構成成分、並びにナノ粒子を利用すれば十分である。材料の体積は、材料の既知の質量及び密度から計算することができる。更に、混合物の屈折率が既知であり、構成成分の体積が既知である場合には、混合物中の既知の体積のある材料の未知の屈折率は、他の構成成分の屈折率が既知であるならば、同じ等式によって計算することができる。
充填剤の総体積に対する表面処理の量は、概して、表面処理の存在が充填剤の屈折率に対して無視できるほどの影響しか有しないように比較的小さい。概して、無視できるほどの影響しか有しない他の構成成分としては、開始剤及び添加剤が挙げられる。しかしながら、ナノ粒子の場合、無機金属酸化物ナノ粒子の総体積に対する表面処理の量は重要であり、計算に含まれる。
歯科用固化性組成物において一般的に利用される様々な構成成分の屈折率及び密度は、文献に報告されているか、又はそのような材料の供給業者によって提供されている。文献において報告されていない構成成分については、公知かつ確立された技法を使用して、密度及び屈折率値を測定することができる。例えば、水銀ポロシメトリーを、密度の測定のために使用することができ、屈折率は、下の実施例において説明される方法に従って測定することができる。一部の代表的構成成分の屈折率及び密度は、以下の通りである。
Figure 2019507139
これにより、計算される、ナノ粒子を含む未硬化の重合性樹脂の屈折率を計算することができる。
一部の実施形態においては、表面改質済みナノ粒子を含む未硬化の重合性樹脂の屈折率は、無機酸化物充填剤の屈折率と0.020を超える量で異なる。例えば、この差異は、少なくとも0.021、0.022、又は0.023であってもよい。他の実施形態においては、(例えば、表面改質済みナノ粒子)を含む未硬化の重合性樹脂の屈折率は、無機酸化物充填剤の屈折率と0.020以下の量で異なる。一部の実施形態においては、表面改質済みナノ粒子を含む未硬化の重合性樹脂の屈折率は、無機酸化物充填剤の屈折率と少なくとも0.015、0.016、0.017、0.018、0.019異なる。
当業者によって決定され得るように、未硬化の重合性樹脂は、概して、重合性モノマーの高密度化(収縮率)に応じて、約0.030〜約0.040の規模で、屈折率が増加する。したがって、硬化した重合性樹脂の屈折率は、計算された未硬化の重合性樹脂から近似することができ、逆もまた同様である。
一実施形態においては、歯科用組成物を配合する方法であって、重合性樹脂の1種以上のエチレン性不飽和モノマーの屈折率を準備すること、少なくとも1種の充填剤の屈折率を準備すること、重合性樹脂及び充填剤の屈折率を計算すること、重合性樹脂の屈折率をナノ粒子で調整して、硬化した歯科用組成物が少なくとも40のコントラスト比を有するような、(先に記載されているように)十分な屈折率差を得ることを含む、方法について記載される。これにより、本方法は、所望される屈折率特性、したがってコントラスト比を有する歯科用組成物を「設計」するために使用することができる。
一実施形態においては、重合性樹脂(表面改質済みナノ粒子を含む)は、硬化する前に屈折率が充填剤未満であり、硬化した後に充填剤の屈折率よりも大きくなるように設計される。理論によって束縛されることを意図するものではないが、このような重合性樹脂(表面改質済みナノ粒子を含む)は、屈折率が充填剤の屈折率に近付くにつれて、硬化中に透明度が増加することが推測される。このことが、高い硬化深度に寄与する。更に、同じ重合性樹脂(表面改質済みナノ粒子を含む)は、重合性樹脂(ナノ粒子を含む)の屈折率が充填剤の屈折率を上回るにしたがって、硬化中に透明度が減少し、コントラスト比が増加する。一部の実施形態においては、重合性樹脂(表面改質済みナノ粒子を含む)は、充填剤の屈折率が、未硬化の重合性樹脂(ナノ粒子を含む)の屈折率と、硬化した重合性樹脂の屈折率との間の中間点付近となるように設計される。
様々なエチレン性不飽和モノマーを、歯科用組成物において利用することができる。歯科用組成物のエチレン性不飽和モノマーは、典型的には、約25℃において安定な液体であり、これは、少なくとも30、60、又は90日間の典型的な貯蔵寿命の間、室温(約25℃)で保管した場合に、モノマーが、実質的に重合、結晶化、又は別様に固化しないことを意味する。モノマーの粘度は、典型的には、初期粘度の10%を超えて変化(例えば、増加)することはない。
特に、歯科修復用組成物の場合、エチレン性不飽和モノマーは、概して、少なくとも1.50の屈折率を有する。一部の実施形態においては、屈折率は、少なくとも1.51、1.52、1.53、又はそれ以上である。硫黄原子の包含及び/又は1個以上の芳香族部分の存在は、(このような置換基を含まない同じ分子量のモノマーと比較して)屈折率を上昇させ得る。
典型的な実施形態においては、重合性樹脂は、少なくとも2個のエチレン性不飽和(例えば、(メタ)アクリレート)基を含む、少なくとも1種のモノマー、例えばビスフェノール由来モノマー、(例えば、芳香族)低体積収縮樹脂(low volume shrinkage)、又はそれらの組み合わせなどを含む。
本明細書に記載される好ましい歯科用組成物は、本組成物が約2%未満のワッツ収縮率(Watts Shrinkage)を呈するように、1種以上の低体積収縮モノマーを含む。一部の実施形態においては、ワッツ収縮率は、1.90%以下、又は1.80%以下、又は1.70%以下、又は1.60%以下である。
低体積収縮モノマーとしては、米国特許第8,710,113号に記載されている化合物;例えば、国際公開第WO2011/126647号に記載されているものなどのイソシアヌレートモノマー;例えば、2010年7月2日に出願された欧州特許出願第10168240.9号に記載されているものなどのトリシクロデカンモノマー;例えば、米国特許出願公開第2008/0194722号に記載されているものなどの、少なくとも1個の環状アリルスルフィド部分を有する重合性化合物;米国特許第6,794,520号に記載されているようなメチレンジチエパンシラン;例えば、米国特許第6,284,898号に記載されているものなどのオキセタンシラン;並びに、例えば国際公開第WO2008/082881号に記載されているものなどのジ、トリ、及び/又はテトラ−(メタ)アクリロイル含有材料が挙げられ、これらはそれぞれ、参照により本明細書に援用される。
一部の好ましい実施形態においては、(例えば、無充填)重合性樹脂組成物の大部分は、1種以上の低体積収縮モノマーを含む。例えば、(例えば、無充填)重合性樹脂のうちの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上が、低体積収縮モノマーを含み得る。
一実施形態においては、本明細書に記載される歯科用組成物は、米国特許第8,710,113号に記載されているような低体積収縮モノマーを含む。そのようなモノマーは、6〜20個の炭素原子を有する単一の骨格ユニット(U)であって、それらのうちの少なくとも6個の炭素原子が芳香族環状部分又は脂肪族環状部分を形成し、残りの炭素原子が環状部分から懸垂する置換基の一部であるか、又はスペーサーユニットに対する架橋基の一部であるかのいずれかであり、残りの炭素原子のうちの1個以上が酸素原子によって置き換えられてもよい、骨格ユニット(U)を含有する。この骨格ユニットは、典型的には、ビスフェノール構造を含まず、好ましくは、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br)を含まない。
モノマーは、エーテル結合を介して骨格ユニット(U)に接続されている1個又は2個のユニット(S)であって、少なくとも1つのスペーサーユニット(S)が、−CH2−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH(Q)−OG鎖若しくは−CH2−CH(OG)−CH2−OM残基、又はこれら2種類のスペーサーの混合物を、1つのスペーサーユニット内に含む、ユニット(S)を更に含む[式中、Gはウレタン部分を介してスペーサーユニット(S)に結合し、それぞれのG基は少なくとも1個の重合性部分を含み、Mはアクリロイル、メタクリロイル、アリール、それらの混合物及び組み合わせから選択される少なくとも1個の基を含み、Qは水素、メチル、フェニル、フェノキシメチル、それらの混合物及び組み合わせから選択される少なくとも1個の基を含む]。このような化合物には、少なくとも2個のG基が存在する。更に、ユニット(S)が1個しか存在しない場合、G基はこのユニット(S)の一部ではなく、ユニット(U)から懸垂する置換基に位置し、ユニット(U)は、G基をそれぞれ有する2個の置換基を有する。
一部の実施形態においては、骨格ユニット(U)は、以下から選択される部分を含み得る:
Figure 2019507139
重合性部分Gは、以下から選択される部分:
Figure 2019507139
及びこれらの組み合わせを含み得る。
様々な代表的構造が、米国特許第8,870,113号に記載されている。そのような化合物のうちの1つは以下の通りである:
Figure 2019507139
式中、Q=水素、メチル、フェニル、又はフェノキシメチルであり、
a、b、c、及びd=0〜3であり、
(a+b)=1〜6であり、
(c+d)=1〜6である。
別の化合物は以下の通りであり、式中、U及びGは上に定義した通りである。
Figure 2019507139
代表的化合物の1つは、以下の通りである:
Figure 2019507139
低収縮モノマーの連結基は、典型的には、モノマーが25℃で安定な液体であるように、分子量が十分に低い。しかしながら、連結基は、典型的には、例えば、芳香環に(メタ)アクリレート基を連結させる、歯科用組成物において利用される一般的モノマーである2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(「BisGMA」)の酸素原子よりも分子量が高い。記載されるモノマーの連結基の分子量は、典型的には、少なくとも50g/モル又は100g/モルである。一部の実施形態においては、連結基の分子量は、少なくとも150g/モルである。連結基の分子量は、典型的には、約500g/モル以下である。一部の実施形態においては、連結基の分子量は、400g/モル又は300g/モル以下である。
一部の実施形態においては、低収縮モノマーの(すなわち、計算)分子量は、典型的には、2000g/モル以下である。一部の実施形態においては、モノマーの分子量は、約1500g/モル、又は1200g/モル、又は1000g/モル以下である。モノマーの分子量は、典型的には、少なくとも600g/モルである。
25℃において固体を形成することなく分子量を増加させることは、様々な合成アプローチによって達成することができる。一部の実施形態においては、モノマーは、1個以上のペンダント(例えば、重合性)置換基を有する。他の実施形態においては、モノマーは、少なくとも1個の脂肪族環状部分を含み、かつ/又は1個以上の芳香族部分を含む。
多官能性低収縮モノマーは、約25℃において(例えば、高度に)粘稠な液体であるものの、流動性である。粘度は、2010年7月2日に出願された欧州特許出願第10168240.9号に記載されているようなHaake RotoVisco RV1デバイスで測定することができる場合、典型的には、少なくとも300、又は400、又は500Pasかつ10,000Pas以下である。一部の実施形態においては、粘度は、5000又は2500Pas以下である。
一部の実施形態においては、歯科用組成物は、少なくとも5重量%、10重量%、又は15重量%かつ典型的には30重量%、25重量%、又は20重量%以下の低体積収縮モノマーを含む。低体積収縮モノマーの混合物は改善することができ、そのうちのいくつかは、参照により本明細書に援用される、国際公開第WO 2012/112350号に例示されている。
他の実施形態においては、重合性樹脂は、ビスフェノール由来モノマー、例えばエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(BisEMA6)、ビスフェノールAジグリシジルジメタクリレート(bisGMA)、及びそれらの混合物を含む。この実施形態においては、歯科用組成物は、少なくとも5重量%、10重量%、又は15重量%かつ典型的には30重量%、25重量%、又は20重量%以下のビスフェノール由来モノマーを含む。
一部の実施形態においては、歯科用組成物は、低粘度の反応性(すなわち、重合性)希釈剤を更に含む。反応性希釈剤は、典型的には、2010年7月2日に出願された欧州特許出願第10168240.9号に記載されているようなHaake RotoVisco RV1デバイスで測定することができる場合、300Pas以下、かつ好ましくは100Pas、又は50Pas、又は10Pas以下の粘度を有する。一部の実施形態においては、反応性希釈剤は、1又は0.5Pas以下の粘度を有する。反応性希釈剤は、典型的には、600g/モル、又は550g/mol、又は500g/モル未満の分子量を有し、分子量が比較的低い。反応性希釈剤は、典型的には、モノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレートモノマーの場合など、1個又は2個のエチレン性不飽和基を含む。
一部の代表的反応性希釈剤としては、1,12−ドデカンジオールジメタクリレート(DDDMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、グリセロールジメタクリレート(GDMA)、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(NPGDMA)、及びポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA)が挙げられる。
反応性希釈剤の様々な混合物を利用することができる。一部の実施形態においては、歯科用組成物は、少なくとも0.5、1、又は2重量%の反応性希釈剤を含む。典型的には、反応性希釈剤の濃度は、歯科用組成物全体の10、9、8、又は7重量%以下である。
一部の実施形態においては、歯科用組成物は、少なくとも1種の付加開裂剤を含む。この付加開裂剤は、少なくとも1個のエチレン性不飽和末端基と、α,β−不飽和カルボニルを含む骨格ユニットとを含む。付加開裂剤は、フリーラジカルにより切断可能である。
付加開裂剤は、好ましくは、以下の式のものである:
Figure 2019507139
[式中、
、R、及びRは、それぞれ独立して、Z−Q−、(ヘテロ)アルキル基、又は(ヘテロ)アリール基であるが、ただし、R、R、及びRのうちの少なくとも1つはZ−Q−であり、
Qは、m+1の価数を有する連結基であり、
Zは、エチレン性不飽和重合性基であり、
mは、1〜6、好ましくは1〜2であり、
それぞれのXは、独立して、−O−又は−NR−であり、ここで、Rは、H又はC〜Cアルキルであり、かつ
nは、0又は1である]。
式Iによる付加開裂剤は、参照により本明細書に援用される、米国特許第9,056,043号に記載されている。
好ましい実施形態においては、付加開裂材料(「AFM」)は、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーを含む歯科用組成物に添加される。理論によって束縛されることを意図するものではないが、このような付加開裂材料の包含は、PCT公開第WO2012/112304号に記載されている機構などによって、重合によって誘導される応力を低減することが推測される。AFMが多官能性であり、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含む(例えば、式IにおいてZが2以上である)実施形態では、この材料は架橋剤として機能し得、その場合、架橋は不安定である。
モノマーのエチレン性不飽和部分Zとしては、限定されるものではないが、(メタ)アクリロイル、ビニル、スチレン、及びエチニルを含む、以下の構造を挙げることができ、これらについては、下で化合物の調製について参照しながらより完全に記載する。
Figure 2019507139
式中、Rは、H又はC〜Cアルキルである。
一部の実施形態においては、Qは、−O−、−S−、−NR−、−SO−、−PO−、−CO−、−OCO−、−R−、−NR−CO−NR−、NR−CO−O−、NR−CO−NR−CO−O−R−、−CO−NR−R−、−R−CO−O−R−、−O−R−、−S−R−、−NR−R−、−SO−R−、−PO−R−、−CO−R−、−OCO−R−、−NR−CO−R−、NR−R−CO−O−、及びNR−CO−NR−から選択される[式中、それぞれのRは、水素、C〜Cアルキル基、又はアリール基であり、それぞれのRは、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基、5〜10個の炭素原子を有する5若しくは6員シクロアルキレン基、又は6〜16個の炭素原子を有する二価アリーレン基であるが、ただし、Q−Zはペルオキシド結合を含有しない]。
一部の実施形態においては、Qは、式−C2r−(式中、rは1〜10である)などのアルキレンである。他の実施形態においては、Qは、−CH−CH(OH)−CH−などのヒドロキシル置換アルキレンである。一部の実施形態においては、Qは、アリールオキシ置換アルキレンである。一部の実施形態においては、Rは、アルコキシ置換アルキレンである。
−X−基(及び任意にR−X−基)は、典型的には、HC=C(CH)C(O)−O−CH−CH(OH)−CH−O−、HC=C(CH)C(O)−O−CH−CH(O−(O)C(CH)=CH)−CH−O−、HC=C(CH)C(O)−O−CH(CHOPh)−CH−O−、HC=C(CH)C(O)−O−CHCH−N(H)−C(O)−O−CH(CHOPh)−CH−O−、HC=C(CH)C(O)−O−CH−CH(O−(O)C−N(H)−CHCH−O−(O)C(CH)C=CH)−CH−O−、HC=C(H)C(O)−O−(CH−O−CH−CH(OH)−CH−O−、HC=C(CH)C(O)−O−CH−CH(O−(O)C−N(H)−CHCH−O−(O)C(CH)C=CH)−CH−O−、CH−(CH−CH(O−(O)C−N(H)−CHCH−O−(O)C(CH)C=CH)−CH−O−、HC=C(H)C(O)−O−(CH−O−CH−CH(−O−(O)C(H)=CH)−CH−O−、及びHC=C(H)C(O)−O−CH−CH(OH)−CH−O−、HC=C(H)C(O)−O−(CH−O−CH−CH(−O−(O)C(H)=CH)−CH−O−、並びにCH−(CH−CH(O−(O)C−N(H)−CHCH−O−(O)C(CH)C=CH)−CH−O−から選択される。
付加開裂剤は、単一のモノマー、又は2種以上の付加開裂剤のブレンドを含んでもよい。充填固化性(すなわち、重合性)歯科用組成物における付加開裂剤の総量は、典型的には、5重量%、又は4重量%、又は3重量%、又は2重量%以下である。付加開裂モノマーの濃度が上昇するにつれて、応力たわみ及びワッツ収縮率は、典型的には低下する。一部の実施形態においては、本明細書に記載される歯科用組成物は、典型的には、15、14、13、12、11、若しくは10マイクロメートル以下、又はそれ未満の(例えば、尖点)応力たわみを呈する。しかしながら、付加開裂剤の量が最適量を上回る場合、機械的特性又は硬化深度が不十分になる場合がある。
付加開裂剤は、概して、フリーラジカルにより切断可能である。光重合は、フリーラジカルを発生させるための機構の1つであるが、他の硬化機構もフリーラジカルを発生させる。したがって、付加開裂剤は、硬化中の応力の低減をもたらすために、化学線による照射(例えば、光硬化)を必要としない。
低収縮モノマーが好ましいものの、本明細書に記載されるような屈折率差は、より高い収縮率を有する他の歯科用組成物を改善するために利用することもできる。したがって、歯科用硬化性組成物の硬化性構成成分としては、広範な他のエチレン性不飽和化合物(酸官能基を有する又は有しない)、エポキシ官能性(メタ)アクリレート樹脂、ビニルエーテル、及び同類のものを挙げることができる。
(例えば、光重合性)歯科用組成物は、1個以上のエチレン性不飽和基を有する、フリーラジカル重合性モノマー、オリゴマー、及びポリマーを含んでもよい。好適な化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を含有し、付加重合を受けることが可能である。有用なエチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性メタクリル酸エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。このようなフリーラジカル重合性化合物としては、モノ、ジ、又はポリ−(メタ)アクリレート(すなわち、アクリレート及びメタアクリレート)、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、及びトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなど;(メタ)アクリルアミド(すなわち、アクリルアミド及びメタクリルアミド)、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、及びジアセトン(メタ)アクリルアミドなど;ウレタン(メタ)アクリレート;(好ましくは分子量200〜500の)ポリエチレングリコールのビス−(メタ)アクリレート;並びにビニル化合物、例えば、スチレン、フタル酸ジアリル、コハク酸ジビニル、アジピン酸ジビニル、及びフタル酸ジビニルなどが挙げられる。他の好適なフリーラジカル重合性化合物としては、シロキサン官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。所望される場合、2種以上のフリーラジカル重合性化合物の混合物を使用することが可能である。
歯科用硬化性組成物はまた、単一分子内にヒドロキシル基とエチレン性不飽和基とを有するモノマーを含有してもよい。このような材料の例としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど;グリセロールモノ又はジ−(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンモノ又はジ−(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールモノ、ジ、及びトリ−(メタ)アクリレート;ソルビトールモノ、ジ、トリ、テトラ、又はペンタ−(メタ)アクリレート;並びに2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(bisGMA)が挙げられる。好適なエチレン性不飽和化合物は、広範な商業的供給業者、例えば、Sigma−Aldrich,St.Louisなどから入手可能である。しかしながら、一部の実施形態においては、歯科用組成物は、単一分子内にヒドロキシル基とエチレン性不飽和基とを有するモノマーを実質的に含まない(1、0.5、0.25、0.1、又は0.005重量%未満)。
本明細書に記載される歯科用組成物は、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物の形態の、1種以上の硬化性構成成分を含んでもよい。このような構成成分は、単一分子内に酸性基とエチレン性不飽和基とを含有する。存在する場合、この重合性構成成分は、任意に、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を含む。好ましくは、酸官能基は、炭素、硫黄、リン、又はホウ素のオキシ酸(すなわち、酸素含有酸)を含む。しかしながら、一部の実施形態においては、歯科用組成物は、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を実質的に含まない(1、0.5、0.25、0.1、又は0.005重量%未満)。
本明細書において使用される場合、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和、並びに酸及び/又は酸前駆体官能基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを包含することが意図される。酸前駆体官能基としては、例えば、無水物、酸ハロゲン化物、及びピロホスフェートが挙げられる。酸官能基としては、カルボン酸官能基、リン酸官能基、ホスホン酸官能基、スルホン酸官能基、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、α,β−不飽和酸性化合物、例えば、グリセロールホスフェートモノ(メタ)アクリレート、グリセロールホスフェートジ(メタ)アクリレート(GDMA−P)、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(例えば、HEMA)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシエチル)ホスフェート、((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシ)プロピルオキシホスフェート、(メタ)アクリルオキシヘキシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシヘキシル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシオクチルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシオクチル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシデシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシデシル)ホスフェート、カプロラクトンメタクリレートホスフェート、クエン酸ジ又はトリ−メタクリレート、ポリ(メタ)アクリレート化オリゴマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリカルボキシル−ポリホスホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリクロロホスホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリスルホネート、ポリ(メタ)アクリレート化ポリホウ酸、及び同類のものなどが挙げられ、構成成分として使用することができる。また、不飽和炭酸、例えば、(メタ)アクリル酸、芳香族(メタ)アクリレート化酸(例えば、メタクリレート化トリメリット酸)、及びそれらの無水物などのモノマー、オリゴマー、及びポリマーを使用することも可能である。
歯科用組成物は、少なくとも1個のP−OH部分を有する酸官能基を有する、エチレン性不飽和化合物を含んでもよい。このような組成物は、自己接着性であり、かつ非水性である。例えば、このような組成物は、少なくとも1個の(メタ)アクリルオキシ基及び少なくとも1個の−O−P(O)(OH)基を含む第1の化合物であって、式中、x=1又は2であり、少なくとも1個の−O−P(O)(OH)基及び少なくとも1個の(メタ)アクリルオキシ基は、C1〜C4炭化水素基によって一緒に連結されている、第1の化合物と;少なくとも1個の(メタ)アクリルオキシ基及び少なくとも1個の−O−P(O)(OH)基を含む第2の化合物であって、式中、x=1又は2であり、少なくとも1個の−O−P(O)(OH)基及び少なくとも1個の(メタ)アクリルオキシ基は、C5〜C12炭化水素基によって一緒に連結されている、第2の化合物と;酸官能基を有しないエチレン性不飽和化合物と;開始剤系と;充填剤とを含み得る。
開始剤は、典型的には、重合性成分の混合物に添加される。開始剤は、重合性組成物中に容易に溶解できるように(かつそれからの分離を防止するように)樹脂系と十分に混和性である。典型的には、開始剤は、組成物中に、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量パーセント〜約5.0重量パーセントなどの有効量で存在する。
一部の実施形態においては、モノマーの混合物は光重合性であり、この組成物は、化学線で照射した際に組成物の重合(又は固化)を開始させる光開始剤(すなわち、光開始剤系)を含有する。このような光重合性組成物は、フリーラジカル重合性であってもよい。光開始剤は、典型的には、約250nm〜約800nmの有効波長範囲を有する。フリーラジカル光重合性組成物を重合させるのに好適な光開始剤(すなわち、1種以上の化合物を含む光開始剤系)としては、二成分及び三成分系が挙げられる。典型的な三成分光開始剤は、米国特許第5,545,676号(Palazzottoら)に記載されているように、ヨードニウム塩、光増感剤、及び電子供与体化合物を含む。ヨードニウム塩としては、ジアリールヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、及びジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレートが挙げられる。一部の好ましい光増感剤としては、約300nm〜約800nm(好ましくは、約400nm〜約500nm)の範囲内の一部の光を吸収するモノケトン及びジケトン(例えば、アルファジケトン)、例えば、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、及び他の環状アルファジケトンを挙げることができる。これらの中でも、カンファーキノンが典型的には好ましい。好ましい電子供与体化合物としては、置換アミン、例えば、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチルが挙げられる。
フリーラジカル光重合性組成物を重合させるのに好適な他の光開始剤としては、典型的には約380nm〜約1200nmの有効波長範囲を有するホスフィンオキシドのクラスが挙げられる。約380nm〜約450nmの有効波長範囲を有する好ましいホスフィンオキシドフリーラジカル開始剤は、アシル及びビスアシルホスフィンオキシドである。
約380nm超〜約450nmの波長範囲で照射された場合にフリーラジカル開始反応が可能である、市販のホスフィンオキシド光開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819,Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,N.Y.)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI 403,Ciba Specialty Chemicals)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの重量基準で25:75の混合物(IRGACURE 1700,Ciba Specialty Chemicals)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの重量基準で1:1の混合物(DAROCUR 4265,Ciba Specialty Chemicals)、及び2,4,6−トリメチルベンジルフェニルホスフィン酸エチル(LUCIRIN LR8893X,BASF Corp.,Charlotte,N.C.)が挙げられる。
第三級アミンを、アシルホスフィンオキシドと組み合わせて使用してもよい。例証的な第三級アミンとしては、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル及びメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルが挙げられる。存在する場合、アミン還元剤は、光重合性組成物中に、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量パーセント〜約5.0重量パーセントの量で存在する。一部の実施形態においては、歯科用硬化性組成物は、紫外(UV)線で又は青色光で照射されてもよい。この実施形態では、好適な光開始剤としては、Ciba Specialty Chemical Corp.,Tarrytown,N.Y.からIRGACURE及びDAROCURの商品名で入手可能なものが挙げられ、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE 651)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE 2959)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン(IRGACURE 369)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR 1173)が挙げられる。
光重合性組成物は、典型的には、組成物の様々な構成成分を混和することによって調製される。光重合性組成物が空気の存在下で硬化しない実施形態では、光開始剤は、「安全な光」条件(すなわち、組成物の早過ぎる固化を招くことのない条件)下で組み合わせられる。混合物を調製する際、所望されるならば、好適な不活性溶媒を用いてもよい。好適な溶媒の例としては、アセトン及びジクロロメタンが挙げられる。
固化は、放射線源、好ましくは可視光源に対して組成物を曝露することによって起こる。250nm〜800nmの化学線光(特に、380nm〜520nmの波長の青色光)を発する光源、例えば、石英ハロゲン電球、タングステンハロゲン電球、水銀アーク、炭素アーク、低、中、及び高圧水銀電球、プラズマアーク、発光ダイオード、並びにレーザーなどを用いるのが便利である。概して、有用な光源は、0.200〜6000mW/cmの範囲の強度を有する。20秒間の、1000mW/cmの強度によって、一般に、所望される硬化をもたらすことができる。このような組成物を固化させるための様々な従来の光を使用することができる。
典型的な実施形態においては、歯科用組成物は、酸化還元硬化系を実質的に含まず、したがって、ポリ酸及び酸化剤を実質的に含まない(1、0.5、0.25、0.1、又は0.005重量%未満)。一部の実施形態においては、歯科用組成物は、当該技術分野において公知であるように、還元剤も含まない。
任意に、組成物は、溶媒(例えば、アルコール(例えば、プロパノール、エタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、他の非水性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン))、及び水を含有してもよい。一部の実施形態においては、(例えば、一成分)歯科用組成物は、典型的には歯科用組成物全体の5重量%以下の量の水を含む。
所望される場合、組成物は、添加剤、例えば、インジケーター、光退色性染料などの染料、顔料、阻害剤、促進剤、粘度調整剤、湿潤剤、緩衝剤、ラジカル及びカチオン性安定剤(例えば、BHT)、並びに当業者には明白であろう他の類似成分などを含有することができる。
加えて、医薬又は他の治療用物質を、歯科用組成物に対して任意に添加することができる。例としては、限定されるものではないが、歯科用組成物に使用されることが多い種類の、フッ化物源、増白剤、抗う蝕剤(例えば、キシリトール)、カルシウム源、リン源、再石灰化剤(例えば、リン酸カルシウム化合物)、酵素、息清涼剤、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫応答調節剤、チクソトロピー剤、ポリオール、抗炎症剤、抗菌剤(抗菌性脂質構成成分に加えて)、抗真菌剤、口腔乾燥症治療剤、減感剤、及び同類のものが挙げられる。上記の添加剤のうちのいずれかの組み合わせを用いてもよい。当業者であれば、所望される結果を達成するために、過度な実験を行うことなく、そのような添加剤の任意の1種の選択及び量を選ぶことができる。
歯科用硬化性組成物は、当該技術分野において公知であるように、歯などの口腔表面を処理するために使用することができる。一部の実施形態においては、組成物は、歯科用組成物を適用した後に硬化することによって固化できる。例えば、歯科用硬化性組成物が歯牙充填などの修復材として使用される場合、この方法は、概して、硬化性組成物を口腔表面(例えば、虫歯)に適用することと、組成物を硬化させることとを含む。一部の実施形態においては、歯科用接着剤が、本明細書に記載される硬化性歯科修復材料を適用する前に適用されてもよい。また、歯科用接着剤は、典型的には、高充填された歯科修復用組成物の硬化と同時に硬化させることによって固化される。口腔表面を処理する方法は、歯科用物品を準備することと、口腔(例えば、歯)表面に歯科用物品を接着することとを含み得る。
他の実施形態においては、組成物は、適用する前に、歯科用物品へと固化(例えば、重合)されてもよい。例えば、クラウンなどの歯科用物品は、本明細書に記載される歯科用固化性組成物から予備形成することができる。歯科用コンポジット(例えば、クラウン)物品は、鋳型に接触させながら硬化性組成物をキャスティングし、組成物を硬化させることによって、本明細書に記載される硬化性組成物から製造することができる。あるいは、歯科用コンポジット(例えば、クラウン)物品は、まず組成物を硬化させ、ミルブランクを形成した後、組成物を所望される物品へと機械的に切削することによって製造することができる。
歯表面を処理する別の方法は、本明細書に記載される歯科用組成物を準備することであって、組成物は、第1の半仕上げ形状を有する、(部分的に固化された)固化性自己支持型可鍛構造の形態である、準備することと;対象の口内の歯表面上に歯科用固化性組成物を配置することと;歯科用固化性組成物の形状をカスタマイズし、歯科用固化性組成物を固化することとを含む。このカスタマイズは、参照により本明細書に援用される、米国特許第7,674,850号(Karimら)に記載されているように、患者の口内で、又は患者の口外のモデルにおいて行うことができる。
本明細書において使用される場合、「歯科用組成物」は、口腔表面に接着又はボンディング可能である、充填剤を含む材料を指す。歯科用硬化性組成物は、歯牙構造に歯科用物品をボンディングさせるために使用されたり、コーティング(例えば、シーラント又はバーニッシュ)を歯表面上に形成するために使用されたり、口腔内に直接配置され、その場で硬化させる修復材として使用されたり、又は代替的に、後に口腔内で接着される補綴を口腔外で作製するために使用されたりし得る。
歯科用硬化性組成物としては、例えば、接着剤(例えば、歯科用及び/又は歯科矯正用接着剤)、セメント(例えば、一成分セメント)、プライマー(例えば、歯科矯正用プライマー)、ライナー(歯の過敏性を低減するために虫歯の基部に適用される)、シーラントなどのコーティング(例えば、小窩裂溝)、及びバーニッシュ;並びに歯牙充填などのレジン修復材(直接コンポジットとも呼ばれる)、並びにクラウン、ブリッジ、及び歯科インプラント用物品が挙げられる。また、高充填された歯科用組成物は、ミルブランクにも使用され、ミルブランクからクラウンを削り出すことができる。コンポジットは、歯牙構造における実質的な欠損の充填にとって好適であるように設計された、高充填されたペーストである。歯科用セメントは、コンポジットよりもいくらか低充填かつ粘性が低い材料であり、典型的には、インレー、オンレー、及び同類のものなどの追加的材料に対するボンディング剤として作用するか、又は層として適用及び硬化させる場合には、それ自体が充填材料として作用する。また、歯科用セメントは、歯表面又はインプラントアバットメントに対してクラウン又はブリッジなどの歯科修復材を永続的にボンディングさせるために使用される。
本明細書において使用される場合、「歯科用物品」は、歯牙構造又は歯科用インプラントに対して接着(例えば、ボンディング)することが可能な物品を指す。歯科用物品としては、例えば、クラウン、ブリッジ、ベニア、インレー、オンレー、充填剤、歯科矯正装置及びデバイスが挙げられる。
「歯科矯正装置」は、歯牙構造に対してボンディングさせることが意図される任意のデバイスを指し、限定されるものではないが、歯科矯正ブラケット、バッカルチューブ、舌固定装置、歯科矯正バンド、開口器、ボタン、及びクリートが挙げられる。この装置は、接着剤を受容する基部を有し、この基部は、金属、プラスチック、セラミック、又はそれらの組み合わせで製造されたフランジであってもよい。あるいは、基部は、硬化した接着剤層(すなわち、単層又は多層接着剤)から形成されたカスタム基部であってもよい。
「口腔表面」とは、口腔環境中の軟質表面又は硬質表面を指す。硬質表面としては、典型的には、例えば、天然の及び人工の歯表面、骨、及び同類のものを含む歯牙構造が挙げられる。
「固化性」及び「硬化性」は、加熱して重合及び/若しくは架橋を誘発することによって;化学線で照射して重合及び/若しくは架橋を誘発することによって;並びに/又は1種以上の構成成分を混合して重合及び/若しくは架橋を誘発することによって、硬化(例えば、重合又は架橋)させることができる材料又は組成物について説明している。「混合」は、例えば、2種以上の成分を組み合わせ、混合して均質な組成物を形成することによって実施することができる。あるいは、2種以上の成分を別個の層として準備して、これらの層を境界面で(例えば、自然発生的に又は剪断応力の適用によって)相互混合して重合を開始させてもよい。
「固化された」は、硬化した(例えば、重合した又は架橋した)材料又は組成物を指す。
「固化剤」は、樹脂の固化を開始させるものを指す。固化剤としては、例えば、重合開始剤系、光開始剤系、熱開始剤系、及び/又は酸化還元開始剤系を挙げることができる。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート、又はこれらの組み合わせを指す省略表現であり、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらの組み合わせを指す省略表現であり、「(メタ)アクリル」は、アクリル、メタクリル、又はこれらの組み合わせを指す省略表現である。
本明細書において使用される場合、「ある1つの(a)」、「ある1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1種の」、及び「1種以上の」は、互換的に使用される。
また、本明細書においては、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含されるすべての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
以下の実施例によって、目的及び利点について更に例証するが、これらの実施例において列挙される特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するものとして解釈するべきではない。別途指定されない限り、部及び百分率はすべて重量基準である。
以下の実施例は、本発明の範囲を例証するために提供されるものであり、それを限定するものとして提供されるものではない。本明細書において使用される場合、別途特定されない限り、部及び百分率はすべて重量基準であり、すべての水は脱イオン水であり、すべての分子量は平均分子量である。別途特定されない限り、材料は、Sigma−Aldrich,Milwaukee,WIから得ることができる。
試験方法
硬化深度(DOC)試験方法
硬化深度(depth of cure)(すなわち、硬化深度(cure depth))は、試験用治具として円筒形ステンレス鋼硬化金型を使用して、円筒形空洞の寸法が直径4mmであり、深さ20mmであった点を除き(より大きい硬化深度に対応するため)、ISO 4049に記載されている通りに測定した。具体的には、試験用治具を平面上のポリエステルフィルムの上に配置し、円筒形空洞を、光硬化させるサンプルで充填した。第2のポリエステルフィルムを治具上に配置し、充填された試験用治具を押圧して、サンプルの表面を平坦にした。充填された試験用治具を、白色の背景面上に配置し、歯科用硬化光(例えば、ELIPAR FREELIGHT 2、ELIPAR S−10、又はELIPAR DEEP CURE、3M Oral Care(St.Paul,MN)から入手可能)を使用して、組成物を20秒間照射した。照射後、サンプルを試験用治具から取り外し、あらゆる未硬化のサンプルを、照射から約1分以内に除去した(例えば、サンプルの底部、硬化光で照射された側とは反対側から未硬化の材料を掻き取ることによって)。残りの硬化した材料の厚さを測定した。報告される硬化深度は、ミリメートル単位の、実際の硬化したサンプルの厚さを2で除したものであり、別途注記されない限り、単回の測定によるものである。
コントラスト比(Contrast Ratio、CR)試験方法及び色試験方法
未硬化のサンプルを、ステンレス鋼金型及びCarverプレス(10,000〜15,000psi)を使用して、厚さ1mm×直径30mmのディスクへと形成した。これらのディスクを、ディスクの片側で20秒間、LEDアレイ(波長455nm、強度850mW/cm)による照明に対してディスクを曝露することによって硬化させた。ASTM−D2805−95(Hiding Power of Paints by Reflectometry)を変更して、ディスクのコントラスト比(又は不透明度)を測定した。硬化したコンポジット材料のディスクのY三刺激値を、Color i7分光光度計(X−Rite,Grand Rapids,MI,USA)で、白色及び黒色の別個の背景を使用して、絞り値25mmで測定した。すべての測定値は、フィルター無しで、D65 Illuminantを用いて反射モードで得られた。10度の視野角を使用した。コントラスト比を、黒色の基板による硬化したサンプルのY三刺激値と、白色の基板上における同じサンプルによるY三刺激値との比(CR=R/R×100)として、反射率で計算した(すなわち、反射率は、Y三刺激値に等しいものとして定義される)。報告されるコントラスト比の値は、別途注記されない限り、単回の測定によるものであり、より低い値は、より大きい透光性(すなわち、光の透過)を示す。色データ(L)を、同じ分光光度計(白色背景に対して絞り値25mm、反射モード、D65 illuminantを使用、フィルター無し、視野角10度、鏡面反射を除外)において、硬化の2〜10分後に収集した。
屈折率の測定
未硬化の試料については、屈折率は、ナトリウム「D」ライン(約589nm)を使用して、25℃でBausch & Lomb屈折計で測定した。
硬化した試料については、屈折率は、以下の通りに測定した。各サンプルの裏面を1200グリットの紙やすりで粗面化した後、両面テープでスライドガラス上に取り付けた。反射スペクトルエリプソメトリー(RSE)データを、RC−2エリプソメーターを用いて、入射角θ=55°→75°、Δ=10°、λ=193nm→1000nmに関して取得した。データを、θ=55°→75°、Δ=10°、λ=350nm→1000nmに関して分析した。サンプルは、モノリス状コーシー材料としてモデル化した。
曲げ強さ及び曲げ弾性率の試験方法
未硬化のサンプルを、2mm×2mm×25mmの石英ガラス鋳型に押し出し、試験バーを形成した。次いで、このサンプルを、2種の標準的な歯科用硬化3M ELIPAR S−10を使用して、鋳型を通して硬化させた。サンプルは、サンプルバーの中心に1つの光を配置し、20秒間硬化させた後、バーの両端を同時に20秒間硬化させ、ひっくり返し、繰り返すことによって硬化させた。
サンプルは、試験前には、37℃の脱イオン水に浸漬して保管した(16〜24時間)。バーの曲げ強さ及び曲げ弾性率を、ANSI/ADA(American National Standard/American Dental Association)の規格番号27(1993)に準拠して、Instron試験機(Instron 4505又はInstron 1123、Instron Corp.,Canton,Mass.)で0.75mm/分のクロスヘッド速度で測定した。結果は、曲げ強さに関してはメガパスカル(MPa)単位で、曲げ弾性率に関してはGPa単位で報告した。
応力試験方法
硬化プロセス中に発生する応力を測定するために、矩形15×8×10mmのアルミニウムブロックにスロットを機械加工した。スロットは、長さ8mm、深さ4mm、及び幅4mmであり、縁から2mmのところに配置することで、試験される歯科用組成物を収容する幅4mmの空洞に隣接する幅2mmのアルミニウム尖点を形成した。線状可変変位変換器(モデルGT 1000、E309アナログ増幅器とともに使用、両方ともRDP Electronics,United Kingdom製)を示されるように配置して、歯科用組成物を室温で光硬化させたときの尖端の変位を測定した。試験前に、アルミニウムブロックにおけるスロットをRocatec Plus Special Surface Coating Blasting Material(3M Oral Care)を使用して砂で磨き、RelyX Ceramic Primer(3M Oral Care)で処理し、最後に、市販の歯科用接着剤(例えば、Adper Easy Bond又はScotchbond Universal、それぞれ3M Oral Careから入手可能)で処理した。実質的に同様に機械加工されたアルミニウムブロック及び試験装置については、米国特許第9,056,043号の図1及び2に描写されている。
スロットを、表に示す混合物を用いて十分に充填した。材料には、スロット内の材料とほぼ接触させて(1mm未満)歯科用硬化光(ELIPAR S−10,3M Oral Care)を1分間照射した後、光を消してから9分後にミクロン単位で尖点の変位を記録した。
ワッツ収縮ひずみ試験方法
ワッツ収縮ひずみ(ワッツ)試験方法は、硬化後の体積変化の見地から、試験サンプルの収縮率を測定する。サンプル調製(90mgの未硬化コンポジット試験サンプル)及び試験手順は、以下の参考文献に記載されている通りに実行した:Determination of Polymerization Shrinkage Kinetics in Visible−Light−Cured Materials:Methods Development,Dental Materials,1991年10月,281−286頁。結果は、収縮率%として、又は換言すれば体積減少の絶対値として報告される。(硬化の5分後)
ACTA三体摩耗(3 Body Wear)試験方法
FILTEK Z250 Universal Restorative(3M Oral Care)と比較した、試験サンプルに関するACTA 三体摩耗試験は、ホイールが10スロットであり、サンプルの寸法が長さ15mm、幅10mm、及び深さ5mmであった点を除き、実質的に米国特許第7,156,911号に記載されている通りに実施した。この方法に関する更なる詳細は、参照によって見出すことができる:Influence of Shearing Action of Food on Contact Stress and Subsequent Wear of Stress−bearing Composites,P.Pallav,et al.,Journal of Dental Research,1993年1月。
放射線不透過性試験方法
放射線不透過性は、Heliodent Plus歯科用X線デバイス(Sirona、X線管電圧:60kV、曝露時間:0.06秒)を使用して測定した。放射線不透過性の測定値は、相当するアルミニウムのミリメートル(mm)である。
材料
重合性樹脂のモノマー
「AFM−1」は、米国特許第9,056,043号の第46欄58行目〜第47欄27行目(「AFM−1の調製」)に記載されている通りに調製することができる、付加開裂モノマーである。
「BisGMA」は、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリレートとも呼ばれる)を指し、Sigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO)から入手可能である。
「DDDMA」は、ジメタクリル酸1,12−ドデカンジオールを指し、Sartomer Co.,Inc.(Exton,PA)から商品名「SR−262」で入手可能である。
「ERGP−IEM」は、2−プロペン酸,2−メチル−,1,1’−[1,3−フェニレンビス[オキシ−2,1−エタンジイルオキシ[1−(フェノキシメチル)−2,1−エタンジイル]オキシカルボニルイミノ−2,1−エタンジイル]]エステルを指し、これは、米国特許第8,710,113号の第77欄33〜40行目(「ERGP−IEMの合成」)に記載されている通りに調製することができる。
「TEGDMA」は、トリエチレングリコールジメタクリレートを指し、Sartomer Co.,Inc.(Exton,PA)から入手可能である。
「UDMA」は、ジウレタンジメタクリレートを指し、Rohm America LLC(Piscataway,NJ)から商品名「ROHAMERE 6661−0」で入手可能であり、また、Dajac Laboratories(Trevose,PA)からも入手可能である。
充填剤粒子
赤色、黄色、及び黒色酸化鉄顔料は、Elementis Pigments Inc.(East St.Louis,IL)から入手した。二酸化チタン(R690 TiO)顔料(白色)は、DuPontから入手し、平均粒径はおよそ214nmと測定された。
「AEROSIL R972」は、Evonik(Germany)から入手可能である、疎水性ヒュームドシリカを指す。
「S/Tシリカ/ジルコニアクラスター」は、シラン処理シリカ−ジルコニアナノクラスター充填剤を指し、これは概して、米国特許第6,730,156号の第25欄50〜63行目(予備実施例A)及び第25欄64行目〜第26欄40行目(予備実施例B)に記載されている通りに調製されるが、(トリフルオロ酢酸でpHを3〜3.3に調整するのではなく)NHOH水溶液でpHを約8.8に調整した、(水ではなく)1−メトキシ−2−プロパノール中でシラン化を行うこと、及び(スプレー乾燥ではなく)ギャップ乾燥によってナノクラスター充填剤を得ることを含む、小規模な修正を伴う。
ナノ粒子
「S/T 20nmシリカ」は、およそ20ナノメートルの公称粒径を有するシラン処理シリカナノ粒子充填剤を指し、これは実質的に、米国特許第6,572,693号第21欄63〜67行目(「ナノサイズの粒子充填剤、タイプ#2」)に記載されている通りに調製される。
「S/Tナノジルコニア」は、シラン処理ジルコニア充填剤を指し、これは実質的に、米国特許第8,647,510号第36欄61行目〜第37欄16行目(実施例11A−IER)に記載されている通りに、ジルコニアゾルから調製された。ジルコニアゾルを、GF−31を含有する等重量の1−メトキシ−2−プロパノールに添加した(表面処理されるナノジルコニア1グラム当たり1.1mmolのGF−31)。混合物を、撹拌しながら3時間、約85℃に加熱した。混合物を35℃に冷却し、NHOH水溶液でpHを約9.5に調整し、混合物を、撹拌しながら4時間、約85℃に再加熱した。結果として得られた材料を、過剰量の水で洗浄し、ギャップ乾燥によって溶媒を除去することで、S/Tナノジルコニアを乾燥粉末として単離した。本明細書において使用される場合、「S/Tナノジルコニア」はまた、S/Tナノジルコニアを乾燥粉末の形態で単離することなく、樹脂(及びペースト)中に溶媒交換された、シラン処理ジルコニア充填剤のことも指す(例えば、本明細書の実施例において更に詳述されるように、S/Tナノジルコニアゾルをメタクリレート含有樹脂に添加した後、減圧下で濃縮及び/又は加熱してゾルと関連する揮発性物質を除去することによる)。
カップリング剤/表面処理
「GF−31」は、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを指し、Wacker Chemie AG(Munich,Germany)から入手可能である。
他の構成成分
「YbF」は、フッ化イッテルビウムを指し、粒径がおよそ100〜105nmであり、屈折率が1.52であり、Sukgyung AT Co.Ltd.,(Korea)から入手可能である。
「BHT」は、ブチル化ヒドロキシトルエン(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)を指し、Sigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO)から入手可能である。
「BZT」は、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを指し、Ciba,Inc.(Tarrytown,NY)から「TINUVIN R 796」として入手可能であり、また、Sigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO)からも入手可能である。
「CPQ」は、カンファーキノンを指す。
「DPIHFP」又は「DPIPF6」は、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、Johnson Matthey,Alfa Aesar Division(Ward Hill,MA)から入手可能である。
「EDMAB」は、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルを指し、Sigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO)から入手可能である。
濃縮物A(BisGMA/TEGDMA中のS/Tナノジルコニア)
酢酸水溶液で安定化したナノジルコニアゾル(99.9992g、32.68重量%のナノジルコニア、4重量%のジルコニア、相安定化用のイットリアを伴う。概して、米国特許第8,647,510号の実施例11A−IERに記載されている通りに調製された)を、1−メトキシ−2−プロパノール(200.003g)及びGF−31(8.741g)と組み合わせた。混合物を80℃で6時間加熱した後、BisGMA/TEGDMAの50/50重量混合物(48g)を添加した。結果として得られた混合物を、約60〜85℃において減圧下で回転蒸発させて、揮発性物質(例えば、水、酢酸、1−メトキシ−2−プロパノール)を除去することで、濃縮物A(すなわち、BisGMA/TEGMA樹脂中のS/Tナノジルコニア)を、透明でわずかに乳白色の液体として得た。濃縮物Aは、およそ44.68重量%のS/Tナノジルコニアを含んだ。
顔料分散体
白色、赤色、黒色、及び黄色の液体顔料分散体を、ローラーミルによる標準的な塗料粉砕及び混合手順によって調製した。表1は、シェーディング及び不透明化の研究のために使用される顔料分散体の要約である。
Figure 2019507139
樹脂1〜4
BisGMA/TEGDMAの50/50混合物、並びに光開始剤パッケージ(CPQ、EDMAB、及びDPIHFP)を添加することによって濃縮物Aを希釈して、樹脂1〜4を得る。光開始される樹脂1〜4の組成を、表2a及び2bに要約する。
Figure 2019507139
Figure 2019507139
低応力樹脂A
低樹脂Aを、68.83重量%のERGP−IEM、18.77%のUDMA、8.66%のDDDMA、1.50%のAFM−1、0.30%のDPIHFP、1.1%のEDMAB、0.28%のCPQ、0.05%のBHT、0.50%のBZTで製造した。これは、ペースト12〜17の作製において使用されるベース樹脂であった。硬化時にそれらのペーストの屈折率において予期される変化は、ベース樹脂と同様であることが予期される。
樹脂1〜4及び樹脂Aの屈折率値を、光硬化前及び光硬化後に測定した。測定した屈折率値を表3に要約する。
Figure 2019507139
硬化後、重合性樹脂2〜4は、少なくとも0.010の差異を有する。
ペースト5〜8(無着色)
十分なS/Tシリカ/ジルコニアクラスターを、樹脂1〜4のそれぞれと混合して、それぞれペースト5〜8を得た。それぞれのペーストは、S/Tナノジルコニア+S/Tシリカ/ジルコニアクラスターの合計含有量が75重量%であった。未着色のペースト5〜8の組成を、表4a及び4bに要約する。
Figure 2019507139
Figure 2019507139
光硬化したペースト5〜8のそれぞれについて、コントラスト比及び硬化深度の測定値を、表5に要約する。表5は、(i)S/Tシリカ/ジルコニアクラスターの屈折率と、(ii)樹脂及びS/Tナノジルコニアの混合物の複合屈折率との間における屈折率の不釣り合いが増加するにつれて、硬化したディスクのコントラスト比が増加することを示している。
Figure 2019507139
ELIPAR S−10
ペースト5〜8は、ISO 4049規格を満たす。
比較用ペースト9〜11(白色に着色されている、S/Tナノジルコニアを含まない)
二つ組の(より大きい)バッチの樹脂1を、250gの、BisGMA及びTEGDMAの50/50重量%ブレンドを取り、それに0.549gのCPQ、2.499gのEDMAB、及び0.748gのDPIFHPを添加することによって製造した(ナノジルコニア無し)。この樹脂から、75重量%のS/Tシリカ/ジルコニアクラスター及び25重量%の開始樹脂を有するペーストを製造し、白色顔料分散液の白色顔料で着色して、ペースト5〜8のコントラスト比を近似させた。着色されたペーストの組成を、下に列挙する。
Figure 2019507139
Figure 2019507139
表1において報告されたように、顔料の濃度は、分散体の量の15%である。顔料の量は、分散体の量の下の括弧内に報告している。
以下の表7において報告されているように、ペースト9〜11及び比較用ペースト18のそれぞれについて、コントラスト比及びISO 4049の硬化深度を測定した。
Figure 2019507139
ELIPAR S−10
ペースト9〜11及び18は、ISO 4049規格を満たす。
ペースト12〜17
ペースト12〜17は、すべて乾燥粉末の成分、及びバルク充填用途(より低い応力)にとってより適した樹脂から製造され、同様の効果を達成する、製造にとってより都合の良い方法が実証された。これらは、スピード混合機(SPEEDMIXER、Flacktek,Inc.,Landrum,SCから入手可能)を使用して製造した。すべての構成成分を、一成分系として一緒に混合した。構成成分の濃度を、グラム単位で、表8a及び8bに報告する。構成成分の重量%単位の濃度は、表9a及び9bに報告する。なお、ペースト15は、遥かに少ない白色顔料を使用していることに留意されたい。ペースト17は深く硬化するが、低いコントラスト比を有する。
Figure 2019507139
Figure 2019507139
Figure 2019507139
Figure 2019507139
表1において報告されたように、顔料の濃度は、WPDの場合は分散体の量の15%であり、RPD、BPD、及びYPDの場合は分散体の量の5%である。顔料の量は、分散体の量の下の括弧内に報告している。
ペースト12〜17について測定したコントラスト比及び硬化深度は、以下の通りであった。
Figure 2019507139
ELIPAR DEEP CURE又はFREELIGHT 2
**計算値及び硬化した樹脂の値は、ナノ粒子を含む。
ペースト12、13、14、及び16は着色されている。例えば、ペースト12及び14を比較した場合、硬化深度において有意な増加が存在し、これは、より高いレベルのS/Tナノジルコニアを組み込むことによって達成することができる。樹脂は、硬化時に、樹脂1〜4に基づき、硬化時の樹脂の固有収縮率にある程度依存しながら、屈折率において0.03〜0.04単位、上方にシフトすると推定される。ペースト15及び17は着色を有せず、ペースト17のより屈折率が低い材料の場合、この比較例における高い硬化深度を達成するためにはたった34のコントラスト比しか必要とされないため、審美性をより欠いている。ペースト15は、着色を伴わずに、ペースト17よりも高いコントラスト比を提供し、硬化深度は4.5mmを超えた。ペースト16は、A3シェードまで完全に着色されており、コントラスト比は49であった(多くの修復材において許容可能)。ペースト16はまた、最終的な硬化した材料に関して所望されるコントラスト比を達成するために必要とされる着色がより少ないため、4mmを上回る硬化深度を有する。
ペースト18
市販のバルク硬化流動性コンポジット(ペースト18)を分析及び試験した。市販のコンポジットの組成は、バリウムガラス、三フッ化イッテルビウム、及びコポリマーを含み、充填剤の積載量は71重量%であり、無機物含有量は68.2重量%であった。充填剤粒子は、0.1〜30ミクロンの範囲の粒径を有し、平均粒径は5ミクロンであった。樹脂は、BisGMA(約19%)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(約69%)、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート(約11%)の混合物+開始剤及び顔料と推定される「他の成分」を含有していた。
機械的特性の試験:
ペースト16、17、及び18を、曲げ強さ及び曲げ弾性率、三体耐摩耗性、ワッツ収縮ひずみ、x線不透過性、及び尖点たわみ(cusp deflection)の機械的特性について試験した。
Figure 2019507139
確認できるように、ペースト16及び17の強さ、放射線不透過性、摩耗率、及び収縮率は、市販のペースト18を上回って改善されている。
ペースト19〜25
ペースト21〜25は、すべて乾燥粉末の成分、及びバルク充填用途(より低い応力)にとってより適した樹脂から製造した、2種の「ストック」ペースト(RPD及びWPDのみで着色されたペースト19、RPDのみで着色されたペースト20)から製造され、様々なWPD含有量を有する配合物のセットに対するコントラスト比及び硬化深度の影響を調査する、単純な実験室的方法が実証された。すべての樹脂、充填剤、及び顔料構成成分は、表12aに示され、重量パーセント組成として報告されているように設定した。これらのストックペーストは、それらが最適化されたナノジルコニア含有量を有することに起因して、許容可能なコントラスト比と、少なくとも3.5mmの硬化深度とを有しながら、多数のシェードまで着色することができるため、有用である。ペースト21〜25は、表12bに示されている、報告される重量のペースト19及び20を混合することによって、ストックペースト19及び20から製造した。これらはすべて、スピード混合機(SPEEDMIXER、Flacktek,Inc.,Landrum,SCから入手可能)を使用して製造した。すべての構成成分を、一成分系として一緒に混合した。表12bは、適切なベース配合物が提供されれば、3.5mmの硬化深度及び60のコントラスト比は、0.045重量%の白色顔料を使用して達成することができることを明確に示している。
Figure 2019507139
樹脂の含有量は、重量%で、ERGP−IEM 68.83、UDMA 18.77、DDDMA 8.66、AFM−1 1.50、EDMAB 1.10、DPIHFP 0.30、CPQ 0.28、BHT 0.05、BZT 0.50である。
Figure 2019507139
**Elipar Deep Cure S、硬化時間20秒

Claims (30)

  1. 1種以上のエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー、並びに少なくとも1.600の屈折率及び100nm以下の離散粒子又は凝集体の平均粒径を有するナノ粒子を含む重合性樹脂と、
    少なくとも200nmの離散粒子又は凝集体の平均粒径を有する無機金属酸化物充填剤と
    を含む歯科用組成物であって、
    前記ナノ粒子が、硬化した前記重合性樹脂と前記無機金属酸化物充填剤との間に屈折率差をもたらす濃度で存在し、それにより前記歯科用組成物のコントラスト比が少なくとも40である、歯科用組成物。
  2. 1000mW/cmの強度で20秒間光硬化した後に、少なくとも3.5mmの硬化深度を有する、請求項1に記載の歯科用組成物。
  3. 前記無機金属酸化物充填剤が、前記1種以上のエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーの屈折率よりも大きい屈折率を有する、請求項1又は2に記載の歯科用組成物。
  4. 前記充填剤が、少なくとも1.520又は1.530の屈折率を有する、請求項1に記載の歯科用組成物。
  5. 前記充填剤がナノクラスター充填剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  6. 前記ナノクラスター充填剤が、少なくとも1.600の屈折率を有する重金属酸化物及びシリカナノ粒子の凝集粒子を含む、請求項5に記載の歯科用組成物。
  7. 少なくとも60、61、62、63、64、又は65重量%のナノクラスター充填剤を含む、請求項5又は6に記載の歯科用組成物。
  8. 少なくとも2、3、又は4重量%の、少なくとも1.600の屈折率を有するナノ粒子を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  9. 前記ナノ粒子が無機金属酸化物を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  10. 少なくとも70又は75重量%の無機金属酸化物含有量を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  11. 前記歯科用組成物が、シリカナノ粒子を更に含み、少なくとも1.600の屈折率を有するナノ粒子の重量が、シリカナノ粒子の重量よりも大きい、請求項9又は10に記載の歯科用組成物。
  12. 前記重合性樹脂が、少なくとも2個の(メタ)アクリレート基を含むモノマーを少なくとも1種含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  13. 前記モノマーが、少なくとも1.50の屈折率を有する芳香族モノマーである、請求項12に記載の歯科用組成物。
  14. 前記モノマーが、低体積収縮モノマーである、請求項13に記載の歯科用組成物。
  15. 前記モノマーが、芳香族環状部分又は脂肪族環状部分を含み、ビスフェノール由来部分を含まない、請求項12に記載の歯科用組成物。
  16. 前記重合性樹脂が、フリーラジカルにより切断可能である付加開裂剤を更に含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  17. 前記付加開裂剤が、式:
    Figure 2019507139
    [式中、
    、R、及びRは、それぞれ独立して、Z−Q−、(ヘテロ)アルキル基、又は(ヘテロ)アリール基であるが、ただし、R、R、及びRのうちの少なくとも1つはZ−Q−であり、
    Qは、m+1の価数を有する連結基であり、
    Zは、エチレン性不飽和重合性基であり、
    mは、1〜6であり、
    それぞれのXは、独立して、−O−又は−NR−であり、ここで、Rは、H又はC〜Cアルキルであり、かつ
    nは、0又は1である]
    を有する、請求項16に記載の歯科用組成物。
  18. Zが、ビニル、ビニルオキシ、(メタ)アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、スチレン及びアセチレン官能基から選択される、請求項17に記載の歯科用組成物。
  19. 前記重合性樹脂が、ビスフェノール由来モノマーを実質的に含まず、前記ナノ粒子を含む硬化した前記重合性樹脂が、前記充填剤と少なくとも0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010異なる屈折率を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  20. 前記組成物が、0.05、0.04、又は0.03重量%以下の高屈折率顔料粒子を含み、前記顔料粒子が、少なくとも150nmの離散粒子又は凝集体の粒径を有する、請求項19に記載の歯科用組成物。
  21. 前記重合性樹脂が、少なくとも1種のビスフェノール由来モノマーを含み、前記ナノ粒子を含む硬化した前記重合性樹脂が、前記充填剤と少なくとも0.010、0.011、0.012、0.013、0.014、0.015異なる屈折率を有する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  22. 前記組成物が、0.06又は0.05重量%以下の高屈折率顔料粒子を含み、前記顔料粒子が、少なくとも150nmの離散粒子又は凝集体の粒径を有する、請求項21に記載の歯科用組成物。
  23. 固化された前記歯科用組成物が、以下の特性:
    i)2%未満のワッツ収縮率、
    ii)少なくとも120、130、又は140MPaの曲げ強さ、
    iii)少なくとも8、9、又は10GPaの曲げ弾性率、及び
    v)厚さ少なくとも3mmのアルミニウムの放射線不透過性
    のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを呈する、請求項1〜22のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  24. 同一容器内で予混合された前記重合性樹脂及び前記充填剤を含む一成分系である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  25. 少なくとも1.600の屈折率及び100nm以下の平均粒径を有するナノ粒子を含み、ビスフェノール由来モノマーを実質的に含まない、重合性樹脂、
    少なくとも200nmの離散粒子又は凝集体の平均粒径を有する無機金属酸化物充填剤
    を含む歯科用組成物であって、前記ナノ粒子を含む硬化した前記重合性樹脂が、前記充填剤と少なくとも0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010異なる屈折率を有する、歯科用組成物。
  26. 少なくとも1種のビスフェノール由来モノマー、並びに少なくとも1.600の屈折率及び100nm以下の平均粒径を有するナノ粒子を含む、重合性樹脂、
    少なくとも200nmの離散粒子又は凝集体の平均粒径を有する無機金属酸化物充填剤
    を含む歯科用組成物であって、前記ナノ粒子を含む硬化した前記重合性樹脂が、前記充填剤と少なくとも0.010、0.011、0.012、0.013、0.014、0.015異なる屈折率を有する、歯科用組成物。
  27. 歯表面を処理する方法であって、
    請求項1〜26のいずれか一項に記載の歯科用組成物を準備することと、
    前記歯科用組成物を、対象の口腔内の歯表面上に配置することと、
    前記重合性樹脂を硬化させ、それによって、前記歯科用組成物を固化することと
    を含む、方法。
  28. 少なくとも部分的に固化された、請求項1〜26のいずれか一項に記載の歯科用組成物を含む、歯科用物品。
  29. 歯科用組成物を配合する方法であって、
    重合性樹脂の1種以上のエチレン性不飽和モノマーの屈折率を準備すること、
    少なくとも1種の充填剤の屈折率を準備すること、
    前記重合性樹脂及び前記充填剤の屈折率を計算すること、
    前記重合性樹脂の屈折率をナノ粒子で調整して、硬化した前記歯科用組成物が少なくとも40のコントラスト比を有するような、十分な屈折率差を得ること
    を含む、方法。
  30. 請求項29に従って歯科用組成物を配合することと、前記組成物を製造することとを含む、歯科用組成物の製造方法。
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