JP6196522B2 - 光透過性を有する硬化性シリコーン組成物及びそれを用いた光硬化性樹脂成型物の作製方法 - Google Patents

光透過性を有する硬化性シリコーン組成物及びそれを用いた光硬化性樹脂成型物の作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、光透過性を有する硬化性シリコーン組成物及びそれを用いた光硬化性樹脂成型物の作製方法に関するものであり、より詳細には光透過性を有する手練和型の硬化性シリコーン組成物及びこれを用いた光硬化性樹脂成型物の作製方法に関する。
う蝕等により、口腔内の歯質の部分的削除を余儀なくされた場合、失った歯質を審美的、機能的、形態的に回復するために、種々の材料を用いて正常な歯冠形態を再現する治療が一般的に行われている。歯冠形態を再現する方法は、その術者によって大きく2通りに分けることができる。一つは歯科医院で歯科医師が行う方法である。歯科医師は、疾患がある歯質部分を削除した後、光硬化性樹脂を用いて歯冠形態を再現する。もう一つの方法は歯科技工所で歯科技工士が作製する方法である。この方法の場合、歯科医院にて疾患がある歯質部分を削除した後、その部分を口腔内で印象採得して凹型を採取する。採取した凹型の情報が歯科技工所に送られ、この情報をもとに歯科技工士が歯科用補綴物を作製する。治療方法は適宜、歯科医師の判断によって選択されるが、一般的に歯質の削除部位が歯冠部全体や、多数歯に渡る場合など、歯質の削除量が多く、再現すべき形態が複雑なケースでは、歯科技工士によって作製された補綴物を用いた治療が選択される。
歯科技工士によって作製される歯科用補綴物に用いられる材料は様々で、ジルコニアや陶材などの無機材料や金属、光硬化性樹脂などがある。各材料は診療方針や患者からの審美的要求によって選択される。ジルコニアや陶材などの無機材料を用いて作製された補綴物は金属や光硬化性樹脂を用いて作製された補綴物と比較して高い審美性と機能性を有する。金属や光硬化性樹脂を用いて作製される補綴物においては、一般的に臼歯部などの患者からの審美的要求が低い部分には金属が、前歯部など患者からの審美的要求が高い部分には歯冠色の光硬化性樹脂が用いられる。
光硬化性樹脂を用いた補綴物の作製は、土台となる金属フレームに対して、歯科技工士が専用のインスツルメントを用いて築盛していくが、天然歯様の歯冠形態や咬合面形態は非常に複雑であり、築盛法による再現には豊富な経験と高い技術力が求められる上に、作製に長時間を要する。
そのため歯科医師や歯科技工士が咬合採得用やインダイレクトボンディング用のシリコーン印象材等を用いて口腔内外で凹型を作製後、光硬化性樹脂により歯冠形態や咬合面形態を再現する方法も行われている。それら咬合採得用やインダイレクトボンディング用のシリコーン印象材に関する先行技術としては以下のものがある。
特開平5−194860号公報(特許文献1)には、分散性の高い疎水化処理が施された充填剤、分子中に2個以上のビニル基を有する短鎖オルガノポリシロキサン、ビニル基を有する短鎖QM樹脂、分子中に2個以上のビニル基を有するオルガノポリシロキサン、架橋剤としてのオルガノハイドロジェンポリシロキサン、触媒及び染料を含有し、硬化後に高い光透過性、引裂き強度、ゴム硬度を示す咬合採得用の組成物が開示されている。
特開平9−2916号公報(特許文献2)には、平均重合度3000〜20000の実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンが5〜60重量%、分岐状ないし分岐を含む環状のポリオルガノシロキサンが10〜40重量%及び平均重合度5〜1000の直鎖状ポリジオルガノシロキサンが残余量%からなるケイ素原子に結合したビニル基を1分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に3個以上有するポリオルガノシロキサンと、白金系化合物とからなり、硬化前には練和性、押し出し性が良く、ペーストの垂れも少なく、硬化後も高い光透過性を維持できる組成物が開示されている。
特開平5−194860号公報 特開平9−2916号公報
特許文献1の従来の光透過性シリコーン組成物は咬合採得に用いることを目的としている。また、特許文献2の従来の光透過性シリコーン組成物は、矯正用のブラケットの固定に用いることを目的としている。これら特許文献1及び特許文献2の光透過性シリコーン組成物は、意図する用途が本発明とは大きく異なっており、光透過性を有するものの、硬化前の粘度が低く、パテ状ではないため、手練和が困難である。そのため、練和するには、専用の包装材料に充填しておくこと及び練和用器具を用いることが必須である。専用の包装材料に充填され、専用の器具を用いて練和する従来のシリコーン組成物は、パテ状のシリコーン組成物に比べて非常にコストが高く、歯科技工所で日常的に使用するには価格が高すぎるという問題点がある。
本発明の目的は、硬化後に高い光透過性を示す、手練和が可能なパテ状の硬化性シリコーン組成物を提供することにある。
上記課題を解決するために、発明者らは鋭意検討の結果、成分(1)1分子内に少なくとも2個の不飽和基を有するオルガノポリシロキサン、成分(2)1分子内に少なくとも2個のSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、成分(3)充填材、及び成分(4)触媒を含む2種以上の構成組成物からなる練和型の硬化性シリコーン組成物であって、
成分(1)〜成分(3)のうち最も屈折率の高い成分と、最も屈折率の低い成分との屈折率差を0.1000以内とし、且ついずれかの構成組成物における硬化前の複素粘度[測定条件 ステージ温度:23℃、ひずみ量:1%、周波数:0.1Hz〜100Hz、測定方法:周波数分散測定、測定点:角周波数25rad/s]を10Pa・s〜100000Pa・sとすることで、高い光透過性を有する手練和が可能なパテ状の硬化性シリコーン組成物が得られることを見出した。また、このような硬化性シリコーン組成物を手練和により調製し、複写する形態の対象物に圧接・硬化させて凹型を作製し、この凹型に光硬化性樹脂を填入後、硬化したシリコーン組成物を介して光を照射することで対象物の形態を複写した光硬化性樹脂の成型物が容易に作製できることを見出した。本発明は上記知見に基づくものである。
本発明は、成分(1)1分子内に少なくとも2個の不飽和基を有するオルガノポリシロキサン、成分(2)1分子内に少なくとも2個のSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、成分(3)充填材及び成分(4)触媒を含む2種以上の構成組成物からなる練和型の硬化性シリコーン組成物を改良の対象とする。本発明では、成分(1)〜成分(3)のうち最も屈折率の高い成分と、最も屈折率の低い成分との屈折率差を0.1000以内とする。本発明ではさらに、いずれかの構成組成物における硬化前の複素粘度を10Pa・s〜100000Pa・sとする。なお、複素粘度は、ステージ温度:23℃、ひずみ量:1%、周波数:0.1Hz〜100Hz、測定方法:周波数分散測定、測定点:角周波数25rad/sの測定条件で測定したものである。
成分(1)は1分子内に少なくとも2個の不飽和基を有するオルガノポリシロキサンであり、より詳細には、不飽和基がエチレン性不飽和二重結合を有する有機基であるオルガノポリシロキサンである。
オルガノポリシロキサンは一般式[1]で表される。
Figure 0006196522
ここで、式中のR1〜Rn+7は同一又は異なる直鎖状、分枝状または環状の非置換または置換の有機基であるが、少なくともその2つは不飽和基であることが必須となる。また、nは1以上の整数である。Rn+6及びRn+7は繰り返し単位ごとに同一でも、異なっていても良く、特に制限はない。
不飽和基以外の有機基を具体的に例示するとメチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、エーテル基、エポキシ基、または脂環式エポキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。またそれらの基の一部分が他の基と置換されていてもよい。それらの中でもメチル基、またはフェニル基が特に好ましく、このような有機基を選択することで硬化後における組成物の光透過性を高くすることができる。
また、分子内に少なくとも2個存在する不飽和基の種類に特に制限はないが、エチレン性不飽和二重結合を有した有機基が好ましく、ケイ素原子に直結したエチレン性不飽和二重結合、いわゆるビニル基が特に好ましい。また、これらはオルガノポリシロキサンのモノマー単位のいずれかに位置していればよいが、オルガノポリシロキサンの主鎖の末端、または末端付近に位置することが好ましい。さらに、エチレン性不飽和二重結合を有する有機基が、α、ω位、すなわち主鎖の両末端にそれぞれ1個ずつ位置することが特に好ましい。このようなオルガノポリシロキサンを用いると、三次元網目構造を形成し易く、高いゴム硬度を発現する。
また、オルガノポリシロキサンの分子構造に特に制限はなく直鎖状、環状、分岐状、三次元網目構造のいずれの構造であっても良い。
成分(1)の化合物を具体的に例示すると、ジビニルポリジメチルシロキサン、フェニル変性ジビニルポリシロキサン、ベンジル変性ジビニルポリシロキサン、トリル変性ジビニルポリシロキサン、キシリル変性ジビニルポリシロキサン、ビフェニル変性ジビニルポリシロキサン、エーテル変性ジビニルポリシロキサン、エポキシ変性ジビニルポリシロキサン、脂環式エポキシ変性ジビニルポリシロキサン、及びこれらの2種類以上の混合物などが挙げられ、その中でもフェニル変性ジビニルポリシロキサンを用いることが特に好ましい。
成分(1)の屈折率は1.400〜1.500であることが好ましく、1.450〜1.480であればより好ましく、1.460〜1.470であれば更に好ましい。成分(1)の屈折率が上記範囲外となると、本発明の硬化性シリコーン組成物に含有されるその他の成分との屈折率に著しい差が生じる場合があり、高い光透過性を維持できなくなることがある。
成分(1)の分量は硬化性シリコーン組成物全体に対して1wt%〜80wt%であることが好ましく、5wt%〜80wt%であればより好ましく、5wt%〜30wt%であれば特に好ましい。成分(1)の分量が1wt%未満になると、ヒドロシリル化反応が充分に進行せず、硬化性が悪くなることがある。また、成分(1)の分量が80wt%を超えると、相対的に成分(3)充填材の分量が減少することになり、手練和が可能なパテ状を維持することが難しくなることがある。
このような成分(1)を用いると光透過性に優れ、容易に手練和が可能で、ペースト表面にベタツキがなく、硬化後の硬さなどにおいても適切な特性を有する硬化性シリコーン組成物を得ることができる。
成分(2)は1分子内に少なくとも2個のSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、上記成分(1)とのヒドロシリル化付加反応により硬化性シリコーン組成物を硬化させる架橋材として作用するものである。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは一般式[2]で表される。
Figure 0006196522
ここで、式中のR1〜Rn+7は同一又は異なる直鎖状、分枝状または環状の非置換または置換の有機基であるが、少なくともその2つは水素原子であることが必須となる。また、nは1以上の整数である。Rn+6及びRn+7は繰り返し単位ごとに同一でも、異なっていても良く、特に制限はない。
有機基を具体的に例示するとメチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、エーテル基、エポキシ基、または脂環式エポキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。またそれらの基の一部分が他の基と置換されていてもよい。それらの中でもメチル基、またはフェニル基が特に好ましく、このような有機基を選択することで硬化後における組成物の光透過性を高くすることができる。
また、分子内に少なくとも2個存在するケイ素原子に直結している水素原子はオルガノハイドロジェンポリシロキサンのモノマー単位のいずれかに位置していればよい。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いると、三次元網目構造を形成し易く、高いゴム硬度を発現する。
成分(2)中のSiH基の含有量は、成分(1)中の不飽和基1molに対して1mol〜6molの範囲であることが好ましい。成分(2)中のSiH基の含有量が上記範囲の下限未満となると、得られる硬化性シリコーン組成物が充分に硬化しない場合があり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる硬化性シリコーン組成物が非常に硬質となり、表面に多数のクラックを生じるおそれがある。
また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造に特に制限はなく直鎖状、環状、分岐状、三次元網目構造のいずれの構造であっても良い。
成分(2)の化合物を具体的に例示すると、ジメチルハイドロジェンポリシロキサン、フェニル変性オルガノハイドロジェンポリシロキサン、ベンジル変性オルガノハイドロジェンポリシロキサン、トリル変性オルガノハイドロジェンポリシロキサン、キシリル変性オルガノハイドロジェンポリシロキサン、ビフェニル変性オルガノハイドロジェンポリシロキサン、エーテル変性オルガノハイドロジェンポリシロキサン、エポキシ変性オルガノハイドロジェンポリシロキサン、脂環式エポキシ変性オルガノハイドロジェンポリシロキサン、及びこれらの2種類以上の混合物などが挙げられ、フェニル変性オルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることが特に好ましい。
成分(2)の屈折率は、1.400〜1.500であることが好ましく、1.450〜1.480であればより好ましく、1.460〜1.470であれば更に好ましい。成分(2)の屈折率が上記範囲外となると、本発明の硬化性シリコーン組成物に含有されるその他の成分との屈折率に著しい差が生じる場合があり、高い光透過性を維持できなくなることがある。
成分(2)の分量は硬化性シリコーン組成物全体に対して0.01wt%〜30wt%の範囲内であることが好ましい。本成分の分量が0.01wt%未満になると、ヒドロシリル化反応が充分に進行せず、硬化性が悪くなることがある。また、本成分の分量が30wt%を超えると、ヒドロシリル化反応が急速に進行し、操作可能な流動性を維持できる時間が極端に短くなってしまうだけでなく、得られる硬化性シリコーン組成物が非常に硬質となり、表面に多数のクラックを生じるおそれがある。
このような成分(2)を用いると光透過性に優れ、容易に手練和が可能で、ペースト表面にベタツキがなく、硬化後の硬さなどにおいても適切な特性を有する硬化性シリコーン組成物を得ることができる。
成分(3)は充填材であり、硬化性シリコーン組成物の硬化前の性状を手練和が可能なパテ状に保ち、作業性や硬化後の物性を向上させるものである。
成分(3)の充填材の形状には特に制限はないが、不定形よりも球状であることが好ましい。形状が不定型であった場合、練和性が低下したり、練和物の流動性が低下するだけでなく、光の透過性に悪影響を与えることがある。球状の粒子を用いることで、練和性が軽くなり、練和物の流動性が向上し、より扱い易い操作性を有する硬化性シリコーン組成物を得ることができる。ここで球状、及び不定型とは走査型又は透過型電子顕微鏡を用いて粒子の写真を撮影し、その写真の視野内に観察される粒子が丸みを帯びており、その最小径を最大径で割った均斉度が0.6以上である粒子を球状とし、これ以外を不定型とした。
成分(3)の充填材を具体的に例示するとアルミニウム、アルミナイト、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、無水シリカ、モルデンフッ石、斜プチロルフッ石、沸石、珪藻土、焼成珪藻土、活性白土、石英、溶融石英、合成シリカ、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、ソーダライムシリケートガラス、チタニアシリカガラス、水晶、軽灰、オパール、ポリビニリデンフルオタイド、メタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、酢酸ビニル樹脂、ポリ三フッ化塩化エチレン、ステアリン酸、ホワイトカーボン、シリコーンゴムパウダー、シリコーン樹脂パウダー、フュームドシリカ、及びこれらの2種類以上の混合物などが挙げられ、溶融石英や合成シリカ、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、ソーダライムシリケートガラス、チタニアシリカガラスなどの非晶質シリカ、及びこれらの2種類以上の混合物から選択されることが特に好ましい。このような成分(3)充填材を用いると、その他の構成成分との屈折率が近似し、高い光透過性を得ることができる。また、これらの成分(3)充填材は表面処理を行ったものを用いてもよい。
成分(3)の充填材の粒子径においては特に制限はないが、50%粒子径が0.1μm以上であることが好ましく、0.1μm〜100μmであればより好ましく、0.1μm〜80μmであれば更に好ましい。本発明において50%粒子径とは、体積ベースのメディアン径とも呼ばれ、レーザー回折式粒度分布測定装置等によって測定された粒度分布に基づいて算出されたものである。本成分の50%粒子径が0.1μm未満になると、ペースト表面にベタツキが生じることや、ペースト粘度が高くなることなどによって、操作性が悪くなることがある。
成分(3)の屈折率は、1.400〜1.500であることが好ましく、1.450〜1.480であればより好ましく、1.460〜1.470であれば更に好ましい。成分(3)の屈折率が上記範囲外となると、本発明の硬化性シリコーン組成物に含有されるその他の成分との屈折率に著しい差が生じる場合があり、高い光透過性を維持できなくなることがある。
成分(3)の分量は硬化性シリコーン組成物全体に対して10wt%〜95wt%であることが好ましく、15wt%〜90wt%であればより好ましく、50wt%〜90wt%であれば更に好ましい。本成分の分量が10wt%未満になると、本発明の硬化性シリコーン組成物に含まれるその他の液状成分が相対的に増加することになり、手練和が可能なパテ状を維持することが難しくなることがある。また、本成分の分量が95wt%を超えると、得られる硬化性シリコーン組成物が非常に硬質となり、練和性や流動性に悪影響を与えることがあるだけでなく、硬化反応に関与する成分(1)と成分(2)の分量が相対的に減少することで、ヒドロシリル化反応が充分に進行せず、硬化性が悪くなることがある。
このような成分(3)を用いると光透過性に優れ、容易に手練和が可能で、ペースト表面にベタツキがなく、硬化後の硬さなどにおいても適切な特性を有する硬化性シリコーン組成物を得ることができる。
なお、本発明の硬化性シリコーン組成物においては、例えばフュームドシリカなどを強化充填材や増粘材として含有することもでき、これらは表面処理を行ったものを用いても問題ない。また、強化充填材や増粘材は成分(3)充填材と同等の条件を持つことが好ましい。強化充填材及び増粘材の分量は、硬化性シリコーン組成物全体に対して0.1wt%〜50wt%であることが好ましい。
成分(4)は、触媒であり、成分(1)に含まれる不飽和基と、成分(2)に含まれるSiH基とのヒドロシリル化付加反応を促進するためのヒドロシリル化触媒である。この触媒を具体的に例示すると白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金触媒の他に、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒、及びこれらの2種類以上の混合物等が挙げられる。特に好適には白金とシロキサンとの錯体が用いられる。
成分(4)の屈折率は1.400〜1.500であることが好ましく、1.450〜1.480であればより好ましく、1.460〜1.470であれば更に好ましい。成分(4)の屈折率が上記範囲内であれば、本発明の硬化性シリコーン組成物に含有されるその他の成分との屈折率に著しい差が生じる場合がないので、高い光透過性を維持できる。
成分(4)の分量は硬化性シリコーン組成物全体に対して0.005wt%〜0.5wt%であることが好ましい。本成分の分量が0.005wt%未満になると、ヒドロシリル化反応が充分に進行せず、硬化性が悪くなることがある。また、本成分の分量が0.5wt%を超えるとヒドロシリル化反応が急速に進行し、操作可能な流動性を維持できる時間が極端に短くなってしまうことがある。
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲において、顔料、反応調整剤、発泡抑制剤、界面活性剤などの添加成分を併用することができる。
本発明は2種以上の構成組成物からなる練和型の硬化性シリコーン組成物であり、練和する構成組成物の数に特に制限はないが、練和作業等の操作性の観点から2種類からなる構成組成物が好ましく、特に成分(1)、成分(2)及び成分(3)を含む構成組成物(基材)と成分(1)、成分(3)及び成分(4)を含む構成組成物(硬化材)からなることがより好ましい。各構成組成物の練和比は特に制限されず、自由に選択することができるが、手練和が可能となるためには、それらの構成組成物のうち、少なくとも1つの構成組成物の硬化前における複素粘度[測定条件 ステージ温度:23℃、ひずみ量:1%、周波数:0.1Hz〜100Hz、測定方法:周波数分散測定、測定点:角周波数25rad/s]が10Pa・s〜100000Pa・sであることが必須となる。その中でも50Pa・s〜50000Pa・sであることが好ましく、1000Pa・s〜50000Pa・sであれば更に好ましい。つまり、一つの構成組成物の硬化前における複素粘度が10Pa・s〜100000Pa・sの範囲内であれば、もう一つの構成組成物、または複数の構成組成物の硬化前における複素粘度が上記範囲外であっても本発明の硬化性シリコーン組成物の特徴を発現することができる。
より好ましくはいずれの構成組成物においても硬化前の複素粘度が上記範囲内であることである。これらの範囲を満足することにより、硬化性シリコーン組成物は、練和性が良好なパテ状とすることができる。
また、構成組成物の硬化前の複素粘度だけでなく、練和後の最終組成物における硬化前の複素粘度が前述の範囲内であることも、好ましい態様である。
本発明の硬化性シリコーン組成物おいて、前述の特徴を発現させる好ましい各成分の含有量範囲は硬化性シリコーン組成物全体に対して、
成分(1)の含有量が1wt%〜80wt%、
成分(2)の含有量が0.01wt%〜30wt%、
成分(3)の含有量が10wt%〜95wt%、
成分(4)の含有量が0.005wt%〜0.5wt%である。
このような成分量範囲で硬化性シリコーン組成物を構成することで、光透過性をより高めることができ、容易に手練和することができるパテ状の硬化性シリコーン組成物とすることができる。
なお、本発明の硬化性シリコーン組成物は上記の数値範囲に限定されるものではなく、上記の範囲外であっても本発明の硬化性シリコーン組成物は高い光透過性と手練和が可能なパテ状を有する。
より好ましい各成分の含有量範囲は、
成分(1)の含有量が5wt%〜80wt%、
成分(2)の含有量が0.01wt%〜30wt%、
成分(3)の含有量が15wt%〜90wt%、
成分(4)の含有量が0.005wt%〜0.5wt%である。
この範囲を満たす硬化性シリコーン組成物は上記効果に加えて、更に高い光透過性が得られる。
また、本発明の硬化性シリコーン組成物を用いた光硬化性樹脂による歯科用補綴物の作製がより容易になり、作業時間も短縮できるという効果も得られる。
更に好ましい各成分の含有量範囲は、
成分(1)の含有量が5wt%〜30wt%、
成分(2)の含有量が0.01wt%〜30wt%、
成分(3)の含有量が50wt%〜90wt%、
成分(4)の含有量が0.005wt%〜0.5wt%である。
この範囲を満たす硬化性シリコーン組成物は上記効果に加えて、より光透過性に優れるだけでなく、硬化前のペーストのベタツキを抑制し、練和性も軽く、練和したペーストに適度な流動性を与えることもでき、更に硬化後の硬さなどの特性も適正化できるという効果も得られる。また、本発明の方法による歯科用補綴物の作製が更に容易になり、作業時間の更なる短縮も可能となるだけでなく、圧接時の硬化性シリコーン組成物と光硬化性樹脂の界面における気泡の確認や、硬化後の硬化性シリコーン組成物の変形を伴わない適切な圧接が容易に行えるという効果が得られる。
本発明の硬化性シリコーン組成物は、例えば光硬化性樹脂からなる歯科用補綴物の成型品を作製するための凹型として利用することができるものである。この場合、硬化後のシリコーン組成物の光透過率が低すぎると、光硬化性樹脂の重合反応を開始するための充分な光が硬化後のシリコーン組成物を透過できず、光硬化性樹脂の重合反応が充分に進行しないことがある。また、光硬化性樹脂を硬化性シリコーン組成物の凹型に流す際に、気泡の有無や流れ具合などが確認できず、作製した歯科用補綴物が所望の形態を適切に再現できているかを目視により確認できない場合が生じる。
そのため、硬化後において470nmの波長光における光透過率が50%以上であることが好ましい。このような光透過率を有する硬化性シリコーン組成物であれば、そのシリコーン組成物を硬化させた凹型内に填入した光硬化性樹脂を確実に重合させるための充分な光を透過することができる。また、光硬化性樹脂をその凹型に填入した後も気泡の有無や圧接時の流れ具合などを確認でき、光硬化性樹脂の成型品が所望の形態に適切に再現できているかを目視により確認できるという利点がある。
本発明の硬化性シリコーン組成物が上記の光透過性を発現するためには、硬化性シリコーン組成物に含まれる成分(1)〜成分(4)の屈折率を制御することが重要となる。
成分(1)及び成分(3)の屈折率が1.450〜1.480であることが好ましい。成分(1)及び成分(3)の屈折率を1.450〜1.480とすることで、構成成分の屈折率が近似し、より高い光透過性が得られる。
成分(1)〜成分(3)の屈折率が1.450〜1.480であることがより好ましい。成分(1)〜成分(3)のそれぞれの屈折率を1.450〜1.480とすることで、成分(1)〜成分(3)の屈折率が近似し、より高い光透過性が得られる。
成分(1)〜成分(4)の屈折率が1.450〜1.480であることがさらに好ましい。成分(1)〜(4)のそれぞれの屈折率を1.450〜1.480とすることで、シリコーン組成物を構成する成分の屈折率が近似し、より高い光透過性が得られる。
また、本発明の硬化性シリコーン組成物において成分(1)〜成分(3)を含む基材と、成分(1)、成分(3)及び成分(4)を含む硬化材の2種類の構成組成物から成る場合、上記の光透過性を発現するためには基材及び硬化材に含まれる各成分のそれぞれの屈折率を制御することも重要となる。
本発明の硬化性シリコーン組成物における基材を構成する成分のうち、成分(1)及び成分(3)の屈折率が1.450〜1.480であることが好ましい。成分(1)及び成分(3)の屈折率を1.450〜1.480とすることで、硬化性シリコーン組成物の基材を構成する成分の屈折率が近似し、より高い光透過性が得られる。
基材を構成する成分のうち、成分(1)〜成分(3)の屈折率が1.450〜1.480であることがより好ましい。成分(1)〜成分(3)のそれぞれの屈折率を1.450〜1.480とすることで、硬化性シリコーン組成物における基材を構成する成分の屈折率が近似し、より高い光透過性が得られる。
一方、硬化材を構成する成分のうち、成分(1)及び成分(3)の屈折率が1.450〜1.480であることが好ましい。成分(1)及び成分(3)の屈折率を1.450〜1.480とすることで、硬化性シリコーン組成物における硬化材を構成する成分の屈折率が近似し、より高い光透過性が得られる。
硬化材を構成する成分のうち、成分(1)、成分(3)及び成分(4)の屈折率が1.450〜1.480であることがさらに好ましい。成分(1)、成分(3)及び成分(4)のそれぞれの屈折率を1.450〜1.480とすることで、硬化性シリコーン組成物における硬化材を構成する成分の屈折率が近似し、より高い光透過性が得られる。
また本発明の硬化性シリコーン組成物を用いれば、複雑な形態を容易に再現することができるだけでなく、作業時間を短縮することができる。以下に本発明の硬化性シリコーン組成物を用いた様々な分野における成型物の作製方法について説明する。本発明の硬化性シリコーン組成物を用いた成型物の作製方法とは、手練和により本発明の硬化性シリコーン組成物を調製する工程と、調製した硬化性シリコーン組成物を形態を複写する対象物に圧接する工程と、圧接した硬化性シリコーン組成物を硬化させて対象物の形態が複写された凹型を作製する工程と、凹型に光硬化性樹脂を填入させる工程と、凹型内に填入した光硬化性樹脂に光を照射して光硬化性樹脂を硬化させる工程とを行うことによる、対象物が備える目的の形態を有する成型物の作製方法である。
対象物が備える目的の形態(作製したい形態)とは、ネイルアート形態、アクセサリの一部または全部の形態、衣類に取り付けるボタンやブローチなどの装飾品の形態、ガーデニングに用いる飾りや小物の形態、キーホルダーの外枠またはキーホルダーそのものの形態、フィギュアなどの模型の形態、その他玩具の形態や歯科用補綴物の形態などであり、本発明の方法は形態が複雑で、作製に熟練と時間を要する場合に特に有用である。
本発明において複写とは、対象物が備える目的の形態に対して、練和した本発明の硬化性シリコーン組成物を圧接することで、作製する形態の凹型を得ることである。
本発明において光硬化性樹脂とは、紫外−可視光領域の波長光を照射することによって重合・硬化する樹脂を含む材料であり、ネイル用光硬化性樹脂、アクセサリ作製用光硬化性樹脂、服飾用光硬化性樹脂、ガーデニング用光硬化性樹脂、キーホルダー作製用光硬化性樹脂、模型作製用光硬化性樹脂、その他玩具作製用光硬化性樹脂、歯科用光硬化性樹脂などを含むものである。
成型物が歯科用補綴物である場合の対象物が備える目的の形態とは、例えば患者の口腔内の歯冠形態や咬合面形態、歯頸形態、フレーム形態、歯肉形態、粘膜形態、マージン形態、カントゥア形態などであり、本発明の硬化性シリコーン組成物を用いた歯科用補綴物を成型する作製方法は歯冠形態や咬合面形態のような再現に熟練と時間を要する部位の作製に特に有用である。
この歯科用補綴物を作製する場合の光硬化性樹脂としては、歯科金属用接着材料、歯面コーティング材、歯科接着用レジンセメント、歯科コンポジットレジン用接着材料、歯科用象牙質接着材、歯冠用硬質レジン、歯科セラミックス用接着材料、歯科充填用コンポジットレジン、高分子系ブラケット接着材及び歯面調整材、歯科用支台築造材料、高分子系歯科小窩裂溝封鎖材、歯科用色調遮蔽材料、高分子系歯冠用着色材料、歯科レジン系補綴物表面滑沢硬化材、歯科用樹脂系模型材、その他の歯科充填用材料などが挙げられ、本発明の方法は歯冠用硬質レジン、歯科充填用コンポジットレジン、高分子系歯科小窩裂溝封鎖材、歯科用樹脂系模型材などを用いた複雑な形態の作成に特に有用である。
本発明の硬化性シリコーン組成物を用いた成型物の作製方法は、熟練者でなくとも容易に複雑な形態を作製することができるだけでなく、作業時間も短縮することができる。このような方法を用いなかった場合、未熟練者では複雑な形態を作製することが非常に困難であり、作業に長時間を要するか、若しくは作製したい形態の成型物を作製できないことがある。また、熟練者であっても複雑な形態を作製するには長時間を要することがある。
本発明の硬化性シリコーン組成物を用いた成型物の作製方法において歯科用補綴物を作製する場合には、従来の築盛法と併用することができる。また、歯科技工所にて患者の歯列模型を基に実施するだけでなく、歯科医院において患者の口腔内で実施することもできる。以下に歯科用補綴物を作製する一例を示すが、これに限定されるものではない。
[歯科用補綴物の作製例1]
歯科医師は、歯科用補綴物を用いた歯科治療を行うため、患者の口腔内の治療箇所を削除し、支台歯形成、または窩洞形成を行う。
次いで患者の口腔内の目的の部位に歯科用印象材を圧接し、一定時間経過後にゴム質弾性体を形成した後、口腔内から撤去することで患者の口腔内及び歯牙の形状を複写した印象体を得る。
得られた印象体に石こう泥を流し、患者の口腔内で形成した支台歯または窩洞の形態を再現した石こう模型を得る。
得られた石こう模型を歯科技工士に渡し、歯科技工士は石こう模型を基に歯科用補綴物の作製を行う。なお、歯科医師は印象体を歯科技工士に渡し、石こう模型の作製は歯科技工士が行っても良い。
歯科技工士は歯科医師より受け取った石こう模型の支台歯部分または窩洞部分に熱可塑性樹脂などを用いて最終的に作製したい形態を再現する。ここに練和した本発明の硬化性シリコーン組成物を圧接し、硬化するまで一定時間静置する。
硬化性シリコーン組成物が硬化した後、石こう模型の支台歯部分または窩洞部分の熱可塑性樹脂を撤去し、硬化性シリコーン組成物の内面に光硬化性樹脂を填入する。これを石こう模型の支台歯部分、または窩洞部分に圧接し、光重合器を用いて光照射を行い、光硬化性樹脂の仮重合を行う。
光硬化性樹脂を硬化させた成型物の形態が崩れることなく硬化性シリコーン組成物から取り外せる程度まで仮重合を行った後、その成型物を硬化性シリコーン組成物から取り外し、再度光重合器にて本重合を行う。成型物を充分に硬化させた後、成型物表面のキャラクタライズと最終調整、及び最終研磨を行う。
[歯科用補綴物の作製例2]
歯科医師は作製したい歯冠形態が患者の口腔内で維持されている場合、治療(支台歯形成、または窩洞形成)前に本発明の硬化性シリコーン組成物を用いて、予め作製したい形態の凹型を作製しておく。
得られた本発明の硬化性シリコーン組成物の凹型に光硬化性樹脂を填入し、患者の口腔内の治療(支台歯形成、または窩洞形成)された部位に圧接し、光重合器を用いて光照射を行い、光硬化性樹脂の仮重合を行う。
光硬化性樹脂を硬化させた成型物の形態が崩れることなく硬化性シリコーン組成物から取り外せる程度まで仮重合を行った後、硬化性シリコーン組成物を患者の口腔内から撤去し、再度光重合器にて本重合を行う。成型物を充分に硬化させた後、成型物表面のキャラクタライズと最終調整、及び最終研磨を行う。
次に本発明の実施例及び比較例について説明する。なお本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例に示す硬化性シリコーン組成物の評価方法の詳細を以下に示す。
[複素粘度の測定]
以下の実施例及び比較例に示す硬化性シリコーン組成物の基材と硬化材について、AntonPaar社の動的粘弾性測定装置Physica MCR301を用いて、ステージ温度を23℃、ひずみ量1%とし、周波数を0.1Hz〜100Hzの範囲とした周波数分散測定によって、角周波数25rad/sにおける複素粘度を測定した。
[性状の評価]
手練和が可能な性状を有する場合にパテ状と評価し、粘度が低すぎるために手練和が困難な状態をペースト状と評価した。
[練和比(硬化材:基材)]
硬化材と基材の重量練和比を示した。
[光透過率の測定]
以下の実施例及び比較例に示す硬化性シリコーン組成物の基材と硬化材を手練和した練和物を、ガラス板上に置いた内径30mm、厚さ2mmのモールド用型に流し込み、直ちにモールド用型が置かれたガラス板と同じガラス板を用いて10kg/cm2で圧接した後、練和物が硬化するまで同圧力条件下で静置することで、光透過率の測定用のシリコーン組成物の試験体を作製した。作製した試験体をコニカミノルタ社の分光測色機CM−3500dを用いて23℃における470nmの波長光の透過率を測定した。
[硬化深度の測定]
以下の実施例及び比較例に示す硬化性シリコーン組成物の基材と硬化材を手練和した練和物を、ガラス板上に置いた内径12mm、厚さ16mmのモールド用型に流し込み、直ちにモールド用型が置かれたガラス板と同じガラス板を用いて5kg/cm2圧接した後、練和物が硬化するまで同圧力条件下で静置することで、シリコーン組成物の硬化体を作製した。次に、光硬化性樹脂(株式会社松風のソリデックス インサイザイル59)をガラス板上に置いた内径4mm、厚さ6mmのモールド用型に流し込み、直ちにモールド用型が置かれたガラス板と同じガラス板を用いて圧接し、更にモールド上のガラス板の上から先程得た硬化性シリコーン組成物の硬化体を圧接し、技工用光重合器(株式会社松風のソリデライトV)にて30秒間光照射を行い、光硬化性樹脂を硬化させた。光硬化性樹脂をモールドから取り出し、未重合部分を取り除き、硬化した部分の厚みを測定した。
[流動性の測定]
JIS T 6513:2005 歯科用ゴム質弾性印象材の練和物の稠(ちょう)度試験に準じて行った。
[練和性の評価]
以下の実施例及び比較例に示す硬化性シリコーン組成物の基材と硬化材を手練和したときの練り易さを評価した。大きな抵抗を感じず、基材と硬化材が均一になるまで軽い力で容易に練和できたものを「良」とした。やや抵抗を感じるものの、基材と硬化材が均一になるまで容易に練和できたものを「やや重い」とした。大きな抵抗を感じるものの、基材と硬化材が均一になるまで使用上問題ない程度の力で練和できたものを「重い」とした。著しく大きな抵抗を感じ、基材と硬化材が均一になるまで練和するのに非常に強い力が必要で、使用上問題があると判断したものを「非常に重い」とした。
[べたつきの評価]
以下の実施例及び比較例に示す硬化性シリコーン組成物の基材と硬化材を手練和したときに、ペーストが指に残らず、ペーストから指を離した際にベタツキを感じなかったものを「なし」とし、ペーストが指に残り、ペーストを指から離した際にベタツキを感じたものを「べたつく」として評価した。
[操作時間]
以下の実施例及び比較例に示す硬化性シリコーン組成物の基材及び硬化材を均一になるまで練和し、練和物の表面を金属製のスパチュラで10秒おきに引っ張って、触感によりゴム弾性の発現を調べ、練和開始からゴム弾性を発現した10秒前までに要した時間を操作時間とした。
[総合評価]
上述の各評価項目を総合し、本発明の使用方法に対して特に好適なものを「○」、使用可能なものを「△」、使用不可能なものを「×」として評価した。
[硬化性シリコーン組成物の調製に用いた成分の詳細]
本発明の硬化性シリコーン組成物の調製に用いた成分(1)〜(4)の屈折率を表1に示した。また成分(3)充填材については50%粒子径及び形状も併せて記載した。なお、それぞれの特性は以下の方法によって測定した。
Figure 0006196522
屈折率:アタゴ社製アッベ屈折計を用いて、ステージ温度26〜28℃の条件で測定。
50%粒子径:HONEYWELL社製マイクロトラックHRA粒度分析計を用いて測定。
形状:走査型又は透過型電子顕微鏡を用いて粒子の写真を撮影し、その均斉度を測定。
[硬化性シリコーン組成物の調製]
硬化性シリコーン組成物における構成組成物(基材及び硬化材)の調合表、及びそれぞれの構成組成物における複素粘度を表2〜10に示した。表11に示すように比較例1は用いた成分(1)〜成分(3)における屈折率差が0.100を越えるものとなっている。また比較例2〜4は構成組成物である基材及び硬化材の複素粘度が10Pa・s〜100000Pa・sの範囲外となっており、詳細には比較例2における基材及び硬化材がともに上記範囲を下回り、比較例3における基材及び硬化材がともに上記範囲を上回り、そして比較例4における基材が上記範囲を上回り且つ硬化材が上記範囲を下回るものとなっている。
Figure 0006196522
Figure 0006196522
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Figure 0006196522
Figure 0006196522
[実施例1〜21及び比較例1〜4]
調製した硬化性シリコーン組成物の構成組成物(基材及び硬化材)を所定の練和比で練和後、前述の各種特性試験を実施し、その結果を表12〜20に示す。
実施例1及び比較例1〜3の条件を表2に示し、その結果を表12に示した。
Figure 0006196522
実施例1では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好でべたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していた。操作時間は60秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
比較例1は、成分(3)充填材を、成分(2)のジメチルハイドロジェンポリシロキサン(屈折率1.401)との屈折率差が0.100以上となる結晶性シリカ(屈折率1.54)に変更した以外は実施例1と同一の組成である。比較例1では、470nmの波長光の透過率が20%と低く、硬化深度は光硬化性樹脂が充分に硬化せず、試験体が作製できなかった。また、べたつきのないパテ状の組成物が得られたものの、練和性はやや重く、練和物の流動性もやや低くなった。操作時間は60秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
比較例2では、非晶質シリカ1の含有量を少なくし、基材及び硬化材の複素粘度を10Pa・s未満とした。比較例2では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。しかしながら、組成物の複素粘度が低く、パテ状を維持できていないため手練和ができなかった。また、練和物は非常に流動性が高く、自重で流れていくため、望ましい付形性が得られなかった。操作時間は80秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
比較例3では、非晶質シリカ1の含有量を多くし、基材及び硬化材の複素粘度を100000Pa・sよりも大きくした。比較例3では、470nmの波長光の透過率が30%と低く、硬化深度は光硬化性樹脂が充分に硬化せず、試験体が作製できなかった。また、べたつきのないパテ状の組成物が得られたものの、練和性は非常に重く、流動性も著しく低いため、望ましい特性が得られなかった。操作時間は60秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例2〜5の条件を表3に示し、その結果を表13に示した。
Figure 0006196522
実施例2〜5では、成分(3)充填材として、実施例1で使用した非晶質シリカ1の代わりに、50%粒子径の大きい非晶質シリカ2(50%粒子径15μm)、非晶質シリカ3(50%粒子径7μm)、50%粒子径の小さい非晶質シリカ4(50%粒子径0.09μm)及び不定型の非晶質シリカ5(50%粒子径2μm)をそれぞれ使用している。なお実施例2〜5では、50%粒子径の異なる非晶質シリカを用いているため、組成物全体に対する非晶質シリカの含有量が実施例1とは異なっている場合がある。
実施例2では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好でべたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していた。操作時間は60秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例3では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好でべたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していた。操作時間は60秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例4では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また練和性も良好なパテ状の組成物が得られたものの、練和物の流動性はやや低く、べたつきのあるものであった。操作時間は60秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例5では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。またべたつきのないパテ状の組成物が得られたものの、練和性が重く、練和物の流動性も低くなった。操作時間は60秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例6〜9の条件を表4に示し、その結果を表14に示した。
Figure 0006196522
実施例6は、実施例1に示す組成物から非晶質シリカ1の含有量を変更し、組成物全体に対する非晶質シリカ1の含有量を95wt%よりも大きくした組成物である。実施例6では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、べたつきのないパテ状の組成物が得られたものの、練和性がやや重く、流動性もやや低いものであった。操作時間は60秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例7は実施例2に示す組成物から非晶質シリカ2の含有量を変更し、基材及び硬化材の複素粘度を50000Pa・s〜100000Pa・sとした組成物である。実施例7では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、べたつきのないパテ状の組成物が得られたものの、練和性が重く、流動性も低いものであった。操作時間は60秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例8は実施例2に示す組成物から非晶質シリカ2の含有量を変更し、組成物全体に対する非晶質シリカ2の含有量を15wt%とし、α,ω-ジビニルポリジメチルジフェニルシロキサンの含有量を80wt%以上とし、基材及び硬化材の複素粘度を1000Pa・s未満とした組成物である。実施例8では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好なパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していたが、べたつきのあるものであった。操作時間は60秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例9は、実施例2に示す組成物から非晶質シリカ2の含有量を変更し、組成物全体に対する非晶質シリカ2の含有量を10wt%とし、α,ω−ジビニルポリジメチルジフェニルシロキサンの含有量を85wt%よりも大きくして、基材及び硬化材の複素粘度を50Pa・s未満とした組成物である。実施例9では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好なパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していたが、べたつきのあるものであった。操作時間は70秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例10〜12の条件を表5に示し、その結果を表15に示した。
Figure 0006196522
実施例10は、実施例2に示す組成物から成分(2)の種類を変更し、成分(1)〜成分(3)の屈折率を1.450〜1.480の範囲内とした組成物である。実施例10では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好でべたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していた。操作時間は80秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例11は、実施例10に示す組成物から成分(4)の種類を変更し、成分(1)〜成分(4)の屈折率を1.450〜1.480の範囲内とした組成物である。実施例11では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好でべたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していた。操作時間は80秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例12は、実施例2に示す組成物から成分(1)の種類を変更し、成分(3)の屈折率を1.450〜1.480の範囲内とし、成分(1)、成分(2)及び成分(4)の屈折率を1.450〜1.480の範囲外とした組成物である。実施例12では、470nmの波長光に対する透過率が45%と低く、硬化深度も1mm未満であった。なお、練和性は良好で、べたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していた。操作時間は70秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例13〜15の条件を表6に示し、その結果を表16に示した。
Figure 0006196522
実施例13は、実施例2に示す組成物から成分(1)の種類を側鎖に芳香族炭化水素基を含まないα,ω−ジビニルポリジメチルジエチルシロキサンに変更した組成物である。実施例13では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好でべたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していた。操作時間は50秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例14は、実施例2に示す組成物から成分(2)の種類を側鎖に芳香族炭化水素基を含まないメチルオクタニルハイドロジェンポリシロキサンに変更した組成物である。実施例14では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好でべたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していた。操作時間は200秒で、硬化がやや遅いものの、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例15は、実施例2に示す組成物から成分(3)の種類を非晶質シリカでないフッ化カルシウムに変更した組成物である。実施例15では、470nmの波長光に対する透過率が45%と低く、硬化深度も1mm未満であった。また、練和性は良好で、べたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していた。操作時間は60秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
実施例16〜17の条件を表7に示し、その結果を表17に示した。
Figure 0006196522
実施例16は、組成物全体に対する成分(2)の含有量を0.01wt%とした組成物である。実施例16では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好でべたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していたものの、操作時間が600秒以上で、ゴム弾性を発現するまでにやや長い時間を要した。
実施例17は、組成物全体に対する成分(2)の含有量を30wt%とした組成物である。実施例17では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好でべたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していたものの、操作時間が20秒未満で、操作可能な流動性を維持できる時間がやや短くなった。
実施例18〜19の条件を表8に示し、その結果を表18に示した。
Figure 0006196522
実施例18は、組成物全体に対する成分(4)の含有量を0.005wt%とした組成物である。実施例18では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好でべたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していたものの、操作時間が600秒以上で、ゴム弾性を発現するまでにやや長い時間を要した。
実施例19は、組成物全体に対する成分(4)の含有量を0.5wt%とした組成物である。実施例19では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好でべたつきのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していたものの、操作時間が20秒未満で、操作可能な流動性を維持できる時間がやや短くなった。
実施例20の条件を表9に示し、その結果を表19に示した。
Figure 0006196522
実施例20は、成分(4)として、実施例1で使用した白金触媒1の代わりに、成分(2)のジメチルハイドロジェンポリシロキサン(屈折率1.401)との屈折率差が0.1000以上である白金触媒3を使用した組成物である。実施例20では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、練和性も良好でベタツキのないパテ状の組成物が得られ、練和物は望ましい流動性を有していた。操作時間は60秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が十分確保されていた。
実施例21及び比較例4の条件を表10に示し、その結果を表20に示した。
Figure 0006196522
実施例21は硬化材の複素粘度を10Pa・s以下、基材の複素粘度を10Pa・s〜100000Pa・sとして、硬化性シリコーン組成物を構成する成分のうち、1つだけが10Pa・s〜100000Pa・sの複素粘度を有する組成物である。なお、硬化材と基材の複素粘度が大きく異なるため、重量練和比を硬化材:基材=1:10とした。実施例21では、470nmの波長光に対して50%以上の高い透過率を有し、硬化深度も1mm以上であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、パテ状の組成物が得られたものの、硬化材がペースト状であるため、練和時にべたつきを感じ、練和性はやや重く、練和物の流動性もやや低くなった。操作時間は80秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
比較例4は硬化材の複素粘度を10Pa・s以下、基材の複素粘度を100000Pa・sより高くして、硬化性シリコーン組成物を構成する全ての成分の複素粘度が10Pa・s〜100000Pa・sの範囲外となる組成物である。なお、硬化材と基材の複素粘度が大きく異なるため、重量練和比を硬化材:基材=1:10とした。470nmの波長光の透過率が30%と低く、硬化深度は光硬化性樹脂が充分に硬化せず、試験体が作製できなかった。また、パテ状の組成物が得られたものの、硬化材がペースト状であるため、練和時にべたつきを感じ、練和性は非常に重く、流動性も著しく低いため、望ましい特性が得られなかった。操作時間は80秒で、操作可能な流動性を維持できる時間が充分確保されていた。
本発明によれば、硬化後に高い光透過性を示す、手練和が可能なパテ状の硬化性シリコーン組成物を提供することができる。

Claims (4)

  1. 成分(1)1分子内に少なくとも2個の不飽和基を有するオルガノポリシロキサン、
    成分(2)1分子内に少なくとも2個のSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    成分(3)充填材、及び
    成分(4)触媒、
    を含む硬化性シリコーン組成物であって、
    前記成分(3)充填剤の50%粒子径が1μm〜30μmであり、
    前記成分(3)充填剤の前記硬化性シリコーン組成物全体に対する含有量が30w%〜96wt%であり、
    前記成分(1)、前記成分(2)及び前記成分(3)を含み、複素粘度が10Pa・s〜100000Pa・sである基材と、
    前記成分(1)、前記成分(3)及び前記成分(4)を含み、複素粘度が10Pa・s〜100000Pa・sである硬化材とを練和したものであり、
    前記成分(1)〜前記成分(3)のうち最も屈折率の高い成分と、最も屈折率の低い成分との屈折率差が0.1000以内であり、且つ、
    いずれかの構成組成物における硬化前の複素粘度[測定条件 ステージ温度:23℃、ひずみ量:1%、周波数:0.1Hz〜100Hz、測定方法:周波数分散測定、測定点:角周波数25rad/s]が10Pa・s〜100000Pa・sであることを特徴とする硬化性シリコーン組成物。
  2. 前記成分(1)〜前記成分(4)の屈折率がそれぞれ1.400〜1.500である請求項に記載の硬化性シリコーン組成物。
  3. 硬化後の470nmの波長光における光透過率が50%以上である請求項1または2に記載の硬化性シリコーン組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン組成物を調製する工程と、
    調製した前記硬化性シリコーン組成物を形態を複写する対象物にし、これを硬化させて前記対象物の形態が複写された凹型を作製する工程と、
    前記凹型に光硬化性樹脂を充填し、これを成型物を作製したい箇所に圧接し、光を照射して光硬化性樹脂を硬化させる工程とからなることを特徴とする成型物の作製方法。
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