JP6604791B2 - 光透過性を有する1ペースト型の可視光硬化性シリコーン組成物、及びこれを用いた光硬化性樹脂成型物の作製方法 - Google Patents
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ここで、式中のR1〜Rn+7は直鎖状、分岐状、または環状の非置換、または置換の有機基、またはシロキサン鎖であるが、そのうち少なくとも1つは(メタ)アクリル基、若しくは(メタ)アクリル基を有する有機基であることが必須となる。また、R1〜Rn+7は互いに同じでも良く、異なっていても良い。nは1以上の整数である。Rn+6、及びRn+7は繰り返し単位ごとに同じでも良く、異なっていても良い。
前記成分(1)の含有量が5wt%〜95wt%、
前記成分(2)の含有量が0.1wt%〜10wt%、
前記成分(3)の含有量が1wt%〜90wt%、
の範囲である。このような含有量範囲で可視光硬化性シリコーン組成物を構成することで、硬化性が良好で、高い光透過性を有する可視光硬化性シリコーン組成物を得ることができる。
前記成分(1)の含有量が40wt%〜90wt%、
前記成分(2)の含有量が1wt%〜10wt%、
前記成分(3)の含有量が3wt%〜50wt%、
の範囲である。この範囲を満たす可視光硬化性シリコーン組成物は上記効果に加えて、良好な硬化性、高い光透過性、使用用途に応じた適度な流動性、硬化後の高い機械的特性が得られる。また、本発明の方法による光硬化性樹脂成型物の作製が更に容易になり、作業時間の更なる短縮も可能となる。
歯科医師は、歯科用補綴物を用いた歯科治療を行うため、患者の口腔内の治療箇所を削除し、支台歯形成、または窩洞形成を行う。
形成した支台歯、または窩洞に歯科用印象材を圧接し、一定時間経過後にゴム質弾性体を形成した後、口腔内から撤去することで形成した支台歯、または窩洞の形状を記録した印象体を得る。
得られた印象体に石こう泥を流し、患者の口腔内で形成した支台歯または窩洞の形態を再現した石こう模型を得る。
得られた石こう模型を歯科技工士に渡し、歯科技工士は石こう模型を基に歯科用補綴物の作製を行う。なお、歯科医師は印象体を歯科技工士に渡し、石こう模型の作製は歯科技工士が行っても良い。
歯科技工士は歯科医師より受け取った石こう模型の支台歯部分または窩洞部分にワックスなどの熱可塑性樹脂を用いて最終的に作製したい形態を再現する。ここに本発明の可視光硬化性シリコーン組成物を塗布し、光重合器を用いて光照射を行い、硬化させる。
可視光硬化性シリコーン組成物が硬化した後、石こう模型の支台歯部分または窩洞部分の熱可塑性樹脂を撤去し、可視光硬化性シリコーン組成物の内面に光硬化性樹脂を填入する。これを石こう模型の支台歯部分または窩洞部分に圧接し、光重合器を用いて光照射を行い、光硬化性樹脂の仮重合を行う。
光硬化性樹脂を硬化させた成型物の形態が崩れることなく可視光硬化性シリコーン組成物から取り外せる程度まで仮重合を行った後、その成型物を可視光硬化性シリコーン組成物から取り外し、再度光重合器にて本重合を行う。成型物を充分に硬化させた後、成型物表面のキャラクタライズと最終調整、及び最終研磨を行う。
歯科医師は作製したい歯冠形態が患者の口腔内で維持されている場合、治療(支台歯形成または窩洞形成)前に本発明の可視光硬化性シリコーン組成物を用いて、予め作製したい形態の凹型を作製しておく。
その後、治療箇所を削除し、支台歯形成、または窩洞形成を行う。
予め作製しておいた本発明の可視光硬化性シリコーン組成物の凹型に光硬化性樹脂を填入し、患者の口腔内の支台歯、または窩洞に圧接し、光重合器を用いて光照射を行い、光硬化性樹脂の仮重合を行う。
光硬化性樹脂を硬化させた成型物の形態が崩れることなく可視光硬化性シリコーン組成物から取り外せる程度まで仮重合を行った後、可視光硬化性シリコーン組成物を患者の口腔内から撤去し、再度光重合器にて本重合を行う。成型物を充分に硬化させた後、成型物表面のキャラクタライズと最終調整、及び最終研磨を行う。
以下の実施例、及び比較例に示すシリコーン組成物をガラス板上に置いた内径30mm、厚さ2mmのモールドに流し込み、直ちにモールドが置かれたガラス板と同じガラス板を用いて天面から圧接し、技工用光重合器(株式会社松風製 ソリデライト)にて3分間光照射を行い、シリコーン組成物を硬化させ、光透過率測定用の試験体を作製した。作製した試験体の23℃における470nmの波長光の透過率をコニカミノルタ社の分光測色機CM3500−dを用いて測定した。尚、以下の比較例に示す2液混合型の従来型硬化性シリコーン組成物においては、専用のスタティックミキサを用いて2液を混合後、一定時間静置することによってシリコーン組成物を硬化させたこと以外は全て前記実施例の場合と同様に評価した。
(シリコーン組成物の硬化性)
以下の実施例、及び比較例に示すシリコーン組成物について、前記光透過率の測定後の試験体をモールドから取り外し、その硬化性を「硬化」、もしくは「未硬化」の2段階で評価した。
石こう模型の支台歯部分に熱可塑性樹脂を用いて歯冠形態を再現し、ここに以下の実施例、及び比較例に示すシリコーン組成物を塗布し、技工用光重合器(株式会社松風製 ソリデライト)にて1分間光照射を行い、硬化させることで、歯冠形態を記録したシリコーン組成物の凹型を得た。次に、得られたシリコーン組成物の凹型内面に光硬化性樹脂(株式会社松風製 ソリデックスハーデュラ インサイザル59)を填入した。これを石こう模型の支台歯部分に圧接し、技工用光重合器を用いて30秒間光照射することによって光硬化性樹脂の仮重合を行い、シリコーン組成物から取り外すときの光硬化性樹脂の硬化性を以下の2段階で評価した。尚、以下の比較例に示す2液混合型の従来型硬化性シリコーン組成物においては、専用のスタティックミキサを用いて2液を混合後、一定時間静置することによってシリコーン組成物を硬化させたこと以外は全て前記実施例の場合と同様に評価した。
○:形態を崩すことなく取り外せた。
×:変形が認められ、修正するには時間とテクニックが必要で、本発明の効果が得られなかった。
以下の比較例に示す2液混合型の従来型硬化性シリコーン組成物を、スタティックミキサを含む専用の練和器具を用いて混合練和し、ペーストを排出することで練和経路内をペーストで満たし、この状態で練和器具及び練和器具内に残存したペーストの重量を計測し、1回使用で生じる廃棄物の重量を算出した。尚、以下の実施例に示すシリコーン組成物においては、練和器具等を必要としないため、基本的に1回の使用では廃棄物を生じない。
本発明の可視光硬化性シリコーン組成物の調製に用いた成分(1)〜(3)、及びその屈折率、吸収波長、及び50%粒子径を表1に示した。尚、屈折率と50%粒子径は以下の方法にて測定した。
(屈折率)
アタゴ社製アッベ屈折計を用いて、ステージ温度24〜26℃の条件で測定。
(50%粒子径)
日機装社製マイクロトラックMT3300を用いて測定。
(可視光硬化性シリコーン組成物の調製及び評価結果)
可視光硬化性シリコーン組成物の調合表、成分(1)と成分(3)の屈折率差、前期屈折率差の請求項1への適合・不適合(0.1000以内であるかどうか)、及び前述の各評価を実施した結果を表2に示した。
実施例2は実施例1における成分(1)の配合量を多く、成分(3)の配合量を少なくした組成物である。
実施例3は実施例1における成分(1)の配合量を少なく、成分(3)の配合量を多くした組成物である。
実施例4、及び6は実施例1における成分(2)の配合量を少なくした組成物である。
実施例5、及び7は実施例1における成分(2)の配合量を多くした組成物である。
実施例8は2種類の成分(3)を併用した組成物である。
実施例9は実施例1における成分(1)をMPSとした組成物である。
実施例2〜9では470nmの波長光に対して50%以上の高い光透過率を有し、シリコーン組成物の硬化性、及び光硬化性樹脂の硬化性共に良好であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。また、専用の練和器具等を必要としないため、一回使用における廃棄物は生じなかった。
(比較例)
比較例1は実施例1における成分(1)をVMSとした組成物である。比較例1では470nmの波長光に対して50%以上の高い光透過率を有していたものの、技工用光重合器による光照射では硬化しなかった。そのため、光硬化性樹脂の硬化性については評価できなかった。また、専用の練和器具等を必要としないため、一回使用における廃棄物は生じなかった。
比較例2は実施例1における成分(3)を長石とし、成分(1)と成分(3)の屈折率差を0.1000以上とした組成物である。比較例2では470nmの波長光に対して20%未満の低い光透過率を有し、シリコーン組成物の硬化性は良好であったものの、光硬化性樹脂が充分硬化せず、光硬化性樹脂の仮重合に必要な光透過率を有していなかった。また、専用の練和器具等を必要としないため、一回使用における廃棄物は生じなかった。
比較例3は2液混合型の従来型硬化性シリコーン組成物である。比較例3では470nmの波長光に対して50%以上の高い光透過率を有し、光硬化性樹脂の硬化性も良好であり、光硬化性樹脂の仮重合に充分な光透過率を有していた。尚、比較例3は2液混合型の従来型硬化性シリコーン組成物であるため、シリコーン組成物の硬化性については評価していない。また、専用の練和器具を用いて練和した場合、一回の使用において、スタティックミキサ3.5g、ミキサ内残存ペースト2.6g、合計6.1gの廃棄物が生じた。比較例3では1包装単位におよそ56gのペーストが含まれているため、2.6gのロスは全体の約4.6%に相当する。また、2液混合型のシリコーン組成物は、混合練和後、完全硬化までに室温で10分以上要するため、本発明の可視光硬化性シリコーン組成物と比較すると、待ち時間も長くなる。
Claims (4)
- 光硬化性樹脂成型物の作製時に用いる凹型を作製する為の1ペースト型の可視光硬化性シリコーン組成物であって、
成分(1)(メタ)アクリル基を有するオルガノポリシロキサン、
成分(2)350〜700nmの範囲の波長光で励起する光重合開始剤
成分(3)充填材
を含む可視光硬化性シリコーン組成物であって、
前記成分(1)及び前記成分(3)の屈折率差が0.1000以内であり、且つ、
硬化後の光透過性が50%以上であることを特徴とする光透過性を有する1ペースト型の可視光硬化性シリコーン組成物。 - 可視光硬化性シリコーン組成物全体に対して、
前記成分(1)の含有量が5wt%〜95wt%、
前記成分(2)の含有量が0.1wt%〜10wt%、
前記成分(3)の含有量が1wt%〜90wt%、
である請求項1に記載の可視光硬化性シリコーン組成物。 - 前記成分(1)と前記成分(3)の屈折率がそれぞれ1.380〜1.480の範囲にあることを特徴とする請求項1、または2に記載の可視光硬化性シリコーン組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の可視光硬化性シリコーン組成物を作製したい形態の対象物に塗布後、光照射することによって硬化させる、前記対象物の形態を記録した凹型を作製する工程と、
前記凹型に光硬化性樹脂を充填し、硬化した可視光硬化性シリコーン組成物である凹型を介して光照射を行う、光硬化性樹脂を硬化させる工程とからなることを特徴とする成型物の作製方法。
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