JP6659716B2 - セラミック繊維を有する複合材料 - Google Patents

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Description

本開示は、複合材料、より詳細には、セラミック繊維を有する複合材料を提供する。
直接的な歯科用修復材料は、硬化性相、典型的にはメタクリレート樹脂、開始剤、及び充填剤系からなる。これらの材料には、典型的に、ナノ寸法の粒子などの微粒子、マイクロメートル寸法に粉砕した材料、及び/又は溶液成長無機物が高度に充填されている。更に、事前硬化した「複合材」から製造された類似の組成物(例えば、歯科用ミルブランク)が市場に導入されており、この材料は、口の外で硬化され、縮小プロセス(例えば、ミリング加工)によって最終的な修復材の形状(例えば、インレー、オンレー、又はクラウン)に成形される。これらの歯科用修復材料はすべて、口腔環境において機能するための高い強度、剛性、及び破壊靭性を含む要件を有する。特に、大きな臼歯修復術においては、より高い破壊靭性の材料が非常に望ましい。
歯科用修復材料の機械的特性を向上させるために、材料に繊維を含める試みがなされてきた。しかしながら、これは、操作特性及び美的特性を犠牲にすることを伴った。繊維を使用すると、残念なことに、作業(例えば、成形及び先端削り(feather))を行うことが困難な、堅くて「ガリガリした(crunchy)」種類の操作をもたらす。ひとたび硬化すると、これらの歯科用修復材料の表面は、日々の使用により急速にその光沢を失う。加えて、これらの歯科用修復材料の多くは、繊維と樹脂との屈折率の不一致に起因して、不透明性の高い材料をもたらす。この屈折率の不一致は、望ましいとは言えない美的結果をもたらす。
そのため、繊維を含む複合材料であって、操作が容易であり、良好な美的特性をもたらし、同時に、歯科用修復材料として使用するのに必要な機械的特性をもたらす複合材料が、当技術分野において必要性とされている。
本開示は、向上した操作特性を良好な美的性質とともに有し、同時に、歯科用修復材料として使用するのに必要な機械的特性をもたらす、複合材料を提供する。具体的には、複合材料は、20〜40重量パーセント(重量%)の重合性成分と、4〜50重量%のセラミック繊維と、20〜70重量%のナノクラスターとを含み、複合材料の重量%値は、複合材料の総重量に基づくものであり、かつ合計すると100重量%の値になる。セラミック繊維のそれぞれは、ある長さを有し、セラミック繊維の総数に基づいて50パーセントのセラミック繊維の長さは、少なくとも50マイクロメートルであり、セラミック繊維の総数に基づいて90パーセントのセラミック繊維の長さは、500マイクロメートル以下である。ナノクラスターとともに、セラミック繊維の一様性の高い長さは、驚くべきことに、複合材料の操作特性、と固化後の固化複合材料の機械的特性の両方の向上をもたらす。加えて、複合材料によって達成される美的特性により、とりわけ、複合材料の表面のつやを、反復的な研磨剤との接触後でさえも維持することが可能となる。
複合材料は、複合材料の総重量に基づいて、最大12重量%のナノ粒子を含み得る。例えば、複合材料は、複合材料の総重量に基づいて、2〜12重量%のナノ粒子を含み得る。ナノ粒子は、分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子であってもよい。分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子は、分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子であってもよい。分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子はまた、分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子と分離した非ヒュームド非重金属酸化物ナノ粒子の両方を含み得る。複合材料はまた、本明細書に考察されるように、22〜64重量%のナノクラスターを含み得る。
本開示のセラミック繊維には、様々な物理特性が可能である。例えば、セラミック繊維の総数に基づいて65パーセントのセラミック繊維の長さが、少なくとも100マイクロメートルであり得、セラミック繊維の総数に基づいて90パーセントのセラミック繊維の長さが、350マイクロメートル以下であり得る。セラミック繊維は、50マイクロメートル〜500マイクロメートルの算術平均長さを有し得、好ましくは、セラミック繊維は、100マイクロメートル〜170マイクロメートルの算術平均長さを有し得る。セラミック繊維はまた、0.5〜20マイクロメートルの算術平均直径を有し得る。一実施形態において、セラミック繊維の算術平均直径は、9〜12マイクロメートルであり得る。
セラミック繊維は、非晶質セラミック繊維であってもよい。一実施形態において、セラミック繊維は、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素で形成され、セラミック繊維の総重量に基づいて、14重量パーセント未満の三酸化ホウ素を有する。そのようなセラミック繊維の例は、少なくとも10平方メートル毎グラム(m/g)の表面積を有し得る。
複合材料の重合性成分は、ある屈折率を有する固化した重合性成分を形成し得る。本明細書に考察されるように、固化した重合性成分の屈折率は、セラミック繊維の屈折率にほぼ一致する。例えば、セラミック繊維は、固化した重合性成分の屈折率の0.1以内の屈折率値を有し得る。追加の実施形態において、重合性成分は、ある屈折率を有する固化した重合性成分を形成し得、ここで、セラミック繊維は、固化した重合性成分の屈折率の0.05以内の屈折率値を有する。セラミック繊維の屈折率値の例としては、セラミック繊維は、1.40〜1.65の屈折率値を有することが挙げられる。追加の例において、セラミック繊維の屈折率値は、1.50〜1.58である。
様々な実施形態について、重合性成分は、エチレン性不飽和化合物であり得る。重合性成分は、フリーラジカル開始剤、光開始剤、熱活性化開始剤、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される開始剤を更に含み得る。
本開示の複合材料は、固化して歯科用製品となり得る。歯科用製品は、歯科用修復材、歯科用接着剤、歯科用ミルブランク、歯科用セメント、歯科用プロテーゼ、歯列矯正デバイス、歯列矯正用接着剤、歯科用鋳造材、人工クラウン、前歯部充填物、臼歯部充填物、及び窩洞ライナー又は歯科用コーティングからなる群から選択され得る。本開示の複合材料はまた、歯の表面付近又は表面上で使用され得る。例えば、複合材料は、歯の表面付近又は表面上に配置することができ、ここで、歯の表面付近又は表面上の複合材料の形状は、複合材料を固化させる前に、変化させることができる。歯の表面付近又は表面上の複合材料の形状を変化させることは、複合材料を、歯科用プロテーゼ、歯列矯正デバイス、歯科用クラウン、前歯部充填物、臼歯部充填物、又は窩洞ライナーからなる群から選択される歯科用製品に成形することを含み得る。固化後に、複合材料を研磨することができる。
複合材料のナノクラスターは、シリカ−ジルコニアナノクラスターであってもよい。そのようなシリカ−ジルコニアナノクラスターの例としては、一次粒子によって形成されるものが含まれ、ここで、一次粒子のそれぞれは、1ナノメートル〜200ナノメートルの直径を有し、シリカ−ジルコニアナノクラスターを形成する一次粒子は、ともに、クラスター形成物に分類される。そのようなナノクラスターは、実質的に非晶質であってもよい。そのようなナノクラスターは、その中に結晶相(例えば、ジルコニア)を含有してもよい。
本開示は、複合材料を製造する方法であって、20〜40重量%の重合性成分を用意することと、4〜50重量%のセラミック繊維を用意することと、20〜70重量%のナノクラスターを用意することであって、複合材料の重量%値は、複合材料の総重量に基づくものであり、かつ合計すると100重量%の値になり、セラミック繊維のそれぞれは、ある長さを有し、セラミック繊維の総数に基づいて50パーセントのセラミック繊維の長さが、少なくとも50マイクロメートルであり、セラミック繊維の総数に基づいて90パーセントのセラミック繊維の長さが、500マイクロメートル以下である、ナノクラスターを用意することと、重合性成分、セラミック繊維、及びナノクラスターを混合して複合材料を製造することを含む、方法を更に含む。本方法はまた、複合材料の総重量に基づいて最大12重量%のナノ粒子を用意することと、重合性成分、セラミック繊維、及びナノクラスター、並びにナノ粒子を混合して、複合材料を製造することと、を含み得る。
本開示のセラミック繊維はまた、その表面特性を改変するために、処理してもよい。例えば、セラミック繊維は、ある表面積を含み得、ここで、本方法は、セラミック繊維の表面積を変化させるようにセラミック繊維を処理することを含む。そのため、例えば、セラミック繊維は、所定の量の三酸化ホウ素を含み得、ここで、セラミック繊維の表面積を変化させるようにセラミック繊維を処理することは、セラミック繊維から三酸化ホウ素の少なくとも一部分を除去することを含む。三酸化ホウ素の少なくとも一部分を除去することは、水中でセラミック繊維を煮沸して、セラミック繊維中の三酸化ホウ素を除去することを含み得る。
本開示は、本開示の複合材料を使用する方法であって、本開示の複合材料を歯の表面付近又は表面上に配置することと、歯の表面付近又は表面上の複合材料の形状を変化させることと、複合材料を固化させることと、を含む、方法を更に含む。最後に、本開示は、本明細書に提供される複合材料と、複合材料を保持するための少なくとも1つの容器とを含む、キットを提供する。
本開示は、向上した操作特性を良好な美的性質とともに有し、同時に、歯科用修復材料として使用するのに必要な機械的特性をもたらす、複合材料を提供する。具体的には、複合材料は、重合性成分、セラミック繊維、及びナノクラスターを含む。複合材料において使用されるセラミック繊維は、本明細書に考察されるように、一様性の高い長さを有する。ナノクラスターの使用とともに、セラミック繊維の一様性の高い長さは、驚くべきことに、複合材料の操作特性、と固化後の固化複合材料の美的特性の両方の向上をもたらす。そのような向上した美的特性の例としては、練り歯磨きを用いたブラッシングなど、反復的研磨に曝された後でさえも、つやを保持することができる固化複合材料が挙げられる。
本開示の固化複合材料はまた、他の望ましい美的、物理的、及び機械的特性を有し得る。例えば、本開示の固化複合材料は、放射線不透過性、高い機械的強度、及び実質的な透光性を有し得る。放射線不透過性は、歯科用途で使用される複合材料にとって非常に望ましい特性である。放射線不透過性であるため、複合材料は、標準的な歯科用X線機器を使用して試験することができ、それによって、固化複合材料に隣接する歯の組織におけるわずかな漏れ又は虫歯の長期検出を促進することができる。
固化複合材料は、可視光に対する実質的な透光性(例えば、低い視覚的不透明性)を有し得る。固化複合材料が、歯科用修復材料として使用した場合に本物のような外観を有するように、不透明性を有することが望ましい。そのような複合材料が、可視光誘起光開始を用いて固化又は重合されることが意図される場合、必要とされる硬化深度(ときには、2ミリメートルと同程度か又はそれ以上)に到達するために、固化複合材料において一様な硬度を達成するために、また口内で固化反応を実行することにより被る物理的制限に応じるために(これは、とりわけ、未固化複合材料が通常は限られた角度からしか光に露光されないこと、及び固化放射線が携帯型装置によって提供されることを必要とする)、透光性であることが望ましい。本明細書に考察されるように、ある程度は、セラミック繊維の屈折率を複合材料の固化重合性成分の屈折率と一致させることによって、透光性が複合材料に達成され得る。
施術者はまた、歯科用途に使用される複合材料に、良好な操作特性を所望するが、それは、この特性が時間の節約につながるためである。例えば、歯科用修復作業中に、複合材料を成形し、輪郭を削り、先端を削って所望の形状にすることが望ましい。本開示の時点までに、機械的特性を向上させるのに十分な使用量レベルで繊維を複合材料に使用する試みがなされているが、複合材料の操作は良くなったとしても芳しくはない。微粉化又は粉砕した繊維を用いたこうした試みは、「ガリガリした」種類の操作をもたらしたが、これは、歯科用修復材料が良好な操作及び「先端削り性」の特徴を有するには、避けるべきものである。これらの他の複合材料は「塊」も有したが、これが、材料の操作を予測不可能かつ不均一なものにする。
これらの失敗した試みとは異なり、本開示の複合材料は、機械的特性を向上させるのに十分な繊維使用量で、良好な操作特徴を維持する。本開示の複合材料は、一定かつ均質な組成を呈し、これにより、複合材料の予測可能かつ一様な操作が可能となる。加えて、本開示において使用されるセラミック繊維及び重合性成分の屈折率は、好適には、実質的な透光性(例えば、低い視覚的不透明性)及び歯科用修復材料として使用するための高い美的性質をもたらすように、一致する。最後に、本発明の固化複合材料は、セラミック繊維及びナノクラスターの存在に起因して、向上した破壊靭性及び曲げ弾性率を呈し、複合材料の操作特性又は美的特性の低下が最小限に抑えられる。繊維の使用は、複合材料の操作特性と美的特性の両方を低下させることが知られているため、これは予想外である。
理論に束縛されることを望むものではないが、これらの好ましい属性をもたらしているのは、本開示の複合材料に使用されるセラミック繊維及びナノクラスターのサイズ及び比較的一様な分布の組み合わせであると仮定される。セラミック繊維の一様性の高い長さは、驚くべきことに、複合材料の操作特性、と固化後の固化複合材料の物理的特性の両方の向上をもたらす。そのような向上した物理的特性の例としては、反復的な研磨剤との接触後につやを保持することができる歯科用修復材料が挙げられる。
定義
本明細書に使用されるとき、「セラミック」とは、炭素、窒素、又は酸素に結合した金属を含む無限の3次元網目構造からなる剛性材料である。セラミックは、本明細書に使用されるとき、結晶質、部分結晶質、又は非晶質であってもよい。
「電子供与体」という用語は、一般に、電子を供与することができる置換基を有する化合物を指す。好適な例としては、第一級アミノ、第二級アミノ、第三級アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に使用される際、「固化性」とは、例えば、溶媒を除去すること(例えば、蒸発及び/若しくは加熱によって)、加熱して重合及び/若しくは架橋を誘導すること、放射線照射して重合及び/若しくは架橋を誘導すること、並びに/又は1つ以上の成分を混合して重合及び/若しくは架橋を誘導することによって、硬化(例えば、重合若しくは架橋)又は固めることができる、材料又は組成物を表す。
「歯科用製品」とは、口腔表面(例えば、歯牙構造)に接着(例えば、固着)することができる物品を意味する。典型的には、歯科用製品は、修復された歯列又はその一部分である。例としては、修復材、代用品、インレー、オンレー、ベニア、総クラウン及び部分クラウン(full and partial crown)、ブリッジ、インプラント、インプラントアバットメント、コーピング、前歯部充填物、臼歯部充填物、窩洞ライナー、シーラント、義歯、ポスト、ブリッジフレームワーク及びその他のブリッジ用構造体、アバットメント、歯列矯正用装置及びデバイス、並びにプロテーゼ(例えば、部分義歯又は総義歯)が挙げられる。
本明細書に使用されるとき、「サイジング剤(sizing)」とは、保護及び操作補助のために繊維ストランドに適用される、デンプン、油、ワックス、又は他の好適な成分(例えば、有機成分)として定義される。サイジング剤は、潤滑性及び結合作用をもたらす成分を含有する。サイジング剤にはまた、表面処理剤、例えばシランを有するものが包含され得、ここで、シランは、反応基、例えば重合性基を含み得る。
「口腔表面」とは、口腔環境内の軟質又は硬質表面を意味する。硬質表面としては、典型的に、例えば、天然及び人工の歯の表面、骨、歯の模型、象牙質、エナメル質、セメント質などを含む歯牙構造が挙げられる。
「充填剤」とは、口腔環境で使用するのに好適な微粒子材料を意味する。歯科用充填剤は、一般に、最大100マイクロメートルの数平均粒径を有する。
「輪郭削り」とは、材料を、天然の歯科解剖学に似るように、(歯科用装置を使用して)成形するプロセスを指す。容易な輪郭削りのために、材料は、歯科用装置での操作後に、それらの形状を維持するのに十分に高い粘度を有するべきであるが、粘度は、材料を成形するのが困難になるほど高くあるべきではない。
「先端削り」は、歯科用修復材料を、材料が天然の歯列になじむように、薄いフィルムにするプロセスを指す。これは、操作される材料と天然歯列との縁のところで歯科用装置を用いて行われる。
「非晶質セラミック繊維」とは、結晶の長距離秩序を欠く、結晶質ではない固体を意味する。本明細書に使用されるとき、「非晶質セラミック繊維」は、ガラスと同義である。
本明細書に使用されるとき、「ナノ粒子」は、分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子である。分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子は更に、「分離した非ヒュームド非重金属酸化物ナノ粒子」又は「分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子」のいずれかに分類される。「分離した非ヒュームド非重金属酸化物ナノ粒子」は、重金属のもの(本明細書において、「分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子」として定義される)以外の元素の酸化物を意味する。本明細書に使用されるとき、「非重金属酸化物」は、原子番号が28以下の元素の金属酸化物を意味する。本開示の一態様において、シリカが、非重金属酸化物の一例であり、シリカナノ粒子が、分離した非ヒュームド非重金属酸化物ナノ粒子の一例である。本明細書に使用されるとき、「重金属酸化物」は、原子番号が28を上回る元素の酸化物を意味する。本開示の一態様において、酸化ジルコニアが、重金属酸化物の一例である。
ナノ粒子の平均粒径は、固化させた歯科組成物の細長い試料を切断し、300,000倍で透過電子顕微鏡を用いて約50〜100個の粒子の粒径を測定し、平均を計算することによって、判定することができる。
本明細書に使用されるとき、「分離した」とは、互いから離れており凝集していない個々の粒子(例えば、ナノ粒子)を意味する。
本明細書に使用されるとき、「ナノクラスター」とは、一般に、固化性樹脂中に分散させた場合でもナノ粒子を凝集させる比較的弱いが十分な分子間力によって会合した2つ以上のナノ粒子の集団を指す。好ましいナノクラスターは、分離した非ヒュームド非重金属酸化物ナノ粒子(例えば、シリカナノ粒子)及び重金属酸化物(例えば、ジルコニア)の軽度に凝集した実質的に非晶質のクラスターを含み得る。ジルコニアが重金属酸化物として存在している場合、ジルコニアは、結晶質でも非晶質でもあり得る。更に、重金属酸化物は、粒子(例えば、ジルコニアナノ粒子などの分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子)として存在してもよい。そこからナノクラスターが形成される粒子は、好ましくは、5nm〜約100nmの平均直径を有する。しかしながら、軽度に凝集したナノクラスターの平均粒径は、典型的には、かなり大きい。典型的には、ナノクラスターは、マイクロメートル範囲(例えば、3マイクロメートル、5マイクロメートル、7マイクロメートル、10マイクロメートル、及び一部の事例では、30〜50マイクロメートル)の最長寸法を有する。ナノクラスターのサイズは、米国特許第6,730,156号(第21欄1〜22行目、「Cluster Size Determination」)に概説される方法に従って判定することができる。
「実質的に非晶質」とは、ナノクラスターが、本質的に結晶構造を含まないことを意味する。結晶性がないこと(又は非晶質相が存在すること)は、好ましくは、米国特許第6,730,156号(第21欄23行目〜第22欄33行目、「Crystallinity Index Procedure」)に概説されるように、結晶化度指数(Crystallinity Index)を提供する手順によって判定される。結晶化度指数は、材料の結晶性又は非晶質の程度を特徴付け、それによると、1.0の値が完全な結晶構造を示し、ゼロに近い値が非晶質相のみの存在を示す。本開示のナノクラスターは、好ましくは、約0.1未満、より好ましくは約0.05未満の指数を有する。
「ナノ」とは、少なくとも1つの寸法が、平均で最大200ナノメートルである形態の材料(例えば、分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子)を意味する。したがって、ナノ材料とは、例えば、本明細書に定義されるナノ粒子及びナノクラスターを含む材料を指す。そのため、例えば、「ナノ粒子」は、最大200ナノメートルの数平均直径を有する粒子を指す。球状粒子に関して本明細書に使用されるとき、「サイズ」とは、粒子の直径を指す。非球状粒子に関して本明細書に使用されるとき、「サイズ」とは、粒子の最長寸法を指す。ある特定の実施形態において、ナノ粒子は、分離した非凝集化及び非粒塊化粒子から構成される。
本明細書に使用されるとき、「エチレン性不飽和化合物」という用語は、少なくとも1つのエチレン不飽和を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを含むことを意味する。
「重合」とは、モノマー又はオリゴマーから、より高分子量の材料を形成することを意味する。重合反応は、架橋反応も伴い得る。
本明細書に使用されるとき、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート、メタクリレート、又はこれらの組み合わせの省略表現であり、「(メタ)アクリル」は、アクリル、メタクリル、又はこれらの組み合わせの省略表現である。本明細書に使用されるとき、「(メタ)アクリレート官能性化合物」は、とりわけ、(メタ)アクリレート部分を含む化合物である。
本明細書に使用されるとき、「固化複合材料」は、物理的及び/又は化学的変換を受けて圧力に耐える強固な複合材料となった本開示の複合材料である。複合材料の物理的及び/又は化学的変換は、凝固、硬化、重合、架橋、又は融合プロセスによるものであり得る。
本明細書に使用されるとき、「透光性」とは、材料が光を透過する度合いである。これは、コントラスト比、透光性パラメータ、又は既知の厚さの材料を通る透過パーセントによって定量化することができる。歯科用修復材料における透光性は、しばしば、コントラスト比から判定される。コントラスト比は、標準黒色背景(R)の上に置いた標本からの白色光減衰と、標準白色背景(R)のものとの比である。コントラスト比は、CR=R/R×100として計算される。コントラスト比100は、完全に不透明な標本を表す。透光性は、100−CRとして表される。
本明細書に使用されるとき、「歯科用ミルブランク」とは、歯科用製品をミリング加工することができる材料(例えば、固化複合材料)のブロックである。
「機械加工」とは、3次元構造又は形状を有する材料の、機械によるミリング加工、研削、切断、削り出し、又は成形を意味する。
「含む(comprising)」という用語及びその変化形(例えば、含む(comprises)、含む(includes)など)は、これらの用語が本明細書及び特許請求の範囲で使用される場面において限定的な意味を有するものではない。
本明細書に使用されるとき、「CAD/CAM」とは、コンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造の略語である。
本開示において、複合材料を構成する様々な成分(例えば、少なくとも1つの重合性成分、セラミック繊維、及びナノクラスター)の重量百分率(重量%)値が、列挙される。複合材料のこれらの重量%値は、複合材料の総重量に基づくものであり、本開示の複合材料を形成するために使用されるすべての成分の重量%値は、常に、合計すると100重量%の値になる。
本明細書における端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含されるすべての数を含むことが意図される(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
本明細書に使用されるとき、別途示されない限り、不定冠詞「a」又は「an」は、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味する。加えて、単数形の不定冠詞「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈により明確に示されない限り、複数形の指示対象を含む。したがって、例えば、「化合物(a compound)」を含有する組成物への言及は、2つ以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される「又は」という用語は、概して、別途文脈により明確に示されない限り、「及び/又は」を含む意味で用いられる。
別途示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲に使用される成分の量、コントラスト比などの特性の測定値などを表すすべての数は、すべての場合において「約」という用語によって修飾され得る。したがって、別途示されない限り、上記の本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者により得ることが求められる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、また特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告されている有効数字の桁数を考慮して、通常の四捨五入を適用することによって解釈されるべきである。本開示の広い範囲に記載される数値範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体例に記載される数値は可能な限り正確に報告する。しかしながら、いずれの数値も、それらの各試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる、一定の誤差を本質的に含む。
本明細書に考察されるとき、本開示の複合材料は、4〜50重量パーセント(重量%)のセラミック繊維を含み、ここで、この重量%は、複合材料の総重量に基づく。この範囲内の重量パーセントを有するセラミック繊維もまた、可能性がある。例えば、複合材料のセラミック繊維は、低い方の4、5、6、8、10、12、16、又は18のいずれかの値から、所与の範囲の高い方の50、48、45、42、40、38、36、34、32、30、28、24、又は20の値までの重量パーセント値を有し得る。低い方の値と高い方の値との異なる組み合わせが、セラミック繊維の重量%に対して可能である。そのような組み合わせの例には、複合材料中4〜40重量%のセラミック繊維、複合材料中8〜40重量%のセラミック繊維、又は複合材料中16〜40重量%のセラミック繊維が挙げられ、ここで、この重量%は、複合材料の総重量に基づく。本明細書に列挙される低い方の値と高い方の値との任意の組み合わせを、複合材料中のセラミック繊維の重量%の範囲を提供するために使用することができる。
複合材料のセラミック繊維は、それぞれ、ある長さを有する。セラミック繊維のそれぞれが、異なる長さを有し得るため、セラミック繊維の長さは、所与の長さ値よりも上又は下のいずれかであるセラミック繊維の総数の割合で分類され得る。例えば、セラミック繊維の長さ「L」は、所与の値よりも短いか又は長いかのいずれかのセラミック繊維の割合によって得られる。これらの「L」値は、所与の長さ値以下である長さを有するセラミック繊維の割合(セラミック繊維の総数に基づいて)を示す数値接頭辞(例えば、「L10」、「L25」、「L50」、「L75」、「L90」、又は「L99」)を含む。そのため、例えば、「L10」は、10%のセラミック繊維が、L10の長さ値以下であることを示すことができ、L50は、50%のセラミック繊維が、L50の長さ値以下であり、50%のセラミック繊維が、L50の長さ値を上回ることを示すことができ(これは、メジアン長さとしても知られる)、L90は、90%のセラミック繊維が、L90の長さ値以下であることを示すことができる。
本開示については、セラミック繊維の総数に基づいて50パーセントのセラミック繊維の長さ(すなわち、「L50」)が、少なくとも50マイクロメートルであり、セラミック繊維の総数に基づいて90パーセント(%)のセラミック繊維の長さ(すなわち、「L90」)が、500マイクロメートル以下である。換言すると、本開示の複合材料については、少なくとも50%のセラミック繊維(「L50」)が、少なくとも50マイクロメートルである長さを有し、少なくとも90%のセラミック繊維が、500マイクロメートル以下である長さを有する。セラミック繊維の「L」値については、セラミック繊維の総数の所与の割合よりも低いか又は高いかのいずれかの他の値及び範囲が可能である。例えば、セラミック繊維の総数に基づいて65パーセントのセラミック繊維の長さ(「L65」)が、少なくとも100マイクロメートルであり得、セラミック繊維の総数に基づいて90パーセントのセラミック繊維の長さ(「L90」)が、350マイクロメートル以下である。L90値(セラミック繊維の総数に基づいて90%のセラミック繊維の長さ)はまた、次の値:475マイクロメートル以下、450マイクロメートル以下、425マイクロメートル以下、400マイクロメートル以下、375マイクロメートル以下、350マイクロメートル以下、325マイクロメートル以下、300マイクロメートル以下、275以下、若しくは250マイクロメートル以下のうちのいずれか1つを含み得、一方でL50値(セラミック繊維の総数に基づいて、50%のセラミック繊維の長さ)はまた、次の値:少なくとも75マイクロメートル、少なくとも100マイクロメートル、少なくとも125マイクロメートル、少なくとも150マイクロメートル、少なくとも175マイクロメートル、少なくとも200マイクロメートル、又は少なくとも225マイクロメートルのうちのいずれか1つを含み得、ここで、L90及びL50値の範囲の組み合わせが可能である。L90及びL50値のそのような範囲の例には、475マイクロメートル以下のL90値及び少なくとも75マイクロメートルのL50値、475マイクロメートル以下のL90値及び少なくとも100マイクロメートルのL50値、並びに475マイクロメートル以下のL90値及び少なくとも100マイクロメートルのL50値を有する本開示のセラミック繊維が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示のセラミック繊維はまた、ある算術平均長さを有し得る。例えば、複合材料のセラミック繊維は、50マイクロメートル〜500マイクロメートル未満の算術平均長さであり得る。好ましくは、複合材料のセラミック繊維は、100マイクロメートル〜170マイクロメートルの算術平均長さであり得る。セラミック繊維はまた、0.5〜20マイクロメートルの算術平均直径を有し得る。一実施形態において、セラミック繊維の算術平均直径は、6〜15マイクロメートルであり得る。好ましくは、セラミック繊維の算術平均直径は、8〜13マイクロメートルである。最も好ましくは、セラミック繊維の算術平均直径は、9〜12マイクロメートルである。セラミック繊維は円形の断面に加えて、異なる断面形状を有することも可能であることが理解される。例としては、当技術分野で公知の中でもとりわけ、リボン様、卵形(非円形)、及び多角形(例えば、三角形又は四角形)が挙げられるが、これらに限定されない。
複合材料のセラミック繊維のサイズ及び形状は、更に、それらのアスペクト比(例えば、長さと直径との比)に基づいて記載され得る。セラミック繊維の断面形状が、必ずしも円形ではない場合があることを理解されたい。このように、セラミック繊維の断面積を使用して、本明細書に考察されるアスペクト比に使用されるべき「直径」値を導くことができる。本開示については、少なくとも50マイクロメートルの長さを有する50パーセントのセラミック繊維のメジアン長さの、少なくとも50マイクロメートルの長さを有する50パーセントのセラミック繊維のメジアン直径に対するアスペクト比は、少なくとも5:1(メジアン長さ:メジアン直径)である。
本開示のセラミック繊維は、様々な組成を有し得る。好ましくは、本開示のセラミック繊維は、少なくとも部分的に非晶質のセラミック繊維である。より好ましくは、本開示のセラミック繊維は、完全に非晶質のセラミック繊維である。セラミック繊維は、連続長で製造され得、これが、本明細書に考察されるように、細断又は剪断されて、本開示のセラミック繊維が得られる。
本開示のセラミック繊維は、様々な市販のセラミックフィラメントから製造され得る。本開示のセラミック繊維を形成するのに有用なフィラメントの例としては、商標名Nextel(商標)(3M Company,St.Paul,MN)で販売されているセラミック酸化物繊維が挙げられる。Nextel(商標)は、操作温度では低い伸長及び収縮率を有する連続フィラメントセラミック酸化物繊維であり、良好な化学物質耐性、低い熱伝導率、熱ショック耐性、及び低い多孔性を提供する。Nextel(商標)の具体的な例としては、Nextel(商標)312、Nextel(商標)440、Nextel(商標)550、Nextel(商標)610、及びNextel(商標)720が挙げられる。Nextel(商標)312及びNextel(商標)440は、Al、SiO、及びBを含む耐熱性アルミノホウケイ酸塩である。Nextel(商標)550及びNextel(商標)720は、アルミノシリカであり、Nextel(商標)610は、アルミナである。
アルミノホウケイ酸塩の存在のため、特定のNextel(商標)セラミック酸化物繊維が好ましく、この繊維により、複合材料には、本明細書の実施例に示されるように、所望される屈折率値、及び研磨して所望の光沢度になる能力が提供される。好ましくは、セラミック繊維は、Nextel(商標)312から形成される。Nextel(商標)312は、重量パーセント(重量%)で、62.5重量%のAl、24.5重量%のSiO、及び13重量%の三酸化ホウ素(B)の化学組成を有し、ここで、この重量%は、セラミック繊維の総重量に基づく。Nextel(商標)312は、10〜12マイクロメートルのフィラメント径、1.568の屈折率、及び3Mからの提供によると0.2未満の表面積(m/g)を有する。Nextel(商標)440は、70重量%のAl、28重量%のSiO、及び2重量%のBの化学組成、10〜12マイクロメートルのフィラメント径、1.614の屈折率、並びに3Mからの提供によると0.2未満の表面積(m/g)を有する。Nextel(商標)550は、73重量%のAl及び27重量%のSiOの化学組成、10〜12マイクロメートルのフィラメント径、1.602の屈折率、並びに3Mからの提供によると0.2未満の表面積(m/g)を有する。
製造の際に、NEXTEL(商標)フィラメントは、有機サイジング剤又は仕上げ剤でコーティングされ、これが、繊維加工の補助剤として機能する。サイジング剤は、保護及び操作補助のためにフィラメントストランドに適用されるデンプン、油、ワックス、又は他の有機成分の使用を含み得る。サイジング剤には、表面処理剤、例えばシランを有するものも含まれてよく、ここで、この表面処理剤は、重合性基を含んでも含まなくてもよい。サイジング剤は、フィラメント又はセラミック繊維を700℃の温度で1〜4時間熱処理することによって、セラミックフィラメントから除去することができる。
本開示によるセラミック繊維はまた、他の好適なセラミック酸化物フィラメントから形成することもできる。そのようなセラミック酸化物フィラメントの例としては、Central Glass Fiber Co.,Ltd.から市販のもの(例えば、EFH75−01、EFH150−31)が挙げられる。約2%未満のアルカリを含有するか、又は実質的にアルカリを含まないもの(すなわち、「Eガラス」繊維)である、アルミノホウケイ酸塩ガラス繊維もまた、好ましい。Eガラス繊維は、多数の商業的供給業者から市販されている。
本明細書に考察されるとき、本開示のセラミック繊維は、本明細書に考察される範囲内の割合の繊維長を提供するように、切断又は細断することができる。この比較的一様な長さ範囲を有するセラミック繊維を製造することは、セラミック材料の連続フィラメントを、他の切断操作の中でもとりわけ、機械的剪断操作又はレーザー切断操作で切断することによって達成することができる。そのような切断操作の高度に制御される性質を考慮すると、セラミック繊維のサイズ分布は、非常に狭く、それによって、セラミック繊維の総数に基づいて50パーセントのセラミック繊維の長さ(すなわち、L50)が、少なくとも50マイクロメートルとなり、セラミック繊維の総数に基づいて90パーセントのセラミック繊維の長さ(すなわち、「L90」)が500マイクロメートル以下となることが可能となる。
本明細書に考察されるように、複合材料の操作性の改善と、セラミック繊維の狭いサイズ分布との間には直接相関があることが観察されている。そのため、例えば、セラミック繊維のサイズ分布が狭くなると、その他のことがすべて等しくとも、複合材料の操作性に著しい改善が期待される。これは、特に歯科用修復材料用途について、本開示の非常に望ましい特性である。本開示のセラミック繊維とは対照的に、粉砕又は微粉化したセラミック繊維は、示された範囲でそのような狭いサイズ分布は示さず、問題の多い複合材料がもたらされる。例えば、500マイクロメートルを上回るセラミック繊維の数が多すぎると、それらが複合材料中に存在することにより、優れない操作特性がもたらされ、50マイクロメートル未満のセラミック繊維の数が多すぎると、それらが複合材料中に存在することにより、硬化複合材料における機械的特性が望ましいとは言えないものとなる。
本開示のセラミック繊維はまた、その表面特性を改変するために、処理してもよい。例えば、セラミック繊維の煮沸処理は、セラミック繊維からサイジング剤を除去するのに役立ち得る。セラミック繊維の煮沸処理はまた、セラミック繊維の表面積を変化させるのに役立ち得る。そのため、例えば、ホウ化アルミノケイ酸塩(boroaluminosilicate)繊維(例えば、Nextel(商標)312)の表面を、煮沸法によりエッチングすることは、これらの繊維から三酸化ホウ素を浸出させることに役立つことが見出されている。煮沸法には、セラミックフィラメント又はセラミック繊維を脱イオン水中に分散させること、及び大気圧においてこの混合物を所定の時間煮沸することが含まれる。所定の煮沸時間は、セラミック繊維に使用された任意のサイジング剤の組成及び/又はセラミック繊維自体の組成に依存し得る。煮沸法の所定の時間として好適な時間の例としては、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、60分間、65分間、70分間、75分間、80分間、85分間、90分間、95分間、100分間、105分間、110分間、115分間、及び120分間が挙げられるが、これらに限定されない。他の所定の時間も可能である。一実施形態において、煮沸法が90分間行われたNextel(商標)312フィラメントは、セラミック繊維の総重量に基づいて14重量パーセント未満の三酸化ホウ素を有していた。
セラミック繊維のサイジング剤及び/又は特定の部分はまた、酸又は塩基でのエッチングによって除去することもできる。熱処理もまた、セラミック繊維からサイジング剤を除去するために使用することができる。レーザー又はプラズマアブレーションによってセラミック繊維の任意のサイジング剤及び/又は特定の部分を除去することもまた、可能である。
セラミック繊維から成分を除去することに加えて、セラミック繊維の表面特性を改変するようにセラミック繊維を処理することは、セラミック繊維の表面積の増加ももたらす。例えば、本開示のセラミック繊維は、表面積を少なくとも10平方メートル毎グラム(m/g)に増加させるように、処理してもよい(例えば、90分間煮沸)。本明細書に考察されるセラミック繊維の表面積の測定は、Brunauer、Emmett、及びTellerによって開発された、一般に「BET」ガス吸着と称される技法を使用して達成することができ、S.Brunauer,「Physical Adsorption」(Princeton University Press,Princeton,N.J.,1945)を参照されたい。
結果として、これらのセラミック繊維の表面積が増加し、続くこれらのセラミック繊維の重合性成分への結合が良好となる。そのようなセラミック繊維を使用することは、本開示の複合材料が、曲げ強度など、良好な機械的特性を保持するのに役立ち、この特性は、歯科用修復材料にとって、並びに一般的な用途でも良好な複合材性能にとって、重要な特性である。また、セラミック繊維を、任意のサイジング剤を除去する、かつ/又はその表面積を増加させるために処理した後に、1つ以上の(例えば、2つ以上の)カップリング剤をセラミック繊維に使用してもよい。1つ以上のカップリング剤はまた、本明細書に考察される充填剤粒子とともに使用してもよい。そのため、本明細書に考察される2つ以上のカップリング剤の組み合わせを、複合材料において、セラミック繊維及び存在する場合は充填剤粒子とともに使用してもよい。一部の実施形態において、そのようなカップリング剤は、重合性成分とセラミック繊維、並びに存在する場合は充填剤粒子との間に化学結合(例えば、共有結合)を提供するのに役立ち得る。カップリング剤は、重合性成分とセラミック繊維の両方及び充填剤粒子(存在する場合)と反応し、それによって、重合した重合性成分とセラミック繊維及び充填剤粒子(存在する場合)との間の境界面として機能する、化合物である。セラミック繊維及び充填剤粒子(存在する場合)は、重合性成分と混合する前にカップリング剤で処理してもよい。したがって、一部の実施形態では、カップリング剤には、重合性基、例えば、1つ以上のエポキシ基、アクリレート基、及び/又は(メタ)アクリレート基が含まれる。他の実施形態では、カップリング剤は、重合性基を含まない。
様々な実施形態について、カップリング剤は、オルガノシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤、酸性カップリング剤、又はこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。カップリング剤は、予備処理として無機材料(例えば、セラミック繊維及び存在する場合は充填剤粒子)に適用されてもよく、及び/又は重合性成分に添加されてもよい。
オルガノシランカップリング剤は、一般式RSiX(4−n)を有する。官能基「X」は、基質との反応に関与し、式中、Xは、各発生で独立して、アルコキシ、アシルオキシ、又はアミンなどの加水分解性基である。Rは、オルガノシランカップリング剤と有機ポリマーなどとの結合又はそれとの適合性の改善を可能にする官能基を有する、非加水分解性有機基である。オルガノシランカップリング剤の好適な例としては、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシオクチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。オルガノシランカップリング剤の他の好適な例としては、n−オクチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。オルガノシランカップリング剤の混合物を使用してもよい。
チタネートカップリング剤には、セラミック繊維及び存在する場合は充填剤粒子とのコンジュゲーションに有用なモノアルコキシチタネートのファミリーが挙げられる。チタネートカップリング剤は、典型的に、3つの有機ペンダント官能基を有する。チタネートカップリング剤はまた、より多い使用量を可能にする、及び/又はより良好な流動性を達成するための可塑剤として機能する。チタネートカップリング試薬の好適な例としては、メトキシジエチレングリコールトリメタクリロイルチタネートが挙げられる。
ジルコネートカップリング剤としては、2,2−ジ(アリルオキシメチル)ブチルトリメタクリロイルジルコネートが挙げられる。
酸性カップリング剤としては、モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルスクシネートが挙げられる。
本開示の複合材料は、重合性成分が存在するため、固化性である。複合材料は、20〜40重量%の重合性成分を含む。一部の実施形態において、複合材料は、口腔表面に適用する前に、固化され得る(例えば、従来的な光重合及び/又は化学重合技法によって重合され得る)。他の実施形態では、複合材料は、口腔表面に適用した後に、固化され得る(例えば、従来的な光重合及び/又は化学重合技法によって重合され得る)。
重合性成分の例としては、口腔環境での使用に好適となるのに十分な強度、加水分解安定性、及び非毒性を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。そのような材料の例としては、アクリレート、メタクリレート、ウレタン、カルバモイルイソシアヌレート、及びエポキシ樹脂(例えば、米国特許第3,066,112号(Bowen)、米国特許第3,539,533号(Lee IIら)、米国特許第3,629,187号(Waller)、米国特許第3,709,866号(Waller)、米国特許第3,751,399号(Leeら)、米国特許第3,766,132号(Leeら)、米国特許第3,860,556号(Taylor)、米国特許第4,002,669号(Grossら)、米国特許第4,115,346号(Grossら)、米国特許第4,259,117号(Yamauchiら)、米国特許第4,292,029号(Craigら)、米国特許第4,308,190号(Walkowiakら)、米国特許第4,327,014号(Kawaharaら)、米国特許第4,379,695号(Orlowskiら)、米国特許第4,387,240号(Berg)、米国特許第4,404,150号(Tsunekawaら)に示されているもの)、並びにそれら組み合わせ及び誘導体が挙げられる。
ある特定の実施形態において、複合材料の重合性成分は、光重合性である、すなわち、重合性成分は、化学線を照射すると、複合材料の重合(又は固化)を開始する、光開始剤系を含有する。他の実施形態では、複合材料の重合性成分は、化学固化性である、すなわち、重合性成分は、化学線の照射に依存することなく、複合材料を重合、硬化、又は別の方法で固化することができる、化学開始剤(すなわち、開始剤系)を含有する。このような化学固化性組成物は、「自己硬化」組成物と称されることがある。
典型的には、重合性成分は、酸官能基を有するか又は有さないエチレン性不飽和化合物を1つ以上含む。有用なエチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性メタクリル酸エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
複合材料は、特に、光重合性の実装形態では、フリーラジカル活性官能基を有する化合物を含んでもよく、これは、1つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを含み得る。好適な化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有し、付加重合を受けることが可能である。そのようなフリーラジカル重合性化合物としては、モノ−、ジ−、又はポリ−(メタ)アクリレート(すなわち、アクリレート及びメタクリレート)、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、及びトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート;(メタ)アクリルアミド(すなわち、アクリルアミド及びメタクリルアミド)、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、及びジアセトン(メタ)アクリルアミド;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(好ましくは、分子量200〜500のもの)のビス−(メタ)アクリレート、アクリレート化モノマー、例えば米国特許第4,652,274号(Boettcherら)に記載のもの、アクリレート化オリゴマー、例えば米国特許第4,642,126号(Zadorら)に記載のもの、及びポリ(エチレン性不飽和)カルバモイルイソシアヌレート、例えば米国特許第4,648,843号(Mitra)に開示されるものの共重合性混合物;並びにビニル化合物、例えば、スチレン、ジアリルフタレート、ジビニルスクシネート、ジビニルアジペート、及びジビニルフタレートが挙げられる。他の好適なフリーラジカル重合性化合物としては、例えば、国際公開第00/38619号(Guggenbergerら)、同第01/92271号(Weinmannら)、同第01/07444号(Guggenbergerら)、同第00/42092号(Guggenbergerら)に開示されているようなシロキサン官能性(メタ)アクリレート、並びに、例えば米国特許第5,076,844号(Fockら)、同第4,356,296号(Griffithら)、欧州特許第0373384号(Wagenknechtら)、同第0201031号(Reinersら)、及び同第0201778号(Reinersら)に開示されているようなフルオロポリマー官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。必要に応じて、2つ以上のフリーラジカル重合性化合物の混合物を使用してもよい。一部の実施形態において、メタクリロイル含有化合物を利用してもよい。
重合性成分はまた、単一分子内にヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基を含有してもよい。そのような物質の例としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート);グリセロールモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールモノ−、ジ−、及びトリ−(メタ)アクリレート;ソルビトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、又はペンタ−(メタ)アクリレート;並びに2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスGMA)が挙げられる。好適なエチレン性不飽和化合物はまた、様々な供給元、例えばSigma−Aldrich,St.Louisから市販されている。必要に応じて、エチレン性不飽和化合物の混合物を使用してもよい。
ある特定の実施形態において、重合性成分は、重量平均分子量が200〜1000のポリエチレングリコールのジメタクリレート、例えば、PEGDMA(分子量がおよそ400のポリエチレングリコールジメタクリレート)、ビスGMA、UDMA(ウレタンジメタクリレート)、GDMA(グリセロールジメタクリレート)、TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、2〜10モルのエトキシ化ビスフェノール−Aジメタクリレート(ビス−EMA)、例えば、米国特許第6,030,606号(Holmes)に記載のビスEMA6、NPGDMA(ネオペンチルグリコールジメタクリレート)、グリセロールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなる群から選択される化合物を含む。これらの固化性成分の様々な組み合わせを使用してもよい。上述の実施形態のいずれか1つを含むある特定の実施形態について、重合性樹脂は、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスGMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)、2〜10モルのエトキシ化ビスフェノール−Aジメタクリレート(ビスEMA)、重量平均分子量200〜1000のポリエチレングリコールのジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む。
複合材料が酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物を含有する場合、未充填組成物の総重量に基づいて、少なくとも5重量%、より典型的には少なくとも10重量%、及び最も典型的には少なくとも15重量%の量で、酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物が存在するのが一般的である。本開示の組成物は、典型的に、未充填組成物の総重量に基づいて、最大95重量%、より典型的には最大90重量%、及び最も典型的に最大80重量%の酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物を含む。
一部の実施形態において、重合性成分は、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を1つ以上含んでもよい。本明細書に使用されるとき、「酸官能基を有する」エチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和並びに酸及び/又は酸前駆体官能基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを含むことを意味する。酸前駆体官能基としては、例えば、無水物、酸ハロゲン化物、及びピロホスフェートが挙げられる。酸官能基としては、カルボン酸官能基、リン酸官能基、ホスホン酸官能基、スルホン酸官能基、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、α,β−不飽和酸性化合物、例えば、グリセロールホスフェートモノ(メタ)アクリレート、グリセロールホスフェートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(例えば、HEMA)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシエチル)ホスフェート、((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシ)プロピルオキシホスフェート、(メタ)アクリルオキシヘキシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシヘキシル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシオクチルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシオクチル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシデシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシデシル)ホスフェート、カプロラクトンメタクリレートホスフェート、クエン酸ジ−又はトリ−メタクリレート、ポリ(メタ)アクリレート化オリゴマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリカルボキシル−ポリホスホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリクロロリン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリスルホネート、ポリ(メタ)アクリレート化ポリホウ酸などが挙げられ、これらは、固化性成分系の成分として使用してもよい。また、不飽和炭酸のモノマー、オリゴマー、及びポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸、芳香族(メタ)アクリレート化酸、(例えば、メタクリレート化トリメリット酸)、及びそれらの無水物を使用することも可能である。本開示のある特定の好ましい組成物としては、少なくとも1つのP−OH部分を有する酸官能基を有するエチレン不飽和化合物が挙げられる。
組成物が、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を含有する場合、未充填組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、より典型的には少なくとも3重量%、及び最も典型的には少なくとも5重量%の量で、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物が存在するのが一般的である。本開示の組成物は、典型的に、未充填組成物の総重量に基づいて、最大80重量%、より典型的には最大70重量%、及び最も典型的には最大60重量%の、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を含む。
フリーラジカル重合(固化)については、開始系は、放射線、熱、又は酸化還元/自動硬化化学反応を介して、重合を開始させる系から選択され得る。フリーラジカル活性官能基の重合を開始することができる開始剤の部類としては、任意に光増感剤又は促進剤と組み合わせられる、フリーラジカル生成光開始剤が挙げられる。そのような開始剤は、典型的に、200〜800nmの波長を有する光エネルギーへの曝露したときに、付加重合するためのフリーラジカルを生成することができるものであり得る。
ある特定の実施形態において、1つ以上の熱活性化開始剤が、重合性成分の熱固化を可能にするために使用される。熱開始剤の例としては、過酸化物及びアゾ化合物、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、2,2−アゾビス−イソブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。
ある特定の実施形態において、熱活性化開始剤は、約100℃未満の温度で大量のフリーラジカル開始種が生成されないように選択される。「大量」とは、複合材料の特性(例えば、粘度、成形性、硬度など)に著しい変化が生じる程度まで重合及び/又は架橋を引き起こすのに十分な量を指す。ある特定の実施形態について、開始剤は、120〜140℃、又は一部の実施形態では130〜135℃の範囲の温度で、活性化される。これらの実施形態の特定のものについては、開始剤は、有機過酸化物であり、これは、これらの温度範囲内のいずれかにおいて、熱により活性化されて、大量のフリーラジカル開始種を生成し得る。これらの実施形態の特定のものについては、開始剤は、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルオキシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。これらの実施形態の特定のものについては、開始剤はジクミルペルオキシドである。他の実施形態において、開始剤は、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン、ビス(1−(tert−ブチルペルオキシ)−1−メチルエチ)ベンゼン、tert−ブチルペルアセテート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、及びこれらの組み合わせから選択される。
ある特定の実施形態については、熱活性化開始剤は、重合性成分の重量に基づいて、少なくとも0.2パーセントの量で組成物中に存在する。これらの実施形態の特定のものについて、開始剤は、少なくとも0.5パーセントの量で存在する。これらの実施形態の特定のものについて、開始剤は、重合性成分の重量に基づいて3パーセント以下の量で組成物中に存在する。これらの実施形態の特定のものについて、開始剤は、2パーセント以下の量で存在する。
ある特定の実施形態において、組成物は更に、光重合性であってよい、すなわち、組成物は、化学線を照射すると、組成物の重合(硬化又は固化)を開始する、光開始剤系を含有する。フリーラジカル光重合性組成物を重合するのに好適な光開始剤(すなわち、1つ以上の化合物を含む光開始剤系)としては、2成分系及び3成分系が挙げられる。典型的な3成分光開始剤は、ヨードニウム塩、光増感剤、及び米国特許第5,545,676号(Palazzottoら)に記載の電子供与体化合物を含む。好適なヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロホウ酸塩、及びトリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩である。好適な光増感剤は、400nm〜520nm(好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内のいくらかの光を吸収するモノケトン及びジケトンである。特に好適な化合物としては、400nm〜520nm(更により好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内の光を吸収するαジケトンが挙げられる。好適な化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン及び他の1−アリール−2−アルキル−1,2−エタンジオン、並びに環状αジケトンである。好適な電子供与体化合物としては、置換アミン、例えば、エチルジメチルアミノベンゾエートが挙げられる。カチオン重合性樹脂を光重合させるのに有用な他の好適な3成分光開始剤系は、例えば米国特許第6,765,036号(Dedeら)に記載されている。
フリーラジカル光重合性組成物を重合するのに有用な他の光開始剤としては、典型的に機能的波長範囲が380nm〜1200nmであるホスフィンオキシドの部類が挙げられる。機能的波長範囲が380nm〜450nmである好ましいホスフィンオキシドフリーラジカル開始剤は、アシル及びビアシルホスフィンオキシド、例えば、米国特許第4,298,738号(Lechtkenら)、同第4,324,744号(Lechtkenら)、同第4,385,109(Lechtkenら)、同第4,710,523号(Lechtkenら)、及び同第4,737,593号(Ellrichら)、同第6,251,963号(Kohlerら)、並びに欧州特許出願第0173567号(A2)(Ying)に記載されるものである。
380nm〜450nmの様々な波長範囲で照射したときにフリーラジカル開始が可能である、市販のホスフィンオキシド光開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819、Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI 403、Ciba Specialty Chemicals)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの重量比25:75混合物(IRGACURE 1700、Ciba Specialty Chemicals)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの重量比1:1混合物(DAROCUR 4265、Ciba Specialty Chemicals)、及びエチル2,4,6−トリメチルベンジルフェニルホスフィネート(LUCIRIN LR8893X、BASF Corp.,Charlotte,NC)が挙げられる。
ホスフィンオキシド開始剤は、未充填組成物の総重量に基づいて、0.1重量パーセント〜5.0重量パーセントなど、触媒的に有効な量で光重合性組成物中に使用され得る。
第三級アミン還元剤を、アシルホスフィンオキシドと組み合わせて使用してもよい。本開示において有用な第三級アミンの例としては、エチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。存在する場合、アミン還元剤は、未充填組成物の総重量に基づいて、0.1重量パーセント〜5.0重量パーセントの量で光重合性組成物中に存在する。他の開始剤の有用な量は、当業者には周知である。
本開示での使用に好適なカチオン硬化性材料から製造された重合性成分には、エポキシ樹脂も含まれ得る。エポキシ樹脂は、例えば、歯科用ミルブランクに望ましい特性である高い靭性を複合材に付与する。エポキシ樹脂は、任意に、ポリオール、メタクリレート、アクリレート、又はビニルエーテルと様々な組み合わせでブレンドしてもよい。好ましいエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、EPON 828、EPON 825、Shell Chemical Co.)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3−4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(例えば、UVR−6105、Union Carbide)、ビスフェノールFエポキシド(例えば、GY−281、Ciba−Geigy)、及びポリテトラヒドロフランが挙げられる。
本明細書に使用されるとき、「カチオン活性官能基」は、カチオン重合を開始することができる開始剤の存在下で活性化される化学部分であり、これにより、カチオン活性官能基を有する他の化合物との反応に利用可能となる。カチオン活性官能基を有する材料としては、カチオン重合性エポキシ樹脂が挙げられる。そのような材料は、オキシラン環、すなわち、開環によって重合性となる基を有する有機化合物である。これらの材料には、モノマーエポキシ化合物及びポリマー型のエポキシドが含まれ、脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式であり得る。これらの材料は一般に、平均で、1分子当たり少なくとも1個の重合性エポキシ基を有し、好ましくは1分子当たり少なくとも約1.5個、及びより好ましくは少なくとも約2個の重合性エポキシ基を有する。ポリマーエポキシドには、末端エポキシ基を有する直鎖ポリマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、及びペンダントエポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマー又はコポリマー)が挙げられる。エポキシドは純粋化合物であってもよく、又は1分子当たり1つ、2つ、若しくはそれ以上のエポキシ基を含有する化合物の混合物であってもよい。1分子当たりのエポキシ基の「平均」数は、エポキシ含有物質中のエポキシ基の総数を、存在するエポキシ含有分子の総数で除することにより決定される。
これらのエポキシ含有材料は、低分子量のモノマー材料から高分子量のポリマーまで多様であり得、それらの骨格鎖及び置換基の性質において大いに多様であってもよい。許容される置換基の例としては、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、ニトロ基、ホスフェート基などが挙げられる。エポキシ含有材料の重量平均分子量は、約58〜約100,000又はそれ以上にわたって多様であってもよい。本開示の分子量(例えば、重量平均分子量)は、ポリスチレン標準物を用いたサイズ排除クロマトグラフィーを用いて測定される。
有用なエポキシ含有材料としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジパートに代表されるエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのシクロヘキサンオキシド基を含有するものが挙げられる。この種類の有用なエポキシドのより詳細な一覧については、米国特許第3,117,099号が参照され、これは参照により本明細書に組み込まれる。
様々なエポキシ含有材料のブレンドもまた企図される。そのようなブレンドの例には、低分子量(200未満)、中等度の分子量(約200〜10,000)、及びより高い分子量(約10,000超)など、2つ以上の重量平均分子量分布のエポキシ含有化合物が含まれる。あるいは又は更に、エポキシ樹脂は、異なる化学的性質、例えば脂肪族及び芳香族、又は異なる官能性、例えば極性及び非極性を有する、エポキシ含有材料のブレンドを含有してもよい。カチオン活性官能基を有する他の種類の有用な材料としては、ビニルエーテル、オキセタン、スピロオルトカーボネート、スピロオルトエステルなどが挙げられる。
カチオン活性官能基を含む重合性成分を固化するために、開始系は、放射線、熱、又は酸化還元/自動硬化化学反応を介して重合を開始させる系から選択され得る。例えば、エポキシ重合は、無水物又はアミンなどの熱硬化剤の使用により達成してもよい。無水物硬化剤の特に有用な例は、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物である。
あるいは、カチオン活性官能基を含む重合性成分の開始系は、光活性化されるものである。触媒及び光開始剤の分野で認識されているカチオン光活性基の広い部類を、本開示の実施に使用してもよい。光活性カチオン核、光活性カチオン部分、及び光活性カチオン有機化合物は、米国特許第4,250,311号、同第3,708,296号、同第4,069,055号、同第4,216,288号、同第5,084,586号、同第5,124,417号、同第4,985,340号、同第5,089,536号、及び同第5,856,373号によって例示されている、当技術分野で認識された部類の材料であり、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
カチオン硬化性材料を、上述のように、3成分系又は3成分光開始剤系と組み合わせてもよい。3成分開始剤系はまた、米国特許第6,025,406号及び同第5,998,549号に記載されており、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
化学固化性組成物には、重合性成分(例えば、エチレン性不飽和重合性成分)並びに酸化剤及び還元剤を含む酸化還元剤を含む、酸化還元硬化系が含まれ得る。還元剤及び酸化剤は、互いに反応するか、又は別の方法で協働して、重合性成分(例えば、エチレン性不飽和成分)の重合を開始することができるフリーラジカルを生成すべきである。この種の硬化は、暗反応である、すなわち、光の存在に依存せずかつ光が存在しない状態で進行可能である。還元剤及び酸化剤は、好ましくは、典型的な歯科条件下での保管及び使用を可能にするのに十分に保管安定性あり、望ましくない着色がない。
有用な還元剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及び金属錯体化アスコルビン酸化合物;アミン、特に、4−tert−ブチルジメチルアニリンなどの第三級アミン;芳香族スルフィン塩、例えば、p−トルエンスルフィン塩及びベンゼンスルフィン塩;チオ尿素、例えば、1−エチル−2−チオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、1,1−ジブチルチオ尿素、及び1,3−ジブチルチオ尿素、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。他の二次還元剤としては、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン(酸化剤の選択に依存する)、亜ジチオン酸塩又は亜硫酸塩アニオンの塩、及びこれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、還元剤はアミンである。
好適な酸化剤はまた、当業者によく知られており、例えば、過硫酸及びその塩、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、セシウム、及びアルキルアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。更なる酸化剤としては、過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイル、ヒドロペルオキシド(例えば、クミルヒドロペルオキシド)、t−ブチルヒドロペルオキシド、及びアミルヒドロペルオキシド、並びに遷移金属の塩、例えば、塩化コバルト(III)及び塩化第二鉄、硫酸セリウム(IV)、過ホウ酸及びその塩、過マンガン酸及びその塩、過リン酸及びその塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
1つを上回る酸化剤又は1つを上回る還元剤を使用することが望ましい場合がある。少量の遷移金属化合物を添加して、酸化還元硬化の速度を加速させることもできる。
還元剤及び酸化剤は、適切なフリーラジカル反応速度を得るのに十分な量で存在する。これは、任意の充填剤を除く、組成物のすべての成分を合わせ、固化した大部分が得られたか否かを観察することにより、評価することができる。
還元剤は、少しでも使用される場合、組成物の成分の総重量(水を含む)に基づいて、典型的には少なくとも0.01重量%、より典型的には少なくとも0.1重量%の量で存在する。還元剤は、組成物の成分の総重量(水を含む)に基づいて、典型的には10重量%以下、より典型的には5重量%以下の量で存在する。
酸化剤は、少しでも使用される場合、組成物の成分の総重量(水を含む)に基づいて、典型的には少なくとも0.01重量%、より典型的には少なくとも0.10重量%の量で存在する。酸化剤は、組成物の成分の総重量(水を含む)に基づいて、典型的には10重量%以下、より典型的には5重量%以下の量で存在する。
歯科用修復材料として使用される場合、複合材料は、歯科用途に応じて、セラミック繊維及び/又はナノクラスターに対して様々な重量パーセント値を有し得る。そのため、例えば、シーラントとして使用される場合、本開示の複合材料には、流動性複合材が得られるように、セラミック繊維及び/又はナノクラスターが充填されてもよい。そのような実装形態において、複合材料の粘度は、その材料が咬合歯牙表面の窩溝の中、並びにエナメル質の侵食領域の中に貫入できるように十分に低く、それによって複合材料の保持に役立つ。高い強度又は耐久性が所望される用途(例えば、前歯又は臼歯の修復材、プロテーゼ、クラウン及びブリッジのセメント、人工クラウン、人工歯、並びに義歯)では、セラミック繊維及びナノクラスターの使用量レベルは、より剛性な複合材が得られるように調整することができる。
複合材料は、更に、20〜70重量%のナノクラスターを含む。複合材料は、ナノクラスターについて、他の数値範囲を含んでもよい。例えば、複合材料はまた、ナノクラスターの重量%について、20、22、25、30、35、又は40の下限値と、70、65、64、60、55、50、又は45の上限値を含んでもよい。これにより、複合材料中のナノクラスターの重量%について、様々な可能性のある範囲が可能となる。そのような範囲の例としては、25〜70重量%のナノクラスター、25〜65重量%のナノクラスター、25〜60重量%のナノクラスター、25〜55重量%のナノクラスターが挙げられるがこれらに限定されず、22〜64重量%の範囲のナノクラスターが好ましい。
本明細書に考察されるように、複合材料を形成する成分の所与の組み合わせについて、成分のそれぞれの重量%を合計すると、100重量%となる(重量%は複合材料の総重量に基づく)。好ましくは、ナノクラスターは、本開示の重合性成分中に分散させた場合でもシリカナノ粒子とジルコニアを一緒に凝集させる比較的弱い分子間力によって会合した、シリカナノ粒子及びジルコニアから形成された、シリカ−ジルコニアナノクラスターである。シリカナノ粒子及びジルコニア(シリカ−ジルコニアナノクラスターを形成する「一次粒子」)は、1ナノメートル(nm)〜200nmの平均直径を有し得、ここで、シリカナノ粒子とジルコニアとの会合又は「ナノクラスター化」により結果として得られるシリカ−ジルコニアナノクラスターは、マイクロメートル範囲(例えば、10マイクロメートル)の最長寸法を有し得る。シリカ−ジルコニアナノクラスターを形成する一次粒子(例えば、シリカナノ粒子及びジルコニア)は、ともに、非晶質クラスター形成物に分類され得る。シリカナノ粒子とジルコニアとのクラスター形成物は、しかしながら、そのような非晶質クラスター形成物に限定されない。
シリカ−ジルコニアナノクラスターは、ナノシリカゾルを、予備形成したナノジルコニア粒子ゾル又はジルコニウム塩(例えば、酢酸塩又は硝酸塩)溶液と一緒に混合することによって調製することができる。ナノジルコニアゾルが使用される場合、これは、典型的に、結晶質ジルコニアナノ粒子から構成される。ナノシリカゾルは、典型的には1〜200nm、より典型的には10nm〜100nm、更により典型的には15nm〜60nm、最も典型的には15nm〜35nmの平均直径を有するシリカ粒子を含み、約20nmの平均粒径が、シリカ−ジルコニアナノクラスターの製造に特に好適である。
ジルコニアゾルは、典型的には、可視光の大部分を散乱しないのに十分に小さいが、より短い波長の青色光を屈折させて乳白光効果を与えるのに十分に大きいジルコニア粒子を含む。約3nm〜約30nmの平均粒径を有するジルコニアゾルが、シリカ−ジルコニアナノクラスターを形成するのに好適である。ゾル中のジルコニア粒子は、典型的には5nm〜15nm、より典型的には6nm〜12nm、最も典型的には7nm〜10nmの平均粒径を有する。ゾル混合物が安定であるpH2未満などの酸性条件下で一緒に混合すると、予備形成したジルコニアナノ粒子は、シリカナノ粒子と構造体を形成し、これは、ゲル化及び乾燥させると、最終的な複合材料の高レベルの光学的な透光性を維持しながら、所望される乳白光特性を付与する。
NALCO 1042シリカゾル(Ecolab,Inc.,St.Paul,MN)、NALCO 1034A、又は他の市販のコロイド状シリカゾルを使用してもよい。塩基で安定化されたゾルを用いる場合、典型的には、まず、ナトリウムを除去するために、例えば、AMBERLITE IR−120イオン交換樹脂を用いてイオン交換に供するか、又は硝酸でpHを調整することになる。通常、シリカのpHを1.2未満、典型的には約0.8〜約1.0になるように調整し、次いでジルコニアをそこにゆっくりと添加して、局所的ゲル化及び粒塊化を防ぐことが望ましい。得られた混合物のpHは、典型的には、約1.1〜約1.2である。好適なコロイド状シリカゾルは、Nalco(Ecolab)、H.C.Stark、Nissan Chemical(Snowtex)、Nyacol、及びLudox(DuPont)を含む、様々な販売元から市販されている。選択されたゾルは、分離しており、かつ本明細書に指定される適切なサイズである、シリカ粒子を有するべきである。ゲル化を伴わずにジルコニアゾルと混合することができる酸性度の高いシリカゾル(例えば、硝酸で安定化されたもの)を提供するように、シリカゾルを処理してもよい。
ジルコニアゾルは、例えば、米国特許第6,376,590号(Kolbら)又は同第7,429,422号(Davidsonら)に記載されているプロセスを使用して得ることができ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に使用されるとき、「ジルコニア」という用語は、酸化ジルコニウムの種々の化学量論、最も典型的にはZrOを指し、酸化ジルコニウム又は二酸化ジルコニウムとしても知られる場合がある。ジルコニアは、最大30重量パーセントの他の化学部分、例えば、Y及び有機材料を含有し得る。
シリカ−ジルコニアナノクラスターは、ナノシリカゾルをナノジルコニアゾルと一緒に混合し、この混合物を少なくとも450℃で加熱することによって調製することができる。この混合物を、典型的には約400〜約1000℃、より典型的には約450〜約950℃の温度で4〜24時間加熱して、水、有機材料、及び他の揮発性成分を除去し、また可能性としては粒子を弱く凝集させる(必須ではない)。あるいは又は更に、ゾル混合物に、異なる処理工程を行って、水及び揮発物を除去してもよい。得られた材料を、粉砕又は微粉化し、選別して、大きな凝集体を除去してもよい。シリカ−ジルコニアナノクラスターに、次いで、例えばシランで表面処理を行ってから、重合性成分と混合してもよい。
本開示の複合材料はまた、任意に、セラミック繊維に加えて、1つ以上の充填剤粒子を含んでもよい。そのような充填剤粒子は、現在歯科用修復用組成物などにおいて使用されている充填剤粒子など、歯科用途に使用される複合材料に組み込むのに好適な1つ以上の様々な材料から選択され得る。充填剤粒子の選択は、複合材料の特性、例えば、その外観、放射線不透過性、並びに物理的及び機械的特性に影響を及ぼし得る。外観は、複合材の成分の量及び相対屈折率の調節によって部分的に影響を受けるため、それによって複合材の透光性、不透明性、真珠光沢性を変化させることが可能である。このような方法で、複合材料の外観は、必要に応じて、天然歯列の外観に非常に近似させることができる。
充填剤粒子は、現在歯科用修復用組成物などにおいて使用されている充填剤粒子など、医療用途に使用される組成物に組み込むのに好適な1つ以上の材料から選択され得る。充填剤粒子の最大粒径(粒子の最大寸法、通常は直径)は、典型的には20マイクロメートル未満、より典型的には10マイクロメートル未満、最も典型的には5マイクロメートル未満である。充填剤粒子の数平均粒径は、典型的には100nm以下、より典型的には75nm以下である。充填剤粒子は、単峰性又は多峰性(例えば、二峰性)の粒径分布を有し得る。充填剤粒子は、無機材料であってもよい。また、充填剤粒子は、重合性成分に不溶性であり、任意に、無機充填剤と一緒に充填される、架橋有機材料であってもよい。充填剤粒子は、いかなる場合においても、口内で使用するのに好適でなければならない。充填剤粒子は、放射線不透過性、放射線透過性、又は非放射線不透過性(non−radiopaque)であり得る。充填剤粒子は、典型的には、実質的に水に不溶性である。充填剤粒子は、等軸体、球形、多面体、長円形、レンズ形、ドーナツ形、又はウィスカー形が挙げられるが、これらに限定されない様々な形状を有し得る。
好適な充填剤粒子の例は、天然又は合成の材料、例えば、石英、窒化物(例えば、窒化ケイ素);例えばCe、Sb、Sn、Sr、Ba、An、及びAlを含有するガラス;コロイド状シリカ;長石;ホウケイ酸塩ガラス;カオリン;タルク;チタニア;及び亜鉛ガラス;米国特許第4,695,251号に記載されるものなど、モース硬度の低い充填剤;並びにマイクロメートルよりも小さいシリカ粒子(例えば、Degussa,Akron,OHにより販売されている「Aerosil」シリーズ「OX 50」、「130」、「150」、及び「200」のシリカ、並びにCabot Corp.,Tuscola,Ill.により販売されている「Cab−O−Sil M5」シリカなどの焼成シリカ)及び米国特許第4,503,169号に記載される種類の非ガラス質のマイクロ粒子である。シラン処理したジルコニア−シリカ(Zr−Si)充填剤粒子が、ある特定の実施形態では特に有用である。
また、純金属、例えば、第4族、第5族、第6族、第7族、第8族、第11族、若しくは第12族のもの、第13族のアルミニウム、インジウム、及びタリウム、並びに第14族のスズ及び鉛、又はそれらの合金から製造された金属充填剤粒子などの金属充填剤粒子が組み込まれてもよく、ここで、列挙された族からの元素は、IUPACの周期表の2016年1月8日のものに見出される。従来の歯科用アマルガム合金粉、代表的には銀、錫、銅、及び亜鉛の混合物も同様に、必要に応じて組み込まれ得る。金属充填剤粒子は、好ましくは約1マイクロメートル〜約100マイクロメートル、より好ましくは1マイクロメートル〜約50マイクロメートルの数平均粒径を有する。これらの充填剤粒子の混合物、並びに有機及び無機材料から作製された組み合わせの充填剤粒子もまた、企図される。
好ましくは、複合材料は、存在する場合、複合材料の総重量に基づいて、最大12重量%のナノ粒子を充填剤粒子として含み得る。例えば、複合材料は、複合材料の総重量に基づいて、2〜12重量%のナノ粒子を充填剤粒子として含み得る。本明細書に定義されるように、ナノ粒子は、分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子である。本明細書に考察されるように、複合材料を形成する成分の所与の組み合わせについて、成分のそれぞれの重量%を合計すると、100重量%となる(重量%は複合材料の総重量に基づく)。分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子の例としては、分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子が挙げられる。加えて、分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子には、分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子と分離した非ヒュームド非重金属酸化物ナノ粒子の両方が含まれる。分離した非ヒュームド非重金属酸化物ナノ粒子の例としては、ナノシリカが挙げられ、一方で分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子の例としては、ジルコニア、イットリア、及びランタナ粒子が挙げられる。分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子は、米国特許第6,736,590号(Kolbら)又は米国特許第7,429,422号(Davidsonら)による記載のように、重金属酸化物ゾルから調製することができる。分離した非ヒュームド非重金属酸化物は、コロイド状シリカとして購入することができる。シリカの分離した非ヒュームドナノ粒子は、少なくとも1つの前駆体の分散液、ゾル、又は溶液から調製することができる。この性質のプロセスは、例えば、米国特許第4,503,169号(Randklev)及び英国特許第2291053号(B)に記載されている。分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子はまた、例えば、シランで表面処理した後に、重合性成分と混合され得る。
分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子は、典型的には、単峰性又は多峰性(例えば、二峰性)の粒径分布で細かく分けられる。分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子の最大粒径(粒子の最大寸法、通常は直径)は、典型的には5nm〜200nm、より典型的には5nm〜100nm、最も典型的には5nm〜80nmである。
他の好適な充填剤粒子は、米国特許第6,387,981号(Zhangら)、同第6,572,693号(Wuら)、同第6,730,156号(Windisch)、及び同第6,899,948号(Zhang)、同第7,022,173号(Cummingsら)、同第6,306,926号(Bretscherら)、同第7,030,049号(Rusinら)、同第7,160,528号(Rusin)、同第7,393,882号(Wuら)、同第6,730,156号(Windischら)、同第6,387,981号(Zhangら)、同第7,090,722号(Buddら)、同第7,156,911号(Kangasら)、同第7,361,216号(Kolbら)、並びに国際公開第03/063804号(Wuら)に開示されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。これらの参考文献に記載されている充填剤粒子には、ナノサイズのシリカ粒子、ナノサイズの金属酸化物粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ナノ充填剤はまた、米国特許第7,085,063号(Kangasら)、同第7,090,721号(Craigら)、及び同第7,649,029号(Kolbら)、並びに米国特許公開第2010/0089286号(Craigら)、米国公開第2011/0196062号(Craigら)にも記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に考察されるとき、充填剤粒子の表面は、充填剤と重合性成分との間の結合を強化するために、任意に、表面処理剤で処理してもよい。加えて、セラミック繊維及び充填剤粒子は、充填剤粒子が存在する場合、本明細書に考察される1つを上回る(例えば、2つ以上の)表面処理剤(例えば、カップリング剤及び/又は表面処理剤)で修飾してもよい。例えば、セラミック繊維のそれぞれに同じ表面処理剤が使用されてもよく、一方で、存在する場合、充填剤粒子には異なる表面処理剤が使用されてもよい。2つ以上の群のセラミック繊維及び充填剤粒子が複合材料中に存在する場合、それらに、異なる表面処理剤が使用されてもよい。例えば、複合材料において使用されるセラミック繊維は、第1の群のセラミック繊維を含み得るが、これは、複合材料において使用される第2の群のセラミック繊維とは組成が異なる表面処理剤を有する。
本明細書に考察されるとき、複合材料に良好な美的性質を達成するために、複合材の成分の光学特性は、高度に一致している必要がある。成分のそのような光学特性の例には、成分の色調及び色だけでなく、充填剤(例えば、セラミック繊維)の屈折率が、固化した重合性成分の屈折率にどれほど良好に一致するかどうかも含まれる。成分の屈折率を一致させることは、材料を通る光の散乱を最小限に押さえることに役立ち、それによって、より透光性の高い材料を提供することに役立つ。そのため、例えば、本開示のセラミック繊維は、好ましくは、固化した重合性成分の屈折率の0.1以内の屈折率値を有する。本開示のセラミック繊維が、好ましくは、固化した重合性成分の屈折率の0.05以内の屈折率値を有することが、より好ましい。本開示のセラミック繊維が、好ましくは、固化した重合性成分の屈折率の0.005以内の屈折率値を有することが、最も好ましい。
セラミック繊維の屈折率値の例としては、セラミック繊維は、1.40〜1.65の屈折率値を有することが挙げられる。好ましくは、セラミック繊維の屈折率値は、1.50〜1.58である。最も好ましくは、セラミック繊維の屈折率値は、1.52〜1.56である。セラミック繊維の屈折率を調整するための好ましい方法は、シリコンの酸化物とセラミック金属酸化物との比を変化させることによる。セラミック繊維の屈折率は、出発混合物中のセラミック金属酸化物に対するシリカの相対体積パーセントの比較に基づく補間によって大体予測することができる。更なる充填剤がセラミック繊維とともに使用される場合、それらの屈折率もまた、本明細書に提供される範囲内で一致し得る。
本開示の複合材料は、従来的な混合技法を使用して、様々な成分すべてを合わせることによって調製することができる。結果として得られる複合材料は、任意に、本明細書に記載されるように、(セラミック繊維及びナノクラスターに加えて)追加の充填剤、溶媒、水、及び/又は他の添加剤を含有し得る。典型的には、本開示の光重合性複合材料は、「安全光」条件下で、複合材料の成分を混合することによって調製される。この混合物を処置する場合、必要に応じて、好適な不活性溶媒を取り入れてもよい。複合材料の成分と感知し得るほどに反応しない溶媒を使用することができる。
好適な溶媒の例としては、アルコール(例えば、プロパノール、エタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、他の非水性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン))、又はこれらの混合物が挙げられる。所望される場合、本開示の複合材料は、指示薬、染料(光退色性染料)、顔料、阻害剤、促進剤、粘度調節剤、湿潤剤、酸化防止剤、酒石酸、キレート剤、緩衝剤、安定剤、希釈剤、及び当業者に明らかであろう他の類似の成分などの添加剤を含有してもよい。界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及びそれらの組み合わせを、必要に応じて組成物に使用してもよい。有用な界面活性剤には、非重合性及び重合性の界面活性剤が挙げられる。
加えて、薬剤又は他の治療用物質が、任意に、複合材料に添加されてもよい。例としては、フッ化物供給源、増白剤、抗う蝕剤(例えば、キシリトール)、再石灰化剤(例えば、リン酸カルシウム化合物並びに他のカルシウム源及びリン酸源)、酵素、口臭消臭剤、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫応答調整剤、チキソトロープ剤、ポリオール、抗炎症剤、抗菌剤、抗真菌剤、口内乾燥治療剤、減感剤など、歯科用修復材料において使用されることの多い種類のものが挙げられるが、これらに限定されない。上述の添加剤のうちのいずれかの組み合わせもまた、用いることができる。当業者であれば、所望の結果を達成するために、過度な実験をすることなく、そのような添加剤の任意の一種の選択及び量を選ぶことができる。
複合材料中の各成分の量及び種類は、所望される物理的特性及び重合前後の操作特性が得られるように調整することができる。例えば、歯科用修復材料の重合速度、重合安定性、流動性、圧縮強度、引張強度、及び耐久性は、典型的に、重合開始剤の種類及び量、並びに充填剤の使用量及び粒径分布を変化させることによって、部分的に調整することができる。そのような調整は、典型的に、複合材料を用いた以前の経験に基づいて実験的に行われる。複合材料を歯科用途で使用する場合、複合材料を受容する任意の歯の表面に、任意に、当業者に公知の方法によってプライマー及び/又は接着剤で前処理を行ってもよい。
複合材料は、1成分系及び複数成分系、例えば、2成分ペースト/ペースト系を含む、様々な形態で供給され得る。それぞれが粉末、液体、ゲル、又はペーストの形態である複数成分の組み合わせ(すなわち、2つ又はそれ以上の成分の組み合わせ)を用いた他の形態もまた、可能である。複合材料の様々な成分は、所望される何らかの方式で、別個の部分に分割することができるが、しかしながら、酸化還元の複数成分系では、1つの成分が典型的に酸化剤を含有し、もう1つの成分が典型的に還元剤を含有するものの、成分が分離したままであれば、例えば、マイクロカプセル封入を用いて、系の同じ成分中に還元剤と酸化剤とを合わせることが可能である。
複合材料の成分は、キット内に含まれてもよく、その場合、複合材料の内容物は、複合材料を保持する少なくとも1つの容器にパッキングされ、それらが必要となるまで成分の保管を可能にする。本明細書に考察される1つを上回る複合材料が、キット内に含まれてもよい。本開示の複合材料に加えて、キットは、セメント、接着剤、研磨剤、磨き用ペースト、装置、ソフトウェア、ミル、CAD/CAMシステム、複合材、陶材、ステイン、バー、印象材、歯科用ミルブランク、又はこれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つの歯科用構成要素を含んでもよい。
複合材料の成分は、従来的な技法を用いて混合され、臨床的に適用され得る。光重合性複合材料の開始のために、硬化光源が一般に必要とされる。複合材料は、象牙質及び/又はエナメル質に非常に良好に接着する複合材又は修復材の形態であり得る。任意に、複合材料が使用される歯の組織に、プライマー層を使用してもよい。
本開示の複合材料は、固化して歯科製品となり得る。複合材料の固化は、製造される歯科製品の種類に基づいて達成することができる。例えば、複合材料は、適切な場合、熱、光、マイクロ波、電子線、融合、又は化学的固化を用いて硬化させることができる。固化後、本開示の歯科用製品及び/又は歯科用ミルブランクは、必要に応じてトリミングすることができ、また任意に、必要に応じてホルダースタブ又はポストに取り付けることができる。歯科用製品は、歯科用修復材(例えば、シーラント、インレー、オンレー、又はブリッジ)、歯科用接着剤、歯科用ミルブランク、歯科用セメント、歯科用プロテーゼ、歯列矯正デバイス、歯列矯正用接着剤、歯科用鋳造材、人工クラウン、前歯部充填物、臼歯部充填物、及び窩洞ライナー又は歯科用コーティングからなる群から選択され得る。
本開示の歯科用ミルブランクは、歯科用物品が機械加工される材料のブロック(3次元物品)である。歯科用ミルブランクは、1つ以上の歯科用物品を機械加工で作製するのに好適なサイズを有し得る。本開示の歯科用ミルブランクは更に、歯科用修復材をミリング加工するために、ミリング盤へのブランクの固定を容易にするための取り付けポスト又はフレームを含み得る。取り付けポスト又はフレームは、ミリング加工プロセスを行う際にブランクを保持するハンドルとして機能する。そのようなミリング加工プロセス用デバイスの例としては、所望される歯科用物品の形状のために、CADシステムにより提供されたデータで制御されるCAM装置(例えばCNC装置)を挙げることができる。これらのミリング盤は、従来的な手作業手順よりも高速かつ少ない労力要件で、必要とされる修復材のほぼ正確な形状及び形態を、切断、ミリング加工、及び研削することによって、歯科用プロテーゼを製造する。CAD/CAMミリング加工デバイスを使用することで、プロテーゼを、効率的かつ正確に製造することができる。他のミリング加工プロセスとしては、研磨(abrading)、研磨(polishing)、制御蒸発、放電ミリング加工(EDM)、ウォータージェット若しくはレーザーによる切断、又は材料を切断、除去、成形、若しくはミリング加工する他の方法を挙げることができる。ミリング加工後に、口内へのカスタムフィット及び/又は美的外観を得るために、ある程度の仕上げ加工、研磨、及び調整が必要な場合がある。
本開示の複合材料はまた、歯の表面付近又は表面上で使用され得る。例えば、複合材料は、歯の表面付近又は表面上に配置することができ、ここで、歯の表面付近又は表面上の複合材料の形状又はトポグラフィは、複合材料を固化する前に、変化させることができる。歯の表面付近又は表面上の複合材料の形状を変化させることは、複合材料を、歯科用プロテーゼ、歯列矯正デバイス、歯科用クラウン、前歯部充填物、臼歯部充填物、又は窩洞ライナーからなる群から選択される歯科用製品に成形することを含み得る。これらの工程は、順に、又は異なる順序で、行われてもよい。例えば、歯科用修復材料が歯科用ミルブランク又はプロテーゼである好ましい実施形態では、固化工程は、一般に、材料のトポグラフィを変化させる前に、完了している。材料のトポグラフィを変化させることは、様々な方式で達成することができ、これには、手持ち式装置を使用した手作業、又は機械若しくはコンピュータ支援装置、例えばプロテーゼ及び歯科用ミルブランクの場合にはCAD/CAMミリング盤によるものが含まれる。任意に、歯科用修復材料の研磨、仕上げ、又はコーティングの適用のために、仕上げ工程が行われてもよい。
本開示の特徴及び利点が、以下の実施例によって更に例示されるが、これらは、決してそれらを制限するものではない。これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を過度に制限すると解釈されるべきではない。別途示されない限り、すべての部及び百分率は重量基準であり、すべての水は脱イオン水であり、すべての分子量は重量平均分子量である。
別途示されない限り、本明細書に考察される方法は、室温(23℃)及び大気圧で行った。すべての市販材料は、販売元から入手した状態で使用した。別途示されない限り、すべての材料は、Sigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO)から入手した。
試験方法では、次の略語を使用する:kg、キログラム;s、秒;cm、センチメートル;mm、ミリメートル;in.、インチ;min、分;hr、時間;℃、摂氏温度;%、パーセント;kN、キロニュートン;MPa、メガパスカル;GPa、ギガパスカル;nm、ナノメートル;mW、ミリワット;rpm、回転/分;gf、重量グラム;及びRI、屈折率;psi、1平方インチ当たりのポンドゲージ;ml、ミリリットル;g、グラム;μm、マイクロメートル;SEM、走査電子顕微鏡法;LED、発光ダイオード。
試験方法
60度光沢度
Novo−Curve(Rhopoint Instrument,St.Leonards−on−Sea,East Sussex,UK)をASTM D2457に従って使用して、60度光沢度を測定した。
長さ測定−光学顕微鏡
CCDカメラ(Olympus DP72,Tokyo,Japan)及び分析ソフトウェア(Olympus Stream Essentials,Tokyo,Japan)を搭載した光学顕微鏡(Olympus MX61,Tokyo,Japan)を使用して、セラミック繊維の長さを測定した。セラミック繊維の代表試料をガラススライド上に広げ、少なくとも200個のセラミック繊維の長さを10倍で測定することによって、試料を調製した。
平均表面積−BETガス吸着
Brunauer−Emmitt−Teller(BET)ガス吸着を使用して、平均表面積を測定した。Gemini V 2380(Micromeritics,Norcross,GA,USA)BETガス吸着装置を使用し、これは、静的体積に基づく原理を使用してBET表面積を試験する。様々な熱力学モデル及び非局在化密度汎関数理論に基づく分子統計モデルを使用して表面積を測定するGemini V 2380 V1.00ソフトウェアを使用して、データを分析した。乾燥Nガスパージ下において350℃で2時間吸収させることによって、試料を調製した。
コントラスト比(CR)の試験方法
未硬化複合材料の試料を、ステンレス鋼の型を使用して厚さ1mmで直径30mmの円板に形成にした。形成した試料を、マイラーフィルムのシートの間に挟んでCarver Pressにおいて10,000〜15,000psiで押して平らにした。円板の片面に20秒間LEDアレイ(波長455nm、強度850mW/cm−Clear Stone Technology,Hopkins,MN USA:Control Unit CF2000、LEDアレイJL2−455F−90)の照明に円板を曝露することによって、円板を硬化させた。ASTM−D2805−95(Hiding Power of Paints by Reflectometry)を変更して、円板を測定した。この試験方法は、材料のCR又は視覚的不透明性を測定する。硬化複合材料の円板のY3刺激値を、Color i7分光光度計(X−Rite,Grand Rapids,MI,USA)で、白色及び黒色の別個の背景を使用して絞り値25mmで測定した。すべての測定値は、フィルタなしでD65 Illuminantを用いて反射モードで得られた。10度の視野角を使用した。CRを、黒色の基板上での硬化複合材料のY3刺激値と、白色の基板上での同じ材料によるY3刺激値との比(CR=R/R×100)として、反射率で計算した。CR値が低いほど、透光性の高い材料を示す。
曲げ強度及び曲げ弾性率の試験方法
未硬化複合材料を2mm×2mm×25mmの石英ガラス型に押し出して試験バーを形成することによって、試験標本を調製した。2つのXL3000歯科用硬化光(3M ESPE,St.Paul,MN,USA)を使用して、複合材料の試験バーを石英ガラス型で硬化させた。一方の光の射出窓を試験バーの中央の上に設置し、20秒間硬化させた後、2つの光を並行して使用して、光の射出窓を試験バーの未硬化の端部の上に設置して、同時に20秒間バーを硬化させた。試験バーを裏返し、硬化プロトコルを反復した。硬化させた複合材料の試験バーを、石英ガラス型から押し出した。硬化させた複合材料の試験バーを、37℃の脱イオン水中に約24時間浸した後、試験した。
ANSI/ADA(American National Standard/American Dental Association)の規格27(1993)に従って、クロスヘッド速度0.75mm/分及び間隔20mmでInstron試験器(Instron 5944、Instron Corp.,Canton,Mass.,USA)において、硬化させた複合材料の試験バーの曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。結果を、曲げ強度についてはMPa、曲げ弾性率についてはGPaで報告した。
破壊靭性の試験方法
未硬化複合材料を3mm×5mm×25mmの石英ガラス型に押し出して、試験バーを形成することによって、試験標本を調製した。2つのXL3000歯科用硬化光(3M ESPE,St.Paul,MN,USA)を使用して、複合材料の試験バーを石英ガラス型で硬化させた。一方の光の射出窓を試験バーの中央の上に設置し、20秒間硬化させた後、2つの光を並行して使用して、光の射出窓を試験バーの未硬化の端部の上に設置して、同時に20秒間バーを硬化させた。試験バーを裏返し、硬化プロトコルを反復した。硬化複合材料の試験バーを、石英ガラス型から押し出した。次いで、ISOMET Low Speed Saw(Buehler,Lake Bluff,IL,USA)を使用して、0.15mmの切り口のウエハブレード(Buehler,Lake Bluff,IL,USA)で試験バーの中央にノッチを切り込んだ。ノッチは、およそ2mmの深さであった。硬化させた複合材料の試験バーを、37℃の脱イオン水中に約24時間浸した後、試験した。
0.75mm/分のクロスヘッド速度でInstron試験器(Instron 5944、Instron Corp.,Canton Mass.,USA)において、破壊靭性を測定した。靭性は、ASTM 399−05に従って計算した。
歯ブラシでの研磨後の光沢保持の試験方法
ステンレス鋼の型を使用して、未硬化複合材の試料を、厚さ2mm×長さ21mm×幅10mmのタイルに形成した。未硬化複合材を、ポリエステルフィルムのシートの間に挟んでCarver Press(Wabash,IN,USA)において6000〜10,000psiで押して平らにし、波長455nm、強度850mW/cmのLEDアレイ(Clear Stone Technology,Hopkins,MN,USA:Control Unit CF2000,LEDアレイJL2−455F−90)で20秒間硬化させた。試料を型から取り出し、Automet 2 Power Headを搭載したEcomet 4 Variable Speed Grinder−Polisher(Buehler,Lake Bluff,IL,USA)を使用して、高い光沢度まで研磨した。高い光沢度は、連続的に細かくなる研削及び研磨媒体を用いて達成した。まず、320グリットの炭化ケイ素研磨紙を使用し、続いて600グリットの炭化ケイ素研磨紙(研磨紙は3M,St.Paul,MN,USAから入手した)を使用した。次いで、9マイクロメートルのダイヤモンドペーストを使用し、続いて3マイクロメートルのペーストを使用し、最後に0.05マイクロメートルの磨き用スラリーを使用した(磨き用ペースト及びスラリーは、Buehler,Lake Bluff,IL,USAから購入した)。タイルを、約24時間37℃の水中に浸して保管した。
研磨した表面に歯ブラシでの研磨を負荷することによって、タイルのつやの保持を測定した。タイルを、光沢のある面を上にして治具に固定した。初期光沢を測定した(「60度光沢度」を参照されたい)。治具を自動ブラッシング機のウェルに設置し、ここで、1対1のCrest Regular Toothpaste(P&G,Cincinnati,OH,USA)及び水からなる5mlの研磨スラリーを、タイルの上に置いた。次いで、房数47のAcclean歯ブラシ(Henry Schein,Melville,NY,USA)を用いて、タイルを450gfの荷重下でブラッシングした。タイルを、合計6000回のブラッシングサイクルに供し、1500サイクル毎に光沢度を測定した。各光沢度測定の後に、5mlの新しいスラリーを追加した。
研磨性の試験方法
硬化複合材料のタイルを、歯ブラシでの研磨後の光沢保持の試験方法に関して上述のように形成した。320グリットの炭化ケイ素研磨紙を用いて、タイルの表面を一様に粗化した。粗化した表面に、Sof−Lex(商標)Spiral Finishing Wheel及びSof−Lex(商標)Spiral Polishing Wheel(3M ESPE,St.Paul,MN,USA)を使用して、研磨した。Sof−Lex(商標)Spiral Finishing Wheel又はSof−Lex(商標)Spiral Polishing Wheelに一定の動きと力(60gf)を与えるための歯科用ハンドピースを、機械のアームに取り付けた。粗化したタイルに、1500rpmで1分間各ホイールを用いて仕上げし研磨した。研磨工程の後に、硬化複合材の表面の60度光沢度を測定した(60度光沢度を参照されたい)。
材料
「ビスEMA−6」は、米国特許第6,030,606号に更に記載されているSartomer Co.,Inc.(Exton,PA)から「CD541」として市販のエトキシ化(6モルのエチレンオキシド)ビスフェノールAジメタクリレートを指し、
「ビスGMA」は、CAS登録番号1565−94−2の2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリレートとも称される)を指す。
「BHT」は、CAS登録番号128−37−0のブチル化ヒドロキシトルエン(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)を指し、
「BZT」は、CAS登録番号96478−09−0であり、Ciba,Inc.(Tarrytown,NY)から「TINUVIN R 796」として市販されており、Sigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO)からも市販されている、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを指し、
「CPQ」は、CAS登録番号10373−78−1のカンファーキノンを指し、
「DPIHFP」又は「DPIPF6」は、CAS登録番号58109−40−3であり、Johnson Matthey,Alfa Aesar Division(Ward Hill,MA)から市販されているジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、
「EDMAB」は、CAS登録番号10287−53−3のエチル4−ジメチルアミノベンゾエートを指し、
「ENMAP」は、CAS登録番号2003−76−1であり、Adamson,et al.;JCSOA9;J.Chem.Soc.;1949;spl.144〜152(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものなどの既知の方法によって調製することができ、Johnson Matthey,Alfa Aesar Division(Ward Hill,MA)からも市販されている、エチルN−メチル−N−フェニル−3−アミノプロピオネート(N−メチル−N−フェニル−β−アラニンエチルエステルとも称される)を指し、
「GENIOSIL GF−31」又は「GF−31」は、Wacker Chemie AG(Munich,Germany)から市販されている3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを指し、
「IRGACURE 819」は、CAS登録番号162881−26−7であり、Ciba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY)から、またSigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO)からも市販されているビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド光開始剤を指し、
「PEG600 DM」は、Sartomer Co.,Inc.(Exton,PA)から入手した平均分子量約600のポリ(エチレングリコール)ジメタクリレートを指し、
「PROCRYLAT」は、CAS登録番号27689−12−9であり、国際公開第2006/020760号に更に記載されている、2,2−ビス−4−(3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル)プロパンジメタクリレートを指し、
「TEGDMA」は、CAS登録番号109−16−0であり、Sartomer Co.,Inc.(Exton,PA)から市販されているトリエチレングリコールジメタクリレートを指し、
「UDMA」は、CAS登録番号72869−86−4であり、Rohm America LLC(Piscataway,NJ)から商標名「ROHAMERE 6661−0」にて入手した、Dajac Laboratories(Trevose,PA)からも市販されている、ジウレタンジメタクリレートを指す。
充填剤
「S/Tシリカ/ジルコニアナノクラスター」は、本質的には米国特許第6,730,156号の第25欄50〜63行目(予備実施例A)及び第25欄64行目〜第26欄40行目(予備実施例B)に記載のように調製されるが、(トリフルオロ酢酸でpHを3〜3.3にするのではなく)NHOHでpHを約8.8に調整した、(水ではなく)1−メトキシ−2−プロパノール中でシラン化を行うこと、及び(スプレー乾燥ではなく)ギャップ乾燥によってS/Tシリカ/ジルコニアクラスターを得ることを含む、小規模な修正を伴う、シラン処理シリカ−ジルコニアナノクラスター充填剤を指す。
「S/Tジルコニア/シリカ充填剤」は、以下の様式でシラン処理した、ジルコニア−シリカ充填剤(米国特許第6,624,211号第15欄60行目〜第16欄28行目に記載のように調製することができる)を指す。100部の充填剤を、20〜30℃の溶液温度で脱イオン水と混合する。結果として得られたスラリーのpHを、トリフルオロ酢酸(0.278部)で3〜3.3に調整する。7部(100部の充填剤に基づいて)の3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Wacker Chemie AG,Munich,Germanyから市販されている)をスラリーに添加する。スラリーを2時間混合する。2時間の終わりに、スラリーのpHを水酸化カルシウムで中和する。S/Tジルコニア/シリカを、乾燥させ、粉砕し、74マイクロメートルのスクリーンを通してふるうことによって、回収する。
「S/T20nmシリカナノ粒子」とは、本質的には米国特許第6,572,693号第21欄63〜67行目(ナノサイズの粒子充填剤、2型)に記載されるように調製される、およそ20ナノメートルの公称粒径を有する、シラン処理したシリカナノ粒子充填剤を指す。
「S/Tナノジルコニアナノ粒子」とは、シラン処理したジルコニアナノ粒子充填剤を指し、これは、一般には米国特許第8,647,510号第36欄61行目〜第37欄16行目(実施例11A−IER)に記載されるように、ジルコニアゾルから調製することができる。ジルコニアゾルを、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを含有する等重量の1−メトキシ−2−プロパノールに添加する(表面処理されるナノジルコニア1グラム当たり1.1mmolの3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)。混合物を、撹拌しながら3時間、約85℃に加熱する。混合物を35℃に冷却し、pHをNHOHで約9.5に調整し、混合物を、撹拌しながら4時間、約85℃に再加熱する。結果として得られたS/Tナノジルコニアを、ギャップ乾燥により溶媒を除去することによって単離する。S/Tナノジルコニアはまた、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランをSilquest A−174及びA−1230のブレンドと置き換えたことを除いて、米国特許第7,649,029号の第19欄39行目〜第20欄41行目(充填剤I)に記載のように調製することもでき、更に、ギャップ乾燥により溶媒を除去してもよい。
セラミック繊維
セラミック繊維0
直径10〜12μmの非晶質アルミノホウケイ酸塩セラミック繊維(3M CompanyからNEXTEL(商標)312として市販、およその組成62.5%Al、24.5%SiO、13%B、デニール3,600g/9,000m、RI1.568)を、比較的狭い長さ分布で細断した。細断したセラミック繊維を、空気中で1〜4時間700℃で熱処理して有機コーティングを除去して、セラミック繊維0を得た。
セラミック繊維0は、BETガス吸着によって測定すると、0.5m/g未満の平均表面積を有していた。セラミック繊維の長さは、詳細な説明において上記で考察されているように、所与の「L」セラミック繊維長さ値以下である細断したセラミック繊維の割合によって得られる。本明細書に考察されるように、これらの値は、「L」値(例えば、L10、L25、L50、L75、L90、及びL99)で示され、ここで、「L」に続く数字は、(所与のセラミック繊維数に関して)所与の「L」長さ値以下である長さを有するセラミック繊維の割合(セラミック繊維の総数に基づく)を示す。
セラミック繊維0については、L50(メジアン)長さ値は147μmであり、L10長さ値は106μmであり、L25長さ値は131μmであり、L75長さ値は157μmであり、L90長さ値は168μmであった。
セラミック繊維1
セラミック繊維0(20.0017g)を、酢酸エチル(23.1g)、GF−31(0.0213g)、及び30%水酸化アンモニウム水溶液(0.54g)の混合物中に分散させた。分散液を、室温(23℃)で一晩撹拌した。セラミック繊維を、次いで、ヒュームフード内でフラッシュ乾燥させ、30分間80℃に加熱して、セラミック繊維1(表面改変)を得た。セラミック繊維1のL10、L25、L50、L75、及びL90長さ値は、セラミック繊維0に関して列挙されたものと実質的に同じであった。
セラミック繊維2
GF−31での表面改変の前に、セラミック繊維を以下のように煮沸処理に供したことを除き、セラミック繊維1に類似の様式で、セラミック繊維2を調製した。セラミック繊維(508g)を、脱イオン水中に分散させ、120分間煮沸した。煮沸したセラミック繊維を、濾過によって回収した後、乾燥させた。煮沸したセラミック繊維をBETガス吸着により分析すると、約23m/gの表面積が示された。
煮沸したセラミック繊維(302.1g)を、酢酸エチル(399.2g)、GF−31(6.8g)、及び30%水酸化アンモニウム水溶液(6.0g)の混合物中に分散させた。分散液を、室温(23℃)で一晩撹拌した。セラミック繊維を、ヒュームフード内でフラッシュ乾燥させ、30分間80℃に加熱して、セラミック繊維2を得た。セラミック繊維2のL10、L25、L50、L75、及びL90長さ値は、セラミック繊維0に関して列挙されたものと実質的に同じであった。
セラミック繊維3
直径10〜12μmのアルミナセラミック繊維(3M CompanyからNEXTEL(商標)610として市販、99%超のα−Al、デニール10,000g/9,000m、RI1.74)を、比較的狭い長さ分布で細断した。細断したセラミック繊維を、空気中で1〜4時間700℃で熱清浄して、有機コーティングを除去して、基礎セラミック繊維を得た。セラミック繊維は、材料の特性シートから得られた0.2m/g未満の平均表面積、及びセラミック繊維プロセッサによって得られた標準誤差測定値によると30μmの標準偏差で190μmの算術平均長さを有した。基礎セラミック繊維を、セラミック繊維1に関して記載されるようにシラン処理して、セラミック繊維3を得た。セラミック繊維3については、L50(メジアン)長さ値は130μmであり、L10長さ値は51μmであり、L25長さ値は79μmであり、L75長さ値は173μmであり、L90長さ値は220μmであった。
セラミック繊維4
直径10〜12μmのアルミナ−シリカセラミック繊維(3M CompanyからNEXTEL(商標)720として市販、およそ85%Al、15%SiO、デニール10,000g/9,000m)を、比較的狭い長さ分布で細断した。細断したセラミック繊維を、空気中で1〜4時間700℃で熱清浄して、有機コーティングを除去して、基礎セラミック繊維を得た。基礎セラミック繊維は、材料の特性シートから得られた0.2m/g未満の平均表面積、及びセラミック繊維プロセッサによって得られた標準誤差測定値によると40μmの標準偏差で180μmの算術平均長さを有した。基礎セラミック繊維を、セラミック繊維1に関して記載されるようにシラン処理して、セラミック繊維4を得た。セラミック繊維4については、L50(メジアン)長さ値は163μmであり、L10長さ値は55μmであり、L25長さ値は132μmであり、L75長さ値は188μmであり、L90長さ値は207μmであった。
セラミック繊維5
直径10〜12μmの非晶質アルミノホウケイ酸塩セラミック繊維(3M CompanyからNEXTEL(商標)312として市販、およその組成62.5%Al、24.5%SiO、13%B、デニール3,600g/9,000m、RI1.568)を、比較的狭い長さ分布で細断した。細断したセラミック繊維を、空気中で1〜4時間700℃で熱処理して、有機コーティングを除去して、セラミック繊維5を得た。セラミック繊維5は、材料の特性シートから得られた0.2m/g未満の平均表面積、及びセラミック繊維5によって得られた標準誤差測定値によると120μmの標準偏差で2950μmの算術平均長さを有した。セラミック繊維5の大きな長さのため、L90長さ値は、500μmを上回ることが想定された。
セラミック繊維6
セラミック繊維0を以下のように粉砕することによって、セラミック繊維6を形成した。小規模なボールミル(Roalox Model 774、サイズ000、Gardco,Paul N Gardner Company,Pompano Beach,FL,USA)に、400gの3/8”イットリア安定化ジルコニアロッドミリング媒体及び50.41gのセラミック繊維0を充填し、セラミック繊維を、250rpmで2時間粉砕した。光学顕微鏡で測定すると、セラミック繊維6のメジアンセラミック繊維長さは、45μmであり、L10値は27μmであり、L25値は34μmであり、L75値は59μmであり、L90値は77μmであった。
以下に更に詳述されるように、本開示の複合材料は、充填材料として、セラミック繊維を含む。本開示の複合材料は、優れた操作特徴を示す。また、本開示の硬化複合材料は、セラミック繊維充填剤を全く含まないか、又は適切な長さ及び/若しくは長さ分布のセラミック繊維充填剤を含まない硬化複合材料と比較して、機械的性能(例えば、とりわけ、破壊靭性及び曲げ弾性率)の十分な向上も示す。本開示の複合材料の機械的性能の向上は、耐久性の高い修復を必要とする口内の臼歯領域など、歯科用途において、特に有用な場合がある。加えて、本開示の複合材料のセラミック繊維は、複合材系の固化した重合性成分と一致し得る屈折率を有し、それによって、美的特性の高い修復部をもたらすことができる複合材料を提供する。最終的に、本開示の硬化複合材料により、優れた研磨性及びつや保持の特徴が得られた。
複合材料
表1に示される成分を、すべての成分が均一に混合されるまで、45℃で混合することによって、第1の重合性成分である樹脂1を調製した。樹脂1を使用して、典型的な汎用(造形性)歯科複合材に類似のレオロジー性質を有する複合材料を調製した。
Figure 0006659716
表2に示される成分を、すべての成分が均一に混合されるまで混合することによって、第2の重合性成分である樹脂2を調製した。樹脂2を使用して、典型的な流動性歯科複合材に類似のレオロジー性質を有する複合材料を調製した。
Figure 0006659716
表3に示される成分を、均一になるまで混合することによって、複合材料の実施例を調製した。すべての事例において、複合材料は、許容される操作特徴を示した。
Figure 0006659716
上記に特定された複合材料(表3)を、上述の方法に従って硬化させ、機械的試験に供して、様々なレベルのセラミック繊維0及びナノクラスターを用いて製造した材料の特性を評価した。機械的試験データを、以下の表4に要約する。
Figure 0006659716
表4に見られるように、セラミック繊維0の添加により、硬化複合材料の破壊靭性及び曲げ弾性率が増加し(比較例Aと実施例1とを比較して)、組成物に添加するセラミック繊維0が多いほど、増加率が大きい(実施例1と実施例3とを比較して)。セラミック繊維0などのセラミック繊維は、向上した機械的特性を有する硬化組成物をもたらしたが、ナノクラスター充填剤を含まない配合物は、つや保持特性が良くない硬化組成物をもたらした(実施例2と比較例Cとを比較して)。表4はまた、セラミック繊維0を流動性複合材配合物に組み込むことにより、汎用(造形性)複合材のものに近い、向上した曲げ弾性率特性を有する硬化材料が得られたことも示す(実施例5と実施例3とを比較して)。これにより、流動性の複合材料を広範に示す可能性が生じる。
セラミック繊維の処理の影響
Figure 0006659716
上記に特定された複合材料(表5)を、上述の方法に従って硬化させ、機械的試験に供して、様々なレベル及び種類の細断したセラミック繊維を用いて製造した材料の特性を評価した。機械的試験データを、以下の表6に要約する。
Figure 0006659716
表6のデータは、繊維の処理が、結果として得られる硬化複合材に対する曲げ強度にどのように影響を及ぼすかを示す。汎用複合材配合物の場合には、曲げ強度は、セラミック繊維のシラン表面処理によって向上した(すなわち、実施例6又は実施例7を実施例1と比較して)。同様に、硬化させた流動性複合材配合物の曲げ強度もまた、向上した(すなわち、実施例8又は比較例Hと実施例5又は比較例Gとを比較して)。
繊維−充填剤−樹脂の使用量の影響
Figure 0006659716
Figure 0006659716
セラミック繊維の長さの影響
セラミック繊維の長さは、機械的特性の向上に対するその有効性に影響を及ぼす。表9は、長さ(及び長さ分布)の異なるセラミック繊維のブレンドを含有する複合材料の配合を示す。実施例3は、セラミック繊維0のみ(狭い長さ分布で比較的短く細断した繊維)を含有し、比較例Kは、セラミック繊維5のみ(狭い長さ分布で比較的長く細断した繊維)を含有していたが、一方で比較例I及び比較例Jは、セラミック繊維0及びセラミック繊維6のブレンドを含有していた。セラミック繊維0、セラミック繊維5、及びセラミック繊維6は、組成が同一であり、表面処理が含まれなかった。表10aは、セラミック繊維の長さ分布を示すが、表10bは、曲げ強度及び弾性率、並びに破壊靭性に対する繊維の長さ及び長さ分布の影響を示す。
Figure 0006659716
Figure 0006659716
Figure 0006659716
表10a及び10bから見ることができるように、L50が約50マイクロメートルを上回り、L75が約130マイクロメートルを上回るセラミック繊維を含有する複合材料は、優れた機械的特性をもたらす。
セラミック繊維の組成の影響
Figure 0006659716
機械的特性の向上に加えて、硬化複合材料に、歯科産業で標準的なツールを用いて、研磨して高い初期光沢度にすることもまた、望ましい。これを試験するために、選択した硬化複合材料に、研磨性の試験方法に従って研磨する。研磨した後に、60度光沢度を測定する。表10は、実施例10、実施例11、及び実施例12の硬化複合材料の初期光沢度の結果を要約する。
Figure 0006659716
表10からわかるように、アルミノホウケイ酸塩セラミック繊維(実施例10)又はアルミナ−シリカセラミック繊維(実施例12)を含有する硬化複合材料は、アルミナセラミック繊維(実施例11)を含有する硬化複合材料よりも高い初期光沢度までつやが出る。実施例10及び実施例12に対して得られた初期60°光沢度は、特に良好であり、市販の歯科用複合材料(FILTEK Supreme Ultra Universal Restorative,3M ESPE,St.Paul,MNから市販)のものに近かった。
セラミック繊維及び硬化複合材料のそれぞれは、屈折率を有しており、これらの2つの成分の屈折率値が一致する場合、硬化複合材料中のセラミック繊維の存在は、それほど目立たない。屈折率の一致は、硬化複合材料のコントラスト比を測定することによって示すことができる。コントラスト比は、光学的不透過性の尺度であるため、コントラスト比が低いほど、硬化複合材料を透過する光は多い。未着色又は深い硬化のための歯科用途に望ましいコントラスト比の値は、典型的に、約55以下の値である。これにより、所望に応じて追加の色付けが可能となる。
実施例10、実施例11、及び実施例12のコントラスト比を、コントラスト比(CR)試験方法において上述のように測定した。表13は、その結果を示す。
Figure 0006659716
当業者には、本開示の範囲及び趣旨を逸脱することのない、本開示に対する様々な修正及び変更が明らかであろう。本開示は、本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって不当に制限されるものではないこと、並びにそのような実施例及び実施形態は、本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ制限されることが意図される本開示の範囲内の単なる例示として示されることを理解されたい。本明細書に引用された特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、あたかもそれぞれが個々に組み込まれるかのように、それらの全体が参照により組み込まれる。
本開示の実施態様の一部を以下の[項目1]−[項目51]に記載する。
[項目1]
複合材料であって、
20〜40重量パーセント(重量%)の重合性成分と、
4〜50重量%のセラミック繊維と、
20〜70重量%のナノクラスターと、を含み、前記複合材料の前記重量%値は、前記複合材料の総重量に基づくものであり、かつ合計すると100重量%の値になり、前記セラミック繊維のそれぞれは、ある長さを有し、前記セラミック繊維の総数に基づいて50パーセントの前記セラミック繊維の長さが、少なくとも50マイクロメートルであり、前記セラミック繊維の総数に基づいて90パーセントの前記セラミック繊維の長さが、500マイクロメートル以下である、複合材料。
[項目2]
最大12重量%のナノ粒子を含む、項目1に記載の複合材料。
[項目3]
2〜12重量%のナノ粒子を含む、項目2に記載の複合材料。
[項目4]
前記ナノ粒子が、分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子である、項目2又は3に記載の複合材料。
[項目5]
前記分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子が、分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子である、項目4に記載の複合材料。
[項目6]
前記分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子が、分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子及び分離した非ヒュームド非重金属酸化物ナノ粒子の両方を含む、項目4に記載の複合材料。
[項目7]
前記複合材料が、22〜64重量%のナノクラスターを含む、項目1に記載の複合材料。
[項目8]
前記セラミック繊維が、少なくとも部分的に非晶質のセラミック繊維である、項目1〜7のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目9]
前記セラミック繊維が、完全に非晶質のセラミック繊維である、項目8に記載の複合材料。
[項目10]
前記複合材料の総重量に基づいて4〜40重量%の前記セラミック繊維を含む、項目1〜9のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目11]
前記セラミック繊維の総数に基づいて65パーセントの前記セラミック繊維の長さが、少なくとも100マイクロメートルであり、前記セラミック繊維の総数に基づいて90パーセントの前記セラミック繊維の長さが、350マイクロメートル以下である、項目1〜10のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目12]
前記セラミック繊維が、100マイクロメートル〜170マイクロメートルの算術平均長さを有する、項目1に記載の複合材料。
[項目13]
前記セラミック繊維が、0.5〜20マイクロメートルの算術平均直径を有する、項目1〜12のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目14]
前記セラミック繊維の前記算術平均直径が、9〜12マイクロメートルである、項目13に記載の複合材料。
[項目15]
少なくとも50マイクロメートルである前記50パーセントの前記セラミック繊維のメジアン長さの、少なくとも50マイクロメートルである前記50パーセントの前記セラミック繊維のメジアン直径に対するアスペクト比が、少なくとも5:1(メジアン長さ:メジアン直径)である、項目1〜14のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目16]
前記セラミック繊維が、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素で形成され、前記セラミック繊維の総重量に基づいて14重量パーセント以下の三酸化ホウ素を有する、項目1〜15のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目17]
前記セラミック繊維が、少なくとも10平方メートル毎グラム(m /g)の表面積を有する、項目1〜16のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目18]
前記重合性成分が、ある屈折率を有する固化した重合性成分を形成し、前記セラミック繊維が、前記固化した重合性成分の前記屈折率の0.1以内の屈折率値を有する、項目1〜17のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目19]
前記セラミック繊維が、前記固化した重合性成分の前記屈折率の0.05以内の屈折率値を有する、項目18に記載の複合材料。
[項目20]
前記セラミック繊維が、1.40〜1.65の屈折率値を有する、項目1〜19のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目21]
前記セラミック繊維の前記屈折率値が、1.50〜1.58である、項目20に記載の複合材料。
[項目22]
前記重合性成分が、エチレン性不飽和化合物である、項目1〜21のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目23]
フリーラジカル開始剤、光開始剤、熱活性化開始剤、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される開始剤を更に含む、項目1〜22のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目24]
カップリング剤を更に含み、前記カップリング剤が、前記セラミック繊維と前記重合性成分との間の化学結合を提供する、項目1〜23のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目25]
前記カップリング剤が、オルガノシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤、酸性カップリング剤、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目24に記載の複合材料。
[項目26]
固化して、歯科用修復材、歯科用接着剤、歯科用ミルブランク、歯科用セメント、歯科用プロテーゼ、歯列矯正デバイス、歯列矯正用接着剤、歯科用鋳造材、又は歯科用コーティングのうちいずれかとなる、項目1〜25のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目27]
前記ナノクラスターが、シリカ−ジルコニアナノクラスターである、項目1〜26のいずれか一項に記載の複合材料。
[項目28]
前記シリカ−ジルコニアナノクラスターが、一次粒子によって形成され、前記一次粒子のそれぞれが、1ナノメートル〜200ナノメートルの直径を有する、項目27に記載の複合材料。
[項目29]
項目1〜28のいずれか一項に記載の複合材料を固化させることによって製造される、歯科用製品。
[項目30]
歯科用修復材、歯科用接着剤、歯科用ミルブランク、歯科用セメント、歯科用プロテーゼ、歯列矯正デバイス、歯列矯正用接着剤、歯科用鋳造材、人工クラウン、前歯部充填物、臼歯部充填物、及び窩洞ライナー又は歯科用コーティングからなる群から選択される、項目29に記載の歯科用製品。
[項目31]
複合材料を製造する方法であって、
20〜40重量パーセント(重量%)の重合性成分を用意することと、
4〜50重量%のセラミック繊維を用意することと、
20〜70重量%のナノクラスターを用意することであって、前記複合材料の前記重量%値は、前記複合材料の総重量に基づくものであり、かつ合計すると100重量%の値になり、前記セラミック繊維のそれぞれは、ある長さを有し、前記セラミック繊維の総数に基づいて50パーセントの前記セラミック繊維の長さが、少なくとも50マイクロメートルであり、前記セラミック繊維の総数に基づいて90パーセントの前記セラミック繊維の長さが、500マイクロメートル以下である、ナノクラスターを用意することと、
前記重合性成分、前記セラミック繊維、及び前記ナノクラスターを混合して、前記複合材料を製造することを含む、方法。
[項目32]
前記複合材料を用意することが、前記複合材料の総重量に基づいて最大12重量%のナノ粒子を用意することと、前記重合性成分、前記セラミック繊維、及び前記ナノクラスター、並びに前記ナノ粒子を混合して前記複合材料を製造することと、を含む、項目31に記載の方法。
[項目33]
前記複合材料を用意することが、前記複合材料の総重量に基づいて2〜12重量%のナノ粒子を用意することを含む、項目32に記載の方法。
[項目34]
前記ナノ粒子が、分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子である、項目32又は33に記載の方法。
[項目35]
ナノクラスターを用意することが、22〜65重量%のナノクラスターを用意することを含む、項目31に記載の方法。
[項目36]
セラミック繊維を用意することが、前記複合材料の総重量に基づいて4〜40重量%の前記セラミック繊維を用意することを含む、項目31に記載の方法。
[項目37]
前記セラミック繊維の総数に基づいて65パーセントの前記セラミック繊維の長さが、少なくとも100マイクロメートルであり、前記セラミック繊維の総数に基づいて90パーセントの前記セラミック繊維が、350マイクロメートル以下である、項目31〜36のいずれか一項に記載の方法。
[項目38]
前記セラミック繊維が、0.5〜20マイクロメートルの算術平均直径を有する、項目31〜37のいずれか一項に記載の方法。
[項目39]
前記セラミック繊維の前記算術平均直径が、9〜12マイクロメートルである、項目38に記載の方法。
[項目40]
前記重合性成分を固化させて、ある屈折率を有する固化した重合性成分を形成することを含み、前記セラミック繊維が、前記固化した重合性成分の前記屈折率の0.1以内の屈折率値を有する、項目31〜39のいずれか一項に記載の方法。
[項目41]
前記セラミック繊維が、前記固化した重合性成分の前記屈折率の0.05以内の屈折率を有する、項目40に記載の方法。
[項目42]
前記セラミック繊維が、ある表面積を含み、前記方法が、前記セラミック繊維の前記表面積を変化させるように前記セラミック繊維を処理することを含む、項目31〜41のいずれか一項に記載の方法。
[項目43]
前記セラミック繊維が、所定の量の三酸化ホウ素を含み、前記セラミック繊維の前記表面積を変化させるように前記セラミック繊維を処理することが、前記セラミック繊維から前記三酸化ホウ素の少なくとも一部分を除去することを含む、項目42に記載の方法。
[項目44]
前記三酸化ホウ素の少なくとも一部分を除去することが、水中で前記セラミック繊維を煮沸して、前記セラミック繊維中の前記三酸化ホウ素を除去することを含む、項目43に記載の方法。
[項目45]
前記複合材料を固化させて、歯科用製品を形成することを更に含む、項目31〜44のいずれか一項に記載の方法。
[項目46]
前記ナノクラスターが、シリカ−ジルコニアナノクラスターである、項目31〜45のいずれか一項に記載の方法。
[項目47]
複合材料を使用する方法であって、
項目1〜28のいずれか一項に記載の複合材料を、歯の表面付近又は表面上に配置することと、
前記歯の表面付近又は表面上の前記複合材料の形状を変化させることと、
前記複合材料を固化させることと、を含む、方法。
[項目48]
前記歯の表面付近又は表面上の前記複合材料の形状を変化させることが、前記複合材料を、歯科用プロテーゼ、歯列矯正デバイス、歯科用クラウン、前歯部充填物、臼歯部充填物、又は窩洞ライナーからなる群から選択される歯科用製品に成形することを含む、項目47に記載の方法。
[項目49]
前記複合材料を固化させた後に、前記複合材料を研磨することを更に含む、項目47又は48に記載の方法。
[項目50]
項目1〜28のいずれか一項に記載の複合材料と、
前記複合材料を保持するための少なくとも1つの容器と、を含む、キット。
[項目51]
セメント、接着剤、研磨剤、磨き用ペースト、装置、ソフトウェア、ミル、CAD/CAMシステム、複合材、陶材、ステイン、バー、印象材、歯科用ミルブランク、又はこれらの組み合わせの群から選択される、少なくとも1つの歯科用構成要素を更に含む、項目50に記載のキット。

Claims (10)

  1. 複合材料であって、
    20〜40重量パーセント(重量%)の重合性成分と、
    4〜50重量%のセラミック繊維と、
    20〜70重量%のナノクラスターと、を含み、前記複合材料の前記重量%値は、前記複合材料の総重量に基づくものであり、かつ合計すると100重量%の値になり、前記セラミック繊維のそれぞれは、ある長さを有し、前記セラミック繊維の総数に基づいて50パーセントの前記セラミック繊維の長さが、少なくとも50マイクロメートルであり、前記セラミック繊維の総数に基づいて90パーセントの前記セラミック繊維の長さが、500マイクロメートル以下である、複合材料。
  2. 2〜12重量%のナノ粒子を含む、請求項に記載の複合材料。
  3. 前記ナノ粒子が、分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子である、請求項に記載の複合材料。
  4. 前記分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子が、分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子である、請求項に記載の複合材料。
  5. 前記分離した非ヒュームド金属酸化物ナノ粒子が、分離した非ヒュームド重金属酸化物ナノ粒子及び分離した非ヒュームド非重金属酸化物ナノ粒子の両方を含む、請求項に記載の複合材料。
  6. 前記複合材料が、22〜64重量%のナノクラスターを含む、請求項1に記載の複合材料。
  7. 前記セラミック繊維が、少なくとも部分的に非晶質のセラミック繊維である、請求項1記載の複合材料。
  8. 前記複合材料の総重量に基づいて4〜40重量%の前記セラミック繊維を含む、請求項1記載の複合材料。
  9. 前記セラミック繊維の総数に基づいて65パーセントの前記セラミック繊維の長さが、少なくとも100マイクロメートルであり、前記セラミック繊維の総数に基づいて90パーセントの前記セラミック繊維の長さが、350マイクロメートル以下である、請求項1記載の複合材料。
  10. 前記セラミック繊維が、100マイクロメートル〜170マイクロメートルの算術平均長さを有し、かつ、前記セラミック繊維が、0.5〜20マイクロメートルの算術平均直径を有する、請求項1に記載の複合材料。
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