JP7261555B2 - 接着性を向上させた歯科切削用レジン硬化体 - Google Patents
接着性を向上させた歯科切削用レジン硬化体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7261555B2 JP7261555B2 JP2018178200A JP2018178200A JP7261555B2 JP 7261555 B2 JP7261555 B2 JP 7261555B2 JP 2018178200 A JP2018178200 A JP 2018178200A JP 2018178200 A JP2018178200 A JP 2018178200A JP 7261555 B2 JP7261555 B2 JP 7261555B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- dental
- resin
- meth
- cutting
- inorganic filler
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61C—DENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
- A61C5/00—Filling or capping teeth
- A61C5/70—Tooth crowns; Making thereof
- A61C5/77—Methods or devices for making crowns
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61C—DENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
- A61C13/00—Dental prostheses; Making same
- A61C13/0003—Making bridge-work, inlays, implants or the like
- A61C13/0022—Blanks or green, unfinished dental restoration parts
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61C—DENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
- A61C13/00—Dental prostheses; Making same
- A61C13/08—Artificial teeth; Making same
- A61C13/082—Cosmetic aspects, e.g. inlays; Determination of the colour
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61C—DENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
- A61C13/00—Dental prostheses; Making same
- A61C13/08—Artificial teeth; Making same
- A61C13/087—Artificial resin teeth
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/70—Preparations for dentistry comprising inorganic additives
- A61K6/71—Fillers
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K6/00—Preparations for dentistry
- A61K6/80—Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth
- A61K6/884—Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth comprising natural or synthetic resins
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61C—DENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
- A61C13/00—Dental prostheses; Making same
- A61C13/0003—Making bridge-work, inlays, implants or the like
- A61C13/0004—Computer-assisted sizing or machining of dental prostheses
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Dentistry (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Plastic & Reconstructive Surgery (AREA)
- Dental Preparations (AREA)
- Dental Prosthetics (AREA)
Description
金属製の歯冠修復物作製から装着までの一連の流れは上述の通りであるが、この歯冠修復物の素材については金属以外にセラミックスやレジンなど様々なものがあり、歯冠修復物が口腔内で使用される口腔内状況やその部位等により歯科医師が歯冠修復物の素材を選択するのが通常である。
(1)アルミナサンドブラスト処理工程
歯冠修復物の内面をアルミナサンドブラストで処理する。
(2)水洗処理工程
アルミナサンドブラストで処理された歯冠修復物を水洗する。
(3)乾燥処理工程
水洗された歯冠修復物を乾燥する。
(4)歯冠修復物処理工程
乾燥させた歯冠修復物をシランカップリング材入りプライマー(以下、セラミックスプライマーとする)で処理する。
(5)支台歯プライマー処理工程
セラミックスプライマーで処理された歯冠修復物を接着する被着体である支台歯をプライマー(以下、支台歯プライマー)で処理する。但し、被着体は歯質、レジン、金属等の種類によって、それぞれに対応した専用のプライマーを用いて処理を行う。
(6)接着剤塗布工程
接着剤であるレジンセメントペーストを歯冠修復物の内面に塗布する。
(7)支台歯圧接工程
レジンセメントペーストを内面に塗布した歯冠修復物を支台歯に圧接し接着を行う。
(8)余剰ペースト除去工程
歯冠修復物を支台歯に圧接した結果、余剰の接着剤が歯冠修復物と支台歯との間から出るため、除去する。
(9)光硬化工程
余剰の接着剤を除去された歯冠修復物に光を照射して接着剤を硬化させ歯冠修復物と支台歯を接着させる。
特許文献1には、歯冠補綴物に求められる硬さ、曲げ強度、圧縮強度等の機械的特性や審美性を維持した上で、歯科切削加工用レジン材料の製造時にブロック内部で発生する歪みを低減し、クラックやチッピングがおこらない歯科用硬化性組成物が開示されている。支台歯への接着においては「セラミックスプライマー処理工程」を必要とし、接着工程が長く、治療時間を短縮することはできなかった。
特許文献2には、切削時の切削性に優れつつも、口腔内で使用したときの耐衝撃性、耐摩耗性、審美性に優れる切削加工用のブロックが開示されているが、支台歯への接着においては更なる改善の余地が残されていた。
そこで本発明は、従来のシランカップリング材を含むポーセレンプライマーによる表面処理を必要とせず、酸性重合性モノマー及び/またはそれから誘導された重合体を含む接着性材料を用いた簡便な接着術式により接着することができる、特定の無機フィラーを含有した組成物の加熱重合または加圧加熱重合により作製された歯科切削用レジン硬化体、及びそれを用いて作製した歯冠修復物並びにその歯冠修復物を接着させる接着方法を提供することを課題とする。
また、プライマーを必要としないグラスアイオノマー系セメントで接着させる場合においても、従来に比べて脱落が起こることなく強固に接着することを課題とする。
特に、グラスアイオノマー系セメント中に、酸性重合性モノマー及び/またはそれから誘導された酸性重合性プレポリマー及び/またはそれから誘導された重合体を含んだレジン系セメントやポリカルボン酸を含んでいる場合は、プライマーを用いなくても強固に接着することができることを課題とする。
歯科用CAD/CAMシステムを用いた切削加工に用いる歯科切削用レジン硬化体であって、
(a)周期表における第2族及び/または第13族の元素を酸化物換算で55wt%以上含む無機フィラー
(b)重合性単量体
(c)重合開始剤
を含む組成物の硬化体からなることを特徴とする歯科切削用レジン硬化体を提供する。
(a)無機フィラーと(b)重合性単量体とを重量比で、25:75~80:20の割合で含み、
(a)無機フィラー及び(b)重合性単量体の合計100重量部に対して(c)重合開始剤を、0.1~2.0重量部含む組成物の硬化体からなることが好ましい。
本発明の歯科切削用レジン硬化体においては、
(b)重合性単量体が親水性単量体を含むことが好ましい。
本発明は、歯科用CAD/CAMシステムを用いた切削加工により、本発明の歯科切削用レジン硬化体を切削した歯冠修復物を提供する。
本発明は、本発明の歯冠修復物の接着方法であって、酸性重合性モノマー及び/またはそれから誘導された重合体を含む接着性材料を用いて接着される歯冠修復物の接着方法を提供する。
また、グラスアイオノマー系セメントで接着させる場合において、プライマーを用いなくても脱落が起こることなく強固に接着することができる。
特に、グラスアイオノマー系セメント中に、酸性重合性モノマー及び/またはそれから誘導された酸性重合性プレポリマー及び/またはそれから誘導された重合体を含んだレジン系セメントやポリカルボン酸を含んでいる場合は、プライマーを用いなくても強固に接着することができる。
プライマーを用いるレジン系セメントを使用する場合は、歯質プライマーを歯冠修復物に使用することで、グラスアイオノマー系セメントと同様の接着力をえることが可能となった。更に、歯冠修復物と歯質を同じプライマーで処理することが可能であり操作性を向上させることができる。
本発明の歯科切削用レジン硬化体用の組成物に含まれる無機フィラー(a)は周期表における第2族及び/または第13族の元素の内少なくとも1つ以上を酸化物換算で55wt%以上含んだものであれば何等制限なく用いることができる。第2族及び/または第13族の元素の量は、本発明の効果である接着性に影響を及ぼすものであり、55wt%未満であれば接着性セメントまたは合着用セメントで接着させた時に強固な接着性を得られず、脱落が起こる恐れがある。なお、無機フィラー(a)は、好ましくは58wt%以上、更に好ましくは60wt%以上である。また、無機フィラー(a)は酸化物換算で、80wt%以下であることが好ましい。
この無機フィラーに含まれる周期表における第2族の元素としてはMg、Ca、Sr、Ba、Ra等が挙げられ、これらの中でもMg、Ca、Sr、Baの内少なくとも1つ以上を含んでいることが好ましい。また周期表における第13族の元素としてはAl、B、Ga、In、Tl等が挙げられ、これらの中でもAl、Bの内少なくとも1つ以上を含んでいることが好ましい。さらにこの無機フィラーには周期表における第2族及び第13族からそれぞれ少なくとも1つ以上の元素を含んでいることが好ましい。
本発明に用いる無機フィラーの製造方法は特に制限はなく、溶融法、気相法、ゾルーゲル法などのいずれの製造方法で製造したものでも用いることができる。またこの無機フィラーの形状も特に限定されるものではなく、球状、針状、破砕状、鱗片状等のいずれの形状を用いることができ、それらは単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることもできる。本発明の歯科切削用レジン硬化体から作製された歯冠修復物に良好な研磨性や磨耗後における滑沢な表面性状をもたらすためには球状または破砕型であることが好ましい。
これらの表面処理材の中でも、本発明の歯科切削用レジン硬化体を高強度化するためには本発明に用いる無機フィラーをシランカップリング材により表面処理することが好ましい。そのシランカップリング材を具体的に例示するとビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
また、本発明の歯科切削用レジン硬化体からのイオン徐放性を向上させるためには本発明に用いる無機フィラーを酸性ポリマー及びシラン化合物を用いて複合表面処理を行うことが好ましい。この複合表面処理はシラン化合物により無機フィラー表面を被覆した後に、酸性ポリマーを用いて表面処理する方法であり、以下において具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
Lは0から4の整数で、n+m+L=4である)で表されるシラン化合物を添加して混合し、そのシラン化合物を加水分解または部分加水分解・縮合させたポリシロキサンで無機フィラー表面を被覆する。
また一般式(I)で表されるシラン化合物の低縮合体であることがより好ましく、特に好ましくはテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランを部分加水分解して縮合させた低縮合シラン化合物である。これらの化合物は単独または組み合わせて使用することができる。
上記の水性媒体とは水及びアルコールから構成される。アルコールを加えることにより乾燥工程において表面被覆した無機フィラーの凝集性を軽減させ、より解砕性を向上させる多大な効果がある。好ましいアルコールとしては炭素数2~10のアルコール類であるが、炭素数が10以上のアルコールの添加は沸点が高く溶媒を乾燥除去するために長時間を要する。具体的なアルコールを例示するとエチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、iso-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、iso-アミルアルコール、n-ヘキシルアルコール、n-ヘプチルアルコール、n-オクチルアルコール、n-ドデシルアルコールが挙げられ、より好ましくは炭素数2~4のアルコール、例えばエチルアルコール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコールが挙げられる。アルコールの添加量は水100重量部に対して例えば5~100重量部、好ましくは5~20重量部である。添加量が100重量部以上になると乾燥工程が複雑になる等の問題が生じる場合がある。
以上のように乾燥により水性媒体を除去し、収縮した固化物が得られる。固化物は無機フィラーの凝集状態ではあるが、単なる無機フィラーの凝集物ではなく、個々の微粒子の境界面には縮合により形成されたポリシロキサンが介在している。したがって次の工程としてこの固化物をポリシロキサン処理前の無機フィラー相当に解砕すると、その表面がポリシロキサンで被覆された無機フィラーが得られる。ここで「ポリシロキサン処理前の無機フィラー相当に解砕する」とは、ポリシロキサンで被覆された無機フィラーの一次粒子に解砕することであり、元の無機フィラーと異なる点は個々の微粒子がポリシロキサンで被覆されていることである。ただし、問題ない程度であれば2次凝集物を含んでいてもよい。固化物の解砕は、せん断力または衝撃力を加えることにより容易に可能であり、解砕方法としては、例えばヘンシェルミキサー、クロスロータリミキサー、スーパーミキサー等を用いて行いことができる。
このとき酸性ポリマー溶液の分散法は特に制限はないが、均一に分散できる滴下またはスプレー方式がより好ましく、その後熱処理を行う。得られた熱処理物は必要に応じて解砕を行い、表面処理無機フィラーを得ることができる。
反応に用いる酸性ポリマー溶液の調製に用いる溶媒は、酸性ポリマーが溶解する溶媒であれば何等制限はなく、水、エタノール、アセトン等が挙げられる。これらの中で特に好ましいのは水であり、これは酸性ポリマーの酸性基が解離し、ポリシロキサン被覆無機フィラーと均一に反応することができる。酸性ポリマー溶液中に溶解したポリマーの重量分子量は例えば2000~50000の範囲であり、好ましくは5000~40000の範囲である。また酸性ポリマー溶液中に占める酸性ポリマー濃度は3~25重量部の範囲が好ましく、より好ましくは8~20重量部の範囲である。さらにポリシロキサン被覆無機フィラーに対する酸性ポリマー溶液の添加量は、ポリシロキサン被覆無機フィラー100重量部に対して6~40重量部の範囲が好ましく、より好ましくは10~30重量部である。この添加量で換算するとポリシロキサン被覆無機フィラー100重量部に対する酸性ポリマー量は1~7重量部、また水量は10~25重量部の範囲が最適値となる。
無機フィラーを、(a)無機フィラーと(b)重合性単量体との重量比で、80:20よりも大きい割合で含むと、気泡が混入しない歯科切削用レジン硬化体をえることが難しい場合がある。
また、本発明の歯科切削用レジン硬化体用の組成物は、上記の(a)周期表における第2族及び/または第13族の元素を酸化物換算で55wt%以上含んだ無機フィラー以外ではない他のフィラーを含んでも何等問題はない。他のフィラーとしては第2族及び/または第13族の元素を含まない無機フィラー、有機フィラー及び有機無機複合フィラー等が挙げられる。
これらの他の無機フィラーを具体的に例示するとシリカフィラー、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、炭化ケイ素等、ジルコニウムシリケート等が挙げられる。
また、有機フィラーとして具体的に例示するとメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、アルキルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー、またはこれらのコポリマー等が挙げられ、これらのホモポリマーとコポリマーとの混合物も用いることができる。
さらに有機無機複合フィラーは無機フィラーを有機樹脂中に含有する複合フィラーであり、無機フィラーにモノマーを添加してペースト状にした後に重合させ、得られた重合物を粉砕した粒状のものを利用することができ、従来の歯科用硬化性組成物に使用されているものを使用できる。
これらの種々のフィラーは単独だけでなく複数を組み合わせて用いても何等問題はない。
本発明の歯科切削用レジン硬化体用の組成物に含まれる(b)重合性単量体を具体的に例示すれば次の通りである。
単官能重合性単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、Γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、Γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のシラン化合物類、2-(N、N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の窒素含有化合物が挙げられる。
脂肪族系二官能重合性単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能重合性単量体としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン系重合性単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有する重合性単量体と、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルメチルベンゼン、4、4-ジフェニルメタンジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物との付加物から誘導される二官能性または三官能性以上のウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリレート重合性単量体以外に分子内に少なくとも1個以上の重合性基を有するオリゴマーまたはプレポリマーを用いても何等制限はない。また、フルオロ基等の置換基を同一分子内に有していても何等問題はない。
以上に記載した重合性単量体は単独だけでなく複数を組み合わせて用いることができる。
本発明において親水性重合性単量体とは23℃の水100重量部に対する溶解性が10重量部以上である重合性単量体を親水性重合性単量体と定義し、次の方法によって確認することができる。サンプル瓶中で23℃に保った水100g中に重合性単量体10gを加えて10分間撹拌した後、放置する。10分間経過後、サンプル瓶中で混合した混合物を観察した時、混合物が均一に透明または半透明に溶解するまたは相溶する重合性単量体を親水性重合性単量体とした。
親水性重合性単量体は親水性を示す重合性単量体であれば、ラジカル重合可能な不飽和基の種類に関係なく、単官能性及び/または多官能性のいずれにおいても、制限なく使用することができる。これらの親水性重合性単量体は、親水性を示すものであれば、分子内にカルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基及びスルホン酸基等の酸性基やアルキル基、ハロゲン、アミノ基、グリシジル基及び水酸基等のその他の官能基を併せて含有することもできる。
これらの親水性重合性単量体は単独だけでなく、複数を組み合わせて用いることができる。
本発明の歯科切削用レジン硬化体用の組成物における(b)重合性単量体の含有量としては、(a)無機フィラーとの重量比が、(a)無機フィラー:(b)重合性単量体=25:75~80:20であることが好ましい。重合性単量体が多すぎると歯科切削性レジン硬化体の機械的強度が低下する可能性がある。重合性単量体が少なすぎると、液成分が少なく、歯科切削用レジン硬化体を得ることが難しい。
これらの重合開始剤の中でも、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、トリメチルバルビツール酸、トリブチルボラン酸化物等を用いることが好ましい。
本発明の歯科切削用レジン硬化体は歯科用CAD/CAMシステムを用いて切削加工することができる形状であることが必要であるが、歯科用CAD/CAMシステムの加工機に保持できるようなものであれば、特に制限はなくいずれの形状のものであっても用いることができる。それらの形状を具体的に例示するとブロック状やディスク状等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また寸法についても特に制限はない。
例えばブロック形状やディスク形状に成形加工することが好ましい。そのため最終的には熱分解によりフリーラジカルを発生する重合開始剤に基因する加熱重合または加圧加熱重合を行うものの、その前に二つの形態の組成物を混合して重合を開始させる化学重合及び/または光照射により重合を開始させる光重合を複合的に組み合わせて、予備的に重合硬化させて目的とする形状に形態を整えた後、最終的に加熱重合または加圧加熱重合することも好ましい対応である。
有機過酸化物を具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、上記有機過酸化物を単独または数種を組み合わせて用いることもできる。
アミン化合物としては、アミン基がアリール基に結合した第2級または第三級アミンが好ましく、具体的に例示するとN,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアニリン、N-β-ヒドロキシエチル-アニリン、N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)-アニリン、N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N-メチル-アニリン、N-メチル-p-トルイジン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、上記アミン化合物を単独または数種を組み合わせて用いることもできる。
スルフィン酸塩類として具体的に例示すると、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、上記スルフィン酸塩類を単独または数種を組み合わせて用いることもできる。
ボレート化合物として具体的に例示すると、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p-フロロフェニル)ホウ素(アルキル基はn-ブチル基、n-オクチル基、n-ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、上記ボレート化合物を単独または数種を組み合わせて用いることもできる。
これらの化学重合開始剤の中でも有機過酸化物-第3級アミンの組み合わせを用いることが好ましい。
また、本発明の歯科切削用レジン硬化体用の組成物は目的に応じて2-ヒドロキシ-4-メチルベンゾフェノンのような紫外線吸収剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2、5-ジターシャリーブチル-4-メチルフェノール等の重合禁止剤、変色防止剤、抗菌材、着色顔料、その他の従来公知の添加剤等の成分を必要に応じて任意に添加できる。
本発明の歯科切削用レジン硬化体の形状は最終的に加熱重合または加圧加熱重合により成形加工されるものであるが、それらの温度や圧力等の成形条件や成形方法にも特に制限はなく、いずれの成形条件や成形方法でも用いることができる。
また、歯科用CAD/CAMシステムを用いた切削加工により本発明の歯科切削用レジン硬化体から作製される歯冠修復物はいずれの種類のもので問題はなく、インレー、オンレー、クラウン、ブリッジが好ましい。
(1)本発明に用いる(a)周期表における第2族及び/または第13族の元素を酸化物換算で55wt%以上含む無機フィラーの製造
(無機フィラー1の製造)
ガラス原料をボールミルにて均一に混合し原料混合品を調製した後、その原料混合品を溶融炉中で1400℃にて溶融した。その融液を溶融炉から取り出し水中で急冷してガラス(ガラス組成:SiO2 23.8wt%、Al2O3 16.2wt%、B2O3 10.5wt%、SrO 35.6wt%、Na2O 2.3wt%、F 11.6wt%)を生成した。4連式振動ミルのアルミナポット(内容量3.6リットル)中に直径6mmのアルミナ玉石4kgを投入後、上記で得たガラスを500g投入して40時間粉砕を行い、第2族及び/または第13族の元素を酸化物換算で62.3wt%含む無機フィラー1を得た。
この無機フィラー1の50%平均粒子径をレーザー回折式粒度測定機(マイクロトラックSPA:日機装社製)により測定した結果、1.2μmであった。
(無機フィラー2の製造)
ガラス原料をボールミルにて均一に混合し原料混合品を調製した後、その原料混合品を溶融炉中で1400℃にて溶融した。その融液を溶融炉から取り出し水中で急冷してガラス(ガラス組成:SiO2 25.0wt%、Al2O3 20.0wt%、B2O3 11.0wt%、SrO 32.0wt%、Na2O 3.0wt%、F 9.0wt%)を生成した。4連式振動ミルのアルミナポット(内容量3.6リットル)中に直径6mmのアルミナ玉石4kgを投入後、上記で得たガラスを500g投入して40時間粉砕を行い、第2族及び/または第13族の元素を酸化物換算で63.0wt%含む無機フィラー2を得た。
この無機フィラー2の50%平均粒子径をレーザー回折式粒度測定機(マイクロトラックSPA:日機装社製)により測定した結果、2.1μmであった。
(無機フィラー3の製造)
ガラス原料をボールミルにて均一に混合し原料混合品を調製した後、その原料混合品を溶融炉中で1400℃にて溶融した。その融液を溶融炉から取り出し水中で急冷して、ガラス(ガラス組成:SiO2 19.8wt%、Al2O3 19.8wt%、B2O3 11.7wt%、SrO 35.0wt%、Na2O 2.3wt%、F 11.4wt%)を得た。次に生成したガラスを振動ミルにて10時間粉砕し、第2族及び/または第13族の元素を酸化物換算で66.5wt%含む無機フィラー3を得た。
この無機フィラー3の50%平均粒子径をレーザー回折式粒度測定機(マイクロトラックSPA:日機装社製)により測定した結果、1.3μmであった。
(無機フィラー4~6の製造)
無機フィラー1~3をそれぞれ用いて高機能化した無機フィラー4~6を作製した。前述の無機フィラー1~3を500g、シラン化合物(予めテトラメトキシシラン5g、水1000g及びエタノール100gを2時間室温で撹拌しえられたシラン化合物の低縮合物の全量)を万能混合攪拌機に投入し90分間撹拌混合した。その後、140℃にて熱処理を30時間施し、熱処理物を得た。この熱処理物をヘンシェルミキサーにて解砕し、ポリシロキサン被覆無機フィラーを得た。このポリシロキサンで被覆された無機フィラー500gを撹拌しつつ、酸性ポリマー水溶液(ポリアクリル酸水溶液:ポリマー濃度13wt%、重量平均分子量20000;ナカライ社製)をヘンシェルミキサーにて噴霧した。その後、熱処理(100℃3hr)を施し、表面処理した無機フィラー4~6を作製した。
(無機フィラー7の製造)
ガラス原料をボールミルにて均一に混合し原料混合品を調製した後、その原料混合品を溶融炉中で1400℃にて溶融した。その融液を溶融炉から取り出し水中で急冷して、ガラス(ガラス組成:SiO2 30.1wt%、Al2O3 19.5%、B2O3 11.9wt%、SrO 24.6wt%、Na2O 2.3wt%、F 11.6wt%)を得た。次に生成したガラスを振動ミルにて10時間粉砕し、第2族及び/または第13族の元素を酸化物換算で56.0wt%含む無機フィラー7を得た。
この無機フィラー7の50%平均粒子径をレーザー回折式粒度測定機(マイクロトラックSPA:日機装社製)により測定した結果、3.0μmであった。
(無機フィラー8の製造)
ガラス原料をボールミルにて均一に混合し原料混合品を調製した後、その原料混合品を溶融炉中で1400℃にて溶融した。その融液を溶融炉から取り出し水中で急冷して、ガラス(ガラス組成:SiO2 27.3wt%、Al2O3 19.9%、B2O3 12.1wt%、SrO 27.0wt%、Na2O 2.3wt%、F 11.4wt%)を得た。次に生成したガラスを振動ミルにて10時間粉砕し、第2族及び/または第13族の元素を酸化物換算で59.0wt%含む無機フィラー8を得た。
この無機フィラー8の50%平均粒子径をレーザー回折式粒度測定機(マイクロトラックSPA:日機装社製)により測定した結果、4.2μmであった。
以下のフィラーを入手または製造し使用した。
(その他フィラー1)
FLX:フューズレックスX(シリカフィラー、粒径=2.1μm:龍森社)
(その他フィラー2)
SOC5:アドマファイン SO-C5(シリカフィラー、平均粒径1.6μm:アドマテックス社)
(その他フィラー3)
アルミノフルオロシリケートガラスは一般的に入手可能なガラス(ガラス組成:SiO2 38.0wt%、Al2O3 26.0wt%、CaO 17.0wt%、Na2O 3.0wt%、P2O3 5.0wt%、F 11.0wt%)を用いた。4連式振動ミルのアルミナポット(内容量3.6リットル)中に直径6mmのアルミナ玉石4kgを投入後、上記ガラスを500g投入して40時間粉砕を行い、フィラーを得た。
このフィラーの50%平均粒子径をレーザー回折式粒度測定機(マイクロトラックSPA:日機装社製)により測定した結果、2.3μmであった。
(その他フィラー4)
バリウムガラスフィラー:GM8235(NEC SHOTTコンポーネンツ(株)社製、ガラス組成:SiO2 50.0wt%、BaO 30.0wt%、B2O3 10.0wt%、Al2O3 10.0wt%)
(ホウ酸イオン及びフッ化物イオンの徐放性評価)
蒸留水100gに対して無機フィラー1~8またはその他フィラー1~4をそれぞれ0.1g加えて2時間撹拌後、分析用シリンジフィルター(クロマトディスク25A,ポアサイズ0.2μm:ジーエルサイエンス社)でろ過してろ液を採取した。そのろ液中に各種フィラーから徐放したホウ酸イオンまたはフッ化物イオンを測定した。ホウ酸イオンの測定は誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICPS-8000:島津社製)を用いてホウ素元素量を測定し、その値を用いてホウ酸イオンに換算することによりホウ酸イオン徐放量を算出した。この時、検量線の作成は0.1、1、10、50ppmの標準液を用いて行った。なお、ホウ素元素量が検量線範囲外となった場合、適宜希釈して測定を実施した。
一方、フッ化物イオンはフッ素イオン複合電極(Model 9609:オリオンリサーチ社)及びイオンメータ(Model 720A:オリオンリサーチ社)を用いてフッ化物イオンを測定した。この時、検量線の作成は0.1、1、10、50ppmの標準液を用いて行った。また、測定時にイオン強度調整剤としてTISABIII(オリオンリサーチ社製)を0.5ml添加した。なお、フッ化物イオン量が検量線範囲外となった場合、適宜希釈して測定を実施した。
過酸化ベンゾイル0.5重量%及びγ-テルピネン0.5重量%を溶解した重合性単量体(UDMA(2,2,4-トリメチルヘキサメチレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート:疎水性重合性単量体)):TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート:疎水性重合性単量体)=80:20(重量比)の混合(メタ)アクリレート系重合性モノマー)に平均粒子径12nmの超微粒子SiO2フィラー(アエロジル R8200、日本アエロジル株式会社製、2重量%)及び、無機フィラー1~8及びその他フィラー1~4を配合し、実施例1~21及び比較例1~8の組成物を作製した。各組成の配合量は表2に記載の通りである。また、親水性単量体を用いた組成物として、UDMA:PEGDMA(ポリエチレングリコールジメタクリレート、オキシエチレン基の数が14:親水性単量体)=80:20(重量%)の混合(メタ)アクリレート系重合性モノマー)を用いた実施例27及び実施例29の組成物、並びに、UDMA:HEMA(2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート:親水性単量体)=80:20(重量比)の混合(メタ)アクリレート系重合性モノマー)を用いた実施例28及び実施例30の組成物を作製した。
また、過酸化ベンゾイルの配合量を変化させた実施例22~26の組成物も作製した。各組成の配合量は表2に記載の通りである。
これらを、減圧下において混練・脱泡し、混合物を得た。混合物をアルミ製金型に充填した後、アルミ板で挟み真空試圧後、熱プレスにて95℃-2t-10minの条件にて硬化させた。その後100℃にて8時間の追加熱処理を行ったものを接着試験に用いる歯科切削用レジン硬化体とした。
(歯科切削用レジン硬化体の機械的強度測定方法)
歯科切削用レジン硬化体より、試験片(14×4×1.2mm)を切り出し、耐水研磨紙(♯2000)にて表面を整えたものを試験体として用いた。インストロン万能試験機(インストロン5567、インストロン社製)を用い、ISO6872に準じてクロスヘッドスピード1mm/分にて、3点曲げ強度を測定した。
上記歯科切削用レジン硬化体を、直径4mm、高さ2mmの円柱状にCAD/CAMシステムを用いて切削加工して接着試験体とした。その試験体の接着面にサンドブラストを用いて0.2~0.3MPaの圧力でアルミナサンドブラストを行い、水洗浄後、自然乾燥させた。一方被接着試験体として、新鮮抜去牛前歯を用い、同牛歯の唇面を耐水研磨紙(#600番)で研磨して象牙質を平面状に露出させ接着面とした。
被接着試験体としての前述の象牙質と、接着試験体としての前述の円柱状である歯科切削用レジン硬化体をそれぞれ以下のセメント材料を用いて接着して接着試験片を作製した。いずれのセメント材料を使用したかを表3に示す。
(1)レジセムペースト
セメント材料としてレジセム((株)松風)を用いて添付文書に従い、被接着試験体と接着試験体を接着させた。具体的には、被接着試験体である象牙質及び接着試験体である歯科切削用レジン硬化体をそれぞれレジセム歯質用プライマー(酸性重合性モノマー:メタクリロキシエチルトリメリット酸及びその無水物)で処理し、レジセムペーストを接着試験体に塗布後、象牙質に一定荷重(300gf)で圧接し、余剰セメント除去後ブルーショット2((株)松風)を用いて光照射を行い接着試験片とした。
(2)レジグラス
セメント材料としてレジグラス((株)松風)を用いて添付文書に従い、被接着試験体と接着試験体を接着させた。具体的には、接着試験体である歯科切削用レジン硬化体にレジグラスの混和物(酸性重合性モノマー:ポリアクリル酸)を塗布後、被接着試験体である象牙質に一定荷重(300gf)で圧接し、余剰セメント除去後硬化させて接着試験片とした。
表3中の比較例1~4に示すように、その他フィラー3及び4は、歯科切削用レジン硬化体用の組成物に含まれる無機フィラーが含有する元素(周期表における第2族及び第13族の元素)は同じであるが、その含有量(酸化物換算量)が少ない場合である。象牙質に対する耐久剪断接着強さ(比較例1~4)は実施例1~14の結果と比較して低い耐久剪断接着強さであった。
表3中の比較例5~8に示すように、その他フィラー1及び2(シリカフィラー)を含んだ歯科切削用レジン硬化体用の組成物の硬化体から切削加工により作製された接着試験体としての象牙質に対する耐久剪断接着強さは実施例1~14の結果と比較して著しく低いレベルであり、また接着試験実施前に象牙質から試験体が脱落しているものも見受けられた。
歯科切削用レジン硬化体用の組成物に含まれる無機フィラー添加量が少ない実施例15においては少し低い耐久剪断接着強さであった。また、歯科切削用レジン硬化体用の組成物に含まれる無機フィラーの添加量が多すぎる実施例21においては歯科切削用レジン硬化体に気泡の混入が見られ、欠陥のない歯科切削用レジン硬化体を作製するのが困難であった。
以上のことから、歯科切削用レジン硬化体に含まれる無機フィラーからのイオン徐放性が前述の耐久剪断接着強さの向上を助長しているものと考えられる。
Claims (5)
- 歯科用CAD/CAMシステムを用いた切削加工に用いる歯科切削用レジン硬化体であって、
(a)周期表における第2族及び/または第13族の元素を酸化物換算で、無機ガラスフィラーの全体量に対して、55wt%以上含み、平均粒子径が0.01μm~10μmの範囲である無機ガラスフィラー
(b)重合性単量体
(c)重合開始剤
を含む組成物の硬化体からなることを特徴とする歯科切削用レジン硬化体。 - 請求項1記載の歯科切削用レジン硬化体において、
(a)無機ガラスフィラーと(b)重合性単量体とを重量比で、25:75~80:20の割合で含み、
(a)無機ガラスフィラー及び(b)重合性単量体の合計100重量部に対して(c)重合開始剤を、0.1~2.0重量部含む組成物の硬化体からなることを特徴とする歯科切削用レジン硬化体。 - 請求項1または請求項2に記載の歯科切削用レジン硬化体において、
(b)重合性単量体が親水性単量体を含むことを特徴とする歯科切削用レジン硬化体。 - 請求項1~3のいずれかに記載の歯科切削用レジン硬化体を切削したことを特徴とする歯冠修復物。
- 請求項4記載の歯冠修復物の接着方法であって、酸性重合性モノマー及び/または酸性重合性モノマーから誘導された重合体を含む接着性材料を用いて接着されることを特徴とする歯冠修復物の接着方法(ただし人間を手術、治療する方法を除く)。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US16/145,463 US11311350B2 (en) | 2017-09-29 | 2018-09-28 | Resin cured body for dental cutting processing improved in adhesive property |
EP18197879.2A EP3479812A3 (en) | 2017-09-29 | 2018-10-01 | Resin cured body for dental cutting processing improved in adhesive property |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017189787 | 2017-09-29 | ||
JP2017189787 | 2017-09-29 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019065000A JP2019065000A (ja) | 2019-04-25 |
JP7261555B2 true JP7261555B2 (ja) | 2023-04-20 |
Family
ID=66337571
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018178200A Active JP7261555B2 (ja) | 2017-09-29 | 2018-09-24 | 接着性を向上させた歯科切削用レジン硬化体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7261555B2 (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012187357A (ja) | 2011-03-14 | 2012-10-04 | Panasonic Corp | 歯科切削加工用レジン材料及び歯科補綴物 |
WO2015064090A1 (ja) | 2013-10-31 | 2015-05-07 | クラレノリタケデンタル株式会社 | 歯科用色調調整材キット |
WO2016140950A1 (en) | 2015-03-05 | 2016-09-09 | 3M Innovative Properties Company | Composite material having ceramic fibers |
JP2017057195A (ja) | 2015-09-16 | 2017-03-23 | 株式会社松風 | レジン硬化体に接着可能な歯科用プライマー組成物 |
-
2018
- 2018-09-24 JP JP2018178200A patent/JP7261555B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012187357A (ja) | 2011-03-14 | 2012-10-04 | Panasonic Corp | 歯科切削加工用レジン材料及び歯科補綴物 |
WO2015064090A1 (ja) | 2013-10-31 | 2015-05-07 | クラレノリタケデンタル株式会社 | 歯科用色調調整材キット |
WO2016140950A1 (en) | 2015-03-05 | 2016-09-09 | 3M Innovative Properties Company | Composite material having ceramic fibers |
JP2017057195A (ja) | 2015-09-16 | 2017-03-23 | 株式会社松風 | レジン硬化体に接着可能な歯科用プライマー組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019065000A (ja) | 2019-04-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4794201B2 (ja) | 2ペースト型グラスアイオノマー系セメント | |
JP4859867B2 (ja) | 充填剤及び該充填剤を含有する歯科用複合材料 | |
JP4782251B2 (ja) | 歯科用硬化性組成物及びそれを用いたコンポジットレジン | |
JPH08231330A (ja) | 重合性歯科材料 | |
JP6739809B2 (ja) | 歯科用組成物、及び該歯科用組成物を用いた歯科切削加工用複合レジン材料 | |
JP7191387B2 (ja) | 歯科用硬化性組成物 | |
CA2722657A1 (en) | Dental composition and composite resin | |
EP1346717B1 (en) | One-bottle dental bonding composition | |
CN111743782A (zh) | 粉液型牙科用树脂加强型玻璃离子水门汀组合物 | |
JP5325633B2 (ja) | 2液型の歯科用接着剤 | |
JP7416580B2 (ja) | 粉液型歯科用レジン強化型グラスアイオノマーセメント組成物 | |
US11311350B2 (en) | Resin cured body for dental cutting processing improved in adhesive property | |
JP3481660B2 (ja) | 充填材および充填材を含む歯科用複合材料 | |
JP4580531B2 (ja) | 歯科充填用ガラスおよびそのガラス粒子を含む歯科用組成物 | |
JP5653554B1 (ja) | 二成分混和型イオン徐放性義歯床用関連材料組成物 | |
JP6615549B2 (ja) | 歯科用硬化性組成物 | |
JP4271800B2 (ja) | 歯科用多機能性フィラー | |
JP7261555B2 (ja) | 接着性を向上させた歯科切削用レジン硬化体 | |
JP2019163247A (ja) | 連鎖移動剤を含む歯科用接着性組成物 | |
JP4576035B2 (ja) | 歯科用表面改質有機複合フィラー | |
JP4573319B2 (ja) | 高フッ素徐放性歯科用組成物 | |
JP5350335B2 (ja) | 歯科用表面改質有機複合フィラー | |
JP5108173B2 (ja) | 歯科用表面改質無機フィラー | |
JP2656162B2 (ja) | 硬化性組成物 | |
JP7538488B2 (ja) | 歯科用複合材料及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210915 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220902 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221028 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221206 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230201 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230322 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230410 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7261555 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |