JP5683471B2 - 蛍光色素を含む歯科用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、一般に、有機蛍光色素を含有する歯科用組成物に関する。
過去数世紀にわたって、歯科医及び歯科患者の間で、より美しい歯科修復に対する要求が高まっている。高い美的品質は、前歯に関するもの等の、容易に見える修復では特に重要であるが、容易には見えない歯に関する修復にとっても望ましい場合がある。
歯科業界が審美歯科に重点的に取り組みようになったことにより、天然歯の外観により酷似している歯科修復組成物の開発が進んだ。例えば、より天然に近い外観の歯科修復を行うために、例えば、金属アマルガム充填剤の代わりに用いることができる、歯の色をしたコンポジット樹脂材料が開発された。近年、余所目には実質的に分からないほど天然に近い外観の歯科修復を歯科医が行うことを可能にする、陰影系及び不透明度の選択肢を備える、3M ESPE(商標)FILTEK(商標)Supreme Plus Universal Restorative(3M Company,St.Paul,MN)等の審美性の高いコンポジット材料が入手可能になった。
ヒトの歯は、紫外線(UV)を照射したとき蛍光を発するため、天然歯に類似の蛍光を呈することができない歯科修復物は、紫外線又は「ブラックライト」条件下で見たとき、より気づかれやすくなる可能性がある。例えば、天然歯ほど強い蛍光を発しない、及び/又は組成物の蛍光を低下させる色安定剤等の成分を含有する樹脂系を使用する歯科修復組成物は、紫外線下で周りの歯より暗く見える修復物を提供し得る。逆に、天然歯より強い蛍光を発する成分を含有する歯科用組成物は、これら条件下で周りの歯より明るく見える可能性がある。
したがって、このような組成物を用いて作製された修復物は、たとえ通常の可視光又はフルスペクトル光条件下では分からなくても、紫外線に曝露されたとき、美的品質の低下に悩まされる可能性がある。修復歯科が修復物の審美性に更に重点的に取り組むようになるにつれて、天然歯の蛍光に一致する審美的蛍光コンポジットに対する要求が増している。
本発明は、天然歯の蛍光を有する歯科修復物を提供する硬化性歯科用組成物及び方法を特徴とする。これは、紫外線又はブラックライト下で見たときでさえも、天然に近い外観を保つ審美的歯科修復物を作製することを可能にする。
本発明の組成物は、典型的には、反応開始剤系と組み合わせられた重合性成分を含む樹脂系を含む。重合性成分は、典型的には、(メタ)アクリレート等の少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物を含み、反応開始剤系は、典型的には、1種以上の電子供与体を含む。組成物はまた、適切な量で存在するとき、天然歯に類似する蛍光を発する組成物を提供する蛍光剤として機能する有機蛍光色素成分を含有する。組成物中の蛍光剤の正確な量は、用いられる具体的な有機蛍光色素(単数又は複数)、及び組成物中に存在する他の成分の性質によって変化するが、一般に、本明細書に記載される試験方法を用いて測定したとき、約10ppm〜約10,000ppmの範囲である。
好適な有機蛍光色素成分は、例えば、不溶性超微粒子状粉末、ポリマー主鎖に結合した蛍光化合物、及び/又は熱硬化性若しくは熱可塑性物質に封入された蛍光化合物、並びにこれらの組み合わせの形態であり得る。
本発明の歯科組成物はまた、所望により、充填剤系を含み得る。幾つかの実施では、充填剤系は、ナノシリカ、ナノジルコニア、ジルコニア−シリカナノクラスタ、及びこれらの組み合わせから選択される、1種以上のシリカ処理ナノ充填剤を含む。
別の態様では、本発明は、天然歯の蛍光を有する歯科用組成物の製造方法であって、(a)硬化したとき、天然歯とは異なる蛍光を有する歯科用樹脂系を提供する工程と、(b)十分な量の有機蛍光色素をその樹脂系に添加して、天然歯の蛍光を有する組成物を提供する工程と、(c)所望により、組成物の蛍光を天然歯の蛍光と比較する工程と、を含む方法を提供する。
本発明の歯科用組成物は、歯科用修復材、歯科用接着剤、歯科用セメント、キャビティーライナー、歯列矯正用接着剤、歯科用シーラント、歯科用コーティング等を含む様々な歯科及び歯列矯正用途において、有用である。組成物及び関連する方法を用いて、例えば、歯科用充填剤、歯科用ミルブランク(mill blank)、歯科用クラウン、歯科補綴、歯列矯正装置等を形成するために硬化させることにより、歯科用物品を調製することができる。
本発明の幾つかの実施形態の利点は、有機蛍光染料を含有する歯科用コンポジットよりも、持続して紫外線に曝露されたときの蛍光の減少に対する安定性が高いことである。本発明の組成物はまた、幾つかの実施では、無機色素を含有する歯科用コンポジットよりも実質的により美しい。更に、好適な蛍光を発する組成物を提供するために、場合によっては、比較的少量(例えば、50〜2000ppm)で十分な場合がある。
上記の要約は、本発明の各実施形態又はあらゆる実施を記載するものではない。本発明の他の実施形態、特徴及び利点は、本発明の実施形態についての以下の「発明を実施するための形態」及び「特許請求の範囲」から明らかになるであろう。
定義
本明細書で使用するとき、語句「天然歯の蛍光」とは、365nmの紫外線下で見たとき、組成物が天然歯に類似の蛍光強度及び色を呈することを意味する。天然歯の蛍光は、被験体によって異なるが、組成物の蛍光と天然歯の蛍光との所望の整合の近似性は、正確な位置及び/又は患者の審美的要求に依存する(例えば、臼歯及び容易には見えない他の歯は、前歯ほど天然歯の蛍光と一致する必要がない可能性がある)。典型的には、本発明の組成物は、約20カウント/秒〜約100カウント/秒、より典型的には約30カウント/秒〜約90カウント/秒、最も典型的には約35カウント/秒〜約85カウント/秒の範囲の蛍光強度を呈する。
「天然歯とは異なる蛍光(non-natural tooth fluorescence)」とは、天然歯の呈する蛍光よりも明らかに強度の低い又は強度の高い蛍光、又は天然歯とは著しく異なる蛍光色を呈する蛍光を意味する。電子供与体成分に関連して用いられるとき(例えば、「天然歯とは異なる蛍光を発する電子供与体」等)、その用語は、電子供与体が組成物の他の成分と共に配合され、組成物が後に硬化されるとき、その蛍光が、天然歯とは明らかに異なる強度又は波長であることを意味する。「非蛍光」とは、紫外線を照射したとき、化合物、組成物、又は物質が、可視蛍光を呈しない、又は弱い蛍光しか発しない、即ち、差が容易に見えるほど天然のヒトの歯が呈する蛍光よりも実質的に弱いことを意味する。
「有機蛍光色素」とは、(1)蛍光染料若しくは化合物を封入する、若しくは蛍光染料若しくは化合物に結合する有機分子(例えば、ポリマー)である、又はそれ自体本質的に蛍光を発する分子であり、かつ(2)歯科用樹脂系に実質的に不溶性である物質を意味する。比較すると、染料は、歯科用樹脂に実質的に可溶性である。
本明細書で使用するとき、「硬化性」は、(例えば、蒸発及び/又は加熱により)例えば溶媒を除去する、加熱して重合及び/若しくは架橋を誘発する、放射線を照射して重合及び/若しくは架橋を誘発する、並びに/又は1つ以上の成分を混合して重合及び/若しくは架橋を誘発することにより硬化(例えば、重合又は架橋)又は固化され得る材料又は組成物の記述である。
「歯科用組成物」とは、口腔表面に塗布され得る又は接着し得る無充填又は充填(例えば、コンポジット)材料(例えば、歯科用又は歯列矯正用材料)を意味する。歯科用組成物としては、例えば、接着剤(例えば、歯科用及び/又は歯列矯正用接着剤)、セメント(例えば、ガラスアイオノマーセメント、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント、及び/又は歯列矯正用セメント)、プライマー(例えば、歯列矯正用プライマー)、修復材(例えば、修復用充填材)、ライナー、シーラント(例えば、歯列矯正用シーラント)、並びにコーティングが挙げられる。しばしば、歯科組成物は、歯科物品を歯牙構造に固着させるために使用される場合がある。
「硬化性歯科用組成物」とは、歯科用物品を形成するために硬化され得る、ペースト等の歯科用組成物を意味する。
「歯科用物品」とは、口腔表面(例えば、歯牙構造)に接着(例えば、固着)し得る物品を意味する。典型的には、歯科用物品は、修復される歯列又はその一部である。例としては、修復材、置換材、インレー、アンレー、ベニヤ、完全及び部分クラウン、ブリッジ、インプラント、インプラント橋脚歯、コーピング、前歯填塞剤、後方歯填塞剤、キャビティーライナー、シーラント、義歯、ポスト、ブリッジフレームワーク及び他のブリッジ構造、橋脚歯、歯列矯正器具及び装置、並びに補綴(例えば、部分入れ歯又は総入れ歯)が挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「歯科用組成物」及び「歯科用物品」は、歯科用途で用いられる組成物及び物品に限定されないが、それぞれ歯列矯正用組成物(例えば、歯列矯正用接着剤)及び歯列矯正用装置(例えば、保定装置、ナイトガード、ブラケット、バッカルチューブ、バンド、クリート、ボタン、舌保定装置、咬合オープナー、ポジショナー等)も含む。
「口腔表面」とは、口腔環境中の軟質又は硬質表面を意味する。硬質表面としては典型的に、例えば、天然及び人口歯の表面、骨、歯の模型、象牙質、エナメル質、セメント質等を包含する歯牙構造が挙げられる。
「充填剤」とは、口内環境に使用するのに適した微粒子物質を意味する。一般に、歯科充填剤は、最大100マイクロメートルの平均粒径を有する。
「ナノ充填剤」とは、最大200ナノメートルの平均一次粒径を有する充填剤を意味する。ナノ充填剤成分は、単一のナノ充填剤であってよく、又はナノ充填剤の組み合わせであってよい。典型的にナノ充填剤は、非発熱性ナノ粒子又はナノクラスタを含む。「ナノ構造化」とは、少なくとも1つの寸法が、平均で、最大200ナノメートルである形態の材料(例えば、ナノサイズの粒子)を意味する。したがって、ナノ構造化材料とは、例えば、本明細書において以下のように定義されるナノ粒子を包含する材料を意味する;ナノ粒子の集合体;粒子上にコーティングされた材料、ここでコーティングは、最大200ナノメートルの平均厚さを有する;粒子の集合体上にコーティングされた材料、ここでコーティングは、最大200ナノメートルの平均厚さを有する;最大200ナノメートルの平均孔径を有する多孔質構造に侵潤された材料;及びこれらの組み合わせ。多孔質構造は、例えば、多孔質粒子、粒子の多孔質集合体、多孔質コーティング、及びこれらの組み合わせを包含する。
本明細書で使用するとき「ナノ粒子」は、「ナノサイズの粒子」と同意であり、最大200ナノメートルの平均サイズを有する粒子を指す。本明細書で使用するとき、球状粒子において、「サイズ」とは粒子の直径を指す。本明細書で使用するとき、非球状粒子において、「サイズ」とは、粒子の最長の寸法を指す。特定の実施形態では、ナノ粒子は、別個の非塊化及び非凝集粒子から構成される。
「ナノクラスタ」とは、それらを塊、即ち凝集体にする比較的弱い分子間力によって共に引きつけられるナノ粒子の会合を意味する。典型的に、ナノクラスタは、最大10マイクロメートルの平均サイズを有する。
本明細書で使用するとき、用語「エチレン性不飽和化合物」は、少なくとも1つのエチレン性不飽和を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを含むことを意味する。
「重合」とは、モノマー又はオリゴマーから、より高重量の物質を形成することを意味する。重合反応はまた、架橋反応を含み得る。
本明細書で使用するとき、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はその組み合わせの略称参照であり、「(メタ)アクリル」は、アクリル、メタクリル又はその組み合わせの略称参照である。本明細書で使用するとき、「(メタ)アクリレート官能性化合物」とは、とりわけ、(メタ)アクリレート部分を包含する化合物である。
「含む」、「含んでいる」という用語及びその変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合、限定的な意味を有しない。
本明細書において端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数を含むことが意図される(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
本明細書で使用するとき、別段の指定が無い限り、不定冠詞は、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味する。加えて、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容によって別段の明確な指示がなされていない場合は、複数の指示物を含む。したがって、例えば「化合物」を含有する組成物の言及は、二種以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、用語「又は」は、その内容が特に明確に指示しない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
特に指示がない限り、本明細書及び本特許請求の範囲で使用される成分量、例えばコントラスト比等の性質の測定値を表す全ての数字全ての場合において「約」という語句によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、特に異議を唱えない限り、先の明細書及び添付した特許請求の範囲に記述されている数値パラメータは、当業者により本発明の技術を利用して獲得しようとされてきた所望の性質に応じて変化しうる概算である。最低限でも、また、特許請求の範囲への同等物の原則の適用を限定する試行としてではなく、少なくとも各数値パラメータは、報告された有効数字の数を考慮して、そして通常のまるめ方を適用することによって解釈されなければならない。本発明の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは近似値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかしながら、いずれの数値もそれらの各試験測定値において見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
紫外線に曝露された歯科用コンポジットの蛍光減衰データを示すグラフ。
本発明は、有機蛍光色素を含有する重合性蛍光歯科用組成物を特徴とする。驚くべきことに、蛍光有機色素を歯科用組成物に組み込むと、このような色素は、典型的には、架橋ポリマーマトリクス中に封入された蛍光染料を含むとしても、多くの蛍光染料よりも蛍光の持続性を高めることができることが見出された。更に、特定の有機色素は、CIELAB(即ち、CIE 1976L色空間:小さな色差の測定で用いるための、1976年の国際照明委員会(CIE)による採択のために1974年に提唱された、アダムス−ニッカーソンの立方根式を用いる均等色空間(The Measurement of Appearance、ページ322、R.S.Hunter))パラメータ又はコントラスト比等の、物質の光学特性を著しく変化させることなく、歯科用コンポジットに添加することができ、色素の粒径は、審美性の実質的な因子ではないように思われる。10マイクロメートルの中央粒径を有する色素は、光散乱を増加させるようには思われない。結果として、非常に低濃度で蛍光有機色素を組み込むと、許容できる程度に安定になり、審美的蛍光コンポジットの機械的特性が、蛍光を発しない対照と同程度になる。50〜20000ppm程度の濃度の蛍光有機色素でも、A3色調の歯科修復材を提供するのに有効である。これは、無機色素に必要な濃度よりも遥かに低い。
本発明の歯科用組成物で用いられる有機蛍光色素は、1種以上の更なる蛍光剤と組み合わせられてもよく、その蛍光剤は、他の有機蛍光色素、無機蛍光色素、及び有機蛍光染料を含むがこれらに限定されない群から選択され得る。有機蛍光染料の好適な部類の多くの例は、「Handbook of fluorescence spectra of aromatic molecules」by Isadore B.Berlman,2nd ed.,Academic Press,1971、並びに米国特許第7,137,818号及び同第7,114,951号中に見出すことができる。好適な無機発光色素の多くの例は、「Inorganic Phosphors」by William Yen及びMarvin Weber,CRC Press,2004中に見出すことができる。更なる発光剤は、必要に応じて、本明細書に記載される任意の審美的特性及び機能的特性に負の影響を与えないように選択され得る。
好適な濃度で蛍光剤として有機蛍光色素を組み込むことにより、天然歯に類似の蛍光を発する歯科用組成物及び材料が提供される。天然歯の蛍光は、材料の美的品質が重要であることが多い、修復歯科学で用いられる樹脂/充填剤コンポジット材料に特に望ましい。このような組成物は、典型的には、所望の用途によって、重合性成分、反応開始剤系、1種以上の充填剤及び/又は他の添加剤を含む。有機蛍光色素は、これら組成物中で蛍光剤として有利である、その理由は、有機蛍光色素が、比較的低濃度で用いられ得、また一般に歯科用コンポジットの不透明度に影響を与えないためである。
重合性成分
本発明の歯科用組成物は、典型的には重合性成分が存在するため、硬化性である。幾つかの実施形態では、組成物は、口腔表面に塗布する前に硬化させ得る(例えば、従来の光重合及び/又は化学重合技術によって重合し得る)。他の実施形態では、組成物は、口腔表面に塗布された後に硬化させ得る(例えば、従来の光重合及び/又は化学重合技術によって重合し得る)。
特定の実施形態では、組成物は光重合性である、即ち、組成物は、化学線を照射した際に組成物の重合(又は硬化)を開始する、光反応開始剤系を含有する。他の実施形態では、組成物は化学的に硬化性である、即ち、組成物は、化学線の照射に依存することなく、組成物を重合、硬化、又は別の方法で硬化させ得る化学反応開始剤(即ち、反応開始剤系)を含有する。このような化学硬化性組成物は、時に、「自己硬化」組成物と呼ばれる。
重合性成分は、典型的には、酸官能基を有する又は有しない1種以上のエチレン性不飽和化合物を含む。有用なエチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性メタクリル酸エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
組成物、特に光重合性実施では、1つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを包含してもよい、フリーラジカル活性官能基を有する化合物を包含してもよい。好適な化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有し、付加重合を受けることが可能である。このようなフリーラジカル重合可能な化合物としては、モノ−、ジ−又はポリ−(メタ)アクリレート(即ち、アクリレート及びメタクリレート)例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、及びトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート;(メタ)アクリルアミド(即ち、アクリルアミド及びメタクリルアミド)例えば、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、並びにジアセトン(メタ)アクリルアミド;ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールのビス−(メタ)アクリレート(好ましくは、分子量200〜500)、米国特許第4,652,274号(Boettcherら)に記載されているような、アクリレート化されたモノマーの共重合性混合物、米国特許第4,642,126号(Zadorら)に記載されているような、アクリレート化されたオリゴマー、並びに米国特許第4,648,843号(Mitra)に開示されているもののような、ポリ(エチレン部が不飽和の)カルバモイルイソシアヌレート、並びにビニル化合物、例えば、スチレン、ジアリルフタレート、ジビニルサクシネート、ジビニルアジパート及びジビニルフタレートが挙げられる。他の好適なフリーラジカル重合性化合物としては、例えば、国際公開第00/38619号(Guggenbergerら)、同第01/92271号(Weinmannら)、同第01/07444号(Guggenbergerら)、同第00/42092号(Guggenbergerら)に開示されているシロキサン官能性(メタ)アクリレート、並びに例えば、米国特許第5,076,844号(Fockら)、同第4,356,296号(Griffithら)、欧州特許第0373 384号(Wagenknechtら)、同第0201 031号(Reinersら)、及び同第0201 778号(Reinersら)に開示されているフルオロポリマー官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。必要に応じて、2つ以上のフリーラジカル重合可能な化合物の混合物を使用することが可能である。
重合性成分はまた、単一分子内にヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基も含有してよい。こうした物質の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセロールモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールモノ−、ジ−、及びトリ−(メタ)アクリレート;ソルビトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、又はペンタ−(メタ)アクリレート;並びに2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスGMA)が挙げられる。好適なエチレン性不飽和化合物はまた、多種多様な供給元、例えばSigma−Aldrich,St.Louisから入手可能である。必要に応じて、エチレン性不飽和化合物の混合物を使用することが可能である。
特定の実施形態では、重合性成分としては、PEGDMA(分子量が約400のポリエチレングリコールジメタクリレート)、ビスGMA、UDMA(ウレタンジメタクリレート)、GDMA(グリセロールジメタクリレート)、TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、米国特許第6,030,606号(Holmes)に記載されるようなビスEMA6、及び/又はNPGDMA(ネオペンチルグリコールジメタクリレート)が挙げられる。必要に応じて、種々の組み合わせのこれら硬化性成分を使用してもよい。
組成物が、酸官能基を有しないエチレン性不飽和化合物を含有するとき、一般に、無充填組成物の総重量に基づいて、少なくとも5重量%、より典型的には少なくとも10重量%、最も典型的には少なくとも15重量%の量の、酸官能基を有しないエチレン性不飽和化合物が存在する。本発明の組成物は、無充填組成物の総重量に基づいて、典型的には最大95重量%、より典型的には最大90重量%、最も典型的には最大80重量%の、酸官能基を有しないエチレン性不飽和化合物を包含する。
幾つかの実施形態では、重合性成分は、酸官能基を有する1つ以上のエチレン性不飽和化合物を含んでもよい。本明細書で使用するとき、「酸官能基を有する」エチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和並びに酸及び/又は酸−前駆体官能基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーが包含されることを意味する。酸−前駆体官能基としては、例えば、無水物、酸ハロゲン化物、及びピロリン酸塩が挙げられる。酸官能基としては、カルボン酸官能基、リン酸官能基、ホスホン酸官能基、スルホン酸官能基、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、α,β−不飽和酸性化合物、例えば、グリセロールホスフェートモノ(メタ)アクリレート、グリセロールホスフェートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(例えば、HEMA)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシエチル)ホスフェート、((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシ)プロピルオキシホスフェート、(メタ)アクリルオキシヘキシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシヘキシル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシオクチルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシオクチル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシデシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシデシル)ホスフェート、カプロラクトンメタクリレートホスフェート、クエン酸ジ−又はトリ−メタクリレート、ポリ(メタ)アクリレート化オリゴマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリカルボキシル−ポリホスホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリクロロリン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリスルホネート、ポリ(メタ)アクリレート化ポリホウ酸等が挙げられる。これらは、硬化性成分系中の成分として使用してもよい。(メタ)アクリル酸、芳香族(メタ)アクリル化酸(例えば、メタクリレート化トリメリット酸)等の不飽和炭酸のモノマー、オリゴマー、及びポリマー、並びにこれらの無水物を使用することも可能である。本発明のある種の好ましい組成物としては、少なくとも1つのP−OH部分を有する酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
特定のこれら化合物は、例えば、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートとカルボン酸との反応生成物として得られる。酸官能基及びエチレン性不飽和成分の両方を有するこの種の追加の化合物は、米国特許第4,872,936号(Engelbrecht)及び同第5,130,347号(Mitra)に記載されている。エチレン性不飽和部分及び酸部分の両方を含有する多種多様のこのような化合物を使用することが可能である。必要に応じて、このような化合物の混合物を使用することが可能である。
酸官能基を有する追加のエチレン性不飽和化合物には、例えば、2002年12月30日出願の米国特許仮出願第60/437,106号に開示のような重合性ビスホスホン酸;AA:ITA:IEM(アクリル酸:メタクリレートのペンダントを有するイタコン酸のコポリマーであって、例えば、米国特許第5,130,347号(Mitra)の実施例11に記載のように、AA:ITAコポリマーを十分な2−イソシアネートエチルメタクリレートと反応させて、コポリマーの酸基の一部分をペンダントメタクリレート基に変換することによって作製される);及び米国特許第4,259,075号(Yamauchiら)、同第4,499,251号(Omuraら)、同第4,537,940号(Omuraら)、同第4,539,382号(Omuraら)、同第5,530,038号(Yamamotoら)、同第6,458,868号(Okadaら)、及び欧州特許出願第712,622号(Tokuyama Corp.)並びに欧州特許第1,051,961号(Kuraray Co.,Ltd.)に列挙される物が挙げられる。
本発明の組成物には、同様にエチレン性不飽和化合物と酸官能基との組み合わせが挙げられ、それらは、例えば、2004年8月11日出願の米国仮出願第60/600,658号(Luchterhandtら)に記載されている。組成物はまた、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物と酸官能基を有しないエチレン性不飽和化合物との混合物を含んでもよい。
組成物が酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を含有するとき、一般に、無充填組成物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、より典型的には少なくとも3重量%、最も典型的には少なくとも5重量%の量の、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物が存在する。本発明の組成物は、無充填組成物の総重量に基づいて、典型的には最大で80重量%、より典型的には最大で70重量%、最も典型的には最大で60重量%の、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を包含する。
反応開始剤系
特定の実施形態では、本発明の組成物は光重合性である、即ち、この組成物は、化学線の照射時に、組成物の重合(又は硬化)を開始する光重合性成分及び光反応開始剤系を含有する。このような光重合性組成物は、フリーラジカル重合性又はカチオン重合性であってもよい。
フリーラジカル光重合性組成物を重合するのに好適な光反応開始剤(即ち、1つ以上の化合物を含む光反応開始剤系)としては、二成分及び三成分系が挙げられる。典型的な三成分光反応開始剤は、米国特許第5,545,676号(Palazzottoら)に記載されたようなヨードニウム塩、光増感剤及び電子供与体化合物を含む。好適なヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロホウ酸塩、及びトリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩である。好適な光増感剤は、400nm〜520nm(好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内の一部の光を吸収するモノケトン及びジケトンである。特に好適な化合物としては、400nm〜520nm(更により好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内の光を吸収するαジケトンが挙げられる。好適な化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン及び他の1−アリール−2−アルキル−1,2−エタンジオン、並びに環状α−ジケトンである。好適な電子供与体化合物としては、置換アミン、例えば、エチルジメチルアミノベンゾエートが挙げられる。カチオン重合性樹脂を光重合させるのに有用な他の好適な三級光反応開始剤系は、例えば米国特許第6,765,036号(Dedeら)に記載されている。
フリーラジカル光重合性組成物を重合するのに有用な他の光反応開始剤としては、典型的に機能的波長範囲が380nm〜1200nmであるホスフィンオキシドの部類が挙げられる。好ましいホスフィンオキシドフリーラジカル反応開始剤は、380nm〜450nmの機能的波長範囲を有し、米国特許第4,298,738号(Lechtkenら)、同第4,324,744号(Lechtkenら)、同第4,385,109号(Lechtkenら)、同第4,710,523号(Lechtkenら)、及び同第4,737,593号(Ellrichら)、同第6,251,963号(Kohlerら);及び欧州特許出願公開第0 173 567 A2号(Ying)に記載されているもののようなアシル及びビスアシルホスフィンオキシドである。
380nm〜450nmを超える波長範囲で照射されたときフリーラジカル反応開始可能な市販のホスフィンオキシド光反応開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819、Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI 403、Ciba Specialty Chemicals)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(IRGACURE 1700、Ciba Specialty Chemicals)の重量で25:75混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR 4625、Ciba Specialty Chemicals)の重量で1:1混合物、及びエチル2,4,6−トリメチルベンジルフェニルホスフィネート(LUCIRIN LR8893X、BASF Corp.,Charlotte,NC)が挙げられる。
典型的に、ホスフィンオキシド反応開始剤は、光重合性組成物中に、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%〜5.0重量%等の触媒的に有効な量で存在する。
三級アミン還元剤を、アシルホスフィンオキシドと組み合わせて使用してもよい。本発明で有用な三級アミンの一例としては、エチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。存在する場合、前記アミン還元剤は、当該組成物の総重量を基準として、0.1重量%〜5.0重量%の量で光重合性組成物中に存在する。他の反応開始剤の有用な量は、当業者には周知である。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、化学的に硬化可能である、即ち、組成物は、化学硬化性成分と、化学線の照射に依存することなく重合、硬化、又は別の方法で組成物を硬化できる化学反応開始剤(即ち、反応開始剤系)とを含有する。このような化学的硬化性組成物は、時に、「自己硬化」組成物と呼ばれる。
化学硬化性組成物は、重合性成分(例えば、エチレン性不飽和重合性成分)並びに酸化剤及び還元剤を包含するレドックス剤を含むレドックス硬化系を包含してもよい。好適な重合性成分、レドックス剤、任意の酸官能基成分、及び本発明において有用な任意の充填剤は、米国特許出願公開第2003/0166740号(Mitraら)、及び同第2003/0195273号(Mitraら)に記載されている。
還元剤及び酸化剤は、互いに反応、又は別の方法で協働して、樹脂系(例えば、エチレン性不飽和成分)の重合を開始させることができるフリーラジカルを生成すべきである。この種の硬化は、暗反応である、即ち、光の存在に依存せずかつ光が存在しない状態下で進行可能である。還元剤及び酸化剤は、典型的な歯の状態下での保存及び使用が可能な程度の十分な保管安定性がありかつ不不所望の着色が無いことが好ましい。それらは樹脂系と十分に混和性(かつ好ましくは水溶性)であり、組成物の他の成分に容易に溶解可能で(かつそこから分離しないようなもので)なければならない。
有用な還元剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体及び米国特許第5,501,727号(Wangら)に記載されているようなアスコルビン酸化合物;アミン、特に4−t−ブチルジメチルアニリン等の三級アミン;p−トルエンスルフィン酸塩及びベンゼンスルフィン酸塩等の芳香族スルフィン酸塩;1−エチル−2−チオウレア、テトラエチルチオウレア、テトラメチルチオウレア、1,1−ジブチルチオウレア及び1,3−ジブチルチオウレア等のチオウレア;及びこれらの混合物が挙げられる。他の二級還元剤としては、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン(酸化剤の選択に依存する)、亜ジチオン酸塩又は亜硫酸塩アニオンの塩類、及びこれらの混合物を挙げてもよい。好ましくは、還元剤はアミンである。
好適な酸化剤はまた、当業者によく知られており、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、セシウム、及びアルキルアンモニウム塩等の過硫酸及びその塩類が挙げられるが、これらに限定されない。更なる酸化剤としては、過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイル、ヒドロペルオキシド(例えば、クミルヒドロペルオキシド)、t−ブチルヒドロペルオキシド、及びアミルヒドロペルオキシド、並びに遷移金属の塩類、例えば、塩化コバルト(III)及び塩化第二鉄、硫酸セリウム(IV)、過ホウ酸並びにそれらの塩類、過マンガン酸及びその塩類、過リン酸及びその塩類、並びにこれらの混合物が挙げられる。
1以上の酸化剤又は1以上の還元剤を使用することが望ましい場合がある。少量の遷移金属化合物を添加して、レドックス硬化速度を速めてもよい。幾つかの実施形態では、米国特許出願公開第2003/0195273号(Mitraら)に記載されているような重合性組成物の安定性を高めるために、二級イオン性塩を包含することが好ましい場合がある。
還元剤及び酸化剤は、適切なフリーラジカル反応速度を得るのに十分な量で存在する。これは、任意の充填剤を除く、組成物の全成分を組み合わせ、硬化した塊が得られるか否かを観察することにより、評価することができる。
典型的には、還元剤は、少しでも用いる場合は、組成物の成分の総重量(水を含めて)に基づいて、少なくとも0.01重量%、より典型的には少なくとも0.1重量%の量で存在する。典型的には、還元剤は、組成物の成分の総重量(水も含めて)に基づいて、10重量%以下、より典型的には5重量%以下の量で存在する。
典型的には、酸化剤は、少しでも用いる場合は、組成物の成分の総重量(水を含めて)に基づいて、少なくとも0.01重量%、より典型的には少なくとも0.10重量%の量で存在する。酸化剤は、組成物の成分の総重量(水も含めて)に基づいて、典型的には10重量%以下、より典型的には5重量%以下の量で存在する。
還元剤又は酸化剤は、米国特許第5,154,762号(Mitraら)に記載されているように、マイクロカプセル化することができる。これは、一般に、組成物の貯蔵安定性を高め、必要であれば、還元剤及び酸化剤を共に包装することができる。例えば、封入剤を適切に選択することにより、酸化剤及び還元剤を酸官能基成分及び任意の充填剤と組み合わせて、貯蔵安定状態に維持することができる。同様に、非水溶性封入剤を適切に選択することにより、還元剤及び酸化剤をFASガラス及び水と組み合わせて、貯蔵安定状態に維持することができる。
レドックス硬化系は、光反応開始剤系を含む他の硬化系と、又は米国特許第5,154,762号(Mitraら)に記載されているような組成物と組み合わせることができる。
蛍光有機色素成分
本発明の組成物は、少なくとも1種の蛍光有機色素成分を含み、これは、天然歯の蛍光を発する組成物、及び/又はその組成物から作製される硬化製品若しくは材料(例えば、歯科修復材)を提供するための蛍光剤として機能する。
本発明で用いるのに好適な有機蛍光色素は、少なくとも3種の主な種類に分類され得る。全ての場合において、蛍光色素は、典型的には、フリーラジカル重合性モノマーを含む樹脂系に実質的に不溶性であることにより染料と区別される。蛍光色素の第1の部類は、不溶性超微粒子状粉末の形態で用いられる蛍光化合物である。このような化合物の部類の例としては、クマリン、ナフタルイミド、キサンテン、チオキサンテン、ナフトラクタム、オキサジン、チアジン、オキサゾール、ベンゾキサゾール、フラン、ベンゾフラン、ピラゾリン、スチルベン、ジスチリルベンゼン、ジスチリルビフェニル、ベンゾイミダゾール、1,3,5−トリアジン−2イル誘導体、アリールベンゾグアナミン、及び多環芳香族炭化水素が挙げられるが、これらに限定されない。上記部類はそれぞれ、化合物が典型的なフリーラジカル重合性モノマーに実質的に不溶性になるように、アミド、スルホネート、又はカルボキシ基等の官能基で誘導体化され得ることが当業者に既知である。蛍光色素の第2の部類としては、ポリマー主鎖に共有結合した上記部類の蛍光化合物の誘導体が挙げられる。蛍光化合物の更なる部類は、「Handbook of fluorescence spectra of aromatic molecules」by Isadore B.Berlman,2nd ed.,Academic Press,1971、並びに米国特許第7,137,818号及び同第7,114,951号に開示されている。前述の部類の蛍光化合物が結合し得るポリマー主鎖は、当業者に既知であり、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、及びポリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。縮合及び付加ポリマー主鎖の更なる例は、Principles of Polymerization,4th.ed by George B.Odian,John Wiley & Sons(2004)中に見出すことができる。蛍光色素の第3の部類としては、熱硬化性又は熱可塑性ポリマーマトリクス中に封入された上記部類の蛍光化合物が挙げられるが、これらに限定されない。このようなポリマーマトリクスの例としては、トルエンスルホンアミド−メラミン−ホルムアルデヒド樹脂マトリクス、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステルが挙げられるが、当業者は、他のポリマーマトリクスを予想することもできる。このような封入蛍光色素を調製する方法は、蛍光化合物の存在下でマトリクスを重合させた後、超微粒子粉末に粉砕すること(米国特許第2,938,873号、同第3,412,036号、同第3,915,884号、同第3,922,232号、同第3,741,907号)又は懸濁重合を用いて球形の封入蛍光色素を得ること(米国特許第3,412,035号)を含み得る。ポリマー主鎖又は封入剤が存在するとき、これら材料は、典型的には、色素の蛍光収率が著しく低下するように、入射紫外光を吸収しないことが当業者に既知である。
また、DayGlo Corp.(Cleveland,OH)、J.Color Chemicals Corp(Hangzhou,China)、Organic Dyestuffs Corp.(East Providence,RI)、Beaver Luminescers(Newton,MA)から入手可能な蛍光色素が好適であるが、但し、選択された色素は、天然歯の蛍光を呈する硬化歯科用組成物を提供できなければならない。有用な蛍光色素としてはまた、「不可視蛍光色素」として商業的に知られているものが挙げられる。
蛍光有機色素は、総組成物に基づいて、典型的には約10ppm〜約10,000ppm重量%、より典型的には約20ppm〜約5000ppm重量%、最も典型的には約50ppm〜約2000ppm重量%存在する。本発明の幾つかの実施形態の利点は、紫外線安定剤(例えば、tinuvin 796)の濃度等、残りの配合にかかわらず、配合に安定な蛍光を付加させ得る点である。
充填剤(単数又は複数)
本発明の組成物は、所望により、1種以上の充填剤を含有することができる。充填剤は、例えば歯科修復剤組成物に現在使用されている充填剤等、歯科用途に使用されている組成物内への組み込みに適した多種多様な物質の1種以上から選択されてよい。
充填剤の選択は歯科用コンポジットの重要な特性、例えば、外観、X線不透過性、並びに物理的及び機械的特性のような特性に影響を及ぼす。外観は、コンポジットの成分の量及び相対屈折率の調節によって部分的に影響を受け、これによりコンポジットの半透明性、不透明性、又は真珠光沢性を変化させることができる。このような方法で、歯科用材料の外観を、必要であれば、天然歯の外観に酷似するように作製できる。
X線不透過性は、X線検査による歯科用コンポジットが検出される能力を測定するものである。X線不透過である歯科用コンポジットは、例えば、歯科修復物が健全に維持されているか否かを歯科医が判断するのを可能にするために望ましいことが多いであろう。他の状況では、X線不透過ではないコンポジットが望まれる場合もある。X線不透過である製剤用の好適な充填剤は、欧州特許公開第A2−0 189 540号、欧州特許第B−0 238 025号、及び米国特許第6,306,926 B1号に記載される。
コンポジットに組み入れる充填剤の量は、本明細書では「装填濃度(loading level)」とも呼ばれ、歯科用材料の総重量を基準にした重量%で表され、その量は充填剤、硬化性樹脂、及び組成物中の他の成分の種類、並びにコンポジットの最終用途によって変化するであろう。
シーラントのような、幾つかの歯科用材料では、本発明の組成物は少量の充填(例えば、約40重量%未満の装填濃度を有する)、又は無充填であることができる。このような実施では、歯科用材料の粘度は、その材料が咬合歯表面の小窩裂溝に、及びエナメル質の侵食領域の中に貫入でき、それにより歯科用材料の保持に役立るように十分に低い。強度又は耐久性の高いことが望まれる用途(例えば、前歯又は臼歯用修復材、補綴、クラウン及びブリッジ用セメント材、人口クラウン、人口歯及び入れ歯)では、装填濃度は約95%もの高さであってもよい。大部分の歯科修復材及び補綴用途では、装填濃度は、一般に、少なくとも40重量%、より典型的には約60〜90重量%である。
本発明の組成物に使用される充填剤(単数及び複数)は、典型的には、超微粒子状である。充填材(単数及び複数)は、一峰性又は多峰性(例えば、二峰性)の粒径分布を有することができる。充填剤(単数及び複数)の最大粒径(粒子の最大寸法、通常は直径)は、典型的には20マイクロメートル未満、より典型的には10マイクロメートル未満、最も典型的には5マイクロメートル未満である。典型的には、充填剤(単数及び複数の)の平均粒径は0.1マイクロメートル未満、より典型的には0.075マイクロメートル未満である。
充填剤(単数又は複数)は、無機材料であってもよい。充填剤は、樹脂系に不溶性の架橋された有機材料であることもでき、所望により、無機充填剤と一緒に充填される。充填剤(単数又は複数)は、いかなる場合にも非毒性であるべきであり、口内に使用するのに好適であるべきである。充填剤(単数又は複数)は、放射線不透過性又は放射線透過性であることができる。充填剤は典型的には、実質的に水に不溶性である。
好適な無機充填剤の例は、天然に存在する材料又は合成材料であり、例えば:石英(即ち、シリカ、SiO);窒化物(例えば、窒化ケイ素);例えば、Zr、Sr、Ce、Sb、Sn、Ba、Zn、及びAlから得られるガラス;長石;ホウケイ酸ガラス;カオリン;タルク;チタニア;米国特許第4,695,251号(Randklev)に記載されたもののような低モース硬度の充填剤;並びにサブミクロンシリカ粒子(例えば、商品名AEROSIL(Degussa Corp.,Akron,OH製の「OX 50」、「130」、「150」及び「200」シリカ並びにCabot Corp.,Tuscola,IL製のCAB−O−SIL M5シリカを含む)にて入手可能なもののような焼成シリカ)が挙げられるが、それらに限定されない。幾つかの実施形態では、シリカ又はナノシリカ粒子は、非発熱性である、即ち、非ヒュームドシリカを含む。好適な有機充填剤粒子の例としては、充填又は無充填粉砕ポリカーボネート(olycarbonates)、ポリエポキシド等が挙げられる。
充填剤は、酸反応性、非酸反応性、又はこれらの組み合わせであり得る。好適な非酸反応性充填剤粒子は、米国特許第4,503,169号(Randklev)に記載された種類の石英、サブミクロンシリカ、ナノシリカ、ナノジルコニア、及び非ガラス質微小粒子を含む。これら非酸反応性充填剤の混合物、並びに有機及び無機の物質から調製される混合充填剤も検討される。シラン処理ジルコニア−シリカ(Zr−Si)充填剤は、特定の実施形態で特に有用である。本発明の幾つかの実施では、充填剤系は、重金属酸化物ナノ粒子(例えば、ジルコニアナノ粒子)を含む少なくとも1種の充填剤、及び/又は非重金属酸化物粒子(例えば、シリカナノ粒子)を含む少なくとも1種の充填剤、及び/又は重金属酸化物と非重金属酸化物(例えば、ジルコニア及びシリカナノ粒子のクラスタ)とを含む少なくとも1種の充填剤を含有し得る。
IVA族、VA族、VIA族、VIIA族、VIII族、IB族、又はIIB族のもののような純金属、IIIB族のアルミニウム、インジウム、及びタリウム、及びIVB族の錫及び鉛、又はそれらの合金類から作製される微粒子金属充填剤等の、金属充填剤も同様に組み入れることができる。従来の歯科用アマルガム合金粉、代表的には銀、錫、銅、及び亜鉛の混合物も同様に、必要に応じて組み入れてもよい。微粒子金属充填剤は、好ましくは約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの平均粒径を有し、より好ましくは約1マイクロメートル〜約50マイクロメートルである。これら充填剤の混合物、並びに有機及び無機の材料から作製された組み合わせ充填剤も同様に意図される。未処理の又はシラノール処理されたフルオロアルミノシリケートガラス充填剤は、特に好ましい。これらのガラス充填剤は、口内環境に配置された場合、歯科作業の位置でフッ化物を放出するという追加の利点を有する。
幾つかの実施では、組成物は、酸反応性充填剤を含み得る。好適な酸反応性充填剤としては、金属酸化物、ガラス、及び金属塩が挙げられる。典型的な金属酸化物としては、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛が挙げられる。典型的なガラスとしては、ホウ酸ガラス、リン酸ガラス、及びフルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラスが挙げられる。FASガラスが特に好ましい。FASガラスを硬化型組成物の成分と混合させるとき、硬化済み歯科組成物を形成させるように、FASガラスは、存在する場合、典型的に十分な溶出性カチオンを含有する。ガラスは更に、典型的には、十分な溶出性フッ化物イオンを含有し、これにより硬化した組成物が抗う蝕性を有する。このようなガラスは、FASガラス製造技術において当業者に馴染みが深い技術を使用して、フッ化物、アルミナ、及び他のガラス形成成分を含有する溶解物から、製造することができる。FASガラスは、存在する場合、典型的には、他のセメント成分と利便的に混合することができるように十分に超微粒子状の粒子の形態であるため、得られた混合物を口内で用いる場合に、よく機能するであろう。
一般に、このような組成物で用いられるFASガラスの平均粒径(典型的には、直径)は、例えば、沈殿分析器を使用して測定した場合、約12マイクロメートル以下、典型的には10マイクロメートル以下、より典型的には5マイクロメートル以下である。好適なFASガラスは、当業者によく知られており、かつ多種多様な供給元から入手可能であり、多くは、商品名VITREMER、VITREBOND、RELY X LUTING CEMENT、RELY X LUTING PLUS CEMENT、PHOTAC−FIL QUICK、KETAC−MOLAR、及びKETAC−FIL PLUS(3M ESPE Dental Products,St.Paul,MN)、FUJI II LC及びFUJI IX(G−C Dental Industrial Corp.,Tokyo,Japan)、及びCHEMFIL Superior(Dentsply International,York,PA)として市販されているもの等現在利用可能なガラスアイオノマーセメント内に見出される。必要に応じて、充填剤の混合物を使用することが可能である。
充填剤及び樹脂間の結合を高めるために、充填剤粒子の表面を更に、カップリング剤で処理することができる。好適なカップリング剤は、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を包含する。シラン処理ジルコニア−シリカ(ZrO2−SiO2)充填剤及びナノ充填剤、シラン処理シリカ充填剤及びナノ充填剤、シラン処理ジルコニア充填剤及びナノ充填剤、並びにこれらの組み合わせは、特定の修復組成物に特に好適である。
その他の好適な充填剤は、米国特許第6,387,981号(Zhangら)、同第6,572,693号(Wuら)、同第6,730,156号(Windisch)、及び同第6,899,948号(Zhang)、並びに国際公開第03/063804号(Wuら)、に記載される。これらの参考文献に記載された充填剤構成要素としては、ナノサイズのシリカ粒子、ナノサイズの金属酸化物粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ナノ充填剤は、同様に米国特許公開第2005/0252413号(Kangasら)、同第2005/0252414号(Craigら)、及び同第2005/0256223号(Kolbら)に記載される。
充填剤を含む本発明の幾つかの実施形態に関して(例えば、歯科用接着剤組成物)、組成物は、組成物の総重量に基づいて、典型的には少なくとも1重量%、より典型的には少なくとも2重量%、最も典型的には少なくとも5重量%の充填剤を含む。そのような実施形態に関して、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、典型的には最大40重量%、より典型的には最大20重量%、最も典型的には最大15重量%の充填剤を含む。
(例えば、組成物が歯科用修復剤又は歯列矯正用接着剤である)他の実施形態に関して、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて典型的には少なくとも40重量%、より典型的には少なくとも45重量%、最も典型的には少なくとも50重量%の充填剤を含む。そのような実施形態に関して、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、典型的には最大90重量%、より典型的には最大80重量%、更により典型的には最大70重量%の充填剤、最も典型的には最大50重量%の充填剤を含む。
他の添加剤
所望により、本発明の組成物は、溶媒(例えば、アルコール(例えば、プロパノール、エタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、他の非水性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロロリジノン))、又はこれらの混合物を含有してもよい。
本発明の幾つかの実施では、組成物は非水性である。他の実施では、組成物は、所望により水を含有してもよい。水は、蒸留水、脱イオン水、又は淡水の(plain)水道水であることができる。存在する場合、水の量は、適した取り扱い及び混合特性を提供するため、並びに/又は特に充填剤−酸反応において、イオンの輸送を許容するために、十分であるべきである。このような実施形態では、水は、硬化性組成物を形成するために用いられる成分の総重量の、少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%存在する。一般に、水は、硬化性組成物を形成するために用いられる成分の総重量の、約75重量%以下、より好ましくは約50重量%以下存在する。
必要な場合、本発明の組成物は、指示薬、染料(光漂白可能な染料を含む)、顔料、阻害剤、促進剤、粘度調節剤、湿潤剤、酸化防止剤、酒石酸、キレート化剤、緩衝剤、安定剤、希釈剤、及び当業界に明らかであろうその他の同様な成分等の添加剤を含有することができる。界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及びそれらの組み合わせ、が必要に応じて使用されてもよい。有用な界面活性剤には、非重合性及び重合性の界面活性剤が挙げられる。更に、薬剤又は他の治療用物質を、所望により歯科用組成物に添加することができる。例としては、歯科組成物に使用されることが多い種類の、フッ化物源、増白剤、抗う歯剤(例えば、キシリトール)、無機質補充剤(例えば、リン酸カルシウム化合物及び他のカルシウム源及びリン酸源)、酵素、息清涼剤、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫反応変性剤、チキソトロピー剤、ポリオール、抗炎症剤、抗菌剤、抗真菌剤、口腔乾燥症治療剤、減感剤等が挙げられるが、これらに限定されない。上述のいずれかの添加剤の組み合わせを用いてもよい。このような添加剤のどれか1つの選択及び量は、過度な実験なしで所望の結果を達成するために、当業者によって選択することができる。
組成物の調製及び使用
本発明の歯科用組成物は、従来の混合技術を使用して様々な成分を全て組み合わせて調製できる。得られる組成物は、所望により、充填剤、溶媒、水及び本発明で記載したような他の添加剤を含有してよい。典型的には、本発明の光重合性組成物は、「安全光(safe light)」の下で本発明の組成物の成分を単純に混合させて調製される。この混合物を処置する場合、必要に応じて、好適な不活性溶媒を取り入れてもよい。本発明の組成物の成分とはそれほど反応しない、いずれの溶媒を使用してよい。好適な溶媒の例には、アセトン、ジクロロメタン、アセトニトリル、及びラクトンが挙げられる。重合される液体材料を、重合される別の液体又は固体の材料に対する溶媒として使用できる。無溶媒の組成物は、ヨードニウム錯塩、増感剤、及び電子供与体を重合性樹脂の中に、溶解を容易にするために温和な加熱を使用して又は使用しないで、単純に溶解することにより調製できる。
歯科用組成物中の各々の含有物の量及び種類は、重合前後に望ましい物理的特性及び取扱性をもたらすように調節すべきである。例えば、歯科用材料の重合速度、重合安定性、流動性、圧縮強度、引っ張り強度、及び耐久性は、典型的には、重合開始剤の種類及び量、並びに存在する場合は、充填剤の使用量及び粒径分布を変更することによりある程度調節される。そのような調節は、典型的には歯科用材料を用いた以前の体験に基づいて実験的に行われる。歯科用材料が歯に適用される場合、歯は必要に応じてプライマー及び/又は接着剤を用いて当業界に既知の方法によって前処理することができる。
組成物は種々の形態で供給でき、それには一液系及び多液系、例えば、二液系である、粉末/液体系、ペースト/液体系、ペースト/粉末系、及びペースト/ペースト系、が挙げられる。多液組み合わせ(即ち、2つ又はそれ以上の部分の組み合わせ)を用いる他の形態の各々は、粉末、液体、ゲルの形態であり、あるいはペーストも利用可能である。組成物の様々な成分は、望ましいいかなる方式で別個の部分に分割してもよいが、ただし、レドックス多液系では、ある液が典型的には酸化剤を含有し、別の液が典型的には還元剤を含有する。しかし、例えば、マイクロカプセル化の使用によって、成分を分離したままで保持した場合、還元剤と酸化剤を系の同じ液中に組み合わせることができる。また、歯科用組成物が樹脂修飾ガラスアイオノマー(RMGI)であるこれら実施では、ポリ酸、酸反応性充填剤、及び水は、一般に、同じ部分に全てが存在する訳ではないが、これらのうち任意の2つは、他の成分の任意の組み合わせと共に、同じ部分に一緒に分類され得る。
組成物の成分は、キット中に含有でき、その場合、組成物の内容物はパッケージ化され、それらが必要となるまで成分の貯蔵を可能にする。
組成物の成分は、混合し、従来の技術を使用して臨床的に塗布できる。硬化用光源が、光重合性組成物の反応開始のために一般に必要とされる。組成物は、象牙質及び/又はエナメル質に非常に良好に接着するコンポジット又は修復剤の形態であることができる。所望により、プライマー層を歯の組織(その上に硬化性組成物を使用する)上に使用することが可能である。
本発明は、広範な歯科用組成物を包含し、これは充填又は無充填であり得る。代表的な歯科用材料には、歯科用修復剤(例えば、コンポジット、充填物、シーラント、インレー、アンレー、クラウン、及びブリッジ)、歯列矯正用器具、及び歯列矯正用接着剤が挙げられる。そのような歯科用材料には、審美的修復材料(例えば、前歯及び臼歯用修復材)、補綴物、口腔硬質組織用の接着剤及びプライマー、シーラント、ベニア、キャビティーライナー、あらゆるタイプのブラケット(例えば、金属、プラスチック及びセラミック)と用いるための歯列矯正ブラケット用接着剤、クラウン及びブリッジ用セメント材、人口クラウン、人口歯、入れ歯、等が挙げられる。これらの歯科用材料は口内で使用され、天然歯に隣接して配置される。本明細書で使用するとき、成句「隣接して配置される」は、歯科用材料を天然歯と、一時的又は永久的に固着させるため(例えば、接着)、又は接触させるため(例えば、咬合又は近位側に)に配置することを指す。
本発明の特徴及び利点が、次の実施例によって更に例示されるが、それはそれに関していかなる意味でも制限するものではない。これらの実施例において列挙されるその特定の材料及び量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を過度に制限しないと解釈されるべきである。指示がない限り、全ての部及びパーセントは重量基準であり、全ての水は脱イオン水であり、全ての分子量は重量平均分子量である。
本明細書で使用するとき、
「CAMP」は、国際公開/US2006/122081号の実施例1に記載のように調製された1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−(7−メチレン−1,5,ジチアオクタン−3−イル)フタレートを指し、
「TrisMAP」は、本質的に2007年11月2日出願の米国仮出願第60/984,785号(Kalgutkarら)に記載のように調製された、2−[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル−2−[4−(2−[2−メタクリルオキシエトキシ]フタリルオキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]−プロパンを指し、
「UDMA」は、Rohm America LLC,Piscataway,NJから商品名「ROHAMERE 6661−0」として入手した、ジウレタンジメタクリレートを指し、
「ビスEMA6」は、Sartomer Co.,Inc.,Exton,PAから入手した、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレートを指し、
「TEGDMA」は、Sartomer Co.,Inc.,Exton,PAから入手した、トリエチレングリコールジメタクリレートを指し、
「ビスGMA」は、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパンを指し、
「BHT」は、ブチル化ヒドロキシトルエンを指し、
「SiO2/ZrO2充填剤1」は、本質的に米国特許第6,730,156号に記載のように調製され、下記のように表面処理された、シラン処理ジルコニア−シリカナノクラスタ充填剤を指し、
「SiO2/ZrO2充填剤2」は、本質的に米国特許第6,730,156号に記載のように調製され、下記のように表面処理された、シラン処理ジルコニア−シリカナノクラスタ充填剤を指し、
「SiO2/ZrO2充填剤3」は、本質的に米国特許第6,730,156号に記載のように調製された、シラン処理ジルコニア−シリカナノクラスタ充填剤を指し、
「ZrO2充填剤」は、A−174及びA−1230のブレンドの代わりにGF31を用いたことを除いて、本質的に米国特許公開第2005/0252413号の予備実施例1Aに記載のように調製されたシラン処理ナノサイズジルコニアを指し、
「SiO2充填剤」は、本質的に米国特許公開第2005/0252413号に充填剤Fに記載のように調製された、およそ20ナノメートルの公称粒径を有するシラン処理ナノサイズシリカを指し、
「ENMAP」は、N−メチルアニリンのエチルアクリレートへのマイケル付加により調製されたエチル−(N−メチル−N−フェニル)アミノプロピオネートを指し(J.Chem.Soc.,Supplement,p.144〜152(1949))、63524US002、
「EDMAB」は、エチル4−ジメチルアミノベンゾエートを指し、
「EDMOA」は、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセンを指し、
「DPIPF6」は、Alfa Aesar,Ward Hill,MAから入手した、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、
「CPQ」は、カンファーキノンを指し、
「Irgacure 819」は、Ciba,Inc.,Tarrytown,NYから入手したビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドを指し、
「TINUVIN」は、Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NYから商品名TINUVIN R 796として入手した重合性紫外線安定剤を指し、
「L−88」は、Beaver Luminescers(Newton,MA)から入手した有機蛍光色素を指し、
「QBK58/UF−A2」は、Phosphor Technology(Stevenage,Hertfordshire,England)から入手したYSi0:Ceを指し、
「A−594−5」又は「A−594」は、DayGlo Corp,Cleveland,OHから入手した蛍光色素を指し、
「Lumilux White」は、Honeywell Inc.,Morristown,NJから入手したLumilux Natural White Zを指し、
「Uvitex OB」は、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY)から入手した、2,5−ビス(5−tert−ブチル−2−ベンゾキサゾリル)チオフェン(BBOT)を指し、
「GENIOSIL GF−31」又は「GF−31」は、Wacker Chemie AG,Munich,Germanyから得られる3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン組成物を指し、
「赤色色素分散物」は、2007年11月2日出願の米国仮出願第60/984,785号(Kalgutkarら)に記載のような、赤色酸化鉄(III)色素を含有する分散物を指し、
「黄色色素分散物」は、2007年11月2日出願の米国仮出願第60/984,785号(Kalgutkarら)に記載のような、黄色酸化鉄(III)色素を含有する分散物を指し、
「白色色素分散物」は、2007年11月2日出願の米国仮出願第60/984,785号(Kalgutkarら)に記載のような、ルチル形二酸化チタン色素を含有する分散物を指す。
サンプルの調製
特に明記しない限り、試薬及び溶媒は、Sigma−Aldrich Corp.,St.Louis,MOから入手した。コンポジットの混合は全て、DAC−150FZ高速ミキサ(Flacktec Corp.,Landrum SC)内で成分を混合することにより行われた。混合は、コンポジットに更なる変化が見られなくなるまで、混合サイクル間に冷却のための20秒間の間隔をおいて、2000rpmから2400rpmまで徐々に速くなる速度で実施された。カンファーキノン、EDMAB、及びロドニウムヘキサフルオロホスフェートを、固体が見えなくなるまで、ガラス瓶内にてローラ上で製剤を回転させることにより、それぞれの樹脂に溶解させた。全てのコンポジットをシリンジに充填し、45℃で16時間プランジャに負荷を適用することにより脱気した。コンポジットを、黄色光下で保存し、取り扱った。
蛍光試験並びにCIELABパラメータ及びコントラスト比の測定に用いられるディスク(3.0cm×0.11cm)を、90秒間10,000psiでステンレス鋼の成形型内でコンポジットペースト(光硬化前)を加圧することにより調製した。石英−タングステン−ハロゲン硬化光を備えるCarverラボプレス(モデル3912、Wabash,IN)を、この目的のために用いた。120秒間10,000psiの圧力下にて、プレス内で照射することにより(実施例E−5〜E−9)、又はプレスからサンプルを取り出し、ディスク全域が少なくとも1回曝露されるまで、繰り返し、20秒間2つの歯科用青色光を用いて光硬化させることにより(実施例E−1〜E−4及び比較例CE−1〜CE−5)、光硬化を実施した。全ての場合において、この後、ディスクの各側面上に90秒間、高強度パルス状キセノン光源(Kulzer UniXS,Hanau,Germany)を用いて照射が行われた。
蛍光、CIELABパラメータ及びコントラスト比の測定
蛍光安定性は、ISO 4049:2000に記載されている色の安定性についての設備及び測定技術を用いて、4時間にわたって試験された。Hanau sun試験装置を、中程度の強度のXeアークランプと共に用いた。蛍光安定性試験に供されたディスクを、循環浴を用いて37℃に維持された水中に浸漬した。ディスクを装置から取り出し、Tecan Infinite 200蛍光分光計(Durham,NC)を用いて蛍光強度を測定した。全てのサンプルに365nmで照射し、1nm間隔で390〜730nmにて放射データを回収した。ゲインを用手的に70に固定し、20マイクロ秒間各データ点を積分し、10回を平均した。必ずXeアークランプに曝露したディスク側面と同じ面を蛍光測定に用いるよう注意した。次いで、Gunter Wyszecki及びW.S.Stiles、「Color Science.Concepts and Methods.Quantitative Data and Formulae.」、2nd edition,John Wiley(1982)の第3.3.8章に記載のようにデータを解析した。1931 CIE 2°標準観測者等色関数のデータは、CIE publication CIE 15:2004(ISBN 3901906339)から入手した。分析の結果をCIE 2°色度座標の観点で報告し、それは知覚された蛍光の色に一致する。CIELABパラメータ及びコントラスト比のデータは、Hunterlab UltraScan VIS分光光度計(Reston,VA)を用いて、同じディスクについて入手した。
シラン処理(S/T)YSiO:Ceの調製
SiO:Ceは、以下のように11.6重量%の(3−メタクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(Genosil GF31)を用いてシラン処理された、Phosphor Technology(Stevenage,Hertfordshire,England)から得られる無機発光色素である。0.8010グラムのYSiO:Ceのスラリーを、撹拌しながら、1:1の脱イオン水:1−メトキシ−2−プロパノール溶媒10.0242グラム中で調製した。10重量%のトリフルオロ酢酸数滴を用いて、pHを2.65に調整した。GF−31(0.0932グラム)を1度に全て添加し、70℃で5.25時間、溶媒の損失を防ぐために、凝縮器を備える丸底反応槽を磁気的に撹拌することにより反応を実行させた。次いで、52分間にわたってrotvap(80℃、真空)を用いて溶媒を除去し、オフホワイトの粉末としてS/T YSiO:Ceを得た。乳鉢と乳棒を用いて粉末を砕き、更に加工を行うことなく使用した。
SiO2/ZrO2充填剤1の調製
シリカ−ジルコニアナノクラスタのスラリー(米国特許第6,572,693号に記載のような)を、磁気混合により、脱イオン水と1−メトキシ−2−プロパノールの1:1混合物中で調製した。10重量%のトリフルオロ酢酸数滴を用いて、pHを3.00に調整した。このスラリーを、1度に全て添加した、17.98グラムの(3−メタクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(Genosil GF31)でシラン処理した。室温で、封止されたバイアル瓶を回転させることにより、一晩反応を実行させた。次の日の朝、スラリーをギャップ乾燥させた。ギャップ乾燥機のホットプレート設定点は290°F(143℃)であり、実際の入口は263°F(128℃)であり、出口は255°F(124℃)であり、ホットプレートとコールドプレートとのギャップは約2インチ(5.08cm)であり、コーティングは0.015インチ(0.038cm)であり、ライン速度は約3フィート/分(91.4cm/分)であった。粉末は、75mの篩を通過した。更なる加工を行うことなく使用した。
SiO2/ZrO2充填剤2の調製
5.47gのA部(下記)と7.93gのB部(下記)との混合物を調製することにより、充填剤を作製した。
A部は、以下のように調製した。31.3590グラムの(3−メタクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(Genosil GF31、11−0021−2849−1)を丸底フラスコに添加し、次に330.3グラムの酢酸エチル及び299.6グラムのシリカ−ジルコニア(米国特許第6,572,693号)を磁気的に混合しているフラスコに添加した。次に、7.21グラムの水酸化アンモニウム(28/30%)を添加した。室温で、封止されたバイアル瓶を磁気的に撹拌することにより、一晩反応を実行させた。次の日、溶媒の大部分が除去されるまで、rotovap(35℃/真空)内で溶媒を除去し、次いで目視検査により粉末が乾燥するまで、浴を90℃にした。このプロセスには35分かかった。次に、粉末を85℃のオーブンに2時間入れた。粉末は、75mの篩を通過した。更なる加工を行うことなく使用した。
B部は、以下のように調製した。38.2841グラムの(3−メタクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(Genosil GF31、11−0021−2849−1)を丸底フラスコに添加し、次に327.5グラムの酢酸エチル及び298グラムのシリカ−ジルコニア(米国特許第6,572,693号)を磁気的に混合しているフラスコに添加した。次に、7.21グラムの水酸化アンモニウム(28/30%)を添加した。室温で、封止されたバイアル瓶を磁気的に撹拌することにより、一晩反応を実行させた。次の日、溶媒が除去されるまで、rotovap(35℃/真空)内で溶媒を除去した。このプロセスには47分かかった。次に、粉末を85℃のオーブンに2時間入れた。粉末は、75mの篩を通過した。更なる加工を行うことなく使用した。
(実施例E1及びE2、並びに比較例CE−1〜CE−5)
有機蛍光色素L−88を含有する組成物(実施例E−1及びE−2)のCIELABパラメータ及びコントラスト比(不透明度の測定)を、無機発光色素QBK58/UF−A2を含有する組成物(比較例CE−1、CE−2、及びCE−3)、又は蛍光色素を含有しない組成物(比較例CE−4及びCE−5)のCIELABパラメータ及びコントラスト比と比較するために、上記一般的な技術により、表1に記載のコンポジットを調製した(列挙された成分は全て重量%による)。L−88は、ヒドロキシル置換アリールグアナミンである有機蛍光色素である。QBK58/UF−A2は、セリウムドーピングを用いて、YSiOから調製された無機発光色素材料である。
Figure 0005683471
上記製剤のCIELABパラメータ及びコントラスト比を、上記試験プロトコルを用いて測定した。表2(無機蛍光色素を含有するペースト)及び表3(有機蛍光色素を含有するペースト)に結果を示す。
Figure 0005683471

Figure 0005683471
表2及び表3のデータは、L−88はb又はコントラスト比(不透明度)に対してほとんど又は全く影響を及ぼさないが、YSiO:Ceを添加すると両方に著しい影響が見られることを示す。具体的には、不透明度は、歯科用途には望ましくない水準であり、bの不所望の水準の境界は、0.25%の濃度である。良好な蛍光に必要なL−88の装填濃度は、実験で用いられた濃度よりも遥かに低い。驚くべきことに、良好な蛍光に必要なのは0.05%未満であることが見出された。L−88におけるこの所望の装填濃度では、組成物のb及びコントラスト比に対してほとんど又は全く影響を及ぼさない。
(実施例E3及びE4)
有機染料及び色素を含有する歯科用コンポジットについて、時限曝露試験を行った。表4に記載の配合を有するペーストを、上記一般的な技術により調製した。これら配合は、Beaver Luminescers(Newton,MA)から入手したL−88を、別の蛍光色素である、DayGlo Corporation(Cleveland,OH)から入手したA−594−5、又は有機蛍光染料である、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY)から商品名Uvitex OBとして入手した2,5−ビス(5−tert−ブチル−2−ベンゾキサゾリル)チオフェン(BBOT)と組み合わせる。各製剤のサンプルを紫外線に曝露し、蛍光の変化を経時的に測定した。次いで、得られた蛍光減衰データを表5に示す。
Figure 0005683471

Figure 0005683471
図1にグラフで示す表5のデータは、A−594−5等の有機蛍光色素を含有する製剤は、有機蛍光染料を含有する製剤よりも遥かに、紫外線に曝露した際の蛍光低下に対する耐性が高かったことを示す。性能の正確な増加は、用いられる有機蛍光色素に依存する。
(実施例E5〜E9)
表6に記載の配合を有するペーストを、上記一般的な技術により調製した。これらペーストは、知覚される蛍光の色を調節するために、様々な比で有機蛍光色素L−88及びA−594−5の組み合わせを含有していた。
Figure 0005683471

Figure 0005683471
表7のデータは、A594−5とL−88との比の低下が、y色度座標の増加をもたらすことを示す。これは、蛍光がより緑色に着色されることと一致する。これらの実施例は、有機蛍光色素と1種以上の発光剤との組み合わせが、蛍光の色の調整に有用であることを示す。個々の蛍光色において差の大きい発光剤を用いることにより、より大きな変化を得ることができる。発光剤の総量は蛍光強度に影響を与えるが、蛍光の色度座標には実質的に影響を与えないことに留意すべきである。
本発明に対する様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者に明らかとなるであろう。本発明の範囲は、記述される特許請求の範囲によってのみ限定されると考えており、本発明が、本明細書で説明された例示的実施形態及び実施例により過度に限定されるものではないこと、及びこのような実施例及び実施形態は、例示のためにのみ提示されていることを理解されるべきである。
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々
に組み込まれたかのように、その全体が参考として組み込まれる。なお、本願発明は以下のものを含む。
1. 蛍光有機色素を含む硬化性歯科用組成物。

2. 硬化した際に、天然歯の蛍光を有する、第1項に記載の組成物。
3. 前記蛍光有機色素が、ポリマー内に封入された又はポリマーに結合した蛍光化合物を含む、前記第1項に記載の組成物。
4. 前記蛍光有機色素が、本質的に蛍光有機化合物を含む、前記第3項に記載の組成物。
5. 前記蛍光有機色素成分が、前記組成物の1重量%未満の量で存在する、前記第1〜4項のいずれか一項に記載の組成物。
6. 重合性成分を更に含む、前記第1〜5項のいずれか一項に記載の組成物。
7. 前記重合性成分が、エチレン性不飽和化合物を含む、前記第6項に記載の組成物。
8. 前記エチレン性不飽和化合物が、(メタ)アクリレートである、前記第7項に記載の組成物。
9. 反応開始剤系を更に含む、前記第1〜8項のいずれか一項に記載の組成物。
10. 前記組成物が、光硬化性であり、前記反応開始剤系が、光反応開始剤を含む、前記第9項に記載の組成物。
11. 充填剤系を更に含む、前記第1〜10項のいずれか一項に記載の組成物。
12. 前記充填剤系が、シリカナノ粒子、ジルコニアナノ粒子、シリカ及びジルコニアナノ粒子のナノクラスタ、又はこれらの組み合わせを含む、前記第11項に記載の組成物。
13. 前記ナノ粒子又はナノクラスタが、シラン処理されている、前記第12項に記載の組成物。
14. 天然歯の蛍光を有する歯科用組成物を作製する方法であって、
(a)硬化時に、天然歯とは異なる蛍光を有する材料を提供する歯科用樹脂系を提供する工程と、
(b)前記樹脂系に十分な量の有機蛍光成分を添加して、硬化時に、天然歯の蛍光を有する組成物を提供する工程と、を含む、方法。
15. (c)前記組成物の蛍光と、前記天然歯の蛍光とを比較する工程を更に含む、前記第14項に記載の方法。
16. 前記樹脂系が、エチレン性不飽和成分を含む、前記第14項又は第15項に記載の方法。
17. 前記エチレン性不飽和成分が、(メタ)アクリレートである、前記第16項に記載の方法。
18. 前記組成物が、反応開始剤系を更に含む、前記第14項〜第17項のいずれか一項に記載の方法。
19. 前記組成物が、光硬化性であり、前記反応開始剤系が、光反応開始剤を含む、前記第18項に記載の方法。
20. 前記組成物が、充填剤系を更に含む、前記第14項〜18項のいずれか一項に記載の方法。
21. 前記充填剤系が、シリカナノ粒子、ジルコニアナノ粒子、シリカ及びジルコニアナノ粒子を含むナノクラスタ、又はこれらの組み合わせを含む、前記第20項に記載の方法。
22. 前記ナノ粒子が、シラン処理されている、前記第21項に記載の方法。
23. 前記第1項〜第13項のいずれか一項に記載の組成物を硬化させることにより作製される歯科用製品。

Claims (1)

  1. 蛍光ベンゾキサゾール有機色素および蛍光ヒドロキシル置換アリールグアナミン有機色素を含む硬化性歯科用組成物。
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