JP2014160568A - リチウムイオン二次電池およびそれを用いた二次電池システム - Google Patents

リチウムイオン二次電池およびそれを用いた二次電池システム Download PDF

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Abstract

【課題】容量、安全性およびサイクル特性の3項目を高いレベルでバランスさせた大型電気機器向けのリチウムイオン二次電池、およびそれを用いた二次電池システムの提供。
【解決手段】正極は、活物質として、スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物(A)と層状構造を有するリチウムマンガン酸化物(B)とを含み、リチウムマンガン酸化物Aとリチウムマンガン酸化物Bとの総量「A+B」に対するリチウムマンガン酸化物Bの割合「B/(A+B)」が0.4超1未満であり、非水電解液は支持塩と非水溶媒と分解抑制添加剤とを含み、非水溶媒は主成分と難燃成分とを少なくとも含み、難燃成分は有機リン化合物からなり、有機リン化合物の含有率が非水溶媒の5体積%以上10体積%以下であり、分解抑制添加剤は不飽和スルトン化合物を含み、不飽和スルトン化合物の含有率が支持塩と非水溶媒との合計100質量部に対して0.1質量部以上2質量部以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池、およびそれを用いた二次電池システムに関するものである。
非水系電解液二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池は、水系電解液二次電池(例えば、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、鉛電池)の起電力(約1.5 V)に比して非常に高い起電力(3 V以上)を有する。そのため、リチウムイオン二次電池は、電池の小型・軽量化や大容量・高出力化に有利であり、携帯用パソコンや携帯電話機等の小型電子機器に広く用いられてきた。近年、リチウムイオン二次電池の用途は、大型電気機器(例えば、HEV(ハイブリッド自動車)やEV(電気自動車)などの自動車用動力電源や、電力貯蔵用電源)にも拡大してきている。リチウムイオン二次電池を大型電気機器に適用するには、小型電子機器の場合よりも、はるかに高い出力と容量とが求められる。
高出力用途のリチウムイオン二次電池として、正極活物質にリチウムマンガン酸化物を用いたリチウムイオン電池が知られている。例えば、特許文献1(特開2007−165111号公報)には、正極シートと負極シートとがセパレータ及び非水電解液を介して形成される電極群と、前記電極群を収容するラミネート状の外装ケースと、前記正極シート及び前記負極シートのそれぞれに接続される正極リード及び負極リードと、を有する非水系二次電池において、前記正極シートに形成される正極に使用される正極活物質は、スピネル系リチウムマンガン酸化物及び層状系リチウムマンガン酸化物を含有し、前記非水系電解液は、カーボネート系の非水系溶媒にリチウム塩を溶解させた非水系溶液に、1,3ジオキソランボレート−4,5ジオンを有することを特徴とする非水系二次電池が開示されている。特許文献1によると、スピネル系マンガン酸化物を主体とした正極活物質を用いることで、過充電での安全性を高め、且つ貯蔵特性、サイクル寿命に優れ、低コストで、高出力なHEV用の扁平形状非水系二次電池を提供することができるとしている。
また、特許文献2(特開2002−100358号公報)には、リチウム遷移金属複合酸化物を主成分とする正極活物質層を備えたリチウム二次電池において、上記リチウム遷移金属複合酸化物が、LixNiyMn1-y-zMzO2(ただし、xは0.9≦x≦1.2、yは0.40≦y≦0.60、zは0≦z≦0.2であり、MはFe、Co、Cr、Al原子のいずれかから選択される)で表されるリチウム−ニッケル−マンガン−M複合酸化物と、スピネル構造(空間群Fd3m)を有しLipMn2O4(ただし、pは1≦p≦1.3である)で表されるリチウム−マンガンスピネル複合酸化物との混合物からなることを特徴とするリチウム二次電池が開示されている。特許文献1によると、ハイレートでの充放電が可能で、容量が高く、充放電サイクル耐久性に優れた高安全性の非水電解液二次電池用正極材料を得ることができるとしている。
リチウムイオン二次電池の大容量・高出力化は、二次電池の絶対的な容積が大きくなることを意味し、二次電池の充放電に伴う発熱の絶対量が大きくなることにつながる。そのため、大型電気機器用のリチウムイオン二次電池では、小型電子機器用のそれよりも高い安全性を確保することが重要となる。
一方、リチウムイオン二次電池の非水電解液としては、六フッ化リン酸リチウム等の電解質(支持塩)をエチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等の非水溶媒に溶解させたものが広く知られている。しかしながら、これらの非水溶媒は、引火性を有するため(例えば、ECおよびPCの引火点は130〜140℃)、原理的には火種があれば引火する。これに対し、安全性を確保の観点から、引火の可能性が少ない非水電解液の使用が強く望まれている。そして、非水電解液に難燃剤や過充電防止剤を添加することで、非水電解液の引火を回避する研究開発が精力的に進められている。
高い安全性を有するリチウムイオン電池として、電解液に難燃性または不燃性の化合物を用いたリチウムイオン電池が報告されている。例えば、特許文献3(特開2011−165606号公報)には、オリビン型リン酸鉄リチウムを含有する正極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる負極と、非水溶媒と、その非水溶媒に溶解したリチウム塩と、特定の化学式で表される亜リン酸エステル5〜50質量%と、を含有する電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池が開示されている。特許文献3によると、安全性とサイクル特性との両方が良好になるリチウムイオン二次電池用非水電解液及びリチウムイオン二次電池を提供することができるとしている。
また特許文献4(特開2002−329528号公報)には、不飽和スルトンを含有する非水電解液が開示されている。特許文献4によると、不飽和スルトンを添加した電解液を使用することによって、自己放電が小さく、負荷特性、抵抗の劣化が大幅に抑制され、かつ、電池内のガス発生量が大きく減じられた非水電解液二次電池を得ることができ、また、本発明の組成特定の非水溶媒によって、低温特性、負荷特性にも優れた非水電解液二次電池を得ることができるとしている。
特開2007−165111号公報 特開2002−100358号公報 特開2011−165606号公報 特開2002−329528号公報
リチウムイオン二次電池に対する高い出力、高い容量、高い安全性の要求は、近年ますます高まっている。前述したように、従来のリチウムイオン二次電池では、高い出力・高い容量を実現するために正極活物質にスピネル系のリチウムマンガン酸化物を用いているが、エネルギー密度をより高めようとすると安全性の確保が難しくなる場合があった。一方、従来のリチウムイオン二次電池では、安全性を高めるために難燃性や不燃性の化合物を電解液に添加した場合、これら化合物の添加によって、二次電池の初期容量の観点で要求されるレベルを十分に満たせなくなる問題があった。
さらに、大型電気機器用の二次電池は、小型電子機器のそれのように頻繁に交換しない(長期間の使用を前提とする)ことから、安定して長期間使用できること(すなわち、充放電のサイクル特性が高いこと)も重要である。すなわち、リチウムイオン二次電池を大型電気機器に適用する場合、容量、安全性およびサイクル特性の3項目において小型電子機器の場合よりも高いレベルでバランスさせることが非常に重要であり、その観点で更なる改善が強く望まれていた。
したがって、本発明の目的は、リチウムイオン二次電池を大型電気機器に適用すべく、容量、安全性およびサイクル特性の3項目を小型電子機器の場合よりも高いレベルでバランスさせたリチウムイオン二次電池、およびそれを用いた二次電池システムを提供することにある。
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、正極、負極および非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池であって、
前記正極は、活物質として、スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物(A)と層状構造を有するリチウムマンガン酸化物(B)とを含み、前記リチウムマンガン酸化物Aと前記リチウムマンガン酸化物Bとの総量「A+B」に対する前記リチウムマンガン酸化物Bの割合「B/(A+B)」が0.4超1未満であり、前記非水電解液は非水溶媒と支持塩とを含み、前記非水溶媒は有機リン化合物と不飽和スルトン化合物とを含み、前記非水溶媒における前記有機リン化合物の含有率が5体積%以上10体積%以下であり、前記非水溶媒における前記不飽和スルトン化合物の含有率が0.1質量部以上2質量部以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池を提供する。
また、本発明の他の一態様は、上記目的を達成するため、上述したリチウムイオン二次電池を用いた二次電池システムを提供する。
本発明によれば、二次電池における容量、安全性およびサイクル特性の3項目を従来よりも高いレベルでバランスさせた、大型電気機器に好適なリチウムイオン二次電池を提供することができる。また、それを用いた二次電池システムを提供することができる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池の一例を示す断面模式図である。 本発明に係る二次電池システムの一例を示す断面模式図である。
前述したように、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、正極、負極および非水電解液を備え、前記正極は、活物質として、スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物(A)と層状構造を有するリチウムマンガン酸化物(B)とを含み、前記リチウムマンガン酸化物Aと前記リチウムマンガン酸化物Bとの総量「A+B」に対する前記リチウムマンガン酸化物Bの割合「B/(A+B)」が0.4超1未満であり、前記非水電解液は支持塩と非水溶媒と分解抑制添加剤とを含み、前記非水溶媒は主成分と難燃成分とを少なくとも含み、前記難燃成分は有機リン化合物からなり、該有機リン化合物の含有率が前記非水溶媒の5体積%以上10体積%以下であり、前記分解抑制添加剤は不飽和スルトン化合物を含み、該不飽和スルトン化合物の含有率が前記支持塩と前記非水溶媒との合計100質量部に対して0.1質量部以上2質量部以下であることを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明に係るリチウムイオン二次電池において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記「B/(A+B)」が0.4超0.6未満であり、前記有機リン化合物は、亜リン酸トリメチル、ジメチルメチルホスホン酸または亜リン酸ジメチルのいずれかであり、前記不飽和スルトン化合物は1-3,プロペンスルトンまたはプロパンスルトンである。
(ii)前記分解抑制添加剤はビニレンカーボネートを更に含む。
(iii)スピネル構造を有する前記リチウムマンガン酸化物Aは、LiaMnbMcO4(ただし、a+b+c=3、1.0≦a≦1.1、0<c≦0.07、MはNi、Fe、Zn、MgおよびCuからなる群より選ばれる少なくとも一種である)で表わされる化合物であり、層状構造を有する前記リチウムマンガン酸化物Bは、LidMneNifCogQhO4(ただし、d+e+f+g+h=2、1.0≦d≦1.2、0.1≦e≦0.5、0.2≦f≦0.6、0.1≦g≦0.5、0≦h≦0.1、QはB、Mg、Al、Cu、Zn、MoおよびWからなる群より選ばれる少なくとも1種である)で表わされる化合物である。
(iv)前記非水溶媒の前記主成分は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートのうち少なくとも1種を含む。
(v)前記支持塩は、六フッ化リン酸リチウムおよび/または四フッ化ホウ酸リチウムを含む。
(v)前記負極は、活物質として非晶質炭素を含む。
以下、本発明に係る実施形態について、より具体的に説明する。ただし、本発明は、ここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能ある。
(リチウムイオン二次電池の正極活物質)
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、正極活物質として、スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物(A)と、層状構造を有するリチウムマンガン酸化物(B)とを含む。スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物は、結晶構造の安定性が高く充電状態においても崩壊が起きにくいため、酸素を放出しにくい利点がある。安全性の観点から、酸素の放出はできるだけ抑制されることが好ましい。ただし、スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物は、充電時の電気容量が層状構造を有するリチウムマンガン酸化物に比べると低い弱点もある。一方、層状構造を有するリチウムマンガン酸化物は、スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物と比較して充電時の電気容量が高い利点がある。ただし、結晶構造の安定性が比較的低いことから、構造崩壊に伴って酸素を放出しやすい弱点がある。
スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物(A)と、層状構造を有するリチウムマンガン酸化物(B)とを混合した場合、リチウムマンガン酸化物Aの混合比率を高めるほど、酸素が放出されにくくなって安全性の向上に貢献するが、充電時の電気容量が高くならない。逆に、リチウムマンガン酸化物Bの混合比率を高めるほど、充電時の電気容量が高くなるが、酸素が放出され易くなる。すなわち、容量と安全性を高いレベルで両立するためには、リチウムマンガン酸化物Aとリチウムマンガン酸化物Bとの混合比率が非常に重要となる。
本発明者等は、スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物(A)と層状構造を有するリチウムマンガン酸化物(B)との割合「B/(A+B)」を0.4超1未満とし、さらに非水電解液に所定の比率の有機リン化合物と不飽和スルトン化合物とを添加することで、二次電池における容量、安全性およびサイクル特性の3項目を従来よりも高いレベルでバランスさせられることを見出した。「B/(A+B)」は0.4超0.6未満であることがより好ましい。
次に、本発明で用いるリチウムマンガン酸化物について説明する。本発明で用いる非水電解液については、追って詳述する。
スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物(A)としては、具体的には、LiaMnbMcO4で表わされる化合物が好適に用いられる。当該リチウムマンガン酸化物Aは、LiMn2O4中のMn(マンガン)の一部を所定の元素Mで置換したものである。Mnサイトの一部をMで置換することによって、LiMn2O4の構造相転移を抑制し、安定性を向上させている。Mは、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、Zn(亜鉛)、Mg(マグネシウム)およびCu(銅)からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
Li(リチウム)、MnおよびMの比率の和「a+b+c」は、LiMn2O4のスピネル構造を維持するために、「a+b+c=3」とすることが好ましい。「a+b+c≠3」の場合には、LiMn2O4のスピネル構造が乱れ易くなる。
リチウムマンガン酸化物A中のLiの比率aは、「1.0≦a≦1.1」であることが好ましく、「1.06≦a≦1.1」であることがより好ましい。「a<1.0」の場合には、Liサイトの一部を他の構成元素が置換するため、Liイオンの拡散が阻害されて二次電池の出力が低下する。また、「1.1<a」の場合には、Mn等の遷移金属のイオン量とLiイオン量とのバランスが崩れるため、二次電池の容量が低下してしまう。
Mの比率cは、「0<c≦0.07」であることが好ましく、「0.01≦c≦0.03」であることがより好ましい。「c=0」の場合、Mnイオンの平均価数が3.5未満となり、充放電の際に結晶構造が不安定になり易い。充放電によってMnイオンが多量に溶出すると非水電解液を劣化させてしまう。一方、「0.07<c」の場合、結晶の電気的中性を保つためにMnイオンの価数が大幅に増加する。リチウムマンガン酸化物Aにおける充放電はMnイオンの価数変化によって行われるため、Mnイオンの平均価数が増加するとリチウムイオン二次電池の容量が低下してしまう。
層状構造を有するリチウムマンガン酸化物(B)としては、六方晶系の単位格子が層状に積層されたものが好ましい。さらに、当該リチウムマンガン酸化物Bは、リチウムとマンガンと他の遷移金属との複合化合物であることが好ましい。特に、リチウムイオン二次電池の高出力化、高エネルギー密度化および長寿命化の観点から、リチウムとマンガンとニッケルとコバルトとを少なくとも含有する化合物が好ましい。
具体的には、LidMneNifCogQhO2で表わされる化合物が好適に用いられる。当該リチウムマンガン酸化物Bは、LiMnO2中のMnの一部をLi、Ni、Coおよび所定の元素Qで置換したものである。このようにMnの一部をLi、Ni、Coおよび所定の元素Qで置換することによって、リチウムイオン二次電池の高出力化、高エネルギー密度化および長寿命化を向上させることができる。Qは、Fe、V(バナジウム)、Ti(チタン)、Cu、Al、Sn(スズ)、Zn、MgおよびB(ホウ素)からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、結晶構造の安定性向上による寿命向上に貢献する。
Li、Mn、Ni、CoおよびQの比率の和「d+e+f+g+h」は、LiMnO2の層状構造を維持するために、「d+e+f+g+h=2」とすることが好ましい。「d+e+f+g+h≠2」の場合には、LiMnO2の層状構造が不安定になりやすくなる。
リチウムマンガン酸化物B中のLiの比率dは、「1.0≦d≦1.2」であることが好ましく、「1.02≦d≦1.12」であることがより好ましい。「d<1.0」の場合には、Liサイトの一部を他の構成元素、特にイオン半径の近いNiが置換するため、Liイオンの拡散が阻害されて電池の出力が低下する。一方、「1.2<d」の場合には、Mn等の遷移金属のイオン量とLiイオン量とのバランスが崩れるため、二次電池の容量が低下してしまう。
Mnの比率eは、「0.1≦e≦0.5」であることが好ましく、「0.2≦e≦0.4」であることがより好ましい。「e<0.1」の場合、Mnの割合が小さ過ぎて結晶構造が不安定となり、寿命が低下してしまう。一方、「0.5<e」の場合、結晶の電池的中性を保つためにMnイオンの平均価数が3に近づき、ヤーン・テラー歪みによって結晶構造が不安定となり、寿命が低下してしまう。
Niの比率fは、「0.2≦f≦0.6」であることが好ましく、「0.3≦e≦0.5」であることがより好ましい。「f<0.2」の場合、Niの割合が小さ過ぎて二次電池の容量が低下してしまう。一方、「0.6<f」の場合、Niの割合が高過ぎてLiサイトの一部がNiで置換され、二次電池の出力が低下してしまう。
Coの比率gは、「0.1≦g≦0.5」であることが好ましく、「0.2≦g≦0.4」であることがより好ましい。「g<0.1」の場合、Coの割合が小さ過ぎて結晶構造が不安定となり、寿命が低下してしまう。一方、「0.5<g」の場合、高価なCoの割合が高くなるため材料コストが増大してしまう。
Qの比率hは、「0≦h≦0.1」が好ましく、「0≦h≦0.06」であることがより好ましい。「0.1<h」の場合には、Mn等の遷移金属のイオン量が低下し、二次電池の容量が低下してしまう。
(非水電解液)
本発明に係るリチウムイオン二次電池の非水電解液は、支持塩と非水溶媒と分解抑制添加剤とを含む。当該非水溶媒は、主成分と難燃成分とを少なくとも含む。難燃成分は有機リン化合物からなり、分解抑制添加剤は不飽和スルトン化合物を含む。
まず、非水溶媒について説明する。非水溶媒の主成分としては、リチウムイオン二次電池の正極あるいは負極で電気化学的に分解されないものであれば基本的に従前のものを利用できるが、特に、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)のうちの少なくとも1種を含むことは好ましい。
また、非水溶媒の副成分として、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、テトラヒドロフラン、1,2-ジエトキシエタン、クロルエチレンカーボネート、クロルプロピレンカーボネートのいずれかの単体または混合物を適宜利用することができる。これら副成分の合計含有率は、非水溶媒の合計100体積%に対して、30体積%以下とすることが好ましい。
次に、難燃成分について説明する。本発明では、非水電解液に難燃性を付与する難燃成分として有機リン化合物を用いる。一般的に、非水溶媒への有機リン化合物の添加は、電池容量やサイクル特性を低下させる要因になり易い。これに対し、本発明は、難燃成分の有機リン化合物と分解抑制添加剤の不飽和スルトン化合物とを所定の比率で含む非水電解液を用いることで、容量、安全性およびサイクル特性の3項目を高いレベルでバランスさせたリチウムイオン二次電池を提供するものである。本発明で用いる有機リン化合物としては、亜リン酸エステル(CAS No. 121-45-9、以下TMPIと記す)、ジメチルメチルホスホン酸(CAS No. 756-79-6、以下DMMPと記す)および亜リン酸ジメチル(CAS No. 868-85-9、以下DMPHと記す)が好ましい。
非水電解液の燃焼とは非水溶媒の酸化分解の継続であり、酸化分解は温度上昇により促進される。言い換えると、温度上昇を抑制することは、非水電解液の燃焼を抑制する有効な手段の1つとなる。上述した有機リン化合物は、各種有機リン化合物の中でもアルキル基の中に含まれる炭素と水素の数が比較的少ない(分子量が小さい)。アルキル基中の炭素と水素の数は、化合物のエンタルピー(燃焼熱)と正の相関がある。すなわち、化合物内に炭素と水素の数が少ないほどエンタルピーが小さくなり、かつリン成分の作用によって燃焼しにくくなる(仮に燃焼したとしても、燃焼熱が小さく、自己消火性が高い)。
上述した有機リン化合物は、化合物のエンタルピーが小さくかつリン成分の比率が相対的に高いことから、炭素と水素の数が多い(分子量が大きい)他の有機リン化合物と比較して、より少ない添加量で溶媒(すなわち電解液)に難燃性と自己消火性とを付与することができる(安全性向上に寄与する)。また、難燃剤の添加量を少なくできることは、結果的に、二次電池の高出力化、高容量化に貢献する。
有機リン化合物(TMPI、DMMP、DMPH)の含有率は、非水溶媒の総容積(主成分+副成分+難燃成分)に対して5体積%以上10体積%以下が好ましい。有機リン化合物の含有率が、5体積%未満だと難燃性の効果が不十分となり、10体積%超だと電池特性(容量やサイクル特性)の低下が顕著になる。有機リン化合物の含有率を当該範囲とし、かつ、後述する不飽和スルトン化合物と組み合わせて添加することにより、リチウムイオン二次電池の容量やサイクル特性への負の影響を最小限にとどめながら、非水電解液に難燃性と自己消火性とを付与することができる。
次に、分解抑制添加剤について説明する。本発明では、非水溶媒の分解(それに伴う発熱)を抑制するための添加剤として不飽和スルトン化合物を用いる。不飽和スルトン化合物は、正極表面に薄い被膜を形成して非水電解液中に含まれる物質の酸化・還元分解を抑制し、二次電池の保存特性やサイクル特性を向上させる効果を有する。本発明で用いる不飽和スルトン化合物としては、1,3-プロペンスルトン(CAS No.21806-61-1、以下PRSと記す)およびプロパンスルトン(CAS No. 1120-71-4、以下PSと記す)が好ましい。PRSおよびPSは、不飽和スルトン化合物の中でも炭素と水素の数が最も少ないことから、エンタルピーの増大(分解熱の増大)を抑制しつつ、二次電池の保存特性やサイクル特性の向上効果を付与することができる。
不飽和スルトン化合物(PRS、PS)の含有率は、支持塩と非水溶媒との総質量(100質量部)に対して、0.1質量部以上2質量部以下が好ましい。不飽和スルトン化合物の含有率が、0.1質量部未満だと被膜形成が不十分となり上述の作用効果が得られず、2質量部超だと形成される被膜が厚くなり過ぎて電池の内部抵抗増大を招く。電池の内部抵抗増大は、電池容量の低下や、充放電中の電池温度上昇によるサイクル特性の劣化を引き起こす。不飽和スルトン化合物の含有率を当該範囲とし、かつ、前述の有機リン化合物と組み合わせて添加することにより、非水電解液に難燃性と自己消火性とを付与しながら、二次電池の保存特性やサイクル特性を向上させることができる。
また、非水溶媒への分解抑制添加剤として、ビニレンカーボネート(VC)を更に含有させることは好ましい。VCは、リチウムイオン二次電池の充電時に負極の表面に薄い被膜を形成し、負極表面での非水溶媒の分解を抑制する効果を有する。VCの含有率は、支持塩と非水溶媒との総質量(100質量部)に対して、0.5質量部以上5質量部以下が好ましい。VCの含有率が、0.5質量部未満だと上記効果が不十分となり、5質量部だと二次電池の充放電時に過剰のVCが分解されて充放電効率が低下する。
次に、非水電解液の支持塩(電解質とも言う)について説明する。非水電解液に用いる支持塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2のいずれかの単体または混合物を好適に用いることができる。その中でも、LiPF6またはLiBF4がより好ましく、LiPF6が特に好ましい。LiPF6は、非水電解液が着火した際、熱によって分解しフッ素ラジカルを放出する。このフッ素ラジカルが、燃焼反応を促進する酸素ラジカルを捕捉し、燃焼反応を抑制させる作用がある。LiPF6とLiBF4の両方を用いる場合には、LiBF4の添加比率はLiPF6に対して2/8以下であることが好ましい。また、これらの支持塩の濃度については、非水溶媒の合計体積に対して、0.8〜2.0 mol/Lの範囲とすることが好ましい。
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池の構成について説明する。図1は、本発明に係るリチウムイオン二次電池の一例を示す断面模式図である。本発明に係るリチウムイオン二次電池101において、正極107および負極108は、これらが直接接触しないようにセパレータ109を挟み込んだ状態で積層されて、電極群を形成している。最も外側のセパレータ109は、電極群と電池容器102の間を絶縁している。なお、電極群の構造は、それに限定されるものではなく、例えば、円筒状や扁平状に電極群を捲回したものであってもよい。
正極107には正極リード110が付設されており、負極108には負極リード111が付設されている。リード110,111は、ワイヤ状、箔状、板状などの任意の形状を採ることができる。電気的損失を小さくし、かつ化学的安定性を確保できるような構造・材質が選定される。
電極群は、電池容器102に収容されており、電池容器102の上部に設置された電池蓋103によって密封されている。電池蓋103には、絶縁シール112を介して、正極外部端子104と負極外部端子105が設けられている。さらに、電池容器102の内部には、前述した本発明に係る非水電解液(図示せず)が注入されている。電極群を電池容器102に収納し密閉した後に、本発明に係る非水電解液を注液口106より滴下し、所定量の充填した後に、注液口106を密封する。なお、非水電解液の注入方法・手順は、他の方法・手順でもよい。
電池容器102の形状は、通常、電極群の形状に合わせた形状(例えば、円筒状、扁平長円柱状、角柱など)が選択される。絶縁性シール112は、非水電解液と反応せず、かつ気密性に優れた任意の材質(例えば、熱硬化性樹脂、ガラスハーメチックシールなど)を好適に使用することができる。
電池容器102の材質は、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼製など、非水電解液に対して耐食性のある材料から選択される。電池容器102への蓋103の取り付けは、溶接の他に、かしめ、接着などの他の方法も採ることができる。非水電解液の注液に用いる注液口106に安全機構としての機能を付与することも可能である。安全機構としては、例えば、電池容器内部の圧力が所定以上となった際に解放する圧力弁がある。
正極リード110または負極リード111の途中、あるいは正極リード110と正極外部端子104との接続部や、負極リード111と負極外部端子105との接続部に、正温度係数抵抗素子を利用した電流遮断機構(図示せず)を設けることは好ましい。電流遮断機構を設けると、電池内部の温度が高くなったときに、リチウムイオン二次電池101の充放電を停止させ、電池を保護することが可能となる。
リチウムイオン二次電池を構成する正極107は、正極集電体の片面または両面に正極活物質を含む正極合剤スラリーを塗布・乾燥させた後、ロールプレス機などを用いて圧縮成形して、所定の大きさに切断することで作製される。正極の集電体には、厚さが10〜100μmのアルミニウム箔や、厚さ10〜100μmで孔径0.1〜10 mmのアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡アルミニウム板などが用いられる。材質は、アルミニウムの他に、ステンレス、チタンなども適用可能である。
同様に、リチウムイオン二次電池を構成する負極108は、負極集電体の片面または両面に負極活物質を含む負極合剤スラリーを塗布・乾燥させた後、ロールプレス機などを用いて圧縮成形して、所定の大きさに切断することで作製される。負極の集電体には、厚さが10〜100μmの銅箔や、厚さ10〜100μmで孔径0.1〜10mmの銅製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡銅板などが用いられ、材質は、銅の他に、ステンレス、チタン、ニッケルなども適用可能である。
正極合剤スラリーおよび負極合剤スラリーの塗布方法に特段の限定はなく、従前の方法(例えば、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法など)を利用することができる。また、塗布から乾燥までを複数回行うことにより、複数の合剤層を集電体に積層することも可能である。
正極107に用いられる正極活物質としては、前述した本発明の正極活物質を用いる。正極活物質に対して、バインダ、増粘剤、導電剤、溶媒等を必要に応じて混合して正極合剤スラリーが作製される。
正極活物質の粒径は、合剤層の厚さ以下になるように規定される。正極活物質粉末中に合剤層厚さ以上の粒径を有する粗粒がある場合、ふるい分級、風流分級などにより粗粒を予め除去し、合剤層厚さ以下の粒子を用意する。
正極活物質とバインダとの混合比率は、質量比で85 : 15〜95 : 5の範囲になるようにすることが好ましい。正極活物質の質量比率が85/100未満では、二次電池のエネルギー密度が低下する。一方、正極活物質の質量比率が95/100超では、充放電できる最大電流値が低下する。
正極の導電剤としては、導電性繊維(例えば、気相成長炭素、カーボンナノチューブ、ピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して製造した繊維、アクリル繊維から製造した炭素繊維など)が好適に用いられる。また、導電剤は、正極活物質よりも電気抵抗の低い材料であって、正極の充放電電位(通常は2.5〜4.2Vである)にて酸化溶解しない材料を使用してもよい。例えば、耐食性金属(チタンや金など)、炭化物(SiCやWCなど)、窒化物(Si3N4やBNなど)が挙げられる。高比表面積の炭素材料(例えば、カーボンブラックや活性炭など)も使用できる。
負極108に用いられる負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵および放出をすることができる材料であれば特に限定されない。例えば、アルミニウム、シリコン、錫、炭素材料(例えば、黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェ−ズ炭素、膨張黒鉛、炭素繊維、気相成長法炭素繊維、ピッチ系炭素質材料、ニードルコークス、石油コークス、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、カーボンブラック、非晶質炭素)、酸化物(例えば、チタン酸リチウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化アンチモン)が利用可能である。非晶質炭素は、例えば、5員環または6員環の環式炭化水素や環式含酸素有機化合物を熱分解して作製される。これらいずれかの単独または2種以上の混合物を用いることができる。これらの中でも、非晶質炭素はリチウムイオンの吸蔵および放出の際の体積変化率が少ない材料であるため、充放電のサイクル特性が高いことから、負極活物質として非晶質炭素を含むことは好ましい。また、上述した炭素材料に加えて、導電性高分子材料(ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリアセチレンなど)を添加してもよい。負極活物質に対して、バインダ、増粘剤、導電剤、溶媒等を必要に応じて混合して負極合剤スラリーが作製される。
負極活物質とバインダの混合比率は、質量比で90 : 10〜99 : 1の範囲になるようにすることが好ましい。負極活物質の質量比率が90/100未満では、二次電池のエネルギー密度が低下する。一方、負極活物質の質量比率が99/100超では、充放電できる最大電流値が低下する。負極の導電剤としては、正極導電剤と同様の材料を用いることが可能である。
正極合剤スラリーおよび負極合剤スラリーに用いられるバインダ、増粘剤および溶媒に特段の限定はなく、従前と同様のものを用いることができる。
セパレータ109は、二次電池の充放電時にリチウムイオンを透過させる必要があるため、多孔体(例えば、細孔径が0.01〜10μm、気孔率が20〜90%)であることが好ましい。セパレータ109の素材としては、ポリオレフィン系高分子シート(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなど)や、ポリオレフィン系高分子シートとフッ素系高分子シート(例えば、四フッ化ポリエチレン)とを溶着させた多層構造シートを好適に使用できる。また、セパレータ109の表面にセラミックスとバインダの混合物を薄層状に形成しても良い。
電解質として、固体高分子電解質(ポリマー電解質)を用いる場合には、エチレンオキシド、アクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、メタクリル酸メチル、ヘキサフルオロプロピレンのポリエチレンオキサイドなどのイオン導電性ポリマーを好適に用いることができる。これらの固体高分子電解質を用いた場合、セパレータ109を省略することができる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、前述した正極活物質と非水電解液とを用いていることから、容量、安全性およびサイクル特性の3項目を高いレベルでバランスさせたリチウムイオン二次電池を提供することができる。電池性能の具体的な事例については、後述する。
[二次電池システム]
リチウムイオン二次電池を用いた二次電池システムの構成について説明する。本発明に係る二次電池システムとは、少なくとも2個のリチウムイオン二次電池を直列あるいは並列に接続し、かつ充放電制御機構を有するシステムと定義する。図2は、本発明に係る二次電池システムの一例を示す断面模式図である。図2に示したように、本構成では2個のリチウムイオン二次電池101a,101bが直列に接続されている。図2の紙面右側に配置したリチウムイオン二次電池101aの負極外部端子105は、電力ケーブル213により充放電制御機構216の負極入力ターミナルに接続されている。リチウムイオン二次電池101aの正極外部端子104は、電力ケーブル214によりリチウムイオン二次電池101bの負極外部端子105に接続されている。さらに、リチウムイオン二次電池101bの正極外部端子104は、電力ケーブル215により充放電制御機構216の正極入力ターミナルに接続されている。このような配線構成によって、2個のリチウムイオン二次電池101a,101bを充放電制御機構216で制御しながら充電または放電させることができる。なお、図1,図2において、同じ構成物には同じ符号を付している。
充放電制御機構216は、電力ケーブル217,218を介して、外部機器219との間で電力の授受を行う。外部機器219は、外部負荷の他、充放電制御機構216に給電するための外部電源や回生モータ等の各種電気機器を含む。また、外部機器が対応する交流、直流の種類に応じて、インバータやコンバータを設けることができる。
発電装置222が、電力ケーブル220,221を介して充放電制御機構216に接続される。発電装置222が発電しているときには、充放電制御機構216が充電モードに移行し、外部機器219に給電するとともに、余剰電力をリチウムイオン二次電池101a,101bに充電する。発電装置222の発電量が外部機器219の要求電力よりも少ないときには、リチウムイオン二次電池101a,101bから電力供給させるように充放電制御機構216が放電モードに移行する。充放電制御機構216は、そのようなモード移行が自動的に行われるようにプログラムが記憶されていることが好ましい。
発電装置222としては、再生可能エネルギーを生み出す発電装置(例えば、風力発電装置、地熱発電装置、太陽電池)や、通常の発電装置(例えば、燃料電池、ガスタービン発電機など)を用いることができる。
本発明に係る二次電池システムは、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動式建設機械、運搬機器、建設機械、介護機器、軽車両、電動工具、ロボット、離島の電力貯蔵システム、宇宙ステーションなどの電源として利用することができる。
本発明は、リチウムイオン電池に限らず、非水電解液を用い、電極へのイオンの吸蔵・放出により、電気エネルギーを貯蔵・利用可能とする電気化学デバイスに適用することが可能である。本発明は安全性に優れるため、特に大型の移動体または定置型の電池システムに好適である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実験1]
(実施例1〜7のリチウムイオン二次電池の作製)
(1)正極の作製
まず、正極活物質(86質量%)、導電剤(7質量%、黒鉛とカーボンブラックとの混合物)、バインダ(7質量%、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、株式会社クレハ製)および溶媒(1-メチル-2-ピロリドン)を調合して正極合剤スラリーを作製した。正極活物質としては、スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物(A)と層状構造を有するリチウムマンガン酸化物(B)との質量比率が「A:B=5:5」(すなわち、「B/(A+B)=0.5」)のものを用意した。
次に、この正極合剤スラリーを、厚さ20μmの正極集電体(アルミニウム箔)の片面にドクターブレード法を用いて塗布し、乾燥させて、正極合剤層を形成した。その後、ロールプレス機により圧縮成形し、所定の大きさに切断してリチウムイオン二次電池用正極を作製した。
(2)負極の作製
負極活物質(91質量%、非晶質炭素)、バインダ(2質量%、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、株式会社クレハ製)、導電剤(7質量%、カーボンブラック)および溶媒(1-メチル-2-ピロリドン)を調合して負極合剤スラリーを作製した。
次に、この負極合剤スラリーを、厚さ20μmの負極集電体(銅箔)の片面にドクターブレード法を用いて塗布し、乾燥させて、負極合剤層を形成した。その後、ロールプレス機により圧縮成形し、所定の大きさに切断してリチウムイオン二次電池用負極を作製した。
(3)非水電解液の作製
非水電解液は、次のような手順で用意した。はじめに、非水溶媒は、主要成分としてエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを用い、難燃成分として亜リン酸トリメチル(TMPI)、ジメチルメチルホスホン酸(DMMP)または亜リン酸ジメチル(DMPH)を用いて難燃成分が5〜10体積%となるように調合した。次に、該非水溶媒に対して、支持塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1 mol/Lとなるように溶解させた。次に、該支持塩溶液(支持塩を溶解させた非水溶媒)100質量部に対して、分解抑制添加剤として0.1〜2質量部の1-3,プロペンスルトン(PRS)と、1質量部のビニレンカーボネート(VC)とを混合して非水電解液を作製した。
個々の具体的な混合比率を後述する表1に示す。なお、上述したように、正極活物質の比率はリチウムマンガン酸化物Bの質量比であり、難燃成分の濃度は非水溶媒における体積%であり、支持塩の濃度は非水溶媒におけるモル濃度であり、分解抑制添加剤の濃度は支持塩溶液100質量部に対する質量部である(以下、同様)。
(4)リチウムイオン二次電池の作製
上記で作製した正極、負極および非水電解液を使用して、図1に示したリチウムイオン二次電池を作製した。電池容器102および蓋103にはステンレス鋼を用い、セパレータ109には厚さ30μmの多孔性のポリエチレンフィルムを用い、絶縁性シール112にはフッ素樹脂を用いた。また、図1に示したように、セパレータ109は、正極107と電池容器102との間、負極108と電池容器102との間にも配置し、電池容器102を通じて正極107と負極108とが短絡しない構成とした。
(実施例8のリチウムイオン二次電池の作製)
正極活物質として、リチウムマンガン酸化物Aとリチウムマンガン酸化物Bとの質量比を「A:B=41:59」(すなわち、「B/(A+B)=0.59」)とした。その他は実施例1と同様にして、実施例8のリチウムイオンニ次電池を作製した。
(実施例9のリチウムイオン二次電池の作製)
正極活物質として、リチウムマンガン酸化物Aとリチウムマンガン酸化物Bとの質量比を「A:B=59:41」(すなわち、「B/(A+B)=0.41」)とした。その他は実施例1と同様にして、実施例9のリチウムイオンニ次電池を作製した。
(実施例10のリチウムイオン二次電池の作製)
支持塩として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を0.8 mo1/L、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)を0.2 mo1/Lとなるように非水溶媒に溶解させた。その他は実施例1と同様にして、実施例10のリチウムイオンニ次電池を作製した。
(実施例11のリチウムイオン二次電池の作製)
支持塩としてLiPF6を1.2 mo1/Lとなるように非水溶媒に溶解させた。その他は実施例1と同様にして、実施例11のリチウムイオンニ次電池を作製した。
(実施例12のリチウムイオン二次電池の作製)
支持塩としてLiPF6を0.8 mo1/Lとなるように非水溶媒に溶解させた。その他は実施例1と同様にして、実施例12のリチウムイオンニ次電池を作製した。
(実施例13のリチウムイオン二次電池の作製)
非水溶媒として、EC、EMC、ジメチルカーボネート(DMC)およびTMPIの混合比率(体積比)を「EC:EMC:DMC:TMPI=29:33:33:5」とした。その他は実施例1と同様にして、実施例13のリチウムイオンニ次電池を作製した。
(実施例14のリチウムイオン二次電池の作製)
非水溶媒として、EC、DMCおよびTMPIの混合比率(体積比)を「EC:DMC:TMPI=29:66:5」とした。その他は実施例1と同様にして、実施例14のリチウムイオンニ次電池を作製した。
(実施例15のリチウムイオン二次電池の作製)
分解抑制添加剤としてプロパンスルトン(PS)を2.0質量部となるように非水電解液を混合した。その他は実施例1と同様にして、実施例15のリチウムイオンニ次電池を作製した。
(比較例1のリチウムイオン二次電池の作製)
非水溶媒として、ECおよびEMCの混合比率(体積比)を「EC:EMC=30:70」とし、難燃成分の有機リン化合物を混合しなかった。また、分解抑制添加剤として1質量部のVCのみを非水溶媒に混合し、不飽和スルトン化合物を混合しなかった。その他は実施例1と同様にして、比較例1のリチウムイオンニ次電池を作製した。
(比較例2のリチウムイオン二次電池の作製)
分解抑制添加剤として1質量部のVCのみを非水溶媒に混合し、不飽和スルトン化合物を混合しなかった。その他は実施例1と同様にして、比較例2のリチウムイオンニ次電池を作製した。
(比較例3のリチウムイオン二次電池の作製)
非水溶媒として、ECおよびEMCの混合比率(体積比)を「EC:EMC=30:70」とし、難燃成分の有機リン化合物を混合しなかった。その他は実施例1と同様にして、比較例3のリチウムイオンニ次電池を作製した。
(比較例4のリチウムイオン二次電池の作製と評価)
正極活物質として、リチウムマンガン酸化物Aとリチウムマンガン酸化物Bとの質量比を「A:B=60:40」(すなわち、「B/(A+B)=0.4」)とした。その他は実施例1と同様にして、比較例4のリチウムイオンニ次電池を作製した。
Figure 2014160568
(リチウムイオン二次電池の初期化)
上記で用意したリチウムイオン二次電池に対し、次のような手順で初期化を行った。はじめに、開回路の状態から電池電圧が4.2 Vになるまで、3時間率相当の定電流にて充電した。電池電圧が4.2 Vに達した後は、電流値が0.1時間率相当になるまで4.2 Vを保持した。以後、この2つの充電工程を「標準条件での充電」と称し、充電されたその状態を「満充電」と称す。その後、充電を停止し、30分間の休止時間を設けた(以後、この工程を単に「休止」と称する)。次いで、3時間率相当の定電流の放電を開始し、電池電圧が2.7 Vに達するまで放電させた(以後、この工程を「標準条件での放電」と称する)。その後、放電を停止し、休止を行った(30分間の休止時間を設けた)。その後、「標準条件での充電」、「休止」、「標準条件での放電」、「休止」のサイクルを3回繰り返した。次に、「標準条件での充電」、「休止」を行い、3時間率相当の定電流の放電を開始し、電池電圧が3.8 Vに達するまで放電させた。以後、この状態を「半充電」と称する。最後に、1週間のエージング期間を設け、初期化とした。
なお、ここで言う時間率とは、電池の設計放電容量を所定の時間で放電する電流値と定義する(以下、同様)。例えば、上述の3時間率とは、電池の設計容量を3時間で放電する電流値である。さらに具体的には電池の容量をC(単位:Ah)とすると、3時間率の電流値はC/3(単位:A)となる。
(試験評価)
(a)初期容量評価
初期化の完了したリチウムイオン二次電池を用いて、初期容量を測定した。「標準条件での充電」、「休止」、「標準条件での放電」、「休止」のサイクルを3回繰り返し、各回の放電容量の平均値を当該二次電池の初期容量とした。結果を後述する表2に示す。なお、各試料の初期容量は、比較例1の初期容量を「1.00」として規格化して表記した。
(b)非水電解液および電極の初期抵抗評価
初期化の完了したリチウムイオン二次電池を用いて、非水電解液および電極の初期抵抗値を測定した。まず、二次電池を半充電の状態とし、10 mVの交流電圧を印加した。印加する交流電圧の周波数を1 MHzから10 mHzまで変化させて、その際の電流値を測定した。印加した電圧と計測された電流値とから、その周波数におけるインピーダンスを算出した。該インピーダンスの実数部分をx軸とし、該インピーダンスの虚数部分をy軸としてプロットし、インピーダンスの周波数依存性を示すグラフ(いわゆるCole-Coleプロット)を作成した。当該グラフにおいて、x切片は電解液抵抗を表し、第四象限に現れる容量性を示す半円の直径は電極抵抗を表す。当該グラフから、非水電解液の初期抵抗および電極の初期抵抗を求めた。結果を表2に併記する。なお、各試料の非水電解液抵抗および電極抵抗は、比較例1の値をそれぞれ「1.00」として規格化して表記した。
(c)サイクル特性評価
初期容量を評価したリチウムイオン二次電池を用いて、次のような手順でサイクル試験を実施した。まず、二次電池を50℃の恒温槽内に入れ、二次電池の表面温度が50℃になった後、12時間待機した。その後、「休止」を設けずに、「標準条件での充電」、「標準条件での放電」のサイクルを1500回繰り返した。サイクル試験後の二次電池の容量(試験後容量)を測定し、サイクル特性(サイクル試験による劣化)を評価した。試験後容量の測定は、初期容量の測定手順と同一とした。結果を表2に併記する。なお、各試料の試験後容量は、比較例1の試験後容量を「1.00」として規格化して表記した。
(d)安全性評価
初期化の完了したリチウムイオン二次電池を用いて、次のような手順で釘刺し試験を行い、二次電池の安全性を評価した。まず、二次電池を満充電とした。次に、この満充電状態の二次電池に対して釘刺しを行い、強制的に内部短絡を発生させた。この時、二次電池が発火しなかったものを「合格」とし、発火したものを「不合格」と評価した。結果を表2に併記する。
Figure 2014160568
前述したように、リチウムイオン二次電池を大型電気機器に適用する場合、容量、安全性およびサイクル特性の3項目において高いレベルでバランスさせることが非常に重要である。より具体的には、非水電解液に難燃成分および分解抑制添加剤を混合していない比較例1の試験評価結果を基準としたときに、初期容量において「0.95超」であり、初期抵抗において「1.5以下」であり、試験後容量において「0.85以上」であり、釘刺し試験において「合格」であることが必要とされている。
表1〜2に示したように、比較例1は、非水電解液に難燃成分や分解抑制添加剤を混合しておらず、リチウムイオンの移動を阻害する因子が特段ないことから、二次電池の電気特性(例えば、初期容量、初期抵抗、試験後容量)の観点では有利である。しかしながら、非水溶媒の温度上昇や燃焼を抑制する因子もないので、安全性評価(釘刺し試験)において不合格となった。
非水電解液に難燃成分のみが添加された比較例2(分解抑制添加剤は無し)は、初期容量、初期抵抗および釘刺し試験においては要求を満たせたが、試験後容量が大幅に低下した。一方、非水電解液に分解抑制添加剤のみが添加された比較例3(難燃成分は無し)は、初期容量、非水電解液初期抵抗および試験後容量においては要求を満たせたが、電極初期抵抗が大幅に上昇するとともに、安全性評価が不合格であった。これらの結果から、非水電解液に難燃成分および分解抑制添加剤のいずれか一方のみを添加した場合は、全ての項目で同時に要求レベルを満たすことができないことが確認された。
なお、比較例3において電極初期抵抗が大幅に上昇した要因を調査するために、比較例3と実施例1とにおける正極表面に形成された被膜の構成元素およびその結合を分析した。その結果、比較例3では、主に支持塩のLiPF6と化合してP-F結合を有する被膜を形成するのに対し、実施例1では、主に難燃剤のTMPIと化合して被膜を形成することが判った。
フッ素を含有する被膜はリチウムのイオン伝導性を著しく低下させることから、比較例3において電極初期抵抗が大幅に上昇したと考えられた。言い換えると、本発明における有機リン化合物の難燃成分と不飽和スルトン化合物の分解抑制添加剤との同時添加は、二次電池の電極抵抗の観点においても効果があると言える。
比較例4を実施例1,8,9と比較すると、正極活物質中のリチウムマンガン酸化物Bの比率が「0.4」である比較例4は、初期容量が要求レベルを満たせなかった。すなわち、リチウムマンガン酸化物Aとリチウムマンガン酸化物Bとの混合比「B/(A+B)」は、初期容量の観点からは少なくとも「0.4< B/(A+B) <1」が望ましいことが確認された。
これらに対し、本発明に係る実施例1〜15は、初期容量、非水電解液初期抵抗、電極初期抵抗、試験後容量および釘刺し試験の全ての項目において、要求されるレベルをクリアすることが確認された。
[実験2]
(リチウムイオン二次電池システムの作製と評価)
本発明に係る二次電池システムとして、図2に示した構成の二次電池システムを作製した。リチウムイオン二次電池101a,101bには、前述した実施例1のリチウムイオン二次電池を使用した。発電装置222としては、風力発電機を模擬した装置を用いた。
発電装置222における発電状況に合わせて、リチウムイオン二次電池101a,101bの充放電を行いながら、外部機器219に電力を供給する実験を行った。その結果、5時間率放電まで実施し、1時間率放電時の容量に対して90%の高い容量が得られることを確認した。また、充電においては、3時間率の充電が可能であることを確認した。
以上説明したように、本発明によれば、二次電池における容量、安全性およびサイクル特性の3項目が従来よりも高いレベルでバランスしたリチウムイオン二次電池を提供できることが実証された。本発明に係るリチウムイオン二次電池およびそれを用いた二次電池システムは、特に、電池容量が大きい産業用など大型電気機器に好適に用いることができる。
101,101a,101b…リチウムイオン電池、102…電池容器、103…蓋、
104…正極外部端子、105…負極外部端子、106…注液口、
107…正極、108…負極、109…セパレータ、110…正極リード線、
111…負極リード線、112…絶縁性シール材料、
213,214,215,217,218,220,221…電力ケーブル、216…充放電制御機構、
219…外部機器、222…発電装置。

Claims (8)

  1. 正極、負極および非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極は、活物質として、スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物(A)と層状構造を有するリチウムマンガン酸化物(B)とを含み、
    前記リチウムマンガン酸化物Aと前記リチウムマンガン酸化物Bとの総量「A+B」に対する前記リチウムマンガン酸化物Bの割合「B/(A+B)」が0.4超1未満であり、
    前記非水電解液は支持塩と非水溶媒と分解抑制添加剤とを含み、
    前記非水溶媒は主成分と難燃成分とを少なくとも含み、
    前記難燃成分は有機リン化合物からなり、該有機リン化合物の含有率が前記非水溶媒の5体積%以上10体積%以下であり、
    前記分解抑制添加剤は不飽和スルトン化合物を含み、該不飽和スルトン化合物の含有率が前記支持塩と前記非水溶媒との合計100質量部に対して0.1質量部以上2質量部以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池において、
    前記「B/(A+B)」が0.4超0.6未満であり、
    前記有機リン化合物は、亜リン酸トリメチル、ジメチルメチルホスホン酸または亜リン酸ジメチルのいずれかであり、
    前記不飽和スルトン化合物は1-3,プロペンスルトンまたはプロパンスルトンであることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池において、
    前記分解抑制添加剤はビニレンカーボネートを更に含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池において、
    前記リチウムマンガン酸化物Aは、LiaMnbMcO4(ただし、a+b+c=3、1.0≦a≦1.1、0<c≦0.07、MはNi、Fe、Zn、MgおよびCuからなる群より選ばれる少なくとも一種である)で表わされる化合物であり、
    前記リチウムマンガン酸化物Bは、LidMneNifCogQhO4(ただし、d+e+f+g+h=2、1.0≦d≦1.2、0.1≦e≦0.5、0.2≦f≦0.6、0.1≦g≦0.5、0≦h≦0.1、QはB、Mg、Al、Cu、Zn、MoおよびWからなる群より選ばれる少なくとも1種である)で表わされる化合物であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池において、
    前記非水溶媒の前記主成分は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートのうち少なくとも1種を含むことを特徴とするリチウムイオンニ次電池。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池において、
    前記支持塩は、六フッ化リン酸リチウムおよび/または四フッ化ホウ酸リチウムを含むことを特徴とするリチウムイオンニ次電池。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のリチウムイオンニ次電池において、
    前記負極は、活物質として非晶質炭素を含むことを特徴とするリチウムイオンニ次電池
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のリチウムイオンニ次電池を用いたことを特徴
    とする二次電池システム。
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