JP2014159239A - 車両用ダクトおよび車両用ダクトの製造方法 - Google Patents
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【解決手段】 車両用ダクト10は、車両を構成する構成部品11に取り付けられ、エアコンユニットから車室12内部の所定の位置に空気を導入する空気通路の少なくとも一部を形成するものであり、一側が開放した断面ハット形に形成され、開放部が構成部品11に塞がれることで第1空気通路13A,13Bを形成するハット形ダクト部15A,15Bと、筒形に形成され、第1空気通路13A,13Bに連通する第2空気通路16を構成部品11によらず単独で形成する筒形ダクト部17と、を有する。
【選択図】 図1
Description
より詳細には、ハット形の車両用ダクト100の開放部103を塞ぐように構成物品101の裏面に取り付けた状態で他のダクトを差し込み連結する際、たとえば、構成部品101がドアパネルとして車体に固定されている場合には、別の管状のダクト108を車両用ダクト100の開口107に内嵌する作業性が悪く、あるいは、構成部品101が車両用ダクト100の開口107で終端しているなら別段、そうでなく、たとえば車両用ダクト100の開口107から延在する場合には、別の管状のダクト108の車両用ダクト100との連結部まわりの引き回しに制約が生じ、作業性が低下するとともに連結部分における空気流路の気密性が不十分なものとなるおそれがある。このように、従来の車両用ダクト100では、別のダクト108との嵌合形態が制約を受けるため、上述した要望に応えることができなかった。
より詳細には、この車両用ダクトは、特にインストルメントパネルの内部でエアコンユニットの上方に設置され、インストルメントパネルの中央部において、車両のほぼ前後方向に延びるブロー成形領域と、ブロー成形領域の左右それぞれにおいて、車両のほぼ幅方向に延びる真空成形領域とを有する。
ブロー成形領域は、いずれも一対のシート状樹脂を用いてブロー成形により中空状に成形される、デフロスタノズルおよびデフロスタノズルに連通する左右一対のセンターダクトを有する。
一方、真空成形領域は、一対のシート状樹脂のうち一方を用いて真空成形により断面ハット状に成形される、左右一対のサイドダクトを有する。
このような構成の車両用ダクトによれば、デフロスタノズルおよび左右一対のセンターダクトをブロー成形により中空状に形成することにより、形状の自由度を高めつつ、製造コストや組み付け工数の増加を回避しつつ、流速タイプのデフロスタノズルを採用することが可能となり、デフロスタの晴れ性能を低コスト・省スペースで向上することが可能である。
しかしながら、この特許文献2に開示された車両用ダクトのブロー成形領域は、
あくまで、車両ダクトの終端部を構成するノズルとしてエアを外部に流出する機能を有する部分であり、他の車両ダクトとの連結部を構成するものではない。
この点、特許文献4においては、ブロー成形による車両用空調ダクトの製造方法が開示されている。
しかしながら、成形素材は、溶融状態のシート状樹脂または筒状パリソンであり、シート状樹脂の場合には、分割金型を型締めすることにより、分割金型の一方からシート状樹脂を真空吸引するともに分割金型内の密閉空間からブロー成形しており、一方、筒状パリソンの場合には、分割金型を型締めすることにより、分割金型内の密閉空間からブロー成形したうえで、パリソンの片側壁と対向する不要な壁面を削除することにより、いずれも、ハット形ダクトを成形しており、ハット形ダクト部とともに中空部を構成する筒形ダクト部を具備する車両用空調ダクトを製造する発想は、開示はおろか示唆すらなされていない。
しかも、特許文献4においては、成形品である車両用空調ダクトをいわゆる二個取りせず、単品製造であることから、成形効率が不良である。
より詳細には、フランジ付容器のような単純形状物を対象に、一対の分割金型内に溶融状態の筒状パリソンを配置して、型締めすることにより密閉空間を形成後、密閉空間内をブローすることにより、溶融状態のパリソンをキャビティに押し付けて成形し、パーティングラインで切り離すことにより、二個取りしている。
しかしながら、たとえば、ルーフダクトが湾曲状の分岐部等を有する複雑な形状の車両用空調ダクトの場合、従来のように、パーティングラインで分割して、二個取りしようとするのは技術的に困難である。
また、このようなパーティングラインを介して二個取りする製造方法によれば、それぞれが開放タイプのフランジ付ブロー成形物とならざるを得ず、ハット形ダクト部と筒形ダクト部を具備する車両用空調ダクトを一度に製造するのは、困難である。
また、本発明の目的は、部分的に筒状部を備えた複雑な外形を有する車両用空調ダクトを効率的に成形可能な車両用空調ダクトの製造方法を提供することにある。
(1)本発明は、車両を構成する構成部品に取り付けられ、エアコンユニットから車室内部の所定の位置に空気を導入する空気通路の少なくとも一部を形成する車両用ダクトであって、一側が開放した断面ハット形に形成され、開放部が延び方向に亘って前記構成部品に塞がれることで第1空気通路を形成するハット形ダクト部と、エアコンユニットに対して該ハット形ダクト部より上流側で、連結部を構成するように筒形に形成され、前記第1空気通路に連通する第2空気通路を前記構成部品によらず単独で形成する筒形ダクト部と、を有することを特徴とする。
さらに、前記筒形ダクトの前記連結部の反対端において、前記筒形ダクトの対向側面および該対向側面間の底面はそれぞれ、前記ハット形ダクトの対向側面および底面から連続するように形成されるのがよい。
一対の分割金型を型締めして、一対の分割金型の内部に密閉空間を形成する段階と、
密閉空間内にエアをブローして、筒状パリソンの対向する外表面を対応するキャビティに対して押し付けて、コの字断面の空気通路を賦形するとともに、筒状パリソンの筒状部を利用して、閉断面の空気通路を賦形する段階と、
一対の分割金型を型開きして、成形品を取り出す段階と、
閉断面の空気通路に連続する形態で、成形品の外表面に賦形されたコの字断面の空気通路を切り出す段階とを有する構成としている。
前記空気通路賦形段階は、前記分割金型のピンチオフ部近傍の筒状パリソンの上部開口および下部開口まわりの筒状部それぞれを少なくとも利用して、閉断面の空気通路を賦形する段階と、
前記空気通路切出し段階は、一方の閉断面の空気通路に連続する形態で、成形品の対向する外表面の一方に賦形されたコの字開断面状の前記空気通路を切り出すとともに、他方の閉断面の空気通路に連続する形態で、成形品の対向する外表面の他方に賦形されたコの字開断面状の前記空気通路を切り出すことにより、車両用空調ダクトを少なくとも二個取りする段階を有するのがよい。
本発明によれば、部分的に筒状部を備えた複雑な外形を有する車両用空調ダクトを効率的に成形可能である。
まず、実施形態の車両用ダクトの全体構成を図1に基づいて説明する。
図1は、実施形態の車両用ダクトが取り付けられる構成部品を部分的に破断して車両用ダクトを示す図である。
次に、ハット形ダクト部15A,15Bの構成を図1、図2(a)および(b)に基づいて説明する。
続いて、筒形ダクト部17の構成を図1および図2(c)に基づいて説明する。
図1に示すように、筒形ダクト部17は、分岐部25から、例えばリアピラーに沿って下方に突出する形状に形成され、上流側の端部に開口32を有する。この開口32には、別のダクト18が嵌合可能である。
筒形ダクト部17の別のダクト18との連結部の反対端において、筒形ダクト部17の対向側面および対向側面間の底面はそれぞれ、ハット形ダクト部15の対向側面および底面から連続するように形成され、それにより、第2空気通路16が第1空気通路13A,13Bに連通するようにしてある。
次に、車両用ダクト10の製造方法を図3〜図9に基づいて説明する。
車両用ダクト10の製造方法は、成形工程および切断工程を含む。これら成形工程および切断工程の説明に先立ち、成形工程で成形する中空成形体の構成を説明する。
上述した車両用ダクト10(図1参照)は、合成樹脂製の中空成形体の壁部から一体的に切り出すことができる。ここでは、2個の車両用ダクト10(図1参照)を切り出すことが可能な中空成形体の構成例について説明する。
図7に示すように、成形工程では、互いに合わさる複数の分割型51,52からなる成形金型50を用いて、公知のブロー成形などにより中空成形体40を成形する。複数の分割型51,52が合わさることで形成されるキャビティ53は、凸状部47A,47Bを成形する凹み55A,55Bと、筒状部48を成形する空間56と、を有する。
より詳細には、凹み55A,55Bそれぞれは、長溝状をなし、長溝の形状および長手方向の長さは、対応する第1空気溝13A,13Bに応じて、決定される。
変形例として、空気を吹き込むブロー成形でなく、分割型51,52とパリソンとの間に密閉空間を形成して、分割型の側から真空引きすることにより、あるいはブロー成形しつつ、真空引きをすることにより、中空成形体40を成形してもよい。
中空成形体40により、湾曲状の分岐部を有する複雑な形状の中空部を成形する場合には、ブロー成形をしつつ真空引きをすれば、所望形状の中空部を成形することができる点で有利である。
図8および図9は、切断工程を説明する図であり、図8では、切断線を一点鎖線で示し、図9では、切断線の位置を二点鎖線で示している。
なお、ハット形ダクト部15A,15Bそれぞれの底面の下流側の端部近傍に吹き出し口22,23を切り抜いて形成する。
ハット形ダクト部15A,15Bでは、従来と同様に、構成部品11を利用して第1空気通路13A,13Bを形成するため、車両用ダクト10の低コスト化および軽量化を実現することができる。一方、第2空気通路16を単独で形成する筒形ダクト部17は、筒形であるため、筒形ダクト部17の開口まわりには構成部品11が存在しないことから、別の特に筒状のダクト18を、筒形ダクト部17との連結部において引き回しの制約なく高い気密性を持って容易に内側から連結することができ、さらには所望なら外側から嵌合させることもできる。すなわち、連結される別のダクト18は、その仕様等に応じて、筒形ダクト部17の内側に嵌合することもでき、あるいは、筒形ダクト部17の外側に嵌合することもできる。このため、別のダクト18との嵌合形態の自由度を高めることができ、ダクト同士の連結強度および連結部の密封性を高めることができる。
11 構成部品
12 車室
13A,13B 第1空気通路
15A,15B ハット形ダクト部
16 第2空気通路
17 筒形ダクト部
18 別のダクト
28A,28B 開放部
40 中空成形体
41 中空部
42,43 第1壁部
45,46 第2壁部
47A,47B 凸状部
48 筒状部
Claims (11)
- 車両を構成する構成部品に取り付けられ、エアコンユニットから車室内部の所定の位置に空気を導入する空気通路の一部を形成する車両用ダクトであって、
一側が開放した断面ハット形に形成され、開放部が延び方向に亘って前記構成部品に塞がれることで第1空気通路を形成するハット形ダクト部と、
エアコンユニットに対して該ハット形ダクト部より上流側で、連結部を構成するように筒形に形成され、前記第1空気通路に連通する第2空気通路を前記構成部品によらず単独で形成する筒形ダクト部と、
を有することを特徴とする車両用ダクト。 - 前記ハット形ダクト部を複数有し、
前記複数のハット形ダクト部は、前記筒形ダクト部から分岐することを特徴とする請求項1に記載の車両用ダクト。 - 前記ハット形ダクト部および前記筒形ダクト部は、合成樹脂製の中空成形体の壁部から一体的に切り出されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ダクト。
- 前記筒形ダクトの前記連結部の反対端において、前記筒形ダクトの対向側面および該対向側面間の底面はそれぞれ、前記ハット形ダクトの対向側面および底面から連続するように形成される、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用ダクト。
- 車両を構成する構成部品に取り付けられ、エアコンユニットから車室内部の所定の位置に空気を導入する空気通路の少なくとも一部を形成する車両用ダクトの製造方法であって、
中空部の内側から外側に向けて突出し且つ帯状に延びる凸状部と、前記凸状部に連なると共に前記中空部の内側から外側に向けて突出する筒状部と、を有する中空成形体を合成樹脂で成形する成形工程と、
前記筒状部に連続する形態で前記凸状部を囲うように前記中空成形体の壁部を切断するとともに前記筒状部の前記凸状部と連続する側と反対の端部を切断することで、前記凸状部によって一側が開放した断面コの字状に形成され、開放部が前記構成部品に塞がれることで第1空気通路を形成するハット形ダクト部と、前記筒状部の一端に他のダクトを連結するための環状開口を有する連結部が形成された筒形ダクト部と、を有する車両用ダクトを得る切断工程と、
を含むことを特徴とする車両用ダクトの製造方法。 - 前記成形工程では、前記中空部を挟んで対向する複数の前記凸状部と、前記中空部を挟んで対向する複数の前記筒状部と、を有する前記中空成形体を成形し、
前記切断工程では、前記対向する複数の凸状部のうち一方の凸状部を囲むように前記中空成形体の壁部を切断して1個の車両用ダクトを得ると共に、他方の凸状部を囲うようにして前記中空成形体の壁部を切断して別の1個の車両用ダクトを得ることを特徴とする請求項5に記載の車両用ダクトの製造方法。 - 少なくとも一方のキャビティ表面に、コの字開断面状の空気通路に対応した長溝部が形成される一対の分割金型の間に、溶融状態の筒状パリソンを配置する段階と、
一対の分割金型を型締めして、一対の分割金型の内部に密閉空間を形成する段階と、
密閉空間内にエアをブローして、筒状パリソンの対向する外表面を対応するキャビティに対して押し付けて、コの字断面の空気通路を賦形するとともに、筒状パリソンの筒状部を利用して、閉断面の空気通路を賦形する段階と、
一対の分割金型を型開きして、成形品を取り出す段階と、
閉断面の空気通路に連続する形態で、成形品の外表面に賦形されたコの字断面の空気通路を切り出す段階と、
を有することを特徴とする車両用ダクトの製造方法。 - 少なくともそれぞれの前記分割金型の前記キャビティ表面に、コの字開断面状の前記空気通路に対応した長溝部が形成され、
前記空気通路賦形段階は、前記分割金型のピンチオフ部近傍の筒状パリソンの上部開口および下部開口まわりの筒状部それぞれを少なくとも利用して、閉断面の空気通路を賦形する段階と、
前記空気通路切出し段階は、一方の閉断面の空気通路に連続する形態で、成形品の対向する外表面の一方に賦形されたコの字開断面状の前記空気通路を切り出すとともに、他方の閉断面の空気通路に連続する形態で、成形品の対向する外表面の他方に賦形されたコの字開断面状の前記空気通路を切り出すことにより、車両用空調ダクトを少なくとも二個取りする段階を有する、請求項7に記載の車両用ダクトの製造方法。 - 前記空気通路賦形段階は、前記一対の分割金型から前記密閉空間を真空引きする段階をさらに有する、請求項7または8に記載の車両用ダクトの製造方法。
- 前記コの字断面の空気通路は、それぞれ前記閉断面の空気通路の端開口から湾曲状に分岐する分岐部を有する、請求項7に記載の車両用ダクトの製造方法。
- 前記空気通路切出し段階後に、コの字開断面状の前記空気通路を車両構成部材の内壁面に接合することにより、内部に空気通路を形成する、請求項7または8に記載の車両用ダクトの製造方法。
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