JP4671853B2 - ダクト部材およびこれからなるダクト - Google Patents

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Description

この発明は、ダクト部材と、複数の該ダクト部材を適宜組み合わせることで形成されるダクトに関するものである。
通常、自動車には、乗員等に対して快適かつ安全な運転環境を提供すべく、多数の設備が設けられており、例えば空調設備が挙げられる。この空調設備は、基本的にエバポレータ等からなる冷却機構、調温空気を送り出すファン等の駆動源、空調ダクトおよび吹出口(アウトレット)等から構成されている。ここで空調ダクトは、自動車内装材、例えばインストルメントパネルや天井等の内側に収納され、調温空気を抵抗無く流通させる経路となるべく、所要の外形状を保持するように構成されている。
また最近のエネルギー省力化の一環である自動車重量軽減をうけて、空調ダクトにおいても、その重量の一層の低減が求められている。これらの要求を満し、かつ温調空気の効率的な流通をなし得るべく、空調ダクトにおいては、薄肉化が可能であると共に、成形容易性と成形後のハンドリング性および形状保持性を達成する剛性とを併有する、例えばポリエチレン(PE)樹脂等のブロー成形品が好適に採用されている。この他、下記の[特許文献1]に記載の如く、可撓性を有し、かつその取り付けが容易となるパイプを、空調ダクトとして採用する方法も開示されている。
特開平11−280959号公報
しかし空調ダクトを、前述のPE樹脂の成形品の如きソリッド体で製造すると、成形後の剛性は確保できるが、その薄肉化には限界があって一定以上の軽量化は達成が困難であり、一方、軽量化を優先した場合には、その剛性が低下してしまう問題を内在していた。更に空調ダクトがソリッド体の場合、最近の自動車で重要視されている、例えばファン等の駆動源から発生する内部騒音が低減されない。また前述の[特許文献1]記載の発明「ガス状流体を搬送するためのパイプおよびその製造方法」で開示されるパイプの場合、その構造が複雑で、製造が煩雑になる問題も指摘される。
これに対して、下記の[特許文献2]に記載の発明「自動車用エアダクト」、[特許文献3]に記載の発明「空調ダクト」および[特許文献4]に記載の発明「ガス状流体を移送する気密パイプ、およびその製造方法」に夫々様々な空調ダクトが開示されている。これらの発明によれば、温調空気の通気性および剛性を維持しつつ、加工容易性を高めたり([特許文献2])、空調ダクトの管壁の少なくとも一部を、通気性を有する多孔質材料にて形成し、車室内に放射される空調騒音を低減し([特許文献3])、また多孔性材料からなる第一の層を、可逆的に機械的変形性の柔軟な粘弾性型の液密材料の薄膜からなる第二の層に挿入してパイプを形成し、音響を減衰させる([特許文献4])ことが可能となっている。
しかし、[特許文献2]に記載の発明の場合、基本的に異なるシートを複合してダクトとするため、その製造工程が煩雑であることや、重量の増加が問題となる。[特許文献3]に記載の発明の場合、本体たる空調ダクトと、該ダクトを他部材に連結する導入部分および導出部分とを個別製造した後に一体化するため、その製造工程は煩雑となる。また空調ダクトは、その材質故に充分な剛性を備えているとは云えず、ハンドリング性等が劣ることになる。そして[特許文献4]に記載の発明の場合も、複数の層を一体化させる必要があるため、その製造が容易とは云えず量産性に劣る。また[特許文献3]と同様に、その材質故に充分な剛性を備えているとは云えない問題もある。
この発明は、従来技術に係る問題点に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、軽量かつ充分な剛性を有し、ダクトに必要とされる通気性および断熱性等の諸物性を適宜制御可能とし得るダクト部材およびこれからなるダクトを提供することを目的とする。
特開2003−146051号公報 特開2004−66908号公報 特開平11−294648号公報
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るダクト部材は、合成繊維からなるシート状の集合体を加熱して成形されるダクト部材であって、
前記合成繊維は、第1樹脂を材質とし1本以上の第1繊維および該第1樹脂より低い融点を有する第2樹脂を材質とし1本以上の第2繊維が、全長に亘って外周に露出した状態で分離可能に一体となった分割型であり、
前記集合体は、加熱により前記第2繊維同士が相互に接合した多数の固着部を骨格として所要形状に形成され、合成繊維間の空隙と共に、加熱により分離した前記第1繊維と第2繊維との間に繊維空隙が形成されていることを特徴とする。
従って、請求項1に係る発明によれば、分割型の合成繊維の集合体から形成されたダクト部材は、合成繊維間の空隙と共に、第1繊維および第2繊維との分離により形成された繊維空隙を有しているので、優れた軽量性、剛性、断熱性および結露防止性並びに高い吸音性、すなわち優れた低騒音性等といった顕著な作用を奏する。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項2に記載の発明に係るダクト部材は、前記集合体前記第2繊維が溶融する温度まで加熱された状態で型成形されることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、第2繊維が溶融するので、該第2繊維が接合された固着部を適切に形成することができ、ダクト部材を所望とする形状に型成形することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記合成繊維は、第1繊維と第2繊維とが周方向へ交互に配設されていることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、各合成繊維の第2繊維が相互に接触し易くすることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜の何れか一項に記載の発明において、空気流通路の壁をなす本体部と、該本体部の所要部位に形成され、該本体部より見掛け密度が高く設定されているフランジ部とから構成されることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、本体部より見掛け密度が高いフランジ部を有しているので、ダクト部材等としての剛性を大きく向上させ、また自動車内装材等に対して、容易な取付を可能とする構造にし得る。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記フランジ部は、前記第1繊維および第2繊維の両方が加熱によって完全に溶融固化して形成されることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、本体部の剛性等を更に向上させ得る。
請求項6に記載の発明は、請求項4または5記載の発明において、前記本体部の見掛け密度は、0.1g/cm 以上で、前記第1樹脂および第2樹脂において真密度の低い樹脂の真密度未満の範囲とされていることを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、ソリッド体からなるダクト部材等に比較して、優れた断熱性および結露防止性並びに高い吸音性、すなわち優れた低騒音性を発現し得る。
請求項7に記載の発明に係るダクトは、請求項1〜6の何れか一項に記載される少なくとも2つ以上のダクト部材を組み合わせて形成されることを要旨とする。
従って、請求項に係る発明によれば、2つ以上のダクト部材を組み合わせて形成されたダクトは、優れた断熱性および結露防止性並びに高い吸音性、すなわち優れた低騒音性等を顕著な作用を奏する。

以上に説明した如く、本発明のダクト部材およびこれからなるダクトによれば、軽量であり、かつ充分な剛性を有するダクト部材およびこれからなるダクトが得られる。
次に、本発明に係るダクト部材およびこれからなるダクトにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本願発明者は、自動車の空調ダクト等の素材として、基本的にその全長に亘って存在する、少なくとも1本以上の第1繊維と、同じく少なくとも1本以上の第2繊維とを構成要素とし、これらが分離可能なように一体とされている、所謂分割型の合成繊維を用いることで、所要の通気性と、その形状を保持し得る剛性とを併有するダクト部材(ダクト)を製造し得ることを見出したものである。なお本発明において「溶融」とは、第2繊維を構成する第2樹脂がその溶解温度を超えて液状となり、第2繊維12b同士と境界を持たずに混じり合う状態と、該第2樹脂が軟化する状態との双方を指している。すなわち溶融した第2繊維12b同士が溶着して形成された状態だけでなく、加熱によって軟化状態となった第2繊維12b同士が、該軟化によって接着されて形成された状態も含まれる
実施例に係るダクト部材を理解に資するため、先ず本ダクト部材の素材となる分割型の合成繊維12について説明する。合成繊維12は、図1に示す如く、その長手方向に直交する断面を、その中心位置(近傍)を通る2本の線分によって略4等分される各領域が、交互に第1樹脂を材質とする第1繊維12aと、この第1樹脂より低融点物質の第2樹脂を材質とする第2繊維12bとから構成、すなわち夫々の繊維12aおよび12bが2本ずつから構成されている(図1(a)参照)。従って、この合成繊維12の集合体をシート状とした合成繊維シート体13では、所定の熱を加えることで合成繊維12の一部をなす複数の第2繊維12bが加熱により溶融し、その後に冷却に伴う固化によって相互に近接・接触している第2繊維12b同士が多数の固着部14を形成する(図1(b)参照)。すなわち複数の第1繊維12aが、多数形成される固着部14によって橋渡しされた、全体として強固な骨格が形成される。これは合成繊維シート体13を加熱・溶融して、所要形状の成形体とした際に、その形状保持等が可能な剛性が付与されることを意味する。更に第1繊維12aについては、その材質たる第1樹脂の溶融が少ないので、初期の繊維状態が維持され、微細な空隙16が多数存在した状態が保持される。
そして溶融に際しては、以下の特徴的な効果も奏する。すなわち第1繊維12aの材質である第1繊維と、第2繊維12bの材質である第2樹脂とはその融点が異なるため、熱に関する、例えば線膨張係数等の熱的物性が異なることが一般的である。この場合、合成繊維12の加熱下において、第2繊維12bの溶融による固着部14の形成と共に、前述の熱的物性の差違に由来する各種応力が、合成繊維12における第1繊維12aおよび第2繊維12bの境界に発生して、これらが各繊維12aおよび12bに分割される。この分割によって合成繊維12は、図2に示す如く、より細い第1繊維12aおよび第2繊維12bが個別に存在する繊維束としての構造を獲得するに至る(図2(a)参照)。このような構造の発現によって合成繊維シート体13は、合成繊維12自体が初期の繊維状態を維持して微細な空隙16が形成されるだけでなく、合成繊維12を構成する更に細い第1繊維12aおよび第2繊維12bも初期の繊維状態を維持し、空隙16より更に微細な繊維空隙17が形成された状態となる(図2(b)参照)。
なおここでは図1および図2に示すような長手方向に直交する断面を、その中心位置(近傍)を通る2本の線分によって略4等分して交互に第1繊維12aと第2繊維12bとが配置された構造を有する合成繊維12を例に挙げたが、本発明に使用し得る分割型の合成繊維12はこれに限定されるものではない。例えば図3に示す如く、長手方向に直交する断面を4等分以上に分割した断面を有する形態(図3(a)参照)や、合成繊維12同士を固着させる固着部14を形成する第2繊維12bが、他の合成繊維12との接触が許容される位置、すなわち合成繊維12の外周に露出した形態(図3(b)参照)であればよい。またその断面形状も、殊に略円形には限定されない。
本実施例において、第1樹脂としては結晶性ポリプロピレンが採用され、第2樹脂としてはポリエチレンが採用されている。しかし本発明はこれに限定されるものではない。具体的に第2樹脂としては、第1樹脂より低い温度で溶融して熱溶着(軟化接着)性を発現する樹脂を、該第1樹脂としては、第2樹脂の溶融温度では溶融し難い樹脂が夫々採用される。このように第1繊維12aがその繊維状態を維持したまま、第2繊維12bから固着部14が形成される構成となっていれば、如何なる材質でも採用可能である。なお第1繊維12aの材質については、固着部14の形成に際して加えられる熱に対して、一定の塑性を示すことがより高い剛性等保持の点から好ましい。
本実施例に係る2つのダクト部材10,10(第1ダクト部材10a,第2ダクト部材10b)は、前述の合成繊維シート体13(合成繊維12)を必要とされる空調ダクトの形状に型成形されたもの(製造方法は後述[0033])であり、図4に示す如く、双方のダクト部材10,10(第1ダクト部材10a,第2ダクト部材10b)を接合することで、図5に示すダクト11とされる。ここで第1ダクト部材10aおよび第2ダクト部材10bは、例えばホットメルト接着剤により接合・一体化されてダクト11とされる。またダクト部材10は、その主要部をなす本体部18と、この本体部18の所要部位に形成され、本体部18より見掛け密度が高く設定されているフランジ部20(詳細は後述[0031])とから構成されている。
このダクト部材10(ダクト11)は、その材質として前述の合成繊維12(合成繊維シート体13)を採用している。そしてその表面は、図6に示す如く、合成繊維12が全体として、また合成繊維12をなす多数の第1繊維12aが夫々繊維状態を保持したまま、合成繊維12をなす多数の第2繊維12bが、溶融によって互いに接合して多数の固着部14を形成した状態となっている。すなわち固着部14が形成されるまでは、図7に示す如く、合成繊維シート体13は合成繊維12の単なる集合体に過ぎないので(図7(a)参照)、例えば複雑な三次元形状等に自在に変形可能(図7(b)参照)である。その一方で固着部14が形成された後は、この固着部14が個々の合成繊維12の結節点となり、その自由な動きを制限するため、一端加熱下に所要形状に型成形された後はその形状を保持することになる。
このような特性を有する合成繊維12を、その素材として使用することで本発明に係るダクト部材10(ダクト11)は、以下の特性を発現する。すなわち、(1)第2繊維12bが溶融・固化されるまでは、その形状を自在に変えることができるため、複雑三次元形状をなすダクト部材10(ダクト11)を容易に製造し得る。そして第2繊維12bが溶融・固化後には、第2繊維12bから多数の固着部14が形成されるため、(2)成形性が良好で、成形体として充分な剛性(製品としての良好な形状保持性およびハンドリング性)を確保し得る。また固着部14以外の部位では、空隙16や、更には繊維空隙17が保持されて残っているため、(3)見掛け密度が小さく、軽量である、(4)通気性が確保され、高い吸音性や、結露防止作用が期待できる。なお(3)見掛け密度および(4)通気性は、ダクト部材10(ダクト11)における本体部18の数値を指している。
殊に(3)見掛け密度(本体部18の成形密度)および(4)通気性については、加熱・溶融前の合成繊維12(合成繊維シート体13)の目付量や、成形圧縮率、加熱温度および時間の調整によって、容易にその数値を制御し得る。具体的には、(3)見掛け密度は、0.1g/cm以上で、かつ合成繊維12をなす第1樹脂または第2樹脂の何れか真密度の低い樹脂の真密度未満の範囲とされる。この数値範囲であれば、後述する(4)通気性と、ダクト部材10(ダクト11)として充分な剛性を備えた成形体とし得る。この数値が0.1g/cm未満の場合、ダクト部材10(ダクト11)として充分な剛性が確保し得なくなる。一方、合成繊維12をなす第1樹脂または第2樹脂の何れか真密度の低い樹脂の真密度に至ると、すなわち合成繊維12(合成繊維シート体13)が略完全に溶融した状態であるため、実質的にその性状は殆どソリッド状態となり、軽量化や通気性確保により達成される特性を獲得し得なくなる。なお本実施例における第1樹脂および第2樹脂においては、第1繊維12aの材質である結晶性ポリプロピレンの方が真密度が低く、その密度が0.9g/cm前後であり、従ってこの数値が上限となっている。
(4)本体部18の通気性は、本発明においてはJIS L 1096A(フラジール形法)に規定されるものを採用しており、その数値が0を超えて、30cm/cm・S以下の範囲とされている。この範囲とされることで、空調ダクトとして充分な温調空気の流通性と、低騒音性、高い断熱性および結露防止性等の、本体部18が形成するダクト部材10の壁部に係る通気性に係る効果とを併有させ得る。従ってその数値が0cm/cm・S、すなわちその性状がソリッドの場合、通気性に由来する前述の各効果を生かせなくなる。一方、30cm/cm・Sを超える場合、ダクト部材10(ダクト11)内を流通する温調空気の遮断性が低下して、ダクトとしての機能を充分に果たし得なくなる。
これを一般的な不織布と比較してみると、不織布はその全体が同じ溶融点の物質(樹脂)から構成されているため、加熱が施されて該不織布をなす多数の繊維が溶融するまでは同じであり、容易に自在な形状とし得る。しかし一度溶融してしまうと、不織布をなす多数の繊維の全体が溶融してしまう。これは不織布をなす繊維が、流動性を発現させてしまい、その流動性によって二次元的に広がってソリッド性状を呈することも意味する。この場合、本発明に係るダクト部材10(ダクト11)の効果は全く得られない。
これに対して、加熱温度が低ければ繊維集合体としての特質、すなわち通気性は確保されるが、その形状を保持する固着部が全くないまたは少ないため、成形体形状を維持するための成形体としての剛性を発現し得ない。
また第1ダクト部材10aおよび第2ダクト部材10bには、その形状端部に接着のためののりしろ部分としてのフランジ部20,20が夫々形成されている(図4参照)。またダクト11とされた際に、このダクト11を車内送風口(アウトレット)に取り付ける部位には、この取付を容易に実施する取付部としてのフランジ部20,20も設けられている(図4参照)。
このフランジ部20は、本発明においては合成繊維シート体13において対応する所定部位の型成形による圧縮率を高め、溶融圧縮させることで形成されている。このようにダクト部材10の端部等に、本体部18より高見掛け密度とされたフランジ部20を意図的に形成することで、ダクト11の製造や、自動車内装への取付を容易になし得る効果を奏する。更にダクト部材10(ダクト11)全体の剛性をより向上させ、その形状保持性およびハンドリング性も高め得る。なおこのフランジ部20のみに対して、その第1繊維12aまでも溶融し得る温度をかけて、合成繊維シート体13を略完全に溶融圧縮させることでも容易に形成し得る。この場合、第2繊維12bだけでなく第1繊維12aも溶融したソリッド体に近い状態となり、ダクト部材10(ダクト11)全体の剛性の向上も更に向上させ得る。
(製造方法の一例)
以下に本実施例に係るダクト11の製造方法の一例を説明する。ダクト11の製造方法は、図8に示す如く、前述の合成繊維12の集合体を所定形状とする型綿等を行ない、得られた積層シート状物である合成繊維シート体13を加熱して、合成繊維12をなす第2繊維12bを溶融状態とする溶融段階S1と、第2繊維12bが溶融状態にある合成繊維12を、所要の成形型26(図9参照(後述[0035]))によって圧縮しつつ成形する圧縮成形段階S2と、最終段階S3とから基本的になる。
溶融段階S1は、合成繊維シート体13に対して、第2繊維12bが溶融するに足る熱を与える段階である。本実施例における合成繊維12は、性状的に断熱性が高いため好適な加熱を目的として、合成繊維シート体13の厚み方向両側から加熱が実施される。加えられる温度は、第2繊維12bの溶融温度、本実施例の場合、130〜140℃程度である。
次に行なわれる圧縮成形段階S2は、第2繊維12bが溶融状態にある合成繊維12からなる合成繊維シート体13を、図9に示すダクト部材10(ここでは第1ダクト部材10a)の外部輪郭形状と合致する内部輪郭形状のキャビティを有し、上型26aおよび下型26bからなる成形型26を使用して、所要の成形圧縮力を掛けてプレス成形する段階である。先ず上型26aおよび下型26bを離間させて、これらの間に第2繊維12bが溶融状態にある合成繊維12からなる合成繊維シート体13を配置する(図9(b)参照)。そして上型26aおよび下型26bを徐々に近接させつつ、成形型26を閉成状態として合成繊維シート体13のプレス成形を行ない、第1ダクト部材10aとされる(図9(c)および(d)参照)。そして成形された第1ダクト部材10aは、成形型26から脱型される。
また本圧縮成形段階S2で、第1ダクト部材10aの見掛け密度が決定される。すなわち圧縮成形前の合成繊維シート体13の厚みがT、見掛け密度がDである場合、成形型26の内部輪郭形状おける厚み(=第1ダクト部材10aの厚み)がtであれば、圧縮成形後の第1ダクト部材10aの見掛け密度はD×(T/t)で算出・制御可能である。すなわち成形型26の内部輪郭形状の設計と、合成繊維シート体13の厚みとによって、第1ダクト部材10aの見掛け密度を部位毎に緻密に設定し得る。見掛け密度の設定によって、通気性が制御可能なのは云うまでもない。
ここまでの各段階S1およびS2を経ることで、所望の厚み、見掛け密度および通気性を有する第1ダクト部材10aを得ることができる。最終的に施される最終段階S3は、成形された第1ダクト部材10aに対して、不要部分のカッティングおよび所定の検査等を施し、かつ別途同様の工程を経て製造された第2ダクト部材10bと接合して、完成品とであるダクト11を得る段階である。
なお本製造方法においては、予め合成繊維12を積層的に集合させてシート状の合成繊維シート体13とした後に加熱・溶融を実施しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、単に必要量の合成繊維12を集合状態として、これに直接的に加熱・圧縮を実施してダクト部材10としてもよい。
(別の実施例)
前述の実施例では、2つのダクト部材10,10(第1ダクト部材10aおよび第2ダクト部材10b)を接合して完成品であるダクト11を得ているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば自動車の天井に設けられた吹出口からエアを吹き出すために、天井部材30の裏に、図10に示すように、ダクト部材10をその開口側を密着させて接着等により配置してダクト32とすることも可能である。
本発明の好適な実施例に係るダクト部材(ダクト)を構成する合成繊維において、(a)加熱前の様子を、(b)加熱後の様子を、夫々一部切り欠いて示す斜視図である。 実施例に係る合成繊維をなす第1繊維および第2繊維が分割する様子と、分割された第2繊維が固着した様子を示す状態図である。 他の形態を備える合成繊維の一例を示す斜視図である。 実施例に係る2つのダクト部材を示す斜視図である。 図4の2つのダクト部材から構成されるダクトを示す斜視図である。 合成繊維シート体の加熱後の状態を示す概略図である。 合成繊維シート体の加熱前の状態を示す概略図である。 実施例に係るダクトの製造方法の一例を示す工程図である。 図8の製造方法で使用される成形型を使用した圧縮成形段階を示す状態図である。 別の実施例に係るダクトを示す斜視図である。
符号の説明
10 ダクト部材、12 合成繊維、12a 第1繊維、12b 第2繊維
14 固着部、18 本体部、20 フランジ部、32 ダクト部材

Claims (7)

  1. 合成繊維(12)からなるシート状の集合体を加熱して成形されるダクト部材であって、
    前記合成繊維(12)は、第1樹脂を材質とし1本以上の第1繊維(12a)および該第1樹脂より低い融点を有する第2樹脂を材質とし1本以上の第2繊維(12b)が、全長に亘って外周に露出した状態で分離可能に一体となった分割型であり、
    前記集合体は、加熱により前記第2繊維(12b,12b)同士が相互に接合した多数の固着部(14)を骨格として所要形状に形成され、合成繊維(12)間の空隙(16)と共に、加熱により分離した前記第1繊維(12a)と第2繊維(12b)との間に繊維空隙(17)が形成されている
    ことを特徴とするダクト部材。
  2. 前記集合体前記第2繊維(12b)が溶融する温度まで加熱された状態で型成形され請求項1記載のダクト部材。
  3. 前記合成繊維(12)は、第1繊維(12a)と第2繊維(12b)とが周方向へ交互に配設されている請求項1または2記載のダクト部材。
  4. 空気流通路の壁をなす本体部(18)と、該本体部(18)の所要部位に形成され、該本体部(18)より見掛け密度が高く設定されているフランジ部(20)とから構成される請求項1〜3の何れか一項に記載のダクト部材。
  5. 前記フランジ部(20)は、前記第1繊維(12a)および第2繊維(12b)の両方が加熱によって完全に溶融固化して形成される請求項記載のダクト部材。
  6. 前記本体部(18)の見掛け密度は、0.1g/cm 以上で、前記第1樹脂および第2樹脂において真密度の低い樹脂の真密度未満の範囲とされている請求項4または5記載のダクト部材。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載される少なくとも2つ以上のダクト部材(10)を組み合わせて形成される
    ことを特徴とするダクト。
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