JP6233626B2 - ダクトの製造方法、及びダクト - Google Patents

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本発明は、ダクトの製造方法及びダクトに関するものであり、特に、内面に吸音材を貼り付けたダクトの製造方法及びダクトの改良に関する。
例えばバッテリーを搭載した車両において、バッテリーが収容される空間の換気、冷却を行う吸気ダクトにおいては、開口部の片側にある吸引装置から発生する音が、ダクトの経路を通して反対側の開口部から漏れることがあり、騒音の原因となっている。したがって、この種のバッテリー用の吸気ダクトにおいては、吸音性を求められる場合が多く、発泡樹脂を用いた発泡ダクト等が採用されている。
ただし、発泡ダクト自体の吸音性は、必ずしも十分とは言えず、前記騒音を解消するほどの効果が得られていないのが実情である。このような状況から、より効果的に吸音効果が得られる吸音ダクトの開発が待たれるところである。
従来、空調ダクトの分野においては、断熱性を向上し、結露等を防止することを目的として、発泡樹脂層を形成した空調ダクトが知られている。例えば、特許文献1には、流体の流路を形成するダクト本体の外周面を被覆層壁で被覆したダクトであって、被覆層壁は熱収縮性発泡樹脂シートで構成され、ダクト本体の外周面を熱収縮させた熱収縮性発泡樹脂シートで被覆してなるダクトが開示されている。
同様に、特許文献2には、空調チャンバ、空調エルボ、吹出口、換気口等の空調機器に接続され、風が流通する通風路を内部に形成した空調フレキシブルダクトにおいて、この空調フレキシブルダクトは、その取付使用状態においてダクト本体の外表面に断熱材を固設すると共に、更に、その断熱材の外表面に熱収縮性のフィルムを密着状に被着して成る空調フレキシブルダクトが開示されている。
特許文献1や特許文献2に記載されるダクトは、ダクト外面に発泡樹脂シートや断熱材を貼り付けた構成を有しており、発泡樹脂シートや断熱材が吸音性を有すると考えられることから、ある程度の吸音性を有するものと期待される。
また、特許文献3や特許文献4には、ダクト内面に発泡シートや発泡体を貼り付けた構成のダクトが開示されている。具体的には、例えば特許文献3には、各種の車両内装部材の内側に配設され、この車両内装部材に開設した空気吹出口および車両搭載のエアコンユニットの空気送出口を連通接続して、該エアコンユニットからの調温空気を該空気吹出口へ案内するようにした空気案内ダクトにおいて、この空気案内ダクトは、ダクトに必要な形状が付与されると共に、その形状を保持し得る剛性を備えた外層シートと、この外層シートの内面に全面的に貼着されて吸音・断熱機能を果たす内層シートとから構成した空気案内ダクトが開示されている。
特許文献4には、片面に弾性発泡体を有する積層体からなり、略中央にヒンジ部、両側にフランジを設けた所望の凹形状を有する積層体を、弾性発泡体を内側にしてヒンジ部から折曲し、フランジを対接固着した自動車用ダクトが開示されている。
これら特許文献3や特許文献4に記載される駄句とは、ダクト内面に発泡体等を貼り付ける構成を有しており、特に特許文献3においては、吸音に関しても言及されている。
特開2003−42389号公報 特開平6−272948公報 特開2001−180250公報 実開昭60−188618公報
しかしながら、例えば特許文献3,4等に記載される技術では、予め吸音材と樹脂シートを一体化した後、金型での成形を行っており、成形性に問題を残している。すなわち、金型での成形時に吸音材と樹脂シートとが一体になっていると、樹脂シートが伸びにくいため成形し難く、成形不良が生じ易い。
また、成形されるダクトの吸音性に関して言えば、必ずしも十分な性能を得られていないのが実情である。例えば、特許文献1,2に記載されるようにダクト外面に発泡樹脂シートや断熱材等を貼り付けても、吸音効果は十分ではない。特許文献3,4に記載されるようにダクト内面に発泡体等を貼り付けた場合には、ダクト外面に貼り付けた場合に比べると吸音性が高いが、それでもバッテリー用の吸気ダクトとしては、満足のいく吸音性は得られていない。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、成形不良が生ずることなく、ダクト内面での吸音性に優れ、騒音の発生を効果的に抑えることが可能なダクトを製造し得るダクトの製造方法を提供することを目的とし、さらには、ダクトを提供することを目的とする。
本発明者は、前述の目的を達成するために、種々検討を重ねてきた。その結果、樹脂シートを成形した後に吸音材を貼り付ければ、成形不良が生じ難いこと、吸音材はダクトの外面に貼り付けるよりも内面に貼り付けた方が吸音効果が高いこと、吸音材とダクト本体の間に空気層を形成することにより、あるいは吸音材を通して空気が抜けるようにすることにより、吸音性が飛躍的に向上すること、等の知見を得るに至った。
本発明は、係る知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明のダクトの製造方法は、ダクト本体となる一対の樹脂シートを溶融状態でそれぞれ金型に吸引して密着させた後、型締めして合体させるダクトの製造方法であって、金型と密着する少なくとも一方の樹脂シートに対して互いに融着しない部分を有し且つ当該部分において樹脂シートとの間に空間が形成されるように吸音材を貼り付けた後、型締めを行って成形し、金型から取り出した後、吸音材と前記ダクト本体とが互いに融着しない部分の樹脂シートを一部切断除去することを特徴とする。
また、本発明のダクトは、樹脂シートからなるダクト本体の内面に吸音材が融着により貼り付けられたダクトであって、前記吸音材とダクト本体とは、互いに融着していない部分を有し、且つ当該部分において前記吸音材と対向するダクト本体の少なくとも一部が成形後に切断除去され、それにより開口部が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、製造に際して成形不良の発生を抑えることができ、発生吸音性能が高く、騒音等を確実に抑えることが可能なダクトを提供することができる。
第1の実施形態の吸音ダクトの概略斜視図である。 第1の実施形態の吸音ダクトの製造工程の一例を示す図であり、(a)は吸音材の挿入工程を示し、(b)は吸音材の貼り合わせ状態を示す。 第2の実施形態の吸音ダクトの概略斜視図である。 第2の実施形態の吸音ダクトの製造工程の一例を示す図であり、(a)は吸音材の挿入工程を示し、(b)は吸音材の貼り合わせ状態を示す。。 第3の実施形態の吸音ダクトの概略斜視図である。 第3の実施形態の吸音ダクトの製造工程の一例を示す図であり、(a)は成形工程、(b)は切断工程を示す。 第4の実施形態の吸音ダクトの一例を示す概略斜視図である。 第5の実施形態の吸音ダクトの一例を示す概略斜視図である。
以下、本発明を適用したダクトの製造方法、及びダクトの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態のダクト(吸音ダクト)は、ダクト本体に凹凸を設け、吸音材とダクト本体の間に空気層を形成することで、吸音性能を向上させたものである。本実施形態の吸音ダクトの場合、前記空気層が形成される部分において、吸音材とダクト本体とが互いに融着していないことになる。
図1は、本実施形態の吸音ダクト1を示すものである。本実施形態の吸音ダクト1は、矩形筒状に成形されたダクト本体2の内面に吸音材3を貼り付けたものである。本実施形態の吸音ダクト1においては、吸音材3は、矩形のダクト本体2の対向する2面に貼り付けられている。
本実施形態の吸音ダクト1を構成するダクト本体は、例えば溶融樹脂シートを金型で成形することにより形成されるものである。樹脂シートには、非発泡樹脂や発泡樹脂を用いることができ、非発泡樹脂シートを成形した場合にはソリッドダクトとして形成され、発泡樹脂シートを成形した場合には発泡ダクトとして形成される。
一方、吸音材3には、例えば不織布や、樹脂発泡体等が用いられる。当該吸音材3としては、空気を通す材料が好ましい。吸音材3に樹脂発泡体を用いる場合には、気泡が連通気泡であることが好ましい。また、吸音材3として、空気を通さない部材(樹脂シートなど)に微細な穴を加工したものを用いることもできる。さらに、吸音材3として、空気を通さない部材を用い、当該部材とダクト内面との間に空間ができるように、当該部材を配置しても良い。さらにまた、吸音材3は、前記ダクト本体2への貼り付けを考えると、ダクト本体2と同じ材質であることが好ましい。例えば、ダクト本体2がポリプロピレンの成形体である場合には、吸音材3としてポリプロピレンの発泡体を用いることが好ましい。ダクト本体2と吸音材3が同じ材質であれば、接着強度を高くすることができる。また、バリ等のリサイクルも容易である。
前記の通り、本実施形態の吸音ダクト1は、ダクト本体2の内面に吸音材3を貼り付けていることが基本構成であるが、本実施形態の吸音ダクト1の場合、ダクト本体2の凹凸が設けられており、吸音材3とダクト本体2の間に空間(空気層)が形成されている。
具体的には、ダクト本体2の吸音材3が貼り付けられる壁面は、成形の際に金型の形状が転写されて凹凸面とされている。そして、ダクト本体2の中央凸部2a及び周縁凸部2b,2cによって吸音材3が支持される形で貼り付けられている。その結果、吸音材3とダクト本体2の間には、空間4が形成され、この空間4が空気層として機能する。
このように、ダクト本体2と吸音材3の間に空間4を形成し、空気層を介在させることで、吸音ダクト1の吸音特性が飛躍的に向上する。また、併せて断熱効果等も大幅に向上する。なお、ダクト本体2の外面にも吸音材を貼り付けることで、さらなる吸音特性の向上を図ることも可能である。
次に、本実施形態の吸音ダクト1の製造方法について説明する。本実施形態の吸音ダクト1を製造するには、図2(a)に示すように、ダクト形状に応じた一対の金型11,12を用意し、溶融樹脂シート(パリソン)13,14を吸引により金型11,12に密着させる。この時、各金型11,12には、ダクト本体に形成する凹凸に対応して凸部11a,12aを形成しておく。
前記溶融樹脂シート13,14を金型11,12に密着させることで金型11,12の形状を溶融樹脂シート13,14に転写形成した後、異材である吸音材シート15,16をロボット等により挿入し、図2(b)に示すように、溶融樹脂シート13,14に貼り合わせる。この時、溶融樹脂シート13,14が吸音材シート15,16に滲み出し、接着剤等を付与しなくても吸音材シート15,16が溶融樹脂シート13,14に貼り付く。
最後に、金型11,12を型締めし、成形された溶融樹脂シート13,14を合体させ、ピンチオフすることにより、図1に示す吸音ダクト1が形成される。
(第2の実施形態)
本実施形態の吸音ダクトは、吸音材に凹凸を付与し、ダクト本体と吸音材の間に空間を形成したものである。
図3に、本実施形態の吸音ダクト21を示す。本実施形態の吸音ダクト21も、先の第1の実施形態の吸音ダクトと同様、矩形のダクト本体22の対向する2面に吸音材23を貼り付けることにより構成されている。
ただし、ダクト本体22には凹凸が形成されておらず、吸音材23の凸部23aをダクト本体22に突き当てた状態で貼り付けられており、これにより吸音材23とダクト本体22の間に空間(空気層)24が形成されている。この空間24の形成により、先の第1の実施形態の吸音ダクトと同様、吸音特性や断熱特性が飛躍的に向上する。
本実施形態の吸音ダクト21の製造方法を図4に示す。本実施形態の吸音ダクト21を製造するには、図4(a)に示すように、ダクト形状に応じた一対の金型31,32を用意し、溶融樹脂シート(パリソン)33,34を吸引により金型31,32に密着させる。なお、各金型31,32には、凹凸を形成する必要はない。
次に、異材である吸音材シート35,36をロボット等により挿入し、図4(b)に示すように、溶融樹脂シート33,34に貼り合わせる。この時、挿入する吸音材シート35,36に凹凸を形成しておき、凸部35a,36aが溶融樹脂シート33,34に突き合わされるように貼り合わせる。
最後に、金型31,32を型締めし、成形された溶融樹脂シート33,34を合体させ、ピンチオフすることにより、図3に示す吸音ダクト21が形成される。
(第3の実施形態)
本実施形態の吸音ダクトは、吸音材と対向する部分において、ダクト本体が一部切断除去されていることが特徴事項である。
図5は、本実施形態の吸音ダクト41を示すものである。本実施形態の吸音ダクト41においても、先の第1の実施形態の吸音ダクトと同様、矩形のダクト本体42の対向する2面に吸音材43が貼り付けられている。
そして、図5に示すように、ダクト本体42の吸音材43と対向する部分に、ダクト本体42の一部を切断することにより除去し、開口部44を形成している。この開口部44の形成により、この部分で吸音材43がダクト本体42と接していない。
本実施形態の吸音ダクト41の場合、ダクト本体42に設けた開口部44において、空気が吸音材43を通して外に逃げる。それにより、大きな吸音効果を得ることができる。
本実施形態の吸音ダクト41を製造するには、図6(a)に示すよう、ダクト本体42となる溶融樹脂シート51に凹部51aを形成し、ここを塞ぐ形で吸音シート52を貼り付ける。この状態で型締めを行い、成形を行う。次に、金型から取り出して、図6(b)に示すように、樹脂シート51の凹部51aを切断して除去し、開口部を形成する。
(第4の実施形態)
本実施形態の吸音ダクト61では、図7に示すように、ダクト本体62の内面に吸音材63が部分的に貼り付けられている。吸音材63が貼り付けられていない部分が、吸音材63とダクト本体62が融着されていない部分ということになる。
(第5の実施形態)
本実施形態の吸音ダクト71では、図8に示すように、ダクト本体72の内面に吸音材73が部分的に貼り付けられており、吸音材73の両側部分73aのみがダクト本体72に対して融着されている。吸音材73の中央部分73bは、ダクト本体72に融着されていない。
吸音材73の両側部分73aのみダクト本体72に対して融着させるには、例えば、吸音材73をダクト本体72となる樹脂シートに貼り付ける際に、両側部分73aのみを押圧し、その他の部分(吸音材73の中央部分73b)には押圧力を加えなければよい。あるいは、吸音材73の中央部分73bに融着を阻害するシート(離型シート)等を貼り付けておいてもよい。
以上、本発明を適用した実施形態についてを説明してきたが、本発明が前述の実施形態に限られるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
1,21,41,61,71 吸音ダクト
2,22,42,62,72 ダクト本体
3,23,43,63,73 吸音材
4,24 空間(空気層)
11,12,31,32 金型
13,14,33,34,51 溶融樹脂シート
44 開口部

Claims (4)

  1. ダクト本体となる一対の樹脂シートを溶融状態でそれぞれ金型に吸引して密着させた後、型締めして合体させるダクトの製造方法であって、
    金型と密着する少なくとも一方の樹脂シートに対して互いに融着しない部分を有し且つ当該部分において樹脂シートとの間に空間が形成されるように吸音材を貼り付けた後、型締めを行って成形し、
    金型から取り出した後、吸音材と前記ダクト本体とが互いに融着しない部分の樹脂シートを一部切断除去することを特徴とするダクトの製造方法。
  2. 金型に凹凸を付与することで前記吸音材と前記樹脂シートとが互いに融着しない部分を有し且つ当該部分において空間が形成されるように吸音材を貼り付け、型締めを行って成形することを特徴とする請求項1記載のダクトの製造方法。
  3. 樹脂シートからなるダクト本体の内面に吸音材が融着により貼り付けられたダクトであって、
    前記吸音材とダクト本体とは、互いに融着していない部分を有し、且つ当該部分において前記吸音材と対向するダクト本体の少なくとも一部が成形後に切断除去され、それにより開口部が形成されていることを特徴とするダクト。
  4. 前記開口部に臨む周縁が立ち上がり部とされていることを特徴とする請求項3記載のダクト。
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